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特表2024-520855PVD方法に基づいた低抵抗材料の比抵抗及び結晶性の制御方法
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  • 特表-PVD方法に基づいた低抵抗材料の比抵抗及び結晶性の制御方法 図1
  • 特表-PVD方法に基づいた低抵抗材料の比抵抗及び結晶性の制御方法 図2
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  • 特表-PVD方法に基づいた低抵抗材料の比抵抗及び結晶性の制御方法 図6
  • 特表-PVD方法に基づいた低抵抗材料の比抵抗及び結晶性の制御方法 図7A
  • 特表-PVD方法に基づいた低抵抗材料の比抵抗及び結晶性の制御方法 図7B
  • 特表-PVD方法に基づいた低抵抗材料の比抵抗及び結晶性の制御方法 図7C
  • 特表-PVD方法に基づいた低抵抗材料の比抵抗及び結晶性の制御方法 図7D
  • 特表-PVD方法に基づいた低抵抗材料の比抵抗及び結晶性の制御方法 図7E
  • 特表-PVD方法に基づいた低抵抗材料の比抵抗及び結晶性の制御方法 図7F
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】PVD方法に基づいた低抵抗材料の比抵抗及び結晶性の制御方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/14 20060101AFI20240517BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20240517BHJP
   C23C 14/35 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C23C14/14
C23C14/06
C23C14/35
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576230
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 KR2022008042
(87)【国際公開番号】W WO2023277370
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0085404
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シム,チャンミン
(72)【発明者】
【氏名】オ,ドヒョン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ハン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ビョンファ
(72)【発明者】
【氏名】中山 高博
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 友大
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA08
4K029BA02
4K029BA06
4K029BA11
4K029BA16
4K029BA17
4K029BA35
4K029BA58
4K029BA60
4K029BB02
4K029BD02
4K029CA06
4K029DB03
4K029DC34
4K029DC35
4K029DC39
(57)【要約】
【課題】アモルファスTiN膜がRuの粒子サイズを増加させて結晶性を改善させ、Ruのボイドの生成を抑制して結晶性を向上させ、TiN層上にRuを成膜することで比抵抗の低いRu膜を取得することのできる低抵抗材料の成膜方法。
【解決手段】本発明における低抵抗材料の成膜方法は、物理気相蒸着を用いて半導体基板上に成膜する低抵抗材料の成膜方法であって、a)SiOウェハー上に1~40Paの圧力、低温マグネトロンスパッタリングを用いてバリア層を積層するステップと、b)バリア層の積層後、DC電力を印加せずにArガスの雰囲気下でRFバイアスを印加してバリア層の表面を改質するステップと、c)バリア層上にマグネトロンスパッタリングを用いて低抵抗材料を積層するステップと、を含み、低抵抗材料は、タングステン、ルテニウム、モリブデン、コバルト、及びロジウムからなる群より選択された1つ以上である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理気相蒸着(PhysicalVapor Deposition;PVD)を用いて半導体基板上に成膜する低抵抗材料の成膜方法であって、
a)SiOウェハー上に1~40Paの圧力、低温マグネトロンスパッタリングを用いてバリア層を積層するステップと、
b)前記バリア層の積層後、DC電力を印加せずにArガスの雰囲気下でRFバイアスを印加してバリア層の表面を改質するステップと、
c)バリア層上にマグネトロンスパッタリングを用いて低抵抗材料を積層するステップと、
を含み、
前記低抵抗材料は、タングステン(W)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、及びロジウム(Rh)からなる群より選択された1つ以上であることを特徴とする、低抵抗材料の成膜方法。
【請求項2】
前記バリア層は、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)及び窒化ケイ素(SiN;>0)からなる群より選択された1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載の低抵抗材料の成膜方法。
【請求項3】
前記バリア層の厚さは4nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の低抵抗材料の成膜方法。
【請求項4】
前記バリア層はTiN層であり、
前記ステップa)におけるマグネトロンスパッタリングの実施条件は、DC10~30kW、RF200W以下、Ar/N比率が1/10以下、及び圧力1~40Paであることを特徴とする、請求項1に記載の低抵抗材料の成膜方法。
【請求項5】
前記ステップb)は、100~300W及び10~60秒の間にRFバイアスを印加することを特徴とする、請求項1に記載の低抵抗材料の成膜方法。
【請求項6】
前記ステップb)は、300W及び10秒の間にRFバイアスを印加することを特徴とする、請求項1に記載の低抵抗材料の成膜方法。
【請求項7】
前記ステップc)における積層の厚さは、10~30nmであることを特徴とする、請求項1に記載の低抵抗材料の成膜方法。
【請求項8】
前記ステップc)は、低抵抗材料の核形成層(シード層)を形成するステップ、及び前記低抵抗材料の結晶層を形成するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の低抵抗材料の成膜方法。
【請求項9】
前記核形成層(シード層)の厚さは、4nm以上であることを特徴とする、請求項8に記載の低抵抗材料の成膜方法。
【請求項10】
前記結晶層形成ステップは、核形成層形成ステップよりも高いDC電力を印加することを特徴とする、請求項8に記載の低抵抗材料の成膜方法。
【請求項11】
前記核形成層形成ステップのRFは0Wであることを特徴とする、請求項8に記載の低抵抗材料の成膜方法。
【請求項12】
前記核形成層(シード層)及び結晶層の厚さの和が10~30nmであることを特徴とする、請求項9に記載の低抵抗材料の成膜方法。
【請求項13】
前記低抵抗材料は、ルテニウム(Ru)であることを特徴とする、請求項1又は8に記載の低抵抗材料の成膜方法。
【請求項14】
前記バリア層と低抵抗材料が成膜された半導体基板は、28nm未満のピッチ(pitch)の微細パターン用であることを特徴とする、請求項1に記載の低抵抗材料の成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理気相蒸着(PhysicalVapor Deposition;PVD)を利用した半導体基板膜の比抵抗及び結晶性の制御方法に関し、具体的に、PVDを用いてSiOウェハー上に窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、又は窒化ケイ素(SiN;x>0)からなるバリア層を積層し、アフターバイアス(After Bias)処理を実施した後、W、Ru、Co、Rh、又はMoを積層するステップを含む半導体基板膜の比抵抗及び結晶性の制御方法又は低抵抗材料(W、Ru、Mo、Co、Rhなど)の成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の微細化により次世代の配線構造において、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)のような比抵抗の低い材料が検討されており、そのうちRuは、Cuの代替材料として盛んに研究開発されている物質の1つである。Ruは、接着(Adhesion)及びバリア層(Barrier layer)としてTiN(TaN、SiNx)と共に積層されて使用され、下部層(TiN)にRuを積層したとき、TiNのオリエンテーション(Orientation)に基づいてボイド(Void)の発生及び結晶性が低下するという問題が発生した。
【0003】
それを解決するために本発明では、下部膜TiNをPVD低温(100℃以下)、高圧プロセスを介してアモルファス(Amorphous)(非結晶性)類似膜を蒸着し、連続的にアフターバイアス(After Bias)処理を行ってTiNの粗さ(Roughness)を改善した。前記プロセスで作られたTiN層にRuを積層した場合、ボイドの改善及び比抵抗が減少するという効果を確認した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
(特許文献1)韓国公開特許公報第10-2019-0051082号(2019.05.14)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
TiNの場合、膜密度、抵抗などの膜質を改善するためにCVD(ChemicalVapor Deposition;化学気相蒸着法)及びALD(Atomic Layer Deposition;原子層蒸着法)工程を使用し、PVD(PhysicalVapor Deposition;物理気相蒸着法)工程では、RFバイアス印加及び高温成膜プロセスを介してTiNを蒸着する。しかし、本発明は、TiN層をPVD工法を介して意図的にアモルファス類似(Amorphous like)(比抵抗の高い)膜質を取得し、それを介して、アモルファス(非結晶性)TiN膜がRuの粒子サイズ(grain size)を増加させて結晶性を改善させるという効果を挙げることを目的とする。
【0006】
また、Ruを成膜する前にアモルファス類似膜のTiNにアフターバイアス(Treatment、Bombardment)を印加することで、TiNの粗さを改善させ、Ruのボイドの生成を抑制して結晶性を向上させるだけでなく、TiN層上にRuを成膜することで比抵抗の低いRu膜を取得することを目的とする。
【0007】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されない更なる課題は、下記の記載によって当技術分野の通常の知識を有する者にとって明確に理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、物理気相蒸着(PhysicalVapor Deposition;PVD)を用いて半導体基板上に成膜する低抵抗材料の成膜方法であって、a)SiOウェハー上に1~40Paの圧力、低温マグネトロンスパッタリングを用いてバリア層を積層するステップと、b)前記バリア層の積層後、DC電力を印加せずにArガスの雰囲気下でRFバイアスを印加してバリア層の表面を改質するステップと、c)バリア層上にマグネトロンスパッタリングを用いて低抵抗材料を積層するステップとを含み、前記低抵抗材料は、タングステン(W)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、及びロジウム(Rh)からなる群より選択された1つ以上であることを特徴とする低抵抗材料の成膜方法が提供される。
【0009】
前記バリア層は、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、及び窒化ケイ素(SiN;x>0)からなる群より選択された1つ以上であってもよい。
【0010】
前記ステップc)は、低抵抗材料の核形成層(シード層)を形成するステップ、及び前記低抵抗材料の結晶層を形成するステップを含むことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態に係る半導体基板膜のRu、W、Mo、Co、Rhのような低抵抗材料の成膜方法は、TiN層をPVD工法を用いてアモルファス(非結晶性)類似膜質を取得し、それを通じてRuなどの粒子サイズを増加させることで結晶性を改善させ得るという効果がある。また、前記TiN層にアフターバイアスを処理することによってTiN層の粗さを改善させることができ、適正のRFバイアスと時間を調節することによって、TiN層の粗さ改善を通した最適なボイド生成の抑制及び結晶性を向上させ得るという効果を示し、これにより窮極的に比抵抗及び結晶性を制御することができる。
【0012】
また、TiN層上にRu層を2段階(2steps)に積層することによって、第2段階(2nd step)の積層条件に関係なく、第1段階(1st step)の核形成(Nucleation)を制御し、粒子サイズを大きくすると共に比抵抗を低減させ得るという効果がある。
【0013】
さらに、TiNの成膜条件(DC電圧、RF電圧、Ar、N流量、圧力など)を調節することで、アフターバイアスの効果を最適に調節することができ、それを通じて究極的に、ボイドが改善されて比抵抗が減少した半導体基板膜を提供することができ、ALD、CVDなどを利用せずにPVDを介して半導体基板膜の比抵抗及び結晶性を制御できるという効果がある。
【0014】
本発明の効果は、前記効果に限定されず、本発明の詳細な説明又は請求範囲に記載された発明の構成から推論可能な全ての効果を含むものとして理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るTiN及びRuの積層工程プロセスを示す図である。
図2】TiN膜を形成するための工程を示す図である。
図3】アフターバイアス(After Bias)及びRu膜を形成するための工程を示す図である。
図4】(A)は、TiN(4nm)積層後、別途の処理なしにRu(30nm)を積層した場合、TiN表面の不安定、TiN結晶化、及びTiN表面の粗さに応じてRu結晶性のランダム化が行われ、粒子サイズが減少して比抵抗の上昇される結果を示す図であり、(B)は、高圧(1~40Pa)及び低温(100℃以下)でTiN(4nm)を成膜し、アフターバイアス処理後にRu(30nm)を積層した場合、粗さ及び比抵抗が改善された結果を示す図である。
図5】互いに異なる条件(RF電力、時間)のアフターバイアス処理後に、Ruを同じ条件で2段階(2steps)蒸着するRu層の比抵抗値の変化を測定した結果を示す図である。
図6】Ru層をDC電力(0.5kW、2kW、4kW)ごとに1段階(1step)蒸着を実施して粒子サイズ及び比抵抗の変化を示した結果と、Ru層の第1層(1st layer)を0.5kW DC電力で蒸着した後、第2層(2nd layer)を2kW DC電力で蒸着した場合における粒子サイズ及び比抵抗を示した結果を比較した図である。
図7A】SiO上にRu層(30nm)を単一段階(1step)で蒸着した後、粒子サイズ及び比抵抗値(10.79μΩcm)を測定した結果を示す図である。
図7B】SiO上にRu層(26nm/4nm)を2段階(2steps)で蒸着した後、粒子サイズ及び比抵抗値(10.50μΩcm)を測定した結果を示す図である。
図7C】SiO上にTiN(4nm)を積層した後、アフターバイアス処理を行わず、TiN(4nm)上にRu層を単一段階(1step)で蒸着した後、粒子サイズ、粒子数及び比抵抗値(12.77μΩcm)を測定した結果を示す図である。
図7D】SiO上にTiN(4nm)を積層した後、アフターバイアス処理し、TiN(4nm)上にRu層を単一段階(1step)で蒸着した後、粒子サイズ、粒子数、及び比抵抗値(11.67μΩcm)を測定した結果を示す図である。
図7E】SiO上にTiN(4nm)を積層した後、アフターバイアス処理を行わず、TiN(4nm)上にRu層を2段階(2steps)で蒸着した後、粒子サイズ、粒子数、及び比抵抗値(12.15μΩcm)を測定した結果を示す図である。
図7F】SiO上にTiN(4nm)を積層した後、アフターバイアス処理し、TiN(4nm)上にRu層を2段階(2teps)に蒸着した後、粒子サイズ、粒子数及び比抵抗値(11.08μΩcm)を測定した結果を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付する図面を参照しながら実施形態を詳細に説明する。しかし、実施形態には様々な変更が加えられてもよく、特許出願の権利範囲がこのような実施形態によって制限されたり限定されることはない。実施形態に対する全ての変更、均等物ないし代替物が権利範囲に含まれるものとして理解しなければならない。
【0017】
実施形態で用いられる用語は、単に、説明を目的として使用されたものであり、限定しようとする意図として解釈されることはない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0018】
異なるように定義さがれない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0019】
また、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関係なく、同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略することにする。実施形態の説明において、関連する公知技術に対する具体的な説明が実施形態の要旨を不要に曖昧にするものと判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、物理気相蒸着(PhysicalVapor Deposition;PVD)を用いて半導体基板上に成膜する低抵抗材料の成膜方法であって、
a)SiOウェハー上に1~40Paの圧力、低温(100℃以下)マグネトロンスパッタリングを用いてバリア層を積層するステップと、
b)前記バリア層の積層後、DC電力を印加せずにArガスの雰囲気下でRFバイアスを印加してバリア層の表面を改質するステップと、
c)バリア層上にマグネトロンスパッタリングを用いて低抵抗材料を積層するステップと、
を含み、
前記低抵抗材料は、タングステン(W)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、及びロジウム(Rh)からなる群より選択された1つ以上であることを特徴とする低抵抗材料の成膜方法が提供される。
【0021】
前記ステップa)を介して形成されるバリア層は窒化チタン(TiN)だけでなく、窒化タンタル(TaN)又は窒化ケイ素(SiN;x>0)からなり、バリア層の厚さは、好ましくは4nm以下であってもよい。
【0022】
一方、4nmを超過する場合、Ru/TiNの成膜時にRuのような低抵抗材料の比抵抗が高くなるにつれ、信号遅延及び電圧下降の問題が生じる恐れがあり、デバイス性能が低下するという問題が発生する。
【0023】
前記ステップa)におけるマグネトロンスパッタリングの実施に係るTiNなどの積層条件は様々な条件下で実施されるが、高圧及び低温(100℃以下)でマグネトロンスパッタリングを用いてもよく、特に、従来のPVDプロセスでは、普通0.1~0.9Paの圧力下で実施される一方、本発明では1~40Paのような高圧で実施され得る特徴がある。
【0024】
また、TiNなどの成膜条件に応じて、アフターバイアス(After bias)効果が一部相違に示され、最適化された成膜条件でアモルファス化されたTiNなどで最も優れる結果(低い比抵抗性)を示すの点で、TiNの成膜条件はDC電力:10~30kW、RF電力:200W以下、Ar/Nの比率が1/10以下、圧力:1~40Pa、及び低温(100℃以下)の条件に最も適する。
【0025】
一方、接着(Adhesion)及びバリア(Barrier)のためには、SiOウェハー上に、TiNなどの下部膜と共にRuのような低抵抗材料がその上部に積層して使用されるが、この場合、Ru/TiN構造により比抵抗が上昇するという問題が生じる。
【0026】
このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態により、ステップa)のバリア層の積層後、低抵抗材料の積層以前に、Arガスの雰囲気下でRFバイアスを印加してアフターバイアスを実施することによって、TiN表面を改質させることができる。
【0027】
ステップb)のアフターバイアスを介して低抵抗材料が最終成膜された半導体基板の比抵抗性は減少するが、これは、既存のアフターバイアスを実施しない場合に存在した不安定なTiN層の表面の粗さを改善し、結合内の不純物(酸素など)を除去することによって、その上に成膜されている低抵抗材料(Ru、Mo、W、Co、Rhなど)の粒子サイズが増大してボイドは減少し、最終的に比抵抗が改善されるという効果を有する。
【0028】
一方、図5に示すように、前記ステップb)のRF電力及び時間を調節することによって、このような比抵抗性が最終的に調節され得ることを確認でき、50~300W及び10~100秒の間、好ましくは、100~300W及び10~100秒の間、より好ましくは、100~300W及び10~60秒の間、特に好ましくは、300W及び10秒~50秒の間にRFバイアスを印加した場合、比抵抗性が既存に比べて著しく減少し、粒子サイズの増加及びボイドが減少することが分かる。
【0029】
本発明の一実施形態により、前記ステップb)のアフターバイアスを実施した後には、Ru、W、Mo、Co、Rhのような低抵抗材料をマグネトロンスパッタリングを用いて積層し、所望する厚さだけ積層されるまで蒸着を実施する(ステップc)。
【0030】
この場合、前記ステップc)を通した低抵抗材料の積層の厚さは10~30nmであってもよく、所望する厚さだけ蒸着される場合、チャンバーからウェハーを除去し、低抵抗材料の成膜工程を完了する。
【0031】
一方、前記ステップc)は、前述したように、単一段階(1step)で蒸着が行われるが、シード層である核形成層を形成する第1段階(1st step)と結晶層を形成する第2段階(2nd step)に分類し、二重層に形成(2steps)することも可能である。
【0032】
この場合、図7に示すように、低抵抗材料(Ruなど)が二重層で形成されている図7E及び図7Fの場合が、単一段階で蒸着された図7C及び図7Dの場合に比べて粒子サイズがさらに大きく、粒子数がさらに少なく、比抵抗が小さいことが確認され、低抵抗材料を二重層で形成(2steps)することが単一段階(1step)で形成することに比べてより好ましいと言える。ここで、粒子数はそれぞれのSEMイメージにおいて、同じサイズの一定部分(区域)の粒子数を直接カウントして算出した。
【0033】
一方、第1段階の実施条件を相違にして核形成(Nucleation)を制御することで、第2段階の蒸着条件とは関係なく比抵抗を低下させることができ、また、結晶層の形成ステップで核形成層の形成ステップよりも高いDC電力を印加したにもかかわらず、核形成層の形成ステップと同じDC電力を単一段階で実施する場合と同等な程度の比抵抗が確保でき、これによって成膜時間の短縮及び分布が改善されるという長所がある。
【0034】
一実施形態として、例えば、単一段階(1step)として、0.5kW、2kW、及び4kWのDC電力をそれぞれ用いてRu層を積層した場合、DC電力が増加することにより粒子サイズが小さくなり、比抵抗が大きくなることが確認され(図6)、単一段階として、0.5kWのDC電力を用いた場合の粒子サイズが、第1段階として0.5kWを使用し、第2段階として2kWを使用した場合の粒子サイズとほとんど同一であることが確認される(図6)。
【0035】
一方、低抵抗材料を成膜することにおいて、単一段階(1step)で蒸着される場合、低抵抗材料の成膜条件はDC電力が2~8kWであってもよく、RF電力が50Wであってもよい。前記DC電力が2kWよりも低い場合、成膜時間が長くなって量産に悪影響を及ぼすだけでなく、成膜分布が悪くなり、8kWを超過する場合には、粒子サイズが極めて小さく形成され、比低抵抗値が大きくなるという結果を招く。
【0036】
また、シード層である核形成層を形成する第1段階(1st step)と結晶層を形成する第2段階(2nd step)に分類し、二重層で低抵抗材料の膜を形成(2steps)する場合には、第1段階における成膜時にDC電力は0.3~1kWであってもよく、この場合にRF電力は印加されない。DC電力が0.3kWよりも低い場合に放電し難く、1kWを超過すれば、比抵抗値が大きくなるという問題が生じる。さらに、第2段階における成膜時に、DC電力が2kWよりも低くなれば、成膜時間が長くなって量産に悪影響を与える恐れがあり、成膜分布が悪くなり、10kWを超過れば、粒子サイズが小さく形成されて比抵抗値が大きくなる結果を招くことから、2~10kWが好ましく、この場合にRF電力は50Wであってもよい。
【0037】
また、前記核形成層(シード層)の厚さは4nm未満である場合には核形成(Nucleation)が円満に行われないという点で4nm以上であることが好ましく、核形成層及び結晶層の厚さの和は10~30nmであることが好ましい。一方、低いパワーで成膜された核形成層が厚いほど粒子サイズを大きくすることができ、これは比抵抗を改善することに繋がる点て、核形成層の厚さの上限は大きく存在せず、量産の側面を考慮したとき核形成層を厚くする場合、成膜工程が長時間費やされる点で、核形成層の厚さは4nmであることが適切なものと考えられる。
【0038】
以上で記述したような方法により製造されたTiNなどのバリア層と、Ru、W、Mo、Co、Rhのような低抵抗材料が成膜された半導体基板は、半導体素子の微細化により次世代の配線構造に使用され、特に、28nm未満のピッチ(pitch)の微細パターン用として使用されることに適している。
【0039】
以下、実施形態を介して本発明を詳細に説明する。下記の実施形態は、本発明を例示するための目的として記述されたもので、本発明の範囲がこれに限定されることはない。
<実施形態>
1)TiNの積層方法
【0040】
ENTRON-EXという試験装備を用いて、物理気相蒸着(PVD)システムを基盤に成膜を行った。TiNとRu成膜は、互いに異なる工程チャンバーで行われ、基板はSiO基板を使用した。
【0041】
基板は、Load lockチャンバーを経てTiNチャンバーに伝えられ、基板を固定し、成膜に適切な基板温度のためにESCにパワーを印加し、チャンバー内のAr/Nガスを供給する。チャンバー内の放電のために、ターゲット部にDCを印加し、基板ステージ部にRFを印加し、ターゲットから蒸着物質が基板に向かうようにして成膜がなされる。ここで、RFは、イオンをステージ側に引っ張ることにより膜質及び分布を制御する役割を果たし、TiNの成膜条件は次のとおりである。
【0042】
DC:10kW~30kW、
RF:200W以下、
Ar/N比率:1/10以下、
圧力:1~40Pa(高圧)、
温度:低温(100℃以下)
2)アフターバイアス(After bias)処理方法
【0043】
アフターバイアスを処理するために、TiN蒸着が完了した後、基板をRuチャンバーに移動する。チャンバー内のArガスを供給し、ステージにRFバイアスを印加し、Arイオンを基板に引っ張ることによって処理し、アフターバイアス条件は下記のとおりである。
【0044】
DC:0kW、
Ar:170sccm、
RF:300W、
時間及び温度:10sec、200℃以上の高温
3)低抵抗材料(Ru)の蒸着方法
-単一段階(1step)成膜方法
【0045】
アフターバイアスの処理後、同じRuチャンバー内でアフターバイアス処理されたTiN膜上にRu膜を蒸着するために、DC電力2kW、RF電力50W、Ar流量170sccm、470℃、65秒間の成膜条件でRuを成膜し、その結果、30nmの厚さの単一層からなるRu膜を取得した。
2段階(2steps)成膜方法
【0046】
前記単一成膜ステップと同様に、アフターバイアスの処理後、同じRuチャンバー内でアフターバイアス処理されたTiN膜上にRu膜を30nm蒸着した。ここで、Ruの成膜は、低パワー条件の第1段階と、高パワー条件の第2段階を順に適用して蒸着し、該当段階における実施した条件と成膜の厚さは下記のとおりである。
【0047】
第1段階:DC0.5kW、RF0W、Ar170sccm、76sec、470℃、4nm(成膜の厚さ)
【0048】
第2段階:DC2kW、RF50W、Ar170sccm、56sec、470℃、26nm(成膜の厚さ)
【0049】
一方、粒子サイズが大きくなるほど比抵抗は改善されるが、これは低パワーで行ったとき粒子サイズがさらに大きくなる傾向がある。但し、量産を考慮したとき時間的な部分も重要であるため、高パワー成膜に時間を短縮させる必要があることから、前記のように2段階(2steps)に分類して成膜を行う。
【0050】
即ち、Ru成膜の第1段階で粒子サイズの影響を受け、第2段階で高パワーを行っても大きい粒子サイズを有し、これにより比抵抗及び量産性が部分的に改善された結果を有する。
【0051】
Ru成膜後に、ウェハーはTransfer Chamberを経てFoupに戻り、本試験を終了した。
【0052】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記に基づいて様々な技術的な修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順に実行されたり、及び/又は説明された構成要素が説明された方法とは異なる形態に結合又は組み合わせられたり、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果を達成することができる。
【0053】
従って、他の実現、他の実施形態、及び特許請求の範囲と均等なものなども後述する請求の範囲の範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
【国際調査報告】