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特表2024-522772マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/74 20120101AFI20240614BHJP
【FI】
G03F1/74
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577726
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2022066347
(87)【国際公開番号】W WO2022263534
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】102021115736.6
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】レンシング クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ブレンデル ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ブダッハ ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ロイス マルティン ギュンター
【テーマコード(参考)】
2H195
【Fターム(参考)】
2H195BD32
2H195BD33
2H195BD34
2H195BD35
2H195BD36
(57)【要約】
マイクロリソグラフィフォトマスク(100)の欠陥(D、D’)の粒子ビーム誘起処理のための方法であって、a)フォトマスク(100)の少なくとも一部分の像(300)を提供するステップ(S1)と、b)像(300)における欠陥(D、D’)の幾何学的形状を、修復形状(302、302’)として決定するステップ(S2)であって、修復形状(302、302’)は、n個のピクセル(304)を含む、ステップと、c)コンピュータにより実施される形式で、修復形状(302、302’)をk個の部分修復形状(306)に細分化するステップ(S3)であって、k個の部分修復形状(306)のうちの第iのものはm個のピクセル(304)を有し、これらは、修復形状(302、302’)のn個のピクセル(304)のサブセットである、ステップと、d)部分修復形状(306)のうちの第1のものを処理する目的で、部分修復形状(306)のうちの第1のもののm個のピクセル(304)の各々において活性化粒子ビーム(202)およびプロセスガスを提供するステップ(S4)と、e)j個の繰返し周期にわたって部分修復形状(306)のうちの第1のものについてステップd)を繰り返すステップ(S5)と、f)各更なる部分修復形状(306)についてステップd)およびe)を繰り返すステップ(S6)と、を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリソグラフィフォトマスク(100)の欠陥(D、D’)の粒子ビーム誘起処理のための方法であって、
a)前記フォトマスク(100)の少なくとも一部分の像(300)を提供するステップ(S1)と、
b)像(300)における欠陥(D、D’)の幾何学的形状を、修復形状(302、302’)として決定するステップ(S2)であって、前記修復形状(302、302’)は、n個のピクセル(304)を含む、ステップと、
c)コンピュータにより実施される形式で、前記修復形状(302、302’)をk個の部分修復形状(306)に細分化するステップ(S3)であって、前記k個の部分修復形状(306)のうちの第iのものはmi個のピクセル(304)を有し、これらは、前記修復形状(302、302’)の前記n個のピクセル(304)のサブセットである、ステップと、
d)前記部分修復形状(306)のうちの第1のものを処理する目的で、前記部分修復形状(306)のうちの前記第1のものの前記mi個のピクセル(304)の各々において活性化粒子ビーム(202)およびプロセスガスを提供するステップ(S4)と、
e)j個の繰返し周期にわたって前記部分修復形状(306)のうちの前記第1のものについてステップd)を繰り返すステップ(S5)と、
f)各更なる部分修復形状(306)についてステップd)およびe)を繰り返すステップ(S6)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記活性化粒子ビーム(202)および前記プロセスガスは、ステップd)における前記部分修復形状(306)のうちの前記第1のものの前記mi個のピクセル(304)の各々においてのみ提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記修復形状(302、302’)は、ステップc)において、閾値(W)に基づいて前記k個の部分修復形状(306)に細分化される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記閾値(W)は、経験的に決定される値であり、ステップa)の前に決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子ビーム誘起処理は、前記欠陥(D、D’)のエッチングまたは前記欠陥(D、D’)上の材料の堆積を含み、前記閾値(W)は、修復形状(302、302’)のピクセル(304)の数nに基づいて、エッチング速度(R)または堆積速度の経験的値から決定される、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記閾値(W)は、前記修復形状(302、302’)のピクセル(304)の数n、前記ピクセル(304)のサイズ(a)、前記粒子ビーム(202)の入射エリア(308)、それぞれのピクセル(304)における前記活性化粒子ビーム(202)の滞留時間、前記プロセスガスが提供されるガス量流量、前記プロセスガスの組成、および前記プロセスガスの様々なガス成分のガス量流量比を含むグループから選択されたパラメータに基づいて決定される、経験的に決定される値である、請求項3~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記修復形状(302、302’)は、ボロノイ手法の支援により前記複数の部分修復形状(306)に細分化される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記部分修復形状(306)は、ステップc)においてボロノイ中心(310)から開始するボロノイ領域として決定され、各部分修復形状(306)は、前記関連付けられたボロノイ中心(310)に対応する前記修復形状(302、302’)の前記ピクセル(304)と、前記修復形状(302、302’)の任意の他のボロノイ中心(310)よりも前記関連付けられたボロノイ中心(310)の近くに配置された前記修復形状(302、302’)の全てのピクセル(304)とを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記修復形状(402)は、それぞれの部分修復形状(406)のm’’i個のピクセル(410、412)が走査方向(X)において互いに同じ距離を有するように前記複数の部分修復形状(406)に細分化される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記修復形状(502)は、少なくとも2つの離間された領域(504)を含み、前記修復形状(502)は、各部分修復形状(506)が前記少なくとも2つの離間された領域(504)のうちの最大で1つを含むように前記複数の部分修復形状(506)に細分化される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、ステップd)の前に、以下のステップ、すなわち、前記活性化粒子ビーム(202)により活性化された化学反応による前記プロセスガスの消耗が前記部分修復形状(306)にわたって一様に実施されるように、前記活性化粒子ビーム(202)が前記部分修復形状(306)のうちの前記第1のものの前記mi個のピクセル(304)において連続的に提供される順序を計算するステップを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記更なる部分修復形状(306)についてステップf)においてステップd)およびe)が実行される順序は、行ごとおよび/もしくは列ごとの順序と異なり、ならびに/またはランダムに分散される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記修復形状(302、302’)は、ステップc)において、h個の相互に異なる細分化(312、316)において、部分修復形状(306、306’)に細分化され、ステップd)~f)が前記h個の細分化(312、316)の各々について実行される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ステップd)~f)は、h個の細分化(312、316)の各々について、gがj未満である、g個の繰返し周期にわたって、および/またはj/h個の繰返し周期にわたって実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記h個の細分化(312、316)は、前記修復形状(302、302’)に対する部分修復形状(306)の境界(318)の変位、特に横方向の変位により互いに異なる、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
ステップd)~f)はp個の繰返し周期にわたって繰り返され、ここで、pは2以上の整数である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
マイクロリソグラフィフォトマスク(100)の欠陥(D、D’)の粒子ビーム誘起処理のための装置(200)であって、
フォトマスク(100)の少なくとも一部分の像(300)を提供するための手段(210)と、
像(300)内の欠陥(D’D)の幾何学的形状を、修復形状(302、302’)として決定するためのコンピューティング装置(226)であって、前記修復形状(302、302’)はn個のピクセル(304)を含み、前記修復形状(302、302’)をコンピュータにより実施される形式で複数の部分修復形状(306)に細分化するように構成される、コンピューティング装置と、
それぞれの部分修復形状(306)を処理するためのj個の繰返し周期にわたって、全ての部分修復形状(306)の各ピクセル(304)において活性化粒子ビームおよびプロセスガスを提供するための手段(210、220)と、
を備える、装置。
【請求項18】
マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための装置(200)を制御するために、コンピューティング装置(226)によって実行されるとき、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法ステップを実行するように前記装置(200)にプロンプトする命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項19】
マイクロリソグラフィフォトマスク(100)の欠陥(D、D’)の粒子ビーム誘起処理中に閾値(W)に基づいて修復形状(302、302’)をk個の部分修復形状(306)に細分化するための閾値(W)を決定するための方法であって、
i)所定の処理パラメータを用いて、フォトマスク(100)の第1の試験欠陥(606)の粒子ビーム誘起処理を行うステップ(S1’)であって、前記第1の試験欠陥(606)は、第1のサイズ(G3)を有する、ステップと、
ii)前記第1の試験欠陥(606)の前記処理の品質を決定するステップ(S2’)と、
iii)処理パラメータが決定されるまで変更された処理パラメータについてステップi)およびii)を繰り返すステップ(S3’)であって、前記決定された品質は、所定の品質以上である、ステップと、
iv)前記決定された処理パラメータを用いて、前記フォトマスク(100)の更なる試験欠陥(602、604、608、610)の粒子ビーム誘起処理を行うステップ(S4’)であって、前記更なる試験欠陥(602、604、608、610)は各々、前記他の更なる試験欠陥のサイズと異なり、かつ前記第1の試験欠陥(606)のサイズ(G3)と異なるサイズ(G1、G2、G4、G5)を有する、ステップと、
v)各更なる試験欠陥(602、604、608、610)について前記処理の品質を決定するステップ(S5’)と、
vi)前記第1および前記更なる試験欠陥(602、604、606、608、610)について決定された品質に基づいて閾値(W)を決定するステップ(S6’)と、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロリソグラフィは、例えば集積回路等の微細構造構成部品を製造するために用いられる。マイクロリソグラフプロセスは、照明システムおよび投影システムを有するリソグラフィ装置を用いて実行される。マスク構造を基板の感光コーティングに転写するために、照明システムによって照明されるフォトマスク(レチクル)の像(image)は、この場合、感光層(フォトレジスト)でコーティングされ、投影システムの像面に配置された、基板、例えばシリコンウェハに対し、投影システムによって投影される。
【0003】
小さな構造サイズを達成し、これにより微細構造の構成要素の集積密度を増大させるために、例えば深紫外(DUV)または極紫外(EUV)と呼ばれる非常に短い波長を有する光がますます使用されている。DUVは、例えば193nmの波長を有し、EUVは、例えば13.5nmの波長を有する。
【0004】
この場合、マイクロリソグラフィフォトマスク(microlithographic photomask)は、数ナノメートル~数百nmの範囲をとる構造サイズを有する。そのようなフォトマスクの製造は、非常に複雑であり、したがってコストが高い。特に、これは、フォトマスクが欠陥なしでなくてはならず、そうでなければ、フォトマスクによってシリコンウェハ上に製造された構造が所望の機能を呈することを確実にすることができないことに起因する。特に、フォトマスク上の構造の品質は、このフォトマスクによってウェハ上に製造される集積回路の品質を決定するものである。
【0005】
この理由により、マイクロリソグラフィフォトマスクは欠陥の存在についてチェックされ、見つかった欠陥が標的を絞った方式で修復される。典型的な欠陥は、例えば、エッチングプロセスの実行に成功しなかったことに起因した、想定された構造の欠如、またはそうでない場合、例えばエッチングプロセスが過度に急速に進行したかもしくは誤った位置で効果を発現したことに起因した、想定外の構造の存在を含む。これらの欠陥は、適切な位置における余分な材料の標的を絞ったエッチング、または追加の材料の標的を絞った堆積(targeted deposition)によって修復することができ、例として、これは電子ビーム誘起プロセス(FEBIP「集束電子ビーム誘起処理(focussed electron beam induced processing)」)によって、非常に標的を絞った方式で可能となる。
【0006】
DE102017208114A1は、フォトリソグラフィマスクの粒子ビーム誘起エッチングの方法を記載している。この場合、粒子ビーム、特に電子ビームおよびエッチングガスは、エッチングされるフォトリソグラフィマスク上の場所に提供される。粒子ビームは、フォトリソグラフィマスクの材料とエッチングガスとの間の局所的化学反応を活性化し、その結果として、材料がこのフォトリソグラフィマスクから局所的にアブレーションされる。
【0007】
大面積の欠陥について、提供されるプロセスガス、例えば、エッチングガスの組成が欠陥のサイズの増大と共に不利に変化し得ると判断されている。これは、欠陥の処理を深刻に損なう可能性がある。例として、エッチング速度(etching rate)が、不利なガス組成に起因して大幅に低減する場合があり、そのため、欠陥を完全に除去することができないか、またはより高い電子ビーム用量(すなわち、例えばより長いエッチング持続時間)でしか完全に除去することができない。
【発明の概要】
【0008】
この背景に対し、本発明の目的は、マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理(particle beam-induced processing)のための改善された方法および改善された装置を提供することである。
【0009】
したがって、マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための方法が提案される。本方法は、
a)フォトマスクの少なくとも一部分の像を提供するステップと、
b)像における欠陥の幾何学的形状を、修復形状(repair shape)として決定するステップであって、修復形状はn個のピクセルを含む、ステップと、
c)コンピュータにより実施される形式で(in computer-implemented fashion)、修復形状をk個の部分修復形状(a number k of sub-repair shapes)に細分化するステップであって、k個の部分修復形状のうちの第iのもの(i-th)はmi個のピクセルを有し、これらは、修復形状のn個のピクセルのサブセットである、ステップと、
d)部分修復形状のうちの第1のものを処理する目的で、部分修復形状のうちの第1のもののmi個のピクセルの各々において活性化粒子ビーム(activating particle beam)およびプロセスガス(process gas)を提供するステップと、
e)j個の繰返し周期(a number j of repetition cycles)にわたって部分修復形状のうちの第1のものについてステップd)を繰り返すステップと、
f)各更なる部分修復形状についてステップd)およびe)を繰り返すステップと、
を含む。
【0010】
特に、n、k、miおよびjは2以上の整数である。更に、iは、1からkまで実行されるカウンタを指定する整数である。
【0011】
修復形状は、複数の部分修復形状に細分化され、このため、部分修復形状のうちの1つの処理時間は、全体修復形状の処理時間よりも短い。結果として、欠陥の処理に必要とされかつ/または最適なプロセスガスのガス組成は、部分修復形状の処理中により良好に確実にすることができる。結果として、欠陥はより良好に処理することができる。例として、提案される方法は、プロセスガスの有利なおよび/または最適なガス組成を用いて、大面積の修復形状および/または多くのピクセルを有する修復形状を処理することも可能にする。
【0012】
欠陥の処理は、特に、その範囲内で材料がフォトマスクから局所的にアブレーションされる欠陥のエッチング、または欠陥の領域内のフォトマスク上の材料の堆積を含む。例として、提案される方法は、欠陥の領域内の余分な構造がより良好にエッチング除去されることを可能にするか、または欠陥の領域内の欠落した構造をより良好に拡張させることができる。
【0013】
フォトマスクの少なくとも1つの部分の像が、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)によって記録される。例として、フォトマスクの少なくとも1つの部分の像が、数ナノメートルのオーダーの空間分解能を有する。像は、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)または走査型トンネル顕微鏡(STM)等の走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて記録することもできる。
【0014】
本方法は、特に、走査型電子顕微鏡および/または走査型プローブ顕微鏡を用いてフォトマスクの少なくとも1つの部分の像を捕捉するステップを含むことができる。
【0015】
例として、マイクロリソグラフィフォトマスクは、EUVリソグラフィ装置のためのフォトマスクである。この場合、EUVは「極紫外」を表し、0.1nm~30nm、特に13.5nmの作業光の波長を示す。EUVリソグラフィ装置内で、ビーム成形および照明システムを用いて、特に反射性光学素子(反射性フォトマスク)の形態をとるフォトマスク(「レチクル」とも呼ばれる)上へのEUV放射を誘導する。フォトマスクは、EUVリソグラフィ装置の投影システムを用いて縮小状態でウェハ等の上に結像される構造を有する。
【0016】
例として、マイクロリソグラフィフォトマスクは、DUVリソグラフィ装置のためのフォトマスクとすることもできる。この場合、DUVは「深紫外」を表し、30nm~250nm、特に193nmまたは248nmの作業光の波長を示す。DUVリソグラフィ装置内で、ビーム成形および照明システムを用いて、特に透過性光学素子(透過性フォトマスク)の形態をとるフォトマスク上へのDUV放射を誘導する。フォトマスクは、DUVリソグラフィ装置の投影システムを用いて縮小状態でウェハ等の上に結像される構造を有する。
【0017】
例として、マイクロリソグラフィフォトマスクは、基板と、コーティングによって基板上に形成された構造とを備える。例として、フォトマスクは透過性フォトマスクであり、この場合、結像されるパターンは、透明基板上の吸収(すなわち、不透明なまたは部分的に不透明な)コーティングの形態で実現される。代替的に、フォトマスクは、特にEUVリソグラフィにおいて用いるための、反射性フォトマスクとすることもできる。
【0018】
例として、基板は、二酸化シリコン(SiO2)、例えば石英ガラスを含む。例として、構造化されたコーティングは、クロム、クロム化合物、タンタル化合物、ならびに/またはシリコン、窒素、酸素および/もしくはモリブデンから作製された化合物を含む。基板および/またはコーティングは、他の材料も含むことができる。
【0019】
EUVリソグラフィ装置のためのフォトマスクの場合、基板は、モリブデンおよびシリコン層の交互のシーケンスを含むことができる。
【0020】
提案される方法を用いると、フォトマスクの欠陥、特に、このフォトマスクの構造化されたコーティングの欠陥を識別、位置特定および修復することが可能である。特に、欠陥は、基板に誤って施されたフォトマスクの(吸収または反射)コーティングである。本方法を用いて、コーティングが欠落しているフォトマスク上の場所でコーティングを拡張させることができる。更に、コーティングは、誤って施されたフォトマスク上の場所から、本方法を用いて除去することができる。
【0021】
このために、フォトマスクの少なくとも1つの部分の記録された像において欠陥の幾何学的形状が決定される。例として、欠陥の2次元の幾何学的形状が決定される。欠陥の決定された幾何学的形状は、以下でいわゆる修復形状と呼ばれる。
【0022】
n個のピクセルが、この修復形状の粒子ビーム誘起処理のために修復形状において定義される。方法のステップd)~f)の全体にわたって、粒子ビームは、修復形状のn個のピクセルの各々に方向付けられる。特に、電子ビームの強度最大がn個のピクセルの各々の各中心に方向付けられる。換言すると、修復形状のn個のピクセルは、粒子ビーム誘起処理のための修復形状のラスタ、特に2次元ラスタを表す。例として、修復形状のn個のピクセルは、欠陥の粒子ビーム誘起処理中の粒子ビームの入射エリアに対応する。例として、ピクセルサイズは、ピクセルの中心に方向付けられた電子ビームの強度分布が、電子ビームのガウス強度分布によりこのピクセルの縁部において所定の強度に降下するように選択される。所定の強度は、強度最大値の半分までの降下、またはそうでない場合、電子ビームの強度最大値の任意の他の割合までの降下に対応することができる。例として、ピクセルサイズおよび/または電子ビーム半値幅は、ナノメートル以下の範囲にあるかまたは数ナノメートルのオーダーである。
【0023】
例として、プロセスガスは、前駆体ガスおよび/またはエッチングガスである。例として、プロセスガスは、複数のガス成分の混合物、すなわちプロセスガス混合物とすることができる。例として、プロセスガスは、各々が或る特定の分子タイプのみを有する複数のガス成分の混合物とすることができる。
【0024】
特に、主族元素、金属または遷移元素のアルキル化合物は、堆積または高層構造物(elevated structure)の成長に適した前駆体ガスとみなすことができる。この例は、(シクロペンタジニエル)トリメチル白金(CpPtMe3Me=CH4)、(メチルシクロペンタジニエル)トリメチル白金(MeCpPtMe3)、テトラメチルスズ(SnMe4)、トリメチルガリウム(GaMe3)、フェロセン(Cp2Fe)、ビスアリールクロム(AR2Cr)、および/または主族元素、金属または遷移元素のカリボニル化合物、例えば、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)、ジコバルトオクタカルボニル(Co2(CO)8)、トリルテニウムドデカカルボニル(Ru3(CO)12)、鉄ペンタカルボニル(Fe(CO)5)、および/または主族元素、金属または遷移元素のアルコキシド化合物、例えば、テトラエトキシシラン(Si(OC254)、テトライソプロポキシチタン(Ti(OC374)、および/または主族元素、金属または遷移元素のハロゲン化合物、例えば、六フッ化タングステン(WF6)、六塩化タングステン(WCl6)、四塩化チタン(TiCl4)、三フッ化ホウ素(BF3)、四塩化けい素(SiCl4)、および/または主族元素、金属または遷移元素を含む錯体、例えば、ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)銅(Cu(C56HO22)、ジメチル金トリフルオロアセチルアセトナート(Me2Au(C5342))、および/または有機化合物、例えば一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、脂肪族および/または芳香族炭化水素等を含む。
【0025】
例として、エッチングガスは、二フッ化キセノン(XeF2)、二塩化キセノン(XeCl2)、四塩化キセノン(XeCl4)、蒸気(H2O)、重水(D2O)、酸素(O2)、オゾン(O3)、アンモニア(NH3)、塩化ニトロシル(NOCl)および/または以下のハロゲン化合物、XNO、XONO2、X2O、XO2、X22、X24、X26のうちの1つを含むことができる。ここで、Xはハロゲン化合物である。堆積した試験構造のうちの1つまたは複数をエッチングするための更なるエッチングガスは、本出願人の米国特許出願第13/0 103 281号に指定されている。
【0026】
プロセスガスは、更なる添加ガス、例えば酸化性ガス、例えば、過酸化水素(H22)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、硝酸(HNO3)および他の酸素含有ガス、ならびに/またはハロゲン化合物、例えば、塩素(Cl2)、塩化水素(HCl)、フッ化水素(HF)、ヨウ素(I2)、ヨウ化水素(HI)、臭素(BR2)、臭化水素(HBr)、三塩化リン(Pcl3)、五塩化リン(PCl5)、三フッ化リン(PF3)および他のハロゲン含有ガス、ならびに/または還元ガス、例えば、水素(H2)、アンモニア(NH3)、メタン(CH4)および他の水素含有ガスを含むことができる。これらの添加ガスは、例えば、エッチングプロセスのために、バッファガスとして、不動態化媒体として等で用いることができる。
【0027】
例として、活性化粒子ビームは、粒子ビームを生成するための粒子ビーム源と、フォトマスクのそれぞれの部分修復形状のピクセルmiに粒子ビームを方向付けるように構成された粒子ビーム誘導デバイス(例えば、走査ユニット)と、特定の焦点において粒子ビームを成形するように構成された粒子ビーム成形デバイス(例えば、電子またはビーム光学素子)と、プロセスガスまたはプロセスガスの少なくともガス成分を格納するように構成された少なくとも1つの格納容器と、プロセスガスまたはプロセスガスの少なくとも1つのガス成分を所定のガス量流量(gas quantity flow rate)でそれぞれの部分修復形状のピクセルmiに提供するように構成された少なくとも1つのガス提供デバイスとを備えることができる装置を利用して提供される。
【0028】
例えば、活性化粒子ビームは、電子ビーム、イオンビームおよび/またはレーザビームを含む。
【0029】
例として、電子ビームは、変更された走査型電子顕微鏡を利用して提供される。例として、フォトマスクの少なくとも1つの部分の像は、活性化電子ビームを提供する同じ変更された走査型電子顕微鏡を用いて記録される。
【0030】
活性化粒子ビームは、特に、フォトマスクの材料とプロセスガスとの間の局所的化学反応を活性化し、これにより、気相からのフォトマスク上への材料の局所的堆積、または気相へのフォトマスクの材料の局所的転移が導かれる。
【0031】
活性化粒子ビームは、例えば粒子ビーム誘導デバイスによって、それぞれの部分修復形状のmi個のピクセルの各々において連続して提供される。方法のステップd)において、活性化粒子ビームは、所定の滞留時間(dwell time)にわたってmi個のピクセルの各々に留まる。例として、滞留時間は100nsである。
【0032】
特に、ステップd)~f)は、単一の修復シーケンスにおいて中断なしで実行される。すなわち、粒子ビームは、特に、部分修復形状のうちの第1のもの(または更なるもの)の最後のピクセルにおいて提供された後、次に処理されるために部分修復形状の第1のピクセルにおいて即座に提供される。
【0033】
実施形態によれば、活性化粒子ビームおよびプロセスガスは、ステップd)における部分修復形状のうちの第1のもののmi個のピクセルの各々においてのみ提供される。
【0034】
換言すると、活性化粒子ビームおよびプロセスガスは、ステップd)において、第1の部分修復形状のピクセルにおいてのみ提供され、更なる部分修復形状のピクセルにおいては提供されない。部分修復形状は、ステップd)~f)において連続的に処理されるとも言える。
【0035】
更なる実施形態によれば、修復形状は、ステップc)において、閾値に基づいてk個の部分修復形状に細分化される。
【0036】
例として、修復形状は、部分修復形状が全て同じサイズおよび同じピクセル数miを有するように複数の部分修復形状に細分化される。例として、修復形状は、部分修復形状のピクセル数miが互いに30%、20%、10%、5%、3%および/または1%未満異なるように、複数の部分修復形状に細分化することもできる。
【0037】
例として、修復形状は、ステップc)が実行されるか否かの判定が閾値に基づいて実行されるように、閾値に基づいて複数の部分修復形状に細分化される。換言すると、修復形状は、例えば、閾値を上回ると複数の部分修復形状への細分化が行われるのに対し、閾値を下回ると修復形状の細分化が行われないように、閾値に基づいて複数の部分修復形状に細分化される。
【0038】
例として、修復形状は、修復形状が細分化される部分修復形状の数kが、閾値に基づいて決定されるように、複数の部分修復形状に細分化される。
【0039】
閾値は、第1の(例えば、上側)および第2の(例えば、下側)閾値(すなわち、パラメータ範囲)も含むことができる。
【0040】
更なる実施形態によれば、閾値は、経験的に決定される値(empirically determined value)であり、ステップa)の前に決定される。
【0041】
結果として、閾値は、欠陥の粒子ビーム誘起処理のために、方法の適用前に定義することができる。例として、閾値は、事前に、方法を実行するための装置の製造者によって閾値を決定するための別個の方法の範囲内で決定することができる。結果として、フォトマスクの欠点を処理するための方法は、ユーザにとってより容易に実行することができる。
【0042】
更なる実施形態によれば、粒子ビーム誘起処理は、欠陥のエッチングまたは欠陥上の材料の堆積を含み、閾値は、修復形状のピクセルの数n(a number n of pixels)に基づいて、エッチング速度または堆積速度(deposition rate)の経験的値から決定される。
【0043】
結果として、所望のエッチング速度または堆積速度の達成を、nピクセルを有する修復形状に対応するフォトマスクの欠陥の場合に確実にすることができる。
【0044】
更なる実施形態によれば、閾値は、修復形状のピクセルの数n、ピクセルのサイズ、粒子ビームの入射エリア、それぞれのピクセルにおける活性化粒子ビームの滞留時間、プロセスガスが提供されるガス量流量、プロセスガスの組成、およびプロセスガスの様々なガス成分のガス量流量比を含むグループから選択されたパラメータに基づいて決定される、経験的に決定される値である。
【0045】
これは、特に、複数の部分修復形状への修復形状の細分化がこのように実行され、かつ、そのような細分化の欠如により、或る特定のピクセルが処理されるべき時点において、処理される修復形状のピクセルにおけるプロセスガスの組成、ガス量および/または密度が不利になるときはいつでも実行されることを確実にすることができる。
【0046】
特に、閾値は、粒子ビームにより誘発される処理によって、フォトマスクの欠陥を、少なくとも所定の量まで修復、例えばエッチングすることができるように決定される、経験的に決定される閾値である。例として、修復の品質は、修復部位の平滑性(例えば、エッチングの平滑性)、修復エッジ(例えば、エッチングエッジ)の幅、修復(例えば、エッチング)の速さおよび/またはエッチング速度もしくは堆積速度を決定することによって決定される。
【0047】
特に、ガス量流量は、体積流量、または単位時間あたりに、定義された断面、例えばガス提供ユニットの弁を通じて移送されるプロセスガスの量を指定する流量である。例として、ガス量流量は、プロセスガスの温度を設定することによって定義される。例として、プロセスガスの温度は、-40℃~+20℃の範囲内の温度に設定される。
【0048】
滞留時間は、このピクセルの位置においてフォトマスクにおける局所的反応(化学反応、エッチング反応および/または材料堆積反応)を開始する目的で、部分修復形状のmi個のピクセルのうちの1つに活性化粒子ビームが方向付けられる持続時間である。
【0049】
更なる実施形態によれば、修復形状は、ボロノイ手法(Voronoi approach)の支援により複数の部分修復形状に細分化される。
【0050】
ボロノイ手法またはボロノイ図は、欠陥の幾何学的形状、すなわち修復形状の、部分修復形状への容易な細分化を促進する。特に、不規則形状を有する欠陥、このため、不規則形状を有する修復形状は、容易に部分修復形状に分解することができる。
【0051】
更なる実施形態によれば、部分修復形状は、ステップc)において、ボロノイ中心から開始するボロノイ領域として決定される。各部分修復形状は、関連付けられたボロノイ中心に対応する修復形状のピクセルと、修復形状の任意の他のボロノイ中心よりも関連付けられたボロノイ中心の近くに配置された修復形状の全てのピクセルとを含む。
【0052】
特に、ボロノイ中心間の距離は、ステップc)において閾値に基づいて予め決定され、ボロノイ中心は、所定の距離に基づいて決定される。例として、結果として、ボロノイ中心は、修復形状にわたって一様分布するように修復形状において定義される。
【0053】
更なる実施形態によれば、修復形状は、それぞれの部分修復形状のmi個のピクセルが走査方向において互いに同じ距離を有するように複数の部分修復形状に細分化される。
【0054】
例として、修復形状は、XY平面を定義する2次元の幾何学的形状である。例として、修復形状のn個のピクセルは、X方向およびY方向に配置される。例として、粒子ビームは、粒子ビーム誘導デバイス(走査ユニット)の支援によりX方向およびY方向に誘導される。例として、走査方向は、X方向および/またはY方向に対応する。
【0055】
走査方向において互いから同じ距離を有するそれぞれの部分修復形状のピクセルが回避することは、走査中、部分修復形状が処理されている間、量子ビームが、部分修復形状における間隙、すなわち、部分修復形状の外側の領域にわたって誘導される必要があることである。
【0056】
更なる実施形態によれば、修復形状は少なくとも2つの離間された領域を含む。更に、修復形状は、各部分修復形状が、少なくとも2つの離間された領域のうちの最大で1つを含むように複数の部分修復形状に細分化される。
【0057】
結果として、部分修復形状の処理中に、量子ビームが非連続領域、すなわち離間された領域間で前後に動かされなくてはならないことを回避することが可能である。これは、部分修復形状が、100、1000、10,000、100,000または百万のオーダーとなり得るj個の繰返し周期にわたって粒子ビームによって処理されるため、特に有利である。
【0058】
更なる実施形態によれば、方法は、ステップd)の前に、以下のステップ、すなわち、活性化粒子ビームにより活性化された化学反応によるプロセスガスの消耗(depletion)が部分修復形状にわたって一様に実施されるように、活性化粒子ビームが部分修復形状のうちの第1のもののmi個のピクセルにおいて連続的に提供される順序(sequence)を計算するステップを含む。
【0059】
特に、部分修復形状のmi個のピクセルのラインごとの走査を回避することができる。
【0060】
更なる実施形態によれば、更なる部分修復形状についてステップf)においてステップd)およびe)が実行される順序は、行ごとおよび/もしくは列ごとの順序と異なり、ならびに/またはランダムに分散される。
【0061】
特に、ステップd)およびe)によって部分修復形状が処理される順序は、行ごとおよび/もしくは列ごとの順序と異なり、ならびに/またはランダムに分散される。
【0062】
更なる実施形態によれば、修復形状は、ステップc)における、部分修復形状へのh個の相互に異なる細分化(a number h of mutually different subdivisions)により細分化される。更に、ステップd)~f)は、h個の細分化の各々について実行される。
【0063】
これにより、部分修復形状間の境界における欠陥の不均一な処理を回避することができる。この場合、hは2以上の整数である。
【0064】
例として、h個全ての細分化の第1の部分修復形状は互いに重なり合う可能性があり、h個全ての細分化の第2の部分修復形状は互いに重なり合う可能性がある等である。すなわち、h個全ての細分化の第iの部分修復形状は、互いに重なり合う可能性がある。ここで、i=1~kである。
【0065】
更なる実施形態によれば、ステップd)~f)は、h個の細分化の各々について、gがj未満である、g個の繰返し周期にわたって、および/またはj/h個の繰返し周期にわたって実行される。
【0066】
結果として、合計j個の繰返し周期をh個の細分化の間で細分化することができる。この場合、gは2以上の整数である。
【0067】
更なる実施形態によれば、h個の細分化は、修復形状に対する部分修復形状の境界の変位、特に横方向の変位により互いに異なる。
【0068】
修復形状の更なる細分化の計算は、このように特に容易に実現することができる。
【0069】
更なる実施形態によれば、ステップd)~f)はp個の繰返し周期にわたって繰り返され、ここで、pは2以上の整数である。
【0070】
欠陥がステップd)~f)の1回の反復中に完全にではなく部分的にのみ修復され、欠陥の完全な修復がp個の繰り返し周期によってのみ達成される結果として、部分修復形状間の境界における欠陥の非一様な処理を回避することができる。この実施形態は、h個の相互に異なる細分化を用いることに対する代替を提示するか、またはこれに加えて適用することができる。
【0071】
更なる態様によれば、マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための装置が提案される。装置は、
フォトマスクの少なくとも一部分の像を提供するための手段と、
像内の欠陥の幾何学的形状を、修復形状として決定するためのコンピューティング装置であって、修復形状は、n個のピクセルを含み、修復形状をコンピュータにより実施される形式で複数の部分修復形状に細分化するように構成される、コンピューティング装置と、
それぞれの部分修復形状を処理するためのj個の繰返し周期にわたって、全ての部分修復形状の各ピクセルにおいて活性化粒子ビームおよびプロセスガスを提供するための手段と、
を備える。
【0072】
更なる態様によれば、コンピュータプログラム製品が提案される。このコンピュータプログラム製品は、マイクロリソグラフィマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための装置を制御するために、コンピューティング装置によって実行されるとき、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法ステップを実行するように装置に促す命令を含む。
【0073】
例えば、コンピュータプログラム手段等のコンピュータプログラム製品を、例えば、例としてメモリカード、USBスティック、CD-ROM、DVD等のストレージ媒体として、またはそうでない場合、ネットワークにおけるサーバからダウンロード可能なファイルの形態で提供または供給することができる。例として、無線通信ネットワークにおいて、これは、コンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラム手段を用いて適切なファイルを転送することによって有効にすることができる。
【0074】
上記および下記に言及されるユニットの各々、例えば、コンピューティング装置、制御デバイス、決定デバイス、細分化デバイスは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにおいて実施することができる。ハードウェアとしての実施の場合、対応するユニットは、装置として、または装置の一部として、例えばコンピュータまたはマイクロプロセッサとして具現化することができる。例として、装置は、中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、プログラマブルハードウェアロジック(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、特定用途向け集積回路(ASIC)等を含むことができる。更に、1つまたは複数のユニットは、単一のハードウェア装置において共に実施することができ、例えば、メモリ、インタフェース等を共有することができる。ユニットは、別個のハードウェア構成要素において実現することもできる。
【0075】
更なる実施形態によれば、閾値を決定するための方法が提案される。決定された閾値は、マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理中に、閾値に基づいて、修復形状をk個の部分修復形状に細分化する役割を果たす。方法は、
i)所定の処理パラメータを用いて、フォトマスクの第1の試験欠陥(first test defect)の粒子ビーム誘起処理を行うステップであって、第1の試験欠陥は、第1のサイズを有する、ステップと、
ii)第1の試験欠陥の処理の品質を決定するステップと、
iii)処理パラメータが決定されるまで変更された処理パラメータについてステップi)およびii)を繰り返すステップであって、決定された品質は、所定の品質以上である、ステップと、
iv)決定された処理パラメータを用いて、フォトマスクの更なる試験欠陥の粒子ビーム誘起処理を行うステップであって、更なる試験欠陥は各々、他の更なる試験欠陥のサイズと異なり、かつ第1の試験欠陥のサイズと異なるサイズを有する、ステップと、
v)各更なる試験欠陥について処理の品質を決定するステップと、
vi)第1および更なる試験欠陥について決定された品質に基づいて閾値を決定するステップと、
を含む。
【0076】
所定のおよび決定された処理パラメータは、例えば、ピクセルにおける電子ビームの滞留時間(例えば100ns、10nsまたは数μs);十分な吸着プロセスガスが修復部位の近くの表面に再び存在することを確実にするために、ピクセルが電子ビームに「曝され」ない中断期間(例として100μs~5000μsの値);修復形状のピクセルにわたる電子ビームの誘導(走査)のタイプ(例えば、ライン走査、蛇行走査、ピクセルにおけるランダム化されたホームイン(homing in)および/またはピクセルにおける増分ホームイン)、および/またはプロセスガスのガス量流量(例として、ガス量流量は、プロセスガスの温度を設定することによって定義され、温度は例えば-40℃~+20℃である)を含む。
【0077】
例として、修復の品質は、修復部位の平滑性(例えば、エッチングまたは堆積される材料の平滑性)、修復エッジ(例えば、エッチングエッジまたは堆積エッジ)の幅、修復(例えば、エッチングまたは堆積)の速さおよび/またはエッチング速度もしくは堆積速度を決定することによって決定される。例として、所定の品質は、修復部位の平滑性、修復エッジの幅、修復の速さ、エッチング速度および/または堆積速度の所定の値である。
【0078】
粒子ビーム誘起処理のための方法に関して説明された特徴および利点は、相応して、装置、コンピュータプログラム製品、および閾値を決定するための方法に適用され、逆もまた同様である。
【0079】
「1つの」は、本事例において、必ずしも厳密に1つの要素に限定されるものとして理解されるべきでない。むしろ、例えば、2つ、3つまたはそれ以上等の複数の要素を提供することもできる。ここで用いられる任意の他の数も、要素の述べた数への厳密な制約が存在するという旨で理解されるべきでない。むしろ、特段の記載がない限り、上方および下方への数値のずれが可能である。
【0080】
本発明の更なる可能な実施態様は、例示的な実施形態に関して上記または下記で示された任意の特徴または実施形態の明示的に言及されていない組み合わせも含む。この場合、当業者は、本発明のそれぞれの基本形態に対する改善または捕捉として、個々の態様も加える。
【0081】
本発明の更なる有利な改良点および態様は、従属請求項の主題であり、以下に説明する本発明の例示的な実施形態の主題でもある。以下の文において、本発明は、添付の図面を参照して好ましい実施形態に基づいてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1】1つの実施形態による構造化されたコーティングにおける欠陥を有するマイクロリソグラフィフォトマスクの詳細を概略的に示す。
図2】1つの実施形態による図1からのフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための装置を示す。
図3】欠陥の幾何学的形状が複数の部分修復形状に細分化された、図1からのフォトマスクの欠陥の更なる例を示す。
図4図3の拡大詳細図を示す。
図5】欠陥の幾何学的形状が2つの相互に異なる細分化によって複数の部分修復形状に細分化された図3に類似した図を示す。
図6図1のフォトマスクの欠陥の更なる例を示す。
図7図1のフォトマスクの欠陥の更なる例を示す。
図8】1つの実施形態による図1のフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための方法のフローチャートを示す。
図9】1つの実施形態による閾値を決定するための方法のフローチャートを示し、プロセスにおいて決定される閾値は図8の方法に適用可能である。
図10図9の方法において修復および評価される5つの修復された試験欠陥の像を示す。
図11図10からの試験欠陥の欠陥サイズの関数としてのエッチング速度の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
別段の指示がない限り、同じであるかまたは機能的に同じである要素は、図面において同じ参照符号を提供される。また、図面における図は必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。
【0084】
図1は、マイクロリソグラフィフォトマスク100の詳細を概略的に示す。示す例において、フォトマスク100は、透過性フォトリソグラフィマスク100である。フォトマスク100は基板102を含む。基板102は、特に、フォトマスク100が露光される波長において光学的に透過性である。例として、基板102の材料は石英ガラスを含む。
【0085】
構造化されたコーティング104(パターン要素104)が基板102に施された。特に、コーティング104は、吸収材料から作製されたコーティングである。例として、コーティング104の材料はクロム層を含む。例として、コーティング104の厚みは、50nm~100nmの範囲をとる。フォトマスク100の基板102上のコーティング104によって形成される構造の構造サイズBは、フォトマスク100の様々な位置において異なることができる。例として、図1において、領域の幅Bが構造サイズとしてプロットされている。例として、構造サイズBは、20~200nmの領域内にある。構造サイズBは、200nm超、例えば数マイクロメートルのオーダーとすることもできる。
【0086】
他の例では、上述した以外の材料も、基板およびコーティングに用いることができる。更に、フォトマスク100は、透過性フォトマスクではなく、反射性フォトマスクとすることもできる。この場合、反射層は、吸収層104の代わりに適用される。
【0087】
時折、例えばエッチングプロセスが意図された通りに厳密に実行されないことに起因して、欠陥Dがフォトマスクの製造中に生じる可能性がある。図1において、そのような欠陥Dは斜線で表されている。これは、2つの隣り合ったコーティング領域104が、フォトマスク100のためのテンプレートにおいて別個であると考えられているにもかかわらず、この領域からコーティング104が除去されなかったことに起因する余分な材料である。欠陥Dがウェブを形成するとも言える。この場合、欠陥Dのサイズは構造サイズBに対応する。構造サイズBよりも小さい、例えば5~20nmのオーダーの他の欠陥も知られている。フォトマスクを用いてリソグラフィ装置において製造された構造が、ウェハ上で所望の形状を有し、このため、この方式で製造された半導体コンポーネントが所望の機能を満たすことを確実にするために、図1に示す欠陥Dまたはそうでない場合他の欠陥等の欠陥を修復する必要がある。この例において、例えば、粒子ビーム誘起エッチングによって、標的を絞った方式でウェブを除去することが必要である。
【0088】
図2は、マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥、例えば図1からのフォトマスク100の欠陥Dの粒子ビーム誘起処理のための装置200を示す。図2は、フォトマスク100の欠陥Dの粒子ビーム誘起修復、この例ではエッチングのために用いることができる装置200のいくつかのコンポーネントを通じた概略断面図を示す。更に、装置200は、修復プロセスの実施前、実施中および実施後の、フォトマスクの結像、特にマスク100および欠陥Dの構造化されたコーティング104の結像のために用いることもできる。
【0089】
図2に示す装置200は、変更された走査型電子顕微鏡200を表す。この場合、電子ビーム202の形態の粒子ビーム202を用いて欠陥Dを修復する。電子ビーム202を活性化粒子ビームとして用いることは、電子ビーム202が実質的にフォトマスク100、特にその基板102に損傷を与えることができないか、またはわずかにしか損傷を与えることができないという利点を有する。
【0090】
実施形態において、フォトマスク100のための局所的粒子ビーム誘起修復プロセスを活性化させるためのレーザビームを、電子ビーム202の代わりに、または電子ビーム202に加えて用いることができる(図2には示されていない)。更に、電子ビームおよび/またはレーザビームの代わりに、局所的化学反応を活性化するために、イオンビーム、原子ビームおよび/または分子ビームを用いることが可能である(図2には示されていない)。
【0091】
装置200は、真空ポンプ206によって或る特定のガス圧力に保たれた真空ハウジング204において大部分が配置されている。
【0092】
例として、装置200は、マイクロリソグラフィフォトマスク、例えばDUVまたはEUVリソグラフィ装置のためのフォトマスクのための修復ツールである。
【0093】
処理されるフォトマスク100は、試料ステージ208上に配置される。例として、試料ステージ208は、フォトマスク100の位置を、3つの空間方向、および数ナノメートルの精度で3つの回転軸において設定するように構成される。
【0094】
装置200は、電子カラム210を含む。電子カラム210は、活性化電子ビーム202を提供するための電子源212を含む。更に、電子カラム210は、電子またはビーム光学素子214を含む。電子源212は、電子ビーム202を生成し、電子またはビーム光学素子214は、電子ビーム202の焦点を合わせ、電子ビーム202をカラム210の出力においてフォトマスク100に向ける。電子カラム210は、フォトマスク100の表面上で電子ビーム202を誘導、すなわち、走査するように構成された偏向ユニット216(走査ユニット216)を更に含む。
【0095】
装置200は、入射電子ビーム202によってフォトマスク100において生成された二次電子および/または後方散乱電子を検出するための検出器218を更に備える。例として、示すように、検出器218は、電子カラム210内でリング型の形式で電子ビーム202の周りに配置される。検出器218の代わりとして、または検出器218に加えて、装置200は、二次電子および/または後方散乱電子(図2に示されていない)を検出するための他の/更なる検出器も含むことができる。
【0096】
更に、装置200は、フォトマスク100の欠陥Dを分析するのに用いることができる1つ以上の走査型プローブ顕微鏡、例えば原子間力顕微鏡を含むことができる(図2に示されていない)。
【0097】
装置200は、フォトマスク100の表面にプロセスガスを供給するためのガス提供ユニット220を更に備える。例として、ガス提供ユニット220は、弁222およびガスライン224を含む。電子カラム210によってフォトマスク100の表面上のロケーションに向けられた電子ビーム202は、弁222およびガスライン224を介して外側からガス提供ユニット220によって供給されたプロセスガスと併せて電子ビーム誘起処理(EBIP)を実行することができる。特に、これらの処理は、材料の堆積および/またはエッチングを含む。
【0098】
装置200は、コンピューティング装置226、例えば、制御デバイス228、決定デバイス230および細分化デバイス232を有するコンピュータを更に備える。図2の例において、コンピューティング装置226は真空ハウジング204の外側に配置される。
【0099】
コンピューティング装置226、特に制御デバイス228は、装置200を制御する役割を果たす。特に、コンピューティング装置226、特に制御デバイス228は、電子カラム210を駆動することによって電子ビーム202の提供を制御する。特に、コンピューティング装置226、特に制御デバイス228は、走査ユニット216を駆動することによってフォトマスク100の表面上の電子ビーム202の走査を制御する。更に、コンピューティング装置226は、ガス提供ユニット220を駆動することによって、プロセスガスの提供を制御する。
【0100】
更に、コンピューティング装置226は、装置200の検出器218および/または他の検出器からの測定データを受信し、測定データから像を生成する。この像はモニタ(ここには図示せず)上に表示することができる。更に、測定データから生成された像は、コンピューティング装置226のメモリユニット(ここには図示せず)に記憶することができる。
【0101】
フォトマスク100をチェックするために、特に、フォトマスク100上の構造化コーティング104をチェックするために、装置200は、特に、装置200の検出器218および/または他の検出器からの測定データから、フォトマスク100(図1)の像300またはフォトマスク100の詳細の像300を捕捉するように構成される。例として、像300の空間分解能は、数ナノメートルのオーダーである。
【0102】
コンピューティング装置226、特に決定デバイス230は、記録された像300における欠陥D(図1)を認識し、この欠陥を位置特定して、欠陥Dの幾何学的形状302(修復形状302)を決定するように構成される。欠陥Dの決定された幾何学的形状302、すなわち修復形状302は、例えば2次元幾何学的形状である。
【0103】
図3は、フォトマスク100の構造化コーティング104の欠陥D’の更なる例を示す。この例において、欠陥D’、このためその修復形状302’は正方形である。
【0104】
コンピューティング装置226、特に、決定デバイス230は、デバイス修復形状302、302’(図1および図3)を、n個のピクセル304を含むグリッドに分割するように構成される。図3は、修復形状302’のいくつかのピクセル304を例示的な形式でプロットする。例として、修復形状302’は、百万ピクセル304(n=1,000,000)を含む。例として、ピクセル304の側辺長a(図4)は、数ナノメートル、例えば1.5nmである。例として、ピクセル304は1.5nmx1.5nmのサイズを有する。修復方法の過程において、電子ビーム202は、走査ユニット216によって各ピクセル304の各中心に複数回方向付けられる。特に、電子ビーム202のガウス強度プロファイルの強度最大値は、方法の過程にわたって、各ピクセル304の中心に複数回方向付けられる。
【0105】
コンピューティング装置226、特に細分化デバイス232は、例えば、閾値Wに基づいて、修復形状302、302’を複数の、特にk個の部分修復形状306に細分化するように構成される。例として、コンピューティング装置226は、修復形状のピクセル304の数nが所定の閾値Wを超えている場合、修復形状302、302’を細分化するように構成される。例として、所与の修復形状302’が細分化される部分修復形状の総数kは、所定の閾値Wに基づいて予め定義される。例として、所定の閾値Wは、経験的に決定された閾値Wである。
【0106】
図3に示す例において、修復形状302’は、9個の部分修復形状306(k=9)に細分化される。各部分修復形状306は、mi個のピクセル304を有し、これは、修復形状302’のn個のピクセル304のサブセットである。特に、i=1~kについてのmiにわたる総和はnに等しい。図3に示す例において、部分修復形状306は全て同じサイズを有する。換言すると、9個の部分修復形状306の各々は、同じ数mi個のピクセル304を含む(すなわち、mi(i=1~9)=n/k))。他の例において、第iの部分修復形状306のmi個のピクセル304は、他の(k-1)個の部分修復形状306のうちの1つ、いくつかまたは全てと異なることもできる。
【0107】
図4は、図3に例示的な形式で示される第1の部分修復形状306の5つのピクセル304が拡大形式で示される、図3からの拡大詳細図を示す。各ピクセル304は、側辺長aを有する正方形である。結果として、2つの隣接するピクセル中心M間の距離もaに等しくなる。直径cを有し、参照符号308によって表される円は、フォトマスク100の表面上の電子ビーム202の入射エリアを表す。この場合、直径cは側辺長aに対応する。電子ビーム202は、特に径方向に対称のガウス強度プロファイルを有する。特に、電子ビーム202は、その強度分布の最大値が技術的に可能である範囲内で中心Mに入射するように入射エリア308またはピクセル304の中心Mに方向付けられる。例として、入射エリア308は、電子ビーム202の強度プロファイルの半値幅に対応することができる。しかしながら、入射エリア308は、電子ビーム202の強度分布の最大値からの任意の他の強度降下にも対応することができる。
【0108】
例として、修復形状302’(図3)は、ボロノイ手法(ボロノイ図)によってk個の部分修復形状306に細分化される。この場合、コンピューティング装置226、特に細分化デバイス232を用いて、修復形状302’(図3)におけるボロノイ中心310間の距離を定義する。修復形状302’におけるボロノイ中心(310)は、コンピューティング装置226、特に細分化デバイス232を用いてこの距離sに基づいて決定される。
【0109】
更に、コンピューティング装置226、特に細分化デバイス232は、この例において、ボロノイ中心310から開始するボロノイ領域として部分修復形状306を決定するように構成される。このため、このように決定された各部分修復形状306は、関連付けられたボロノイ中心310に対応する修復形状302’のピクセル304と、修復形状302’の任意の他のボロノイ中心310よりも関連付けられたボロノイ中心310の近くに配置された修復形状302’の全てのピクセル304とを含む。
【0110】
図3は、比較的単純な修復形状302’、特に正方形を示しているが、ボロノイ手法によって、更に複雑な修復形状を部分修復形状に適切に細分化することができる。この点における例は、ハニカム構造またはより一般的な2次元多面体を含む。
【0111】
コンピューティング装置226、特に制御デバイス228は、電子ビーム202によって、プロセスガスの提供下で部分修復形状306に細分化された修復形状302’を走査するように構成され、その幾何学的形状が修復形状302’である欠陥D’が処理および修正されるようにする。この場合、活性化電子ビーム202は、第1の部分修復形状306のmi=1個のピクセル304の各々に連続して方向付けられる。電子ビーム202は、所定の滞留時間にわたって第1の部分修復形状306のmi=1個のピクセル304の各々において滞留する。この場合、プロセスガスの化学反応は、電子ビーム202によって第1の部分修復形状306のmi=1個のピクセル304の各々において活性化される。例として、プロセスガスは、エッチングガスを含む。例として、化学反応により、エッチングされる欠陥D’の材料との揮発性反応生成物が生じることになり、これは、室温において少なくとも部分的にガス状であり、ポンプシステム(図示せず)を用いてポンピングにより除去することができる。
【0112】
電子ビーム202が第1の部分修復形状306のmi=1個のピクセル304の各々に一旦方向付けられると(ステップd))、この手順は、j個の繰返し周期にわたって繰り返される(ステップe))。
【0113】
第1の部分修復形状306の全てのmi=1個のピクセル304におけるj個の繰返し周期にわたって第1の部分修復形状306が処理された後、修復形状302’の残りのk-1個の部分修復形状306のうちの各更なる1つがそれに応じて処理される(ステップf))。この場合、部分修復形状306が処理される順序は、行ごとおよび/または列ごとの順序と異なる場合がある。換言すると、図3の例において、部分修復形状306は、左上から右下まで連続するのと異なる順序で処理することもできる。例として、部分修復形状306が処理される順序は、ランダムに分散してもよい。
【0114】
実施形態において、ステップd)~f)は、m=1個のピクセル304の各々について全体繰返し周期数がjxpとなるように、繰返し周期数p(a number p of repetition cycles)にわたって繰り返される。
【0115】
欠陥D’の領域においてコーティング104を(完全に)除去するために、例えば、合計100、1000、10,000、100,000または百万個の繰返し周期の数j(またはjxh)が各ピクセルmi=1において必要とされる。
【0116】
n個のピクセルを有する修復形状302’は、図3の例において各々がn/k個のピクセルを有する複数の部分修復形状306(k個の部分修復形状306、この場合、9個)に細分化されるため、k個の部分修復形状306のうちの1つの処理時間は、修復形状302’全体の処理時間よりも短い。これは、欠陥D’の処理に必要とされかつ/または最適なプロセスガスのガス組成を、部分修復形状306の処理中により良好に確実にすることができるため、有利である。例として、プロセスガスのガス組成は、修復形状302’ごとではなく、部分修復形状306ごとに更新することができる。例として、これにより、プロセスガスの不利なガス組成によるエッチング速度における大幅な低減を回避することができる。
【0117】
図3に示す、部分修復形状306への修復形状302’の細分化312、および電子ビーム202による記載した走査方法の場合、部分修復形状306間の境界領域314において望ましくない減少が生じ得る。例として、第1の部分修復形状306と第2の部分修復形状306との間の境界領域314は、図3において参照符号を設けられている。そのような境界領域314において、電子ビーム202による処理は、余分なもしくは不十分な材料アブレーション、または余分なもしくは不十分な材料堆積につながる場合がある。
【0118】
そのような修復形状内アーチファクトを回避するために、コンピューティング装置226、特に細分化デバイス232は、修復形状302’を、h個の相互に異なる細分化312、316に細分化するように構成することができる。
【0119】
図5は、図3に非常に類似したものを示すが、図3に示す部分修復形状306への修復形状302’の細分化312が図5において破線を用いて示されている。更に、図5は、コンピューティング装置226、特に細分化デバイス232によって計算された更なる細分化316を示す。結果として、図5は、2つの相互に異なる細分化312、316への修復形状302’の細分化を説明する。
【0120】
図5に示す例において、細分化316は、第1の細分化312による部分修復形状306の境界318が修復形状302’に対し横方向に変位され、新たな部分修復形状306’がこのように決定されるようになっていた点で細分化312と異なる。図5において明らかであるように、第2の細分化316による部分修復形状306’は互いに異なるサイズを有し、互いに異なるピクセル数m’iを有する。
【0121】
複数の細分化312、316(h個の細分化、この場合は2つ)が、修復形状内アーチファクトを回避する目的で修復形状302’について計算される場合、例えば、所定の数(またはj×p)個の繰返し周期が複数の細分化312、316間で分割される。例として、図5の例において、第1の細分化312の各部分修復形状306、および第2の細分化316の各部分修復形状306’が、g個の繰返し周期にわたって電子ビーム202によって処理される。ここで、各事例におけるgはj/h(または(jxp)/h)に等しい。換言すると、所定の数j(またはj×p)個の繰返し周期は、2つの細分化312、316間で一様に分割される。
【0122】
より複雑な修復形状の事例において、コンピューティング装置226、特に細分化デバイス232は、図6および図7に説明されるように、更なる境界条件を考慮に入れながら、修復形状の細分化を行うように構成することができる。
【0123】
図6は、修復形状402の更なる例を示す。修復形状402は、装置200の電子ビーム202が、凹型領域404内に存在する間隙408を走査方向Xにおいて繰り返し横切るように凹型領域404を有する。そのような場合、コンピューティング装置226、特に細分化デバイス232は、それぞれの部分修復形状406のm’’i個のピクセルが走査方向Xにおいて互いに同じ距離を有するように修復形状402を複数の部分修復形状406に細分化するように構成することができる。換言すると、修復形状402は、電子ビーム202が走査方向Xにおいて部分修復形状406を処理するときに間隙を横切る必要がないように複数の部分修復形状406に細分化される。
【0124】
修復形状402の3つのピクセル410、412、414が図6において例示的な形式でプロットされる。ピクセル410および412は、第1の部分修復形状406に属し、ピクセル414は第2の部分修復形状406に属する。第1の部分修復形状406の2つのピクセル410および412は、直接隣り合って配置されることが明らかである。特に、それらの間には、走査方向Xにおいてであっても間隙がない。対照的に、第1の部分修復形状のピクセル412および第2の部分修復形状のピクセル414は、直接隣り合って配置されず、それらの間には、走査方向Xにおいて、間隙408に対応する距離eが存在する。
【0125】
図7は、修復形状502の更なる例を示す。例において、修復形状502は2つの離間された領域504を有する。修復形状502は、他の例において、3つ以上の離間された領域504も有することができる。修復形状502を細分化するために、コンピューティング装置226、特に細分化デバイス232は、各部分修復形状506が2つの離間された領域504のうちの最大で1つを含むように、修復形状502を複数の部分修復形状506に細分化するように構成することができる。換言すると、修復形状502は、電子ビーム202が走査方向Xにおいて部分修復形状506を処理するときに間隙を横切る必要がないように複数の部分修復形状506に細分化される。
【0126】
図8は、マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための方法のフローチャートを示す。フォトマスク100(図1)の欠陥D、D’は、方法によって処理することができる。例として、欠陥D、D’は図1に示す修復形状302、図3に示す修復形状302’、図6に示す修復形状402、図7に示す修復形状502、または任意の他の修復形状を有する。
【0127】
方法のステップS1において、フォトマスク100の少なくとも一部分の像300が提供される。特に、フォトマスク100の一部分の走査電子顕微鏡像300は、装置200によって捕捉され、フォトマスク100の構造化されたコーティング104の欠陥D、D’は、上記像において結像される。
【0128】
方法のステップS2において、像300内の欠陥D、D’の幾何学形状が、修復形状302、302’、402、502として決定される。
【0129】
方法のステップS3において、修復形状302、302’、402、502は、コンピュータにより実施される形式で複数の部分修復形状306、406、506に細分化される。例として、この細分化は、閾値W(例えば、経験的に決定された閾値)に基づいて実施される。
【0130】
方法のステップS4において、活性化粒子ビーム202およびプロセスガスは、部分修復形状306、406、506の第1のものの各ピクセルにおいて提供される。
【0131】
方法のステップS5において、ステップS4は、部分修復形状の第1のものについて、j個の繰返し周期にわたって繰り返される。
【0132】
方法のステップS6において、ステップS4およびS5は、部分修復形状のうちの更なる各々について繰り返される。
【0133】
実施形態において、方法は、図9においてフローチャートによって示されるように、閾値Wを決定するために実行される。特に、方法は、マイクロリソグラフィフォトマスク(図8)の欠陥の粒子ビーム誘起処理の上記の方法の前に実行される。図9による方法は、特に、閾値Wを経験的に決定するための方法である。
【0134】
図9に関係して説明される閾値Wを決定するための方法の例において、決定された閾値Wは、修復形状サイズGS図11)、すなわち欠陥サイズである。特に、この例における閾値Wは、最大修復形状サイズGSを有する。修復形状サイズGSは、面積またはピクセル数の単位で指定することができる。
【0135】
他の例において、閾値Wも更に最小修復形状サイズを有することができる。換言すると、閾値Wは、下限(最小修復形状最サイズ)および上限(最大修復形状サイズ)を有する或る範囲の修復形状サイズも呈し得る。
【0136】
閾値を決定するための方法の他の実施形態において、閾値Wは、修復形状サイズGSと異なるパラメータとすることもできる。
【0137】
閾値Wは、図9の方法において、決定された閾値Wが図8の修復方法に適用されるとき、フォトマスク100の欠陥DまたはD’(図1または図3)を、例えば、少なくとも指定された量までの粒子ビーム誘起処理によって修復、例えばエッチングすることができるように決定される。図9の閾値Wを決定するための方法において、図1または図3におけるフォトマスク100の欠陥DまたはD’に類似した試験欠陥602~610(図10)は、例えば装置200(図2)を用いて、粒子ビーム誘起処理によって試験目的で修復される。次に、修復の品質が決定される。
【0138】
例として、修復の品質が、エッチングの平滑性、エッチングエッジの幅、および/またはエッチングの速さを検出することによって決定される。品質は、装置200(図2)によって調整可能な様々なパラメータ、例えば、ピクセル304(図3)における電子ビーム202(図2)の滞留時間、1つのピクセル304および更なるピクセル304の露出間の中断期間、修復形状302’のピクセル304にわたる電子ビーム202の誘導(走査)のタイプ(例えば、ライン走査またはピクセルにおけるランダム化されたホームイン)、およびプロセスガスのガス量流量(流量)に依拠する。更に、修復の品質は、フォトマスク(例えば、図1のフォトマスク100)のマスク材料のタイプ、および選択されたプロセスガス(例えば、プロセスガス混合物)に依拠する。更に、修復の品質は、修復される修復形状(例えば、図1図3図6図7における修復形状302、302’、402、502)に依拠する。特に、修復の品質は修復形状サイズ(欠陥サイズ)に依拠し、修復形状が複数の部分修復形状(例えば、図3における306)に細分化される場合、これらの部分修復形状のサイズにも依拠する。
【0139】
図9に関連して説明した閾値Wを決定するための方法の例において、第1の試験欠陥(例えば、図10における試験欠陥606)(図1または図3におけるフォトマスク100の欠陥DまたはD’に類似する)が、所与のマスク材料(例えば、図1におけるフォトマスク100のマスク材料)について、および第1の所与の欠陥サイズ(例えば、一般的なまたは平均欠陥サイズG3であり、例えば、300×400nm2のサイズを有する)について、ステップS1’における装置200を用いて粒子ビーム誘起処理によって、修復、例えばエッチングされる。
【0140】
この場合、装置200によって調整することができる以下の修復パラメータが設定される。
i)ピクセルにおける電子ビーム202の滞留時間(例えば、100ns、10nsまたは数μs)、
ii)十分な吸着プロセスガスが修復部位の付近の表面に再び存在することを確実にするために、ピクセルが電子ビーム202に「曝されない」中断期間(例えば、100μs~5000μs)、
iii)修復形状のピクセルにわたる電子ビーム202の誘導(走査)のタイプ、例えば、ライン走査、蛇行走査、ピクセルにおけるランダム化されたホームインおよび/またはピクセルにおける増分ホームイン(例として、x個ごとのピクセルがまずホームインされ、まだ「曝されていない」ピクセルが後続する)、および、
iv)プロセスガスのガス量流量(例として、ガス量流量は、プロセスガスの温度を設定することによって定義され、温度は例えば-40℃~+20℃である)。
【0141】
図10は、複数の修復された試験欠陥602、604、606、608および610の像600(例えば、SEM像)を示す。したがって、試験欠陥602~610は、異なるサイズG1~G5を有する。例として、サイズG1~G5は、ピクセル数として指定される。例として、試験欠陥602は、2500ピクセルのサイズG1を有し、試験欠陥604は40,000ピクセルのサイズG2を有し、試験欠陥606は160,000ピクセルのサイズG3を有し、試験欠陥608は360,000ピクセルのサイズG4を有し、試験欠陥610は1,000,000ピクセルのサイズG5を有する。
【0142】
しかしながら、試験欠陥602~610のサイズは、他の例において、ピクセルと異なる単位でも指定することができる。更に、試験欠陥602~610も、例示的な形式において指定されたサイズと異なるサイズG1~G5を有することができる。図10は、5つの試験欠陥602~610を例示的な形式で更に示すが、閾値を決定するための方法の範囲内で5つよりも多くのまたは少ない試験欠陥を適用することも可能である。
【0143】
試験目的で装置200を用いて粒子ビーム誘起処理によってステップS1’において修復、例えばエッチングされる第1の試験欠陥は、例えば平均サイズG3を有する試験欠陥606である。しかしながら、試験欠陥602~610のうちの別のものはステップS1’において第1の試験欠陥として処理することができる。
【0144】
閾値Wを決定するための方法のステップS2’において、例えばステップS1’において処理される第1の試験欠陥606の修復、例えばエッチングの品質が決定される。例として、修復の品質は、修復部位の平滑性(例えば、エッチングの平滑性)、修復エッジ(例えば、エッチングエッジ)の幅、修復(例えば、エッチング)の速さおよび/またはエッチングまたは堆積される材料の量(例えば、エッチング速度もしくは堆積速度)を決定することによって決定される。
【0145】
図11は、欠陥サイズGに対しエッチング速度Rがプロットされる図を示す。例として、サイズG3を有する第1の試験欠陥606について、ステップS2’においてエッチング速度R3が決定された。
【0146】
ステップS2’において決定される第1の試験欠陥606の修復の品質は、閾値Wを決定するための方法のステップS3’において決定される指定された品質以上である。例として、修復された試験欠陥606の検出されたエッチング速度R3が十分であるか否かの判断が存在する。例として、検出されたエッチング速度R3が所定のエッチング速度RS図11)よりも大きいか否かに関して判断が存在する。
【0147】
ステップS1’~S3’は、ステップS3’において決定された修復の品質が指定された品質以上になるまで繰り返し実行される。特に、ステップS2’において設定されるパラメータは、指定された品質に最適なパラメータ設定を決定するために、プロセスにおいて変動される。
【0148】
閾値Wを決定するための方法のステップS4’において、異なる欠陥サイズ、例えば、図10に示す試験欠陥602~610の場合、サイズG1~G5を有する試験系列は、第1の試験欠陥(例えば、図10の606)についてステップS1’~S3’において決定された最適パラメータ設定を用いて実行される。特に、試験系列は、第1の指定された欠陥サイズ(例えば、G3)と異なる更なる試験欠陥602、604、608および610の欠陥サイズ(例えば、G1、G2、G4およびG5)について実行される。試験系列の範囲内で、更なる試験欠陥602、604、608および610が、粒子ビーム誘起処理によって修復、例えばエッチングされる。
【0149】
閾値Wを決定するための方法のステップS5’において、修復の品質が、ステップS4’において適用される各欠陥サイズG1、G2、G4およびG5について(すなわち、ステップS4’において修復される各試験欠陥602、604、608および610について)決定される。例として、エッチング速度R1、R2、R4およびR5図11)は、各修復された試験欠陥602、604、608および610について決定される。
【0150】
図11から明らかであるように、試験欠陥602~608(すなわち、欠陥サイズG1~G4)について決定されたエッチング速度R1~R4は、比較的一定であり、特に所定のエッチング速度RSよりも大きい。換言すると、これらの試験欠陥602~608のためのエッチング手順は、十分な結果を伴って完了した。しかしながら、エッチング速度R5は、より大きな試験欠陥610(欠陥サイズG5)について、他の試験欠陥602~608よりも実質的に低く、特に、所定もエッチング速度RS未満である。換言すると、この試験欠陥610のためのエッチング手順は、不十分な結果を伴って完了した。
【0151】
閾値Wを決定するための方法のステップS6’において、閾値Wは、試験系列の結果に基づいて決定される。例として、閾値Wは最大欠陥サイズ(図11におけるG4)に基づいて決定され、ここで、ステップS5’において決定される修復品質は、指定される品質以上である。閾値Wは、修復品質が指定された品質以上である検出サイズの範囲(最小欠陥サイズGmin~最大欠陥サイズGmax、例えば図11におけるG1~G4)として決定することもできる。
【0152】
例として、閾値Wは、以下の式に基づいて決定することもできる。
【0153】
W={x[(Gmax0.5-(Gmin0.5]+(Gmin0.52
ここで、xは、例えば0.5または0.75またはそうでない場合1である係数である。図11の例において、Gmax=G4およびGmin=G1である。
【0154】
実際のマスク修復(図8のステップS1~S6)前に上記の方法において決定された閾値(図9のステップS1’~S6’)は、実際のマスク修復(図8)を実行するときに用いることができる。特に、欠陥(図8)の粒子ビーム誘起処理のための方法のステップc)において、処理される欠陥のサイズが所定の閾値Wよりも大きい(例えば、上述した式によって決定される閾値Wよりも大きい、および/または修復が依然として十分である最大欠陥サイズGmax=G4よりも大きい)とき、修復形状(それぞれ図1および図3における302、302’)を部分修復形状(図3における306)に細分化することができる。更に、ステップc)において修復形状(図1図3における302、302’)が細分化されるk個の部分修復形状(図3における306)は、部分修復形状(図3における306)の各々のサイズが所定の閾値W以下となり、および/または部分修復形状(図3における306)の各々のサイズが欠陥サイズの所定の範囲内になるように、閾値Wに基づいて設定することができる。
【0155】
本発明は、例示的な実施形態に基づいて説明されたが、様々な方式で変更することができる。
【符号の説明】
【0156】
100 フォトマスク
102 基板
104 コーティング
200 装置
202 粒子ビーム
204 真空ハウジング
206 真空ポンプ
208 試料ステージ
210 電子カラム
212 電子源
214 電子またはビーム光学素子
216 走査ユニット
218 検出器
220 ガス提供ユニット
222 弁
224 ガスライン
226 コンピューティング装置
228 制御デバイス
230 決定デバイス
232 細分化デバイス
300 像
302、302’ 修復形状
304 ピクセル
306 部分修復形状
310 ボロノイ中心
312 細分化
314 境界領域
316 細分化
318 境界
402 修復形状
404 凹型領域
406 部分修復形状
408 間隙
410 ピクセル
412 ピクセル
414 ピクセル
502 修復形状
504 離間された領域
506 部分修復形状
600 像
602 試験欠陥
604 試験欠陥
606 試験欠陥
608 試験欠陥
610 試験欠陥
a ピクセルサイズ
B 構造幅
c 直径
D、D’ 欠陥
E 距離
G サイズ
1 サイズ
2 サイズ
3 サイズ
4 サイズ
5 サイズ
S サイズ
M 中心
R エッチング速度
1 エッチング速度
2 エッチング速度
3 エッチング速度
4 エッチング速度
5 エッチング速度
S エッチング速度
s 距離
S1~S6 方法ステップ
S1’~S6’ 方法ステップ
X 方向
W 閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリソグラフィフォトマスク(100)の欠陥(D、D’)の粒子ビーム誘起処理のための方法であって、
a)前記フォトマスク(100)の少なくとも一部分の像(300)を提供するステップ(S1)と、
b)像(300)における欠陥(D、D’)の幾何学的形状を、修復形状(302、302’)として決定するステップ(S2)であって、前記修復形状(302、302’)は、n個のピクセル(304)を含む、ステップと、
c)コンピュータにより実施される形式で、前記修復形状(302、302’)をk個の部分修復形状(306)に細分化するステップ(S3)であって、前記k個の部分修復形状(306)のうちの第iのものはmi個のピクセル(304)を有し、これらは、前記修復形状(302、302’)の前記n個のピクセル(304)のサブセットである、ステップと、
d)前記部分修復形状(306)のうちの第1のものを処理する目的で、前記部分修復形状(306)のうちの前記第1のものの前記mi個のピクセル(304)の各々において活性化粒子ビーム(202)およびプロセスガスを提供するステップ(S4)と、
e)j個の繰返し周期にわたって前記部分修復形状(306)のうちの前記第1のものについてステップd)を繰り返すステップ(S5)と、
f)各更なる部分修復形状(306)についてステップd)およびe)を繰り返すステップ(S6)と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記活性化粒子ビーム(202)および前記プロセスガスは、ステップd)における前記部分修復形状(306)のうちの前記第1のものの前記mi個のピクセル(304)の各々においてのみ提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記修復形状(302、302’)は、ステップc)において、閾値(W)に基づいて前記k個の部分修復形状(306)に細分化される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記閾値(W)は、経験的に決定される値であり、ステップa)の前に決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記粒子ビーム誘起処理は、前記欠陥(D、D’)のエッチングまたは前記欠陥(D、D’)上の材料の堆積を含み、前記閾値(W)は、修復形状(302、302’)のピクセル(304)の数nに基づいて、エッチング速度(R)または堆積速度の経験的値から決定される、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記閾値(W)は、前記修復形状(302、302’)のピクセル(304)の数n、前記ピクセル(304)のサイズ(a)、前記粒子ビーム(202)の入射エリア(308)、それぞれのピクセル(304)における前記活性化粒子ビーム(202)の滞留時間、前記プロセスガスが提供されるガス量流量、前記プロセスガスの組成、および前記プロセスガスの様々なガス成分のガス量流量比を含むグループから選択されたパラメータに基づいて決定される、経験的に決定される値である、請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記修復形状(302、302’)は、ボロノイ手法の支援により前記複数の部分修復形状(306)に細分化される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記部分修復形状(306)は、ステップc)においてボロノイ中心(310)から開始するボロノイ領域として決定され、各部分修復形状(306)は、前記関連付けられたボロノイ中心(310)に対応する前記修復形状(302、302’)の前記ピクセル(304)と、前記修復形状(302、302’)の任意の他のボロノイ中心(310)よりも前記関連付けられたボロノイ中心(310)の近くに配置された前記修復形状(302、302’)の全てのピクセル(304)とを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記修復形状(402)は、それぞれの部分修復形状(406)のm’’i個のピクセル(410、412)が走査方向(X)において互いに同じ距離を有するように前記複数の部分修復形状(406)に細分化される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記修復形状(502)は、少なくとも2つの離間された領域(504)を含み、前記修復形状(502)は、各部分修復形状(506)が前記少なくとも2つの離間された領域(504)のうちの最大で1つを含むように前記複数の部分修復形状(506)に細分化される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、ステップd)の前に、以下のステップ、すなわち、前記活性化粒子ビーム(202)により活性化された化学反応による前記プロセスガスの消耗が前記部分修復形状(306)にわたって一様に実施されるように、前記活性化粒子ビーム(202)が前記部分修復形状(306)のうちの前記第1のものの前記mi個のピクセル(304)において連続的に提供される順序を計算するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
前記更なる部分修復形状(306)についてステップf)においてステップd)およびe)が実行される順序は、行ごとおよび/もしくは列ごとの順序と異なり、ならびに/またはランダムに分散される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
前記修復形状(302、302’)は、ステップc)において、h個の相互に異なる細分化(312、316)において、部分修復形状(306、306’)に細分化され、ステップd)~f)が前記h個の細分化(312、316)の各々について実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
ステップd)~f)は、h個の細分化(312、316)の各々について、gがj未満である、g個の繰返し周期にわたって、および/またはj/h個の繰返し周期にわたって実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記h個の細分化(312、316)は、前記修復形状(302、302’)に対する部分修復形状(306)の境界(318)の変位、特に横方向の変位により互いに異なる、請求項13記載の方法。
【請求項16】
ステップd)~f)はp個の繰返し周期にわたって繰り返され、ここで、pは2以上の整数である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項17】
マイクロリソグラフィフォトマスク(100)の欠陥(D、D’)の粒子ビーム誘起処理のための装置(200)であって、
フォトマスク(100)の少なくとも一部分の像(300)を提供するための手段(210)と、
像(300)内の欠陥(D’D)の幾何学的形状を、修復形状(302、302’)として決定するためのコンピューティング装置(226)であって、前記修復形状(302、302’)はn個のピクセル(304)を含み、前記修復形状(302、302’)をコンピュータにより実施される形式で複数の部分修復形状(306)に細分化するように構成される、コンピューティング装置と、
それぞれの部分修復形状(306)を処理するためのj個の繰返し周期にわたって、全ての部分修復形状(306)の各ピクセル(304)において活性化粒子ビームおよびプロセスガスを提供するための手段(210、220)と、
を備える、装置。
【請求項18】
マイクロリソグラフィフォトマスクの欠陥の粒子ビーム誘起処理のための装置(200)を制御するために、コンピューティング装置(226)によって実行されるとき、請求項1または2に記載の方法ステップを実行するように前記装置(200)にプロンプトする命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項19】
マイクロリソグラフィフォトマスク(100)の欠陥(D、D’)の粒子ビーム誘起処理中に閾値(W)に基づいて修復形状(302、302’)をk個の部分修復形状(306)に細分化するための閾値(W)を決定するための方法であって、
i)所定の処理パラメータを用いて、フォトマスク(100)の第1の試験欠陥(606)の粒子ビーム誘起処理を行うステップ(S1’)であって、前記第1の試験欠陥(606)は、第1のサイズ(G3)を有する、ステップと、
ii)前記第1の試験欠陥(606)の前記処理の品質を決定するステップ(S2’)と、
iii)処理パラメータが決定されるまで変更された処理パラメータについてステップi)およびii)を繰り返すステップ(S3’)であって、前記決定された品質は、所定の品質以上である、ステップと、
iv)前記決定された処理パラメータを用いて、前記フォトマスク(100)の更なる試験欠陥(602、604、608、610)の粒子ビーム誘起処理を行うステップ(S4’)であって、前記更なる試験欠陥(602、604、608、610)は各々、前記他の更なる試験欠陥のサイズと異なり、かつ前記第1の試験欠陥(606)のサイズ(G3)と異なるサイズ(G1、G2、G4、G5)を有する、ステップと、
v)各更なる試験欠陥(602、604、608、610)について前記処理の品質を決定するステップ(S5’)と、
vi)前記第1および前記更なる試験欠陥(602、604、606、608、610)について決定された品質に基づいて閾値(W)を決定するステップ(S6’)と、
を含む、方法。
【国際調査報告】