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特表2024-522493パッド摩耗のモデリング及び制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】パッド摩耗のモデリング及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/017 20120101AFI20240614BHJP
   B24B 53/00 20060101ALI20240614BHJP
   B24B 37/12 20120101ALI20240614BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20240614BHJP
   B24B 53/12 20060101ALI20240614BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B24B53/017 A
B24B53/00 A
B24B37/12 D
B24B37/10
B24B53/12 Z
H01L21/304 622M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572732
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 US2022029892
(87)【国際公開番号】W WO2022256175
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/195,450
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ダンダパーニ, シヴァクマール
【テーマコード(参考)】
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C047AA04
3C047AA08
3C047AA15
3C047AA18
3C047AA34
3C047EE11
3C158AA07
3C158AA19
3C158AC02
3C158AC04
3C158BA07
3C158BB02
3C158BC02
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
5F057AA20
5F057AA25
5F057DA03
5F057EB27
5F057FA39
5F057GA16
5F057GA17
5F057GB21
5F057GB24
(57)【要約】
1つの実施形態において、基板を研磨するための方法が提供される。方法は、一般的に、パッド調整ディスクの複数の滞在時間を受けとることであって、複数の滞在時間はプラテン上に配置されたパッド上で実行されるパッド調整プロセスで使用されることになり、それぞれの滞在時間はプラテン上に配置されたパッドの複数のゾーンのうちのゾーンに対応する、複数の滞在時間を受けることと、パッド調整プロセスにおいて使用されることになる複数の総パッド調整ディスク切削時間を判断することであって、それぞれの総パッド調整ディスク切削時間は複数のゾーンのうちのゾーンに対応する、複数の総パッド調整ディスク切削時間を判断することと、複数の滞在時間および複数の総パッド調整ディスク切削時間を含むパラメータのセットに基づいて、第1のパッド摩耗除去モデルを生成することと、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を研磨する方法であって、
パッド調整ディスクの複数の滞在時間を受けとることであって、前記複数の滞在時間はプラテン上に配置されたパッド上で実行されるパッド調整プロセスで使用されることになり、それぞれの滞在時間は前記プラテン上に配置された前記パッドの複数のゾーンのうちのゾーンに対応する、複数の滞在時間を受けとることと、
前記パッド調整ディスクの前記複数の滞在時間に基づいて前記パッド調整プロセスにおいて使用されることになる複数の総パッド調整ディスク切削時間を判断することであって、それぞれの総パッド調整ディスク切削時間は前記複数のゾーンのうちのゾーンに対応する、複数の総パッド調整ディスク切削時間を判断することと、
前記複数の滞在時間および前記複数の総パッド調整ディスク切削時間を含むパラメータのセットに基づいて、パッド摩耗除去モデルを生成することと、
前記基板を研磨するために前記パッド摩耗除去モデルをパッド調整レシピに適用することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記パッド摩耗除去モデルに基づいて前記パッド調整プロセスにおいて使用される前記パラメータのセットのうちの少なくとも1つを調節することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パラメータのセットは、切削速度および調整時間、ダウンフォース量、線形プラテン速度、ならびに、前記パッド調整ディスクの環状面積のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ダウンフォース量、線形プラテン速度、および前記パッド調整ディスクの環状面積のうちの少なくとも1つに基づいて前記切削速度を判断することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記切削速度は、前記パッド調整ディスクの前記複数のゾーンのそれぞれのゾーンに対する切削速度を含むマトリクスによって表される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の総パッド調整ディスク切削時間は帯状マトリクスによって表され、前記複数のゾーンのうちのゾーン用の前記帯の幅は前記パッド調整ディスクのサイズに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記パッド調整ディスクの直径は、前記複数のゾーンのそれぞれのゾーンの境界の半径方向距離を上回る、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記パッド摩耗除去モデルおよび前記パラメータのセットに基づいて滞在予測プロファイルを生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記滞在予測プロファイルは、前記パッド除去モデルの雑音レベルに左右される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
カルマンフィルタを使用する前記パッド摩耗除去モデルに基づいて高解像度パッド除去プロファイルを生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
プラテン上に配置されたパッド上で実行されるパッド調整プロセスで使用されるパッド調整ディスクの複数の切削速度を含むパラメータの第1のセットに基づいて第1のパッド摩耗モデルを生成することと、
前記パッドの1つまたは複数の測定値に基づいて前記第1のパッド摩耗モデルを更新することと、
先のパッド摩耗モデルのうちの少なくとも1つ、および前記1つまたは複数の測定値に基づいて前記複数の切削速度を更新することと、
前記1つまたは複数の測定値によって更新された前記第1のパッド摩耗モデル、および更新された前記複数の切削速度を含むパラメータの第2のセットに基づいて第2のパッド摩耗モデルを生成することと、を含む、パッド調整プロセス。
【請求項12】
前記第2のパッド摩耗除去モデルに基づいて前記パッド調整プロセスにおいて使用される少なくとも1つのパラメータを調節することをさらに含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記パラメータの第1のセットは、複数の滞在時間、調整時間、およびパッドのための複数の総切削時間のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項14】
前記複数の総切削時間は帯状マトリクスによって表され、複数のゾーンのうちのゾーン用の帯の幅は前記パッド調整ディスクのサイズに対応する、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記切削速度は、前記パッドの複数のゾーンのそれぞれのゾーンに対する切削速度を含むマトリクスによって表される、請求項13に記載のプロセス。
【請求項16】
前記パラメータの第1のセットに基づいて前記複数の滞在時間を生成することをさらに含む、請求項13に記載のプロセス。
【請求項17】
前記1つまたは複数の測定値はピンゲージ測定値を含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項18】
前記先のパッド摩耗モデルは、前記第1のパッド摩耗モデルを生成する前に生成された第3のパッド摩耗モデルを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項19】
研磨パッドの表面を調整する方法であって、
パッド調整ディスクを前記研磨パッドの前記表面にわたって並進させることによって前記研磨パッドの前記表面を摩滅させることであって、摩滅させることは、
前記パッド調整ディスクを並進させている間に複数の半径方向調整ゾーンのそれぞれで前記パッド調整ディスクが滞在する滞在時間を判断することであって、前記複数の半径方向調整ゾーンは、前記研磨パッドの中心軸と同心であり、判断することは、前記複数の半径方向調整ゾーンのそれぞれに対する切削速度と、前記複数の半径方向調整ゾーンのそれぞれに対する所望の材料除去量とを組み合わせることを含む、滞在時間を判断すること、および
前記研磨パッドの前記表面にわたって並進している間に前記研磨パッドの複数の半径方向調整ゾーンのうちの1つまたは複数で滞在することをさらに含む、前記研磨パッドの前記表面を摩滅させることと、
判断された前記滞在時間を使用してパッド摩耗の経過をモデル化することによって前記研磨パッドを取り替えるときを判断することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記半径方向調整ゾーンは2つの半径方向調整ゾーンを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般的に、基板から材料を除去することに関する。より詳細には、本発明の実施形態は、化学機械研磨によって基板を研磨するまたは平坦化することに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路の製造では、導電性材料の層は、半導体ウエハ上に順次堆積され、かつ所望の回路をウエハ上に製作するために除去される。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、一般に、基板上に堆積した材料の層を平坦化または研磨するために、高密度集積回路の製造で使用される。典型的なCMPプロセスでは、基板は、研磨スラリの存在下で回転式研磨パッドに基板の前側を押し当てるようにキャリアヘッド内に保持される。キャリアヘッドは、制御可能な荷重を基板に与えて、基板の前側を研磨パッドに押し当てる。材料は、研磨スラリによって与えられる化学的および機械的活性と、基板および研磨パッドの相対運動との組み合わせによって、研磨パッドと接触する基板の材料層表面にわたって除去される。典型的には、研磨パッドは、所望の平坦度を有するように形成されている表面を有する円板形状の研磨プラテン上に配置される。研磨パッドは、研磨パッドとプラテンの表面の間に介在させる感圧接着層を使用してプラテンの表面に固定される。一般的に、研磨パッドは、限られた有効寿命を有し、それによって、CMP基板処理結果の低下を防止するために、研磨パッドが定期的に取り替えられることを必要とする。
【0004】
複数のCMPプロセスが一定期間にわたって実行された後、研磨パッド材料の性質を変えるような、研磨中の基板の表面と研磨パッドの表面との間の摩擦によって生成された熱により、また、スラリ副生成物および/または基板から除去された材料が蓄積することにより、研磨パッドの表面は「目つぶれ」を起こす。目つぶれによって、パッドの凹凸が低減され、影響された研磨パッドの領域の摩擦係数が変わるため、研磨パッドの1つまたは複数の領域にわたる研磨速度が低下する。さらに、目つぶれによって、研磨パッドは、スラリを保持するための能力の一部を失う場合があることで、研磨速度はさらに低下する。
【0005】
典型的には、目つぶれを起こした研磨パッドの性質は、パッドコンディショナによる調整プロセスによって復元可能である。パッドコンディショナは、研磨パッド上の不要な蓄積物を除去し、かつ研磨パッドの表面を所望の粗さに再生するために使用される。典型的なパッドコンディショナは、ダイヤモンド研磨材が全体的に埋め込まれた砥粒ヘッドを含み、この砥粒ヘッドを、目つぶれを起こした研磨パッドのパッド表面に擦り付けて、パッドの表面を再テクスチャー加工することができる。パッドコンディショナおよび基板の研磨によって生じた研磨パッドの摩耗は、パッド表面にわたって不均一にまたは局所的なパターンで生じる場合があり、これによって、基板の表面から除去されることになる材料の一様でない平坦化が助長される場合がある。
【0006】
研磨パッドの再調整にかかわらず、従来の調整プロセスは、研磨パッドの寿命を通じた研磨パッドの摩耗の原因を明らかにすることができないことによるさらなる問題を引き起こす可能性があり、これによって、1つまたは複数の研磨プロセス結果の変動性がもたらされ、かつ研磨パッドの有効寿命が低減される可能性がある。この問題点は、パッドの入荷時の公差、ディスク間の摩耗速度の変動、ツール間の変動(例えば、コンディショニング・ダウンフォース・キャリブレーションなど)などのCMPプロセス変動要因によりさらに拡大され、パッド寿命を判断する際の保守的なアプローチに従うことが多いため、処理パッドの寿命は最大にはされていない。
【0007】
それ故に、当技術分野では、パッドの使用をより良く最大化し、研磨プロセス結果を改善し、研磨パッドの寿命を最大にするために、パッド摩耗を推定する技術が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
1つの実施形態では、基板を研磨するための方法が提供される。方法は、一般的に、パッド調整ディスクの複数の滞在時間を受けることであって、複数の滞在時間はプラテン上に配置されたパッド上で実行されるパッド調整プロセスで使用されることになり、それぞれの滞在時間はプラテン上に配置されたパッドの複数のゾーンのうちのゾーンに対応する、複数の滞在時間を受けることと、パッド調整プロセスにおいて使用されることになる複数の総パッド調整ディスク切削時間を判断することであって、それぞれの総パッド調整ディスク切削時間は複数のゾーンのうちのゾーンに対応する、総パッド調整ディスク切削時間を判断することと、複数の滞在時間および複数の総パッド調整ディスク切削時間を含むパラメータのセットに基づいてパッド摩耗除去モデルを生成することと、を含む。
【0009】
1つの実施形態では、基板を研磨するための非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。コンピュータ可読媒体は、一般的に、パッド調整ディスクの複数の滞在時間を取得することであって、複数の滞在時間は、プラテン上に配置されたパッド上で実行されるパッド調整プロセスにおいて使用されることになり、それぞれの滞在時間はプラテン上に配置されたパッドの複数のゾーンのうちのゾーンに対応する、複数の滞在時間を取得することと、パッド調整プロセスにおいて使用されることになる複数の総パッド調整ディスク切削時間を判断することであって、それぞれの総パッド調整ディスク切削時間は複数のゾーンのうちのゾーンに対応する、総パッド調整ディスク切削時間を判断することと、複数の滞在時間および複数の総パッド調整ディスク切削時間を含むパラメータのセットに基づいてパッド摩耗除去モデルを生成することと、を行うためのコードを含む。
【0010】
1つの実施形態では、基板を研磨するための方法が提供される。方法は、一般的に、プラテン上に配置されたパッド上で実行されるパッド調整プロセスで使用されるパッド調整ディスクの複数の滞在時間を含むパラメータの第1のセットに基づいて第1のパッド摩耗モデルを生成することと、パッドの1つまたは複数の測定値に基づいて第1のパッド摩耗モデルを更新することと、先のパッド摩耗モデルのうちの少なくとも1つ、および1つまたは複数の測定値に基づいて複数の滞在時間を更新することと、1つまたは複数の測定値によって更新された第1のパッド摩耗モデル、および更新された複数の滞在時間を含むパラメータの第3のセットに基づいて第2のパッド摩耗モデルを生成することと、を含む。
【0011】
1つの実施形態では、基板を研磨するためのコンピュータ実行可能コードが記憶されているコンピュータ可読媒体が提供される。コンピュータ可読媒体は、一般的に、パッド調整ディスクの複数の滞在時間を取得するためのコードを含み、複数の滞在時間は、プラテン上に配置されたパッド上で実行されるパッド調整プロセスにおいて使用されることになり、それぞれの滞在時間はプラテン上に配置されたパッドの複数のゾーンのうちのゾーンに対応する。コンピュータ可読媒体は、一般的に、パッド調整プロセスにおいて使用されることになる複数の総パッド調整ディスク切削時間を判断するためのコードを含み、それぞれの総パッド調整ディスク切削時間は複数のゾーンのうちのゾーンに対応する。コンピュータ可読媒体は、一般的に、複数の滞在時間および複数の総パッド調整ディスク切削時間を含むパラメータのセットに基づいて第1のパッド摩耗除去モデルを生成するためのコードを含む。別の実施形態では、複数の総切削時間は帯状マトリクスによって表され、複数のゾーンのうちのゾーン用の帯の幅はディスクのサイズに対応する。
【0012】
1つの実施形態では、研磨パッドの表面を調整するための方法が提供される。方法は、パッド調整ディスクを研磨パッドの表面にわたって並進させることによって研磨パッドの表面を摩滅させることを含む。研磨パッドは、研磨パッドの中心軸を中心に同心である複数の半径方向ゾーンに分割される。パッド調整ディスクがパッド調整ディスクを並進させている間に複数の半径方向ゾーンのそれぞれで滞在する時間は、複数の半径方向ゾーンのそれぞれにおいて、切削速度値と所望の材料除去量とを組み合わせることによって判断される。パッド調整ディスクがパッド調整ディスクを並進させるプロセスの間の複数の半径方向ゾーンのうちの少なくとも2つの半径方向ゾーンで滞在する時間は、異なる。別の実施形態では、パッド調整ディスクは、パッド調整ディスクを並進させるプロセスの間に少なくとも2つの半径方向ゾーン内の研磨パッドの表面を同時に摩滅させるように構成される。
【0013】
本開示の上記の特徴が詳細に理解可能であるように、上に簡潔に要約された本開示のより詳細な説明は、一部が添付の図面に示されている実施形態を参照して得られ得る。しかしながら、添付の図面は、例示的な実施形態のみを示しているため、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではなく、他の等しく効果的な実施形態が認められ得ることは、留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】化学機械研磨(CMP)ステーションの1つの実施形態の概略的な斜視図である。
図2】変位センサが調整アームに取り付けられているCMPステーションの概略的な側面図である。
図3】1つの実施形態による、CMPステーションと併せて使用される測定システムの概略的な側面図である。
図4】1つの実施形態による、ウエハの一部に配置された例示のパッド調整ディスクを示す図である。
図5】パッド摩耗モデルに使用される例示のマトリクスを示す図である。
図6A】1つの実施形態による、パッド調整ディスクがウエハの中心からウエハの端面まで移動する例示の位置を示す図である。
図6B】1つの実施形態による、パッド調整ディスクがウエハの中心からウエハの端面まで移動する例示の位置を示す図である。
図6C】1つの実施形態による、パッド調整ディスクがウエハの中心からウエハの端面まで移動する例示の位置を示す図である。
図6D】1つの実施形態による、パッド調整ディスクがウエハの中心からウエハの端面まで移動する例示の位置を示す図である。
図6E】1つの実施形態による、パッド調整ディスクがウエハの中心からウエハの端面まで移動する例示の位置を示す図である。
図7】1つの実施形態による、基板を研磨するための例示の工程を示すフロー図である。
図8】1つの実施形態による、例示的なパッド摩耗モデルに使用される例示のマトリクスを示す図である。
図9A】1つの実施形態による、滞在プロファイルを示す図である。
図9B】1つの実施形態による、図9Aの滞在プロファイルに基づくパッド摩耗除去プロファイルを示す図である。
図10A】1つの実施形態による、パッド摩耗除去プロファイルを示す図である。
図10B】1つの実施形態による、図10Aのパッド摩耗除去プロファイルに基づく例示的な予測滞在プロファイルを示す図である。
図11】例示的なデュアルカルマンフィルタを示す図である。
図12】1つの実施形態による、基板を研磨する例を示すフロー図である。
図13A】1つの実施形態による、例示のパッド摩耗除去プロファイルを示す図である。
図13B】1つの実施形態による、例示のパッド摩耗除去プロファイルを示す図である。
図14】1つの実施形態による、例示のパッド摩耗除去プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
理解を容易にするように、図に共通する同一の要素を明示するために、可能な限り同一の参照記号が使用されている。1つの実施形態の要素および特徴は、有益には、さらに詳述することなく他の実施形態に組み込まれる場合があることが考えられる。
【0016】
本明細書に提供される本開示の実施形態は、化学機械研磨(CMP)システムの研磨ステーション内で実行される1つまたは複数のCMPプロセス中に研磨パッドの摩耗速度および結果として生じる表面プロファイルをモデル化しかつ制御する装置および方法を含む。本開示の実施形態はまた、CMPシステム構成情報、測定データ、および収集したCMPプロセスデータを利用して、パッド調整プロセスおよび/または研磨プロセスにおいて利用される1つまたは複数のプロセス変数を調節しかつ制御するように構成される1つまたは複数のコンピュータ実施方法を含む。
【0017】
図1は、CMPシステムの研磨ステーション100の概略的な上面等角図である。例えば、研磨ステーション100は、Reflexion(登録商標)LK CMP、Reflexion(登録商標)LK Prime(登録商標)CMPなど、Applied Materials社から入手可能な研磨システム、または別の製造業者による同様の装置において見出される2つまたはそれ以上の研磨ステーションのうちの1つであり得る。研磨ステーション100は、一般的に、調整装置170、およびモータ(図示せず)によって回転するプラテン240を含む。研磨パッド200は、プラテン240の上面上に配置される。キャリアヘッド110は、研磨パッド200の上に配置され、処理中に研磨パッド200に対して基板(図示せず)を保持しかつ付勢するように適応される。キャリアヘッド110は、処理中に基板と研磨パッド200との間に提供される相対運動の一部分を与えてよい。1つの実施形態では、キャリアヘッド110は、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials社から入手可能なTITAN HEAD(商標)またはTITAN PROFILER(商標)ウエハキャリアであり得る。スラリ流体源(図示せず)に結合されたノズル120によって研磨パッド200の処理表面に処理流体が提供される。
【0018】
処理パッド200の研磨速度が研磨パッド200の表面の条件に左右されるため、処理パッド200の研磨速度は、一般的に、研磨パッド表面の目つぶれ、摩耗、および/またはパッド表面上の研磨副生成物の蓄積により研磨中に低下し、それによって、最適とは言えない研磨品質がもたらされる。研磨パッドの目つぶれおよび摩耗は、パッド表面にわたる不均一なまたは局所的なパターンで生じる場合があり、これによって、基板表面の一様でない平坦化が助長される場合がある。よって、パッド表面は、パッドの研磨性能を復元するために、周期的に新しくされまたは調整されなければならない。これは調整ヘッド150によって行われる。
【0019】
1つの実施形態では、調整装置170は、間に調整アーム142がある支持アセンブリ(図示せず)によって支持される調整ヘッド150(本明細書ではパッド調整ディスクとも称される)に結合された変位センサ160を備える。1つの実施形態では、変位センサ160は調整アーム142と結合される。支持アセンブリは基部に結合され、調整アーム142を介して、研磨パッド200と接触するようにパッド調整ディスク150を位置付けるように適応され、さらに、研磨パッド200とパッド調整ディスク150の間に相対運動を提供するように適応される。研磨パッド200に対するパッド調整ディスク150の相対運動の結果として、変位センサ160は処理表面210の厚さ測定を行ってよい。
【0020】
パッド調整ディスク150はまた、パッド調整ディスクを研磨パッド200の方へ制御可能に押すための制御可能な圧力またはダウンフォースを提供するように構成される。ダウンフォース圧力は、約0.7psi~約2psiの範囲にあり得る。パッド調整ディスク150は、一般的に、図1における矢印350および342によって示されるように、研磨パッド200の表面にわたってスイープ運動で横方向に回転および/または移動する。1つの実施形態では、パッド調整ディスク150の横方向運動は、研磨パッド200の略中心から研磨パッド200の略外縁までの範囲で線形であってまたは円弧に沿っていてよく、それによって、プラテン240と研磨パッド200の回転と組み合わせて、研磨パッド200の表面全体が調整され得る。パッド調整ディスク150は、使用されていないとき、研磨パッド200の端面を超えてパッド調整ディスク150を移動させるためのさらなる範囲の運動を有し得る。
【0021】
1つの実施形態では、パッド調整ディスク150によるスイープ運動は、パッドの周辺部分からパッドの中心部分までのスイープ範囲を有し、すなわち、スイープ範囲は、該範囲がパッドの半径の調整を可能にするような半径方向スイープ範囲である。他の実施形態では、スイープ範囲は、数分の1だけ径方向スイープ範囲よりも小さい。別の実施形態では、スイープ範囲は半径方向スイープ範囲を上回ってよい。
【0022】
パッド調整ディスク150による調整が繰り返された結果、最終的に研磨パッド200は取り替えられる必要がある。上に論じたように、パッドの入荷時の公差、ディスク間の摩耗速度の変動、およびツール間のハードウェア関連の変動(例えば、コンディショニング・ダウンフォース・キャリブレーション、研磨パッド、および/またはプラテン表面のうねり)などのさまざまな研磨プロセス変数の原因を明らかにする必要性により、従来のプロセスでは、通常、研磨パッド寿命を判断する際には保守的なアプローチに従い、処理パッドの寿命は最大にされていない。従って、本明細書に提供された本開示の実施形態の1つまたは複数は、パッド摩耗および研磨パッドの表面プロファイルをより良く予測しかつ制御するように開発されているため、CMP研磨結果は改善されている。
【0023】
図1に示されるように、研磨ステーション100は、本明細書では処理チャンバコントローラとも称されるコントローラ190をさらに含む。コントローラ190は、研磨プロセスシーケンスの1つまたは複数の態様を制御するように構成されるCMP研磨システムの(示されない)コントローラであり得、この研磨処理手順は、全てCMP研磨システム内で実行される、1つまたは複数の研磨ステーションで実行される1つまたは複数の研磨プロセスステップおよび1つまたは複数の研磨後の洗浄プロセスを含むことができる。本明細書におけるコントローラ190は、中央処理装置(CPU)193、メモリ194、およびサポート回路195を含む。コントローラ190は、本明細書に説明される基板研磨プロセス関連の方法を含む、基板を処理するために使用されるプロセスシーケンスを制御するために使用される。CPU193は、処理チャンバおよびこれに関連するサブプロセッサを制御するために産業環境で使用するように構成された汎用コンピュータプロセッサである。一般的に不揮発性メモリである、本明細書に説明されるメモリ194は、ランダムアクセスメモリ、リードオンリメモリ、フロッピーもしくはハードディスクドライブ、またはローカルもしくはリモートの他の適した形態のデジタルストレージを含んでよい。サポート回路195は、従来、CPU193に結合され、キャッシュ、クロック回路、入力/出力サブシステム、および電源など、ならびにこれらの組み合わせを備える。ソフトウェア命令(プログラム)およびデータは、コード化され、かつCPU193内のプロセッサに指示するためにメモリ194内に記憶可能である。コントローラ190におけるCPU193によって読み取り可能であるソフトウェアプログラム(またはコンピュータ命令)は、研磨ステーション100における構成要素によってどのタスクが実行可能であるかを判断する。好ましくは、コントローラ190におけるCPU193によって読み取り可能であるプログラムは、プロセッサ(CPU193)によって実行されるとき、本明細書に説明されるパッド調整プロセスおよび研磨プロセスの監視および実行に関連するタスクを実行するコードを含む。プログラムは、本明細書に説明される方法の1つまたは複数を実施するために使用されるさまざまなプロセスタスクおよびさまざまなプロセスシーケンスを実行するために、研磨ステーション100内のさまざまなハードウェアおよび電気部品を制御するために使用される命令を含むことになる。
【0024】
研磨パッドプロファイルおよび摩耗測定技術
図2は、取付装置410によって変位センサ160が調整アーム142に結合される本発明の実施形態を示す。述べられるように、パッド調整ディスク150によって繰り返し調整されるため、最終的に、処理パッド200は取り替えられる必要があるが、パッドの入荷時の許容差、ディスク間の摩耗速度の変動、およびツール間の変動(例えば、コンディショニング・ダウンフォース・キャリブレーション)による。調整アームに結合されたセンサによって、処理パッド200の厚さを正常な動作サイクルの一部分の間にさまざまな点で測定することが可能であり、付随する論理回路によって測定データを捉え、表示することができる(例えば、処理パッドの2次元マップの生成)。いくつかの実施形態において、センサ160はレーザを利用して、パッドの厚さを測定してよい。他の実施形態では、センサ160は、誘導センサであってよい。パッド厚さがパッドの異なる部分にわたって変化するように垂直方向上下に移動する調整アームにセンサを結合することによって、センサは、パッドにわたるさまざまな点でパッドの相対厚を検出することで、パッド表面プロファイルおよびパッド摩耗の変動を判断することができる。
【0025】
図3は、研磨パッド摩耗を判断するために研磨パッドの寿命期間中のさまざまな時にプラテン240の表面上に配置された研磨パッド200の表面プロファイルを測定するために使用され得る測定システム300を示す。この例では、測定システム300は、スピンドル軸304を中心に回転可能である支持スピンドル302、支持スピンドル302に固定された取付具306、および、研磨プラテン310の平坦度を研磨プラテン310の表面プロファイル修正前、中、および後に測定するために使用されてよいプロファイル測定ツール308に結合されたダイヤルゲージなどの表面プロファイラ314を特色とする立旋盤である。表面プロファイル314は支持スピンドル302の上にかつ支持スピンドル302の方に面して配置されてよい。研磨プラテン310は、取付具306の外半径部分、ひいては、研磨プラテン310を支持スピンドル302に向けてまたは離れるように引っ張るまたは押すようにZ方向に調節可能である複数のファスナ312を使用して取付具306に固定される。一般的に、表面プロファイラ314は、パッド取付表面に平行な基準面からの距離を測定する。表面プロファイラ314はパッド摩耗の最も精確な測定を行うが、表面プロファイラ314は、多くの時間を使用してパッド摩耗のこれらの精確な測定値を生成し得る。
【0026】
パッド摩耗の測定値を生成するために、図3の表面プロファイラ314の使用と図2の並進センサ160の使用との間のトレードオフがある。パッド摩耗の測定値を生成するための時間は、表面プロファイラ314の方が、変位センサ160を使用して測定値を生成する時間より多いが、表面プロファイル314は、変位センサ160によって生成された測定値よりも精確な測定値を生成する。さらに、変位センサ160による測定値は空間平均された測定値であり得るが、これは、変位センサ160がパッド調整ディスク150に付けられ、パッド調整ディスク150がパッド200の表面に対して完全に面一になっていない場合があるからである。それ故に、変位センサ160は、勾配が急なプロファイルの甚だしいパッド摩耗の中心から端面までのプロファイルを推定するには不十分な場合がある。
【0027】
パッド調整および研磨プロセス改善技術
図4は、実施形態による、研磨パッドの一部分にわたって配置された調整パッドを示す。1つの実施形態では、パッド200は、CからEまで延在する半径を有し、ここで、Cはパッドの中心であり、Eはパッド200の周縁である。先に述べたように、パッド調整ディスク150は、CとEとの間のどこかの研磨パッド200上に位置付け可能であり、場合によっては、調整ディスク150の部分は点Cおよび/またはEを通り越して延在する可能性がある。図4に示されるように、パッド200は複数のパッド調整ゾーン(Z)に分けられてよい。パッド調整プロセスの間、パッド調整ディスク150は研磨パッド200の表面にわたって並進され、それぞれのパッド調整ゾーンは対応する滞在時間、またはパッド調整ディスク150の一部分がパッド調整ゾーンの一部分と接触している時間を有することになる。
【0028】
いくつかの実施形態では、パッド調整ディスク150が研磨パッド200に接触しているときに複数の要因がパッド摩耗またはパッド除去に影響している場合がある。これらの要因には、パッドコンディショニングディスクのダウンフォース、滞在時間、線形プラテン速度、および、2つの異なる半径間の研磨パッドの環状領域が含まれ得るが、これらに限定されない。先に述べたように、ダウンフォースは、制御可能に、パッド200の研磨表面に対してパッド調整ディスク150を押し付けるまたは付勢するために使用される加圧量である。滞在時間は、それぞれの半径方向調整ゾーン内のパッド調整ディスク150の滞留時間であり、所望のスイープスケジュールをもたらすように調節可能である。環状面積係数は、2つの異なる半径(例えば、1つの半径は1インチであり、もう1つの半径は2インチである)間に配置された研磨パッドの環状領域である。いくつかの実施形態では、環状面積について、以下の等式:A=(2πr)×Δrで規定されるように、環状面積が増大するにつれて、半径の変化と共に切削速度は線形に低下する。
【0029】
図5は、1つの実施形態による、簡略化されたまたは基本的なパッド摩耗モデルで使用されるマトリクスを示す。具体的には、パッド摩耗モデル500は、パッド摩耗に影響するパラメータのマトリクスの組み合わせ:パッド200のそれぞれの半径方向調整ゾーンに対する総切削時間マトリクス504、およびパッド200のそれぞれの半径方向調整ゾーンに対する滞在時間を有する滞在時間マトリクス506によって生成される。パッド摩耗モデル500は、パッド200のそれぞれの半径方向調整ゾーンに対するパッド摩耗量を推定した結果のマトリクス502によって表されてよい。基本的なパッド摩耗モデル500は、以下の等式を使用して図5のマトリクス502、504、および506によって生成可能である。
[Rem]=CR*PCtime*B*u
ここで、[Rem]はメートルで測定された結果のマトリクス502であり、CRは、メートル/秒で測定されたパッド200の半径方向調整ゾーンに対する切削速度(すなわち、研磨パッド200へと切削される際にパッド調整ディスクによってもたらされたパッド材料除去速度)を有するマトリクスであり、PCtimeは秒で測定されたパッド200の総パッド調整時間であり、Bは総切削マトリクス504であり、uはPCtimeの割合として測定された滞在時間マトリクス506である。例えば、パッド調整プロセスは、1μm/sの切削速度、10秒の総パッド調整時間、半径方向調整ゾーンZnを有するパッド調整ディスクを含み、パッド調整プロセス中の半径方向調整ゾーンZnにおける1秒の滞在時間は、10μmのパッド材料がゾーンZnから除去される結果をもたらすことになる。いくつかの実施形態では、結果のマトリクス502は、パッド200のそれぞれの半径方向調整ゾーンの推定されたパッド摩耗量を含むベクトルである。いくつかの実施形態では、総切削時間マトリクス504は、調整ディスク150が特定の半径方向調整ゾーン上に配置され、かつ総切削時間マトリクス504に滞在時間マトリクス506を乗じるときに非ゼロ要素による優勢な滞在時間を示すかどうかを表すマトリクスである。総切削時間マトリクス504は、パッド200の半径方向調整ゾーンの数を等しい列数および行数を有し、総切削時間切削マトリクス504は、マトリクスの主対角線上に配置された非ゼロ要素、および他のところのゼロを含み、ここで、非ゼロ要素は、調整ディスク150が特定の半径方向調整ゾーン上に配置されていることを表す。いくつかの実施形態では、滞在時間マトリクス506は、パッド200のそれぞれの半径方向調整ゾーンに対するパッド調整ディスク150の滞在時間を含むベクトルである。
【0030】
図5のパッド摩耗モデルはパッド摩耗に影響するパラメータに基づいてパッド摩耗量の推定を行い、パッド摩耗モデル500はモデル500の精度に影響を与える仮定に基づく。第一に、基本的なパッド摩耗モデル500では、パッド200の半径方向調整ゾーンに接触するときのパッド調整ディスク150の滞在時間のみが、対応する半径方向調整ゾーンにおけるパッド摩耗の深さに影響すると仮定する。それ故に、基本的なパッド摩耗モデル500では、特定の半径方向調整ゾーンに対するパッド摩耗量がその特定の半径方向調整ゾーンの滞在時間の関数であると仮定する。この仮定は、パッド調整ディスク150のサイズを理由に、パッド調整ディスク150が隣接する半径方向調整ゾーンへと延在し得ることを考慮に入れていない。第二に、基本的なパッド摩耗モデル500では、モデルが、モデルの不確定性を容赦する閉ループ制御に使用されるため、モデルはパッド摩耗に影響を与えるパラメータの効果を捉えると仮定する。結果として、パッド摩耗モデルは、パッド摩耗モデルがパッド厚の測定フィードバックを有することで、測定フィードバックに基づいて更新可能であると仮定する。第三に、パッド摩耗モデル500では、平坦なプラテン上の平坦パッド除去を仮定するため、研磨パッドが平坦ではない場合があり、プラテンが平坦ではない場合があることを考慮に入れていない。それ故に、パッド摩耗モデル500は、より精確なパッド摩耗モデルの結果を生成するためにこれらの仮定に対処する必要がある。
【0031】
別の実施形態によると、パッド摩耗モデルは、パッド調整ディスク150が、パッド調整プロセス中に研磨パッドの表面にわたって並進されると、一度に複数の半径方向調整ゾーン上に配置されることの原因を明らかにするように修正可能である。図6A図6Eは、パッド上の点Xに対する例示の切削時間、およびパッド200上で異なる位置に配置されたパッド調整ディスク150を示す。述べられるように、パッド調整ディスク150は、パッド調整ディスク150のサイズ、および半径方向調整ゾーンの既定のサイズに基づいて、同時に複数の半径方向調整ゾーンへと切削され得る。示されるように、図6A図6Eにおけるパッド調整ディスク150は、半径Rを有し、かつパッド200の任意の半径方向調整ゾーン上に配置可能である。例示の目的で、調整ディスク150は、少なくとも3つのゾーンの部分に接触可能であり、パッド調整ディスク150がパッド200の中心からパッド200の端面まで移動する際に、5つの異なる半径方向調整ゾーンを調整するように構成される。Xは、パッド200上の任意の半径方向調整ゾーンの任意の点とすることができる。
【0032】
図6Aに示されるように、パッド調整ディスク150の中心はパッド200の半径方向調整ゾーンZn-2上に配置される。パッド調整ディスク150の半径が半径方向調整ゾーンZn-2より大きい(すなわち、パッド調整ディスク150が半径方向調整ゾーンの境界を超えて延在する)ため、パッド調整ディスク150の一部はまた、半径方向調整ゾーンZn-1上に配置される。しかしながら、パッド調整ディスク150は、点Xが配置されている半径方向調整ゾーン上に配置されないため、点Xでは切削時間はない。
【0033】
図6Bに示されるように、パッド調整ディスク150の中心はパッド200の半径方向調整ゾーンZn-1上に配置される。パッド調整ディスク150は半径方向調整ゾーンZn-1より大きいため、パッド調整ディスク150の一部はまた、半径方向調整ゾーンZおよび半径方向調整ゾーンZn-2上に配置される。それ故に、パッド調整ディスク150がパッド200の中心から端面まで移動する際、パッド調整ディスク150が半径方向調整ゾーンZn-1上に配置されるとき、点Xにおける総切削時間はDn-1であり、これは、パッド調整ディスク150がパッド200へと切削される間の半径方向調整ゾーンZn-1上のパッド調整ディスク150の滞在時間である。
【0034】
図6Cは、パッド調整ディスク150の中心がパッド200の半径方向調整ゾーンZ上に配置されていることを示す。半径方向調整ゾーンZ上でのパッド調整ディスク150の滞在時間はDであり、パッド調整ディスク150がDn-1からDまで移動した際の点Xにおける総切削時間はDn-1+Dである。それ故に、総切削時間は、パッド調整ディスク150が半径方向調整ゾーンのそれぞれにわたって移動する際の総切削時間は滞在時間の和である。
【0035】
図6Dは、パッド調整ディスク150の中心がパッド200の半径方向調整ゾーンZn+1上に配置されていることを示す。先に述べたように、パッド調整ディスク150は半径方向調整ゾーンZn+1より大きいため、パッド調整ディスク150の一部はまた、半径方向調整ゾーンZおよび半径方向調整ゾーンZn+2上に配置される。それ故に、パッド調整ディスク150がパッドの中心から端面まで移動する際、パッド調整ディスク150が半径方向調整ゾーンZn+1上に配置されるとき、点Xにおける総切削時間はDn-1+D+Dn+1である。
【0036】
図6Eは、パッド調整ディスク150の中心がパッド200の半径方向調整ゾーンZn+2上に配置されていることを示す。先に述べたように、パッド調整ディスク150は半径方向調整ゾーンZn+2より大きいため、パッド調整ディスク150の一部はまた、半径方向調整ゾーンZn+1上に配置される。しかしながら、パッド調整ディスク150の一部が点X上に配置されていないため、点Xにおける切削はない。
【0037】
図6A図6Eによって示されるように、パッド200上の任意の点における総切削時間は、パッド調整ディスク150のサイズおよび半径方向調整ゾーンの既定のサイズによって少なくとも部分的に判断される。
【0038】
図7は、1つの実施形態による、基板を研磨するための例示の工程のフロー図である。具体的には、工程700は、コントローラ190内に見出される1つまたは複数のプロセッサ上で実行されかつ作動するソフトウェア構成要素として実施されてよい。基板を研磨するための実施形態では、工程700は、プラテン(例えば、図1のプラテン240)上に配置されたパッド(例えば、図1のパッド200)を取り替えるときを判断するために使用可能であるパッド摩耗モデルを伴う。
【0039】
工程700は、ブロック702において、複数の滞在時間を取得することによって開始してよく、それぞれの滞在時間はプラテン上に配置されたパッドのゾーンに対応する。複数の滞在時間はマトリクスまたはベクトルによって表されてよい。いくつかの実施形態では、取得された滞在時間は、大部分の研磨ステーションにおける大部分のプラテン240を代表するプラテン240上に位置付けられた同じタイプの研磨パッド上で実行された以前のパッド調整プロセスからもたらされた。
【0040】
ブロック704では、工程700は複数の総切削時間を判断することに進み、それぞれの総切削時間は研磨パッドのゾーンに対応する。複数の滞在時間のように、複数の総切削時間はゼロ要素および非ゼロ要素を有するマトリクスによって表されてよく、マトリクスのそれぞれの行は非ゼロ要素の帯を有する。述べたように、マトリクスのそれぞれの行の非ゼロ要素は、マトリクスの対応する行に対応する半径方向調整ゾーンに対する優勢な滞在時間を示す。図6A図6Eにおける例を使用すると、半径方向調整ゾーンZにおける点Xでの総切削時間はDn-1+D+Dn+1であるため、Zに対応する行は、パッド調整ディスクがパッドの中心からパッドの端面まで移動する際にパッド調整ディスクが配置された半径方向調整ゾーンである、Zn-1、Z、およびZn+1に対応する位置にある非ゼロ要素を含む。
【0041】
ブロック706において、工程700は、パラメータのセットに基づいて第1のパッド摩耗除去モデルを生成することに進み、パラメータのセットは複数の滞在時間および複数の総切削時間を含む。第1のパッド摩耗除去はそれぞれの半径方向調整ゾーンに対するパッド摩耗を含むことで、パッドのパッド摩耗の精確な特性評価を提供する。
【0042】
ブロック708において、工程700は、基板を研磨するために第1のパッド摩耗除去モデルをパッド調整レシピに適用することに進む。1つの実施形態では、パッド摩耗除去モデルが使用される、または所望の研磨パッド表面プロファイルを実現するためにパッド調整レシピのモデル化されたゾーンのそれぞれ以内で切削時間を調節するためにコントローラ190内で実行する1つまたは複数のソフトウェアアルゴリズムによって実施される。
【0043】
上述されるように、パッド摩耗モデルは、該モデルが、パッド調整ディスクのサイズ、および半径方向調整ゾーンの既定のサイズなどのパッド摩耗モデルプロファイルの解像度に影響を与えるパラメータの原因を明らかにするように修正可能である。図8は、いくつかの実施形態による、例示的なパッド摩耗除去モデルのマトリクスを示す。1つの実施形態では、パッド摩耗除去モデルは以下の等式を使用して生成される。
[Rem]=CR*PCtime*B*u
ここで、[Rem]はメートルで測定された結果のマトリクス802であり、CRは、メートル/秒で測定されたパッド200のそれぞれの半径方向調整ゾーンに対する切削速度を有するマトリクスであり、PCtimeは秒で測定されたパッド200のそれぞれの半径方向調整ゾーンのパッド調整時間を有するマトリクスであり、Bは総切削マトリクス804であり、uはPCtimeの割合として測定された滞在時間マトリクス806である。図5におけるパッド摩耗除去モデルに使用された等式は、図8におけるパッド摩耗除去モデルに使用されたのと同じ等式であってよい。いくつかの実施形態では、結果のマトリクス802は、パッド200のそれぞれの半径方向調整ゾーンの推定されたパッド摩耗量を含むベクトルである。いくつかの実施形態では、滞在時間マトリクス804は、パッド200のそれぞれの半径方向調整ゾーンに対するパッド調整ディスク150の滞在時間を含むベクトルである。
【0044】
1つの実施形態では、図5の総切削時間マトリクス04の代わりに、総切削時間マトリクス804は、図8に示されるような帯状マトリクスであり、総切削時間マトリクス804の特定の行に対する水平方向の帯の幅は、パッド調整ディスク150のサイズに及ぶ。例えば、総切削時間マトリクス804のそれぞれの非ゼロ要素は、パッド調整ディスク150がパッド調整ディスク150のサイズに基づいて半径方向調整ゾーン上に配置されることを示す。いくつかの実施形態では、総切削時間マトリクス804のそれぞれの非ゼロ要素は、対応する滞在時間が半径方向調整ゾーンに対する総切削時間で使用されることになるかどうかを示す。例えば、図6A図6Eにおけるパッド200上のパッド調整ディスクの動きの例を使用すると、点Xにおける総切削時間はDn-1+D+Dn+1であったため、点Xが配置される半径方向調整ゾーンに対応する総切削時間マトリクス804の行は、総切削時間マトリクス804のZn-1、Z、およびZn+1に対応する列にある非ゼロ要素を含む。
【0045】
図8のパッド摩耗モデル800を使用すると、パッド摩耗は、パッド上の任意の点において定められ得るため、高解像度モデルを形成する。パッド摩耗モデル800は基本的なパッド摩耗モデル(すなわち、パッド摩耗モデル500)と比べて優れた点を有する。例えば、パッド摩耗モデル800は、パッド調整ディスクが半径方向ゾーンの広さよりサイズが大きいことで、パッド調整ディスクが同時に複数の半径方向調整ゾーンへと切削される場合を考慮する。有益には、これによって、研磨パッド表面が多くのゾーンに分かれることを可能にし、該ゾーンは、調整ディスクのサイズより小さい広さを有するため、所望の高解像度パッド調整プロファイルが処理中にもたらされ得る。別の例では、パッド摩耗モデル800が同時に複数の半径方向調整ゾーンを切削することを考慮するため、パッド摩耗モデル800は、半径方向調整ゾーン間の勾配が急なパッド摩耗プロファイルを推定することに関してより高い精度を有する。図9A図9Bは、ピンゲージ測定値およびセンサ測定値など、パッド摩耗を判断する他の方法に基づくパッド摩耗プロファイルと比較した、パッド摩耗モデル800に基づくパッド摩耗プロファイルの精度を示す。
【0046】
いくつかの実施形態では、パッド摩耗モデルを使用して、パッド凹部成形の滞在時間を予測してよい。そのような実施形態では、パッド凹部成形のための滞在時間を予測することは、パッド摩耗モデルを生成するために使用される等式を使用することを伴う。
[Rem]=CR*PCtime*B*u
ここで、[Rem]は、メートルで測定された結果のマトリクス802であり、CRは、メートル/秒で測定されたパッドのそれぞれの半径方向調整ゾーンに対する切削速度を有するマトリクスであり、PCtimeは秒で測定されたパッドのそれぞれの半径方向調整ゾーンのパッド調整時間を有するマトリクスであり、Bは総切削マトリクス804であり、uはPCtimeの割合として測定された滞在時間マトリクス806である。いくつかの実施形態では、
であり、ここで、nはパッド200の半径方向調整ゾーンの数である。パッド凹部成形のための滞在時間を予測することは、以下の等式を伴う場合がある。
u=(CR*PCtime-1*[B*B+δ*D*D]-1*[Rem]
ここで、[Rem]は、メートルで測定された結果のマトリクス802であり、CRは、メートル/秒で測定されたパッドのそれぞれの半径方向調整ゾーンに対する切削速度を有するマトリクスであり、PCtimeは秒で測定されたパッドのそれぞれの半径方向調整ゾーンのパッド調整時間を有するマトリクスであり、Bは総切削マトリクス804であり、uはPCtimeの割合として測定された滞在時間マトリクス806であり、BはBの転置マトリクスであり、Dは二階差分マトリクスであり、DはDの転置マトリクスである。いくつかの実施形態では、CRは消耗タイプおよびパッド調整ディスクダウンフォースに依存する切削速度である。予測された滞在プロファイルを使用して、特定の位置における研磨パッド上の凹部の特有のプロファイルを生成することができる。
【0047】
図9Aはセンサ(例えば、図2の変位センサ160)に基づいて生成された例示の滞在プロファイルを示し、図9Bは、パッド摩耗除去モデル800、ピンゲージ測定値(図3の表面プロファイラ314を使用する)、およびセンサ(例えば、図2の変位センサ160)に基づいて生成された例示のパッド除去プロファイルを示す。具体的には、図9Bのグラフ上にプロットされたパッド除去プロファイル904、906、および908は、図9Aの例示の滞在プロファイル902を使用するパッド調整プロセスのための40分の現場外(ex-situ)調整レシピ(例えば、パラメータ)に基づく。ピンゲージ測定値に基づいて生成されたパッド除去プロファイル904は、パッド摩耗の最も近い推定とみなされ得るが、これは、ピンゲージ測定が、パッドに直接接触しかつパッドの表面のプロファイルまたはトポグラフィを測定する図3の表面プロファイラ314を伴うからである。示されるように、パッド摩耗モデルに基づいて生成されたパッド除去プロファイル906は、特に、パッド除去がより大きい半径方向領域において、センサに基づいて生成されたパッド除去プロファイル908よりも、ピンゲージ測定値に基づいて生成されたパッド除去プロファイル904の方を綿密に追跡する。パッド除去がより大きいこれらの領域はまた、図9Aに示される滞在時間の割合に対応する。
【0048】
いくつかの実施形態では、予測された滞在プロファイルの平滑性は、除去プロファイルのノイズレベルに左右される。除去プロファイルにノイズがある場合、算出された滞在プロファイルは、以下の等式を使用する正則化によって平滑化されてよい。
u=(CR*PCtime-1*[B*B+δ*D*D]-1*[Rem]
そのような実施形態では、CRはパッドおよびパッド調整ディスクのタイプに依存した切削速度(メートル/秒で測定される)であり、CRはパッドコンディショニングディスクのダウンフォースに依存する。
【0049】
図10Aは、ピンゲージ測定値(例えば、図3の表面プロファイラ314)からの測定値を使用して生成されたパッド除去プロファイルを示し、図10Bは、図10Aに示されたパッド除去プロファイルに基づいて異なる例示の滞在予測を示す。滞在プロファイル1004は、センサ(例えば、図3の並進センサ160)に基づいて生成された滞在プロファイルである。示されるように、正則化モデルなしでパッド摩耗モデルに基づいて生成された滞在予測1006は、滞在時間の割合がより高い半径方向領域においては滞在プロファイル1004までより綿密に追跡するが、その他の場合、滞在プロファイル1004を十分に追跡しない。しかしながら、正則化によるパッド摩耗除去モデルに基づいて生成された滞在予測1008は、滞在プロファイル1004の形状全体までより綿密に追跡するように思われる。滞在予測1008が滞在プロファイル1004の形状全体までより綿密に追跡する理由は、少なくとも部分的に、パッド摩耗モデルからの雑音の除去によるものであり、これはひいては、滞在予測プロファイル1008を平滑化する傾向にあると考えられている。
【0050】
パッド摩耗モデルは、カルマンフィルタを使用する通常の設計されたプラテンに対する高解像度パッド除去プロファイル、または、デュアルカルマンフィルタを使用する成形された(例えば、凹状の)パッドに対する高解像度パッド除去プロファイルを生成するために使用されてよい。カルマンフィルタは、統計ノイズおよび他の不精確さを含有する、経時的に観測された一連の測定値を使用するアルゴリズムを含み、かつそれぞれの時間フレームでの変数の確率を推定することによって、単一の測定だけに基づくものよりも精確である傾向がある未知の変数の推定をもたらす。カルマンフィルタは、いくらか不精確であるパッド摩耗モデルを利用し、かつより精確なパッド摩耗モデルを生じさせるためにパッド摩耗の測定値を取り込むことによって、パッド摩耗を予測するために使用可能である。単一のカルマンフィルタを使用することによって、測定値だけに基づくプロファイルよりも精確なモデルを生じさせ得るが、単一のカルマンフィルタを使用して生成されるパッド摩耗モデルは、依然、パッド摩耗モデルに使用されるパラメータにより不精確さを含む可能性がある。デュアルカルマンフィルタは、パッド摩耗、およびパッド摩耗をモデル化する際に使用されるパラメータ(例えば、切削速度)をモデル化することによって、パッド摩耗をモデル化する際に使用可能である。先に述べたように、切削速度は、パッド調整ディスクダウンフォース、パッド調整に使用されるパッドおよび/またはディスクのタイプ、ならびにパッドおよび/またはディスクの寿命にわたるドリフトに左右され得る。デュアルカルマンフィルタでは、一方のカルマンフィルタはパッド摩耗をモデル化するために使用されてよく、他方のカルマンフィルタはより精確なパッド摩耗モデルを生成するために切削速度をモデル化するために使用されてよい。
【0051】
図11は、パッド摩耗除去モデルが適用され得るデュアルカルマンフィルタ1100を示す。デュアルカルマンフィルタは、2つの拡張カルマンフィルタ1102および1112を含む。カルマンフィルタ1102は、状態推定
を生成しかつ時間更新1104に対する先の重み推定
を必要とし、カルマンフィルタ1112は、重み推定
を生成しかつ測定更新1116に対する先の状態推定
を必要とする。示されるように、カルマンフィルタ1102は、先の状態推定
を取り込み、現在の状態推定
を得るために時間更新1104を行い、現在の状態推定
に対する測定更新1106を行う。カルマンフィルタ1102はまた、時間更新1104を行うために先の重み推定
を取り込む。一方では、カルマンフィルタ1112は、先の重み推定
を取り込み、現在の重み推定
を得るために時間更新1114を行い、現在の重み推定に対する測定更新1116を行う。カルマンフィルタ1112はまた、現在の重み推定
に対する測定更新1116を行うために先の状態推定
を取り込む。カルマンフィルタ1102および1112の両方について、両方のカルマンフィルタ1102および1112に対する測定更新1106、1116は現在の測定値
を必要とする。カルマンフィルタ1102および1112の両方が測定更新を終えると、測定更新1106、1116の出力は、次の反復でカルマンフィルタ1102および1112に使用可能である。
【0052】
いくつかの実施形態によると、パッド摩耗モデルは図11のデュアルカルマンフィルタ1100を使用して改良可能である。そのような実施形態では、両方のカルマンフィルタ1102および1112は、先に生成されたパッド摩耗モデルおよび先の切削速度を受信する。先に生成されたパッド摩耗モデルおよび先の滞在時間測定値は、コントローラ(例えば、コントローラ190)またはプロセッサに結合されたメモリに記憶されてよく、先に生成されたパッド摩耗モデルおよび/または先の滞在時間測定値は、デュアルカルマンフィルタによる使用のためにコントローラおよび/またはプロセッサに送られてよい。先に生成されたパッド摩耗モデルおよび先の切削速度により、カルマンフィルタ1102は、先に生成されたパッド摩耗モデルおよび先の切削速度に基づいて新たな/現在のパッド摩耗を生成することを伴う。新たな/現在のパッド摩耗モデルを生成後、カルマンフィルタ1102は、新たな測定値でパッド摩耗モデルを更新し、新たな測定値は、今後生成されるパッド摩耗モデルに使用される。新たな測定値は、センサ、ピンゲージ測定値などの外部のソースから生じ得る。
【0053】
カルマンフィルタ1102が新たな/現在のパッド摩耗モデルを生成し、かつ新たな測定値で新たな/現在のパッド摩耗モデルを更新している一方、カルマンフィルタ1112はまた新たな測定値で先の切削速度を更新している。いくつかの実施形態では、先の切削速度を更新することは、先の測定値および他の利用可能な情報に基づいて滞在時間予測を生成することを伴う可能性がある。更新された切削速度は、カルマンフィルタ1102による今後生成されるパッド摩耗モデルで使用される。
【0054】
図12は、1つの実施形態による、パッド調整プロセスの例示の工程のフロー図である。具体的には、工程1200は、コントローラ190内の1つまたは複数のプロセッサ上で実行されかつ作動するソフトウェア構成要素として実施されてよい。パッド調整プロセスのための実施形態では、工程1200は、デュアルカルマンフィルタ(例えば、図11のデュアルカルマンフィルタ1100)を使用して生成されるパッド摩耗モデルを伴う。
【0055】
工程1200は、ブロック1202において、パラメータの第1のセットに基づいて第1のパッド摩耗モデルを生成することによって開始してよく、パラメータの第1のセットは、プラテン上に配置されたパッド上で実行されるパッド調整プロセスで使用されるパッド調整ディスクの複数の切削速度を含む。
【0056】
ブロック1204において、工程1200は、パッドの1つまたは複数の測定値に基づいて第1のパッド摩耗モデルを更新することに進む。
【0057】
ブロック1206において、工程1200は、先のパッド摩耗モデルのうちの少なくとも1つ、およびパッドの1つまたは複数の測定値に基づいて複数の滞在時間を更新することに進む。複数の切削速度に対する更新は、先のパッド摩耗モデルから使用される複数の切削速度を使用することと、複数の切削速度を変更するために使用可能であるパッドの1つまたは複数の測定値を受信することとを伴う。パッドの1つまたは複数の測定値は、パッド調整ディスクセッションの間に得られたパッドまたはピンゲージ測定値を調整している間に得られたセンサ測定値を含み得る。いくつかの実施形態では、複数の滞在時間を更新することは、切削速度のモデルを生成することによって判断されてよい。
【0058】
ブロック1208において、工程1200は、1つまたは複数の測定値によって更新された第1のパッド摩耗モデル、およびパラメータの第2のセットに基づいて第2のパッド摩耗モデルを生成することに進み、パラメータの第2のセットは更新された複数の滞在時間を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、デュアルカルマンフィルタは、パッド摩耗モデルを生成するために使用される切削速度を予測するために使用され、予測された切削速度は、生成されたパッド摩耗モデルを改善することができる。デュアルカルマンフィルタの適用によって、パッド摩耗を判断するために使用されるセンサ測定値に雑音(例えば、大幅な変動)があるとしても、パッドにわたるパッド切削速度およびパッド摩耗のリアルタイムの推定が提供される。さらに、デュアルカルマンフィルタの適用によって、研磨パッドを変更するときを判断するためのパッド摩耗の精確な特徴付けが提供され、デュアルカルマンフィルタから生成されたモデルは、1つまたは複数の凹部を有する研磨パッドに対するパッド調整プロセスに適用可能である。
【0060】
図13Aおよび図13Bは、一実施形態による設計されたプラテン(例えば、非平面のプラテン)上に配置されたパッドのパッド摩耗除去プロファイルを示す。図13Aは、(例えば、図3の表面プロファイラ314による)ピンゲージ測定値に基づくパッド摩耗プロファイル1302、センサ(例えば、図2の並進センサ160)によって測定されたパッド摩耗プロファイル1306、および、単一のカルマンフィルタを通るパッド摩耗モデルによって推定されたパッド摩耗プロファイル1304を示す。図13Bは、パッド摩耗プロファイル1302、1304、および1306を示し、また、デュアルカルマンフィルタを通るパッド摩耗モデルによって推定されたパッド摩耗プロファイル1308を示す。示されるように、デュアルカルマンフィルタを通るパッド摩耗モデルによって推定されたパッド摩耗プロファイル1308は、パッド摩耗プロファイル1304および1306よりもパッド摩耗プロファイル1302に密接して配置されるため、より精確であり、かつ実際のパッド摩耗をより表現しているものとみなされる。デュアルカルマンフィルタを使用することによって、パッド摩耗モデルは、単一のカルマンフィルタを使用するパッド摩耗と比較して、より精確であり、かつ実際のパッド摩耗をより表現しているものである。
【0061】
図14は、一実施形態による、通常のプラテン上の成形されたパッドまたは凹状のパッド(すなわち、基板を研磨するために使用される表面上に凹部を有するパッド)のパッド摩耗除去プロファイルを示す。具体的には、図14は、(例えば、図3の表面プロファイラ314による)ピンゲージ測定値に基づくパッド摩耗プロファイル1402、センサ(例えば、図2の並進センサ160)によって測定されたパッド摩耗プロファイル1404、および、デュアルカルマンフィルタを通るパッド摩耗モデルによって推定されたパッド摩耗プロファイル1406を示す。これらのパッド摩耗プロファイルは、デュアルカルマンフィルタを使用するエクスシトゥでのパッド成形の結果を示す。示されるように、デュアルカルマンフィルタを通るパッド摩耗モデルによって推定されたパッド摩耗プロファイル1406は、パッド摩耗プロファイル1404よりもパッド摩耗プロファイル1402の方を綿密に追跡する。
【0062】
本明細書に開示された方法は、方法を実現するための1つまたは複数のステップもしくは動作を含む。方法のステップおよび/または動作は入れ替えられる場合がある。換言すれば、特定の順序のステップまたは動作が指定されていない限り、特定のステップおよび/または動作の順序および/または使用は修正されてよい。
【0063】
本明細書で使用される際、項目のリストの「少なくとも1つ」に言及する言い回しは、単一のメンバを含むこれらの項目の任意の組み合わせを指す。一例として、「a、b、cのうち少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、およびa-b-cのみならず、同じ要素の倍数との任意の組み合わせ(例えば、a-a、a-a-a、a-a-b、a-a-c、a-b-b、a-c-c、b-b、b-b-b、b-b-c、c-c、およびc-c-c、またはa、b、およびcの任意の他の順序)を含むことが意図されている。
【0064】
本明細書で使用される際、「判断する」という用語は、多種多様な動作を包含する。例えば、「判断する」は、算出、計算、処理、導出、調査、ルックアップ(例えば、テーブル、データベース、または別のデータ構造でのルックアップ)、および確認などを含み得る。また、「判断する」には、受信(例えば、情報の受信)およびアクセス(例えば、メモリにおけるデータへのアクセス)などが含まれ得る。また、「判断する」には、解決する、選択する、選定する、および確立するなどが含まれ得る。
【0065】
先の記載は、当業者であれば誰でも、本明細書に記載されたさまざまな態様を実践できるように提供されている。これらの態様に対するさまざまな修正は、当業者には容易に明らかとなり、本明細書で定められる一般的な原理は、他の態様に適用されてよい。単数形の要素への言及は、具体的に記されていない限り、「唯一の」という意味ではなく、「1つまたは複数」という意味を意図している。別段具体的に記されていない限り、「いくつか」という用語は1つまたは複数のものを指す。当業者にとって既知であるまたは後に知られることになる、本開示全体を通して記載されるさまざまな態様の要素に対する全ての構造的および機能的等価物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、かつ請求項に包含されることが意図されている。さらに、本明細書に開示されたものが、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているどうかにかかわらず、公衆専用であることは意図されていない。請求項要素は、その要素が「~のための手段」という言い回しを使用して明示的に記載されている、または方法請求項の場合は、その要素が「~のためのステップ」という言い回しを使用して記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定に基づいて解釈されることはないものとする。
【0066】
上述された方法のさまざまな工程は、対応する機能を実行可能な任意の適した手段によって実行され得る。この手段には、回路、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはプロセッサ(例えば、汎用または具体的にプログラムされたプロセッサ)を含むがこれらに限定されない、さまざまなハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントおよび/またはモジュールが含まれてよい。一般的に、図に工程が示されている場合、これらの工程は、類似の番号が付いた対応するミーンズプラスファンクションの構成要素を有する場合がある。
【0067】
本開示に関連して説明した、さまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、本明細書に説明される機能を実行するように設計された、汎用プロセッサ、DSP、ASIC、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、もしくは他のプログラマブルロジックデバイス(PLD)、ディスクリートゲートまたはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェア構成要素、またはこれらの任意の組み合わせを用いて、実装または実行されてよい。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってよいが、代替策では、プロセッサは、任意の市販のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であってよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併せた1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装されてよい。
【0068】
ソフトウェアで実装される場合、機能は、1つまたは複数の命令もしくはコードとしてコンピュータ可読媒体上に記憶されまたはそれらを通して送信されてよい。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェアの記述言語、またはその他と称されるかにかかわらず、命令、データ、またはこれらの任意の組み合わせを意味すると広く解釈されるものとする。コンピュータ可読可能媒体は、1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む、コンピュータ記憶媒体および通信媒体の両方を含む。プロセッサは、機械可読記憶媒体上に記憶されたソフトウェアモジュールの実行を含めて、バスおよび汎用処理を管理することを担う場合がある。コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサに結合され得ることで、プロセッサは、記憶媒体に対して情報を読み取りかつ情報を書き込むことができる。代替策では、記憶媒体はプロセッサに不可欠なものであり得る。例として、機械可読媒体には、伝送線、データによって変調された搬送波、および/または無線ノードとは別個に命令が記憶されているコンピュータ可読記憶媒体が含まれてよく、これらの全ては、バスインターフェースを通してプロセッサによってアクセスされ得る。代替的にはまたはさらに、機械可読媒体、またはその任意の部分は、キャッシュおよび/または汎用レジスタファイルの場合のように、プロセッサに統合され得る。機械可読記憶媒体の例には、一例として、RAM(ランダムアクセスメモリ)、フラッシュメモリ、ROM(リードオンリメモリ)、PROM(プログラマブルリードオンリメモリ)、EPROM(消去可能プログラマブルリードオンリメモリ)、EEPROM(電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ)、レジスタ、磁気ディスク、光ディスク、ハードドライブ、もしくは任意の他の適した記憶媒体、またはこれらの任意の組み合わせが含まれ得る。機械可読媒体は、コンピュータプログラム製品において具現化されてよい。
【0069】
よって、ある特定の態様は、本明細書に提示された工程を実行するためのコンピュータプログラム製品を含んでよい。例えば、そのようなコンピュータプログラム製品は、命令が記憶されて(および/または符号化されて)いるコンピュータ可読媒体を含んでよく、命令は、本明細書に説明される工程を実行するために1つまたは複数のプロセッサによって実行可能であり、例えば、命令は、本明細書に説明され、かつ図7および/または図12に示される工程を実行するためのものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図14
【国際調査報告】