(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】複数セクションのプラズマ閉じ込めリング構造
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240521BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H05H1/46 M
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571454
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022029494
(87)【国際公開番号】W WO2022250998
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マラクタノフ・アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】ケロッグ・マイケル・シー.
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084BB14
2G084CC04
2G084CC12
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD23
2G084DD55
2G084DD67
2G084FF06
2G084FF15
5F004AA01
5F004BA04
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB29
5F004CA03
5F004CB02
(57)【要約】
【解決手段】プラズマ処理チャンバ内で使用するための閉じ込めリングは、上部水平セクションと、上部垂直セクションと、中間セクションと、下部垂直セクションと、下部水平セクションと、垂直延長部とを含む。上部水平セクションは、閉じ込めリングの内側上部半径と第1の外側半径との間に延びる。中間セクションは、閉じ込めリングの内側上部半径と第2の外側半径との間に延びる。下部水平セクションは、内側下部半径と第2の外側半径との間に延び、垂直延長部は、内部下部半径に近接する下部水平セクションから下向きに延びる。上部垂直セクションは、上部水平セクションと内側上部半径に近接する中間セクションとの間に延び、下部垂直セクションは、中間セクションと第2の外側半径に近接する下部水平セクションとの間に延びる。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバ内で使用するための閉じ込めリングであって、
内側上部半径と第1の外側半径との間に延びる上部水平セクションと、
前記内側上部半径と第2の外側半径との間に延びる中間セクションと、
内側下部半径と前記第2の外側半径との間に延びる下部水平セクションと、
前記上部水平セクションと前記内側上部半径に近接する前記中間セクションとの間に延びる上部垂直セクションと、
前記中間セクションと前記第2の外側半径に近接する前記下部水平セクションとの間に延びる下部垂直セクションと、
前記内側下部半径に近接する前記下部水平セクションから下方に延びる垂直延長部と
を備える、閉じ込めリング。
【請求項2】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
プラズマ容積が、上部電極構造、下部電極、および前記プラズマ処理チャンバの前記閉じ込めリングの間に配置される、閉じ込めリング。
【請求項3】
請求項2に記載の閉じ込めリングであって、
外部容積が、前記上部水平セクション、前記上部垂直セクション、および前記中間セクションの間に画定され、前記外部容積は、前記プラズマ容積の外側にある、閉じ込めリング。
【請求項4】
請求項2に記載の閉じ込めリングであって、
内部容積が、前記中間セクション、前記下部垂直セクション、および前記下部水平セクションの間に画定され、前記内部容積は、前記プラズマ容積の内側にある、閉じ込めリング。
【請求項5】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
外部容積が、前記上部水平セクション、前記上部垂直セクション、および前記中間セクションの間に画定され、
内部容積が、前記中間セクション、前記下部垂直セクション、および前記下部水平セクションの間に画定され、前記内部容積は、前記プラズマ処理チャンバのプラズマ容積の内側にあり、前記外部容積は、前記プラズマ容積の外側にあり、前記外部容積は、前記プラズマ容積を減少させる、
閉じ込めリング。
【請求項6】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記上部水平セクション、前記上部垂直セクション、前記中間セクション、前記下部垂直セクション、および前記下部水平セクションは、S字型構造を互いに画定する、閉じ込めリング。
【請求項7】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記中間セクションの長さおよび前記下部水平セクションの長さは、均一な厚さである、閉じ込めリング。
【請求項8】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記中間セクションの頂面は、平坦なプロファイルを含み、前記中間セクションの底面は、前記内側上部半径から前記第2の外側半径に向かって下向きに角度付けされ、前記内側上部半径に近接する前記中間セクションの第1の厚さは、前記第2の外側半径に近接する前記中間セクションの第2の厚さよりも小さい、閉じ込めリング。
【請求項9】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記下部水平セクションの頂面と前記第2の外側半径に近接する前記中間セクションの底面との間に画定された第1の高さは、前記中間セクションの頂面と前記内側上部半径に近接する前記上部水平セクションの底面との間に画定された第2の高さよりも小さい、閉じ込めリング。
【請求項10】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記下部水平セクションの頂面と前記第2の外側半径に近接する前記中間セクションの底面との間に画定された第1の高さは、前記中間セクションの頂面と前記内側上部半径に近接する前記上部水平セクションの底面との間に画定された第2の高さ、および前記下部水平セクションの前記頂面と前記内側上部半径に近接する前記中間セクションの前記底面との間に画定された第3の高さと等しい、閉じ込めリング。
【請求項11】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記第2の外側半径は、前記第1の外側半径を越えて延び、前記第2の外側半径は、前記閉じ込めリングの外側半径を画定し、
前記内側上部半径は、前記内側下部半径よりも大きい、
閉じ込めリング。
【請求項12】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記下部水平セクションは、複数のスロットを含み、前記複数のスロットの各スロットは、前記下部水平セクションに沿って内径から外径に半径方向に延び、各スロットの前記内径は、前記内側下部半径によって画定された前記閉じ込めリングの内側リング直径よりも大きく、前記スロットの前記外径は、前記第2の外側半径によって画定された前記閉じ込めリングの外側リング直径よりも小さく、各スロットは、前記下部水平セクションの頂面から底面に延びる、閉じ込めリング。
【請求項13】
請求項12に記載の閉じ込めリングであって、
前記内径における各スロットの内側スロット半径は、前記外径における各スロットの外側スロット半径よりも小さく、
各スロットの前記内側スロット半径と前記外側スロット半径における差は、スロットテーパを画定し、各スロットは、前記外径から前記内径へと下向きに先細になっており、前記スロットテーパに影響を与える前記内側スロット半径および前記外側スロット半径は、前記スロットの前記対応する内径および前記外径における摩耗率の逆数であるように定義される、
閉じ込めリング。
【請求項14】
請求項12に記載の閉じ込めリングであって、
前記内側スロット半径と前記外側スロット半径の比は、約1:1.1~約1:1.5である、閉じ込めリング。
【請求項15】
請求項12に記載の閉じ込めリングであって、
前記内径における各スロットの内側スロット半径は、前記外径における各スロットの外側スロット半径と等しい、閉じ込めリング。
【請求項16】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記第1の垂直セクションの第1の高さは、前記第2の垂直セクションの第2の高さと等しい、閉じ込めリング。
【請求項17】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記第1の垂直セクションの第1の高さは、前記第2の垂直セクションの第2の高さとは異なる、閉じ込めリング。
【請求項18】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記上部水平セクション、前記上部垂直セクション、前記中間セクション、前記下部垂直セクション、および前記下部水平セクションは、一体のS字型構造を形成し、前記内側下部半径に近接して画定された前記垂直延長部は、下方に前記S字型構造と一体的に続いており、前記一体のS字型構造は、前記プラズマ処理チャンバに画定されたプラズマ領域内にプラズマを閉じ込めるように構成される、閉じ込めリング。
【請求項19】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記上部水平セクション、前記上部垂直セクション、前記中間セクション、および前記下部垂直セクションは、第1の一体のピースを画定し、前記下部水平セクションは、第2のピースを画定し、
前記第1の一体のピースは、前記第2のピースの前記第2の外側半径に近接して配置された頂面に画定された高周波ガスケットの上に受け取られるように構成される、
閉じ込めリング。
【請求項20】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記下部水平セクションは、前記下部垂直セクションから前記内側下部半径に向かって下向きに延びる傾斜を含み、前記下部水平セクションの長さに沿った厚さは、均一である、閉じ込めリング。
【請求項21】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記垂直延長部は、角度を付けた頂部セクションおよび垂直底部セクションによって画定され、前記角度を付けた頂部セクションは、前記内側下部半径に近接する前記下部水平セクションの頂面に画定され、前記垂直底部セクションは、前記内側下部半径に近接する前記角度を付けた頂部セクションの底部部分から下方に延びるように画定される、閉じ込めリング。
【請求項22】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記下部垂直セクションは、終点検出のために前記プラズマ処理チャンバ内のプラズマを監視するプローブが配置された1つまたは複数の発光分光計測(OES)穴を含む、閉じ込めリング。
【請求項23】
請求項1に記載の閉じ込めリングであって、
前記上部水平セクションの頂面は、前記閉じ込めリングを前記プラズマ処理チャンバに配置されたバッキングプレートの底面に配置された対応するカムロックに結合するためのカムキーを受け取る複数の穴を含み、各カムキーは、対応するカムロックと整列するように配置される、閉じ込めリング。
【請求項24】
プラズマ処理チャンバ内で使用するための閉じ込めリングであって、
内側上部半径と第1の外側半径との間に延びる上部水平セクションと、
前記内側上部半径と第2の外側半径との間に延びる中間セクションであって、前記中間セクションの頂面は、平坦なプロファイルを有し、前記中間セクションの底面は、前記内側上部半径から前記第2の外側半径に向かって下向きに延びる傾斜を含む中間セクションと、
内側下部半径と前記第2の外側半径との間に延びる下部水平セクションと、
前記上部水平セクションと前記内側上部半径に近接する前記中間セクションとの間に延びる上部垂直セクションと、
前記中間セクションと前記第2の外側半径に近接する前記下部水平セクションとの間に延びる下部垂直セクションと、
前記内側下部半径に近接する前記下部水平セクションから下方に延びる垂直延長部と
を含む、閉じ込めリング。
【請求項25】
請求項24に記載の閉じ込めリングであって、
前記下部水平セクションの頂面は、前記下部垂直セクションから前記内側下部半径に向かって下向きに延びる第1の傾斜によって画定される、閉じ込めリング。
【請求項26】
請求項25に記載の閉じ込めリングであって、
前記中間セクションの前記底面と前記第2の外側半径に近接する前記下部水平セクションの前記頂面との間に画定された第1の高さは、前記中間セクションの前記底面と前記内側下部半径に近接する前記下部水平セクションの前記頂面との間に画定された第2の高さよりも小さい、閉じ込めリング。
【請求項27】
請求項25に記載の閉じ込めリングであって、
前記下部水平セクションの底面は、平坦なプロファイルを含むように画定され、前記下部水平セクションの前記第1の傾斜は、前記下部水平セクションの長さに沿って可変の厚さを画定し、前記第2の外側半径に近接する第1の厚さは、前記内側下部半径に近接する第2の厚さよりも大きい、閉じ込めリング。
【請求項28】
請求項25に記載の閉じ込めリングであって、
前記下部水平セクションの底面は、前記下部垂直セクションから前記内側下部半径に向かって下向きに延びる第2の傾斜によって画定され、前記第1の傾斜の第1の傾斜角度は、前記第2の傾斜の第2の傾斜角度と等しく、それにより前記下部水平セクションの長さに沿った厚さは、均一である、閉じ込めリング。
【請求項29】
請求項24に記載の閉じ込めリングであって、
前記上部水平セクション、前記上部垂直セクション、前記中間セクション、前記下部垂直セクション、および前記下部水平セクションは、一体のS字型構造を互いに形成し、前記垂直延長部は、前記内側下部半径に近接して下方に前記S字型構造と続いている、閉じ込めリング。
【請求項30】
請求項24に記載の閉じ込めリングであって、
前記上部水平セクション、前記上部垂直セクション、前記中間セクション、および前記下部垂直セクションは、第1の一体のピースを画定し、前記下部水平セクションは、第2のピースを画定し、
前記第1の一体のピースは、前記第2のピースの前記第2の外側半径に近接して配置された頂面に画定された高周波ガスケットの上に受け取られるように構成される、
閉じ込めリング。
【請求項31】
請求項24に記載の閉じ込めリングであって、
前記下部水平セクションは、複数のスロットを含み、前記複数のスロットの各スロットは、前記下部水平セクションに沿って内径から外径に半径方向に延び、前記スロットの前記内径は、前記内側下部半径によって画定された前記閉じ込めリングの内側リング直径よりも大きく、前記スロットの前記外径は、前記第2の外側半径によって画定された前記閉じ込めリングの外側リング直径よりも小さく、各スロットは、前記下部水平セクションの頂面から底面に延びる、閉じ込めリング。
【請求項32】
プラズマを閉じ込めるためのプラズマ処理チャンバであって、
前記プラズマ処理チャンバの下部部分に配置された下部電極であって、前記下部電極は、基板を支持するための支持面を含む下部電極と、
前記プラズマ処理チャンバの上部部分に配置され、前記下部電極の反対側に向けられた上部電極構造と、
前記上部電極構造の一部に結合され、前記上部電極構造と前記下部電極との間に配置された閉じ込めリングであって、前記閉じ込めリングは、
内側上部半径と第1の外側半径との間に延びる上部水平セクション、
前記内側上部半径と第2の外側半径との間に延びる中間セクション、
内側下部半径と前記第2の外側半径との間に延びる下部水平セクション、
前記上部水平セクションと前記内側上部半径に近接する前記中間セクションとの間に延びる上部垂直セクション、
前記中間セクションと前記第2の外側半径に近接する前記下部水平セクションとの間に延びる下部垂直セクション、および
前記内側下部半径に近接する前記下部水平セクションから下方に延びる垂直延長部
を含む閉じ込めリングと
を含む、プラズマ処理チャンバ。
【請求項33】
請求項32に記載のプラズマ処理チャンバであって、
プラズマ容積が、前記上部電極、前記下部電極、および前記閉じ込めリングの間に配置される、プラズマ処理チャンバ。
【請求項34】
請求項30に記載のプラズマ処理チャンバであって、
前記上部電極構造は、
前記上部電極構造の中心に配置された上部電極と、
前記上部電極に隣接して配置された外側電極と、
前記外側電極を囲むように配置されたバッキングプレートであって、前記バッキングプレートは、外側部分であって、前記外側電極が前記上部電極と前記バッキングプレートの前記外側部分との間に配置されるように前記外側電極に隣接して配置された外側部分、および前記外側電極の一部の上に配置された内側部分を含み、前記バッキングプレートの前記外側部分の底面は、前記上部水平セクションの頂面に配置された複数のカムキーの対応する前記カムキーと整列する複数のカムロックを含み、前記複数のカムキーおよび前記複数のカムロックは、前記外側電極を前記閉じ込めリングに結合するために使用されるバッキングプレートと
を含む、プラズマ処理チャンバ。
【請求項35】
請求項34に記載のプラズマ処理チャンバであって、
前記複数のカムキーは、コントローラに結合され、前記コントローラは、前記バッキングプレートへの前記閉じ込めリングの結合中に前記複数のカムキーを作動させ、前記複数のカムロックと係合してロックさせる第1の信号、および前記バッキングプレートからの前記閉じ込めリングの切り離し中に前記複数のカムキーを作動させ、前記複数のカムロックのロック解除を可能にさせる第2の信号を生成するように構成され、
前記複数のカムロックおよび前記複数のカムキーは、前記コントローラからの信号によって制御されるように構成された電子カムロック機構の一部である、
プラズマ処理チャンバ。
【請求項36】
請求項31に記載のプラズマ処理チャンバであって、
前記上部電極構造の前記バッキングプレートおよび前記上部電極は、電気的に接地され、前記下部電極は、対応する整合ネットワークを介して高周波(RF)発生器に結合され、前記RF発生器は、前記プラズマ処理チャンバ内にプラズマを生成するためにRF電力を前記下部電極に供給する、プラズマ処理チャンバ。
【請求項37】
請求項31に記載のプラズマ処理チャンバであって、
前記上部水平セクション、前記上部垂直セクション、前記中間セクション、前記下部垂直セクション、および前記下部水平セクションは、一体のS字型構造化を互いに画定する、プラズマ処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体処理モジュールで使用される閉じ込めリング設計に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理において、基板は、集積回路を画定する特徴を形成するために様々な動作を受ける。例えば、堆積動作では、基板は処理チャンバ内に受け取られ、形成される特徴のタイプに応じて、特定のタイプの反応性ガスがチャンバに供給され、高周波電力が印加されてプラズマを生成する。基板は、静電チャックなどの下部電極上に画定された基板支持体上に受け取られる。シャワーヘッドなどの上部電極が使用され、特定のタイプの反応性ガスをプロセスチャンバ内に供給する。高周波電力は、対応する整合ネットワークを通して反応性ガスに印加され、基板の表面の上にイオンを選択的に堆積して微視的特徴を形成するために使用されるプラズマを生成する。反応性ガスは、微粒子、ガスなどの副生成物を生成し、これは基板の表面上に形成された微視的特徴の完全性を維持するためにプラズマチャンバから速やかに除去する必要がある。
【0003】
プロセス領域内に生成されたプラズマを閉じ込めるために、一組の閉じ込めリングがプロセス領域を囲むように画定される。さらに、歩留まりを改善し、プラズマの大部分が処理のために受け取られた基板の上に確実に存在するようにするために、プラズマ領域を囲む閉じ込めリングは、基板の上の領域だけでなく、処理のために受け取られたときに基板を囲むように配置されたエッジリングの上の領域、およびエッジリングに隣接して配置された外側閉じ込めリングの上の領域もカバーするようにプロセス領域を拡張するように設計され得る。一組の閉じ込めリングは、プロセス領域内にプラズマを閉じ込めるように作用するだけでなく、チャンバ壁を含む処理チャンバの内部構造を保護するようにも作用する。一組の閉じ込めリングは、一般に、C字型構造(すなわち、Cシュラウド)である。
【0004】
基板の表面上に形成された特徴の完全性は、プロセス領域内の均一なプラズマ密度に依存する。プラズマの均一性は、一組の閉じ込めリング(例えば、Cシュラウド)の形状を調整し、プロセス領域の容積を増加させることによって調節することができる。閉じ込めリングの形状または設計に対する変更は、その変更により機械的強度が損なわれたり、閉じ込めリングの寿命が短くなったりしないように行う必要がある。さらに、閉じ込めリングの形状または設計に対する変更が、処理チャンバのスペーサプレート、嵌合ハードウェアなどの処理チャンバ内で使用されるハードウェアに対する変更を必要としない場合、有利であろう。
【0005】
本発明の実施形態は、このような状況で生じるものである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の様々な実施態様は、プラズマ領域内にプラズマを閉じ込めるためにプラズマ処理チャンバで使用される閉じ込めリングの設計を定義する。閉じ込めリングは、プラズマ処理チャンバの頂部部分に配置された上部電極構造に結合され、S字型構造を有するように設計される。S字型閉じ込めリングは、いくつかの実施態様によれば、上部水平セクションと、上部垂直セクションと、中間セクションと、下部垂直セクションと、下部水平セクションと、垂直延長部とを含むように定義される。上部水平セクションは、第1の外側半径と内側上部半径との間に延びるように画定される。中間セクションは、内側上部半径と第2の外側半径との間に延びるように画定される。下部水平セクションは、第2の外側半径と内側下部半径との間に延びるように画定される。上部垂直セクションは、内側上部半径において上部水平セクションと中間セクションとの間に延びるように画定され、下部垂直セクションは、第2の外側半径において中間セクションと下部水平セクションとの間に延びるように画定される。垂直延長部が、内側下部半径において下部水平セクションから下向きに延びるように画定される。
【0007】
閉じ込めリングのS字型構造は、従来の閉じ込めリング(すなわち、C字型閉じ込めリング)と同じにガスコンダクタンスを保ちながら、半径方向のプラズマ密度の均一性を改善するのを支援する。さらに、S字型は、基板の半径方向のエッチングの均一性を改善しながら、プラズマ領域におけるプラズマの容積を減少させるのを支援する。中間セクションの底面における傾斜、および/または下部水平セクションの頂面における傾斜、および/または傾斜した下部水平セクションなどを含む追加の設計構成もまた、半径方向のプラズマ密度の均一性を改善し、容積を減少させ、エッチングの均一性を改善するために考慮され得る。S字型構造は、プラズマ処理チャンバの他のハードウェア構成要素の再設計を必要とせず、プラズマ領域内のプラズマ密度の均一性を調節するのに役立つ。さらに、閉じ込めリングのS字型設計により、機械的強度が保護され、消耗品である閉じ込めリングの寿命が維持または改善されるようになる。
【0008】
下部水平セクションは、プラズマ領域内で生成された副生成物および中性ガス種を除去するために、下部水平セクションの長さに沿って画定された複数のスロット(「コンダクタンススロット」とも呼ばれる)を含む。複数のスロットは、プラズマ領域内でのプラズマの最適な閉じ込めを確実にするように設計される。各スロットは、下部水平セクションに沿って内径から外径に半径方向に、かつ下部水平セクションの頂面と底面との間で垂直に延びるように画定される。いくつかの実施態様では、複数のスロットの各スロットは、平行なスロット幾何学的形状を含むように画定され、内径で画定された内側スロット半径は、外径で画定された外側スロット半径と等しい。代替の実施態様では、複数のスロットの各スロットは、テーパ状のスロット幾何学的形状を使用して画定され、内径で画定された内側スロット半径は、外径で画定された外側スロット半径よりも小さい。
【0009】
テーパ状のスロット幾何学的形状は、プラズマへの継続的な曝露によりスロットの長さに沿って生じる摩耗の差に対処するように設計される。典型的には、スロットの摩耗は、外径よりも内径の方が大きい。この不均一な摩耗は、外径とは対照的に、スロットの内径付近でのプラズマの容積における差異に起因する場合がある。摩耗が臨界寸法に達すると、プラズマの非閉じ込め事象が発生しないようにするために、閉じ込めリングを速やかに交換する必要がある。テーパ状のスロット幾何学的形状は、内径に狭い端部を画定することによってスロットの周囲の面積を効率的に利用し、それによって摩耗に対してより多くの面積を設け、外径における広い端部では摩耗に対する面積が少なくなる。このテーパ状の幾何学的形状により、狭い端部が受ける摩耗は大きくなり、それによりスロットの狭い端部における摩耗はスロットの広い端部とほぼ同時に臨界寸法に近づき、その結果、スロット全体の長さが寿命の終わりに臨界閉じ込め寸法に達する。テーパ状のスロット幾何学的形状は、スロット間の限られた空間を効率的に管理し、その結果、プラズマ領域内に最適なプラズマ閉じ込めを維持しながら閉じ込めリングの使用寿命を延長させる。その結果、閉じ込めリングをプラズマ処理チャンバで使用することができるプロセスサイクルの数が増加するにつれて、消耗品である閉じ込めリングに関連するコストが低下する。閉じ込めリングのS字型構造は、より少ない容積でプラズマ密度の均一性を改善するという追加の利点を提供し、プラズマ処理チャンバの他のハードウェア構成要素の再設計を必要としない。
【0010】
一実施態様では、プラズマ処理チャンバ内で使用するための閉じ込めリングが開示される。閉じ込めリングは、上部水平セクションと、上部垂直セクションと、中間セクションと、下部垂直セクションと、下部水平セクションと、垂直延長部とを含む。上部水平セクションは、内側上部半径と第1の外側半径との間に延びる。中間セクションは、内側上部半径と第2の外側半径との間に延びる。下部水平セクションは、閉じ込めリングの内側下部半径と第2の外側半径との間に延びる。上部垂直セクションは、上部水平セクションと内側上部半径に近接する中間セクションとの間に延びる。下部垂直セクションは、中間セクションと第2の外側半径に近接する下部水平セクションとの間に延びる。垂直延長部は、内側下部半径に近接して下向きに延びる。
【0011】
一実施態様では、プラズマ容積が、上部電極構造、下部電極、および閉じ込めリングの間に配置される。
【0012】
一実施態様では、外部容積が、上部水平セクション、上部垂直セクション、および中間セクションの間に画定される。外部容積は、プラズマ容積の外側にある。
【0013】
一実施態様では、内部容積が、中間セクション、下部垂直セクション、および下部水平セクションの間に画定される。内部容積は、プラズマ容積の内側にある。
【0014】
一実施態様では、外部容積が、上部電極構造、上部垂直セクション、および中間セクションの間に画定され、内部容積が、中間セクション、下部垂直セクション、および下部水平セクションの間に画定される。内部容積は、プラズマ処理チャンバのプラズマ容積の内側にあり、外部容積は、プラズマ容積の外側にある。外部容積は、プラズマ容積を減少させる。
【0015】
一実施態様では、上部水平セクション、上部垂直セクション、中間セクション、下部垂直セクション、および下部水平セクションは、S字型構造を互いに画定する。
【0016】
一実施態様では、中間セクションの長さおよび下部水平セクションの長さは、均一な厚さである。
【0017】
一実施態様では、中間セクションの頂面は、平坦なプロファイルを含み、中間セクションの底面は、内側上部半径から第2の外側半径に向かって下向きに角度付けされ、それにより内側上部半径に近接する中間セクションの第1の厚さは、第2の外側半径に近接する中間セクションの第2の厚さよりも小さい。
【0018】
一実施態様では、下部水平セクションの頂面と第2の外側半径に近接する中間セクションの底面との間に画定された第1の高さは、中間セクションの頂面と内側上部半径に近接する上部水平セクションの底面との間に画定された第2の高さよりも小さい。
【0019】
一実施態様では、下部水平セクションの頂面と第2の外側半径に近接する中間セクションの底面との間に画定された第1の高さは、中間セクションの頂面と内側上部半径に近接する上部水平セクションの底面との間に画定された第2の高さ、および下部水平セクションの頂面と内側上部半径に近接する中間セクションの底面との間に画定された第3の高さと等しい。
【0020】
一実施態様では、第2の外側半径は、第1の外側半径を越えて延び、第2の外側半径は、閉じ込めリングの外側半径を画定し、内側上部半径は、内側下部半径よりも大きい。
【0021】
一実施態様では、下部水平セクションは、複数のスロットを含む。複数のスロットの各スロットは、下部水平セクションに沿って内径から外径に半径方向に延びる。スロットの内径は、内側下部半径によって画定された閉じ込めリングの内側リング直径よりも大きく、スロットの外径は、第2の外側半径によって画定された閉じ込めリングの外側リング直径よりも小さい。各スロットは、下部水平セクションの頂面から底面に延びる。
【0022】
一実施態様では、内径における各スロットの内側スロット半径は、外径における各スロットの外側スロット半径よりも小さい。各スロットの内側スロット半径と外側スロット半径における差は、スロットテーパを画定する。各スロットは、外径から内径へと下向きに先細になっている。スロットテーパに影響を与える内側スロット半径および外側スロット半径は、スロットの対応する内径および外径における摩耗率の逆数であるように定義される。
【0023】
一実施態様では、内側スロット半径と外側スロット半径の比は、約1:1.1~約1:1.5である。
【0024】
一実施態様では、内径における各スロットの内側スロット半径は、外径における各スロットの外側スロット半径と等しい。
【0025】
一実施態様では、第1の垂直セクションの第1の高さは、第2の垂直セクションの第2の高さと等しい。
【0026】
一実施態様では、第1の垂直セクションの第1の高さは、第2の垂直セクションの第2の高さとは異なる。
【0027】
一実施態様では、上部水平セクション、上部垂直セクション、中間セクション、下部垂直セクション、および下部水平セクションは、一体のS字型構造を形成し、垂直延長部は、内側下部半径に近接して下方にS字型構造と一体的に続いている。一体のS字型構造は、プラズマ処理チャンバに画定されたプラズマ領域内にプラズマを閉じ込めるように構成される。
【0028】
一実施態様では、上部水平セクション、上部垂直セクション、中間セクション、および下部垂直セクションは、第1の一体のピースを画定し、下部水平セクションは、第2のピースを画定する。第1の一体のピースは、第2のピースの第2の外側半径に近接する頂面に画定された高周波ガスケットの上に受け取られるように構成される。
【0029】
一実施態様では、下部水平セクションは、下部垂直セクションから内側下部半径に向かって下向きに延びる傾斜を含む。下部水平セクションの長さに沿った厚さは、均一である。
【0030】
一実施態様では、下部垂直セクションは、終点検出のためにプラズマ処理チャンバ内のプラズマを監視するプローブが配置された1つまたは複数の発光分光計測穴(optical emission spectroscopy hole)を含む。
【0031】
一実施態様では、上部水平セクションの頂面は、閉じ込めリングをプラズマ処理チャンバに配置されたバッキングプレートの底面に配置された対応するカムロックに結合するためのカムキーを受け取るように構成された複数の穴を含む。複数のカムキーの各カムキーは、複数のカムロックの対応するカムロックと整列するように配置される。
【0032】
一実施態様では、垂直延長部は、角度を付けた頂部セクションおよび垂直底部セクションによって画定される。角度を付けた頂部セクションは、内側下部半径において下部水平セクションの頂面に隣接する外側に画定され、垂直底部セクションは、内側下部半径において角度を付けた頂部セクションの底部部分から下方に延びるように画定される。
【0033】
代替の実施態様では、プラズマ処理チャンバ内で使用するための閉じ込めリングが開示される。閉じ込めリングは、上部水平セクションと、上部垂直セクションと、中間セクションと、下部垂直セクションと、下部水平セクションと、垂直延長部とを含む。上部水平セクションは、内側上部半径と第1の外側半径との間に延びる。中間セクションは、内側上部半径と第2の外側半径との間に延び、平坦なプロファイルを有する頂面と、内側上部半径から第2の外側半径に向かって下向きに延びる傾斜を含む底面とを含む。下部水平セクションは、閉じ込めリングの内側下部半径と第2の外側半径との間に延びる。上部垂直セクションは、上部水平セクションと内側上部半径に近接する中間セクションとの間に延びる。下部垂直セクションは、中間セクションと第2の外側半径に近接する下部水平セクションとの間に延びる。垂直延長部が、内側下部半径に近接する下部水平セクションから下方に延びる。
【0034】
一実施態様では、下部水平セクションの頂面は、下部垂直セクションから内側下部半径に向かって下向きに延びる第1の傾斜によって画定される。
【0035】
一実施態様では、中間セクションの底面と第2の外側半径に近接する下部水平セクションの頂面との間に画定された第1の高さは、中間セクションの底面と内側下部半径に近接する下部水平セクションの頂面との間に画定された第2の高さよりも小さい。
【0036】
一実施態様では、下部水平セクションの底面は、下部水平セクションの第1の傾斜が下部水平セクションの長さに沿って可変の厚さを画定するように、平坦なプロファイルを含むように画定される。可変の厚さは、第2の外側半径に近接する第1の厚さ、および内側下部半径に近接する第2の厚さによって画定され、第1の厚さは、第2の厚さよりも大きい。
【0037】
一実施態様では、下部水平セクションの底面は、下部垂直セクションから内側下部半径に向かって下向きに延びる第2の傾斜によって画定される。第1の傾斜の第1の傾斜角度は、第2の傾斜の第2の傾斜角度と等しく、それにより下部水平セクションの長さに沿った厚さは、均一である。
【0038】
一実施態様では、上部水平セクション、上部垂直セクション、中間セクション、下部垂直セクション、および下部水平セクションは、一体のS字型構造を互いに形成する。垂直延長部は、内側下部半径に近接して下方にS字型構造と続いている。
【0039】
一実施態様では、上部水平セクション、上部垂直セクション、中間セクション、および下部垂直セクションは、第1の一体のピースを画定し、下部水平セクションは、第2のピースを画定する。第1の一体のピースは、第2のピースの第2の外側半径に近接して配置された頂面に画定された高周波ガスケットの上に受け取られるように構成される。
【0040】
一実施態様では、下部水平セクションは、複数のスロットを含む。各スロットは、下部水平セクションに沿って内径から外径に半径方向に延びる。スロットの内径は、内側下部半径によって画定された閉じ込めリングの内側リング直径よりも大きく、スロットの外径は、第2の外側半径によって画定された閉じ込めリングの外側リング直径よりも小さい。各スロットは、下部水平セクションの頂面から底面に延びる。
【0041】
さらに別の代替の実施態様では、内部にプラズマを閉じ込めるためのプラズマ処理チャンバが開示される。プラズマ処理チャンバは、下部電極と、上部電極構造と、下部電極と上部電極構造との間に配置された閉じ込めリングとを含む。下部電極は、プラズマ処理チャンバの下部セクション(すなわち、下部部分)に配置され、基板を支持するための支持面を含む。上部電極構造は、プラズマ処理チャンバの上部セクション(すなわち、上部部分)に配置され、下部電極の反対側に向けられる。閉じ込めリングは、上部電極構造に結合され、下部電極と上部電極構造との間に配置される。閉じ込めリングは、上部水平セクションと、上部垂直セクションと、中間セクションと、下部垂直セクションと、下部水平セクションと、垂直延長部とを含む。上部水平セクションは、内側上部半径と第1の外側半径との間に延びる。中間セクションは、内側上部半径と第2の外側半径との間に延びる。下部水平セクションは、閉じ込めリングの内側下部半径と第2の外側半径との間に延びる。上部垂直セクションは、上部水平セクションと内側上部半径に近接する中間セクションとの間に延びる。下部垂直セクションは、中間セクションと第2の外側半径に近接する下部水平セクションとの間に延びる。垂直延長部は、内側下部半径に近接する下部水平セクションから下方に延びる。
【0042】
一実施態様では、プラズマ容積が、上部電極、下部電極、および閉じ込めリングの間に配置される。
【0043】
一実施態様では、上部電極構造は、上部電極構造の中心に配置された外側電極と、上部電極に隣接して配置された外側電極とを含み、バッキングプレートは、外側電極を囲むように配置される。バッキングプレートは、外側部分であって、外側電極が上部電極とバッキングプレートの外側部分との間に配置されるように外側電極に隣接して配置された外側部分、および外側電極の一部の上に配置された内側部分を含む。バッキングプレートの外側部分の底面は、閉じ込めリングの上部水平セクションの頂面に配置された対応するキーと整列する複数のカムロックを含む。カムキーおよびカムロックは、外側電極を閉じ込めリングに結合するために使用される。
【0044】
一実施態様では、複数のカムキーは、コントローラに結合され、コントローラは、バッキングプレートへの結合中に複数のカムキーを作動させ、複数のカムロックと係合してロックさせる第1の信号、およびバッキングプレートからの閉じ込めリングの切り離し中に複数のカムキーを作動させ、複数のカムロックのロック解除を可能にさせる第2の信号を生成するように構成される。複数のカムロックおよび複数のカムキーは、閉じ込めリングを上部電極構造に結合するために使用される電子カムロック機構の一部であり、コントローラからの信号によって制御されるように構成される。
【0045】
一実施態様では、上部電極構造のバッキングプレートおよび上部電極は、電気的に接地され、下部電極は、対応する整合ネットワークを介して高周波(RF)発生器に結合される。RF発生器は、プラズマ処理チャンバ内にプラズマを生成するためにRF電力を下部電極に供給するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は、一実施態様による、閉じ込めリングが使用されるプラズマ処理チャンバの一部の断面図である。
【0047】
【
図2A】
図2Aは、一実施態様による、上部電極構造と下部電極との間に配置された例示的なS字型閉じ込めリングの拡張図である。
【0048】
【
図2B】
図2Bは、
図2Aの上部電極構造と下部電極との間に配置されたS字型閉じ込めリングを含むプラズマ処理チャンバの代替の実施態様を示す図であり、代替の実施態様では、上部電極構造の変形例を含む。
【0049】
【
図3A】
図3Aは、一実施態様による、プラズマを閉じ込めるためにプラズマ処理チャンバで使用されるS字型閉じ込めリングの頂部の斜視図である。
【0050】
【
図3B】
図3Bは、一実施態様による、S字型閉じ込めリングの底部の斜視図である。
【0051】
【
図4】
図4は、一実施態様による、いくつかの特徴を示すS字型閉じ込めリングの頂面図である。
【0052】
【
図5】
図5は、一実施態様による、追加の特徴を示すS字型閉じ込めリングの垂直断面図(
図4のセクションA-Aを表す断面図)である。
【0053】
【
図6A】
図6Aは、一実施態様による、下部水平セクションにスロットを示す一体のS字型閉じ込めリングの拡張断面図である。
【0054】
【
図6B】
図6Bは、
図6Aに示されるS字型閉じ込めリングの代替の実施態様を示す図であり、S字型閉じ込めリングは、2つのピースで作製される。
【0055】
【
図6C】
図6Cは、本開示の代替の実施態様による、
図6AのセクションC-Cの拡張図であり、S字型閉じ込めリングは、中間セクションの異なるプロファイルを含む。
【0056】
【
図6D】
図6Dは、本開示の別の代替の実施態様による、
図6AのセクションC-Cの拡張図であり、S字型閉じ込めリングは、中間セクションおよび下部水平セクションの異なるプロファイルを含む。
【0057】
【
図7】
図7は、一実施態様による、複数のスロット(すなわち、コンダクタンススロット)を有するS字型閉じ込めリングの底部部分の頂面図である。
【0058】
【
図8A】
図8Aは、一実施態様による、
図7で識別されるS字型閉じ込めリングのセクションHの拡張図である。
【0059】
【
図8B】
図8Bは、一実施態様による、S字型閉じ込めリングの下部水平セクションのセクションHに含まれるスロットの拡大図であり、スロットは、平行なスロットプロファイルによって画定される。
【0060】
【
図8C】
図8Cは、代替の実施態様による、S字型閉じ込めリングの下部水平セクションのセクションHに含まれるスロットの拡大図であり、スロットは、テーパ状のスロットプロファイルによって画定される。
【0061】
【
図8D】
図8Dは、別の代替の実施態様による、S字型閉じ込めリングの下部水平セクションのセクションHに含まれるスロットの拡大図であり、スロットは、湾曲したスロットプロファイルで画定される。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本明細書に記載の様々な実施態様において、プラズマ処理チャンバ内で使用するための閉じ込めリングは、プラズマ領域内のプラズマの均一性を維持するように設計される。閉じ込めリングは、S字型構成を有するように設計される。S字型は、プラズマが含まれるプラズマ領域内の容積を減少させ、プラズマ領域を満たすプラズマを生成するのに必要なRF電力の量を減少させる。プラズマの容積が少なくなると、プラズマ領域内の半径方向のプラズマ密度の均一性が改善され、それによって基板の半径方向のエッチングの均一性が改善する。さらに、閉じ込めリングのS字型設計は、他のハードウェア構成要素の現在の構成と共にプラズマ処理チャンバ内で使用することができ、他のハードウェア構成要素の再設計を必要としない。いくつかの実施態様では、ハードウェア構成要素は、必須ではないが、プラズマ領域に維持されるプラズマの容積をさらに減少させるために再設計されてもよい。
【0063】
複数のスロット(すなわち、コンダクタンススロット)がS字型閉じ込めリングの底部に設けられ、これはプラズマ領域内にプラズマを最適に閉じ込めながらプラズマ領域から副生成物を効率的に除去し、その結果ガスコンダクタンスが改善される。スロットは、平行なスロットプロファイルまたはテーパ状のスロットプロファイルを有するように成形され得る。テーパ状のスロット設計は、スロットの長さに沿って生じる摩耗の差に対処し、スロットの周囲の面積を効率的に利用するために使用することができる。テーパ状のスロットプロファイルは、スロット間の限られた空間の最適な使用を確実にすることによって、閉じ込めリングの使用寿命を向上させる。その結果、閉じ込めリングをプラズマ処理チャンバで使用することができるプロセスサイクルの数が増加するにつれて、消耗品である閉じ込めリングの交換に関連するコストが低下する。したがって、閉じ込めリングのS字型設計は、密度およびガスコンダクタンスを改善する一方、より少ない容積でプラズマの均一性を維持する。
【0064】
プラズマ処理チャンバで使用されるS字型閉じ込めリングは、上部水平セクションと、上部垂直セクションと、中間セクションと、下部垂直セクションと、下部水平セクションとを含む。下部水平セクションは、下部電極の一部に画定されたRFガスケットの頂部に閉じ込めリングを載置するために使用される垂直延長部をさらに含む。上部水平セクションは、第1の外側半径と内側上部半径との間に延びる。中間セクションは、内側上部半径と第2の外側半径との間に延びる。下部水平セクションは、内側下部半径と第2の外側半径との間に延びる。上部垂直セクションは、上部水平セクションと内側上部半径に近接する中間セクションとの間に延び、下部垂直セクションは、中間セクションと第2の外側半径に近接する下部水平セクションとの間に延びる。垂直延長部は、内側下部半径に近接して下方に延び、下部水平セクションと一体的に続いている。上部水平セクション、上部垂直セクション、中間セクション、下部垂直セクション、および下部水平セクションは、プラズマ処理チャンバ内で生成されたプラズマを効果的に閉じ込めながら、プラズマ領域に含まれるプラズマの量を減少させるために使用されるS字型構造を互いに形成する。
【0065】
中間セクション、およびいくつかの実施態様では、下部水平セクションのプロファイルにおける変動も想定することができ、変動は、プラズマ領域に含まれるプラズマの量およびプラズマの密度に影響を与える。従来のC字型閉じ込めリングと同様に、S字型閉じ込めリング構造は、プラズマ処理チャンバに画定されたプラズマ領域内のプラズマ密度の均一性を改善する。中間セクションのプロファイルにおける変動は、中間セクションの底面に沿った傾斜の形態であってもよく、傾斜は、内側上部半径から第2の外側半径に向かって下向きに延びる。中間セクションにおける傾斜により、中間セクションの長さに沿った厚さに変動が生じ、内側上部半径に近接する厚さは、第2の外側半径に近接する厚さよりも小さい。同様に、下部水平セクションのプロファイルにおける変動は、下部水平セクションの頂面に画定された傾斜の形態であってもよく、下部水平セクションにおける傾斜は、第2の外側半径から内側下部半径に向かって下向きに延びる。下部水平セクションの長さに沿って下部水平セクションの厚さを均一にするために、追加の傾斜を下部水平セクションの底面に画定することができる。
【0066】
中間セクションにおける傾斜により、プラズマ領域内のプラズマ容積が減少する。プラズマ容積における減少により、プラズマ領域を満たすためのプラズマを形成するのに必要なガスの量が減少する。容積が減少したとしても、S字型閉じ込めリングは、プラズマ領域内のプラズマ密度の均一性ならびに基板エッチングの均一性の改善を確実にする。さらに、S字型構造により、閉じ込めリングの機械的強度が損なわれず、それによって閉じ込めリングの使用寿命が維持される。これらの利点は、閉じ込めリング構造に加えられた変更が従来の閉じ込めリングの全体構造から実質的に逸脱しないため、プラズマ処理チャンバ内のハードウェア構成要素(例えば、チャンバスペーサプレート、嵌合ハードウェアなど)を変更する必要なく実現される。
【0067】
本発明の前述の概要を踏まえ、次に、様々な図を参照して特定の実施態様について説明する。
【0068】
図1は、一実施態様において、プラズマを閉じ込めるためにS字型閉じ込めリングを使用するプラズマ処理チャンバ100の一部の簡略化されたブロック図を示している。プラズマ処理チャンバ100は、一実施態様では、容量結合プラズマ(CCP)処理チャンバ(または以下単に「プラズマ処理チャンバ」と呼ばれる)であってもよく、高周波(RF)電力をプラズマ処理チャンバ100に供給する下部電極104と、プラズマ処理チャンバ100内にプラズマを生成するプロセスガスを供給する上部電極構造102とを含む。上部電極構造102は、プラズマ処理チャンバ100の上部チャンバ部分100aに画定され、下部電極104は、プラズマ処理チャンバ100の下部チャンバ部分100bに画定される。下部電極104は、対応する整合ネットワーク107を通してRF電源106に接続され、RF電源106の第1の端部は、整合ネットワーク107に接続され、RF電源106の第2の端部は、電気的に接地される。RF電源106は、1つまたは複数のRF電力発生器(図示せず)を含むことができる。
【0069】
一実施態様では、下部電極(例えば、静電チャック(ESC))104の頂面は、基板110(例えば、ウエハ)が処理のために受け取られる基板支持面を画定する。いくつかの実施態様では、基板支持面は、下部電極の頂面に画定された凹部に画定され、凹部の高さは、基板110の厚さと等しい。エッジリング112が、基板110が処理のために受け取られたときに基板110を囲むように、下部電極104の基板支持面に隣接して画定される。本出願全体を通して、基板は、ウエハと互換的に呼ばれることがあり、複数の製作動作が電子集積回路を製作するために実施されるベースとして作用する半導体材料(ケイ素で大部分が作製される)の薄いスライスを指し、製作動作の少なくとも1つは、S字型閉じ込めリングが使用されるプラズマ処理チャンバ内で生成されたプラズマを使用することに留意されたい。いくつかの実施態様では、エッジリング112は、基板110が下部電極104の基板支持面上に支持されるときに、エッジリング112の頂面が基板110の頂面と同一平面上になるように設計される。エッジリング112は、プラズマ処理チャンバ100内で生成されたプラズマに対する処理領域(プラズマ領域108によって表される)を拡張し、基板の縁部を越えた面積にわたって、エッジリング112の外縁を覆い、さらにそれを越える拡張処理領域まで拡張するように構成される。カバーリング114が、基板が基板支持面上に受け取られたときにエッジリング112がカバーリング114と基板110との間に配置されるように、エッジリング112に隣接して配置される。いくつかの実施態様では、カバーリング114は、処理領域をエッジリング112の外縁からカバーリング114の外縁にさらに拡張するように、カバーリング114の頂面がエッジリング112の頂面と同一平面上になるように設計される。RF電源106は、整合ネットワーク107を介して下部電極の底部部分に接続され、RF電力をプラズマ処理チャンバ100に供給する。
【0070】
1つまたは複数の絶縁要素120が、カバーリング114の下で下部電極104に隣接し、下部電極104を囲むように配置される。一実施態様では、絶縁要素120は、石英材料で作製することができ、したがって石英要素とも呼ばれるが、他の絶縁材料も用いることも可能である。接地リング122が、絶縁要素(例えば、石英要素)120に隣接し、カバーリング114の下に配置され、それにより接地リング122は石英要素120および下部電極104を囲むようになる。接地バケット(ground bucket)124の形態である支持構造は、接地リング122の一部を囲むように下部電極104に配置される。一実施態様では、ギャップが接地リング122と接地バケット124との間に存在し、接地リング122への容量結合を提供する。接地バケット124は、プラズマ処理チャンバ100に供給されるRF電力に対する接地帰還(ground return)を提供する。接地バケット124はまた、上部電極構造102の一部がその上に載置するのに十分な支持を提供する。例えば、上部電極構造102の一部に結合された閉じ込めリング130のS字型構造の底部部分は、接地バケット124上に載置される。この場合、接地バケット124は、S字型閉じ込めリング構造130を介して間接的な支持を上部電極構造102に提供する。接地バケット124は、一実施態様では、底部に固定リング124aを含み、頂部に浮遊要素124bを含む。可撓性RFストラップ125が、固定リング124aと浮遊要素124bとの間に画定される。RFガスケット116が、接地バケット124の浮遊要素124bの頂面に配置される。接地バケット124の構成要素(すなわち、固定リング124a、浮遊要素124b、および可撓性RFストラップ125)は、一実施態様では、アルミニウムで作製される。他の実施態様では、接地バケット124の構成要素は、プラズマ処理チャンバ100内のRF電力を接地に伝導するのに適した他の任意の導電性材料で作製される。いくつかの実施態様では、RFガスケット116は、浮遊要素124bの頂面に画定されたチャネル内に配置され得る。
【0071】
一実施態様では、上部電極構造102は、中心に配置された上部電極102aと、上部電極102aに隣接して上部電極102aを囲むように配置された外側電極102bとを含むことができる。上部電極102aは、1つまたは複数のプロセスガス源(図示せず)に接続された1つまたは複数の入口(図示せず)と、下部電極104に面する上部電極102aの底面に分布された複数の出口(図示せず)とを含むシャワーヘッドであってもよい。複数の出口は、プロセスガスを1つまたは複数のプロセスガス源から上部電極102aと下部電極104との間に画定されたプラズマ処理領域(または単に「プラズマ領域」と呼ばれる)108に供給するように構成される。上部電極102aは、この実施態様では、電気的に接地され、プラズマ処理チャンバ100に供給されるRF電力に接地への帰還経路を提供する。
図1に示される一実施態様では、上部電極102aは、外側半径において頂面に画定された延長部を含む。この延長部は、上部電極102aを、外側電極102bの内側半径における底面に画定された対応するリップと嵌合するために使用される。上部電極102aおよび外側電極102bに加えて、上部電極構造102は、バッキングプレート105を含む。バッキングプレート105は、外側電極102bを囲む外側部分105aと、外側電極102bの頂面の少なくとも一部の上に配置され、外側電極102bの頂面の少なくとも一部を覆う内側部分105bとを含む。外側電極102bは、外側電極102bをバッキングプレート105に結合するために、バッキングプレート105の内側部分105bによって覆われる頂面の部分に配置される複数の締結手段(図示せず)を含む。カムロック(図示せず)などの複数のロック機構が、外側電極102bを囲むバッキングプレート105の外側部分105aの底面に沿って均一に分布されている。各カムロックは、バッキングプレート105の下に配置された閉じ込めリング構造130の頂面に配置された対応するカムキーと整列するように設計され、閉じ込めリング構造130をバッキングプレート105に結合することを可能にする。
【0072】
一実施態様では、結合された閉じ込めリング構造130を有する上部電極構造102は、下部電極104が固定されている間に上下に垂直に移動するように構成される。プラズマ処理チャンバ100が処理のために準備される際、閉じ込めリング構造130を有する上部電極構造102が下降され、閉じ込めリング構造130が接地バケット124の浮遊要素124bの頂面に配置されたRFガスケット116上に載置することを可能にする。閉じ込めリング構造130は、RFガスケット116を押し下げてRFガスケット116を圧縮させ、上部電極構造102と下部電極104との間に緊密な結合を形成する。RFガスケット116の圧縮により、浮遊要素124bが押し下げられ、それにより可撓性RFストラップ125が圧縮される。上部電極構造102が上方に移動すると、閉じ込めリング構造130が上方に移動してRFガスケット116から遠ざかり、RFガスケット116が弛緩することを可能にする。これにより、浮遊要素124bおよび可撓性RFストラップ125が圧縮状態から弛緩状態に移動する。
【0073】
バッキングプレート105に結合された閉じ込めリング構造(または単に「閉じ込めリング」と呼ばれる)130は、上部電極構造102と下部電極104との間の結合界面として作用する。閉じ込めリング130は、チャンバ内で生成されたプラズマが十分に閉じ込められる、上部電極構造と下部電極(102、104)との間に閉じ込められたプラズマ容積を画定する。プラズマ容積は、プラズマ領域108を画定する。閉じ込めリング130は、プラズマ領域108の内側に面するS字型の下部部分に開口部を有するS字型構造である。
図1は、逆S字型閉じ込めリング130の下部部分における開口部がプラズマ領域108の内側に面しているS字型閉じ込めリング構造を有する、プラズマ処理チャンバの左側部分の一例を示しており、プラズマ領域108は、プラズマ処理チャンバ100の下部電極104上に配置された基板110、エッジリング112、およびカバーリング114の表面にわたって延びる。カムキーなどのロック機構の複数のキーが、閉じ込めリング130の頂面に画定される。カムキーは、バッキングプレート105の外側部分105aの底面に配置された対応するカムロックと結合するように構成される。閉じ込めリング130は、上部電極構造102の一部であり、閉じ込めリング130の底部セクションは、下部電極104に画定された接地バケット124の頂面に画定されたRFガスケット116上に載置されるように構成される。RFガスケット116は、上部および下部電極102、104の間の結合が気密であることを確実にする。一実施態様では、接地バケット124は、少なくとも基板支持体110、エッジリング112、カバーリング114、1つまたは複数の石英要素120、および接地リング122を含む下部電極104の領域を囲むように構成される。接地バケット124は、RF電源106によって下部電極104に供給されるRF電流に対する接地への帰還経路を提供する。
【0074】
図1のプラズマ処理チャンバは本明細書に記載の特定の部品のみを含むように示されているが、実際には、プラズマ処理チャンバは、基板を処理するために必要な複数の追加の構成要素を含むことに留意されたい。例えば、基板110を昇降させるリフトピンを有するリフトピン機構は、示されていない。さらに、
図1に示す様々な構成要素は、様々な構成要素の異なる特徴を識別するために一定の縮尺ではない場合があり、かつ/または誇張されている場合がある。
【0075】
閉じ込めリング130は、概して、上部水平セクション、上部垂直セクション、中間セクション、下部垂直セクション、下部水平セクションおよび垂直延長部を含む複数の構成要素によって画定される。複数のカムロックが上部水平セクションの頂面に分布され、閉じ込めリング130を上部電極構造102のバッキングプレート105の外側部分105aに結合するために使用され、上部電極構造102は、上部電極102aと、外側電極102bと、バッキングプレート105とを含む。S字型閉じ込めリング130の上部垂直セクションは、プラズマを受け取るためのプラズマ領域108内のプラズマ容積を減少させるように作用する。プラズマ容積における減少は、プラズマ領域108内のプラズマの密度またはプラズマ分布に悪影響を及ぼすことなく行われる。閉じ込めリング130の様々な構成要素の詳細は、
図2Aおよび
図2Bを参照してさらに詳細に説明される。
【0076】
図2Aは、一実施態様において、S字型閉じ込めリング130がプラズマ領域108内にプラズマを閉じ込めるために配置されるプラズマ処理チャンバ100の拡張断面図を示している。
図1を参照して述べたように、プラズマ処理チャンバ100は、上部電極構造102が配置される上部チャンバ部分100aと、下部電極104が配置される下部チャンバ部分100bとを含む。上部電極構造102は、上部電極102a、外側電極102b、およびバッキングプレート105を含む複数の構成要素を含む。上部電極102aは、基板110が処理のために受け取られる基板支持面の上の領域を実質的に覆うように中心に配置される。外側電極102bは、上部電極102aに隣接し、上部電極102aを囲むように配置される。外側電極102bは、頂面と、底面とを含む。外側電極102bの頂面および底面は、この実施態様では、平坦なプロファイルを有する。外側電極102bは、電気的に接地される。バッキングプレート105は、外側電極102bに隣接し、外側電極102bを囲むように配置された外側部分105aと、外側電極102bの一部の上に配置された内側部分105bとを含み、外側電極102bの部分は、外側電極102bの全体よりも小さいか、または外側電極102bの全体と等しい。バッキングプレート105もまた、電気的に接地される。
【0077】
一実施態様では、S字型閉じ込めリング130は、締結機構(例えば、カムロック構造)(図示せず)を使用してバッキングプレート105の外側部分105aに結合される。カムロック構造は、例えば、対応する1つまたは複数のカムキーを使用して動作させることができる1つまたは複数のカムロックを含む。この実施態様では、複数のカムロック(図示せず)が、バッキングプレート105の外側部分105aの底面全体に均一に分布されている。カムロックは、各カムロックが、バッキングプレート105の外側部分105aの下に配置されるS字型閉じ込めリング130の頂面に設けられた対応するカムキー(図示せず)と整列するように配置され得る。一実施態様では、カムロック構造は、電子カムロック構造であり、閉じ込めリング130の頂面に配置されたカムキーは、コントローラに結合され、コントローラ(図示せず)からの信号を使用して動作される。コントローラは、プラズマ処理チャンバ100に結合され、プラズマ処理チャンバ100のプロセスパラメータを制御するために使用され得る。例えば、コントローラは、プラズマ処理チャンバ100で使用されるプロセスガスのプロセスレシピ、プラズマ処理チャンバに供給されるRF電力、プラズマへの基板110の曝露時間、プラズマ処理チャンバで使用されるガスの濃度などを制御するために使用されてもよい。コントローラは、コンピュータに結合されてもよいし、またはプラズマ処理チャンバ100でプラズマを生成するためのプロセスレシピを提供するために使用されるコンピュータの一部であってもよい。様々なプロセスパラメータを制御することに加えて、コントローラはまた、カムロックとロックするために適切な信号をカムキーに提供するために使用され得る。例えば、一実施態様では、コントローラは、閉じ込めリング130をバッキングプレート105の外側部分105aに結合する必要がある場合、複数のカムキーを作動させてカムロックに係合してロックさせる第1の信号を生成するために使用されてもよい。同様に、コントローラは、閉じ込めリング130がバッキングプレート105から結合解除される場合、カムキーに対してカムロックからカムキーをロック解除させる第2の信号を生成するために使用されてもよい。いくつかの実施態様では、ロックのための第1の信号は、プラズマ処理チャンバ100に設置された新しい閉じ込めリング130を検出すると生成され得る。いくつかの実施態様では、ロック解除のための第2の信号は、既存の閉じ込めリング130を取り外す必要がある場合、例えば、閉じ込めリング130の使用寿命の終わりに達した後に生成されてもよい。実施態様は、電子カムロック構造に限定されない。代わりに、他のタイプのカムロックまたは他のタイプのロック機構(例えば、ねじなど)を使用して、閉じ込めリング130をバッキングプレート105に結合することができる。
【0078】
図2Aに示される実施態様では、プラズマ領域108に面する外側電極102bの底面103bは、平坦であるように画定される。一実施態様では、上部電極102aに隣接して配置される外側電極102bの内側は、頂面に画定された段差109aを含む。段差109aは、上部電極102aの外側半径における頂面に画定された対応するリップ延長部109bを受け取るために使用され得る。段差109aは、上部電極102aを受け取るための信頼できる合わせ面を提供する。段差109aに加えて、外側電極102bの内縁における底面は、一実施態様では、勾配面109cを含んでもよい。勾配面109cは、プラズマ領域108内でプラズマが無制限に流れることを可能にするように設計され得る。プラズマ領域108のいずれかの部分が鋭い縁部を有する場合、プラズマの流れは、鋭い縁部の角度によって妨げられる可能性がある。したがって、プラズマの流れに対するそのような妨げを回避するために、外側電極102bの底面における内縁は、外側電極102bの外縁に向かって、上部電極102aの底部外縁から離れるように下向きに角度付けされる。内縁における勾配面109cの傾斜角度および勾配面109cの長さは、プラズマ領域108における最適なプラズマの流れを確実にするように画定され得る。代替の実施態様では、勾配面109cの代わりに、外側電極102bの底面における内縁は、丸みを帯びた縁部を含んでもよい。
図1と
図2Aとの間で共通するプラズマ処理チャンバ100の様々な構成要素は、同じ参照番号を使用して表され、同じ機能を実施する。
【0079】
一実施態様では、
図1の下部電極104における石英要素120は、2つ以上の部品で作製され得る。
図2Aに示される実施態様では、石英要素120は、2つの石英要素、すなわちカバーリング114の下で接地リング122に隣接して配置される石英要素1 120aを含み、それにより石英要素1 120aの一部は、下部電極104の第1の部分を囲むように配置され、下部電極104と接地リング122との間にある。石英要素1 120aの一部に隣接しており、かつ下部電極104の第2の部分と石英要素1 120aとの間には、第2の石英要素2 120bが配置される。下部電極104の第1の部分は、下部電極104の第2の部分の上に画定される。追加の石英要素が、接地リング122、接地バケット124に隣接する下部電極104に配置されてもよい。下部電極104に画定されたエッジリング112は、下部電極104の基板支持面に隣接する内側に段差を含むことができる。段差の壁は、真っ直ぐな縁部または傾斜した縁部によって画定され得る。エッジリング112の段差は、下部電極104の基板支持面上に受け取られる基板110の厚さと等しい高さによって画定され得、したがって基板110が基板支持面上に受け取られるとき、基板110の頂面は、エッジリング112の頂面と同一平面上にある。同様に、カバーリング114の厚さは、カバーリング114の頂面がエッジリング112の頂面と同一平面上になるように、エッジリング112の外縁におけるエッジリング112の厚さと等しいように画定され得る。エッジリング112およびカバーリング114の厚さは、エッジリングおよびカバーリングが配置される下部電極104の基板支持面に基づいて画定される。基板支持面が異なるプロファイルを有する場合、エッジリング112およびカバーリング114の厚さは、エッジリング112およびカバーリング114の頂面がその上に受け取られる基板110の頂面と同一平面上になるように、異なるプロファイルに従って画定され得る。S字型閉じ込めリング130は、上部電極構造102と下部電極104との間に配置される。上部電極構造102および閉じ込めリング130を含むプラズマ処理チャンバ100の上部セクション100aは、
図2Aの破線によって示すように、上下に垂直に互いに移動することが可能である。
【0080】
S字型閉じ込めリング130は、上部水平セクション131と、上部垂直セクション132と、中間セクション133と、下部垂直セクション134と、下部水平セクション135とを含む。垂直延長部136が、内側下部半径に近接する下部水平セクション135から下向きに延びる。上部水平セクション131は、閉じ込めリング130の内側上部半径と第1の外側半径との間に延びる。一実施態様では、内側上部半径における上部水平セクションの頂面は、外側電極102bの底面の外縁に画定されたリップ延長部が受け取られる段差148を含む。段差148の高さは、外側電極102bを受け取って支持するための信頼できる合わせ面を提供するように画定される。上部水平セクション131は、頂面131aおよび底面131bによって画定される。上部水平セクション131の頂面131aは、平坦であるように画定され、バッキングプレート105の外側部分105aにおける底面に画定された対応するカムロック(図示せず)と整列するように画定された複数のカムキー(図示せず)を含む。カムロックは、閉じ込めリング130がバッキングプレート105に結合されるとき、所定の位置に閉じ込めリング130を保つために使用される。上部水平セクション131の底面131bは、上部水平セクション131の長さに沿った厚さが均一となるように平坦に画定される。
【0081】
中間セクション133は、閉じ込めリング130の内側上部半径と第2の外側半径との間に延びる。中間セクションはまた、頂面133aおよび底面133bによって画定される。
図2Aに示される一実施態様では、中間セクション133の頂面133aおよび底面133bは、平坦(すなわち、水平)であるように画定され、それにより内側上部半径に近接する中間セクション133の厚さ「t1」は、第2の外側半径に近接する中間セクション133の厚さ「t2」と等しい。上部垂直セクション132は、上部水平セクション131と内側上部半径に近接する中間セクション133との間に延びる。一実施態様では、内側上部半径への近接は、上部垂直セクション132と中間セクション133の接合部からオフセットされるように画定され、オフセットは、上部垂直セクション132の厚さによって画定される。代替の実施態様では、内側上部半径への近接は、上部垂直セクション132の内側上部半径と外側(すなわち、プラズマ領域から離れる方向に面する側)との間にあるように画定される。上部垂直セクション132は、高さ「h2」だけ延びる。
図2Aに示される実施態様では、プラズマ領域108に面する上部垂直セクション132の内側、およびプラズマ領域108から離れる方向に面する上部垂直セクション132の外側は、垂直であるように画定され、上部垂直セクション132の内側と外側との間の距離は、上部垂直セクション132の厚さを画定する。代替の実施態様では、上部垂直セクション132の内側は、湾曲したまたは弓形のプロファイルを含んでもよい。この実施態様では、上部垂直セクション132の厚さは、湾曲したまたは弓形のプロファイルにより、上部垂直セクション132の長さに沿って変化する。
【0082】
下部水平セクション135は、内側下部半径から第2の外側半径に延びるように画定される。下部水平セクション135は、頂面135aおよび底面135bによって画定される。
図2Aに示される実施態様では、下部水平セクション135の頂面135aと底面135bの両方は、平坦(すなわち、水平)であるように画定される。1つの代替の実施態様では、頂面135aは、第2の外側半径から内側下部半径に向かって下降する傾斜を含んでもよい。別の代替の実施態様では、下部水平セクション135の頂面135aと底面135bの両方は、第2の外側半径から内側下部半径に向かって下降する傾斜を含んでもよい。下部水平セクションの頂面135aと底面135bの両方の傾斜角度は、この実施態様では、等しくてもよい。代替の実施態様では、頂面135aの傾斜角度は、底面135bの傾斜角度とは異なっていてもよい。
【0083】
下部垂直セクション134は、中間セクション133と第2の外側半径に近接する下部水平セクション135との間に延びる。下部垂直セクションは、第2の外側半径に近接する高さ「h1」、および内側上部半径に近接する高さ「h3」にわたって延びる。
図2Aに示される実施態様では、中間セクション133の頂面および底面(133a、133b)は、平坦であり(すなわち、内側上部半径における中間セクション133の厚さt1は、第2の外側半径における厚さt2と等しい)、下部水平セクション135の頂面および底面(135a、135b)は、平坦であり(すなわち、下部水平セクション135の厚さは、下部水平セクション135の長さに沿って均一である)、第2の外側半径に近接する高さh1は、内側上部半径に近接する高さh3と等しい。さらに、一実施態様では、第2の外側半径における下部垂直セクション134の高さh1は、内側上部半径に近接する上部垂直セクション132の高さh2と等しくてもよい。代替の実施態様では、高さh2は、高さh1よりも大きくても小さくてもよい。高さh2は、プラズマ領域108内のプラズマの容積を変化させる。傾斜が中間セクション133の底面133bに画定される場合、および/または傾斜が下部水平セクション135の頂面135aに画定される場合、第2の外側半径に近接する高さh1は、内側上部半径に近接する高さh3よりも小さくてもよい。
【0084】
プラズマ領域108は、上部電極構造102、下部電極104、および閉じ込めリング130の間に画定される。プラズマ領域108は、プラズマ処理チャンバ100内で生成されたプラズマが受け取られるプラズマ容積を画定する。プラズマ領域108内のプラズマ容積は、外部容積108aと、内部容積108bとを含む。外部容積108aは、上部水平セクション131、上部垂直セクション132、および中間セクション133の間に画定される。外部容積108aは、プラズマ領域108内の上部電極102aおよび外部電極102bの直下の面積、かつ内部容積108bの外側(すなわち、頂部またはその上)に画定される。外部容積108aは、プラズマ領域108内のプラズマの全体的な容積を減少させる。一実施態様では、外部容積108aによって減少されるプラズマ領域108内のプラズマ容積の量は、中間セクション133の長さ、上部垂直セクション132の高さh2によって決められ、またある程度は、中間セクション133の厚さによって決められ得る。内部容積108bは、中間セクション133、下部垂直セクション134、および下部水平セクション135の間に画定される。内部容積108bは、プラズマ容積の内側にあるように画定され、頂部における外部容積108aと下部電極104の基板支持面との間にある。内部容積108bに収容することができるプラズマの量は、中間セクション133の長さ、下部垂直セクション134の高さh1、および下部水平セクション135の長さに依存する。
【0085】
垂直延長部136は、内側下部半径に近接する下部水平セクション135から下向きに延び、ある高さだけ下方に下部水平セクション135と一体的に続くように画定される。いくつかの実施態様では、垂直延長部136は、上部電極構造102を下部電極104に結合する際に使用される。例えば、プラズマ処理チャンバ100が処理のために準備されているとき、上部電極構造102は、S字型閉じ込めリング130の垂直延長部136が、下部電極104に画定された接地バケット124の頂面に配置されたRFガスケット116上に載置されるように降ろされる。一実施態様では、上部水平セクション131、上部垂直セクション132、中間セクション133、下部垂直セクション134、および下部水平セクション135は、一体のS字型閉じ込めリング130を互いに形成する。内側下部半径に近接して画定された垂直延長部136は、下方に下部水平セクション135を延長させる。代替の実施態様では、S字型閉じ込めリング130は、
図6Bを参照して説明するように、複数のピースで作製されてもよい。
【0086】
図2Bは、S字型閉じ込めリング130が配置されるプラズマ処理チャンバ100’の代替の実施態様を示している。
図2Aのプラズマ処理チャンバ100と
図2Bのプラズマ処理チャンバ100’との間で共通する様々な構成要素は、同じ参照番号を使用して表され、同様の機能を実施する。
図2Bは、外側電極102b’の代替の構造を示しており、外側電極102b’の底面は、傾斜したプロファイルを含む。S字型閉じ込めリング130を収容するためにプラズマ処理チャンバ100内の他のハードウェア構成要素を再設計する必要はないが、いくつかの実施態様では、ハードウェア構成要素の一部が再設計されてもよく、そのような再設計は、プラズマを受け取るためのプラズマ領域108内の容積をさらに減少させるために行われてもよい。
図2Bに示される実施態様では、外側電極102b’は、頂面103aと、底面103b’とを含む。頂面103aは、平坦であり、底面103b’は、底面103b’の少なくとも一部における傾斜によって画定され、傾斜を含む部分は、底面103b’の全体であってもよいし、または全体部分未満であってもよい。
図2Bに示される実施態様では、例えば、底面103b’は、第1の平坦な下部セクション103c1、勾配下部セクション103c2、および第2の平坦な下部セクション103c3によって画定される。第1の平坦な下部セクション103c1は、上部電極102aに隣接して配置される内側に画定され、第1の長さにわたって延びる。
【0087】
一実施態様では、第1の平坦な下部セクション103c1は、上部電極102aに隣接して画定された、角度付けされたまたは丸みを帯びた内縁を含んでもよい。勾配下部セクション103c2は、第1の平坦な下部セクション103c1に隣接して配置され、第2の長さにわたって延びる。第2の平坦な下部セクション103c3は、勾配下部セクション103c2が第1の平坦な下部セクション103c1と第2の平坦な下部セクション103c3との間に画定されるように、勾配下部セクション103c2に隣接して配置される。第2の平坦な下部セクション103c3は、外側電極102b’の外縁に延び、第3の長さを覆う。勾配下部セクション103c2は、第1の平坦な下部セクション103c1から第2の平坦な下部セクション103c3に向かって下向きに延びる傾斜を含む。一実施態様では、勾配下部セクション103c2の傾斜角度、および外側電極102b’の角度を付けた内縁(存在する場合)の角度は、プラズマがプラズマ領域108内で自由に流れることを可能にするように画定され得る。勾配下部セクション103c2の角度により、外側電極102b’の内側および外側における高さに差異が生じ、外側電極102b’の内側の高さは、外側電極102b’の外側の高さよりも小さい。その結果、上部垂直セクション132の内側に隣接する外側電極102b’の外側は、S字型閉じ込めリング130の上部垂直セクション132の一部を覆う。外側電極102b’の内側から外側までの高さにおける差異は、勾配下部セクション103c2の傾斜角度に依存する。一実施態様では、セクションの各々、すなわち第1の平坦な下部セクション103c1、勾配下部セクション103c2、および第2の平坦な下部セクション103c3の長さは、等しい。代替の実施態様では、セクションの各々の長さは、異なる。例えば、第1および第2の平坦な下部セクション103c1、103c3の長さは、等しくてもよく、勾配下部セクション103c2の長さは、第1および第2の平坦な下部セクション103c1、103c3の長さよりも小さくても大きくてもよい。勾配下部セクション103c2は、さらにプラズマ領域108内の容積を減少させる。結果として、製作動作を実施するためにプラズマ領域108内で必要とされるプラズマの量は、少なくなる。容積が小さくなっても、プラズマ領域108のより小さい内部容積内により多くのプラズマが含まれるため、プラズマの密度が改善され、プラズマの均一性およびガスコンダクタンスは、プラズマ領域108のプラズマ容積において最適なレベルに維持される。
【0088】
図3Aは、一実施態様において、プラズマ処理チャンバ100で使用されるS字型閉じ込めリング130の頂面の斜視図を示しており、
図3Bは、一実施態様において、S字型閉じ込めリング130の底面の斜視図を示している。最初に
図3Aを参照すると、S字型閉じ込めリング130は、複数の穴137が画定される上部水平セクション131を含み、各穴は、カムキーなどの締結機構の一部を受け取るように構成される。締結機構は、カムロック構造に限定されず、ねじなどの他の締結機構を含むことができる。いくつかの実施態様では、複数のカムキーを受け取るための穴137は、頂面131a上に均一に分布しており、カムキーは、バッキングプレート105の底面に画定された対応するカムロックを介して閉じ込めリング130を上部電極構造102に結合するために使用される。上部水平セクション131は、第1の外側半径と、閉じ込めリング130の内側上部半径に、または内側上部半径に近接して画定された上部垂直セクション132の頂部との間に延びる。上部垂直セクション132は、上部水平セクション131と中間セクション133との間に延びる。中間セクション133は、上部垂直セクション132の底部と、第2の外側半径に、または第2の外側半径に近接して画定された下部垂直セクション134の頂部との間に延びる。下部水平セクション135は、下部垂直セクション134の底部と内側下部半径との間に延びる。下部水平セクションは、複数のコンダクタンススロット(または以下単に「スロット」と呼ばれる)140を含む。スロット140は、内径から外径に下部水平セクション135の表面上で半径方向に延びる。スロット140の内径は、閉じ込めリング130の内側リング直径よりも大きく、内側リング直径は、内側下方半径によって画定される。スロットの外径は、内側リング直径および内径よりも大きいが、閉じ込めリング130の外側リング直径よりも小さく、外側リング直径は、第2の外側半径によって画定される。
図2A、
図2B、
図3A、および
図3Bに示される実施態様では、第1の外側半径は、第2の外側半径よりも小さい。代替の実施態様では、第1の外側半径は、第2の外側半径以上であってもよい。
図3Aに示される実施態様では、閉じ込めリング130の上部水平セクション131、上部垂直セクション132、中間セクション133、下部垂直セクション134、および下部水平セクション135は、一体の構造(すなわち、単一の連続ユニット)を互いに形成する。
【0089】
図3Bは、下部水平セクション135に画定された複数のスロット140を示している。
図3Bに示される実施態様では、スロット140は、平行なスロット幾何学的形状を含むように画定される。代替の実施態様では、スロット140は、テーパ状のスロット幾何学的形状を含むように画定されてもよく、テーパ状のスロットは、閉じ込めリング130の外径で画定された広い側、および内径で画定された狭い側によって画定される。スロットの広い側は、内側スロット半径によって画定される狭い側よりも大きい、外側スロット半径によって画定される。内側スロット半径および外側スロット半径のサイズは、スロット140の対応する内径および外径における摩耗率の逆数であるように定義される。一実施態様では、1つまたは複数の発光分光計測(OES)穴138が、下部垂直セクション134に画定される。OES穴138には、プラズマ領域108内のプラズマおよび基板110の頂面におけるプラズマの影響を監視するために使用されるプローブが設けられる。OES穴138に配置されたプローブからの結果が、終点検出に使用される。
【0090】
図4は、一実施態様において、プラズマ処理チャンバで使用されるS字型閉じ込めリング130の頂面の俯瞰図を示している。
図4は、閉じ込めリング130の特徴のいくつかを識別する。例えば、示すように、上部水平セクション131は、第1の外側半径150から内側上部半径152に延びる。下部水平セクション135は、第2の外側半径151から内側下部半径153に延びる。第2の外側半径151は、第1の外側半径150よりも大きく、内側下部半径153は、内側上部半径152よりも小さい(すなわち、内側下部半径153<内側上部半径152<第1の外側半径150<第2の外側半径151)。内側下部半径153は、閉じ込めリング130の内側リング直径を画定し、第2の外側半径151は、閉じ込めリング130の外側リング直径を画定する。
図4は、上部水平セクション131の頂面に分布されたカムキー(すなわち、ロック機構の一部)を受け取るための複数の穴137を示す。いくつかの実施態様では、上部水平セクション131は、中間セクション133の一部の上に張り出し、中間セクション133は、スロット140を含む下部水平セクション135の一部の上に張り出す。
図4は、上部水平セクション131と中間セクション133の相対的な張り出しを示している。
図4のセクションA-Aの断面図が、
図5を参照して示され詳細に説明され、
図4のセクションC-Cの断面図が、
図6A~
図6Dを参照して示され詳細に説明される。
【0091】
図5は、一実施態様における、
図4で識別されたセクションA-Aの断面図を示している。断面図は、S字型閉じ込めリング130の様々な特徴を識別する。いくつかの実施態様では、上部水平セクション131の内側上部半径によって画定された上部内径(IUD1)は、約420mm(約16.54インチ)~約432mm(約17.01インチ)であるように画定される。いくつかの実施態様では、上部水平セクション131が延びる第1の外側半径によって画定された第1の外径(OD1)は、約500mm(約19.7インチ)~約516mm(約20.3インチ)であるように画定される。いくつかの実施態様では、中間セクション133が延びる第2の外径(OD2)は、約510mm(約20.08インチ)~約530mm(約20.87インチ)であるように画定される。いくつかの実施態様では、閉じ込めリング130の上部水平セクション131に画定された段差148の外径(ODs1)は、約426mm(約16.77インチ)~約438mm(約17.24インチ)であるように画定される。いくつかの実施態様では、上部垂直セクション132の内側の内径は、上部水平セクション131の上部内径と同じになるように画定される。いくつかの実施態様では、上部垂直セクション132の外径(ODvs1)は、約430mm(約16.93インチ)~約448mm(約17.64インチ)であるように画定される。いくつかの実施態様では、上部垂直セクション132の厚さは、約10mm(約0.39インチ)~約16mm(約0.63インチ)であるように画定される。いくつかの実施態様では、下部垂直セクション134の内径(IDvs2)は、約500mm(約19.69インチ)~約516mm(約20.32インチ)であるように画定され、下部垂直セクション134の外径は、第2の外径(OD2)によって画定される。いくつかの実施態様では、下部垂直セクション134の厚さは、約10mm(約0.39インチ)~約14mm(約0.55インチ)であるように画定される。いくつかの実施態様では、下部水平セクション135が延びる内側下部直径(ILD1)(すなわち、内側下部半径×2と同じ)は、約370mm(約14.57インチ)~約385mm(約15.16インチ)であるように画定される。S字型閉じ込めリング130の様々な特徴に関する前述の範囲は、単なる例として提供されたものであり、限定的であると考えられるべきではない。様々な特徴についての他の範囲または前述の範囲に対する調整が想定されてもよく、そのような範囲または調整は、プラズマ処理チャンバ100の内側寸法、実施されているプロセスのタイプ、プラズマを生成するために使用されるプロセスガスのタイプ、プラズマ用のプラズマ領域の内部容積内で所望される面積の量、生成され除去される副生成物および中性ガス種のタイプ、プラズマ処理チャンバのアクセス開口部、プラズマ処理チャンバのハードウェア構成要素の幾何学的形状などに基づいてもよい。
図5の図では、S字型閉じ込めリング130が、平坦なプロファイルを有する中間セクションおよび下部水平セクションを有するように示されている。
【0092】
図6Aは、一実施態様における、S字型閉じ込めリング130の拡大断面図を示している。示される断面図では、スロット140が下部水平セクション135に配置されている。断面図は、閉じ込めリング130の異なる構成要素の高さを識別する。例えば、高さh1は、下部水平セクション135の頂面135aと、閉じ込めリング130の第2の外側半径に近接する中間セクション133の底面133bとの間に画定される。一実施態様では、高さh1は、約10mm(約0.39インチ)~約40mm(約1.57インチ)であるように画定される。高さh2が、中間セクション133の頂面133aと上部水平セクション131の底面131bとの間に画定される。一実施態様では、高さh2は、約10mm(約0.39インチ)~約40mm(約1.57インチ)であるように画定される。高さh3が、下部水平セクション135の頂面135aと、閉じ込めリング130の内側上部半径に近接する中間セクション133の底面133bとの間に画定される。下部水平セクション135が平坦である一実施態様では、高さh3は、高さh1と等しくなるように画定される。下部水平セクション135が傾斜した頂面135aを有する代替の実施態様では、高さh3は、高さh1よりも大きくてもよい。内側上部半径における上部水平セクションの頂面に画定された段差148は、高さh4を有する。一実施態様では、高さh4は、約3.8mm(約0.15インチ)~約4.5mm(約0.18インチ)であるように画定される。S字型閉じ込めリング130の上部垂直セクション132は、高さh5にわたって延びるように画定される。一実施態様では、高さh5は、約28mm(約1.10インチ)~約34mm(約1.34インチ)であるように画定される。高さh6が、上部水平セクション131の頂面131aと下部水平セクション135の頂面135aとの間に画定される。一実施態様では、高さh6は、約45mm(約1.77インチ)~約53mm(約2.09インチ)であるように画定される。高さh7が、上部水平セクション131の頂面131aと垂直延長部136の底面との間に画定される。一実施態様では、高さh7は、約56mm(約2.20インチ)~約65mm(約2.56インチ)であるように画定される。高さh8が、カムキーなどのロック機構の一部を配置することができる上部水平セクション131の頂面131aに画定された穴137に対して画定される。一実施態様では、高さh8は、約4.6mm(約0.18インチ)~約5.4mm(約0.21インチ)であるように画定される。上部水平セクション131の厚さは、高さh9によって画定される。一実施態様では、高さh9は、約7.4mm(約0.29インチ)~約8.25mm(約0.32インチ)であるように画定される。高さh10が、上部水平セクション131の頂面131aと中間セクションの頂面133aとの間に画定される。一実施態様では、高さh10は、約21mm(約0.83インチ)~約29mm(約1.14インチ)であるように画定される。高さh11が、上部水平セクション131の頂面131aと下部水平セクション135の底面135bとの間に画定される。一実施態様では、高さh11は、約50mm(約1.97インチ)~約60mm(約2.36インチ)であるように画定される。
図6Aに示される実施態様では、中間セクション133の頂面133aおよび底面133bは、平坦であるように画定される。その結果、内側上部半径に近接する中間セクション133の厚さt1は、第2の外側半径に近接する中間セクション133の厚さt2と等しい(すなわち、中間セクションは、その長さに沿って均一な厚さを有する)。この場合、厚さt1およびt2は、いくつかの実施態様によれば、約12mm(約0.47インチ)~約20mm(約0.79インチ)であるように画定される。上部水平セクション131は、上部垂直セクション132の外側から長さl1にわたって延びる。一実施態様では、長さl1は、約29mm(約1.14インチ)~約38mm(約1.50インチ)であるように画定される。一実施態様では、垂直延長部136は、約3mm(約0.12インチ)~約7mm(約0.28インチ)だけ下部水平セクション135の底面135bから下向きに延びる。
図6Aに示されるS字型閉じ込めリング130は、一体のピースであり、上部水平セクション131、上部垂直セクション132、中間セクション133、下部垂直セクション134、および下部水平セクション135は、単一の連続ピースを互いに形成する。垂直延長部136は、内側下部半径に近接する下部水平セクション135から下向きに延びる。S字型閉じ込めリング130の様々な構成要素に関する前述の範囲は、単なる例として提供されたものであり、限定的であると考えられるべきではない。様々な構成要素についての他の範囲または前述の範囲に対する調整もまた、想定されてもよい。
【0093】
図6Bは、
図6AのS字型閉じ込めリング130の代替の実施態様を示している。
図6Bに示される実施態様では、S字型閉じ込めリング130’は、2つのピースで作製される。スロット140を含むS字型閉じ込めリング130の下部水平セクション135は、プラズマおよび副生成物に曝露されるために非常に消耗しやすい(すなわち、使用寿命が短い)部品であるが、S字型閉じ込めリング130の残りのセクションは、下部水平セクション135よりも長く持続することができる(すなわち、使用寿命がより長い)。したがって、閉じ込めリングの使用寿命を最大限にするために、閉じ込めリング130’は、2つのピースで作製されるように設計することが可能である。例えば、上部水平セクション131、上部垂直セクション132、中間セクション133、および下部垂直セクション134は、単一の一体の第1のピース(すなわち、ピース1)を互いに画定し、下部水平セクション135および垂直延長部136は、第2のピース(すなわち、ピース2)を画定する。第1のピースは、第2の外側半径に近接する第2のピースの下部水平セクション135の頂面135aに配置されたRFガスケット139の上に受け取られ得る。RFガスケット139は、2つのピースがプラズマ処理チャンバ100内で互いに組み立てられる際、2つのピースの緊密な結合を提供し、接地へのRF電流に対する経路を提供する(下部電極104に配置された接地バケット124の浮遊要素124bの頂面の上に画定されたRFガスケット116と同様)。
図6Bに示される実施態様では、中間セクション133の底面133bと、第2の外側半径に近接する下部水平セクション135の頂面135aとの間の高さh1は、中間セクション133の底部部分133aに傾斜を含めることによって変化させることができる。他の代替の実施態様では、S字型閉じ込めリング130は、3つ以上のピースで構成されてもよく、各ピースは、例えば、次のピース上に配置されたRFガスケットを介して次のピースに接続される。
【0094】
図6Cは、プラズマ処理チャンバ100に配置されたS字型閉じ込めリング130’’の別の代替の実施態様を示している。
図6Cは、
図4で識別されたS字型閉じ込めリング130のセクションC-Cの拡大図を示す。この実施態様では、S字型閉じ込めリング130’’は、
図6Aおよび
図6Bに示される中間セクション133とは異なる幾何学的プロファイルを有する中間セクション133’を含む。中間セクション133’は、頂面133aおよび底面133b’によって画定される。
図6Cの実施態様では、頂面133aは平坦面として画定されるが、底面133b’は、上部垂直セクション132から(すなわち、内側上部半径から)下部垂直セクション134に(すなわち、第2の外側半径に)下向きに延びる傾斜を有する。傾斜角度は、プラズマ領域108内で所望される内部容積108bの量に基づいて画定され得る。いくつかの実施態様では、減少される内部容積108bの量は、例えば、プラズマ領域108内のガスのタイプによって決められ得る。この実施態様では、上部水平セクション131と下部水平セクション135の両方の頂面および底面(131a、131b、135a、135b)は、外側電極102bのリップ延長部を支持するように構成された段差148を含む上部水平セクション131の頂面の内縁を除いて、平坦である。中間セクション133’に画定された傾斜により、内側上部半径および第2の外側半径に近接する高さにおける差異、ならびに中間セクション133’の長さに沿った厚さにおける差異が生じる。例えば、下部水平セクション135の頂面135aと第2の外側半径に近接する中間セクション133’の傾斜した底面133b’との間に画定された高さh1’は、下部水平セクション135の頂面135aと、内側上部半径に近接する中間セクション133’の傾斜した底面133b’との間に画定された高さh3よりも小さく、一方、
図6Aおよび
図6Bに示される実施態様では、高さh1およびh3は、等しいことが示されている。上部水平セクション131の底面131bと内側上部半径に近接する中間セクション133’の頂面133aとの間の高さh2は、
図6Aおよび
図6Bに示される実施態様と同じままである。同様に、内側上部半径に近接する中間セクション133’の厚さt1は、第2の外側半径に近接する中間セクション133’の厚さt2’よりも小さい。厚さにおける差異は、傾斜に起因する。差異の量は、中間セクション133’の底面133b’に画定された傾斜角度に依存する。一実施態様では、厚さt2は、厚さt1よりも約10%~約40%大きくなるように画定される。中間セクション133’における傾斜は、プラズマ処理チャンバ100の他のハードウェア構成要素の再設計を必要とせず、また閉じ込めリング130’’の機械的強度または使用寿命を損なうことなく、プラズマを受け取るためのプラズマ領域108における容積を減少させる方法を提供する。
【0095】
図6Dは、一実施態様において、プラズマ処理チャンバ100で使用されるS字型閉じ込めリング130’’’の拡大断面図を示している。この実施態様では、S字型閉じ込めリング130’’’は、中間セクションおよび下部水平セクションの異なる幾何学的プロファイルを含む。例えば、S字型閉じ込めリング130’’’は、(
図6Cに示す中間セクション133’の幾何学的プロファイルと同様に)内側上部半径から第2の外側半径に向かって下向きに延びる底面133b’に画定された傾斜を有する中間セクション133’と、閉じ込めリング130’’’の第2の外側半径から内側下部半径に下向きに延びる頂面135a’における傾斜を含む下部水平セクション135’とを含む。頂面135a’における傾斜に加えて、第2の外側半径から内側下部半径に下向きに延びる第2の傾斜が、下部水平セクション135’の底面135b’に画定される。一実施態様では、下部水平セクション135’の頂面135a’の傾斜角度は、下部水平セクションの底面135b’に画定された第2の傾斜角度と等しくてもよい。代替の実施態様では、下部水平セクション135’の頂面135a’の傾斜角度は、下部水平セクション135’の底面135b’に画定された第2の傾斜の角度よりも小さくても大きくてもよい。さらに、一実施態様では、中間セクション133’の底面133b’の傾斜角度は、下部水平セクション135’の頂面135a’の傾斜角度と等しくてもよい。代替の実施態様では、中間セクション133’の底面133b’の傾斜角度は、下部水平セクション135’の頂面135a’の傾斜角度よりも大きくても小さくてもよい。別の実施態様では、下部水平セクション135の頂面135a’は、第2の外側半径から内側下部半径に下向きに延びる傾斜を含むように画定され、下部水平セクション135の底面135bは、平坦であるように画定される。この実施態様では、下部水平セクション135の厚さは、下部水平セクション135の長さに沿って変化し、第2の外側半径に近接する厚さは、下部水平セクション135の内側下部半径に近接する厚さよりも大きい。下部水平セクション135における傾斜の量は、S字型閉じ込めリング130の機械的強度が損なわれないことを確実にするように画定され得る。
【0096】
中間セクション133’と下部水平セクション135’の両方に画定された傾斜により、高さh1およびh3は変化し得る。その結果、
図6Dに示される実施態様では、第2の外側半径における下部水平セクション135’の頂面135a’と中間セクション133’の底面133b’との間に画定された高さh1’’は、内側上部半径における下部水平セクション135’の頂面135a’と中間セクション133’の底面133b’との間に画定された高さh3よりも小さい。高さh3は、中間セクション133の頂面133aと上部水平セクション131の底面131bとの間に画定された高さh2と等しいか、高さh2よりも大きいか、または高さh2よりも小さくてもよい。示される
図6Dの断面図では、スロット140が下部水平セクション135’に画定されている。
図6Cおよび
図6Dに示される実施態様では、中間セクション133’の底面ならびに下部水平セクション135’の頂面および底面に沿った傾斜は、スローの存在を示すために誇張されている場合があり、それぞれの傾斜の実際の角度は、示されているものよりも小さい場合があることに留意されたい。
【0097】
一実施態様では、水平x軸に対する中間セクション133の底面に画定された傾斜角度は、下部水平セクション135の頂面に画定された傾斜角度と等しくなるように画定されてもよい。代替の実施態様では、水平x軸に対する中間セクション133の底面における傾斜角度は、下部水平セクション135の頂面に画定された傾斜角度よりも大きくなるように画定されてもよい。中間セクション133および下部水平セクション135における傾斜角度に関する前述の範囲は、単なる例として提供されたものであり、限定的であると考えられるべきではない。その結果、いくつかの実施態様では、中間セクション133および/または下部水平セクション135における傾斜角度は、前述の範囲よりも大きいまたは小さいことが想定され得、そのような角度における増加または減少は、プラズマ処理チャンバ100の内側寸法、実施されているプロセスのタイプ、プラズマ領域108内で所望される内部容積108aの量、プラズマを生成するために使用されるプロセスガスのタイプ、生成され除去する必要がある副生成物および中性ガス種のタイプ、プラズマ処理チャンバのアクセス開口部などに基づいてもよい。一実施態様では、閉じ込めリング130は、ケイ素で作製される。他の実施態様では、閉じ込めリングは、ポリシリコン、または炭化ケイ素、または炭化ホウ素、またはセラミック、またはアルミニウム、またはプラズマ領域108の処理条件に耐えることができる他の任意の材料で作製されてもよい。
【0098】
下部水平セクション135は、内側下部半径に近接して画定された垂直延長部136を含む。
図6A~
図6Dに示される一実施態様では、垂直延長部136の内縁は、直角によって画定される。代替の実施態様では、垂直延長部136の内縁は、角度を付けた頂部セクション(内側下部半径によって画定された内側で角度付けされる)と、垂直底部セクションとを含むことができる。角度を付けた頂部セクションは、内側下部半径で画定された内縁に傾斜を含む。垂直底部セクションは、角度を付けた頂部セクションの下に配置され、下部水平セクション135の底面135bを超える高さにわたって下向きに垂直に延びる。垂直延長部136は、下部水平セクション135に対する連続性を提供する。垂直底部セクションの底面は、この実施態様では、下部電極104に画定された接地バケット124の頂面に配置されたRFガスケット116上に載置されるように構成される。
【0099】
図7は、プラズマ処理チャンバ100で使用されるS字型閉じ込めリング130の下部水平セクション135の底面の俯瞰図を示す。俯瞰図は、内径と外径との間で半径方向に延びるスロット140を示す。スロット140は、プラズマ領域108にプラズマを効果的に閉じ込めながら、副生成物をプラズマ領域108の外に導く。スロット140は、下部水平セクション135の頂面135aから底面135bに延びる。スロット140は、平行なスロットプロファイル、またはテーパ状のスロットプロファイル、または湾曲したスロットプロファイルを有してもよい。平行なスロットプロファイル、テーパ状のスロットプロファイル、および湾曲したスロットプロファイルの詳細は、
図8A~
図8Dを参照して説明される。
【0100】
図8Aは、
図7で識別された詳細Hの拡張図を示している。詳細Hは、S字型閉じ込めリング130の下部水平セクション135に沿って画定されたスロット140の拡張図を示す。
図2~
図6Dを参照して述べたように、下部水平セクション135は、第2の外側半径から内側下部半径に延びる。スロット140は、下部水平セクション135上に画定された内径(ID1)と外径(OD1)との間で、スロット長さ「ls1」にわたって半径方向に延びる。一実施態様では、スロット長さls1は、約40mm(約1.58インチ)~約75mm(約2.95インチ)であるように画定される。いくつかの実施態様では、スロット140の内径(ID1)は、下部水平セクション135の内側下部半径によって画定された内側リング直径(IRD)よりも大きい。いくつかの実施態様では、スロット140の外径(OD1)は、ID1およびIRDよりも大きいが、下部水平セクション135の第2の外側半径によって画定された外側リング直径(ORD)よりも小さい。
【0101】
図8Bは、一実施態様における、S字型閉じ込めリング130の下部水平セクション135に画定されたスロット140のうちの1つの拡張図を示している。スロット140は、プラズマ領域108内にプラズマを効果的に閉じ込めながら副生成物をプラズマ領域108の外に導くために使用され、したがってコンダクタンススロットとも呼ばれる。各スロット140は、この実施態様では、平行なスロットプロファイルを有するように画定される。したがって、内径(ID1)140aにおける内側スロット半径(ISR)140cは、外径(OD1)140bにおける外側スロット半径(OSR)140dと等しく、ISRおよびOSRによって画定されたスロット140の幅は、スロット140の長さls1に沿って均一である。ID1 140aまたはOD1 140bにおける摩耗が臨界寸法に達すると、プラズマの非閉じ込め事象の発生を回避するために、閉じ込めリング130を交換しなければならない場合がある。
【0102】
図8Cは、一実施態様において、S字型閉じ込めリング130の下部水平セクション135に画定されたスロット140’の拡張図を示しており、スロット140’は、テーパ状のスロットプロファイルを有するように画定される。テーパ状のスロットプロファイルは、スロット140’がOD1 140bにおいてより広く、ID1 140aにおいてより狭くなるように、外径(OD1)140bから内径(ID1)140aへと下向きに先細になっているテーパを含む。この実施態様では、内径(ID1)140aにおける内側スロット半径(ISR)140c’は、外径(OD1)140bにおける外側スロット半径(OSR)140d’よりも小さくなるように画定される。一実施態様では、ISR140c’ とOSR140d’の比は、約1:1.1~約1:1.5となるように定義され得る。この比は単なる例として提供されたものであり、他の比も想定され得る。狭いISR140c’を補償するために、一実施態様では、スロット140’の長さls1を増加させ、副生成物および中性ガス種がプラズマ領域108から逃げるための追加のスロット面積を提供することが可能である。代替の実施態様では、狭いISR140c’を補償するために、長さls1を増加させることに加えて、またはその代わりに、スロット140’の数を増加させてもよい。
【0103】
ISR140c’およびOSR140d’によって定義されるテーパの量は、対応するID1 140aおよびOD1 140bにおける摩耗率の逆数であるように定義される。スロット140’の長さに沿った摩耗は、スロット140’の長さに沿った異なる部分がプラズマ領域108内でプラズマに曝露される量に起因して不均一であり、ID1 140aにおけるスロット140’の面積は、OD1 140bにおけるスロット140’の面積よりも多く摩耗する。スロット摩耗はスロット長さに沿って変化するため、摩耗率の関数としてスロットテーパのサイズを決定することにより、ID1 140aにおける高い摩耗率がOD1 140bにおける低い摩耗率によって補償されることが確実になり、その結果、閉じ込めリングの寿命の終わりにほぼ真っ直ぐなスロットプロファイルが得られる。スロット140’のテーパ状のプロファイルは、スロット摩耗に対して、OD1 140bよりもID1 140aにおいてより多くの面積を提供し、それによりテーパ状のスロット140’は全体として、閉じ込めリング130’の交換が必要になるのとほぼ同時に臨界寸法に達する可能性がある。内径におけるスロットの寸法の減少による下部水平セクションにおける開口面積を補償するために、追加のスロットを画定することができる。追加のスロットの数は、臨界寸法に達するために各スロット140’に対する狭い端部および広い端部で必要とされる摩耗スペースの量を考慮することによって画定され得る。テーパ状のスロット幾何学的形状は、非閉じ込めの限界に達する前にスロットが許容することができる摩耗量を拡張し、その結果、使用寿命が長くなり、消耗品のコストが改善される。スロット140’がテーパ状のスロットプロファイルであっても、ISR140c’およびOSR140d’のサイズは、プラズマ領域108からの副生成物および中性ガス種の除去を可能にするように画定される。
図8Bのスロット140および
図8Cのスロット140’は、一定の縮尺で描かれておらず、異なる寸法を示すために誇張されている。
【0104】
閉じ込めリングの下部水平セクション135に沿ってスロット140’を画定するためのテーパ状のスロットプロファイルの使用に関するさらなる情報については、2020年10月30日に出願され、「Wear Compensating Confinement Ring」と題する共同所有かつ同時係属中の国際特許出願第PCT/US20/053894号を参照することができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。閉じ込めリング130の設計における変形例、例えば、下部水平セクション135の頂面135aおよび平行なスロットプロファイルを有するスロット140に沿った傾斜を画定すること、または下部水平セクション135の頂面135aおよびテーパ状のスロットプロファイルを有するスロット140’に沿った傾斜を画定することもまた、基板表面の長さ全体にわたるプラズマ密度を改善するために想定され得る。
【0105】
図8Dは、さらに別の実施態様における、S字型閉じ込めリング130の下部水平セクション135に画定されたスロット140’’の拡張図を示しており、スロット140’’は、湾曲したスロットプロファイルを含むように画定される。
図8Aには示されていないが、湾曲したスロットプロファイルは、副生成物を逃がすためのスロット140’’の長さls1を増加させるために使用することもできる。湾曲したスロット140’’の曲率角度は、プラズマ領域108から副生成物を効率的に導くためにスロット140’’を増加させる必要がある長さの量に基づいてよい。湾曲したスロット140’’は、一実施態様(図示せず)では、
図8Bを参照して説明したように、ID1 140aにおける内側スロット半径140cがOD1 140bにおける外側スロット半径140dと等しい平行なスロットプロファイルを含んでもよいが、スロットのプロファイルは、スロット140’’の長さに沿って湾曲している。
図8Dに示す代替の実施態様では、湾曲したスロット140’’は、
図8Cを参照して説明したように、ID1 140aにおけるISR140c’がOD1 140bにおけるOSR140d’よりも小さいテーパ状のスロットプロファイルを含んでもよいが、スロットのプロファイルは、スロット140’’の長さに沿って湾曲している。見てわかるように、下部水平セクション135に画定されたスロットの形状には、変動があり得る。形状における変動は、プラズマを生成するために使用されるガスのタイプ、除去される副生成物のタイプ、プラズマ領域から副生成物を除去するのに必要な面積の量、プラズマ領域内の最適なプラズマ閉じ込めなどに基づいてもよい。
図8B~
図8Dに示されるスロットの形状および異なるサイズはいくつかの例であり、スロットについての他の形状およびサイズも想定され得る。
【0106】
様々な実施態様で説明されるS字型閉じ込めリングの利点には、他のハードウェア構成要素(例えば、チャンバスペーサプレート、嵌合ハードウェアなど)に悪影響を及ぼすことなく、または閉じ込めリングの機械的強度もしくは使用寿命に悪影響を及ぼすことなく、プラズマ密度の均一性を改善することが挙げられる。さらに、S字型は、プラズマ領域内の容積を減少させるのに役立ち、その結果プラズマ領域の減少した容積を満たすためにプラズマを生成するのに必要なガスの量が少なくなり、それによって使用されるプロセスガスが節約される。閉じ込めリングの強度または本来の使用寿命に影響を及ぼすことなく、閉じ込めリングの異なる表面の形状に対する修正を行う(すなわち、中間セクションの底面および/または下部水平セクションの頂面に勾配を設ける)ことによって、容積およびプラズマ密度の均一性をさらに調整することが可能である。これにより、閉じ込めリングは、下部水平セクションに沿っておよびスロットの長さに沿って臨界寸法限界に達する前により多くのプロセス動作に耐えることができるため、基板エッチングの均一性が改善され、消耗品である閉じ込めリングのコストが改善される。他の利点が、本明細書に記載の様々な実施態様を検討することで当業者によって想定されるであろう。
【国際調査報告】