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特表2024-521436アパーチャアポダイゼーションを備えた構造照明を使用したレチクル粒子検出用の検査システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-31
(54)【発明の名称】アパーチャアポダイゼーションを備えた構造照明を使用したレチクル粒子検出用の検査システム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240524BHJP
   G03F 1/84 20120101ALI20240524BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
G03F1/84
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575954
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022064098
(87)【国際公開番号】W WO2022258370
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/208,637
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ポロウスキー、ミカル、エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】クロイツァー、ジャスティン、ロイド
【テーマコード(参考)】
2H195
2H197
【Fターム(参考)】
2H195BD05
2H195BD12
2H195BD15
2H197BA11
2H197DC20
2H197FA01
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA10
2H197JA18
(57)【要約】
【解決手段】検査システムは、照明経路に沿って照明ビームを透過するように構成された放射源と、照明ビームの一部を選択するように構成されたアパーチャストップとを含む投影システムを含む。検査システムはまた、照明ビームの一部を選択するアパーチャストップと、照明ビームの選択された部分を物体に向かって送り、物体から散乱した信号ビームを送る光学システムとを含む。検査システムはまた、信号ビームを検出する検出器を含む。
【選択図】図26A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光路に沿って照明ビームを送るように構成された放射源と、
前記照明ビームの一部を選択するように構成されたアパーチャストップと、
を備える投影システムと、
前記照明ビームの選択された部分を物体に向かって送り、前記物体から散乱された信号ビームを送るように構成された光学システムと、
前記信号ビームを検出するように構成された検出器を備えるイメージングシステムと、
を備える検査システム。
【請求項2】
前記アパーチャストップは、アポダイズされたアパーチャを備える、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記アパーチャストップは、投影されたパターンの視認性を高めるために、前記照明ビームの低NA部分を制限するように構成された中心オブスキュレーションを備える、請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
前記イメージングシステムは、イメージングアパーチャストップをさらに備え、
前記イメージングアパーチャストップは、前記信号ビーム内の焦点の合っていないフィーチャのコントラストを高めるために、前記信号ビームの低NA部分を制限するように構成された中心オブスキュレーションを備え、
前記イメージングアパーチャストップは、前記検出器から所定の距離に配置され、
前記イメージングアパーチャストップは、透過型モディファイアまたは反射型モディファイアを含み、光学システムのレイアウトは、イメージングアパーチャストップモディファイアの種類に依存する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項5】
前記投影システムはさらに、
前記アパーチャストップを通して、前記物体の第1の面を照射するように構成され、前記照明ビームの第1のパラメータは前記物体の第1の面の領域を規定し、そして
前記アパーチャストップを通して、前記物体の第2の面を照射するように構成され、 前記照明ビームの第2のパラメータは前記第2の面の領域を規定し、前記第2の面は、前記物体内の前記第1の面とは異なる深さレベルにあり、
前記イメージングシステムは、ゴースト信号を除去することによって前記信号ビーム内の焦点の合ったフィーチャのコントラストを高めるために、前記信号ビームの低NA部分を制限するように構成された中心オブスキュレーションを含むイメージングアパーチャストップをさらに備え、
前記検出器は、前記アパーチャストップを通過した後に前記信号ビームを処理するように構成されている、請求項1に記載の検査システム。
【請求項6】
前記検出器は、前記第1の面の領域を含む前記第1の面の視野(FOV)を規定するようにさらに構成され、前記信号ビームは、前記第1の面の領域と前記第2の面の領域から散乱される放射を含み、
当該検査システムは、前記第1の面の領域から受信されなかった画像データを破棄し、前記第1の面の領域全体からの画像データを含む合成画像を構築するように構成された処理回路をさらに備え、
前記第1の面の領域は、FOV内で前記第2の面の領域と重ならず、
前記処理回路はさらに、前記イメージングアパーチャストップを回転させ、前記画像データに基づいて前記合成画像を構築するように構成される、請求項5に記載の検査システム。
【請求項7】
前記投影システムはさらに、第2の放射ビームを生成して前記物体の第1の面を照射するように構成され、第2のビームはFOV内の前記第1の面の別の領域を規定し、
前記検出器はさらに、イメージングアパーチャストップを介して、前記第1の面の別の領域および第2の面の少なくとも1つの他の領域から散乱された放射線を受け取るように構成され、前記第1の面の別の領域および前記第2の面の少なくとも1つの他の領域はFOV内で重ならず、
処理回路はさらに、
第1面の別の領域から受信されなかった画像データを破棄し、
前記第1の面の領域全体および第1の面の別の領域全体からの画像データを含むように合成画像を構築するように構成される、
請求項4に記載の検査システム。
【請求項8】
前記処理回路は、前記合成画像から、粒子が前記FOV内に位置するかどうかを判定するようにさらに構成されており、
前記第1の面の領域の形状は、前記第1の面の別の領域の形状から独立している、
請求項7に記載の検査システム。
【請求項9】
第2の面は、第1の面の領域に対応する寸法を有する、前記第1の面の領域の下に位置する別の領域を含み、
前記第1の面の領域が照射されるとき、前記第2の面の別の領域は照射されず、
前記イメージングシステムは、FOV内の前記第1の面の領域の位置および座標を決定するようにさらに構成されている、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項10】
前記アパーチャストップは、前記アパーチャストップを通る前記照明ビームの透過を制御するように構成された電気光学アパーチャモジュールを備え、
前記電気光学アパーチャモジュールは、3自由度で前記照明ビームの透過を制御し、
前記3自由度は、半径方向の範囲、角度の範囲、および強度を含む、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項11】
前記アパーチャストップは、前記アパーチャストップを通る前記照明ビームの透過を制御するように構成されたオプトメカニカルアパーチャモジュールを備え、
前記オプトメカニカルアパーチャモジュールは、複数のアパーチャマスクを備える、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項12】
照明システムは、前記照明ビームを電子的に制御するように構成された電気光学照明モジュールを備え、
前記電気光学照明モジュールは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶変調器(LCM)、空間光変調器(SLM)、パターンを有するガラス板、および/または一連のパターンを生成するそれらの組み合わせを備え、
前記電気光学照明モジュールは、前記照明ビームの開口数を制御し、
回路は、前記信号ビームの画像取得のためのリアルタイムフィードバックを提供するように構成されている、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項13】
前記照明ビームは構造化光パターンを含み、
前記構造化光パターンは振幅変調(AM)を含み、
AMは、前記検出器の視野(FOV)内の関心の位置の画像特徴に基づいて、前記物体の粒子信号、粒子深さ、および/またはゴースト光寄与を識別するように構成された3つのパターンを含む、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項14】
前記構造化光パターンは周波数変調(FM)を含み、
前記照明ビームは、空間領域、スペクトル領域、または時間領域で符号化される、
前記照明ビームは、複数の狭スペクトル帯域を含む、
請求項13に記載の検査システム。
【請求項15】
照明光路に沿って照明ビームを送るように構成された放射源と、
前記照明ビームの一部を選択するように構成されたアパーチャストップと、
を備える投影システムと、
前記照明ビームの選択された部分を物体に向かって送り、前記物体から散乱された信号ビームを送るように構成された光学システムと、
前記信号ビームを検出するように構成された検出器を備えるイメージングシステムと、
を備える検査システムを備えるリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2021年6月9日に出願された米国仮特許出願第63/208,637号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、リソグラフィ装置およびリソグラフィシステムにおけるリソグラフィパターニングデバイス上の汚染の検出に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に、通常は基板のターゲット部分に転写する機械である。リソグラフィ装置は例えば集積回路(IC)または機能するように設計された他のデバイスの製造に用いられる。その場合、マスクまたはレチクルとも呼ばれるリソグラフィパターニングデバイスを使用して、機能するよう設計されたデバイスの個々のレイヤに形成されるべき回路パターンを作成することができる。リソグラフィパターニングデバイスおよびレチクルという用語は、以下では同じ意味で使用される可能性があることが理解されよう。このパターンは、基板(例えばシリコンウェハ)上のターゲット部分(例えば一つまたは複数のダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は、通常、基板上に設けられる放射感応性材料(レジスト)の層上に結像される。一般に、単一の基板は、連続してパターン形成される隣接するターゲット部分のネットワークを含む。公知のリソグラフィ装置にはいわゆるステッパとスキャナとがある。ステッパにおいては、目標部分にパターン全体を一度に露光することにより各目標部分は照射を受ける。スキャナにおいては、所与の方向(スキャン方向)に放射ビームによりパターンを走査するとともに基板をこの方向と平行または逆平行に走査するようにして各目標部分は照射を受ける。パターニングデバイスから基板へのパターン転写は、基板にパターンをインプリントすることによっても可能である。
【0004】
半導体デバイスなどのデバイスの製造は、通常、いくつかの製造プロセスを使用して基板(例えば、半導体ウェーハ)を処理して、デバイスの様々なフィーチャおよび多くの場合複数の層を形成することを含む。そのような層および/またはフィーチャは、典型的には、例えばデポジション、リソグラフィ、エッチング、化学機械研磨、およびイオン注入などを使用して製造および処理される。複数のデバイスは、基板上の複数のダイ上に製造され、その後、個々のデバイスに分離され得る。このデバイス製造プロセスは、パターニングプロセスと見なすことができる。パターニングプロセスは、リソグラフィ装置を使用する光学的および/またはナノインプリントリソグラフィなどの、基板上にパターンを提供するパターン転写ステップを含み、典型的には、任意選択であるが、現像装置によるレジスト現像、ベークツールを使用した基板のベーキング、エッチング装置によるパターンのエッチングなどの、1つまたは複数の関連するパターン処理ステップを含む。さらに、1つまたは複数の計測プロセスがパターニングプロセスに含まれる。
【0005】
計測プロセスは、プロセスを監視および/または制御するために、パターニングプロセス中の様々なステップで使用される。たとえば、計測プロセスは、たとえば、1つまたは複数の特性からパターニングプロセスのパフォーマンスを決定できるように、パターニングプロセス中に基板上に形成されたフィーチャの相対的な位置(例えばレジストレーション、オーバーレイ、アライメントなど)や寸法(例えば線幅、限界寸法(CD)、厚さなど)などの、基板の1つまたは複数の特性を測定するために使用される。1つまたは複数の特性が許容できない場合(例えば、特性の所定の範囲外)、例えば、1つまたは複数の特性の測定に基づいて、パターニングプロセスによって製造された基板が許容可能な特性を有するように、パターニングプロセスの1つまたは複数の変数を設計または変更することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リソグラフィおよび他のパターニングプロセス技術の進歩に伴い、デバイスあたりのトランジスタなどの機能素子の量が数十年にわたって着実に増加している一方で、機能素子の寸法は継続的に縮小されてきた。その間、オーバーレイ、限界寸法(CD)などに関して、精度の要件はますます厳しくなってきている。オーバーレイのエラー、CDのエラーなどのエラーは、パターニングプロセスで必然的に発生する。例えば、イメージングエラーは、光学収差、パターニングデバイスの加熱、パターニングデバイスのエラー、および/または基板の加熱から生成される可能性があり、例えばオーバーレイ、CDなどの観点から特徴付けることができる。追加的または代替的に、エラーは、エッチング、現像、ベークなどのようなパターニングプロセスの他の部分に導入される可能性があり、同様に、例えばオーバーレイ、CDなどに関して特徴付けることができる。エラーは、デバイスの機能不全、汚染、または機能しているデバイスの1つ以上の電気的問題など、デバイスの機能に関して問題を引き起こす可能性がある。そのため、これらのエラーは、非効率な処理、無駄、処理の遅延により追加コストの原因となる可能性もある。
【0007】
発生する可能性のあるそのようなエラーの1つは、リソグラフィパターニングデバイスの表面の汚染である。このような汚染には、パターン自体のエッチングおよび/またはその後のパターニングプロセスにおける不正確さに影響を与える可能性があり、回路の損傷および/または機能不全を引き起こす可能性がある、リソグラフィパターニングデバイスの表面上の粒子の存在が含まれ得る。
【0008】
別のエラーは、粒子の偽陽性検出に起因する可能性がある。検査作業中、検出器はパターンから反射された光を受け取り得る。この反射により、粒子が存在する可能性があることを検出器に示す偽陽性検出が生成される。さらに、そのような信号は、リソグラフィパターニングデバイスの裏側で粒子から受け取る他の光信号と干渉する(例えば、妨害する)可能性がある。したがって、このような干渉により、粒子が存在しない場所に粒子が存在するとシステムが判断する偽陽性検出が生じる可能性がある。
【0009】
したがって、1つまたは複数のこれらのエラーを特徴付け、これらのエラーの1つまたは複数を低減または最小化するためのパターン化プロセスを設計、修正、制御などするための措置を講じることが望ましい。そして、汚染物質のサイズおよび位置を含むパターニングデバイスの汚染レベルを決定し、所定の許容範囲内でデバイスを受け入れるか、または所定の許容範囲を超えて汚染されているとしてデバイスを拒否するかを決定する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
いくつかの実施形態では、リソグラフィ検査システムにおける偽陽性検出を最小限に抑える検査システムおよび方法が説明される。いくつかの実施形態によれば、放射ビームを生成する放射源を含む検査システムが開示される。いくつかの態様では、放射源は物体の第1の面を照射し、ビームの第1のパラメータは物体の第1の面の領域を規定する。さらに、放射源は物体の第2の面を照射し、第2のパラメータは、第2の面の領域を規定する。第2の面は、物体内で第1の面とは異なる深さレベルにある。検査システムはまた、第1の面の領域を含む第1の面の視野(FOV)を規定し、第1の面の領域および第2の面の領域から散乱した放射を受け取る検出器を含む。いくつかの態様によれば、検査システムは、第1の面の領域から受信されなかった画像データを破棄し、第1の面の領域全体からの画像データを含む合成画像を構築する処理回路を含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、システムは、照明システム、アパーチャストップ、光学システム、および検出器を含む。照明システムは、照明光路に沿って照明ビームを送るように構成されている。アパーチャストップは、照明ビームの一部を選択するように構成されている。光学システムは、照明ビームの選択された部分をレチクルに向けて送り、レチクルから散乱された信号ビームを送るように構成される。検出器は信号ビームを検出するように構成される。照明システムと観察/検出システムの両方が、同じ目標(光信号の特定の成分の遮断)を達成するためにアパーチャストップ内の光を操作できることが理解されよう。
【0012】
本開示のさらなる特徴および利点は、本開示の様々な実施の形態の構造および作用とともに、添付の図面を参照して以下で詳細に説明される。本開示は、本書で説明される特定の実施形態に限定されないことに注意する。このような実施形態は、例証目的で本書に提示されているに過ぎない。本書に含まれる教示に基づけば、さらなる実施形態は関連分野の当業者にとって明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本書に包含され明細書の一部をなす添付の図面は本開示を例証し、詳細な説明とともに本開示の原理を説明し、関連分野の当業者が本開示を実施し使用できるようにする役割を有する。
【0014】
図1A】例示的な実施形態に係る反射型リソグラフィ装置の概略図である。
【0015】
図1B】例示的な実施形態に係る透過型リソグラフィ装置の概略図である。
【0016】
図2】例示的な実施形態に係る反射型リソグラフィ装置の詳細な概略図である。
【0017】
図3】例示的な実施形態に係るリソグラフィセルの概略図である。
【0018】
図4】例示的な実施形態に係る計測システムの概略図である
【0019】
図5】例示的な実施形態に係る、粒子から反射された信号と回折パターンから反射された信号との間の検出器における信号干渉を示す図である。
【0020】
図6】例示的な実施形態に係る、一度に1つの関心領域が照射される照明方法を示す図である。
【0021】
図7】例示的な実施形態に係る、その後取得された関心領域画像から合成画像を再構成する動作の順序を示す図である。
【0022】
図8】例示的な実施形態に係る、データ取得前処理パイプラインの概略図である。
【0023】
図9A-9C】例示的な実施形態に係る、関心領域の断面図における照明および観察システムの概略図である。
【0024】
図10】例示的な実施形態に係る、ペリクルの非平坦な表面を照明するために使用される関心領域の形状例を示す図である。
【0025】
図11A-11F】例示的な実施形態に係る、複数の関心領域を使用してリソグラフィパターニングデバイス全体の高解像度イメージングを可能にするシステムのオプトメカニカル概略図である。
【0026】
図11G】例示的な実施形態に係る検査方法のフロー図である。
【0027】
図12】例示的な実施形態に係る粒子検出システムのオプトメカニカル概略図である。
【0028】
図13】例示的な実施形態に係る、リソグラフィパターニングデバイスの表面全体をカバーする長方形フィールドのグリッドを示す図である。
【0029】
図14】例示的な実施形態に係る、照射されるカメラ視野内の異なる領域の照射動作を示す図である。
【0030】
図15】例示的な実施形態に係る、測定システムのオプトメカニカルセットアップの概略図である。
【0031】
図16】例示的な実施形態に係る、観察照明システムの水平座標および垂直座標を校正するために投影されるグレーコードパターンのシーケンス例を示す図である。
【0032】
図17】例示的な実施形態に係る、ピクセルで取得された時間的強度プロファイルを示す図である。
【0033】
図18】例示的な実施形態に係る観察照明システムのシステム構成を示す図である。
【0034】
図19】例示的な実施形態に係る、図18の観察および照明システムのスペクトル帯域を示す図である。
【0035】
図20】例示的な実施形態に係る照明検出システムの構成を示す図である。
【0036】
図21】例示的な実施形態に係る照明検出システムの構成を示す図である。
【0037】
図22】例示的な実施形態に係る照明検出システムの構成を示す図である。
【0038】
図23】例示的な実施形態に係る、照明システムに組み込まれた光源の例示的な発光スペクトルを示す図である。
【0039】
図24】例示的な実施形態に係る、リソグラフィパターニングデバイスのパターン部分の回折特性を示す図であり、リソグラフィパターニングデバイスに衝突する電磁放射は検出システムに向けられ得る。
【0040】
図25】例示的な実施形態に係る、検出された偏光反射と非偏光反射との間の強度振幅データを示す図である。
【0041】
図26A】例示的な実施形態に係る検査システムの概略断面図である。
【0042】
図26B】例示的な実施形態に係る検査システムの概略断面図である。
【0043】
図26C】例示的な実施形態に係る、図26Aに示される検査システムの概略斜視図である。
【0044】
図27】例示的な実施形態に係る、図26Aに示す検査システムの概略斜視図である。
【0045】
図28】例示的な実施形態に係る、図27に示される検査システムの変調伝達関数(MTF)分布のプロットを示す図である。
【0046】
図29】例示的な実施形態に係る、図26Aに示す検査システムの概略斜視図である。
【0047】
図30】例示的な実施形態に係る、図29に示される検査システムのMTF分布のプロットを示す図である。
【0048】
図31】例示的な実施形態に係る、偏光光学システムを備えた代替の検査システムの概略断面図である。
【0049】
図32】例示的な実施形態に係る、関心領域(ROI)検査システムの概略断面図である。
【0050】
図33A-33C】例示的な実施形態に係る、図32に示されるROI検査システムの概略斜視図およびさまざまなROIの画像取得を示す図である。
【0051】
図34】例示的な実施形態に係るAM検査システムの概略断面図である。
【0052】
図35】例示的な実施形態に係るFM検査システムの概略断面図である。
【0053】
図36】例示的な実施形態に係る検査アレイシステムの概略断面図である。
【0054】
本開示の特徴および利点は、同様の参照符号が全文書を通して対応する要素を特定する図面とともに以下で述べられる詳細な説明からより明らかになるだろう。一般に、図面において同様の参照符号は、同一の、機能的に類似の、および/または構造が類似の要素を表している。さらに、一般に、参照符号の左端の桁は、参照符号が最初に現れる図面を特定する。他に特に規定がなければ、本開示を通じて提供される図面は、縮尺どおりの図と解釈するべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本明細書は本開示の特徴を組み入れた一つまたは複数の実施形態を開示する。開示された実施形態は本開示の例示に過ぎない。本開示の範囲は開示された実施形態には限定されない。本開示は添付の請求項により定義される。
【0056】
説明される実施形態、および「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」等への明細書内での言及は、説明する実施形態が特定の特徴、構造または特性を備えてもよいが、必ずしもあらゆる実施形態がその特定の特徴、構造または特性を備える必要はないことを示している。また、このような表現は同一の実施形態を必ずしも指し示すものではない。さらに、実施形態とともに特定の特徴、構造または特性が記載される場合、明示的に記載されているか否かに関わらず、そのような特徴、構造または特性を他の実施形態とともに実現することは当業者の知識内であると理解されたい。
【0057】
「真下に(beneath)」、「下方に(below)」、「下方の(lower)」、「上方に(above)」、「上に(on)」、「上方の(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、図に示されているある要素または機能の別の要素または機能との関係を説明するために本明細書で使用することができる。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中または動作中のデバイスのさまざまな方向を包含することを意図している。装置は、他の方法で方向付けられ(90度または他の方向に回転され)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0058】
「約(about)」という用語は、本明細書では、特定の技術に基づいて変化し得る所与の量の値を示すために使用することができる。特定の技術に基づいて、「約」という用語は、たとえば、値の10~30%(たとえば、値の±10%、±20%、または±30%)内で変化する所与の量の値を示すことができる。
【0059】
本開示の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装することができる。本開示の実施形態はまた、1つまたは複数のプロセッサによって読み取られ、実行され得る、機械可読媒体に格納された命令として実装され得る。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピューティングデバイス)によって可読可能な形式で情報を格納または送信するための任意のメカニズムを含み得る。たとえば、機械可読媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気的、光学的、音響的、または他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)、およびその他を含み得る。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、および/または命令は、特定のアクションを実行するものとして本明細書で説明することができる。しかしながら、そのような説明は単に便宜上のものであり、そのようなアクションは、実際には、コンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、非一時的なコンピュータ可読命令などを実行する他のデバイスから生じることを理解されたい。
【0060】
この種の実施形態をより詳細に説明する前に、本開示の実施形態を実装可能である例示的な環境を提示することが有益である。
【0061】
(例示的なリソグラフィシステム)
【0062】
図1Aおよび図1Bは、いくつかの実施形態に係るリソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’をそれぞれ模式的に示す図である。いくつかの実施形態では、リソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’はそれぞれ以下の、放射ビームB(例えば深紫外放射または極端紫外(EUV)放射)を調整する照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク、レチクル、または動的パターニングデバイス)MAを支持するよう構成されるとともに、パターニングデバイスを正確に位置決めするよう構成された第1ポジショナPMに接続されている支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストでコーティングされたウェーハ)Wを保持するよう構成されるとともに、基板を正確に位置決めするよう構成された第2ポジショナPWに接続されている基板テーブル(例えばウェハテーブル)WTと、を備える。本明細書でさらに説明するように、照明を改善し、設計をコンパクトにするために、イルミネータの他の構成を実装することもできる。
【0063】
リソグラフィ装置100およびリソグラフィ装置100’は、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば一つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するように構成された投影システムPSも備える。リソグラフィ装置100では、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSが反射型である。リソグラフィ装置100’では、パターニングデバイスMAおよび投影システムPSが透過型である。
【0064】
照明システムILは、放射ビームBの向きや形状を変え、または放射ビームBを統制するために、屈折光学素子、反射光学素子、反射屈折光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0065】
支持構造MTは、基準フレームに対するパターニングデバイスMAの姿勢、リソグラフィ装置100および100’の少なくとも1つの設計、およびパターニングデバイスMAが真空環境で保持されるか否か等のその他の条件に応じた方式でパターニングデバイスMAを保持する。支持構造MTは、機械的固定、真空固定、静電固定、またはパターニングデバイスMAを保持するその他の固定技術を用いてもよい。支持構造MTは、例えばフレームまたはテーブルであってもよく、これらは固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよい。センサを用いることにより、支持構造MTは、例えば投影システムPSに対して所望の位置にパターニングデバイスMAを位置決めすることを保証してもよい。
【0066】
「パターニングデバイス」MAなる用語は、基板Wのターゲット部分Cにパターンを生成するために放射ビームBの断面にパターンを与えるのに使用される何らかのデバイスを指すものと広義に解釈される。放射ビームBに付与されたパターンは、集積回路を形成するためにターゲット部分Cに生成されるデバイスにおける特定の機能層に対応する。
【0067】
パターニングデバイスMAは、(図1Bのリソグラフィ装置100’のような)透過型であってもよいし、(図1Aのリソグラフィ装置100のような)反射型であってもよい。パターニングデバイスMAには例えばマスク、プログラム可能ミラーアレイ、及びプログラム可能LCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィにおいて周知であり、バイナリマスク、レベンソン型位相シフトマスク、減衰型位相シフトマスク、さらには多様なハイブリッド型マスクなどのマスク種類が含まれる。プログラム可能ミラーアレイは例えば、微小ミラーのマトリックス配列で構成される。各微小ミラーは、入射する放射ビームを異なる複数の方向に反射するよう個別的に傾斜可能である。小ミラーのマトリックスにより反射された放射ビームには、傾斜されたミラーによってパターンが付与されている。
【0068】
「投影システム」なる用語は、使用されている露光放射に適切な、または基板W上の浸液の使用や真空の使用などのその他の因子に適切な、屈折光学素子、反射光学素子、反射屈折光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、またはこれらの組み合わせを含む何らかの投影システムを包含することができる。過剰な放射または電子を他の気体が吸収するので、EUVまたは電子ビーム放射のために真空環境を使用してもよい。したがって、真空壁および真空ポンプの助けを借りて、ビーム経路の全体に真空環境が与えられてもよい。
【0069】
リソグラフィ装置100および/またはリソグラフィ装置100’は2つ以上(2つの場合にはデュアルステージと呼ばれる)の基板テーブルWT(及び/または2つ以上のマスクテーブル)を備えてもよい。このような多重ステージ型の装置においては、追加の基板テーブルWTが並行して使用されるか、あるいは1以上のテーブルで露光が行われている間に1以上の他の基板テーブルWTで準備工程が実行されるようにしてもよい。ある状況では、追加のテーブルは基板テーブルWTでなくてもよい。
【0070】
図1Aおよび図1Bを参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば光源SOがエキシマレーザである場合には、光源SOとリソグラフィ装置100、100’とは別個の物理的実体であってもよい。この場合、光源SOはリソグラフィ装置100、100’の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームBは光源SOからビーム搬送システムBD(図1B)を介してイルミネータILへと到達する。ビーム搬送システムBDは例えば適当な方向変更用ミラー及び/またはビームエキスパンダを含む。あるいは例えば光源SOが水銀ランプである場合には、光源SOはリソグラフィ装置100、100’に一体に構成されていてもよい。光源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送システムBDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと総称されることがある。
【0071】
イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するアジャスタAD(図1B)を備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における照度分布の少なくとも外径及び/または内径の値(通常それぞれ「σouter」、「σinner」と呼ばれる)が調整される。加えてイルミネータILは、インテグレータIN及びコンデンサCOなどの他の要素(図1B)を備えてもよい。イルミネータILはビーム断面における所望の均一性及び照度分布を得るべく放射ビームBを調整するために用いられる。
【0072】
図1Aを参照すると、放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTに保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。リソグラフィ装置100では、放射ビームBはパターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後に、放射ビームBは投影システムPSを通過する。投影システムPSはビームBを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2ポジショナPWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)の助けにより、基板テーブルWTは、(例えば、放射ビームBの経路に異なる複数のターゲット部分Cをそれぞれ位置決めするように)正確に移動される。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサIF1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えばマスク)MAを正確に位置決めすることができる。マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して、パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wを位置合わせすることができる。
【0073】
図1Bを参照すると、支持構造(例えばマスクテーブルMT)に保持されるパターニングデバイス(例えばマスクMA)に放射ビームBが入射し、パターニングデバイスによってパターンが付与される。マスクMAの通過後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSが基板Wのターゲット部分Cにビームを合焦させる。投影システムは、照明システムの瞳IPUと共役の瞳PPUを有する。放射の一部は、照明システムの瞳IPUにおける強度分布から生じ、マスクパターンにおいて回折の影響を受けることなくマスクパターンを横切り、照明システムの瞳IPUにおいて強度分布の像を作り出す。
【0074】
第2ポジショナPWと位置センサIF(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)の助けにより、(例えば放射ビームBの経路に異なるターゲット部分Cを位置決めするように)基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、(例えばマスクライブラリからのマスク交換後または走査の間に)第1ポジショナPMと別の位置センサ(図1Bに図示せず)により、放射ビームBの経路に対してマスクMAを正確に位置決めすることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、マスクテーブルMTの移動は、ロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現される。これらモジュールは、第1ポジショナPMの一部を構成する。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2ポジショナPWの一部を構成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールにより実現される。ステッパの場合には(スキャナとは異なり)、マスクテーブルMTはショートストロークモジュールにのみ接続されていてもよいし、マスクテーブルMTは固定されていてもよい。マスクMAと基板Wとは、マスクアライメントマークM1、M2、及び基板アライメントマークP1、P2を使用して位置合わせされる。(図示されるように)基板アライメントマークは専用のターゲット部分を占有しているが、基板アライメントマークはターゲット部分間の領域に配置されていてもよい(スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、マスクMAに複数のダイがある場合には、マスクアライメントマークがダイ間に配置されてもよい。
【0076】
マスクテーブルMTおよびパターニングデバイスMAは、真空チャンバ内に位置することができる。真空内ロボットIVRを用いて、マスクなどのパターニングデバイスを真空チャンバ内および外に移動することができる。あるいは、マスクテーブルMTおよびパターニングデバイスMAは、真空チャンバの外側にあり、真空内ロボットIVRと似た様々な輸送作業のために真空外ロボットを用いることができる。真空中および真空外ロボットは、中継ステーションの固定されたキネマティックマウントへの任意のペイロード(例えばマスク)のスムーズな輸送ために較正される必要がある。
【0077】
リソグラフィ装置100'は、パターニングデバイス転写システムを含むことができる。例示的なパターニングデバイス転写システムは、例えば真空内ロボットIVR、マスクテーブルMT、第1ポジショナPM、およびパターニングデバイスを転写および位置決めするための他の同様の構成要素を含むパターニングデバイス交換装置(V)であり得る。パターニングデバイス交換装置Vは、パターニングデバイス搬送容器と処理ツール(例えば、リソグラフィ装置100’)との間でパターニングデバイスを移送するように構成され得る。
【0078】
リソグラフィ装置100、100’は以下のモードのうち少なくとも一つで使用することができる。
【0079】
1.ステップモードにおいては、放射ビームBに付与されたパターンの全体が1回の照射で一つのターゲット部分Cに投影される間、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なるターゲット部分Cが露光される。
【0080】
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、支持構造(例えばマスクテーブル)MT及び基板テーブルWTは同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められる。
【0081】
3.別のモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、支持構造(例えばマスクテーブル)MTはプログラム可能パターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とされ、基板テーブルWTは移動または走査される。パルス放射源SOが用いられ、プログラム可能パターニングデバイスは走査中に基板テーブルWTが移動するたびに、または連続するパルスとパルスの間に必要に応じて更新される。この動作モードは、プログラム可能ミラーアレイなどのプログラム可能パターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに適用可能である。
【0082】
上記のモードを組み合わせて動作させてもよいし、モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別のモードを用いてもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、リソグラフィ装置100は、極端紫外(EUV)放射源を含む。極端紫外放射源は、EUVリソグラフィのためにEUV放射ビームを発生させるよう構成される。一般に、EUV放射源は、放射システム内に構成され、対応する照明システムは、EUV放射源のEUV放射ビームを調整するよう構成される。
【0084】
図2は、リソグラフィ装置100をより詳細に示す。EUVリソグラフィ装置100は、放射コレクタ装置SO、照明システムIL、および投影システムPSを含む。放射コレクタ装置SOは、放射コレクタ装置SOの密閉構造220内で真空環境を維持できるように構成および配置される。EUV放射放出プラズマ210は、放電プラズマ源により形成される。EUV放射は、例えばXeガス、Li蒸気、またはSn蒸気等の気体または蒸気により生成される。この気体または蒸気中に高温プラズマ210が形成されて、EUV領域の電磁放射スペクトルの放射が発せられる。この高温プラズマ210は、例えば放電により少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを生成することにより形成される。効率的に放射を生成するためには、Xe、Li、Sn蒸気またはその他の適する気体または蒸気の例えば10Paの分圧が必要である。いくつかの実施形態では、励起されたスズ(Sn)のプラズマがEUV放射を生成するために提供される。
【0085】
高温プラズマ210により放出された放射は、ソースチャンバ211からオプションのガスバリアまたは汚染物質トラップ230(ある場合には、汚染物質バリアまたはフォイルトラップとも称される)を通じてコレクタチャンバ212へと向かう。ガスバリアまたは汚染物質トラップ230は、ソースチャンバ211の開口またはその後方に配置されている。汚染物質トラップ230は、チャネル構造を含んでもよい。汚染物質トラップ230は、ガスバリアまたはガスバリアとチャネル構造の組み合わせを含んでもよい。本明細書に示す汚染物質トラップまたは汚染物質バリア230は、少なくとも技術的に知られたチャネル構造を含む。
【0086】
コレクタチャンバ212は、放射コレクタCOを含む。放射コレクタCOは、いわゆる斜入射型コレクタであってよい。放射コレクタCOは、放射コレクタ上流側251および放射コレクタ下流側252を有する。放射コレクタCOを通過した放射は、格子スペクトルフィルタ240で反射され、コレクタチャンバ48の開口に位置する仮想点源IFに集束する。仮想点源IFは、一般的に中間焦点と称され、放射源コレクタ装置は、中間焦点IFが密閉構造220の開口219またはその近くに位置するように配置される。仮想点源IFは、放射放出プラズマ210の像である。格子スペクトルフィルタ240は、特に赤外線(IR)放射を抑制するために用いられる。
【0087】
その後、放射は照明システムILを横切る。照明システムILは、パターニングデバイスMAにおける所望の放射強度均一性とともに、パターニングデバイスMAにおける所望の放射ビーム221の角度分布を提供するよう配置されるファセットフィールドミラーデバイス222およびファセット瞳ミラーデバイス224を含む。支持構造MTにより保持されたパターニングデバイスMAにおける放射ビーム221の反射により、パターンが付与されたビーム226が形成され、パターンが付与されたビーム226は、投影システムPSによって、反射素子228,230を介してウェハステージまたは基板テーブルWTにより保持された基板W上に結像される。
【0088】
通常、図示されているよりも多くの素子が照明光学ユニットILおよび投影システムPSに存在してよい。格子スペクトルフィルタ240は、リソグラフィ装置の種類に応じてオプション的に存在してよい。さらに、図示されるよりも多くのミラーが存在してよい。例えば、図2に示すよりも多くの、1つ乃至6つの追加の反射素子が投影システムPSに存在してもよい。
【0089】
図2に示すように、コレクタ光学システムCOは、コレクタ(またはコレクタミラー)のほんの一例として、斜入射リフレクタ253,254および255を伴う入れ子状のコレクタとして図示されている。斜入射リフレクタ253,254および255は、光軸Oの周りに軸対称に配置されており、この種類のコレクタ光学システムCOは、DPP源と称される放電プラズマ源と組み合わせて好適に用いられる。
【0090】
(例示的なリソグラフィセル)
【0091】
図3に模式的に示すリソグラフィセル300は、たまにリソセルまたはクラスタとも称される。リソグラフィ装置100または100’は、リソグラフィセル300の一部を形成してよい。リソグラフィセル300は、基板上での露光前および露光後プロセスを実行するための装置も含んでよい。従来、これらは、レジスト層を堆積させるスピンコート装置SC、露光されたレジストを現像する現像装置DE、冷却プレートCH、およびベークプレートBKを含む。基板ハンドラまたはロボットROは、基板を入力/出力ポートI/O1,I/O2から取り出し、異なるプロセス装置間で基板を移動させ、リソグラフィ装置のローディングベイLBに基板を運ぶ。これらの装置(しばしば集合的にトラックと称される)は、トラック制御ユニットTCUの制御下にあり、TCU自体は監視制御システムSCSにより制御され、SCSはリソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する。したがって、異なる装置がスループットおよびプロセス効率を最大化させるように動作しうる。
【0092】
(例示的な計測システム)
【0093】
図4は、いくつかの実施形態に係る、リソグラフィ装置100または100’の一部として実装することができる計測システム400の概略図を示す。いくつかの実施形態では、計測システム400は、基板Wの表面上の高さおよび高さの変動を測定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、計測システム400は、基板上のアライメントマークの位置を検出し、アライメントマークの検出された位置を使用して、パターニングデバイスまたはリソグラフィ装置100または100’の他の構成要素に対して基板を位置合わせする。
【0094】
いくつかの実施形態では、計測システム400は、放射源402、投影格子404、検出格子412、および検出器414を含むことができる。放射源402は、1つまたは複数の通過帯域を有する電磁狭帯域放射ビームを提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の通過帯域は、約500nmから約900nmの間の波長のスペクトル内にあり得る。別の例では、1つまたは複数の通過帯域は、約500nmから約900nmの間の波長のスペクトル内の離散的な狭い通過帯域であり得る。別の例では、放射源402は、約225nmから400nmの間の波長の紫外線(UV)スペクトル内の光を生成する。放射源402は、長期間にわたって(例えば、放射源402の寿命にわたって)実質的に一定の中心波長(CWL)値を有する1つまたは複数の通過帯域を提供するようにさらに構成することができる。放射源402のそのような構成は、現在の計測システムにおいて、上述したように、実際のCWL値が所望のCWL値からシフトするのを防ぐのを助けることができる。そして、結果として、一定のCWL値の使用は、現在の計測システムと比較して、計測システム(例えば、計測システム400)の長期の安定性および精度を改善することができる。
【0095】
投影格子404は、放射源402から生成された放射線のビーム(または複数のビーム)を受け取り、基板408の表面に投影画像を提供するように構成することができる。イメージング光学系406は、投影格子404と基板408との間に含めることができ、1つまたは複数のレンズ、ミラー、格子などを含むことができる。いくつかの実施形態では、イメージング光学系406は、投影格子404からの投影画像を基板408の表面に集束するように構成される。この例では、投影格子404を使用して試験対象の表面上にパターンを生成することについて説明しているが、他の光学素子も使用できることが理解されよう。例えば、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)や液晶デバイス(LCD)などの電子的/機械的に制御される空間変調器を使用することができる。さらに別の例では、任意のパターンと干渉効果を備えたガラス板を使用することもできる。
【0096】
いくつかの実施形態では、投影格子404は、表面法線に対して角度θで基板408の表面上に結像される。画像は、基板表面によって反射され、検出格子412上で再結像される。検出格子412は、投影格子404と同一であり得る。イメージング光学系410は、基板408と基板検出格子412との間に含めることができ、1つまたは複数のレンズ、ミラー、格子などを含むことができる。いくつかの実施形態では、イメージング光学系410は、基板408の表面から反射された画像を検出格子412に集束するように構成される。斜め入射により、基板408の表面の高さ変化(Z)は、投影格子404によって投影された画像をシフトし、この画像は、次の式(1)によって与えられる距離(s)にわたって検出格子412によって受け取られる。
【数1】
【0097】
いくつかの実施形態では、投影格子404のシフトされた画像は検出格子412を部分的に透過し、透過強度は画像シフトの周期関数である。このシフトされた画像は、検出器414によって受信および測定される。検出器414は、フォトダイオードまたはフォトダイオードアレイを含むことができる。検出器414の他の例には、CCDアレイが含まれる。いくつかの実施形態では、検出器414は、受信した画像に基づいて、ウェハ高さの変動を1nmまで測定するように設計することができる。いくつかの態様では、システムは、検出格子412なしで動作することができる。他の態様では、検出格子412および投影格子404は、0から無限の範囲にわたる空間周波数を有することができる(0空間周波数=カバーガラス)。
【0098】
粒子検査システム-画像処理の例示的な実施形態
【0099】
図5は、 いくつかの実施形態に係る、粒子から反射された信号と回折パターンから反射された信号との間で検出器で取得された信号干渉を示す。リソグラフィ検査システムは、リソグラフィパターニングデバイス上にある粒子の位置を特定し、サイズを決定するために使用される。リソグラフィパターニングデバイス、ペリクル、リソグラフィパターニングデバイスパターンの光学特性と、品質、再現性、検出確率の要件を組み合わせることで、粒子検出システムは厳しく要求の多い技術要件を満たす必要がある。これらの要件のうち、粒子サイズ測定の正確さと精度、および低い偽陽性率の達成という2つのパラメータに対処する必要がある。粒子サイズ測定の精度と正確さを向上させるために、業界ではいくつかの解決策が検討されているが、そのような解決策(例えば、視差に基づく光学システムや強度に基づく画像分析システム)では、偽陽性率を十分に低減できない可能性がある。
【0100】
いくつかの態様では、照明光がリソグラフィパターニングデバイスおよびペリクルパターンキャビティをどのように透過するかを照明システムがどのように制御できるかについては、ほとんど制御できない可能性がある。例えば、図5に示されるように、リソグラフィパターニングデバイス502は、リソグラフィパターニングデバイスの表面上の粒子506の存在を検査するための検査目的でフラッド照明504を受ける。リソグラフィパターニングデバイス502に入射する光は、リソグラフィパターニングデバイス502の前面の回折パターン508にも到達し、イメージングシステム受光コーン510を通って反射されてイメージングシステム512に入射する。したがって、イメージングシステム512内の検出器514は、粒子506(汚染を示す)の画像および/または回折パターン508によって生成された画像516を受信することができる。一部のシステムでは、照明光軸と観察光軸との間の角度が大きいと、回折パターンを照射する照明ビームと、リソグラフィックの裏面からの反射後に回折パターンから回折した光が、最終的にイメージングシステム512に方向転換され、汚染物質の存在として検出される(偽陽性)可能性が非常に高くなり得る。検査システムの性質とスペースの制約を考慮すると、固定照明スキームを使用することができ、システムは、偽陽性のエラーの確率を最小限に抑えるために、粒子の存在を調査する表面が不透明であるか、回折パターン信号がバックグラウンドレベルまで減衰するほど透過率が低い波長範囲で動作し得る。したがって、一態様では、図5は、リソグラフィパターニングデバイス502のガラス側に位置し得る粒子506、およびリソグラフィパターニングデバイス502の前面側に位置し得る回折構造(パターン)508を示す。
【0101】
いくつかの実施形態では、データの収集および分析により、偽陽性検出の確率を低減することができる。したがって、本明細書でさらに説明するように、本開示の実施形態は、回折パターンの望ましくない照射とその後のイメージングシステムで受信されるそのパターンの反射から生じる干渉を除去することができる。
【0102】
本明細書で提供されるデータ収集および分析は、特にぼやけた画像データに関して、画像コントラストおよび検出を改善するために光学システム(すなわち、アパーチャストップ)内に配置されるさまざまなハードウェアコンポーネントについて説明する。さらに、いくつかの実施形態は、リソグラフィパターニングデバイス内の撮像デバイスの視野(FOV)内の異なる関心領域の照明および検出を可能にする異なる照明方法を含むこともできる。このような場合、照明/検出方法は、リソグラフィパターニングデバイスの片側のみのROI画像を処理するステップと、複数のROI画像を単一の合成画像につなぎ合わせるステップとを含むことができる。さらに、本明細書で説明するように、両方の方法論を組み合わせることによって偽陽性検出をさらに低減できる実施形態が本明細書で説明される。
【0103】
図6は、いくつかの実施形態に係る、一度に1つの関心領域が照射される照明方法を示す。この例では、照明システムが検出システムの視野(FOV)内の任意の領域(例えば、ROI)を選択的に照明できるように、フレキシブルな時空間照明システムが使用される。このような照明システムは、例えば中間像面を有する光学システムを使用して構築することができる。像面内の光の振幅を空間的に変えるために、光変調素子を中間像面に配置することができる。これを実現可能な光変調素子の例としては、液晶ディスプレイ(LCD)モジュール、デジタルマイクロミラーデバイスモジュール(DMD)、パターン化ガラス板、可動アパーチャ等が挙げられる。したがって、光変調素子は、外部から制御することもできるし、受動/能動構成要素の吸収特性および/または反射特性を利用する静的交換可能素子とすることもできる。
【0104】
図6において、例示的な照明方法が示されている。たとえば、ターゲットの照射領域を最小限に抑えるために、検出システムの視野(FOV)の一部が常に照射される。これにより、偽陽性検出の可能性を減らすことができる。一態様では、検出システムのFOV全体を画像化するために、関心領域(ROI)と呼ばれるFOVの小さなサブ領域をカバーする一連の画像が照明システムによって照射される。したがって、検査システム内のイメージングシステム(例えば、イメージングシステム512)は、部分的に照明されたFOVを有する複数の画像を取得し、後でそれらを電子的に画像に結合することができる。この結合はステッチ(stitching)とも呼ばれる。例えば、図6では、イメージングシステムは、FOV602と、その後に取得される4つの画像604、606、608、および610を有することができ、部分照明領域(ROI)(灰色でマークされる)が取得され、FOV612全体の1つの合成画像に結合される。いくつかの実施形態では、各画像のROI部分が抽出され、検出システムのFOV全体をカバーするステッチされた全フィールド画像612に結合され得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、DMDデバイスまたはLCDデバイスを使用することにより、ROIの位置およびサイズの制御を含むROIの電子制御が可能になる。さらに、ROIは任意の形状を有することができ、その位置は図6に示す左から右のパターンに従う必要はない。さらに、本明細書に示されるサイズおよび形状は、ROIの1つの例示的な実装の単なる例示にすぎない。ROIはさまざまなサイズや形状をとることができ、後続のROIもさまざまな形状になり得ることが理解できる。さらに、ROIは部分的に重なり、不規則な形状になる場合がある。さらに、合成画像612は検出システムのFOV全体をカバーするものとして説明されているが、FOVの一部もカバーすることができ、ステッチされた合成画像がFOVの一部をカバーすることもできることを理解されたい。
【0106】
図7は、いくつかの実施形態に係る、その後取得された関心領域画像から合成画像を再構成するための動作の順序を示す。 図7において、照明スポット702が照明され、関心領域として処理される。各照明画像FOV704は、1つの関心領域706と残りのFOVを含む。一態様では、ROIのみが必要であるため、FOV708の他の部分に関連する残りのデータは破棄することができる。したがって、各照明されたROI1~nの収集が可能となり、その後、合成画像710にステッチされる。いくつかの態様では、非ROI領域 (ピクセル) からデータを破棄すると、ROIピクセルに関連する情報のみを転送するためにデータバスを効率的に使用してデータ帯域幅を最大化するなど、追加の利点が得られる場合がある。
【0107】
ROIの位置は電子的に制御することができる。広い視野を持つカメラは、複数のROIがそのFOV内に位置するように配置される場合がある。一態様では、画像取得中に、異なる位置にROIを有する複数の全視野画像が取得される(例えば、702a、702b、702c)。後処理を実行して、ROIに関連するデータを抽出するか、残りのFOVに関連するデータをブロックすることができる。合成画像710が結合されると、粒子検出のために処理する準備が整う。
【0108】
いくつかの実施形態では、本方法は、複数の画像(合成画像を作成するために一緒につなぎ合わせられるn個の画像)の撮影を伴うことができるが、本明細書でさらに説明されるように、汚染物質の検出においてより高い精度を提供することができる。追加の画像の撮影による遅延処理を補うために、高速画像センサが利用され得る。さらに、処理には、処理中のROIに関係のないデータを締め出す「ゲートキーパー」として機能できるフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が利用され得る。したがって、FPGAは指定されたROI内のピクセルデータを保存し、他のすべてのデータは破棄される (またはメモリに書き込まれない)。さらに、そのような処理は、イメージセンサが画像データを読み出すことができるのと同じくらい速くリアルタイムで行うことができ、その後、コントローラ(例えば、本明細書でさらに説明するコントローラ806)は、完全な(ステッチされた)画像のみを処理することができる。
【0109】
図8は、いくつかの実施形態に係る、データ取得前処理パイプラインの概略図を示す。イメージング装置802は、イメージング装置(またはイメージングシステム内の検出器)のFOV全体に関する画像データを収集することができる。FPGA804は、関心領域に関するピクセルデータを処理または収集するように事前にプログラムすることができる。これは、特定の関心領域、またはFOVの一部またはすべてをカバーする一連のROIであり得る。前述したように、FPGA804は、処理するROIデータを選択するようにプログラムすることができ、あるいは、より効率的な処理のために、問題のROIに関係のないピクセルデータを拒否または廃棄するように単にプログラムすることもできる。所定の数のROIについて必要なピクセルデータを収集した後、FPGA804は、合成画像710を結合することができる。データ前処理パイプラインは、FPGA804に結合されたコントローラ806(または制御プロセッサ)も含むことができる。コントローラ806は、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、または処理を実行できる回路を含むデバイスであり得る。コントローラは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、およびコントローラ上または可読媒体上で実行されるコンピュータ可読コードの組み合わせを実装できる。コントローラおよび/またはコンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読コードが分散方式で格納および実行されるように、ネットワークに接続されたコンピュータシステム上に分散させることができる。さらに、ここでFPGA804およびコントローラ806によって実行される機能は、単一のデバイスまたは複数のデバイスによって実行できることが理解され得る。いくつかの実施形態によれば、コントローラ806は、本明細書でさらに説明されるように、粒子検出のために画像データを処理するように構成され得る。
【0110】
図9A~9Cは、いくつかの実施形態に係る、関心領域図(ROI)の断面における照明および観察システムの概略図を示す。図9Aは、照明および観察システムの簡略図を示す。図9Aにおいて、照明ビーム908は角度βでリソグラフィパターニングデバイス902(例えば、レチクル)に入射する。いくつかの実施形態によれば、照明ビーム908は照明システム内のアパーチャストップ(開口絞り)を通して投影され得る。カメラなどの検出器は、リソグラフィパターニングデバイス902の表面から反射された光を受け取る視野920を有し得る。一実施形態によれば、検出器は、イメージングシステムの一部として、検出器に入る前に(例えば、図26Aでさらに説明するように)アパーチャストップを通して処理される反射を受け取り得る。このような反射は、汚染物質/粒子が見つかる可能性がある第1の表面(例えば、ガラス表面または裏面910)からの反射922、および第2の表面930(リソグラフィパターン904が見られる前面)からの他の反射924を含み得る。その結果、検出器は、干渉迷光(例えば、反射924などの迷光)を含む複数の反射を受け取り得る。これにより、粒子が存在しないのに検出器が粒子が存在すると判断する偽陽性検出、または複数の粒子を誤検出するケースが発生する可能性がある。
【0111】
したがって、検出器の視野(FOV)を関心領域(ROI)926に分割し、照明ビーム908によって各ROIを別々に照明することが望ましい。FOVを異なるROIに分割し、それぞれのROIを個別に照明することによって、リソグラフィパターニングデバイスの他の表面(例えば、リソグラフィパターン904が存在する前面930)からの反射を回避することができる。例えば、この実装は、部分928の照明(通常、直接照明の下で照明される)を回避する。そうすることによって、検出器はROIの部分928からの迷光を受け取らないであろう。むしろ、潜在的な干渉反射は、ROI反射の外側のFOVの他の部分に向けられ得る。その結果、検出器は、本明細書でさらに説明するように、ROIにのみ対応する反射を処理するようにプログラムされ得る。
【0112】
本明細書に記載されているように、リソグラフィパターニングデバイスの前面のパターンから反射された光がイメージングシステム検出器によって観察され、偽陽性検出の原因となる可能性があるため、リソグラフィパターニングデバイス全体を照明することが問題となる可能性がある。迷光は、検出システムに入るすべての不要な光と考えることができる。リソグラフィーパターン(例えば、904)からの光は不要であるため、迷光として分類され得る。この迷光は、粒子/汚染物質がリソグラフィパターニングデバイスの表面に存在するという偽陽性の表示に変換される可能性がある。
【0113】
いくつかの態様では、粒子の位置およびサイズを決定する粒子検出ツールの進歩にもかかわらず、それらは偽陽性の低減において十分な進歩を提供していない可能性がある。迷光信号(例えば、リソグラフィパターニングデバイスの前面の回折パターンの反射信号)の影響を低減するために、異なる波長または信号振幅を使用することを含む、いくつかの改善策が取られる場合がある。いくつかの実施形態によれば、単一帯域照明システムの場合、カメラによって観察される、パターンによって反射された光の横方向の位置は、回折パターンの特性(例えば、回折次数射出角度)、波長、および衝突する放射の入射角によって制御され得る。回折効果は波長に敏感であるため、異なるスペクトル内容の照明を使用して取得した画像を分析することで、「迷光」と粒子によって散乱/回折した光を区別できる。異なるスペクトル帯域を使用して取得された画像では、粒子の位置は一定であり得、検出器の観点からは「迷光」の位置が波長依存性を示し得る。いくつかの実施形態によれば、光のスペクトル内容を分析するとき、検査システム(例えば、システム100)は、粒子信号と回折パターン信号とを区別することができる。例えば、検査システムは、広いスペクトル範囲の粒子散乱を使用することができ、回折パターンは、特定の波長範囲で光を回折的に方向転換することができる(粒子が無色であると仮定して)。いくつかの実施形態によれば、粒子は無色であると想定され得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、照明された回折格子によって生成される干渉信号を除去することが望ましい。これは、個別かつ連続的に照明される関心領域(ROI)を識別することによって行うことができる。次に、ROIの画像が処理され、結合されて、すべてのROIをまとめた合成画像が構築される。
【0115】
一態様では、ROI照明は、リソグラフィパターニングデバイスの第1の面(例えば、背面)の所望の領域を照明するために使用することができ、それと同時に、リソグラフィパターニングデバイスの反対側(例えば、前面)からの照明反射によって生成される干渉信号を除去する。これにより、イメージング装置は、前面からの反射光による干渉を受けることなく、ROI(照射された背面)からの反射光のみを処理できるようになる。
【0116】
いくつかの実施形態では、偽陽性検出の低減をもたらす照明概略図は、テレセントリックイメージングシステムと組み合わせたピクセル化画像検出器から構築されたイメージングシステム、またはDMDモジュールと結合された光エンジンと、それに続くテレセントリック投影システムで構成された照明システムで提供され得る。
【0117】
本明細書でさらに説明するように、スループットを高め、検査時間を短縮するために、両面検査を実施することもできる。したがって、実装940は、背面およびペリクル側(ペリクル表面)942を検査できるリソグラフィパターニングデバイスの第2の面を示す。背面910上の汚染の検出と同様に、ペリクル表面942の検出は、迷光が粒子944から反射され、リソグラフィパターン904からも反射される可能性がある同一のシナリオで迷光を生成する可能性がある。したがって、検出器FOV920および関心領域926の構成は、実装940にも同様に適用できる。
【0118】
図9Bは、いくつかの実施形態による、1つのROIだけが同時に照明され、イメージングシステムによって観察される場合の光線の伝播の一般的な概略図を示す。
【0119】
いくつかの実施形態では、平行照明ビームは角度βでレチクルの裏面に入射する。一実施形態では、リソグラフィパターニングデバイス902は、リソグラフィパターニングデバイス902の一方の側(例えば、前面)にリソグラフィパターン904を有し、リソグラフィパターニングデバイス902の反対側(例えば、背面)に1つまたは複数の粒子を有し得る。リソグラフィパターニングデバイス902は、角度βで照明ビーム908を受け取ることができる。イメージングシステム512などのイメージング光学系(図示せず)は、背面(例えば、表面910)に対して垂直に配置され得る。イメージングシステム512は、関心領域(ROI)が特定される領域914から光を収集することができる。これに関して、2つの別個の領域が、リソグラフィパターニングデバイスの2つの対向する側で照明される。例えば、ここでは、領域914はリソグラフィパターニングデバイス902の背面で照明され、領域916はリソグラフィパターニングデバイス902の前面で照明される。これにより、領域918が照明されないことが保証される。角度βで側方照明を使用すると、領域916の照明が可能になり、領域918の照明を避けることができ、したがって、領域918から散乱/反射された光の干渉が低減/排除される。言い換えれば、リソグラフィパターニングデバイス902の前面を照明しないことにより、関心領域918でレチクルの前面から反射される光が除去されるため、干渉が低減される。実質的に、カメラは、リソグラフィパターニングデバイス902の前面の領域916を照明しながら、918でマークされたレチクルの前面の領域(照明されていない)から光を収集する。いくつかの実施形態によれば、これにより、領域916のレチクルパターンによって回折された光が領域914内のイメージングシステムの受光コーンに入射しないため、領域914に位置する明るい粒子が領域916の暗いバックグラウンド上で観察されることが保証される。
【0120】
いくつかの実施形態では、偽陽性検出率を最小限に抑えるために、観察および照明システムの角度(β)および照明領域914の幅は、領域916および918が相互に排他的になるように設定され得る。一態様では、固定領域サイズwの場合、βの増加により領域916と918の間の分離が大きくなる。投影角βが小さい場合、領域918と916の間の分離を確実にするために観察領域wの幅を調整する必要がある。さらに、照明システムの開口数(NA)の減少は、領域918および916のサイズを縮小することができるが、イメージングシステムの解像度が低下するという代償を払うが、これはイメージングシステムのNAとは関係がない。さらに別の実施形態では、照明システムとイメージングシステムの両方のNAの操作が達成され得る。
【0121】
一態様では、FPGA804は、領域912からピクセルデータを破棄し、領域914でROI内に捕捉された画像のみからなる合成画像をつなぎ合わせることができる。一態様では、領域916の幅はレチクルの深さ(d)の増加に伴って非常にゆっくりと変化するため、レチクル深さ(d)は領域918の幅を間接的に制御することができる。したがって、一態様では、ROIの寸法を決定する際にレチクルの深さを考慮することができる。例えば、レチクルの厚さ(例えば、裏面検査または前面検査のためのペリクルからパターンまでの距離)は、ROIの幅(例えば、914)を規定することができる。いくつかの実施形態によれば、ROIの寸法を決定する際には、例えば照明角度や投影/観察システムの開口数などの他の側面も考慮に入れることができる。
【0122】
このシステムの図示は、例示的な一実施形態にすぎず、当業者であれば、他の修正/構成が可能であることを理解するであろう。
一例では、スペクトル高感度検出器と、分離されたスペクトルチャネルで任意に選択されたROIを同時に照明できる照明システムの使用を想定すると、イメージングシステム512は複数のROIデータを同時に取得できる。これは、遅延を発生させることなくシステムのスループットの向上に役立つ。
【0123】
さらに、図10でさらに説明するように、ROI1002の形状は、特定の所定の形状に従う必要はない。ROIの形状、位置、および重なりは、FOV1004間で変化する可能性があり、例えば対象物の形状に依存する可能性がある。たとえば、深紫外(DUV)ペリクルの場合、イメージングシステムの被写界深度(DOF)が限られていることと、イメージングシステムの観点から相互に排他的なペリクルとレチクル上の領域を照明および観察する必要があるために、膜形状の勾配が最も高い位置のROI形状が楕円の一部になる可能性があることが想定される。
【0124】
一実施形態では、ペリクルの形状勾配は、ペリクルの厚さ、質量、および張力によって制御され得る。製造中、ペリクルには予め張力がかけられ、メーカが指定する特定の値、たとえば0.5mmを超えない表面のたるみが生じる場合があるが、他の値も可能であり得る。粒子(例えば、粒子906)のサイズに関する情報を取得するために、イメージングシステムは、サイズ情報を検出するのに十分な解像度を有することが必要とされ得る。ただし、イメージングシステムの解像度が増加すると、システムのNA(開口数)が増加する可能性があり、これによりシステムの焦点深度(
【数2】
)が減少する可能性がある。したがって、1マイクロメートル程度の分解能を持つシステムのDOFは数マイクロメートル程度になる。ペリクルの形状が、イメージングシステムを介して検出器の他の平面と交差する三次元の複雑な曲線(例えば、1006)であり得ることを考慮すると、ペリクルの(DOF内で)鮮明に画像化された部分は、長方形以外の形状を形成する場合がある。そのような例の1つは、図10の1002に示すような湾曲形状であってもよい。
【0125】
図9Cは、いくつかの実施形態による、照明システム952および観察システム954の主光線(点線)および周辺光線(連続線)の投影を示す図9Bのボックス950の拡大図を示す。本明細書に記載されるように、本開示の目的は、リソグラフィパターニングデバイスの第2の面(例えば、前面)上の照射領域とは異なる、第1の面(例えば、背面)上の領域を照射することである。背面が照射されるのと同じ位置で前面を照射しないことにより、前面にあるパターンから反射する迷光を低減または除去することができる。一態様によれば、照明システムと観察システムとの間の重なりを回避するために、各システムの周辺光線がリソグラフィパターニングデバイス902の前面で交差する必要がなく、2つの相互に排他的な領域916および918をそれぞれ作成する。
【0126】
図11A~11Fは、いくつかの実施形態による、複数の関心領域を使用してリソグラフィパターニングデバイス全体の高解像度イメージングを可能にするシステムのオプトメカニカル概略図を示す。
【0127】
印刷されたフィーチャのサイズが継続的に縮小されているため、1マイクロメートル レベルのサイズの粒子を検出する必要がある。システムの散乱および反射特性とは無関係に粒子の適切なサイズを提供するために、次のイメージングアプローチを利用することができる。オブジェクト空間で必要な解像度を達成するには、十分なNAを備えたイメージングシステムを使用する必要がある。市販されているほとんどの検出器は、写真カメラの検出器標準に準拠したフォームファクタで提供される。一態様では、検出器は、小フォーマットのフィルムフレームを備えた24×36mmで、数十メガピクセルで測定される解像度と組み合わせると、個々の感光領域のサイズは 1.5~10μmになり得る。カメラのピクセルは通常、検出する必要がある最小粒子よりも大きいため、倍率が1倍を超えるシステムを使用できる。これは、検出器の典型的なサイズと組み合わせると、典型的なイメージングシステムのFOVがリソグラフィパターニングデバイスのサイズよりも数分の1小さいことを意味する。レチクル/ペリクル全体を画像化するには、スキャンまたはステッピングシステムを使用できる。したがって、次のイメージングシステム:サブ視野照明戦略(ROI+ステッチ)と偽陽性読み取り率を最小限に抑える照明戦略の組み合わせが提案される。
【0128】
レチクル/ペリクルと照明・観察システム間のXYZ相対走査と組み合わせることで、レチクル/ペリクルの全面検査が可能になる。このようなシステムの例示的な実施形態は、この提案されたイメージングシステムの動作を示す図11に概略的に示されている。
【0129】
一態様では、検査システム、照明システム、およびイメージングシステムの間の相対的なXYZ位置は、機械的アクチュエータによって制御される。例えば、検査システム1100は、レチクル1102、XYZステージスタック1104、照明システム1106、カメラ/検査システム1108、試験中のレチクルの一部1110、および照明された関心領域(ROI)1111を含むことができる。いくつかの実施形態では、図11A~11Cは、投影システム(例えば、照明システム1106)を使用することによって、隣接するROIが照明され得、カメラFOV全体(例えば、カメラ/検査システム1108のFOV)がカバー/処理/検査され得ることを示す。また、図11D~11Fは、XYZステージスタック1104を使用することにより、検査システム1100がカメラFOVをカバーする画像を取得できることを示している。重なり合うROIおよび重なり合わないROI、および重なり合うまたは重なり合わないFOVを生じ得るXYZステージスタック1104の動きなどの変動が存在し得ることを理解されたい。検査の際、前述の方法を使用して複数のROIを組み合わせて、FOVの合成画像またはステッチ画像を形成できる。一態様では、レチクル1102が作動され、画像取得プロセスが繰り返される。結合したFOVを使用して粒子を検出できる。
【0130】
いくつかの例では、リソグラフィパターニングデバイス(すなわち、レチクル)全体、またはリソグラフィパターニングデバイスの一部のみを走査することができる。さらに、特定のアプリケーションのニーズに応じて、ROIとFOVが重複したり、相互に排他的になったりすることがある。いくつかの態様では、相互排他的なROIとFOVは生産性の向上に貢献する(例えば、測定時間の短縮=スループットの向上)。さらに、2つのデータセットで観察された粒子を使用して、振動関連の画像シフトやステージ精度などのシステムの不完全性を補償することができるため、重複するROIとFOVを使用してステッチングを改善することができる。一態様では、組み合わされたROIはFOV全体をカバーする必要はない。検出器のサイズと光学系の倍率が与えられると、FOVのサイズを計算できる。たとえば、DXDYがそれぞれFOVの幅と高さである場合、レチクル幅wretileと高さhreticleが与えられると、次のようにx方向のFOVの数を計算できる。
【0131】
【数3】
【0132】
ここで、INTは正の無限大に向けた丸め演算であり、同様に、
【0133】
【数4】
【0134】
ここで、INTは、正の無限大に向けた丸め演算である。
【0135】
一態様では、システムは、ROI照明を使用して、リソグラフィパターニングデバイスの前面とリソグラフィパターニングデバイスの背面の異なる領域を照明し、これにより偽陽性検出率を低減することができる。これは、存在しない可能性のある汚染の検索、または汚染の場所の誤認によって引き起こされる検査プロセスの遅延を軽減するのに役立つ。一態様では、システムは、任意に選択された放射照度レベルで照明し、カメラおよび/またはプロジェクタを使用してハイダイナミックレンジ(HDR)データを取得することができる。一態様では、ROIは個別に制御可能な形状を有することができ、照明領域の位置を電子的に制御することによってROI重なり領域を制御することができる。ROIオーバーラップ領域の形状を選択する能力などのこれらの特徴により、スティッチングアルゴリズムの柔軟性が可能になる。
【0136】
図11Gは、いくつかの実施形態による検査方法1120を示す。方法1100に示される工程は網羅的なものではなく、図示された工程のいずれかの前、後、または間に他の工程も同様に実行できることを理解されたい。本開示の様々な実施形態では、方法1120の工程は、例示として説明したものとは異なる順序で、および/または変更して、あるいは異なるデバイスを用いて実行することができる。
【0137】
工程1122は、放射源(例えば、放射源802)を用いて、物体の第1の面を照射する放射線ビームを生成することを含み、ビームの第1のパラメータは、物体の第1の面の領域を規定する。これに関して、第1の面の領域は、リソグラフィパターニングデバイス902の裏面910に位置する領域914であってもよい。
【0138】
工程1124は、物体の第2の面を照射することを含み、ビームの第2のパラメータは、第2の面の領域を規定する。第2の面は、物体内の第1の面とは異なる深さレベルにある。これに関して、第2の面の領域は、リソグラフィパターニングデバイス902の前面930に位置する領域916であってもよい。一例では、システムは、レチクルの面上に位置する粒子を測定するために使用される1台のカメラと少なくとも1台の照明ユニットを含み得る。したがって、本明細書で説明するように、レチクルの異なる面上のパターンから反射された迷光が検出器によって取得される可能性があり、したがって偽陽性検出を引き起こす可能性がある。本開示の実施形態によれば、そのような迷光は、レチクルの面上に見られる粒子から反射された光と干渉しないような方法で処理される。
【0139】
工程1126は、検出器の視野(FOV)を規定することを含む。この視野は、リソグラフィパターニングデバイス(例えば物体)を画像化するときに検出器が任意の瞬間に捕捉できる視野602(図6)であり得る。さらに、検出器によって捕捉されたこのFOVは、物体の裏側のものであってもよく、例えば領域914を含んでもよい。
【0140】
工程1128は、検出器において、第1の面の領域および第2の面の領域からの放射を受け取ることを含む。これには、リソグラフィパターニングデバイス902の背面910上に見られる粒子または汚染物質によって散乱された散乱光を受け取ることが含まれ得る。
【0141】
工程1130は、処理回路(例えば、CPU806)を用いて、第1の面の領域から受信されなかった画像データを破棄することを含む。この点に関して、本明細書に記載されているように、リソグラフィパターニングデバイスの背面、具体的には照射されたROIにない物体の反射による偽陽性エラーまたは干渉を最小限に抑えるか排除するために、工程1130は、ROI画像データの一部として識別されない、受信された他のデータを破棄することを含んでもよい。例えば、図9Bでは、領域914および916は照射されるが、領域918は照射されない。したがって、検出器は、領域914および916から受け取った放射を検出することができる。しかしながら、この工程に基づいて、領域916から受け取った放射は遮断されることになる。例えば、FPGA804は、照射されているROIの座標データを受信することができ、それらの座標からのデータを処理するか、またはそれらの座標からではない他のデータをブロックすることによってゲートキーパーとして機能することができる。
【0142】
工程1132は、第1の面の領域全体からの画像データを含む合成画像を構築することを含む。これに関して、プロセッサ804は、処理された各ROIを用いて、それぞれのROIのすべての画像データをつなぎ合わせ、すべての処理されたROIデータを含む合成画像を作成することができる。本明細書で説明されるROIのこの照明技術は、リソグラフィパターニングデバイスの前面に配置されたパターンおよび他の物体からの干渉信号を除去しながら、リソグラフィパターニングデバイスの背面からデータを抽出することを可能にする。さらに、いくつかの態様によれば、全体としてのステッチ画像はそのような干渉を取り除き、リソグラフィパターニングデバイスの背面に見られる汚染物質/粒子のより厳密な表現を描くことができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、検査方法1120は、物体の第1の面上の第2の領域を放射源で照射することと、第1の面上の第2の領域で散乱された放射を検出器で受け取ることを含み得る。
【0144】
いくつかの実施形態では、検査方法1120は、処理回路を用いて、第1の面上の第2の領域から受信した画像データを処理することと、FOV内の他の領域から受信した画像データを破棄することを含み得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、検査方法1120は、処理回路を用いて、第1の面上の第1の領域からの画像データと、第1の面上の第2の領域からの画像データとを含む合成画像を構築することを含んでもよい。ROIは、連続的に照射されてもよい(すなわち、第1の面の2つ以上の領域を照射し、その2つ以上の領域はFOVを取り囲む)。
【0146】
いくつかの実施形態では、検査方法1120は、FOVに対応する合成画像操作を構築することを含んでもよい。
【0147】
いくつかの実施形態では、検査方法1120は、合成画像から、粒子が物体の第1の面のFOV内に位置するかどうかを判定することを含み得る。
【0148】
領域918は、検出器から見たときに第1の領域の位置に対応する位置を有するものとして規定される、第2の面の第3の領域として説明することができる。いくつかの実施形態では、第1の領域が照射されるとき、第3の領域は照射されない。ここで、第3の領域は第2の領域に隣接していてもよく、第3の領域と第2の領域とは重ならない。
【0149】
いくつかの実施形態では、ビームの幅は、2つの照射光円錐(領域918を取り囲む)によって規定され得、各円錐は2つの周辺光線と1つの主光線を含む。ROI914の幅は、2つの観察光円錐によって規定することができ、各円錐は2つの周辺光線と1つの主光線を含む。例えば、図9では、照射光円錐の主光線と観察光円錐の主光線は、物体の第1の面で交差することができる。照射光円錐の周辺光線と観察光円錐の周辺光線は、物体の第2面で交差しなくてもよい。
【0150】
図12は、いくつかの実施形態による粒子検出システム1200のオプトメカニカル概略図を示す。一態様では、これらのシステムは、リソグラフィパターニングデバイス/ペリクル表面に対して垂直に配置された高解像度イメージングシステムを利用する。高解像度イメージングシステムは、本明細書で説明するように、リソグラフィパターニングデバイス/ペリクル表面の汚染を検査するように構成されている。一態様では、画像検出器およびイメージング光学系の物理的限界により、レチクル/ペリクルを含むシステムの視野(FOV)が生じ得る。画像検出器およびイメージング光学系の物理的制限により、任意に選択された位置で画像の取得を可能にするために作動する観察照明システムも生じ得る。イメージングシステムによってカバーされるターゲット領域(レチクル/ペリクル)は、FOV(視野)と呼ばれることがあり、ターゲットオブジェクト全体に分布する一連のFOVは、連続画像であり得る。プロジェクタによって照明される領域は、カメラの視野(FOV) によって画像化される領域と同等であり得る。カメラのFOVまたはプロジェクタによって照射される領域の一方が他方よりも小さい場合、最小の領域がシステムFOVを規定し得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、システム1200は、画像検出器1204および結像レンズ1206を含むイメージングシステム1202を含む。イメージングシステム1202はまた、レチクル/ペリクル表面1210に垂直な光軸1208を含む。システム1200はまた、光エンジン1214および投影レンズ1216を含む照明システム1212を含むこともできる。図12は、異なるシステムによってカバーされる異なる領域とそれらの共通部分を示す。例えば、いくつかの態様では、システム1200は、照明システム1212によって照明される領域であるレチクル/ペリクル表面1210上の領域1218を規定する。いくつかの態様では、システム1200はまた、結像レンズ1206によってカバーされ、画像検出器1204の視野(FOV)である領域1222を含む領域1220を規定する。本開示の様々な実施形態から、FOVは調整可能であり、1つ以上の関心領域(ROI)を含み得ることが理解されよう。
【0152】
図13は、いくつかの実施形態による、リソグラフィパターニングデバイス1302の表面全体を覆う長方形の視野1300のグリッドを示す。一態様では、FOVおよび/またはFOV内のROIの形状は、さまざまな要因に依存する可能性があり、リソグラフィパターニングデバイス全体にわたって常に均一であるとは限らない。したがって、FOVの構成、形状、数、および範囲は、構成およびアプリケーションに依存し、レチクルとペリクルとの間で異なる場合がある。いくつかの態様では、グリッド1300は、M×NのFOV1304に分割することができる。各FOV1304は、別々に照明され得るいくつかのROIに分割することができる。ROIはまた、図14にさらに示されるように、連続的に照明されてもよい。
【0153】
図14は、いくつかの実施形態による、リソグラフィパターニングデバイス1402上に照射されるカメラの視野(FOV)内の異なる領域の照射動作1400を示す。いくつかの実施形態では、偽陽性検出率を最小限に抑える条件を提供するために、一連のN枚の画像が各FOV内に記録され得る。図14に提供される例では、時刻t0からt7で撮影された一連の8枚の画像が記録されている。ここでは、8つのサブアパーチャROI(ROI1~ROI8)がつなぎ合わされて、視野全体(FOV X、Y 1404)を表す合成画像を形成する。前述したように、ROIは長方形である必要はなく、またROIがFOV全体をカバーする必要もない。いくつかの実施形態によれば、放射動作1400は、初期時間t0でFOV1404内の第1のROI1406を照明することによって開始し、次に時間t1で第2のROI1408を照明し、次に時間t2で第3のROI1410を照明し、次に時間t3で第4のROI1412を照明し、次に時間t4で第5のROI1414を照明し、次に時間t5で第6のROI1416を照明し、次に時間t6で第7のROI1418を照明し、そして時間t7で最後のROI1420を照明する。
【0154】
いくつかの実施形態では、測定中に、イメージングシステムは、各FOVについてROI画像を繰り返し取得する。ROIとFOVの構成、サイズ、方向は設定可能で、レンズ視野範囲、検出器サイズ、倍率、照明と観察システムの間の角度、レチクル材質、照明波長などのオプトメカニカル構成パラメータに依存する。
【0155】
図15は、いくつかの実施形態による、測定システムのオプトメカニカルセットアップ1500の概略図を示す。図15に示すように、いくつかの実施形態によれば、システムパフォーマンスの観点から、偽陽性率の最小化が重要である。例えば、個々のROIの面積と方向を最適化するとともに、照明と観察システムの光軸の間の角度を調整しようとすることがある。いくつかの実施形態では、照明、レチクル、および観察モジュール間の幾何学的関係により、照明サブシステムと観察サブシステムとの間で共通の領域を画像化することができる。投影サブシステムによって照射される領域を最小限に抑えるために、照明システム1504のローカル座標と画像検出器1506のローカル座標との間の変換を決定して、照明システム1504によってリソグラフィパターニングデバイス1502上に照射される領域のサイズ、位置、および方向を正確に調整することができる。例えば、これは、照明システムのローカル座標(x’、y’、z’)を画像検出器のローカル座標(x、y、z)と関連付ける変換Tを見つけることによって行うことができる。
【0156】
変換Tのパラメータは、システムの構成要素の位置および方向に依存し得る。いくつかの実施形態では、照明システムによって照射される領域の手動調整を実行することができる。しかし、他の実施形態では、再現可能で客観的に測定可能な結果を提供するために、オペレータに依存しない方法が実行される。
【0157】
図16は、いくつかの実施形態による、投影されたグレイコードパターンのシーケンス(例えば、1602および1604)を使用して、観察照明システムの垂直座標および水平座標を校正するために提案される校正方法1600を示す。いくつかの実施形態では、自動校正手順を使用して、観察システムと照明システムのローカル座標の間の関係を特定する。いくつかの実施形態では、照明システムは、画像検出器の各受光素子(例えば、1606および1608)内に固有の時間的強度プロファイルを作成するように設計された一連のパターンで測定面を照射する。各ピクセルによって取得された強度プロファイルを分析することによって、照明モジュール内の対応する点を特定することができる。したがって、カメラの受光素子によって取得された強度を分析することによって、カメラのローカル座標系を照明モジュールのローカル座標系に結び付ける変換行列の計算が可能となり得る。
【0158】
図16に示す例では、多数のパターンを生成できるコンピュータ制御の照明システムを提供することができる。いくつかの態様では、照明システムは、制御可能な特殊光変調器(SLM)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)から、または基板上にパターンを直接堆積することによって構築され得る。考慮された実施形態のそれぞれにおいて、照明システムは、パターン1602および1604などの任意に選択されたパターンで表面を照射する。
【0159】
いくつかの実施形態によれば、図16に示される影付きのピクセルは、照明されていないピクセルを示し、陰影のないピクセルは照明されたピクセルを示す。ピクセル内の強度の時間分布を分析することにより、暗時(光オフ=0ビット)および光オン(1ビット)でエンコードされた多数のピクセルをデコードできる。いくつかの態様では、8ビットをエンコードするには、8つの画像を取得する必要がある。
【0160】
図17は、校正方法1600中に取得された時間強度プロファイルを示す。復号化シーケンスの例を図17に示す。1606(1*t0+0*t1+0*t2+0*t3+1*t4 = 1*1+0*2+0*4+0*8+1*16 = 17)および1608(1*t0+0*t1+0*t2+1*t3+0*t4 = 1*1+0*2+0*4+1*8+0*16 = 9)。これが機能するのは、投影システムの各ピクセルが独自の一意のコード番号を持っているため、コード番号を検出することで、カメラで取得した画像内のプロジェクタの座標xとyを計算できるためである。したがって、この方法では、n個の画像のセット内のx座標と、最初の画像に対して垂直なパターン (たとえば、水平および垂直方向) を持つ別のシーケンス内のy座標の識別が可能になる。
【0161】
一例では、投影パターンは、ピクセル1606および1608内に固有の時間的パターンを作成し、水平座標の一意の識別を可能にするような方法で構築され得る。垂直方向のキャリブレーションを実行するために、t0~t4で取得された一連の画像に一連のグレイコードが投影および記録される。いくつかの実施形態では、次のパターン:グレイコード、バイナリコード、走査「ピクセル」、走査線、規則的な一次元または二次元の周期的パターン、十分な長さのランダムパターン、一次元強度ランプなどの強度コード化パターン、周波数変調パターン、スペクトル変調パターン(スペクトル高感度プロジェクタの場合)などを投影することができる。空間的に符号化されたパターンは、画像(例えば、画像の数)によって変化する包絡線を有するパターンの投影を含み得ることが理解され得る。したがって、包絡線最大値の位置に基づいて検出を行うことができる。いくつかの実施形態によれば、そのような信号は、バイナリ信号、サイン/コサイン信号、および三角信号を含む波形信号によって変調することができる。いくつかの実施形態によれば、投影されたパターンはスペクトル的に符号化され得、信号の検出は、例えば色感応検出器を利用することによってスペクトル領域で行われ得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、上述の目標を達成するために1つのパターンが使用され得る。例えば、二次元の正弦波パターンを照明システムによって投影することができる。このようなパターンは、x方向とy方向に固有の位相プロファイルを持ち、カメラとプロジェクター間の変換Tのパラメータを明確に計算できる。このようなパターンの解析はフーリエ領域で実行でき、空間スペクトル演算を適用することで両方の正弦波分布の位相プロファイルが再構築され、カメラとプロジェクタのローカル座標系間の関係が可能になる。一実施形態では、データ分析および全体的な信頼性の観点から、複数画像による校正アプローチが好ましく、これについては以下でさらに説明する。
【0163】
イメージングシステムと投影システムとの間の校正を実行することができる。いくつかの実施形態では、校正により、照明の座標と観察サブシステムとの間の対応関係を識別するプロセスへの人的入力が排除され得る。これにより、システムが自立し、信頼性が向上し、より迅速な校正が可能になる。イメージング検出器の視野に一致する照明領域の客観的かつ定量的な校正を実現できる。さらに、照射領域を最小限に抑えることで、偽陽性検出率が減少する。提案された方法に基づく自動診断手順を開発して、システムの状態を遠隔から定期的にチェックできる。
【0164】
図18は、いくつかの実施形態による観察照明システム1800のシステム構成を示す。システム構成および関連する観察照明方法は、粒子識別の目的で画像を独立して並行して取得することに依存し得る。
【0165】
印刷パターンの寸法が減少すると、一般にリソグラフィ装置およびリソグラフィパターニングデバイスに厳しい清浄度要件が課される可能性がある。いくつかの実施形態では、光ベースの測定の非接触の性質により、汚染を識別する光学的方法が使用される。一態様では、光学システムの解像度は、アッベの式:d=λ/2NAによって波長および開口数で縛られる。ここで、dは解像度、λは波長、NAはシステムの開口数であり、NA=sinαである。
【0166】
いくつかの実施形態では、マイクロメートルサイズの粒子を検出できるシステムを構築するために、適切な開口数を備えた観察および照明システムが設計される。イメージングシステムの解像度を高めると、光検出器の物理的な制限やコスト関連の要因により、視野が狭くなる可能性がある(NAが大きく、FOVが大きいレンズは、粒子識別の目的には経済的ではない可能性がある)。スペクトル範囲、感度、および特定のシステム要件に応じて、単一の受光素子(スキャンシステム)、ピクセル化された電荷結合素子(CCD)、または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器を使用して粒子検出装置を構築できる(イメージングシステム)。
【0167】
いくつかの実施形態では、粒子の識別およびサイジング(sizing)の精度および再現性の観点から、大きなNAを有する観察システムを使用することができる。いくつかの実施形態では、スループット要件は、一般により広い視野範囲を提供し、したがって一般に測定時間が短い、より低いNAを有する光学システムを優先する。厳しいサイズ制約での検査時間の短縮という相反する要件を満たすには、照明検出システムを増設することが実行可能な選択肢となる可能性がある。測定時間と使用する照明観察システムの数の間には線形関係があるため、2つ以上のイメージングシステムを利用すると測定時間を2分の1に短縮できる。
【0168】
一実施形態では、不利な条件でリソグラフィパターニングデバイス上に印刷されたパターンは、実際の物体および光源の画像を生成する可能性があり、これらは一般に粒子と区別することが困難であり、偽陽性検出率の上昇に寄与する可能性がある。照明検出サブシステムの増加により、レチクル、レチクル基板、ペリクル、またはレチクルとペリクルの間のギャップ内を光が伝播するため、偽陽性検出の確率が増加する可能性がある。以下に、偽陽性検出のリスクを増大させることなく、リソグラフィパターニングデバイスの表面の同時イメージングを可能にする、1つの例示的な解決策を示す。
【0169】
図18は、 いくつかの実施形態による、照明と測定を同時に行う観察照明システムのシステム構成を示す。一態様では、スペクトル的に別個の観察システム1802および1804を光絶縁のために使用することができ、偽陽性に関連するエラー率を変えることなく、並行して動作する少なくとも2つのシステムによる実質的に同時の測定を可能にできる。
【0170】
いくつかの実施形態では、図18は、2つのイメージングシステムを使用して動作するイメージングシステム1800の概略図を示す。イメージングシステム1802およびイメージングシステム1804は、それぞれ2つの照明システム1806および1808に結合される。イメージングシステム1802および1804はそれぞれ、リソグラフィパターニングデバイス1810の表面に対して垂直に配置された光軸を有し、それぞれの検出器上にリソグラフィパターニングデバイス1810の部分を画像化することができる。照明システムをイメージングシステムと組み合わせると、リソグラフィパターニングデバイス1810の結像領域が照明され、粒子の識別に適した条件が提供される。システム1800は、両方のイメージングシステムの光学列に組み込まれ、照明ユニットの発光スペクトルと連携して作用する、相互に排他的な透過帯域を有するスペクトルフィルタ(図示せず)を利用することができる。
【0171】
観察システム1802および1804に組み込まれたフィルタの透過特性の例が、照明ユニットの対応する発光スペクトルとともに図19に提供される。図示されるように、各システムの発光帯域は異なる波長(λ)に位置する。一態様では、観察システム1802および1804の光学列に組み込まれたフィルタの透過スペクトルは、それぞれの発光波長のみをフィルタリングするように設定される。両方のシステムは異なるスペクトル範囲で動作できるため、電磁放射の検出の観点からの動作は独立している。いくつかの実施形態では、照明システム1806によって放射された光は観察システム1804によって検出することができず、またその逆であるため、偽陽性エラー率は、照明観察システムの個々のセットのオプトメカニカル構成および特定の特性に関連する。いくつかの態様では、このエラーをさらに最小限に抑えるために、ROI照明およびスティッチング方法論が、本明細書で説明されるように実装され得る。
【0172】
いくつかの態様によれば、照明システム1806の発光スペクトル1906を捕捉するために、透過フィルタ1902を観察システム1802に適用することができる。同様に、照明システム1808の発光スペクトル1908を捕捉するために、透過フィルタ1904を観察システム1804に適用することができる。
【0173】
いくつかの実施形態では、照明システムは、所望のスペクトル範囲の電磁放射で表面を照射するために、LEDダイオードやレーザなどの狭帯域光源を利用することができ、あるいは、狭帯域/バンドパスフィルタと組み合わせた広帯域光源を利用することもできる。照明システムは、狭帯域、ロング/ショートパスフィルタ、または検出器の量子効率のいずれかを利用して、並列動作するシステムのあらゆる組み合わせをスペクトル的に遮断できる。光源の発光特性に一致するFWHM(半値全幅)を備えたフィルタの利用は、信号対雑音比の処理に有利な場合がある。いくつかの態様では、ダイオードの発光と一致するスペクトル透過特性を有するフィルタが使用される場合(例えば、フィルタの透過がダイオードの発光よりも広い)、ダイオードによって放射された光は通過することができ、検出される信号およびS/N比は高くなる。あるいは、バンドパスフィルタの通過帯域がダイオードの発光帯域と部分的にのみ重なる場合があり、その結果、ダイオードから放射された光のごく一部のみが物体表面に到達する可能性がある。したがって、信号のS/N比プロファイルは低下する。
【0174】
いくつかの実施形態では、図18および19に示される実装により、複数の照明観察システムを使用してデータを独立して並行して取得できるようになる。いくつかの態様では、提案されたスペクトル的に分離された照明観察戦略を使用して、イメージングシステムを光学的に絶縁することができる。いくつかの実施形態では、そのような光絶縁は以下の利点を提供する。(1)並行して動作する複数のシステムを使用して、妨げられることなくデータを取得する。(2)照明観察システム間のクロストークの除去。(3)偽陽性エラー率がそれぞれのシステム内に限定されており、並列実行するシステムの数が増えても変化しない。(4)並行して動作する複数のシステムはFOVを共有し、異なる種類の情報を同時に取得することができる(たとえば、ビームスプリッタによって2つのチャネルに分離された観察システムを使用して、照明システムは、相互に分離されたスペクトルチャネルを用いて2つの方向から物体を照射することができる)。これにより、散乱のアクロマート特性と回折現象の波長および方向依存性により、画像と粒子の間の境界を明確にするのに役立つデータの取得が可能になる。これは、図20および21にさらに示されている。
【0175】
図20は、ダイクロイックビームスプリッタ2006によって分離された一対のパンクロマティック感受性イメージング検出器2002および2004を含むシステム2000の一例を示す。ダイクロイックビームスプリッタ2006は、イメージングレンズ2008を通して放射を受け取る。システム2000は、さらに、領域2012を第1の波長λ1で照射する照明源2010と、領域2016を第2の波長λ2で照射する照明源2014を含むことができる。いくつかの態様によれば、結像レンズ2008は、画像領域2018に対応する画像を読み取る。前述したように、照明および検出は、リソグラフィパターニングデバイス2020に関して実行され得る。システム2000のセットアップにより、使用する機器と検出センサが占有するスペースを削減できる。
【0176】
図21において、システム2100は、図20のシステム2000と同じ照明セットアップを構成する。しかしながら、システム2100は、スペクトル感応性(色)検出器2102を含むことができる。いくつかの態様によれば、検出器2102は、色スペクトル内の色の範囲を検出するように構成することができ、照明源2010と照明源2014からの照明を区別するように構成されてもよい。
【0177】
図22は、 いくつかの実施形態による、照明検出システムの構成を示す。検査システム2200の概略図は、リソグラフィパターニングデバイスの両側で同時測定を実行するように構成することができる。いくつかの実施形態によれば、テストオブジェクトの各側で並行して動作する2つのシステム(例えば、一方の側のシステム2202および2204、並びに他方の側のシステム2206および2208)が示されているが、システムの数は変化し得る。したがって、リソグラフィパターニングデバイスのいずれかの側で測定を実行するように任意の数の測定システムを構成できることが理解されよう。
【0178】
図23は、いくつかの実施形態による照明システムに組み込まれた光源2202、2204、2206、および2208(図22)の発光スペクトル例2302、2304、2306、および2308を示す。図19と同様に、図23の発光スペクトル2302、2304、2306、および2308は、図22の光源2202、2204、2206、および2206の光源発光と、それらにそれぞれ対応する観察フィルタ2310、2312、2314、および2316を示し得る。前述したように、光源の発光スペクトルを照明システムに組み込むことができる。
【0179】
本明細書では独立した照明検出システムについて説明するが、これは、結果として生じる偽陽性検出のインシデントを増加させることなく、検査処理のスループットの増加に対処するための可能な実装の一例にすぎない。スペクトル分離を使用して、異なるオプトメカニカル構成から得られる画像データを同時に取得するシステムを構築することが可能であり得る。例えば、粒子検出システムは、2つの検出器による視野の同時観察を可能にするように構成されたダイクロイックビームスプリッタと、測定サンプルを2方向から照明するように構成された2つのスペクトル的に分離された照明ユニットとを含み得る。粒子による光の散乱はアクロマティックであり照明方向に依存しないものとして扱うことができ、リソグラフィパターニングデバイスに埋め込まれた回折パターンによって作成される画像の外観は角度依存性とスペクトル依存性が強いため、異なる照明方向を使用して相互に分離されたスペクトル帯域で2つの画像を取得すると、偽陽性検出率が大幅に減少し、システムのパフォーマンスの向上に貢献します。
【0180】
さらに別の実施形態では、回折パターンの可視性を低下させるために偏光技術を利用することができる。偏光子を使用すると、粒子の可視性が低下し、異なる割合で回折パターンの可視性が低下する可能性がある。これにより、検出器で検出された粒子画像とパターン画像の間の境界がさらに明確になり、偽陽性検出の処理を強化できる。換言すれば、偽陽性画像をすべて一緒に除去するわけではないが、本明細書で説明するそのような偏光技術は、反射粒子画像よりも反射パターン画像に大きな影響を与えることができ、検出器において粒子画像をより目立たせることができる。この効果により、検出器が2つの信号を区別できるようになり、処理が強化され得る。
【0181】
図24は、リソグラフィパターニングデバイスのパターン部分2402の回折特性を示しており、いくつかの実施形態によれば、リソグラフィパターニングデバイスに衝突する電磁放射2404が検出システムに向けられ得る。2つの境界線のケースが考えられる。すなわち、入射光の0%が、レチクルパターンによって検出システムに向け直される(例えば、図9に示すように)ケース、あるいは、レチクルパターンを照明する光2406の100%が検出システムに向け直されるケースである。第2のケースでは、検出器が粒子2408(汚染物質)からの受光とパターン2402からの受光とを区別するのを助けることが有益である。
【0182】
いくつかの実施形態によれば、レチクルパターンの偏光依存回折効率を使用して、粒子から反射された光とレチクルパターンによって反射された光とを区別することができる。回折効率(回折構造によって任意の選択された方向にリダイレクトされる光の量)は、入射角、波長(λ)、入射放射の偏光、および回折構造の表面プロファイルに依存し得る。いくつかの実施形態では、イメージングシステムの受光円錐の方向における回折格子のこの効率を利用することが活用される。検出システムは回折構造を偏光感度を有するリフレクタとして近似することができ、その反射は衝突する放射線の偏光に依存する。例えば、図25に示されるように、光が偏光すると、粒子反射画像の強度が減少する可能性がある(粒子強度2506については2502対2504)。例えば、直線偏光子を設置すると2分の1倍の縮小を実現できる。他の態様では、パターン2508の場合、直線偏光子の設置後、偏光強度は最大15分の1倍に減少する可能性がある(例えば、2510対2512)。
【0183】
いくつかの実施形態では、直線偏光子の設置により、レチクルに当たる光の量が2分の1に減少する。粒子による光の散乱は、一次近似では偏光に依存しないと考えられるため、直線偏光子の設置により粒子の可視性は2分の1に減少する。いくつかの態様では、回折構造の効率は偏光に依存するため、直線偏光子の設置によりレチクルパターンの可視性が少なくとも2分の1に減少する可能性がある(実験的に測定された最大15分の1倍の減少)。いくつかの態様では、減少はさらに、照明システムの所与の幾何学的形状に対するフレネル方程式から導出される強度透過係数の少なくとも二乗に比例する変化量であり得る。いくつかの実施形態では、利用可能な簡略化されたスカラーモデルがないため、任意の回折構造の性能は、マクスウェル方程式を直接解くことによってのみ分析的に予測することができる。
【0184】
いくつかの実施形態では、一般に、粒子による光散乱は偏光に依存しないと考えることができるが、粒子は偏光に依存して光を散乱することになる。さらに、入射光の偏光状態に依存しない回折効率を持つ回折パターンを設計することも可能である(λ、入射角などを最適化)。したがって、これは、偽陽性検出率を減らすために光の特性を制御するための追加の設計上の考慮事項の 1 つであり得る。
【0185】
アパーチャストップを備えた例示的な検査システム
【0186】
図26~31は、例示的な実施形態による検査システム2600(図26A)および2600'(図31)を示す。検査システム2600はさらに、構造化光パターンで粒子を照射および検出し、明視野モードまたは暗視野モードで動作するように構成することができる。検査システム2600が図26Aにスタンドアローンの装置および/またはシステムとして示されているが、本開示の実施形態は、粒子検出システムなど(ただしこれに限定されない)他の光学システムとともに使用することができる。検査システム2600は、単一ユニットで調整可能なヨー(軸外)照明角度でレチクルおよび/またはペリクル上の粒子を照明および検出するように構成された同軸検査システムであってもよい。
【0187】
本明細書でさらに説明するように、アパーチャストップ、特に中心オブスキュレーションを有するアポダイズアパーチャストップの使用は、焦点の合っていないフィーチャのコントラストにさらに影響を与える可能性がある。 したがって、このアプローチにより、焦点が合っていない要素が潜在的な偽陽性として誤って評価される可能性を最小限に抑えることができる。上述のアパーチャストップの使用は、本明細書で上述した画像処理技術とは独立して実施できることが理解されよう。換言すれば、例示的な検査システムは、本開示の画像処理技術、本開示のアパーチャストップ、および/または本開示の画像処理技術とアパーチャストップとの組み合わせを使用できることが理解されよう。さらに、両方の解決策を組み合わせると、(a)処理された画像内で偽陽性が検出される可能性を低減すること、および(b)信号ビームのコントラストを改善し、それにより焦点の合っていないフィーチャのより良好な検出を提供することにより、偽陽性検出の可能性をさらに最小限に抑えることができることが理解されよう。いくつかの実施形態によれば、照明システムは、放射源と、物体空間内に空間強度分布を生成する手段(例えば、DMD、LCD、マスク、透明シートなど)を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、照明システムNAおよび投影された空間強度分布周波数は、投影された構造の変調(またはコントラスト)が物体面(例えば、物体に最も近い面)で最大化され、伝播ビーム(または照明ビーム)が遭遇する可能性のある他のすべての面ではさらに最小化される(たとえば、無視できる値になる)ように、調整され得る。さらに、空間パターンは測定フェーズ中に変化する可能性があり、粒子が(変調により)点滅する物体として検出され得る。したがって、スプリアス反射は変調されていない光として検出される可能性があり、それによってスプリアス信号と粒子との間にさらなる区別が生じる。
【0188】
いくつかの実施形態では、検査システム2600は偏光光学システムを含むことができる。例えば、図31に示すように、検査システム2600、2600'は、偏光ビームスプリッタ2630、直線偏光子2632、および/または1/4波長板2634を含むことができる。いくつかの実施形態では、検査システム2600は、1つまたは複数の振幅変調(AM)および/または周波数変調(FM)構造光パターン2615を利用することができる。例えば、図34に示すように、検査システム2600は、第1、第2、および第3のAM構造光パターン2615a、2615b、2615cを利用することができる。
【0189】
図26Aに示すように、検査システム2600は、照明システム2610、光軸2612、アパーチャストップ2620、ビームスプリッタ2630、集束レンズ2640、集光レンズ2650、検出器2660、および/またはコントローラ2670を含むことができる。検査システム2600は、レチクル2602および/またはペリクル2607を照明ビーム2614で照明し、レチクル2602および/またはペリクル2607から(例えば粒子から)散乱された信号ビーム2616を検出するように構成することができる。いくつかの実施形態によれば、図26Aは、目的がレチクル2602(およびレチクルパターン2606)を検査することであるシステムの構成を表すことができる。目的がペリクル2607を検査することである別のシナリオ(図26B)では、ペリクル2607がハウジング2608とレチクル2602の間に配置されるように検査システム2600を再構成することができる。このシナリオでは、パターン2606が上向きであることが理解されよう。いくつかの実施形態では、照明システム2610、アパーチャストップ2620、ビームスプリッタ2630、集束レンズ2640、集光レンズ2650、および検出器2660は、光学的に同軸であり、光軸2612に沿って位置合わせされ得る。
【0190】
レチクル2602は、レチクル裏面2604(例えば、パターンなし)およびレチクル表面2606(例えば、パターンあり)を含む。いくつかの実施形態では、レチクル2602は、検査システム2600に対して調整可能な並進を提供するように構成されたレチクルアクチュエータ2603(例えば、XYZ並進ステージ)を含むことができる。いくつかの実施形態では、検査システム2600の上述のすべての構成要素は、単一のハウジング2608内に配置され得る。例えば、ハウジングアクチュエータ2609は、照明ビーム2614をレチクル2602及び/又はペリクル2607上でフォーカスおよびデフォーカスさせるために、レチクル2602及び/又はペリクル2607に対して光軸2612に沿って調整可能な平行移動を提供するように構成されている。
【0191】
照明システム2610は、光軸2612に沿って照明ビーム2614を送信するように構成することができる。照明システム2610は、照明ビーム2614を電子的に制御するように構成された電気光学照明モジュール2611を含むことができる。照明ビーム2614の開口数(NA)を調整する(例えば、NA=n・sin(θ)、ここで、θは最大開口半角であり、sin(θ)≒D/2f、ここで、Dは入射瞳直径であり、f は焦点距離である)。いくつかの実施形態では、電気光学照明モジュール2611は、構造化光パターン2615を生成することができる。例えば、電気光学照明モジュール2611は、照明ビーム2614に1つ以上の構造化光パターンを埋め込むために、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶変調器(LCM)、空間光変調器(SLM)、および/またはそれらの何らかの組み合わせを含むことができる。
【0192】
いくつかの実施形態では、照明ビーム2614は、1つまたは複数の構造化光パターン2615を含むことができる。例えば、図34および35に示されるように、照明ビーム2614は、1つまたは複数のAMおよび/またはFM構造化光パターン2615a、2615b、2615cを含むことができる。いくつかの実施形態では、構造化光パターン2615は、空間周波数を有するAMおよび/またはFMを含むことができる。一例では、空間周波数は照明レンズと観察レンズのNAに依存し得る。例えば、図28および30に示すように、AMおよび/またはFMは、アポダイズされていない変調伝達関数(MTF)分布に近似するために、20サイクル/mm未満の空間周波数を有することができる(例えば、クォーターディスクアパーチャ2622の偏差が6%未満、 三日月形アパーチャ2626では偏差が2%未満など)。いくつかの実施形態では、照明ビーム2614は、複数の狭スペクトル帯域を含むことができる。例えば、照明ビーム2614は、青色可視(VIS)スペクトル帯域(例えば、約400nm~420nm)、緑色VISスペクトル帯域(例えば、約520nm~540nm)、および/または赤色VISスペクトル帯域(例えば、約620nm~640nm)を含むことができる。さらに別の例では、空間周波数は50サイクル/mm未満であってもよい。
【0193】
アパーチャストップ2620は、照明ビーム2614の一部を選択するように構成され得る。アパーチャストップ2620は、アポダイズされたアパーチャ(例えば、放射状段階的および/またはテーパ状減光フィルタ)を含み得る。いくつかの実施形態では、アパーチャストップ2620は、複数のアポダイズされたアパーチャを含むことができる。いくつかの実施形態では、アパーチャストップ2620は、透過型のモディファイア(modifier)(例えば、光が通過する)または反射型のモディファイア(例えば、DMD)を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、アパーチャストップモディファイアの種類によって、適切な測定に適応する光学システムの異なるレイアウトが得られる場合がある。例えば、図27および29に示すように、アパーチャストップ2620は、アポダイズされたクォーターディスクアパーチャ2622および/またはアポダイズされた三日月状アパーチャ2626を含むことができる。いくつかの実施形態では、アパーチャストップ2602は、2685で示されるように、他の光部分を遮断しながら特定の光部分の透過を可能にする中心オブスキュレーション2680(図26C)を含むことができる。例えば、中心オブスキュレーション2680は、照明ビーム2614の中心部分をブロックすることができる。この構成は、低NA光のブロックを可能にし、その結果、ぼやけ効果を低減し、検出された照明ビーム(例えば、検出器2660で検出される)のコントラストを高めるのに役立つ。低NA光の遮断は、照明システムまたは観察システム、あるいはその両方で行うことができることが理解されよう。換言すれば、照明システムのアパーチャから出る光と観察システムのアパーチャに入る光の両方からの低NA光を遮断することが好まれる。粒子と迷光(粒子の偽陽性表現として機能する)とを区別するために、振幅変調(AM)と周波数変調(FM)という2つの変調技術を実装できることが理解される。いくつかの例によれば、検出器側でビームの低NA部分を遮断することは、迷光を減衰させるのに役立つ可能性がある。たとえば、粒子と迷光の区別を改善するには、可能な限り低い信号変調の深さが測定される。これにより、焦点が合っているように見えるものはすべて変調されているとみなされ、焦点が合っていないすべてのオブジェクトは変調されていないとみなされるという決定が可能になる。したがって、低NAビームは焦点深度が深く、高NAビームは焦点深度が浅いので、知覚される焦点深度は、システムアパーチャ(例えば、アパーチャストップ)を操作することによって操作され得る。さらに、回折格子を使用して、低NAビームを検出器の方向にリダイレクトすることもできる。
【0194】
粒子検出にどの方法を使用するか、または方法のどの組み合わせを使用するかを決定する際に、システムの複雑さおよびコストを考慮することができることが理解されよう。例えば、オペレータは、画像処理技術および/またはアパーチャストップ構成、またはその両方に関連するコストを考慮することができる。いくつかの実施形態によれば、特定のコストまたは検査速度を考慮して、一方の方法または別の方法、あるいはその両方がより優先されるシステムが開示される。
【0195】
いくつかの実施形態によれば、一方または両方の方法に依存する検査システムを以下のように説明することができる。いくつかの実施形態によれば、検査システム2600は、照明光路に沿って照明ビームを送信するように構成された放射源を含む投影システム(例えば、照明システム2610)を含むと説明することができる。検査システム2600は、照明ビームの一部を選択するアパーチャストップ(例えば、アパーチャストップ2620)を含むこともできる。検査システム2600は、照明ビームの選択された部分を物体(例えば2602)に向けて送り、物体から散乱された信号ビームを送る光学システム(ハウジング2608内)を含むこともできる。検査システム2600は、信号ビームを検出するイメージングシステム(例えば、検出器2660)を含むこともできる。
【0196】
アパーチャストップ2620がアポダイズされたアパーチャを含むことができることが理解されよう。アパーチャストップ2620はまた、照明ビームの中央部分を遮断することによって照明ビームの低NA部分を制限する中心オブスキュレーションを含んでもよい。これにより、信号内のコントラストが増加し、投影されたパターンの視認性が向上する。したがって、これにより、投影されたパターンや汚染粒子の視認性が向上する。本明細書で説明される例は、投影システムにアパーチャストップを含むことができるが、イメージングシステムにアパーチャストップがあれば、低NAをさらに低減できることが理解されよう。
【0197】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、迷光と粒子によって散乱される光との間のデリニエーション(delineation)に対する解決策を提示する。たとえば、空間周波数の変調をデフォーカスの関数として考えると、周波数が高くなると変調の低下が速くなり、空間周波数が低くなると低下が遅くなることがわかる。したがって、信号を検査面(例えば2064)の周囲の小さな体積に閉じ込めたい場合、有利な解決策は、低空間周波数信号を遮断し、高周波数信号を通過させるシステムを構築することであり得る。換言すれば、回折パターンにより迷光が発生する可能性がある。最も可能性が高いのは、狭円錐(低NA、低空間周波数)内の検出器に光をリダイレクトするこの回折パターンである。これらの空間周波数がブロックされると、検出された変調信号内の迷光の寄与を低減できる可能性がある。迷光と粒子信号を区別する現在のソリューションは変調に依存しているため、不要な信号(迷光)が減衰すると、それに応じて偽陽性検出率が向上(低下)する。
【0198】
いくつかの実施形態によれば、中心オブスキュレーションのないシステムでは、光軸近くの光は同じ角度方向に進み、したがって、光軸近くには低NAを有する光が多く存在する。したがって、本明細書で説明する革新的な実装は、照明システムの中央を覆い、狭い円形リングのみを提供することによって、ターゲットに当たる光は大幅に異なる角度(光線から光線)で進むことになる。これにより、回折パターンによって検出器にリダイレクトされる低NA信号の強度が最小限に抑えられ、不要な迷光信号が減衰される。
【0199】
いくつかの実施形態によれば、アパーチャストップ(いずれかの端部)の配置は、照明源および/または検出器から所定の距離にあってもよい。このような距離は、投影システムに関連するパラメータ(例えば、活性面のパワー、レンズ間の間隔、レンズ材料、および液浸媒体)に依存し得る。いくつかの実施形態によれば、アポダイゼーションパラメータは、測定中に変更され得る。例えば、アパーチャマスクの形状、角度方向は測定中に変更される場合がある。
【0200】
いくつかの実施形態によれば、本明細書で説明される画像処理方法は、検出を強化するために光ビームに適用され得る。一例では、投影システムは、アパーチャストップを通して物体の第1の面を照射し、照射ビームの第1のパラメータは物体の第1の面の領域を規定する。そして投影システムは、アパーチャストップを通して物体の第2の面を照射し、照射ビームの第2のパラメータは物体の第2の面の領域を規定する。ここで、第2の面は、オブジェクト内で第1の面とは異なる深さレベルにある。いくつかの実施形態によれば、イメージングシステムはまた、信号ビーム内の焦点の合っていないフィーチャのコントラストを高めるために信号ビームの低NA部分を制限するように構成された中心オブスキュレーションを含むイメージングアパーチャストップを含んでもよい。検出器は、アパーチャストップ通過後の信号光を検出してもよい。
【0201】
いくつかの実施形態によれば、検出器は、第1の面の領域を含む第1の面の視野(FOV)を規定してもよい。信号ビームは、第1の面の領域および第2の面の領域から散乱された放射を含む。いくつかの実施形態によれば、検査システムはまた、第1の面の領域から受信されなかった画像データを破棄し、第1の面の領域全体からの画像データを含む合成画像を構築するように構成された処理回路を含んでもよい。処理回路はコントローラを含むことができることが理解されよう。コントローラは、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、または処理を実行できる回路を含むデバイスであってもよい。 コントローラは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、およびコントローラ上または可読媒体上で実行されるコンピュータ可読コードの組み合わせを実装することができる。コントローラおよび/またはコンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読コードが分散方式で格納および実行されるように、ネットワークに接続されたコンピュータシステム上に分散させることができる。
【0202】
いくつかの実施形態によれば、第1の面の領域は、FOV内で第2の面の領域と重ならない。さらに、投影システムは、第2の放射ビームを生成し、物体の第1の面を照射することができ、第2のビームは、FOV内の第1の面の別の領域を規定する。いくつかの実施形態によれば、検出器は、イメージングアパーチャストップを介して、第1の面の別の領域および第2の面の少なくとも1つの他の領域から散乱された放射を受け取ることができ、第1の面の別の領域および第2の面の少なくとも1つの他の領域は、FOV内で重ならない。いくつかの実施形態によれば、処理回路は、第1の面の別の領域から受信されなかった画像データを破棄し、第1の面の領域全体および第1の面の別の領域全体からの画像データを含むように合成画像を構築することができる。いくつかの実施形態によれば、処理回路は、合成画像から、粒子がFOV内に位置するかどうかを判定することができる。アパーチャストップに依存すると、照明ビームおよび反射ビームのNAレベルの低下がもたらされ、それがコントラストの改善につながることが理解されよう。このように改善されたコントラストにより、イメージングシステムは汚染粒子の検出をさらに向上させることができる。これにより、偽陽性検出が減り、機械のダウンタイムが短縮され、リソグラフィ装置内の汚染を検出するためのより正確な測定が可能になる。
【0203】
他の種類のアパーチャストップが実装されてもよいことが理解されよう。 一実施形態によれば、図26Aを参照して、図27に示されるように、検査システム2600は、アポダイズされたクォーターディスクアパーチャ2622およびクォーターディスクマスク2624を有するアパーチャストップ2620を含むことができる。アポダイズされたクォーターディスクアパーチャ2622は、照明ビーム2614の一部(例えば、構造化光パターン2615)を透過するように構成でき、クォーターディスクマスク2624(例えば、不透明)は、照明ビーム2614を遮断するように構成できる。いくつかの実施形態では、明視野モード(例えば、遮断されていない中心照明ビーム)において、アポダイズされたクォーターディスクアパーチャ2622は、照明ビーム2614の一部を透過させ、レチクル2602に向けて軸外照明ビーム2614を提供するように構成され得る。例えば、アポダイズされたクォーターディスクアパーチャ2622は、光軸2612の周りに(例えば、90度ずつ)回転して、レチクル2602上の関心領域(ROI)(例えば、粒子)の明視野画像を提供することができる。いくつかの実施形態では、ROIの複数の明視野画像を異なる照明角度で(例えば、アパーチャストップ2620を調整することによって)撮影することができ、複数の明視野画像をその後再構成して数値的につなぎ合わせることができる。
【0204】
図28は、図27に示される検査システム2600(例えば、クォーターディスクアパーチャ2622を備えたもの)の空間周波数2804に対するMTF2802のプロット2800である。MTF2802は、異なる空間周波数(例えば、サイクル/mm)が検査システム2600によってどのように処理されるかを示す。例えば、MTF2802は、アポダイズされたクォーターディスクアパーチャを通過する周期的正弦波パターン(例えば、空間周波数2804)に対する応答を指定する。MTF2802は、アポダイズされたクォーターディスクアパーチャ2622を通過する周期的正弦波パターン(例えば、空間周波数2804)に対する応答を、パターンの空間周波数(周期)および方向(変化は図示せず)の関数として指定する。図28に示すように、アポダイズされていない円形アパーチャ(実線)(例えば、λ=550nmでNA=0.3)のMTF分布を、アポダイズされたクォーターディスクアパーチャ2622(破線)のMTF分布(例えば、λ=550nmでNA=0.1)と比較することができる。例えば、20サイクル/mm(例えば、50μmの分解能)未満では、アポダイズされたクォーターディスクアパーチャ2622の応答は、6%未満の偏差(エラー)で非アポダイズ円形アパーチャに近似する。
【0205】
図26を参照して、 図29に示されるように、検査システム2600は、アポダイズされた三日月形アパーチャ2626および三日月形マスク2628を有するアパーチャストップ2620を含むことができる。アポダイズされた三日月形アパーチャ2626は、照明ビーム2614の一部(例えば、構造化光パターン2615)を透過するように構成することができ、三日月形マスク2628(例えば、不透明)は、照明ビーム2614を遮断するように構成することができる。いくつかの実施形態では、暗視野モード(例えば、遮断された中心照明ビーム)において、アポダイズされた三日月形アパーチャ2626は、照明ビーム2614の中心部分を遮断し、角度感知性の軸外照明ビーム2614をレチクル2602に向けて提供するように構成され得る。例えば、アポダイズされた三日月形アパーチャ2626を光軸2612の周りに(例えば、90度ずつ)回転させて、レチクル2602上のROI(例えば、粒子)の暗視野画像を提供することができる。いくつかの実施形態では、ROIの複数の暗視野画像を異なる照明角度で(例えば、アパーチャストップ2620を調整することによって)撮影することができ、その後、複数の暗視野画像を再構成して数値的につなぎ合わせることができる。
【0206】
図30は、図30に示される検査システム2600(例えば、三日月形開口部2626を備えたもの)の空間周波数3004に対するMTF3002のプロット3000である。MTF3002は、異なる空間周波数(例えば、サイクル/mm)が検査システム2600によってどのように扱われるかを示す。例えば、MTF3002は、アポダイズされた三日月型アパーチャ2626を通過する周期的正弦波パターン(例えば、空間周波数3004)に対する応答を、パターンの空間周波数(周期)と方向(変化は図示せず)の関数として指定する。図30に示されるように、アポダイズされていない円形アパーチャ(実線)(例えば、λ=550nmでNA=0.3)のMTF分布は、アポダイズされた三日月形アパーチャ2626(破線)のMTF分布(例えば、λ=550nmでNA=0.1)と比較することができる。例えば、20サイクル/mm(例えば、50μmの分解能)未満では、アポダイズされた三日月形アパーチャ2626の応答は、2%未満の偏差(エラー)で非アポダイズ円形アパーチャに近似する。
【0207】
いくつかの実施形態では、アパーチャストップ2620は、電気光学アパーチャモジュール2621aを含むことができる。電気光学アパーチャモジュール2621aは、アパーチャストップ2620を通る照明ビーム2614の透過を制御するように構成され得る。例えば、電気光学アパーチャモジュール2621aは、光軸2612に対して回転および/または並進することができる、1つ以上のアポダイズされたアパーチャ(例えば、アポダイズされたクォーターディスクアパーチャ2622、アポダイズされた三日月形アパーチャ2626など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、電気光学アパーチャモジュール2621aは、3自由度で照明ビーム2614の透過を制御することができる。例えば、電気光学アパーチャモジュール2621aは、照明ビーム2614の半径範囲、角度範囲、および/または強度を制御することができる。
【0208】
いくつかの実施形態では、アパーチャストップ2620は、オプトメカニカルアパーチャモジュール2621bを含むことができる。 オプトメカニカルアパーチャモジュール2621bは、アパーチャストップ2620を通る照明ビーム2614の透過を制御するように構成され得る。例えば、オプトメカニカルアパーチャモジュール2621bは、複数のアパーチャマスク(例えば、アポダイズされたクォーターディスクアパーチャ2622、アポダイズされた三日月形アパーチャ2626など)を含み得る。いくつかの実施形態では、複数のアパーチャマスクは、レチクル2602上の異なる用途および/または測定(例えば、連続測定)に使用することができる。
【0209】
いくつかの実施形態では、照明ビーム2614および/またはアパーチャストップ2620の調整により、レチクル2602上に複数の照明角度を提供することができる。例えば、(例えば、電気光学照明モジュール2611を介した)照明ビーム2614のNAの第1の調整と、(例えば、電気光学アパーチャモジュール2621aを介した)アパーチャストップ2620のNAの第2の調整により、レチクル2602上の照明ビーム2614のヨー(軸外)照明角度を調整することができる。
【0210】
いくつかの実施形態では、検査システム2600は明視野モードで動作することができる。例えば、図27に示されるように、アポダイズされたクォーターディスクアパーチャ2622は、照明ビーム2614の中心部分を透過し、レチクル2602に向けて軸外照明ビーム2614を提供するように構成され得る。いくつかの実施形態では、検査システム2600は、暗視野モードで動作することができる。例えば、図29に示されるように、アポダイズされた三日月形アパーチャ2626は、照明ビーム2614の中心部分を遮断し、角度に敏感な(例えば、角度範囲を有する)軸外照明ビーム2614をレチクル2602に向けて提供するように構成され得る。
【0211】
ビームスプリッタ2630、集束レンズ2640、および集光レンズ2650は、照明ビーム2614の選択された部分を(例えば、アパーチャストップ2620を介して)レチクル2602および/またはペリクル2607に向かって送信し、レチクル2602および/またはペリクル2607から散乱された(例えば、粒子からの)信号ビーム2616を送信するように構成できる。いくつかの実施形態では、ビームスプリッタ2630、集束レンズ2640、および集光レンズ2650は、光学システムを形成することができる。 いくつかの実施形態では、ビームスプリッタ2630は、例えば、図31に示されるような偏光ビームスプリッタとすることができる。いくつかの実施形態では、集束レンズ2640および集光レンズ2650は、信号ビーム2616の強度を増大させることができる(例えば、暗視野モードで)。例えば、集束レンズ2640のNAは、集光レンズ2650のNAより大きくすることができる。
【0212】
検出器2660は、信号ビーム2616を検出するように構成することができる。図26Aに示すように、集光レンズ2650は、信号ビーム2616を検出器2660上に集束させることができる。検出器2660は、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)、光検出器、フォトダイオード、および/または信号ビーム2616を検出可能な任意の他の光電子デバイスとすることができる。コントローラ2670は、信号ビーム2616の画像取得のためのリアルタイムフィードバックを提供するように構成することができる。図26Aに示すように、コントローラ2670は、照明システム2610、アパーチャストップ2620、および/または検出器2660に結合され、例えば、信号ビーム2616を受信し、照明システム2610、アパーチャストップ2620、および/または検出器2660にリアルタイムで(例えば、約0.1秒未満)制御信号を提供することができる。
【0213】
図31は、例示的な実施形態による検査システム2600'の概略断面図である。図26~30に示される検査システム2600の実施形態と図31に示される検査システム2600’の実施形態は類似している。図26~30に示される検査システム2600の実施形態の類似した特徴と図31に示される検査システム2600’の実施形態の類似した特徴を示すために、同様の参照符号が使用される。図26~30に示される検査システム2600の実施形態と図31に示される検査システム2600’の実施形態の1つの違いは、検査システム2600’は、図26~30に示す検査システム2600の非偏光光学系(例えば、ビームスプリッタ2630)ではなく、偏光光学系用の偏光ビームスプリッタ2630、直線偏光子2632、および4分の1波長板2634を含むことである。
【0214】
図31 に示すように、検査システム2600’の例示的な態様は、照明ビーム2614を偏光し、信号ビーム2616(例えば、レチクル2602上の粒子から散乱されたもの)を光学的に隔離することによって検出器2660からの迷光をブロックするように構成された偏光ビームスプリッタ2630、直線偏光子2632、および4分の1波長板2634である。例えば、直線偏光子2632は、照明ビーム2614を(例えば、垂直に)直線偏光することができ、偏光ビームスプリッタ2630は、直線偏光した照明ビーム2614を(例えば、垂直に)透過することができ、4分の1波長板2634は、直線偏光した照明ビーム2614を(例えば時計回りに)円偏光することができ、(例えば時計回りに)円偏光された照明ビーム2614は、粒子を散乱させ(例えば信号ビーム2616)、元の偏光とは反対の偏光(例えば反時計回り)でレチクル2602から反射することができ、4分の1波長板2634は、非偏光散乱信号ビーム2616を通過させ、反射円偏光照明ビーム2614(例えば反時計回り)を直線偏光反射照明ビーム2614(例えば水平)に変換することができ、偏光ビームスプリッタ2630は非偏光散乱信号ビーム2616を透過し、 検出器2660に対する信号ビーム2616の光学的分離のために、(例えば水平に)直線偏光された反射照明ビーム2614を拒絶(反射)できる。
【0215】
例示的な関心領域(ROI)検査システム
【0216】
図32~33Cは、例示的な実施形態によるROI検査システム3200を示す。ROI検査システム3200は、レチクル背面3204、レチクル前面3206、および/またはペリクル3207上の照明パターンからの直接反射のないROIを検出するように構成することができる。図32では、ROI検査システム3200はスタンドアローン装置および/またはシステムとして示されているが、本開示の実施形態は、リソグラフィ装置100、100'および/または他の光学システムなど(ただしこれらに限定されない)、他の光学システムとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、ROI検査システム3200は、1つまたは複数の検査システム2600、2600'を含むことができる。例えば、図32に示すように、ROI検査システム3200は、背面面検出器FOV3220を有する第1(背面)検査システム2600、2600’と、前面検出器FOV3240を有する第2(前面)検査システム2600、2600’とを含むことができる。
【0217】
図32に示すように、ROI検査システム3200は、レチクル3202および/またはペリクル3027を検査するために、背面検出器FOV3220を有する第1(背面)検査システム2600、および/または前面検出器FOV3240を有する第2(前面)検査システム2600を含むことができる。例えば、第1(背面)検査システム2600は、第1背面ROI3222において第1の照明ビーム3210を用いてレチクル背面3204上の背面粒子3212を検査するように構成することができる。第1照明ビーム3210は、第1背面ROI3222で背面粒子3212を照明し、非照明パターン3216から離れて、レチクル背面3204を通って照明パターン3214に透過し、直接反射3218(例えば、レチクル背面に垂直)として背面検出器FOV3220に反射することができる。同様に、例えば、第2(前面)検査システム2600は、第1前面ROI3242において第2照明ビーム3230を用いてペリクル3207および/またはレチクル前面3206上の前面粒子3232を検査するように構成され得る。第2照明ビーム3230は、第1前面ROI3242で前面粒子3232を照明し、ペリクル3207を通って非照明パターン3236から離れたレチクル前面3206および照明パターン3234に透過し、(例えば、レチクル前面3206およびペリクル3207に垂直な)直接反射3238として前面検出器FOV3240に反射することができる。
【0218】
いくつかの実施形態では、背面検出器FOV3220は、1つまたは複数のROIを含むことができる。例えば、図32に示すように、背面検出器FOV3220は、第1背面ROI3222、第2背面ROI3224、および/または第3背面ROI3226を含むことができる。いくつかの実施形態では、前面検出器FOV3240は、1つまたは複数のROIを含むことができる。例えば、図32に示すように、前面検出器FOV3240は、第1前面ROI3242、第2前面ROI3244、および/または第3前面ROI3246を含むことができる。いくつかの実施形態では、ROI検査システム3200は、背面検出器FOV3220および/または前面検出器FOV3240を連続的に検出することができる。例えば、図33A~33Cに示すように、ROI検査システム3200は、第1背面ROI3222、第2背面ROI3224、および第3背面ROI3226を、それぞれ第1の背面画像3310、第2背面画像3320、および第3の背面画像3330として順次検査および検出することができる。
【0219】
図33Aに示すように、ROI検査システム3200は、第1背面画像3310を検出するために背面検出器FOV3220内の第1背面ROI3222を照明する背面検査システム2600を含むことができる。図33Bに示すように、ROI検査システム3200は、背面検出器FOV3220内の第2背面ROI3224を照明して第2背面画像3320を検出する背面検査システム2600を含むことができる。図33Cに示されるように、ROI検査システム3200は、第3の背面画像3330を検出するために背面検出器FOV3220内の第3背面ROI3226を照明する背面検査システム2600を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1背面画像3310、第2背面画像3320、および第3背面画像3330は、 その後再構築され、数値的につなぎ合わされ得る。
【0220】
例示的な振幅変調(AM)検査システム
【0221】
図26を参照して、図34に示すように、例示的な実施形態によるAM検査システム3400が示されている。AM検査システム3400は、粒子によって散乱された光から迷光を描写し、信号ビーム2616の検出を高めるように構成することができる。AM検査システム3400は、粒子信号、粒子深さ、および/またはゴースト光の寄与(例えば、迷光に起因するゴースト信号)を検出するために、1つまたは複数の構造化光パターンを投影するようにさらに構成され得る。AM検査システム3400は図34にスタンドアローン装置および/またはシステムとして示されているが、本開示の実施形態は、リソグラフィ装置100、100'、および/または他の光学システムなど(ただしこれらに限定されない)、他の光学システムとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、AM検査システム3400は、1つまたは複数の検査システム2600、2600'を含むことができる。
【0222】
図26を参照して、図32に示すように、 AM検査システム3400は、異なる深さ(例えば、焦点面)でレチクル2602を検査するために、構造化光パターン2615を備えた検査システム2600を含むことができる。いくつかの実施形態では、構造化光パターン2615はAMを含むことができる。例えば、AMは、アパーチャストップ2620の応答がアポダイズされていない円形アパーチャに近似できるように、50サイクル/mm未満、例えば20サイクル/mm未満の空間周波数(例えば50μmの分解能)を含むことができる。いくつかの実施形態では、構造化光パターン2615は複数のAMパターンを含むことができる。例えば、図34に示すように、構造光パターン2615は、第1のAM構造光パターン2615a(例えば、I(x,y)=IDC(x,y)+I(x,y)cos[φ(x,y)+δ]により与えられる正弦波パターン)、第2のAM構造光パターン2615b(例えば、I(x、y)=IDC(x、y)+I(x、y)cos[φ(x、y)+δ]によって与えられる正弦波パターン)、および/または第3のAM構造光パターン2615c(例えば、I(x、y)=IDC(x、y)+I(x、y)cos[φ(x、y)+δ]によって与えられる正弦波パターン)を含むことができる。
【0223】
いくつかの実施形態では、AM検査システム3400は、画像特性に基づいてROIの粒子信号、粒子深さ、および/またはゴースト光寄与を識別するように構成された3つのパターンを含むことができる。例えば、図34に示すように、第1、第2、および第3のAM構造光パターン2615a、2615b、2615cを備えたAM検査システム3400は、レチクル背面2604の第1の焦点面2604a、第2の焦点面2604b、および第3の焦点面2604cをそれぞれ検査して、第1の背面AM画像3402、第2の背面AM画像3404、および第3の裏面AM画像3406をそれぞれ検出し、I(x、y)、I(x、y)、およびI(x、y)並びにδ、δおよびδは既知であるため、粒子信号(例えば、I(x、y))、粒子深さ(例えば、φ(x、y))、およびゴースト光寄与(例えば、IDC(x、y))を決定することができる。各AM画像3402、3404、および3406は、各レベルの位相、変調およびDCオフセットを含む未知のパラメータを測定するために3つの位相シフト画像を含み得ることが理解され得る。
【0224】
例示的な周波数変調(FM)検査システム
【0225】
図35は、例示的な実施形態によるFM検査システム3500を示す。FM検査システム3500は、粒子によって散乱された光から迷光を描写し、信号ビーム2616の検出を高めるように構成することができる。FM検査システム3500は、粒子信号、粒子深さ、および/またはゴースト光の寄与を検出するために、1つまたは複数の構造化光パターンを投影するようにさらに構成することができる。FM検査システム3500は図35にスタンドアローン装置および/またはシステムとして示されているが、本開示の実施形態は、リソグラフィ装置100、100'および/または他の光学システムなど(しかしこれらに限定されない)、他の光学システムとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、FM検査システム3500は、1つまたは複数の同軸検査システム2600、2600'を含むことができる。
【0226】
図35に示すように、FM検査システム3500は、異なるROIでレチクル2602および/またはペリクル2607を調査するために、構造化光パターン2615を備えた同軸検査システム2600を含むことができる。いくつかの実施形態では、構造化光パターン2615はFMを含むことができる。例えば、FMは、アパーチャストップ2620の応答が非アポダイズ円形アパーチャに近似できるように、50サイクル/mm未満、例えば20サイクル/mm未満の空間周波数(例えば50μmの分解能)を含むことができる。いくつかの実施形態では、構造化光パターン2615は複数のFMパターンを含むことができる。例えば、図35に示すように、構造光パターン2615は、第1のFM構造光パターン2615a(例えば、I(x,y;t)=IDC(x,y)+I(x,y)cos[2πf(x,y)t+δ(x,y)]により与えられる正弦波パターン、第2のFM構造光パターン2615b(例えば、I2(x,y;t)=IDC(x,y)+I(x,y)cos[2πf(x,y)t+δ(x,y)]により与えられる正弦波パターン、および/または第3のFM構造光パターン2615c(例えば、I(x,y;t)=IDC(x,y)+I(x,y)cos[2πf(x,y)t+δ(x,y)]により与えられる正弦波パターン)を含むことができる。
【0227】
いくつかの実施形態では、FM検査システム3500は、フーリエ変換特性に基づいてROIの粒子信号、粒子深さ、および/またはゴースト光寄与を識別するように構成された3つのパターンを含むことができる。例えば、図35に示すように、第1、第2、および第3のFM構造光パターン2615a、2615b、2615cを備えたFM検査システム3500は、ペリクル2607の第1ROI(例えば、A)、第2ROI(例えば、B)、および第3ROI(例えば、C)をそれぞれ検査して、第1前面FMプロット3502、第2前面FMプロット3504、および第3前面FMプロット3506をそれぞれ検出して、第1ゴースト反射3510および第2ゴースト反射3520を除去し、I(x、y;t)、I(x、y;t)、およびI(x、y;t)並びにδ(x、y)、δ(x、y)およびδ(x、y)は既知であるため、粒子信号(例えばI(x、y)、粒子深度(例えばf(x、y))、およびゴースト光寄与(例えばIDC(x、y))をそれぞれ決定することができる。
【0228】
例示的な検査アレイシステム
【0229】
図36は、例示的な実施形態による検査アレイシステム3600を示す。検査アレイシステム3600は、レチクル背面2604、レチクル前面2606、および/またはペリクル2607上の複数のROIの同時測定を提供するように構成することができる。図36では検査アレイシステム3600はスタンドアローン装置および/またはシステムとして示されているが、本開示の実施形態は、リソグラフィ装置100、100'、および/または他の光学システムなど(ただしこれらに限定されない)、他の光学システムとともに使用することができる。
【0230】
図36に示すように、検査アレイシステム3600は、1つ以上の検査システム2600、2600'を含むことができる。例えば、図36に示すように、検査アレイシステム3600は、第1(背面)検査システム2600、2600'と、隣接する第2(背面)検査システム2600、2600'と、第1(前面)検査システム2600、2600'と、隣接する第2(前面)検査システム2600、2600とを含むことができる。第1および第2(背面)検査システム2600、2600’は、第1および第2(前面)検査システム2600、2600’の反対側にある。いくつかの実施形態では、検査システム2600、2600'のアレイからの測定値を同時に取得することができる。たとえば、測定はリアルタイムで同時に行うことができる。いくつかの実施形態では、検査システム2600、2600'のアレイからの測定値を連続的に取得することができる。たとえば、測定値を後で再構築し、数値的につなぎ合わせることができる。
【0231】
実施形態は、以下の項を使用してさらに説明され得る。
1.照明光路に沿って照明ビームを送るように構成された放射源と、
前記照明ビームの一部を選択するように構成されたアパーチャストップと、
を備える投影システムと、
前記照明ビームの選択された部分を物体に向かって送り、前記物体から散乱された信号ビームを送るように構成された光学システムと、
前記信号ビームを検出するように構成された検出器を備えるイメージングシステムと、
を備える検査システム。
2.前記アパーチャストップは、アポダイズされたアパーチャを備える、項1に記載の検査システム。
3.前記アパーチャストップは、投影されたパターンの視認性を高めるために、前記照明ビームの低NA部分を制限するように構成された中心オブスキュレーションを備える、項1に記載の検査システム。
4.前記イメージングシステムは、イメージングアパーチャストップをさらに備える、項1に記載の検査システム。
5.前記イメージングアパーチャストップは、前記信号ビーム内の焦点の合っていないフィーチャのコントラストを高めるために、前記信号ビームの低NA部分を制限するように構成された中心オブスキュレーションを備える、項4に記載の検査システム。
6.前記イメージングアパーチャストップは、前記検出器から所定の距離に配置される、項4に記載の検査システム。
7.前記イメージングアパーチャストップは、透過型モディファイアまたは反射型モディファイアを含み、光学システムのレイアウトは、イメージングアパーチャストップモディファイアの種類に依存する、項4に記載の検査システム。
8.前記投影システムはさらに、
前記アパーチャストップを通して、前記物体の第1の面を照射するように構成され、前記照明ビームの第1のパラメータは前記物体の第1の面の領域を規定し、そして
前記アパーチャストップを通して、前記物体の第2の面を照射するように構成され、 前記照明ビームの第2のパラメータは前記第2の面の領域を規定し、前記第2の面は、前記物体内の前記第1の面とは異なる深さレベルにある、項1に記載の検査システム。
9.前記イメージングシステムは、ゴースト信号を除去することによって前記信号ビーム内の焦点の合ったフィーチャのコントラストを高めるために、前記信号ビームの低NA部分を制限するように構成された中心オブスキュレーションを含むイメージングアパーチャストップをさらに備え、
前記検出器は、前記アパーチャストップを通過した後に前記信号ビームを処理するように構成されている、項8に記載の検査システム。
10.前記検出器は、前記第1の面の領域を含む前記第1の面の視野(FOV)を規定するようにさらに構成され、前記信号ビームは、前記第1の面の領域と前記第2の面の領域から散乱される放射を含む、項9に記載の検査システム。
11.前記第1の面の領域から受信されなかった画像データを破棄し、前記第1の面の領域全体からの画像データを含む合成画像を構築するように構成された処理回路をさらに備える、項10に記載の検査システム。
12.前記第1の面の領域は、FOV内で前記第2の面の領域と重ならない、項10に記載の検査システム。
13.前記投影システムはさらに、第2の放射ビームを生成して前記物体の第1の面を照射するように構成され、前記第2のビームはFOV内の前記第1の面の別の領域を規定し、
前記検出器はさらに、イメージングアパーチャストップを介して、前記第1の面の別の領域および前記第2の面の少なくとも1つの他の領域から散乱された放射線を受け取るように構成され、前記第1の面の別の領域および前記第2の面の少なくとも1つの他の領域はFOV内で重ならず、
前記処理回路はさらに、
前記第1面の別の領域から受信されなかった画像データを破棄し、
前記第1の面の領域全体および第1の面の別の領域全体からの画像データを含むように合成画像を構築するように構成される、
項6に記載の検査システム。
14.前記処理回路は、前記合成画像から、粒子が前記FOV内に位置するかどうかを判定するようにさらに構成されている、項13に記載の検査システム。
15.前記第1の面の領域の形状は、前記第1の面の別の領域の形状から独立している、項14に記載の検査システム。
16.前記第2の面は、前記第1の面の領域に対応する寸法を有する、前記第1の面の領域の下に位置する別の領域を含み、
前記第1の面の領域が照射されるとき、前記第2の面の別の領域は照射されない、
項1に記載の検査システム。
17.前記イメージングシステムは、前記FOV内の前記第1の面の領域の位置および座標を決定するようにさらに構成されている、項1に記載の検査システム。
18.前記アパーチャストップは、前記アパーチャストップを通る前記照明ビームの透過を制御するように構成された電気光学アパーチャモジュールを備える、項1に記載の検査システム。
19.前記電気光学アパーチャモジュールは、3自由度で前記照明ビームの透過を制御する、項18に記載の検査システム。
20.前記3自由度は、半径方向の範囲、角度の範囲、および強度を含む、項18に記載の検査システム。
21.前記アパーチャストップは、前記アパーチャストップを通る前記照明ビームの透過を制御するように構成されたオプトメカニカルアパーチャモジュールを備える、項1に記載の検査システム。
22.前記オプトメカニカルアパーチャモジュールは、複数のアパーチャマスクを備える、項21に記載の検査システム。
23.前記照明システムは、前記照明ビームを電子的に制御するように構成された電気光学照明モジュールを備える、項1に記載の検査システム。
24.前記電気光学照明モジュールは、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、液晶変調器(LCM)、空間光変調器(SLM)、パターンを有するガラス板、および/または一連のパターンを生成するそれらの組み合わせを備える、項23に記載の検査システム。
25.前記電気光学照明モジュールは、前記照明ビームの開口数を制御する、項24に記載の検査システム。
26.前記回路は、前記信号ビームの画像取得のためのリアルタイムフィードバックを提供するように構成されている、項25に記載の検査システム。
27.前記照明ビームは構造化光パターンを含む、項1に記載の検査システム。
28.前記構造化光パターンは振幅変調(AM)を含む、項27に記載の検査システム。
29.前記AMは、前記検出器の視野(FOV)内の関心の位置の画像特徴に基づいて、前記物体の粒子信号、粒子深さ、および/またはゴースト光寄与を識別するように構成された3つのパターンを含む、項28に記載の検査システム。
30.前記構造化光パターンは周波数変調(FM)を含む、項27に記載の検査システム。
31.前記照明ビームは、空間領域、スペクトル領域、または時間領域で符号化される、項30に記載の検査システム。
32.前記照明ビームは、複数の狭スペクトル帯域を含む、項1に記載の検査システム。
33.照明光路に沿って照明ビームを送るように構成された放射源と、
前記照明ビームの一部を選択するように構成されたアパーチャストップと、
を備える投影システムと、
前記照明ビームの選択された部分を物体に向かって送り、前記物体から散乱された信号ビームを送るように構成された光学システムと、
前記信号ビームを検出するように構成された検出器を備えるイメージングシステムと、
を備える検査システムを備えるリソグラフィ装置。
34.前記処理回路は、前記イメージングアパーチャストップを回転させ、前記画像データに基づいて前記合成画像を構築するようにさらに構成される、項11に記載の検査システム。
【0232】
本明細書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、リソグラフィ装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁区メモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCD、薄膜磁気ヘッドなどがある。当業者であればこれらの他の適用に際して、本明細書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。基板は露光前または露光後においてトラックユニット(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像するツール)、計測ユニット、及び/またはインスペクションユニットにより処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は既に処理されている多数の処理層を含む基板をも意味する。
【0233】
以上では光学リソグラフィとの関連で本開示の実施形態の使用に特に言及しているが、本開示は、インプリントリソグラフィなどの他の用途においても使用可能であり、状況が許せば、光学リソグラフィに限定されないことが理解される。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィによって、基板上に生成されるパターンが画定される。パターニングデバイスのトポグラフィを基板に供給されたレジストの層に押しつけ、その後に電磁放射、熱、圧力またはその組合せにより、レジストを硬化する。パターニングデバイスをレジストから離し、レジストを硬化した後にパターンを残す。
【0234】
本明細書の表現または専門用語は、説明を目的としており限定のためではなく、本明細書の専門用語または表現は、本開示の教示を考慮して当業者によって解釈されるべきものであることを理解されたい。
【0235】
本明細書に記載の実施例において、「レンズ」「レンズ素子」なる用語は文脈が許す限り、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁的光学素子、および静電的光学素子を含むさまざまな種類の光学素子のいずれかまたは任意の組み合わせを示してもよい。
【0236】
さらに、本明細書における「放射」、「ビーム」および「光」なる用語は、例えば、(例えば365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長λを有する)紫外(UV)放射、(例えば5乃至20nmの範囲に含まれる波長(例えば13.5nm)を有するか、5nm未満で作動する硬X線)極紫外(EUVまたは軟X線)放射などのあらゆる電磁放射、及びイオンビームまたは電子ビーム等の粒子ビームを含む。一般に、約400乃至約700nmの間の波長を有する放射は可視放射と見なされ、約780乃至3000nm(またはそれ以上)の間の波長を有する放射は赤外放射とみなされる。UVとはおよそ100乃至400nmの波長を有する放射をいう。リソグラフィにおいては「UV」なる用語も水銀放電ランプにより生成される波長に用いられる。436nmのG線、405nmのH線、365nmのI線である。真空UV(VUV、つまり気体に吸収されるUV)とはおよそ100乃至200nmの波長を有する放射をいう。深紫外(DUV)とは一般に126nmから428nmの波長を有する放射をいう。いくつかの実施形態においては、エキシマレーザが、リソグラフィ装置で使用されるDUV放射を生成可能である。なお、例えば5乃至20nmの波長を有する放射とは、5乃至20nmの範囲の少なくとも一部のある波長域を有する放射を言うものと理解されたい。
【0237】
本明細書で用いられる「基板」という用語は、材料層が上に追加される材料を言い表してよい。いくつかの実施形態では、基板自体がパターニングされてもよく、その上に追加される材料もパターニングされてもよく、又はパターニングされずに保たれてもよい。
【0238】
IC製造における本開示に係る装置および/またはシステムの使用について本明細書において特に言及をしてきたが、そのような装置および/またはシステムは、他の応用形態も有していることを理解すべきである。例えば、集積された光学システム、磁気領域メモリ用の誘導及び検出パターン(guidance and detection pattern)、LCDパネル、薄膜磁気ヘッドなどの製造といった応用である。当業者は、このような代替的な応用形態の文脈において、本明細書における「パターニングデバイス」、「レチクル」、「ウェハ」または「ダイ」という用語のいかなる使用も、それぞれより一般的な用語である「マスク」、「基板」および「目標部分」と同義とみなすことができることを認められよう。
【0239】
本開示の特定の実施形態について上述したが、本開示は説明したもの以外の態様で実施されてもよいことを理解されたい。上記説明は本開示を限定することを意図していない。
【0240】
発明の概要および要約の部分ではなく、詳細な説明の部分が特許請求の範囲を解釈するために用いられることを意図されていることを理解すべきである。発明の概要および要約の部分は、発明者によって考案された本開示の実施形態のうち一つまたは複数について述べているが、全ての例示的な実施形態について述べている訳ではない。したがって、本開示および添付の特許請求の範囲をいかなる方法によっても限定する意図はない。
【0241】
特定の機能および関係の実現を例証する機能的な構成要素の助けを用いて本開示を上記で説明してきた。これらの機能的な構成要素の境界は、説明の便宜上、適宜定義されている。それらの特別な機能および関係が適切に実行される限り、別の境界も定義することができる。
【0242】
特定の実施形態についての上記説明は本開示の一般的性質を完全に公開しており、したがって、当分野の能力に含まれる知識を適用することによって、過度の実験をすることなく、および本開示の一般概念から逸脱することなく、種々の応用に対してそのような特定の実施形態を直ちに修正しおよび/または適応させることができる。したがって、そのような適応および修正は、本書に提示された教示および助言に基づき、開示された実施形態の意義および等価物の範囲内であると意図されている。
【0243】
本開示の広さおよび範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物にしたがってのみ規定されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A-11C】
図11D-11F】
図11G
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図26C
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33A
図33B
図33C
図34
図35
図36
【国際調査報告】