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特表2024-522897金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法および使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法および使用
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20240614BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B3/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579744
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 CN2021140484
(87)【国際公開番号】W WO2023108756
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】202111538112.9
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510232360
【氏名又は名称】中国科学院光電技術研究所
【氏名又は名称原語表記】The Institute of Optics and Electronics, The Chinese Academy of Sciences
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 350, Shuangliu, Chengdu, Sichuan 610209, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羅先剛
(72)【発明者】
【氏名】羅云飛
(72)【発明者】
【氏名】劉凱鵬
(72)【発明者】
【氏名】谷雨
(72)【発明者】
【氏名】高平
(72)【発明者】
【氏名】趙澤宇
【テーマコード(参考)】
2H249
【Fターム(参考)】
2H249AA03
2H249AA13
2H249AA37
2H249AA41
2H249AA44
2H249AA45
2H249AA48
(57)【要約】
金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法は、第1基板(1)における第1材料層(3)に対してフォトリソグラフィーを行い、格子構造を得るステップ(S1)と、格子構造が埋められるまで第2材料層(5)、第3材料層(6)を交互に成長させ、第1中間構造を得るステップ(S2)と、少なくとも格子構造の頂部に達する深さまで第1中間構造に対して平坦化を行い、第2中間構造を得るステップ(S3)と、第2中間構造の上面と第2基板(9)とを接着させるステップ(S4)と、第1基板(1)を除去し、第2中間構造が第2基板(9)の上方に位置するように第2中間構造および第2基板(9)を反転させて、第3中間構造を得るステップ(S5)と、少なくとも最後に成長した第2材料層(5)または第3材料層(6)の頂部に達する深さまで平坦化を行い、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズを得るステップ(S6)と、を含み、第2材料層(5)、第3材料層(6)のうち、一方が金属であり、他方が誘電体である。超解像レンズは、入射光が金属-誘電体界面に沿ってのみ伝搬し、エネルギー利用効率が効果的に向上した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板における第1材料層に対してフォトリソグラフィーを行い、格子構造を得るステップS1と、
前記格子構造が埋められるまで前記格子構造において第2材料層、第3材料層を交互に成長させ、第1中間構造を得るステップS2と、
少なくとも前記格子構造の頂部に達する深さまで前記第1中間構造に対して平坦化を行い、第2中間構造を得るステップS3と、
前記第2中間構造の上面と第2基板とを接着させるステップS4と、
前記第1基板を除去し、前記第2中間構造が前記第2基板の上方に位置するように前記第2中間構造および前記第2基板を反転させて、第3中間構造を得るステップS5と、
少なくとも前記ステップS2で最後に成長した前記第2材料層または前記第3材料層の頂部に達する深さまで前記第3中間構造に対して平坦化を行い、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズを得るステップS6と、を含み、
前記第2材料層および前記第3材料層のうち、一方が金属であり、他方が誘電体である
ことを特徴とする金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法。
【請求項2】
前記ステップS1は、
前記第1基板において下から上へ順に犠牲層、前記第1材料層および感光膜層を調製するステップS11と、
前記感光膜層において露光し、現像して感光膜格子パターンを得るステップS12と、
前記第1材料層をエッチングし、前記感光膜格子パターンを前記第1材料層に転写し、格子構造を得るステップS13と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法。
【請求項3】
前記ステップS11において犠牲層を調製することは、
マグネトロンスパッタリング蒸着、化学気相成長または塗布の方法により前記第1基板において犠牲層を調製することを含み、前記犠牲層は、Au、Cu、感光性レジストのうちの1種である
ことを特徴とする請求項2に記載の金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法。
【請求項4】
前記ステップS11において前記第1材料層を調製することは、
マグネトロンスパッタリング蒸着、原子層堆積、化学気相成長または真空蒸着の方法により前記犠牲層において前記第1材料層を調製することを含み、前記第1材料層は、Ag、Al、誘電体材料のうちの1種である
ことを特徴とする請求項2に記載の金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法。
【請求項5】
前記ステップS5は、
剥離により前記第1基板を除去し、前記第2中間構造が前記第2基板の上方に位置するように前記第2中間構造および前記第2基板を反転させるステップと、
ウェット化学的方法により前記犠牲層を除去し、第3中間構造を得るステップと、を含み、
前記剥離が手動剥離または自動剥離を含み、前記ウェット化学的方法に使用される溶液が王水、硝酸、クロム除去液のうちの1種である
ことを特徴とする請求項2に記載の金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法。
【請求項6】
前記ステップS1において格子構造は、フィーチャサイズが5~300nmであり、パターンのデューティ比が0.05~0.5である
ことを特徴とする請求項1に記載の金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法。
【請求項7】
前記ステップS2において、前記格子構造において第2材料層、第3材料層を交互に成長させることは、
前記格子構造において第2膜厚を有する第2材料層、第3膜厚を有する第3材料層を交互に成長させることを含み、
前記第2膜厚と第3膜厚とが同じであってもよく異なってもよく、
前記ステップS2において、前記金属がAg、Alのうちの1種であり、前記誘電体がSiO、Al、MgFのうちの1種である
ことを特徴とする請求項1に記載の金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法。
【請求項8】
前記ステップS3において前記第1中間構造に対して平坦化を行い、ステップS6において前記第3中間構造に対して平坦化を行うことは、
イオンビームエッチングまたは化学的機械研磨を利用して前記第1中間構造、第3中間構造に対して平坦化を行うことを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法。
【請求項9】
前記ステップS4において前記第2中間構造の上面と第2基板とを接着させることは、
硬化剤により前記第2中間構造の上面と第2基板とを接着させることを含み、
前記第1基板は、シリコン基板、石英基板、フッ化マグネシウム基板、フレキシブル基板のうちの1種であり、前記第2基板は、石英基板、シリコン基板、サファイア基板のうちの1種である
ことを特徴とする請求項1に記載の金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法。
【請求項10】
前記ステップS1において、第1基板における第1材料層に対してフォトリソグラフィーを行うフォトリソグラフィー方法は、表面プラズモンフォトリソグラフィー、電子線直接描画フォトリソグラフィー、近接場光フォトリソグラフィーのうちの1種である
ことを特徴とする請求項1に記載の金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法。
【請求項11】
前記ステップS2において、前記格子構造において第2材料層、第3材料層を交互に成長させる方法は、マグネトロンスパッタリング蒸着、原子層堆積、化学気相成長、真空蒸着のうちの1種である
ことを特徴とする請求項1に記載の金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法で調製された金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズを含む
ことを特徴とする金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズ。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法で調製された超解像レンズの超解像フォトリソグラフィーにおける使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超解像結像の技術分野に属し、具体的に、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法および使用に関する。
【0002】
(関係出願の相互参照)
本開示は、2021年12月15日に提出された、出願番号が202111538112.9である中国出願に基づいて優先権を主張し、その内容のすべては本開示に参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、マイクロ・ナノテクノロジーの急速な発展に伴い、表面プラズモンのサブ波長構造における一連の新奇な光学現象が次々と発見され、科学界で大きな注目を集めている。表面プラズモンの新奇な光学特性の応用に関する報告が多くあり、例えば、超解像結像、新型発光ダイオード、マイクロ・ナノスケールレーザなどが挙げられ、回折限界を克服する光学的挙動において表面プラズモンが重要な役割を果たすことが示された。表面プラズモンの透過強化の新奇な光学効果の発見および研究は、超回折限界人工電磁材料の光学特性の設計やその応用に関する研究の進行を促進した。金属-誘電体交互複合の多層膜レンズ構造は、人工電磁材料の代表的な応用の1つとして、科学研究者において注目を集めている。
【0004】
研究により判明したように、負の屈折率を持つメタマテリアルにより調製されたスーパーレンズを利用して減衰したエバネッセント波を増幅することができ、これによって超解像結像が実現される。初期の研究では、波長よりもはるかに小さい厚さを有する金属/誘電体を交互に積層して形成された多層膜構造を利用してSP波(表面プラズモン波)の結合伝搬を実現することができ、これによって超解像結像が実現される。しかしながら、現在、膜層の交互成長により加工できた金属-誘電体多層膜レンズ構造が平面多層膜であるため、入射光が画像形成材料に到着するには、多層膜構造を何回も継続的に通り抜けなければならない。金属材料の誘電率に一般的にある程度の虚部があるため、入射光が伝搬過程においてエネルギー損失が避けられなく、入射光が多層膜を通り抜けて伝搬したあと、画像形成材料に到着したエネルギーが入射光の初期値のわずか1/100であり、場合によっては1/1000以下になることがあり、これは金属-誘電体多層膜レンズの超解像結像における実際の応用が大きく制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の問題に鑑みて、本開示は、従来の超解像レンズのエネルギー損失が高いなどの技術的課題を解決する金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法および使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面は、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法を提供する。前記調製方法は、第1基板における第1材料層に対してフォトリソグラフィーを行い、格子構造を得るステップS1と、格子構造が埋められるまで格子構造において第2材料層、第3材料層を交互に成長させ、第1中間構造を得るステップS2と、少なくとも格子構造の頂部に達する深さまで第1中間構造に対して平坦化を行い、第2中間構造を得るステップS3と、第2中間構造の上面と第2基板とを接着させるステップS4と、第1基板を除去し、第2中間構造が第2基板の上方に位置するように第2中間構造および第2基板を反転させて、第3中間構造を得るステップS5と、少なくともステップS2で最後に成長した第2材料層または第3材料層の頂部に達する深さまで第3中間構造に対して平坦化を行い、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズを得るステップS6と、を含み、第2材料層、第3材料層のうち、一方が金属であり、他方が誘電体である。
【0007】
さらに、ステップS1は、第1基板において下から上へ順に犠牲層、第1材料層および感光膜層を調製するステップS11と、感光膜層において露光し、現像して感光膜格子パターンを得るステップS12と、第1材料層をエッチングし、感光膜格子パターンを第1材料層に転写し、格子構造を得るステップS13と、を含む。
【0008】
さらに、ステップS11において犠牲層を調製することは、マグネトロンスパッタリング蒸着、化学気相成長または塗布の方法により第1基板において犠牲層を調製することを含み、犠牲層は、Au、Cu、感光性レジストのうちの1種である。ステップS11において第1材料層を調製することは、マグネトロンスパッタリング蒸着、原子層堆積、化学気相成長または真空蒸着の方法により犠牲層において第1材料層を調製することを含み、第1材料層は、Ag、Al、誘電体材料のうちの1種である。
【0009】
さらに、ステップS5は、剥離により第1基板を除去し、第2中間構造が第2基板の上方に位置するように第2中間構造および第2基板を反転させるステップと、ウェット化学的方法により犠牲層を除去し、第3中間構造を得るステップとを含み、剥離が手動剥離または自動剥離を含み、ウェット化学的方法に使用される溶液が王水、硝酸、クロム除去液のうちの1種である。
【0010】
さらに、ステップS1において、格子構造は、フィーチャサイズが5~300nmであり、パターンのデューティ比が0.05~0.5である。
【0011】
さらに、ステップS2において、格子構造において第2材料層、第3材料層を交互に成長させることは、格子構造において第2膜厚を有する第2材料層、第3膜厚を有する第3材料層を交互に成長させることを含み、第2膜厚と第3膜厚とが同じであってもよく異なってもよい。ステップS2において、金属がAg、Alのうちの1種であり、誘電体がSiO、Al、MgFのうちの1種である。
【0012】
さらに、ステップS3において第1中間構造に対して平坦化を行い、ステップS6において第3中間構造に対して平坦化を行うことは、イオンビームエッチングまたは化学的機械研磨を利用して第1中間構造、第3中間構造に対して平坦化を行うことを含む。
【0013】
さらに、ステップS4において第2中間構造の上面と第2基板とを接着させることは、硬化剤により第2中間構造の上面と第2基板とを接着させることを含み、第1基板は、シリコン基板、石英基板、フッ化マグネシウム基板、フレキシブル基板のうちの1種であり、第2基板は、石英基板、シリコン基板、サファイア基板のうちの1種である。
【0014】
さらに、ステップS1において、第1基板における第1材料層に対してフォトリソグラフィーを行うフォトリソグラフィー方法は、表面プラズモンフォトリソグラフィー、電子線直接描画フォトリソグラフィー、近接場光フォトリソグラフィーのうちの1種である。
【0015】
さらに、ステップS2において、格子構造において第2材料層、第3材料層を交互に成長させる方法は、マグネトロンスパッタリング蒸着、原子層堆積、化学気相成長、真空蒸着のうちの1種である。
【0016】
本開示の他の一局面は、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズを提供する。金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズは、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの上記の調製方法で調製された金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズを含む。
【0017】
本開示の他の一局面は、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの上記調製方法で調製された超解像レンズの超解像フォトリソグラフィーにおける使用を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本開示に係る金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法および使用は、エッチング、金属または誘電体膜層の交互成長、パターン反転および平坦化などの工程により、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズを得る。本開示に係る調製方法で調製された超解像レンズは、入射光が金属-誘電体ストライプ配列構造において金属膜層を何回も通り抜ける必要がなくて金属-誘電体界面に沿ってのみ伝搬するため、エネルギー利用効率を効果的に向上させ、超解像フォトリソグラフィー技術の応用範囲が広まる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法の模式的フローチャートである。
図2A】従来の金属-誘電体多層膜の超解像レンズの構造および光路を示す模式図である。
図2B】本開示の実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの構造および光路を示す模式図である。
図3】本開示の実施例による、第1基板における第1材料層に対してフォトリソグラフィーを行う方法の模式的フローチャートである。
図4A】本開示の実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製プロセスの模式的フローチャートである。
図4B】本開示の実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製プロセスの模式的フローチャートである。
図4C】本開示の実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製プロセスの模式的フローチャートである。
図4D】本開示の実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製プロセスの模式的フローチャートである。
図4E】本開示の実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製プロセスの模式的フローチャートである。
図4F】本開示の実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製プロセスの模式的フローチャートである。
図4G】本開示の実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製プロセスの模式的フローチャートである。
図4H】本開示の実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製プロセスの模式的フローチャートである。
図4I】本開示の実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製プロセスの模式的フローチャートである。
図4J】本開示の実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製プロセスの模式的フローチャートである。
図5】本開示の実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズ構造と、従来の金属-誘電体多層膜の超解像レンズ構造とのエネルギー利用効率の比較を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の目的、技術案および利点をより明瞭にするため、以下、具体的な実施例を用いて図面を参照しながら、本開示をさらに詳細に説明する。
【0021】
ここで使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものにすぎず、本開示を限定するものではない。ここで使用される「含む」、「含んでなる」などの用語は、該当する特徴、ステップ、操作および部材の少なくとも一つの存在を表すものであるが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、操作または部材が存在したり、添加されたりすることを排除するのではない。
【0022】
明細書および特許請求の範囲に使用される「第1」、「第2」、「第3」などの序数は、該当部品を修飾するためのものであり、該当部品が順序を有することを意味したり、表したりするものではなく、ある部品と他の部品の順序、あるいは調製方法における順序を表すものではない。これらの序数は、名前が同じである部品を明らかに区別するためのものにすぎない。
【0023】
本開示の実施例は、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法を提供する。図1に示すように、該調製方法は、下記のステップを含む。S1:第1基板における第1材料層に対してフォトリソグラフィーを行い、格子構造を得る。S2:格子構造が埋められるまで格子構造において第2材料層、第3材料層を交互に成長させ、第1中間構造を得る。第2材料層、第3材料層のうち、一方が金属であり、他方が誘電体である。S3:少なくとも格子構造の頂部に達する深さまで第1中間構造に対して平坦化を行い、第2中間構造を得る。S4:第2中間構造の上面と第2基板とを接着させる。S5:第1基板を除去し、第2中間構造が第2基板の上方に位置するように第2中間構造および第2基板を反転させて、第3中間構造を得る。S6:少なくともS2で最後に成長した第2材料層または第3材料層の頂部に達する深さまで第3中間構造に対して平坦化を行い、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズを得る。
【0024】
本開示は、従来の金属-誘電体多層膜レンズ構造に存在するエネルギー損失が高い問題に対して、入射光が金属-誘電体界面に沿って伝搬する多層膜レンズ構造を設計した。図2Aは、従来の金属-誘電体多層膜構造の超解像レンズの構造および光路を示す模式図である。図2Bは、本開示に係る金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの構造および光路を示す模式図である。図2Aにおいて、入射光が平面多層膜を通り抜けなければならなく、金属材料の誘電率に一般的にある程度の虚部があるため、エネルギー損失が比較的大きい。これに対して、本開示に係るストライプ配列の金属部分は、厚さが10nm超であり比較的厚く、光が直接通り抜けにくくて金属-誘電体界面に沿ってのみ伝搬してレンズを通り抜けるため、エネルギー損失が大幅に軽減する。
【0025】
超解像レンズは、表面平坦化の程度がとても高く要求されるため、直接フォトエッチング、成長する方法で所望の金属-誘電体ストライプ配列の周期構造を得ることができない。これに鑑みて、本開示は、エッチング、金属または誘電体膜層の交互成長、パターン反転および平坦化などのプロセスを設計することにより、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズを得る。
【0026】
具体的に、まず平坦な第1基板における第1材料層においてフォトリソグラフィーにより格子構造を形成し、該格子構造がストライプ構造のフィーチャサイズおよび配列の初期位置を制限するためのものである。そして、該格子構造において金属材料層または誘電体材料層を交互に成長させ、最後に成長する材料層がちょうど格子構造を埋めるようにする。そして、1回目の平坦化を行い、この回の平坦化が金属-誘電体ストライプ配列の上面の平坦度を保証するために行われる。そして、平坦化された上面と第2基板とを接着させ、第1基板を除去し、構造の反転を実現する。そして、2回目の平坦化を行い、この回の平坦化が、反転された金属-誘電体ストライプ配列構造の上面の平坦度を保証するために行われる。2回の平坦化により、ストライプ配列の上面と下面の平坦度を保証し、焦点合わせして結像する効果の向上に寄与できる。
【0027】
さらに、交互に成長させる第2材料層、第3材料層の膜層厚さを精確に設計し、最後に成長した材料層の膜層厚さと相応の金属材料層または誘電体材料層の膜層厚さとが等しいようにする必要があり、これによって、得られた金属-誘電体ストライプ配列の周期構造が破壊されないように保証する。
【0028】
図3は、本開示の実施例による、第1基板における第1材料層に対してフォトリソグラフィーを行う方法の模式的フローチャートである。
【0029】
図3に示すように、第1基板における第1材料層に対してフォトリソグラフィーを行う方法は、ステップS11~S13を含む。ステップS11:第1基板において下から上へ順に犠牲層、第1材料層および感光膜層を調製する。ステップS12:感光膜層において露光し、現像して感光膜格子パターンを得る。ステップS13:第1材料層をエッチングし、感光膜格子パターンを第1材料層に転写し、格子構造を得る。
【0030】
第1基板において犠牲層を調製することは、マグネトロンスパッタリング蒸着、化学気相成長または塗布の方法により調製することができる。犠牲層を調製する目的は、後の剥離工程において第1基板を除去し、構造の反転を実現するためである。犠牲層の材料は、Au、Cu、感光性レジストのうちの1種であり得る。無論、犠牲層の材料は、この3種の材料に限定されず、基板への粘着性が低い他の材料も本開示の案に使用され得る。
【0031】
犠牲層において第1材料層を調製することは、マグネトロンスパッタリング蒸着、原子層堆積、化学気相成長または真空蒸着の方法により調製することができる。第1材料層を調製する目的は、後に格子構造を調製するためである。第1材料層は、Ag、Al、誘電体材料のうちの1種である。無論、第1材料層は、この3種の材料に限定されず、表面プラズモンを励起できる他の材料も本開示の案に使用され得る。
【0032】
第1材料層においてフォトレジストを塗布することにより感光膜層を調製し、露光し、現像して格子パターンを得、そしてエッチングにより該格子パターンを第1材料層に転写し、第1材料層で調製される格子構造を得る。第1材料層の材料の種類によっては、異なるエッチングプロセスを選択することができる。感光膜層を調製することにより、格子構造の調製を実現する。
【0033】
図4A図4Jは、本開示の実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製プロセスの模式的フローチャートである。
【0034】
図4Aは、感光膜層において露光し、現像して感光膜格子パターンを得ることを示す模式図である。図4において、下から上へ順に第1基板1、犠牲層2、第1材料層3および感光膜格子パターン4であり、上記のステップS11~S12に対応する。
【0035】
図4Bは、第1材料層をエッチングし、感光膜格子パターン4を第1材料層3に転写し、格子構造を得ることを示し、上記のステップS13に対応する。
【0036】
図4Cは、格子構造における第2材料層5の1回目の成長を示す。第1材料層が金属である場合、第2材料層が誘電体材料であり、第1材料層が誘電体材料である場合、第2材料層が金属である。
【0037】
図4Dは、第2材料層における第3材料層6の1回目の成長を示す。第3材料層と第1材料層とは、材料の属性が同じであり、例えばいずれも金属であり、またはいずれも誘電体材料である。さらに、第3材料層と第1材料層とは、材料が同じであり得、例えばいずれもSiOである。該実施例において、第3材料層6と第1材料層3とは材料が同じであり、これによって、得られる金属-誘電体ストライプ配列の周期性がより強く、結像の均一性がより高い。
【0038】
図4Eは、第2材料層7の2回目の成長を示す。3回の金属-誘電体の交互成長を経てちょうど格子構造を埋め、このとき、成長のステップを終了する。図4Eは、第1中間構造を示す。図4C図4Eは、上記のステップS2に対応する。
【0039】
図4Fに示すように、少なくとも格子構造の頂部に達する深さまで第1中間構造に対して平坦化を行い、そうしないと、金属-誘電体ストライプ配列を得ることできなく、一部の金属-誘電体積層構造が存在することに起因して結像効果を損なう。図4Fは、第2中間構造を示し、上記のステップS3に対応する。
【0040】
図4Gは、硬化剤8により第2中間構造の上面を第2基板9と接着させることを示し、上記のステップS4に対応する。
【0041】
図4Hは、剥離工程により第1基板1を除去し、第2中間構造が第2基板9の上方に位置するように第2中間構造および第2基板9を反転させることを示す。
【0042】
図4Iは、ウェット化学的方法により犠牲層2を除去することを示す。図4Iは、第3中間構造を示し、上記のステップS5に対応する。
【0043】
図4Jは、少なくともS2で最後に成長した第2材料層または第3材料層の頂部に達する深さまで第3中間構造に対して平坦化を行うことを示す。該実施例において、平坦化の深さが、最後に成長した第3材料層の頂部に達し、金属-誘電体積層構造が全部除去され、所要の金属-誘電体ストライプ配列の周期構造が得られ、これは上記のステップS6に対応する。
【0044】
本開示に係る金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法は、エッチング、金属または誘電体膜層の交互成長、パターン反転および平坦化などの通常のプロセスにより、10ナノメートルおよびそれ以上高い解像度の立体多層膜レンズを調製することができ、超解像フォトリソグラフィー技術の応用範囲を広げる。
【0045】
上記の実施例において、S5は、犠牲層を剥離することにより第1基板を除去し、第2中間構造が第2基板の上方に位置するように第2中間構造および第2基板を反転させることを含み、ここで、剥離が手動剥離または自動剥離を含み、ウェット化学的方法に使用される溶液が王水、硝酸、クロム除去液のうちの1種である。
【0046】
犠牲層の材料は、Au、Cu、感光性レジストであってもよく、基板への粘着性が低い他の材料であってもよい。材料によっては除去溶液が異なり、例えば、犠牲層の材料がAuである場合、クロム除去液を使用して該Au犠牲層を除去することができる。上記の実施例において、S1において格子構造は、フィーチャサイズdが5~300nmであり、パターンのデューティ比が0.05~0.5である。
【0047】
格子構造のフィーチャサイズによりストライプ構造のフィーチャサイズおよび配列の初期位置が決められる。
【0048】
上記の実施例において、S2における、格子構造において第2材料層、第3材料層を交互に成長させることは、格子構造において第2膜厚を有する第2材料層、第3膜厚を有する第3材料層を交互に成長させることを含み、第2膜厚と第3膜厚とが同じであってもよく異なってもよい。
【0049】
S2において金属-誘電体材料を交互に成長させ、毎回成長する金属材料の膜厚が同じであり、毎回成長する誘電体材料の膜厚も同じであり、金属材料の膜厚と誘電体材料の膜厚とが同じであってもよく異なってもよく、金属-誘電体ストライプ配列の周期構造を実現できればよい。
【0050】
上記の実施例において、S2における金属がAg、Alのうちの1種であり、誘電体がSiO、Al、MgFのうちの1種である。
【0051】
金属膜層の材料は、表面プラズモンを励起するAgまたはAlを選択する。誘電体膜層の材料は、金属膜層の誘電率に合うSiO、Al、MgFを選択する。
【0052】
上記の実施例において、S3において第1中間構造に対して平坦化を行い、S6において第3中間構造に対して平坦化を行うことは、イオンビームエッチングまたは化学的機械研磨を利用して第1中間構造、第3中間構造に対して平坦化を行うことを含む。
【0053】
平坦化プロセスは、一般的に化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing、CMP)を選択するが、イオンビームエッチングを選択してもよい。CMPは、全般的な平坦化を実現するための常用技術であり、砥粒による機械的摩擦によりデバイスの表面で生成した化学反応物を除去し、超精密な表面加工を実現するとともに平滑な表面を得る技術であり、平坦化効果が優れる。
【0054】
上記の実施例において、S4において第2中間構造の上面と第2基板とを接着させるステップは、硬化剤により第2中間構造の上面と第2基板とを接着させることを含む。第1基板は、シリコン基板、石英基板、フッ化マグネシウム基板、フレキシブル基板のうちの1種である。第2基板は、石英基板、シリコン基板、サファイア基板のうちの1種である。
【0055】
第2中間構造の上面において硬化剤を塗布し、硬化作用により第2中間構造と第2基板とをしっかりと接着させる。具体的に、硬化剤は、硬化性接着剤であり得、例えば、紫外線硬化性接着剤、熱硬化性接着剤が挙げられる。第1基板と第2基板の材料の選択は、下記の点において相違している。第1基板は、平坦で清浄である条件のみを満たせばよく、これに対して、第2基板は、平坦で清浄である条件を満たすほか、レンズデバイスの使用要求、例えば、透明、熱安定性などの条件を満たす必要がある。
【0056】
上記の実施例に基づいて、S1において第1基板における第1材料層に対してフォトリソグラフィーを行うフォトリソグラフィー方法は、表面プラズモンフォトリソグラフィー、電子線直接描画フォトリソグラフィー、近接場光フォトリソグラフィーのうちの1種である。
【0057】
第1材料層に対してフォトリソグラフィーを行う方法は、第1材料層の材料種類に応じて選択することができる。例えば、第1材料層がAlである場合、表面プラズモンフォトリソグラフィー技術によりフォトリソグラフィーを行う。第1材料層がSiOである場合、通常の近接場光フォトリソグラフィー技術を採用する。
【0058】
上記の実施例において、S2における、格子構造において第2材料層、第3材料層を交互に成長させる方法は、マグネトロンスパッタリング蒸着、原子層堆積、化学気相成長、真空蒸着のうちの1種である。
【0059】
格子構造において金属-誘電体膜層を交互に成長させるとき、例えばAg膜層を成長させるとき、マグネトロンスパッタリング蒸着、原子層堆積、化学気相成長を採用してもよく、真空蒸着の方式を選択してもよい。MgF2膜層を成長させるとき、マグネトロンスパッタリング蒸着、原子層堆積、化学気相成長を採用してもよく、真空蒸着の方式を選択してもよい。
【0060】
本開示は、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズをさらに提供する。金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズは、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの上記の調製方法で調製された金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズを含む。
【0061】
該超解像レンズは、金属-誘電体多層膜構造ではなく、金属-誘電体ストライプ配列構造を呈し、入射光が金属-誘電体界面に沿って伝搬し、これによって、平面多層膜を通り抜けることに起因したエネルギー損失を防止し、エネルギー利用効率を顕著に向上させた。
【0062】
本開示は、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの上記の調製方法で調製された超解像レンズの超解像フォトリソグラフィーにおける使用をさらに提供する。
【0063】
本開示に係る調製方法で得られた金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズは、入射光が立体多層膜構造において金属膜層を何回も通り抜ける必要がなく、金属-誘電体界面に沿ってのみ伝搬するため、エネルギー利用効率が顕著に向上し、超解像フォトリソグラフィーに使用されると焦点合わせして結像する効果を顕著に向上させることができる。
【0064】
以下、具体的な実施形態を用いて本開示をさらに説明する。下記の実施例において金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法および使用を具体的に説明する。ただし、下記の実施例は、本開示を例示するためのものにすぎず、本開示の範囲がこれに限定されない。
【0065】
本実施例による金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズの調製方法は、下記のステップを含む。
【0066】
ステップ1:平坦な第1基板1を選択する。
【0067】
ステップ2:第1基板1の表面に犠牲層2を調製し、犠牲層2の厚さdが10~100nmである。
【0068】
ステップ3:犠牲層2の表面に第1材料層3を調製し、第1材料層3の厚さdが5~500nmである。
【0069】
ステップ4:フォトリソグラフィー技術を利用して、感光膜層において露光、現像により所要のデューティ比を有する感光膜格子パターン4を得、得られた第1材料層で調製された格子構造は、格子構造のフィーチャサイズdが5~300nmであり、パターンのデューティ比が0.05~0.5に収められる。
【0070】
ステップ5:ステップ4で得られた感光膜格子パターン4に対してエッチングし、感光層における格子パターンを第1材料層3に転写し、格子構造を得る。これが上記のステップS1に相当する。
【0071】
ステップ6:ステップ5で得られた格子構造において第2材料層5、第3材料層6を交互に成長させ、成長する第2材料層5の厚さd=5~300nmであり、成長する第3材料層6の厚さdが5~500nmである。これが上記のステップS2に相当する。
【0072】
ステップ7:エッチングまたは平坦化プロセスを利用し、最後に成長した材料層の表面において膜層の平坦化を行う。これが上記のステップS3に相当する。
【0073】
ステップ8:硬化性接着剤により、平坦化された膜層の上面と第2基板9とを接着させる。これが上記のステップS4に相当する。
【0074】
ステップ9:犠牲層剥離工程を利用し、犠牲層とストライプ配列構造とを第1基板1から脱離させ、構造が第2基板9の上に位置するように構造および第2基板9を反転させる。剥離は、手動剥離であってもよく自動剥離であってもよい。
【0075】
ステップ10:ウェット化学的除去方法を利用して犠牲層2を除去する。これがステップS5に相当する。
【0076】
ステップ11:平坦化プロセスを利用して、金属-誘電体ストライプ配列構造を調製する。これが上記のステップS6に相当する。
【0077】
上記のステップ1~ステップ11に基づいて、以下、3つの具体的な実施例を提供する。
【0078】
実施例1
図4A図4Jに示すように、具体的な実施ステップが下記の通りである。
【0079】
(1)第1基板1は石英材料であり、犠牲層2は、調製された金膜層であり、厚さが20nmであり、第1材料層3は、Al膜層であり、厚さが200nmであった。採用したフォトリソグラフィー技術は表面プラズモンフォトリソグラフィー技術であり、感光膜層は、AR-P3170フォトレジスト層であり、膜厚が100nmであった。マスクブランク材料が石英であり、マスク層材料がクロムであり、マスク構造パターンは周期が60nmであり、線幅が10nmであった。照射光線は365nmの紫外光であった。
【0080】
(2)超解像フォトリソグラフィーおよび現像プロセスを利用し、感光膜層において所定のデューティ比を有する格子パターンを得、エッチングにより該格子パターンをAl膜層に転写し、エッチング方法がICPエッチングであった。20nmのSiO膜層(第2材料層5)と10nmのAl膜層(第3材料層6)とを交互に成長させた。SiO膜層が電子線蒸着法で成長させ、Al膜層が熱蒸着で成長させた。化学的機械研磨プロセスを利用して平坦化を行い、紫外線ランプの照射で紫外線硬化性接着剤によりストライプ配列構造とシリコン基板(第2基板9)とを接着させた。第1基板1を剥離して反転することによりパターンの第2基板9への移しを実現し、クロム除去液を使用して犠牲層2を除去し、イオンビームエッチングプロセスにより膜層の平坦化を行い、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズ構造を得た。
【0081】
実施例2
図4A図4Jに示すように、具体的な実施ステップが下記の通りである。
【0082】
(1)第1基板1はSi材料であり、犠牲層2は、調製されたAZ3100フォトレジスト層構造であり、厚さが1000nmであり、第1材料層3は、Ag膜層であり、厚さが100nmであった。採用したフォトリソグラフィー技術は電子線直接描画フォトリソグラフィー技術であり、感光膜層は、PMMA電子線フォトレジスト層であり、膜厚が50nmであった。加工したナノパターンは、周期が100nmであり、線幅が25nmであった。
【0083】
(2)エッチングにより第1材料層3(Ag)に転写し、エッチング方法がIBEエッチングであり、採用したエッチング角度が30°であった。25nmのMgF2膜層と25nmのAg膜層とを交互に成長させ、MgF2膜層がRFスパッタで成長させ、Ag膜層がDCスパッタで成長させた。エッチング平坦化プロセスを利用して平坦化を行い、熱板の加熱で熱硬化性接着剤により他の石英基板(第2基板9)と接着させ、加熱温度が100℃であった。第1基板1を剥離して反転することによりパターンの第2基板9への移しを実現し、アセトン溶液を使用して犠牲層2を除去し、化学的機械研磨プロセスにより膜層の平坦化を行い、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズ構造を得た。
【0084】
図5は、本実施例による超解像レンズ構造と、従来の金属-誘電体多層膜レンズ構造とのエネルギー利用効率の比較を示す図面である。図5から分かるように、本実施例によるもののエネルギー利用効率は、従来の平面多層膜構造のエネルギー利用効率より100倍向上した。
【0085】
実施例3
図4A図4Jに示すように、具体的な実施ステップが下記の通りである。
【0086】
(1)第1基板1はガラス材料であり、犠牲層2は、調製されたAZ1500フォトレジスト層構造であり、厚さが500nmであり、第1材料層3は、SiO膜層であり、厚さが500nmであった。採用したフォトリソグラフィー技術が近接場光フォトリソグラフィー技術であり、感光膜層は、PHSフォトレジストであり、膜厚が30nmであった。加工したナノパターンは、周期が200nmであり、線幅が20nmであった。
【0087】
(2)エッチングにより第1材料層3(SiO)に転写し、エッチング方法が反応性イオンエッチング(RIE)であり、採用したエッチングガスがCHFガスであった。30nmのAg膜層と20nmのSiO膜層とを交互に成長させ、Ag膜層が熱蒸着で成長させ、SiO膜層が原子層堆積で成長させた。化学的機械平坦化プロセスを利用して平坦化を行い、365nmの紫外線光源で硬化して他の石英基板(第2基板9)と接着させ、硬化時間が2時間であった。第1基板1を剥離して反転することによりパターンの第2基板9への移しを実現し、硫酸溶液を使用して犠牲層2を除去し、エッチングプロセスにより膜層の平坦化を行い、金属-誘電体ストライプ配列に基づく超解像レンズ構造を得た。
【0088】
上記の具体的な実施例を用いて本開示の目的、技術案および有益な効果をさらに詳しく説明したが、上記は、本開示の具体的な実施例にすぎず、本開示を限定するものではない。本開示の精神および原理から逸脱しない限り、行った如何なる変更、均等置換、改良なども本開示の保護範囲内に属する。
【符号の説明】
【0089】
1 第1基板
2 犠牲層
3 第1材料層
4 感光膜格子パターン
5 第2材料層
6 第3材料層
7 第2材料層
8 硬化剤
9 第2基板
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図5
【国際調査報告】