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特表2024-520592プラズマを生成するためのコイル手段及び半導体プロセス装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】プラズマを生成するためのコイル手段及び半導体プロセス装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
H05H1/46 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574146
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2022104110
(87)【国際公開番号】W WO2023280202
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202110776469.4
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510182294
【氏名又は名称】北京北方華創微電子装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING NAURA MICROELECTRONICS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.8 Wenchang Avenue Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュ ジンジー
(72)【発明者】
【氏名】マオ シンフェイ
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084BB02
2G084BB05
2G084BB23
2G084CC13
2G084DD03
2G084DD25
2G084DD38
2G084DD55
2G084FF32
(57)【要約】
本発明は半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル手段及び半導体プロセス装置を提供し、該手段は、コイル構造と、コイル構造を固定して冷却するための固定冷却アセンブリとを備え、固定冷却アセンブリは絶縁材料で作製された固定本体を備え、固定本体に冷却空間が形成され、コイル構造は冷却空間に固設され、固定本体に冷却空間に連通する給気口と排気口が設けられ、給気口は冷却ガスを冷却空間に輸送することに用いられ、排気口は冷却空間における冷却ガスを排出することに用いられ、冷却空間には、冷却空間におけるガスの流れ方向を変更するためのスポイラー構造がさらに設けられ、冷却空間におけるガス分布均一性を向上させる。本発明に係る上記コイル手段及び半導体プロセス装置は、コイルに対する冷却効率及び冷却均一性を向上させ、コイルの酸化速度を低下させ、それによりコイルの耐用年数を延長することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル手段であって、コイル構造と、前記コイル構造を固定して冷却するための固定冷却アセンブリとを備え、
前記固定冷却アセンブリは絶縁材料で作製された固定本体を備え、前記固定本体に冷却空間が形成され、前記コイル構造は前記冷却空間に固設され、前記固定本体に前記冷却空間に連通する給気口と排気口が設けられ、前記給気口は冷却ガスを前記冷却空間に輸送することに用いられ、前記排気口は前記冷却空間における冷却ガスを排出することに用いられ、
前記冷却空間には、前記冷却空間におけるガスの流れ方向を変更するためのスポイラー構造がさらに設けられ、前記冷却空間におけるガス分布均一性を向上させる、ことを特徴とする半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル手段。
【請求項2】
前記固定本体は、前記冷却空間を構成する第1固定リング、第2固定リング、第1接続リング及び第2接続リングを備え、前記第1固定リングと前記第2固定リングは対向して設けられ、前記第1接続リングは、前記第1固定リングと前記第2固定リングとの間に接続され、前記第2接続リングは、前記第1固定リングの軸方向に沿って前記第1固定リング及び前記第2固定リングを貫通し、前記第1接続リングは前記第2接続リングの周囲に間隔を空けて周設され、
前記コイル構造は前記第1接続リングと前記第2接続リングとの間に周設され、
前記給気口と排気口は前記第1接続リングに設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のコイル手段。
【請求項3】
前記スポイラー構造は第1スポイラー部材及び第2スポイラー部材を備え、前記第1スポイラー部材は、前記給気口に近い位置に設けられ、前記第1スポイラー部材を流れる冷却ガスの一部を前記冷却空間の周辺領域に向かって流動させることに用いられ、
前記第2スポイラー部材は前記排気口に近い位置に設けられ、前記第2スポイラー部材を流れる冷却ガスの一部を前記冷却空間の中央領域に向かって流動させることに用いられる、ことを特徴とする請求項2に記載のコイル手段。
【請求項4】
前記排気口は1つであり、前記給気口は2つであり、かつ前記排気口の軸方向の両側に対称的に設けられ、
前記第1スポイラー部材は2つの第1円弧状棒を備え、2つの前記第1円弧状棒は、いずれも前記第1接続リングの周方向に沿って延在し、互いに間隔を空けて設けられ、2つの前記第1円弧状棒はそれぞれ2つの前記給気口に対向し、各前記第1円弧状棒の両端は対向する前記給気口の軸方向の両側に位置する、ことを特徴とする請求項3に記載のコイル手段。
【請求項5】
前記第2スポイラー部材は2つの第2円弧状棒を備え、2つの前記第2円弧状棒は、いずれも前記第1接続リングの周方向に沿って延在し、互いに間隔を空けて設けられ、2つの前記第2円弧状棒はそれぞれ前記排気口の軸方向の両側に位置する、ことを特徴とする請求項4に記載のコイル手段。
【請求項6】
前記第1円弧状棒と前記第2円弧状棒は同心に設けられて、前記第1接続リングの周方向の異なる位置に分布し、前記第2円弧状棒の径方向の厚さは前記第1円弧状棒の径方向の厚さより大きい、ことを特徴とする請求項5に記載のコイル手段。
【請求項7】
前記コイル構造は、少なくとも1群のコイル群を備え、前記コイル群は同軸に設けられた第1サブコイル群及び第2サブコイル群を備え、前記第1サブコイル群は第1平面内に位置する少なくとも1つの第1平面コイルを備え、前記第2サブコイル群は前記第1平面に平行な第2平面内に位置する少なくとも1つの第2平面コイルを備え、前記第1平面コイルは前記第2平面コイルに直列接続され、前記第2平面コイルの前記第1平面における正投影は前記第1平面コイルと鏡像対称又は鏡像非対称であり、
前記第1平面コイルと前記第2平面コイルは、前記第1固定リングと第2固定リングにそれぞれ固定される、ことを特徴とする請求項2に記載のコイル手段。
【請求項8】
前記第1サブコイル群は、複数の前記第1平面コイルを備え、複数の前記第1平面コイルは、形状が同じであって互いに間隔を空けて設けられ、複数の前記第1平面コイルの第1端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、複数の前記第1平面コイルの第2端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、
前記第2サブコイル群は、複数の前記第2平面コイルを備え、複数の前記第2平面コイルは、形状が同じであって互いに間隔を空けて設けられ、複数の前記第2平面コイルの第1端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、複数の前記第2平面コイルの第2端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、
複数の前記第1平面コイルと複数の前記第2平面コイルとは1対1で対応し、複数の前記第1平面コイルの第1端は並列接続され、複数の前記第2平面コイルの第1端は並列接続され、複数の前記第1平面コイルの第2端はそれぞれ複数の前記第2平面コイルの第2端に直列接続される、ことを特徴とする請求項7に記載のコイル手段。
【請求項9】
前記第1平面コイルはN個であり、Nは2以上の偶数であり、N個の前記第1平面コイルは前記コイル群の円周方向にN/2対の第1コイル対に分けられ、各対の前記第1コイル対はいずれも2つの隣接する前記第1平面コイルを備え、2つの隣接する前記第1平面コイルの第1端の間に両者を並列接続するための第1延長セグメントが接続され、前記N/2対の第1コイル対における前記第1延長セグメント同士は並列接続され、
前記第2平面コイルはN個であり、N個の前記第2平面コイルは前記コイル群の円周方向にN/2対の第2コイル対に分けられ、各対の前記第2コイル対はいずれも2つの隣接する前記第2平面コイルを備え、2つの隣接する前記第2平面コイルの第1端の間に両者を並列接続するための第2延長セグメントが接続され、前記N/2対の第2コイル対における前記第2延長セグメント同士は並列接続される、ことを特徴とする請求項8に記載のコイル手段。
【請求項10】
前記コイル手段は、接続構造をさらに備え、前記接続構造は第1接続アセンブリ及び第2接続アセンブリを備え、前記第1接続アセンブリは前記第1サブコイル群における複数の前記第1平面コイルの第1端に電気的に接続され、前記第2接続アセンブリは前記第2サブコイル群における複数の前記第2平面コイルの第1端を電気的に接続することに用いられ、
前記第1接続アセンブリと前記第2接続アセンブリのうちの一方はRF源の入力端に電気的に接続することに用いられ、前記第1接続アセンブリと前記第2接続アセンブリのうちの他方は前記RF源の出力端に電気的に接続することに用いられる、ことを特徴とする請求項9に記載のコイル手段。
【請求項11】
前記第1接続アセンブリはN/2個の第1接続棒及び第1並列接続用部材を備え、前記N/2個の第1接続棒の一端はそれぞれ前記N/2対の第1コイル対における前記第1延長セグメントに電気的に接続され、前記N/2個の第1接続棒の他端は前記第1固定リングを貫通し、前記第1固定リングの前記冷却空間から離れる側に位置する前記第1並列接続用部材に着脱可能に電気的に接続され、
前記第2接続アセンブリはN/2個の第2接続棒及び第2並列接続用部材を備え、前記N/2個の第2接続棒の一端はそれぞれ前記N/2対の第2コイル対における前記第2延長セグメントに電気的に接続され、前記N/2個の第2接続棒の他端は前記第1固定リングを貫通し、前記第1固定リングの前記冷却空間から離れる一側に位置する前記第2並列接続用部材に着脱可能に電気的に接続され、
前記第1並列接続用部材と前記第2並列接続用部材のうちの一方は前記RF源の入力端に電気的に接続することに用いられ、前記第1並列接続用部材と前記第2並列接続用部材のうちの他方は前記RF源の出力端に電気的に接続することに用いられる、ことを特徴とする請求項10に記載のコイル手段。
【請求項12】
前記第1並列接続用部材及び前記第2並列接続用部材はいずれもN/2個の棒状分岐部を備え、前記N/2個の棒状分岐部の第1端は前記冷却空間の中央位置に近い箇所に接続され、互いに電気的に導通し、前記N/2個の棒状分岐部の第2端はそれぞれの前記第1端に対して前記冷却空間の異なる径方向に沿って延在し、前記第1並列接続用部材におけるN/2個の棒状分岐部の第2端は前記N/2個の第1接続棒の他端に着脱可能に電気的に接続され、前記第2並列接続用部材におけるN/2個の棒状分岐部の第2端は前記N/2個の第2接続棒の他端に着脱可能に電気的に接続される、ことを特徴とする請求項11に記載のコイル手段。
【請求項13】
各前記第1平面コイルの第2端とそれに対応する前記第2平面コイルの第2端との間に両者を直列接続するための接続セグメントが接続され、前記接続セグメントの延在方向は前記コイル群の軸線と互いに平行である、ことを特徴とする請求項8に記載のコイル手段。
【請求項14】
前記第1固定リングの前記冷却空間に隣接する面に第1コイル溝が設けられ、前記第1コイル溝は、その前記第1平面における正投影が少なくとも1つの前記第1平面コイルに適合し、前記第1平面コイルの少なくとも一部を収容することに用いられ、前記第2固定リングの前記冷却空間に隣接する面に第2コイル溝が設けられ、前記第2コイル溝は、その前記第2平面における正投影が少なくとも1つの前記第2平面コイルに適合し、前記第2平面コイルの少なくとも一部を収容することに用いられる、ことを特徴とする請求項7~13のいずれか1項に記載のコイル手段。
【請求項15】
前記コイル群は2つであり、2群の前記コイル群は、サイズが異なって互いに嵌め込まれ、前記スポイラー構造は2群の前記コイル群の間に設けられる、ことを特徴とする請求項7~13のいずれか1項に記載のコイル手段。
【請求項16】
前記絶縁材料はセラミックスを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のコイル手段。
【請求項17】
前記冷却ガスは圧縮空気を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のコイル手段。
【請求項18】
半導体プロセス装置であって、
RF源、反応チャンバ、請求項1~17のいずれか1項に記載のコイル手段、給気手段及び抽気手段を備え、前記反応チャンバの頂部に誘電体窓が設けられ、前記コイル手段は前記誘電体窓の上方に設けられ、前記RF源はRF電力を前記コイル構造に供給することに用いられ、前記給気手段は前記冷却ガスを前記給気口に供給することに用いられ、前記抽気手段は、前記冷却空間内の冷却ガスを排出することを特徴とする半導体プロセス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の製造分野に関し、具体的には、半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル手段及び半導体プロセス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導結合プラズマ(Inductive Coupled Plasma、ICP)源は半導体分野においてドライエッチング及び薄膜堆積を行うときに一般的に用いられるプラズマ源である。ICP源は、高周波電流がコイルを介して生成された高周波電磁界によってガスを励起してプラズマを生成し、比較的低いチャンバ圧力で動作することができ、プラズマの密度が高く、ワークに対する損傷が小さい等の特徴を有する。
【0003】
従来のコイルの本体は一般的に金属銅で作製され、金属銅の外部に金、銀等のめっき層がめっきされ、それは良好な導電性を有し、100℃の温度条件で長期間動作することができる。しかしながら、コイルを固定するための従来のコイルホルダは、図1に示すように、絶縁板11を備え、該絶縁板11は、ネジ12を介してコイル13に固定接続される。従来のコイルホルダ(即ち、絶縁板11)は一般的に樹脂材料を用いて作製され、熱伝導性及び耐温性が悪いため、コイルから発生した熱がタイムリーに放出されず、それによりコイルの酸化を引き起こし、その導電性に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、少なくとも従来技術に存在する技術的課題の1つを解決することを目的とし、半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル手段及び半導体プロセス装置を提供し、それはコイルに対する冷却効率及び冷却均一性を向上させ、コイルの酸化速度を低下させ、それによりコイルの耐用年数を延長することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的を達成するために、半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル手段を提供し、コイル構造と、前記コイル構造を固定して冷却するための固定冷却アセンブリとを備え、
前記固定冷却アセンブリは絶縁材料で作製された固定本体を備え、前記固定本体に冷却空間が形成され、前記コイル構造は前記冷却空間に固設され、前記固定本体に前記冷却空間に連通する給気口と排気口が設けられ、前記給気口は冷却ガスを前記冷却空間に輸送することに用いられ、前記排気口は前記冷却空間における冷却ガスを排出することに用いられ、
前記冷却空間には、前記冷却空間におけるガスの流れ方向を変更するためのスポイラー構造がさらに設けられ、前記冷却空間におけるガス分布均一性を向上させる。
【0006】
任意選択的に、前記固定本体は、前記冷却空間を構成する第1固定リング、第2固定リング、第1接続リング及び第2接続リングを備え、前記第1固定リングと前記第2固定リングは対向して設けられ、前記第1接続リングは、前記第1固定リングと前記第2固定リングとの間に接続され、前記第2接続リングは、前記第1固定リングの軸方向に沿って前記第1固定リング及び前記第2固定リングを貫通し、前記第1接続リングは前記第2接続リングの周囲に間隔を空けて周設され、
前記コイル構造は前記第1接続リングと前記第2接続リングとの間に周設され、
前記給気口と排気口は前記第1接続リングに設けられる。
【0007】
任意選択的に、前記スポイラー構造は第1スポイラー部材及び第2スポイラー部材を備え、前記第1スポイラー部材は、前記給気口に近い位置に設けられ、前記第1スポイラー部材を流れる冷却ガスの一部を前記冷却空間の周辺領域に向かって流動させることに用いられ、
前記第2スポイラー部材は前記排気口に近い位置に設けられ、前記第2スポイラー部材を流れる冷却ガスの一部を前記冷却空間の中央領域に向かって流動させることに用いられる。
【0008】
任意選択的に、前記排気口は1つであり、前記給気口は2つであり、かつ前記排気口の軸方向の両側に対称的に設けられ、
前記第1スポイラー部材は2つの第1円弧状棒を備え、2つの前記第1円弧状棒は、いずれも前記第1接続リングの周方向に沿って延在し、互いに間隔を空けて設けられ、2つの前記第1円弧状棒はそれぞれ2つの前記給気口に対向し、各前記第1円弧状棒の両端は対向する前記給気口の軸方向の両側に位置する。
【0009】
任意選択的に、前記第2スポイラーは2つの第2円弧状棒を備え、2つの前記第2円弧状棒は、いずれも前記第1接続リングの周方向に沿って延在し、互いに間隔を空けて設けられ、2つの前記第2円弧状棒はそれぞれ前記排気口の軸方向の両側に位置する。
【0010】
任意選択的に、前記第1円弧状棒と前記第2円弧状棒は同心に設けられて、前記第1接続リングの周方向の異なる位置に分布し、前記第2円弧状棒の径方向の厚さは前記第1円弧状棒の径方向の厚さより大きい。
【0011】
任意選択的に、前記コイル構造は、少なくとも1群のコイル群を備え、前記コイル群は同軸に設けられた第1サブコイル群及び第2サブコイル群を備え、前記第1サブコイル群は第1平面内に位置する少なくとも1つの第1平面コイルを備え、前記第2サブコイル群は前記第1平面に平行な第2平面内に位置する少なくとも1つの第2平面コイルを備え、前記第1平面コイルは前記第2平面コイルに直列接続され、前記第2平面コイルの前記第1平面における正投影は前記第1平面コイルと鏡像対称又は鏡像非対称であり、
前記第1平面コイルと前記第2平面コイルは、前記第1固定リングと第2固定リングにそれぞれ固定される。
【0012】
任意選択的に、前記第1サブコイル群は、複数の前記第1平面コイルを備え、複数の前記第1平面コイルは、形状が同じであって互いに間隔を空けて設けられ、複数の前記第1平面コイルの第1端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、複数の前記第1平面コイルの第2端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、
前記第2サブコイル群は、複数の前記第2平面コイルを備え、複数の前記第2平面コイルは、形状が同じであって互いに間隔を空けて設けられ、複数の前記第2平面コイルの第1端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、複数の前記第2平面コイルの第2端は前記コイル群の円周方向に沿って均等に分布し、
複数の前記第1平面コイルと複数の前記第2平面コイルとは1対1で対応し、複数の前記第1平面コイルの第1端は並列接続され、複数の前記第2平面コイルの第1端は並列接続され、複数の前記第1平面コイルの第2端はそれぞれ複数の前記第2平面コイルの第2端に直列接続される。
【0013】
任意選択的に、前記第1平面コイルはN個であり、Nは2以上の偶数であり、N個の前記第1平面コイルは前記コイル群の円周方向にN/2対の第1コイル対に分けられ、各対の前記第1コイル対はいずれも2つの隣接する前記第1平面コイルを備え、2つの隣接する前記第1平面コイルの第1端の間に両者を並列接続するための第1延長セグメントが接続され、前記N/2対の第1コイル対における前記第1延長セグメント同士は並列接続され、
前記第2平面コイルはN個であり、N個の前記第2平面コイルは前記コイル群の円周方向にN/2対の第2コイル対に分けられ、各対の前記第2コイル対はいずれも2つの隣接する前記第2平面コイルを備え、2つの隣接する前記第2平面コイルの第1端の間に両者を並列接続するための第2延長セグメントが接続され、前記N/2対の第2コイル対における前記第2延長セグメント同士は並列接続される。
【0014】
任意選択的に、前記コイル手段は、接続構造をさらに備え、前記接続構造は第1接続アセンブリ及び第2接続アセンブリを備え、前記第1接続アセンブリは前記第1サブコイル群における複数の前記第1平面コイルの第1端に電気的に接続され、前記第2接続アセンブリは前記第2サブコイル群における複数の前記第2平面コイルの第1端を電気的に接続することに用いられ、
前記第1接続アセンブリと前記第2接続アセンブリのうちの一方は前記RF源の入力端に電気的に接続することに用いられ、前記第1接続アセンブリと前記第2接続アセンブリのうちの他方は前記RF源の出力端に電気的に接続することに用いられる。
【0015】
任意選択的に、前記第1接続アセンブリはN/2個の第1接続棒及び第1並列接続用部材を備え、前記N/2個の第1接続棒の一端はそれぞれ前記N/2対の第1コイル対における前記第1延長セグメントに電気的に接続され、前記N/2個の第1接続棒の他端は前記第1固定リングを貫通し、前記第1固定リングの前記冷却空間から離れる側に位置する前記第1並列接続用部材に着脱可能に電気的に接続され、
前記第2接続アセンブリはN/2個の第2接続棒及び第2並列接続用部材を備え、前記N/2個の第2接続棒の一端はそれぞれ前記N/2対の第2コイル対における前記第2延長セグメントに電気的に接続され、前記N/2個の第2接続棒の他端は前記第1固定リングを貫通し、前記第1固定リングの前記冷却空間から離れる一側に位置する前記第2並列接続用部材に着脱可能に電気的に接続され、
前記第1並列接続用部材と前記第2並列接続用部材のうちの一方は前記RF源の入力端に電気的に接続することに用いられ、前記第1並列接続用部材と前記第2並列接続用部材のうちの他方は前記RF源の出力端に電気的に接続することに用いられる。
【0016】
任意選択的に、前記第1並列接続用部材及び前記第2並列接続用部材はいずれもN/2個の棒状分岐部を備え、前記N/2個の棒状分岐部の第1端は前記冷却空間の中央位置に近い箇所に接続され、互いに電気的に導通し、前記N/2個の棒状分岐部の第2端はそれぞれの前記第1端に対して前記冷却空間の異なる径方向に沿って延在し、前記第1並列接続用部材におけるN/2個の棒状分岐部の第2端は前記N/2個の第1接続棒の他端に着脱可能に電気的に接続され、前記第2並列接続用部材におけるN/2個の棒状分岐部の第2端は前記N/2個の第2接続棒の他端に着脱可能に電気的に接続される。
【0017】
任意選択的に、各前記第1平面コイルの第2端とそれに対応する前記第2平面コイルの第2端との間に両者を直列接続するための接続セグメントが接続され、前記接続セグメントの延在方向は前記コイル群の軸線と互いに平行である。
【0018】
任意選択的に、前記第1固定リングの前記冷却空間に隣接する面に第1コイル溝が設けられ、前記第1コイル溝は、その前記第1平面における正投影が少なくとも1つの前記第1平面コイルに適合し、前記第1平面コイルの少なくとも一部を収容することに用いられ、前記第2固定リングの前記冷却空間に隣接する面に第2コイル溝が設けられ、前記第2コイル溝は、その前記第2平面における正投影が少なくとも1つの前記第2平面コイルに適合し、前記第2平面コイルの少なくとも一部を収容することに用いられる。
【0019】
任意選択的に、前記コイル群は2つであり、2群の前記コイル群は、サイズが異なって互いに嵌め込まれ、前記スポイラー構造は2群の前記コイル群の間に設けられる。
【0020】
任意選択的に、前記絶縁材料はセラミックスを含む。
【0021】
任意選択的に、前記冷却ガスは圧縮空気を含む。
【0022】
他の技術的解決手段として、本発明は半導体プロセス装置をさらに提供し、RF源、反応チャンバ、本発明に係る上記コイル手段、給気手段及び抽気手段を備え、前記反応チャンバの頂部に誘電体窓が設けられ、前記コイル手段は前記誘電体窓の上方に設けられ、前記RF源はRF電力を前記コイル構造に供給することに用いられ、前記給気手段は前記冷却ガスを前記給気口に供給することに用いられ、前記抽気手段は、前記冷却空間内の冷却ガスを排出する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0024】
本発明に係る半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル手段は、固定本体にコイル構造を収容できる冷却空間を形成し、給気口を介して冷却ガスを該冷却空間に輸送し、排気口を介して冷却空間における冷却ガスを排出することにより、冷却ガスが冷却空間を流れることができ、流動中にコイル構造が発生する熱を持ち去ることができ、また、冷却空間にスポイラー構造が設けられることによって冷却空間におけるガス流れ方向を変更することにより、冷却空間におけるガス分布均一性を向上させることができる。それによりコイル構造に対する冷却効率及び冷却均一性を効果的に向上させ、コイル構造の酸化速度を低下させ、コイル構造の耐用年数を延長することができる。
【0025】
本発明に係る半導体プロセス装置は、本発明に係る上記コイル手段を採用することにより、コイル構造に対する冷却効率及び冷却均一性を効果的に向上させ、コイル構造の酸化速度を低下させることができ、それによりコイル構造の耐用年数を延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1はコイルを固定するための従来のコイルホルダの分解構造図である。
図2A図2Aは本実施例に採用されるコイル構造の構造概略図である。
図2B図2Bは本実施例に採用される1つのコイル群の構造概略図である。
図2C図2Cは本実施例に採用される複数の第1平面コイルの第1平面における正投影の概略図である。
図2D図2Dは本実施例に採用される複数の第1平面コイルの第1端が第1平面に並列される場合の正投影の概略図である。
図3図3は本実施例に採用される固定冷却アセンブリの全体構造図である。
図4図4は本実施例に採用される固定冷却アセンブリの径方向断面図である。
図5図5は本実施例に採用される固定冷却アセンブリの軸方向断面図である。
図6図6は本実施例に採用される第1接続棒と第2接続棒の構造図である。
図7図7は本実施例に係るコイル手段の分解構造図である。
図8図8は本実施例に係る半導体プロセス装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
当業者が本発明の技術的解決手段をよりよく理解するために、以下、図面を参照して本発明に係る半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル手段及び半導体プロセス装置について詳細に説明する。
【0028】
図2A図3を併せて参照し、本実施例は半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル手段を提供し、該手段はコイル構造3及び固定冷却アセンブリ2を備える。コイル構造3は様々な構造であってもよく、例えば、図2Aに示すように、コイル構造3は2群のコイル群(3a、3b)を備え、2群のコイル群(3a、3b)は、サイズが異なって互いに嵌め込まれる。当然のことながら、実際の応用には、コイル群の数は1群又は3群以上であってもよく、3群以上のコイル群のサイズはそれぞれ異なり、互いに嵌め込まれる。
【0029】
いくつかの任意選択的な実施例では、図2Bに示すように、各コイル群は第1サブコイル群及び第2サブコイル群を備え、第1サブコイル群は第1平面内に位置する少なくとも1つの第1平面コイル31を備え、該第1平面は上記コイル群の軸線に垂直であり、第2サブコイル群は該第1平面に平行な第2平面内に位置する少なくとも1つの第2平面コイル32を備え、該第1平面コイル31は第2平面コイル32に直列接続され、第2平面コイル32の上記第1平面における正投影は第2平面コイル32と鏡像対称又は鏡像非対称である。
【0030】
鏡像は、第1平面コイル31の上記第1平面における正投影(以下、第1投影Aと略称)と、第2平面コイル32の上記第1平面における正投影(以下、第2投影Bと略称)の形状が同じ又は類似であるが、配列方向が逆であることを指し、具体的には、上記第1投影Aと第2投影Bは、いずれも第1平面に平行な表裏両面を有し、第1投影Aと第2投影Bのうちの一方の表面形状は、第1投影Aと第2投影Bのうちの他方の裏面形状と同じ又は類似である。対称は、第1投影Aと第2投影Bのうちの一方の表面形状と、第1投影Aと第2投影Bのうちの他方の裏面形状との全てのパラメータが完全に同じであることを指し、非対称は、第1投影Aと第2投影Bのうちの一方の表面形状と、第1投影Aと第2投影Bのうちの他方の裏面形状とが類似であるが、一部のパラメータが異なることを指す。
【0031】
第2平面コイル32の上記第1平面における正投影を、第2平面コイル32と鏡像対称又は鏡像非対称とすることにより、第1サブコイル群又は第2サブコイル群が1群のみの場合に存在する径方向における電流分布の差を補償し、コイル構造3の下方に生成される結合エネルギーの径方向における分布均一性を向上させることができ、それによりプラズマにおけるラジカル及びイオン密度の径方向における分布均一性を向上させることができる。
【0032】
いくつかの任意選択的な実施例では、図2B及び図2Cに示すように、上記第1サブコイル群は複数の第1平面コイル31を備え、複数の第1平面コイル31は、形状が同じであって互いに間隔を空けて設けられ、複数の第1平面コイル31の第1端311はコイル群の円周方向に沿って均等に分布し、複数の第1平面コイル31の第2端312はコイル群の円周方向に沿って均等に分布し、言い換えれば、複数の第1平面コイル31は円周方向に異なる回転角度で配列され、いずれかの第1平面コイル31は、コイル群の円周方向に沿って時計回り又は反時計回りに一定の角度だけ回転した後、隣接する別の第1平面コイル31と重なる。第2サブコイル群は複数の第2平面コイル32を備え、複数の第2平面コイル32は、形状が同じであって互いに間隔を空けて設けられ、複数の第2平面コイル32の第1端321はコイル群の円周方向に沿って均等に分布し、複数の第2平面コイル32の第2端はコイル群の円周方向に沿って均等に分布し、言い換えれば、複数の第2平面コイル32は円周方向に異なる回転角度で配列され、いずれかの第2平面コイル32は、コイル群の円周方向に沿って時計回り又は反時計回りに一定の角度だけ回転した後、隣接する別の第2平面コイル32と重なる。そして、複数の第1平面コイル31と複数の第2平面コイル32とは1対1で対応し、複数の第1平面コイル31の第1端311は並列接続され、複数の第2平面コイル32の第1端321は並列接続され、複数の第1平面コイル31の第2端312はそれぞれ複数の第2平面コイル32の第2端322に直列接続される。
【0033】
具体的には、第1平面コイル31及び第2平面コイル32の形状は、例えば、いずれもインボリュート形状であり、いずれかの第1平面コイル31については、その第1端311がコイル群の軸線の周りに時計回り又は反時計回りに一定の角度だけ回転した後、隣接する別の第1平面コイル31の第1端311と重なり、複数の第1平面コイル31の形状が同じであるため、いずれかの第1平面コイル31は、コイル群の軸線の周りに時計回り又は反時計回りに一定の角度だけ回転した後、隣接する別の第1平面コイル31と完全に重なり、例えば、図2(c)には、8つの第1平面コイル31が示されるが、この場合、いずれかの第1平面コイル31は、コイル群の軸線周りに時計回り又は反時計回りに45°回転した後、隣接する別の第1平面コイル31と完全に重なる。
【0034】
複数の第1平面コイル31の形状が同じであり、複数の第1平面コイル31が共同で第1平面上において構成する投影が角度方向対称性を有し、すなわち、該投影がコイル群の円周方向に対称であるので、円周方向における電流分布に差が生じることを回避でき、さらにプラズマ密度の角度方向における分布均一性を向上させて、プロセスの均一性を向上させることができる。同様に、複数の第2平面コイル32が共同で第2平面上において構成する投影も角度方向対称性を有する。
【0035】
いくつかの任意選択的な実施例では、図2Bに示すように、各第1平面コイル31の第2端312とそれに対応する第2平面コイル32の第2端322との間に両者を並列接続するための接続セグメント34が接続され、該接続セグメント34の延在方向は上記コイル群の軸線と互いに平行である。勿論、実際の応用には、他の任意の方式を用いて第1平面コイル31とそれに対応する第2平面コイル32を直列接続することができる。
【0036】
いくつかの任意選択的な実施例では、図2Dに示すように、第1平面コイル31をN個とすれば、Nは2以上の偶数であり、例えばNは6以上10以下である。図2DにはN=8である。N個の第1平面コイル31はコイル群の円周方向にN/2対の第1コイル対に分けられ、例えば、図2Dには8つの第1平面コイル21は4対の第1コイル対(2つずつ)に分けられ、各対の第1コイル対はいずれも2つの隣接する第1平面コイル(31a、31b)を備え、2つの隣接する第1平面コイル(31a、31b)の第1端(311a、311b)の間に両者を並列接続するための第1延長セグメント33が接続され、そして、N/2対の第1コイル対における第1延長セグメント33同士は並列接続される。
【0037】
いくつかの好ましい実施例では、各第1延長セグメント33の中点にRF給電点又はRF出力点を設定し、このようにして、隣接する2つの第1平面コイル(31a、31b)の長さが同じであることを保証することができ、それにより第1平面コイル(31a、31b)を流れる電流の経路を同じにすることができる。
【0038】
複数の第2平面コイル32の第1端321が並列接続される態様は、上記の複数の第1平面コイル31の第1端311が並列接続される態様と同様である。具体的には、第2平面コイル32はN個であり、N個の第2平面コイル32はコイル群の円周方向にN/2対の第2コイル対に分けられ、各対の第2コイル対はいずれも2つの隣接する第2平面コイル32を備え、2つの隣接する第2平面コイル32の第1端321の間に両者を並列接続するための第2延長セグメントが接続され、N/2対の第2コイル対における第2延長セグメント同士は並列接続される。
【0039】
なお、複数の第2平面コイル32の第1端321が並列接続される態様と、上記複数の第1平面コイル31の第1端311が並列接続される態様とは、他の任意の形態を採用することができ、例えば複数の第2平面コイル32の第1端321が直接並列接続される。
【0040】
固定冷却アセンブリ2はコイル構造3を固定及び冷却することに用いられる。以下、図2Aに示すコイル構造3を例として、冷却アセンブリ2を固定する具体的な実施形態について詳細に説明する。具体的には、図3図5を併せて参照し、該固定冷却アセンブリ2は絶縁材料で作製された固定本体21を備え、該絶縁材料は好ましくはセラミックスを用い、その熱伝導率は一般的に33W/mkであり、良好な熱伝導性及び耐温性を有し、それによりコイル構造3の放熱効率を向上させることに有利である。
【0041】
そして、図4に示すように、該固定本体21に冷却空間22が形成され、上記コイル構造3は該冷却空間22に固定して設けられ、そして、固定本体21には、冷却空間22に連通する給気口215及び排気口216が設けられ、給気口215は冷却ガスを冷却空間22に輸送することに用いられ、排気口216は、冷却空間22内の冷却ガスを排出することに用いられる。給気口215を介して冷却ガスを該冷却空間22に輸送し、排気口216を介して冷却空間における冷却ガスを排出することにより、冷却ガスが冷却空間22を流れることができ、流動中にコイル構造3が発生する熱を持ち去り、それによりコイル構造3に対する冷却効率及び冷却均一性を効果的に向上させ、コイル構造3の酸化速度を低下させ、コイル構造3の耐用年数を延長することができる。
【0042】
図4に示すように、上記冷却空間22にスポイラー構造5がさらに設けられる。該スポイラー構造5により、冷却空間22におけるガスの流れ方向を変化させることができ、それにより冷却空間22におけるガス分布均一性を向上させる。
【0043】
いくつかの任意選択的な実施例では、図3に示すように、上記固定本体21は、上記冷却空間22を構成する第1固定リング212、第2固定リング214、第1接続リング213、及び第2接続リング211を備え、第1固定リング212及び第2固定リング214は対向して設けられ、具体的には、第1固定リング212及び第2固定リング214は全体として円盤状を呈し、両者の円盤が位置する平面は互いに平行であり、例えば、上記第1平面と互いに平行であってもよい。図5に示すように、第1接続リング213は、第1固定リング212と第2固定リング214との間に接続され、例えば、両者の外周縁部に位置し、第2接続リング211は、第1固定リング212の軸方向に沿って第1固定リング212及び第2固定リング214を貫通し、例えば、第2接続リング211は第1固定リング212及び第2固定リング214のリング孔に貫設され、第1接続リング213は第2接続リング211の周囲に間隔を空けて周設される。このようにして、第1固定リング212、第2固定リング214、第1接続リング213、及び第2接続リング211で構成される冷却空間22は環状空間であり、コイル構造3は、該第1接続リング213と第2接続リング214との間の上記環状空間内に周設される。また、第2接続リング211が第1固定リング212の軸方向に沿って第1固定リング212及び第2固定リング214を貫通することにより、冷却空間22における冷却ガスが第1固定リング212及び第2固定リング214のリング孔から直接流出することを回避できる。また、第2接続リング211は冷却ガスが出口に直接流れることを遮断し、冷却ガスをさらに拡散させる作用を果たすこともでき、バリアリングと考えられる。
【0044】
いくつかの任意選択的な実施例では、図5に示すように、上記コイル構造3における第1平面コイル31及び第2平面コイル32は、それぞれ上記第1固定リング212及び第2固定リング214に固定される。このようにして、第1平面コイル31と第2平面コイル32の固定の安定性を保証できるだけでなく、第1平面コイル31と第2平面コイル32との間に一定の軸方向距離があるようにでき、それにより、第1平面コイル31と第2平面コイル32との間の距離が近すぎることによる点火現象を回避し、しかし、上記軸方向距離も大きすぎるべきではなく、そうでなければ、電流分布の差に対する第1平面コイル31と第2平面コイル32との間の補償作用が失効する。いくつかの好ましい実施例では、第1平面コイル31と第2平面コイル32との間の軸方向距離の範囲は4mm以上20mm以下であり、好ましくは10mmである。軸方向距離を該数値範囲内に設定することにより、第1平面コイル31と第2平面コイル32との間の距離が近すぎることによる点火現象を回避することができるとともに、電流分布の差に対する第1平面コイル31と第2平面コイル32との間の補償作用を実現することができる。
【0045】
いくつかの好ましい実施例では、図7に示すように、第1固定リング212の上記冷却空間22に隣接する面に第1コイル溝(図示せず)が設けられ、第2固定リング214の冷却空間22に隣接する面に第2コイル溝214aが設けられる。該第1コイル溝は、その上記第1平面における正投影が各第1平面コイル31に適合し、第1平面コイル31の少なくとも一部を収容することに用いられ、例えば、図5に示すように、コイル構造3における第1平面コイル31の一部は第1コイル溝に内嵌され、残りの部分は第1固定リング212の上記冷却空間22に隣接する面に対して突出する。同様に、第2コイル溝214aは、その上記第2平面における正投影が各第2平面コイル32に適合し、第2平面コイル32の少なくとも一部を収容することに用いられる。上記第1コイル溝及び第2コイル溝214aにより、第1平面コイル31及び第2平面コイル32の位置を限定することができるとともに、第1平面コイル31及び第2平面コイル32の厚さが薄いことによる変形を回避することができる。好ましくは、第1平面コイル31及び第2平面コイル32が第1コイル溝214a及び第2コイル溝214aにそれぞれ嵌め込まれる軸方向の深さは、2.5mmである。
【0046】
いくつかの任意選択的な実施例では、図4に示すように、コイル手段は複数のコイル固定具4をさらに備え、例えば固定棒であり、複数のコイル固定具4はコイル群の円周方向に沿って間隔を空けて分布し、各コイル固定具4はコイル群の径方向に沿って延在することにより、複数の第1平面コイル31を第1固定リング212に押し付け、又は複数の第2平面コイル32を第2固定リング214に押し付け、それにより、コイルと固定リングとの間の固定を実現する。実際の応用には、コイル固定具4の数や分布密度は、各群のコイル群の大きさに応じて選択されてもよい。例えば、2群のコイル群について、内側に位置するコイル群は4つのコイル固定具4を採用してもよく、外側に位置するコイル群は8つのコイル固定具4を採用してもよい。
【0047】
いくつかの任意選択的な実施例では、上記コイル固定具4は、例えばポリエーテルエーテルケトンなどの耐高温、加工しやすく、高い機械的強度などの特徴を有するエンジニアリングプラスチックを用いる。
【0048】
いくつかの任意選択的な実施例では、図4に示すように、上記給気口215及び排気口216は上記第1接続リング213に設けられる。このようにして、冷却ガスは、冷却空間22の側面から入り、別の側面から排出することができる。いくつかの好ましい実施例では、冷却ガスは圧縮空気(例えば常温)であり、一定の圧力を有する空気を冷却空間22に導入することにより、ガスの流動速度を向上させることができ、それによりコイル構造3に対する冷却効果をさらに向上させることができる。また、任意選択的に、上記排気口216は抽気手段に接続されることにより、冷却空間22における冷却ガスを抽出することができ、ガスの排出速度が向上し、それにより、ガスの流動速度をさらに向上させることができる。
【0049】
いくつかの任意選択的な実施例では、図4に示すように、上記スポイラー構造5は第1スポイラー部材51及び第2スポイラー部材52を備え、第1スポイラー部材51は給気口215に近い位置に設けられ、該第1スポイラー部材51を流れる冷却ガスの一部を冷却空間22の周辺領域に向かって流動させることに用いられ、第2スポイラー部材52は、排気口216に近い位置に設けられ、第2スポイラー部材52を流れる冷却ガスの一部を冷却空間22の中央領域に向かって流動させることに用いられる。冷却空間22におけるガスの流れ方向は、具体的には、図4における矢印で示される。上記第1スポイラー部材51及び第2スポイラー部材52により、冷却ガスを冷却空間22の中央領域及び周辺領域に拡散させることができ、それにより冷却空間22におけるガス分布均一性を向上させることができ、コイル構造2の異なる部分が発生する熱をいずれも持ち去ることが保証される。
【0050】
いくつかの任意選択的な実施例では、図4に示すように、上記排気口216は1つであり、上記給気口215は2つであり、かつ排気口216の軸方向の両側に対称的に設けられる。このようにして、冷却ガスは、2つの給気口215から冷却空間22内に同時に入り、反対側の排気口216に向かって流れることができる。そして、上記第1スポイラー部材51は2つの第1円弧状棒を備え、2つの第1円弧状棒は、いずれも前記第1接続部材213の周方向に沿って延在し、互いに間隔を空けて設けられ、2つの第1円弧状棒はそれぞれ2つの給気口215に対向し、各第1円弧状棒の両端は対向する給気口215の軸方向の両側に位置し、例えば、給気口215は各第1円弧状棒の中間に近い位置に対向する。このようにして、図4における矢印で示すように、各第1円弧状棒に近い冷却ガスは第1円弧状棒の遮断作用で2つの岐路に分けられて第1円弧状棒の両端へ個別に流動し、それにより冷却空間22の周辺領域に拡散する。
【0051】
さらに、任意選択的に、図4に示すように、第2スポイラー部材52は2つの第2円弧状棒を備え、2つの第2円弧状棒は、いずれも上記第1接続リング213の周方向に沿って延在し、互いに間隔を空けて設けられ、2つの第2円弧状棒はそれぞれ排気口216の軸方向の両側に位置し、例えば、排気口216は、2つの第2円弧状棒間の間隔と対向する。このようにして、図4における矢印で示すように、各第2円弧状棒に近い冷却ガスは、第2円弧状棒の遮断作用で2つの岐路に分けられて第2円弧状棒の内側と外側へ個別に流動し、第2円弧状棒の内側に流動する1つの岐路は、冷却空間22の中央領域に集まる。
【0052】
いくつかの好ましい実施例では、図4に示すように、上記第1円弧状棒と上記第2円弧状棒は同心に設けられて、第1接続リング213の周方向の異なる位置に分布し、第2円弧状棒の径方向の厚さは第1円弧状棒の径方向の厚さよりも大きい。図4における矢印で示すように、第1円弧状棒と第2円弧状棒のガス流れを遮断する位置は異なり、具体的には、第1円弧状棒の外周面はガス流れを遮断することに用いられるが、第2円弧状棒の一端の端面はガス流れを遮断することに用いられ、そのため、その端面の面積を大きくすることができるように、第1円弧状棒よりも第2円弧状棒の径方向の厚さを厚くする必要がある。
【0053】
いくつかの任意選択的な実施例では、コイル手段は接続構造をさらに備え、該接続構造は第1接続アセンブリ及び第2接続アセンブリを備え、第1接続アセンブリは第1サブコイル群における複数の第1平面コイル31の第1端311に電気的に接続され、これにより複数の第1平面コイル31の第1端311の並列接続を実現し、第2接続アセンブリは第2サブコイル群における複数の第2平面コイル32の第1端321を電気的に接続することに用いられ、これにより複数の第2平面コイル32の第1端321の並列接続を実現する。そして、上記第1接続アセンブリと第2接続アセンブリのうちの一方はRF源の入力端に電気的に接続することに用いられ、第1接続アセンブリと第2接続アセンブリのうちの他方はRF源の出力端に電気的に接続することに用いられる。該RF源は、例えば、RF電源及び整合器を備えるが、あるいはRF電源のみを設けるようにしてもよい。上記第1接続アセンブリは、複数の第1平面コイル31の第1端311を並列接続した後にRF源の入力端又は出力端に電気的に接続することに用いられ、上記第2接続アセンブリは、複数の第2平面コイル32の第1端321を並列接続した後にRF源の出力端又は入力端に電気的に接続することに用いられる。
【0054】
例えば、図6及び図7に示すように、上記第1接続アセンブリはN/2個の第1接続棒61(図6にはN=8)及び第1並列接続用部材を備え、N/2個の第1接続棒61の一端はそれぞれN/2対の第1コイル対における第1延長セグメント33に電気的に接続され、N/2個の第1接続棒61の他端は上記第1固定リング212を貫通し、第1固定リング212の冷却空間22から離れる側に位置する上記第1並列接続用部材に着脱可能に電気的に接続され、上記第2接続アセンブリはN/2個の第2接続棒62及び第2並列接続用部材を備え、N/2個の第2接続棒62の一端はそれぞれN/2対の第2コイル対における第2延長セグメントに電気的に接続され、N/2個の第2接続棒62の他端は第1固定リング212を貫通し、第1固定リング212の冷却空間22から離れる側に位置する第2並列接続用部材に着脱可能に電気的に接続される。言い換えれば、第1接続棒61及び第2接続棒62はいずれも第1固定リング212の冷却空間22から離れる側に延在し、それぞれ第1並列接続用部材及び第2並列接続用部材に着脱可能に電気的に接続される。上記第1並列接続用部材と第2並列接続用部材のうちの一方はRF源の入力端に電気的に接続することに用いられ、第1並列接続用部材と第2並列接続用部材のうちの他方はRF源の出力端に電気的に接続することに用いられる。
【0055】
いくつかの任意選択的な実施例では、図7に示すように、上記第1並列接続用部材及び第2並列接続用部材はいずれもN/2個の棒状分岐部71を備え、N/2個の棒状分岐部71の第1端は冷却空間22の中央位置に近い箇所に接続され、互いに電気的に導通し、N/2個の棒状分岐部71の第2端はそれぞれの第1端に対して冷却空間22の異なる径方向に沿って延在する。第1並列接続用部材におけるN/2個の棒状分岐部71については、その第2端がN/2個の第1接続棒61の他端の上方まで延在し、該第2端に接続柱72が設けられ、対応して第1接続棒61の他端にプラグ63が設けられ、接続柱72を対応してプラグ63に挿入することにより、棒状分岐部71と第1接続棒61との電気的接続を実現することができる。同様に、第2並列接続用部材におけるN/2個の棒状分岐部71については、その第2端がN/2個の第2接続棒62の他端の上方まで延在し、該第2端に接続柱72が設けられ、対応して第2接続棒62の他端にプラグ63が設けられ、接続柱72を対応してプラグ63に挿入することにより、棒状分岐部71と第2接続棒62との電気的接続を実現することができる。当然のことながら、実際の応用には、他の着脱可能な接続構造を用いて、N/2個の棒状分岐部の第2端を、N/2個の第1接続棒61の他端又はN/2個の第2接続棒62の他端に着脱可能に電気的に接続することを実現することができる。いくつかの任意選択的な実施例では、上記着脱可能な電気的接続方式は様々であってもよく、例えば差し込み接続、係合等である。
【0056】
1つの具体的な実施例では、図7に示すように、N=8であり、この場合、8つの第1平面コイル31の第2端は8つの第2平面コイル32の第2端に1対1で対応して直列接続され、8つの第1平面コイル31の第1端311は4つの第1延長セグメント33によって2つずつ並列接続することを実現し、8つの第2平面コイル32の第1端321は4つの第2延長セグメントによって2つずつ並列接続することを実現する。4つの第1接続棒61は4つの第1延長セグメント33に1対1で対応して接続され、これにより8つの第1平面コイル31の第1端311の並列接続を実現し、かつ、上記第1並列接続用部材における4つの棒状分岐部71を介してRF源の入力端又は出力端に電気的に接続される。4つの第2接続棒62は4つの第2延長セグメントに1対1で対応して接続され、これにより8つの第2平面コイル32の第1端321の並列接続を実現し、かつ、上記第2並列接続用部材における4つの棒状分岐部71を介してRF源の出力端又は入力端に電気的に接続される。
【0057】
なお、上記実施例は図2Aに示すコイル構造3を例とし、固定冷却アセンブリ2の具体的な実施形態について詳細に説明する。しかし、固定冷却アセンブリの構造はこれに限定されるものではなく、実際の応用には、異なるコイル構造に基づき、固定冷却アセンブリにおける対応する部材の構造を適宜変更することができ、これらの変更はいずれも本発明の保護範囲に属する。
【0058】
以上により、本発明に係る半導体プロセス装置におけるプラズマを生成するためのコイル手段は、固定本体にコイル構造を収容できる冷却空間を形成し、給気口を介して冷却ガスを該冷却空間に輸送し、排気口を介して冷却空間における冷却ガスを排出することにより、冷却ガスが冷却空間を流れることができ、流動中にコイル構造が発生する熱を持ち去ることができ、また、冷却空間にスポイラー構造が設けられることによって冷却空間におけるガス流れ方向を変更することにより、冷却空間におけるガス分布均一性を向上させることができる。それによりコイル構造に対する冷却効率及び冷却均一性を効果的に向上させ、コイル構造の酸化速度を低下させ、コイル構造の耐用年数を延長することができる。
【0059】
別の技術的解決手段として、本実施例は半導体プロセス装置をさらに提供し、図8に示すように、該半導体プロセス装置は、上部電極のRF源105、反応チャンバ100、コイル手段、給気手段104、及び抽気手段106を備え、反応チャンバ100の頂部に誘電体窓101が設けられ、コイル手段は誘電体窓101の上方に設けられ、本実施例に係る上記コイル手段を採用し、具体的には、該コイル手段は例えば図7におけるコイル構造3及び固定冷却アセンブリを備える。
【0060】
RF源105はRF電力をコイル構造3に供給し、反応チャンバ100におけるプロセスガスを励起してプラズマ(Plasma)を形成することに用いられる。RF電源105は、例えば、RF電源及び整合器を備え、或いは、RF電源のみを設けるようにしてもよい。また、反応チャンバ100にウェハを載置するためのベース102がさらに設けられ、該ベース102は下部電極のRF源103に電気的に接続される。RF電源103は、例えば、RF電源及び整合器を備え、或いは、RF電源のみを設けるようにしてもよい。該RF源103はRFバイアスをベース102に印加することに用いられ、プラズマを吸着してウェハ表面に向かって移動させる。
【0061】
上記給気手段104は、冷却ガスを給気口215に供給することに用いられ、抽気手段106は、冷却空間22内の冷却ガスを排出することに用いられる。
【0062】
本発明に係る半導体プロセス装置は、本発明に係る上記コイル手段を採用することにより、コイル構造に対する冷却効率及び冷却均一性を効果的に向上させ、コイル構造の酸化速度を低下させることができ、それによりコイル構造の耐用年数を延長することができる。
【0063】
理解できるように、以上の実施形態は、本発明の原理を説明するために採用された例示的な実施形態にすぎないが、本発明はこれに限定されない。当業者であれば、本発明の精神及び本質を逸脱せずに様々な変形及び改良を行うことができ、これらの変形及び改良も本発明の保護範囲とみなされる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】