(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】窒化ケイ素膜を選択的にエッチングするための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/308 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
H01L21/308 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573022
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022030308
(87)【国際公開番号】W WO2022251068
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ビロドウ, スティーヴン エム.
(72)【発明者】
【氏名】イェヴェネス, クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】ヨ, ジュヒ
【テーマコード(参考)】
5F043
【Fターム(参考)】
5F043AA35
5F043BB23
5F043DD07
5F043DD30
5F043GG10
(57)【要約】
本発明は、窒化ケイ素(SiN)とポリシリコンの両方を含有するマイクロエレクトロニクスデバイスの表面を選択的にウェットエッチングをするための組成物および方法に関する。記載のエッチング組成物は、リン酸、いくつかのポリシリコン腐食防止剤を、ならびにいくつかのシランを含む。2つの成分の組合せにより、ポリシリコンの存在下での窒化ケイ素エッチング組成物の選択性が大幅に改善されることが判明した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;直鎖状および分枝状のC
8~C
16アルキルベンゼンスルホン酸とC
6~C
12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;ならびに式Si[フェニル-(-CH
2-)
x]
n(OR)
m[式中、nは1、2、または3であり、mは1、2、または3であり、nとmの合計は4であり、xは0、1、2または3であり、式中、各Rは独立してC
1~C
4アルキルから選択される]の化合物を含む組成物。
【請求項2】
各Rがメチルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
nが1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
b.が
ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸;
テトラプロピル-(スルホフェノキシ)-ベンゼンスルホン酸;
ドデシルベンゼンスルホン酸;および
4-オクチルベンゼンスルホン酸
から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
添加シリカをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
(a)アルキルアミノアルコキシシランおよび(b)アルキルアミノヒドロキシルシランから選択される少なくとも1つのシランをさらに含み、そのシランがアルコキシおよびヒドロキシルから選択される少なくとも1つの部分を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール;
N
1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン;
(3-アミノプロピル)トリエトキシ-シラン;および
(3-アミノプロピル)シラントリオール
から選択される化合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
ケイ酸テトラメチルアンモニウムおよび(3-アミノプロピル)シラントリオールをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
ケイ酸テトラメチルアンモニウムまたはテトラオルトシリケートをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;直鎖状および分枝状のC
8~C
16アルキルベンゼンスルホン酸とC
6~C
12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;ならびに式
[式中、各Rは独立してC
1~C
4アルキルから選択される]の化合物を含む組成物。
【請求項11】
各Rがメチルである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
b.が
ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸;
テトラプロピル-(スルホフェノキシ)-ベンゼンスルホン酸;
ドデシルベンゼンスルホン酸;および
4-オクチルベンゼンスルホン酸
から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール;
N
1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン;
(3-アミノプロピル)トリエトキシ-シラン;および
(3-アミノプロピル)シラントリオール
から選択される化合物をさらに含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
ケイ酸テトラメチルアンモニウムおよび(3-アミノプロピル)シラントリオールをさらに含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
ポリシリコンを含む表面を含むマイクロエレクトロニクスデバイス基板上の窒化ケイ素表面をエッチングする方法であって:
組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;直鎖状および分枝状のC
8~C
16アルキルベンゼンスルホン酸とC
6~C
12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;ならびに式Si[フェニル-(-CH
2-)
x]
n(OR)
m[式中、nは1、2、または3であり、mは1、2、または3であり、nとmの合計は4であり、xは0、1、2または3であり、式中、各Rは独立してC
1~C
4アルキルから選択される]の化合物を含む組成物を提供すること;窒化ケイ素を含む表面およびポリシリコンを含む表面を有する基板を提供し、窒化ケイ素をエッチングするのに有効な条件下で基板と組成物を接触させること
を含む、方法。
【請求項16】
式Si[フェニル-(-CH
2-)
x]
n(OR)
mの化合物が、
ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸;
テトラプロピル-(スルホフェノキシ)-ベンゼンスルホン酸;
ドデシルベンゼンスルホン酸;および
4-オクチルベンゼンスルホン酸
から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
c.が式
[式中、各RはC
1~C
4アルキルから選択される]の化合物である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
各Rがメチルであり、式Si[フェニル-(-CH
2-)
x]
n(OR)
mの化合物が、
ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸;
テトラプロピル-(スルホフェノキシ)-ベンゼンスルホン酸;
ドデシルベンゼンスルホン酸;および
4-オクチルベンゼンスルホン酸
から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール;
N
1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン;
(3-アミノプロピル)トリエトキシ-シラン;および
(3-アミノプロピル)シラントリオール
から選択される化合物をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;直鎖状および分枝状のC
8~C
16アルキルベンゼンスルホン酸とC
6~C
12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;
i. N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
ii. N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
iii. N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール;
iv. N
1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
v. N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン;
vi. (3-アミノプロピル)トリエトキシ-シラン;および
vii. (3-アミノプロピル)シラントリオールル:から選択される化合物;ならびに
ケイ酸テトラメチルアンモニウムおよびオルトケイ酸テトラエチルから選択される化合物を含む、組成物。
【請求項21】
e.4-(3-フェニルプロピル)ピリジンをさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
(3-アミノプロピル)シラントリオール;ケイ酸テトラメチルアンモニウム;リン酸;4-(3-フェニルプロピル)ピリジン;ドデシルベンジルスルホン酸;および4-オクチルベンジルスルホン酸を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
ポリシリコンを含む表面を含むマイクロエレクトロニクスデバイス基板上の窒化ケイ素表面をエッチングする方法であって:
組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;直鎖状および分枝状のC
8~C
16アルキルベンゼンスルホン酸とC
6~C
12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;
i. N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
ii. N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
iii. N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール;
iv. N
1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
v. N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン;
vi. (3-アミノプロピル)トリエトキシ-シラン;および
vii. (3-アミノプロピル)シラントリオール:から選択される化合物;ならびに
ケイ酸テトラメチルアンモニウムおよびオルトケイ酸テトラエチルから選択される化合物
を含む組成物を提供すること;
窒化ケイ素を含む表面およびポリシリコンを含む表面を有する基板を提供し、窒化ケイ素をエッチングするのに有効な条件下で基板と組成物を接触させること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、酸化ケイ素およびポリシリコンの存在下で、窒化ケイ素膜を選択的にエッチングするための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクス産業では、デバイス性能の改善ならびにデバイス寸法の縮小化およびデバイス機構寸法の縮小化に対して、継続的な需要が存在する。機構寸法の縮小化により、デバイス機構の高密度化およびデバイスの高速化という二重の利点がもたらされる。
【0003】
機構およびデバイス寸法を縮小するには、マイクロエレクトロニクスデバイスを製造する多段階プロセスの工程を改善するための新しい方法を見出す必要がある。多くの種類のマイクロエレクトロニクスデバイスを調製する方法では、窒化ケイ素を除去する工程が一般的である。窒化ケイ素(Si3N4)の薄層は、通常、シラン(SiH4)およびアンモニア(NH3)から化学蒸着によって堆積され、水およびナトリウムに対するバリアとしてマイクロエレクトロニクスデバイスにおいて有用であり得る。また、パターニングされた窒化ケイ素層は、空間的に選択的な酸化ケイ素成長のためのマスクとして使用される。適用後、これらの窒化ケイ素材料の全部または一部は、除去が必要な場合があり、それは一般的にエッチングによって行われる。
【0004】
エッチングによる窒化ケイ素の基板からの除去は、有利には、マイクロエレクトロニクスデバイスの他の露出または被覆された機構を損傷または破壊しない方法で行われる。多くの場合、窒化ケイ素を除去するプロセスは、マイクロエレクトロニクスデバイス基板の表面に同様に存在する他の材料、例えば二酸化ケイ素に対して、窒化ケイ素を優先的に除去する方法で行われる。種々の商業的な方法によれば、窒化ケイ素は、高温、例えば温度が150℃~180℃の範囲の浴中で、基板表面を濃リン酸(H3PO4)に曝露することを含むウェットエッチングプロセスによってマイクロエレクトロニクスデバイス表面から除去される。酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を選択的に除去するための従来のウェットエッチング技術では、リン酸(H3PO4)水溶液、通常約85重量パーセントのリン酸と15重量パーセントの水とが使用されてきた。新鮮な熱リン酸を使用すると、通常のSi3N4:SiO2の選択性は、約40:1であってもよい。
【0005】
さらなるデバイス構造体では、酸化ケイ素に加えて、ポリシリコンの露出面も存在していてもよく、水性リン酸法がポリシリコン表面の腐食を引き起こす傾向がある限りにおいて、所望の選択的な窒化ケイ素エッチングプロセスがさらに複雑になる。したがって、ポリシリコン表面の存在下で窒化ケイ素を優先的にエッチングするのに有用な組成物および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
要約すると、本発明は、窒化ケイ素(SiN)およびポリシリコンを含有するマイクロエレクトロニクスデバイスの表面をウェットエッチングするための組成物および方法に関する。任意選択で、他の材料、例えば、マイクロエレクトロニクスデバイスに有用な導電性材料、半導体性材料、もしくは絶縁材料、またはマイクロエレクトロニクスデバイスの調製に有用な加工材料が存在する。金属ケイ化物などの材料も存在し得るが、クラックまたはリソグラフィの位置合わせずれなどの欠陥がある場合を除いて、露出していないことが多い。本明細書に記載のエッチング組成物は、リン酸、いくつかのポリシリコン腐食防止剤、ならびにいくつかのシランを含む。一実施形態では、2種類の阻害剤の組合せにより、ポリシリコンの存在下での窒化ケイ素エッチング操作の選択性が大幅に改善されることが判明した。別の実施形態では、1種類の阻害剤といくつかのケイ素系添加剤の組合せによっても、窒化ケイ素エッチングは改善され、同時に適用時の組成物の濁りも軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】例示的な基板の描写であり、本発明の方法を実施した際のエッチング工程の前後を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、明らかに別段の意味を示さない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、用語「または(or)」は一般に、明らかに別段の意味を示さない限り、「および/または」を含めた意味で使用される。
【0009】
用語「約」は一般に、記載の値と同等と考えられる(例えば、同じ機能または結果を有する)数値の範囲を指す。多くの場合、用語「約」は、最も近い有効数字に四捨五入された数値を含み得る。
【0010】
端点を使用して表される数値の範囲には、その範囲内に包含される全ての数値が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5が含まれる)。
【0011】
一態様では、本発明は:組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;直鎖状および分枝状のC8~C16アルキルベンゼンスルホン酸とC6~C12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;ならびに式Si[フェニル-(-CH2-)x]n(OR)m[式中、nは1、2、または3であり、mは1、2、または3であり、nとmの合計は4であり、xは0、1、2または3であり、式中、各Rは独立してC1~C4アルキルから選択される]の化合物を含む組成物を提供する。
【0012】
一実施形態では、本発明は:組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;直鎖状および分枝状のC
8~C
16アルキルベンゼンスルホン酸とC
6~C
12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;式(I):
[式中、各Rは独立してC
1~C
4アルキルから選択される]
の化合物を含む組成物を提供する。
【0013】
一実施形態では、Rは式(I)においてメチルであり;すなわち、式(I)の化合物はフェニルトリメトキシシランである。
【0014】
別の態様では、本発明は:組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;直鎖状および分枝状のC8~C16アルキルベンゼンスルホン酸とC6~C12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;
i. N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
ii. N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
iii. N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール;
iv. N1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
v. N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン;
vi. (3-アミノプロピル)トリエトキシ-シラン;および
vii. (3-アミノプロピル)シラントリオール:から選択される化合物;ならびに
ケイ酸テトラメチルアンモニウムおよびオルトケイ酸テトラエチルから選択される化合物を含む組成物を提供する。
【0015】
一実施形態では、本態様の組成物は、4-(3-フェニルプロピル)ピリジンをさらに含む。
【0016】
本態様の一実施形態では、組成物は、(3-アミノプロピル)シラントリオール;ケイ酸テトラメチルアンモニウム;リン酸;4-(3-フェニルプロピル)ピリジン、ドデシルベンゼンスルホン酸;および4-オクチルベンゼンスルホン酸を含む。
【0017】
本発明の組成物は、ポリシリコンの存在下での窒化ケイ素の選択的なエッチング中にポリシリコン阻害剤として機能する少なくとも1つの化合物を利用する。この点に関して、我々は、ポリシリコン腐食防止というこの目的を果たし得る多くの化合物を特定し、そのうちのいくつかは界面活性剤として分類することができる。一般に、ポリシリコン腐食防止剤化合物は、直鎖状および分枝状の
C8~C16アルキルベンゼンスルホン酸とC6~C12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される。例には:
ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸(CAS No.147732-59-0)、
テトラプロピル-(スルホフェノキシ)-ベンゼンスルホン酸(CAS No.119345-03-8、別名スルホン化された(a)ベンゼン、1,1-オキシビス-、テトラプロピレン誘導体、スルホン化および(b)1,1’-オキシビスベンゼンテトラプロピレン誘導体、スルホン化)、
ドデシルベンゼンスルホン酸(CAS No.121-65-3)、および
4-オクチルベンゼンスルホン酸(CAS No.17012-98-5)
が含まれる。
【0018】
これらのポリシリコン腐食防止剤化合物を式Si[フェニル-(-CH2-)x]n(OR)mの化合物または式(I)の化合物と併用する場合、ポリシリコン表面の腐食の防止は、いずれかの成分を単独で利用することによって可能なことよりも強化することができる。したがって、本発明の組成物は、いくつかのマイクロエレクトロニクスデバイス上の窒化ケイ素膜の選択的なエッチングまたは除去におけるエッチング組成物として有用である。
【0019】
本明細書では、用語「マイクロエレクトロニクスデバイス」(または「マイクロエレクトロニクスデバイス基板」、または単に「基板」)は、エレクトロニクス、マイクロエレクトロニクス、および半導体製造技術分野におけるこの用語の一般に理解されている意味と一致する形で使用され、例えば、
様々な異なる種類の:半導体基板;集積回路;固体状態記憶装置;ハードメモリディスク;読み取り、書き込み、読み取り-書き込みヘッドおよびその機械部品または電子部品;フラットパネルディスプレイ;相変化メモリデバイス;ソーラーパネルおよび1つまたは複数の太陽電池デバイスを含む他の製品;光電池;ならびにマイクロエレクトロニクス、集積回路、エネルギー収集、またはコンピュータチップ用途で使用するために製造されたマイクロ電気機械システム(MEMS)のいずれかを指す。用語「マイクロエレクトロニクスデバイス」が、マイクロエレクトロニクスデバイスまたはマイクロエレクトロニクスアセンブリにおける最終的な電子的利用のための、機能的電子(通電)構造、機能的な半導体構造、および絶縁構造を含有するか、または含有するように調製されている任意の工程中のマイクロエレクトロニクスデバイスまたはマイクロエレクトロニクスデバイス基板を指し得ることを理解されたい。
【0020】
本明細書では、用語「窒化ケイ素」は、マイクロエレクトロニクスおよび半導体製造産業で使用される用語の意味と一致する意味を表す。それと一致して、窒化ケイ素は、工業的に有用な低レベルの他の材料または不純物、および潜在的にSi3N4の名目上の化学量論に近い変形形態を有する非晶質窒化ケイ素でできている薄膜を含む材料を指す。窒化ケイ素は、デバイスの機能性機構として、例えばバリア層または絶縁層として、マイクロエレクトロニクスデバイス基板の一部として存在していてもよく、またはマイクロエレクトロニクスデバイスを調製するための多段階製造方法を容易にする材料として機能するように存在していてもよい。
【0021】
本明細書では、用語「酸化ケイ素」は、マイクロエレクトロニクスおよび半導体製造産業で使用される用語の意味と一致する意味を表す。それと一致して、酸化ケイ素は、酸化ケイ素(SiOx)、例えば、SiO2、「熱酸化物」(ThOx)などでできている薄膜を指す。酸化ケイ素は、任意の方法によって、例えば、TEOSもしくは別の供給源から化学蒸着で堆積されることによって、または熱的に蒸着されることによって、基板上に配置することができる。酸化ケイ素は、有利には、工業的に有用な低レベルの他の材料または不純物を含有し得る。酸化ケイ素は、マイクロエレクトロニクスデバイスの機構として、例えば絶縁層としてマイクロエレクトロニクスデバイス基板の一部として存在していてもよい。
【0022】
本明細書では、「ポリシリコン」または多結晶Siまたはポリ-Siは、複数の小さなケイ素結晶からなる多結晶形態のケイ素であると当業者によって理解されている。これは、通常、低圧化学蒸着(LPCVD)を使用して堆積され、多くの場合、ドープされたn型ポリシリコンまたはp型ポリシリコンである。当業者には容易に理解されるように、ドーピングの程度は、低濃度ドープ(例えば、1013cm-3~1018cm-3の範囲)から高濃度ドープ(例えば、1018cm-3より多い)まで、様々に変わり得る。p型ドープ材料の例には、周期表のIIIA族のドーパント種、例えばホウ素、アルミニウム、ガリウムおよび/またはインジウムがドープされたポリシリコンが含まれる。n型ドープ材料は、例えば、周期表のIV族のドーパント種(ケイ素、ゲルマニウム、またはスズ)またはV族のドーパント種(リン、ヒ素、アンチモン、またはビスマス)がドープされたポリシリコンであり得る。
【0023】
いくつかのエッチング組成物の実施形態は:水性リン酸(例えば、濃リン酸および任意選択のある量の添加水);ポリシリコン腐食防止剤化合物;および窒化ケイ素のエッチング速度またはポリシリコンに対する窒化ケイ素の選択性を改善するのに有効な量の式Si(フェニル)n(OR)mの化合物または式(I)の化合物;および任意選択で窒化ケイ素の所望のエッチング(有用または有利なエッチング速度を含む)をもたらすのに有効な量のフッ化化合物および/または任意選択で溶解シリカを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる水溶液の形態の組成物を含む。これらおよび他の実施例の組成物は、列挙した原料および任意選択の原料を含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になり得る。本説明を通して一般的な慣例として、記載のエッチング組成物などの物質の組成物、またはその原料もしくは成分は、特定の原料または材料の群「から本質的になる」と言われており、特定の原料または材料を、少量または僅かな量以下の他の原料または材料、例えば、5、2、1、0.5、0.1、または0.05重量部以下の他の原料または材料と共に含有する組成物を指す。例えば:記載の水性リン酸;ポリシリコン腐食防止剤化合物;式Si(フェニル)n(OR)mの化合物または式(I)の化合物;および任意選択の原料から本質的になる材料を含有するエッチング組成物は、これらの原料と、5、2、1、0.5、0.1、または0.05重量部以下の、任意の他の溶解または不溶解の材料または複数の材料(単独または全体として)を特定の材料以外に含有するエッチング組成物を意味する。
【0024】
エッチング組成物は、窒化ケイ素の所望のエッチングをもたらすのに有効な量の水性リン酸(例えば、濃リン酸)を含む。用語「水性リン酸」は、エッチング組成物の他の原料と混合または組み合わせてエッチング組成物を形成するエッチング組成物の原料を指す。用語「リン酸固体」」は、水性リン酸原料の非水性成分、または水性リン酸原料から調製されるエッチング組成物の非水性成分を指す。
【0025】
エッチング組成物に含有されるリン酸固体の量は、エッチング組成物の他の材料と組み合わせて、所望の窒化ケイ素エッチング速度および選択性を含む所望のエッチング性能をもたらす量であってよく、これには通常、比較的高い量(濃度)のリン酸固体が必要である。例えば、エッチング組成は、エッチング組成物の全重量に基づいて少なくとも約50重量パーセント、例えば、エッチング組成物の全重量に基づいて少なくとも70、または少なくとも約80もしくは85重量パーセント量のリン酸固体を含有していてもよい。
【0026】
所望の量のリン酸固体を提供するために、組成物は、エッチング組成物をもたらすために他の原料(任意選択で水であり、何らかの形態の1つの原料)と混合または組み合わせる原料として「濃」リン酸を含有していてもよい。「濃」リン酸は、少量または最小量の水の存在下で多量または最大量のリン酸固体を含有し、他の原料(例えば、0.5または0.1重量パーセント未満の任意の非水または非リン酸固体材料)を実質的に含有しない水性リン酸原料を指す。濃リン酸は、通常、約15または20重量パーセントの水に少なくとも約80または85重量パーセントのリン酸固体を含んでいると考えることができる。あるいは、エッチング組成物は、水で希釈されたある量の濃リン酸または任意の方法で形成された等価物を含むと考えてもよく、例えばエッチング組成物の他の原料と組み合わせる前または後にある量の水で希釈された濃リン酸を意味する。別の選択肢として、エッチング組成物の原料は、濃リン酸または希リン酸であってよく、エッチング組成物は、異なる原料の成分または別個の水原料のいずれかとして、エッチング組成物に与えられる追加量の水を含有していてよい。
【0027】
例として、組成物を形成するために濃リン酸を使用する場合、濃リン酸の量(水中85重量パーセント)は、全重量エッチング組成物に基づいて、エッチング組成物の少なくとも60、例えば、少なくとも80または少なくとも90、93、95、もしくは少なくとも98重量パーセントの量であってよい。
【0028】
本明細書では、用語「フッ化化合物」は、窒化ケイ素のエッチング速度を増大させるために任意選択で添加されるいくつかのエッチング剤を指す。このような化合物には、HF、フッ化アンモニウム、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロケイ酸、B-FまたはSi-F結合を含有する他の化合物、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(TBA-BF4)、フッ化テトラアルキルアンモニウム(NR1R2R3R4F)、およびその組合せが含まれるが、それだけには限定されない。一実施形態では、フッ化化合物は、HF、フッ化アンモニウム、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロケイ酸、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、フッ化テトラ(C1~C6アルキル)アンモニウム、およびその組合せから選択される。
【0029】
本発明の組成物に含有される任意選択のフッ化化合物の量は、エッチング組成物の他の材料と組み合わせて、所望の窒化ケイ素のエッチング速度および選択性を含む所望のエッチング性能をもたらす量であってよい。例えば、エッチング組成物は、エッチング組成物の全重量に基づいて約5~10,000またはさらには最大50,000ppm(すなわち、0.0005~1またはさらには5重量パーセント)の範囲、例えばエッチング組成物の全重量に基づいて約20~2,000ppm(すなわち、0.002~0.2重量パーセント)のある量のフッ化物源化合物を含有していてよい。いくつかの実施形態では、組成物は、このようなフッ化化合物がない、または実質的にない。本明細書では「実質的にない」は、いくつかの実施形態において、2重量パーセント未満、1重量パーセント未満、0.5重量パーセント未満、または0.1重量パーセント未満と定義される。本明細書では「ない」は、いくつかの実施形態において、環境汚染を考慮して0.001重量パーセント未満に相当することが意図され、別の実施形態では、0.0重量パーセントに相当することが意図されている。
【0030】
任意選択で、本発明の組成物は、例えば、固体シリカ材料をリン酸に溶解することによって、または水性リン酸との反応によって溶解シリカを形成できる可溶型ケイ素含有化合物を添加することによって、リン酸に溶解したシリカ(「添加シリカ」)をある量さらに含むことができ、そのような化合物の例には(a)TMAS(ケイ酸テトラメチルアンモニウム)、(b)テトラアセトキシシラン、または(c)テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラアルコキシシランが含まれる。溶解シリカは、窒化ケイ素に対するエッチング組成物の選択性を改善するのに有効であり得る。その量は、エッチングプロセスの条件で前処理シリカの過飽和をもたらさない任意の有用な量、例えばエッチング組成物の全重量に基づいて約5~10,000ppmの溶解シリカまたは可溶型ケイ素含有化合物、あるいはエッチング組成物の全重量に基づいて約20~5,000、3,000、1,000、または500ppmであってもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、(a)アルキルアミノアルコキシシランおよび(b)アルキルアミノヒドロキシルシランから選択される少なくとも1つのシランをさらに含んでいてよく、ここでシランは、アルコキシおよびヒドロキシルから選択される少なくとも1つの部分を有する。一実施形態では、アルキルアミノアルコキシシランおよびアルキルアミノヒドロキシルシラン化合物は、
N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン(CAS番号35141-30-1);
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン(CAS No.5089-72-5);
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール(CAS No.1760-24-3);
N1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン(CAS No.35141-30-1);
N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン(CAS No.51895-58-0);
(3-アミノプロピル)トリエトキシ-シラン(CAS No.919-30-2)、別名「APTES」;および
(3-アミノプロピル)シラントリオール(CAS No.58160-99-9)、別名「APST」
から選択される。
【0032】
エッチング組成物は、1つまたは複数の供給源からの水を含有することができる。例えば、水は、水性リン酸原料中に存在することになる。その上、水は、組成物の1つまたは複数の他の原料の担体として使用されてもよく、水は、それ自体の原料として単独で添加されてもよい。水の量は、有用な(十分に高い)窒化ケイ素のエッチング速度を含む所望のまたは好ましいまたは有利な性能特性を組成物が示すように、十分に少なくするべきである。存在する水が増えると、窒化ケイ素のエッチング速度が増大する傾向があるが、組成物の沸点が低下する可能性もあり、それにより組成物の使用温度が低下し、逆効果になる。エッチング組成物において、全ての供給源からの水の量の例は、約50、40、または30重量パーセント未満であってよく、例えばエッチング組成物の全重量に基づいて約5重量パーセント~約25重量パーセントの範囲、またはエッチング組成物の全重量に基づいて約10~20重量パーセントの範囲の水であってよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、エッチング組成物に通常含まれない他の種類の原料、例えば、pH調整剤および研磨剤などの固体材料を必要とせず、除外してもよい。
【0034】
本発明の組成物は、記載のエッチング組成物を生成するのに有用な任意の方法によって調製することができる。1つの方法によって、水性または固体原料を任意選択で加熱して組み合わせ、混合して均一にすることができる。
【0035】
上記のように、記載の組成物は、マイクロエレクトロニクスデバイス基板の表面から窒化ケイ素を除去する方法に有用であり得る。基板は、マイクロエレクトロニクスデバイスに有用な他の材料、例えば、絶縁体、バリア層、導電材料、半導体性材料、またはマイクロエレクトロニクスデバイスの処理に有用な材料(例えば、とりわけフォトレジスト、マスク)のうちの1つまたは複数を含有していてよい。実施例の基板は、窒化ケイ素、熱酸化物(ThOx)およびPETEOS(プラズマ強化オルトケイ酸テトラエチルを使用して堆積された酸化物)ならびにポリシリコンを含む表面を有する。
【0036】
本発明の組成物は、使用の際、商業的性能の需要および期待に基づく有用なエッチング性能を提供でき、比較のエッチング組成物と比べて、ポリシリコンに対する窒化ケイ素のエッチング速度および選択性に関して改善された性能を提供することができる。
【0037】
したがって、別の態様では、本発明は、ポリシリコンを含む表面を含むマイクロエレクトロニクスデバイス基板上の窒化ケイ素表面をエッチングする方法であって:
組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;直鎖状および分枝状のC8~C16アルキルベンゼンスルホン酸とC6~C12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;ならびに式Si[フェニル-(-CH2-)x]n(OR)m[式中、nは1、2、または3であり、mは1、2、または3であり、nとmの合計は4であり、xは0、1、2または3であり、式中、各Rは独立してC1~C4アルキルから選択される]の化合物:を含む組成物を提供すること;窒化ケイ素を含む表面およびポリシリコンを含む表面を有する基板を提供し、窒化ケイ素をエッチングするのに有効な条件下で基板と組成物を接触させることを含む、方法を提供する。
【0038】
一実施形態では、本発明は、ポリシリコンを含む表面を含むマイクロエレクトロニクスデバイス基板上の窒化ケイ素表面をエッチングする方法であって:
組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;直鎖状および分枝状のC
8~C
16アルキルベンゼンスルホン酸とC
6~C
12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;ならびに式(I):
[式中、各Rは独立してC
1~C
4アルキルから選択される]の化合物を含む組成物を提供すること;
窒化ケイ素を含む表面およびポリシリコンを含む表面を有する基板を提供し、窒化ケイ素をエッチングするのに有効な条件下で基板と組成物を接触させることを含む、方法を提供する。
【0039】
別の態様では、本発明は、ポリシリコンを含む表面を含むマイクロエレクトロニクスデバイス基板上の窒化ケイ素表面をエッチングする方法であって:
組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;直鎖状および分枝状のC8~C16アルキルベンゼンスルホン酸とC6~C12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;
i. N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
i. N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
iii. N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール;
iv. N1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
v. N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン;
vi. (3-アミノプロピル)トリエトキシ-シラン;および
vii. (3-アミノプロピル)シラントリオールから選択される化合物;ならびに
ケイ酸テトラメチルアンモニウムおよびオルトケイ酸テトラエチルから選択される化合物;を含む組成物を提供すること;
窒化ケイ素を含む表面およびポリシリコンを含む表面を有する基板を提供し、窒化ケイ素をエッチングするのに有効な条件下で基板と組成物を接触させることを含む、方法を提供する。
【0040】
この窒化ケイ素エッチング処理は、マイクロエレクトロニクスデバイス基板の表面上の窒化ケイ素を少なくとも部分的に除去するのに効果的である。語句「少なくとも部分的に除去する」は、粒子の除去よりも前にデバイス上に存在する窒化ケイ素の少なくとも約85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも約99%の除去に相当する。
【0041】
この方法は、既知の市販の装置で行うことができる。一般に、基板をエッチングして基板の表面の材料を選択的に除去するために、エッチング組成物をその表面に適用し、表面構造体に接触させて、いくつかの構造体を化学的に選択的に除去することができる。
【0042】
組成物は酸化物を非常にゆっくりエッチングするように設計されているため、エッチングプロセスを阻害できる薄い酸化表面を窒化ケイ素膜が有する場合がある。そのような場合、希釈HFによる極めて短時間の処理が、有利な第1のプロセス工程であってよい。
【0043】
エッチング工程では、組成物は、任意の適当な方法、例えば、組成物を表面上に噴霧することによって;基板をエッチング組成物に(静的または動的体積の組成物において)浸漬することによって;エッチング組成物が吸収された別の材料、例えばパッドまたは繊維状吸収剤適用要素と表面を接触させることによって;基板を循環プール内のある量のエッチング組成物と接触させることによって;あるいは、エッチング組成物を、ケイ素-ゲルマニウムおよびケイ素を含有するマイクロエレクトロニクス基板の表面に除去接触させる任意の他の適当な手段、方法または技術によって、表面に適用することができる。適用は、動的または静的洗浄のためのバッチ式または枚葉式の装置で行うことができる。
【0044】
有用なエッチングプロセスの条件(例えば、時間および温度)は、有効または有利であることが判明している任意のものであってよい。一般に、窒化ケイ素を選択的に除去するのに十分な時間、例えばエッチング組成物の浴中に浸漬させることによって、エッチング組成物を表面と接触させる。エッチング組成物への曝露時間およびエッチング組成物の温度は、基板の表面から窒化ケイ素を所望量除去するのに有効であり得る。エッチング工程の時間は短すぎてはならず、なぜならそれは、窒化ケイ素のエッチング速度が高すぎる可能性があり、それによりプロセス制御が困難になり、エッチング工程の終了時のマイクロエレクトロニクスデバイスの品質が低下し得ることを意味するからである。当然ながら、エッチング工程に必要な時間は、エッチングプロセスおよび半導体製造ラインの良好な効率およびスループットを可能にするために、過度に長くないことが好ましい。エッチング工程に有用な時間の例は、約100℃~約180℃の範囲の温度で、約5分~約300分、または約10分~約60分の範囲であってもよい。このような接触時間および温度は例示的であり、必要とされる除去選択性を達成するのに効果的な任意の他の適当な時間および温度条件を使用してもよい。
【0045】
本明細書のエッチング工程は、任意の種類の基板の表面から、窒化ケイ素材料をエッチングするのに有用であり得る。特定の実施形態によれば、基板は、酸化ケイ素ならびにポリシリコン、導電性金属ケイ化物および酸化ジルコニウムまたは酸化アルミニウムなどの誘電体と窒化ケイ素層の交互の薄膜層を含む基板の構造的特徴として、窒化ケイ素の交互薄膜層を含むことができる。エッチング工程前の基板は、高アスペクト比の酸化ケイ素構造の間の開口部に配置された窒化ケイ素の交互層を含む。エッチング工程では、
図1の右側の基板に示されるように、開口部または「スリット」が酸化ケイ素層を分離する状態で、酸化ケイ素層を残すように窒化ケイ素が除去される。本明細書によれば、
図1に例示するようにエッチングプロセスを用いて、
図1に示す基板をエッチングすることができる。実施例のエッチングプロセスは、先行技術および同等のエッチング組成物およびエッチングプロセスと比較して、SiNエッチング速度を著しく増大させ、約150、または200、または300およびいくつかの実施形態では、少なくとも約2000を超える酸化ケイ素に対する良好な選択性を示し、かつ(スリット開口部を閉鎖またはほぼ閉鎖することによって証明される)多量のシリカの再堆積を回避することができる。
【0046】
窒化ケイ素の所望量の選択的エッチングが完了した後、エッチングされたマイクロエレクトロニクスデバイスの表面に残るエッチング組成物を、任意の所望の有用な方法、例えば、水(または任意選択でリン酸とそれに続く水)を使用して、すすぎ、洗浄、または他の除去工程によって、表面から除去することができる。例えば、エッチング後、マイクロエレクトロニクスデバイス基板を脱イオン水のリンス液ですすぎ(例えば約20~約90℃の範囲の温度で)、続いて例えばスピンドライ、N2、蒸気乾燥などの乾燥を行ってもよい。すすいだ後、基板表面は、表面に粒子が存在するか、かつその量について測定してもよい。
【0047】
本明細書に記載の組成物は、それぞれの原料を単に添加し、均一な状態まで混合することによって容易に調合することができる。さらに、組成物は、シングルパッケージ調合物または使用時もしくはその前に混合されるマルチパート調合物として容易に調合でき、マルチパート調合物が好ましい。マルチパート調合物の個々の部分は、ツールで、またはインラインミキサーなどの混合領域/区域において、またはツールの上流の貯蔵タンクで混合されてもよい。一緒に混合した時に所望の組成物を形成するマルチパート調合物の様々な部分が、原料/構成要素の任意の組合せを含有していてもよいことが企図される。それぞれの原料の濃度は、特定の複数の半水性組成物において大きく異なってもよく、すなわち、より希釈されていても、またはより濃縮していてもよく、半水性組成物は、本明細書の開示と一致する成分原料の任意の組合せを様々にかつ代替的に含むか、それからなるか、またはそれから本質的になることができることが理解されよう。
【0048】
したがって、第3の態様では、本発明は、1つまたは複数の容器に、本明細書に記載の組成物を形成するように適合された1つまたは複数の成分を含むキットを提供する。キットの容器は、前記半水性組成物成分を貯蔵および輸送するのに適していなければならず、例えば、NOWPak(登録商標)容器(Advanced Technology Materials,Inc.社、米国コネティカット州Danbury)がある。組成物の成分を含有する1つまたは複数の容器は、好ましくは、前記1つまたは複数の容器の中の成分を配合および分注するために流体連通させる手段を含む。例えば、NOWPak(登録商標)容器に関して、前記1つまたは複数の容器内のライナーの外側にガス圧を加えて、ライナーの内容物の少なくとも一部を吐出させることにより、配合および分注のために流体連通できるようにすることができる。あるいは、従来の加圧可能な容器のヘッドスペースにガス圧を加えてもよく、またはポンプを使用して流体連通を可能にしてもよい。加えて、このシステムは、好ましくは、配合された組成物をプロセスツールに分注するための分注ポートを含む。
【0049】
前記1つまたは複数の容器用のライナーを製造するために、高密度ポリエチレンなどの実質的に化学的に不活性で、不純物がない、可撓性および弾性ポリマーフィルム材料を使用することができる。望ましいライナー材料は、一般に、同時押出またはバリア層を必要とすることなく、かつライナーに配置される成分の純度要件に悪影響を及ぼす可能性のあるいかなる顔料、UV抑制剤、または加工剤も含まずに加工される。望ましいライナー材料を列挙すると、未使用(添加剤を含まない)ポリエチレン、未使用ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブチレンなどを含むフィルムが挙げられる。そのようなライナー材料の好ましい厚さは、約5ミル(0.005インチ)~約30ミル(0.030インチ)の範囲、例えば20ミル(0.020インチ)の厚さである。
【0050】
キット用の容器に関して、以下の特許および特許出願の開示は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる:「APPARATUS AND METHOD FOR MINIMIZING THE GENERATION OF PARTICLES IN ULTRAPURE LIQUIDS」と題された米国特許第7,188,644号明細書;および「RETURNABLE AND REUSABLE,BAG-IN-DRUM FLUID STORAGE AND DISPENSING CONTAINER SYSTEM」と題された米国特許第6,698,619号明細書。
【実施例】
【0051】
重量パーセントによる調合組成物
説明文:
3-APST = (3-アミノプロピル)トリメトキシシラン (CAS No. 58160-99-9)
DIW = 脱イオン水
TMAS = ケイ酸テトラメチルアンモニウム (CAS No. 53116-81-7)
PTMOS = フェニルトリメトキシシラン (CAS No. 2996-92-1)
DBA-40 = テトラプロピル-(スルホフェノキシ)-ベンゼンスルホン酸 (CAS No. 119345-03-8),
*高濃度リンドープポリシリコンエッチング速度
【0052】
実施例K
組成:
27.5重量パーセント(3-アミノプロピル)シラントリオール
18重量パーセントケイ酸テトラメチルアンモニウム
89%リン酸
0.5重量パーセント4-(3-フェニルプロピル)ピリジン
5重量パーセントのリン酸中0.5%ドデシルベンジルスルホン酸
0.15重量パーセント4-オクチルベンジルスルホン酸
エッチング速度結果:
SiNx 123.1(Å/分)
SiOx 0.23(Å/分)
*ドープされたポリシリコン 0.10(Å/分)
【0053】
高濃度リンドープポリシリコンをまず100:1HF溶液に60秒間曝露して表面酸化物を除去した。次にそれを選択的な窒化ケイ素調合物に160℃で30分間曝露し、熱脱イオン水ですすいだ。分光エリプソメトリーを使用して加工の前後にポリシリコンの厚さを測定した。
【0054】
これらの調合物は、160℃に達するために水を沸騰で除去する必要があった。あるいは、調合物はより少ない水を用いて製造することができる。
【0055】
実施例1~9
説明文: ◎ : ポリSiの高い抑制
0 : 良好
△ : 僅かに効果がある
DDBSA: ドデシルベンジルスルホン酸
OBSA: 4-オクチルベンジルスルホン酸
【0056】
ポリシリコンエッチング速度研究条件:160℃;SiNxおよびSiOx 1800秒;ポリSiは7000秒である。
【0057】
態様
第1の態様では、本発明は:
a. 組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;
b. 直鎖状および分枝状のC8~C16アルキルベンゼンスルホン酸とC6~C12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;ならびに
c. 式Si[フェニル-(-CH2-)x]n(OR)m[式中、nは1、2、または3であり、mは1、2、または3であり、nとmの合計は4であり、xは0、1、2または3であり、式中、各Rは独立してC1~C4アルキルから選択される]の化合物
を含む組成物を提供する。
【0058】
第2の態様では、本発明は、各Rがメチルである、第1の態様の組成物を提供する。
【0059】
第3の態様では、本発明は、nが1である、第1の態様の組成物を提供する。
【0060】
第4の態様では、本発明は、b.が
ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸;
テトラプロピル-(スルホフェノキシ)-ベンゼンスルホン酸;
ドデシルベンゼンスルホン酸;および
4-オクチルベンゼンスルホン酸
から選択される、第1の態様の組成物を提供する。
【0061】
第5の態様では、本発明は、添加シリカをさらに含む、第1から第4の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0062】
第6の態様では、本発明は、(a)アルキルアミノアルコキシシランおよび(b)アルキルアミノヒドロキシルシランから選択される少なくとも1つのシランをさらに含み、そのシランがアルコキシおよびヒドロキシルから選択される少なくとも1つの部分を有する、第1から第4の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0063】
第7の態様では、本発明は、
N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール;
N1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン;
(3-アミノプロピル)トリエトキシ-シラン;および
(3-アミノプロピル)シラントリオール
から選択される化合物をさらに含む、第1から第4の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0064】
第8の態様では、本発明は、ケイ酸テトラメチルアンモニウムおよび(3-アミノプロピル)シラントリオールをさらに含む、第1から第4の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0065】
第9の態様では、本発明は、ケイ酸テトラメチルアンモニウムをさらに含む、第1から第4の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0066】
第10の態様では、本発明は:
a. 組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;
b. 直鎖状および分枝状のC
8~C
16アルキルベンゼンスルホン酸とC
6~C
12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;ならびに
c. 式
[式中、各Rは独立してC
1~C
4アルキルから選択される]の化合物
を含む組成物を提供する。
【0067】
第11の態様では、本発明は、各Rがメチルである、第10の態様の組成物を提供する。
【0068】
第12の態様では、本発明は、b.が
ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸;
テトラプロピル-(スルホフェノキシ)-ベンゼンスルホン酸;
ドデシルベンゼンスルホン酸;および
4-オクチルベンゼンスルホン酸
から選択される、第10または第11の態様の組成物を提供する。
【0069】
第13の態様では、本発明は、
N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール;
N1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン;
(3-アミノプロピル)トリエトキシ-シラン;および
(3-アミノプロピル)シラントリオール
から選択される化合物をさらに含む、第10、第11または第12の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0070】
第14の態様では、本発明は、ケイ酸テトラメチルアンモニウムおよび(3-アミノプロピル)シラントリオールをさらに含む、第10、第11または第12の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0071】
第15の態様では、本発明は、ポリシリコンを含む表面を含むマイクロエレクトロニクスデバイス基板上の窒化ケイ素表面をエッチングする方法であって:
a. 組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;
b. 直鎖状および分枝状のC8~C16アルキルベンゼンスルホン酸とC6~C12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;ならびに
c. 式Si[フェニル-(-CH2-)x]n(OR)m[式中、nは1、2、または3であり、mは1、2、または3であり、nとmの合計は4であり、xは0、1、2または3であり、式中、各Rは独立してC1~C4アルキルから選択される]の化合物:
を含む組成物を提供すること;
窒化ケイ素を含む表面およびポリシリコンを含む表面を有する基板を提供し、窒化ケイ素をエッチングするのに有効な条件下で基板と組成物を接触させることを含む、方法を提供する。
【0072】
第16の態様では、本発明は、Rがメチルである、第15の態様の方法を提供する。
【0073】
第17の態様では、本発明は、b.が
ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸;
ドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸;
ドデシルベンゼンスルホン酸;および
4-オクチルベンゼンスルホン酸
から選択される、第15または第16の態様の方法を提供する。
【0074】
第18の態様では、本発明は、c.が式
[式中、各RはC
1~C
4アルキルから選択される]の化合物である、第15、第16または第17の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0075】
第19の態様では、本発明は、各Rがメチルである、第15から第18の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0076】
第20の態様では、本発明は、b.が
ヘキシルジフェニルオキシドジスルホン酸;
テトラプロピル-(スルホフェノキシ)-ベンゼンスルホン酸;
ドデシルベンゼンスルホン酸;および
4-オクチルベンゼンスルホン酸
から選択される、第15から第19の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0077】
第21の態様では、本発明は、(a)アルキルアミノアルコキシシランおよび(b)アルキルアミノヒドロキシルシランから選択される少なくとも1つのシランをさらに含み、そのシランがアルコキシおよびヒドロキシルから選択される少なくとも1つの部分を有する、第15から第20の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0078】
第22の態様では、本発明は、
N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール;
N1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン;
(3-アミノプロピル)トリエトキシ-シラン;および
(3-アミノプロピル)シラントリオール
から選択される化合物をさらに含む、第15から第20の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0079】
第23の態様では、本発明は、添加シリカをさらに含む、第15から第20の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0080】
第24の態様では、本発明は、ケイ酸テトラメチルアンモニウムおよび(3-アミノプロピル)シラントリオールをさらに含む、第15の態様の方法を提供する。
【0081】
第25の態様では、本発明は、ケイ酸テトラメチルアンモニウムをさらに含む、第15の態様の方法を提供する。
【0082】
第26の態様では、本発明は:
a. 組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;
b. 直鎖状および分枝状のC8~C16アルキルベンゼンスルホン酸とC6~C12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;
c.
i. N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
ii. N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
iii. N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール;
iv. N1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
v. N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン;
vi. (3-アミノプロピル)トリエトキシ-シラン;および
vii. (3-アミノプロピル)シラントリオール:から選択される化合物;ならびに
d. ケイ酸テトラメチルアンモニウムおよびオルトケイ酸テトラエチルから選択される化合物
を含む組成物を提供する。
【0083】
第27の態様では、本発明は、e.4-(3-フェニルプロピル)ピリジンをさらに含む、第26の態様の組成物を提供する。
【0084】
第28の態様では、本発明は、(3-アミノプロピル)シラントリオール;ケイ酸テトラメチルアンモニウム、リン酸、4-(3-フェニルプロピル)ピリジン、ドデシルベンゼンスルホン酸(dodecylbenzenlsulfonic acid)、および4-オクチルベンゼンスルホン酸を含む、第26の態様の組成物を提供する。
【0085】
第29の態様では、本発明は、ポリシリコンを含む表面を含むマイクロエレクトロニクスデバイス基板上の窒化ケイ素表面をエッチングする方法であって:
a. 組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;
b. 直鎖状および分枝状のC8~C16アルキルベンゼンスルホン酸とC6~C12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;
c.
i. N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
ii. N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
iii. N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール;
iv. N1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
v. N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン;
vi. (3-アミノプロピル)トリエトキシ-シラン;および
vii. (3-アミノプロピル)シラントリオールから選択される化合物;ならびに
d. ケイ酸テトラメチルアンモニウムおよびオルトケイ酸テトラエチルから選択される化合物
を含む組成物を提供することを含む、方法を提供する。
【0086】
第30の態様では、本発明は、組成物が4-(3-フェニルプロピル)ピリジンをさらに含む、第29の態様の方法を提供する。
【0087】
第31の態様では、本発明は、ポリシリコンを含む表面を含むマイクロエレクトロニクスデバイス基板上の窒化ケイ素表面をエッチングする方法であって:
(3-アミノプロピル)シラントリオール;
ケイ酸テトラメチルアンモニウム;
リン酸;
4-(3-フェニルプロピル)ピリジン;
ドデシルベンゼンスルホン酸;および
4-オクチルベンゼンスルホン酸:
を含む組成物を提供すること;
窒化ケイ素を含む表面およびポリシリコンを含む表面を有する基板を提供し、窒化ケイ素をエッチングするのに有効な条件下で基板と組成物を接触させることを含む、方法を提供する。
【0088】
第32の態様では、本発明は、1つまたは複数の容器に、第1から第14の態様または第26もしくは第28の態様のいずれか1つに記載された、1つまたは複数の成分a.、b.、c.、d.、および/またはe.を含むキットを提供する。
【0089】
このように本開示のいくつかの例示的な実施形態を記述してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲内においてさらに他の実施形態を作製および使用可能であることは、容易に理解されるであろう。この文書で扱う本開示の多くの利点は、前述の説明に記載されている。しかしながら、本開示は、多くの点で、例示に過ぎないことを理解されたい。本開示の範囲は、当然ながら、添付の特許請求の範囲に表される文言において定義される。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;直鎖状および分枝状のC
8~C
16アルキルベンゼンスルホン酸とC
6~C
12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;ならびに式Si[フェニル-(-CH
2-)
x]
n(OR)
m[式中、nは1、2、または3であり、mは1、2、または3であり、nとmの合計は4であり、xは0、1、2または3であり、式中、各Rは独立してC
1~C
4アルキルから選択される]の化合物を含む組成物。
【請求項2】
(a)アルキルアミノアルコキシシランおよび(b)アルキルアミノヒドロキシルシランから選択される少なくとも1つのシランをさらに含み、そのシランがアルコキシおよびヒドロキシルから選択される少なくとも1つの部分を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;直鎖状および分枝状のC
8~C
16アルキルベンゼンスルホン酸とC
6~C
12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;ならびに式
[式中、各Rは独立してC
1~C
4アルキルから選択される]の化合物を含む組成物。
【請求項4】
N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン;
N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール;
N
1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン;
N-(6-アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン;
(3-アミノプロピル)トリエトキシ-シラン;および
(3-アミノプロピル)シラントリオール
から選択される化合物をさらに含む、請求項
1または3に記載の組成物。
【請求項5】
ポリシリコンを含む表面を含むマイクロエレクトロニクスデバイス基板上の窒化ケイ素表面をエッチングする方法であって:
組成物の全重量に対して少なくとも60重量パーセントの量の濃リン酸;直鎖状および分枝状のC
8~C
16アルキルベンゼンスルホン酸とC
6~C
12アルキルジフェニルオキシドジスルホン酸から選択される化合物;ならびに式Si[フェニル-(-CH
2-)
x]
n(OR)
m[式中、nは1、2、または3であり、mは1、2、または3であり、nとmの合計は4であり、xは0、1、2または3であり、式中、各Rは独立してC
1~C
4アルキルから選択される]の化合物を含む組成物を提供すること;窒化ケイ素を含む表面およびポリシリコンを含む表面を有する基板を提供し、窒化ケイ素をエッチングするのに有効な条件下で基板と組成物を接触させること
を含む、方法。
【国際調査報告】