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特表2024-521782光学装置、目標変形を設定する方法、及びリソグラフィシステム
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  • 特表-光学装置、目標変形を設定する方法、及びリソグラフィシステム 図1
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  • 特表-光学装置、目標変形を設定する方法、及びリソグラフィシステム 図3a
  • 特表-光学装置、目標変形を設定する方法、及びリソグラフィシステム 図3b
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  • 特表-光学装置、目標変形を設定する方法、及びリソグラフィシステム 図17
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-04
(54)【発明の名称】光学装置、目標変形を設定する方法、及びリソグラフィシステム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240528BHJP
【FI】
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572764
(86)(22)【出願日】2022-05-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 EP2022063825
(87)【国際公開番号】W WO2022248374
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】102021205426.9
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100230514
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】クラウス グウォッシュ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル ヘラー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス マンガー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス コーニゲル
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA09
2H197CA06
2H197CA10
2H197CC08
2H197CC14
2H197DC06
2H197DC15
2H197GA03
2H197GA05
2H197GA06
2H197GA11
2H197GA12
2H197GA23
(57)【要約】
本発明は、光学面(3)を含む少なくとも1つの光学素子(2)と光学面(3)を変形させる1つ又は複数のアクチュエータ(4)とを有する、リソグラフィシステム(100、200)用の光学装置(1)に関する。本発明によれば、光学素子(2)は、光学面(3)の変形を判定する歪みゲージデバイス(5)を含み、歪みゲージデバイス(5)は、測定放射線(9)の測定スペクトル(8)を生成する少なくとも1つの経路長デバイス(7)であり、前記測定放射線(9)用のグレーティングデバイス(7a)及び/又は測定放射線(8)用の共振器デバイス(7c)を含む経路長デバイス(7)、及び/又は少なくとも1つの導波路(11)を含み、少なくとも1つの導波路(11)及び/又は少なくとも1つのグレーティングデバイス(7a)及び/又は少なくとも1つの共振器デバイス(7c)は、基板素子(10)により形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学面(3)を含む少なくとも1つの光学素子(2)と前記光学面(3)を変形させる1つ又は複数のアクチュエータ(4)とを有する、リソグラフィシステム(100、200)用の光学装置(1)であって、
前記光学素子(2)は、前記光学面(3)の変形を判定する歪みゲージデバイス(5)を含み、該歪みゲージデバイス(5)は、
測定放射線(9)の測定スペクトル(8)を生成する少なくとも1つの経路長デバイス(7)であり、前記測定放射線(9)用のグレーティングデバイス(7a)及び/又は前記測定放射線(9)用の共振器デバイス(7c)を含む経路長デバイス(7)、及び/又は
少なくとも1つの導波路(11)
を含み、該少なくとも1つの導波路(11)及び/又は前記少なくとも1つのグレーティングデバイス(7a)及び/又は前記少なくとも1つの共振器デバイス(7c)は、基板素子(10)により形成される光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学装置(1)において、
前記歪みゲージデバイス(5)は、前記光学素子(2)の少なくとも1つの測定領域(6)における歪みを判定するよう構成され、前記少なくとも1つの測定領域(6)は、前記測定領域(6)の歪みが前記光学面(3)の変形により決まるように配置される光学装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光学装置(1)において、
前記歪みゲージデバイス(5)は、前記少なくとも1つの測定領域(6)内に少なくとも部分的に配置される光学装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記光学素子(2)は、前記光学面(3)が配置及び/又は形成される基板素子(10)を含み、前記歪みゲージデバイス(5)は、前記基板素子(10)内及び/又は該基板素子(10)上に少なくとも部分的に配置される光学装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記歪みゲージデバイス(5)は、複数の経路長デバイス(7)を含み、前記少なくとも1つの導波路(11)は、測定放射線(9)を好ましくは連続して前記複数の経路長デバイス(7)へ導く光学装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記少なくとも1つのグレーティングデバイス(7a)は、ファイバブラッググレーティング(7b)の形態である光学装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記少なくとも1つの導波路(11)は、光ファイバ(11a)の形態である光学装置。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記歪みゲージデバイス(5)の複数の測定領域(6)が、前記基板素子(10)に異なる深さで形成され、且つ/又は複数の測定領域(6)の少なくとも1つが、前記基板素子(10)の歪み中立平面(21)に配置される光学装置。
【請求項9】
請求項2~8のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
閉ループを有する閉ループ制御デバイス(12)が、前記歪みゲージデバイス(5)により判定された前記測定領域(6)の実歪みを考慮して前記少なくとも1つのアクチュエータ(4)により前記測定領域(6)の目標歪みを設定するために設けられる光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光学装置(1)において、
前記閉ループ制御デバイス(12)は、前記歪みゲージデバイス(5)により判定された前記測定領域(6)の前記実歪みを考慮して前記少なくとも1つのアクチュエータ(4)により前記光学面(3)の目標変形を設定するよう構成される光学装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の光学装置(1)において、
前記閉ループ制御デバイス(12)は、前記光学面(3)の前記目標変形からの実変形の少なくとも1つの温度によるずれ及び/又は歪みによるずれを補正するよう構成される光学装置。
【請求項12】
請求項2~11のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記光学素子(2)により生じた光学効果に関連する前記光学面(3)の変形を測定可能であるように複数の測定領域(6)が前記光学素子(2)に配置される光学装置。
【請求項13】
請求項2~12のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記光学面(3)の実変形及び/又は該光学面(3)の目標変形を設定するのに適した前記少なくとも1つアクチュエータ(4)の力を前記少なくとも1つの測定領域(6)の判定された実歪みから決定するために、演算デバイス(13)が設けられる光学装置。
【請求項14】
請求項2~13のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
複数の前記アクチュエータ(4)、好ましくは全てのアクチュエータ(4)に、各アクチュエータ(4)の有効領域(14)を含む、好ましくは該有効領域(14)のみを含む測定領域(6)がそれぞれ割り当てられる光学装置。
【請求項15】
請求項2~14のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記少なくとも1つの測定領域(6)の前記歪み及び/又は前記光学面(3)の振動は、前記歪みゲージデバイス(5)により規則的に、好ましくは連続的に判定可能である光学装置。
【請求項16】
請求項2~15のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
1つ又は複数の測定領域(6)が、前記光学面(3)及び/又は前記光学素子(2)の1つ又は複数の振動モードを判定可能であるように前記光学素子(2)上及び/又は該光学素子(2)内に配置される光学装置。
【請求項17】
1つ又は複数のアクチュエータ(4)によりリソグラフィシステム(100、200)の光学素子(2)の光学面(3)の目標変形を設定する方法であって、
前記光学素子(2)の少なくとも1つの測定領域(6)の少なくとも1つの実歪みを判定することにより前記光学面(3)の実変形が判定される方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記少なくとも1つの測定領域(6)は、前記光学面(3)の前記実変形を前記実歪みから推定できるように選択される方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記少なくとも1つの測定領域(6)の前記実歪みの結果として少なくとも1つの経路長デバイス(7)で少なくとも1つの測定スペクトル(8)が影響を受けるように、歪みゲージデバイス(5)が配置される方法。
【請求項20】
請求項17~19のいずれか1項に記載の方法において、
前記実歪みは、少なくとも1つの測定放射線(9)の少なくとも1つの測定スペクトル(8)を検出することにより判定される方法。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の方法において、
前記経路長デバイス(7)は、グレーティングデバイス(7a)及び/又は共振器デバイス(7c)により形成される方法。
【請求項22】
請求項17~21のいずれか1項に記載の方法において、
前記光学面(3)の目標変形の設定に必要な前記少なくとも1つのアクチュエータ(4)の力が、前記光学面(3)の判定された実変形に基づき好ましくは閉ループで決定及び/又は適用される方法。
【請求項23】
請求項18~22のいずれか1項に記載の方法において、
前記実歪みは、前記光学面(3)が配置及び/又は形成される少なくとも1つの基板素子(10)の1つ又は複数の測定領域(6)で判定される方法。
【請求項24】
請求項18~23のいずれか1項に記載の方法において、
前記実歪みは、複数の測定領域(6)で同期して判定される方法。
【請求項25】
請求項20~24のいずれか1項に記載の方法において、
前記少なくとも1つの測定スペクトル(8)のシフトが検出される方法。
【請求項26】
請求項18~25のいずれか1項に記載の方法において、
前記少なくとも1つの測定領域(6)の前記実歪み及び/又は前記光学面(3)の振動は、前記歪みゲージデバイス(5)により規則的に、好ましくは連続的に判定される方法。
【請求項27】
請求項17~26のいずれか1項に記載の方法において、
前記光学面(3)及び/又は前記光学素子(2)の1つ又は複数の振動モードが判定される方法。
【請求項28】
請求項23~27のいずれか1項に記載の方法において、
複数の測定領域(6)における各実歪みが前記基板素子(10)の異なる深さで判定され、且つ/又は前記実歪みが複数の測定領域(6)の少なくとも1つにおいて前記基板素子(10)の歪み中立平面(21)で判定される方法。
【請求項29】
放射源(102)を有する照明系(101、201)と少なくとも1つの光学素子(116、118、119、120、121、122、Mi、207)を含む光学ユニット(103、109、206)とを有する、リソグラフィシステム、特に半導体リソグラフィ用の投影露光装置(100、200)であって、
請求項1~16のいずれか1項に記載の少なくとも1つの光学装置(1)が設けられ、前記光学素子(116、118、119、120、121、122、Mi、207)の少なくとも1つが、前記少なくとも1つの光学装置(1)の光学素子(2)であり、且つ/又は前記光学素子(116、118、119、120、121、122、Mi、207)の少なくとも1つが、請求項17~28のいずれか1項に記載の方法を用いて変形可能な光学面(3)を含むリソグラフィシステム。
【請求項30】
光学面(3)を含むリソグラフィシステム(100、200)の光学素子(2)の製造方法であって、前記光学面(3)は、1つ又は複数のアクチュエータ(4)により変形可能であり、前記光学素子(2)は、前記光学面(3)の変形を判定する歪みゲージデバイス(5)を含み、該歪みゲージデバイス(5)は、測定放射線(9)の測定スペクトル(8)を生成する少なくとも1つの経路長デバイス(7)を含み、該経路長デバイス(7)は、前記測定放射線(9)用のグレーティングデバイス(7a)及び/又は前記測定放射線(9)用の共振器デバイス(7c)及び/又は少なくとも1つの導波路(11)を含み、
該少なくとも1つの導波路(11)及び/又は前記少なくとも1つのグレーティングデバイス(7a)及び/又は前記少なくとも1つの共振器デバイス(7c)は、前記基板素子(10)により形成される製造方法。
【請求項31】
請求項30に記載の製造方法において、
前記少なくとも1つの導波路(11)及び/又は前記少なくとも1つのグレーティングデバイス(7a)及び/又は前記少なくとも1つの共振器デバイス(7c)の形成は、屈折率の局所的変化による直描により達成される製造方法。
【請求項32】
請求項31に記載の製造方法において、
前記屈折率の局所的変化は、
例えば紫外線スペクトル域の、且つ/又は好ましくは数フェムト秒、特に1フェムト秒~15フェムト秒のパルス持続時間を有する超短レーザパルスを用いた描画放射線、及び/又は
イオンビーム、及び/又は
電子ビーム
により形成される製造方法。
【請求項33】
請求項30~32のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記少なくとも1つの導波路(11)及び/又は前記少なくとも1つの経路長デバイス(7)は、露光、現像、エッチング、又は材料塗布等のリソグラフィ技術を用いて表面付近に施される製造方法。
【請求項34】
請求項30~33のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記少なくとも1つの導波路(11)及び/又は前記少なくとも1つの経路長デバイス(7)は、特にモノリシック製造のために3次元で、且つ/又は前記光学素子の表面のはるかに下で、特に前記光学面(3)の下で構造化される製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021日5月27日に出願された独国特許出願第10 2021 205 426.9号の優先権を主張し、当該出願の全体を参照により本明細書に援用して本開示の一部を形成する。
【0002】
本発明は、光学面を含む少なくとも1つの光学素子と光学面を変形させる1つ又は複数のアクチュエータとを有する、リソグラフィシステム用の光学装置に関する。
【0003】
本発明はさらに、1つ又は複数のアクチュエータによりリソグラフィシステムの光学素子の光学面の目標変形を設定する方法に関する。
【0004】
さらに、本発明は、放射源を有する照明系と少なくとも1つの光学素子を含む光学ユニットとを有する、リソグラフィシステム、特に半導体リソグラフィ用の投影露光装置に関する。
【0005】
さらに、本発明は、リソグラフィシステムの光学素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0006】
投影露光装置において放射線を誘導し整形するための光学素子が、従来技術から既知である。既知の光学素子では、多くの場合に、光学素子の表面が当該光学素子に入射した光波を誘導し整形する。したがって、所望の特性を有する正確な波面を形成するには、表面の形状の精密な制御が特に有利である。
【0007】
従来技術では、光波と相互作用する光学面を目標通りに整形するために力を発生させるアクチュエータを有する光学装置に光学素子を組み込むことが開示されている。
【0008】
従来技術によれば、光学素子に対するアクチュエータの効果は、例えばモデリングに基づき予測される。しかしながら、モデリングで無視される影響がモデルの予測力を弱める可能性がある。
【0009】
従来技術による光学装置の欠点は、精度向上に対する需要の高まりに対応するには目標変形のできる限り正確な維持が重要だが、この目的で知られる目標変形を正確に設定する措置では不十分であることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来技術の欠点を回避する、特に光学面の目標変形の精密な整形又は精密な設定を容易にする光学装置を開発するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する光学装置により達成される。
【0012】
本発明はさらに、従来技術の欠点を回避する、特に光学面の目標変形の精密な整形又は精密な設定を容易にする、光学面の目標変形を設定する方法を開発するという目的に基づく。
【0013】
この目的は、請求項17に記載の特徴を有する方法により達成される。
【0014】
本発明はさらに、従来技術の欠点を回避する、特に投影放射線の精密に整形された波面の形成を容易にするリソグラフィシステムを開発するという目的に基づく。
【0015】
本発明によれば、この目的は、請求項29に記載の特徴を有するリソグラフィシステムにより達成される。
【0016】
リソグラフィシステム用の本発明による光学装置には、光学面を含む少なくとも1つの光学素子と光学面を変形させる1つ又は複数のアクチュエータとが存在する。光学素子は、光学面を判定する歪みゲージデバイスを含むものとし、歪みゲージデバイスは、
測定放射線の測定スペクトルを生成する少なくとも1つの経路長デバイスであり、測定放射線用のグレーティングデバイス及び/又は測定放射線用の共振器デバイスを含む経路長デバイス、及び/又は
少なくとも1つの導波路
を含み、少なくとも1つの導波路及び/又は少なくとも1つのグレーティングデバイス及び/又は少なくとも1つの共振器デバイスは、基板素子により形成される。
【0017】
本発明の範囲内では、歪みは収縮及び/又は圧縮を意味するとも理解され得る。
【0018】
歪みゲージデバイスは、測定放射線の測定スペクトルを生成する少なくとも1つの経路長デバイスを含み得るものとし、経路長デバイスは、測定放射線用のグレーティングデバイス及び/又は測定放射線用の共振器デバイスを含み、少なくとも1つのグレーティングデバイス及び/又は少なくとも1つの共振器デバイスは、基板素子により形成される。
【0019】
歪みゲージデバイスは、少なくとも1つの導波路を含み得るものとし、少なくとも1つの導波路は、基板素子により形成される。
【0020】
本発明による光学装置には、光学面の変形を歪みゲージデバイスにより監視できるという利点がある。これに関して、光学面は光学素子の一部なので、歪みゲージデバイスが光学素子の一部であることにより歪みゲージデバイスにより光学素子に空間的且つ/又は機能的に極めて近接して光学面の変形に関する情報を収集及び測定することができる。
【0021】
さらに、光学面の機械的変形は、光学面を整形し且つ/又は目標変形を設定する働きをする。
【0022】
光学面の実変形又は光学面の実変形に関する情報の監視により、光学面の形状に関して、したがって光学面により誘導及び整形された光又は放射線に対するその影響に関して知ることができるので、光学面で得られた光学面を変形させるよう構成されたアクチュエータの効果に関する情報が、少なくとも間接的に得られる。
【0023】
特に、歪みゲージデバイスは、光学面内及び/又は光学面上の複数の規定の場所で歪みが測定されるように設計され得るものとする。
【0024】
歪みゲージデバイスは、少なくとも1つの光学素子及び/又は光学ユニットに直接施されて、光学素子の変形の実際の状態を読み取るために光学効果の点でセンサとして利用可能である構造を含み得るものとする。特に、この構造は、光の入力結合及び/又は誘導を可能にする導波路であり得る。
【0025】
例として、少なくとも1つのアクチュエータは、圧電及び/又は電歪アクチュエータの形態とすることができる。
【0026】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、歪みゲージデバイスは、光学素子の少なくとも1つの測定領域の歪みを判定するよう構成され得るものとし、この少なくとも1つの測定領域は、測定領域の歪みが光学面の変形により決まるように配置される。
【0027】
光学面の変形と測定領域の歪みとの間のできる限り固有の関係、好ましくは全単射関係により、測定領域の歪みが光学面の変形により決まる。したがって、所定の好ましくは全単射関係が生じるように少なくとも1つの測定領域が光学素子内及び/又は光学素子上に配置されれば有利である。このようにして、少なくとも1つの測定領域の歪みから光学素子の実変形に関する特に確実な情報を判定することが可能である。
【0028】
これを達成するために、記載の実施形態において、歪みゲージデバイスは少なくとも1つの測定領域における歪みを判定するよう構成されるものとする。したがって、上記実施形態では、光学面から始まり測定領域の歪みへ、そして測定領域の歪みから歪みゲージデバイスへの光学面の実変形に関する情報の流れが得られる。逆順では、少なくとも1つのアクチュエータから始まり好ましくは測定領域の歪みを経て光学面の変形に至る、設定する光学面の変形に関する情報の流れが得られる。
【0029】
本発明の範囲内では、測定領域は、実歪み、特に元の歪みに対する実歪みの変化を十分な正確度で測定可能である光学装置の領域を意味すると理解されたい。
【0030】
本発明による光学装置の有利な形態において、歪みゲージデバイスは、少なくとも1つの測定領域内に少なくとも部分的に配置され得るものとする。
【0031】
歪みゲージデバイスを少なくとも1つの測定領域に少なくとも部分的に、好ましくは完全に物理的に配置することは、少なくとも1つの測定領域における歪み及び/又はゆがみを機械的結合により歪みゲージデバイスに伝達できるので有利である。これにより、検査する測定領域内に実際にある歪みに即座に直接的にアクセスできるのが有利である。
【0032】
この代替として又は追加として、歪みゲージデバイスは、測定領域と物理的に接触して配置されるのではなく測定領域から離れて配置され得るものとする。例として、歪みゲージデバイスは、測定領域が歪んだ場合に測定領域の外輪郭の変化により測定領域の歪みを判定するカメラを含み得る。このような歪みゲージデバイスは、少なくとも1つの測定領域内に少なくとも部分的に配置されることはないが、測定領域の歪みに関する情報の流れは確保される。
【0033】
光学素子は、連続的に且つ/又は一体的に形成された光学面を含み得るものとし、且つ特に視野ファセットミラーではないものとする。結果として、光学面は、少なくとも略自由曲面を形成することができる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、歪みゲージデバイスは、測定放射線の測定スペクトルを生成する少なくとも1つの経路長デバイスを含む。
【0035】
この目的で、経路長デバイスは、特徴的な歪み依存性の反射スペクトル及び/又は特徴的な歪み依存性の透過スペクトルを示す又は有し得るものとする。
【0036】
歪みゲージデバイスが測定放射線の測定スペクトルを生成するよう構成される場合、これにより、歪みゲージデバイスにおける特に精度よく効率的な信号評価が容易になる。第1に、情報項目又は所望の情報を測定放射線により特に良好に記録し、特に伝達することができ、第2に、スペクトル又はスペクトル信号は測定による精度のよい判定に理想的に適している。
【0037】
この目的で設けられた経路長デバイスが、測定放射線の成分毎に異なる経路長を形成し且つ/又は測定放射線の異なる成分間で経路長差を形成し、好ましくはその後に異なる経路長を進んだ測定放射線の部分同士を干渉させるよう構成されれば、特に有利である。これに関して、本発明の範囲内では、経路長デバイスという用語は、この効果のみに制限されると理解すべきではない。
【0038】
例として、経路長デバイスは、測定放射線を揃える光学媒体内の屈折率変化により形成することができる。これにより、測定放射線の様々な成分毎に異なる光路長が生じる。
【0039】
本発明の範囲内で用いられる測定放射線は、100nm~10000nm、好ましくは300nm~3000nm、特に好ましくは1500nm~1600nmの波長を有し得るものとする。
【0040】
少なくとも1つの測定スペクトルは、100nm~10000nm、好ましくは300nm~3000nm、特に好ましくは1,500nm~1600nmの波長を有し得るものとする。
【0041】
歪みゲージデバイスは、経路長デバイスの光学的な読出し用の読出しデバイスを有し得るものとする。
【0042】
読出しデバイスは、少なくとも以下の構成部:
導波路を介して経路長デバイスに放射される測定放射線を形成する測定放射線源と、
少なくとも1つの経路長デバイスにより透過及び/又は反射された測定放射線を検出して電気信号に変換する検出デバイス、特に分光計デバイスと、
デジタルアルゴリズムを実行する評価演算デバイスと
を含み得るものとする。
【0043】
この場合、検出デバイスは、様々な読出し方法を実施するよう構成することができる。例として、検出デバイスは、分光法及び干渉法の両方を実行するよう構成することができる。
【0044】
分光法として、特に、従来の分光測定法、デュアルコム分光法、及び/又はPound-Drever-Hall-Lock法が挙げられる。
【0045】
上記読出し方法は、経路長デバイスの測定スペクトルの読出しと、その好ましくはデジタルの電気信号への変換とのためのものである。
【0046】
代替として又は追加として、読出しデバイスは、少なくとも以下の構成部:
様々な狭帯域波長域の測定放射線を形成する結果として好ましくは広い波長帯域を掃引又は走査可能であり、導波路を介して測定放射線を経路長に放射可能である波長可変の狭帯域測定放射線源と、
少なくとも1つの経路長デバイスにより透過及び/又は反射された測定放射線を時間分解的に検出可能であり且つ電気信号に変換可能である検出デバイス、特にフォトダイオードと、
デジタルアルゴリズムを実行する評価演算デバイスと
を含み得るものとする。
【0047】
さらに、読出しデバイスは、アンバランスマッハツェンダー干渉計により干渉法を実行するよう構成することができる。
【0048】
この目的で必要な光学及び/又は電子デバイスは、好ましくはフォトニック集積回路として、且つ/又は外部構造として、測定する光学素子の光学面上に実装することができる。
【0049】
経路長デバイスはさらに、歪みゲージデバイスの幾何学的構造により光路長に影響を及ぼすことができるので有利である。特に、経路長デバイスが歪んだ場合に測定放射線の成分が進む経路長の差が変わり得るものとする。結果として、存在する歪みに関して結論を出すことが可能である。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、経路長デバイスは、測定放射線用のグレーティングデバイスを含む。
【0051】
測定放射線の異なる成分間の経路長差を、グレーティングデバイス、特に光学グレーティングにより系統的且つ単純に発生させることができるのが有利である。
【0052】
特に、グレーティングデバイスは、好ましくは屈折率変化により形成されたライングレーティングとすることができる。高屈折率及び低屈折率の領域を交互の線の形態で系統的に配置すること、すなわちライングレーティングにより、グレーティングデバイスの範囲に沿って測定放射線の多くの個々のサブ成分の経路長差を得ることが可能である。いうなれば、測定放射線の大きく二等分したものが異なる経路長となるだけでなく、測定放射線はグレーティング長及びグレーティング周期に従って多くの小さな部分に分割され、これらの部分に2つの屈折率群が割り当てられ、したがってさらに異なる経路長を有する測定放射線の2つの成分が生じる。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、経路長デバイスは、測定放射線用の共振器デバイスを含む。
【0054】
経路長デバイスとしての共振器デバイスは、共振デバイスの共振周波数が当該共振器デバイスの幾何学的大きさに応じて変わり得るので有利である。測定デバイスの歪みの結果として共振器デバイスの幾何学的大きさに変化がある場合、実歪みに関して特に精度のよい結論を出すことが可能である。
【0055】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、光学素子は、光学面が配置及び/又は形成される基板素子を含み得るものとし、歪みゲージデバイスは、基板素子内及び/又は基板素子上に少なくとも部分的に配置され得るものとする。
【0056】
基板素子は、好ましくはガラス及び/又は酸化ケイ素でできた光学素子の中実且つ/又は一体型の本体として形成することができる。
【0057】
基板素子が光学面の下に見られる光学素子は、光学面が捩れ及び/又は振動に対して有利に安定するので有利である。
【0058】
この場合、基板素子が光学面に機械的に密結合されている場合に歪みゲージデバイスが基板素子内及び/又は基板素子上に少なくとも部分的に配置されれば特に有利である。
【0059】
例として、光学面は、基板素子上のパターン及び/又はコーティングとして、且つ/又は基板素子により形成され得るものとする。
【0060】
基板素子の歪みを測定する歪みゲージデバイスは、こうして、光学面の変形に関する制度のよい確実な結論を出すことを可能にする。
【0061】
歪みゲージデバイスが基板素子に包み込まれる場合、歪みゲージデバイスは、上記基板素子に特に密着して機械的に結合されて、基板素子の歪みの特に正確な測定を可能にすることができる。これに対して、歪みゲージデバイスを基板素子上に配置すると、歪みゲージデバイスを導入するために基板素子の構造、ひいては機械的安定性を変える必要がなく、歪みゲージデバイスが上記基板素子の外部に配置されるので有利である。
【0062】
逆に、歪みゲージデバイスを基板素子内に部分的に配置する、すなわち歪みゲージデバイスの一部を基板素子の外側に位置付けることは、歪みゲージデバイスの関連部分のみが基板素子内又は基板素子上に配置されればよくなるので有利であり得る。
【0063】
歪みゲージデバイスを基板素子内又は基板素子上に完全に配置することは、光学装置の特に小型の構造を得ることができるので有利であり得る。
【0064】
歪みゲージデバイスは、経路長デバイスに加えて又はその代替として、さらなるアクティブセンサ構造を含み得るものとする。
【0065】
特に、アクティブセンサ構造は、測定放射線用のキャビティとして働き得るものとし、キャビティのモード構造は、測定領域の歪みにより変更可能であり得るものとする。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、経路長デバイスは、少なくとも1つの導波路を含む。
【0067】
少なくとも1つの導波路があることで、少なくとも1つの経路長デバイスへの測定放射線の供給が容易になる。
【0068】
これに関して、少なくとも1つの導波路は、光ファイバ、光チャネル、及び/又は純粋な実施形態では測定放射線の自由ビームガイドを含み得るものとする。これに関して、グレーティングデバイスが導波路における屈折率変化として形成され得ることにより、歪みゲージデバイスの特に小型の構造が得られるので、グレーティングデバイスとしての経路長デバイスの実施形態が有利である。特に、このような実施形態では、経路長デバイス又はグレーティングデバイスを光学素子の関連領域に配置して、測定放射線を光学素子の関連領域間で少なくとも1つの導波路を通して伝送することができる。
【0069】
例として、導波路は、光学素子の基板素子にモノリシック集積された光チャネルを含み得る。
【0070】
複数の経路長デバイスが、単一の導波路及び/又は分岐した導波路網に沿って配置され得るものとする。
【0071】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、歪みゲージデバイスは複数の経路長デバイスを含み、少なくとも1つの導波路が測定放射線を複数の経路長デバイスへ好ましくは順次誘導し得るものとする。
【0072】
このような実施形態により、1つの導波路のみを用いた光学素子の複数の関連領域の監視が容易になる。
【0073】
複数の経路長デバイスは、グレーティングデバイスとして形成され得るものとする。
【0074】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、少なくとも1つのグレーティングデバイスは、ファイバブラッググレーティングの形態であり得るものとする。
【0075】
ファイバブラッググレーティングとしての少なくとも1つのグレーティングデバイスの形成は、グレーティングデバイスの歪みの変化をファイバブラッググレーティングにより特に有利に監視できるので有利である。グレーティングデバイスが歪んだ場合、ファイバブラッググレーティングのグレーティング周期が変わるので、背面反射ファイバ帯域幅及び特に背面反射ファイバ帯域幅の中心波長が、ファイバブラッググレーティングが受けた歪みに基づき変わる。
【0076】
さらに、ファイバブラッググレーティングを通る測定放射線の透過スペクトルのノッチが、ファイバブラッググレーティングの歪みの結果として、ファイバブラッググレーティングの歪みに基づき変化し、ノッチは、ファイバ帯域幅の中心波長の場所にファイバ帯域幅の幅で形成される。
【0077】
さらに、反射中心波長の相対位置及び/又は透過スペクトルのノッチの相対位置を求めて分析することで、ファイバブラッググレーティングのグレーティング周期の変化に関して、ひいてはファイバブラッググレーティングが受けた機械的且つ/又は幾何学的歪みに関して特に精度のよい結論を出すことができる。
【0078】
経路長デバイスは、導波路に沿った単純なファイバブラッググレーティングとして形成され得るものとする。
【0079】
さらに、経路長デバイスは、複雑な幾何学的形状を有し得るものとする。特に、経路長は、πファイバブラッググレーティングとして且つ/又は共振器デバイスとの、特に少なくとも1つのリング共振器との組み合わせとして形成され得るものとする。
【0080】
さらに、経路長デバイスは、ファイバブラッググレーティング及び/又はπファイバブラッググレーティング及び/又は2次元共振器デバイス及び/又は3次元共振器デバイスの組み合わせとして形成され得るものとする。
【0081】
特に、経路長デバイスは、特定の波長域の測定放射線を選択的に反射及び/又は能動的に模倣し、且つ/又は上記特定の波長域の測定放射線を測定放射線の透過スペクトルから除去するよう構成され得るものとする。
【0082】
さらに、経路長デバイスは、歪みの変化及び/又は温度変化が反射及び/又は透過スペクトルの変化につながるように形成され得るものとする。
【0083】
経路長デバイスは、光接続により、特に導波路により、読出しデバイス、特に分光計デバイスに接続され得るものとする。
【0084】
したがって、歪みゲージデバイスの構造は、特にブラッググレーティング及び/又はファイバブラッググレーティングの形態の屈折率変化が測定放射線の伝播方向に沿って導波路に導入されるように具現され得るものとする。
【0085】
ファイバブラッググレーティングを有する光ファイバは、光学素子上又は光学素子内に接着接合され得るものとする。
【0086】
ファイバブラッググレーティングを有する光ファイバは、低融点はんだガラス及び/又はダイレクトボンディング技術により光学素子上又は光学素子内に、特に基板素子に融着させるものとすることができる。
【0087】
例えば風車、パイプライン、橋、及び建物の監視の目的で、歪み測定用のファイバブラッググレーティングセンサが従来技術から既知である。
【0088】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、少なくとも1つの導波路は、光ファイバの形態であり得るものとする。
【0089】
導波路としての光ファイバには、湾曲時でも結合入射放射線を確実に透過するという利点がある。光ファイバは、特に少なくとも1つのアクチュエータにより歪みが生じた場合に湾曲し得る。
【0090】
さらに、光ファイバは、導光の範囲内での光損失が小さいか又は導光効率が高く、高品質の光ファイバを廉価に得ることができる。
【0091】
少なくとも1つの導波路は、光チャネルとして形成され得るものとし、その場合、測定放射線は光チャネルの壁で内部全反射されるので、測定放射線の光波が導波路内で誘導される。
【0092】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、少なくとも1つの導波路及び/又は少なくとも1つのグレーティングデバイス及び/又は少なくとも1つの共振器デバイスは、基板素子により形成され得るものとする。
【0093】
基板素子による経路長デバイスの、すなわち特に少なくとも1つのグレーティングデバイス及び/又は少なくとも1つの共振器デバイスの実施形態は、経路長デバイスと基板素子との間で追求される機械的な密結合をこのようなモノリシック構造により直接得ることができるので有利である。結果として、基板素子の歪みを精度よく確実に判定することができるのが有利である。
【0094】
これに関して、少なくとも1つの導波路が基板素子により好ましくはモノリシックに形成されればさらに有利である。これにより、歪みゲージデバイス及び/又は光学素子の特に小型の構造が得られる。
【0095】
導波路及び/又は少なくとも1つの経路長デバイスは、光学素子の特殊層でモノリシックに製造され得るものとする。
【0096】
さらに、少なくとも1つの導波路及び/又は少なくとも1つの経路長デバイスは、光学素子の基板素子に直接モノリシックに製造され得るものとする。
【0097】
モノリシック製造法には、接着剤ベースの一体化方法よりも有利である。特にリソグラフィシステム内で光学装置の、特に光学コーティングが存在する場合は光学面の長期安定性及び機能性のために接着剤が用いられる場合に問題となるような、特に当該接着剤のクリープ移動、流動、体積変化、及びガス放出を回避することができる。
【0098】
歪みゲージデバイスの少なくとも一部のモノリシック製造のさらに別の利点は、様々な材料が例えば基板素子の材料、接着剤、及び光ファイバの材料と相互作用すると形成され得る応力が回避されることにある。相互作用時のこのような応力は、例えば、使用材料が同時に異なる熱膨張係数を有する場合の温度変化の結果として生じ得る。
【0099】
例として、このような応力は、測定領域の歪み及び/又は光学面の変形の測定値の誤差につながり得る。さらに、光学素子での歪みゲージデバイス又は導波路及び/又は経路長デバイスのモノリシック集積は、繋ぎ合わせる材料の数が少なくなり、生じ得る応力を減らすことができ、より均一な熱膨張係数を得ることができるので有利である。
【0100】
さらに、接着接合が省かれる結果として接着による問題が生じない。
【0101】
モノリシック製造に可能な方法は、例えば、フォトニック集積回路の作製及び/又はラス若しくはガラスセラミック基板における導波路の描画から知られている。
【0102】
歪みゲージデバイス及び/又は少なくとも1つの導波路及び/又は少なくとも1つの経路長デバイスの部品を形成するために、これらは、屈折率の局所的変化による直描により製造され得るものとする。特に、屈折率の局所的変化は、
例えば紫外線スペクトル域の、且つ/又は好ましくは数フェムト秒のパルス持続時間を有する超短レーザパルスを用いた描画放射線、及び/又は
イオンビーム及び/又は
電子ビーム
により形成され得るものとする。
【0103】
さらに、歪みゲージデバイスの部品の製造時に、例えば露光、現像、エッチング、又は材料塗布等のリソグラフィ技術を用いて少なくとも1つの導波路及び/又は少なくとも1つの経路長デバイスを表面付近に施すことができる。
【0104】
リソグラフィ技術は、特に表面に近い領域に適しているが、直描法により、特にモノリシック製造のために少なくとも1つの導波路及び/又は少なくとも1つの経路長デバイスを3次元で構造化する選択肢が得られる。特に、これは、光学素子の表面の、特に光学面のはるかに下で実行することができる。
【0105】
構造、例えば少なくとも1つの導波路及び/又は少なくとも1つの経路長デバイスは、10μmを超える、好ましくは100μmを超える、好ましくは1mmを超える、特に好ましくは10mmを超える深さで製造され得るものとする。
【0106】
表面付近の歪み測定のために、構造、例えば少なくとも1つの導波路及び/又は少なくとも1つの経路長デバイスは、5μm~20μm、好ましくは10μmの深さで製造され得るものとする。
【0107】
基板素子は、SiO-TiOガラスから形成され得るものとする。このようなガラスは、熱膨張係数が非常に小さく、したがって光学面の下の基板素子の実現に特に適している。
【0108】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、歪みゲージデバイスの複数の測定領域が基板素子の異なる深さで形成され得るものとし、且つ/又は複数の測定領域の少なくとも1つが基板素子の歪み中立平面に配置され得るものとする。
【0109】
歪みゲージデバイスは、1つの測定領域のみを有し得るものとする。
【0110】
基板素子の歪みを異なる深さで測定することで、基板素子全体の実際に存在するゆがみ及び/又は歪みに関して特に精度のよい結論を出すことができる。これにより、表面に実際に生じる変形を特に精度よく予測することができる。
【0111】
少なくとも1つのアクチュエータにより生じることが好ましい機械的歪み及び/又は外部効果、例えば温度変化により生じる歪み及びゆがみの効果を相互に分離することができるようにするために、歪みゲージデバイスの複数の測定領域の少なくとも1つが基板素子の歪み中立平面に配置されれば有利である。例えば温度変化により生じ得る等方的な膨張下では、歪み中立平面は膨張を生じるが、少なくとも1つのアクチュエータによる作動時にはゆがまない。
【0112】
歪みゲージデバイスは、少なくとも1つの測定領域の温度変化及び/又は温度を測定するよう構成され得るものとする。
【0113】
グレーティングデバイスは、温度依存性の中心波長又はブラッグ波長λを有し得るものとする。
【0114】
式(1)によれば、中心波長は、グレーティングデバイスのグレーティング周期Λと実効屈折率neffとの積の2倍として生じる。
【0115】
【数1】
(1)
【0116】
式(2)は、歪みの場合、又は歪みにより生じたグレーティングデバイスの長さlの変化の場合、及び温度Tの変化ΔTの場合の、中心波長又はブラッグ波長λの変化を記述している。
【0117】
【数2】
(2)
【0118】
力による歪みがない場合、すなわちΔl=0の場合でも、温度Tの変化ΔTにより中心波長又はブラッグ波長λの変化があり得ることが明らかである。
【0119】
本発明において、歪み中立平面は、歪み中立軸から形成された基板素子の部分を意味すると理解されたい。特に、平面という用語は、空間で湾曲した基板素子のひずみ中立部分も指し得る。
【0120】
歪み及び温度の測定を分離するために、測定領域及び/又は経路長デバイスは、光学素子に異なる深さで導入され得るものとする。特に、歪みゲージデバイスの構造が、機械的歪みと温度膨張とを分離する目的で、測定領域又はアクティブセンサ構造が光学素子の歪み中立軸又は歪み中立平面に一部近接し一部離隔して導入されるように設計され得るものとする。
【0121】
以下に示す製造方法は、歪み中立平面付近にアクティブセンサ構造又は経路長デバイス又は測定領域を配置又は形成するために用いられ得るものとする。
【0122】
導波路及び/又は経路長デバイスは、例えばオプティカルコンタクト接合、溶接、特にレーザ溶接、接着接合、及び/又は好ましくは溝内での低融点ガラス、特にはんだガラスとの接続等の接合方法により、導波路又は経路長デバイス又は測定領域の形成後に2つの部分光学ユニットが接合方法で接続されることにより、光学素子又は基板素子のより深くに、特に歪み中立平面に近接して形成されるか又は取り付けられることができる。
【0123】
アクティブセンサ構造は、表面付近に形成される場合、例えばフォトニック集積チップの製造で用いられるようなリソグラフィ法により形成されることもできる。
【0124】
さらに、アクティブセンサ構造、特に導波路、経路長デバイス、又はその測定領域は、高エネルギーの好ましくはパルス状の光及び/又は粒子ビームによる光学面及び/又は基板素子への構造の直描により形成され得るものとする。これは、直接モノリシック形態の結果として基板素子と測定領域との間に有利な機械的な密結合があるので有利である。さらに、経路長デバイスは、光学面の下の基板素子の機械的特性を大きく変えることなく形成することができる。
【0125】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、閉ループを有する閉ループ制御デバイスが、歪みゲージデバイスにより判定された測定領域の実歪みを考慮して少なくとも1つのアクチュエータにより測定領域の目標歪みを設定するために設けられ得るものとする。
【0126】
閉ループ制御デバイスの閉ループを用いることにより、歪みゲージデバイスにより判定された実歪みに関する情報を考慮して測定領域の目標歪みを特に確実且つ精度よく達成することができる。
【0127】
この場合、測定放射線源及び/又は例えば分光計デバイスの形態の読出しデバイス、特に読出しエレクトロニクスへの少なくとも1つの導波路又は少なくとも1つの導波路構造の結合を、自由ビーム光学ユニット、基板素子のガラス構造への光ファイバの融着、光学素子、特に基板素子への機械ファイバホルダの接着接合、及び/又は光源及び/又は検出器を有するフォトニック集積チップの適用により実施することができる。
【0128】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、閉ループ制御デバイスは、歪みゲージデバイスにより判定された測定領域の実歪みを考慮して少なくとも1つのアクチュエータにより光学面の目標歪みを設定するよう構成され得るものとする。
【0129】
測定領域の精度よく判定された実歪みに基づき、実際に存在する光学面の実変形を推定することができる。例として、有限要素法に基づくモデリングをこの目的で行うことができる。
【0130】
この場合、閉ループ制御デバイスは、測定領域の判定された実歪みに基づき少なくとも1つのアクチュエータにより光学面の目標変形を設定するよう構成されることが有利であり、判定された実歪みと実際に存在する光学面の実変形との間のモデル化された関係を考慮することが可能である。
【0131】
例として、光学面付近の測定領域の相対位置の場合、このようなモデル化された関係は、光学面の実変形と測定領域の実歪みとが全く同一であることからなり得る。
【0132】
測定領域の判定された実歪みと光学面の実変形との間で有利な同一の関係が得られるように、測定領域は少なくとも部分的に光学面に配置され得るものとし、その結果として、測定領域の判定された実歪みに基づき閉ループ制御デバイス及び少なくとも1つのアクチュエータにより光学面の目標変形を特に容易に設定することができる。
【0133】
歪みゲージデバイスは、光学素子の形状挙動を監視するよう構成され得るものとする。この目的で、測定領域の歪みが測定され、測定領域の歪みを目標値に調整する適当な力が閉ループ内でアクチュエータにより生成され得るものとする。
【0134】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、閉ループ制御デバイスは、光学面の目標変形からの実変形の少なくとも1つの温度によるずれ及び/又は歪みによるずれを補正するよう構成され得るものとする。
【0135】
光学素子の性能を確保し且つ/又は高めるために、特に通常使用時に光学面が経時的に目標変形の形態で一定の形状を有すれば有利である。
【0136】
目標変形からのずれが光学装置により補正可能であれば有利である。通常使用時に、例えば組立ての範囲内での機械的ゆがみ及び/又は温度変化により、このようなずれが生じ得る。
【0137】
有利なのは、閉ループ制御デバイスが少なくとも1つのアクチュエータによりこのようなずれを補正するよう構成されることにより、光学面の性能が有利に高まることである。
【0138】
歪みゲージデバイスは、光学素子の複数の測定領域で歪みに加えて温度も測定できるように具現され得るものとする。
【0139】
従来技術から既知のファイバブラッググレーティングの場合、歪み変化及び温度変化の両方が、反射及び/又は透過測定スペクトルの変化につながる。
【0140】
温度から歪みを分離するために、それぞれに対する温度及び歪みの変化の影響が異なるように異なる幾何学的形状を有する少なくとも2つの経路長デバイスが近接して配置され得るものとする。
【0141】
温度から歪みを分離するために、光学素子の基板素子に対して強度が異なる機械的結合を有する少なくとも2つの経路長デバイスが近接して配置され得るものとする。結果として、2つの経路長デバイスに対する歪みの影響は異なる。
【0142】
温度から歪みを分離するために、経路長デバイスが複屈折導波路に、特に偏波保持ファイバに配置され得るものとする。この場合、歪みは、2つの偏光方向の別個の読出しにより温度から分離することができる。
【0143】
偏波保持光ファイバにより、光学面の変形に対する影響のうち温度変化に遡ることができる影響を、光学面の変形に対する影響のうち光学素子の歪み及び/又はゆがみに遡ることができる影響から分離する又は切り離すことが可能である。これにより、光学面の形状に対する様々な影響因子に対処し且つ/又はこれらを相互に別個に除去できるので、光学面の変形又は精密な整形のさらにより正確で精度のよい制御が促される。
【0144】
特にEUVリソグラフィシステムでの使用時に、光学面の温度変動が光学素子の変形に対する最大の外乱の1つを表し得るので、温度による影響の分離が特に有利である。特に、光学面又は光学素子の温度は、動作中に20℃~40℃で変動し得る。
【0145】
歪みから温度を分離するために、経路長デバイス及び別個の温度センサが設けられ得るものとし、それにより経路長デバイスの歪み信号を温度補正することができる。
【0146】
温度から歪みを分離するために、例えばリング共振器の場合に歪みの結果として経路長デバイスの対称性の破れが生じる一方で、温度変化の場合には対称性が維持され得るものとする。結果として、両方の測定量を分離することができる。
【0147】
温度から歪みを分離するために、光学素子内で、歪み中立軸、特に歪み中立平面に近接して位置付けられる経路長デバイスがあるのに対して、歪み中立軸から離れて位置付けられる経路長デバイスもあるように、複数の経路長デバイスが配置され得るものとする。歪み中立軸に近接した経路長デバイスの信号は、主に温度変化の影響を受けるが、歪み中立軸から離れて配置された経路長デバイスは、温度変化及び歪み変化の両方の影響を受ける。
【0148】
温度及び/又は歪みの影響は、モデル又は較正により分離することができ、両方の量を求めることができる。特に、温度と歪みに関する情報との両方又は2つの量の一方のみを求めようとする場合にこの方法を用いることもできる。
【0149】
温度による歪みは、投影露光装置での使用時の光出力の増加による熱負荷の結果として生じ得る。これは、光学素子の変形につながり得る。この効果を補償するために、特にデフォーマブルミラーの形態の光学装置の使用が有利であり得る。
【0150】
歪みゲージデバイスは、光学素子の形状の温度による変化及び歪みによる変化の両方を判定するよう構成され得るものとする。両方の効果がアクチュエータにより補償され得るものとし、これにより有限の熱膨張係数又は従来技術から既知のものよりも大きな熱膨張係数を有する材料の使用が容易になる。これは費用の節約になり得る。
【0151】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、光学素子により生じた光学効果に関連する光学面の変形を測定可能であるように複数の測定領域が光学素子に配置され得るものとする。
【0152】
特に、光学素子の光学効果に関連する変形を光学装置により補正できれば有利である。例として、光学効果は結像にあり得る。
【0153】
複数の歪みゲージデバイスが光学装置の一部として存在し得るものとする。複数の歪みゲージデバイスがある場合、複数の歪みゲージデバイスは、光学装置の他の構成部を共有し得るものとする。
【0154】
光学結像に関連する光学素子の形状変化を測定可能であるように、複数の歪みゲージデバイス及び/又は複数の経路長デバイスが光学素子に取り付けられ得るものとする。形状変化の補償に必要なアクチュエータ力は、較正及び/又は解析モデル及び/又は数値モデル及び/又は学習済みニューラルネットワークにより決定することができる。
【0155】
したがって、特に光軸に近接した領域を形状又は変形に関して精度よく確実に制御するために、光軸と光学面との交点付近に測定領域が配置されれば有利であり得る。
【0156】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、光学面の実変形及び/又は光学面の目標変形を設定するのに適した少なくとも1つアクチュエータの力を少なくとも1つの測定領域の判定された実歪みから求めるために、演算デバイスが設けられ得るものとする。
【0157】
特に、閉ループ制御デバイス及び演算デバイスは、例えばコンピュータの形態の1つのユニットを形成し得るものとする。
【0158】
光学面の規定の且つ/又は所望の目標変形をもたらすためにアクチュエータが加える必要がある力を決定するために、光学面及び/又は場合によっては光学面の下にある基板素子の機械的特性を考慮し、特に固体物理モデルの形態でこれらを実装することが可能である。この目的で必要な、場合によっては複雑な計算には、演算デバイスが特に有利であり得る。
【0159】
さらに、演算デバイスは、少なくとも1つの測定領域における実歪みと光学面の実変形との間の機械的関係のモデルを求めるよう構成され得る。
【0160】
状況が変わった場合、例えば温度上昇又は動作条件の変化の場合には、基礎となる計算及び/又はモデル形成を改めて実行しなければならないので、演算デバイスの存在はさらに有利である。特に、モデル類似計算を定期的に実施可能であり得るものとする。
【0161】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、複数のアクチュエータ、好ましくは全てのアクチュエータに、各アクチュエータの有効領域を含む、好ましくは有効領域のみを含む測定領域がそれぞれ割り当てられ得るものとする。
【0162】
本発明において、少なくとも1つのアクチュエータの有効領域は、少なくとも1つのアクチュエータにより生じた歪みを歪みゲージデバイスにより十分な正確度で測定可能である光学装置の領域を意味すると理解されたい。
【0163】
好ましくは、各アクチュエータは、単一の好ましくは経路関連の有効領域をそれぞれ有し得るものとし、特に隣接するアクチュエータの有効領域も重なることができる。
【0164】
本発明において、各アクチュエータは有効領域を有し、測定領域がアクチュエータの有効領域に割り当てられることが好ましい。
【0165】
複数のアクチュエータがある場合にアクチュエータの個々の有効領域をサンプリングすることは、光学面の変形の正確な形態を得るためにアクチュエータを効果に関連して個別に駆動できるので有利である。
【0166】
代替として又は追加として、複数の有効領域が1つの測定領域内にあり得るものとし、その結果としてアクチュエータを例えば効果に関連して群毎に駆動できる。
【0167】
この目的で、測定領域は、個々の測定領域をまとめて大きな測定領域を形成することにより事実上相互接続され得るものとする。例として、アクチュエータは個別に駆動されるのではなく群毎に駆動されるので、光学面のより迅速な設定を結果として得ることができる。
【0168】
これに対して、個々のアクチュエータを個別に作動させることで、光学面を空間的細部に関してより精度よく作動させることができる。
【0169】
少なくとも1つの経路長デバイス及び/又は少なくとも1つの歪みゲージデバイスは、各アクチュエータの有効領域を主に測定するためにアクチュエータ毎に配置及び構成され得るものとし、測定された有効領域は1つ又は複数の隣接するアクチュエータの歪み入力から少なくとも略独立している。
【0170】
特に、測定領域は、その測定領域に有効領域が割り当てられたアクチュエータにより生じた歪みのみを少なくとも事実上受けるように配置され得るものとする。
【0171】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、少なくとも1つの測定領域の歪み及び/又は光学面の振動は、歪みゲージデバイスにより規則的に、好ましくは連続的に判定可能であり得るものとする。
【0172】
少なくとも1つの測定領域の実歪みを規則的に、好ましくは連続的に判定することで、光学面の実変形、ひいては光学素子の性能を実質的に隙間なく経時的に監視することが容易になる。
【0173】
特に、光学面の変形の動的変化を結果として記録することができる。例として、光学面の振動は、このような動的変化を含む。
【0174】
したがって、歪みゲージデバイスは、少なくとも1つの測定領域の歪み及び/又は光学面の振動を規則的に、好ましくは連続的に判定するよう構成される。
【0175】
歪みゲージデバイスは、0Hz(静的な場合)~1000Hz、好ましくは1Hz~200Hzの周波数で振動する光学素子及び/又は光学面の振動を測定するよう構成され得るものとする。このような周波数は、光学素子の機能性に特に悪影響を及ぼし得るものであり、光学装置により回避することができる。
【0176】
この目的で、歪みゲージデバイスは、1kHz~100kHz、好ましくは3kHz~30kHz、特に好ましくは5kHz~20kHzの測定周波数で歪みを測定するよう構成され得るものとする。このような測定周波数は、上記周波数の振動の特に確実な測定に適している。
【0177】
歪みゲージデバイスは、光学素子又は光学装置の振動挙動を監視するよう構成され得るものとする。この目的で、歪みは連続的に且つ/又は立て続けに測定されるものとする。
【0178】
本発明による光学装置の有利な発展形態において、1つ又は複数の測定領域は、光学面及び/又は光学素子の1つ又は複数の振動モードを判定可能であるように光学素子上及び/又は光学素子内に配置され得るものとする。
【0179】
少なくとも1つの振動モードを判定する際に振動モードの振幅及び/又は位相が求められ得るものとする。特に、全振動軌跡が測定され得るものとする。
【0180】
光学面及び/又は光学素子の1つ又は複数の振動モードを測定するために、光学面での振動発生中に光学素子内及び/又は光学素子上で特に強い歪み信号が生じる領域に1つ又は複数の測定領域が配置されれば有利である。結果として、信号対雑音比が特に高い振動モードが判定可能になる。
【0181】
少なくとも1つの測定領域の実歪みは、判定する振動モードの振動周波数に対する少なくとも1つのナイキスト周波数に対応するサンプリング周波数で判定されるものとすれば有利であり得る。
【0182】
結果として、検査する振動モードの光学面及び/又は光学素子の振動は、精度よく確実に判定することができるのが有利である。
【0183】
光学ユニットが大きくなり、光学ユニットの固有剛性に関する要件が不変である場合、光学ユニットの全質量が不均衡に増加することで、費用の増加につながり得る。したがって、光学装置の記載の実施形態は、光学素子が薄いミラーの形態であれば特に有利である。光学装置は、光学面及び/又は薄いミラーの変形のその場測定を可能にする歪みゲージデバイスを備えるので、このような薄いミラーの固有振動を光学装置により抑えることができる。
【0184】
したがって、光学素子の有限数の振動モードを測定できるように、1つ又は複数の歪みゲージデバイス及び/又は経路長デバイス及び/又は測定領域が、測定するに取り付けられ得るものとする。
【0185】
本発明はさらに、請求項17に記載の特徴を有する方法に関する。
【0186】
1つ又は複数のアクチュエータによりリソグラフィシステムの光学素子の光学面の目標変形を設定する本発明による方法では、光学面の実変形が、光学素子の少なくとも1つの測定領域の少なくとも1つの実歪みを判定することにより判定されるものとする。
【0187】
本発明による方法には、機械的効果、すなわち光学素子の少なくとも1つの測定領域の実歪みを判定することにより、光学面に対する少なくとも1つのアクチュエータの効果の成功を直接確認できるという利点がある。
【0188】
このように、目標変形が設定されて少なくとも1つのアクチュエータがその効果を発揮した後の光学面の真の実変形の経験的測定に予測が基づくので、特に正確な予測を得ることが可能である。
【0189】
光学面の形状は、離散的なサンプリング点で実歪みを測定することにより求められ得るものとし、光学面の形状全体がモデル及び/又は補間により求められる。
【0190】
この場合、歪み測定のサンプリング点は、相互に離れるように配置されることが好ましい複数の測定領域により形成され得るものとする。
【0191】
本発明による方法の有利な発展形態において、少なくとも1つの測定領域は、光学面の実変形を実歪みから推定できるように選択され得るものとする。
【0192】
測定領域の実歪みと光学面の実歪みとの間に弾力的な関数関係がある場合、少なくとも1つのアクチュエータの効果の確認はより容易になる。例として、少なくとも1つの測定領域と光学面との間に著しい機械的結合があり、少なくとも1つの測定領域の歪み及び/又はゆがみが光学面に少なくとも間接的に伝達され得るものとする。
【0193】
代替として又は追加として、少なくとも1つの測定領域が光学面の少なくとも1つの明確に画定可能な領域に対応して、光学面の明確に限定された領域の実変形を少なくとも1つの測定領域の実歪みによりモデリング可能であり得るものとする。
【0194】
さらに、少なくとも1つの測定領域は、光学面に配置され得るものとし、その結果として少なくとも1つの測定領域の歪みからの光学面の実変形を特に容易に推定することができるのが有利である。
【0195】
本発明による方法の有利な発展形態において、歪みゲージデバイスは、少なくとも1つの測定領域の実歪みの結果として少なくとも1つの経路長デバイスで少なくとも1つの測定スペクトルが影響を受けるように配置され得るものとする。
【0196】
測定放射線の光路長が測定領域の歪みの結果として変わる場合、歪みゲージデバイスは、光学デバイスの形態であり得る。特に、経路長デバイスの測定スペクトルが実歪みの影響を受ける場合、歪みゲージデバイスの測定原理は、歪みの精度のよい評価、分野によってはさらに比類のない精度のよい評価を有利に促す干渉測定に遡ることができる。
【0197】
経路長デバイスの測定スペクトルは、測定放射線が波方向により反射及び/又は透過されるスペクトルを意味すると理解されたい。
【0198】
本発明による方法の有利な発展形態において、実歪みは、少なくとも1つの測定放射線の少なくとも1つの測定スペクトルを検出することにより判定され得るものとする。
【0199】
測定放射線は、広帯域又は狭帯域の形態であり得る。
【0200】
広帯域の測定放射線を用いることにより、複数の測定スペクトルを並行して且つ/又は単一の測定スペクトルを有利に広いスペクトル域にわたって測定することが可能である。
【0201】
測定スペクトルは、走査方法により、好ましくは
狭波長域のみを有する狭帯域の測定放射線、特にレーザ放射線を経路長デバイスに放射すること、及び
狭い波長域の相対スペクトル位置を例えば波長可変レーザにより経時的に変える結果として、広波長帯域を好ましくは掃引又は走査すること、及び
透過及び/又は反射測定放射線の強度を時間分解的に、例えばフォトダイオードにより、波長域の変化と同期して測定すること、及び
好ましくは広波長帯域の測定スペクトルを、異なる時点の異なる時点の測定放射線の検出強度と測定放射線の波長との比較により判定すること
により検出され得るものとする。
【0202】
測定放射線を判定するためのこのような走査方法は、特に確実で精度がよい。
【0203】
特に、測定放射線の使用により、本方法の範囲内での光学的検出方法及び読出し方法の使用が可能である。
【0204】
本発明による方法の有利な発展形態において、経路長デバイスは、グレーティングデバイス及び/又は共振器デバイスにより形成され得るものとする。
【0205】
グレーティングデバイス又は光学グレーティング及び/又は光共振器は、測定放射線の個々の成分の非常に小さな経路長差に特に適している。測定領域の実歪みが変化する場合、グレーティングデバイス及び/又は共振器デバイスの幾何学的大きさの変化を起こすことが可能なので、グレーティングデバイス及び/又は共振器デバイスの光学的特性、特に共振特性及び/又は反射特性が変化する。これにより、変化した幾何学的形状、ひいては存在する測定領域の実歪みを非常に精度よく判定することができる。
【0206】
グレーティングデバイスは、共振器デバイスに組み込まれ得るものとする。これにより、歪みのさらにより精度のよい測定を容易にすることができる。
【0207】
さらに、共振器デバイスは、光ファイバから少なくとも部分的に形成された少なくとも1つのリング共振器を含み得るものとする。
【0208】
さらに、リング共振器は、少なくとも1つのファイバブラッググレーティングを含む光ファイバから少なくとも部分的に形成され得るものとする。結果として、ファイバ帯域幅及び/又はノッチの半値全幅を最大1/10まで減らすことができる。
【0209】
本発明による方法の有利な発展形態において、光学面の目標変形の設定に必要な少なくとも1つのアクチュエータの力は、光学面の判定された実変形に基づき好ましくは閉ループで決定及び/又は適用され得るものとする。
【0210】
所望の目標変形を得るのに適した少なくとも1つのアクチュエータの力を、光学面の判定された実変形に基づき特に正確に設定することができ、例えば経験的に設定することができる。特に、本方法は、光学面の作動が少なくとも1つのアクチュエータの力の効果のフォワードモデリングに純粋に基づくことを回避する。
【0211】
アクチュエータ位置の補正項が、判定された量と光学装置の目標値からのその偏差とから計算され得るものとする。補正は、光学面の変形が目標変形に近付くように計算され得るものとする。
【0212】
光学素子の振動挙動が抑えられる場合、アクチュエータは、光学素子の光学結像又は光学効果に関連する振動周波数の振動振幅が減るように駆動され得るものとする。
【0213】
本発明による方法の有利な発展形態において、実歪みは、光学面が配置及び/又は形成される少なくとも1つの基板素子の1つ又は複数の測定領域で判定され得るものとする。
【0214】
1つ又は複数の基板素子が光学面の下にある場合、下の基板素子の実歪みにより、光学面と下の基板素子との間の機械的結合が強い場合に実際に存在する光学面の実変形に関して特に精度のよい結論を出すことができるので、測定領域を1つ又は複数の基板素子に配置することが有利である。
【0215】
この場合、光学面は、基板素子上及び/又は基板素子内のパターン及び/又はコーティングとして形成され、且つ/又は上記光学面は、基板素子自体によりパターニングの形態で形成され得るものとする。光学面が基板素子のコーティングとして形成される場合、コーティングが基板素子に付着する結果として基板素子と光学面との間の有利に強い機械的結合が生じるので、測定領域にある実歪みを判定することにより実際に存在する光学面の実変形のモデリングが可能であり得るものとする。
【0216】
本発明による方法の有利な発展形態において、実歪みが複数の測定領域で同期して判定され得るものとする。
【0217】
実歪みを複数の測定領域で同期して判定する結果として、光学素子の歪み及びゆがみを有利に包括的に撮像することが可能である。
【0218】
実歪みは、複数の測定領域で時間的に立て続けに、例えば多重化法で判定され得るものとする。
【0219】
特に、複数の測定領域は、異なる好ましくは線形独立な空間軸で実歪みを捕捉し得るものとする。結果として、光学素子の実歪みを3次元空間で測定できるのが有利である。
【0220】
これがさらに当てはまるのは、測定領域が例えば3つずつの群に分けられ、3つの測定領域からなる群の3つの測定領域が空間軸に沿った向きにされる場合である。この場合、3つの測定領域からなるこのような群は、光学素子、特に基板素子に系統的且つ均一に配置され得るものとする。
【0221】
本発明による方法の有利な発展形態において、少なくとも1つの測定スペクトルのシフトが検出され得るものとする。
【0222】
スペクトルのスペクトルシフトは、干渉法により精度よく判定することができるのが有利である。したがって、実歪みの測定が少なくとも1つの測定スペクトルのシフトの測定に遡れば有利である。
【0223】
経路長デバイスは、少なくとも1つのアクチュエータの意図された使用により歪みが生じる場合の周波数シフトが1pm~1nm、好ましくは5pm~500pm、特に好ましくは20pm~100pmであるように設計され得るものとする。
【0224】
歪みゲージデバイス及び/又は経路長デバイスは、歪み分解能が1am~1nm、好ましくは5am~1pm、特に好ましくは0.5fm~50fmであるように設計され得るものとする。
【0225】
特に、グレーティングデバイスの、特にファイバブラッググレーティングのファイバ帯域幅の反射中心波長のシフトが検出され、且つ/又は測定放射線の透過スペクトルのノッチの中心波長の相対位置がグレーティングデバイス、特にファイバブラッググレーティングにより検出され得るものとする。
【0226】
このように、測定スペクトルの該当範囲を反射ファイバ帯域幅の中心波長及び/又は透過スペクトルのノッチの中心波長に縮小することで、シフトを迅速に精度よく判定することが容易になる。さらに、中心波長の相対位置は、グレーティングデバイスのグレーティング周期に、ひいてはグレーティングデバイスの幾何学的特徴に、したがってさらにグレーティングデバイスから機械的に切り離されたグレーティングデバイスの周囲の、すなわち測定領域の実歪みに直接応じて変わる。
【0227】
複数の測定領域における実歪みの同期測定は、少なくとも1つのアクチュエータによる光学面の変形を目標通りに連携して制御及び形成することができるので有利であり得る。
【0228】
個々の経路長デバイスの共振周波数及び/又は中心波長又はブラッグ波長を離調することにより、個々の経路長デバイスの測定スペクトルを区別可能に形成することが可能である。特に、これにより、複数の経路長デバイスを単一の導波路又はごく少数の導波路により読み取ることができる。
【0229】
2つ以上の、好ましくは10個を超える、より好ましくは50個を超える、特に100個を超える経路長デバイスが、同時に且つ/又は事実上同時に読み取られ得るものとする。
【0230】
本発明による方法の有利な発展形態において、少なくとも1つの測定領域の実歪み及び/又は光学面の振動は、歪みゲージデバイスにより規則的に、好ましくは連続的に判定され得るものとする。
【0231】
実歪みを規則的に、好ましくは連続的に判定することで、光学面の動的歪み、例えば振動及び/又は微動の検出が容易になる。その結果として、光学面の正しい挙動又は正しい形状を定期的に確認及び/又は適合及び/又は作動させることができる。
【0232】
連続的な判定、すなわち最善の時間分解能での判定は、実歪みの非常に短期間の変化さえも検出し、場合によっては補正することができるので有利である。
【0233】
少なくとも1つのアクチュエータの反応時間が目標歪みからの実歪みのこのような短期間のずれの補正に不十分である場合でも、このようなずれの監視又は検出は有利であり得る。
【0234】
本発明による方法の有利な発展形態において、光学面及び/又は光学素子の1つ又は複数の振動モードが判定され得るものとする。
【0235】
光学面の1つ又は複数の振動モード、特に光学面の固有振動の励起の検出は、上記振動モードが励起された場合に、例えば少なくとも1つのアクチュエータにより減衰、特に能動的に減衰され得るので有利である。結果として、光学素子の光学効果の低下を低減又は防止することができる。
【0236】
非常に薄い基板素子の場合の1つ又は複数の振動モードの監視は、このような基板素子に配置された光学面が特に大きな振幅且つ不利な周波数範囲で振動する傾向があり得るので、特に有利である。
【0237】
本発明による方法の有利な発展形態において、複数の測定領域における各実歪みが基板素子の異なる深さで判定され、且つ/又は実歪みが複数の測定領域の少なくとも1つにおいて基板素子の歪み中立平面で判定され得るものとする。
【0238】
基板素子の異なる層で実歪みを測定することで、基板素子に存在する実際の機械的歪みの均一な表示又は捕捉が容易になる。
【0239】
さらに少なくとも1つの測定領域が基板素子の歪み中立平面に配置される場合、基板素子全体の歪みに対する温度による影響を、組立ての範囲内の機械的ゆがみ及び/又は少なくとも1つのアクチュエータにより生じる機械的歪みの結果として例えば生じる歪みから、区別又は分離することが可能である。
【0240】
本発明に従って判定された光学素子の形状変化及び/又は振動及び/又は温度を、多くの異なる方法で用いることができる。
【0241】
光学装置の動作不良が、判定された実歪み及び/又は判定された実変形に基づき判定され得るものとする。リソグラフィシステムの光学装置の使用時に動作不良がある場合、場合によっては、リソグラフィシステムの現行のプロセスが終了され且つ/又は誤りが後続の処理ステップに伝送され得るものとする。さらに、問題の分析のために機械の担当者に通知し得るものとする。
【0242】
本発明はさらに、請求項29に記載の特徴を有するリソグラフィシステムに関する。
【0243】
本発明によるリソグラフィシステム、特に半導体リソグラフィ用の投影露光装置は、放射源を有する照明系と少なくとも1つの光学素子を含む光学ユニットとを備える。本発明によれば、本発明による少なくとも1つの光学装置が設けられるものとし、光学素子の少なくとも1つが少なくとも1つの光学装置の光学素子である。代替として又は追加として、光学素子の少なくとも1つは、本発明による方法を用いて変形可能な光学面を含むものとする。
【0244】
本発明の範囲内では、本発明による方法による変形性は、光学面の変形の調整性を意味すると理解されたい。
【0245】
本発明によるリソグラフィシステムには、光学素子又は光学面の光学効果が精度よく制御され且つ精度よく調整可能であることにより、投影露光装置の使用時に高い結像品質を有利に得ることが可能であるという利点がある。
【0246】
特に、光学装置は、EUV投影露光装置の投影レンズでの使用に適している。
【0247】
光学装置は、EUV投影露光装置及び/又はDUV投影露光装置及び/又はUV投影露光装置での使用に特に適している。
【0248】
特に、投影露光装置の光学コンポーネント又はミラーの少なくとも1つが光学装置の一部であり得るものとする。
【0249】
本発明はさらに、請求項30に記載の特徴を有するリソグラフィシステムの光学素子の製造方法に関する。
【0250】
光学面を含むリソグラフィシステムの光学素子の製造方法であって、光学面が1つ又は複数のアクチュエータにより変形可能であり、光学素子が光学面の変形を判定する歪みゲージデバイスを含み、歪みゲージデバイスが測定放射線の測定スペクトルを生成する少なくとも1つの経路長デバイスを含み、経路長デバイスが測定放射線用のグレーティングデバイス及び/又は測定放射線用の共振器デバイス及び/又は少なくとも1つの導波路を含む製造方法は、基板素子により少なくとも1つの導波路及び/又は少なくとも1つのグレーティングデバイス及び/又は少なくとも1つの共振器デバイスを形成するステップを含む。
【0251】
本発明の第1実施形態において、歪みゲージデバイスが測定放射線の測定スペクトルを生成する少なくとも1つの経路長デバイスを含み、経路長デバイスが測定放射線用のグレーティングデバイス及び/又は測定放射線用の共振器デバイスを含む場合、少なくとも1つのグレーティングデバイス及び/又は少なくとも1つの共振器デバイスは、基板素子により形成することができる。
【0252】
本発明の第2実施形態において、歪みゲージデバイスが少なくとも1つの導波路を含む場合、少なくとも1つの導波路は、基板素子により形成することができる。
【0253】
本発明による製造方法の有利な発展形態において、基板素子による少なくとも1つの導波路及び/又は少なくとも1つのグレーティングデバイス及び/又は少なくとも1つの共振器デバイスの形成は、屈折率の局所的変化による直描により達成することができる。
【0254】
本発明による製造方法の有利な発展形態において、屈折率の局所的変化は、例えば紫外線スペクトル域の、且つ/又は好ましくは数フェムト秒の、特に1フェムト秒~15フェムト秒のパルス持続時間を有する超短レーザパルスを用いた描画放射線、及び/又はイオンビーム、及び/又は電子ビームにより形成することができる。
【0255】
本発明による製造方法の有利な発展形態において、少なくとも1つの導波路及び/又は少なくとも1つの経路長デバイスは、露光、現像、エッチング、又は材料塗布等のリソグラフィ技術を用いて表面付近に施すことができる。
【0256】
本発明による製造方法の有利な発展形態において、少なくとも1つの導波路及び/又は少なくとも1つの経路長デバイスは、特にモノリシック製造のために3次元で、且つ/又は光学素子の表面のはるかに下で、特に光学面の下で構造化されている。
【0257】
本発明によるリソグラフィシステムの光学素子の少なくとも1つが、本発明による製造方法又はその記載の発展形態の1つにより製造されれば有利であり得る。
【0258】
本発明による光学素子の光学面の目標変形を設定する方法の光学素子が、本発明による製造方法又はその記載の変形形態の1つにより製造されれば有利であり得る。
【0259】
本発明の主題の1つに関連して記載した、具体的には本発明による光学装置、本発明による方法、本発明によるリソグラフィシステム、又は本発明による製造方法により与えられた特徴は、本発明の他の主題でも実施可能であるのが有利である。同様に、本発明の主題の1つに関連して示した利点は、本発明の他の主題に関しても理解することができる。
【0260】
さらに、「備える」、「有する」、「又は含む」等の用語が他の特徴又はステップを除外するものではないことに留意されたい。さらに、単一のステップ又は特徴を示す「a(n)」又は「the」等の用語は、複数の特徴又はステップを除外するものではなく、その逆も同様である。
【0261】
しかしながら、本発明の純粋な実施形態では、用語「comprising」、「having」、又は「with」を用いて本発明に導入された特徴は網羅的な列挙であり得るものとする。したがって、1つ又は複数の特徴リストは、例えば請求項毎にそれぞれ考慮した場合に完全に本発明の範囲内にあるものとみなされ得る。例として、本発明は、請求項1に記載の特徴のみからなり得る。
【0262】
「第1」又は「第2」等の表記は、各装置又は方法の特徴間を区別するために主に用いられるものであり、必ずしも特徴同士が必要とし合うこと又は関連し合うことを示すためのものではない。
【0263】
図面を参照して本発明の例示的な実施形態を以下でより詳細に説明する。
【0264】
各図は、本発明の個々の特徴を相互に組み合わせて示す好ましい例示的な実施形態を示す。例示的な実施形態の特徴は、同じ例示的な実施形態の他の特徴から独立して実施することもでき、当業者が適宜容易に組み合わせて他の例示的な実施形態の特徴との好都合なコンビネーション及びサブコンビネーションを形成することができる。
【0265】
図中、機能的に同一の要素には同じ参照符号を設けてある。
【図面の簡単な説明】
【0266】
図1】EUV投影露光装置の子午線断面を示す。
図2】DUV投影露光装置を示す。
図3】本発明による光学装置の可能な実施形態の断面の概略図を示す。
図3a】本発明による方法の実施形態の概略ブロック図型の図を示す。
図3b】本発明による光学装置の光学素子の可能な実施形態の概略図を示す。
図4】本発明による光学装置の光学素子のさらに別の可能な実施形態の概略図を示す。
図5】本発明による光学装置の光学素子のさらに別の可能な実施形態の概略図を示す。
図6】本発明による光学装置の可能な実施形態の概略的な等角図を示す。
図7】本発明による光学装置のさらに別の可能な実施形態の概略的な等角図を示す。
図8】本発明による光学装置の経路長デバイスの可能な実施形態の概略的な等角図を拡大して示す。
図9】グレーティングデバイスの可能な実施形態の概略図を示す。
図10】グレーティングデバイスの可能な測定スペクトルの概略図を示す。
図11】グレーティングデバイスのさらに別の可能な実施形態の概略図を示す。
図12】グレーティングデバイスのさらに別の可能な実施形態の概略図を示す。
図13】共振器デバイスの可能な実施形態の概略図を示す。
図14】グレーティングデバイスの実施形態のさらに別の概略図を示す。
図15】グレーティングデバイスのさらに別の可能な実施形態の概略図を示す。
図16】共振器デバイスのさらに別の可能な実施形態の概略図を示す。
図17】本発明による光学装置の可能な実施形態の概略的な等角図を示す。
図18】本発明による光学装置の光学素子の歪みゲージデバイスの可能な組込みの概略図を示す。
図19】歪みゲージデバイスの可能な製造プロセスの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0267】
最初に図1を参照して、リソグラフィシステムの例としてのマイクロリソグラフィEUV投影露光装置100の必須構成部品を以下で例示的に説明する。EUV投影露光装置100及びその構成部品の基本構造の説明は、ここでは限定的と解釈すべきではない。
【0268】
EUV投影露光装置100の照明系101は、放射源102に加えて、物体面105の物体視野104の照明用の照明光学ユニット103も含む。ここで、物体視野104に配置されたレチクル106が露光される。レチクル106は、レチクルホルダ107により保持される。レチクルホルダ107は、レチクル変位ドライブ108により特に走査方向に変位可能である。
【0269】
図1には、説明を助けるために直交xyz座標系を示す。x方向は図の平面に対して垂直に延びる。y方向は水平に延び、z方向は鉛直に延びる。図1では、走査方向はy方向に沿って延びる。z方向は物体面105に対して垂直に延びる。
【0270】
EUV投影露光装置100は、投影光学ユニット109を備える。投影光学ユニット109は、物体視野104を像面111の像視野110に結像する働きをする。像面111は、物体面105と平行に延びる。代替として、物体面105と像面111との間では0°以外の角度も可能である。
【0271】
レチクル106上の構造が、像面111の像視野110の領域に配置されたウェハ112の感光層に結像される。ウェハ112は、ウェハホルダ113により保持される。ウェハホルダ113は、ウェハ変位ドライブ114により特にy方向に沿って変位可能である。一方ではレチクル変位ドライブ108によるレチクル106の変位と、他方ではウェハ変位ドライブ114によるウェハ112の変位とは、相互に同期するように行われ得る。
【0272】
放射源102は、EUV放射源である。放射源102は、特に以下で使用放射線又は照明放射線とも称するEUV放射線115を出射する。特に、使用放射線115は、5nm~30nmの範囲の波長を有する。放射源102は、プラズマ源、例えばLPP源(「レーザ生成プラズマ」)又はGDPP源(「ガス放電プラズマ」)であり得る。これは、シンクロトロンベースの放射源でもあり得る。放射源102は自由電子レーザ(FEL)であり得る。
【0273】
放射源102から出る照明放射線115は、コレクタ116により集束される。コレクタ116は、1つ又は複数の楕円反射面及び/又は双曲反射面を有するコレクタであり得る。コレクタ116の少なくとも1つの反射面に、照明放射線115が斜入射(GI)で、すなわち45°よりも大きな入射角で、又は垂直入射(NI)で、すなわち45°よりも小さな入射角で入射し得る。コレクタ116は、第1に使用放射線115に対する反射率を最適化するために、第2に外来光を抑制するために構造化且つ/又はコーティングされ得る。
【0274】
コレクタ116の下流で、照明放射線115は中間焦点面117の中間焦点を伝播する。中間焦点面117は、放射源102及びコレクタ116を有する放射源モジュールと照明光学ユニット103との間の分離を表し得る。
【0275】
照明光学ユニット103は、偏向ミラー118と、ビーム経路でその下流に配置された第1ファセットミラー119とを備える。偏向ミラー118は、平面偏向ミラーであり得るか、あるいは純粋な偏向効果を超えたビーム影響効果を有するミラーであり得る。代替として又は追加として、偏向ミラー118は、照明放射線115の使用光波長をそこから逸脱する波長の外来光から分離する分光フィルタの形態であり得る。第1ファセットミラー119が、視野平面として物体面105と光学的に共役な照明光学ユニット103の平面に配置される場合、これを視野ファセットミラーとも称する。第1ファセットミラー119は、以下で視野ファセットとも称する複数の個別の第1ファセット120を含む。これらの第1ファセット120のいくつかのみを図1に例示的に示す。
【0276】
第1ファセット120は、巨視的なファセットの形態、特に矩形ファセットの形態、又は弧状の周辺輪郭又は部分円の周辺輪郭を有するファセットの形態とすることができる。第1ファセット120は、平面ファセット、あるいは凸状又は凹状に湾曲したファセットの形態であり得る。
【0277】
例えば独国特許出願公開第10 2008 009 600号から既知のように、第1ファセット120自体も、それぞれ複数の個別ミラー、特に複数のマイクロミラーから構成することができる。第1ファセットミラー119は、特に微小電気機械システム(MEMSシステム)として形成され得る。詳細は独国特許出願公開第10 2008 009 600号を参照されたい。
【0278】
照明放射線115は、コレクタ116と偏向ミラー118との間で水平に、すなわちy方向に沿って進む。
【0279】
照明光学ユニット103のビーム経路で、第1ファセットミラー119の下流に第2ファセットミラー121が配置される。第2ファセットミラー121が照明光学ユニット103の瞳面に配置される場合、これを瞳ファセットミラーとも称する。第2ファセットミラー121は、照明光学ユニット103の瞳面から離れて配置することもできる。この場合、第1ファセットミラー119及び第2ファセットミラー121の組み合わせを鏡面反射器とも称する。鏡面反射器は、米国特許出願公開第2006/0132747号、欧州特許第1 614 008号、及び米国特許第6,573,978号から既知である。
【0280】
第2ファセットミラー121は、複数の第2ファセット122を含む。瞳ファセットミラーの場合、第2ファセット122を瞳ファセットとも称する。
【0281】
第2ファセッ122も同様に、例えば円形、矩形、又は六角形の周囲を有し得る巨視的なファセットであり得るか、あるいはマイクロミラーから構成されたファセットであり得る。この点に関して、独国特許出願公開第10 2008 009 600号を同様に参照されたい。
【0282】
第2ファセット122は、平面反射面、あるいは凸状又は凹状に湾曲した反射面を有し得る。
【0283】
照明光学ユニット103は、結果として二重ファセットシステムを形成する。この基本原理は、フライアイインテグレータとも称する。
【0284】
第2ファセットミラー121を投影光学ユニット109の瞳面と光学的に共役な平面に正確に配置しないことが有利であり得る。
【0285】
第2ファセットミラー121を用いて、個々の第1ファセット120が物体視野104に結像される。第2ファセットミラー121は、物体視野104の上流のビーム経路で最後のビーム整形ミラー又は実際に照明放射線115に対する最終ミラーである。
【0286】
照明光学ユニット103のさらに別の実施形態(図示せず)において、特に物体視野104への第1ファセット120の結像に寄与する転写光学ユニットが、第2ファセットミラー121と物体視野104との間のビーム経路に配置され得る。転写光学ユニットは、厳密に1つのミラー、あるいは照明光学ユニット103のビーム経路に前後に並んで配置された2つ以上のミラーを有することができる。特に、転写光学ユニットは、1つ又は2つの垂直入射用のミラー(NIミラー、「垂直入射」ミラー)及び/又は1つ又は2つの斜入射用のミラー(GIミラー、「斜入射」ミラー)を含むことができる。
【0287】
図1に示す実施形態において、照明光学ユニット103は、コレクタ116の下流に厳密に3つのミラー、具体的には偏向ミラー118、視野ファセットミラー119、及び瞳ファセットミラー121を含む。
【0288】
照明光学ユニッ103のさらに別の実施形態では、偏向ミラー118を省くこともできるので、照明光学ユニット103は、その場合はコレクタ116の下流に厳密に2つのミラー、具体的には第1ファセットミラー119及び第2ファセットミラー121を有することができる。
【0289】
第2ファセット122による、又は第2ファセット122及び転写光学ユニットを用いた、物体面105への第1ファセット120の結像は、通常は近似的な結像にすぎない。
【0290】
投影光学ユニット109は、複数のミラーMiを含み、これらにはEUV投影露光装置100のビーム経路におけるそれらの配置に従って番号を付す。
【0291】
図1に示す例において、投影光学ユニット109は、6個のミラーM1~M6を含む。4個、8個、10個、12個、又は任意の他の数のミラーMiでの代替も同様に可能である。最後から2番目のミラーM5及び最終ミラーM6はそれぞれ、照明放射線115の通過開口を有する。投影光学ユニット109は、二重遮蔽光学ユニットである。投影光学ユニット109は、0.5よりも大きく、0.6よりも大きくてもよく、例えば0.7又は0.75であり得る像側開口数を有する。
【0292】
ミラーMiの反射面は、回転対称軸のない自由曲面として具現され得る。代替として、ミラーMiの反射面は、反射面形状の回転対称軸が厳密に1つである非球面として設計することができる。照明光学ユニット103のミラーと同様に、ミラーMiは、照明放射線115に対して高反射コーティングを有することができる。これらのコーティングは、特にモリブデン及びケイ素の交互層を有する多層コーティングとして設計することができる。
【0293】
投影光学ユニット109は、物体視野104の中心のy座標と像視野110の中心のy座標との間にy方向の大きな物体-像オフセットを有する。y方向では、この物体-像オフセットは、物体面105と像面111との間のz距離と略同じサイズであり得る。
【0294】
特に、投影光学ユニット109は、アナモルフィックな形態を有することができる。特にこれは、x方向及びy方向に異なる結像スケールβx、βyを有する。投影光学ユニット109の2つの結像スケールβx、βyは、好ましくは(βx,βy)=(+/-0.25,+/-0.125)である。正の結像スケールβは、像反転のない結像を意味する。結像スケールβの負の符号は、像反転のある結像を意味する。
【0295】
投影光学ユニット109は、結果として、x方向に、すなわち走査方向に対して垂直な方向に4:1の比でサイズを縮小させる。
【0296】
投影光学ユニット109は、y方向に、すなわち走査方向に8:1でサイズを縮小させる。
【0297】
他の結像スケールも同様に可能である。x方向及びy方向で同じ符号及び同じ絶対値の、例えば0.125又は0.25の絶対値の結像スケールも可能である。
【0298】
物体視野104と像視野110との間のビーム経路におけるx方向及びy方向の中間像面の数は、同じであってもよく、又は投影光学ユニット109の実施形態に応じて異なっていてもよい。x方向及びy方向のこのような中間像の数が異なる投影光学ユニットの例は、米国特許出願公開第2018/0074303号から既知である。
【0299】
瞳ファセット122のそれぞれが、物体視野104を照明する照明チャネルをそれぞれ形成するために視野ファセット120の厳密に1つに割り当てられる。特に、これにより、ケーラーの原理に従った照明を得ることができる。遠視野は、視野ファセット120を用いて複数の物体視野104に分解される。視野ファセット120は、それぞれに割り当てられた瞳ファセット122に中間焦点の複数の像を生成する。
【0300】
それぞれ割り当てられた瞳ファセット122により、視野ファセット120は、物体視野104を照明する目的で重なり合ってレチクル106に結像される。物体視野104の照明は、特にできる限り均一である。その均一性誤差は2%未満であることが好ましい。異なる照明チャネルを重ね合わせることにより、視野均一性を得ることができる。
【0301】
投影光学ユニット109の入射瞳の照明は、瞳ファセットの配置により幾何学的に規定することができる。導光する照明チャネル、特に瞳ファセットのサブセットを選択することにより、投影光学ユニット109の入射瞳における強度分布を設定することができる。この強度分布を照明設定とも称する。
【0302】
照明光学ユニット103の照明瞳の規定の照明部分の領域における同様に好ましい瞳均一性を、照明チャネルの再分配により達成することができる。
【0303】
物体視野104の、特に投影光学ユニット109の入射瞳の照明のさらなる態様及び詳細を、以下で説明する。
【0304】
特に、投影光学ユニット109は共心入射瞳を有し得る。これはアクセス可能とすることができる。これはアクセス不可能とすることもできる。
【0305】
投影光学ユニット109の入射瞳は、通常は瞳ファセットミラー121で正確に照明することはできない。瞳ファセットミラー121の中心をウェハ112にテレセントリックに結像する投影光学ユニット109の結像の場合、開口光線は一点で交わらないことが多い。しかしながら、開口光線の対で判定された距離が最小になる面を見つけることが可能である。この面は、入射瞳又はそれと共役な実空間面を表す。特に、この面は有限の曲率を有する。
【0306】
投影光学ユニット109は、タンジェンシャルビーム経路とサジタルビーム経路とで入射瞳の位置が異なる場合がある。この場合、結像素子、特に転写光学ユニットの光学コンポーネントを、第2ファセットミラー121とレチクル106との間に設けるべきである。この光学コンポーネントを用いて、タンジェンシャル入射瞳及びサジタル入射瞳の相対位置の相違を考慮することができる。
【0307】
図1に示す照明光学ユニット103のコンポーネントの配置において、瞳ファセットミラー121は、投影光学ユニット109の入射瞳と共役な面に配置される。第1視野ファセットミラー119は、物体面105に対して傾斜するように配置される。第1ファセットミラー119は、偏向ミラー118により画定された配置面に対して傾斜するように配置される。
【0308】
第1ファセットミラー119は、第2ファセットミラー121により画定された配置面に対して傾斜するように配置される。
【0309】
図2は、例示的なDUV投影露光装置200を示す。DUV投影露光装置200は、照明系201と、ウェハ204上のその後の構造を決定するレチクル203を収容し且つ正確に位置決めするレチクルステージ202として知られる装置と、ウェハ204を保持し、移動させ、且つ正確に位置決めするウェハホルダ205と、複数の光学素子、特にレンズ素子207を有する結像装置、具体的には投影光学ユニット206とを備えており、レンズ素子207は、投影光学ユニット206のレンズハウジング209にマウント208により保持される。
【0310】
図示のレンズ素子207の代替として又はこれに加えて、様々な屈折、回折、及び/又は反射光学素子、特にミラー、プリズム、終端板等も設けることができる。
【0311】
DUV投影露光装置200の基本的な機能原理では、レチクル203に導入された構造がウェハ204に結像される。
【0312】
照明装置201は、ウェハ204へのレチクル203の結像に必要な電磁放射線の形態の投影ビーム210を供給する。レーザ、プラズマ源等を、この放射線の供給源として用いることができる。放射線は、投影ビーム210がレチクル203への入射時に直径、偏光、波面の形状等に関して所望の特性を有するように光学素子により照明系201で整形される。
【0313】
レチクル203の像は、投影ビーム210により生成され、適当な縮小形態で投影光学ユニット206からウェハ204に転写される。この場合、レチクル203及びウェハ204を同期して移動させることができるので、レチクル203の各領域が、いわゆる走査プロセス中に事実上連続してウェハ204の対応領域に結像される。
【0314】
最終レンズ素子207とウェハ204との間の空隙を、屈折率が1.0を超える液体媒体で任意に置き換えることができる。液体媒体は、例えば高純度水であり得る。このような構成は、液浸リソグラフィとも称し、高いフォトリソグラフィ解像度を有する。
【0315】
本発明の使用は、投影露光装置100、200での使用にも、特に記載の構成を有する投影露光装置にも限定されない。本発明は、任意のリソグラフィシステムに、特に記載の構造を有する投影露光装置に適している。本発明は、図1に関して記載したものよりも小さな像側開口数を有し且つ遮蔽されたミラー(単数又は複数)M5及び/又はM6がないEUV投影露光装置にも適している。特に、本発明は、像側開口数が0.25~0.5、好ましくは0.3~0.4、特に好ましくは0.33のEUV投影露光装置にも適している。本発明及び以下の例示的な実施形態は、特定の設計に限定されるものと理解すべきではない。以下の図は、本発明を単なる例として非常に概略的に示す。
【0316】
図3は、本発明による光学装置1の可能な実施形態の概略的な断面図を示す。
【0317】
リソグラフィシステム、特に好ましくは図1及び図2に示す投影露光装置100、200用の光学装置1は、光学面3を有する少なくとも1つの光学素子2と、光学面3を変形させる1つ又は複数のアクチュエータ4とを備える。光学素子2はさらに、光学面3の変形を判定する歪みゲージデバイス5を含む。
【0318】
図3に示す例示的な実施形態では、歪みゲージデバイス5は、光学素子2の少なくとも1つの測定領域6の歪みを判定するよう構成される。この場合、少なくとも1つの測定領域6は、測定領域6の歪みが光学面3の変形により決まるように配置される。
【0319】
特に、光学面3及び測定領域6は、図示の例示的な実施形態では機械的に結合される。
【0320】
さらに、図3は、歪みゲージデバイス5が測定放射線9の測定スペクトル8(図9参照)を生成する少なくとも1つの経路長デバイス7を含む、光学装置1の実施形態を示す。
【0321】
さらに、光学装置1の図3に示す例示的な実施形態では、光学素子2は、光学面3が配置又は形成された基板素子10を含む。さらに、歪みゲージデバイス5は、基板素子10内に部分的に配置される。
【0322】
代替的な実施形態では、歪みゲージデバイス5は、基板素子10内及び/又は基板素子10上に完全に配置され得るものとする。
【0323】
さらに、図3は、歪みゲージデバイス5が少なくとも1つの導波路11及び経路長デバイス7を含む光学装置1の実施形態を示す。経路長デバイス7は、図示の例示的な実施形態ではグレーティングデバイス7aの形態である。例示的な実施形態では、それぞれがグレーティングデバイス7aとして具現されることが好ましい複数の経路長デバイス7が設けられる。
【0324】
特に、図3に示す例示的な実施形態では、歪みゲージデバイス5は、少なくとも1つの導波路11及び複数の経路長デバイス7を含み、少なくとも1つの導波路11は、測定放射線9を複数の経路長デバイス7へ好ましくは順次誘導する。
【0325】
図3はさらに、少なくとも1つのグレーティングデバイス7aが好ましくはファイバブラッググレーティング7bの形態であるタイプの光学装置1の実施形態を示す。
【0326】
さらに、この例示的な実施形態の少なくとも1つの導波路11は、光ファイバ11aの形態であることが好ましい。
【0327】
さらに、図3に示す例示的な実施形態では、少なくとも1つのアクチュエータ4により測定領域6の目標歪みを設定するために、好ましくは閉ループを有する閉ループ制御デバイス12が設けられる。歪みゲージデバイス5により判定された測定領域6の実歪みが、この調整において考慮される。
【0328】
この例示的な実施形態では、閉ループ制御デバイス12はさらに、歪みゲージデバイス5により判定された測定領域6の実歪みを考慮してアクチュエータ4により光学面3の目標変形を設定するために構成される。
【0329】
さらに、図示の例示的な実施形態では、閉ループ制御デバイス12は、光学面3の目標変形からの実変形の少なくとも1つの温度によるずれ及び/又は歪みによるずれを補正するよう構成される。
【0330】
さらに、図3は、光学素子2により生じた光学効果に関連する光学面3の変形を測定可能であるように複数の測定領域6が光学素子2に配置されたタイプの光学装置1の実施形態を示す。
【0331】
さらに、図3に示す光学装置1の例示的な実施形態では、光学面3の実変形と光学面3の目標変形を設定するのに適した少なくとも1つアクチュエータ4の力を少なくとも1つの測定領域6の判定された実歪みから決定するために、演算デバイス13が存在する。
【0332】
さらに、図示の例示的な実施形態では、各アクチュエータ4に、各アクチュエータ4の有効領域14のみを事実上含む各測定領域6が割り当てられる。
【0333】
さらに、図3の図示の例示的な実施形態では、光学装置1は、少なくとも1つの測定領域6の歪み及び/又は光学面3の振動を歪みゲージデバイス5により規則的に判定可能である、特に高周波数で、したがって略連続的に判定可能であるように構成される。
【0334】
さらに、図3に示す例示的な実施形態では、複数の測定領域6は、光学面3及び光学素子2の1つ又は複数の振動モードを判定可能であるように光学素子2に配置される。
【0335】
図3に示す光学装置1は、光学面3の目標変形を設定する方法を実行するのに特に適している。
【0336】
さらに、経路長デバイス7は、測定放射線9用のグレーティングデバイス7aを含む。
【0337】
図8に示す光学装置1の例示的な実施形態は、経路長デバイス7を共振器デバイス7cにより形成するタイプの方法の実施形態を実行するのに特に適している。
【0338】
図3aは、この方法のブロック図状の図を示す。
【0339】
1つ又は複数のアクチュエータによりリソグラフィシステム、特に投影露光装置100、200の光学素子2の光学面3の目標変形を設定する方法において、光学素子2の少なくとも1つの測定領域6の少なくとも1つの実歪みは、歪み判定ブロック15において判定され、結果として、光学面3の実変形が変形判定ブロック16において判定されるものとする。
【0340】
さらに、図3aに示す方法の例示的な実施形態では、選択ブロック17において、少なくとも1つの測定領域6が、光学面3の実変形を変形判定ブロック16において実歪みから推定できるように選択される。推定に対する選択ブロック17の効果を、歪み判定ブロック15と変形判定ブロック16との間の矢印につながる破線で示す。
【0341】
図3aに示す方法の例示的な実施形態では、歪み判定ブロック15及び/又は変形判定ブロック16において、少なくとも1つの測定領域6の実歪み及び光学面3の振動は、歪みゲージデバイス5により規則的に、特に高周波数で、好ましくは少なくとも略連続的に判定されるものとする。
【0342】
さらに、歪み判定ブロック15及び/又は変形判定ブロック16において、光学面3及び/又は光学素子2の1つ又は複数の振動モードが判定されるものとする。
【0343】
さらに、図示の例示的な実施形態では、歪み判定ブロック15において、実歪みが複数の測定領域6で同期して判定されるものとする。
【0344】
この目的で、特に、実歪みは、光学面3の下の少なくとも1つの基板素子10の1つ又は複数の測定領域6で判定されるものとする。
【0345】
さらに、図3aに示す方法の例示的な実施形態では、変形判定ブロック16において判定された光学面3の実変形から調整ブロック19において光学面3の目標変形を設定するのに必要な少なくとも1つのアクチュエータ4の力を決定するために、力決定ブロック18が設けられる。
【0346】
特に、図示の例示的な実施形態では、力決定ブロック18において、少なくとも1つのアクチュエータ4に印加する電界の電界強度が決定されるものとする。
【0347】
図示の例示的な実施形態によれば、力決定ブロック18において決定された力は、少なくとも1つのアクチュエータ4に加えられる。
【0348】
さらに、図3aに示す例示的な実施形態では、調整ブロック19から歪み判定ブロック15まで閉ループが設けられる。図3aに示す例示的な実施形態では、閉ループは実線矢印で示す。制御ループは、調整ブロック19により実際に得られた効果を歪み判定ブロック15により測定することにより閉じられる。
【0349】
歪み判定ブロック15から始まり、さらに力決定ブロック18及び変形判定ブロック16を介して調整ブロック19において新たな設定を実施することができる。したがって、光学面3の追求される目標変形を得るために、閉ループを所望の回数だけ、好ましくは規則的に実行することができる。
【0350】
図3に示す光学装置1の例示的な実施形態は、少なくとも1つの測定スペクトル8が少なくとも1つの経路長デバイス7で少なくとも1つの測定領域6の実歪みにより影響を受けるように歪みゲージデバイス5を配置する方法の実施態様に特に適している。
【0351】
図3に示す例示的な実施形態では、少なくとも1つの測定スペクトル8を測定するために分光計デバイス20が設けられる。
【0352】
例として、分光計デバイス20を用いて、例示的な実施形態では広帯域であることが好ましい少なくとも1つの測定放射線9の少なくとも1つの測定スペクトル8を検出することにより実歪みを判定することができる。
【0353】
代替として又は追加として、狭帯域の測定放射線9が導波路11に結合され、走査方法において十分に広い波長帯域を掃引又は走査することにより少なくとも1つの測定スペクトル8が求められるものとすることができる。
【0354】
この過程で、測定放射線9は、広帯域測定放射線源(図示せず)により形成される。
【0355】
図3bは、歪みゲージデバイス5が光ファイバ11a及び複数の経路長デバイス7を含み、光ファイバ11aが測定放射線9を複数の経路長デバイス7へ順次誘導する、光学素子2の等角背面図を示す。
【0356】
図3bに示す例示的な実施形態では、光ファイバ11aは、基板素子10内でループ状に導かれる。
【0357】
図示の例示的な実施形態では、経路長デバイス7の測定領域6は、基板素子10内に配置される。
【0358】
さらに別の例示的な実施形態では、光ファイバ11aは、異なる導波路11で、例えば光チャネルで置き換えることができる。
【0359】
図4は、光学装置1の光学素子2のさらに別の可能な実施形態の等角背面図を示す。
【0360】
図示の例示的な実施形態では、経路長デバイス7の測定領域6は、基板素子10の歪み中立平面21に配置される。
【0361】
図5は、導波路11又は光ファイバ11aが基板素子10に組み込まれた光学素子2の一部の概略図を示す。この場合、光ファイバ11a又は導波路11は、溝22に挿入され、好ましくははんだガラス23に埋め込まれており、したがって基板10に事実上モノリシックに接続されている。
【0362】
特に、ここで、光ファイバ11aは、はんだガラス23に埋め込まれる前にプラスチックコーティングから解放されるか又は除去されるものとする。
【0363】
図6は、光学装置1の概略的な等角背面図を示す。よく見えるように、アクチュエータ4及び光学素子2は破線で表すように分解図の様式で示す。
【0364】
この場合も、導波路11又は光ファイバ11aは、迂曲状又はループ状又は蛇行状に基板素子10内を導かれる。この場合、導波路11又は光ファイバ11aは、図示の例示的な実施形態ではグレーティングデバイス7a及び特にファイバブラッググレーティング7bとして形成される経路長デバイス7に順次つながる。導波路11は、接続デバイス24により図6には示さない分光計デバイス20に接続可能である。
【0365】
図7は、光学装置1のさらに別の可能な実施形態の概略的な等角背面図を示す。よく見えるように、アクチュエータ4及び光学素子2は破線で表すように分解図の様式で示す。実際の実施形態では、アクチュエータ4は、光学素子2及び特に基板素子10に機械的結合により接続される。
【0366】
図7に示す例示的な実施形態では、複数の導波路11又はファイバ11aが設けられる。
【0367】
図7に示す例示的な実施形態では、歪みゲージデバイス5の複数の測定領域6が基板素子10に異なる深さで形成され、複数の測定領域6の少なくとも1つが基板素子10の歪み中立平面21に配置される。
【0368】
図7に示す光学装置1の実施形態は、複数の測定領域6の各実歪みを基板素子10の異なる深さで判定し、複数の測定領域6の少なくとも1つの実歪みを基板素子10の歪み中立平面21で判定するタイプの方法の実施形態を実行するのに特に適している。
【0369】
図8は、経路長デバイス7の一部を拡大して示す光学装置1のさらに別の概略図を示す。光学装置1の図示に関しては、特に図6の実施形態を参照されたい。
【0370】
図8に示す例示的な実施形態では、経路長デバイス7は、測定放射線9用の共振器デバイス7c及び複数の導波路11を含む。
【0371】
図示の例示的な実施形態では、共振器デバイス7cは、充填層25、例示的な実施形態では平面用の二酸化ケイ素充填層に形成される。さらに、共振器デバイス7cはリング共振器26を含む。
【0372】
図9は、光ファイバ11a内のファイバブラッググレーティング7bの概略図を示す。
【0373】
この場合、光ファイバ11aは、クラッド27、コア28、及びコア28内に配置されたライングレーティング領域29から形成される。ここで、ライングレーティング領域29は、コア28とは異なる屈折率を有する。
【0374】
左側で、測定放射線9は光ファイバ11aに結合され、当該光ファイバ11aによりファイバブラッググレーティング7bにより誘導される。測定放射線9の一部がファイバブラッググレーティングで反射される一方で、測定放射線9の別の部分は上記ファイバブラッググレーティング7bを透過する。
【0375】
測定放射線9の伝播方向を矢印で示す。
【0376】
生じる測定スペクトル8が各矢印に割り当てられる。
【0377】
測定スペクトル8と、測定放射線9がファイバ11aに結合される際の同様に図示されている入力結合スペクトル30とについて、波長を水平波長軸31に示す。各スペクトル領域における測定放射線9の強度を垂直強度軸に示す。
【0378】
広帯域の入力結合スペクトル30を有する測定放射線9が結合入射されると、反射測定スペクトル8は狭いピークを有するだけであるのに対して、透過測定スペクトル8は狭いノッチを有することが、ここでは明らかである。透過測定スペクトル8のノッチは、測定放射線9の一部の反射から生じる。したがって、2つの測定スペクトル8は、相互に補完して入力結合スペクトル30を形成する。
【0379】
測定放射線9の個々の部分間にπの位相オフセットがあるように、ライングレーティングギャップ29aが形成され得るものとする。例として、ファブリペローキャビティをこのように形成することができる。周波数空間で1GHz~3GHz、好ましくは2GHzの半値全幅で鋭いノッチが生じるように、ライングレーティングギャップ29aが形成され得るものとする。
【0380】
図10は、可能な測定スペクトル8の概略図を示す。波長を波長軸31に沿って示し、経路長デバイスの反射率を反射率軸33に示す(この点で、図9の測定放射線9の反射成分を参照)。
【0381】
図11は、図9と同様のファイバブラッググレーティング11bの例示的な実施形態の概略図を示す。
【0382】
この場合、ライングレーティング領域29は、相互に異なる屈折率を有し、これを密度の異なるハッチングで示す。この場合、ライングレーティング領域29の屈折率は、コア28の屈折率とは異なる。反射測定スペクトルは、図9と同様の軸表示でファイバブラッググレーティング7bの下に示すように生じる。
【0383】
図11に示すライングレーティング領域29間の屈折率変化の結果として、例えば測定スペクトル8の二次極大を抑制することが可能である。
【0384】
図12は、ファイバブラッググレーティング7bのさらに別の可能な実施形態の概略図を示す。
【0385】
この場合、ライングレーティング領域29は、相互に離間した群毎にコア28内に配置される。間隔は、個々の群により反射された測定放射線9の成分がπの位相シフトを有するように選択される。結果として、測定放射線9のこれらの成分の弱め合う干渉があり、ライングレーティング領域29の下に示す測定スペクトル8の図では、最高の反射率が期待される領域で反射スペクトルのノッチが見える。
【0386】
これは、観測可能なノッチが反射測定放射線8のプラトー(図11参照)よりも鋭く、したがってより高い精度で検出できるので有利である。
【0387】
ファイバブラッググレーティング7bのこのような実施形態は、πファイバブラッググレーティングとも称し得る。
【0388】
図13は、経路長デバイス7のさらに別の実施形態の概略図を示す。
【0389】
この場合、測定放射線9は、導波路11に供給され、結合デバイス34においてリング共振器26として形成された共振器デバイス7cに結合される。図示の例示的な実施形態では、リング共振器26自体は導波路11を含み、そこで測定放射線9がグレーティングデバイス7aに供給される。グレーティングデバイス7aにより反射及び/又は透過された測定放射線9は、さらに別の結合デバイス34により導波路11に再度出力結合され、導波路11の異なる側で透過測定スペクトル8又は反射測定スペクトル8に関して検査され得る。
【0390】
特に、グレーティングデバイス7aはファイバブラッググレーティング7bとして、特にπファイバブラッググレーティングとして形成され得るものとする。
【0391】
図14は、図11の図と同様に、グレーティングデバイス7aの反射測定スペクトル8のさらに別の概略図を示す。
【0392】
図15は、図12の図と同様に、πファイバブラッググレーティングとしての実施形態におけるファイバブラッググレーティング7bの反射測定スペクトル8のさらに別の概略図を示す。
【0393】
図16は、共振器デバイス7cの実施形態の概略図を示す。共振器デバイス7cはさらに、リング共振器26を含む。リング共振器26の直径を両矢印で示す。光をリング共振器26に結合し且つ/又はそこから出力結合することができる導波路11が、上記リング共振器26に沿って延びる。
【0394】
共振器デバイス7cの図の下に、図16は、リング共振器7cにより生じる概略的な透過測定スペクトル8を示す。測定放射線9の波長の倍数単位で鋭いノッチが生じる。鋭いノッチ間の距離は、リング共振器26の幾何学的形状及び/又は直径により決まる。ノッチは、リング共振器26の幾何学的形状の変化がある場合に共に移動するか又は離れる。ノッチ間の距離が測定される場合、リング共振器7cの直径及び/又は幾何学的形状を推定することが可能である。
【0395】
代替として又は追加として、ノッチの1つ又は複数の位置又は位相、好ましくは絶対位置又は位相が測定スペクトル8で測定され得るものとする。結果として、リング共振器7cの直径及び/又は幾何学的形状を特に確実に精度よく推定することができる。
【0396】
図17は、光学装置1の可能な実施形態の概略的な斜視図を示す。
【0397】
この場合、光ファイバ11aは、はんだガラス23により基板素子10にはんだ付けされる。
【0398】
図18は、基板素子10への光ファイバ11aの組込みのさらに別の例示的な実施形態を示し、光ファイバのコア28及びクラッド27は、この場合もはんだガラス23により基板素子10にはんだ付けされる。この場合、ファイバブラッググレーティング7bは、基板素子10内のはんだガラス23の溝22に配置される。
【0399】
高温が保護コーティング及び/又はスリーブの損傷につながり得るので、コア28及びクラッド27を包囲し得る保護コーティング(図示せず)及び/又はスリーブ(図示せず)、例えばポリマースリーブが、はんだ付け領域で除去された。
【0400】
はんだガラス23は200℃~500℃、好ましくは350℃~450℃の温度で処理される一方で、光ファイバ11aのコア28及び/又はクラッド27は好ましくは1500℃~1800℃の溶融温度を有し得るものとする。
【0401】
コア28の屈折率変化は、溶融又ははんだ付け時の高温の結果として損傷を受けないものとされ得ることが好ましい。
【0402】
この場合、フェムト秒描画によるグレーティングデバイス7a及び/又はファイバブラッググレーティング7bが、溶融又ははんだ付け時に1100℃未満、好ましくは900℃未満、好ましくは800℃未満の温度に曝され得るものとする。
【0403】
フェムト秒描画によるグレーティングデバイス7a及び/又はファイバブラッググレーティング7bは、少なくとも溶融又ははんだ付け時に800℃以上、好ましくは900℃以上、好ましくは1100℃以上の温度まで耐熱性があり得るものとする。
【0404】
さらに、UV描画によるグレーティングデバイス7a及び/又はファイバブラッググレーティング7bは、溶融又ははんだ付け時に800℃未満、好ましくは500℃未満の温度に曝され得るものとする。
【0405】
UV描画によるグレーティングデバイス7a及び/又はファイバブラッググレーティング7bは、溶融又ははんだ付け時に500℃以上、好ましくは800℃以上の温度まで耐熱性があるものとすることができる。
【0406】
図19は、光学装置1を製造するための装置35の可能な実施形態を示す。特に、光学装置1は、少なくとも1つの導波路11及び/又は少なくとも1つのグレーティングデバイス7a及び/又は少なくとも1つの共振器デバイス7cが基板素子10により形成されるように、装置35により製造することができる。
【0407】
図示の装置35は、高エネルギー描画放射線36により基板素子10の初期材料に屈折率変化を描画するよう構成される。描画放射線36の放射強度を変えることにより、ライングレーティングデバイス29を形成するために屈折率の変化を設定することが可能である。結果として、歪みゲージデバイス5又は歪みゲージデバイス5の一部を基板素子10及び/又は光学面3に直接描画することが可能である。
【0408】
光学装置1は、図1に示すEUV投影露光装置100のミラーM4及び/又はM5として形成される光学素子に特に適している。
【0409】
図3図19の例示的な実施形態で述べた特徴は、他の例示的な実施形態でも実施することができる。特に、図5図6図7図18、及び/又は図19に基づき記載したように光学素子2に配置された複数の光ファイバを用いることも可能である。
【0410】
光学装置1及び/又は本発明による方法に関して記載した実施形態は、本発明による光学素子2の製造方法の開示とみなすこともできる。
【符号の説明】
【0411】
1 光学装置
2 光学素子
3 光学面
4 アクチュエータ
5 歪みゲージデバイス
6 測定領域
7 経路長デバイス
7a グレーティングデバイス
7b ファイバブラッググレーティング
7c 共振器デバイス
8 測定スペクトル
9 測定放射線
10 基板素子
11 導波路
11a 光ファイバ
12 閉ループ制御デバイス
13 演算デバイス
14 有効領域
15 歪み判定ブロック
16 変形判定ブロック
17 選択ブロック
18 力決定ブロック
19 調整ブロック
20 分光計デバイス
21 歪み中立平面
22 溝
23 はんだガラス
24 接続デバイス
25 充填層
26 リング共振器
27 クラッド
28 コア
29 ライングレーティング領域
29a ライングレーティングギャップ
30 入力結合スペクトル
31 波長軸
32 強度軸
33 反射率軸
34 結合デバイス
35 装置
36 描画放射線
100 EUV投影露光装置
101 照明系
102 放射源
103 照明光学ユニット
104 物体視野
105 物体面
106 レチクル
107 レチクルホルダ
108 レチクル変位ドライブ
109 投影光学ユニット
110 像視野
111 像面
112 ウェハ
113 ウェハホルダ
114 ウェハ変位ドライブ
115 EUV/使用/照明放射線
116 コレクタ
117 中間焦点面
118 偏向ミラー
119 第1ファセットミラー/視野ファセットミラー
120 第1ファセット/視野ファセット
121 第2ファセットミラー/瞳ファセットミラー
122 第2ファセット/瞳ファセット
200 DUV投影露光装置
201 照明系
202 レチクルステージ
203 レチクル
204 ウェハ
205ウェハホルダ
206 投影光学ユニット
207 レンズ素子
208 マウント
209 レンズハウジング
210 投影ビーム
Mi ミラー
図1
図2
図3
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2024-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学面(3)を含む少なくとも1つの光学素子(2)と前記光学面(3)を変形させる1つ又は複数のアクチュエータ(4)とを有する、リソグラフィシステム(100、200)用の光学装置(1)であって、
前記光学素子(2)は、前記光学面(3)の変形を判定する歪みゲージデバイス(5)を含み、該歪みゲージデバイス(5)は、
測定放射線(9)の測定スペクトル(8)を生成する少なくとも1つの経路長デバイス(7)であり、前記測定放射線(9)用のグレーティングデバイス(7a)及び/又は前記測定放射線(9)用の共振器デバイス(7c)を含む経路長デバイス(7)、及び/又は
少なくとも1つの導波路(11)
を含み、該少なくとも1つの導波路(11)及び/又は前記少なくとも1つのグレーティングデバイス(7a)及び/又は前記少なくとも1つの共振器デバイス(7c)は、基板素子(10)により形成され
前記歪みゲージデバイス(5)は、前記光学素子(2)の少なくとも1つの測定領域(6)における歪みを判定するよう構成され、前記少なくとも1つの測定領域(6)は、前記測定領域(6)の歪みが前記光学面(3)の変形により決まるように配置され、
前記光学素子(2)は、前記光学面(3)が配置及び/又は形成される基板素子(10)を含み、前記歪みゲージデバイス(5)は、前記基板素子(10)に少なくとも部分的に配置され、
閉ループを有する閉ループ制御デバイス(12)が、前記歪みゲージデバイス(5)により判定された前記測定領域(6)の実歪みを考慮して前記少なくとも1つのアクチュエータ(4)により前記測定領域(6)の目標歪みを設定するために設けられ、
前記閉ループ制御デバイス(12)は、前記光学面(3)の目標変形からの実変形の少なくとも1つの温度によるずれ及び/又は歪みによるずれを補正するよう構成される光学装置。
【請求項2】
請求項に記載の光学装置(1)において、
前記歪みゲージデバイス(5)は、前記少なくとも1つの測定領域(6)内に少なくとも部分的に配置される光学装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光学装置(1)において、
前記歪みゲージデバイス(5)は、複数の経路長デバイス(7)を含み、前記少なくとも1つの導波路(11)は、測定放射線(9)を好ましくは連続して前記複数の経路長デバイス(7)へ導く光学装置。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記少なくとも1つのグレーティングデバイス(7a)は、ファイバブラッググレーティング(7b)の形態である光学装置。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記少なくとも1つの導波路(11)は、光ファイバ(11a)の形態である光学装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記歪みゲージデバイス(5)の複数の測定領域(6)が、前記基板素子(10)に異なる深さで形成され、且つ/又は複数の測定領域(6)の少なくとも1つが、前記基板素子(10)の歪み中立平面(21)に配置される光学装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記閉ループ制御デバイス(12)は、前記歪みゲージデバイス(5)により判定された前記測定領域(6)の前記実歪みを考慮して前記少なくとも1つのアクチュエータ(4)により前記光学面(3)の目標変形を設定するよう構成される光学装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記光学素子(2)により生じた光学効果に関連する前記光学面(3)の変形を測定可能であるように複数の測定領域(6)が前記光学素子(2)に配置される光学装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記光学面(3)の実変形及び/又は該光学面(3)の目標変形を設定するのに適した前記少なくとも1つアクチュエータ(4)の力を前記少なくとも1つの測定領域(6)の判定された実歪みから決定するために、演算デバイス(13)が設けられる光学装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
複数の前記アクチュエータ(4)、好ましくは全てのアクチュエータ(4)に、各アクチュエータ(4)の有効領域(14)を含む、好ましくは該有効領域(14)のみを含む測定領域(6)がそれぞれ割り当てられる光学装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
前記少なくとも1つの測定領域(6)の前記歪み及び/又は前記光学面(3)の振動は、前記歪みゲージデバイス(5)により規則的に、好ましくは連続的に判定可能である光学装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の光学装置(1)において、
1つ又は複数の測定領域(6)が、前記光学面(3)及び/又は前記光学素子(2)の1つ又は複数の振動モードを判定可能であるように前記光学素子(2)上及び/又は該光学素子(2)内に配置される光学装置。
【請求項13】
1つ又は複数のアクチュエータ(4)によりリソグラフィシステム(100、200)の光学素子(2)の光学面(3)の目標変形を設定する方法であって、
前記光学素子(2)の少なくとも1つの測定領域(6)の少なくとも1つの実歪みを判定することにより前記光学面(3)の実変形が判定され
前記少なくとも1つの測定領域(6)は、前記光学面(3)の前記実変形を前記実歪みから推定できるように選択され、
前記実歪みは、前記光学面(3)が配置及び/又は形成される少なくとも1つの基板素子(10)の1つ又は複数の測定領域(6)で判定され、
複数の測定領域(6)における各実歪みが前記基板素子(10)の異なる深さで判定され、且つ/又は前記実歪みが複数の測定領域(6)の少なくとも1つにおいて前記基板素子(10)の歪み中立平面(21)で判定される方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記少なくとも1つの測定領域(6)の前記実歪みの結果として少なくとも1つの経路長デバイス(7)で少なくとも1つの測定スペクトル(8)が影響を受けるように、歪みゲージデバイス(5)が配置される方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の方法において、
前記実歪みは、少なくとも1つの測定放射線(9)の少なくとも1つの測定スペクトル(8)を検出することにより判定される方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の方法において、
前記経路長デバイス(7)は、グレーティングデバイス(7a)及び/又は共振器デバイス(7c)により形成される方法。
【請求項17】
請求項13~16のいずれか1項に記載の方法において、
前記光学面(3)の目標変形の設定に必要な前記少なくとも1つのアクチュエータ(4)の力が、前記光学面(3)の判定された実変形に基づき好ましくは閉ループで決定及び/又は適用される方法。
【請求項18】
請求項13~17のいずれか1項に記載の方法において、
前記実歪みは、複数の測定領域(6)で同期して判定される方法。
【請求項19】
請求項15~18のいずれか1項に記載の方法において、
前記少なくとも1つの測定スペクトル(8)のシフトが検出される方法。
【請求項20】
請求項13~19のいずれか1項に記載の方法において、
前記少なくとも1つの測定領域(6)の前記実歪み及び/又は前記光学面(3)の振動は、前記歪みゲージデバイス(5)により規則的に、好ましくは連続的に判定される方法。
【請求項21】
請求項13~20のいずれか1項に記載の方法において、
前記光学面(3)及び/又は前記光学素子(2)の1つ又は複数の振動モードが判定される方法。
【請求項22】
放射源(102)を有する照明系(101、201)と少なくとも1つの光学素子(116、118、119、120、121、122、Mi、207)を含む光学ユニット(103、109、206)とを有する、リソグラフィシステム、特に半導体リソグラフィ用の投影露光装置(100、200)であって、
請求項1~12のいずれか1項に記載の少なくとも1つの光学装置(1)が設けられ、前記光学素子(116、118、119、120、121、122、Mi、207)の少なくとも1つが、前記少なくとも1つの光学装置(1)の光学素子(2)であり、且つ/又は前記光学素子(116、118、119、120、121、122、Mi、207)の少なくとも1つが、請求項13~21のいずれか1項に記載の方法を用いて変形可能な光学面(3)を含むリソグラフィシステム。
【請求項23】
光学面(3)を含むリソグラフィシステム(100、200)の光学素子(2)の製造方法であって、前記光学面(3)は、1つ又は複数のアクチュエータ(4)により変形可能であり、前記光学素子(2)は、前記光学面(3)の変形を判定する歪みゲージデバイス(5)を含み、該歪みゲージデバイス(5)は、測定放射線(9)の測定スペクトル(8)を生成する少なくとも1つの経路長デバイス(7)を含み、該経路長デバイス(7)は、前記測定放射線(9)用のグレーティングデバイス(7a)及び/又は前記測定放射線(9)用の共振器デバイス(7c)及び/又は少なくとも1つの導波路(11)を含み、
該少なくとも1つの導波路(11)及び/又は前記少なくとも1つのグレーティングデバイス(7a)及び/又は前記少なくとも1つの共振器デバイス(7c)は、前記基板素子(10)により形成され
前記少なくとも1つの導波路(11)及び/又は前記少なくとも1つのグレーティングデバイス(7a)及び/又は前記少なくとも1つの共振器デバイス(7c)の形成は、屈折率の局所的変化による直描により達成される製造方法。
【請求項24】
請求項23に記載の製造方法において、
前記屈折率の局所的変化は、
例えば紫外線スペクトル域の、且つ/又は好ましくは数フェムト秒、特に1フェムト秒~15フェムト秒のパルス持続時間を有する超短レーザパルスを用いた描画放射線、及び/又は
イオンビーム、及び/又は
電子ビーム
により形成される製造方法。
【請求項25】
請求項23又は24に記載の製造方法において、
前記少なくとも1つの導波路(11)及び/又は前記少なくとも1つの経路長デバイス(7)は、露光、現像、エッチング、又は材料塗布等のリソグラフィ技術を用いて表面付近に施される製造方法。
【請求項26】
請求項23~25のいずれか1項に記載の製造方法において、
前記少なくとも1つの導波路(11)及び/又は前記少なくとも1つの経路長デバイス(7)は、特にモノリシック製造のために3次元で、且つ/又は前記光学素子の表面のはるかに下で、特に前記光学面(3)の下で構造化される製造方法。
【国際調査報告】