(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-11
(54)【発明の名称】デジタルリソグラフィ露光ユニット境界平滑化
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577137
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 US2021037283
(87)【国際公開番号】W WO2022265621
(87)【国際公開日】2022-12-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ, チ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】バン デン ブルーク, ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】レイディグ, トーマス エル.
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA29
2H197CA07
2H197CC05
2H197CC11
2H197DA03
2H197DA09
2H197DB05
2H197DB06
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
(57)【要約】
デジタルリソグラフィシステムが、第1の走査領域と第1の走査領域に隣接する第2の走査領域とを含む、走査領域を含む。デジタルリソグラフィシステムは、走査領域の上に位置する露光ユニットと、メモリと、メモリに動作可能に結合された少なくとも1つの処理デバイスとをさらに含む。露光ユニットは、第1の走査領域に関連する第1の露光ユニットと第2の走査領域に関連する第2の露光ユニットとを含む。処理デバイスは、ステージ上に配設された基板を命令に従ってパターニングするためのデジタルリソグラフィプロセスを始動することと、デジタルリソグラフィプロセス中に第1の露光ユニットと第2の露光ユニットとに関して露光ユニット境界平滑化を実施することとを含む動作を実施するためのものである。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の走査領域と前記第1の走査領域に隣接する第2の走査領域とを備える、複数の走査領域と、
前記複数の走査領域の上に位置する複数の露光ユニットであって、前記複数の露光ユニットが、前記第1の走査領域に関連する第1の露光ユニットと前記第2の走査領域に関連する第2の露光ユニットとを備える、複数の露光ユニットと、
メモリと、
前記メモリに動作可能に結合された少なくとも1つの処理デバイスと
を備えるデジタルリソグラフィシステムであって、前記少なくとも1つの処理デバイスが、
ステージ上に配設された基板を命令に従ってパターニングするためのデジタルリソグラフィプロセスを始動することと、
前記デジタルリソグラフィプロセス中に前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットとに関して露光ユニット境界平滑化を実施することと
を含む動作を実施するためのものである、デジタルリソグラフィシステム。
【請求項2】
前記デジタルリソグラフィプロセスが、複数のパスを含む複数パスプロセスであり、前記露光ユニット境界平滑化を実装することが、前記複数パスプロセスの一部として露光ユニット境界シフティングを実施することを含む、請求項1に記載のデジタルリソグラフィシステム。
【請求項3】
前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットとが同じブリッジに取り付けられ、前記露光ユニット境界シフティングを実施することが、
前記複数パスプロセスの第1のパスを実施することと、
前記第1のパスを実施したことに応答して、垂直境界シフトを実施することと、
前記垂直境界シフトを実施したことに応答して、前記複数パスプロセスの第2のパスを実施することと
を含む、請求項2に記載のデジタルリソグラフィシステム。
【請求項4】
前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットとが第1のブリッジに取り付けられ、
前記複数の走査領域が、第3の走査領域と前記第3の走査領域に隣接する第4の走査領域とをさらに備え、
前記複数の露光ユニットが、前記第3の走査領域に関連する第3の露光ユニットと前記第4の走査領域に関連する第4の露光ユニットとをさらに備え、前記第3の露光ユニットと前記第4の露光ユニットとが、前記第1のブリッジに隣接する第2のブリッジに取り付けられ、
前記露光ユニット境界シフティングを実施することが、前記複数パスプロセス中にそれぞれの領域中で、前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットと前記第3の露光ユニットと前記第4の露光ユニットとによって実施されるべき線量の総数を示すブレンディング仕様に従って前記複数のパスを実施することを含む、
請求項2に記載のデジタルリソグラフィシステム。
【請求項5】
前記露光ユニット境界平滑化を実装することが、前記第1の走査領域と前記第2の走査領域との間の境界に関する線量混合を実施することを含む、請求項1に記載のデジタルリソグラフィシステム。
【請求項6】
前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットとが同じブリッジに取り付けられ、前記線量混合を実施することが、前記第1の露光ユニットに、ブレンドされた領域に対する総線量の第1の割合を寄与させ、前記第2の露光ユニットに、前記ブレンドされた領域に対する前記総線量の第2の割合を寄与させることを含み、したがって、前記第1の割合と前記第2の割合との和が100%に等しくなる、請求項5に記載のデジタルリソグラフィシステム。
【請求項7】
前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットとが第1のブリッジに取り付けられ、
前記複数の走査領域が、第3の走査領域と前記第1の走査領域に隣接する第2の走査領域とをさらに備え、
前記複数の露光ユニットが、前記第3の走査領域に関連する第3の露光ユニットと前記第4の走査領域に関連する第4の露光ユニットとをさらに備え、前記第3の露光ユニットと前記第4の露光ユニットとが、前記第1のブリッジに隣接する第2のブリッジに取り付けられ、
前記線量混合を実施することが、前記第1の露光ユニットに、ブレンドされた領域に対する総線量の第1の割合を寄与させ、前記第2の露光ユニットに、前記ブレンドされた領域に対する前記総線量の第2の割合を寄与させ、前記第3の露光ユニットに、前記ブレンドされた領域に対する前記総線量の第3の割合を寄与させ、前記第4の露光ユニットに、前記ブレンドされた領域に対する前記総線量の第4の割合を寄与させることを含み、したがって、前記第1の割合と前記第2の割合と前記第3の割合と前記第4の割合との和が100%に等しくなる、
請求項5に記載のデジタルリソグラフィシステム。
【請求項8】
メモリと、
前記メモリに動作可能に結合された少なくとも1つの処理デバイスと
を備えるシステムであって、前記少なくとも1つの処理デバイスは、
命令に従って基板をパターニングするためのデジタルリソグラフィプロセスを始動することと、
前記デジタルリソグラフィプロセス中に、複数の露光ユニットのうちの第1の露光ユニットと前記複数の露光ユニットのうちの第2の露光ユニットとに関して露光ユニット境界平滑化を実施することであって、前記第1の露光ユニットが、第1の走査領域に対応し、前記第2の露光ユニットが、前記第1の走査領域に隣接する第2の走査領域に対応する、露光ユニット境界平滑化を実施することと
を含む動作を実施するためのものである、システム。
【請求項9】
前記デジタルリソグラフィプロセスが、複数のパスを含む複数パスプロセスであり、前記露光ユニット境界平滑化を実装することが、前記複数パスプロセスの一部として露光ユニット境界シフティングを実施することを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットとが同じブリッジに取り付けられ、前記露光ユニット境界シフティングを実施することが、
前記複数パスプロセスの第1のパスを実施することと、
前記第1のパスを実施したことに応答して、垂直境界シフトを実施することと、
前記垂直境界シフトを実施したことに応答して、前記複数パスプロセスの第2のパスを実施することと
を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットとが第1のブリッジに取り付けられ、
前記複数の露光ユニットが、第3の走査領域に関連する第3の露光ユニットと前記第3の走査領域に隣接する第4の走査領域に関連する第4の露光ユニットとをさらに備え、前記第3の露光ユニットと前記第4の露光ユニットとが、前記第1のブリッジに隣接する第2のブリッジに取り付けられ、
前記露光ユニット境界シフティングを実施することが、前記複数パスプロセス中にそれぞれの領域中で、前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットと前記第3の露光ユニットと前記第4の露光ユニットとによって実施されるべき線量の総数を示すブレンディング仕様に従って前記複数のパスを実施することを含む、
請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記露光ユニット境界平滑化を実装することが、前記第1の走査領域と前記第2の走査領域との間の境界に関する線量混合を実施することを含み、
前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットとが同じブリッジに取り付けられ、
前記線量混合を実施することが、前記第1の露光ユニットに、ブレンドされた領域に対する総線量の第1の割合を寄与させ、前記第2の露光ユニットに、前記ブレンドされた領域に対する前記総線量の第2の割合に寄与させることを含み、したがって、前記第1の割合と前記第2の割合との和が100%に等しくなる、
請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記露光ユニット境界平滑化を実装することが、前記第1の走査領域と前記第2の走査領域との間の境界に関する線量混合を実施することを含み、
前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットとが第1のブリッジに取り付けられ、
前記複数の走査領域が、第3の走査領域と前記第1の走査領域に隣接する第2の走査領域とをさらに備え、
前記複数の露光ユニットが、前記第3の走査領域に関連する第3の露光ユニットと前記第4の走査領域に関連する第4の露光ユニットとをさらに備え、前記第3の露光ユニットと前記第4の露光ユニットとが、前記第1のブリッジに隣接する第2のブリッジに取り付けられ、
前記線量混合を実施することが、前記第1の露光ユニットに、ブレンドされた領域に対する総線量の第1の割合を寄与させ、前記第2の露光ユニットに、前記ブレンドされた領域に対する前記総線量の第2の割合を寄与させ、前記第3の露光ユニットに、前記ブレンドされた領域に対する前記総線量の第3の割合を寄与させ、前記第4の露光ユニットに、前記ブレンドされた領域に対する前記総線量の第4の割合を寄与させることを含み、したがって、前記第1の割合と前記第2の割合と前記第3の割合と前記第4の割合との和が100%に等しくなる、
請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
処理デバイスによって、命令に従って基板をパターニングするためのデジタルリソグラフィプロセスを始動することと、
前記処理デバイスによって、前記デジタルリソグラフィプロセス中に、複数の露光ユニットのうちの第1の露光ユニットと前記複数の露光ユニットのうちの第2の露光ユニットとに関して露光ユニット境界平滑化を実施することであって、前記第1の露光ユニットが、第1の走査領域に対応し、前記第2の露光ユニットが、前記第1の走査領域に隣接する第2の走査領域に対応する、露光ユニット境界平滑化を実施することと
を含む、方法。
【請求項15】
前記デジタルリソグラフィプロセスが、複数のパスを含む複数パスプロセスであり、前記露光ユニット境界平滑化を実装することが、前記複数パスプロセスの一部として露光ユニット境界シフティングを実施することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットとが同じブリッジに取り付けられ、前記露光ユニット境界シフティングを実施することが、
前記複数パスプロセスの第1のパスを実施することと、
前記第1のパスを実施したことに応答して、垂直境界シフトを実施することと、
前記垂直境界シフトを実施したことに応答して、前記複数パスプロセスの第2のパスを実施することと
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットとが同じブリッジに取り付けられ、前記露光ユニット境界シフティングを実施することが、
前記複数パスプロセスの第1のパスを実施することと、
前記第1のパスを実施したことに応答して、垂直境界シフトを実施することと、
前記垂直境界シフトを実施したことに応答して、前記複数パスプロセスの第2のパスを実施することと
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記露光ユニット境界平滑化を実装することが、前記第1の走査領域と前記第2の走査領域との間の境界に関する線量混合を実施することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットとが同じブリッジに取り付けられ、前記線量混合を実施することが、前記第1の露光ユニットに、ブレンドされた領域に対する総線量の第1の割合を寄与させ、前記第2の露光ユニットに、前記ブレンドされた領域に対する前記総線量の第2の割合を寄与させることを含み、したがって、前記第1の割合と前記第2の割合との和が100%に等しくなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の露光ユニットと前記第2の露光ユニットとが第1のブリッジに取り付けられ、
前記複数の走査領域が、第3の走査領域と前記第1の走査領域に隣接する第2の走査領域とをさらに備え、
前記複数の露光ユニットが、前記第3の走査領域に関連する第3の露光ユニットと前記第4の走査領域に関連する第4の露光ユニットとをさらに備え、前記第3の露光ユニットと前記第4の露光ユニットとが、前記第1のブリッジに隣接する第2のブリッジに取り付けられ、
前記線量混合を実施することが、前記第1の露光ユニットに、ブレンドされた領域に対する総線量の第1の割合を寄与させ、前記第2の露光ユニットに、前記ブレンドされた領域に対する前記総線量の第2の割合を寄与させ、前記第3の露光ユニットに、前記ブレンドされた領域に対する前記総線量の第3の割合を寄与させ、前記第4の露光ユニットに、前記ブレンドされた領域に対する前記総線量の第4の割合を寄与させることを含み、したがって、前記第1の割合と前記第2の割合と前記第3の割合と前記第4の割合との和が100%に等しくなる、
請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に、電子デバイス製造に関する。より詳細には、本明細書は、デジタルリソグラフィに関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィは、半導体デバイス、およびフラットパネルディスプレイデバイスなどのディスプレイデバイスの製作において使用される。フラットパネルディスプレイデバイスの例は、たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)デバイスおよび有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイデバイスなど、薄膜ディスプレイデバイスを含む。コンピュータ、タッチパネルデバイス、携帯情報端末(PDA)、セルフォン、テレビジョンモニタなどとともに使用するためのフラットパネルディスプレイデバイスを製作するために、大面積基板が使用され得る。
【0003】
デジタルリソグラフィでは、複数の露光ユニット(exposure unit)が、スループットを増加させるために使用され、各露光ユニットが、印刷エリアの一部分を担当する。しかしながら、異なる露光ユニットは、一般に、それらの特性のわずかなばらつきを有する。これは、異なる露光ユニットによって印刷された領域間に可視の境界を生じることがある。ディスプレイデバイスの場合、可視の境界は、製作されたディスプレイが廃棄されることを引き起こし得る欠陥である。
【発明の概要】
【0004】
以下は、本開示のいくつかの態様の基本的理解を提供するための、本開示の簡略化された概要である。本概要は本開示の広範な概観ではない。本概要は、本開示の主要なまたは重要な要素を識別するものでも、本開示の特定の実装形態の範囲または特許請求の範囲を定めるものでもない。その唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明の前置きとして、本開示のいくつかの概念を簡略化された形式で提示することである。
【0005】
一実施形態によれば、デジタルリソグラフィシステムが提供される。本デジタルリソグラフィシステムは、第1の走査領域と第1の走査領域に隣接する第2の走査領域とを含む、走査領域を含む。本デジタルリソグラフィシステムは、走査領域の上に位置する露光ユニットと、メモリと、メモリに動作可能に結合された少なくとも1つの処理デバイスとをさらに含む。露光ユニットは、第1の走査領域に関連する第1の露光ユニットと第2の走査領域に関連する第2の露光ユニットとを含む。処理デバイスは、ステージ上に配設された基板を命令に従ってパターニングするためのデジタルリソグラフィプロセスを始動することと、デジタルリソグラフィプロセス中に第1の露光ユニットと第2の露光ユニットとに関して露光ユニット境界平滑化を実施することとを含む動作を実施するためのものである。
【0006】
別の実施形態によれば、システムが提供される。本システムは、メモリと、メモリに動作可能に結合された少なくとも1つの処理デバイスとを含み、少なくとも1つの処理デバイスは、命令に従って基板をパターニングするためのデジタルリソグラフィプロセスを始動することと、デジタルリソグラフィプロセス中に、複数の露光ユニットのうちの第1の露光ユニットと複数の露光ユニットのうちの第2の露光ユニットとに関して露光ユニット境界平滑化を実施することとを含む動作を実施するためのものである。第1の露光ユニットは、第1の走査領域に対応し、第2の露光ユニットは、第1の走査領域に隣接する第2の走査領域に対応する。
【0007】
また別の実施形態によれば、方法が提供される。本方法は、処理デバイスによって、命令に従って基板をパターニングするためのデジタルリソグラフィプロセスを始動することと、処理デバイスによって、デジタルリソグラフィプロセス中に、複数の露光ユニットのうちの第1の露光ユニットと複数の露光ユニットのうちの第2の露光ユニットとに関して露光ユニット境界平滑化を実施することとを含む。第1の露光ユニットは、第1の走査領域に対応し、第2の露光ユニットは、第1の走査領域に隣接する第2の走査領域に対応する。
【0008】
本開示の態様および実装形態は、限定ではなく例として態様および実装形態を示すことが意図された、以下で与えられる詳細な説明から、および添付の図面から、より十分に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】いくつかの実施形態による、デジタルリソグラフィシステムのトップダウン図である。
【
図2A-2B】いくつかの実施形態による、デジタルリソグラフィシステムの単一のデジタルリソグラフィ露光ユニットを通る基板の走査経路を示すトップダウン図である。
【
図2C-2D】いくつかの実施形態による、デジタルリソグラフィシステムの単一のデジタルリソグラフィ露光ユニットを通る基板の走査経路を示すトップダウン図である。
【
図3A-3C】いくつかの実施形態による、デジタルリソグラフィ露光ユニット境界平滑化の例を示す図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、1ブリッジ実装形態におけるデジタルリソグラフィ露光ユニットの例示的な走査構成の図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、2ブリッジ実装形態におけるデジタルリソグラフィ露光ユニットの例示的な走査構成の図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、1ブリッジ実装形態におけるデジタルリソグラフィ露光ユニットの線量(dose)割振りの一例の図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、2ブリッジ実装形態におけるデジタルリソグラフィ露光ユニットの線量割振りの一例を示す図である。
【
図8A-8B】いくつかの実施形態による、デジタルリソグラフィ露光ユニット線量割振りの例を示す図である。
【
図8C】いくつかの実施形態による、デジタルリソグラフィ露光ユニット線量割振りの例を示す図である。
【
図9】いくつかの実施形態による、デジタルリソグラフィ露光ユニット境界平滑化を実装するための方法のフローチャートである。
【
図10】いくつかの実施形態による、デジタルリソグラフィシステムのブロック図である。
【
図11】いくつかの実施形態による、コンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
デジタルリソグラフィは、フォトマスクを使用せずに(たとえば、マスクレスリソグラフィを介して)基板表面上に(たとえば、デジタル的に位置合わせされたエッチングマスクのための)パターンを生成するために使用され得る。(たとえば、Texas Instruments(登録商標)のプログラム可能な光ステアリング(light steering)技術などの)デジタルリソグラフィ技術は、高速および高精度から恩恵を受ける、プリント基板(PCB)パターニング、はんだマスク、フラットパネルディスプレイ、レーザマーキング、および他のデジタル露光システムのための、高速および高解像度マスクレスリソグラフィソリューションを可能にする。デジタルリソグラフィは、コンタクトマスク(たとえば、フォトマスク)を使用せずにフォトレジスト膜上にパターンを直接露光するために使用される。これは、材料コストを低減し、生産率を改善し、パターンの迅速な変更を可能にすることができる。直接露光は、狭いレーザビームまたはマスキングされたシステムと比較して、生産性を増加させる。デジタルリソグラフィの利点は、新しいフォトマスクを生成するコストを招くことなしに、稼働ごとにリソグラフィパターンを変更する能力である。例として、デジタルリソグラフィは、電子デバイス製造中に大面積パターニングを実施するために使用され得る。
【0011】
デジタルリソグラフィでは、デジタルリソグラフィツールのスループットを改善するために、複数のデジタルリソグラフィ露光ユニット(「露光ユニット」)が使用され得る。従来の露光ユニットは、矩形の非重複領域、またはクリッピング層(clipping layer)を、印刷または露光することができる。クリッピング層は、パターンを、特定の露光ユニットに関連するクリッピング層上でその露光ユニットによって印刷されるように保つように、レイアウト処理ソフトウェアに通知するためのフィルタとして働き得る。複数の露光ユニットの各々が、印刷エリアの一部分、および異なるクリッピング層を担当し得る。異なる露光ユニットが、厳密に一致しない固有の特性を有することがある。この不一致は、露光ユニット境界における不均一性(たとえば、非一様性、不整合、不規則性)を生じることがある。この不均一性は、歩留まりを低減し、したがって価値を減少させることがある。
【0012】
本開示の態様および実装形態は、デジタルリソグラフィ露光ユニット(「露光ユニット」)の少なくとも1つのペアに関して露光ユニット境界平滑化を実施することによって、既存の技術のこれらおよび他の短所に対処する。露光ユニット境界平滑化は、不均一性を低減するために、および隣接する露光ユニットのクリッピング層間の線形境界をなくすために、露光ユニット境界をブレンドする(blend)ことができる。ブレンディング(blending)は、露光ユニットのペア間の漸進的遷移を生じることがある。本明細書で説明される実装形態に従って、露光ユニット境界平滑化を実施するために、いくつかの方法が利用され得る。露光ユニット境界平滑化は、(たとえば、同じブリッジに取り付けられた露光ユニットに対応する、隣接する走査領域間の境界を平滑化するための)1ブリッジのケース、(たとえば、異なるブリッジに取り付けられた露光ユニットに対応する、隣接する走査領域間の境界を平滑化するための)2ブリッジのケースなどについて、実施され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、露光ユニット境界平滑化を実施することは、露光ユニット境界シフティングを実施することを含む。より詳細には、露光ユニット境界シフティング中に、露光ユニット境界が、各パスについてシフトされ得る。各パスについて露光ユニット境界をシフトすることは、マルチパス印刷の場合、特にうまく機能することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、露光ユニット境界平滑化を実施することは、線量混合(dose mixing)を実施することを含む。たとえば、線量混合は、階段(staircase)ブレンディングを実施することを含むことができる。別の例として、線量混合は漸進的ブレンディングを含むことができ、線量混合は、ブレンディングとタクトタイム(すなわち、第1のユニットの生産の開始と第2のユニットの生産の開始との間の時間の量)との間の改善されたトレードオフを提供することができる。
【0015】
本開示の態様および実装形態は、他の手法に勝る技術的利点を生じる。たとえば、上述のように、隣接する露光ユニットのペアの境界における不均一性および/または所与の露光ユニットに関連する走査のペアの境界における不均一性が、低減され得る。したがって、基板をパターニングするための改善されたフォトリソグラフィが達成され得る。
【0016】
図1は、いくつかの実施形態による、デジタルリソグラフィシステム(「システム」)100のトップダウン図である。図示のように、装置100は、ベース(たとえば、花崗岩ベース)と、ステージと、ステージ上に配設された基板とを含む、ステージアセンブリ110を含む。基板は、ガラスプレート、ウエハ、PCB、または他のタイプの基板であり得る。基板は、走査領域112-1~112-4を含むいくつかの走査領域を有する、デジタルリソグラフィ印刷または走査エリアに対応し得るか、あるいはデジタルリソグラフィ印刷または走査エリア中に配置され得る。ステージアセンブリ110の左部分は、ステージアセンブリ110の上の第1のブリッジ114-1に対応し、ステージアセンブリ110の右部分は、ステージアセンブリ110の上の第2のブリッジ114-2に対応する。以下でさらに詳細に説明されるように、露光ユニットが、ブリッジ114-1および114-2に取り付けられる。いくつかの実施形態では、各ブリッジ114-1および114-2の長さは、約500(ミリメートル)mmから約1000mmの間にわたることがある。たとえば、各ブリッジ114-1および114-2の長さは、約750mmであり得る。
【0017】
基板は、エッチングされるべき材料上に配設されたフォトレジスト材料を含むことができる。フォトレジスト材料は、ポジ型フォトレジスト材料(すなわち、光に露光されたフォトレジスト材料の一部分が、フォトレジストデベロッパに対して可溶性になる)、またはネガ型フォトレジスト材料(すなわち、光に露光されたフォトレジスト材料の一部分が、フォトレジストデベロッパに対して不溶性になる)であり得る。したがって、フォトレジスト材料の指定された部分を除去することによって、フォトレジストパターンが形成され得る。いくつかの実施形態では、エッチングされるべき材料は、導電性材料(たとえば、金属)である。たとえば、導電性材料はモリブデンであり得る。フォトレジスト材料の指定された領域が除去された後に、次に露光される材料が、フォトレジストパターンに従ってエッチングされ得る。たとえば、配線が、エッチングプロセス中に形成され得る。代替的に、パターニングされた材料は、それ自体が感光性であり、フォトレジスト層を追加する必要をなくし、後続のエッチングプロセスを実施し得る。
【0018】
フォトレジストパターニングを実施するために、装置100は、第1のブリッジ114-1からかかっているデジタルリソグラフィ露光ユニット(「露光ユニット」)の第1の列と、第2のブリッジ114-2からかかっている露光ユニットの第2の列とをさらに含む。たとえば、露光ユニットの第1の列は、露光ユニット1~11を含み、露光ユニットの第2の列は、露光ユニット12~22を含む。したがって、この例示的な例では、合計22個の露光ユニットが示されている。しかしながら、
図1に示されている露光ユニットの数は、限定と見なされるべきでなく、システム100は、本明細書で説明される実施形態に従って任意の好適な数の露光ユニットを含むことができる。
【0019】
各露光ユニットは、基板のフォトレジスト材料上に画像を投影することができるレンズアセンブリを含むことができる。各レンズアセンブリは、その関連する走査領域の右下隅に隣接して示される。たとえば、露光ユニット1のレンズアセンブリ120は、走査領域112-1に関連する。いくつかの実施形態では、各レンズアセンブリは、約4mmの高さであり、約3mmの幅である。しかしながら、各レンズアセンブリは、本明細書で説明される実施形態に従って任意の好適な寸法を有することができる。
【0020】
デジタルリソグラフィプロセス中に、各露光ユニットは、基板の領域(たとえば、矩形の領域)を(たとえば、紫外光、近紫外光などの)光などの電磁放射に露光するために、基板に対して移動される。走査中に、露光ユニットは、プログラムされた走査経路に従って、それぞれの走査領域を露光する。ステージアセンブリ110の上に露光ユニットを移動させる代わりに、ステージアセンブリ110は、プログラムされた走査経路に従って露光ユニットの下でX-Y方向に移動することができる。レンズアセンブリ(たとえば、レンズアセンブリ120)の視野が、その関連する走査領域(たとえば、走査領域112-1)よりも小さいことがあるので、走査領域(たとえば、走査領域112-1)全体が印刷されるまで、ステージアセンブリ110は、前後に繰り返し移動する必要があり得る。レンズアセンブリ120は、走査領域112-1の画定に基づいてトリミングが行われ得る、最初および最後の走査を除いて、走査領域112-1を走査するために投影される。露光ユニットの数が大きくなるほど、実施され得る走査が少なくなり、これは、より高いスループットに対応することができる。
【0021】
各露光ユニットが、異なる走査領域を担当し得、走査領域は、他の露光ユニットの隣接する走査領域と重複することもしないこともある。第1の走査領域から、(同じブリッジまたは異なるブリッジのいずれかに取り付けられた)第1の走査領域に隣接する第2の走査領域への急激な遷移を回避するために、第1の走査領域に対応する露光ユニットは、第2の走査領域に侵入することができる。同様に、第2の走査領域に対応する露光ユニットは、第1の走査領域に侵入することができる。たとえば、露光ユニット1は、走査領域112-2および/または走査領域112-3に侵入することができ、露光ユニット2は、走査領域112-1および/または走査領域112-4に侵入することができる。したがって、同じブリッジの隣接する露光ユニットおよび/または異なるブリッジ上の露光ユニット間の境界または「縫目線(stitching line)」において、共有される露光が観測され得る。
【0022】
縫目線が、クリッピング層によって画定され得、これは、ステージアセンブリ110の移動中に各露光ユニットのための走査経路境界を設定する、ソフトウェア定義された層であり得る。理想的でない印刷条件により、縫目線が、印刷した後に、基板上で可視であり得る。たとえば、露光ユニットの実際のロケーションが約1ミクロンだけシフトされた場合、縫目線の近くに、幅1ミクロンの間隙または二重露光された帯があり得る。この例示的な例では、縫目線が、(走査領域が矩形形状であるように)直線として示されているが、縫目線は曲線(たとえば、波状)であり得る。
【0023】
たとえば、露光ユニット120-1の経路130が、例として示されている。経路130は、蛇行(snake-like)様式で進む。より詳細には、走査中に、ステージアセンブリ110は、走査領域120-1にわたってX方向に(すなわち、右から左に)移動し、その間に、露光ユニット120-1は、走査領域120-1にわたって線をパターニングする。ステージアセンブリ110は、走査領域112-1の左エッジに達すると、Y方向に(すなわち、上に)移動し、次いで、X方向に(すなわち、左から右に)移動して、走査領域120-1にわたって別の線をパターニングする。経路130は、走査領域120-1の反対端部に達するまでこの蛇行様式で進み、そのポイントにおいて、完全な画像が、基板上にパターニングされる。画像は、さらに、基板エッチングのために現像され得る。走査中のY方向のステージ進行の距離、「Y1」は、本明細書で説明される実施形態によれば任意の好適な距離であり得る。いくつかの実施形態では、Y1は、約150mmから約180mmの間にわたることがある。たとえば、Y1は約164mmであり得る。各露光ユニットのためのX方向の走査距離は、実施形態では、ブリッジ114-1および114-2の長さに対応する。走査領域の合計幅、「Y2」は、本明細書で説明される実施形態によれば任意の好適な幅であり得る。いくつかの実施形態では、「Y2」は、約1600mmから約2000mmの間にわたることがある。たとえば、Y2は約1800mmであり得る。(たとえば、X方向の)各走査のための進行距離は、基板サイズの違いにより異なり得る。たとえば、いくつかの実施形態では、基板は、8インチ円形ウエハを含む。別の例として、いくつかの実施形態では、基板は、12インチ円形ウエハを含む。
【0024】
図1に示されている走査プロセスは、実施形態では、ディスプレイ(たとえば、フラットパネルディスプレイ)を作成するために使用され得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)である。次に、走査経路130および露光ユニット120-1に関するさらなる詳細が、
図2A~
図2Dを参照しながら以下で説明される。
【0025】
図2A~
図2Dは、いくつかの実施形態による、デジタルリソグラフィシステムの単一のデジタルリソグラフィ露光ユニット(「露光ユニット」)210を通る基板220の走査経路のトップダウン
図200A~200Bである。露光ユニット210は、たとえば、
図1を参照しながら上記で説明されたデジタルリソグラフィシステム100の露光ユニット120-1であり得る。基板220は、ステージ(図示せず)上に配設される。
【0026】
図2Aは、露光ユニット210と、露光ユニット210を使用して実施される第1の走査より前の、基板の走査領域220とを示す。走査領域220のエッジ222は、実施される第1の走査より前に、露光ユニット210のエッジ212と位置合わせされ得る。ステージは、走査領域220にわたっていくつかの走査を実施するデジタルリソグラフィ走査プロシージャに従って、(1つまたは複数の)X-Y方向に基板を移動する。
【0027】
図2Bは、露光ユニット210を使用して第1の走査が実施された後の、走査領域220内での走査されたエリア230-1の形成を示す。より詳細には、ステージは、露光ユニット210の下で正のX方向に基板を移動させて、走査されたエリア230-1を形成する。
【0028】
図2Cは、露光ユニット210を使用して第2の走査が実施された後の、走査されたエリア230-2の形成を示す。より詳細には、露光ユニット210を使用して第1の走査が実施された後に、ステージは、正のY方向に基板を移動させて、露光ユニット210を次の指定された領域と位置合わせし、次いで、ステージは、露光ユニット210の下で負のX方向に基板を移動させて、走査されたエリア230-2を形成する。
【0029】
図2Dは、露光ユニット210を使用して第2の走査が実施された後の、走査されたエリア230-2の形成を示す。より詳細には、露光ユニット210を使用して第2の走査が実施された後に、ステージは、正のY方向に基板を移動させて、露光ユニット210を次の指定された領域と位置合わせし、次いで、ステージは、露光ユニット210の下で正のX方向に基板220を移動させて、走査されたエリア230-3を形成する。追加の走査が、走査を終了するために実施され得る。
【0030】
上記で説明された走査プロセス中に、1つまたは複数の「ムラ」問題が観測され得る。ムラは、概して、走査プロセスにより生じる、ディスプレイにわたって生じる、可視のばらつきを指す日本語の用語である。
【0031】
ムラの一例が、毎回の走査の後に生じる「走査ムラ」である。たとえば、走査ムラの1つのタイプは、露光ユニットの露光フィールドが一貫性のないものである、照明不均一性である(たとえば、露光フィールドの上部エッジが、下部エッジとは異なる照明フィールドを有する)。より詳細には、走査が、線を走査するためにまたは「ストライプをペイントする」ために実施されるたびに、走査の上部エッジは、下部エッジよりも明るくまたは暗くなる。これは、パターニング寸法に悪影響を及ぼすことがある。ムラの別の例が「振動ムラ」であり、デジタルリソグラフィシステムの動作から生じる振動が、露光ユニットが振動することを引き起こすことがあり、走査の不安定さ(choppiness)を生じる。露光ユニット振動は、空間的に同期されないことがあるので、これは、ディスプレイにわたって可視のばらつきを生じることがある。
【0032】
ムラの別の例が「境界ムラ」であり、ある露光ユニットによって走査された領域と別の露光ユニットによって走査された隣接する領域との境界またはエッジにおいて、外観の急な変化が観測され得る。たとえば、所与のブリッジの隣接する露光ユニットのペアによって走査された領域間の境界(たとえば、
図1の走査領域112-2と走査領域112-4との間の境界)において、境界ムラが生じることがある。別の例として、異なるブリッジに対応する隣接する露光ユニットのペアによって走査された領域間の境界(たとえば、
図1の走査領域112-1と走査領域112-2との間の境界)において、境界ムラが生じることがある。
【0033】
境界ムラの様々な異なる微視的および/または巨視的原因があり得る。たとえば、ある露光ユニットが、走査中に、隣接する露光ユニットよりも多くの光を出力している場合、印刷される線の線幅の急激な変化が、それらの露光ユニット間の境界にわたって観測され得る。別の例として、ある露光ユニットが、別の露光ユニットと比較して焦点が外れている場合、各露光ユニットに対応するフォトレジスト側壁プロファイルが異なり得る。たとえば、より良い焦点をもつ露光ユニットは、より不十分な焦点をもつ露光ユニットのより傾斜した側壁と比較して、より垂直な側壁を有することがある。したがって、隣接する走査領域の境界において、問題が存在することがある。
【0034】
本明細書でさらに詳細に説明されるように、ムラ(たとえば、境界ムラ)は、隣接する露光ユニットによって走査された走査領域間の境界(たとえば、縫目線)を平滑化するための露光ユニット境界平滑化を実施することによって対処され得る。露光ユニット境界が、露光ユニットによって走査された領域のエッジに対応し得る。たとえば、露光ユニット境界平滑化は、異なる露光ユニットによって走査された領域間の漸進的遷移を作成する(たとえば、境界をブレンドする)ために実施され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、露光ユニット境界平滑化を実施することは、露光ユニット境界シフティングを実施することを含む。露光ユニット境界シフティングは、露光ユニットの各パスについて露光ユニット境界をシフトするために実施され得る。パスは、基板上に、線をパターニングまたは印刷するための走査経路の単一の反復を指す(概念的に、ペイントの単一コーティングを施すことに似ている)。基板上に線をパターニングするために複数の(すなわち、2つまたはそれ以上の)パスを実施し、各パスの後に露光ユニット境界をシフトすることによって、線は、平滑化または改良され得る(概念的に、ペイントストロークを平滑化するために、ペイントの複数コーティングを施すことに似ている)。したがって、実施形態では、デジタルリソグラフィプロセスが、マルチパスデジタルリソグラフィプロセスであり得る。マルチパスデジタルリソグラフィプロセスの場合、同じ領域上で複数のパスが実施されて、その領域の露光を増加させ得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、露光ユニット境界平滑化を実施することは、線量混合を実施することを含み、線量は、領域が露光される放射または光の量を指す。線量混合は、事実上、マルチパスリソグラフィを実施する必要なしに露光ユニット境界シフティングの結果を「模倣」しようとする。線量混合の場合、光源の強度は、露光ユニットに関連する領域の1つまたは複数の部分の走査中に調整され得る。代替または追加として、露光ユニットに関連する領域の異なる部分に適用されるパスの数が、露光ユニットによって異なる露光レベルを提供するように変動させられ得る。たとえば、第1の露光ユニットが、第1の露光ユニットが担当する領域の大部分への完全な線量を達成するために、ターゲット光強度の100%(または2パス)を適用し得る。しかしながら、第1の露光ユニットが担当する領域の一部分について、第1の露光ユニットは、1/2線量を提供するために、ターゲット光強度の50%(または完全な強度での単一のパス)を適用し得る。第2の露光ユニットが、第1の露光ユニットが担当する領域に渡り得、第1の露光ユニットによる50%の線量を受ける領域の部分に、ターゲット光強度の50%(または完全な強度での単一のパス)を適用し得る。これにより、2つの露光ユニットの線量または露光は、領域のその部分のために、事実上「混合」され、したがって、領域のその部分は、ある露光ユニットから部分線量を受け、別の露光ユニットから部分線量を受ける。本明細書でさらに詳細に説明されるように、線量混合は、対応する走査領域境界において「局所的なマルチパス」を実施することによって達成され得る。より詳細には、走査の複数のパスが、線量混合効果を達成するために、境界に関して実施され得る。線量混合は、露光ユニット境界シフティングと比較して、ブレンディングとタクトタイムとの間のトレードオフを提供することができる。いくつかの実施形態では、露光ユニット境界シフティングと線量混合との組合せが実施される。
【0037】
露光ユニット境界シフティングおよび/または線量混合は、同じブリッジに取り付けられた露光ユニットに関して隣接する走査領域間の境界平滑化(「1ブリッジ例」)を扱うために、または、異なるブリッジに取り付けられた露光ユニットに関して隣接する走査領域間の境界平滑化(「2ブリッジ例」)を扱うために、実施され得る。露光ユニット境界シフティングおよび線量混合に関するさらなる詳細が、
図3~
図7を参照しながら以下で説明される。
【0038】
図3A~
図3Cは、いくつかの実施形態による、デジタルリソグラフィ露光ユニット(「露光ユニット」)境界平滑化の例を示す
図300A~300Cである。露光ユニット境界平滑化は、露光ユニット境界シフティングおよび/または線量混合を実施することによって達成され得る。たとえば、
図300A~300Cは、各々、露光ユニットの境界を画定するクリッピング層に対応することができる。
【0039】
図3Aでは、
図300Aは、境界315によって分離された、第1の露光ユニットに対応する第1の走査領域310-Aと、第2の露光ユニットに対応する第2の走査領域320-Aとを示す。第1の露光ユニットと第2の露光ユニットとは、同じブリッジに取り付けられた隣接する露光ユニットであり得る。たとえば、第1の露光ユニットは、
図1の露光ユニット1に対応することができ、第2の露光ユニットは、
図1の露光ユニット2に対応することができる。代替的に、第1の露光ユニットと第2の露光ユニットとは、異なるブリッジに取り付けられた隣接する露光ユニットであり得る。たとえば、第1の露光ユニットは、
図1の露光ユニット1に対応することができ、第2の露光ユニットは、
図1の露光ユニット12に対応することができる。
【0040】
この例では、第1の走査領域310-Aと第2の走査領域320-Aとの間の露光ユニット境界平滑化がない。より詳細には、第1の露光ユニットは、境界315までの第1の走査領域310-Aにおける走査を100%担当し、次いで、第2の露光ユニットは、境界315までの第2の走査領域320-Aにおける走査を100%担当する。言い換えれば、第1の走査領域310-Aは、第1の露光ユニットからの線量の100%を受けており、第2の走査領域320-Aは、第2の露光ユニットからの線量の100%を受けた。
【0041】
図3Bでは、
図300Bは、第1の露光ユニットに対応する第1の走査領域310-Bと、第2の露光ユニットに対応する第2の走査領域320-Bとを示す。ここで、第1の走査領域310-Bと第2の走査領域320-Bとの間の露光ユニット境界平滑化が、鋸歯状ブレンディングを生じた。より詳細には、第1の露光ユニットは、第2の露光ユニットに対応する元の走査領域(たとえば、
図3Aの走査領域310-B)に拡張するようにプログラムされ、第2の露光ユニットは、第1の露光ユニットに対応する元の走査領域(たとえば、
図3Aの走査領域310-A)に拡張するようにプログラムされる。鋸歯状ブレンディングは、垂直境界330-1~330-4および水平境界335-1~335-3によって
図3Bに示されている。境界330-1~330-4および335-1~335-1は、可視でないことがあり、
図3Bに示されている露光ユニット境界平滑化を示すために提供される。混合線量領域が、垂直境界330-1と垂直境界330-4との間で画定される。水平境界335-1によって画定される領域に関して、第1の露光ユニットは75%線量を提供し、第2の露光ユニットは25%線量を提供する。水平境界335-2によって画定される領域に関して、第1の露光ユニットと第2の露光ユニットの両方が、50%線量を提供する。水平境界335-3によって画定される領域に関して、第1の露光ユニットは25%線量を提供し、第2の露光ユニットは75%線量を提供する。
【0042】
図3Bに示されている境界平滑化は、露光ユニット境界シフティングおよび/または線量混合を実施することによって得られ得る。露光ユニット境界シフティングに関して、複数のパスが、鋸歯状ブレンディングを得るために実施され得る。この例示的な例では、4つのパスが実施され得、露光ユニット境界は、各パスの後にシフトされる(すなわち、4パス境界シフティング)。たとえば、1ブリッジのケースでは、露光ユニット境界は、(たとえば、クリッピング層を垂直方向にシフトすることによって)垂直方向にシフトされ得、2ブリッジのケースでは、露光ユニット境界は、(たとえば、クリッピング層を水平方向にシフトすることによって)水平方向にシフトされ得る。線量混合に関して、単一のパスを実施しながら、「局所的なマルチパス」が、露光ユニットの各々について線量(dosing)の指定された量を提供するように、元の境界315に関して実施され得る。この例示的な例では、第1の露光ユニットおよび第2の露光ユニットは、各々、
図3Bに示されている露光ユニット境界平滑化を達成するために4つの線量の量(100%、75%、50%および25%)を提供することができる。
【0043】
図3Cでは、
図300Cは、斜め境界340に対応する漸進的ブレンディングを伴う、第1の露光ユニット領域310-Cと第2の露光ユニット領域320-Cとを示す。斜め境界340を達成するための漸進的ブレンディングは、露光ユニット境界シフティング中の好適な数(たとえば、無限数)のパスの後に、および/または線量混合中の露光ユニットの各々についての境界に関する線量の好適に細かい(たとえば、無限小的に細かい)混合の後に、そのブレンディングが得られ得るという点で、境界平滑化のために理想的な理論である。
【0044】
図4は、いくつかの実施形態による、1ブリッジ実装形態におけるデジタルリソグラフィ露光ユニット(「露光ユニット」)の例示的な走査構成(「構成」)の
図400である。
図400は、露光ユニット境界平滑化またはブレンディングなしの第1の構成410を示す。より詳細には、第1の構成410は、第1の露光ユニットの100%線量に対応する第1の走査領域412と、第2の露光ユニットの100%線量に対応する第2の走査領域414とを含む。たとえば、走査領域412および414は、クリッピング層を使用して画定され得る。
【0045】
図400は、露光ユニット境界平滑化またはブレンディングの一例を示す第2の構成420をさらに示す。より詳細には、第2の構成420は、第1の露光ユニットの100%線量に対応する第1のブレンドされない走査領域421と、第2の露光ユニットの100%線量に対応する第2のブレンドされない走査領域422とを含む。さらに、第2の構成420は、いくつかのブレンドされた走査領域423~425を含む。ブレンドされた走査領域423は、例として、第1の露光ユニットの約75%線量および第2の露光ユニットの約25%線量に対応することができる。ブレンドされた走査領域424は、第1の露光ユニット領域の約50%線量および第2の露光ユニット領域の約50%線量に対応することができる。ブレンドされた走査領域425は、第1の露光ユニットの約25%線量および第2の露光ユニットの約75%線量に対応することができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、マルチパス露光プロセスが、走査領域421~425を達成するために実施され得る。より詳細には、露光ユニット境界シフティングが、各パスの後に垂直方向に露光ユニット境界をシフトすることによって実施され得る(たとえば、クリッピング層は、各パスの後に垂直方向にシフトする)。この例示的な例では、4つのパスが実施され得る。たとえば、第1の露光ユニットの4つのパスは、(1)走査領域421、(2)走査領域421+423、(3)走査領域421+423+424、および(4)走査領域421+423+424+425であり得る。
【0047】
走査領域421~425間の境界は、第2の構成420において直線であるものとして示されている。しかしながら、走査領域421~425間の境界が直線でない他の変形形態が企図される。たとえば、走査領域421~425間の境界は波状であり得る。人間の眼は、直線エッジにより敏感であるので、直線でない境界は、第1の露光ユニットと第2の露光ユニットとの間の同じ程度の不一致に関してあまりはっきり見えないことがある。
【0048】
図5は、いくつかの実施形態による、2ブリッジ実装形態におけるデジタルリソグラフィ露光ユニット(「露光ユニット」)の例示的な走査構成(「構成」)を示す
図500を示す。
図500は、4パス露光プロセス中に露光ユニットA~Dによって実施される、それぞれ第1のパス、第2のパス、第3のパスおよび第4のパスに対応する、いくつかの構成510-1~510-4を示す。この例では、露光ユニットA~Dは、隣接する走査領域中に位置し、露光ユニットAおよびBは、第1のブリッジに取り付けられ、露光ユニットCおよびDは、第2のブリッジに取り付けられる。たとえば、
図1を参照すると、露光ユニットAは露光ユニット2に対応することができ、露光ユニットBは露光ユニット1に対応することができ、露光ユニットCは露光ユニット13に対応することができ、露光ユニットDは露光ユニット12に対応することができる。
【0049】
構成510-1~510-4の各々が、領域520を含む、領域の5×5グリッドとして編成され、各領域に書かれた文字「A」~「D」は、対応するパス中にその領域においてどの露光ユニットが走査を実施することを担当するかを表す。たとえば、露光ユニットAは、4つのパスの各々について、領域520において走査を実施することを担当する。構成510-1~510-4は、説明のために、完全に分離されたまたは独立したものとして示されている。各構成510-1~510-4のグリッドにおける対応するロケーション中のボックスが、各パス中に実質的に重複することを理解されたい。たとえば、構成510-1~510-4の各々における領域520は、実質的に同等のロケーションである。
【0050】
構成510-1~510-4に示されているパスは、あらかじめ定義されたブレンディング仕様を集合的に満たすように設計される。たとえば、ブレンディング仕様は、データ構造(たとえば、表)において提供され得る。構成510-1~510-4によって満たされるブレンディング仕様は、以下の表に示されている。
表1は5×5の表として編成され、各ボックスが、4パスプロセスの終わりに、対応する領域において露光ユニットA~Dのうちの1つまたは複数によって実施されるべき走査の総数を定義する。たとえば、表1中のエントリ「4A」は、露光ユニットAが、領域520において走査を合計4回実施することを示す(すなわち、露光ユニットAは、各パスについて領域520を100%担当する)。このため、構成510-1~510-4の各々における領域520は、その中に書かれた文字「A」を有する。別の例として、表1中のエントリ「3A+C」は、領域520の右エッジに隣接する領域において、露光ユニットAが走査を合計3回実施し、露光ユニットCが走査を1回実施することを示す。この例示的な例では、構成510-1~510-4に示されているように、露光ユニットAは、第1のパス、第3のパスおよび第4のパス中に、その領域において走査を実施し、露光ユニットCは、第2のパス中に、その領域において走査を実施する。すなわち、露光ユニットAは、その領域における走査の75%に寄与し、露光ユニットCは、その領域における走査の25%に寄与する。しかしながら、この走査順序付けは限定するものではない。たとえば、(構成510-1に示されている露光ユニットAとは対照的に)露光ユニットCが、第1のパス中にその領域において走査を実施することができ、(構成510-2に示されている露光ユニットCとは対照的に)露光ユニットAが、第2のパス、第3のパスおよび第4のパス中に、その領域において走査を実施することができる。また別の例として、表1中のエントリ「A+B+C+D」は、構成510-1~510-4の中心領域において、露光ユニットA~Dの各々が1つの走査を実施することを示す。この例示的な例では、露光ユニットAは、第1のパス中に中心領域において走査を実施し、露光ユニットCは、第2のパス中に中心領域において走査を実施し、露光ユニットBは、第3のパス中に中心領域において走査を実施し、露光ユニットDは、第4のパス中に中心領域において走査を実施する。しかしながら、上記と同様に、この走査順序付けは、(露光ユニットA~Dの各々が、マルチパスプロセスのそれぞれのパス中に単一の走査を実施する限り)限定するものではない。
【0051】
図6は、いくつかの実施形態による、1ブリッジ実装形態におけるデジタルリソグラフィ露光ユニットの線量割振りの別の例を示す
図600である。
図600は、第1の露光ユニットに対応する線量割振り610-1と、第2の露光ユニットに対応する線量割振り610-2とを含む。説明のために、線量割振り610-1と線量割振り610-2とは、分離されたまたは独立したものとして示されている。しかしながら、実際には、線量割振り610-1と線量割振り610-2とは、垂直方向に位置合わせされた領域に対応する。
【0052】
たとえば、線量割振り610-1は、第1の領域における第1の露光ユニットのための線量値612-1と、第2の領域における第1の露光ユニットのための線量値614-1と、第3の領域における第1の露光ユニットのための線量値616-1と、第4の領域における第1の露光ユニットのための線量値618-1とを含む。線量割振り610-2は、第5の領域における第2の露光ユニットのための線量値612-2と、第2の領域における第2の露光ユニットのための線量値614-2と、第3の領域における第2の露光ユニットのための線量値616-2と、第4の領域における第2の露光ユニットのための線量値618-2とを含む。言い換えれば、第2の領域は、線量値614-1と線量値614-2との混合を含み、第3の領域は、線量値616-1と線量値616-2との混合を含み、第4の領域は、線量値618-1と線量値618-2との混合を含む。
【0053】
混合線量値の和は、対応する領域のための総線量の合計100%になるべきである。たとえば、線量値612-1と線量値612-2とは、各々、各露光ユニットが、それぞれ、第1の領域および第5の領域のための100%線量に単独で寄与するように、100%であり得る。線量値614-1は、例として75%であり得、線量値614-2は、例として25%であり得、各露光ユニットの寄与は、第2の領域の総線量の合計100%になる。線量値616-1と線量値616-2とは、例として50%であり得、各露光ユニットの寄与は、第3の領域の総線量の合計100%になる。線量値618-1は、例として25%であり得、線量値618-2は、例として75%であり得、各露光ユニットの寄与は、第4の領域の総線量の合計100%になる。しかしながら、これらの線量値例は例にすぎず、任意の好適な数の線量値混合(mixture)Nが、本明細書で説明される実施形態に従って実装され得る。第1の露光ユニットと第2の露光ユニットとに対応するクリッピング層は、線量値混合を達成するために必要とされる重複を提供するように位置合わせされるべきである。
【0054】
図7は、いくつかの実施形態による、2ブリッジ実装形態におけるデジタルリソグラフィ露光ユニットの例示的な線量割振りを示す
図700である。
図700は、露光ユニットAに対応する線量割振り710-Aと、露光ユニットBに対応する線量割振り710-Bと、露光ユニットCに対応する線量割振り710-Cと、露光ユニットDに対応する線量割振り710-Dとを含む。この例では、露光ユニットA~Dは、隣接する走査領域中に位置し、露光ユニットAおよびBは、第1のブリッジに取り付けられ、露光ユニットCおよびDは、第2のブリッジに取り付けられる。たとえば、
図1を参照すると、露光ユニットAは露光ユニット2に対応することができ、露光ユニットBは露光ユニット1に対応することができ、露光ユニットCは露光ユニット13に対応することができ、露光ユニットDは露光ユニット12に対応することができる。
【0055】
線量割振り710-A~710-Dの各ボックス中の数は、各領域における対応する露光ユニットのための相対線量を表し、実際の線量は16で除算される。たとえば、線量割振り710-Aに示されたボックス中の数が「8」である場合、対応する領域についての露光ユニットAのための実際の線量寄与は、8/16=0.5または50%である。
【0056】
説明のために、線量割振り710-A~線量割振り710-Dは、分離されたものとして示されている。しかしながら、実際には、線量割振り710-A~710-Dは、露光ユニットA~Dの各々からの総線量が、合計100%になる(すなわち、相対線量が合計16になる)ように、ブレンディングゾーンを形成するように3×3ボックス領域720A~720-Dに関して重複する。たとえば、露光ユニット線量割振り710-A~710-Dの各々における太字および下線付きの値に対応する総線量は、
によって表され得る。この例示的な例では、(相対線量1、2、3、4、6、8、9、12および16に対応する)各露光ユニットA~Dのための9つの線量値が達成される。しかしながら、これらの線量値例は例にすぎず、任意の好適な数の線量値混合Nが、本明細書で説明される実施形態に従って実装され得る。
【0057】
図8A~
図8Cは、いくつかの実施形態による、デジタルリソグラフィ露光ユニット線量割振りの例を示す図である。
図8Aは、露光ユニット境界平滑化またはブレンディングなしの
図800Aを示す。たとえば、
図800Aは、第1の露光ユニットに対応する第1の走査領域810-Aと、第2の露光ユニットに対応する第2の走査領域820-Aと、第3の露光ユニットに対応する第3の走査領域830-Aとを示す。各走査領域810-A~830-Aは、各々走査幅を有するいくつかの走査に関連する。この例示的な実施形態では、6つの走査(1~6)が、各走査領域内で各露光ユニットによって実施される。しかしながら、走査の数は、限定するものと見なされるべきでない。露光ユニット走査距離を示す、距離「X」が示されている。線量混合がないので、各露光ユニットが、その対応する領域内の走査の100%を担当する。ここで、ならびに
図8Bおよび
図8Cに関して以下で説明されるように、第1の露光ユニットによって実施される走査は、塗りつぶしなしによって示されており、第2の露光ユニットによって実施される走査は、ストライプによって示されており、第3の露光ユニットによって実施される走査は、斑点によって示されている。
【0058】
走査2~5は、概して、対応する走査領域810A~830Aの中央で実施される走査に対応し、走査1および6は、概して、対応する走査領域810A~830Aのエッジまたは境界に向かって実施される走査に対応する。走査2~5は、概して、同じまたは同様の走査幅を有する。しかしながら、走査1および6の場合、走査幅が、走査2~5の走査幅よりも小さくなり得ることが観測され得る。これは、デジタルリソグラフィシステムがアセンブルおよび較正されるやり方から生じることがある。たとえば、各露光ユニットは、約+/-1ミリメートル(mm)の許容差を有するように設置され得る。次いで、システムは、各露光ユニットのロケーションを決定するために較正され得る。較正は、各露光がデジタルリソグラフィシステム内にどのように配設されるかに鑑みて、走査ごとに走査幅を識別することができる。
【0059】
図8Bは、第1の実装形態による、露光ユニット境界平滑化を伴う、
図800Bを示す。たとえば、
図800Bは、走査領域810-B~850-Bを示す。各走査領域810-B~850-Bは、各々走査幅を有するいくつかの走査に関連する。しかしながら、走査の数および/または走査幅は、限定するものと見なされるべきでない。
【0060】
図示のように、第1の露光ユニットが、走査領域810-Bにおいて走査1~4Aを実施し、走査4Aは、第1の露光ユニットによる走査4の第1の実施に対応する。ここで、第1の露光ユニットは、走査領域810-B内の走査の100%を実施する。
【0061】
走査領域820-Bにおいて、第1の露光ユニットは走査4B~8を実施し、走査4Bは、第1の露光ユニットによる走査4の第2の実施に対応する。追加の走査7および8が、第1の露光ユニットの動作を、第2の露光ユニットの元の走査領域(たとえば、
図8Aの走査領域820-A)に拡張するために使用された。その上、第2の露光ユニットが走査-1~2Aを実施し、走査2Aは、第2の露光ユニットによる走査2の第1の実施に対応する。追加の走査-1および0が、第2の露光ユニットを、第1の露光ユニットの元の走査領域(たとえば、
図8Aの走査領域810-A)に拡張するために使用された。ここで、第1の露光ユニットと第2の露光ユニットとの各々は、走査領域820-Bの走査の約50%を走査する。
【0062】
走査領域830-Bにおいて、第2の露光ユニットは走査2B~4Aを実施し、走査2Bは、第2の露光ユニットによる走査2の第2の実施に対応し、走査4Aは、第2の露光ユニットによる走査4の第1の実施に対応する。ここで、第2の露光ユニットは、走査領域830-Bの100%を走査する。
【0063】
走査領域840-Bにおいて、第2の露光ユニットは走査4B~8を実施し、走査4Bは、第2の露光ユニットによる走査4の第2の実施に対応する。第1の露光ユニットと同様に、追加の走査7および8が、第2の露光ユニットの動作を、第3の露光ユニットの元の走査領域(たとえば、
図8Aの走査領域830-A)に拡張するために使用された。その上、第3の露光ユニットが走査-1~3Aを実施し、走査3Aは、第3の露光ユニットによる走査3の第1の実施に対応する。追加の走査-1および0が、第3の露光ユニットを、第2の露光ユニットの元の走査領域(たとえば、
図8Aの走査領域820-B)に拡張するために使用された。ここで、第2の露光ユニットと第3の露光ユニットとの各々は、走査領域840-Bの約50%を走査する。
【0064】
走査領域850-Bにおいて、第2の露光ユニットは走査3B~6を実施し、走査3Bは、第3の露光ユニットによる走査3の第2の実施に対応する。ここで、第3の露光ユニットは、走査領域850-B内の走査の100%を実施する。したがって、走査領域820-Bと走査領域840-Bとは、露光ユニットの隣接するペアが走査領域の約50%を走査する、重複範囲に対応する。
【0065】
第1の露光ユニットによって実施される走査4と、第2の露光ユニットによって実施される走査2および4と、第3の露光ユニットによって実施される走査3とは、走査領域間の線量混合境界を越える走査に対応する。したがって、これらの走査は、
図8Bによる線量混合を実施するために、2倍にされるかまたは2回実施される。たとえば、第1の露光ユニットに関して、ステージは、その対応する走査4の印刷中に同じY位置においてとどまることができる。第1の露光ユニットは、ある走査において4Aを印刷するために100%線量を使用し、別の走査において4Bを印刷するために50%線量を使用することができる。
【0066】
図8Cは、第2の実装形態による、露光ユニット境界平滑化を伴う、
図800Cを示す。たとえば、
図800Bは、走査領域810-C~890-Cを示す。各走査領域810-C~890-Cは、各々走査幅を有するいくつかの走査に関連する。しかしながら、走査の数および/または走査幅は、限定するものと見なされるべきでない。第1の露光ユニットが、走査領域810-C内の走査の100%を実施し、第2の露光ユニットが、走査領域850-C内の走査の100%を実施し、第3の露光ユニットが、走査領域890-C内の走査の100%を実施する。
【0067】
図示のように、第1の露光ユニットが、走査領域810-Cにおいて走査1~4Aを実施し、走査4Aは、第1の露光ユニットによって実施される走査4の第1の部分に対応する。ここで、第1の露光ユニットは、走査領域810-Cの100%を走査する。
【0068】
走査領域820-Cにおいて、第1の露光ユニットは走査4Bおよび5Aを実施し、走査4Bは、第1の露光ユニットによって実施される走査4の第2の部分に対応し、走査5Aは、第1の露光ユニットによって実施される走査5の第1の部分に対応する。その上、第2の露光ユニットが走査-1および0Aを実施し、走査0Aは、第2の露光ユニットによって実施される走査0の第1の部分に対応する。追加の走査-1および0が、第2の露光ユニットを、第1の露光ユニットの元の走査領域(たとえば、
図8Aの走査領域810-A)に拡張するために使用された。ここで、第1の露光ユニットは、走査領域820-Cの約75%を走査し、第2の露光ユニットは、走査領域820-Cの約25%を走査する。
【0069】
走査領域830-Cにおいて、第1の露光ユニットは、走査5B~7Aを実施し、走査6Bは、第1の露光ユニットによって実施される走査6の第2の部分に対応し、走査7Aは、第1の露光ユニットによって実施される走査7の第1の部分に対応する。その上、第2の露光ユニットは、走査0Bおよび1Aを実施し、走査0Bは、第2の露光ユニットによって実施される走査0の第2の部分に対応し、走査1Aは、第2の露光ユニットによって実施される走査1の第1の部分に対応する。ここで、第1の露光ユニットと第2の露光ユニットとの各々は、走査領域830-Cの約50%を走査する。
【0070】
走査領域840-Cにおいて、第1の露光ユニットは走査7Bおよび8を実施し、走査7Bは、第1の露光ユニットによって実施される走査7の第2の部分に対応する。その上、第2の露光ユニットは、走査1Bおよび2Aを実施し、走査1Bは、第2の露光ユニットによって実施される走査1の第2の部分に対応し、走査2Aは、第2の露光ユニットによって実施される走査2の第1の部分に対応する。ここで、第1の露光ユニットは、走査領域840-Cの約25%を走査し、第2の露光ユニットは、走査領域840-Cの約75%を走査する。
【0071】
走査領域820-C~840-Cに関して、追加の走査7および8が、第1の露光ユニットを、第2の露光ユニットの元の走査領域(たとえば、
図8Aの走査領域820-A)に拡張するために使用された。その上、追加の走査-1および0が、第2の露光ユニットを、第1の露光ユニットの元の走査領域(たとえば、
図8Aの走査領域810-A)に拡張するために使用された。
【0072】
走査領域850-Cにおいて、第2の露光ユニットは、走査2B~4Aを実施し、走査2Bは、第2の露光ユニットによって実施される走査2の第2の部分に対応し、走査4Aは、第2の露光ユニットによって実施される走査4の第1の部分に対応する。ここで、第2の露光ユニットは、走査領域850-Cの100%を走査する。
【0073】
走査領域860-Cにおいて、第2の露光ユニットは、走査4B~6Aを実施し、走査4Bは、第2の露光ユニットによって実施される走査4の第2の部分に対応し、走査6Aは、第2の露光ユニットによって実施される走査6の第1の部分に対応する。その上、第3の露光ユニットが走査-1および0Aを実施し、走査0Aは、第3の露光ユニットによって実施される走査0の第1の部分に対応する。ここで、第2の露光ユニットは、走査領域860-Cの約75%を走査し、第3の露光ユニットは、走査領域860-Cの約25%を走査する。
【0074】
走査領域870-Cにおいて、第2の露光ユニットは、走査6Bおよび7Aを実施し、走査6Bは、第2の露光ユニットによって実施される走査6の第2の部分に対応し、走査7Aは、第2の露光ユニットによって実施される走査7の第1の部分に対応する。その上、第3の露光ユニットは、走査0B~2Aを実施し、走査0Bは、第3の露光ユニットによって実施される走査0の第2の部分に対応し、走査2Aは、第3の露光ユニットによって実施される走査2の第1の部分に対応する。ここで、第2の露光ユニットと第3の露光ユニットとの各々は、走査領域870-Cの約50%を走査する。
【0075】
走査領域880-Cにおいて、第2の露光ユニットは走査7Bおよび8を実施し、走査7Bは、第2の露光ユニットによって実施される走査7の第2の部分に対応する。その上、第3の露光ユニットは、走査2B~3Aを実施し、走査2Bは、第3の露光ユニットによって実施される走査2の第2の部分に対応し、走査3Aは、第3の露光ユニットによって実施される走査3の第1の部分に対応する。ここで、第2の露光ユニットは、走査領域880-Cの約25%を走査し、第3の露光ユニットは、走査領域880-Cの約75%を走査する。
【0076】
走査領域860-C~880-Cに関して、追加の走査7および8が、第2の露光ユニットを、第3の露光ユニットの元の走査領域(たとえば、
図8Aの走査領域830-A)に拡張するために使用された。その上、追加の走査-1および0が、第3の露光ユニットを、第2の露光ユニットの元の走査領域(たとえば、
図8Aの走査領域820-A)に拡張するために使用された。
【0077】
走査領域890-Cにおいて、第3の露光ユニットは走査3B~6を実施し、走査3Bは、第3の露光ユニットによって実施される走査3の第2の部分に対応する。ここで、第3の露光ユニットは、走査領域890-C内の走査の100%を実施する。
【0078】
第1の露光ユニットによって実施される走査4、5および7と、第2の露光ユニットによって実施される走査0、1、2、4、6および7と、第3の露光ユニットによって実施される走査0、2および3とは、走査領域間の線量混合境界に侵入する走査に対応する。したがって、これらの走査は、
図8Cによる線量混合を実施するために、対応する線量混合境界に関して2倍にされるかまたは2回実施される。
【0079】
図9は、いくつかの実施形態による、デジタルリソグラフィ露光ユニット境界平滑化を実装するための方法900のフロー図を示す。方法は、ハードウェア(回路、専用論理など)、(汎用コンピュータシステムまたは専用機械上で稼働される)コンピュータ可読命令、またはその両方の組合せを備え得る、処理論理によって実施され得る。例示的な例では、方法900は、デジタルリソグラフィシステムの処理デバイスによって実施され得る。
図9に示されているブロックは、同時に実施されるか、または示されているものとは異なる順序で実施され得ることに留意されたい。
【0080】
ブロック910において、処理論理は、基板をパターニングするためのデジタルフォトリソグラフィプロセスを実施するための命令を受信し、ブロック920において、処理論理は、命令に従って基板をパターニングするためのデジタルリソグラフィプロセスを始動する。基板はステージ上に配設され得、ステージは、命令に従ってデジタルリソグラフィ露光ユニット(「露光ユニット」)の下でX-Y方向に移動することができる。たとえば、命令は、露光ユニット境界平滑化(たとえば、露光ユニット境界シフティングおよび/または線量混合)を実装するために実行され得る。
【0081】
ブロック930において、処理論理は、デジタルリソグラフィプロセス中に第1の露光ユニットと第2の露光ユニットとに関して露光ユニット境界平滑化を実施する。第1の露光ユニットは、第1の走査領域に対応し、第2の露光ユニットは、第1の走査領域に隣接する第2の走査領域に対応する。露光ユニット境界平滑化を実装することは、第1の露光ユニットを第2の走査領域に拡張させ、第2の露光ユニットを第1の走査領域に拡張させることを含むことができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、デジタルリソグラフィプロセスは、複数のパスを含む複数パスプロセスを含み、露光ユニット境界平滑化を実装することは、複数パスプロセスの一部として露光ユニット境界シフティングを実施することを含む。たとえば、露光ユニット境界シフティングは、1ブリッジ実装形態において実装され得る。ここで、第1の露光ユニットと第2の露光ユニットとは、デジタルフォトリソグラフィシステムのステージの上の同じブリッジに取り付けられ、露光ユニット境界シフティングを実施することは、複数パスプロセスの第1のパスを実施することと、第1のパスを実施したことに応答して、垂直境界シフトを実施することと、垂直境界シフトを実施したことに応答して、複数パスプロセスの第2のパスを実施することとを含む。露光ユニット境界シフティングの1ブリッジ実装形態に関するさらなる詳細は、
図4を参照しながら上記で説明された。
【0083】
別の例として、露光ユニット境界シフティングは、2ブリッジ実装形態において実装され得る。ここで、第1の露光ユニットと第2の露光ユニットとは、第1のブリッジに取り付けられ、複数の露光ユニットは、第3の走査領域に関連する第3の露光ユニットと第3の走査領域に隣接する第4の走査領域に関連する第4の露光ユニットとをさらに含み、したがって、第3の露光ユニットと第4の露光ユニットとは、第1のブリッジに隣接する第2のブリッジに取り付けられる。その場合、露光ユニット境界シフティングを実施することは、複数パスプロセス中にそれぞれの領域中で、第1の露光ユニットと第2の露光ユニットと第3の露光ユニットと第4の露光ユニットとによって実施されるべき線量の総数を示すブレンディング仕様に従って複数のパスを実施することを含むことになる。露光ユニット境界シフティングの2ブリッジ実装形態に関するさらなる詳細は、
図5を参照しながら上記で説明された。
【0084】
いくつかの実施形態では、露光ユニット境界平滑化を実装することは、第1の走査領域と第2の走査領域との間の境界に関する線量混合を実施することを含む。たとえば、線量混合は、1ブリッジ実装形態において実装され得る。ここで、第1の露光ユニットと第2の露光ユニットとは、デジタルフォトリソグラフィシステムのステージの上の同じブリッジに取り付けられ、線量混合を実施することは、第1の露光ユニットに、ブレンドされた領域に対する総線量の第1の割合を寄与させ、第2の露光ユニットに、ブレンドされた領域に対する総線量の第2の割合を寄与させることを含み、したがって、第1の割合と前記第2の割合との和が100%に等しくなる。露光ユニット境界シフティングの1ブリッジ実装形態に関するさらなる詳細は、
図6を参照しながら上記で説明された。
【0085】
別の例として、線量混合は、2ブリッジ実装形態において実装され得る。ここで、第1の露光ユニットと第2の露光ユニットとは、第1のブリッジに取り付けられ、複数の露光ユニットは、第3の走査領域に関連する第3の露光ユニットと第3の走査領域に隣接する第4の走査領域に関連する第4の露光ユニットとをさらに含み、したがって、第3の露光ユニットと第4の露光ユニットとは、第1のブリッジに隣接する第2のブリッジに取り付けられる。その場合、線量混合を実施することは、第1の露光ユニットに、ブレンドされた領域に対する総線量の第1の割合を寄与させ、第2の露光ユニットに、ブレンドされた領域に対する総線量の第2の割合を寄与させ、第3の露光ユニットに、ブレンドされた領域に対する総線量の第3の割合を寄与させ、第4の露光ユニットに、ブレンドされた領域に対する総線量の第4の割合を寄与させることを含むことになり、したがって、第1の割合と第2の割合と第3の割合と第4の割合との和が100%に等しくなる。線量混合の2ブリッジ実装形態に関するさらなる詳細は、
図7を参照しながら上記で説明された。
【0086】
露光ユニット境界シフティングおよび線量混合を含む、方法900に関するさらなる詳細が、
図1~
図8を参照しながら上記で説明された。
【0087】
図10は、いくつかの実施形態による、デジタルリソグラフィシステム(「システム」)900を示すブロック図である。図示のように、システム1000は、デジタルリソグラフィ露光ユニット(「露光ユニット」)1010と、ステージ1020と、処理デバイス1030とを含む。処理デバイス1030は、メモリ1034に動作可能に結合されたプロセッサ1032を含む。メモリは、システム1000内でデジタルリソグラフィを実施するための命令1036を維持することができる。たとえば、命令1026は、ステージ1020および/または露光ユニット1010の移動を制御するための命令を含むことができる。実行されたとき、命令は、本明細書で上記で説明された露光ユニット境界平滑化を実施するための方法を実装することができる。
【0088】
図11は、いくつかの実施形態による、コンピュータシステム1100を示すブロック図である。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム1100は、(たとえば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、またはインターネットなど、ネットワークを介して)他のコンピュータシステムに接続される。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム1100は、クライアントサーバ環境内のサーバコンピュータまたはクライアントコンピュータの資格で動作するか、あるいは、ピアツーピアまたは分散型ネットワーク環境内のピアコンピュータとして動作する。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム1100は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、セルラー電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、あるいはそのデバイスによってとられるべきアクションを指定する命令のセット(連続またはそれ以外)を実行することが可能な任意のデバイスによって提供される。さらに、「コンピュータ」という用語は、本明細書で説明される方法のうちのいずれか1つまたは複数を実施するために命令のセット(または複数のセット)を個々にまたは一緒に実行する、コンピュータの任意の集合を含むものとする。
【0089】
さらなる態様では、コンピュータシステム1100は、バス1108を介して互いと通信する、処理デバイス1102と、揮発性メモリ1104(たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM))と、不揮発性メモリ1106(たとえば、読取り専用メモリ(ROM)または電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM))と、データストレージデバイス1116とを含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、処理デバイス1102は、(たとえば、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、命令セットの他のタイプを実装するマイクロプロセッサまたは命令セットのタイプの組合せを実装するマイクロプロセッサなどの)汎用プロセッサ、または(たとえば、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはネットワークプロセッサなどの)専用プロセッサなど、1つまたは複数のプロセッサによって提供される。
【0091】
いくつかの実施形態では、コンピュータシステム1100は、(たとえば、ネットワーク1174に結合された)ネットワークインターフェースデバイス1122をさらに含む。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム1100はまた、ビデオディスプレイユニット1110(たとえば、LCD)と、英数字入力デバイス1112(たとえば、キーボード)と、カーソル制御デバイス1114(たとえば、マウス)と、信号生成デバイス1120とを含む。
【0092】
いくつかの実装形態では、データストレージデバイス1116は、本明細書で説明される方法または機能のうちのいずれか1つまたは複数を符号化する命令1126を記憶する、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体1124を含む。たとえば、命令1126は、デジタルリソグラフィシステムのステージおよび/またはデジタルリソグラフィ露光ユニット(「露光ユニット」)の移動を制御するための命令を含むことができ、命令は、実行されたとき、本明細書で説明される露光ユニット境界平滑化を実施するための方法を実装することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、命令1126はまた、コンピュータシステム1100によるその実行中に、完全にまたは部分的に、揮発性メモリ1104内におよび/または処理デバイス1102内に存在し、したがって、いくつかの実施形態では、揮発性メモリ1104と処理デバイス1102とはまた、機械可読ストレージ媒体を構成する。
【0094】
コンピュータ可読ストレージ媒体1124は、例示的な例において単一の媒体として示されているが、「コンピュータ可読ストレージ媒体」という用語は、実行可能な命令の1つまたは複数のセットを記憶する単一の媒体または複数の媒体(たとえば、集中型または分散型データベース、ならびに/あるいは関連するキャッシュおよびサーバ)を含むものとする。「コンピュータ可読ストレージ媒体」という用語は、コンピュータが実行するための命令のセットを記憶または符号化することが可能であり、コンピュータが、本明細書で説明される方法のうちのいずれか1つまたは複数を実施することを引き起こす、任意の有形媒体をも含むものとする。「コンピュータ可読ストレージ媒体」という用語は、限定はしないが、固体メモリと、光媒体と、磁気媒体とを含むものとする。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される方法、構成要素、および特徴は、個別ハードウェア構成要素によって実装されるか、あるいは、ASIC、FPGA、DSPまたは同様のデバイスなど、他のハードウェア構成要素の機能に統合される。いくつかの実施形態では、方法、構成要素、および特徴は、ハードウェアデバイス内のファームウェアモジュールまたは機能回路によって実装される。いくつかの実施形態では、方法、構成要素、および特徴は、ハードウェアデバイスとコンピュータプログラム構成要素との任意の組合せで実装されるか、またはコンピュータプログラムで実装される。
【0096】
別段に明記されていない限り、「トレーニングすること」、「識別すること」、「さらにトレーニングすること」、「再トレーニングすること」、「引き起こすこと」、「受信すること」、「提供すること」、「取得すること」、「最適化すること」、「決定すること」、「更新すること」、「初期化すること」、「生成すること」、「追加すること」などの用語は、コンピュータシステムレジスタおよびメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを操作し、そのデータを、コンピュータシステムメモリまたはレジスタ、あるいは他のそのような情報ストレージ、送信または表示デバイス内の物理量として同様に表される他のデータに変換する、コンピュータシステムによって実施または実装されるアクションおよびプロセスを指す。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」などの用語は、異なる要素同士を区別するためのラベルとして意味され、それらの数字表示による順序の意味を有しない。
【0097】
本明細書で説明される例はまた、本明細書で説明される方法を実施するための装置に関する。いくつかの実施形態では、この装置は、本明細書で説明される方法を実施するために特別に構築されるか、または、コンピュータシステムに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的にプログラムされる汎用コンピュータシステムを含む。そのようなコンピュータプログラムは、コンピュータ可読有形ストレージ媒体に記憶される。
【0098】
本明細書で説明される方法および例示的な例は、本質的に、特定のコンピュータまたは他の装置に関係しない。いくつかの実施形態では、様々な汎用システムが、本明細書で説明される教示に従って使用される。いくつかの実施形態では、より特殊な装置が、本明細書で説明される方法および/あるいはそれらの個々の機能、ルーチン、サブルーチン、または動作の各々を実施するために構築される。様々なこれらのシステムのための構造の例は、上記の説明に記載される。
【0099】
先行する説明は、本発明のいくつかの実施形態の良好な理解を提供するために、特定のシステム、構成要素、方法の例など、多数の具体的な詳細を記載する。しかしながら、これらの具体的な詳細なしに本発明の少なくともいくつかの実施形態が実践され得ることは、当業者には明らかであろう。他の事例では、よく知られている構成要素または方法は、本発明を不必要に不明瞭にすることを回避するために、詳細に説明されないか、または単純なブロック図フォーマットで提示される。したがって、記載される具体的な詳細は例にすぎない。特定の実装形態は、これらの例示的な詳細から変動し、依然として、本発明の範囲内に入ることが企図され得る。
【0100】
本明細書全体にわたる、「1つの実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」への言及は、その実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、または性質が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたる様々な場所における、「1つの実施形態では(in one embodiment)」または「一実施形態では(in an embodiment)」という句の出現は、必ずしもすべて同じ実施形態に言及するものとは限らない。さらに、「または(or)」という用語は、排他的な「または」ではなく、包含的な「または」を意味するものとする。「約(about)」または「約(approximately)」という用語が本明細書で使用されるとき、これは、提示された公称値が±10%以内の精度であることを意味するものとする。
【0101】
本明細書の方法の動作は、特定の順序で示され、説明されるが、各方法の動作の順序は、いくつかの動作が逆順序で実施され得るように、またはいくつかの動作が、少なくとも部分的に、他の動作と同時に実施され得るように、変えられ得る。別の実施形態では、別個の動作の命令またはサブ動作は、断続的なおよび/または交互の様式におけるものであり得る。
【0102】
上記の説明は、例示的なものであり、限定的なものではないことを理解されたい。多くの他の実装例は、上記の説明を読み、理解すると、当業者には明らかであろう。本開示は特定の例について説明するが、本開示のシステムおよび方法は、本明細書で説明された例に限定されないが、添付の特許請求の範囲内で修正を加えて実施され得ることを認識されよう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照しながら、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲とともに、決定されるべきである。
【国際調査報告】