(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】ジイソシアネート安定剤、その使用、及びジイソシアネート組成物
(51)【国際特許分類】
C07C 263/18 20060101AFI20240521BHJP
C07C 265/14 20060101ALI20240521BHJP
C07B 63/04 20060101ALN20240521BHJP
【FI】
C07C263/18
C07C265/14
C07B63/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565359
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2022058138
(87)【国際公開番号】W WO2022228805
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/089934
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユエン,グオ リアン
(72)【発明者】
【氏名】イシャケ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジン,シュン イン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,コー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,イー ジョウ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB83
4H006AD40
(57)【要約】
本開示は、ジイソシアネート安定剤、ジイソシアネートを安定化するためのジイソシアネート安定剤の使用、及び安定剤を含むジイソシアネート組成物に関する。ジイソシアネート安定剤は、立体障害フェノール、チオエーテル、及びホスファイトを含む。本開示は、ジイソシアネートを長期貯蔵及び加熱条件下で安定に維持させることができるジイソシアネート安定剤を提供することを目的とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを含むジイソシアネート安定剤。
【請求項2】
前記ジイソシアネート安定剤の総重量に基づいて、前記立体障害フェノールが10~90重量%の量で存在し、前記チオエーテルが5~80重量%の量で存在し、前記ホスファイトが5~80重量%の量で存在する、請求項1に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項3】
立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトからなる、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項4】
前記ジイソシアネート安定剤が50℃未満、好ましくは20℃未満の融点を有する、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項5】
前記立体障害フェノールが、アルキルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールS、3,3’,5,5’-テトラブロモビスフェノールA、メチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾート、4-tert-ブチルピロカテコール、2-ヒドロキシベンジルアルコール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、n-オクタデシルβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5,-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチルイソシアヌレート、1,3,5-トリス-(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート又はペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5,-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、6-イソブチル-2,4-ジニトロフェノール、6-sec-ブチル-2,4-ジニトロフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、オクタデシル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサデシル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート]、4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオールビス[(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)プロピオネート]、1,9-ノナンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,7-ヘプタンジアミンビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、1,1-メタンジアミンビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオノイックヒドラジド、3-(3’,5’-ジメチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオノイックヒドラジド、ビス(3-tert-ブチル-5-エチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)メタン、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェン-1-イル)メタン、ビス[3-(1’-メチルシクロヘキセ-1’-イル)-5-メチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル]メタン、ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェン-1-イル)メタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェン-1-イル)エタン、ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェン-1-イル)スルフィド、ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェン-1-イル)スルフィド、1,1-ビス(3,4-ジメチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-3-メチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)ブタン、1,3,5-トリス[1’-(3’’,5’’-ジ-tert-ブチル-4’’-ヒドロキシフェン-1’’-イル)-メテ-1’-イル]-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,1,4-トリス(5’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-2’-メチルフェン-1’-イル)ブタン、アミノフェノール、ニトロソフェノール、アルコキシフェノール、オイゲノール、ジヒドロオイゲノール、イソオイゲノール、トコフェロール、トコール、α-トコフェロールヒドロキノン、4-メチルピロカテコール、3-メチルピロカテコール、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、p-フェノキシフェノール、ヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2-メチル-p-ヒドロキノン、2,3-ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ヒドロキシベンゾフラン(2,2-ジメチル-7-ヒドロキシカマラン(hydroxycoumaran))、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項6】
前記立体障害フェノールが、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分枝C
7~C
9-アルキルエステル、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロパン酸、分岐C
13~C
15-アルキルエステル、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)-フェノール及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項7】
前記チオエーテルが、式(III)
【化1】
(式中、
R
4は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されたC
1~C
20-アルキレン又はC
3~C
12-シクロアルキレンから選択され、且つ
R
5は、C
1~C
18-アルキル、1つ又は複数の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1つ又は複数の置換若しくは非置換のイミノ基で中断されているC
2~C
18-アルキル、C
6~C
12-アリール又はC
5~C
12-シクロアルキルであって、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されているものから選択される)から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項8】
前記チオエーテルが、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及び2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]プロパン-1,3-ジイルビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項9】
前記ホスファイトが、式(IV)
P(OR
6)(OR
7)(OR
8) (IV)
(式中、
R
6、R
7及びR
8は、それぞれ互いに独立して、C
1~C
18-アルキル、C
6~C
12-アリール又はC
5~C
12-シクロアルキルから選択され、上記の基は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されている)から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項10】
前記ホスファイトが、式(V)
【化2】
(式中、
各R
9、R
10、R
11及びR
12は、同一であっても又は異なっていてもよく、C1~20アルキル、C3~22アルケニル、C6~40シクロアルキル、C7~40シクロアルキレン、C1~20メトキシアルキルグリコールエーテル、C1~20アルキルグリコールエーテル、及び/又はY-OH(末端キャッピング部分として機能する)からなる群から独立して選択され;
Yは、C2~40アルキレン、C2~40アルキルラクトン(例えば、エチレン、プロピレン、カプリラクトン)、-R
13-N(R
14)-R
15-(例えば、C2~40アルキルジアミン及びC2~40アルキルトリアミン)からなる群から選択され、
ここで、R
13、R
14、及びR
15は、R
9、R
10、R
11、及びR
12について上記で定義した群から独立して選択されるが、ここではHをさらに含み;
mは2~100の範囲の整数値であり、且つ
xは1~1,000の範囲の整数値である)の構造を有するポリマー性ホスファイトである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項11】
前記ポリマー性ホスファイトが、式(VI)
【化3】
(式中、
各R
9、R
10、R
11及びR
12は、同一であっても又は異なっていてもよく、C1~20アルキル、C3~22アルケニル、C6~40シクロアルキル、C7~40シクロアルキレン、C1~20メトキシアルキルグリコールエーテル、C1~20アルキルグリコールエーテル、及び/又はY-OH(末端キャッピング部分として機能する)からなる群から独立して選択され;
Yは、C2~40アルキレン、C2~40アルキルラクトン(例えば、エチレン、プロピレン、カプリラクトン)、-R
13-N(R
14)-R
15-(例えば、C2~40アルキルジアミン及びC2~40アルキルトリアミン)からなる群から選択され、
ここで、R
13、R
14、及びR
15は、R
9、R
10、R
11、及びR
12について上記で定義した群から独立して選択されるが、ここではHをさらに含み;
mは2~100の範囲の整数値である)の構造を有するポリマー性ジホスファイトである、請求項10に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項12】
前記ホスファイトが、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル6-tert-ブチルフェニル)アルキル(C
13)-ホスファイト及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項13】
前記立体障害フェノールが、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C
7~C
9-アルキルエステル、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼネプロパン酸、分岐C
13~C
15-アルキルエステル、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)-フェノール及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールからなる群から選択される少なくとも1つであり;前記チオエーテルが、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及び2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]プロパン-1,3-ジイルビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]からなる群から選択される少なくとも1つであり;前記ホスファイトが、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル6-tert-ブチルフェニル)アルキル(C
13)-ホスファイト及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイトからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項14】
ジイソシアネートを安定化するための、請求項1~13のいずれか一項に記載のジイソシアネート安定剤の使用。
【請求項15】
(A)ジイソシアネートと
(B)請求項1~13のいずれか一項に記載のジイソシアネート安定剤と
を含むジイソシアネート組成物。
【請求項16】
前記ジイソシアネート組成物の総重量に基づき、前記ジイソシアネート安定剤が0.08~0.5重量%、好ましくは0.1~0.4重量%、より好ましくは0.15~0.35重量%の量で存在する、請求項15に記載のジイソシアネート組成物。
【請求項17】
前記ジイソシアネートが芳香族ジイソシアネートである、請求項15又は16に記載のジイソシアネート組成物。
【請求項18】
前記芳香族ジイソシアネートが、トルエン2,4-又は2,6-ジイソシアネート及びその異性体混合物、m-又はp-キシリレンジイソシアネート、2,4’-又は4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン及びその異性体混合物、フェニレン1,3-又は1,4-ジイソシアネート、1-クロロフェニレン2,4-ジイソシアネート、ナフチレン1,5-ジイソシアネート、ビフェニレン4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、3-メチル-ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトベンゼン又は4,4’-ジイソシアナトジフェニルエーテル;好ましくは、トルエン2,4-又は2,6-ジイソシアネート及びそれらの異性体混合物、m-又はp-キシリレンジイソシアネート、2,4’-又は4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン及びそれらの異性体混合物からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項17に記載のジイソシアネート組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジイソシアネート安定剤、ジイソシアネートを安定化するためのジイソシアネート安定剤の使用、及び前記安定剤を含むジイソシアネート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ジイソシアネートは、有機合成、例えば、ポリウレタン樹脂の調製において重要な中間体である。しかしながら、ジイソシアネートは、イソシアネート基の反応性が高いため、貯蔵中に自己重合によって黄変する及び/又は濁る傾向があり、その結果、下流産業における用途に影響を及ぼす。ジイソシアネートの黄変及び/又は濁りを防止するため、当業者は、通常、ジイソシアネートに一定量の酸化防止剤を添加している。
【0003】
例えば、米国特許第3555072号明細書は、安定化量のチオエーテル化合物を添加することを含む、トルエンジイソシアネート(TDI)の変色及び濁りの発生を抑制するプロセスを開示する。
【0004】
しかしながら、米国特許第3555072号明細書に従って得られたTDI溶液の長期熱安定性は低い。熱安定性を延長するために、当業者はチオエーテルの量を増加してもよいが、これはTDIに臭気の問題を引き起こし、これも受け入れがたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、当該技術分野では、長期間の貯蔵後もジイソシアネートが無色及び透明を維持することが可能となる、ジイソシアネートを安定化させるための安定剤を提供することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、先行技術に存在するジイソシアネートを安定化するための上記の課題又は他の潜在的な課題を解決するか、又は少なくとも部分的に解決するジイソシアネート安定剤を提供する。
【0007】
具体的には、第1の態様において、本開示は、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを含むジイソシアネート安定剤を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態において、それぞれの場合、安定剤の総重量に基づき、立体障害フェノールは10~90重量%の量で存在し、チオエーテルは5~80重量%の量で存在し、且つホスファイトは5~80重量%の量で存在する。
【0009】
他の実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトからなる。
【0010】
本開示の発明者らは、驚くべきことに、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトが相乗的に作用して、ジイソシアネートの自己重合を効果的に防止できることを見出した。立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを一緒に組み合わせることによって、本開示は、ジイソシアネートが長期貯蔵及び加熱条件下で黄変すること及び/又は濁ることを防止することができる安定剤を提供する。本開示の安定剤は、ジイソシアネートが長期貯蔵及び加熱条件下で黄変しやすい及び/又は濁りやすいという課題を効果的に解決する。
【0011】
いくつかの好ましい実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、50℃未満、好ましくは20℃未満の融点を有する。例えば、ジイソシアネート安定剤は、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃、20℃又は10℃未満の融点を有する。これらの好ましい実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、自動生産を容易にするために操作温度(典型的には45℃~50℃)において液体であり、それにより生産効率を向上させることができる。さらに、ジイソシアネート安定剤が20℃未満の融点を有し、したがって、20℃未満でも液体である場合、低温でのジイソシアネート安定剤の輸送をさらに容易にする。
【0012】
第2の態様において、本開示は、ジイソシアネートを安定化するための、本開示の第1の態様による安定剤の使用を提供する。
【0013】
第3の態様において、本開示は、
(A)ジイソシアネートと
(B)本開示の第1の態様によるジイソシアネート安定剤と
を含む組成物を提供する。
【0014】
本開示の発明者らは、驚くべきことに、得られたジイソシアネート組成物が、長期貯蔵及び加熱条件下において(実質的に)透明及び無色を維持することができ、これによりジイソシアネートの用途領域が著しく拡大されることを見出した。したがって、本開示のジイソシアネート組成物は、色及び透明性の面で高い要求を有する用途に適格となる可能性がある。
【0015】
従来技術と比較して、本開示のジイソシアネート安定剤が、長期貯蔵及び加熱条件(例えば、約100℃の温度を有する融解プロセス)の間にジイソシアネートにもたらす有利な技術的効果としては、以下が含まれるが、これらに限定されない:
(1)ジイソシアネート組成物が、より明るい色を有すること;
(2)ジイソシアネート組成物が、より高い透明性を有すること;並びに
(3)ジイソシアネート組成物が、より明るい色及び高い透明性を維持すること。
【0016】
発明の概要の部分は、本開示の重要な特徴又は基本的な特徴を決定することを意図するものではなく、また本開示の範囲を限定することを意図するものでもないことを理解されたい。本開示の他の特徴は、以下の説明に従って容易に理解できるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明では、当業者にとって十分な理解を容易にするように、実施形態を参照して本開示がさらに説明される。これらの実施形態は、単に本開示の主題をより良く理解するために提供されるものであり、本請求項に記載される保護範囲、適用可能性、又は実施形態に対する限定を行うためのものではないことを理解されたい。当業者であれば、本開示の精神から逸脱することなく、実際の必要性に基づいて、各実施形態に対して様々な技術的特徴を省略、置換、又は追加することができることは理解されるべきである。さらに、いくつかの実施形態に記載された技術的特徴は、他の実施形態に記載された技術的特徴と組み合わせることができる。
【0018】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者が一般的に理解するものと同一の意味を有する。
【0019】
本開示において、「含む(comprise)」、「含む(comprisin)」という用語及びそれらの様々な変形は、「含むが限定されない」ことを意味するオープンエンドな用語として理解することができる。対照的に、「からなる(consisting of)」という用語及びそれらの様々な変形は、具体的に記載されていない任意の構成要素、ステップ又は手順を除外する。「一実施形態」という用語は、「少なくとも1つの実施形態」として理解することができ、「別の実施形態」という用語は、「少なくとも1つの別の実施形態」として理解され得る。登場する可能性があるがここでは言及されていない他の用語は、明示的に記載されていない限り、本開示の実施形態が基づいている概念に反する様式で解釈又は限定されるべきではない。
【0020】
本開示全体を通じて、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、及び「1つ又は複数」という表現は互換的に使用され、単数形のみが明示的に指定されているか、又は文脈で明確に示されている場合を除き、複数形及び単数形の両方を含むことが意図されている。単数形のみが意図されている場合は、通常「1つ」という用語が使用される。また、「又は」という用語は、内容によって明確に指示がない限り、一般的に「及び/又は」の意味を含むことを意図している。本明細書で使用される「好ましい(preferred)」、「好ましい(preferable)」及び「好ましくは(preferably)」は、特定の状況下で特定の利点をもたらし得る本開示の実施形態を指す。しかしながら、他の実施形態も、同一状況下で好ましくなり得る。さらに、1つ又は複数の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを意味するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0021】
全てのパーセンテージ、部及び比率は、特に断りのない限り、重量による。また、端数値による数値範囲の記載は、その範囲に含まれる全ての数値を含む(例えば、5~10は、5、5.1、5.2、5.55、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10を含む)。
【0022】
本開示において、「ジイソシアネート安定剤」とは、内部又は外部の影響因子に対してジイソシアネートを安定化させることができる混合物/組成物を指す。内部因子に関しては、上記したように、ジイソシアネートは高い反応性基のために自己重合する傾向がある。外的因子に関しては、ジイソシアネートは熱、光などの影響を受けやすい。ジイソシアネート安定剤は、色安定性、透明性などの観点からジイソシアネートを安定化させるために提供される。前記ジイソシアネート安定剤によって、ジイソシアネートが長期貯蔵及び加熱条件下でも無色及び透明を維持することが可能となる。
【0023】
本開示全体を通じて、「ホスファイト」、「亜リン酸塩」という表現は互換的に使用され、そして単数形のみが明示的に指定されているか、又は文脈によって明らかに示されている場合を除き、複数形及び単数形の両方を含むように意図されている。
【0024】
「グリコール」という用語は、異なる炭素原子に結合した2つのヒドロキシル基(-OH基)を含有する脂肪族ジオールである。
【0025】
「色安定性」という用語は、ジイソシアネート組成物の色が、加熱条件下であっても、長期貯蔵中に変化しないか、又はわずかにのみ変化することを意味する。例えば、本開示のジイソシアネート組成物は、長期貯蔵及び加熱条件下において、無色又は淡黄色を維持することができる。
【0026】
本明細書で使用される「透過強度」という用語は、物体を透過する光の割合を意味する。例えば、本開示の実施形態において、ジイソシアネート組成物を含有するガラスバイアルを透過する光の割合を指す。
【0027】
前述のように、ジイソシアネートは多くの有機合成において重要な中間体であり、例えばポリウレタン樹脂の調製用の中間体である。しかしながら、ジイソシアネートは非常に反応性の高い基を有するため、自己重合しやすく、そのため貯蔵中に濁りやすい。このような課題は、脂肪族、脂環族及び芳香族ジイソシアネートを含む様々なジイソシアネートに存在する。
【0028】
I.ジイソシアネート安定剤
従来技術におけるジイソシアネートの安定化における既存の困難に鑑みて、第1の態様において、本開示は、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを含むジイソシアネート安定剤を提供する。
【0029】
本開示の発明者らは、驚くべきことに、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトが相乗的に作用して、ジイソシアネートの自己重合を効果的に防止できることを見出した。立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを一緒に組み合わせることによって、本開示は、ジイソシアネートが長期貯蔵及び加熱条件(例えば、約100℃の温度を有する融解プロセス)下で黄変すること及び/又は濁ることを防止することができる安定剤を提供する。本開示の安定剤は、ジイソシアネートが長期貯蔵及び加熱条件下で黄変しやすく、濁りやすいという課題を効果的に解決した。
【0030】
立体障害フェノール
立体障害フェノールとしては、芳香環上に1つ又は複数のフェノール性水酸基を有するフェノールが挙げられ、好ましくは、フェノール性水酸基に対してオルト位、最も好ましくはオルト位及びパラ位に置換基、好ましくはアルキル基を有するものが挙げられる。
【0031】
上記の説明は、本開示に適切な立体障害フェノールの範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。本開示においては、抗酸化特性を有する限り、立体障害フェノールは限定されない。
【0032】
適切なフェノールの例としては、アルキルフェノール、例えば、o-、m-又はp-クレゾール(メチルフェノール)、2-tert-ブチル-4-メチルフェノール、6-tert-ブチル-2,4-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、2-メチル-4-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルフェノール、又は2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、4,4’-オキシジフェノール、3,4-メチレンジオキシジフェノール(セサモール)、3,4-ジメチルフェノール、ヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2-メチル-p-ヒドロキノン、2,3-ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、ピロカテコール(1,2-ジヒドロキシベンゼン)、2-(1’-メチルシクロヘキセ-1’-イル)-4,6-ジメチルフェノール、2-又は4-(1’-フェニルエテ-1’-イル)フェノール、2-tert-ブチル-6-メチルフェノール、2,4,6-トリス-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、ノニルフェノール[11066-49-2]、オクチルフェノール[140-66-9]、2,6-ジメチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールS、3,3’,5,5’-テトラブロモビスフェノールA、BASF AGからのKoresin(登録商標)、メチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾート、4-tert-ブチルピロカテコール、2-ヒドロキシベンジルアルコール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール、2,4,5-トリメチルフェノール、2,4,6-トリメチルフェノール、2-イソプロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、6-イソプロピル-m-クレゾール、n-オクタデシルβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5,-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチルイソシアヌレート、1,3,5-トリス-(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート又はペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5,-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、6-イソブチル-2,4-ジニトロフェノール、6-sec-ブチル-2,4-ジニトロフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、オクタデシル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサデシル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3-チア-1,5-ペンタンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオールビス[(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)プロピオネート]、1,9-ノナンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,7-ヘプタンジアミンビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、1,1-メタンジアミンビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオノイックヒドラジド、3-(3’,5’-ジメチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオノイックヒドラジド、ビス(3-tert-ブチル-5-エチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)メタン、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェン-1-イル)メタン、ビス[3-(1’-メチルシクロヘキセ-1’-イル)-5-メチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル]メタン、ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェン-1-イル)メタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェン-1-イル)エタン、ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェン-1-イル)スルフィド、ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェン-1-イル)スルフィド、1,1-ビス(3,4-ジメチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-3-メチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)ブタン、1,3,5-トリス[1’-(3’’,5’’-ジ-tert-ブチル-4’’-ヒドロキシフェン-1’’-イル)-メテ-1’-イル]-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,1,4-トリス(5’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-2’-メチルフェン-1’-イル)ブタン、アミノフェノール、例えば、パラ-アミノフェノール、3-ジエチルアミノフェノール、ニトロソフェノール、例えば、パラ-ニトロソフェノール、p-ニトロソ-o-クレゾール、アルコキシフェノール、例えば、2-メトキシフェノール(グアジャコール、ピロカテコールモノメチルエーテル)、4-メトキシフェノール(ヒドロキノンモノメチルエーテル)、2-エトキシフェノール、4-エトキシフェノール、2-イソプロポキシフェノール、4-ブトキシフェノール、モノ-又はジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3-ヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール、2,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシベンジルアルコール(シリンガアルコール)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド(イソバニリン)、1-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エタノン(アセトバニロン)、オイゲノール、ジヒドロオイゲノール、イソオイゲノール、トコフェロール、例えば、α-、β-、γ-、δ-及びε-トコフェロール、トコール、α-トコフェロールヒドロキノン、4-メチルピロカテコール、3-メチルピロカテコール、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、p-フェノキシフェノール、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ヒドロキシベンゾフラン(2,2-ジメチル-7-ヒドロキシカマラン(hydroxycoumaran))、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(Trolox(登録商標))及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0033】
対応する立体障害フェノール製品は、例えば、商品名Irganox(登録商標)(BASF)、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5,-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](例えば、Irganox(登録商標)1010)、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)トリオン(例えば、Irganox(登録商標)3114)、チオジエチレンビス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート](例えば、Irganox(登録商標)1035)、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル(例えば、Irganox(登録商標)1135)、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例えば、Irganox(登録商標)1076)、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル(例えば、Irganox(登録商標)2000)、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(例えば、Irganox(登録商標)1520);3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロパン酸、分岐C13~C15-アルキルエステル(例えば、Anox(登録商標)1315)で入手可能である。
【0034】
上記の立体障害フェノールの例は単なる例示であり、本開示の保護範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。任意の他の適切な立体障害フェノールもまた適用可能である。
【0035】
いくつかの好ましい実施形態において、立体障害フェノールには、55℃未満の融点を有するもの、例えば、20℃、25℃、30℃、40℃、45℃、50℃又は55℃未満の融点を有する立体障害フェノールが含まれる。このような立体障害フェノールは、安定剤が操作温度(典型的には45℃~50℃)で液体であることを可能にし、それによって自動生産を容易にする。
【0036】
好ましい実施形態において、立体障害フェノールは、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル(例えば、Irganox(登録商標)1135)、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例えば、Irganox(登録商標)1076)、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼネプロパン酸、分岐C13~C15-アルキルエステル(例えば、Anox(登録商標)1315)、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル(例えば、Irganox(登録商標)2000)、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(例えば、Irganox(登録商標)1520)からなる群から選択される少なくとも1つである。これらの好ましい立体障害フェノールは人体に無害であるため、より安全で環境に優しい。
【0037】
より好ましい実施形態において、立体障害性フェノールは、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル(例えば、Irganox(登録商標)1135)及びオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例えば、Irganox(登録商標)1076)からなる群から選択される少なくとも1つである。これらのより好ましい立体障害性フェノールは、安定剤が室温又は典型的な操作温度(例えば、45℃)で液体であることを可能にする低融点を有する液体又固体である。
【0038】
好ましくは、BHTは揮発性が高く、多くの用途で制限されているため、立体障害フェノールはブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含まない。
【0039】
チオエーテル
本開示に従って使用されるチオエーテルは、少なくとも1つのチオエーテル基、すなわち、2つの同一又は異なる有機置換基によって置換されている硫黄原子を含む化合物を含む。上記の説明は、本開示のチオエーテルの範囲を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。本開示においては、チオエーテルは限定されない。
【0040】
適切なチオエーテルは、式(I)
R1-S-R2 (I)
(式中、
R1及びR2は、それぞれ互いに独立して、C1~C18-アルキル、1つ又は複数の酸素原子及び/又は硫黄原子、及び/又は1つ又は複数の置換又は非置換のイミノ基によって中断されているC2~C18-アルキル、C2~C18-アルケニル、C6~C12-アリール、C5~C12-シクロアルキル、又は5員又は6員の酸素、窒素及び/又は硫黄を含む複素環であることが可能であり、上記の基は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されている)の構造を有する。
【0041】
ここで、R1及びR2は、それぞれ互いに独立して、以下の基からなる群から選択することができる:
メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-へプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、2,4,4-トリメチルペンチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、α,α-ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p-トリルメチル、1-(p-ブチルフェニル)エチル、p-クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、p-メトキシベンジル、m-エトキシベンジル、2-シアノエチル、2-シアノプロピル、2-メトキシカルボンエチル、2-エトキシカルボニルエチル、2-ブトキシカルボニルプロピル、1,2-ジ(メトキシカルボニル)エチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3-ジオキソラン-2-イル、1,3-ジオキソラン-2-イル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、2-イソプロポキシエチル、2-ブトキシプロピル、2-オクチルオキシエチル、クロロメチル、2-クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1-ジメチル-2-クロロエチル、2-メトキシイソプロピル、ブチルチオメチル、2-ドデシルチオエチル、2-フェニルチオエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、6-ヒドロキシヘキシル、2-アミノエチル、2-アミノプロピル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、6-アミノヘキシル、2-メチルアミノエチル、2-メチルアミノプロピル、3-メチルアミノプロピル、4-メチルアミノブチル、6-メチルアミノヘキシル、2-ジメチルアミノエチル、2-ジメチルアミノプロピル、3-ジメチルアミノプロピル、4-ジメチルアミノブチル、6-ジメチルアミノヘキシル、2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルエチル、2-フェノキシエチル、2-フェノキシプロピル、3-フェノキシプロピル、4-フェノキシブチル、6-フェノキシヘキシル、2-メトキシプロピル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、6-メトキシヘキシル、2-エトキシプロピル、3-エトキシプロピル、4-エトキシブチル又は6-エトキシヘキシル;
5-ヒドロキシ-3-オキサペンチル、8-ヒドロキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-ヒドロキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-ヒドロキシ-4-オキサへプチル、11-ヒドロキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-ヒドロキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-ヒドロキシ-5-オキサノニル、14-ヒドロキシ-5,10-オキサテトラデシル、5-メトキシ-3-オキサペンチル、8-メトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-メトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-メトキシ-4-オキサへプチル、11-メトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-メトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-メトキシ-5-オキサノニル、14-メトキシ-5,10-オキサテトラデシル、5-エトキシ-3-オキサペンチル、8-エトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-エトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-エトキシ-4-オキサへプチル、11-エトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-エトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-エトキシ-5-オキサノニル又は14-エトキシ-5,10-オキサテトラデシル;
ビニル、1-プロペニル、アリル、メタリル、1,1-ジメチルアリル、2-ブテニル、2-ヘキセニル、オクテニル、ウンデセニル、ドデセニル、オクタデセニル、2-フェニルビニル、2-メトキシビニル、2-エトキシビニル、2-メトキシアリル、3-メトキシアリル、2-エトキシアリル、3-エトキシアリル又は1-又は2-クロロビニル;
フェニル、トリル、キシリル、α-ナフチル、β-ナフチル、4-ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert-ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジメトキシフェニル、2,6-ジクロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-又は4-ニトロフェニル、2,4-又は2,6-ジニトロフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル又はエトキシメチルフェニル;
シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、又は飽和若しくは不飽和二環系、例えば、ノルボルニル若しくはノルボルネニル;及び
フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル又はtert-ブチルチオフェニル。
【0042】
いくつかの実施形態において、チオエーテルは、2-メチル-1-プロペニルtert-ドデシルチオエーテル、シクロヘキシリデンメチル-n-ドデシルチオエーテル、3-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチル-n-オクタデシルチオエーテル、3-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチル-n-ドデシルチオエーテル、3-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチル-n-オクチルチオエーテル、3-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチル-シクロヘキシルチオエーテル、3-メチル-(3)-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチル-n-ドデシルチオエーテル、3-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチル-p-トリルチオエーテル、3-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチルベンジルチオエーテル、好ましくは3-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチルn-ドデシルチオエーテル及び1-ヘキセニル-n-ドデシルチオエーテルからなる群から選択される。
【0043】
他の実施形態において、チオエーテルは、式(II)
【化1】
(式中、
R
3及びR
5は、それぞれ互いに独立して、C
1~C
18-アルキル、1つ又は複数の酸素原子及び/又は硫黄原子、及び/又は1つ又は複数の置換又は非置換のイミノ基によって中断されているC
2~C
18-アルキル、C
6~C
12-アリール又はC
5~C
12-シクロアルキルであることが可能であり、上記の基は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されており、且つ
R
4は、C
1~C
20-アルキレン又はC
3~C
12-シクロアルキレンであることが可能であり、上記の基は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されている)の構造を有する。
【0044】
ここで、R3及びR5は、それぞれ互いに独立して、以下の基からなる群から選択することができる:
メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-へプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、2,4,4-トリメチルペンチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、α,α-ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p-トリルメチル、1-(p-ブチルフェニル)エチル、p-クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、p-メトキシベンジル、m-エトキシベンジル、2-シアノエチル、2-シアノプロピル、2-メトキシカルボンエチル、2-エトキシカルボニルエチル、2-ブトキシカルボニルプロピル、1,2-ジ(メトキシカルボニル)エチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3-ジオキソラン-2-イル、1,3-ジオキソラン-2-イル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、2-イソプロポキシエチル、2-ブトキシプロピル、2-オクチルオキシエチル、クロロメチル、2-クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1-ジメチル-2-クロロエチル、2-メトキシイソプロピル、ブチルチオメチル、2-ドデシルチオエチル、2-フェニルチオエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、6-ヒドロキシヘキシル、2-アミノエチル、2-アミノプロピル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、6-アミノヘキシル、2-メチルアミノエチル、2-メチルアミノプロピル、3-メチルアミノプロピル、4-メチルアミノブチル、6-メチルアミノヘキシル、2-ジメチルアミノエチル、2-ジメチルアミノプロピル、3-ジメチルアミノプロピル、4-ジメチルアミノブチル、6-ジメチルアミノヘキシル、2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルエチル、2-フェノキシエチル、2-フェノキシプロピル、3-フェノキシプロピル、4-フェノキシブチル、6-フェノキシヘキシル、2-メトキシプロピル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、6-メトキシヘキシル、2-エトキシプロピル、3-エトキシプロピル、4-エトキシブチル又は6-エトキシヘキシル;
5-ヒドロキシ-3-オキサペンチル、8-ヒドロキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-ヒドロキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-ヒドロキシ-4-オキサへプチル、11-ヒドロキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-ヒドロキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-ヒドロキシ-5-オキサノニル、14-ヒドロキシ-5,10-オキサテトラデシル、5-メトキシ-3-オキサペンチル、8-メトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-メトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-メトキシ-4-オキサへプチル、11-メトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-メトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-メトキシ-5-オキサノニル、14-メトキシ-5,10-オキサテトラデシル、5-エトキシ-3-オキサペンチル、8-エトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-エトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-エトキシ-4-オキサへプチル、11-エトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-エトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-エトキシ-5-オキサノニル又は14-エトキシ-5,10-オキサテトラデシル;
フェニル、トリル、キシリル、α-ナフチル、β-ナフチル、4-ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert-ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジメトキシフェニル、2,6-ジクロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-又は4-ニトロフェニル、2,4-又は2,6-ジニトロフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル又はエトキシメチルフェニル;及び
シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、又は飽和若しくは不飽和二環系、例えば、ノルボルニル若しくはノルボルネニル。
【0045】
ここで、R4は、以下の基からなる群から選択することができる:
メチレン、1,2-エチレン、1,2-又は1,3-プロピレン、1,2-、1,3-又は1,4-ブチレン、1,1-ジメチル-1,2-エチレン又は1,2-ジメチル-1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、1,8-オクチレン、1,10-デシレン、1,12-ドデシレン及び1,20-エイコシレン、並びに
シクロプロピレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロオクチレン及びシクロドデシレン。
【0046】
いくつかの好ましい実施形態において、R3は、任意選択的に置換されたC6~C12-アリール又はC1~C18-アルキル、好ましくは任意選択的に置換されたC1~C18-アルキル、特に好ましくは未置換のC1~C18-アルキルであり;R5は、任意選択的に置換されたC1~C18-アルキル、好ましくは非置換のC1~C18-アルキルであり;及び/又はR4は、メチレン、1,2-エチレン又は1,2-プロピレン、好ましくは1,2-エチレンである。
【0047】
いくつかの実施形態において、式(III)
【化2】
(式中、R
4及びR
5は上記で定義した通りである)の構造を有する化合物が特に好ましい。
【0048】
いくつかの好ましい実施形態において、チオエーテルには、50℃未満の融点を有するもの、例えば、20℃、25℃、30℃、40℃、45℃又は50℃未満の融点を有するチオエーテルが含まれる。このようなチオエーテルは、安定剤が操作温度(典型的には45℃~50℃)で液体であることを可能にし、それによって自動生産を容易にする。
【0049】
好ましい実施形態において、チオエーテルは、チオジプロピオン酸エステル、例えば、ジメチル3,3’-チオジプロピオネート、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート(DLTDP)(例えば、BASFからのIrganox(登録商標)PS800)、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート(DTDTP)(例えば、Songwon International AGからのSongnox(登録商標)DTDTP)、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート(DSTDP)、ジミリスチルチオジプロピオネート(DMTDP)及び2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]プロパン-1,3-ジイルビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート](例えば、Seenox412S)からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0050】
より好ましい実施形態において、チオエーテルは、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート(DLTDP)及びジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート(DTDTP)からなる群から選択される少なくとも1つである。これらのより好ましいチオエーテルは、安定剤が典型的な操作温度(例えば、45℃~50℃)で液体であることを可能にする低融点を有する液体又は固体である。
【0051】
ホスファイト
本開示においては、ホスファイトは限定されない。本開示による適切なホスファイトとしては、モノホスファイト及びポリマー性ホスファイトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本開示による適切なモノホスファイトの例には、式(IV)
P(OR6)(OR7)(OR8) (IV)
(式中、
R6、R7及びR8は、それぞれ互いに独立して、C1~C18-アルキル、C6~C12-アリール又はC5~C12-シクロアルキルであることが可能であり、上記の基は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されている)の構造を有する化合物が含まれる。
【0053】
ここで、R6、R7及びR8は、それぞれ互いに独立して、以下の基からなる群から選択することができる:
メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-へプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、2,4,4-トリメチルペンチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、α,α-ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p-トリルメチル、1-(p-ブチルフェニル)エチル、p-クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、p-メトキシベンジル、m-エトキシベンジル、2-シアノエチル、2-シアノプロピル、2-メトキシカルボンエチル、2-エトキシカルボニルエチル、2-ブトキシカルボニルプロピル、1,2-ジ(メトキシカルボニル)エチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3-ジオキソラン-2-イル、1,3-ジオキソラン-2-イル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、2-イソプロポキシエチル、2-ブトキシプロピル、2-オクチルオキシエチル、クロロメチル、2-クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1-ジメチル-2-クロロエチル、2-メトキシイソプロピル、ブチルチオメチル、2-ドデシルチオエチル、2-フェニルチオエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、6-ヒドロキシヘキシル、2-アミノエチル、2-アミノプロピル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、6-アミノヘキシル、2-メチルアミノエチル、2-メチルアミノプロピル、3-メチルアミノプロピル、4-メチルアミノブチル、6-メチルアミノヘキシル、2-ジメチルアミノエチル、2-ジメチルアミノプロピル、3-ジメチルアミノプロピル、4-ジメチルアミノブチル、6-ジメチルアミノヘキシル、2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルエチル、2-フェノキシエチル、2-フェノキシプロピル、3-フェノキシプロピル、4-フェノキシブチル、6-フェノキシヘキシル、2-メトキシプロピル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、6-メトキシヘキシル、2-エトキシプロピル、3-エトキシプロピル、4-エトキシブチル又は6-エトキシヘキシル;
フェニル、トリル、キシリル、α-ナフチル、β-ナフチル、4-ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert-ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジメトキシフェニル、2,6-ジクロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-又は4-ニトロフェニル、2,4-又は2,6-ジニトロフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル又はエトキシメチルフェニル;及び
シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、又は飽和若しくは不飽和二環系、例えば、ノルボルニル若しくはノルボルネニル。
【0054】
本開示による適切なポリマー性ホスファイトの例には、式(V)
【化3】
(式中、
各R
9、R
10、R
11及びR
12は、同一であっても又は異なっていてもよく、C1~20アルキル、C3~22アルケニル、C6~40シクロアルキル、C7~40シクロアルキレン、C1~20メトキシアルキルグリコールエーテル、C1~20アルキルグリコールエーテル、及び/又はY-OH(末端キャッピング部分として機能する)からなる群から独立して選択され;
Yは、C2~40アルキレン、C2~40アルキルラクトン(例えば、エチレン、プロピレン、カプリラクトン)、-R
13-N(R
14)-R
15-(例えば、C2~40アルキルジアミン及びC2~40アルキルトリアミン)からなる群から選択され、
ここで、R
13、R
14、及びR
15は、R
9、R
10、R
11、及びR
12について上記で定義した群から独立して選択されるが、ここではHをさらに含み;
mは2~100の範囲の整数値であり、且つ
xは1~1,000の範囲の整数値である)の構造を有するものが含まれる。
【0055】
いくつかの実施形態において、アルキル、アルケニル、シクロアルキルは、酸素、硫黄又は窒素で中断されていてもよい。
【0056】
いくつかの好ましい実施形態において、ポリマー性ホスファイトは、ポリ(アルキレングリコール)フェニルホスファイトである。より好ましくは、ポリ(アルキレングリコール)フェニルホスファイトは、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)、ポリ(プロピレングリコール)フェニルホスファイト又はポリ(エチレングリコール)フェニルホスファイトである。
【0057】
さらに他の好ましい実施形態において、ポリマー性ホスファイトは、式(VI)
【化4】
(式中、
各R
9、R
10、R
11及びR
12は上記で定義した通りであり;
Yは上記で定義した通りであり;且つ
mは上記で定義した通りである)の構造を有するポリマー性ジホスファイトである。
【0058】
好ましくは、本開示によるホスファイトは、トリドデシルホスファイト(例えば、CCP STAB 3012T)、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5;例えばWeston705)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(例えば、CCP STAB 508T)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル6-tert-ブチルフェニル)アルキル(C13)-ホスファイト(例えば、CCP STAB AS-4500)及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)からなる群から選択される。これらの好ましいホスファイトは、融解プロセス中のジイソシアネートの色安定化に優れている。
【0059】
より好ましくは、ホスファイトは、トリドデシルホスファイト(例えば、CCP STAB 3012T)、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5;例えば、Weston705)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(例えば、CCP STAB 508T)及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)からなる群から選択される。
【0060】
好ましくは、トリフェニルホスファイト(TPP)は、その高い揮発性及び毒性のため、多くの用途で制限されているため、本開示によるホスファイトは、TPPを含まない。
【0061】
いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、50℃未満、好ましくは20℃未満の融点を有する。例えば、ジイソシアネート安定剤は、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃、20℃又は10℃未満の融点を有する。いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤は室温では固体であるが、45℃~50℃では液体である。ジイソシアネート安定剤が操作温度(例えば、45℃~50℃)で液体である場合、自動生産が容易になり、生産効率を効果的に向上させることができる。さらに、ジイソシアネート安定剤が20℃未満の融点を有し、したがって、20℃未満でも液体である場合、低温でのジイソシアネート安定剤の輸送をさらに容易にする。
【0062】
当業者は、その融点に応じて適切な立体障害フェノール、チオエーテル、及び/又はホスファイトを選択することによって、及び/又は各成分の適切な量を選択することによって、50℃未満の融点を有する液体安定剤を得ることができる。本開示は、それらの適切な立体障害フェノール、チオエーテル、ホスファイト又は安定剤中のそれぞれの量について何ら制限を加えるものではない。
【0063】
例えば、いくつかの実施形態において、立体障害フェノールは、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼネプロパン酸、分岐C13~C15-アルキルエステル、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)-フェノール及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールからなる群から選択される少なくとも1つであり;チオエーテルは、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及び2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]プロパン-1,3-ジイルビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]からなる群から選択される少なくとも1つであり;ホスファイトは、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル6-tert-ブチルフェニル)アルキル(C13)-ホスファイト及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)からなる群から選択される少なくとも1つである。別の実施形態において、立体障害フェノールとしては、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル及びオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられ;チオエーテルとしては、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート及びジトリデシル3,3’-チオジプロピオネートが挙げられ;ホスファイトとしては、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)並びに3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)が挙げられる。
【0064】
上記の実施形態において、立体障害フェノール及びチオエーテルは、低い融点を有する液体又は固体であり、これにより、ジイソシアネート安定剤が操作温度(典型的には45℃~50℃)で液体であることを可能にする。
【0065】
上記のように、本開示においては、立体障害フェノール、チオエーテル、又はホスファイトの量は限定されない。当業者は、実際の必要性に応じて適切な量を選択することができる。
【0066】
例えば、いくつかの実施形態において、それぞれの場合、安定剤の総重量に基づいて、立体障害フェノールは10~90重量%の量で存在し、チオエーテルは5~80重量%の量で存在し、ホスファイトは5~80重量%の量で存在する。
【0067】
他の実施形態において、立体障害フェノールは、10~90重量%、例えば、15~85重量%、20~80重量%、25~75重量%、30~70重量%、35~65重量%、40~60重量%、又は45~55重量%の量で存在する。例えば、立体障害フェノールの量は、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、又はその間の任意の値若しくは範囲である。
【0068】
さらに他の実施形態において、チオエーテルは、5~80重量%、例えば、10~75重量%、又は15~70重量%、又は20~65重量%、又は25~60重量%、又は30~55重量%、又は35~50重量%、又は40~45重量%の量で存在する。例えば、チオエーテルの量は、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、又はその間の任意の値若しくは範囲である。
【0069】
さらに他の実施形態において、ホスファイトは、5~80重量%、例えば、10~75重量%、又は15~70重量%、又は20~65重量%、又は25~60重量%、又は30~55重量%、又は35~50重量%、又は40~45重量%の量で存在する。例えば、ホスファイトの量は、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、又はその間の任意の値若しくは範囲である。
【0070】
いくつかの好ましい実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを含み、ここで、立体障害フェノールとしては、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼネプロパン酸、分岐C13~C15-アルキルエステル、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)-フェノール及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールが挙げられ;チオエーテルとしては、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及び2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]プロパン-1,3-ジイルビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]が挙げられ;ホスファイトとしては、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル6-tert-ブチルフェニル)アルキル(C13)-ホスファイト及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)が挙げられ;それぞれの場合、ジイソシアネート安定剤の総重量に基づいて、立体障害フェノールは10~90重量%の量で存在し、チオエーテルは5~80重量%の量で存在し、ホスファイトは5~80重量%の量で存在する。
【0071】
さらに好ましい実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを含み、立体障害フェノールとしては、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル及びオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられ;チオエーテルとしては、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート及びジトリデシル3,3’-チオジプロピオネートが挙げられ;ホスファイトとしては、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)並びに3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが挙げられ;それぞれの場合、ジイソシアネート安定剤の総重量に基づいて、立体障害フェノールの量は10~90重量%であり、チオエーテルの量は5~80重量%であり、ホスファイトの量は5~80重量%である。
【0072】
以下に、本開示のジイソシアネート安定剤を調製するためのいくつかの例を示す。とはいえ、これらの例は例示のためのみに過ぎないことを理解されたい。本開示のジイソシアネート安定剤は、当業者に周知の公知のプロセスによって調製することができる。例えば、適当な量の適当な立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを順次又は同時に添加し、次いで、組成物を一定の温度で一定の時間加熱混合することができる。混合プロセスに関しては、特殊な点はなく、従来の混合技術及び装置を使用することができる。
【0073】
II.ジイソシアネート安定剤の使用
第2の態様において、本開示はまた、ジイソシアネートを安定化するための本開示の第1の態様によるジイソシアネート安定剤の使用を提供する。
【0074】
III.ジイソシアネート組成物
第3の態様において、本開示は、
(A)ジイソシアネートと
(B)本開示の第1の態様によるジイソシアネート安定剤と
を含むジイソシアネート組成物を提供する。
【0075】
いくつかの実施形態において、本開示は、
(A)ジイソシアネートと
(B)立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを含むジイソシアネート安定剤と
を含むジイソシアネート組成物を提供する。
【0076】
ジイソシアネート
適切なジイソシアネートの例としては、脂肪族、脂環族及び芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
【0077】
適切な脂肪族ジイソシアネートの例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの誘導体、トリメチルヘキサンジイソシアネート又はテトラメチルヘキサンジイソシアネートが挙げられる。
【0078】
適切な脂環族ジイソシアネートの例としては、1,2-、1,3-若しくは1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、2,4’-若しくは4,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-(イソシアナトメチルシクロヘキサン)(イソホロンジイソシアネート)、1,3-若しくは1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又は2,4-若しくは2,6-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサンが挙げられる。
【0079】
適切な芳香族ジイソシアネートの例としては、トルエン2,4-若しくは2,6-ジイソシアネート及びその異性体混合物、m-若しくはp-キシリレンジイソシアネート、2,4’-若しくは4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)及びその異性体混合物、フェニレン1,3-若しくは1,4-ジイソシアネート、1-クロロフェニレン2,4-ジイソシアネート、ナフチレン1,5-ジイソシアネート、ビフェニレン4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、3-メチル-ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトベンゼン又は4,4’-ジイソシアナトジフェニルエーテルが挙げられる。
【0080】
本開示のジイソシアネート安定剤は、トルエン2,4-若しくは2,6-ジイソシアネート及びそれらの異性体混合物、m-若しくはp-キシレンジイソシアネート、2,4’-若しくは4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン及びそれらの異性体混合物を安定化するのに特に適切であり、特に、その特異な構造により黄変しやすい2,4’-若しくは4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタンを優先的に安定化する。
【0081】
前記ジイソシアネートの混合物も適切である。例えば、イソホロンジイソシアネートは、通常、混合物の形態であり、具体的には、一般に約60:40~80:20(w/w)の割合で、好ましくは約70:30~75:25の割合で、より好ましくは約75:25の割合でのシス及びトランス異性体の混合物である。ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネートも同様に、異なるシス及びトランス異性体の混合物の形態であってもよい。
【0082】
本開示では、ジイソシアネートは、対応するアミンをホスゲン化することによって、又はホスゲンを使用せずに、すなわちホスゲンを使用しないプロセスによって、従来通りに得ることができる。
【0083】
使用され得るジイソシアネートは、好ましくは、ジイソシアネートに基づき30~50重量%のイソシアネート基(NCOとして計算、分子量=42)の含有量を有する。
【0084】
ジイソシアネート安定剤中の立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトに関して、適切な立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイト並びに安定剤中のそれらの量は、本開示の第1の態様に記載したものと同じであることは理解されるべきである。したがって、適切な立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイト並びに安定剤中のそれらの量は、ここには再び詳述しない。以下、本開示のジイソシアネート組成物に適切ないくつかの例示的な立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイト並びにジイソシアネート安定剤中のそれらの量のみを提供する。
【0085】
いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤の総重量に基づいて、立体障害フェノールは10~90重量%の量で存在し、チオエーテルは5~80重量%の量で存在し、そしてホスファイトは5~80重量%の量で存在する。
【0086】
いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトからなる。
【0087】
いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、50℃未満、好ましくは20℃未満の融点を有する。
【0088】
いくつかの実施形態において、立体障害フェノールは、アルキルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールS、3,3’,5,5’-テトラブロモビスフェノールA、メチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾート、4-tert-ブチルピロカテコール、2-ヒドロキシベンジルアルコール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、n-オクタデシルβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5,-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチルイソシアヌレート、1,3,5-トリス-(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート又はペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5,-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、6-イソブチル-2,4-ジニトロフェノール、6-sec-ブチル-2,4-ジニトロフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、オクタデシル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサデシル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3-チア-1,5-ペンタンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオールビス[(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)プロピオネート]、1,9-ノナンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,7-ヘプタンジアミンビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、1,1-メタンジアミンビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオノイックヒドラジド、3-(3’,5’-ジメチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオノイックヒドラジド、ビス(3-tert-ブチル-5-エチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)メタン、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェン-1-イル)メタン、ビス[3-(1’-メチルシクロヘキセ-1’-イル)-5-メチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル]メタン、ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェン-1-イル)メタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェン-1-イル)エタン、ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェン-1-イル)スルフィド、ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェン-1-イル)スルフィド、1,1-ビス(3,4-ジメチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-3-メチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)ブタン、1,3,5-トリス[1’-(3’’,5’’-ジ-tert-ブチル-4’’-ヒドロキシフェン-1’’-イル)-メテ-1’-イル]-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,1,4-トリス(5’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-2’-メチルフェン-1’-イル)ブタン、アミノフェノール、ニトロソフェノール、アルコキシフェノール、オイゲノール、ジヒドロオイゲノール、イソオイゲノール、トコフェロール、トコール、α-トコフェロールヒドロキノン、4-メチルピロカテコール、3-メチルピロカテコール、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、p-フェノキシフェノール、ヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2-メチル-p-ヒドロキノン、2,3-ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ヒドロキシベンゾフラン(2,2-ジメチル-7-ヒドロキシカマラン(hydroxycoumaran))、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0089】
いくつかの実施形態において、立体障害フェノールは、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分枝C7~C9-アルキルエステル、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロパン酸、分岐C13~C15-アルキルエステル、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)-フェノール及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0090】
いくつかの実施形態において、チオエーテルは、式(III)
【化5】
(式中、
R
4は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されたC
1~C
20-アルキレン又はC
3~C
12-シクロアルキレンから選択され、且つ
R
5は、C
1~C
18-アルキル、1つ又は複数の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1つ又は複数の置換若しくは非置換のイミノ基で中断されているC
2~C
18-アルキル、C
6~C
12-アリール又はC
5~C
12-シクロアルキルであって、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されているものから選択される)から選択される少なくとも1つである。
【0091】
いくつかの実施形態において、チオエーテルは、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及び2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]プロパン-1,3-ジイルビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0092】
いくつかの実施形態において、ホスファイトは、式(IV)
P(OR6)(OR7)(OR8) (IV)
(式中、
R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、C1~C18-アルキル、C6~C12-アリール又はC5~C12-シクロアルキルから選択され、上記の基は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されている)から選択される少なくとも1つである。
【0093】
いくつかの実施形態において、ホスファイトは、式(V)
【化6】
(式中、
各R
9、R
10、R
11及びR
12は、同一であっても又は異なっていてもよく、C1~20アルキル、C3~22アルケニル、C6~40シクロアルキル、C7~40シクロアルキレン、C1~20メトキシアルキルグリコールエーテル、C1~20アルキルグリコールエーテル、及び/又はY-OH(末端キャッピング部分として機能する)からなる群から独立して選択され;
Yは、C2~40アルキレン、C2~40アルキルラクトン(例えば、エチレン、プロピレン、カプリラクトン)、-R
13-N(R
14)-R
15-(例えば、C2~40アルキルジアミン及びC2~40アルキルトリアミン)からなる群から選択され、
ここで、R
13、R
14、及びR
15は、R
9、R
10、R
11、及びR
12について上記で定義した群から独立して選択されるが、ここではHをさらに含み;
mは2~100の範囲の整数値であり、且つ
xは1~1,000の範囲の整数値である)の構造を有するポリマー性ホスファイトである。
【0094】
いくつかの実施形態において、ポリマー性ホスファイトは、式(VI)
【化7】
(式中、
各R
9、R
10、R
11及びR
12は上記で定義した通りであり;
Yは上記で定義した通りであり;且つ
mは上記で定義した通りである)の構造を有するポリマー性ジホスファイトである。
【0095】
いくつかの実施形態において、ホスファイトは、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル6-tert-ブチルフェニル)アルキル(C13)-ホスファイト及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0096】
いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを含み、ここで、立体障害フェノールとしては、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼネプロパン酸、分岐C13~C15-アルキルエステル、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)-フェノール及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールが挙げられ;チオエーテルとしては、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及び2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]プロパン-1,3-ジイルビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]が挙げられ;ホスファイトとしては、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル6-tert-ブチルフェニル)アルキル(C13)-ホスファイトが挙げられ;それぞれの場合、ジイソシアネート安定剤の総重量に基づいて、立体障害フェノールは10~90重量%の量で存在し、チオエーテルは5~80重量%の量で存在し、ホスファイトは5~80重量%の量で存在する。
【0097】
いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを含み、立体障害フェノールとしては、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル及びオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられ;チオエーテルとしては、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート及びジトリデシル3,3’-チオジプロピオネートが挙げられ;ホスファイトとしては、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)並びに3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが挙げられ;それぞれの場合、ジイソシアネート安定剤の総重量に基づいて、立体障害フェノールの量は10~90重量%であり、チオエーテルの量は5~80重量%であり、ホスファイトの量は5~80重量%である。
【0098】
いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、ジイソシアネート組成物の総重量に基づき、0.08~0.5重量%の量で存在する。いくつかの好ましい実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、ジイソシアネート組成物の総重量に基づき、0.1~0.4重量%、より好ましくは0.15~0.35重量%の量で存在する。
【0099】
上記の好ましい量範囲であれば、ジイソシアネート安定剤は、経済的に、ジイソシアネートの外観に悪影響を与えることなく、ジイソシアネートに十分な安定性を付与することができる。
【0100】
ジイソシアネート組成物は、当該技術分野における一般的な方法によって調製することができる。例えば、本開示の第1の態様によるジイソシアネート安定剤を予め調製し、それを適切な用量でジイソシアネート中に添加し、次いでそれらを一定時間混合することができる。或いは、ある量の立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを、逐次的又は同時的に直接ジイソシアネート中に添加し、次いで一定時間それらを混合することができる。得られたジイソシアネート組成物は、その色及び透明性に影響を与えることなく、長時間、加熱状態で貯蔵することができる。
【0101】
本開示は、以下の実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0102】
材料
ジイソシアネート:モノマー性MDI:(4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、Lupranate(登録商標)ME、BASF)
安定剤:立体障害フェノール:
3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル(BASFからのIrganox(登録商標)1135)
オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF SEからのIrganox(登録商標)1076)
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT、SCRC)
チオエーテル:
ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート(DLTDP、BASFからのIrganox(登録商標)PS 800)
ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート(DTDTP、Songwon International AGからのSongnox(登録商標)DTDTP)
ホスファイト:
トリドデシルホスファイト(CCP STAB 3012T、CCP)
3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(CCP STAB 508T、CCP)。
【0103】
試験方法
透過強度は、以下の基準又は手順に従って測定される:
以下の実施例に従って試料を調製し、得られた試料を透明ガラスバイアルに貯蔵する。
電荷結合素子(CCD)カメラで各試料の画像を撮影する。
CCDカメラで試験された電荷に応じて、各試料の光透過強度値を算出する。
【0104】
電荷結合素子(CCD)は、連結された又は結合されたキャパシタのアレイを含む集積回路である。CCDカメラによって、入射した光子を電荷に変換することができる。電荷の値は、CCDに入射する光強度に依存する。したがって、各試料の光透過強度は、CCDカメラで試験された電荷によって計算することができる。
【0105】
ジイソシアネート安定剤の調製実施例(実施例1~7)
実施例1:
1)90g(90重量%)のIrganox(登録商標)1135及び5g(5重量%)のCCP STAB 3012Tをビーカーに添加し、室温でよく混合し;
2)上記液体混合物に5g(5重量%)のDLTDPを添加し;そして
3)45℃まで加熱し、この温度を保持しながら30分間撹拌し、室温(例えば20℃~25℃)で液体のジイソシアネート安定剤を得る。
【0106】
実施例2:
1)10g(10重量%)のIrganox(登録商標)1135及び80g(80重量%)のCCP STAB 3012Tをビーカーに添加し、室温でよく混合し;
2)上記液体混合物に10g(10重量%)のDLTDPを添加し;そして
3)45℃まで加熱し、この温度を保持しながら30分間撹拌し、45℃で液体のジイソシアネート安定剤を得る。
【0107】
実施例3:
1)25g(25重量%)のIrganox(登録商標)1135及び25g(25重量%)のCCP STAB 3012Tをビーカーに添加し、室温でよく混合し;
2)上記液体混合物に50g(50重量%)のDLTDPを添加し;そして
3)45℃まで加熱し、この温度を保持しながら30分間撹拌し、45℃で液体のジイソシアネート安定剤を得る。
【0108】
実施例4:
1)90g(90重量%)のIrganox(登録商標)1076及び5g(5重量%)のCCP STAB 3012Tをビーカーに添加し、室温でよく混合し;
2)上記液体混合物に5g(5重量%)のDLTDPを添加し;そして
3)45℃まで加熱し、この温度を保持しながら30分間撹拌し、50℃で液体のジイソシアネート安定剤を得る。
【0109】
実施例5:
1)50g(50重量%)のIrganox(登録商標)1135及び30g(30重量%)のCCP STAB 508Tをビーカーに添加し、室温でよく混合し;
2)上記液体混合物に20g(20重量%)のDLTDPを添加し;そして
3)45℃まで加熱し、この温度を保持しながら30分間撹拌し、45℃で液体のジイソシアネート安定剤を得る。
【0110】
実施例6:
1)10g(10重量%)のIrganox(登録商標)1135及び10g(10重量%)のCCP STAB 3012Tをビーカーに添加し、室温でよく混合し;そして
2)上記液体混合物に80g(80重量%)のDTDTPを添加し、30分間撹拌し、室温で液体のジイソシアネート安定剤を得る。
【0111】
実施例7:
1)10g(10重量%)のIrganox(登録商標)1135及び30g(30重量%)のCCP STAB 3012Tをビーカーに添加し、室温でよく混合し;そして
2)上記液体混合物に60g(60重量%)のDTDTPを添加し、30分間撹拌し、室温で液体のジイソシアネート安定剤を得る。
【0112】
ジイソシアネート組成物の調製実施例(Ex.a~g及びEx.a’~g’):
実施例1~7に従って調製した上記のジイソシアネート安定剤をそれぞれ45℃でモノマー性MDIに添加し、よく混合して、ジイソシアネート組成物a~g(ジイソシアネート組成物の総重量に基づき、ジイソシアネート安定剤を0.3重量%含有する)及びa’~g’(ジイソシアネート組成物の総重量に基づき、ジイソシアネート安定剤を0.1重量%含有する)を得た。
【0113】
比較ジイソシアネート組成物(Comp.Ex.h及びi):
比較のために、BHT及びDLTDPをそれぞれ45℃でモノマー性MDIに添加し、よく混合して、ジイソシアネート組成物を得る。具体的には、比較例hのジイソシアネート組成物はBHTを含み;比較例iのジイソシアネート組成物はDLTDPを含む。
【0114】
各ジイソシアネート組成物中のジイソシアネート安定剤の用量、各ジイソシアネート組成物の透過強度及び外観を表1~3に示す。
【0115】
透過強度が高いほど、透明度は高くなり、黄色度は低くなる。
【0116】
ジイソシアネート組成物の外観は、1~5のスケールで評価し、1は無色透明を表し、5は濁り黄色が強いことを表す。数値が低いほど透明度が高く、黄色度が低い。
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
表1~表3から分かるように、比較例h及びiと比較して、本開示によるジイソシアネート安定剤を含有するジイソシアネート組成物(Ex.a~g、及びEx.a’~g’)は、色及び透明性の両方の点で優れた安定性を有する。具体的には、本開示によるジイソシアネート安定剤を含有するジイソシアネート組成物は、長期貯蔵(45℃、14日間)及び加熱条件(100℃、24時間)後も、無色(いくつかの実施例では淡黄色)並びに透明(いくつかの実施例では沈降が少ない)を維持することができる。
【0121】
以上、本開示の実施形態及び実施例を説明したが、当業者は、これらは例示のためのものであり、本開示の保護範囲を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。当業者は、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な修正、同等の置換又は改良を行うことができるが、これらの修正、同等の置換又は改良は、本開示の保護範囲内に入る。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジイソシアネート安定剤、ジイソシアネートを安定化するためのジイソシアネート安定剤の使用、及び前記安定剤を含むジイソシアネート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ジイソシアネートは、有機合成、例えば、ポリウレタン樹脂の調製において重要な中間体である。しかしながら、ジイソシアネートは、イソシアネート基の反応性が高いため、貯蔵中に自己重合によって黄変する及び/又は濁る傾向があり、その結果、下流産業における用途に影響を及ぼす。ジイソシアネートの黄変及び/又は濁りを防止するため、当業者は、通常、ジイソシアネートに一定量の酸化防止剤を添加している。
【0003】
例えば、米国特許第3555072号明細書は、安定化量のチオエーテル化合物を添加することを含む、トルエンジイソシアネート(TDI)の変色及び濁りの発生を抑制するプロセスを開示する。
【0004】
しかしながら、米国特許第3555072号明細書に従って得られたTDI溶液の長期熱安定性は低い。熱安定性を延長するために、当業者はチオエーテルの量を増加してもよいが、これはTDIに臭気の問題を引き起こし、これも受け入れがたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、当該技術分野では、長期間の貯蔵後もジイソシアネートが無色及び透明を維持することが可能となる、ジイソシアネートを安定化させるための安定剤を提供することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、先行技術に存在するジイソシアネートを安定化するための上記の課題又は他の潜在的な課題を解決するか、又は少なくとも部分的に解決するジイソシアネート安定剤を提供する。
【0007】
具体的には、第1の態様において、本開示は、ブチル化ヒドロキシトルエン以外の立体障害フェノール、チオエーテル及びトリフェニルホスファイト以外のホスファイトを含むジイソシアネート安定剤を提供する。
【0008】
いくつかの実施形態において、それぞれの場合、安定剤の総重量に基づき、立体障害フェノールは10~90重量%の量で存在し、チオエーテルは5~80重量%の量で存在し、且つホスファイトは5~80重量%の量で存在する。
【0009】
他の実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトからなる。
【0010】
本開示の発明者らは、驚くべきことに、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトが相乗的に作用して、ジイソシアネートの自己重合を効果的に防止できることを見出した。立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを一緒に組み合わせることによって、本開示は、ジイソシアネートが長期貯蔵及び加熱条件下で黄変すること及び/又は濁ることを防止することができる安定剤を提供する。本開示の安定剤は、ジイソシアネートが長期貯蔵及び加熱条件下で黄変しやすい及び/又は濁りやすいという課題を効果的に解決する。
【0011】
いくつかの好ましい実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、50℃未満、好ましくは20℃未満の融点を有する。例えば、ジイソシアネート安定剤は、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃、20℃又は10℃未満の融点を有する。これらの好ましい実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、自動生産を容易にするために操作温度(典型的には45℃~50℃)において液体であり、それにより生産効率を向上させることができる。さらに、ジイソシアネート安定剤が20℃未満の融点を有し、したがって、20℃未満でも液体である場合、低温でのジイソシアネート安定剤の輸送をさらに容易にする。
【0012】
第2の態様において、本開示は、ジイソシアネートを安定化するための、本開示の第1の態様による安定剤の使用を提供する。
【0013】
第3の態様において、本開示は、
(A)ジイソシアネートと
(B)本開示の第1の態様によるジイソシアネート安定剤と
を含む組成物を提供する。
【0014】
本開示の発明者らは、驚くべきことに、得られたジイソシアネート組成物が、長期貯蔵及び加熱条件下において(実質的に)透明及び無色を維持することができ、これによりジイソシアネートの用途領域が著しく拡大されることを見出した。したがって、本開示のジイソシアネート組成物は、色及び透明性の面で高い要求を有する用途に適格となる可能性がある。
【0015】
従来技術と比較して、本開示のジイソシアネート安定剤が、長期貯蔵及び加熱条件(例えば、約100℃の温度を有する融解プロセス)の間にジイソシアネートにもたらす有利な技術的効果としては、以下が含まれるが、これらに限定されない:
(1)ジイソシアネート組成物が、より明るい色を有すること;
(2)ジイソシアネート組成物が、より高い透明性を有すること;並びに
(3)ジイソシアネート組成物が、より明るい色及び高い透明性を維持すること。
【0016】
発明の概要の部分は、本開示の重要な特徴又は基本的な特徴を決定することを意図するものではなく、また本開示の範囲を限定することを意図するものでもないことを理解されたい。本開示の他の特徴は、以下の説明に従って容易に理解できるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明では、当業者にとって十分な理解を容易にするように、実施形態を参照して本開示がさらに説明される。これらの実施形態は、単に本開示の主題をより良く理解するために提供されるものであり、本請求項に記載される保護範囲、適用可能性、又は実施形態に対する限定を行うためのものではないことを理解されたい。当業者であれば、本開示の精神から逸脱することなく、実際の必要性に基づいて、各実施形態に対して様々な技術的特徴を省略、置換、又は追加することができることは理解されるべきである。さらに、いくつかの実施形態に記載された技術的特徴は、他の実施形態に記載された技術的特徴と組み合わせることができる。
【0018】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者が一般的に理解するものと同一の意味を有する。
【0019】
本開示において、「含む(comprise)」、「含む(comprisin)」という用語及びそれらの様々な変形は、「含むが限定されない」ことを意味するオープンエンドな用語として理解することができる。対照的に、「からなる(consisting of)」という用語及びそれらの様々な変形は、具体的に記載されていない任意の構成要素、ステップ又は手順を除外する。「一実施形態」という用語は、「少なくとも1つの実施形態」として理解することができ、「別の実施形態」という用語は、「少なくとも1つの別の実施形態」として理解され得る。登場する可能性があるがここでは言及されていない他の用語は、明示的に記載されていない限り、本開示の実施形態が基づいている概念に反する様式で解釈又は限定されるべきではない。
【0020】
本開示全体を通じて、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、及び「1つ又は複数」という表現は互換的に使用され、単数形のみが明示的に指定されているか、又は文脈で明確に示されている場合を除き、複数形及び単数形の両方を含むことが意図されている。単数形のみが意図されている場合は、通常「1つ」という用語が使用される。また、「又は」という用語は、内容によって明確に指示がない限り、一般的に「及び/又は」の意味を含むことを意図している。本明細書で使用される「好ましい(preferred)」、「好ましい(preferable)」及び「好ましくは(preferably)」は、特定の状況下で特定の利点をもたらし得る本開示の実施形態を指す。しかしながら、他の実施形態も、同一状況下で好ましくなり得る。さらに、1つ又は複数の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを意味するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を除外することを意図するものではない。
【0021】
全てのパーセンテージ、部及び比率は、特に断りのない限り、重量による。また、端数値による数値範囲の記載は、その範囲に含まれる全ての数値を含む(例えば、5~10は、5、5.1、5.2、5.55、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10を含む)。
【0022】
本開示において、「ジイソシアネート安定剤」とは、内部又は外部の影響因子に対してジイソシアネートを安定化させることができる混合物/組成物を指す。内部因子に関しては、上記したように、ジイソシアネートは高い反応性基のために自己重合する傾向がある。外的因子に関しては、ジイソシアネートは熱、光などの影響を受けやすい。ジイソシアネート安定剤は、色安定性、透明性などの観点からジイソシアネートを安定化させるために提供される。前記ジイソシアネート安定剤によって、ジイソシアネートが長期貯蔵及び加熱条件下でも無色及び透明を維持することが可能となる。
【0023】
本開示全体を通じて、「ホスファイト」、「亜リン酸塩」という表現は互換的に使用され、そして単数形のみが明示的に指定されているか、又は文脈によって明らかに示されている場合を除き、複数形及び単数形の両方を含むように意図されている。
【0024】
「グリコール」という用語は、異なる炭素原子に結合した2つのヒドロキシル基(-OH基)を含有する脂肪族ジオールである。
【0025】
「色安定性」という用語は、ジイソシアネート組成物の色が、加熱条件下であっても、長期貯蔵中に変化しないか、又はわずかにのみ変化することを意味する。例えば、本開示のジイソシアネート組成物は、長期貯蔵及び加熱条件下において、無色又は淡黄色を維持することができる。
【0026】
本明細書で使用される「透過強度」という用語は、物体を透過する光の割合を意味する。例えば、本開示の実施形態において、ジイソシアネート組成物を含有するガラスバイアルを透過する光の割合を指す。
【0027】
前述のように、ジイソシアネートは多くの有機合成において重要な中間体であり、例えばポリウレタン樹脂の調製用の中間体である。しかしながら、ジイソシアネートは非常に反応性の高い基を有するため、自己重合しやすく、そのため貯蔵中に濁りやすい。このような課題は、脂肪族、脂環族及び芳香族ジイソシアネートを含む様々なジイソシアネートに存在する。
【0028】
I.ジイソシアネート安定剤
従来技術におけるジイソシアネートの安定化における既存の困難に鑑みて、第1の態様において、本開示は、ブチル化ヒドロキシトルエン以外の立体障害フェノール、チオエーテル及びトリフェニルホスファイト以外のホスファイトを含むジイソシアネート安定剤を提供する。
【0029】
本開示の発明者らは、驚くべきことに、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトが相乗的に作用して、ジイソシアネートの自己重合を効果的に防止できることを見出した。立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを一緒に組み合わせることによって、本開示は、ジイソシアネートが長期貯蔵及び加熱条件(例えば、約100℃の温度を有する融解プロセス)下で黄変すること及び/又は濁ることを防止することができる安定剤を提供する。本開示の安定剤は、ジイソシアネートが長期貯蔵及び加熱条件下で黄変しやすく、濁りやすいという課題を効果的に解決した。
【0030】
立体障害フェノール
立体障害フェノールとしては、芳香環上に1つ又は複数のフェノール性水酸基を有するフェノールが挙げられ、好ましくは、フェノール性水酸基に対してオルト位、最も好ましくはオルト位及びパラ位に置換基、好ましくはアルキル基を有するものが挙げられる。
【0031】
上記の説明は、本開示に適切な立体障害フェノールの範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0032】
適切なフェノールの例としては、アルキルフェノール、例えば、o-、m-又はp-クレゾール(メチルフェノール)、2-tert-ブチル-4-メチルフェノール、6-tert-ブチル-2,4-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェノール、2-メチル-4-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルフェノール、又は2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、4,4’-オキシジフェノール、3,4-メチレンジオキシジフェノール(セサモール)、3,4-ジメチルフェノール、ヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2-メチル-p-ヒドロキノン、2,3-ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、ピロカテコール(1,2-ジヒドロキシベンゼン)、2-(1’-メチルシクロヘキセ-1’-イル)-4,6-ジメチルフェノール、2-又は4-(1’-フェニルエテ-1’-イル)フェノール、2-tert-ブチル-6-メチルフェノール、2,4,6-トリス-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、ノニルフェノール[11066-49-2]、オクチルフェノール[140-66-9]、2,6-ジメチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールS、3,3’,5,5’-テトラブロモビスフェノールA、BASF AGからのKoresin(登録商標)、メチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾート、4-tert-ブチルピロカテコール、2-ヒドロキシベンジルアルコール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2,3,6-トリメチルフェノール、2,4,5-トリメチルフェノール、2,4,6-トリメチルフェノール、2-イソプロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、6-イソプロピル-m-クレゾール、n-オクタデシルβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5,-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチルイソシアヌレート、1,3,5-トリス-(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート又はペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5,-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、6-イソブチル-2,4-ジニトロフェノール、6-sec-ブチル-2,4-ジニトロフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、オクタデシル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサデシル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3-チア-1,5-ペンタンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオールビス[(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)プロピオネート]、1,9-ノナンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,7-ヘプタンジアミンビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、1,1-メタンジアミンビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオノイックヒドラジド、3-(3’,5’-ジメチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオノイックヒドラジド、ビス(3-tert-ブチル-5-エチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)メタン、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェン-1-イル)メタン、ビス[3-(1’-メチルシクロヘキセ-1’-イル)-5-メチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル]メタン、ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェン-1-イル)メタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェン-1-イル)エタン、ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェン-1-イル)スルフィド、ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェン-1-イル)スルフィド、1,1-ビス(3,4-ジメチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-3-メチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)ブタン、1,3,5-トリス[1’-(3’’,5’’-ジ-tert-ブチル-4’’-ヒドロキシフェン-1’’-イル)-メテ-1’-イル]-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,1,4-トリス(5’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-2’-メチルフェン-1’-イル)ブタン、アミノフェノール、例えば、パラ-アミノフェノール、3-ジエチルアミノフェノール、ニトロソフェノール、例えば、パラ-ニトロソフェノール、p-ニトロソ-o-クレゾール、アルコキシフェノール、例えば、2-メトキシフェノール(グアジャコール、ピロカテコールモノメチルエーテル)、4-メトキシフェノール(ヒドロキノンモノメチルエーテル)、2-エトキシフェノール、4-エトキシフェノール、2-イソプロポキシフェノール、4-ブトキシフェノール、モノ-又はジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3-ヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール、2,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシベンジルアルコール(シリンガアルコール)、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド(エチルバニリン)、3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド(イソバニリン)、1-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エタノン(アセトバニロン)、オイゲノール、ジヒドロオイゲノール、イソオイゲノール、トコフェロール、例えば、α-、β-、γ-、δ-及びε-トコフェロール、トコール、α-トコフェロールヒドロキノン、4-メチルピロカテコール、3-メチルピロカテコール、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、p-フェノキシフェノール、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ヒドロキシベンゾフラン(2,2-ジメチル-7-ヒドロキシカマラン(hydroxycoumaran))、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(Trolox(登録商標))及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0033】
対応する立体障害フェノール製品は、例えば、商品名Irganox(登録商標)(BASF)、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5,-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](例えば、Irganox(登録商標)1010)、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)トリオン(例えば、Irganox(登録商標)3114)、チオジエチレンビス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート](例えば、Irganox(登録商標)1035)、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル(例えば、Irganox(登録商標)1135)、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例えば、Irganox(登録商標)1076)、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル(例えば、Irganox(登録商標)2000)、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(例えば、Irganox(登録商標)1520);3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロパン酸、分岐C13~C15-アルキルエステル(例えば、Anox(登録商標)1315)で入手可能である。
【0034】
上記の立体障害フェノールの例は単なる例示であり、本開示の保護範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。任意の他の適切な立体障害フェノールもまた適用可能である。
【0035】
いくつかの好ましい実施形態において、立体障害フェノールには、55℃未満の融点を有するもの、例えば、20℃、25℃、30℃、40℃、45℃、50℃又は55℃未満の融点を有する立体障害フェノールが含まれる。このような立体障害フェノールは、安定剤が操作温度(典型的には45℃~50℃)で液体であることを可能にし、それによって自動生産を容易にする。
【0036】
好ましい実施形態において、立体障害フェノールは、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル(例えば、Irganox(登録商標)1135)、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例えば、Irganox(登録商標)1076)、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼネプロパン酸、分岐C13~C15-アルキルエステル(例えば、Anox(登録商標)1315)、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル(例えば、Irganox(登録商標)2000)、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(例えば、Irganox(登録商標)1520)からなる群から選択される少なくとも1つである。これらの好ましい立体障害フェノールは人体に無害であるため、より安全で環境に優しい。
【0037】
より好ましい実施形態において、立体障害性フェノールは、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル(例えば、Irganox(登録商標)1135)及びオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例えば、Irganox(登録商標)1076)からなる群から選択される少なくとも1つである。これらのより好ましい立体障害性フェノールは、安定剤が室温又は典型的な操作温度(例えば、45℃)で液体であることを可能にする低融点を有する液体又固体である。
【0038】
好ましくは、BHTは揮発性が高く、多くの用途で制限されているため、立体障害フェノールはブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含まない。
【0039】
チオエーテル
本開示に従って使用されるチオエーテルは、少なくとも1つのチオエーテル基、すなわち、2つの同一又は異なる有機置換基によって置換されている硫黄原子を含む化合物を含む。上記の説明は、本開示のチオエーテルの範囲を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。本開示においては、チオエーテルは限定されない。
【0040】
適切なチオエーテルは、式(I)
R1-S-R2 (I)
(式中、
R1及びR2は、それぞれ互いに独立して、C1~C18-アルキル、1つ又は複数の酸素原子及び/又は硫黄原子、及び/又は1つ又は複数の置換又は非置換のイミノ基によって中断されているC2~C18-アルキル、C2~C18-アルケニル、C6~C12-アリール、C5~C12-シクロアルキル、又は5員又は6員の酸素、窒素及び/又は硫黄を含む複素環であることが可能であり、上記の基は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されている)の構造を有する。
【0041】
ここで、R1及びR2は、それぞれ互いに独立して、以下の基からなる群から選択することができる:
メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-へプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、2,4,4-トリメチルペンチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、α,α-ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p-トリルメチル、1-(p-ブチルフェニル)エチル、p-クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、p-メトキシベンジル、m-エトキシベンジル、2-シアノエチル、2-シアノプロピル、2-メトキシカルボンエチル、2-エトキシカルボニルエチル、2-ブトキシカルボニルプロピル、1,2-ジ(メトキシカルボニル)エチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3-ジオキソラン-2-イル、1,3-ジオキソラン-2-イル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、2-イソプロポキシエチル、2-ブトキシプロピル、2-オクチルオキシエチル、クロロメチル、2-クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1-ジメチル-2-クロロエチル、2-メトキシイソプロピル、ブチルチオメチル、2-ドデシルチオエチル、2-フェニルチオエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、6-ヒドロキシヘキシル、2-アミノエチル、2-アミノプロピル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、6-アミノヘキシル、2-メチルアミノエチル、2-メチルアミノプロピル、3-メチルアミノプロピル、4-メチルアミノブチル、6-メチルアミノヘキシル、2-ジメチルアミノエチル、2-ジメチルアミノプロピル、3-ジメチルアミノプロピル、4-ジメチルアミノブチル、6-ジメチルアミノヘキシル、2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルエチル、2-フェノキシエチル、2-フェノキシプロピル、3-フェノキシプロピル、4-フェノキシブチル、6-フェノキシヘキシル、2-メトキシプロピル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、6-メトキシヘキシル、2-エトキシプロピル、3-エトキシプロピル、4-エトキシブチル又は6-エトキシヘキシル;
5-ヒドロキシ-3-オキサペンチル、8-ヒドロキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-ヒドロキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-ヒドロキシ-4-オキサへプチル、11-ヒドロキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-ヒドロキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-ヒドロキシ-5-オキサノニル、14-ヒドロキシ-5,10-オキサテトラデシル、5-メトキシ-3-オキサペンチル、8-メトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-メトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-メトキシ-4-オキサへプチル、11-メトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-メトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-メトキシ-5-オキサノニル、14-メトキシ-5,10-オキサテトラデシル、5-エトキシ-3-オキサペンチル、8-エトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-エトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-エトキシ-4-オキサへプチル、11-エトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-エトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-エトキシ-5-オキサノニル又は14-エトキシ-5,10-オキサテトラデシル;
ビニル、1-プロペニル、アリル、メタリル、1,1-ジメチルアリル、2-ブテニル、2-ヘキセニル、オクテニル、ウンデセニル、ドデセニル、オクタデセニル、2-フェニルビニル、2-メトキシビニル、2-エトキシビニル、2-メトキシアリル、3-メトキシアリル、2-エトキシアリル、3-エトキシアリル又は1-又は2-クロロビニル;
フェニル、トリル、キシリル、α-ナフチル、β-ナフチル、4-ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert-ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジメトキシフェニル、2,6-ジクロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-又は4-ニトロフェニル、2,4-又は2,6-ジニトロフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル又はエトキシメチルフェニル;
シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、又は飽和若しくは不飽和二環系、例えば、ノルボルニル若しくはノルボルネニル;及び
フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル又はtert-ブチルチオフェニル。
【0042】
いくつかの実施形態において、チオエーテルは、2-メチル-1-プロペニルtert-ドデシルチオエーテル、シクロヘキシリデンメチル-n-ドデシルチオエーテル、3-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチル-n-オクタデシルチオエーテル、3-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチル-n-ドデシルチオエーテル、3-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチル-n-オクチルチオエーテル、3-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチル-シクロヘキシルチオエーテル、3-メチル-(3)-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチル-n-ドデシルチオエーテル、3-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチル-p-トリルチオエーテル、3-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチルベンジルチオエーテル、好ましくは3-シクロヘキセン-(1)-イリデンメチルn-ドデシルチオエーテル及び1-ヘキセニル-n-ドデシルチオエーテルからなる群から選択される。
【0043】
他の実施形態において、チオエーテルは、式(II)
【化1】
(式中、
R
3及びR
5は、それぞれ互いに独立して、C
1~C
18-アルキル、1つ又は複数の酸素原子及び/又は硫黄原子、及び/又は1つ又は複数の置換又は非置換のイミノ基によって中断されているC
2~C
18-アルキル、C
6~C
12-アリール又はC
5~C
12-シクロアルキルであることが可能であり、上記の基は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されており、且つ
R
4は、C
1~C
20-アルキレン又はC
3~C
12-シクロアルキレンであることが可能であり、上記の基は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されている)の構造を有する。
【0044】
ここで、R3及びR5は、それぞれ互いに独立して、以下の基からなる群から選択することができる:
メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-へプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、2,4,4-トリメチルペンチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、α,α-ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p-トリルメチル、1-(p-ブチルフェニル)エチル、p-クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、p-メトキシベンジル、m-エトキシベンジル、2-シアノエチル、2-シアノプロピル、2-メトキシカルボンエチル、2-エトキシカルボニルエチル、2-ブトキシカルボニルプロピル、1,2-ジ(メトキシカルボニル)エチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3-ジオキソラン-2-イル、1,3-ジオキソラン-2-イル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、2-イソプロポキシエチル、2-ブトキシプロピル、2-オクチルオキシエチル、クロロメチル、2-クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1-ジメチル-2-クロロエチル、2-メトキシイソプロピル、ブチルチオメチル、2-ドデシルチオエチル、2-フェニルチオエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、6-ヒドロキシヘキシル、2-アミノエチル、2-アミノプロピル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、6-アミノヘキシル、2-メチルアミノエチル、2-メチルアミノプロピル、3-メチルアミノプロピル、4-メチルアミノブチル、6-メチルアミノヘキシル、2-ジメチルアミノエチル、2-ジメチルアミノプロピル、3-ジメチルアミノプロピル、4-ジメチルアミノブチル、6-ジメチルアミノヘキシル、2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルエチル、2-フェノキシエチル、2-フェノキシプロピル、3-フェノキシプロピル、4-フェノキシブチル、6-フェノキシヘキシル、2-メトキシプロピル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、6-メトキシヘキシル、2-エトキシプロピル、3-エトキシプロピル、4-エトキシブチル又は6-エトキシヘキシル;
5-ヒドロキシ-3-オキサペンチル、8-ヒドロキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-ヒドロキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-ヒドロキシ-4-オキサへプチル、11-ヒドロキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-ヒドロキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-ヒドロキシ-5-オキサノニル、14-ヒドロキシ-5,10-オキサテトラデシル、5-メトキシ-3-オキサペンチル、8-メトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-メトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-メトキシ-4-オキサへプチル、11-メトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-メトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-メトキシ-5-オキサノニル、14-メトキシ-5,10-オキサテトラデシル、5-エトキシ-3-オキサペンチル、8-エトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-エトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-エトキシ-4-オキサへプチル、11-エトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-エトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-エトキシ-5-オキサノニル又は14-エトキシ-5,10-オキサテトラデシル;
フェニル、トリル、キシリル、α-ナフチル、β-ナフチル、4-ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert-ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジメトキシフェニル、2,6-ジクロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-又は4-ニトロフェニル、2,4-又は2,6-ジニトロフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル又はエトキシメチルフェニル;及び
シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、又は飽和若しくは不飽和二環系、例えば、ノルボルニル若しくはノルボルネニル。
【0045】
ここで、R4は、以下の基からなる群から選択することができる:
メチレン、1,2-エチレン、1,2-又は1,3-プロピレン、1,2-、1,3-又は1,4-ブチレン、1,1-ジメチル-1,2-エチレン又は1,2-ジメチル-1,2-エチレン、1,6-ヘキシレン、1,8-オクチレン、1,10-デシレン、1,12-ドデシレン及び1,20-エイコシレン、並びに
シクロプロピレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロオクチレン及びシクロドデシレン。
【0046】
いくつかの好ましい実施形態において、R3は、任意選択的に置換されたC6~C12-アリール又はC1~C18-アルキル、好ましくは任意選択的に置換されたC1~C18-アルキル、特に好ましくは未置換のC1~C18-アルキルであり;R5は、任意選択的に置換されたC1~C18-アルキル、好ましくは非置換のC1~C18-アルキルであり;及び/又はR4は、メチレン、1,2-エチレン又は1,2-プロピレン、好ましくは1,2-エチレンである。
【0047】
いくつかの実施形態において、式(III)
【化2】
(式中、R
4及びR
5は上記で定義した通りである)の構造を有する化合物が特に好ましい。
【0048】
いくつかの好ましい実施形態において、チオエーテルには、50℃未満の融点を有するもの、例えば、20℃、25℃、30℃、40℃、45℃又は50℃未満の融点を有するチオエーテルが含まれる。このようなチオエーテルは、安定剤が操作温度(典型的には45℃~50℃)で液体であることを可能にし、それによって自動生産を容易にする。
【0049】
好ましい実施形態において、チオエーテルは、チオジプロピオン酸エステル、例えば、ジメチル3,3’-チオジプロピオネート、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート(DLTDP)(例えば、BASFからのIrganox(登録商標)PS800)、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート(DTDTP)(例えば、Songwon International AGからのSongnox(登録商標)DTDTP)、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート(DSTDP)、ジミリスチルチオジプロピオネート(DMTDP)及び2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]プロパン-1,3-ジイルビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート](例えば、Seenox412S)からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0050】
より好ましい実施形態において、チオエーテルは、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート(DLTDP)及びジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート(DTDTP)からなる群から選択される少なくとも1つである。これらのより好ましいチオエーテルは、安定剤が典型的な操作温度(例えば、45℃~50℃)で液体であることを可能にする低融点を有する液体又は固体である。
【0051】
ホスファイト
本開示による適切なホスファイトとしては、モノホスファイト及びポリマー性ホスファイトが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本開示による適切なモノホスファイトの例には、式(IV)
P(OR6)(OR7)(OR8) (IV)
(式中、
R6、R7及びR8は、それぞれ互いに独立して、C1~C18-アルキル、C6~C12-アリール又はC5~C12-シクロアルキルであることが可能であり、上記の基は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されている)の構造を有する化合物が含まれる。
【0053】
ここで、R6、R7及びR8は、それぞれ互いに独立して、以下の基からなる群から選択することができる:
メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-へプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、2,4,4-トリメチルペンチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、α,α-ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p-トリルメチル、1-(p-ブチルフェニル)エチル、p-クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、p-メトキシベンジル、m-エトキシベンジル、2-シアノエチル、2-シアノプロピル、2-メトキシカルボンエチル、2-エトキシカルボニルエチル、2-ブトキシカルボニルプロピル、1,2-ジ(メトキシカルボニル)エチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3-ジオキソラン-2-イル、1,3-ジオキソラン-2-イル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、2-イソプロポキシエチル、2-ブトキシプロピル、2-オクチルオキシエチル、クロロメチル、2-クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1-ジメチル-2-クロロエチル、2-メトキシイソプロピル、ブチルチオメチル、2-ドデシルチオエチル、2-フェニルチオエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル、6-ヒドロキシヘキシル、2-アミノエチル、2-アミノプロピル、3-アミノプロピル、4-アミノブチル、6-アミノヘキシル、2-メチルアミノエチル、2-メチルアミノプロピル、3-メチルアミノプロピル、4-メチルアミノブチル、6-メチルアミノヘキシル、2-ジメチルアミノエチル、2-ジメチルアミノプロピル、3-ジメチルアミノプロピル、4-ジメチルアミノブチル、6-ジメチルアミノヘキシル、2-ヒドロキシ-2,2-ジメチルエチル、2-フェノキシエチル、2-フェノキシプロピル、3-フェノキシプロピル、4-フェノキシブチル、6-フェノキシヘキシル、2-メトキシプロピル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、6-メトキシヘキシル、2-エトキシプロピル、3-エトキシプロピル、4-エトキシブチル又は6-エトキシヘキシル;
フェニル、トリル、キシリル、α-ナフチル、β-ナフチル、4-ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert-ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジメトキシフェニル、2,6-ジクロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-又は4-ニトロフェニル、2,4-又は2,6-ジニトロフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル又はエトキシメチルフェニル;及び
シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、又は飽和若しくは不飽和二環系、例えば、ノルボルニル若しくはノルボルネニル。
【0054】
本開示による適切なポリマー性ホスファイトの例には、式(V)
【化3】
(式中、
各R
9、R
10、R
11及びR
12は、同一であっても又は異なっていてもよく、C1~20アルキル、C3~22アルケニル、C6~40シクロアルキル、C7~40シクロアルキレン、C1~20メトキシアルキルグリコールエーテル、C1~20アルキルグリコールエーテル、及び/又はY-OH(末端キャッピング部分として機能する)からなる群から独立して選択され;
Yは、C2~40アルキレン、C2~40アルキルラクトン(例えば、エチレン、プロピレン、カプリラクトン)、-R
13-N(R
14)-R
15-(例えば、C2~40アルキルジアミン及びC2~40アルキルトリアミン)からなる群から選択され、
ここで、R
13、R
14、及びR
15は、R
9、R
10、R
11、及びR
12について上記で定義した群から独立して選択されるが、ここではHをさらに含み;
mは2~100の範囲の整数値であり、且つ
xは1~1,000の範囲の整数値である)の構造を有するものが含まれる。
【0055】
いくつかの実施形態において、アルキル、アルケニル、シクロアルキルは、酸素、硫黄又は窒素で中断されていてもよい。
【0056】
いくつかの好ましい実施形態において、ポリマー性ホスファイトは、ポリ(アルキレングリコール)フェニルホスファイトである。より好ましくは、ポリ(アルキレングリコール)フェニルホスファイトは、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)、ポリ(プロピレングリコール)フェニルホスファイト又はポリ(エチレングリコール)フェニルホスファイトである。
【0057】
さらに他の好ましい実施形態において、ポリマー性ホスファイトは、式(VI)
【化4】
(式中、
各R
9、R
10、R
11及びR
12は上記で定義した通りであり;
Yは上記で定義した通りであり;且つ
mは上記で定義した通りである)の構造を有するポリマー性ジホスファイトである。
【0058】
好ましくは、本開示によるホスファイトは、トリドデシルホスファイト(例えば、CCP STAB 3012T)、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5;例えばWeston705)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(例えば、CCP STAB 508T)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル6-tert-ブチルフェニル)アルキル(C13)-ホスファイト(例えば、CCP STAB AS-4500)及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)からなる群から選択される。これらの好ましいホスファイトは、融解プロセス中のジイソシアネートの色安定化に優れている。
【0059】
より好ましくは、ホスファイトは、トリドデシルホスファイト(例えば、CCP STAB 3012T)、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5;例えば、Weston705)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(例えば、CCP STAB 508T)及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)からなる群から選択される。
【0060】
好ましくは、トリフェニルホスファイト(TPP)は、その高い揮発性及び毒性のため、多くの用途で制限されているため、本開示によるホスファイトは、TPPを含まない。
【0061】
いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、50℃未満、好ましくは20℃未満の融点を有する。例えば、ジイソシアネート安定剤は、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃、20℃又は10℃未満の融点を有する。いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤は室温では固体であるが、45℃~50℃では液体である。ジイソシアネート安定剤が操作温度(例えば、45℃~50℃)で液体である場合、自動生産が容易になり、生産効率を効果的に向上させることができる。さらに、ジイソシアネート安定剤が20℃未満の融点を有し、したがって、20℃未満でも液体である場合、低温でのジイソシアネート安定剤の輸送をさらに容易にする。
【0062】
当業者は、その融点に応じて適切な立体障害フェノール、チオエーテル、及び/又はホスファイトを選択することによって、及び/又は各成分の適切な量を選択することによって、50℃未満の融点を有する液体安定剤を得ることができる。本開示は、それらの適切な立体障害フェノール、チオエーテル、ホスファイト又は安定剤中のそれぞれの量について何ら制限を加えるものではない。
【0063】
例えば、いくつかの実施形態において、立体障害フェノールは、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼネプロパン酸、分岐C13~C15-アルキルエステル、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)-フェノール及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールからなる群から選択される少なくとも1つであり;チオエーテルは、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及び2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]プロパン-1,3-ジイルビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]からなる群から選択される少なくとも1つであり;ホスファイトは、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル6-tert-ブチルフェニル)アルキル(C13)-ホスファイト及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)からなる群から選択される少なくとも1つである。別の実施形態において、立体障害フェノールとしては、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル及びオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられ;チオエーテルとしては、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート及びジトリデシル3,3’-チオジプロピオネートが挙げられ;ホスファイトとしては、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)並びに3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)が挙げられる。
【0064】
上記の実施形態において、立体障害フェノール及びチオエーテルは、低い融点を有する液体又は固体であり、これにより、ジイソシアネート安定剤が操作温度(典型的には45℃~50℃)で液体であることを可能にする。
【0065】
上記のように、本開示においては、立体障害フェノール、チオエーテル、又はホスファイトの量は限定されない。当業者は、実際の必要性に応じて適切な量を選択することができる。
【0066】
例えば、いくつかの実施形態において、それぞれの場合、安定剤の総重量に基づいて、立体障害フェノールは10~90重量%の量で存在し、チオエーテルは5~80重量%の量で存在し、ホスファイトは5~80重量%の量で存在する。
【0067】
他の実施形態において、立体障害フェノールは、10~90重量%、例えば、15~85重量%、20~80重量%、25~75重量%、30~70重量%、35~65重量%、40~60重量%、又は45~55重量%の量で存在する。例えば、立体障害フェノールの量は、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、又はその間の任意の値若しくは範囲である。
【0068】
さらに他の実施形態において、チオエーテルは、5~80重量%、例えば、10~75重量%、又は15~70重量%、又は20~65重量%、又は25~60重量%、又は30~55重量%、又は35~50重量%、又は40~45重量%の量で存在する。例えば、チオエーテルの量は、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、又はその間の任意の値若しくは範囲である。
【0069】
さらに他の実施形態において、ホスファイトは、5~80重量%、例えば、10~75重量%、又は15~70重量%、又は20~65重量%、又は25~60重量%、又は30~55重量%、又は35~50重量%、又は40~45重量%の量で存在する。例えば、ホスファイトの量は、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、又はその間の任意の値若しくは範囲である。
【0070】
いくつかの好ましい実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを含み、ここで、立体障害フェノールとしては、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼネプロパン酸、分岐C13~C15-アルキルエステル、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)-フェノール及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールが挙げられ;チオエーテルとしては、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及び2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]プロパン-1,3-ジイルビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]が挙げられ;ホスファイトとしては、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル6-tert-ブチルフェニル)アルキル(C13)-ホスファイト及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)が挙げられ;それぞれの場合、ジイソシアネート安定剤の総重量に基づいて、立体障害フェノールは10~90重量%の量で存在し、チオエーテルは5~80重量%の量で存在し、ホスファイトは5~80重量%の量で存在する。
【0071】
さらに好ましい実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを含み、立体障害フェノールとしては、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル及びオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられ;チオエーテルとしては、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート及びジトリデシル3,3’-チオジプロピオネートが挙げられ;ホスファイトとしては、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)並びに3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが挙げられ;それぞれの場合、ジイソシアネート安定剤の総重量に基づいて、立体障害フェノールの量は10~90重量%であり、チオエーテルの量は5~80重量%であり、ホスファイトの量は5~80重量%である。
【0072】
以下に、本開示のジイソシアネート安定剤を調製するためのいくつかの例を示す。とはいえ、これらの例は例示のためのみに過ぎないことを理解されたい。本開示のジイソシアネート安定剤は、当業者に周知の公知のプロセスによって調製することができる。例えば、適当な量の適当な立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを順次又は同時に添加し、次いで、組成物を一定の温度で一定の時間加熱混合することができる。混合プロセスに関しては、特殊な点はなく、従来の混合技術及び装置を使用することができる。
【0073】
II.ジイソシアネート安定剤の使用
第2の態様において、本開示はまた、ジイソシアネートを安定化するための本開示の第1の態様によるジイソシアネート安定剤の使用を提供する。
【0074】
III.ジイソシアネート組成物
第3の態様において、本開示は、
(A)ジイソシアネートと
(B)本開示の第1の態様によるジイソシアネート安定剤と
を含むジイソシアネート組成物を提供する。
【0075】
いくつかの実施形態において、本開示は、
(A)ジイソシアネートと
(B)立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを含むジイソシアネート安定剤と
を含むジイソシアネート組成物を提供する。
【0076】
ジイソシアネート
適切なジイソシアネートの例としては、脂肪族、脂環族及び芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
【0077】
適切な脂肪族ジイソシアネートの例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの誘導体、トリメチルヘキサンジイソシアネート又はテトラメチルヘキサンジイソシアネートが挙げられる。
【0078】
適切な脂環族ジイソシアネートの例としては、1,2-、1,3-若しくは1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、2,4’-若しくは4,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-(イソシアナトメチルシクロヘキサン)(イソホロンジイソシアネート)、1,3-若しくは1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン又は2,4-若しくは2,6-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサンが挙げられる。
【0079】
適切な芳香族ジイソシアネートの例としては、トルエン2,4-若しくは2,6-ジイソシアネート及びその異性体混合物、m-若しくはp-キシリレンジイソシアネート、2,4’-若しくは4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)及びその異性体混合物、フェニレン1,3-若しくは1,4-ジイソシアネート、1-クロロフェニレン2,4-ジイソシアネート、ナフチレン1,5-ジイソシアネート、ビフェニレン4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、3-メチル-ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトベンゼン又は4,4’-ジイソシアナトジフェニルエーテルが挙げられる。
【0080】
本開示のジイソシアネート安定剤は、トルエン2,4-若しくは2,6-ジイソシアネート及びそれらの異性体混合物、m-若しくはp-キシレンジイソシアネート、2,4’-若しくは4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン及びそれらの異性体混合物を安定化するのに特に適切であり、特に、その特異な構造により黄変しやすい2,4’-若しくは4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタンを優先的に安定化する。
【0081】
前記ジイソシアネートの混合物も適切である。例えば、イソホロンジイソシアネートは、通常、混合物の形態であり、具体的には、一般に約60:40~80:20(w/w)の割合で、好ましくは約70:30~75:25の割合で、より好ましくは約75:25の割合でのシス及びトランス異性体の混合物である。ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネートも同様に、異なるシス及びトランス異性体の混合物の形態であってもよい。
【0082】
本開示では、ジイソシアネートは、対応するアミンをホスゲン化することによって、又はホスゲンを使用せずに、すなわちホスゲンを使用しないプロセスによって、従来通りに得ることができる。
【0083】
使用され得るジイソシアネートは、好ましくは、ジイソシアネートに基づき30~50重量%のイソシアネート基(NCOとして計算、分子量=42)の含有量を有する。
【0084】
ジイソシアネート安定剤中の立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトに関して、適切な立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイト並びに安定剤中のそれらの量は、本開示の第1の態様に記載したものと同じであることは理解されるべきである。したがって、適切な立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイト並びに安定剤中のそれらの量は、ここには再び詳述しない。以下、本開示のジイソシアネート組成物に適切ないくつかの例示的な立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイト並びにジイソシアネート安定剤中のそれらの量のみを提供する。
【0085】
いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤の総重量に基づいて、立体障害フェノールは10~90重量%の量で存在し、チオエーテルは5~80重量%の量で存在し、そしてホスファイトは5~80重量%の量で存在する。
【0086】
いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトからなる。
【0087】
いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、50℃未満、好ましくは20℃未満の融点を有する。
【0088】
いくつかの実施形態において、立体障害フェノールは、アルキルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールS、3,3’,5,5’-テトラブロモビスフェノールA、メチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾート、4-tert-ブチルピロカテコール、2-ヒドロキシベンジルアルコール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、n-オクタデシルβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5,-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチルイソシアヌレート、1,3,5-トリス-(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート又はペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5,-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、6-イソブチル-2,4-ジニトロフェノール、6-sec-ブチル-2,4-ジニトロフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、オクタデシル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサデシル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3-チア-1,5-ペンタンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオールビス[(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)プロピオネート]、1,9-ノナンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,7-ヘプタンジアミンビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、1,1-メタンジアミンビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオノイックヒドラジド、3-(3’,5’-ジメチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオノイックヒドラジド、ビス(3-tert-ブチル-5-エチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)メタン、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェン-1-イル)メタン、ビス[3-(1’-メチルシクロヘキセ-1’-イル)-5-メチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル]メタン、ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェン-1-イル)メタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェン-1-イル)エタン、ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェン-1-イル)スルフィド、ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェン-1-イル)スルフィド、1,1-ビス(3,4-ジメチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-3-メチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)ブタン、1,3,5-トリス[1’-(3’’,5’’-ジ-tert-ブチル-4’’-ヒドロキシフェン-1’’-イル)-メテ-1’-イル]-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,1,4-トリス(5’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-2’-メチルフェン-1’-イル)ブタン、アミノフェノール、ニトロソフェノール、アルコキシフェノール、オイゲノール、ジヒドロオイゲノール、イソオイゲノール、トコフェロール、トコール、α-トコフェロールヒドロキノン、4-メチルピロカテコール、3-メチルピロカテコール、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、p-フェノキシフェノール、ヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2-メチル-p-ヒドロキノン、2,3-ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ヒドロキシベンゾフラン(2,2-ジメチル-7-ヒドロキシカマラン(hydroxycoumaran))、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0089】
いくつかの実施形態において、立体障害フェノールは、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分枝C7~C9-アルキルエステル、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロパン酸、分岐C13~C15-アルキルエステル、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)-フェノール及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0090】
いくつかの実施形態において、チオエーテルは、式(III)
【化5】
(式中、
R
4は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されたC
1~C
20-アルキレン又はC
3~C
12-シクロアルキレンから選択され、且つ
R
5は、C
1~C
18-アルキル、1つ又は複数の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1つ又は複数の置換若しくは非置換のイミノ基で中断されているC
2~C
18-アルキル、C
6~C
12-アリール又はC
5~C
12-シクロアルキルであって、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されているものから選択される)から選択される少なくとも1つである。
【0091】
いくつかの実施形態において、チオエーテルは、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及び2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]プロパン-1,3-ジイルビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0092】
いくつかの実施形態において、ホスファイトは、式(IV)
P(OR6)(OR7)(OR8) (IV)
(式中、
R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、C1~C18-アルキル、C6~C12-アリール又はC5~C12-シクロアルキルから選択され、上記の基は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されている)から選択される少なくとも1つである。
【0093】
いくつかの実施形態において、ホスファイトは、式(V)
【化6】
(式中、
各R
9、R
10、R
11及びR
12は、同一であっても又は異なっていてもよく、C1~20アルキル、C3~22アルケニル、C6~40シクロアルキル、C7~40シクロアルキレン、C1~20メトキシアルキルグリコールエーテル、C1~20アルキルグリコールエーテル、及び/又はY-OH(末端キャッピング部分として機能する)からなる群から独立して選択され;
Yは、C2~40アルキレン、C2~40アルキルラクトン(例えば、エチレン、プロピレン、カプリラクトン)、-R
13-N(R
14)-R
15-(例えば、C2~40アルキルジアミン及びC2~40アルキルトリアミン)からなる群から選択され、
ここで、R
13、R
14、及びR
15は、R
9、R
10、R
11、及びR
12について上記で定義した群から独立して選択されるが、ここではHをさらに含み;
mは2~100の範囲の整数値であり、且つ
xは1~1,000の範囲の整数値である)の構造を有するポリマー性ホスファイトである。
【0094】
いくつかの実施形態において、ポリマー性ホスファイトは、式(VI)
【化7】
(式中、
各R
9、R
10、R
11及びR
12は上記で定義した通りであり;
Yは上記で定義した通りであり;且つ
mは上記で定義した通りである)の構造を有するポリマー性ジホスファイトである。
【0095】
いくつかの実施形態において、ホスファイトは、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル6-tert-ブチルフェニル)アルキル(C13)-ホスファイト及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0096】
いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを含み、ここで、立体障害フェノールとしては、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼネプロパン酸、分岐C13~C15-アルキルエステル、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)-フェノール及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールが挙げられ;チオエーテルとしては、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及び2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]プロパン-1,3-ジイルビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]が挙げられ;ホスファイトとしては、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル6-tert-ブチルフェニル)アルキル(C13)-ホスファイトが挙げられ;それぞれの場合、ジイソシアネート安定剤の総重量に基づいて、立体障害フェノールは10~90重量%の量で存在し、チオエーテルは5~80重量%の量で存在し、ホスファイトは5~80重量%の量で存在する。
【0097】
いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを含み、立体障害フェノールとしては、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル及びオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられ;チオエーテルとしては、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート及びジトリデシル3,3’-チオジプロピオネートが挙げられ;ホスファイトとしては、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)並びに3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが挙げられ;それぞれの場合、ジイソシアネート安定剤の総重量に基づいて、立体障害フェノールの量は10~90重量%であり、チオエーテルの量は5~80重量%であり、ホスファイトの量は5~80重量%である。
【0098】
いくつかの実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、ジイソシアネート組成物の総重量に基づき、0.08~0.5重量%の量で存在する。いくつかの好ましい実施形態において、ジイソシアネート安定剤は、ジイソシアネート組成物の総重量に基づき、0.1~0.4重量%、より好ましくは0.15~0.35重量%の量で存在する。
【0099】
上記の好ましい量範囲であれば、ジイソシアネート安定剤は、経済的に、ジイソシアネートの外観に悪影響を与えることなく、ジイソシアネートに十分な安定性を付与することができる。
【0100】
ジイソシアネート組成物は、当該技術分野における一般的な方法によって調製することができる。例えば、本開示の第1の態様によるジイソシアネート安定剤を予め調製し、それを適切な用量でジイソシアネート中に添加し、次いでそれらを一定時間混合することができる。或いは、ある量の立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトを、逐次的又は同時的に直接ジイソシアネート中に添加し、次いで一定時間それらを混合することができる。得られたジイソシアネート組成物は、その色及び透明性に影響を与えることなく、長時間、加熱状態で貯蔵することができる。
【0101】
本開示は、以下の実施例によってさらに説明される。
【実施例】
【0102】
材料
ジイソシアネート:モノマー性MDI:(4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、Lupranate(登録商標)ME、BASF)
安定剤:立体障害フェノール:
3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C7~C9-アルキルエステル(BASFからのIrganox(登録商標)1135)
オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF SEからのIrganox(登録商標)1076)
2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT、SCRC)
チオエーテル:
ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート(DLTDP、BASFからのIrganox(登録商標)PS 800)
ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート(DTDTP、Songwon International AGからのSongnox(登録商標)DTDTP)
ホスファイト:
トリドデシルホスファイト(CCP STAB 3012T、CCP)
3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン(CCP STAB 508T、CCP)。
【0103】
試験方法
透過強度は、以下の基準又は手順に従って測定される:
以下の実施例に従って試料を調製し、得られた試料を透明ガラスバイアルに貯蔵する。
電荷結合素子(CCD)カメラで各試料の画像を撮影する。
CCDカメラで試験された電荷に応じて、各試料の光透過強度値を算出する。
【0104】
電荷結合素子(CCD)は、連結された又は結合されたキャパシタのアレイを含む集積回路である。CCDカメラによって、入射した光子を電荷に変換することができる。電荷の値は、CCDに入射する光強度に依存する。したがって、各試料の光透過強度は、CCDカメラで試験された電荷によって計算することができる。
【0105】
ジイソシアネート安定剤の調製実施例(実施例1~7)
実施例1:
1)90g(90重量%)のIrganox(登録商標)1135及び5g(5重量%)のCCP STAB 3012Tをビーカーに添加し、室温でよく混合し;
2)上記液体混合物に5g(5重量%)のDLTDPを添加し;そして
3)45℃まで加熱し、この温度を保持しながら30分間撹拌し、室温(例えば20℃~25℃)で液体のジイソシアネート安定剤を得る。
【0106】
実施例2:
1)10g(10重量%)のIrganox(登録商標)1135及び80g(80重量%)のCCP STAB 3012Tをビーカーに添加し、室温でよく混合し;
2)上記液体混合物に10g(10重量%)のDLTDPを添加し;そして
3)45℃まで加熱し、この温度を保持しながら30分間撹拌し、45℃で液体のジイソシアネート安定剤を得る。
【0107】
実施例3:
1)25g(25重量%)のIrganox(登録商標)1135及び25g(25重量%)のCCP STAB 3012Tをビーカーに添加し、室温でよく混合し;
2)上記液体混合物に50g(50重量%)のDLTDPを添加し;そして
3)45℃まで加熱し、この温度を保持しながら30分間撹拌し、45℃で液体のジイソシアネート安定剤を得る。
【0108】
実施例4:
1)90g(90重量%)のIrganox(登録商標)1076及び5g(5重量%)のCCP STAB 3012Tをビーカーに添加し、室温でよく混合し;
2)上記液体混合物に5g(5重量%)のDLTDPを添加し;そして
3)45℃まで加熱し、この温度を保持しながら30分間撹拌し、50℃で液体のジイソシアネート安定剤を得る。
【0109】
実施例5:
1)50g(50重量%)のIrganox(登録商標)1135及び30g(30重量%)のCCP STAB 508Tをビーカーに添加し、室温でよく混合し;
2)上記液体混合物に20g(20重量%)のDLTDPを添加し;そして
3)45℃まで加熱し、この温度を保持しながら30分間撹拌し、45℃で液体のジイソシアネート安定剤を得る。
【0110】
実施例6:
1)10g(10重量%)のIrganox(登録商標)1135及び10g(10重量%)のCCP STAB 3012Tをビーカーに添加し、室温でよく混合し;そして
2)上記液体混合物に80g(80重量%)のDTDTPを添加し、30分間撹拌し、室温で液体のジイソシアネート安定剤を得る。
【0111】
実施例7:
1)10g(10重量%)のIrganox(登録商標)1135及び30g(30重量%)のCCP STAB 3012Tをビーカーに添加し、室温でよく混合し;そして
2)上記液体混合物に60g(60重量%)のDTDTPを添加し、30分間撹拌し、室温で液体のジイソシアネート安定剤を得る。
【0112】
ジイソシアネート組成物の調製実施例(Ex.a~g及びEx.a’~g’):
実施例1~7に従って調製した上記のジイソシアネート安定剤をそれぞれ45℃でモノマー性MDIに添加し、よく混合して、ジイソシアネート組成物a~g(ジイソシアネート組成物の総重量に基づき、ジイソシアネート安定剤を0.3重量%含有する)及びa’~g’(ジイソシアネート組成物の総重量に基づき、ジイソシアネート安定剤を0.1重量%含有する)を得た。
【0113】
比較ジイソシアネート組成物(Comp.Ex.h及びi):
比較のために、BHT及びDLTDPをそれぞれ45℃でモノマー性MDIに添加し、よく混合して、ジイソシアネート組成物を得る。具体的には、比較例hのジイソシアネート組成物はBHTを含み;比較例iのジイソシアネート組成物はDLTDPを含む。
【0114】
各ジイソシアネート組成物中のジイソシアネート安定剤の用量、各ジイソシアネート組成物の透過強度及び外観を表1~3に示す。
【0115】
透過強度が高いほど、透明度は高くなり、黄色度は低くなる。
【0116】
ジイソシアネート組成物の外観は、1~5のスケールで評価し、1は無色透明を表し、5は濁り黄色が強いことを表す。数値が低いほど透明度が高く、黄色度が低い。
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
表1~表3から分かるように、比較例h及びiと比較して、本開示によるジイソシアネート安定剤を含有するジイソシアネート組成物(Ex.a~g、及びEx.a’~g’)は、色及び透明性の両方の点で優れた安定性を有する。具体的には、本開示によるジイソシアネート安定剤を含有するジイソシアネート組成物は、長期貯蔵(45℃、14日間)及び加熱条件(100℃、24時間)後も、無色(いくつかの実施例では淡黄色)並びに透明(いくつかの実施例では沈降が少ない)を維持することができる。
【0121】
以上、本開示の実施形態及び実施例を説明したが、当業者は、これらは例示のためのものであり、本開示の保護範囲を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。当業者は、本開示の範囲及び精神から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な修正、同等の置換又は改良を行うことができるが、これらの修正、同等の置換又は改良は、本開示の保護範囲内に入る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブチル化ヒドロキシトルエン以外の立体障害フェノール、チオエーテル及び
トリフェニルホスファイト以外のホスファイトを含むジイソシアネート安定剤。
【請求項2】
前記ジイソシアネート安定剤の総重量に基づいて、前記立体障害フェノールが10~90重量%の量で存在し、前記チオエーテルが5~80重量%の量で存在し、前記ホスファイトが5~80重量%の量で存在する、請求項1に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項3】
立体障害フェノール、チオエーテル及びホスファイトからなる、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項4】
前記ジイソシアネート安定剤が50℃未満、好ましくは20℃未満の融点を有する、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項5】
前記立体障害フェノールが、アルキルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールC、ビスフェノールS、3,3’,5,5’-テトラブロモビスフェノールA、メチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾート、4-tert-ブチルピロカテコール、2-ヒドロキシベンジルアルコール、2-メトキシ-4-メチルフェノール、n-オクタデシルβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5,-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチルイソシアヌレート、1,3,5-トリス-(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート又はペンタエリスリトールテトラキス[β-(3,5,-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、6-イソブチル-2,4-ジニトロフェノール、6-sec-ブチル-2,4-ジニトロフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、オクタデシル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサデシル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクチル3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート]、4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,8-ジオキサ-1,11-ウンデカンジオールビス[(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)プロピオネート]、1,9-ノナンジオールビス[(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,7-ヘプタンジアミンビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、1,1-メタンジアミンビス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオノイックヒドラジド、3-(3’,5’-ジメチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオノイックヒドラジド、ビス(3-tert-ブチル-5-エチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)メタン、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェン-1-イル)メタン、ビス[3-(1’-メチルシクロヘキセ-1’-イル)-5-メチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル]メタン、ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェン-1-イル)メタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェン-1-イル)エタン、ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェン-1-イル)スルフィド、ビス(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェン-1-イル)スルフィド、1,1-ビス(3,4-ジメチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-3-メチル-2-ヒドロキシフェン-1-イル)ブタン、1,3,5-トリス[1’-(3’’,5’’-ジ-tert-ブチル-4’’-ヒドロキシフェン-1’’-イル)-メテ-1’-イル]-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,1,4-トリス(5’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-2’-メチルフェン-1’-イル)ブタン、アミノフェノール、ニトロソフェノール、アルコキシフェノール、オイゲノール、ジヒドロオイゲノール、イソオイゲノール、トコフェロール、トコール、α-トコフェロールヒドロキノン、4-メチルピロカテコール、3-メチルピロカテコール、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、p-フェノキシフェノール、ヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2-メチル-p-ヒドロキノン、2,3-ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,3-ジヒドロ-2,2-ジメチル-7-ヒドロキシベンゾフラン(2,2-ジメチル-7-ヒドロキシカマラン(hydroxycoumaran))、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項6】
前記立体障害フェノールが、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分枝C
7~C
9-アルキルエステル、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロパン酸、分岐C
13~C
15-アルキルエステル、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)-フェノール及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項7】
前記チオエーテルが、式(III)
【化1】
(式中、
R
4は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されたC
1~C
20-アルキレン又はC
3~C
12-シクロアルキレンから選択され、且つ
R
5は、C
1~C
18-アルキル、1つ又は複数の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1つ又は複数の置換若しくは非置換のイミノ基で中断されているC
2~C
18-アルキル、C
6~C
12-アリール又はC
5~C
12-シクロアルキルであって、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されているものから選択される)から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項8】
前記チオエーテルが、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及び2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]プロパン-1,3-ジイルビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項9】
前記ホスファイトが、式(IV)
P(OR
6)(OR
7)(OR
8) (IV)
(式中、
R
6、R
7及びR
8は、それぞれ互いに独立して、C
1~C
18-アルキル、C
6~C
12-アリール又はC
5~C
12-シクロアルキルから選択され、上記の基は、ヒドロキシ、アミノ、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、ニトロ、アシル、炭素環、ヘテロ原子及び/又は複素環によって任意選択的に置換されている)から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項10】
前記ホスファイトが、式(V)
【化2】
(式中、
各R
9、R
10、R
11及びR
12は、同一であっても又は異なっていてもよく、C1~20アルキル、C3~22アルケニル、C6~40シクロアルキル、C7~40シクロアルキレン、C1~20メトキシアルキルグリコールエーテル、C1~20アルキルグリコールエーテル、及び/又はY-OH(末端キャッピング部分として機能する)からなる群から独立して選択され;
Yは、C2~40アルキレン、C2~40アルキルラクトン(例えば、エチレン、プロピレン、カプリラクトン)、-R
13-N(R
14)-R
15-(例えば、C2~40アルキルジアミン及びC2~40アルキルトリアミン)からなる群から選択され、
ここで、R
13、R
14、及びR
15は、R
9、R
10、R
11、及びR
12について上記で定義した群から独立して選択されるが、ここではHをさらに含み;
mは2~100の範囲の整数値であり、且つ
xは1~1,000の範囲の整数値である)の構造を有するポリマー性ホスファイトである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項11】
前記ポリマー性ホスファイトが、式(VI)
【化3】
(式中、
各R
9、R
10、R
11及びR
12は、同一であっても又は異なっていてもよく、C1~20アルキル、C3~22アルケニル、C6~40シクロアルキル、C7~40シクロアルキレン、C1~20メトキシアルキルグリコールエーテル、C1~20アルキルグリコールエーテル、及び/又はY-OH(末端キャッピング部分として機能する)からなる群から独立して選択され;
Yは、C2~40アルキレン、C2~40アルキルラクトン(例えば、エチレン、プロピレン、カプリラクトン)、-R
13-N(R
14)-R
15-(例えば、C2~40アルキルジアミン及びC2~40アルキルトリアミン)からなる群から選択され、
ここで、R
13、R
14、及びR
15は、R
9、R
10、R
11、及びR
12について上記で定義した群から独立して選択されるが、ここではHをさらに含み;
mは2~100の範囲の整数値である)の構造を有するポリマー性ジホスファイトである、請求項10に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項12】
前記ホスファイトが、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル6-tert-ブチルフェニル)アルキル(C
13)-ホスファイト及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイト(CAS:116265-68-0)からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項13】
前記立体障害フェノールが、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ベンゼンプロパン酸、分岐C
7~C
9-アルキルエステル、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼネプロパン酸、分岐C
13~C
15-アルキルエステル、フェノール誘導体で末端化されたポリグリコールエーテルのエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)-フェノール及び4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールからなる群から選択される少なくとも1つであり;前記チオエーテルが、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート及び2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ]メチル]プロパン-1,3-ジイルビス[3-(ドデシルチオ)プロピオネート]からなる群から選択される少なくとも1つであり;前記ホスファイトが、トリドデシルホスファイト、亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル(CAS:939402-02-5)、3,9-ビス(イソデシルオキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル6-tert-ブチルフェニル)アルキル(C
13)-ホスファイト及びポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスファイトからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載のジイソシアネート安定剤。
【請求項14】
ジイソシアネートを安定化するための、請求項1~13のいずれか一項に記載のジイソシアネート安定剤の使用。
【請求項15】
(A)ジイソシアネートと
(B)請求項1~13のいずれか一項に記載のジイソシアネート安定剤と
を含むジイソシアネート組成物。
【請求項16】
前記ジイソシアネート組成物の総重量に基づき、前記ジイソシアネート安定剤が0.08~0.5重量%、好ましくは0.1~0.4重量%、より好ましくは0.15~0.35重量%の量で存在する、請求項15に記載のジイソシアネート組成物。
【請求項17】
前記ジイソシアネートが芳香族ジイソシアネートである、請求項15又は16に記載のジイソシアネート組成物。
【請求項18】
前記芳香族ジイソシアネートが、トルエン2,4-又は2,6-ジイソシアネート及びその異性体混合物、m-又はp-キシリレンジイソシアネート、2,4’-又は4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン及びその異性体混合物、フェニレン1,3-又は1,4-ジイソシアネート、1-クロロフェニレン2,4-ジイソシアネート、ナフチレン1,5-ジイソシアネート、ビフェニレン4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、3-メチル-ジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトベンゼン又は4,4’-ジイソシアナトジフェニルエーテル;好ましくは、トルエン2,4-又は2,6-ジイソシアネート及びそれらの異性体混合物、m-又はp-キシリレンジイソシアネート、2,4’-又は4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン及びそれらの異性体混合物からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項17に記載のジイソシアネート組成物。
【国際調査報告】