(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】CVDリアクタ用のガス入口部材
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20240618BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/31 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568004
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2022064846
(87)【国際公開番号】W WO2022258446
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021114868.5
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502010251
【氏名又は名称】アイクストロン、エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100224269
【氏名又は名称】小島 佑太
(72)【発明者】
【氏名】ボイド、アダム
(72)【発明者】
【氏名】クローリー、フレッド・マイケル・アンドルー
(72)【発明者】
【氏名】メーヤー、ドミニク
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA05
4K030AA11
4K030AA17
4K030CA12
4K030EA04
4K030EA05
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4K030GA02
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4K030KA12
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4K030KA47
4K030LA14
5F045AB09
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5F045AD12
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5F045EF11
5F045EF14
5F045EJ01
5F045EK07
(57)【要約】
本発明は、ガス出口プレート(3)の後方に配置された第1のガス分配空間(6)を備えたCVDリアクタ用のガス入口部材に関し、前面にガス出口プレート(3)から突出した端部(4’)を有する第1の管(4)がその空間から現れ、それらの管はガス出口プレート(3)に平行に延在する遮蔽プレート部材(10,11)の第1の貫通孔(5)内に挿通している。その第1の貫通孔(5)は、ガス出口プレート(3)に向いて端部(4’)の外径よりも大きい大直径である第1の部分(5’)と、ガス出口プレート(3)とは反対向きで小直径である2部分(5”)とを有する。さらに、遮蔽プレート部材(10,11)は、異なる熱伝導率をもつ互いに上下に配置された2枚の遮蔽プレート(10,11)からなることが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CVDリアクタ用のガス入口部材(2)であって、ガス出口プレート(3)の後方に配置された第1のガス分配空間(6)を有し、前記ガス出口プレート(3)から前方に突出する端部(4’)を有する第1の管(4)が前記第1のガス分配空間(6)から出ており、
前記第1の管(4)は、前記ガス出口プレート(3)に平行に延在する遮蔽プレート機構(10,11)の第1の貫通孔(5)内に入り込み、前記第1の貫通孔(5)は、前記端部(4’)の外径よりも大きい直径をもち前記ガス出口プレート(3)側に向いた第1部分(5’)を有すると共に、それより小さい直径をもち前記ガス出口プレート(3)とは反対側に向いた第2部分(5”)とを有する、前記ガス入口部材(2)において、
前記第2部分(5”)の直径が前記端部(4’)の端面の外径よりも小さく、前記端部(4’)は前記第1部分(5’)の底面に当接するか又は底面から離れており、前記端部(4’)の前記第1部分(5’)内への挿入深さ(T)は前記第1部分(5’)の深さ(P)以下であることを特徴とするガス入口部材。
【請求項2】
CVDリアクタ用のガス入口部材(2)であって、ガス出口プレート(3)の後方に配置された第1のガス分配空間(6)を有し、前記ガス出口プレート(3)から前方に突出する端部(4’)含む第1の管(4)が前記第1のガス分配空間(6)から出ており、
前記ガス出口プレート(3)の前方にそれに対し平行に延在しかつ少なくとも1つの遮蔽プレートを含む少なくとも1つの遮蔽プレート機構(10,11)を有し、前記遮蔽プレート機構(10,11)は第1の貫通孔(5)を具備する、前記ガス入口部材(2)において、
前記遮蔽プレート機構は、前記ガス出口プレート(3)側に向いた低熱伝導率の第1部分(10)と、前記第1部分(10)の隣りに位置し前記ガス出口プレート(3)とは反対側に向いた高熱伝導率の第2部分(11)とを有することを特徴とするガス入口部材。
【請求項3】
前記第1の管(4)の端部(4’)は、前記遮蔽プレート機構の前記第1部分(10)の前記第1の貫通孔(5’)に入り込むこと、及び/又は、
前記遮蔽プレート機構は、互いに熱伝導率が異なりかつ互いに隣り合って当接するか又は間隙を介して互いに離間する主面(10’,11’)を具備する2枚の遮蔽プレート(10,11)を有すること、及び/又は、
前記遮蔽プレート機構の前記第1部分(10)は石英からなり、かつ前記遮蔽プレート機構の前記第2部分(11)はグラファイトであるか又はコーティングされたグラファイトであることを特徴とする請求項2のガス入口部材(2)。
【請求項4】
前記遮蔽プレート機構(10,11)における、前記ガス出口プレート(3)側に向いた上側の主面(10”)は、前記ガス出口プレート(3)の下側の主面(3’)に対して距離(D)を有することを特徴とする前出請求項のいずれか1つのガス入口部材(2)。
【請求項5】
前記距離(D)は、前記端部(4’)の前記第1の貫通孔(5)内への挿入深さ(T)よりも短いことを特徴とする請求項4のガス入口部材(2)。
【請求項6】
前記ガス入口部材の第2のガス分配空間(7)の1つが第2の管(8)と流体連通しており、前記第2の管(8)における、前記第2のガス分配空間(7)とは反対側に向いた開口が、前記遮蔽プレート機構(10,11)の第2の貫通孔(9)と対向していることを特徴とする前出請求項のいずれか1つのガス入口部材(2)。
【請求項7】
前記ガス出口プレート(3)は、冷却装置(12)により冷却可能であることを特徴とする前出請求項のいずれか1つのガス入口部材(2)。
【請求項8】
前記ガス出口プレート(3)は、冷却液が流れることができる冷却空間(12)と隣接していることを特徴とする前出請求項の1つ以上のガス入口部材(2)。
【請求項9】
前記第2の管(8)の端部(8’)は、前記第2の貫通孔(9)における大直径の第1部分(9”)内に入り込み、かつ前記第2の貫通孔(9)の第2部分(9’)の直径は、前記第2の管(8)の前記端部(8’)の外径よりも小さいことを特徴とする請求項8のガス入口部材(2)。
【請求項10】
前記遮蔽プレート機構(10,11)は中央領域(Z)を有し、前記第1及び/又は第2の管(4,8)の前記端部(4’,8’)は、前記遮蔽プレート機構(10,11)の前記中心領域(Z)において、前記遮蔽プレート機構(10,11)の前記中央領域(Z)を取り囲む周縁領域(R)におけるよりも前記第1又は第2の貫通孔(5,9)内により深く又はより浅く入り込むことを特徴とする前出請求項の1つのガス入口部材(2)。
【請求項11】
前記第1及び/又は第2の貫通孔(9)が、前記遮蔽プレート機構(10,11)における前記ガス出口プレート(3)側に向いた主面(10”)に対して又は前記遮蔽プレート機構(10,11)における前記ガス出口プレート(3)とは反対側に向いた主面(10’)に対して漏斗状に拡大することを特徴とする前出請求項のいずれか1つのガス入口部材(2)。
【請求項12】
前記第1及び/又は第2の貫通孔(5,9)の前記第1部分の円筒形領域(5’,9’)は、前記第1及び/又は第2の貫通孔(5,9)の前記第2部分の円筒形領域(5”,9”)上に段部を形成して隣接していることを特徴とする前出請求項のいずれか1つのガス入口部材(1)。
【請求項13】
前出請求項のいずれか1つによるガス入口部材(2)のための遮蔽プレート機構であって、互いに平行に延在する2つ主面(10”,11”)とそれらの主面(10”,11”)の間に延在しそれらの主面(10”,11”)上に均一に分布した貫通孔(5,9)とを有する、前記遮蔽プレート機構において、
前記遮蔽プレート機構(10,11)の第1の主面(10”)は低熱伝導率部分から形成され、かつ前記遮蔽プレート機構(10,11)の第2の主面(11”)は高熱伝導率部分から形成されることを特徴とする遮蔽プレート機構。
【請求項14】
前記貫通孔(5,9)は、互いに直径の異なる部分(5’,5”,9’,9”)を有することを特徴とする請求項13に記載の遮蔽プレート機構。
【請求項15】
ガス入口部材(2)を有するCVDリアクタ(1)であって、前記ガス入口部材(2)は1つ以上のガス分配空間(6,7)を有し、前記ガス分配空間(6,7)はガス出口プレート(3)に開口する管(8)によってかつ/又はガス出口プレート(3)から突出する管(4)によってプロセスチャンバ(13)にプロセスガスを供給するために接続されており、前記プロセスチャンバ(13)は前記ガス出口プレート(3)をカバーしかつ貫通孔(5,9)を有する遮蔽プレート機構(10,11)とサセプタ(14)との間に位置し、
前記サセプタ(14)は、前記プロセスチャンバ(13)内でコーティングされる基板の担持体でありかつ加熱装置(15)により加熱可能である、前記CVDリアクタ(1)において、
請求項1~12のいずれか1つによる前記ガス入口部材(2)が形成されることを特徴とするCVDリアクタ。
【請求項16】
少なくとも2つの成分を含むプロセスガスを、サセプタ(14)と遮蔽プレート機構(10,11)により区画されたプロセスチャンバ(13)に供給することによって、CVDリアクタ(1)の加熱されたサセプタ(14)により担持された基板上に複数の成分を含む層を堆積するための方法において、
プロセスガスを供給するために、請求項1~13のいずれか1つによるガス入口部材(2)が用いられることを特徴とする方法。
【請求項17】
前記第1の管(4)にIII主族元素の反応ガスが、そして前記第2の管(8)にV主族の反応ガスが供給されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前出請求項の1つの、1つ以上の特徴的な特徴を特徴とするガス入口部材、遮蔽プレート、CVDリアクタ又は方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CVDリアクタ用のガス入口部材に関し、ガス出口プレートの後方に配置された第1のガス分配空間を有し、ガス出口プレートから前方に突出する端部を有する第1の管が第1のガス分配空間から出ており、第1の管は、ガス出口プレートに平行に延在する遮蔽プレート機構の第1の貫通孔内に入り込み、第1の貫通孔は、上記端部の外径よりも大きい直径をもちガス出口プレート側に向いた大直径の第1部分と、より小さい直径をもちガス出口プレートとは反対側に向いた第2部分とを有する。
【0002】
本発明はさらに、そのようなガス入口部材のための遮蔽プレート機構に関する。
【0003】
本発明はさらに、ガス入口部材を有するCVDリアクタ並びにCVDリアクタ内の基板上に複数の元素からなるコーティングを堆積するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
特許文献1は、CVDリアクタのガス入口部材を記載している。ガス入口部材は複数のガス分配空間を有し、その中にそれぞれガス供給管を通して搬送ガスと共にプロセスガスを供給することができる。プロセスガスは、V主族元素の水素化物とIII主族元素の有機金属化合物とし得る。搬送ガスとして、希ガス、窒素又は水素を用い得る。ガス入口部材は冷却され、そしてそのために冷却空間があり、それを通って冷却液体が流れる。ガス入口部材はガス出口面を有し、それはガス出口プレートの主面である。ガス分配空間の各々は、その主面上に実質的に均一に分布して配置された多数の管によって、ガス出口面と遮蔽プレート機構との間にある間隙と接続されている。遮蔽プレート機構は、第1及び第2の貫通孔を具備する遮蔽プレートからなり、間隙に供給されたプロセスガスは、それらの貫通孔を通ってプロセスチャンバに到達するために遮蔽プレート機構を通過して流れることができる。サセプタにより形成されたプロセスチャンバの床上には、層を堆積するための基板が配置されており、その層はプロセスガスの2つの要素から構成されている。このために、サセプタは、加熱装置によりプロセス温度に加熱される。
【0005】
特許文献2により、多部品からなる遮蔽プレート機構が知られている。
【0006】
上述した管は、遮蔽プレート機構の貫通孔内に挿入される端部を形成している。それらの管は金属製であり、ガス入口部材の冷却装置によって、遮蔽プレート機構におけるサセプタ側に向いた主面の温度よりも低い温度に冷却される。サセプタ側に向いた主面上のこの冷スポットは、サセプタ上の層の成長に局所的に影響を及ぼす。
【0007】
先行技術はさらに、特許文献3、4、5、6、7、8を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102011056589 号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102020103948号明細書
【特許文献3】米国特許第6,565,661号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0272154号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0217582号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2005/0241579号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2015/0007770号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2005/0255257号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、この影響を低減することを課題とする。本発明の課題の一つは、特に、遮蔽プレート機構におけるサセプタ側に向いた主面上の冷スポットを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、特許請求の範囲に規定された発明によって解決され、従属項は、下位の請求項に記載された発明の有利なさらなる発展を示すだけでなく、課題に対する独立した解決手段も示す。
【0011】
本発明の第1の態様では、第1のガス分配空間と接続される少なくとも1つの第1の管のための貫通孔が、互いに異なる直径をもつ2つの部分を有することが提供される。第1の管は、貫通孔の第1部分内に入り込む端部を有する。貫通孔のこの第1部分は、そこに入り込む第1の管の端部の外径よりも大きい内径を有する。貫通孔の第2部分は、より小さい直径を有する。特に直径は、端部の外径よりも小さい。貫通孔の第2部分の内径は、第1の管の内径にほぼ対応し得る。
遮蔽プレート機構が、特に、単一の遮蔽プレートから形成されるように設けられる。この遮蔽プレートは、第1の貫通孔を形成する多数の段付き孔を有し得る。段付き孔は、遮蔽プレートの主面上に均一に分布して配置されている。第1の貫通孔同士の間に第2の貫通孔を配置することができ、それらは第2の管に割り当てられている。第2の管も同様に端部を有し、それらの端部は、第2の貫通孔の大直径の部分に入り込むことができる。しかしながら、第2の管は、ガス出口面と面一に開口することもできる。第2の管は、第2のプロセスガスを供給可能な第2のガス分配空間と接続されている。
【0012】
特に、第1の管及び第1の貫通孔を通ってIII主族元素のプロセスガスが流れるように設けられる。第2の管及び第2の貫通孔を通ってV主族元素のプロセスガスが流れ得る。第2の貫通孔は、好ましくは第2の管の開口と対向している。
遮蔽プレート機構は、ガス出口プレート側に向いてガス出口プレートから離間した主面を有し得る。その距離は、貫通孔への端部の挿入深さよりも短くすることができる。その距離は特に、ガス出口プレートから突出する第1又は第2の管の端部の軸方向長さよりも短い。ガス出口プレートの材料厚さは、3mm~6mmの範囲とすることができる。好ましくは、その材料厚さは5.5mmである。ガス出口プレートは、冷却液体が流れる冷却空間と隣接し得る。冷却液体は、50℃~70℃の範囲の温度とすることができ、好ましくは約60℃とする。遮蔽プレート機構がガス出口プレートから離間する距離は、0.2mm~2mmの範囲とすることができる。その距離は好ましくは0.5mmである。貫通孔の両方の部分を円筒形に形成でき、それによって両方の部分の境界領域に直径の異なる段部を形成する。その段部は、貫通孔の軸中心に位置し得る。
【0013】
拡大した直径を有する部分の軸方向長さは、2mm~5mmとし得る。好ましくは、貫通孔における大直径部分の深さは、3mm又は4.6mmとし得る。遮蔽プレート機構の厚さ、及び特に遮蔽プレート機構を形成する単一の遮蔽プレートの厚さは、4mm~10mmの範囲とし得る。遮蔽プレート機構の好ましい厚さは、6mm又は8mmである。貫通孔内に入り込む管の端部の軸方向長さは、2mm~7mmの範囲とし得る。好ましい長さは、3.5mm~5mmとし得る。遮蔽プレートは、SiC製であってもよい。しかしながら、遮蔽プレート機構の遮蔽プレート又は複数のプレートは、グラファイト製でもよく、そのような遮蔽プレートをSiCでコーティングすることもできる。
ガス出口プレートからの遮蔽プレート又は遮蔽プレート機構の距離を変えるための手段を設けることができる。特にリフト装置が設けられ、それを用いてこの距離を設定できる。特にこの距離は、遮蔽プレート又は遮蔽プレート機構のプロセスチャンバに向いた側の表面温度が約250℃であるように設定される。
貫通孔の大直径部分の長さ、及び貫通孔の大直径部分内に挿入される端部の長さ又は挿入深さは、遮蔽プレートの表面温度が、プロセスチャンバ内で実行されるプロセスに応じて100℃~300℃の範囲になるように選択されることが好ましい。遮蔽プレート機構とガス出口プレートとの間の距離が拡大される洗浄プロセスのときは、表面温度は約850℃に達し得る。
【0014】
本発明の第2の態様では、遮蔽プレート機構が2つの部分を有する。このために遮蔽プレート機構は、互いに向き合った主面が互いに当接するか又は互いにわずかに離間している2枚の個別の遮蔽プレートから構成できる。遮蔽プレート機構の一部は低熱伝導率を有しすなわち断熱体として機能し、そして遮蔽プレート機構の別の一部は高熱伝導率を有しすなわち熱伝導体として機能することが重要である。本発明の好適な形態によれば、ガス出口プレートと直接に又は間隙を介して隣り合う遮蔽プレートは、断熱材料から、例えば石英から作製される。それに対し、プロセスチャンバ側に向いた遮蔽プレートは、良好な熱伝導材料から、例えばグラファイト又はコーティングされたグラファイトから形成される。
【0015】
異なる熱伝導率をもつ2つの部分を有する遮蔽プレート機構は、本発明の第1の態様の特徴も有することができ、特に、互いに異なる直径を具備するプロセスガス用の貫通孔も形成し得る。その場合、ガス出口プレート側に向いた上側の遮蔽プレートは大直径の部分を有し、そしてプロセスチャンバ側に向いたもう1つの遮蔽プレートはより小さい直径の貫通孔を有するように設けることができる。しかしながら、大直径の部分は、下側の遮蔽プレートにまで延在させることもでき、それによって管の端部が、上側の遮蔽プレートの貫通孔を通り抜けて下側の遮蔽プレートの貫通孔のより大きい部分にまで到達できる。それに替えて、上側の遮蔽プレートが互いに異なる直径をもつ貫通孔を有するように設けることもできる。大直径の貫通孔内には、第1の管が入り込む。第2のプロセスガス用の第2の管は、ガス出口プレートの下側の主面に開口する。
【0016】
本発明による遮蔽プレート機構又は本発明によるCVDリアクタ、又は本発明によるガス入口部材は、さらに、以下の特徴を有することができる。
ガス出口面は、平面視にて円形である。遮蔽プレート機構は、平面視にて円形面を有する。遮蔽プレート機構は、中央領域を有し得る。中央領域は、周縁領域により取り囲まれ得る。遮蔽プレート機構は、1つ以上の互いに上下に配置された遮蔽プレートから形成することができる。端部の長さは、中央領域において周縁領域におけるよりも長くしてもよい。端部の長さは、周縁領域において中央領域におけるよりも長くしてもよい。
第1又は第2の貫通孔の第1部分は、遮蔽プレート機構の全面に亘って同じ直径と同じ軸方向深さを有し得る。しかしながら、第1又は第2の貫通孔の第1部分が、中央領域において周縁領域とは異なる深さを有するようにもできる。第1及び/又は第2の貫通孔の第1部分及び/又は第2部分がそれぞれ、その軸方向の全長に亘って同じとなるように設計することもできる。それらの部分は、特に円筒形とし得る。第1及び/又は第2の貫通孔の第1部分及び第2部分は、平面視にて円形とし得る。さらに、第1又は第2の貫通孔がそれぞれ、主面に対して漏斗状に拡大するようにもできる。
【0017】
本発明はさらに、基板上に複数の成分を含む層を堆積する方法に関する。それらの成分は特に異なる元素であり、そして特にIII主族とV主族の元素である。その方法は、上述したように、ガス入口部材、遮蔽プレート機構、又はCVDリアクタを使用することを特徴とする。遮蔽プレート機構が均一な熱伝導率を有する場合は、均一な材料による1つの遮蔽プレートから形成することができる。そして、遮蔽プレート機構が異なる熱伝導率をもつ部分を有する場合は、2つの遮蔽プレートからなるようにできる。特に、III主族元素、特にIII主族の有機金属化合物を含むプロセスガスが流れる管は、遮蔽プレートの段付き孔内に入り込む端部を有する。その段付き孔は、管の端部の外径よりも小さい直径をもつ部分を有する。
さらに、V主族元素、特にV主族元素の水素化物が流れる管には、遮蔽プレートの孔内に入り込む端部がない。しかしながら、この第2の管も、同様に、段付き孔内に入り込む端部を有するようにもできる。
上述した特徴又は少なくともそれらの特徴の一部によって、遮蔽プレート機構におけるプロセスチャンバに向いた側の温度の均一性が改善される。
第2部分の直径が、本発明では、端部の端面の直径よりも小さいことによって、端部は、第1の部分内に、最大で第1の貫通孔の第1部分の底面まで挿入できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下、添付の図面を参照して例示的実施形態を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【
図2】
図2は、
図1に示したCVDリアクタの第1の例示的実施形態のガス入口部材2の詳細図であり、遮蔽プレート10はガス出口プレート3から短い距離Dにある。
【
図3】
図3は、
図2と同様の図であり距離Dが伸長されている。
【
図4】
図4は、
図2に示したガス入口部材の一部をさらに拡大した図である。
【
図5】
図5は、第2の例示的実施形態の
図2と同様の図である。
【
図6】
図6は、第3の例示的実施形態の
図2と同様の図である。
【
図7】
図7は、第4の例示的実施形態の
図2と同様の図である。
【
図8】
図8は、第5の例示的実施形態の
図2と同様の図である。
【
図9】
図9は、第6の例示的実施形態の
図2と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、基板上にIII-V層を堆積するためのCVDリアクタを概略的に示している。CVDリアクタ1のリアクタハウジング内にはサセプタ14があり、それはコーティングされたグラファイトからなりかつ加熱装置15によって850℃~1200℃のプロセス温度に加熱することができる。加熱装置15は、赤外ヒーター、RFヒーター又は抵抗ヒーターとし得る。サセプタ14における加熱装置15とは反対側の主面は、プロセスチャンバ内でコーティングされる基板を載置するために用いられる。サセプタ14により床面を区画されるプロセスチャンバ13は、ガス入口部材2により上面を区画される。プロセスチャンバ13の高さSは、7mm~15mmの範囲とし得る。好ましい高さSは約11mmである。ガス入口部材2は、特に金属製の上方部分を有し、その中にガス分配空間6、7が配置される。ガス分配空間6、7内に、ガス供給管16を用いて外部からプロセスガスを供給し得る。ガス分配空間6、7の各々には、好ましくは2つのプロセスガスのうちの一方が供給され、各々のプロセスガスは、例えばIII主族元素の有機金属化合物又はV主族元素の水素化物である反応ガスと水素とすることができる。
【0020】
図2は、ガス入口部材2の第1の例示的実施形態を示している。例えばIII主族成分を供給可能な第1のガス分配空間6は、第1の管4によってプロセスチャンバ13と流体的に連通している。第2のガス分配空間7は、第2の管8によって同様にプロセスチャンバ13と流体的に連通している。両方の管4、8は、供給管17によって冷却液体を供給可能な冷却空間12を通って延在している。冷却液体は排出管17’によって冷却空間12から排出される。このように構成された冷却装置によって、プロセスチャンバ13に向いた側にガス出口面3’を形成するガス出口プレート3が冷却される。
【0021】
サセプタ14とガス出口面3’との間には遮蔽プレート機構が延在している。
図2及び3に示した第1の例示的実施形態では、遮蔽プレート機構は、グラファイトからなる単一の遮蔽プレート10から形成されている。遮蔽プレート10は、SiCによりコーティングされている。遮蔽プレート10は、ガス出口面3’から距離Dだけ離れている主面10”を有する。その距離は0.5mmとすることができる。
【0022】
図2は、ガス入口部材2の第1の例示的実施形態を示している。例えばIII主族成分を供給可能な第1のガス分配空間6は、第1の管4によってプロセスチャンバ13と流体的に連通している。第2のガス分配空間7は、第2の管8によって同様にプロセスチャンバ13と流体的に連通している。両方の管4、8は、供給管17によって冷却液体を供給可能な冷却空間12を通って延在している。冷却液体は排出管17’によって冷却空間12から排出される。このように構成された冷却装置によって、プロセスチャンバ13に向いた側にガス出口面3’を形成するガス出口プレート3が冷却される。
【0023】
サセプタ14とガス出口面3’との間には遮蔽プレート機構が延在している。
図2及び3に示した第1の例示的実施形態では、遮蔽プレート機構は、グラファイトからなる単一の遮蔽プレート10から形成されている。遮蔽プレート10は、SiCによりコーティングされている。遮蔽プレート10は、ガス出口面3’から距離Dだけ離れている主面10”を有する。その距離は0.5mmとすることができる。
【0024】
遮蔽プレート10は、第1及び第2の貫通孔5、9を有し、それらは遮蔽プレート10の表面全体に均一に分布して配置されている。第1の貫通孔5は、大きい直径をもち円筒形の内部空間を備えた第1部分5’を有する。第1部分5’に続いて段部を形成して、より小さい直径をもつ第2部分5”がある。この第2部分も円筒形の内部空間を有し得る。第1部分5’がガス出口プレート3の方に開口する一方、第2部分5”はガス出口プレート3とは反対側に向いた、遮蔽プレート10の主面10’に開口する。
【0025】
第2の貫通孔9は、その全長に亘って同一の一定の円形断面と、第2部分5”の直径にほぼ対応する直径とを有する。
【0026】
図4に示すように、第1の管4はそれぞれ、ガス出口面3’を超えて突出する端部4’を有する。端部4’がガス出口面3’から突出する長さLは、例示的実施形態では、3.5mmであることが好ましい。貫通孔5の第1部分5’の深さPは3mmとすることができる。遮蔽プレート10の材料厚さBは6mmとすることができる。
【0027】
端部4’の端面は、第1部分5’の底面から離間することができる。しかしながら、例示的実施形態では、端部4’の端面は第1部分5’の底面5’”に当接している。この例示的実施形態では、挿入深さTは、第1部分5’の深さPに対応している。端部4’の端面が第1部分5’の底面から離れていると、挿入深さTは第1部分5’の深さPよりも小さくなる。第2部分5”の直径は、端部4’の外径よりも小さく、第1の管4の内径にほぼ対応し得る。その直径は、第1の管4の内径よりもやや小さいか、又は第1の管4の内径よりもやや大きい。
【0028】
第2の管8の開口は、第2の貫通孔の開口から離れている。
【0029】
図1に符号18で示すリフト装置を用いて、距離Dを大きくすることができる。これにより、遮蔽プレート10に対する冷却空間12の冷却装置の冷却効果が減少するため、、例えば遮蔽プレート10の主面10’を洗浄するエッチングを行うために、遮蔽プレート10を
図2に示した位置から
図3に示した動作位置へと降下させることができる。
図1及び2に示した動作位置では、主面10”の表面温度が約250℃である一方、
図3に示した動作位置では、主面10”の表面温度は800℃を超える可能性がある。
【0030】
図5に示した例示的実施形態は、第2の管もまた、上述した態様で第2の貫通孔9の大直径の第1部分9”内に入り込む点のみにおいて、
図2~
図4に示した例示的実施形態と実質的に異なる。この場合もまた、第2の管の端面は、第2の貫通孔の底面に載置されるか又は第2の貫通孔9の底面から離れている。第2の貫通孔の第2部分9”の直径は、この場合も、第2の貫通孔9の第1部分9’内に入り込む第2の管の端部8’の外径よりも小さい。
【0031】
図6に示した例示的実施形態では、端部4’は、実質的に円板状の遮蔽プレート10の中央領域Zにおいて、中央領域Zを取り囲む周縁領域Rにおけるよりも第1の貫通孔5内への挿入深さが小さい。
【0032】
図7に示した例示的実施形態では、端部4’は、実質的に円板状の遮蔽プレート10の中央領域Zにおいて、中央領域Zを取り囲む周縁領域Rにおけるよりも第1の貫通孔5内への挿入深さが大きい。
【0033】
図8に示した例示的実施形態は、第1及び/又は第2の貫通孔5、9が、遮蔽プレート10の主面10”に対して又は主面10’に対して、漏斗状に拡大しているという点において上述した例示的実施形態とは異なる。貫通孔5の第2部分5”は、底面5”’に対して及び主面10’に対して、漏斗状に拡大することができる。
【0034】
図8では、漏斗状の拡大部を有し得る貫通孔5、9の複数の異なる構成を示している。例示的実施形態では、第1の貫通孔5の各々及び第2の貫通孔9の各々が、互いに同じ形状を有する。
【0035】
図9及び10に示した例示的実施形態は、上述した例示的実施形態とは先ず、同じ材料から作製されかつ1枚のみの遮蔽プレートからなる遮蔽プレート機構に替えて、遮蔽プレート機構が2枚の遮蔽プレート10、11を有する点において異なる。ガス出口プレート3側に向いた上側の遮蔽プレート10は、例えば石英である熱伝導性の小さい材料から作製でき、したがって断熱体を形成する。ガス出口プレート3とは反対側に向きプロセスチャンバ13に向いて特にプロセスチャンバ13と隣接する下側の遮蔽プレート11は、例えばグラファイトである熱伝導性の大きい材料から作製できる。下側の遮蔽プレート11は、特に、上側の遮蔽プレート10よりも5倍、10倍、20倍大きい比熱伝導率を有する。両方の遮蔽プレート10、11は、互いに当接して位置することができる。しかしながら、それらは、互いに離間して位置することもできる。両方の遮蔽プレート10、11は、それぞれ貫通孔5、9を有し、上側の遮蔽プレート10は貫通孔5、9の上側部分5’、9’を、そして下側の遮蔽プレート11は貫通孔5、9の下側部分5”、9”をそれぞれ形成している。
【0036】
図9に示した例示的実施形態では、上側部分5’、9’が、それに割り当てられた下側部分5”、9”と同じ断面をそれぞれ有する。第1の管4及び第2の管8は、この例示的実施形態ではガス出口面3’に開口する。
【0037】
図10に示した例示的実施形態では、第1の管4の端部4’が、
図2~8に示した例示的実施形態を参照して説明したように、第1の貫通孔5の上側部分5’に入り込んでいる。この例示的実施形態では、上側の遮蔽プレート10の大直径の部分5’と、下側の遮蔽プレート11の小直径の部分5”が形成されている。遮蔽プレート10、11は、互いに同じ厚さを有し得る。しかしながら、それらは異なる材料厚さを有してもよい。ここでも、端部4’の端面は、下側プレート11の主面11’に当接するか、又は、
図10に示すようにそれらが離間するように設けることができる。
【0038】
上記の記載は、全体として本願の対象となる発明を説明するものであり、これらの発明は、少なくとも以下の特徴の組み合わせを通じて従来技術を独立して発展させており、これらの特徴の組み合わせのうちの2つ、それ以上、又はすべてを組み合わせることもできる。
【0039】
第2部分5”の直径が、端部4’の外径よりも小さいことを特徴とするガス入口部材。
【0040】
遮蔽プレート機構が、ガス出口プレート3側に向いた低熱伝導率の第1部分10と、その隣にあってガス出口プレート3とは反対側に向いた高熱伝導率の第2部分11とを有することを特徴とするガス入口部材。
【0041】
第1の管4の端部4’が、遮蔽プレート機構の第1部分10の第1の貫通孔5’内に入り込むこと、及び/又は、遮蔽プレート機構が、互いに異なる熱伝導率をもつ2枚の遮蔽プレート10、11を有し、それらの遮蔽プレートは互いに隣り合って当接するか又は間隙をもって互いに離間する主面10’、11’を有すること、及び/又は、遮蔽プレート機構の第1部分10が石英からなりかつ遮蔽プレート機構の第2部分11がグラファイト又はコーティングされたグラファイトからなることを特徴とするガス入口部材。
【0042】
遮蔽プレート機構10、11におけるガス出口プレート3側に向いた上側の主面10”が、ガス出口プレート3の下側の主面3’に対して距離Dだけ離れていること、及び/又は、距離Dが、端部4’の第1の貫通孔5内への挿入深さTよりも小さいことを特徴とするガス入口部材。
【0043】
ガス入口部材の第2のガス分配空間7が、第2の管8と流体的に連通しており、第2の管8における第2のガス分配空間7とは反対側に向いた開口が、遮蔽プレート機構10、11の第2の貫通孔9と対向していること、及び/又は、ガス出口プレート3が、冷却装置により冷却可能であること、及び/又は、ガス出口プレート3に対して、冷却液体が通過して流れ得る冷却空間12が隣接していることを特徴とするガス入口部材。
【0044】
第2の管8の端部8’が、第2の貫通孔9の大直径の第1部分9”内に入り込み、かつ、第2の貫通孔9の第2部分9’は、第2の管8の端部8’の外径よりも小さい直径を有することを特徴とするガス入口部材。
【0045】
遮蔽プレート機構10、11が中央領域Zを有し、第1及び/又は第2の管4、8の端部4’、8’が、遮蔽プレート機構10、11の中央領域Zにおいて、遮蔽プレート機構10、11の中央領域Zを取り囲む周縁領域Rにおけるよりも第1又は第2の貫通孔5、9内により深く又はより浅く挿入されることを特徴とするガス入口部材。
【0046】
前記第1及び/又は第2の貫通孔9が、遮蔽プレート機構10、11におけるガス出口プレート3側に向いた主面10”又は遮蔽プレート機構10、11におけるガス出口プレート3とは反対側に向いた主面10’に対して漏斗状に拡大していること、及び/又は、第1及び/又は第2の貫通孔5、9の第1部分の円筒形領域5’、9’は、第1及び/又は第2の貫通孔5、9の第2部分の円筒形領域5”、5”上に段部を形成して隣接していることを特徴とするガス入口部材。
【0047】
遮蔽プレート機構10、11の第1の主面10’が低熱伝導率をもつ部分から形成され、かつ遮蔽プレート機構10、11の第2の主面11’が高熱伝導率をもつ部分から形成されること、及び/又は、貫通孔5、9が、互いに異なる直径をもつ部分5’、5”、9’、9”を有することを特徴とする遮蔽プレート機構。
【0048】
ガス入口部材2が上述した請求項の1つによって形成されることを特徴とするCVDリアクタ。
【0049】
ガス入口部材2が上述した請求項の1つによって形成されることを特徴とする方法。
【0050】
第1の管4にIII主族元素の反応ガスが、第2の管8にV主族の反応ガスが供給されることを特徴とする方法。
【0051】
開示された全ての特徴は、(それ自体のために、また互いに組み合わされて)本発明に不可欠である。ここでの出願の開示は、関連する/追加された優先権書類(先の出願の写し)の開示内容をその内容全体に含み、それはこれらの書類の特徴を本願の請求項に組み込む目的でもある。従属請求項は、特にこれらの請求項に基づいて分割出願を行うために、引用される請求項の特徴がなくても、先行技術の独立した発明性のあるさらなる発展を特徴とする。各請求項で特定された発明は、前述の説明で特定された、特に参照符号が付与された、及び/又は符号の説明で特定された、1つ以上の機能を追加で有することができる。本発明はまた、特に、それらがそれぞれの使用目的に明らかに不要であるか、又は技術的に同じ効果を有する別の手段で置き換えることができる限り、前述の説明で述べた特徴の個々のものが実装されない設計形態に関する。
【符号の説明】
【0052】
1 CVDリアクタ
2 ガス入口部材
3 ガス出口プレート
3’ ガス出口面
4 第1の管
4’ 端部
5 第1の貫通孔
5’ 大直径部
5” 小直径部
5’” 底部
6 第1のガス分配空間
7 第2のガス分配空間
8 第2の管
8’ 端部
9 第2の貫通孔
9’ 大直径部
9” 小直径部
10 遮蔽プレート
10’ 主面
10” 主面
11 遮蔽プレート
11’ 主面
12 冷却空間
13 プロセスチャンバ
14 サセプタ
15 加熱装置
16 ガス供給管
17 冷却液供給管
17’ 冷却液排出管
18 リフト装置
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CVDリアクタ用のガス入口部材(2)であって、ガス出口プレート(3)の後方に配置された第1のガス分配空間(6)を有し、前記ガス出口プレート(3)から前方に突出する端部(4’)を有する第1の管(4)が前記第1のガス分配空間(6)から出ており、
前記第1の管(4)は、前記ガス出口プレート(3)に平行に延在する遮蔽プレート機構(10,11)の第1の貫通孔(5)内に入り込み、前記第1の貫通孔(5)は、前記端部(4’)の外径よりも大きい直径をもち前記ガス出口プレート(3)側に向いた第1部分(5’)を有すると共に、それより小さい直径をもち前記ガス出口プレート(3)とは反対側に向いた第2部分(5”)とを有する、前記ガス入口部材(2)において、
前記第2部分(5”)の直径が前記端部(4’)の端面の外径よりも小さく、前記端部(4’)は前記第1部分(5’)の底面に当接するか又は底面から離れており、前記端部(4’)の前記第1部分(5’)内への挿入深さ(T)は前記第1部分(5’)の深さ(P)以下であることを特徴とするガス入口部材。
【請求項2】
CVDリアクタ用のガス入口部材(2)であって、ガス出口プレート(3)の後方に配置された第1のガス分配空間(6)を有し、前記ガス出口プレート(3)から前方に突出する端部(4’)含む第1の管(4)が前記第1のガス分配空間(6)から出ており、
前記ガス出口プレート(3)の前方にそれに対し平行に延在しかつ少なくとも1つの遮蔽プレートを含む少なくとも1つの遮蔽プレート機構(10,11)を有し、前記遮蔽プレート機構(10,11)は第1の貫通孔(5)を具備する、前記ガス入口部材(2)において、
前記遮蔽プレート機構は、前記ガス出口プレート(3)側に向いた低熱伝導率の第1部分(10)と、前記第1部分(10)の隣りに位置し前記ガス出口プレート(3)とは反対側に向いた高熱伝導率の第2部分(11)とを有することを特徴とするガス入口部材。
【請求項3】
前記第1の管(4)の端部(4’)は、前記遮蔽プレート機構の前記第1部分(10)の前記第1の貫通孔(
5)に入り込むこと、及び/又は、
前記遮蔽プレート機構は、互いに熱伝導率が異なりかつ互いに隣り合って当接するか又は間隙を介して互いに離間する主面(10’,11’)を具備する2枚の遮蔽プレート(10,11)を有すること、及び/又は、
前記遮蔽プレート機構の前記第1部分(10)は石英からなり、かつ前記遮蔽プレート機構の前記第2部分(11)はグラファイトであるか又はコーティングされたグラファイトであることを特徴とする請求項2のガス入口部材(2)。
【請求項4】
前記遮蔽プレート機構(10,11)における、前記ガス出口プレート(3)側に向いた上側の主面(10”)は、前記ガス出口プレート(3)の下側の主面(3’)に対して距離(D)を有することを特徴とする
請求項1~3のいずれか1つのガス入口部材(2)。
【請求項5】
前記距離(D)は、前記端部(4’)の前記第1の貫通孔(5)内への挿入深さ(T)よりも短いことを特徴とする請求項4のガス入口部材(2)。
【請求項6】
前記ガス入口部材の第2のガス分配空間(7)の1つが第2の管(8)と流体連通しており、前記第2の管(8)における、前記第2のガス分配空間(7)とは反対側に向いた開口が、前記遮蔽プレート機構(10,11)の第2の貫通孔(9)と対向していることを特徴とする
請求項1~5のいずれか1つのガス入口部材(2)。
【請求項7】
前記ガス出口プレート(3)は、冷却装置(12)により冷却可能であることを特徴とする
請求項1~6のいずれか1つのガス入口部材(2)。
【請求項8】
前記ガス出口プレート(3)は、冷却液が流れることができる冷却空間(12)と隣接していることを特徴とする
請求項1~7の
いずれか1つのガス入口部材(2)。
【請求項9】
前記第2の管(8)の端部(8’)は、前記第2の貫通孔(9)における大直径の第1部分(
9’)内に入り込み、かつ前記第2の貫通孔(9)の第2部分(
9”)の直径は、前記第2の管(8)の前記端部(8’)の外径よりも小さいことを特徴とする請求項8のガス入口部材(2)。
【請求項10】
前記遮蔽プレート機構(10,11)は中央領域(Z)を有し、前記第1及び/又は第2の管(4,8)の前記端部(4’,8’)は、前記遮蔽プレート機構(10,11)の前記中心領域(Z)において、前記遮蔽プレート機構(10,11)の前記中央領域(Z)を取り囲む周縁領域(R)におけるよりも前記第1又は第2の貫通孔(5,9)内により深く又はより浅く入り込むことを特徴とする
請求項1~9のいずれか1つのガス入口部材(2)。
【請求項11】
前記第1及び/又は第2の貫通孔(9)が、前記遮蔽プレート機構(10,11)における前記ガス出口プレート(3)側に向いた主面(10”)に対して又は前記遮蔽プレート機構(10,11)における前記ガス出口プレート(3)とは反対側に向いた主面(10’)に対して漏斗状に拡大することを特徴とする
請求項1~10のいずれか1つのガス入口部材(2)。
【請求項12】
前記第1及び/又は第2の貫通孔(5,9)の前記第1部分の円筒形領域(5’,9’)は、前記第1及び/又は第2の貫通孔(5,9)の前記第2部分の円筒形領域(5”,9”)上に段部を形成して隣接していることを特徴とする
請求項1~11のいずれか1つのガス入口部材(1)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つによるガス入口部材(2)のための遮蔽プレート機構であって、互いに平行に延在する2つ主面(10”,11”)とそれらの主面(10”,11”)の間に延在しそれらの主面(10”,11”)上に均一に分布した貫通孔(5,9)とを有する、前記遮蔽プレート機構において、
前記遮蔽プレート機構(10,11)の第1の主面(10”)は低熱伝導率部分から形成され、かつ前記遮蔽プレート機構(10,11)の第2の主面(11”)は高熱伝導率部分から形成されることを特徴とする遮蔽プレート機構。
【請求項14】
前記貫通孔(5,9)は、互いに直径の異なる部分(5’,5”,9’,9”)を有することを特徴とする請求項13に記載の遮蔽プレート機構。
【請求項15】
ガス入口部材(2)を有するCVDリアクタ(1)であって、前記ガス入口部材(2)は1つ以上のガス分配空間(6,7)を有し、前記ガス分配空間(6,7)はガス出口プレート(3)に開口する管(8)によってかつ/又はガス出口プレート(3)から突出する管(4)によってプロセスチャンバ(13)にプロセスガスを供給するために接続されており、前記プロセスチャンバ(13)は前記ガス出口プレート(3)をカバーしかつ貫通孔(5,9)を有する遮蔽プレート機構(10,11)とサセプタ(14)との間に位置し、
前記サセプタ(14)は、前記プロセスチャンバ(13)内でコーティングされる基板の担持体でありかつ加熱装置(15)により加熱可能である、前記CVDリアクタ(1)において、
請求項1~12のいずれか1つによる前記ガス入口部材(2)が形成されることを特徴とするCVDリアクタ。
【請求項16】
少なくとも2つの成分を含むプロセスガスを、サセプタ(14)と遮蔽プレート機構(10,11)により区画されたプロセスチャンバ(13)に供給することによって、CVDリアクタ(1)の加熱されたサセプタ(14)により担持された基板上に複数の成分を含む層を堆積するための方法において、
プロセスガスを供給するために、請求項1~1
2のいずれか1つによるガス入口部材(2)が用いられることを特徴とする方法。
【請求項17】
前記第1の管(4)にIII主族元素の反応ガスが、そして前記第2の管(8)にV主族の反応ガスが供給されることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
以下、添付の図面を参照して例示的実施形態を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【
図2】
図2は、
図1に示したCVDリアクタの第1の例示的実施形態のガス入口部材2の詳細図であり、遮蔽プレート10
の主面10”はガス出口
面3’から短い距離Dにある。
【
図3】
図3は、
図2と同様の図であり距離Dが伸長されている。
【
図4】
図4は、
図2に示したガス入口部材の一部をさらに拡大した図である。
【
図5】
図5は、第2の例示的実施形態の
図2と同様の図である。
【
図6】
図6は、第3の例示的実施形態の
図2と同様の図である。
【
図7】
図7は、第4の例示的実施形態の
図2と同様の図である。
【
図8】
図8は、第5の例示的実施形態の
図2と同様の図である。
【
図9】
図9は、第6の例示的実施形態の
図2と同様の図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
図5に示した例示的実施形態は、第2の管もまた、上述した態様で第2の貫通孔9の大直径の第1部分
9’内に入り込む点のみにおいて、
図2~
図4に示した例示的実施形態と実質的に異なる。この場合もまた、第2の管の端面は、第2の貫通孔の底面に載置されるか又は第2の貫通孔9の底面から離れている。第2の貫通孔の第2部分9”の直径は、この場合も、第2の貫通孔9の第1部分9’内に入り込む第2の管の端部8’の外径よりも小さい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
第2の管8の端部8’が、第2の貫通孔9の大直径の第1部分9’内に入り込み、かつ、第2の貫通孔9の第2部分9”は、第2の管8の端部8’の外径よりも小さい直径を有することを特徴とするガス入口部材。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
前記第1及び/又は第2の貫通孔5、9が、遮蔽プレート機構10、11におけるガス出口プレート3側に向いた主面10”又は遮蔽プレート機構10、11におけるガス出口プレート3とは反対側に向いた主面10’に対して漏斗状に拡大していること、及び/又は、第1及び/又は第2の貫通孔5、9の第1部分の円筒形領域5’、9’は、第1及び/又は第2の貫通孔5、9の第2部分の円筒形領域5”、5”上に段部を形成して隣接していることを特徴とするガス入口部材。
【国際調査報告】