(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】少なくとも1種の熱可塑性ポリマーと繊維とを含むポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
C08J 5/04 20060101AFI20240614BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20240614BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C08J5/04 CFG
C08K7/02
C08L77/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023577263
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2022065706
(87)【国際公開番号】W WO2022263288
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ デボワ
(72)【発明者】
【氏名】ザスキア ミュールム
【テーマコード(参考)】
4F072
4J002
【Fターム(参考)】
4F072AA02
4F072AA08
4F072AB09
4F072AB14
4F072AB33
4F072AD44
4F072AG05
4F072AH04
4F072AH23
4J002CL001
4J002DL006
4J002FA046
4J002FD016
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と繊維長lを有する繊維(B)とを含むポリマー組成物(PC)に関する。該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する。本発明はさらに、本発明のポリマー組成物(PC)を製造する方法、本発明のポリマー組成物(PC)を成形することによる成形品を製造する方法及び本発明のポリマー組成物(PC)を含む成形品に関する。そのうえ、本発明は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)を含むポリマー組成物(PC)における繊維長lを有する繊維(B)の、前記ポリマー組成物(PC)から製造された成形品の靱性及び/又は補強性を高めるための使用に関し、ここで、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)及び(B)
(A)少なくとも1種の熱可塑性ポリマーと、
(B)繊維長lを有する繊維と
を含む、ポリマー組成物(PC)であって、
前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する、前記ポリマー組成物(PC)。
【請求項2】
前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の多くとも5重量%は、100μm未満の繊維長lを有する、請求項1に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項3】
前記繊維(B)が、極大値(M)を有する単峰性の繊維長分布を有し、ここで、前記極大値(M)は、200~600μmの範囲内の値(V)であり、前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の少なくとも35重量%が、この値(V)の繊維長lを±0.1×lの標準偏差で有する、請求項1又は2に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項4】
前記繊維(B)が、極大値(M)を有する単峰性の繊維長分布を有し、ここで、前記極大値(M)は、200~600μmの範囲内の値(V)であり、前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の少なくとも50重量%は、この値(V)の繊維長lを±0.25×lの標準偏差で有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項5】
前記繊維(B)が、
i)ガラス繊維、バサルト繊維、炭素繊維、金属繊維及びプラスチック繊維からなる群から、好ましくはガラス繊維から選択され、より好ましくはE-ガラス繊維、S-ガラス繊維、R-ガラス繊維、M-ガラス繊維、C-ガラス繊維、ECR-ガラス繊維、D-ガラス繊維、AR-ガラス繊維及びQ-ガラス繊維からなる群から選択され、及び/又は
ii)ホローファイバー及びフラットファイバーからなる群から選択される、請求項1から4までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項6】
前記ガラス繊維が、5~30μmの範囲内の直径を有する、請求項5に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項7】
前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)が、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン及びポリオキシメチレンからなる群から選択される、請求項1から6までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項8】
前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)が、ポリアミド6(PA 6)、ポリアミド66(PA 66)、ポリアミド6/66(PA 6/66)、ポリアミド66/6(PA 66/6)、ポリアミド610(PA 610)、ポリアミド6/6T(PA 6/6T)、ポリアミド6T/6I(PA 6T/6I)、ポリアミド12(PA 12)、ポリアミド4T(PA 4T)、ポリアミド9T(PA 9T)、ポリアミド46(PA 46)、ポリアミド1010(PA 1010)及びポリアミド1212(PA 1212)からなる群から選択されるポリアミドである、請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項9】
前記ポリマー組成物(PC)が、前記ポリマー組成物(PC)の全重量をそれぞれ基準として、30~90重量%の範囲内の成分(A)及び10~70重量%の範囲内の成分(B)を含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項10】
前記ポリマー組成物(PC)がさらに、安定剤、染料、顔料及び可塑剤からなる群から選択される、少なくとも1種の添加剤(C)を含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項11】
前記ポリマー組成物(PC)が、前記ポリマー組成物(PC)の全重量をそれぞれ基準として、29~89.99重量%の範囲内の成分(A)、10~70重量%の範囲内の成分(B)及び0.01~1重量%の範囲内の成分(C)を含む、請求項10に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項12】
前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の1~10重量%、好ましくは1~5重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の1~12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する、請求項1に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)を製造する方法であって、以下の工程a)及びb)
a)200~600μmの範囲内の定義された繊維長l1を有する繊維(B’)を用意する工程、及び
b)前記繊維(B’)を少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と押出機中で配合する工程を含み、ここで、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と前記の繊維長lを有する繊維(B)とを含む前記ポリマー組成物(PC)が得られ、前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する、前記方法。
【請求項14】
前記繊維(B’)が、繊維ロービング(R)を繊維(B’)へ切断することにより用意される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から12までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)を成形することによる、成形品を製造する方法。
【請求項16】
請求項1から12までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)を含む、成形品。
【請求項17】
少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)を含むポリマー組成物(PC)における、繊維長lを有する繊維(B)の、前記ポリマー組成物(PC)から製造された成形品の靱性及び/又は補強性を高めるための使用であって、前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する、前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と、繊維長lを有する繊維(B)とを含むポリマー組成物(PC)に関する。該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する。本発明はさらに、本発明のポリマー組成物(PC)を製造する方法、本発明のポリマー組成物(PC)を成形することにより成形品を製造する方法及び本発明のポリマー組成物(PC)を含む成形品に関する。そのうえ、本発明は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)を含むポリマー組成物(PC)における、繊維長lを有する繊維(B)の、前記ポリマー組成物(PC)から製造された成形品の靱性及び/又は補強性を高めるための使用に関し、ここで、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する。
【0002】
一般に熱可塑性ポリマーは、それらの極めて良好な機械的性質により工業的に特に重要なポリマーである。特に、それらは、高い強さ、剛性、及び靱性、良好な耐薬品性、及び高い耐摩耗性及び耐トラッキング性を有する。これらの性質は、(射出)成形品の製造に特に重要であり、ここで、これらの熱可塑性ポリマーを含むポリマー組成物が成形されて、該(射出)成形品が得られる。
【0003】
(射出)成形品の性質をさらに改良するために、繊維が該ポリマー組成物にしばしば添加される。そのため、該ポリマー組成物の製造中に、通常、チョップドファイバー又はミルドファイバーが、押出前に該熱可塑性ポリマーに添加される。押出後に、該繊維は、該ポリマー組成物中で幅広い長さ分布で存在する。例えば、チョップドファイバーの使用後に、20μm未満ないし1000μm超の長さ分布及び300μmの平均値を有する繊維が存在し、かつミルドファイバーが使用される場合には、例えば、同様の長さ分布及び100μmの平均値を有する繊維が存在する。しかしながら、200μm未満の長さを有する短繊維の極端に高い割合は、その成形体の機械的性質に悪影響を及ぼし、例えば、その補強効果は低下される。
【0004】
米国特許出願公開第2016/0272788号明細書(US 2016/0272788 A1)には、重量で以下のもの:20~88%の熱可塑性材料(A)、10~60%の繊維状フィラー(B)、2~10%のレーザー直接構造化添加剤(LDS添加剤)又はレーザー直接構造化添加剤の混合物(C)及び任意に粒子状フィラー(D)及び/又はさらに異なる添加剤(E)からなる、熱可塑性成形組成物、特にポリアミド成形組成物が開示されている。
【0005】
米国特許第10233326号明細書(US 10,233,326 B2)には、a)50~90重量部の式“5X”により表される少なくとも1種のポリアミド及び10~50重量部の少なくとも1種の部分芳香族ポリアミドのブレンドと、c)10~250重量部の繊維とを含むポリアミド成形コンパウンドが開示されており、ここで、該繊維c)は、非円形断面を有するガラス繊維である。
【0006】
米国特許出願公開第2014/0296414号明細書(US 2014/0296414 A1)には、熱可塑性樹脂(A);炭素繊維(B);及びチタン化合物(C)を含む炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物が開示されており、該熱可塑性樹脂(A)及び該炭素繊維(B)の全量100重量%を基準として、該熱可塑性樹脂(A)の量は10~65重量%であり、該炭素繊維(B)の量は35~90重量%であり、かつ該チタン化合物(C)の量は、該熱可塑性樹脂(A)及び該炭素繊維(B)の全量100重量部を基準として、0.01~5重量部である。
【0007】
それに応じて、本発明の課題は、良好な機械的性質を有する成形品を極めて単純で安価な方法で製造することが可能である、改良されたポリマー組成物を提供することである。
【0008】
この課題は、本発明によれば、以下の成分(A)及び(B)
(A)少なくとも1種の熱可塑性ポリマーと、
(B)繊維長lを有する繊維と
を含む、ポリマー組成物(PC)であって、
該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する、ポリマー組成物(PC)により達成される。
【0009】
さらに、本発明の課題は、以下の工程a)及びb)
a)200~600μmの範囲内の定義された繊維長l1を有する繊維(B’)を用意する工程、及び
b)該繊維(B’)を少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と押出機中で配合する工程を含み、ここで、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と前記の繊維長lを有する繊維(B)とを含む該ポリマー組成物(PC)が得られ、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する、
ポリマー組成物(PC)を製造する方法により達成される。
【0010】
驚くべきことに、200~600μmの範囲内の定義された繊維長l1を有する繊維(B’)を、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と押出機中で配合することにより、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と、繊維長lを有する繊維(B)とを含むポリマー組成物(PC)が得られ、ここで、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも10重量%、好ましくは多くとも5重量%、より好ましくは多くとも4重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有することが見出された。さらに、好ましくは、該繊維(B)は、極大値(M)を有する単峰性の繊維長分布を有し、ここで、該極大値(M)は、200~600μmの範囲内の値(V)であり、ここで、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の少なくとも35重量%は、この値(V)の繊維長lを±0.1×lの標準偏差で有し、及び/又は該繊維(B)は、極大値(M)を有する単峰性の繊維長分布を有し、ここで、該極大値(M)は、200~600μmの範囲内の値(V)であり、ここで、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の少なくとも50重量%は、この値(V)の繊維長lを±0.25×lの標準偏差で有することが見出された。
【0011】
また、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)を含むポリマー組成物(PC)におけるこれらの繊維長lを有する繊維(B)の使用であって、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する前記使用が、前記ポリマー組成物(PC)から製造された成形品の靱性及び/又は補強性を高めることが驚くべきことに見出された。付加的に、該ポリマー組成物(PC)におけるこれらの繊維(B)の使用が、該成形品の脆性を低下させることが見出された。
【0012】
本発明によるポリマー組成物(PC)、並びにその製造方法は、以下により具体的に説明される。
【0013】
ポリマー組成物(PC)
本発明によれば、該ポリマー組成物(PC)は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と、繊維長lを有する繊維(B)とを含む。
【0014】
本発明に関連して、「少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)」は、正確に1種の熱可塑性ポリマー(A)、さもなければ2種以上の熱可塑性ポリマー(A)の混合物のいずれかを意味するものと理解すべきである。
【0015】
用語「繊維長lを有する繊維(B)」は、該ポリマー組成物(PC)が、繊維長lを有する繊維の正確に1種類の繊維(B)、さもなければ繊維長lを有する繊維(B)の2種類以上の混合物のいずれかを含むことを意味するものと理解すべきである。
【0016】
繊維の種類の例は、ガラス繊維、バサルト繊維、炭素繊維、金属繊維及びプラスチック繊維からなる群から選択される繊維、及び/又はホローファイバー及びフラットファイバーからなる群から選択される繊維である。
【0017】
該ポリマー組成物(PC)は、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と、前記の繊維長lを有する繊維(B)とを任意の所望の量で含んでいてよい。
【0018】
該ポリマー組成物(PC)が、成分(A)及び成分(B)の重量パーセントの合計をそれぞれ基準として、好ましくは該ポリマー組成物(PC)の全重量をそれぞれ基準として、30~90重量%の範囲内の前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)及び10~70重量%の範囲内の繊維長lを有する繊維(B)を含む場合が好ましい。
【0019】
該ポリマー組成物(PC)が、成分(A)及び成分(B)の重量パーセントの合計をそれぞれ基準として、好ましくは該ポリマー組成物(PC)の全重量をそれぞれ基準として、40~80重量%の範囲内の前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)及び20~60重量%の範囲内の繊維長lを有する繊維(B)を含む場合が特に好ましい。
【0020】
該ポリマー組成物(PC)が、成分(A)及び成分(B)の重量パーセントの合計をそれぞれ基準として、好ましくは該ポリマー組成物(PC)の全重量をそれぞれ基準として、50~75重量%の範囲内の前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)及び25~50重量%の範囲内の前記の繊維長lを有する繊維(B)を含む場合が最も好ましい。
【0021】
そのため、本発明は、該ポリマー組成物(PC)が、該ポリマー組成物(PC)の全重量をそれぞれ基準として、30~90重量%の範囲内の成分(A)及び10~70重量%の範囲内の成分(B)を含むポリマー組成物(PC)も提供する。
【0022】
該ポリマー組成物(PC)は、さらに、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と、前記の繊維長lを有する繊維(B)とに加えて、少なくとも1種の添加剤(C)を含んでいてよい。
【0023】
本発明に関連して、「少なくとも1種の添加剤(C)」は、正確に1種の添加剤(C)、さもなければ2種以上の添加剤(C)の混合物のいずれかを意味するものと理解すべきである。前記の少なくとも1種の添加剤(C)は、好ましくは、安定剤、染料、顔料及び可塑剤からなる群から選択される。
【0024】
該ポリマー組成物(PC)は、該ポリマー組成物(PC)の全重量を基準として、例えば、0~1重量%の範囲内の前記の少なくとも1種の添加剤(C)を含んでいてよい。該ポリマー組成物(PC)が、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)、前記の繊維長lを有する繊維(B)及び前記の少なくとも1種の添加剤(C)の重量パーセントの合計を基準として、好ましくは該ポリマー組成物(PC)の全重量を基準としてそれぞれ、0.01~1重量%の範囲内、より好ましくは0.02~1重量%の範囲内、及び殊に好ましくは0.04~1重量%の範囲内の、前記の少なくとも1種の添加剤(C)を含む場合が好ましい。
【0025】
該ポリマー組成物(PC)が少なくとも1種の添加剤(C)を含む場合に、該ポリマー組成物(PC)中に存在する前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)の重量%値は、それに応じて減少するので、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)、前記の繊維長lを有する繊維(B)及び前記の少なくとも1種の添加剤(C)の重量%値の合計は100%になることが理解される。
【0026】
該ポリマー組成物(PC)が、少なくとも1種の添加剤(C)を含む場合には、該ポリマー組成物(PC)は、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)、前記の繊維長lを有する繊維(B)及び前記の少なくとも1種の添加剤(C)の重量パーセントの合計をそれぞれ基準として、好ましくは該ポリマー組成物(PC)の全重量をそれぞれ基準として、例えば、29~89.99重量%の範囲内の前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)、10~70重量%の範囲内の前記の繊維長lを有する繊維(B)及び0.01~1重量%の範囲内の前記の少なくとも1種の添加剤(C)を含む。
【0027】
そのため、本発明は、該ポリマー組成物(PC)が、該ポリマー組成物(PC)の全重量をそれぞれ基準として、29~89.99重量%の範囲内の成分(A)、10~70重量%の範囲内の成分(B)及び0.01~1重量%の範囲内の成分(C)を含むポリマー組成物(PC)も提供する。
【0028】
該ポリマー組成物(PC)は、さらに、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)及び前記の繊維長lを有する繊維(B)、及び任意に、前記の少なくとも1種の添加剤(C)に加えて、少なくとも1種の難燃剤(D)を含んでいてよい。
【0029】
本発明に関連して、「少なくとも1種の難燃剤(D)」は、正確に1種の難燃剤(D)、さもなければ2種以上の難燃剤(D)の混合物を意味するものと理解すべきである。
【0030】
該ポリマー組成物(PC)は、該ポリマー組成物(PC)の全重量を基準として、例えば、0~25重量%の範囲内の前記の少なくとも1種の難燃剤(D)を含んでいてよい。該ポリマー組成物(PC)が、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)、前記の繊維長lを有する繊維(B)、前記の少なくとも1種の難燃剤(D)、及び任意に、前記の少なくとも1種の添加剤(C)の重量パーセントの合計を基準としてそれぞれ、好ましくは該ポリマー組成物(PC)の全重量を基準としてそれぞれ、0.01~25重量%の範囲内、より好ましくは0.02~25重量%の範囲内、及び殊に好ましくは0.04~15重量%の範囲内の、前記の少なくとも1種の難燃剤(D)を含む場合が好ましい。
【0031】
該ポリマー組成物(PC)が、少なくとも1種の難燃剤(D)を含む場合に、該ポリマー組成物(PC)中に存在する前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)の重量%値は、それに応じて減少するので、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)、前記の繊維長lを有する繊維(B)、前記の少なくとも1種の難燃剤(D)、及び任意に、前記の少なくとも1種の添加剤(C)の重量%値の合計は100%になることが理解される。
【0032】
該ポリマー組成物(PC)は、さらに、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)及び前記の繊維長lを有する繊維(B)、及び任意に、前記の少なくとも1種の添加剤(C)及び前記の少なくとも1種の難燃剤(D)に加えて、少なくとも1種の耐衝撃性改良剤(E)を含んでいてよい。
【0033】
本発明に関連して、「少なくとも1種の耐衝撃性改良剤(E)」は、正確に1種の耐衝撃性改良剤(E)、さもなければ2種以上の耐衝撃性改良剤(E)の混合物のいずれかを意味するものと理解すべきである。
【0034】
該ポリマー組成物(PC)は、該ポリマー組成物(PC)の全重量を基準として、例えば、0~95重量%の範囲内の前記の少なくとも1種の耐衝撃性改良剤(E)を含んでいてよい。該ポリマー組成物(PC)が、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)、前記の繊維長lを有する繊維(B)、前記の少なくとも1種の耐衝撃性改良剤(E)、及び、任意に、前記の少なくとも1種の難燃剤(D)及び前記の少なくとも1種の添加剤(C)の重量パーセントの合計を基準としてそれぞれ、好ましくは該ポリマー組成物(PC)の全重量を基準としてそれぞれ、0~70重量%の範囲内、より好ましくは0~50重量%の範囲内の、前記の少なくとも1種の耐衝撃性改良剤(E)を含む場合が好ましい。
【0035】
該ポリマー組成物(PC)が、少なくとも1種の耐衝撃性改良剤(E)を含む場合には、該ポリマー組成物(PC)中に存在する前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)の重量%値は、それに応じて減少するので、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)、前記の繊維長lを有する繊維(B)、前記の少なくとも1種の耐衝撃性改良剤(E)、及び、任意に、前記の少なくとも1種の難燃剤(D)、及び前記の少なくとも1種の添加剤(C)の重量%値の合計は100%になることが理解される。
【0036】
熱可塑性ポリマー(成分(A))
該ポリマー組成物(PC)は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)を含む。
【0037】
好適な熱可塑性ポリマー(A)は、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン及びポリオキシメチレンからなる群から選択される。
【0038】
そのため、本発明は、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)が、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン及びポリオキシメチレンからなる群から選択される、ポリマー組成物(PC)も提供する。
【0039】
好適なポリアミド(A)は一般に、70~350ml/g、好ましくは70~240ml/gの粘度数を有する。該粘度数は、本発明によれば、ISO 307に従って25℃で96重量%硫酸中の該ポリアミド(A)の0.5重量%溶液から決定される。
【0040】
好ましいポリアミド(A)は、半結晶性ポリアミドである。好適なポリアミド(A)は、500~2000000g/molの範囲内、好ましくは5000~500000g/molの範囲内及び特に好ましくは10000~100000g/molの範囲内の重量平均分子量(MW)を有する。該重量平均分子量(Mw)は、ASTM D4001に従って決定される。
【0041】
好適なポリアミド(A)は、例えば、7~13の環員を有するラクタムに由来するポリアミド(A)を含む。好適なポリアミド(A)はさらに、ジカルボン酸とジアミンとの反応により得られるポリアミド(A)を含む。
【0042】
ラクタムに由来するポリアミド(A)の例は、ポリカプロラクタム、ポリカプリロラクタム及び/又はポリラウロラクタムに由来するポリアミドを含む。
【0043】
好適なポリアミド(A)はさらに、ω-アミノアルキルニトリルから得ることができるものを含む。好ましいω-アミノアルキルニトリルは、ポリアミド6を生じるアミノカプロニトリルである。さらに、ジニトリルは、ジアミンと反応されてよい。好ましいのは、ここでは、アジピン酸ジニトリル及びヘキサメチレンジアミンであり、これらは重合してポリアミド66を与える。前記のニトリルの重合は、水の存在下で行われ、かつ直接重合としても公知である。
【0044】
ジカルボン酸及びジアミンから得ることができるポリアミド(A)が使用される場合には、炭素原子4~36個、好ましくは炭素原子6~12個及び特に好ましくは炭素原子6~10個を有するジカルボン酸アルカン(脂肪族ジカルボン酸)が使用されてよい。芳香族ジカルボン酸も好適である。
【0045】
ジカルボン酸の例は、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸並びにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸を含む。
【0046】
好適なジアミンは、例えば、炭素原子4~36個を有するアルカンジアミン、好ましくは炭素原子6~12個を有するアルカンジアミン、特に炭素原子6~8個を有するアルカンジアミン、及び芳香族ジアミン、例えば、m-キシリレンジアミン、ジ(4-アミノフェニル)メタン、ジ(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ジ(4-アミノシクロヘキシル)プロパン及び1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンを含む。
【0047】
好ましいポリアミド(A)は、ポリヘキサメチレンアジポアミド、ポリヘキサメチレンセバカミド及びポリカプロラクタム並びに特に5~95重量%のカプロラクタム単位の割合を有する、コポリアミド6/66である。
【0048】
好適であるのは、上記及び下記に挙げられるモノマーのうち2種以上の共重合により得ることができるポリアミド(A)又は任意の所望の混合比での複数のポリアミド(A)の混合物でもある。特に好ましい混合物は、ポリアミド66と、他のポリアミド(A)、特にコポリアミド6/66との混合物である。
【0049】
好適なポリアミド(A)は、それに応じて、脂肪族、半芳香族又は芳香族ポリアミド(A)である。用語「脂肪族ポリアミド」は、該ポリアミド(A)が、もっぱら脂肪族モノマーから構成されることを意味するものと理解すべきである。用語「半芳香族ポリアミド」は、該ポリアミド(A)が、脂肪族及び芳香族モノマーの双方から構成されることを意味するものと理解すべきである。用語「芳香族ポリアミド」は、該ポリアミド(A)が、もっぱら芳香族モノマーから構成されることを意味するものと理解すべきである。
【0050】
以下の完全ではないリストは、上記のポリアミド(A)、及び本発明による方法における使用に好適なさらなるポリアミド(A)及び存在するモノマーを含む。
【0051】
ABポリマー:
PA 4 ピロリドン
PA 6 ε-カプロラクタム
PA 7 エナントラクタム
PA 8 カプリロラクタム
PA 9 9-アミノペラルゴン酸
PA 11 11-アミノウンデカン酸
PA 12 ラウロラクタム。
【0052】
AA/BBポリマー:
PA 46 テトラメチレンジアミン、アジピン酸
PA 66 ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸
PA 69 ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸
PA 610 ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸
PA 612 ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸
PA 613 ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸
PA 1010 デカン-1,12-ジアミン、セバシン酸
PA 1212 ドデカン-1,12-ジアミン、デカンジカルボン酸
PA 1313 トリデカン-1,13-ジアミン、ウンデカンジカルボン酸
PA 4T テトラメチレンジアミン、テレフタル酸
PA 6T ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA 9T ノニルジアミン、テレフタル酸
PA MXD6 m-キシリレンジアミン、アジピン酸。
【0053】
PA 6I ヘキサメチレンジアミン、イソフタル酸
PA 6-3-T トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA 6/6T (PA 6及びPA 6T参照)
PA 6T/66 (PA 6T及びPA 66参照)
PA 6/66 (PA 6及びPA 66参照)
PA 66/6 (PA 66及びPA 6参照)
PA 6/12 (PA 6及びPA 12参照)
PA 66/6/610 (PA 66、PA 6及びPA 610参照)
PA 6I/6T (PA 6I及びPA 6T参照)
PA 6T/6I (PA 6T及びPA6I参照)
PA 6T/6I/66 (PA 6T、PA6I及びPA 66参照)
PA PACM 12 ジアミノジシクロヘキシルメタン、ラウロラクタム
PA 6I/6T/PACM PA 6I/6Tのとおり及びジアミノジシクロヘキシルメタン
PA 12/MACMI ラウロラクタム、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、イソフタル酸
PA 12/MACMT ラウロラクタム、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、テレフタル酸
PA PDA-T フェニレンジアミン、テレフタル酸。
【0054】
好ましい実施態様において、前記の少なくとも1種のポリアミド(A)は、ポリアミド6(PA 6)、ポリアミド66(PA 66)、ポリアミド6/66(PA 6/66)、ポリアミド66/6(PA 66/6)、ポリアミド610(PA 610)、ポリアミド6/6T(PA 6/6T)、ポリアミド6T/6I(PA 6T/6I)、ポリアミド12(PA 12)、ポリアミド4T(PA 4T)、ポリアミド9T(PA 9T)、ポリアミド46(PA 46)、ポリアミド1010(PA 1010)及びポリアミド1212(PA 1212)からなる群から選択される。
【0055】
そのため、本発明は、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)が、ポリアミド6(PA 6)、ポリアミド66(PA 66)、ポリアミド6/66(PA 6/66)、ポリアミド66/6(PA 66/6)、ポリアミド610(PA 610)、ポリアミド6/6T(PA 6/6T)、ポリアミド6T/6I(PA 6T/6I)、ポリアミド12(PA 12)、ポリアミド4T(PA 4T)、ポリアミド9T(PA 9T)、ポリアミド46(PA 46)、ポリアミド1010(PA 1010)及びポリアミド1212(PA 1212)からなる群から選択されるポリアミドである、ポリマー組成物(PC)も提供する。
【0056】
好適なポリエステルは、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びポリエチレンテレフタレート(PET)である。好適なポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)及びそれらのコポリマーである。好適なポリウレタンは、例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。好適なポリエーテルは、例えば、プロピレンオキシド(PPO)である。好適なポリスルホンは、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSU)及びポリフェニレンスルホン(PPSU)である。
【0057】
繊維長lを有する繊維(成分(B))
該ポリマー組成物(PC)は、繊維長lを有する繊維(B)を含む。該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する。
【0058】
該繊維(B)の全重量を基準として、好ましくは、該繊維(B)の多くとも5重量%、より好ましくは、該繊維(B)の多くとも4重量%は、100μm未満の繊維長lを有する。
【0059】
そのため、本発明は、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも5重量%が、100μm未満の繊維長lを有する、ポリマー組成物(PC)も提供する。
【0060】
さらに、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の少なくとも1重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の少なくとも1重量%は、200μm未満の繊維長lを有する。
【0061】
好ましい実施態様において、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の1~10重量%、好ましくは1~5重量%、より好ましくは1~4重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の1~12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する。
【0062】
そのため、本発明は、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の1~10重量%、好ましくは1~5重量%が、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の1~12重量%が、200μm未満の繊維長lを有する、ポリマー組成物(PC)も提供する。
【0063】
好ましい実施態様において、該繊維(B)は、単峰性の繊維長分布を有する。
【0064】
本発明に関連して、用語「単峰性の繊維長分布」は、本発明による該繊維(B)内の繊維長分布が、1個のみの極大値を、好ましくは定義された分散で、有することを意味する。
【0065】
しかしながら、該繊維長分布が、より高い峰性を有する、例えば、該繊維(B)内の繊維長分布が、それぞれ2、3又は4個の極大値を有することを意味する、該繊維長分布が、二峰性、三峰性又は四峰性であってよいことも可能である。
【0066】
別に示されない限り、本発明によれば、該繊維長及び該極大値は、それぞれ、Epson perfection V850 Proフラットベッドスキャナにより決定/測定され、ここで、該繊維は、水とグリセリン1~2滴との混合物中に分散され、かつペトリ皿に移され、これが該スキャナの表面上に配置される。
【0067】
好ましい実施態様において、該繊維(B)は、極大値(M)を有する単峰性の繊維長分布を有し、ここで、該極大値(M)は、200~600μmの範囲内、好ましくは350~600μmの範囲内の値(V)である。
【0068】
該繊維(B)が、極大値(M)を有する単峰性の繊維長分布を有し、ここで、該極大値(M)は、200~600μmの範囲内、好ましくは350~600μmの範囲内の値(V)であり、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の少なくとも35重量%、好ましくは少なくとも40重量%は、この値(V)の繊維長lを±0.1×lの標準偏差で有することがさらに好ましい。
【0069】
そのため、本発明は、該繊維(B)が、極大値(M)を有する単峰性の繊維長分布を有し、ここで、該極大値(M)は、200~600μmの範囲内の値(V)であり、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の少なくとも35重量%は、この値(V)の繊維長lを±0.1×lの標準偏差で有する、ポリマー組成物(PC)も提供する。
【0070】
該繊維(B)が、極大値(M)を有する単峰性の繊維長分布を有し、ここで、該極大値(M)は、200~600μmの範囲内、好ましくは350~600μmの範囲内の値(V)であり、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも65重量%は、この値(V)の繊維長lを±0.25×lの標準偏差で有することがさらに好ましい。
【0071】
そのため、本発明は、該繊維(B)が、極大値(M)を有する単峰性の繊維長分布を有し、ここで、該極大値(M)は、200~600μmの範囲内の値(V)であり、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の少なくとも50重量%は、この値(V)の繊維長lを±0.25×lの標準偏差で有する、ポリマー組成物(PC)も提供する。
【0072】
本発明に関連して、用語「極大値(M)」は、測定された繊維長分布において最も頻繁に現れる繊維長を意味する。
【0073】
本発明に関連して、用語「標準偏差」は、該極大値(M)周辺の該繊維長の値のばらつきの尺度を意味する。該標準偏差は、Epson perfection V850 Proフラットベッドスキャナにより決定/測定され、該繊維が、水とグリセリン1~2滴との混合物中に分散され、かつペトリ皿に移され、これが該スキャナの表面上に配置される。
【0074】
該繊維(B)は、好ましくは、ガラス繊維、バサルト繊維、炭素繊維、金属繊維及びプラスチック繊維からなる群から、より好ましくはガラス繊維から選択され、最も好ましくはEガラス繊維、Sガラス繊維、Rガラス繊維、Mガラス繊維、Cガラス繊維、ECRガラス繊維、Dガラス繊維、ARガラス繊維及びQガラス繊維からなる群から選択される。
【0075】
それに応じて、本発明は、該繊維(B)が、ガラス繊維、バサルト繊維、炭素繊維、金属繊維及びプラスチック繊維からなる群から、好ましくはガラス繊維から選択され、より好ましくはEガラス繊維、Sガラス繊維、Rガラス繊維、Mガラス繊維、Cガラス繊維、ECRガラス繊維、Dガラス繊維、ARガラス繊維及びQガラス繊維からなる群から選択される、ポリマー組成物(PC)も提供する。
【0076】
該繊維(B)は、ホローファイバー及びフラットファイバーであってよい。
【0077】
それに応じて、本発明は、該繊維(B)が、ホローファイバー及びフラットファイバーからなる群から選択される、ポリマー組成物(PC)も提供する。
【0078】
該繊維(B)がガラス繊維である場合には、該ガラス繊維は、5~30μmの範囲内の直径を有する。
【0079】
それに応じて、本発明は、該ガラス繊維が5~30μmの範囲内の直径を有する、ポリマー組成物(PC)も提供する。
【0080】
該ポリマー組成物(PC)は、成分(A)及び成分(B)の重量パーセントの合計をそれぞれ基準として、好ましくは該ポリマー組成物(PC)の全重量をそれぞれ基準として、例えば、10~70重量%の範囲内、好ましくは20~60重量%の範囲内、最も好ましくは25~50重量%の範囲内の該繊維(B)を含む。
【0081】
添加剤(成分(C))
一実施態様において、該ポリマー組成物(PC)は、少なくとも1種の添加剤(C)も含む。前記の少なくとも1種の添加剤(C)は、好ましくは、安定剤、染料、顔料及び可塑剤からなる群から選択される。
【0082】
そのため、本発明は、該ポリマー組成物(PC)がさらに、安定剤、染料、顔料及び可塑剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤(C)を含む、ポリマー組成物(PC)も提供する。
【0083】
好適な安定剤は、例えば、フェノール、タルク、アルカリ土類金属ケイ酸塩、立体障害フェノール、ホスフィット及びアルカリ土類金属グリセロリン酸塩である。
【0084】
好適な染料及び顔料は、例えば、遷移金属酸化物又はニグロシンである。
【0085】
好適な可塑剤は、例えば、ジオクチルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、炭化水素油、N-(n-ブチル)-ベンゼンスルホンアミド及びオルト-及びパラ-トリルエチルスルホンアミドである。
【0086】
該ポリマー組成物(PC)が少なくとも1種の添加剤(C)を含む場合には、該ポリマー組成物(PC)は、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)、前記の繊維長lを有する繊維(B)及び前記の少なくとも1種の添加剤(C)の重量パーセントの合計をそれぞれ基準として、好ましくは該ポリマー組成物(PC)の全重量をそれぞれ基準として、例えば、0.01~1重量%の範囲内、好ましくは0.02~1重量%の範囲内、最も好ましくは0.04~1重量%の範囲内の、前記の少なくとも1種の添加剤(C)を含む。
【0087】
難燃剤(成分(D))
一実施態様において、該ポリマー組成物(PC)は、少なくとも1種の難燃剤(D)も含む。
【0088】
好適な難燃剤は、例えば、メラミンシアヌレート、アルミニウム誘導体、マグネシウム誘導体及びハロゲン化物である。
【0089】
該ポリマー組成物(PC)が少なくとも1種の難燃剤(D)を含む場合には、該ポリマー組成物(PC)は、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)、前記の繊維長lを有する繊維(B)、前記の少なくとも1種の難燃剤(D)及び任意に、前記の少なくとも1種の添加剤(C)の重量パーセントの合計をそれぞれ基準として、好ましくは該ポリマー組成物(PC)の全重量をそれぞれ基準として、例えば、0.01~25重量%の範囲内、好ましくは0.02~25重量%の範囲内、最も好ましくは0.04~15重量%の範囲内の、前記の少なくとも1種の難燃剤(D)を含む。
【0090】
耐衝撃性改良剤(成分(E))
一実施態様において、該ポリマー組成物(PC)は、少なくとも1種の耐衝撃性改良剤(E)も含む。
【0091】
好適な耐衝撃性改良剤は、例えば、エチレン-プロピレン(EPM)又はエチレン-プロピレン-ジエン(EPDM)ゴム又は熱可塑性ウレタン並びにイオノマー又はスチレン系ゴムをベースとするポリマーである。
【0092】
該ポリマー組成物(PC)が、少なくとも1種の耐衝撃性改良剤(E)を含む場合には、該ポリマー組成物(PC)は、該ポリマー組成物(PC)の全重量を基準として、例えば、0~95重量%の範囲内の前記の少なくとも1種の耐衝撃性改良剤(E)を含んでいてよい。該ポリマー組成物(PC)が、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)、前記の繊維長lを有する繊維(B)、前記の少なくとも1種の耐衝撃性改良剤(E)、及び、任意に、前記の少なくとも1種の難燃剤(D)及び前記の少なくとも1種の添加剤(C)の重量パーセントの合計を基準としてそれぞれ、好ましくは該ポリマー組成物(PC)の全重量を基準としてそれぞれ、0~70重量%の範囲内、より好ましくは0~50重量%の範囲内の前記の少なくとも1種の耐衝撃性改良剤(E)を含む場合が好ましい。
【0093】
該ポリマー組成物(PC)を製造する方法
本発明のさらなる対象は、以下の工程a)及びb)
a)200~600μmの範囲内の定義された繊維長l1を有する繊維(B’)を用意する工程、及び
b)該繊維(B’)を少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と押出機中で配合する工程を含み、ここで、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と前記の繊維長lを有する繊維(B)とを含むポリマー組成物(PC)が得られ、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する、本発明のポリマー組成物(PC)を製造する方法である。
【0094】
工程a)
工程a)において、200~600μmの範囲内、好ましくは350~600μmの範囲内の定義された繊維長l1を有する繊維(B’)が用意される。
【0095】
本発明に関連して、用語「定義された繊維長l1」は、前記の用意された繊維(B’)が主として、長さ分布ではなく、具体的な長さ値を有することを意味し、これは、該繊維(B’)の少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、及び最も好ましくは少なくとも99重量%が、200~600μmの範囲内の具体的な長さ値を有することを意味する。例えば、該繊維(B’)の少なくとも90重量%は、350μmの繊維長を有する。
【0096】
該繊維(B’)は、好ましくは、ガラス繊維、バサルト繊維、炭素繊維、金属繊維及びプラスチック繊維からなる群から、より好ましくはガラス繊維から選択され、最も好ましくはEガラス繊維、Sガラス繊維、Rガラス繊維、Mガラス繊維、Cガラス繊維、ECRガラス繊維、Dガラス繊維、ARガラス繊維及びQガラス繊維からなる群から選択される。該繊維(B)は、ホローファイバー及びフラットファイバーであってよい。
【0097】
該繊維(B’)は、当業者に公知の任意の方法により用意することができる。
【0098】
好ましい実施態様において、該繊維(B’)は、繊維ロービング(R)を繊維(B’)へ切断することにより用意される。好ましくは、該繊維ロービング(R)は、切断機により切断される。好適な切断機の例は、Pierret Industries社、ベルギーにより製造されたギロチン切断機P26である。
【0099】
そのため、本発明は、該繊維(B’)が、繊維ロービング(R)を繊維(B’)へ切断することにより用意される方法も提供する。
【0100】
それにより、当業者に公知の任意の繊維ロービング(R)を使用することが可能である。しかしながら、好ましい実施態様において、該繊維ロービング(R)は、繊維ガラスロービングである。
【0101】
該繊維(B’)は、他の機械的粉砕方法により用意することもできる。例えば、該繊維(B’)は、ミル粉砕及びその後の長さ画分分離により用意することができる。該繊維(B’)をチョッピングにより用意することもできる。さらに可能な方法は、ギロチン切断、エッジツーエッジ切断及びはさみ切断である。
【0102】
しかしながら、該繊維(B’)を非機械的方法により用意することもできる。そのうえ、前処理された繊維ロービングが、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と押出機中で直接配合されること、及び配合中に、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と前記の繊維長lを有する繊維(B)とを含むポリマー組成物(PC)が得られることも可能である。
【0103】
工程b)
工程b)において、該繊維(B’)は、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と押出機中で配合され、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と前記の繊維長lを有する繊維(B)とを含むポリマー組成物(PC)が得られ、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する。
【0104】
配合する方法は、当業者に公知である。
【0105】
該ポリマー組成物(PC)を得るために、該成分(A)、(B)、及び任意に(C)の配合中の該押出機の温度は、任意の温度であってよく、かつ通常、200~350℃の範囲内、好ましくは220~330℃の範囲内及び特に好ましくは240~310℃の範囲内である。
【0106】
該押出機のバレル温度は、該押出機中の該成分の温度よりも高くてよく、かつ該押出機のバレル温度が、該押出機中の該成分の温度よりも低いことも同じく可能である。例として、該押出機中の該成分が加熱されつつある場合には、該押出機のバレル温度が最初に、該成分の温度よりも高いことが可能である。該押出機中の該成分が冷却されつつある場合には、該押出機のバレル温度が、該押出機中の該成分の温度よりも低いことが可能である。
【0107】
本発明において示され、かつ該押出機に関連する温度は、該押出機のバレル温度であることを意味する。「該押出機のバレル温度」は、該押出機のバレルの温度を意味する。該押出機のバレル温度は、それに応じて、該押出機バレルの外壁の温度である。押出機として、該配合中に該温度及び圧力で使用することができる、当業者に公知の任意の押出機が好適である。一般に、該押出機は、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)、該繊維(B’)、及び、任意に、前記の少なくとも1種の添加剤(C)及び/又は前記の少なくとも1種の難燃剤(D)が配合される温度に少なくとも加熱することができる。例えば、一軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機又は多軸スクリュー押出機が使用される。本発明による方法において、好ましくは二軸スクリュー押出機又は多軸スクリュー押出機が使用される。二軸スクリュー押出機は、双軸スクリュー押出機としても公知である。該二軸スクリュー押出機は、同方向回転又は反対方向回転であってよい。押出機は、当業者に公知であり、かつ例えばC. Rauwendaal: Polymer extrusion,Carl Hanser Verlag GmbH & Co. KG,第5版(2014年1月16日)に記載されている。
【0108】
該押出機はさらに、装置、例えば混合エレメント又は混練エレメントを含んでいてもよい。混合エレメントは、該押出機中に含まれる前記の個々の成分の混合に有用である。好適な混合エレメントは、当業者に公知であり、かつ、例として、静的混合エレメント又は動的混合エレメントである。混練エレメントは同様に、該押出機中に含まれる前記の個々の成分の混合に有用である。好適な混練エレメントは、当業者に公知であり、かつ、例として、混練スクリュー又は混練ブロック、例えばディスク混練ブロック又はショルダー混練ブロックである。該成分(A)、(B)、及び任意に(C)は、該押出機に連続して又は同時に添加することができ、かつ該押出機中で混合及び配合されて、該ポリマー組成物(PC)が得られる。
【0109】
得られたポリマー組成物(PC)は、成形品の製造に使用することができ、ここで、該ポリマー組成物(PC)が成形される。
【0110】
それに応じて、本発明のさらなる対象は、該ポリマー組成物(PC)を成形することによる成形品を製造する方法である。本発明の別の対象は、該ポリマー組成物(PC)を含む成形品である。
【0111】
得られたポリマー組成物(PC)中に含まれる該繊維(B)は、前記ポリマー組成物(PC)から製造された成形品の靱性及び/又は補強性を高める。
【0112】
そのため、本発明のさらなる対象は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)を含むポリマー組成物(PC)における、繊維長lを有する繊維(B)の、前記ポリマー組成物(PC)から製造された成形品の靱性及び/又は補強性を高めるための使用であり、ここで、該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ該繊維(B)の全重量を基準として、該繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する。
【0113】
本発明は、以下に実施例により詳細に説明されるが、本発明を実施例に限定するものではない。
【実施例】
【0114】
以下の成分を使用した:
熱可塑性ポリマー(A):
(A1)ポリアミド6(PA 6)(Ultramid(登録商標)B27E;BASF SE)
繊維(B):
(B’1)ガラス繊維400μm(ガラス繊維ロービング(TufRov 4510、12μm、1200tex、Nippon Electric Glass)、長さ400μmに切断)
(B’2)ガラス繊維450μm(ガラス繊維ロービング(TufRov 4510、12μm、1200tex、Nippon Electric Glass)、長さ450μmに切断)
(B’3)短ガラス繊維(T249H、12μm、4.5mm長さ、Nippon Electric Glass)
添加剤(C):
(C1)Irganox B1171(BASF SE)
(C2)Licowax C(Clariant SE)。
【0115】
第1表は、使用された熱可塑性ポリマー(成分(A))の本質的なパラメーターを記載する。
【0116】
【0117】
繊維長分布の測定:
該繊維長分布を測定する前に、試料を650℃で1~2時間灰化した。
【0118】
該繊維長分布を、以下の方法に従って決定した:
繊維破損及びフリット摩耗を回避するために、該繊維をへらの先で慎重に取り出し、かつガラスびんに移した。グリセリン1~2滴を添加し(脱湿潤剤として)、該ガラスびんを脱イオン水で約100mLまで充填し、十分に振り混ぜた。その間に、該繊維の均質分布を目視で調べた。この混合物を、該スキャナ支持体中のペトリ皿中へ素早く移したので、該ペトリ皿の底部は十分な液体で覆われる(ほぼ半分)。該ペトリ皿を、再充填することなく充填した、それというのも、主に小さな繊維が再充填中に移され、その際に該繊維分布が変化するからである。写真を撮る前に、全ての繊維が実際に沈降するまで1分間待った。該繊維分布及び量を目視で確かめた。
【0119】
定義された繊維長lを有する繊維の製造:
上記に明記されたガラス繊維ロービングを、Pierret Industries(ベルギー)のギロチン切断機P26を用いて、定義された繊維長lを有する繊維に切断した。
【0120】
第2表は、製造された試料を記載する:
第2表
【表2】
【0121】
該ポリマー組成物(PC)の製造
第3表に示されたポリアミド(成分(A))及びガラス繊維(成分(B’))の量を、ZSK25二軸スクリュー押出機(構成S1)を用いて、150rpmで270℃のバレル温度及び6kg/hの処理量で配合し、ついでペレット化した。
【0122】
【0123】
第4表に示されたポリアミド(成分(A))及びガラス繊維(成分(B’))の量を、ZE25二軸スクリュー押出機(構成G84)を用いて、270rpmで270℃のバレル温度及び10kg/hの処理量で配合し、ついでペレット化した。
【0124】
【0125】
該試料の繊維長分布を、ついで記載されたように測定した。結果は第5表に示される。
【0126】
【手続補正書】
【提出日】2023-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)及び(B)
(A)少なくとも1種の熱可塑性ポリマーと、
(B)繊維長lを有する繊維と
を含む、ポリマー組成物(PC)であって、
前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有
し、
前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の1~10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の1~12重量%は、200μm未満の繊維長lを有し、
前記ポリマー組成物(PC)が、前記ポリマー組成物(PC)の全重量をそれぞれ基準として、50~75重量%の範囲内の成分(A)及び25~50重量%の範囲内の成分(B)を含み、かつ
前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)が、ポリアミド6(PA 6)、ポリアミド66(PA 66)、ポリアミド6/66(PA 6/66)、ポリアミド66/6(PA 66/6)、ポリアミド610(PA 610)、ポリアミド6/6T(PA 6/6T)、ポリアミド6T/6I(PA 6T/6I)、ポリアミド12(PA 12)、ポリアミド4T(PA 4T)、ポリアミド9T(PA 9T)、ポリアミド46(PA 46)、ポリアミド1010(PA 1010)及びポリアミド1212(PA 1212)からなる群から選択されるポリアミドである、前記ポリマー組成物(PC)。
【請求項2】
前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の多くとも5重量%は、100μm未満の繊維長lを有する、請求項1に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項3】
前記繊維(B)が、極大値(M)を有する単峰性の繊維長分布を有し、ここで、前記極大値(M)は、200~600μmの範囲内の値(V)であり、前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の少なくとも35重量%が、この値(V)の繊維長lを±0.1×lの標準偏差で有する、請求項1又は2に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項4】
前記繊維(B)が、極大値(M)を有する単峰性の繊維長分布を有し、ここで、前記極大値(M)は、200~600μmの範囲内の値(V)であり、前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の少なくとも50重量%は、この値(V)の繊維長lを±0.25×lの標準偏差で有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項5】
前記繊維(B)が、
i)ガラス繊維、バサルト繊維、炭素繊維、金属繊維及びプラスチック繊維からなる群から、好ましくはガラス繊維から選択され、より好ましくはE-ガラス繊維、S-ガラス繊維、R-ガラス繊維、M-ガラス繊維、C-ガラス繊維、ECR-ガラス繊維、D-ガラス繊維、AR-ガラス繊維及びQ-ガラス繊維からなる群から選択され、及び/又は
ii)ホローファイバー及びフラットファイバーからなる群から選択される、請求項1から4までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項6】
前記ガラス繊維が、5~30μmの範囲内の直径を有する、請求項5に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項7】
前記ポリマー組成物(PC)がさらに、安定剤、染料、顔料及び可塑剤からなる群から選択される、少なくとも1種の添加剤(C)を含む、請求項1から
6までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項8】
前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)
の1~5重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の1~12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する、請求項1に記載のポリマー組成物(PC)。
【請求項9】
請求項1から
8までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)を製造する方法であって、以下の工程a)及びb)
a)200~600μmの範囲内の定義された繊維長l1を有する繊維(B’)を用意する工程、及び
b)前記繊維(B’)を少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と押出機中で配合する工程を含み、ここで、前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)と前記の繊維長lを有する繊維(B)とを含む前記ポリマー組成物(PC)が得られ、前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有
し、
前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の1~10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の1~12重量%は、200μm未満の繊維長lを有する、
前記方法。
【請求項10】
前記繊維(B’)が、繊維ロービング(R)を繊維(B’)へ切断することにより用意される、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1から
8までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)を成形することによる、成形品を製造する方法。
【請求項12】
請求項1から
8までのいずれか1項に記載のポリマー組成物(PC)を含む、成形品。
【請求項13】
少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)を含むポリマー組成物(PC)における、繊維長lを有する繊維(B)の、前記ポリマー組成物(PC)から製造された成形品の靱性及び/又は補強性を高めるための使用であって、前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の多くとも10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の多くとも12重量%は、200μm未満の繊維長lを有
し、
前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の1~10重量%は、100μm未満の繊維長lを有し、かつ前記繊維(B)の全重量を基準として、前記繊維(B)の1~12重量%は、200μm未満の繊維長lを有し、
前記ポリマー組成物(PC)が、前記ポリマー組成物(PC)の全重量をそれぞれ基準として、50~75重量%の範囲内の成分(A)及び25~50重量%の範囲内の成分(B)を含み、かつ
前記の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(A)が、ポリアミド6(PA 6)、ポリアミド66(PA 66)、ポリアミド6/66(PA 6/66)、ポリアミド66/6(PA 66/6)、ポリアミド610(PA 610)、ポリアミド6/6T(PA 6/6T)、ポリアミド6T/6I(PA 6T/6I)、ポリアミド12(PA 12)、ポリアミド4T(PA 4T)、ポリアミド9T(PA 9T)、ポリアミド46(PA 46)、ポリアミド1010(PA 1010)及びポリアミド1212(PA 1212)からなる群から選択されるポリアミドである、前記使用。
【国際調査報告】