(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ブレーキ流体を保護する方法
(51)【国際特許分類】
B60T 17/18 20060101AFI20240517BHJP
B60T 17/02 20060101ALI20240517BHJP
B60T 8/17 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B60T17/18
B60T17/02
B60T8/17 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574205
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 DE2022200107
(87)【国際公開番号】W WO2022262910
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】102021206182.6
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522296653
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートモーティヴ・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】カスパリ・ローラント
(72)【発明者】
【氏名】ベヒレ・マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ミーム・ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】グリム・ローベルト
【テーマコード(参考)】
3D049
3D246
【Fターム(参考)】
3D049BB05
3D049CC02
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3D246MA01
3D246MA21
(57)【要約】
本発明は、漏洩が発生した場合にブレーキシステムを制御する方法であって、ブレーキシステムは、ブレーキ流体コンテナ(4)の第1部分リザーバ(10)に接続された機械的に作動可能なブレーキマスターシリンダ(2)と、ブレーキ流体コンテナ(4)の第2部分リザーバ(11)に接続された電気リニアアクチュエータ(5)とを有し、ブレーキマスターシリンダ(2)とリニアアクチュエータ(5)は、電気的に閉鎖可能な回路遮断用弁(40)を介して接続されている、方法に関する。アイドル状態への移行中に漏洩が発生した場合にブレーキ流体を保護するために、リニアアクチュエータ(5)は、開放された回路遮断用弁(40)を介して第1の部分リザーバ(10)からある体積のブレーキ流体を取り出し、このブレーキ流体を第2部分リザーバ(11)に移動させるように制御される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏れが生じた場合にブレーキシステムを制御する方法であって、前記ブレーキシステムは、ブレーキ流体容器(4)の第1の部分リザーバ(10)に接続された機械的に作動可能なマスターブレーキシリンダ(2)と、前記ブレーキ流体容器(4)の第2の部分リザーバ(11)に接続された電気リニアアクチュエータ(5)とを有し、前記マスターブレーキシリンダ(2)と前記リニアアクチュエータ(5)は、電気的に閉鎖可能な回路遮断弁(40)を介して接続されている、方法において、
待機状態への移行中に漏れが発生した場合、前記リニアアクチュエータ(5)が作動して、開放された回路遮断弁(40)を介して前記第1の部分リザーバ(10)からブレーキ流体体積を取り出し、前記ブレーキ流体体積を前記第2の部分リザーバ(11)に移動させることを特徴とする、
方法。
【請求項2】
漏れが検出されると、前記ブレーキシステムは、前記回路遮断弁(40)を閉鎖することによって2つの部分回路(I、II)に分離され、第1の部分回路(I)は、少なくとも、前記第1の部分リザーバ(10)を有する前記マスターブレーキシリンダ(2)と、また、関連する入口弁(6a、6b)と出口弁(7a、7b)とを有する2つの第1の車輪ブレーキ(8a、8b)とを含み、第2の部分回路(II)は、少なくとも、前記第2の部分リザーバ(11)を有する前記リニアアクチュエータ(5)と、また、関連する入口弁(6c、6d)と出口弁(7c、7d)とを有する2つの第2の車輪ブレーキ(8c、8d)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブレーキ流体体積は、前記第2の部分回路(II)に前記漏れが存在する場合にのみ、前記第1の部分チャンバ(10)から前記第2の部分チャンバ(11)に移動されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記回路分離は、待機状態への移行中に所定の時間にわたって維持され、前記第1の部分チャンバ(10)の前記ブレーキ流体体積は、前記所定の時間の終了時に前記第2の部分チャンバ(11)に移動されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ブレーキシステムは、非通電状態において、前記第1の部分チャンバ(10)が前記車輪ブレーキに接続されるように設計されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ブレーキ流体体積は、前記第1の部分リザーバ(10)が空になるまで、前記第1の部分リザーバ(10)から前記第2の部分リザーバ(11)に移動されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ブレーキ流体体積を前記リニアアクチュエータ(5)から前記第2の部分リザーバ(11)に移動させるために、前記回路遮断弁(40)は閉鎖され、漏れのある前記車輪ブレーキ(8d)の前記入口弁(6d)は閉鎖され、漏れのない前記車輪ブレーキ(8c)の前記入口弁(6c)及び前記出口弁(7c)は開放され、前記リニアアクチュエータ(5)は、増圧方向に動作されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ブレーキ流体体積を前記第1の部分チャンバ(10)から前記リニアアクチュエータ(5)に取り出すために、前記リニアアクチュエータ(5)と前記第1の部分チャンバ(10)との間にオープンフロー接続が確立され、前記リニアアクチュエータ(5)は、減圧方向に動作されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記オープンフロー接続は、前記マスターブレーキシリンダを介して、並びに/又は少なくとも1つの車輪ブレーキの入口弁及び出口弁を介して確立されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ブレーキ流体体積が前記第1の部分チャンバ(10)から取り出されるとき、前記リニアアクチュエータ(5)は、発生する真空が閾値よりも低いままになるように動作されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記リニアアクチュエータ(5)は、戻り差圧で開放する逆止弁(45)を介して前記第2の部分チャンバ(11)に接続されており、前記閾値は、前記戻り差圧の2倍よりも低いことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
自動車用のブレーキシステムであって、ブレーキ流体容器(4)の第1の部分リザーバ(10)に接続された機械的に作動可能なマスターブレーキシリンダ(2)と、前記ブレーキ流体容器(4)の第2の部分リザーバ(12)に接続された電気リニアアクチュエータ(5)とを含み、前記マスターブレーキシリンダ(2)と前記リニアアクチュエータ(5)は、電気的に閉鎖可能な回路遮断弁(40)を介して接続されている、ブレーキシステムにおいて、
前記ブレーキシステムの制御ユニット(12)は、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法のうちの1つを実行するように設計されていることを特徴とする、
ブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏れが生じた場合にブレーキシステムを制御する方法であって、ブレーキシステムは、ブレーキ流体容器の第1の部分リザーバに接続された機械的に作動可能なマスターブレーキシリンダと、ブレーキ流体容器の第2の部分リザーバに接続された電気リニアアクチュエータとを有し、マスターブレーキシリンダとリニアアクチュエータは、電気的に閉鎖可能な回路遮断弁を介して接続されている、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなブレーキシステムを初期化するとき、例えば、車両をロック解除するとき又は運転者が車両に接近するとき、通常、ブレーキ流体容器の充填レベルが確認される。この充填レベルが閾値を下回る場合、ブレーキングシステムに漏れがあると想定される。
【0003】
外部漏れが生じた場合のブレーキシステムの劣化は、回路分離の実施である。この目的のために、回路遮断弁に通電することによって、単回路のバイワイヤシステムは、マスターブレーキシリンダを備えた運転者の回路とリニアアクチュエータを備えたプランジャ回路とからなる二回路システムに分離される。
【0004】
回路分離のためには回路遮断弁に通電する必要があるため、非通電の場合、すなわち特に、車両がオフにされている待機状態においては、ブレーキシステムは単回路システムのままである。その結果、4つの車輪のうちの1つの方向において漏れが生じた場合、マスターブレーキシリンダに接続された第1の部分チャンバのブレーキ流体体積が失われる。
【0005】
ブレーキ流体の損失を最小限にするために、イグニッションをオフにして、回路弁が通電された状態で、すでに完了した回路分離が、例えば48時間にわたって、延長ランオン期間(extended run-on period)に維持されることが多い。更に、スリープモードから復帰し、プランジャ回路の漏れが確認された後、第2の部分チャンバから第1の部分チャンバにブレーキ流体体積が補充される。
【0006】
しかしながら、これら2つの機能には制約がある。延長ランオン期間には時間制限がある。遅くともランオン期間の終了後に、単回路ブレーキングシステムへの移行があるため、第1の部分チャンバの体積の損失がある。延長ランオン期間の継続時間は、バッテリーの充電レベルに依存する。延長ランオン期間は、第1の部分チャンバの体積の損失を完全に保護するものでもない。重力圧力により、閉鎖された遮断弁を介して漏れ流が生じ、部分チャンバが空になる可能性がある。第1の部分チャンバを補充することで、対応する量だけ第2の部分チャンバのブレーキ流体体積が減少する。したがって、補充は制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本目的は、漏れが生じた場合のブレーキシステムの即応性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、待機状態への移行中に漏れが発生した場合、リニアアクチュエータが作動して、開放された遮断弁を介して第1の部分リザーバからブレーキ流体体積を取り出し、このブレーキ流体体積を第2の部分リザーバに移動させることによって、請求項1に記載の本発明による方法により達成される。したがって、ブレーキ流体は、弁が通電されることのないスリープモードであっても漏れが防止される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、漏れが検出されると、ブレーキシステムは、回路遮断弁を閉鎖することによって2つの部分回路に分離され、第1の部分回路は、少なくとも、第1の部分リザーバを有するマスターブレーキシリンダと、また、関連する入口弁と出口弁とを有する2つの第1の車輪ブレーキとを含み、第2の部分回路は、少なくとも、第2の部分リザーバを有するリニアアクチュエータと、また、関連する入口弁と出口弁とを有する2つの第2の車輪ブレーキとを含む。したがって、第1の部分チャンバから第2の部分チャンバへのブレーキ流体体積の移動は、特に、例えばスリープモードにおいて回路分離が解除される前に実施され得る。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、ブレーキ流体体積は、第2の部分回路に漏れが存在する場合にのみ、第1の部分チャンバから第2の部分チャンバに移動される。特に、本方法はまた、特に、第2の部分回路内の少なくとも1つの車輪ブレーキに漏れがあり、少なくとも1つの車輪ブレーキに漏れがない場合に実施され得る。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、回路分離は、待機状態への移行中に所定の時間にわたって維持され、第1の部分チャンバのブレーキ流体体積は、所定の時間の終了時に第2の部分チャンバに移動される。これにより、バッテリーの充電の状態が低いときでもブレーキ流体を保護することが可能になる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、ブレーキシステムは、非通電状態において、第1の部分チャンバが車輪ブレーキに接続されるように設計されている。そのようなブレーキシステムは、ブレーキシステムを、電気を伴わずに純粋な流体圧によって動作させることもできるという利点を有する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、ブレーキ流体体積は、第1の部分リザーバが空になるまで、第1の部分リザーバから第2の部分リザーバに移動される。これは、第1の部分チャンバの充填レベルセンサによって監視及び制御され得る、又はブレーキ流体体積は、個々の容器の既存のサイズ比を考慮して、空になることが想定できるまで移動される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、ブレーキ流体体積をリニアアクチュエータから第2の部分リザーバに移動させるために、回路遮断弁は閉鎖され、漏れのある車輪ブレーキの入口弁は閉鎖され、漏れのない車輪ブレーキの入口弁及び出口弁は開放され、リニアアクチュエータは、増圧方向に動作される。したがって、ブレーキ流体体積は、漏れのない車輪を介してブレーキ流体容器に運ばれる。どの車輪ブレーキに漏れがあるかを特定するために、例えば、オープンフローの状態でリニアアクチュエータを車輪ブレーキに個々に連続で接続することができ、リニアアクチュエータによって流体圧を増加させることができる。そうすることにより、各場合において圧力を増加させるのに必要な距離がどれほどであるかについての確認を行い、その結果、各々の車輪ブレーキに漏れがあるかどうかを特定する。このようにして、漏れがある車輪ブレーキを特定する。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、ブレーキ流体体積を第1の部分チャンバからリニアアクチュエータに取り出すために、リニアアクチュエータと第1の部分チャンバとの間にオープンフロー接続が確立され、リニアアクチュエータは、減圧方向に動作される。このようにして、ブレーキ流体は第1の部分チャンバから引き出される。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、オープンフロー接続は、マスターブレーキシリンダを介して、並びに/又は少なくとも1つの車輪ブレーキの入口弁及び出口弁を介して確立される。このプロセスでは、マスターブレーキシリンダを介して吸引が実施されることが好ましい。なぜなら、これにより、ブレーキ流体が入口弁及び出口弁を通って反対方向に運ばれることが防止されるからである。ブレーキ流体が入口弁及び出口弁を通って反対方向に運ばれることには、汚染によるリスクを伴う。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、ブレーキ流体体積が第1の部分チャンバから取り出されるとき、リニアアクチュエータは、発生する真空が閾値よりも低いままになるように動作される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、リニアアクチュエータは、戻り差圧で開放する逆止弁を介して第2の部分チャンバに接続されており、閾値は、戻り差圧の2倍よりも低い。これにより、リニアアクチュエータが主に第2の部分チャンバからブレーキ流体を吸い出すことを防止する。閾値は、戻り差圧の好ましくは150%未満、特に好ましくは100%未満である。
【0019】
本目的はまた、自動車用のブレーキシステムであって、ブレーキ流体容器の第1の部分リザーバに接続された機械的に作動可能なマスターブレーキシリンダと、ブレーキ流体容器の第2の部分リザーバに接続された電気リニアアクチュエータとを含み、マスターブレーキシリンダとリニアアクチュエータは、電気的に閉鎖可能な回路遮断弁を介して接続されており、ブレーキシステムの制御ユニットは、先行する方法の1つを実行するように設計されている、ブレーキシステムによって達成される。
【0020】
本発明の更なる特徴、利点、及び可能な用途は、以下の例示的な実施形態の説明及び図面からも得られる。説明された及び/又は図示された全ての特徴は、個々にも、任意の組み合わせにおいても、特許請求の範囲又はその引用におけるそれらの要約とは無関係に、本発明の主題に属する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明によるブレーキシステムを概略的に示す。
【
図2】第1の部分チャンバのブレーキ流体体積のグラフを示す。
【
図3】第2の部分チャンバのブレーキ流体体積のグラフを示す。
【
図4】第1の部分チャンバのブレーキ流体体積のグラフを示す。
【
図5】第2の部分チャンバのブレーキ流体体積のグラフを示す。
【
図6】本発明による方法の方法ステップを含むフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示される自動車用のブレーキングシステムは、4つの流体圧的に作動可能な車輪ブレーキ8a~8dを含む。ブレーキシステムは、作動ペダル又はブレーキペダル1によって作動され得るマスターブレーキシリンダ2と、マスターブレーキシリンダ2と相互作用する移動シミュレータ又はシミュレーションデバイス3と、大気圧下にある圧力媒体貯蔵タンク4と、電気的に制御可能な圧力印加デバイス5と、本例に従って入口弁6a~6d及び出口弁7a~7dとして構成される車輪別ブレーキ圧力調整弁とを含む。更に、ブレーキングシステムは、ブレーキシステムの電気的に作動可能な構成要素を制御するための電子的な開ループ及び閉ループ制御ユニット12を含む。これはまた、いくつかの個別の制御デバイスから構成され得る。
【0023】
本例によれば、車輪ブレーキ8aは、左前輪(FL)に割り当てられ、車輪ブレーキ8bは、右前輪(FR)に割り当てられ、車輪ブレーキ8cは、左後輪(RL)に割り当てられ、車輪ブレーキ8dは、右後輪(RR)に割り当てられている。
【0024】
マスターブレーキシリンダ2は、ハウジング16内に、流体圧チャンバ17を画定するマスターブレーキシリンダピストン15を有し、単回路マスターブレーキシリンダを構成する。圧力チャンバ17は、マスターブレーキシリンダ2が非作動の状態で、ピストン15を始動位置に配置する復元ばね9を収容している。圧力チャンバ17は、一端において、ピストン15内に形成された半径方向のボア及び対応する圧力等化ライン41を介して圧力媒体貯蔵タンク4に接続されており、この接続は、ハウジング16内におけるピストン17の相対運動によって遮断され得る。圧力チャンバ17は、他端において、流体圧ラインセクション(第1のフィードラインとも呼ばれる)22によって、入口弁6a~6dの入力接続部が接続されたブレーキ供給ライン13に接続されている。したがって、マスターブレーキシリンダ2の圧力チャンバ17は、全ての入口弁6a~6dに接続されている。
【0025】
本例によれば、弁、特に電気的に又は流体圧的に作動可能な弁、及び逆止弁は、圧力等化ライン41内に、又は圧力チャンバ17と圧力媒体貯蔵タンク4との間の接続部に配置されていない。
【0026】
代替として、特に常時開の診断弁、好ましくは、常時開の診断弁と圧力媒体貯蔵タンク4の方向に閉じる逆止弁との間の並列接続部が、圧力等化ライン41内に、又はマスターブレーキシリンダ2と圧力媒体貯蔵タンク4との間に収容され得る。
【0027】
遮断弁23が、圧力チャンバ17に接続されたフィードライン22とブレーキ供給ライン13との間に配置されている、又は圧力チャンバ17は、遮断弁23を有する第1のフィードライン22を介してブレーキ供給ライン13に接続されている。遮断弁23は、電気的に作動可能な、好ましくは常時開(NO)の2/2方向弁として設計されている。圧力チャンバ17とブレーキ供給ライン13との間の流体圧接続は、遮断弁23によって遮断され得る。
【0028】
ピストンロッド24は、ペダル作動の結果としてのブレーキペダル1の枢動運動をマスターブレーキシリンダピストン15の並進運動に結合し、その作動移動は、好ましくは冗長設計の移動センサ25によって検出される。このように、対応するピストン移動信号は、ブレーキペダル作動角度の指標である。これは、車両運転者の制動要求を表す。
【0029】
第1のフィードライン22に接続された圧力センサ20は、ピストン15の変位の結果として圧力チャンバ17内で増加した圧力を検出する。この圧力値はまた、車両運転者の制動要求を特徴付ける又は決定するために評価され得る。圧力センサ20の代替として、車両運転者の制動要求を決定するために、力センサ20も使用することができる。
【0030】
本例によれば、シミュレーションデバイス3は、流体圧式構成のものであり、マスターブレーキシリンダ2に流体圧的に結合されている。シミュレーションデバイス3は、例えば、シミュレータチャンバ29と、シミュレータ後部チャンバ30と、2つのチャンバ29、30を互いに切り離すシミュレータピストン31とを実質的に有する。シミュレータピストン31は、シミュレータ後部チャンバ30(本例によればドライ)内に配置された弾性要素33(例えば、シミュレータばね)によってハウジング上に支持されている。本例によれば、流体圧式シミュレータチャンバ29は、好ましくは電気的に作動可能な、好ましくは常時閉のシミュレータイネーブル弁32によって、マスターブレーキシリンダ2の圧力チャンバ17に接続されている。
【0031】
ブレーキングシステム又はブレーキシステムは、各流体圧的に作動可能な車輪ブレーキ8a~8dのための入口弁6a~6d及び出口弁7a~7dを含み、入口弁と出口弁は、中央接続部を介して対で流体圧的に相互接続されており、車輪ブレーキ8a~8dに接続されている。ブレーキ供給ライン13の方向に開く逆止弁(具体的には図示しない)が、入口弁6a~6dのそれぞれに並列で接続されている。出口弁7a~7dの出力接続部は、共通の戻りライン14を介して圧力媒体貯蔵タンク4に接続されている。
【0032】
電気的に制御可能な圧力提供デバイス5は、流体圧シリンダピストン機構として(又は単回路の電気流体圧式アクチュエータ(リニアアクチュエータ)として)設計されており、そのピストン36は、概略的に示される電動機35によって作動され得、同様に概略的に示される回転並進機構39の相互接続部を有する。ピストン36は、圧力提供デバイス5の単一の圧力チャンバ37を画定する。単に概略的に示される、電動機35のロータ位置を検出する役割を果たすロータ位置センサが参照符号44によって示されている。
【0033】
ラインセクション(第2のフィードラインとも呼ばれる)38が、電気的に制御可能な圧力提供デバイス5の圧力チャンバ37に接続されている。フィードライン38は、電気的に作動可能な、常時閉のシーケンス弁26を介してブレーキ供給ライン13に接続されている。シーケンス弁26は、電気的に制御可能な圧力提供デバイス5の圧力チャンバ37とブレーキ供給ライン13(したがって、入口弁6a~6dの入力接続部)との間の流体圧接続部を制御された手法で開閉することを可能にする。圧力チャンバ37内に収容された圧力媒体に対するピストン36の力の作用によって生成されたアクチュエータ圧力は、第2のフィードライン38に供給される。「ブレーキバイワイヤ」モードにおいて、特に、ブレーキシステムの障害のない状態において、フィードライン38は、シーケンス弁26を介してブレーキ供給ライン13に接続されている。このようにして、通常の制動時に、ピストン36の前方及び後方への運動により、全ての車輪ブレーキ8a~8dの車輪ブレーキ圧力の増加及び減少がある。
【0034】
ピストン36の後方への移動による圧力減少の場合、圧力提供デバイス5の圧力チャンバ37から車輪ブレーキ8a~8dへと以前に移動した圧力媒体は、同様に、圧力チャンバ37に再び流入する。
【0035】
代替として、車輪別に異なる車輪ブレーキ圧力は、入口弁6a~6d及び出口弁7a~7dによって容易に調整され得る。対応する圧力の減少の場合、出口弁7a~7dを介して排出される圧力媒体の一部は、戻りライン14を介して圧力媒体貯蔵タンク4に流入する。更なる圧力媒体は、シーケンス弁26が閉じた状態でのピストン36の後方への運動によって、圧力媒体が、アクチュエータ5への流れ方向に開く逆止弁45を有するライン42を介してタンク4からアクチュエータ圧力チャンバ又は圧力チャンバ37へと流出することができることにより、圧力チャンバ37に引き込まれ得る。逆止弁45は、典型的には、約0.08barの差圧から開始して開く。
【0036】
本例によれば、圧力チャンバ37はまた、ピストン36の非作動状態において、1つ以上のスニフタ穴を介して圧力媒体貯蔵タンク4に接続されている。圧力チャンバ37と圧力媒体貯蔵タンク4との間のこの接続は、ピストン36が作動方向に(十分に)作動されると切り離される。
【0037】
ブレーキ供給ライン13内に、電気的に作動可能な、常時開の回路遮断弁40が配置されており、回路遮断弁40によって、ブレーキ供給ライン13は、(遮断弁23を介して)マスターブレーキシリンダ2に接続された第1のラインセクション13aと、(シーケンス弁26を介して)圧力提供デバイス5に接続された第2のラインセクション13bとに分離され得る。第1のラインセクション13aは、車輪ブレーキ8a、8bの入口弁6a、6bに接続されており、第2のラインセクション13bは、車輪ブレーキ8c、8dの入口弁6c、6dに接続されている。
【0038】
回路遮断弁40が開いた状態では、ブレーキシステムは単回路設計である。ブレーキシステムは、回路遮断弁40を閉鎖することによって、特に状況に応じて制御される2つのブレーキ回路(部分回路)IとIIとに分離又は分割され得る。ここで、第1のブレーキ回路Iにおいては、マスターブレーキシリンダ2が、(遮断弁23を介して)フロントアクスルVAの車輪ブレーキ8a、8bの入口弁6a、6bのみに接続されており、第2のブレーキ回路IIにおいては、圧力提供デバイス5が、(シーケンス弁26が開かれた状態で)リヤアクスルHAの車輪ブレーキ8c及び8dのみに接続されている。
【0039】
回路遮断弁40が開いた状態で、全ての入口弁6a~6dの入力接続部に、ブレーキ供給ライン13によって、第1の動作モード(例えば「ブレーキバイワイヤ」動作モード)において圧力提供デバイス5により提供されるブレーキ圧力に対応する圧力が供給され得る。第2の動作モード(例えば、非通電フォールバック動作モード)において、マスターブレーキシリンダ2の圧力チャンバ17の圧力は、ブレーキ供給ライン13に加えられ得る。
【0040】
ブレーキシステムは、有利には、圧力媒体貯蔵タンク4内の圧力媒体レベル/充填レベルを決定するためのレベル測定デバイス50を含む。
【0041】
圧力媒体貯蔵タンク4は、隔壁を介して互いに分離された第1の部分チャンバ10と第2の部分チャンバ11とを有する。第1の部分チャンバ10は、圧力等化ライン41を介してマスターブレーキシリンダ2のためのブレーキ流体を提供する。その一方で、第2のチャンバ11は、圧力等化ライン42及び逆止弁120を介してリニアアクチュエータ5にブレーキ流体を供給する。
【0042】
本例によれば、流体圧構成要素、すなわちマスターブレーキシリンダ2、シミュレーションデバイス3、圧力提供デバイス5、弁6a~6d、7a~7d、23、26、40、及び32、並びにまた、ブレーキ供給ライン13を含む流体圧接続部は、流体圧式開ループ及び閉ループ制御ユニット60(HCU)内に一緒に配置されている。電子的な開ループ及び閉ループ制御ユニット(ECU)12は、流体圧式開ループ及び閉ループ制御ユニット60に割り当てられている。流体圧式及び電子的な開ループ及び閉ループ制御ユニット60、12は、好ましくは、1つのユニット(HECU)として構成されている。
【0043】
ブレーキシステムは、圧力提供デバイス5によって提供される圧力を検出するための圧力センサ19又はシステム圧力センサを含む。ここで、圧力センサ19は、圧力提供デバイス5の圧力チャンバ37から見た場合に、シーケンス弁26の後方に配置されている。
【0044】
車輪ブレーキ8a~8dの出口弁7a~7dを介して比較的長時間にわたって又は数回連続で圧力を低下させた場合、リニアアクチュエータ5のピストン36は、更なる体積流をもはや提供することができないその最前位置に達するまで継続的に前方に移動する。遅くともこの時点で、リニアアクチュエータは、補充操作によって補充されなければならない。
【0045】
リニアアクチュエータ5のそのような補充操作のために、シーケンス弁26は閉じられ、その後、ピストン36は戻される。その結果、ブレーキ流体が逆止弁45を介してリザーバ4から引き出される。
【0046】
ブレーキシステムを初期化するとき、例えば、車両をロック解除するとき、レベル測定デバイス50を使用して、ブレーキ流体レベルが十分であるかどうかを確認する。ブレーキ流体レベルが十分な場合、ブレーキシステムは通常動作モードで始動する。一方で、ブレーキ流体レベルが閾値を下回る場合、単回路ブレーキシステムは、回路遮断弁40を閉鎖することによって2回路ブレーキシステムに変換される。その結果、漏れの影響を受けていない部分回路は、漏れから実際上保護される。
【0047】
更に、漏れを特定するために、通常、漏れ試験が実施される。この目的のために、リニアアクチュエータ5は、シーケンス弁26及び開いた入口弁6を介して個々の車輪ブレーキ8に順次接続され、その出口弁7は閉じている。ここでは、残りの入口弁6はそれぞれ閉じられている。ここで、リニアアクチュエータ5によって圧力を上昇させ、必要な移動を制御する。移動が異常に大きい場合又は圧力を維持できない場合、ブレーキシステムは、対応する車輪に漏れがあると仮定する。
【0048】
車両が駐車された後にブレーキングシステムがスリープモードに入ると、全ての弁は、一般に、その非通電位置に移動する。回路遮断弁40は常時開の弁として構成されているため、スリープモードにおいて回路分離が失われる。これを防止するために、スリープモードにおいても、いわゆるランオン期間に指定の時間にわたって回路分離を維持することができる。しかしながら、エネルギー貯蔵量は車両バッテリーによって限定されるため、この延長ランオン期間も限定される。
【0049】
図2~
図5は、車両が回路分離を伴って1時間にわたり繰り返し運転され、その後、スリープモードで23時間駐車される状況における第1の部分チャンバ10及び第2の部分チャンバ11の体積の時間プロファイルを示す。
【0050】
図2及び
図3は、従来技術から知られている方法を示す。リヤアクスル車輪ブレーキ8dにおいて漏れがすでに検出されており、回路遮断弁40を閉鎖することによって能動回路分離が実施されている。更に、シーケンス弁26は閉鎖され、リニアアクチュエータ5はオフにされている。したがって、ブレーキシステムは、運転者の筋力及びマスターブレーキシリンダ2によって、フロント車輪ブレーキ8a及び8bを制動している。
図2に示すように、第1の部分チャンバ10の充填レベルは、当初、20cm
3をわずかに下回る。これは、第1の部分チャンバ10が満杯であることに相当する。漏れの結果、運転中に、いくらかのブレーキ流体体積が、この場合、閉じた遮断弁40を介してゆっくりと失われる。なぜなら、これは、完全に密閉されないからである。第2の部分チャンバ11の体積は、
図3のグラフから分かるように、閉じたシーケンス弁26によって保護されているため、一定のままである。車両がオフにされると、ブレーキシステムは非通電スリープモードに入り、その結果、回路分離は解除される。したがって、マスターブレーキシリンダ2を介して、後輪ブレーキ8dの漏れと第1の部分チャンバ10との間に直接オープンフロー接続がある。第1の部分チャンバ10は空になる。このことは、第1の部分チャンバ10の体積がゼロに急速に低下することを示す
図2のグラフから分かる。その後の車両の運転中に、ブレーキシステムは再び初期化され、空の第1の部分チャンバ10が検出される。制動操作を可能にするために、ブレーキ流体は、第2の部分チャンバ11から第1の部分チャンバ10に押し出される。このことは、第2の部分チャンバ体積が、第1の部分チャンバ10の体積が再び増加する程度だけ厳密に減少する様子を示す
図2及び
図3から分かる。これらのステップは、ブレーキシステムの各後続の初期化中に繰り返され、その結果、第2の部分チャンバ内の体積は継続的に減少する。4回目の初期化中、第2の部分チャンバ11内に残ったブレーキ流体体積は、第1の部分チャンバ10を完全に充填するにはもはや十分ではない。したがって、安全な制動操作はもはや不可能である。
【0051】
したがって、
図4及び
図5は、
図6に段階的に示される本発明による方法の対応するグラフを示す。
【0052】
工程101において、車輪ブレーキ8dにおいて漏れが検出され、同時に、漏れのない車輪ブレーキ8cが特定される。スリープモードへの移行中に、第1の部分チャンバ10の体積は第2の部分チャンバ11に移動される。この目的のために、工程102において、シーケンス弁26は開放され、回路遮断弁40は閉鎖される。漏れがある車輪の入口弁6d及び出口弁7dは閉鎖され、漏れのない車輪の入口弁6c及び出口弁7cは開放される。その後、工程103において、リニアアクチュエータ5はその前端位置まで移動し、その結果、その中に収容されたブレーキ流体体積が、漏れのない車輪の入口弁6c及び出口弁7cを介して第2の部分チャンバ11に移動される。
【0053】
工程104において、回路遮断弁40及び遮断弁23が開放される。全ての入口弁6は閉鎖される。工程105において、その後、リニアアクチュエータは30~40rpmの大幅に減少した速度で作動され、その後端位置に戻る。生じる約0.1barのわずかな真空により、逆止弁45を介して第2の部分チャンバ11から少量のブレーキ流体のみを引き出す。リニアアクチュエータ5は、開放したシーケンス弁26、回路遮断弁40、遮断弁23、及びマスターブレーキシリンダ2を通して、第1の部分チャンバ10からブレーキ流体を引き出す。
【0054】
図4は、
図2のように、アクティブ時間の終了時における第1の部分チャンバ10の体積の急激な減少を同様に示す。しかし、
図5から分かるように、体積は、漏れによって失われたものではなく、第2の部分チャンバ11に供給されている。ここでは、ブレーキ流体体積は、閉鎖されたシーケンス弁26によって漏れから保護される。ブレーキシステムがその後初期化されると、第1の部分チャンバ10は、したがって、第2の部分チャンバ11から補充される。
【0055】
工程106において、第1の部分チャンバ10からブレーキ流体を引き出す工程と、ブレーキ流体を第2の部分チャンバ11に移動させる工程が、予め指定されたサイクル数、例えば3サイクル繰り返される。代替として、第1の部分チャンバ10にセンサを設けることができ、第1の部分チャンバ10が空になったことをセンサが示すまで、ブレーキ流体が移動される。
【0056】
本発明は、スリープモードにおけるブレーキ流体の損失を防止し、したがって、ブレーキシステムが長期にわたって機能できるようにする。
【符号の説明】
【0057】
1 ブレーキペダル
2 マスターブレーキシリンダ
3 シミュレーションデバイス
4 圧力媒体貯蔵タンク
5 圧力印加デバイス
6a~d 入口弁
7a~d 出口弁
8a~d 車輪ブレーキ
9 復元ばね
10 第1の部分チャンバ
11 第2の部分チャンバ
12 制御システム
13 ブレーキ供給ライン
14 戻りライン
16 ハウジング
17 圧力チャンバ
19 システム圧力センサ
20 マスターシリンダ圧力センサ
22 第1のフィードライン
23 遮断弁
24 ピストンロッド
25 移動センサ
26 シーケンス弁
29 シミュレータチャンバ
30 シミュレータ後部チャンバ
31 シミュレータピストン
32 シミュレータイネーブル弁
33 弾性要素
35 ピストン
36 電動機
37 圧力チャンバ
38 フィードライン
39 回転並進機構
40 回路遮断弁
41 圧力等化ライン
42 ライン
44 ロータ位置センサ
45 逆止弁
50 第1の部分チャンバ内のブレーキ流体体積
51 第2の部分チャンバ内のブレーキ流体体積
52 第1の部分チャンバ内のブレーキ流体体積
53 第2の部分チャンバ内のブレーキ流体体積
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
本発明は、スリープモードにおけるブレーキ流体の損失を防止し、したがって、ブレーキシステムが長期にわたって機能できるようにする。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.漏れが生じた場合にブレーキシステムを制御する方法であって、前記ブレーキシステムは、ブレーキ流体容器(4)の第1の部分リザーバ(10)に接続された機械的に作動可能なマスターブレーキシリンダ(2)と、前記ブレーキ流体容器(4)の第2の部分リザーバ(11)に接続された電気リニアアクチュエータ(5)とを有し、前記マスターブレーキシリンダ(2)と前記リニアアクチュエータ(5)は、電気的に閉鎖可能な回路遮断弁(40)を介して接続されている、方法において、
待機状態への移行中に漏れが発生した場合、前記リニアアクチュエータ(5)が作動して、開放された回路遮断弁(40)を介して前記第1の部分リザーバ(10)からブレーキ流体体積を取り出し、前記ブレーキ流体体積を前記第2の部分リザーバ(11)に移動させることを特徴とする、
方法。
2.漏れが検出されると、前記ブレーキシステムは、前記回路遮断弁(40)を閉鎖することによって2つの部分回路(I、II)に分離され、第1の部分回路(I)は、少なくとも、前記第1の部分リザーバ(10)を有する前記マスターブレーキシリンダ(2)と、また、関連する入口弁(6a、6b)と出口弁(7a、7b)とを有する2つの第1の車輪ブレーキ(8a、8b)とを含み、第2の部分回路(II)は、少なくとも、前記第2の部分リザーバ(11)を有する前記リニアアクチュエータ(5)と、また、関連する入口弁(6c、6d)と出口弁(7c、7d)とを有する2つの第2の車輪ブレーキ(8c、8d)とを含むことを特徴とする、上記1.に記載の方法。
3.前記ブレーキ流体体積は、前記第2の部分回路(II)に前記漏れが存在する場合にのみ、前記第1の部分チャンバ(10)から前記第2の部分チャンバ(11)に移動されることを特徴とする、上記2.に記載の方法。
4.前記回路分離は、待機状態への移行中に所定の時間にわたって維持され、前記第1の部分チャンバ(10)の前記ブレーキ流体体積は、前記所定の時間の終了時に前記第2の部分チャンバ(11)に移動されることを特徴とする、上記1.~3.のいずれか一つに記載の方法。
5.前記ブレーキシステムは、非通電状態において、前記第1の部分チャンバ(10)が前記車輪ブレーキに接続されるように設計されていることを特徴とする、上記1.~4.のいずれか一つに記載の方法。
6.ブレーキ流体体積は、前記第1の部分リザーバ(10)が空になるまで、前記第1の部分リザーバ(10)から前記第2の部分リザーバ(11)に移動されることを特徴とする、上記1.~5.のいずれか一つに記載の方法。
7.前記ブレーキ流体体積を前記リニアアクチュエータ(5)から前記第2の部分リザーバ(11)に移動させるために、前記回路遮断弁(40)は閉鎖され、漏れのある前記車輪ブレーキ(8d)の前記入口弁(6d)は閉鎖され、漏れのない前記車輪ブレーキ(8c)の前記入口弁(6c)及び前記出口弁(7c)は開放され、前記リニアアクチュエータ(5)は、増圧方向に動作されることを特徴とする、上記1.~6.のいずれか一つに記載の方法。
8.前記ブレーキ流体体積を前記第1の部分チャンバ(10)から前記リニアアクチュエータ(5)に取り出すために、前記リニアアクチュエータ(5)と前記第1の部分チャンバ(10)との間にオープンフロー接続が確立され、前記リニアアクチュエータ(5)は、減圧方向に動作されることを特徴とする、上記1.~7.のいずれか一つに記載の方法。
9.前記オープンフロー接続は、前記マスターブレーキシリンダを介して、並びに/又は少なくとも1つの車輪ブレーキの入口弁及び出口弁を介して確立されることを特徴とする、上記8.に記載の方法。
10.前記ブレーキ流体体積が前記第1の部分チャンバ(10)から取り出されるとき、前記リニアアクチュエータ(5)は、発生する真空が閾値よりも低いままになるように動作されることを特徴とする、上記1.~9.のいずれか一つに記載の方法。
11.前記リニアアクチュエータ(5)は、戻り差圧で開放する逆止弁(45)を介して前記第2の部分チャンバ(11)に接続されており、前記閾値は、前記戻り差圧の2倍よりも低いことを特徴とする、上記10.に記載の方法。
12.自動車用のブレーキシステムであって、ブレーキ流体容器(4)の第1の部分リザーバ(10)に接続された機械的に作動可能なマスターブレーキシリンダ(2)と、前記ブレーキ流体容器(4)の第2の部分リザーバ(12)に接続された電気リニアアクチュエータ(5)とを含み、前記マスターブレーキシリンダ(2)と前記リニアアクチュエータ(5)は、電気的に閉鎖可能な回路遮断弁(40)を介して接続されている、ブレーキシステムにおいて、
前記ブレーキシステムの制御ユニット(12)は、上記1.~11.のいずれか一つに記載の方法のうちの1つを実行するように設計されていることを特徴とする、
ブレーキシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏れが生じた場合にブレーキシステムを制御する方法であって、前記ブレーキシステムは、ブレーキ流体容器(4)の第1の部分リザーバ(10)に接続された機械的に作動可能なマスターブレーキシリンダ(2)と、前記ブレーキ流体容器(4)の第2の部分リザーバ(11)に接続された電気リニアアクチュエータ(5)とを有し、前記マスターブレーキシリンダ(2)と前記リニアアクチュエータ(5)は、電気的に閉鎖可能な回路遮断弁(40)を介して接続されている、方法において、
待機状態への移行中に漏れが発生した場合、前記リニアアクチュエータ(5)が作動して、開放された回路遮断弁(40)を介して前記第1の部分リザーバ(10)からブレーキ流体体積を取り出し、前記ブレーキ流体体積を前記第2の部分リザーバ(11)に移動させることを特徴とする、
方法。
【請求項2】
漏れが検出されると、前記ブレーキシステムは、前記回路遮断弁(40)を閉鎖することによって2つの部分回路(I、II)に分離され、第1の部分回路(I)は、少なくとも、前記第1の部分リザーバ(10)を有する前記マスターブレーキシリンダ(2)と、また、関連する入口弁(6a、6b)と出口弁(7a、7b)とを有する2つの第1の車輪ブレーキ(8a、8b)とを含み、第2の部分回路(II)は、少なくとも、前記第2の部分リザーバ(11)を有する前記リニアアクチュエータ(5)と、また、関連する入口弁(6c、6d)と出口弁(7c、7d)とを有する2つの第2の車輪ブレーキ(8c、8d)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブレーキ流体体積は、前記第2の部分回路(II)に前記漏れが存在する場合にのみ、前記第1の部分チャンバ(10)から前記第2の部分チャンバ(11)に移動されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記回路分離は、待機状態への移行中に所定の時間にわたって維持され、前記第1の部分チャンバ(10)の前記ブレーキ流体体積は、前記所定の時間の終了時に前記第2の部分チャンバ(11)に移動されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ブレーキシステムは、非通電状態において、前記第1の部分チャンバ(10)が前記車輪ブレーキに接続されるように設計されていることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ブレーキ流体体積は、前記第1の部分リザーバ(10)が空になるまで、前記第1の部分リザーバ(10)から前記第2の部分リザーバ(11)に移動されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ブレーキ流体体積を前記リニアアクチュエータ(5)から前記第2の部分リザーバ(11)に移動させるために、前記回路遮断弁(40)は閉鎖され、漏れのある前記車輪ブレーキ(8d)の前記入口弁(6d)は閉鎖され、漏れのない前記車輪ブレーキ(8c)の前記入口弁(6c)及び前記出口弁(7c)は開放され、前記リニアアクチュエータ(5)は、増圧方向に動作されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ブレーキ流体体積を前記第1の部分チャンバ(10)から前記リニアアクチュエータ(5)に取り出すために、前記リニアアクチュエータ(5)と前記第1の部分チャンバ(10)との間にオープンフロー接続が確立され、前記リニアアクチュエータ(5)は、減圧方向に動作されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記オープンフロー接続は、前記マスターブレーキシリンダを介して、並びに/又は少なくとも1つの車輪ブレーキの入口弁及び出口弁を介して確立されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ブレーキ流体体積が前記第1の部分チャンバ(10)から取り出されるとき、前記リニアアクチュエータ(5)は、発生する真空が閾値よりも低いままになるように動作されることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記リニアアクチュエータ(5)は、戻り差圧で開放する逆止弁(45)を介して前記第2の部分チャンバ(11)に接続されており、前記閾値は、前記戻り差圧の2倍よりも低いことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
自動車用のブレーキシステムであって、ブレーキ流体容器(4)の第1の部分リザーバ(10)に接続された機械的に作動可能なマスターブレーキシリンダ(2)と、前記ブレーキ流体容器(4)の第2の部分リザーバ(12)に接続された電気リニアアクチュエータ(5)とを含み、前記マスターブレーキシリンダ(2)と前記リニアアクチュエータ(5)は、電気的に閉鎖可能な回路遮断弁(40)を介して接続されている、ブレーキシステムにおいて、
前記ブレーキシステムの制御ユニット(12)は、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法のうちの1つを実行するように設計されていることを特徴とする、
ブレーキシステム。
【国際調査報告】