(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-19
(54)【発明の名称】金属フィーチャーの原子層エッチング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240612BHJP
C23F 4/00 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
C23F4/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572684
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 US2022029899
(87)【国際公開番号】W WO2022256176
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リン, ユンチェン
(72)【発明者】
【氏名】ラン, チ-イ
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ホユン
【テーマコード(参考)】
4K057
5F004
【Fターム(参考)】
4K057DA11
4K057DA16
4K057DB08
4K057DC10
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4K057DN01
5F004AA16
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5F004EA37
(57)【要約】
本開示の実施形態は、概して、材料をエッチングする方法に関する。1又は複数の実施形態では、本方法は、プロセスチャンバのプロセス容積に基板を配置することであって、基板はその上に配置された金属ルテニウム層を含む、プロセスチャンバのプロセス容積に基板を配置することと、金属ルテニウム層上に固体酸化ルテニウムを生成し、プロセス容積内に気体酸化ルテニウムを生成するために、金属ルテニウム層を酸素プラズマに暴露することとを含む。本方法はまた、固体酸化ルテニウムを金属ルテニウム又はオキシ塩化ルテニウム化合物に変換するために、固体酸化ルテニウムを第2のプラズマに暴露することを含む。金属ルテニウムは金属ルテニウム層上で固体状態にある、又はオキシ塩化ルテニウム化合物はプロセス容積内で気体状態にある。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料をエッチングする方法であって、
プロセスチャンバのプロセス容積に基板を配置することであって、前記基板はその上に配置された金属ルテニウム層を含む、プロセスチャンバのプロセス容積に基板を配置することと、
前記金属ルテニウム層上に固体酸化ルテニウムを生成し、前記プロセス容積内に気体酸化ルテニウムを生成するために、前記金属ルテニウム層を酸素プラズマに暴露することと、
前記固体酸化ルテニウムを金属ルテニウム又はオキシ塩化ルテニウム化合物に変換するために、前記固体酸化ルテニウムを第2のプラズマに暴露することであって、前記金属ルテニウムは前記金属ルテニウム層上で固体状態にある、又は前記オキシ塩化ルテニウム化合物は前記プロセス容積内で気体状態にある、前記固体酸化ルテニウムを第2のプラズマに暴露することと
を含む方法。
【請求項2】
前記プロセス容積から前記気体酸化ルテニウムを除去することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセス容積から前記オキシ塩化ルテニウム化合物を除去することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記固体酸化ルテニウムは二酸化ルテニウムを含み、前記気体酸化ルテニウムは四酸化ルテニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属ルテニウム層の厚さを減少させるために、前記金属ルテニウム層を前記酸素プラズマに曝露することと、前記固体酸化ルテニウムを前記第2のプラズマに曝露することとを順次繰り返すことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記金属ルテニウム層の厚さは、前記酸素プラズマ及び前記第2のプラズマへの曝露の1サイクルあたり約0.5nmから約2nm減少する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酸素プラズマに約3秒から約5秒間曝露することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のプラズマは、水素ガス(H
2)を含む還元剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のプラズマは、酸化剤又は塩素化剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のプラズマは、塩素ガス(Cl
2)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1のプロセスガスは、窒素ガスを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記金属ルテニウム層を酸素プラズマに曝露することと、前記固体酸化ルテニウムを第2のプラズマに曝露することとの間に、前記プロセス容積を非反応性ガスでパージすることを更に含み、前記非反応性ガスは、ヘリウム、アルゴン、窒素(N
2)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記プロセス領域は約3mTorrから約60mTorrの圧力に維持され、前記基板は約30℃から約40℃の基板温度に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記金属ルテニウムは、5以上のアスペクト比及び20nm未満の少なくとも1つの寸法を有する金属ルテニウムフィーチャーを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
材料をエッチングする方法であって、
プロセスチャンバのプロセス領域に基板を位置決めすることであって、前記基板は、金属フィーチャーとその上に配置された誘電体材料とを含む層を含む、プロセスチャンバのプロセス容積に基板を配置することと、
前記金属フィーチャー上に固体金属含有化合物を生成するために、前記層を第1のプラズマに曝露することであって、前記第1のプラズマは、酸化剤、塩素化剤、又はそれらの組み合わせを含む、前記層を第1のプラズマに曝露することと、
前記金属フィーチャーから前記固体金属含有化合物を除去するために、前記固体金属含有化合物を第2のプラズマに暴露することであって、前記金属フィーチャーは、前記誘電体材料に対する20:1を超える選択比で選択的にエッチングされる、前記固体金属含有化合物を第2のプラズマに暴露することと
を含む方法。
【請求項16】
前記第1のプラズマは、三フッ化窒素(NF
3)を含むフッ素含有ガスを更に含み、前記プロセス容積は、約3mTorrから約60mTorrの圧力に維持される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記層を前記第1のプラズマに曝露し、前記固体金属含有化合物を前記第2のプラズマに曝露するプロセスサイクルを繰り返すことを更に含み、前記プロセスサイクルの各々は、前記金属フィーチャーの少なくとも一部から約1nmの厚さをエッチングする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記誘電体材料は、低誘電率材料、流動性酸化物、超低誘電率材料、及びそれらの任意の組み合わせで構成される群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
材料をエッチングする方法であって、
プロセスチャンバのプロセス容積に基板を配置することであって、前記基板はその上に配置された金属層を含み、前記金属層は金属タングステン又は金属モリブデンを含む、プロセスチャンバのプロセス容積に基板を配置することと、
前記金属層上に固体金属含有化合物を生成するために、前記金属層を第1のプラズマに曝露することであって、前記第1のプラズマは、酸化剤、塩素化剤、又はそれらの組み合わせを含む、前記金属層を第1のプラズマに曝露することと、
前記金属層から前記固体金属含有化合物を除去するために、前記固体金属含有化合物を第2のプラズマに暴露することと
を含む方法。
【請求項20】
前記金属層は、前記第1のプラズマに約3秒から約5秒間曝露され、前記固体金属含有化合物は、前記第2のプラズマに約3秒から約5秒間曝露される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明の実施形態は、概して、小さい金属フィーチャーの原子層エッチングのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]集積回路(IC)のサイズの縮小化は、性能の向上、容量の増加、及び/又はコストの削減につながる。各サイズの縮小化には、ICを形成するためのより洗練された技法が必要である。例えば、トランジスタサイズの縮小化は、チップ上に組み込まれるメモリ又はロジックデバイスの数を増やすことを可能にし、容量が増加した製品の製造に役立つ。しかし、大容量化の推進に問題がないわけではない。各デバイスの性能を最適化する必要性がますます高まっている。ICの製造では、デバイス寸法の縮小化が進むにつれて、マルチゲートトランジスタがより一般的になってきている。縮小化した金属配線をエッチングするための従来のエッチング方法では強すぎて、制御が困難である。
【0003】
[0003]したがって、周囲の材料をエッチングせずに、小さい寸法の金属フィーチャーを有するデバイスのエッチングを正確に制御する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本開示の実施形態は、概して、材料をエッチングする方法に関する。1又は複数の実施形態では、プロセスチャンバのプロセス容積に基板が配置され、基板はその上に配置された金属ルテニウム層を含む。金属ルテニウム層上に固体酸化ルテニウムを生成し、プロセス容積内に気体酸化ルテニウムを生成するために、金属ルテニウム層が酸素プラズマに曝露される。固体酸化ルテニウムを金属ルテニウム又はオキシ塩化ルテニウム化合物に変換するために、固体酸化ルテニウムが第2のプラズマに暴露される。金属ルテニウムは金属ルテニウム層上で固体状態にある、又はオキシ塩化ルテニウム化合物はプロセス容積内で気体状態にある。
【0005】
[0005]他の実施形態では、材料をエッチングする方法が提供される。本方法は、プロセスチャンバのプロセス容積に基板を位置決めすることを含む。基板は、金属フィーチャーとその上に配置された誘電体材料とを有する層を含む。金属フィーチャー上に固体金属含有化合物を生成するために、層が第1のプラズマに曝露される。第1のプラズマは、酸化剤、塩素化剤、又はそれらの組み合わせを含む。金属フィーチャーから固体金属含有化合物を除去するために、固体金属含有化合物が第2のプラズマに暴露される。金属フィーチャーは、誘電体材料に対する20:1を超える金属フィーチャーへの選択比で選択的にエッチングされる。
【0006】
[0006]幾つかの実施形態では、材料をエッチングする方法が提供される。本方法は、プロセスチャンバのプロセス容積に基板を位置決めすることを含む。基板は、その上に配置された金属層を含む。金属層は、金属タングステン又は金属モリブデンを含む。金属層上に固体金属含有化合物を生成するために、金属層が第1のプラズマに曝露される。第1のプラズマは、酸化剤、塩素化剤、又はそれらの組み合わせを含む。金属層から固体金属含有化合物を除去するために、固体金属含有化合物が第2のプラズマに暴露される。
【0007】
[0007]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は例示的な実施形態を示すものに過ぎず、したがって、その範囲を限定するものと見なすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の幾つかの実施形態に係るプロセスチャンバを示す概略断面図である。
【
図2】本開示の幾つかの実施形態に係るエッチング方法のフロー図である。
【
図3】本開示の幾つかの実施形態に係るエッチング方法のフロー図である。
【
図4】本開示の幾つかの実施形態に係る金属フィーチャーを有する基板を示す断面図である。
【
図5】本開示の幾つかの実施形態に係る金属フィーチャーを有する基板を示す断面図である。
【
図6】本開示の幾つかの実施形態に係るエッチング方法を示すフロー図である。
【
図7】本開示の幾つかの実施形態に係る金属フィーチャーを有する基板を示す断面図である。
【
図8】本開示の幾つかの実施形態に係る金属フィーチャーを有する基板を示す断面図である。
【
図9】本開示の幾つかの実施形態に係る金属フィーチャーを有する基板を示す断面図である。
【
図10】本開示の幾つかの実施形態に係る金属フィーチャーを有する基板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0018]理解を容易にするために、可能な限り、図面に共通の同一要素を示すのに同一の参照番号を使用している。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる詳述なしに他の実施形態に有益に組み込まれ得ると考えられる。
【0010】
[0019]本開示の実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明に記載される構造又はプロセスの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で行う又は実施されることが可能である。
【0011】
[0020]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する用語「基板」は、プロセスが作用する表面又は表面の一部を指す。また、基板への言及は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、基板の一部のみを指す場合があることが当業者には理解されよう。更に、基板への堆積への言及は、ベア基板と、その上に1又は複数の膜又は特徴が堆積又は形成された基板の両方を意味し得る。例えば、処理が実行され得る基板表面には、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア等の材料、及び金属、金属窒化物、金属合金、他の導電性材料等の他の任意の材料が含まれる。基板には、限定しないが、半導体ウエハが含まれる。
【0012】
[0021]基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、水酸化、アニール、UV硬化、電子ビーム硬化及び/又は焼成するための前処理プロセスに暴露され得る。基板自体の表面で直接膜処理を行うことに加えて、本開示では、開示される膜処理方法のいずれも、以下により詳細に開示するように、基板に形成された下層で実行することができ、「基板表面」という用語は、文脈が示すように、そのような下層を含むことが意図される。したがって、例えば、膜/層又は部分膜/層が基板表面上に堆積された場合、新たに堆積された膜/層の露出した表面が基板表面となる。
【0013】
[0022]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する「線幅」という用語は、金属、半導体、又は絶縁体であり得る材料の線の幅を指している。
【0014】
[0023]バックエンドオブライン(BEOL)処理中、金属及び他の導電性材料が、基板上の構造の層に充填され得る。トランジスタ構造が縮小し、アスペクト比が増加し続けるにつれて、層間に露出するコンタクトランディング領域がより重要になる可能性がある。十分な導電性を維持するためには、一定のコンタクト領域が必要となり得る。リソグラフィ及びパターニング中に、フォトレジスト及びパターニングの領域にわずかな欠陥があると、後続のエッチングプロセスがずれてしまい、下にあるコンタクトパッドが十分に露出しないエッジ配置エラー(EPE)が発生する可能性がある。更に、反応性イオンエッチング(「RIE」)等の従来のエッチングプロセスの多くは、複雑な臨界寸法を維持するのに十分な選択性を有していない可能性がある。RIEエッチングは比較的異方性のプロセスであるにもかかわらず、選択性に起因する側壁の損失が起こり得る。
【0015】
[0024]先端テクノロジノードにおける生産に適したパターニングスキームは、自己整合とされ、EPEバジェットが最大化される必要があると一般に受け入れられている。EPEバジェットの最大化と自己整合の必要性は、ビア形成と、1次元又は方向優先パターニングの場合の金属線ブロックカットの両方にとって不可欠である。また、配線材料は、低い固有抵抗を有する銅(Cu)から、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)へと移行する傾向があり、これらは、平均電子自由行程が短く、バリアレスメタライゼーションが可能なため、サブ5nmノード以下では、スケーラビリティの観点からより望ましい。Cuを使用した従来の配線材料は、20nm未満等の小さい寸法の用途では、抵抗率が比較的高いことがわかっている。対照的に、Ru、W、及び/又はMo等の金属を小さい用途に使用すると、金属の原子層エッチング(ALE)により、正確な厚さ制御が可能になり、異なるパターン寸法にわたってエッチング負荷が低減する。本明細書で提供されるALE法は、20:1以上の選択比、例えば60:1以上の低誘電率誘電体材料に対するRuへの選択比等の高選択比エッチングを可能にする。本明細書における方法は、本明細書で「CDトリミング」と呼ばれる、基板表面上に材料の層を周期的に堆積させ、材料の層の少なくとも一部をエッチングするために、2種以上の反応性化合物に順次暴露すると説明される「周期的堆積」(CD)プロセスを使用する。基板又は基板の一部は、プロセスチャンバのプロセス領域に導入される2種以上の反応性化合物に別々に暴露される。本明細書で使用する「プラズマ」とは、ガスを励起して原子を解離させ、水素ラジカル、塩素ラジカル、酸素ラジカル等のラジカルを生成することによって形成されるイオン化ガスである。本明細書で使用する、金属Ru、W、Mo等の金属元素を指す場合の「金属」という用語は、純粋な元素のRu、W、Mo、実質的に純粋なRu、W、Mo、又は金属元素の合金であり得る。
【0016】
[0025]
図1は、本開示の幾つかの実施形態に係る例示的なプロセスチャンバ104を示す概略断面
図100である。本明細書で説明する処理等の基板102の処理中に、1又は複数のガス供給源114からのプロセスガスが、プロセスチャンバ104のプロセス領域106に導入される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、プロセスガスは、遠隔プラズマ源(RPS)112に導入される、又はプロセスガスは、プロセス容積106に直接導入される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、1又は複数の個別のガスチャネルが、RPSを迂回してプロセス容積に特定のガスを導入するために配設される。プロセス容積106は、ガス分配プレート108及びその上に基板102が配置された基板支持体110等のガス分配アセンブリを更に含む。基板支持体110は、ガス分配プレート108の下方に配置される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、高周波(RF)エネルギー源116がガス分配プレート108に結合され、プロセス容積106に供給されるガスを励起する。更に、又は代替的に、RFエネルギー源116はRPSに結合される。ガス分配プレート108は、それを貫通して処理のために基板102にガスを分配するように構成された開孔を含む。加えて、又は代替的に、RFエネルギー源116は、誘導結合プラズマ(ICP)源に電気的に結合される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、本明細書に記載のプラズマは、ICP源でプロセスガスを励起することによって形成される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、プロセスチャンバ104は、基板支持体110に結合されたRF源118を含む。RF源118は、基板RFバイアスを印加する。
【0017】
[0026]
図2及び
図3は、それぞれエッチング方法200及び300のフロー図である。方法200、300を、
図4及び
図5を参照しながら本明細書で説明する。
図4は、方法200を使用してエッチングする前の構造400を示す側面断面図である。構造400は、線幅406を有する金属フィーチャー404を有する基板102を含む。各金属フィーチャー404は、隣接するフィーチャーに対して空間408によって離間されている。空間408の幅は均一である、又はフィーチャー間で変化する。フィーチャーの線幅406は、フィーチャーごとに均一である、又は変化する。
図5は、エッチング方法200又は300を経た後のエッチングされた構造500を示す断面図である。エッチングされた構造は、減少した線幅506を有するエッチングされた金属フィーチャー504を有する基板102を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、金属フィーチャー504は、空間又はボイドによって離間されたBEOL金属線である。
【0018】
[0027]
図2に戻って参照すると、方法200は、フロントエンド処理、堆積、エッチング、研磨、洗浄、又は記載された処理の前に実行され得る任意の他の処理を含む、本方法の開始前の1又は複数の処理を含み得る。処理202において、基板102が、プロセスチャンバ104のプロセス容積106、例えば基板支持体110に配置される。基板102は、ルテニウム金属フィーチャーを有する層等の、その上に配置された金属ルテニウム層を含む。
【0019】
[0028]第1のプラズマは、酸素含有ガス、塩素含有ガス、又はそれらの組み合わせを含む第1のプロセスガス、例えば二原子酸素(O2)、例えば二原子塩素(Cl2)から形成される。幾つかの実施形態では、第1のプロセスガス中の二原子酸素の原子%は、約80%以上、例えば90%以上である。第1のプロセスガスは、He、Ar、又はそれらの組み合わせ等の希釈ガスを含む、又は希釈ガスと混合される。幾つかの実施形態では、第1のプラズマは酸素プラズマで構成される。第1のプロセスガスは、高周波エネルギーで励起される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、第1のプロセスガスは、RPS112において励起される。あるいは、第1のプロセスガスは、第1のプラズマを形成するためにプロセス領域106において励起される。第1のプラズマは、ガス分配プレート108の上方、又はガス分配プレート108の下方に形成される。処理204において、基板の金属ルテニウム層が第1のプラズマに暴露され、金属ルテニウム層上に固体酸化ルテニウムが形成され、プロセス領域内に気体酸化ルテニウムが形成される。幾つかの実施形態では、金属ルテニウム層の少なくとも一部が固体酸化ルテニウムに変換される。金属ルテニウム層は、基板102上に配置され且つ第1のプラズマに暴露されてフィーチャー404上に固体酸化ルテニウムの部分を形成する、少なくとも1つの金属フィーチャー404を含む。
【0020】
[0029]処理206において、固体酸化ルテニウムが第2のプラズマに曝露され、固体酸化ルテニウムは金属ルテニウム又はオキシ塩化ルテニウム化合物に変換される。オキシ塩化ルテニウム化合物は、プロセス容積内では気体状態にある。
図4を参照すると、1又は複数の金属フィーチャー404が第2のプラズマに暴露される。
【0021】
[0030]理論に束縛されることなく、二原子酸素によって生成された第1のプラズマは、Ru表面を酸化させて、Ru表面に対するエッチング効果を有するRuO4揮発性ガス、及びエッチング厚さを自己制限するRuO2固体を形成すると考えられる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、処理206において形成される第2のプラズマは、水素含有ガス、塩素含有ガス、又はそれらの組み合わせを含む第2のガスを用いて形成される。理論に束縛されることなく、二原子水素から形成された第2のプラズマは、RuO2を化学的に還元してRuを形成すると考えられる。ある実施例では、第2のプラズマは、水素プラズマを含む、水素プラズマで構成される、又は本質的に水素プラズマで構成される。他の実施例では、第2のプラズマは、塩素系プラズマを含む、塩素系プラズマで構成される、又は本質的に塩素系プラズマで構成される。
【0022】
[0031]塩素ガスによって形成された第2のプラズマに関しては、塩素によって形成された第2のプラズマがRuO2と反応してRuOClxガスを形成すると考えられる。あるいは、二原子水素(H2)から形成された第2のプラズマを用いたエッチングは、実質的に腐食がなく、湿式エッチングプロセスを全く行わずにRuフィーチャーの少なくとも一部の厚さを減少させることが可能である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、塩素ガスから形成された第2のプラズマを用いたエッチングは、腐食を防止、低減、及び/又は逆転させるために金属フィーチャーを水素に暴露することを更に含む。塩素ガスから形成された第2のプラズマを用いたエッチング動特性は、従来のエッチングプロセスと比較して、実質的に直線的かつ時間の経過と共に徐々に進むものである。
【0023】
[0032]方法200と同様に、方法300は、処理302において、プロセスチャンバのプロセス容積に基板を位置決めすることを含む。基板は、金属タングステン(W)又は金属モリブデン(Mo)を含む金属層を含む。処理304において、金属層は、金属層上に固体金属含有化合物を形成するために第1のプラズマに曝露される。第1のプラズマは、酸化剤、塩素化剤、又はそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態では、第1のプラズマは、酸素、塩素、又はそれらの組み合わせを含む第1のプロセスガスから形成される。第1のプロセスガスは、フッ素含有ガスを含まない、又は第1のガスは、三フッ化窒素(NF3)等のフッ素含有ガスと混合される、もしくはフッ素含有ガスを含む。第1のプロセスガス中の二原子酸素及び/又は塩素の原子%は、約80%以上、例えば90%以上である。三フッ化窒素は、エッチング速度を調整するために、増加、減少、又は除去される。三フッ化窒素の濃度を増加させると、エッチング速度が増加する。幾つかの実施形態では、第1のプロセスガスは、アルゴン又はヘリウム等の不活性ガスと混合される、又は不活性ガスを含む。処理306において、固体金属含有化合物は、アルゴンプラズマを含む第2のプラズマに暴露される。理論に束縛されることなく、アルゴンプラズマは、イオン衝突によって固体金属含有化合物をエッチングすると考えられる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、アルゴンプラズマを含む第2のプラズマに暴露することは、ICP電源からRF電力を印加すること、RF源118を使用して基板にRFバイアスを印加すること、又はICP電源及びRF源118からRFを印加することを含む。
【0024】
[0033]方法200及び300の両方において、第1及び/又は第2のプロセスガスに印加されるRF源のソース電力は、約50Wから約2000W、例えば約500Wから約1500W、例えば約700Wから約1000W、又は約1200Wから約1500W、又は約1600Wから約1800Wである。プロセス容積は、約1mTorrから約60mTorr、例えば約10mTorrから約40mTorr、例えば約20mTorrから約30mTorrの圧力を含む。約20℃から約100℃、例えば約30℃から約40℃の基板温度が、方法200の間維持される。方法200及び300の両方において、バイアス電力は、1又は複数の処理において、約20Wから約100W、例えば約30Wから約50Wの電力で、基板支持体に印加され得る。
【0025】
[0034]本明細書で説明する処理204及び206は共に、周期的堆積プロセスの1サイクルを形成する。同様に、本明細書で説明する処理304及び306は共に、1サイクルを形成する。各サイクルは、金属フィーチャーの厚さを約0.5nmから約5nm、例えば約1nmから約2nm減少させる。処理204及び206、又は304及び306は、金属フィーチャーのエッチングを制御するために少なくとも1回繰り返される。金属フィーチャーの少なくとも一部から減少される厚さは、金属フィーチャーの少なくとも一部の任意の表面、例えば金属フィーチャーの上部、又は金属フィーチャーの側面から除去される厚さを指す。工程204、206、304、306の各々は、約0.5秒から約1分、例えば約1秒から約30秒、例えば約3秒から約5秒の持続時間を含む。処理間の切り替えは、高速切り替えガス供給システムを使用してほぼ瞬時に行われる。
【0026】
[0035]従来のエッチングプロセスは、約5nmから約20nm等の小さいフィーチャーを有する構造に対しては強すぎて、正確な厚さ減少制御を有さない。方法200又は方法300のエッチング速度は、毎秒約0.1nmから毎秒約10nm、例えば毎秒約0.15nmから毎秒約5nm、例えば毎秒約0.2nmから毎秒約3nm、又は毎秒約0.5nmから毎秒約1nm、又は毎秒約0.7nmから毎秒約2nmである。処理204及び206、又は処理304及び306のうちの1又は複数の前に、生成された副生成物をパージするためにパージガスが供給される。パージガスには、ヘリウム、アルゴン、窒素、又はそれらの組み合わせが含まれる。パージ工程は約1秒から10秒、例えば約3秒から約5秒である。あるいは、処理204及び206は、間にパージ処理を挟まずに周期的に繰り返される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、RF電力は、処理204及び206、又は処理304及び306と同時に連続的に供給される。
【0027】
[0036]
図6は、本開示の幾つかの実施形態に係るエッチング方法600を示すフロー図である。方法600は、プロセスガス、RF電源、温度、及び圧力等の、ルテニウム金属特徴用の方法200、又はMoもしくはW金属フィーチャー用の方法300に関連して説明したプロセス条件と実質的に同じプロセス条件を含む。本明細書では、
図7~
図10を参照しながら方法600を説明する。方法600は、処理602において、プロセスチャンバ104のプロセス容積106に基板102を位置決めすることを含む。基板102は、金属フィーチャーを有する層と、その上に配置された誘電体材料(例えば、700又は900)とを含む。基板102は、金属フィーチャー704、906及び誘電体材料706、904を有する層を含む。誘電体材料は、低誘電率材料、流動性酸化物、超低誘電率材料、又は半導体材料の層間及び層内で使用される他のいずれかの適切な材料等の層間誘電体を含む、任意の数の誘電体である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、低誘電率材料は、約2.5から約3.0等の約3.0以下の誘電率値を有する。幾つかの実施形態では、超低誘電率材料は、約2.5以下の誘電率値を有する材料である。工程604において、金属含有化合物を生成するために、第1のプラズマに層が曝露される。ルテニウムを含む層については、方法200に記載の条件が使用され、タングステン及び/又はモリブデンを含む層については、方法300に記載の条件が使用される。
【0028】
[0037]処理606において、固体金属含有化合物が第2のプラズマに暴露される。第2のプラズマは、プロセス容積106に供給される第2のプロセスガスから形成される。処理604及び606は、
図7及び
図8に示すように、Ruフィーチャー、Moフィーチャー、又はWフィーチャー等の金属フィーチャー704をエッチングして、凹部金属フィーチャー804を形成する。本明細書で説明する他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、金属フィーチャー704は、BEOL金属線又はビアである。エッチング化学物質は、誘電体材料706、904等の周囲の材料に対する金属フィーチャー704、906への高い選択性を含む。誘電体材料に対する金属への選択性は、約10:1以上、例えば約20:1以上である。高い選択性により、隣接する誘電体材料をエッチングせずに金属フィーチャーを凹ませることができる。
図8に、凹部厚さ808の凹部フィーチャー804を示す。
図9に、誘電体材料904の上(例えば、ピーク部910)と間(例えば、谷部908)に形成された金属材料906を示す。金属材料906のエッチングは、
図10に示すエッチング構造1000(例えば、エッチングされた金属1006)を生成するように制御することができる。高い選択性と、構造900の上方に配置されたハードマスクの使用とにより、高い選択性でエッチングしてエッチングされた構造1000を形成することが可能になる。寸法が約20nm未満の金属フィーチャーを有するRu、Mo、及び/又はW等の特定の金属について、良好な厚さ制御と高い選択性はこれまで実証されていない。
【0029】
[0038]第1及び/又は第2のプロセスガスに印加されるRF源のソース電力は、約50Wから約2000W、例えば約500Wから約1500W、例えば約700Wから約1000W、又は約1200Wから約1500W、又は約1600Wから約1800Wである。プロセス領域は、約1mTorrから約60mTorr、例えば約10mTorrから約40mTorr、例えば約20mTorrから約30mTorrの圧力を含む。約20℃から約100℃、例えば約30℃から約40℃の基板温度が維持される。バイアス電力は、1又は複数の処理において、約20Wから約100W、例えば約30Wから約50Wの電力で基板支持体に印加され得る。
【0030】
[0039]処理604及び606の各々は、約0.5秒から約1分、例えば約1秒から約30秒、例えば約3秒から約5秒の持続時間を含む。約30℃から約40℃の基板温度が方法600の間維持される。本明細書に記載の金属フィーチャーの各々は、約5以上、例えば10以上、例えば20以上のアスペクト比を有する部分を有する。方法600のエッチング速度は、毎秒約0.1nmから毎秒約10nm、例えば毎秒約0.15nmから毎秒約5nm、例えば毎秒約0.2nmから毎秒約3nm、又は毎秒約0.5nmから毎秒約1nm、又は毎秒約0.7nmから毎秒約2nmである。処理604及び606のうちの1又は複数の前に、プロセス容積104内で生成された副生成物をパージするためにパージガスが供給される。パージガスは、ヘリウム、アルゴン、二原子水素又はそれらの組み合わせを含む。パージ処理は約1秒から10秒、例えば約3秒から約5秒である。あるいは、処理604及び606は、間にパージ処理を挟まずに周期的に繰り返される。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、RF電力は、処理604及び606と同時に連続的に供給される。パージは、処理間のガス転移純度を改善することがわかっている。
【0031】
[0040]まとめると、本開示は、銅を除くRu、W、Mo、それらの合金、又はそれらの組み合わせ等のBEOL金属の精密原子層エッチングのための方法の説明である。金属の精密エッチングには、誘電体材料に対する選択的エッチングが含まれる。高アスペクト比フィーチャーの凹部加工及び形成は、従来のプロセスと比較して、制御された、より直線的な経時的エッチング動特性のための自己制限性エッチングガスを含む、本明細書に記載の方法を用いて形成される。
【国際調査報告】