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特表2024-5226391-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸を含む経口用製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸を含む経口用製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4155 20060101AFI20240614BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 19/06 20060101ALN20240614BHJP
   A61P 9/04 20060101ALN20240614BHJP
   A61P 9/00 20060101ALN20240614BHJP
【FI】
A61K31/4155
A61K9/20
A61K9/48
A61P19/06
A61P9/04
A61P9/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575948
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 KR2022008582
(87)【国際公開番号】W WO2022265442
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0078801
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソク・チョル・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ジュミュン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】リ・スン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ア・ソ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC11
4C076CC21
4C076DD29
4C076DD41
4C076DD47C
4C076EE16B
4C076EE31
4C076EE38
4C076FF33
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA02
4C086ZA36
4C086ZC31
(57)【要約】
本発明は、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩から選択されるAPIを含有し、賦形剤としてpH調節剤を含まない経口用製剤に関する。
本発明による経口用製剤は、pH調節剤を含まないため、高含量のAPIを含むにも拘わらず、高いレベルの溶出率を有するだけでなく、服用の利便性及び生産性が増大するという利点がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩から選択される活性製薬成分(API)を含む経口用製剤であって、前記経口用製剤は、賦形剤としてpH調節剤を含まない、経口用製剤。
【請求項2】
前記経口用製剤は、溶出媒質としてpH6.8の緩衝液900mlを使用し、回転速度50 rpmのパドルを用いる場合、15分での溶出率が65%以上、30分での溶出率が80%以上、60分での溶出率が90%以上である、請求項1に記載の経口用製剤。
【請求項3】
前記経口用製剤は、溶出媒質としてpH1.2の緩衝液またはpH4.5の緩衝液を使用し、回転速度50 rpmのパドルを用いる場合、60分での溶出が検出されない、請求項2に記載の経口用製剤。
【請求項4】
前記経口用製剤は、経口用錠剤または経口用カプセルである、請求項1~3のいずれか1項に記載の経口用製剤。
【請求項5】
前記経口用製剤は、経口用錠剤である、請求項4に記載の経口用製剤。
【請求項6】
前記経口用錠剤は、さらに腸溶性コーティング層を含まない、請求項5に記載の経口用製剤。
【請求項7】
前記APIの含有量は、製剤総重量を基準にして30~55重量%である、請求項6に記載の経口用製剤。
【請求項8】
前記APIの含有量は、製剤総重量を基準にして40~50重量%である、請求項7に記載の経口用製剤。
【請求項9】
前記APIの含有量は、単位剤形当たり50mg、100mg、200mgまたは300mgである、請求項1に記載の経口用製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸を高含有量で含み、pH調節剤を含まなくても、平均溶出率に優れた経口用製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
キサンチンオキシダーゼ(xanthine oxidase)は、ヒポキサンチン(hypoxanthine)をキサンチン(xanthine)に転換させ、また形成されたキサンチンを尿酸に転換させる酵素であり、前記キサンチンオキシダーゼの活性を阻害する物質は、高尿酸血症、痛風、心不全症、心血管系疾患などのような尿酸蓄積に関連する疾患を効果的に治療することができる。
【0003】
一方、キサンチンオキシダーゼの活性を阻害する物質に関連して、韓国特許公報第1751325号(特許文献1)では、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸(下記化学式1)及び前記化合物の製造方法を提供しており、韓国特許公報第1424013号(特許文献2)では、多様な溶媒を用いて得た多様な種類の結晶形及びその製造方法を提供している。
【化1】
【0004】
経口用製剤の場合、具体的には経口用カプセル(capsule)または錠剤(tablet)などにおいて、pH特異的な薬物吸収を高めるためには、pH調節剤(pH modifier)を添加して目標とするpHで溶解度を増加させ、特定のpHで薬物放出を誘導する方法を一般的に使用する。また、pH調節剤の利用とは別に、薬物の主吸収器官である小腸での吸収を誘導するために、小腸に到達する前に胃酸によって溶けたり放出されたりすることを防ぐ腸溶性コーティング(enteric coating)を用いたり、腸溶性カプセル化などの特定のpHでの吸収または放出を防ぐなどの様々な方法で薬物放出を調節する。
【0005】
このように経口用製剤において、pH調節剤を含んだり、腸溶性コーティングを追加したりする場合、さらに賦形剤またはコーティング層を含むことになる。したがって、高用量の活性製薬成分(API)を含有する経口用製剤において、このようなpH調節剤や腸溶性コーティング層を含む場合、錠剤またはカプセルのサイズが大きくなり、患者の服用の利便性を低下させるだけでなく、生産単価が高くなるという問題がある。
【0006】
これに関して、前記化学式1の1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容される塩を活性製薬成分(API)として高含有量で含む経口用製剤において、最小限の賦形剤を含みながら、目標とする溶出pHであるpH 6.8での高い溶出率を示す、患者の服用の利便性および生産性に優れた経口用製剤の開発が必要な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許公報第1751325号(2017.06.21.)、キサンチンオキシダーゼ阻害剤として効果的な新規化合物、その製造方法およびそれを含有する薬剤学的組成物
【特許文献2】韓国特許公報第1424013号(2014.07.22.)、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸の結晶形とその製造方法
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
高含有量の1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含みながらも、目標とするpHであるpH6.8で特異的に高い溶出率を有する経口用製剤を導き出すことが本発明の解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩のAPIおよび賦形剤を含み、特に前記賦形剤のうち、pH調節剤または腸溶性コーティング層を含まなくても、目標とするpHで特異的に高い溶出率を有する経口用製剤および前記経口用製剤の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の経口用製剤は、溶出媒質としてpH6.8の緩衝液900mlを使用し、回転速度50 rpmのパドルを用いる場合、15分での溶出率が65%以上、30分での溶出率が80%以上、60分での溶出率が90%以上である。
【0011】
本発明の経口用製剤に含まれるAPIの含有量は、製剤当たり50mg、100mgまたは200mgである。
【0012】
本発明の経口用製剤は、高尿酸血症、痛風、心不全症、心血管系疾患、高血圧、糖尿病、腎疾患、炎症および関節疾患、炎症性腸疾患からなる群より選択されるキサンチンオキシダーゼ関連疾患の治療または予防に使用される。
【発明の効果】
【0013】
本発明による1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含む経口用製剤は、pH調節剤または腸溶性コーティング層を含まなくても、目標とするpHであるpH6.8で特異的に高い溶出率を示す溶出特性を示すため、最小限の添加剤の使用および工程の簡素化により、高い生産性と少ない重量またはサイズで患者の服用の利便性が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】溶出媒質(緩衝液)のpHによる裸錠の平均溶出率(%)を分析した結果を示す図である。
図2】溶出媒質(緩衝液)のpHによるカプセルの平均溶出率(%)を分析した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0016】
本発明で使用されるすべての技術用語は、別途定義されない限り、本発明の関連分野における通常の知識を有する者が一般的に理解するものと同じ意味で使用される。また、本明細書には好ましい方法や試料が記載されるが、これと類似または同等のものも本発明の範疇に含まれる。本明細書に参考文献として記載されるすべての刊行物の内容は、全体が本明細書に参考として統合される。
【0017】
本発明において「溶出」及び「放出」とは、大韓薬典溶出試験法のパドル法を使用した溶出試験法で経口用製剤が緩衝液に溶ける現象を示すもので、緩衝液に溶けたAPIの濃度を分析して溶出率又は平均溶出率を確認する。本明細書では「溶出」及び「放出」は同じ意味であり、互いに区別されず、相互に使用されてもよい。
【0018】
本発明において「経口用製剤」とは、当該技術分野で公知の任意の製剤、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、酸剤、経口用液剤、シロップ剤、または丸剤であってもよいが、これらに限定されない。本発明の実施例で使用した経口用製剤は、APIである1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸および薬剤学的に許容可能な添加剤を含む錠剤またはカプセル剤である。
【0019】
本発明において「薬学的に許容される塩」とは、化合物が投与される有機体に深刻な刺激を引き起こさず、化合物の生物学的活性と物性を損なわない、化合物の塩の形態を意味する。本発明の経口用製剤に含まれたAPIである1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸は、通常の方法によりその塩に転換させることができる。
【0020】
本発明の「ヒトキサンチンオキシダーゼ関連疾患」とは、ヒトキサンチンオキシダーゼを阻害することによって治療または予防できる疾患であり、例えば、高尿酸血症、通風、心不全症、心血管系疾患、高血圧、糖尿病、糖尿病関連合併症、腎疾患、関節疾患、炎症性腸疾患などが挙げられるが、これらに限定されない。前記糖尿病関連合併症の例としては、高脂血症、動脈硬化、肥満、高血圧、網膜症、腎不全症などが挙げられる。
【0021】
前記「治療」とは、発病症状を示すオブジェクトに使用されるとき、疾患の進行を中断または遅延させることを意味し、前記「予防」とは、発病症状を示さないが、そういう危険性の高いオブジェクトに使用されるとき、発症兆候を中断または遅延させることを意味する。
【0022】
本発明では、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩から選択されるAPIを高含有量で含みながらも、溶出率に代表される生物学的利用能が優秀または良好な経口用製剤について多角的な研究を行った。
【0023】
本発明者らは、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含む経口用製剤において、APIの含有量を高め、物性を維持または高めるために、様々な方法で研究を持続した結果、pH調節剤を含まないか、または追加の腸溶性コーティングをしていない裸錠状態およびカプセル剤でも目標とするpHであるpH6.8で特異的に高いレベルで溶出されることができる経口用製剤を開発した。
【0024】
この場合、経口用製剤に含まれてもよい賦形剤としてpH調節剤または腸溶性コーティング層を含まないため、最小化された含量の賦形剤を含むことにより、服用の利便性及び生産性を高めることができるという利点がある。
【0025】
したがって、本発明は、1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩を含み、賦形剤としてpH調節剤または腸溶性コーティング層を含まない、高い溶出率を有する経口用製剤を提供する。前記経口用製剤は、錠剤またはカプセル剤であってもよい。
【0026】
経口用製剤を製造するにあたり、打錠性、硬度、磨耗度、流動性などの基本的な物性を最適化するために、様々な種類の薬学的に許容される賦形剤を添加することになる。さらに、経口用製剤はその作用のためには、まず胃をはじめとする消化器官を通過しなければならず、胃はpH1~2の強い酸性環境でAPIの分解などを引き起こす可能性があるので、前記経口用製剤が酸性環境で溶出(または放出)されることを防ぐために様々な放出制御方法が研究されている。
【0027】
前記経口用製剤の放出制御方法として代表的な方法は、酸性環境での溶出を防ぐために経口用製剤の外部に腸溶性コーティング層を含んだり、目的とするpH環境で溶出するためにpH調節剤を使用したり、様々な種類のポリマーを用いた徐放化技術が使用されている。しかし、これらの方法はいずれも追加の賦形剤の使用またはコーティング層の付加で製剤のサイズを増加させて服用の利便性を低下させるだけでなく、生産過程で追加の工程により生産性が低下せざるを得ないという欠点がある。
【0028】
本発明の経口用製剤は、pH調節剤または腸溶性コーティング層を含まなくても、溶出率に優れた経口用製剤である。
【0029】
本発明は、i) 1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含み、ii) pH調節剤または腸溶性コーティング層を含まない経口用製剤および前記経口用製剤の製造方法を提供する。
【0030】
本発明の経口用製剤は、裸錠状態で溶出媒質としてpH1.2の緩衝液またはpH4.5の緩衝液を溶出媒質として使用する場合、ほとんど溶出されなかったので、本発明の経口用製剤は腸溶性コーティング層を必要としない。また、本発明の経口用製剤は、精製水を溶出媒質として使用する場合、60分での溶出率は10%未満と非常に低い溶出率を示す。
【0031】
本発明の経口用製剤は、溶出媒質としてpH6.8の緩衝液900mlを使用し、回転速度50 rpmのパドルを用いる場合、裸錠状態で15分での溶出率が65%以上、30分での溶出率が80%以上、60分での溶出率が90%以上である。 したがって、本発明の経口用製剤は、pH調節剤を含まなくても、目的とするpHであるpH6.8で特異的に溶出率が非常に優れた効果を有し、生物学的利用能もこれを反映して優れると予想できる。
【0032】
これらの結果をまとめると、本発明の経口用製剤は、胃ではほとんど溶出されないが、腸で特異的に溶出され、体内で吸収されることが予測できる。
【0033】
本発明において、前記経口用製剤は、賦形剤として、薬学的に許容可能な希釈剤(diluent)、崩壊剤(disintegrant)、流動化剤(glidant)、滑沢剤(lubricant)などから選択される少なくとも1つの賦形剤をさらに含む。
【0034】
前記希釈剤、崩壊剤、流動化剤及び滑沢剤などの賦形剤は、当該技術分野において通常使用されるものと公知されている任意のものを使用してもよい。前記希釈剤は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、30~50重量%、40~50重量%、または45~50重量%の含量で使用されてもよい。前記崩壊剤は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、1~10重量%または1~5重量%の範囲の含量で使用されてもよい。前記流動化剤は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、0.1~5重量%、0.2~3重量%、または0.3~2重量%の範囲の量で使用されてもよい。前記滑沢剤は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、0.1~10重量%、0.3~5重量%、または0.5~4重量%の範囲の量で使用されてもよい。
【0035】
例えば、前記希釈剤は、微結晶セルロース(microcrystalline cellulose; MCC)、ラクトース一水和物、ラクトース無水物、乳糖、澱粉、マンニトール、カルボキシメチルセルロース、ソルビトール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。前記崩壊剤は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、F-melt、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。前記流動化剤は、タルク、二酸化ケイ素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、タルク、軽質無水ケイ酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせからなる群より選択されてもよいが、これらに限定されない。
【0036】
前記経口用製剤は、1日1回投与することができ、毎日服用できる。
【0037】
前記経口用製剤に含まれるAPIの含有量は、前記経口用製剤の総重量を基準にして、30~50重量%、35~50重量%、40~50重量%、45~50重量%、30~45重量%、35~45重量%、40~45重量%、30~40重量%、または35~40重量%である。
【0038】
前記APIは、単位剤形当たり、50~500mg、50~400mg、50~300mg、50~200mg、50~100mg、100~500mg、100~400mg、100~300mg、100~200mg、200~500mg、200~400mg、200~300mg、300~500mg、または300~400mgを含んでもよい。
【0039】
前記APIは、単位剤形当たり、例えば50mg、100mg、150mg、200mg、300mg、400mgまたは455mgを含んでもよい。
【0040】
本発明の経口用製剤に含まれるAPIの含量は、95%~105%、96%~105%、97%~105%、98%~105%、99%~105%、100%~105%、95%~100%、96%~100%、97%~100%、98%~100%、または99%~100%で含まれてもよい。また、前記APIの含量は、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上で含まれてもよく、105%以下、104%以下、103%以下、102%以下、101%以下、または100%以下で含まれてもよい。
【0041】
本発明は、前記1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含み、賦形剤としてpH調節剤または腸溶性コーティング層を含まないヒトキサンチンオキシダーゼ関連疾患を治療または予防するための経口用製剤を提供する。
【0042】
本発明は、前記1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含み、賦形剤としてpH調節剤または腸溶性コーティング層を含まない経口用製剤を用いたヒトキサンチンオキシダーゼ関連疾患を治療または予防するための方法を提供する。
【0043】
本発明は、前記1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸又はその薬学的に許容可能な塩をAPIとして含み、賦形剤としてpH調節剤または腸溶性コーティング層を含まないヒトキサンチンオキシダーゼ関連疾患を治療または予防するための経口用製剤を製造するための用途を提供する。
【0044】
別途示さない限り、本明細書および特許請求の範囲に使用されるすべての数字は、言及の有無に関係なく、すべての場合に、用語「約」により修飾できるものと理解されるべきである。また、本明細書及び特許請求の範囲に使用される精密な数値は、本開示内容の追加の実施態様を形成するものと理解されるべきである。実施例に開示された数値の精度を保証するための努力を傾けた。しかし、測定されたすべての数値は、内在的に、それぞれの測定手法で実測された標準偏差から生じる特定の誤差を含有する可能性がある。
【0045】
[試験例及び実施例]
実施例及び比較例における各種評価は次の通り行った。
【0046】
実施例及び比較例の経口用錠剤は、下記表1に記載された成分を当該含有量で使用して裸錠を製造し(実施例1、比較例1、2)、経口用カプセルは、下記表2に記載された成分を当該含有量で使用してカプセルを製造した(実施例2、比較例3、4)。
【0047】
経口用錠剤(裸錠)は下記製造方法で製造した。
【0048】
1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸(API)及び流動化剤を混合(mixing)した後、ミリング(milling)して第1の混合物を製造する。その後、第1の混合物に含まれない成分である希釈剤、崩壊剤及び滑沢剤を混合した後、ミリングして第2の混合物を製造した。
【0049】
第1の混合物と第2の混合物を混合した後、ロータリー打錠機(Modul P, GEA, Belgium)を用いて予圧:5.0kN、本圧:14~15kNの条件で打錠を行い、裸錠を製造した。
【0050】
滑沢剤として使用したPRUVは商品名であり、Sodium stearyl fumarate成分である。
【0051】
経口用カプセルは下記製造方法で製造した。
【0052】
1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸(API)及び希釈剤を混合(mixing)した後、ミリング(millimg)して第1の混合物を製造する。その後、第1の混合物に含まれない成分である滑沢剤を混合した後、ミリングして第2の混合物を製造した。
【0053】
第2の混合物を、カプセル充填機(手動または自動)を用いて430.0mgをカプセルに入れて製造する。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
[溶出率の分析]
大韓薬典第10改正溶出試験法によって下記実施例及び比較例の溶出試験液(溶出媒質)を用いて先に製造した裸錠を対象として溶出試験を行った。溶出法は大韓薬典溶出試験法のパドル法を使用し、攪拌速度は50 rpm、溶出温度は37±0.5℃で行った。
【0057】
実施例1は、大韓薬典溶出試験法の第2の液である、pH 6.8のリン酸塩緩衝液、水混合液(1:1)900mlで先に製造した裸錠の溶出率を測定した。
【0058】
比較例1は、大韓薬典溶出試験法の第1の液である、塩化ナトリウム2.0gに塩酸7.0ml及び水を加えて溶かし、1000mlの第1の液を調製した後、前記第1の液900mlを用いて先に調製した裸錠の溶出率を測定した。前記第1の液はpH 1.2で、塩酸の濃度は0.1mol/Lであり、無色透明である。
【0059】
比較例2は、pH4.5で酢酸ナトリウム水和物(三水和物)2.99gと酢酸無水物1.66gを水に溶かして1000mlの緩衝液を調製した。前記pH4.5の緩衝液900mlを溶出媒質として用いて先に調製した裸錠の溶出率を測定した。
【0060】
分析条件は、前記溶出試験で得られた液を0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した液を、UPLC法を用いてAPIである1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸の濃度を分析した。具体的な分析条件は下記の通りである。
【0061】
実施例2は、実施例1と同じ溶出媒質及び条件で先に調製したカプセルの溶出率を測定した。
【0062】
比較例3、4は、比較例1、2とそれぞれ同じ溶出媒質及び条件で先に調製したカプセルの溶出率を測定した。
【0063】
<分析条件>
移動相の調製:アセトニトリル(500ml)+精製水(500ml)+TFA(1ml)
希釈液の調製:メタノール(900ml)+精製水(100ml)
標準液及び検液の調製:標準品及び検体を希釈液で完全に溶解した後、下記UPLC分析方法に従って分析する。
カラム: Waters CSH C18(2.1mm I.D. ×100mm L, Particle size 1.7μm)
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル/H2O/TFA = 500/500/1(v/v/v)
流速: 0.35ml/min
検出:258 nm uv
サンプル量:1μl
分析時間:6分
【0064】
実施例及び比較例における溶出パターン
1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸をAPIとして含む経口用錠剤(裸錠)において、大韓薬典の溶出試験法を用いてpH 6.8(実施例1)、pH 1.2(比較例1)およびpH 4.5(比較例2)の溶出溶媒における溶出パターンを前述した分析方法により分析した。分析結果は表3に記載されている。
【0065】
【表3】
【0066】
表1に記載された成分を当該含有量で使用して製造された錠剤(裸錠)は、pH 1.2(比較例1)及びpH 4.5(比較例2)の緩衝液ではほとんど溶出されなかった。しかし、pH 6.8の緩衝液では、10分の平均溶出率は58.4±1.6%、15分の平均溶出率は71.8±1.8%、30分の平均溶出率は88.6±1.9%、45分の平均溶出率は93.8±2.0%、60分の平均溶出率は95.8±2.0%を示した。
【0067】
前記裸錠と同じAPIを含む経口用カプセルの溶出パターンを、大韓薬典の溶出試験法を用いてpH 6.8(実施例2)、pH 1.2(比較例3)およびpH 4.5(比較例4)の前述した分析方法により分析した。分析結果は表4に記載されている。
【0068】
【表4】
【0069】
表2に記載された成分を当該含有量で使用して製造された経口用カプセルは、錠剤(裸錠)と同様にpH 1.2(比較例2)及びpH 4.5(比較例3)の緩衝液ではほとんど溶出されず、pH 6.8の緩衝液では10分の平均溶出率は58.4±7.9%、15分の平均溶出率は75.2±7.8%、30分の平均溶出率は89.1±6.9%、45分の平均溶出率は93.1±6.6%、60分の平均溶出率は95.5±6.9%を示し、前記1-(3-シアノ-1-イソプロピル-インドール-5-イル)ピラゾール-4-カルボン酸をAPIとして含有する錠剤及びカプセルは同様の溶出パターンを示すことを確認した。
【0070】
したがって、本発明の経口用製剤は、裸錠状態でもpH 1.2ではほとんど溶出されないので、前記経口用製剤が錠剤形態の場合、胃での溶出を防ぐための腸溶性コーティングを適用しなくてもよいという利点がある。また、本発明の経口用製剤は、錠剤及びカプセル剤形とは関係なく、pH調節剤を含まなくても、pH 6.8で特異的に60分の平均溶出率が90%以上で非常に高い溶出率を示すので、生物学的利用能もこれを反映して優れると予想できる。
【0071】
以上、本発明について好ましい実施例を主にして説明した。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形で具現できることを理解できるだろう。したがって、前記開示された実施例は限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されるべきである。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、特許請求の範囲に表れており、それと同等の範囲内にあるすべての相違点は、本発明に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
【国際調査報告】