(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-27
(54)【発明の名称】熱伝導性シリコーン組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/07 20060101AFI20240520BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20240520BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20240520BHJP
C08K 9/06 20060101ALI20240520BHJP
C08K 5/54 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
C08K3/22
C08K9/06
C08K5/54
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571409
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 CN2021094078
(87)【国際公開番号】W WO2022241604
(87)【国際公開日】2022-11-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】シン,ウェンタオ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,イー
(72)【発明者】
【氏名】ホゥ,シャオロン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CP042
4J002CP121
4J002CP131
4J002CP141
4J002DA119
4J002DD049
4J002DE146
4J002DE147
4J002EX018
4J002EX038
4J002EX068
4J002FB096
4J002FB097
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD208
4J002FD209
4J002GQ00
4J002GQ01
4J002GQ05
(57)【要約】
本発明は、(A)少なくとも1種のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン;(B)分子中のケイ素原子に直接結合した少なくとも2個の水素原子を有する少なくとも1種のオルガノ水素ポリシロキサン;(C1)少なくとも0.01μm以上5μm以下のD50粒径を有する1種または複数種のシラン表面処理されたアルミナ粒子;(C2)5μmを超えるD50粒径を有する1種または複数種のシラン表面処理されたアルミナ粒子;(D)少なくとも1種のシランカップリング剤;および(E)少なくとも1種の白金系硬化触媒;を含む熱伝導性シリコーン組成物であって、成分(C1)が、前記組成物の重量に基づいて62重量%未満の量で存在し、前記成分(C2)が、前記組成物の重量に基づいて80重量%未満の量で存在する、組成物を提供し、この組成物は、良好な流動性並びに硬化時の高い熱伝導率および良好なラップせん断強度などの特性の好ましい組み合わせを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン;
(B)分子中のケイ素原子に直接結合した少なくとも2個の水素原子を有する少なくとも1種のオルガノ水素ポリシロキサン;
(C1)少なくとも0.01μm以上5μm以下のD
50粒径を有する1種または複数種のシランで表面処理されたアルミナ粒子;
(C2)5μmを超えるD
50粒径を有する1種または複数種のシランで表面処理されたアルミナ粒子;
(D)少なくとも1種のシランカップリング剤;および
(E)少なくとも1種の白金系硬化触媒;
を含む熱伝導性シリコーン組成物であって、
成分(C1)が、前記組成物の重量に基づいて62重量%未満の量で存在し、前記成分(C2)が、前記組成物の重量に基づいて80重量%未満の量で存在する、熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項2】
前記成分(A)が一般式(1):
【化1】
(式中R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、非置換または置換の一価炭化水素基を表し、Mは0より大きく1未満の範囲の数を表し、D、T、およびQは、それぞれ独立して、0~1未満の数を表す、ただしM、D、TおよびQの合計は1である。)
で表される、請求項1に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項3】
一般式(1)における前記非置換または置換の一価炭化水素基が、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基およびn-エイコシル基から選択される、直鎖アルキル基;好ましくはイソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、2-メチルウンデシル基および1-ヘキシルヘプチル基から選択される、分岐鎖アルキル基;好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロドデシル基から選択される、環状アルキル基;好ましくはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基およびヘキセニル基から選択される、アルケニル基;好ましくはフェニル基、トリル基およびキシリル基から選択される、アリール基;好ましくはベンジル基、フェネチル基、および2-(2,4,6-トリメチルフェニル)プロピル基から選択される、アラルキル基;ならびに、好ましくは3,3,3-トリフルオロプロピル基および3ークロロプロピル基から選択される、ハロゲン化アルキル基から選択され;好ましくは直鎖アルキル基、アルケニル基、およびアリール基から選択され;より好ましくはメチル基、エチル基、ビニル基およびフェニル基から選択される、請求項1または2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項4】
前記成分(B)が、一般式(2):
【化2】
(式中R
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11は、それぞれ独立して、非置換または置換の一価炭化水素基または水素を表す、ただしR
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11のうちの少なくとも2つは、分子中のケイ素原子に直接結合した水素原子であり、M’、D’、T’およびQ’は、それぞれ0~1未満の範囲の数を表す、ただし、M’、D’、T’およびQ’の合計は1である。)
で表される、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項5】
前記成分(C1)が、少なくとも0.1μm以上2μm以下、より好ましくは少なくとも0.1μm以上1μm以下のD
50粒径を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項6】
前記成分(C2)が、7μmを超える、より好ましくは20μmを超える、さらにより好ましくは50μmを超えるD
50粒径を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項7】
前記成分(A)が、前記組成物の総重量に基づいて、1重量%~20重量%、好ましくは2重量%~15重量%の量で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項8】
前記成分(B)が、前記組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~20重量%、好ましくは1重量%~10重量%の量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項9】
前記成分(C1)が、前記組成物の総重量に基づいて、5重量%~55重量%、より好ましくは10重量%~50重量%、さらにより好ましくは10重量%~45重量%の量で存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項10】
前記成分(C2)が、前記組成物の総重量に基づいて、10重量%~72重量%、より好ましくは10重量%~60重量%、さらにより好ましくは10重量%~45重量%の量で存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項11】
前記成分(D)が、前記組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~5重量%、好ましくは0.1重量%~3重量%の量で存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項12】
前記成分(E)が、前記組成物の総重量に基づいて、1重量ppm~1000重量ppm、好ましくは1重量ppm~500重量ppmの量で存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項13】
前記組成物がさらに成分(C1)および成分(C2)以外の成分(F)少なくとも1種の熱伝導性フィラーを、前記組成物の総重量に基づいて40重量%未満、好ましくは30重量%以下の量で含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項14】
前記組成物が成分(G)硬化反応抑制剤、顔料、染料、蛍光染料、耐熱添加剤、難燃剤、可塑剤、接着性付与剤、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項15】
前記成分を室温で同時に混合する工程を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物を調製する方法。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物の硬化物。
【請求項17】
電子デバイスの製造における、請求項1~14のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物または請求項16に記載の硬化物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性シリコーン組成物に関し、特に、良好な流動性、並びに硬化時に高い熱伝導率および良好なラップせん断強度を示す熱伝導性シリコーン組成物、その調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、トランジスタ、集積回路、メモリー素子などの電子素子のプリント配線板やハイブリッドICの設計において、良好な流動性、並びに硬化時に高い熱伝導率および良好なラップせん断強度を示す熱伝導性シリコーン組成物の需要が高まっている。
【0003】
こうした熱伝導性シリコーン組成物としては、ビニル基を有するオルガノポリシロキサン、オルガノ水素ポリシロキサン、熱伝導性フィラー、アミノシラン、エポキシシランまたはアルキルチタネートから選択される密着性付与剤、および白金型触媒を含有する熱伝導性シリコーン組成物を例示できる。こうした熱伝導性シリコーン組成物から得られる硬化体の熱伝導率を向上させるためには、組成物に多量の熱伝導性フィラーを加えなければいけない。しかしながら、こうしたフィラーの量が増えると、組成物の流動性や成形性が損なわれるだけでなく、こうした組成物から得られる硬化物の物性も低下する。もうひとつの欠点は、さまざまな種類の基材に対する硬化物の接着強度が低いことである。
【0004】
欧州特許出願公開第1726622号明細書には、
(A)式:
【化1】
(式中、R
1は一価炭化水素基を表し、R
2は酸素原子または二価炭化水素基を表し、R
3はアルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基またはアシル基を表し、Lおよびoは1~10の数を表し、mは0~10の数を表し、nは5~100の数を表し、aは1~3の整数を表し、m=0のとき、L+o=2であり、R
2は二価炭化水素基である。)を有するオルガノポリシロキサン、(B)熱伝導性フィラー、および(C)前記成分(A)以外のオルガノポリシロキサンを含む熱伝導性シリコーン組成物が開示されている。前記成分(B)は、好ましくはD
50粒径が0.1~100μmの範囲内、さらにより好ましくは0.1~50μmの範囲内にある。該組成物は良好な取り扱いおよび成形性を示し、該組成物の硬化物は高い熱伝導率を特徴とする。しかし、この熱伝導性シリコーン組成物の硬化物は、比較的接着強度が低く(1.5MPa以下)、電気・電子用途の永久接着には適さない。
【0005】
欧州特許出願公開第1331248号明細書には、(A)各分子中にケイ素原子に結合した平均少なくとも0.1個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、(B)各分子中にケイ素原子に結合した平均少なくとも2個の水素原子を有するオルガノポリシロキサン、(C)熱伝導性フィラー、(D)白金触媒、および(E)特定の構造式で表される加水分解性基およびビニル基を有するメチルポリシロキサンを含む熱伝導性シリコーン組成物が開示されている。しかし、同様に、この熱伝導性シリコーン組成物の硬化物は比較的接着強度が低い(1.4MPa以下)。
【0006】
中国特許出願公開第105916957号明細書には、(A)25℃における粘度が100Pa・s以下である付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、(B)0.1μm以上1μm未満の平均粒径を有する熱伝導性フィラー、および(C)250℃以上350℃未満の沸点を有する溶剤を含む熱伝導性シリコーン組成物が開示されている。前記成分(B)の配合量は、前記成分(A)100質量部当たり100~500質量部である。前記成分(C)の配合量は、前記成分(A)100質量部当たり5~20質量部である。この熱伝導性シリコーン組成物の硬化物は所望の接着強度を有するが熱伝導率が低い(1.2W/(m・K)以下)。
【0007】
欧州特許出願公開第3666781号明細書には、(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン;100質量部、(B)ケイ素原子に直接結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個有するオルガノ水素ポリシロキサン;ケイ素原子に直接結合した水素元素のモル数が、前記(A)成分由来のアルケニル基のモル数の0.1~5.0倍となる量、(C)熱伝導性フィラー;200~3000質量部、(D)白金系硬化触媒;前記(A)成分に対して白金族元素質量換算で0.1~1000ppmとなる量、(E)付加反応制御剤;有効量、および(F-1)請求項1に記載の有機ケイ素化合物;0.01~200質量部を含む熱伝導性シリコーン組成物が開示されている。しかし、この熱伝導性シリコーン組成物の硬化物は、所望の接着強度を有するが、該組成物の粘度が比較的高く(300Pa・sを超える)、取り扱い容易性や成形性に適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1726622号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1331248号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第105916957号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第3666781号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記を考慮して、本発明の目的は、良好な流動性(25℃で100Pa・s未満)、並びに硬化時の高い熱伝導率(1.6W/(m・K)以上)および良好なラップせん断強度(1.6MPa以上)などの特性の好ましい組み合わせを有する熱伝導性シリコーン組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書で開示されるのは、
(A)少なくとも1種のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン;
(B)分子中のケイ素原子に直接結合した少なくとも2個の水素原子を有する少なくとも1種のオルガノ水素ポリシロキサン;
(C1)少なくとも0.01μm以上5μm以下のD50粒径を有する1種または複数種のシランで表面処理されたアルミナ粒子;
(C2)5μmを超えるD50粒径を有する1種または複数種のシランで表面処理されたアルミナ粒子;
(D)少なくとも1種のシランカップリング剤;および
(E)少なくとも1種の白金系硬化触媒;
を含む熱伝導性シリコーン組成物であって、
成分(C1)が、前記組成物の重量に基づいて62重量%未満の量で存在し、前記成分(C2)が、前記組成物の重量に基づいて80重量%未満の量で存在する、組成物である。
【0011】
また、本明細書では本発明の熱伝導性シリコーン組成物を調製する方法も開示する。
【0012】
また、本明細書では本発明の熱伝導性シリコーン組成物の硬化物も開示する。
【0013】
また、本明細書では電子デバイスの製造における本発明の熱伝導性シリコーン組成物および熱伝導性シリコーン組成物の硬化物の使用も開示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
主題の他の特徴および態様は、以下で詳細に説明する。
【0015】
当業者であれば、本発明は例示的な実施形態の説明のみであり、本発明の広範な態様を限定することを目的とするものではないことを理解されたい。そのように説明された各態様は、明確に反対のことが示されない限り、任意の他の態様と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると示された任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示された他の任意の特徴または複数の特徴と組み合わせることができる。
【0016】
本発明の文脈では、別段の定めがない限り、使用される用語は以下の定義に従って解釈される。
【0017】
別段の定めがない限り、本明細書で使用される場合、用語「a」、「an」および「the」は、単数および複数の指示対象を含む。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「comprising」および「comprises」は、「including」、「includes」または「containing」、「contains」と同義であり、包含的もしくはオープンエンドであり、追加の記載されていない部材、要素またはプロセスステップを排除しない。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「室温」は、約20℃~約25℃、好ましくは約25℃の温度を指す。
【0020】
特に指定のない限り、数値の端点の記載は、記載された端点だけでなく、それぞれの範囲に含まれるすべての数値および分数を含む。
【0021】
本明細書中で引用されているすべての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0022】
特に定義しない限り、技術用語および科学用語を含め、本発明で使用されるすべての用語は、本発明が属する技術分野における通常の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0023】
一態様において、本開示は概して
(A)少なくとも1種のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン;
(B)分子中のケイ素原子に直接結合した少なくとも2個の水素原子を有する少なくとも1種のオルガノ水素ポリシロキサン;
(C1)少なくとも0.01μm以上5μm以下のD50粒径を有する1種または複数種のシランで表面処理されたアルミナ粒子;
(C2)5μmを超えるD50粒径を有する1種または複数種のシランで表面処理されたアルミナ粒子;
(D)少なくとも1種のシランカップリング剤;および
(E)少なくとも1種の白金系硬化触媒;
を含む熱伝導性シリコーン組成物であって、
成分(C1)が、前記組成物の重量に基づいて62重量%未満の量で存在し、前記成分(C2)が、前記組成物の重量に基づいて80重量%未満の量で存在する、組成物に関する。
【0024】
〔(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン〕
本発明によれば、熱伝導性シリコーン組成物は、(A)少なくとも1種のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンを含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」は、2~40個の炭素原子および1つ以上の炭素-炭素二重結合(例えば、1、2、3、または4個の二重結合)を有する直鎖または分枝炭化水素基のラジカルを指す(「C2-40アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~30個の炭素原子を有する(「C2-30アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~20個の炭素原子を有する(「C2-20アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~10個の炭素原子を有する(「C2-10アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~9個の炭素原子を有する(「C2-9アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~8個の炭素原子を有する(「C2-8アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~7個の炭素原子を有する(「C2-7アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~6個の炭素原子を有する(「C2-6アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~5個の炭素原子を有する(「C2-5アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~4個の炭素原子を有する(「C2-4アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~3個の炭素原子を有する(「C2-3アルケニル」)。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2個の炭素原子を有する(「C2アルケニル」)。1つ以上の炭素-炭素二重結合は、内部(2-ブテニルなど)または末端(1-ブテニルなど)であってもよい。C2-4アルケニル基の例としては、エテニル(C2)、1-プロペニル(C3)、2-プロペニル(C3)、1-ブテニル(C4)、2-ブテニル(C4)、ブタジエニル(C4)などが挙げられる。C2-6アルケニル基の例としては、上述のC2-4アルケニル基並びにペンテニル(C5)、ペンタジエニル(C5)、ヘキセニル(C6)などが挙げられる。アルケニルの追加の例としては、ヘプテニル(C7)、オクテニル(C8)、オクタトリエニル(C8)などが挙げられる。特に断らない限り、アルケニル基の各例は独立して、非置換である(「非置換アルケニル」)または1つまたは複数の置換基で置換されている(「置換アルケニル」)。特定の実施形態において、アルケニル基は、非置換C2-30アルケニルである。特定の実施形態において、アルケニル基は置換C2-30アルケニルである。
【0026】
いくつかの実施形態において、成分(A)は一般式(1):
【化2】
(式中R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、非置換または置換の一価炭化水素基を表し、Mは0より大きく1未満の範囲の数を表し、D、T、およびQは、それぞれ独立して、0~1未満の数を表す、ただしM、D、TおよびQの合計は1である。)
で表すことができる。
【0027】
いくつかの実施形態において、一般式(1)における前記非置換または置換の一価炭化水素基が、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、およびn-エイコシル基から選択される直鎖アルキル基;好ましくは、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、2-メチルウンデシル基、および1-ヘキシルヘプチル基から選択される分岐鎖アルキル基;好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロドデシル基から選択される環状アルキル基;好ましくはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、およびヘキセニル基から選択されるアルケニル基;好ましくはフェニル基、トリル基、およびキシリル基から選択されるアリール基;好ましくはベンジル基、フェネチル基、および2-(2,4,6-トリメチルフェニル)プロピル基から選択されるアラルキル基;および好ましくは3,3,3-トリフルオロプロピル基および3ークロロプロピル基から選択されるハロゲン化アルキル基から選択され;好ましくは直鎖アルキル基、アルケニル基、およびアリール基から選択され;より好ましくはメチル基、エチル基、ビニル基およびフェニル基から選択される。
【0028】
好ましい実施形態では、上記一般式(1)において、TとQはともに0であり、MとDは0ではなく、MとDの合計は1である。
【0029】
より好ましい実施形態では、上記一般式(1)において、Mは0.01~0.05の範囲であり、Dは0.95~0.99の範囲であり、TおよびQは0であり、MとDの合計は1である。
【0030】
成分(A)の具体例としては、下記のような式:
【化3】
で表されるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンが挙げられる。
【0031】
成分(A)中のアルケニル基の官能基含有量は、好ましくは0.1~1.0mmol/g、より好ましくは0.1~0.6mmol/gの範囲である。
【0032】
成分(A)の25℃における粘度は、好ましくは50~100,000mPa・s、より好ましくは100~50,000mPa・sの範囲である。
【0033】
成分(A)の分子量に特に制限はなく、好ましくは3000~20,000g/molの範囲である。
【0034】
成分(A)は単独でも、2種以上の異なる化合物の組み合わせでも使用できる。
【0035】
こうしたアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、従来公知の方法で製造できる。典型的な製造方法では、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、アルカリまたは酸触媒の存在下でオルガノシクロオリゴシロキサンとヘキサオルガノジシロキサンの平衡化反応を行うことにより製造される。
【0036】
成分(A)の市販品の例としては、Zhejiang Runhe Organicsilicone New Material Co., Ltdから入手可能なRH-Vi500E、RH-Vi70E、RH-Vi100E、並びにAB Specialty Siliconesから入手可能なAndisil(登録商標)VS 200が挙げられる。
【0037】
本発明によれば、成分(A)は、組成物の総重量に基づいて、1重量%~20重量%、好ましくは2重量%~15重量%の量で存在する。
【0038】
〔(B)オルガノ水素ポリシロキサン〕
本発明によれば、熱伝導性シリコーン組成物はまた、(B)分子中のケイ素原子に直接結合した少なくとも2個の水素原子を有する少なくとも1種のオルガノ水素ポリシロキサンを含み、これは成分(A)に対する架橋剤として働く。
【0039】
一実施形態では、オルガノ水素ポリシロキサンは、1分子中に2個以上の-Si-H基を有する。成分(B)中の-Si-H基と成分(A)中のアルケニル基は、後述する(E)白金系硬化触媒により促進されるヒドロシリル化反応により付加され、架橋構造を有する三次元ネットワーク構造を生成する。
【0040】
成分(B)は、1分子当たり少なくとも2個、好ましくは3個以上の-Si-H基を有し得り、これらの-Si-H基は、分子鎖の末端、非末端位置、またはこれらの両方の位置に配置され得る。
【0041】
好ましい実施形態において、成分(B)は一般式(2):
【化4】
(式中R
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11は、それぞれ独立して、非置換または置換の一価炭化水素基または水素を表す、ただしR
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11のうちの少なくとも2つは、分子中のケイ素原子に直接結合した水素原子であり、M’、D’、T’およびQ’は、それぞれ0~1未満の範囲の数を表す、ただし、M’、D’、T’およびQ’の合計は1である。)
で表すことができる。
【0042】
一般式(2)における非置換または置換の一価炭化水素基の適当な例は、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、およびn-エイコシル基から選択される直鎖アルキル基;好ましくは、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、2-メチルウンデシル基、および1-ヘキシルヘプチル基から選択される分岐鎖アルキル基;好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロドデシル基から選択される環状アルキル基;好ましくはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、およびヘキセニル基から選択されるアルケニル基;好ましくはフェニル基、トリル基、およびキシリル基から選択されるアリール基;好ましくはベンジル基、フェネチル基、および2-(2,4,6-トリメチルフェニル)プロピル基から選択されるアラルキル基;および好ましくは3,3,3-トリフルオロプロピル基および3-クロロプロピル基から選択されるハロゲン化アルキル基から選択され;好ましくは直鎖アルキル基、アルケニル基、およびアリール基から選択され;より好ましくはメチル基、エチル基、ビニル基およびフェニル基から選択される。
【0043】
成分(B)中の-Si-H基の官能基含有量は、好ましくは0.1~10.0mmol/g、より好ましくは0.1~5mmol/gの範囲である。
【0044】
好ましい実施形態において、成分(B)に含まれる-Si-H基のモル数は、成分(A)に由来するアルケニル基のモル数の0.1~5.0倍の量が好ましい。
【0045】
成分(B)の25℃における粘度は、好ましくは1~100,000mPa・s、好ましくは1~5,000mPa・sの範囲である。
【0046】
成分(B)の分子量には特に制限はなく、好ましくは2000~20,000g/molの範囲である。
【0047】
成分(B)は単独でも、2種以上の異なる化合物の組み合わせであってもよい。
【0048】
好ましい実施形態では、上記一般式(2)において、T’およびQ’はともに0であり、M’およびD’は0ではなく、M’およびD’の合計は1である。
【0049】
より好ましい実施形態では、上記一般式(2)において、M’は0.01~0.05の範囲であり、D’は0.95~0.99の範囲であり、T’およびQ’は0であり、MおよびDの合計は1である。
【0050】
成分(B)の具体例としては、下記のような式:
【化5】
で表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。
【0051】
成分(B)は、従来から知られている方法で製造できる。なお市販品を利用することもできる。成分(B)の市販品の例としては、Evonikから入手可能なCrosslinker 210、Crosslinker 101が挙げられる。
【0052】
本発明によれば、成分(B)は、組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~20重量%、好ましくは1重量%~10重量%の量で存在する。
【0053】
〔(C)シランで表面処理されたアルミナ粒子〕
本発明によれば、熱伝導性シリコーン組成物は、(C1)少なくとも0.01μm以上5μm以下のD50粒径を有する1種または複数種のシラン表面処理されたアルミナ粒子と、(C2)5μmを超えるD50粒径を有する1種または複数種のシラン表面処理されたアルミナ粒子とを含む。
【0054】
本明細書において、分散液の「D50粒径」とは、レーザー回折粒径分析器による測定で得られる体積基準の粒度分布曲線におけるメジアン径を表す。
【0055】
好ましい実施形態では、成分(C1)は、少なくとも0.1μm以上2μm以下、より好ましくは少なくとも0.1μm以上1μm以下のD50粒径を有する。
【0056】
好ましい実施形態では、成分(C2)は、7μmを超える、より好ましくは20μmを超える、さらにより好ましくは50μmを超えるD50粒径を有する。
【0057】
本発明に用いられる成分(C1)および成分(C2)の形状は特に限定されない。球状、棒状、針状、円盤状、またはアモルファス形状であってよく、好ましくは球状形状である。本明細書において用語「球状」とは、表面全体が凸状の滑らかな面で形成された形状を指す。用語「棒状」とは、一軸方向に沿って細長く、厚さが長軸方向に沿って実質的に一定である形状を指す。用語「針状」とは、形状が一方の軸方向に沿って細長いという点で「棒状」と類似しているが、この形状はまた、厚さが該形状の両端に向かって狭くなる部分も含む一方で、残りの部分内で厚さが長軸に沿って実質的に一定であり、両端部分が尖っていることを意味する。用語「円盤状」とは、長軸の長さ、短軸の長さに加え、厚さを有する平坦な形状を指す。用語「アモルファス」とは、特定の形状に分類できない形状を指す。
【0058】
本発明によれば、成分(C1)および成分(C2)は、シラン表面処理をすべきである。本発明で使用するシランで表面処理されたアルミナ粒子は、無溶媒系で行う乾式法と溶媒中で行う湿式法で調製でき、最も好ましくは表面処理を完全に行うために水やアルコールなどの溶媒中で表面処理を行う。溶媒を使用する場合は、オルガノポリシロキサンと溶媒を容器中で混合した後、未処理のアルミナ粉末にスプレーで塗布し、その後、そのアルミナ粉末を加熱乾燥して溶媒を除去する。乾燥中にアルミナ粉末に凝集が生じることがあり、凝集したアルミナ粉末から熱伝導性シリコーン組成物を調製すると、流動性が低下することがある。このため、溶媒中で行う湿式法で調製したシランで表面処理されたアルミナ粉末を使用するのが好ましい。
【0059】
成分(C1)の適当な市販例は、Bestry Performance Materials Co., Ltd.製のNSM-1H20およびNSM-1SH20である。
【0060】
成分(C2)の適当な市販例は、Bestry Performance Materials Co., Ltd.製のBAH7H19、BAH5H1、BAH70H12、BAH20H4、およびBergquist Company Zhuhai Limited製のHT-DAM07である。
【0061】
本発明によれば、成分(C1)は、組成物の総重量に基づいて、62重量%未満の量で存在する。成分(C1)が上記上限を超えると、熱伝導性シリコーン組成物の粘度が高くなりすぎて、組成物の流動性に影響を及ぼす。好ましくは、成分(C1)は、組成物の総重量に基づいて、5重量%~55重量%、より好ましくは10重量%~50重量%、さらにより好ましくは10重量%~45重量%の量で存在する。
【0062】
本発明によれば、成分(C2)は組成物の総重量に基づいて80重量%未満の量で存在する。成分(C2)が上記限度を超えると、本組成物から得られる硬化物のラップせん断強度が大きく低化する。好ましくは、成分(C2)は組成物の総重量に基づいて10重量%~72重量%、より好ましくは10重量%~60重量%、さらにより好ましくは10重量%~45重量%の量で存在する。
【0063】
好ましい実施形態では、成分(C1)と成分(C2)の質量部の混合比は、0.2~5、好ましくは0.2~1.2である。
【0064】
〔(D)シランカップリング剤〕
本発明によれば、熱伝導性シリコーン組成物は(D)少なくとも1種のシランカップリング剤を含む。
【0065】
本発明で使用できる適当なシランカップリング剤としては、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、オルトケイ酸エチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
シランカップリングの市販例としては、sinopharm製の3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0067】
本発明によれば、成分(D)は、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~5重量%、好ましくは0.1重量%~3重量%の量で存在する。量がこの範囲内であれば、本組成物から得られる硬化物の接着強度をより容易に維持できる。
【0068】
〔(E)白金系硬化触媒〕
本発明によれば、熱伝導性シリコーン組成物は、(E)硬化プロセスを加速するための少なくとも1種の白金系硬化触媒を含む。
【0069】
成分(E)は、成分(A)由来のアルケニル基と、成分(B)由来の-Si-H基との付加反応を促進するための触媒であり、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として公知の触媒を用いることができる。その具体例としては、白金族金属単体、例えば白金(白金黒を含む)、ロジウム、およびパラジウム;塩化白金、塩化白金酸および塩化白金酸塩、例えばH2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KaHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・H2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、およびNa2HPtCl4・nH2O(ここで、式中、nは0~6の整数であり、好ましくはアルコール変性塩化白金酸である)など;塩化白金酸とオレフィンとの錯体;白金黒、パラジウムなどの白金族金属をアルミナ、シリカまたは炭素などの担体に担持することによって得られるもの;ロジウム-オレフィン錯体、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);および、塩化白金、塩化白金酸または塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサンとの錯体が挙げられ、特にビニル基含有環状シロキサンが使用できる。
【0070】
白金系硬化触媒の適当な市販例としては、Avantorから入手可能なCAT-50が挙げられる。
【0071】
本発明によれば、成分(E)は、組成物の総重量に基づいて、1重量ppm~1000重量ppm、好ましくは1重量ppm~500重量ppmの量で存在する。
【0072】
〔(F)他の導電性フィラー〕
いくつかの実施形態において、熱伝導性シリコーン組成物は、成分(C)とは異なる少なくとも1種の導電性フィラーをさらに含んでもよく、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、ヒュームド酸化チタン、表面処理を施していない導電性フィラー、およびそれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0073】
好ましい実施形態では、成分(F)は、少なくとも0.1μm以上~100μm以下、より好ましくは1μm~50μm、さらにより好ましくは1μm~20μmのD50粒径を有する。
【0074】
本発明に用いられる成分(F)の形状は特に限定されない。球状、棒状、針状、円盤状、またはアモルファス形状であってよく、好ましくは球状形状である。
【0075】
成分(F)の適当な市販例としては、Bestry Performance Materials Co., Ltd.製のNSM-1、BA 2、デンカ株式会社製のDAM 07、China Mineral Processing Limited製のSFADW-20、AnHui Estone Materials Technology Co., Ltd.製のSJR 20、およびWacker Chemicals (Zhangjiagang) Co., Ltd.製のHDK(登録商標)20が挙げられる。
【0076】
好ましい実施形態では、熱伝導性シリコーン組成物は、成分(F)を含まない場合がある。存在する場合、成分(F)は、組成物の総重量に基づいて、40重量%未満、好ましくは30重量%以下の量で存在する。
【0077】
〔(G)添加剤〕
いくつかの実施形態では、熱伝導性シリコーン組成物は、硬化反応抑制剤、顔料、染料、蛍光染料、耐熱添加剤、難燃剤、可塑剤、接着性付与剤およびそれらの組み合わせから選択される添加剤、特に硬化反応抑制剤を、これらの添加剤の含有が本発明の目的を損なわないという条件でさらに含んでもよい。
【0078】
組成物の硬化速度の調節を可能にし、それによって流動性および加工性特性の改善を可能にするために本発明で使用される硬化反応抑制剤の適当な例としては、2-メチル-3-ブチン-2-オール、2-フェニル-3-ブチン-2-オール、もしくは1-エチニル-1-シクロヘキサノールなどのアセチレン系化合物;3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-インなどのエンイン化合物;ヒドラジン系化合物;ホスフィン系化合物;またはメルカプタン系化合物などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
硬化反応抑制剤の適当な市販例としては、Sigma-Aldrich社製の3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールが挙げられる。
【0080】
本発明の組成物が硬化反応抑制剤を含む場合、該抑制剤の量に特に制限はないが、組成物の総重量に基づいて0.0001~1.0重量%の範囲内の量が好ましい。
【0081】
特に好ましい実施形態において、熱伝導性シリコーン組成物は、組成物の総重量に基づいて、
(A)1重量%~20重量%、好ましくは2重量%~15重量%の少なくとも1種のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン;
(B)0.5重量%~20重量%、好ましくは1重量%~10重量%の、分子中のケイ素に直接結合した少なくとも2個の水素原子を有する少なくとも1種のオルガノ水素ポリシロキサン;
(C1)0を超え62重量%未満、好ましくは5重量%~55重量%、より好ましくは10重量%~50重量%、さらにより好ましくは10重量%~45重量%の、少なくとも0.01μm以上5μm以下のD50粒径を有する少なくとも1種のシランで表面処理されたアルミナ粉末;
(C2)0を超え80重量%未満、好ましくは10重量%~72重量%、より好ましくは10重量%~60重量%、さらにより好ましくは10重量%~45重量%の、5μmを超えるD50粒径を有する少なくとも1種のシランで表面処理されたアルミナ粉末;
(D)0.1重量%~5重量%、好ましくは0.1重量%~3重量%の少なくとも1種のシランカップリング剤;および
(E)1重量ppm~1000重量ppm、好ましくは1重量ppm~500重量ppmの少なくとも1種の白金系硬化触媒;
(F)0~40重量%未満、好ましくは30重量%以下の、成分(C)以外の少なくとも1種の熱伝導性フィラー;
(G)0~1.0重量%の添加剤
を含む。
【0082】
本発明のさらなる態様は、前記成分を同時に室温で、例えば少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間混合することによって熱伝導性シリコーン組成物を調製する方法に関する。
【0083】
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、80%を超える熱伝導性フィラー添加量と共に良好な流動性を有し、例えば、100Pa・s未満、好ましくは80Pa・s未満、より好ましくは50Pa・s未満、さらにより好ましくは30Pa・s未満の粘度を有する。
【0084】
好ましい実施形態では、熱伝導性シリコーン組成物は、室温で2~7日間で硬化させることができる。硬化は、熱を加えることによって、例えば、60℃~200℃で30分~2時間加熱することによって早めることができる。
【0085】
本発明において、熱伝導性シリコーン組成物は任意の簡便な技術によって所望の基材に塗布できる。必要に応じて冷やして塗布しても温めて塗布してもよい。基材へ押し出すことによってもしくは貼り付けることによって、またはコーキングガンのような機械的塗布方法によって塗布できる。一般に、本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、一対の基材の一方の表面に塗布し、次いで該基材を互いに接触させて接着する。塗布後、本発明の接着剤組成物を室温で硬化させ、任意選択でその後高温で硬化させる。
【0086】
本発明の別の態様において、第1の基材、硬化接着剤、および請求項のいずれか一項に記載の硬化性接着剤組成物から得られる硬化物を含む硬化性接着剤を介して第1の基材に接着した第2の基材を含む物品が提供される。
【0087】
第1の基材および/または第2の基材は、単一の材料および単一の層であってもよく、または同一または異なる材料の複数の層を含んでもよい。層は連続でも不連続であってもよい。
【0088】
本明細書に記載される物品の基材は、剛性(例えば、剛性基材(即ち、人が両手を使って基材を曲げることができない、または両手で基材を曲げようと試みると折れる)、可撓性(例えば、可撓性基材(即ち、基材は両手の力以下で曲げることができる)、多孔性、導電性、導電性のない、およびそれらの組み合わせなどの様々な特性を有し得る。
【0089】
物品の基材は、例えば、繊維、糸、ヤーン、織布、不織布、フィルム(例えば、ポリマーフィルム、金属化ポリマーフィルム、連続フィルム、不連続フィルム、およびそれらの組み合わせ)、箔(例えば、金属箔)、シート(例えば、金属シート、ポリマーシート、連続シート、不連続シート、およびそれらの組み合わせ)、並びにそれらの組み合わせなどの様々な形態であってもよい。
【0090】
本発明で使用される有用な基材としては、例えば、ポリマー(例えば、ポリカーボネート、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂)、液晶ポリマー、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、および配向ポリプロピレン、ポリオレフィンと他のコモノマーのコポリマー)、ポリエーテルテレフタレート、エチレン-ビニルアセテート、エチレン-メタクリル酸アイオノマー、エチレン-ビニルアルコール、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、例えばナイロン-6およびナイロン-6,6、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース誘導体、ポリスチレン、およびエポキシ)、ポリマー複合材料(例えば、ポリマーと金属、セルロース、ガラス、ポリマー、およびそれらの組み合わせ)、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、鉛、金、銀、白金、およびマグネシウム、並びに鋼(例えばステンレス鋼)、錫、真鍮、マグネシウムおよびアルミニウム合金などの金属合金)、炭素繊維複合材料、他の繊維をベースとする複合材料、グラフェン、フィラー、ガラス(例えば、アルカリアルミノシリケート強化ガラスおよびボロシリケートガラス)、石英、窒化ホウ素、窒化ガリウム、サファイア、ケイ素、カーバイド、セラミック、およびそれらの組み合わせが挙げられ、好ましくは液晶ポリマー、ガラス、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0091】
熱伝導性シリコーン組成物の硬化物は、ASTM D1002-05に準拠した、アルミニウム基材上の100%凝集破壊モードで1.6MPaを超える、好ましくは1.8MPaを超える、さらにより好ましくは2.0MPaを超えるラップせん断強度と、ASTM 1461に従って測定した1.6W/(m・K)以上、好ましくは1.8W/(m・K)以上、さらにより好ましくは2.0W/(m・K)以上の熱伝導率を有する。
【0092】
本明細書で言及される場合「凝集破壊モード」とは、接着剤が裂け、接着剤の一部が各接着面に付着したままになることを指す。接着剤が基材からきれいに剥がれる破壊モードを「接着破壊モード」と呼ぶ。凝集破壊モードを有する接着剤は、接着破壊モードを有する接着剤よりも堅牢であると考えられている。
【0093】
本発明に関連するさらなる態様は、電子デバイスの製造における、本発明の熱伝導性シリコーン組成物および熱伝導性シリコーン組成物の硬化物の使用に関する。
【0094】
例示的な電子デバイスには、プリンタ、ファクス、スキャナ、キーボードなどのコンピュータおよびコンピュータ機器;医療用センサ;自動車用センサなど;ウェアラブル電子デバイス(例えば、腕時計および眼鏡)、ハンドヘルド電子デバイス(例えば、電話(例えば携帯電話およびセルラースマートフォン)、カメラ、タブレット、電子リーダー、モニター(例えば、病院、並びに医療従事者、スポーツ選手、および個人が使用するモニター)、腕時計、計算機、マウス、タッチパッド、およびジョイスティック)、コンピュータ(例えば、デスクトップおよびラップトップコンピュータ)、コンピュータモニタ、テレビ、メディアプレーヤー、家電製品(例えば、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、オーブン、電子レンジ)、電球(例えば、白熱、発光ダイオード、および蛍光)、および可視透明または透明な部品を含む物品、ガラスハウジング構造、ディスプレイまたは他の光学部品の保護透明カバーが含まれる。
【0095】
本発明に従って好ましいのは、本発明の熱伝導性シリコーン組成物について、好ましいまたはより好ましいとして上記で先に特定した実施形態の使用であり、ここで好ましくは、熱伝導性シリコーン組成物について記載した態様または対応する特徴の2つ以上が互いに組み合わされる。
【実施例】
【0096】
以下の実施例は、当業者が本発明をより良く理解し、実施を助けることを目的とする。本発明の範囲は実施例によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される。特に断りのない限り、部とパーセンテージはすべて重量に基づく。
【0097】
〔原料〕
成分(A)
成分a-1:RH-Vi500Eは
【化6】
の構造を有するZhejiang Runhe Chemical New Material Co., Ltd.製のビニル末端ポリジメチルシロキサンである。
【0098】
成分a-2:RH-Vi100Eは
【化7】
の構造を有するZhejiang Runhe Chemical New Material Co., Ltd.製のビニル末端ポリジメチルシロキサンである。
【0099】
成分a-3:RH-Vi70Eは
【化8】
の構造を有するZhejiang Runhe Chemical New Material Co., Ltd.製のビニル末端ポリジメチルシロキサンである。
【0100】
成分a-4:Andisil(登録商標) VS 200は
【化9】
の構造を有するAB Specialty Silicone Company製のビニル末端ポリジメチルシロキサンである。
【0101】
成分(B)
成分b-1:架橋剤101は
【化10】
の構造を有するEvonik Chemical Specialties(上海)Co, Ltd.製のケイ素水素化物末端ポリジメチルシロキサンである。
【0102】
成分b-2:架橋剤201は
【化11】
の構造を有するEvonik Chemical Specialties(上海)Co, Ltd.製のケイ素水素化物末端ポリジメチルシロキサンである。
【0103】
成分(C1)
成分c1-1:NSM-1H20はBestry Performance Materials Co., Ltd.製のシランで表面処理されたアルミナ(D50=0.89μm)である。
【0104】
成分c1-2:NSM-1SH20はBestry Performance Materials Co., Ltd.製のシランで表面処理されたアルミナ(D50=0.73μm)である。
成分(C2)
【0105】
成分c2-1:BAH-7H19はBestry Performance Materials Co., Ltd.製のシランで表面処理されたアルミナ(D50=7.57μm)である。
【0106】
成分c2-2:HT-DAM07はThe Bergquist Company Zhuhai Limited製のシランで表面処理されたアルミナ(D50=7μm)である。
【0107】
成分c2-3:BAH-5H1はBestry Performance Materials Co., Ltd.製のシランで表面処理されたアルミナ(D50=5.45μm)である。
【0108】
成分c2-4:BAH-70H12はBestry Performance Materials Co., Ltd.製のシランで表面処理されたアルミナ(D50=71.80μm)である。
【0109】
成分c2-5:BAH-20H4はBestry Performance Materials Co., Ltd.製のシランで表面処理されたアルミナ(D50=21.56μm)である。
【0110】
成分(D)
成分d-1:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランはSinopharm Chemical Reagent Co., Ltd.によって製造された。
【0111】
成分d-2:メチルトリメトキシシランはSinopharm Chemical Reagent Co., Ltd.によって製造された。
【0112】
成分d-3:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランはSinopharm Chemical Reagent Co., Ltd.によって製造された。
【0113】
成分(E)
成分e-1:CAT 50は2.5重量%の白金を含有するAvantor製の白金-ジビニルテトラメチルシロキサン錯体である。
【0114】
成分(F)
成分f-1:NSM-1はBestry Performance Materials Co., Ltd.製の表面処理を施していないアルミナ粉末(D50=1.24μm)である。
【0115】
成分f-2:DAM07はデンカ株式会社製の表面処理を施していないアルミナ粉末(D50=8.2μm)である。
【0116】
成分f-3:SFADW-20、China Mineral Processing Limited製の表面処理を施していないアルミナ粉末(D50=20μm)。
【0117】
成分f-4:BA 2はBestry Performance Materials Co., Ltd.製の表面処理を施していないアルミナ粉末(D50=1.64μm)である。
【0118】
成分f-5:SJR 20はAnHui Estone Materials Technology Co., Ltd.製の結晶性シリカ粉末(D50=20μm)である。
【0119】
成分f-6:HDK 20はWacker Chemicals (Zhangjiagang) Co, Ltd.製のヒュームドシリカである。
【0120】
成分(G)
成分g-1:3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールはSigma-Aldrich Companyによって製造された。
【0121】
〔試験方法:〕
(粘度:)
本発明の熱伝導性シリコーン組成物および比較例の試料を25℃の恒温槽中で24時間置き、その後PP25コーンプレート付き粘度計(製品名:MCR301、Anton-Paar Co., Ltd.製)を用いて、25℃、5rpmの速度で粘度を測定した。
【0122】
結果を表1と表2に示す。粘度の値が小さいほど、熱伝導性シリコーン組成物の流動性が高く、取り扱い特性に優れることを示す。100Pa・s未満の粘度であれば許容できる。
【0123】
(ラップせん断強度:)
本発明および比較例の硬化試料のラップせん断強度を、ASTM D1002-05に従って、インストロン引張試験機(モデル5996)によって、クロスヘッド速度10mm/分で測定し、試験結果をMPaで記録した。
【0124】
この熱伝導性シリコーン組成物を一対のアルミニウム板(Al6063、Donguang Baiside Company Limited製)で挟み、160℃で30分間加熱して硬化させた。接着表面積は25.4mm×12.7mmで、接着剤層の厚さは0.127mmであった。
【0125】
100%凝集破壊モードで1.6MPa以上のラップせん断強度を有する硬化試料は許容できる。
【0126】
(熱伝導性能)
本発明および比較例の熱伝導性シリコーン組成物を160℃で0.5時間硬化させた。硬化試料を、厚さ2mm、直径12.7mmの円形片に切断した。
【0127】
本発明の硬化サンプルの熱伝導率を、ASTM 1461に従って、レーザーフラッシュLFA447(NETZSCH Group製)で試験した。1.6W/(m・K)以上の熱伝導率であれば許容できる。
【0128】
〔実施例1~13(Ex.1~Ex.13)および比較例1~7(CEx.1~CEx.7)〕
本発明および比較例の熱伝導性シリコーン接着剤組成物は、表1および表2に示す重量%の成分を2リットルのプラネタリーミキサー(PC Laborsystem Co., Ltd.製)にて室温で2時間混合することによって形成し、その後室温まで冷却した。上記の方法を用いて特性を試験した。評価結果を表1および表2に示す。
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
表1から分かるように、本発明の熱伝導性シリコーン接着剤は、良好な流動性、並びに、硬化時に高い熱伝導率および良好なラップせん断強度を示した。
【0133】
しかしながら、表2から分かるように、比較例1~7(CEx1~CEx7)のように本発明の成分を使用しなかった場合、本発明の熱伝導性シリコーン組成物と比較して、1つまたは複数の満足のいかない特性を示した。
【0134】
いくつかの好ましい実施形態について説明したが、上記の教示に照らしてそれらに多くの変更および変形を加えることが可能である。従って、本発明は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、具体的に説明した以外の方法で実施できることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン;
(B)分子中のケイ素原子に直接結合した少なくとも2個の水素原子を有する少なくとも1種のオルガノ水素ポリシロキサン;
(C1)少なくとも0.01μm以上5μm以下のD
50粒径を有する1種または複数種のシランで表面処理されたアルミナ粒子;
(C2)5μmを超えるD
50粒径を有する1種または複数種のシランで表面処理されたアルミナ粒子;
(D)少なくとも1種のシランカップリング剤;および
(E)少なくとも1種の白金系硬化触媒;
を含む熱伝導性シリコーン組成物であって、
成分(C1)が、前記組成物の重量に基づいて62重量%未満の量で存在し、前記成分(C2)が、前記組成物の重量に基づいて80重量%未満の量で存在する、熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項2】
前記成分(A)が一般式(1):
【化1】
(式中R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、それぞれ独立して、非置換または置換の一価炭化水素基を表し、Mは0より大きく1未満の範囲の数を表し、D、T、およびQは、それぞれ独立して、0~1未満の数を表す、ただしM、D、TおよびQの合計は1である。)
で表される、請求項1に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項3】
一般式(1)における前記非置換または置換の一価炭化水素基が、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基およびn-エイコシル基から選択される、直鎖アルキル基;好ましくはイソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、2-メチルウンデシル基および1-ヘキシルヘプチル基から選択される、分岐鎖アルキル基;好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基およびシクロドデシル基から選択される、環状アルキル基;好ましくはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基およびヘキセニル基から選択される、アルケニル基;好ましくはフェニル基、トリル基およびキシリル基から選択される、アリール基;好ましくはベンジル基、フェネチル基、および2-(2,4,6-トリメチルフェニル)プロピル基から選択される、アラルキル基;ならびに、好ましくは3,3,3-トリフルオロプロピル基および3ークロロプロピル基から選択される、ハロゲン化アルキル基から選択され;好ましくは直鎖アルキル基、アルケニル基、およびアリール基から選択され;より好ましくはメチル基、エチル基、ビニル基およびフェニル基から選択される、請求項1または2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項4】
前記成分(B)が、一般式(2):
【化2】
(式中R
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11は、それぞれ独立して、非置換または置換の一価炭化水素基または水素を表す、ただしR
6、R
7、R
8、R
9、R
10およびR
11のうちの少なくとも2つは、分子中のケイ素原子に直接結合した水素原子であり、M’、D’、T’およびQ’は、それぞれ0~1未満の範囲の数を表す、ただし、M’、D’、T’およびQ’の合計は1である。)
で表される、請求項1
または2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項5】
前記成分(C1)が、少なくとも0.1μm以上2μm以下、より好ましくは少なくとも0.1μm以上1μm以下のD
50粒径を有する、請求項1
または2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項6】
前記成分(C2)が、7μmを超える、より好ましくは20μmを超える、さらにより好ましくは50μmを超えるD
50粒径を有する、請求項1
または2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項7】
前記成分(A)が、前記組成物の総重量に基づいて、1重量%~20重量%、好ましくは2重量%~15重量%の量で存在する、請求項1
または2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項8】
前記成分(B)が、前記組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~20重量%、好ましくは1重量%~10重量%の量で存在する、請求項1
または2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項9】
前記成分(C1)が、前記組成物の総重量に基づいて、5重量%~55重量%、より好ましくは10重量%~50重量%、さらにより好ましくは10重量%~45重量%の量で存在する、請求項1
または2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項10】
前記成分(C2)が、前記組成物の総重量に基づいて、10重量%~72重量%、より好ましくは10重量%~60重量%、さらにより好ましくは10重量%~45重量%の量で存在する、請求項1
または2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項11】
前記成分(D)が、前記組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~5重量%、好ましくは0.1重量%~3重量%の量で存在する、請求項1
または2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項12】
前記成分(E)が、前記組成物の総重量に基づいて、1重量ppm~1000重量ppm、好ましくは1重量ppm~500重量ppmの量で存在する、請求項1
または2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項13】
前記組成物がさらに成分(C1)および成分(C2)以外の成分(F)少なくとも1種の熱伝導性フィラーを、前記組成物の総重量に基づいて40重量%未満、好ましくは30重量%以下の量で含む、請求項1
または2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項14】
前記組成物が成分(G)硬化反応抑制剤、顔料、染料、蛍光染料、耐熱添加剤、難燃剤、可塑剤、接着性付与剤、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1
または2に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
【請求項15】
前記成分を室温で同時に混合する工程を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物を調製する方法。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物の硬化物。
【請求項17】
電子デバイスの製造における、請求項1~14のいずれか一項に記載の熱伝導性シリコーン組成物または請求項16に記載の硬化物の使用。
【国際調査報告】