(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】エッチング制御のための開口を備える可動ディスク
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240521BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H01L21/302 101
H05H1/46 L
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571448
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022029539
(87)【国際公開番号】W WO2022245761
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン・チー-ミン
(72)【発明者】
【氏名】ファン・シューガン
(72)【発明者】
【氏名】ユン・セオミン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・チー-ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャン・チー-ミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン・シー-ユアン
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB28
2G084CC04
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD13
2G084DD23
2G084DD37
2G084DD55
2G084FF04
2G084FF07
2G084FF15
2G084FF38
2G084FF39
5F004AA16
5F004BA03
5F004BA09
5F004BA11
5F004BA20
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB32
5F004BD04
5F004BD05
5F004CA03
5F004CA04
5F004EA37
(57)【要約】
【解決手段】処理チャンバは、グリッドおよび第1のディスクを備える。グリッドは複数の孔を含み、処理チャンバに配置される。グリッドは、処理チャンバを、プラズマが生成される第1のチャンバと、台座が基板を支持するように構成されている第2のチャンバとに分割する。第1のディスクは、第2のチャンバに配置される。第1のディスクは、基板が台座に支持されたときにグリッドと基板との間で移動可能である。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバであって、
前記処理チャンバ内に配置された、複数の孔を含むグリッドであって、前記処理チャンバを、プラズマが生成される第1のチャンバと、台座が基板を支持するように構成されている第2のチャンバとに分割するグリッドと、
前記第2のチャンバに配置された第1のディスクであって、前記基板が前記台座に支持されたときに前記グリッドと前記基板との間で移動可能な第1のディスクと、
を備える、処理チャンバ。
【請求項2】
請求項1に記載の処理チャンバであって、
前記第1のディスクは、前記グリッドに平行に移動可能である、処理チャンバ。
【請求項3】
請求項1に記載の処理チャンバであって、
前記第1のディスクは、前記プラズマからのイオンが前記基板に到達するのを阻止する、処理チャンバ。
【請求項4】
請求項1に記載の処理チャンバであって、
前記第1のディスクは、少なくとも1つ以上の開口を含む、処理チャンバ。
【請求項5】
請求項1に記載の処理チャンバであって、
前記第1のディスクは、調節可能な開口を含む、処理チャンバ。
【請求項6】
請求項1に記載の処理チャンバであって、
前記第1のディスクは、調節可能な開口および固定サイズの開口を含む、処理チャンバ。
【請求項7】
請求項1に記載の処理チャンバであって、
前記第1のディスクは、ダイアモンドライクカーボン(C)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、アルミナ(Al
2O
3)、クロミウム(Cr)、ベリリウム(Be)、炭化タンタル(TaC)、およびチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)セラミックからなる群より選択された材料で作られる、処理チャンバ。
【請求項8】
請求項1に記載の処理チャンバであって、
前記第1のディスクは、前記基板よりも小さい直径を有する、処理チャンバ。
【請求項9】
請求項1に記載の処理チャンバであって、さらに、
前記第2のチャンバに配置された第2のディスクであって、前記グリッドと前記基板との間で前記グリッドに平行に移動可能な第2のディスクを備える、処理チャンバ。
【請求項10】
請求項9に記載の処理チャンバであって、
前記第1のディスクおよび前記第2のディスクは、同一平面上にある、処理チャンバ。
【請求項11】
請求項9に記載の処理チャンバであって、
前記第1のディスクおよび前記第2のディスクは、同一形状を有する、処理チャンバ。
【請求項12】
請求項9に記載の処理チャンバであって、
前記第1のディスクおよび前記第2のディスクは、異なる形状を有する、処理チャンバ。
【請求項13】
請求項9に記載の処理チャンバであって、
前記第1のディスクおよび前記第2のディスクの少なくともいずれかは、1つ以上の開口を含む、処理チャンバ。
【請求項14】
請求項9に記載の処理チャンバであって、
前記第1のディスクおよび前記第2のディスクの少なくともいずれかは、調節可能な開口を含む、処理チャンバ。
【請求項15】
請求項9に記載の処理チャンバであって、
前記第1のディスクおよび前記第2のディスクの少なくともいずれかは、調節可能な開口を含み、
前記第1のディスクおよび前記第2のディスクの少なくともいずれかは、固定サイズの開口を含む、処理チャンバ。
【請求項16】
システムであって、
請求項1に記載の前記処理チャンバと、
前記第1のディスクを動かすためのアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御するためのコントローラと、
を備える、システム。
【請求項17】
システムであって、
請求項1に記載の前記処理チャンバと、
前記グリッドに電圧を供給するための電圧源と、
前記第1のディスクを動かすためのアクチュエータと、
前記グリッドに供給された前記電圧を制御し、前記アクチュエータを制御するためのコントローラと、
を備える、システム。
【請求項18】
システムであって、
請求項1に記載の前記処理チャンバであって、前記第1のディスクは調節可能な開口を含む、前記処理チャンバと、
前記第1のディスクを動かし、前記調節可能な開口を調節するためのアクチュエータと、
前記アクチュエータを制御するためのコントローラと、
を備える、システム。
【請求項19】
システムであって、
請求項9に記載の前記処理チャンバと、
前記第1のディスクおよび前記第2のディスクをそれぞれ動かすための第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータと、
前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータを制御するためのコントローラと、
を備える、システム。
【請求項20】
システムであって、
請求項9に記載の前記処理チャンバであって、前記第1のディスクおよび前記第2のディスクの少なくともいずれかは、調節可能な開口を含む、前記処理チャンバと、
前記第1のディスクおよび前記第2のディスクをそれぞれ動かし、前記調節可能な開口を調節するための第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータと、
前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータを制御するためのコントローラと、
を備える、システム。
【請求項21】
システムであって、
請求項1に記載の前記処理チャンバと、
前記第1のディスクを動かすための第1のアクチュエータと、
前記台座を回転させるための第2のアクチュエータと、
前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータを制御するためのコントローラと、
を備える、システム。
【請求項22】
システムであって、
請求項1に記載の前記処理チャンバであって、前記第1のディスクは調節可能な開口を含む、前記処理チャンバと、
前記第1のディスクを動かし、前記調節可能な開口を調節するための第1のアクチュエータと、
前記台座を回転させるための第2のアクチュエータと、
前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータを制御するためのコントローラと、
を備える、システム。
【請求項23】
システムであって、
請求項9に記載の前記処理チャンバと、
前記第1のディスクおよび前記第2のディスクをそれぞれ動かすための第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータと、
前記台座を回転させる、および前記台座を傾ける、のうちの少なくともいずれかを行うための第3のアクチュエータと、
前記第1のアクチュエータ、前記第2のアクチュエータ、および前記第3のアクチュエータを制御するためのコントローラと、
を備える、システム。
【請求項24】
システムであって、
請求項9に記載の前記処理チャンバであって、前記第1のディスクおよび前記第2のディスクの少なくともいずれかは、調節可能な開口を含む、前記処理チャンバと、
前記第1のディスクおよび前記第2のディスクをそれぞれ動かし、前記調節可能な開口を調節するための第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータと、
前記台座を回転させる、および前記台座を傾ける、のうちの少なくともいずれかを行うための第3のアクチュエータと、
前記第1のアクチュエータ、前記第2のアクチュエータ、および前記第3のアクチュエータを制御するためのコントローラと、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年5月20日出願の米国仮出願第63/191,036号の利益を主張する。上記の参照出願の全ての開示は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、一般に基板処理システムに関し、特に、基板処理システムにおけるエッチング制御のための開口を有する可動ディスクに関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に記載の背景技術は、本開示の内容を一般的に提示するためである。現在名前が挙げられている発明者の発明は、本背景技術欄、および出願時の先行技術に該当しない説明の態様において記載される範囲で、本開示に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められない。
【0004】
基板処理ツールは通常、半導体ウエハなどの基板において堆積、エッチング、および他の処理を実施するための複数のステーションを備える。基板上で実施できるプロセスの例は、化学蒸着(CVD)プロセス、化学強化プラズマ蒸着(CEPVD)プロセス、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)プロセス、スパッタリング物理蒸着(PVD)プロセス)、原子層堆積(ALD)、およびプラズマ強化ALD(PEALD)を含むが、これらに限定されない。基板上で実施できるプロセスのさらなる例は、エッチング(例えば、化学エッチング、プラズマエッチング、反応性イオンエッチングなどの)プロセスおよび洗浄プロセスを含むが、これらに限定されない。
【0005】
処理の間、基板は、ステーション内で台座などの基板支持体上に配置される。堆積の間、1つ以上の前駆体を含むガス混合物がステーションに導入され、必要に応じて化学反応を活性化させるためにプラズマが生成されてよい。エッチングの間、エッチングガスを含むガス混合物がステーションに導入され、必要に応じて化学反応を活性化させるためにプラズマが生成されてよい。コンピュータ制御されたロボットは通常、基板が処理される順序で基板を1つのステーションから別のステーションに搬送する。
【発明の概要】
【0006】
処理チャンバは、グリッドおよび第1のディスクを備える。グリッドは複数の孔を含み、処理チャンバ内に配置される。グリッドは、処理チャンバを、プラズマが生成される第1のチャンバと、台座が基板を支持するように構成されている第2のチャンバとに分割する。第1のディスクは、第2のチャンバ内に配置される。第1のディスクは、基板が台座上に支持されたときにグリッドと基板との間で移動可能である。
【0007】
別の特徴では、第1のディスクは、グリッドに平行に移動可能である。
【0008】
別の特徴では、第1のディスクは、プラズマからのイオンが基板に到達するのを阻止する。
【0009】
別の特徴では、第1のディスクは、少なくとも1つ以上の開口を含む。
【0010】
別の特徴では、第1のディスクは、調節可能な開口を含む。
【0011】
別の特徴では、第1のディスクは、調節可能な開口、および固定サイズの第2の開口を含む。
【0012】
別の特徴では、第1のディスクは、ダイアモンドライクカーボン(C)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、アルミナ(Al2O3)、クロミウム(Cr)、ベリリウム(Be)、炭化タンタル(TaC)、およびチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)セラミックからなる群より選択された材料で作られる。
【0013】
別の特徴では、第1のディスクは、基板よりも小さい直径を有する。
【0014】
別の特徴では、処理チャンバはさらに、第2のチャンバに配置された第2のディスクを備える。第2のディスクは、グリッドと基板との間でグリッドに平行に移動可能である。
【0015】
別の特徴では、第1のディスクおよび第2のディスクは、同一平面上にある。
【0016】
別の特徴では、第1のディスクおよび第2のディスクは、同一形状を有する。
【0017】
別の特徴では、第1のディスクおよび第2のディスクは、異なる形状を有する。
【0018】
別の特徴では、第1のディスクおよび第2のディスクの少なくともいずれかは、1つ以上の開口を含む。
【0019】
別の特徴では、第1のディスクおよび第2のディスクの少なくともいずれかは、調節可能な開口を含む。
【0020】
別の特徴では、第1のディスクおよび第2のディスクの少なくともいずれかは、調節可能な開口を含み、第1のディスクおよび第2のディスクの少なくともいずれかは、固定サイズの第2の開口を含む。
【0021】
別の特徴では、システムは、処理チャンバと、第1のディスクを動かすためのアクチュエータと、アクチュエータを制御するためのコントローラとを備える。
【0022】
別の特徴では、システムは、処理チャンバと、グリッドに電圧を供給するための電圧源と、第1のディスクを動かすためのアクチュエータと、グリッドに供給される電圧を制御し、アクチュエータを制御するためのコントローラとを備える。
【0023】
別の特徴では、システムは、第1のディスクが調節可能な開口を含む処理チャンバと、第1のディスクを動かし、調節可能な開口を調節するためのアクチュエータと、アクチュエータを制御するためのコントローラとを備える。
【0024】
別の特徴では、システムは、処理チャンバと、第1のディスクおよび第2のディスクをそれぞれ動かすための第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータと、第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータを制御するためのコントローラとを備える。
【0025】
別の特徴では、システムは、第1のディスクおよび第2のディスクの少なくともいずれかが調節可能な開口を含む処理チャンバと、第1のディスクおよび第2のディスクをそれぞれ動かし、調節可能な開口を調節するための第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータと、第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータを制御するためのコントローラとを備える。
【0026】
別の特徴では、システムは、処理チャンバと、第1のディスクを動かすための第1のアクチュエータと、台座を回転させるための第2のアクチュエータと、第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータを制御するためのコントローラとを備える。
【0027】
別の特徴では、システムは、第1のディスクが調節可能な開口を含む処理チャンバと、第1のディスクを動かし、調節可能な開口を調節するための第1のアクチュエータと、台座を回転させるための第2のアクチュエータと、第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータを制御するためのコントローラとを備える。
【0028】
別の特徴では、システムは、処理チャンバと、第1のディスクおよび第2のディスクをそれぞれ動かすための第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータと、台座を回転させるおよび傾ける、の少なくともいずれかを行うための第3のアクチュエータと、第1のアクチュエータ、第2のアクチュエータ、および第3のアクチュエータを制御するためのコントローラとを備える。
【0029】
別の特徴では、システムは、第1のディスクおよび第2のディスクの少なくともいずれかが調節可能な開口を含む処理チャンバと、第1のディスクおよび第2のディスクをそれぞれ動かし、調節可能な開口を調節するための第1のアクチュエータおよび第2のアクチュエータと、台座を回転させるおよび傾ける、の少なくともいずれかを行うための第3のアクチュエータと、第1のアクチュエータ、第2のアクチュエータ、および第3のアクチュエータを制御するためのコントローラとを備える。
【0030】
本開示のさらなる適用分野は、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、および図面から明らかになるだろう。発明を実施するための形態および特定の例は、例示のみを目的とし、本開示の範囲を限定する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本開示は、発明を実施するための形態および添付の図面からより深く理解されるだろう。
【0032】
【
図1A】誘導結合プラズマ(ICP)を生成して基板を処理する処理チャンバを備える基板処理システムの例。
【0033】
【
図1B】容量結合プラズマ(CCP)を生成して基板を処理する処理チャンバを備える基板処理システムの例。
【0034】
【
図2A】基板処理の間にプラズマからのイオンを加速させるために
図1Aおよび
図1Bの処理チャンバで用いられるグリッドアセンブリ。
【
図2B】基板処理の間にプラズマからのイオンを加速させるために
図1Aおよび
図1Bの処理チャンバで用いられるグリッドアセンブリ。
【0035】
【
図3】基板のエッチングプロファイルを変更するために、
図1Aまたは
図1Bの処理チャンバにおいてプラズマと基板との間で移動可能なディスクの例。
【0036】
【
図4】基板のエッチングプロファイルを変更するために、
図1Aまたは
図1Bの処理チャンバにおいてプラズマと基板との間で移動可能な、開口を有するディスクの例。
【0037】
【
図5A】基板のエッチング速度を調節するために、
図1Aまたは
図1Bの処理チャンバにおいてプラズマと基板との間で径方向に移動可能なディスクの例。
【
図5B】基板のエッチング速度を調節するために、
図1Aまたは
図1Bの処理チャンバにおいてプラズマと基板との間で径方向に移動可能なディスクの例。
【0038】
【
図6A】基板のエッチング速度を調節するために、
図1Aまたは
図1Bの処理チャンバにおいてプラズマと基板との間で径方向に移動可能なディスクの別の例。
【
図6B】基板のエッチング速度を調節するために、
図1Aまたは
図1Bの処理チャンバにおいてプラズマと基板との間で径方向に移動可能なディスクの別の例。
【0039】
【
図7】異なるプロセス条件下で同じ基板の異なる領域をエッチングするために、
図1Aまたは
図1Bの処理チャンバにおいてプラズマと基板との間で移動可能な、開口を含むディスクの例。
【0040】
【
図8】基板のフィーチャをエッチングするために、
図1Aまたは
図1Bの処理チャンバにおいてプラズマとパターニングされた基板との間で移動可能な2つのディスクを含むシステムの例。
【0041】
【
図9】
図3~8に示す、
図1Aまたは
図1Bの処理チャンバで用いることができる開口および開口を調節するための機構を備えるディスクの例。
【0042】
【
図10】
図3~8に示す、
図1Aまたは
図1Bの処理チャンバで用いることができる調節可能な開口を備えるディスクの別の例。
【0043】
【
図11A】
図3~8に示す様々な動作を実施するために、
図1Aまたは
図1Bの処理チャンバにおいてプラズマと基板との間でディスクを動かし、ディスクの開口のサイズを調節するためのシステムの例。
【
図11B】
図3~8に示す様々な動作を実施するために、
図1Aまたは
図1Bの処理チャンバにおいてプラズマと基板との間でディスクを動かし、ディスクの開口のサイズを調節するためのシステムの例。
【
図11C】
図3~8に示す様々な動作を実施するために、
図1Aまたは
図1Bの処理チャンバにおいてプラズマと基板との間でディスクを動かし、ディスクの開口のサイズを調節するためのシステムの例。
【
図11D】
図3~8に示す様々な動作を実施するために、
図1Aまたは
図1Bの処理チャンバにおいてプラズマと基板との間でディスクを動かし、ディスクの開口のサイズを調節するためのシステムの例。
【0044】
図面では、類似および/または同一の要素を識別するために、参照番号は繰り返し用いられてよい。
【発明を実施するための形態】
【0045】
基板処理システムでは、エッチングプロセスを制御するために様々な方法が用いられる。例えば、基板上でエッチングプロセスが実施される処理チャンバは、プラズマが生成される第1のチャンバと、基板が台座上に配置される第2のチャンバとを備えてよい。第1のチャンバと第2のチャンバとの間には、プラズマからのイオンを基板に加速させるためにグリッド(例えば、孔を有するディスクまたはプレート)が配置されてよい。基板においてエッチング均一性を実現するため、通常、プラズマ側から制御が加えられる。例えば、1つ以上の電磁石を用いて電磁(EM)場がプラズマに印加されてよい。しかし、EM場が印加されるとき、または変更されるときは、イオン分布が変化するだけでなく、同時にいくつかの他のプラズマパラメータも変化する。2つの異なるEM場設定において、同じプラズマ条件を維持することはできない。さらに、エッチング均一性を調整するために処理チャンバの中央に位置する電磁石が用いられる場合、プラズマ密度は基板の中心領域においてのみ変化し、基板の端では変化しない可能性がある。さらに、EM場は、イオンの発散、プラズマ電位、およびグリッドフォーカスを変化させる。あるいは、エッチングは、グリッド電圧の調節、処理チャンバ内の流量/圧力を制御することによるイオン散乱の変更などによって制御できる。しかし、同時に1つ以上のプラズマパラメータが変更されるため、これらの技術は、レシピ調整およびチャンバ整合に困難を生じさせる。
【0046】
プラズマ側からエッチングを制御する上記の方法とは異なり、本開示は、プラズマを乱すことなくエッチングを制御するシステムを提供する。本開示は、中心から端までのエッチングプロファイル調整のための独立した調整ノブを提供する。このシステムは、プラズマ特性に影響を及ぼすことなくエッチングプロファイルを任意の所望の形状に調整できる。この調整ノブは、プラズマパラメータを変更せずに基板へのイオン束を調整できる。以下に詳しく説明するように、エッチングプロファイルは、プラズマと基板との間(特に、グリッドと基板との間)にディスクを導入して、一部のイオンが基板に到達するのを阻止することにより任意の所望の形状に調整できる。ディスクは基板を横切って(すなわち、横方向または平行に)移動できる、および/または、基板は回転できる。エッチングが基板上の特定の場所でのみ生じるように、開口がディスクに加えられてよい。レシピを完全なものにするために、異なる基板を用いる代わりに、基板上の異なる位置の開口と位置合わせすることで、多くの異なるプロセス条件が同じ基板上で実施できる。開口を有するディスクおよび有しないディスクの複数のディスクは、組み合わせて用いることができる。本開示のこれらの特徴および他の特徴は、以下に詳しく説明される。
【0047】
本開示は、以下のように構成される。最初に、
図1Aおよび
図1Bを参照して、1つ以上のディスクを用いることができる基板処理システムの例が示され説明される。
図1Aおよび
図1Bの処理チャンバで用いられるグリッドの例は、
図2Aおよび
図2Bを参照して示され説明される。開口を有する、または有しないディスクの例は、
図3および
図4を参照して示され説明される。ディスクを用いてエッチング速度を調整することの例は、
図5A~6Bを参照して示され説明される。異なるプロセス条件下で同じ基板の一部をエッチングするために用いることができる、1つ以上の開口を有するディスクの例は、
図7を参照して示され説明される。パターニングされた基板のフィーチャをエッチングするために用いられる複数のディスクを含むシステムの例は、
図8を参照して示され説明される。可変開口を有するディスクの例は、
図9および
図10を参照して示され説明される。ディスクを横方向に動かし、ディスクの孔のサイズを調節するためのシステムの例は、
図11A~11Dを参照して示され説明される。
【0048】
図1Aは、本開示による基板処理システム100を示す。基板処理システム100は、処理チャンバ102を備える。処理チャンバ102は、以下に説明するように誘導結合プラズマ(ICP)を生成する。処理チャンバ102は、台座104を備える。台座104は、基部106およびステム部108を含む。ステム部108は、基部106の中央領域から垂直方向下向きに延びる。処理の間、基板110は基部106に配置される。処理の間、基板110を台座104の基部106に固定するために、適したクランプシステム(例えば、真空クランプ)(図示せず)が用いられる。
【0049】
アクチュエータ112は、台座104のステム部108に接続される。アクチュエータ112は、2以上の自由度を有する。アクチュエータ112は、基板110の平面に垂直な軸に沿って台座104を垂直に動かすことができる。アクチュエータ112は、台座104を軸の周りに回転させることもできる。さらにアクチュエータは、台座104を軸に対して傾けることができる。
【0050】
処理チャンバ102は、処理チャンバ102に1つ以上のガスを注入するガス注入器120を備える。ガス注入器120は、ガス供給システム124から1つ以上のガスを受け取る。ガス供給システム124は、1つ以上のガス源130-1、130-2、・・・、および130-N(総称して、ガス源130)を含む(Nは、正の整数)。ガス源130は、弁132-1、132-2、・・・、および132-N(総称して、弁132)ならびにマスフローコントローラ134-1、134-2、・・・、134-N(総称して、マスフローコントローラ134)によってマニホールド136に接続される。マニホールド136は、ガス注入器120に接続される。
【0051】
コイル140は、処理チャンバ102の上部の周りに配置される。RF生成システム142は、コイル140にRF電力を供給する。RF生成システム142は、RF発生器144および整合ネットワーク146を含む。RF発生器144は、RF電力を生成する。整合ネットワーク146は、RF発生器144のインピーダンスをコイル140のインピーダンスと整合させる。整合ネットワーク146は、コイル140にRF電力を出力する。コイル140の第1の端は、RF生成システム142(すなわち、整合ネットワーク146)に接続される。コイル140の第2の端は接地される。コイル140からのRF電力は、ガス注入器120によって処理チャンバ102の上部領域に注入された1つ以上のガスに点火して、プラズマ148を発生させる。
【0052】
グリッド150は、処理チャンバ102においてガス注入器120と台座104との間に配置される。グリッド150は基本的に、処理チャンバ102を上部チャンバ160と下部チャンバ162とに分離(すなわち、分割)する。一般に、上部チャンバ160および下部チャンバ162はそれぞれ、第1のチャンバ160および第2のチャンバ162と呼ばれてもよい。プラズマ148は、上記のように上部チャンバ160で生成される。台座104および基板110は、下部チャンバ162に位置する。グリッド150は、台座104および基板110を上部チャンバ160のプラズマ148から分離する。プラズマ148は、下部チャンバ162では生成されない。
【0053】
例えば、グリッド150は、孔152-1、152-2、・・・、および152-N(総称して、孔152)を有する単一プレートを含んでよい(Nは、1よりも大きい整数)。あるいは、
図2Aおよび
図2Bを参照して示され説明されるように、グリッド150は、互いに位置合わせされた孔を有する複数の平行なプレートを含んでよい。グリッド150は、複数の取り付けブラケット151-1および151-2(総称して、取り付けブラケット151)、ならびに、対応する留め具153-1および153-2(総称して、留め具153)を用いて処理チャンバ102の側壁に取り付けられる。取り付けブラケット151は、電気絶縁性を有する。取り付けブラケット151は、グリッド150を処理チャンバ102の側壁から電気的に絶縁する。
【0054】
グリッド150は、プラズマ148から基板110へのイオンの流れを制御するために、電圧源154によってバイアスされる。グリッド150のバイアスは、
図2Aおよび
図2Bを参照してさらに詳しく示され説明される。簡単に言うと、電圧源154は、グリッド150の第1の端に1つ以上の電圧を供給する。グリッド150の第2の端は接地される。グリッド150に供給された電圧を電圧源154によって制御することにより、プラズマ148からのイオンは選択したエネルギレベルまで加速できる。選択したエネルギレベルまで加速したイオンは、グリッド150の孔152を通って下部チャンバ162の基板110に進む。
【0055】
ロッド172に取り付けられたディスク170は、アクチュエータ174を用いてグリッド150と基板110との間で横方向に移動できる。アクチュエータ174の例は、
図11A~11Dを参照して詳しく示され説明される。ディスク170は、プラズマ148から基板110へのイオンの流れを多くの方法で変更できる。例えば、ディスク170は中実(すなわち、開口がない)であってよい。いくつかの例では、ディスク170は開口176を含んでよい。開口176を有する、および有さないディスク170の様々な例は、
図3~11Dを参照してさらに詳しく示され説明される。
【0056】
簡単に言うと、ディスク170は、グリッド150を通って下部チャンバ162に進んだ一部のイオンが基板110に到達して、基板110のエッチングプロファイルを変化させるのを選択的に防ぐことができる。いくつかの例では、開口176は、グリッド150を通過した一部のイオンが基板110の選択した領域に流れ続けることを可能にしてよい。よって、基板110のエッチングプロファイルは、基板110に到達できるイオンを選択的に管理することにより制御できる。
【0057】
ディスク170は、低スパッタ材料で作られてよい。そのような材料の非限定的な例は、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、ならびに、タンタル(Ta)およびモリブデン(Mo)などの重金属(すなわち、プラズマ148からのイオンと衝突したときに二次電子放出を発生させない、比較的大きい原子番号の金属)を含む。一般に、ディスク170は、DLC、Ta、Mo、アルミニウム(Al)、アルミナ(Al2O3)、クロミウム(Cr)、ベリリウム(Be)、炭化タンタル(TaC)、およびチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)セラミックを含む材料で作られてよいが、これらに限定されない。
【0058】
図3~11Dを参照して詳しく示され説明されるように、いくつかの例では、ディスク170は、基板110と比べて比較的小さいサイズ(例えば、直径)であってよい。他の例では、ディスク170は、基板110と比べて比較的大きいサイズ(例えば、基板110よりもわずかに小さい直径)であってよい。いくつかの例では、ディスク170は1つ以上の開口を含んでよい。他の例では、それぞれのアクチュエータによって制御される1つ以上のディスク(開口ありまたは開口なし)は、グリッド150と基板110との間に配置されてよい。アクチュエータの例は、
図11A~11Dを参照して詳しく示され説明される。いくつかの例では、ディスク170は移動し、基板110は回転してよい。他の例では、ディスク170は移動し、基板110は静止状態であってよい、および/または傾けられてよい。これらの特徴は、
図3~11Dを参照してさらに詳しく説明される。
【0059】
ポンプ180は、弁182を介して処理チャンバ102に接続される。ポンプ180および弁182は、処理の間、処理チャンバ102の圧力を制御し、処理チャンバ102から反応物を排出させてよい。システムコントローラ190は、上記の基板処理システム100の構成部品を制御してよい。
【0060】
図1Bは、本開示による基板処理システム200を示す。基板処理システム200は、処理チャンバ202を備える。処理チャンバ202は、以下に説明するように容量結合プラズマ(CCP)を生成する。基板処理システム200のいくつかの構成部品は、先に
図1Aを参照して示され説明された基板処理システム100の構成部品に類似する。これらの基板処理システム200の類似部品は、基板処理システム100で用いられた参照番号と同じ参照番号で示される。これらの構成部品は、簡潔にするために再度の説明はされない。
【0061】
処理チャンバ202は、処理チャンバ202に処理ガスを導入および分配するシャワーヘッドなどのガス分配装置204(以下、シャワーヘッド204)を備える。シャワーヘッド204は、処理チャンバ202の上部プレートに接続された一端を含むステム部を含んでよい。シャワーヘッド204の基部は、一般に円筒形で、処理チャンバ202の上部プレートから離れた位置でステム部の反対端から径方向外向きに広がる。シャワーヘッド204の基部の基板対向面またはフェースプレートは、処理ガスが流れる複数の孔(図示せず)を含む。ガス分配システム124のマニホールド136は、シャワーヘッド204に接続される。
【0062】
シャワーヘッド204および台座104は、プラズマを生成するためにそれぞれ上部電極および下部電極として用いられる。例えば、RF生成システム142からのRF電力はシャワーヘッド204に印加され、台座104は接地される。例えば、台座104はDC接地もしくはAC接地されてよい、または浮遊状態であってよい。あるいは、RF生成システム142からのRF電力は台座104に印加され、シャワーヘッド204が接地される。例えば、シャワーヘッド204はDC接地もしくはAC接地されてよい、または浮遊状態であってよい。
【0063】
グリッド150は、処理チャンバ202においてシャワーヘッド204と台座104との間に配置される。グリッド150は基本的に、処理チャンバ202を上部チャンバ160と下部チャンバ162とに分離する。プラズマ148は、上記のようにRF電力をシャワーヘッド204または台座104に印加することによって、上部チャンバ160において生成される。基板処理システム200の残りの構成部品については
図1Aを参照して説明されたため、簡潔にするために繰り返して説明しない。
【0064】
図2Aおよび
図2Bは、
図1Aおよび
図1Bで示した処理チャンバ102および202で用いられるグリッド150の例を示す。
図2Aは、グリッド150の複数のプレートの配置、および、電圧源154によってグリッド150のプレートに供給される電力を概略的に示す。
図2Bは、グリッド150(グリッドアセンブリ150またはグリッドシステム150とも呼ばれる)を形成するためにフレーム220に取り付けられたグリッド150のプレートの側断面図を示す。
【0065】
図2Aでは、例えばグリッド150は、互いに平行に配置された3つのプレート150-1、150-2、および150-3を含む。図を簡潔にするために、フレーム200は
図2Aでは省略され、代わりに
図2Bで示されている。プレート150-1は、プラズマ148に面する。プレート150-3は、基板110に面する。例えば、プレート150-1とプレート150-2との間の距離d1は、プレート150-2とプレート150-3との間の距離d2よりも小さい。例えば、d1:d2の比率は約1:2であってよい。プレート150-1、150-2、および150-3の孔152は、互いに位置合わせされている。
【0066】
図2Bは、フレーム220に取り付けられたグリッド150の断面図を示す。例えば、プレート150-1、150-2、および150-3は、電気絶縁材料で作られたフレーム220に取り付けられて、グリッドアセンブリ(または、グリッドシステム)150を形成する。プレート150-1、150-2、および150-3を含むフレーム220は、
図1Aおよび
図1Bに示すように、取り付けブラケット151および留め具153を用いて処理チャンバ102および202の側壁に取り付けられる。
【0067】
図2Aでは、例えば電圧源154は、プラズマ148からのイオンを加速させるために正DC電圧+V1をプレート150-1に印加する。例えば、+V1の最大値は約+2000Vであってよい。電圧源154は、イオンを集束するために負DC電圧-V2をプレート150-2に印加する。例えば、-V2の最大値は約-1000Vであってよい。プレート150-3は、プレート150-1および150-2の周辺に形成された電場が基板110の処理に干渉することを防ぐために接地される。
【0068】
図3~11Dでは、ディスク170の様々な構成および配置が示され説明される。これらのディスク170の構成および配置は、
図1Aおよび1Bで示した処理チャンバ102および202で採用できる。本開示を通して、ディスク170および開口176は円形状として示され説明される。しかし、ディスク170および開口176は他の形状を有してよい。例えば、ディスクおよび開口176は多角形であってよい。
【0069】
図3は、ディスク170の例を示す。例えば、ディスク170は、基板110と比べて比較的サイズが小さい。例えば、ディスク170の直径は、基板110の直径の半分よりも小さい。ディスク170は、グリッド150と基板110との間で、グリッド150および基板110に平行に移動できる。基板110は、ディスク170が移動する間に台座104を回転させることにより回転することもできる。基板110の全表面は、基板110を横切って径方向にディスク170を動かす、ディスク170の速度を制御する、および/または、基板110の回転を制御することにより選択的に覆うことができるため、基板110のエッチングはより選択的に制御できる。
【0070】
例えば、ディスク170は、グリッド150を通過した一部のイオンを基板110から選択的に妨げるため、ディスク170を動かす、および/または、基板110を回転させることにより、イオンがエッチングプロセス中の特定時間に基板110の特定領域に到達することを防ぐことができる。ディスク170を用いてイオンを阻止することは、ディスク170で覆われた(遮られた)結果、ディスク170によるイオンの妨害によりイオンから衝突されない基板110の領域におけるエッチング速度を低減する。
図5~8を参照して以下に詳しく説明されるように、ディスク170を用いて異なるエッチングプロファイルが基板110の上で実現できる。
【0071】
通常、エッチングプロセスは、プラズマ148を乱す可能性がある、ガス流、グリッド150の加速電圧などを変化させることにより制御される。その一方で、ディスク170を用いてエッチングプロセスを制御することは、エッチングプロセスを制御するためにプラズマに関連するパラメータが変更されないため、プラズマ148を乱さない。
【0072】
図4は、開口176を含むディスク170の例を示す。
図4の説明は、ディスク170が全体的に中実でない、またはイオンを通すこと以外は、
図3の説明に類似する。その代わりに、ディスク170の中実部分のみがイオンを阻止し、ディスク170の開口176はイオンを基板110まで通過させる。開口176は、エッチングプロセスへのさらなる制御を提供し、基板110へのさらなるエッチングプロファイルの形成を可能にする。ディスク170の中実部分を用いてイオンを阻止することで、ディスク170の中実部分で覆われた(遮られた)基板110の対応する領域におけるエッチング速度が低減する。反対に、イオンを開口176に通過させることで、基板110の対応する領域におけるエッチング速度が増加する。
【0073】
開口176は、例えのみでディスク170の中央に示されている。開口176は、その代わりにディスク170の他の箇所に位置できる。さらに、開口176のサイズ(すなわち、開口176の開口部、または開口176の開口量)は、
図11A~11Dを参照して以下に詳しく説明するように制御(変更)できる。さらに、図示されていないが、ディスク170は複数の開口176を含むことができる。複数の開口176は、異なる形状(例えば、形およびサイズ)を有することができる。複数の開口176は、基板110の上で実施されるエッチングプロセスの要件に応じて、ディスク170に任意の方法で配置できる。さらにいくつかの例では、ディスク170は、1つの調節可能な開口と、固定サイズを有する少なくとも1つの開口とを含むことができる。
【0074】
図5A~6Bは、ディスク170を異なる方法でグリッド150と基板110との間で動かすことにより実現できる、基板110のエッチング速度調整の例を示す。
図5Aは、ディスク170をグリッド150と基板110との間で動かすことにより実現できる、基板110のエッチング速度調整の例を示す。例えば、ディスク170は、処理チャンバ(例えば、
図1Aおよび
図1Bに示した要素102または202)において基板110の上で実施されるエッチングプロセスの間に、以下のように段階的に基板110の中央上方から径方向外向きに少しずつ移動できる。
【0075】
例えのみでは、エッチングプロセスの間、ディスク170は最初に、全プロセス時間の約10%にわたって基板110の中央上方の第1の位置に保持される。あるいは、全プロセス時間の任意の他の割合が用いられてよい。次に、エッチングプロセスが続いている間に、ディスク170は、基板110の中央上方から第2の位置まで第1の既定距離だけ径方向外向きに移動する。例えのみでは、第1の既定距離は、基板110の半径の約4分の1であってよい。あるいは、第1の既定距離は、基板110の半径の任意の他の割合であってよい。例えのみでは、ディスク170は、全プロセス時間の約20%(または、任意の他の割合)にわたって第2の位置に保持される。
【0076】
次に、エッチングプロセスが続いている間に、ディスク170は、第2の位置から第3の位置に第2の既定距離だけ径方向外向きに移動する。例えのみでは、第2の既定距離は、基板110の半径の約4分の1(または、任意の他の割合)であってよい。例えのみでは、ディスク170は、全プロセス時間の約30%(または、任意の他の割合)にわたって第3の位置に保持される。
【0077】
次に、エッチングプロセスが続いている間に、ディスク170は、第3の位置から第4の位置まで第3の既定距離だけ径方向外向きに移動する。例えのみでは、第3の既定距離は、基板110の半径の約4分の1(または、任意の他の割合)であってよい。例えのみでは、ディスク170は、全プロセス時間の約40%(または、任意の他の割合)にわたって第4の位置に保持される。
【0078】
また、エッチングプロセスを通して、基板110は、ディスク170が上記のように移動する間に回転されてよい。上記のディスク170の移動は、
図5Bに示す直線的な中心からエッジまでのエッチング速度調整をもたらす。あるいは、ディスク170は、プロセスに応じて、任意の他のエッチング速度調整を実現するために任意の他の方法(方向、移動速度、段階の回数、段階ごとの距離、段階ごとの期間など)で移動してよい。
【0079】
さらに、
図5Aには示されていないが、ディスク170は開口176を含んでよい。いくつかの例では、開口176のサイズは(例えば、以下に
図9~11Dを参照して詳しく示され説明されるように)変化してよい。他の例では、基板110の上に複雑なエッチングプロファイルを実現するために、(可変サイズまたは固定サイズの)1つ以上の開口176を有する、または有さない1つ以上のディスク170が(例えば、以下に
図8を参照して詳しく示され説明されるように)異なる方法で移動できる。
【0080】
図6Aは、ディスク170をグリッド150と基板110との間で動かすことにより実現できる、基板110のエッチング速度調整の別の例を示す。例えば、ディスク170は、処理チャンバ(
図1Aおよび1Bに示した要素102または202)において基板110の上で実施されるエッチングプロセスの間、以下のように段階的に基板110の中央上方から少しずつ径方向に外向きおよび内向き(すなわち、前後)に移動できる。
【0081】
例えのみでは、エッチングプロセスの間、ディスク170は最初に、全プロセス時間の約25%(または、任意の他の割合)にわたって基板110の中央上方の第1の位置に保持される。次に、エッチングプロセスが続いている間に、ディスク170は、基板110の中央上方から第2の位置まで第1の既定距離だけ径方向外向きに移動する。例えのみでは、第1の既定距離は、基板110の半径の何分の1かであってよい。例えば、ディスク170は、全プロセス時間の既定割合にわたって第2の位置に保持される。
【0082】
次に、エッチングプロセスが続いている間に、ディスク170は、第2の位置から第3の位置まで第2の既定距離だけ径方向内向きに(すなわち、基板110の中心に向かって)移動する。例えば、第2の既定距離は、基板110の半径の何分の1かであってよい。例えば、ディスク170は、全プロセス時間の既定割合にわたって第3の位置に保持される。
【0083】
次に、エッチングプロセスが続いている間に、ディスク170は、第3の位置から第4の位置まで第3の既定距離だけ径方向外向きに移動する。例えば、第3の既定距離は、基板110の半径の何分の1かであってよい。例えば、ディスク170は、全プロセス時間の既定割合にわたって第4の位置に保持される。
【0084】
次に、エッチングプロセスが続いている間に、ディスク170は、第4の位置から第5の位置まで第4の既定距離だけ径方向内向きに移動する。例えば、第4の既定距離は、基板110の半径の何分の1かであってよい。例えば、ディスク170は、全プロセス時間の既定割合にわたって第4の位置に保持される。
【0085】
いくつかの例では、上記したディスク170の各移動段階における既定距離は、等しくてよい。他の例では、既定距離は、基板110に所望のエッチングプロファイルを形成するように選択されてよい。いくつかの例では、上記したディスク170の各移動段階間の全プロセス時間の規定割合は、等しくてよい。他の例では、全プロセス時間の既定割合は、基板110に所望のエッチングプロファイルを形成するように選択されてよい。
【0086】
また、エッチングプロセスを通して、基板110は、ディスク170が上記のように移動する間に回転されてよい。上記したディスク170の移動は、
図6Bに示すW形状の速度調整をもたらす。あるいは、ディスク170は、プロセスに応じて、任意の他のエッチング速度調整を実現するために任意の他の方法で(例えば、任意の他の移動順序および移動期間を用いて、ならびに/または、方向、移動速度、段階の回数、段階ごとの距離、段階ごとの期間などを変更して)移動してよい。
【0087】
さらに、
図6Aには示されていないが、ディスク170は開口176を含んでよい。いくつかの例では、開口176のサイズは(例えば、以下に
図9~11Dを参照して詳しく示され説明されるように)変化してよい。他の例では、基板110の上に複雑なエッチングプロファイルを実現するために、(可変サイズまたは固定サイズの)1つ以上の開口176を有する、または有さない1つ以上のディスク170が(例えば、以下に
図8を参照して詳しく示され説明されるように)異なる方法で移動できる。
【0088】
図7は、開口176を含むディスク170の別の例を示す。例えば、ディスク170は、
図5A~6Bに示したディスク170よりも比較的サイズが大きい。例えば、ディスク170の直径は、基板110の直径よりもわずかに小さくてよい。例えば、ディスク170の直径は、基板110の直径の半分よりも大きいが基板110の直径よりも小さくてよい。ディスク170は、グリッド150と基板110との間で、グリッド150および基板110に平行に移動できる。
【0089】
ディスク170は、異なる位置に移動できる。各位置では、基板110の上で異なるエッチングプロセスが実施できる。あるいは、各位置では、同じエッチングプロセスが異なる条件下(例えば、異なるプロセス時間、グリッド150の異なる加速電圧など)で実施できる。従って、基板110の異なる領域は、異なるエッチングプロセスまたはプロセス条件を用いてエッチングできる。この特徴は、同一基板110の上で異なるレシピを試す、またはレシピを微調整するのに役立つ。この特徴は、基板110の上に複雑なエッチングプロファイルを形成するのに用いることもできる。
【0090】
例えば、ディスク170が第1の位置にあるときは、基板110の第1の領域は、第1のプロセスまたは第1のプロセス条件を用いてエッチングされる。次に、ディスク170は第2の位置に移動し、基板110は、第2のプロセスまたは同じプロセスの第2のプロセス条件を用いてエッチングされる。次に、ディスク170は第3の位置に移動し、基板110は、第3のプロセスまたは同じプロセスの第3のプロセス条件を用いてエッチングされる。図示されていないが、いくつかの例では、ディスク170は複数の開口176を含んでよく、1つ以上の開口176のサイズは(
図9~11Dを参照して示され説明されるように)変更可能であってよい。いくつかの例では、基板110は回転してもよい。
【0091】
図8は、エッチングプロセス中にグリッド150と基板110との間で2つのディスク170-1および170-2を用いるシステムの例を示す。2つのディスク170-1および170-2は、それぞれのロッド172-1および172-2に取り付けられる。2つのディスク170-1および170-2は、それぞれのアクチュエータを用いて、上記したようにディスク170と同様に移動できる。1つのディスクを動かすためのアクチュエータの例は、以下に
図11A~11Dを参照して示され説明される。
【0092】
例えば、2つのディスク170-1および170-2は、グリッド150と基板110との間で同一方向または逆方向に移動できる。例えのみで、2つのディスク170-1および170-2は、同一平面に配置されるように示されている。その代わりに、2つのディスク170-1および170-2は、グリッド150に平行な異なる平面に配置されてよい。さらに、
図8には示されていないが、2つのディスク170-1および170-2の少なくともいずれかは、上記のように1つ以上の開口176を含んでよい。2つのディスク170-1および170-2の少なくともいずれかは、調節可能な開口を含んでよい。2つのディスク170-1および170-2の少なくともいずれかは、1つの調節可能な開口、および、固定サイズを有する少なくとも1つの開口を含んでよい。さらに、2つのディスク170-1および170-2ならびにそれぞれの開口は、同一形状(例えば、サイズおよび形)または異なる形状を有してよい。
【0093】
例えのみで、基板110はパターニングされ、ピラー250-1および250-2などの複数のフィーチャを含んでよい。例えのみで、基板110は傾斜位置で示される。しかし、
図8の教示は、他のフィーチャを含む基板、および、エッチングプロセス中に傾けられない基板(すなわち、2つのディスク170-1および170-2に平行に保持される基板)にも等しく適用される。
【0094】
例えば、基板110は2つのディスク170-1および170-2に対して傾いているため、ピラー252-2は、ピラー252-1よりもグリッド150に近い。その結果、ピラー252-2はピラー252-1よりも多くのイオンを受ける。従って、ピラー252-2のイオン密度は、ピラー252-1のイオン密度よりも高い。
【0095】
ピラー250-1および250-2の各々は、2つの側面を有する。第1の側面は基板110の中心に向き、第2の側面は基板110の外径(OD)に向く。基板110の中心に向くピラー250-1および250-2の第1の側面は、それぞれ256-1および258-1で示されている。基板110のODに向くピラー250-1および250-2の第2の側面は、それぞれ256-2および258-2で示されている。
【0096】
基板110が傾いているため、基板110のODに向いたピラー252-2の第2の側面258-2は、基板110の中心に向いたピラー252-2の第1の側面256-1よりも多くのイオンを受ける。その結果、基板110のODに向いたピラー252-2の第2の側面258-2は、基板110の中心に向いたピラー252-2の第1の側面256-1よりも多く(すなわち、より高いエッチング速度で)エッチングされる。
【0097】
一般に、基板110の様々なエッチングプロファイルは、1つ以上の開口176を有する、または有さない1つ以上のディスク170を用いる、ディスク170を動かす、開口176を調節する、および基板110を静止位置、回転位置、または傾斜位置で保持することにより実現できる。調節可能な開口、ならびに、ディスク170を動かし、開口176のサイズを変更するためのシステムの例は、以下に
図9~11Dを参照して詳しく説明される。
【0098】
図9および
図10は、調節可能な開口を有するディスクの例を示す。
図9は、ディスクの開口サイズを調節するために用いられる機構を有するディスクの例を詳しく示す。開口サイズを調節するのに用いられる機構は、カメラの絞りを調節するのに用いられる機構と同様であってよい。
図10は、開口サイズを調節する関連機構を示さずに調節可能な開口を含むディスクの別の例の概略を示す。
【0099】
図9では、開口を有するディスク170の例が示されている。例えば、ディスク170は、内側リング300、外側リング302、ならびに、以下に説明されるように内側リング300および外側リング302に取り付けられた複数の調節可能なブレードを備える。内側リング300は固定されている。外側リング302は、内側リング300に対して回転可能である。
【0100】
例えば、第1の複数のブレード310-1、310-2、・・・、および310-5(総称して、第1のブレード310)は、それぞれの第1のピボットアセンブリ312-1、312-2、・・・、および312-5によって内側リング300に結合される。第1のブレード310は、それぞれの第2のピボットアセンブリ316-1、316-2、・・・、および316-5によって外側リング302にも結合される。第2の複数のブレード314-1、314-2、・・・、および314-5(総称して、第2のブレード314)は、それぞれのピボットアセンブリ(図示せず)によって外側リング302に結合される。
【0101】
外側リング302が(例えば、
図11A~11Dに示すシステムを用いて)固定内側リング300に対して回転するときは、第1のブレード310および第2のブレード314が径方向内向きまたは径方向外向きに動くことで、第1のブレード310および第2のブレード314によって形成された開口のサイズが変化する。開口の形は、ブレードの数が増えるにつれて円形に近くなる。
図10は、調節可能な開口176を有するディスク170の別の例を示す。ディスク170に調節可能な開口176を設けるために、多くの他の種類および配置のブレードが用いられてよい。
【0102】
図11A~11Dは、ディスク170を動かし、ディスク170の開口176のサイズを調節できるシステム350の例を示す。例えば、システム350は、次のように、ロッド172に平行で、グリッド150および基板110にも平行な第1の軸に沿って移動できる。システム350は、次のように、第1の軸に垂直な第2の軸に沿って開口176のサイズを増減させることもできる。
【0103】
システム350は、2つのモータを備える。第1のモータ352は
図11Aに示され、第2のモータ354は
図11Cに示されている。例えば、第1のモータ352および第2のモータ354は、ステッピングモータであってよい。第1のモータ352は、以下に詳しく説明されるように、ロッド172およびディスク170を第1の軸に沿って直線的に動かす。第2のモータ354は、以下に詳しく説明されるように、ロッド172を第1の軸の周りに回転させ、開口176のサイズを調節する。
【0104】
ディスク170が開口176を含まないときは、第2のモータ354は省略できる。1つ以上のディスク170が用いられるときは、各ディスク170の動作は、それぞれの第1のモータ352によって制御され、各ディスク170の開口176のサイズは(開口176がディスク170に含まれる場合)、それぞれの第2のモータ354によって制御される。
【0105】
図11Aでは、例えば、ロッド172は円筒形である。ロッド172は、2セットの歯を含む。第1セットの歯360は、ロッド172の表面積の第1の半分に配置される。ロッド172の表面積の第1の半分は、グリッド150に面するロッド172の上半分を含む。歯360は、ロッド172の長さに沿って配置される。歯360は、弓形である。歯360およびその間の溝361は、ロッド172の上半分に周方向に広がる。
【0106】
図11Bは、
図11Aで示した線A-Aに沿って見たロッド172の縦断面図を示す。
図11Bは、ロッド172の上の歯360および溝361の配置を示す。第1のモータ352は、そのシャフト364に取り付けられたギア362を含む。ギア362は、ロッド172の第1の端においてロッド172の歯360と嵌合し、ロッド172の長さに平行な第1の軸に沿ってロッド172を動かす。
【0107】
図11Cでは、ロッド172は第2セットの歯370を含む。歯370は、ロッド172の表面積の第2の半分に配置される。ロッド172の表面積の第2の半分は、基板110に面したロッド172の下半分を含む。歯370およびその間の溝372は、ロッド172の下半分で長軸方向に広がる。
【0108】
図11Dは、
図11Cで示した線B-Bに沿って見たロッド172の横断面図を示す。
図11Dは、ロッド172の上の歯370および溝372の配置を示す。第2のモータ354は、そのシャフト384に取り付けられたギア382を含む。ギア382は、ロッド172の第1の端において歯370と嵌合し、ロッド172を第1の軸の周りに回転させる。
【0109】
ロッド172の第2端は、ロッド172の長さに沿って延びるブラケット390を含む。ブラケット390は、ディスク170の固定内側リング300に取り付けられる。ディスク170の回転可能な外側リング302は、外側リング302の上部表面の一部に第3セットの歯394を含む。ロッド172の歯370は、外側リング302の上部表面上の歯394と嵌合する。第2のモータ354がギア382を回転させるときに、ロッド172は第1の軸の周りを回転する。ロッド172の回動で外側リング302が回転する。外側リング302の回転は、第1のブレード310および第2のブレード314を動かし、次に開口176のサイズを調節する。
【0110】
ロッド172が第1の軸の周りを回転する間、第1のモータ352のギア362は、歯360と嵌合したままである。第1のモータ352が第1の軸に沿ってロッド172を動かす間、第2のモータ354のギア382は歯370と嵌合したままであり、歯370は歯394と嵌合したままである。従って、ロッド172は、開口176の状態とは独立して(すなわち、開口176のサイズを変化させることなく)第1の軸に沿って双方向に移動できる。ロッド172はまた、第1の軸に沿ったロッド172の直線位置とは独立して第1の軸の周りを回転できる(すなわち、開口176のサイズは変更できる)。
【0111】
前記の説明は本質的に単なる例示であり、本開示、その適用、または使用を限定する意図はない。本開示の広義の教示は、様々な形態で実施できる。よって、本開示は特定の例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すれば他の変更例が明らかになるため、本開示の真の範囲はそれほど限定されるべきではない。方法内の1つ以上の工程は、本開示の原理を変更することなく異なる順序で(または、同時に)実行されてよいことを理解されたい。さらに、各実施形態は特定の特徴を有すると上記されているが、本開示の実施形態に関して説明したそれらの特徴の任意の1つ以上は、他の実施形態において実施できる、および/または、他の実施形態の特徴と組み合わせて(その組み合わせが明記されていない場合でも)実施できる。つまり、記載の実施形態は互いに排他的でなく、1つ以上の実施形態の相互の並べ替えは、本開示の範囲内に留まる。
【0112】
要素間(例えば、モジュール間、回路素子間、半導体層間など)の空間的関係および機能的関係は、「接続された」、「嵌合された」、「結合された」、「隣接する」、「近接する」、「上に」、「上方」、「下方」、および「配置された」を含む様々な用語を用いて説明される。上記の開示で第1要素と第2要素との関係が説明されるときは、「直接的」であると明記されない限り、その関係は、第1要素と第2要素との間に他の介在要素が存在しない直接的関係でありうるが、同時に、第1要素と第2要素との間に1つ以上の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的関係でもありうる。本明細書で用いられる、A、B、およびCのうちの少なくとも1つという表現は、非排他的論理ORを用いる論理(A OR B OR C)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、およびCのうちの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0113】
いくつかの実施形態では、コントローラは、上記の例の一部でありうるシステムの一部である。かかるシステムは、処理ツール、チャンバ、処理用プラットフォーム、および/または、特定の処理部品(ウエハ台座、ガス流システムなど)を備える半導体処理装置を含みうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と統合されてよい。これらの電子機器は「コントローラ」と呼ばれてよく、システムの様々な構成部品または副部品を制御してよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置動作設定、ツールおよび他の搬送ツールに対するウエハ搬入出、ならびに/または、特定のシステムに接続もしくは結合されたロードロックに対するウエハ搬入出を含む、本明細書に開示されたあらゆるプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0114】
概して、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェア形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ向けに、またはシステムに対して特定のプロセスを実行するための動作パラメータを定義する様々な個別設定(または、プログラムファイル)の形でコントローラに伝達される命令であってよい。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ウエハ金型の製造時における1つ以上の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、コントローラは、システムと一体化もしくは接続された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、もしくはこれらが組み合わされたコンピュータの一部であってよい、またはそのコンピュータに接続されてよい。例えば、コントローラは、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にする「クラウド」内にある、またはファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってよい。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の進捗状況を監視し、過去の製造動作の経歴を調査し、複数の製造動作から傾向または性能の基準を調査して、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に続く処理工程を設定する、または新しいプロセスを開始してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含みうるネットワークを通じて、プロセスレシピをシステムに提供できる。リモートコンピュータは、次にリモートコンピュータからシステムに伝達されるパラメータおよび/もしくは設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよい。いくつかの例では、コントローラは、1つ以上の動作中に実施される各処理工程のパラメータを特定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスの種類、および、コントローラが接続または制御するように構成されたツールの種類に固有であってよいことを理解されたい。よって、上記のように、コントローラは、例えば互いにネットワーク接続された1つ以上の別々のコントローラを含むことと、本明細書に記載のプロセスおよび制御などの共通の目的に向けて協働することとにより分散されてよい。かかる目的のために分散されたコントローラの例は、遠隔に(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)位置し、協働してチャンバにおけるプロセスを制御する1つ以上の集積回路と連通する、チャンバの1つ以上の集積回路だろう。
【0116】
制限するものではないが、例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはプラズマエッチングモジュール、堆積チャンバまたは堆積モジュール、スピンリンスチャンバまたはスピンリンスモジュール、金属めっきチャンバまたは金属めっきモジュール、洗浄チャンバまたは洗浄モジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはベベルエッジエッチングモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはPVDモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはCVDモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはALDモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはALEモジュール、イオン注入チャンバまたはイオン注入モジュール、トラックチャンバまたはトラックモジュール、ならびに、半導体ウエハの製作および/または製造において関連または使用しうる任意の他の半導体処理システムを含んでよい。
【0117】
上記のように、ツールによって実施される処理工程に応じて、コントローラは、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール部品、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または、半導体製造工場においてツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハ容器を搬入出する材料搬送に用いられるツール、のうちの1つ以上と連通してよい。
【国際調査報告】