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特表2024-523025アルデヒド捕捉剤としてのポリアミン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】アルデヒド捕捉剤としてのポリアミン
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/64 20060101AFI20240618BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20240618BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20240618BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20240618BHJP
【FI】
C08G18/64 023
C08G18/48
C08G18/00 F
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577262
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2022065391
(87)【国際公開番号】W WO2022263229
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】21179329.4
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジェリコ トモヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン ヨースト
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ミヒャエル ハイドル
(72)【発明者】
【氏名】オイゲン リスト
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DA03
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF22
4J034DG03
4J034DG04
4J034DN03
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC63
4J034HC67
4J034HC71
4J034JA42
4J034KA01
4J034KB05
4J034KD03
4J034KD07
4J034KD12
4J034KE02
4J034QB19
4J034QC01
4J034RA03
(57)【要約】
本発明は、ポリウレタンを製造する方法に関し、前記方法は、(a)ポリイソシアネート、(b)イソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物、(c)任意に触媒、(d)一般式HN-W-NR-[W-NR]-[Q-NR]-[S-NR]-W-NHのポリマーアミンおよび任意に(e)発泡剤、(f)連鎖延長剤および/または架橋剤および(g)助剤および/または添加物を混合して反応混合物を形成させ、かつ前記反応混合物を反応させてポリウレタンを得ることを含み、ここで、各Wは互いに独立して、炭素原子3~10個を有する線状または分岐鎖状の炭化水素を表し、各Qはエチレン残基を表し、各Sは互いに独立して、置換炭化水素を表し、各Rは互いに独立して、水素または炭素原子1~10個を有する炭化水素残基を表し、Hは水素原子を表し、かつNは窒素原子を表し、lは0~100の値を表し、mは0~50の値を表し、かつnは0~100の値を表し、ここで、前記ポリマーアミン(d)の多分散度が少なくとも1.2である。さらに、本発明は、本発明による方法により製造できるポリウレタン、ならびに閉鎖空間における、例えば輸送機関におけるそのようなポリウレタンの使用および(b)イソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物、(c)触媒および(d)一般式HN-W-NR-[W-NR]-[Q-NR]-[S-NR]-W-NHのポリマーアミンおよび水を含む発泡剤を含み、ここで、前記ポリマーアミン(d)の多分散度が少なくとも1.2である、組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンを製造する方法であって、
(a)ポリイソシアネート、
(b)イソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物、
(c)任意に触媒、
(d)一般式
N-W-NR-[W-NR]-[Q-NR]-[S-NR]-W-NH
のポリマーアミンおよび任意に
(e)発泡剤、
(f)連鎖延長剤および/または架橋剤および
(g)助剤および/または添加物
を混合して反応混合物を形成させ、かつ前記反応混合物を反応させてポリウレタンを得ることを含み、
ここで、
各Wは互いに独立して、炭素原子3~10個を有する線状または分岐鎖状の炭化水素を表し、
各Qはエチレン残基を表し、
各Sは互いに独立して、置換炭化水素を表し、
各Rは互いに独立して、水素または炭素原子1~10個を有する炭化水素残基を表し、
Hは水素原子を表し、かつNは窒素原子を表し、
lは0~100の値を表し、
mは0~50の値を表し、かつ
nは0~100の値を表し、
ここで、前記ポリマーアミン(d)の多分散度が少なくとも1.2である、前記方法。
【請求項2】
Wがプロピレンまたはブチレンを表すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマーアミン(d)の数平均分子量が、GPCにより求めて、300~5000g/molであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記残基Rの50~100%が水素を表すことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記のイソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物(b)が、ポリエーテルオールを含有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒(c)が、組み込み可能なアミン触媒を含有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
組み込み可能な触媒として、1個以上のイソシアネートに対して反応性の基に加えて、1個以上の脂肪族の第三級アミノ基を有する化合物を使用することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記の組み込み可能な触媒の少なくとも1個の第三級アミノ基が、メチル残基およびエチル残基から互いに独立して選択される2個の残基、ならびにさらなる有機残基を有することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリウレタンが、10~850g/Lの平均密度を有するポリウレタンフォームであることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリウレタンが、850g/L超の平均密度を有する密なポリウレタンであることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリウレタンが、マットレスまたは家具の部材であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法により製造できる、ポリウレタン。
【請求項13】
閉鎖空間における請求項12に記載のポリウレタンの使用。
【請求項14】
(b)イソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物、(c)触媒および(d)一般式HN-W-NR-[W-NR]-[Q-NR]-[S-NR]-W-NHのポリマーアミン[式中、各Wは互いに独立して、炭素原子3~10個を有する線状または分岐鎖状の炭化水素を表し、各Qはエチレン残基を表し、各Sは互いに独立して、置換炭化水素を表し、各Rは互いに独立して、水素または炭素原子1~10個を有する炭化水素残基を表し、Hは水素原子を表し、かつNは窒素原子を表し、lは0~20の値を表し、mは0~10の値を表し、かつnは0~20の値を表す]、および水を含む発泡剤を含み、ここで、前記ポリマーアミン(d)の多分散度が少なくとも1.2である、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンを製造する方法に関し、前記方法は、(a)ポリイソシアネート、(b)イソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物、(c)任意に触媒、(d)一般式HN-W-NR-[W-NR]-[Q-NR]-[S-NR]-W-NHのポリマーアミンおよび任意に(e)発泡剤、(f)連鎖延長剤および/または架橋剤および(g)助剤および/または添加物を混合して反応混合物を形成させ、かつ前記反応混合物を反応させてポリウレタンを得ることを含み、ここで、各Wは互いに独立して、炭素原子3~10個を有する線状または分岐鎖状の炭化水素を表し、各Qはエチレン残基を表し、各Sは互いに独立して、置換炭化水素を表し、各Rは互いに独立して、水素または炭素原子1~10個を有する炭化水素残基を表し、Hは水素原子を表し、かつNは窒素原子を表し、lは0~100の値を表し、mは0~50の値を表し、かつnは0~100の値を表し、ここで、前記ポリマーアミン(d)の多分散度が少なくとも1.2である。さらに、本発明は、本発明による方法により製造できるポリウレタン、ならびに閉鎖空間における、例えば輸送機関におけるそのようなポリウレタンの使用および(b)イソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物、(c)触媒および(d)一般式HN-W-NR-[W-NR]-[Q-NR]-[S-NR]-W-NHのポリマーアミンおよび水を含む発泡剤を含み、ここで、前記ポリマーアミン(d)の多分散度が少なくとも1.2である組成物に関する。
【0002】
ポリウレタンは、多岐にわたる使用可能性の点で、例えば家具工業において座席クッション材料として、またはパーティクルボード用のバインダーとして、建設工業における絶縁材料として、例えば管、温水タンクまたは冷蔵庫の絶縁材料として、および例えば乗物製造における、パネル部材として、優れている。殊に自動車製造において、ポリウレタンは、例えば自動車外装においてスポイラー、屋根要素、懸架要素として、ならびに自動車内装において屋根パネル、カーペットフォームバッキング、ドアパネル、ステアリングホイール、ギヤノブおよび座席クッション材料として、しばしば使用される。
【0003】
その際に、ポリウレタンは、悪臭問題または高濃度の場合に体調不良をまねきうる有機物質を放散する傾向があることは公知である。その際に、殊に密閉空間、例えば建物または乗物、例えば自動車の室内が特に影響を受ける。そのような放散の一例は、アルデヒドの放散である。その際に、アルデヒド放散量を低下させるための多様なアプローチがすでにある。
【0004】
例えば欧州特許出願公開第1428847号明細書(EP 1428847)には、第一級および/または第二級アミノ基を有するポリマー物質を後から添加することにより、アルデヒド放散量を減少させることができることが記載されている。前記放散量の減少の要因となるのは、前記ポリマー中のアミノ基である。具体的に記載されているのは、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミンおよびポリアミドアミンである。ポリビニルアミンを使用する際に不利であるのは、例えば、この物質が、その製造方法に制約されて、容器および装置の腐食をまねく不純物を含有しうることである。ポリエチレンイミンは、確かにホルムアルデヒド捕捉剤として作用するが、しかしアセトアルデヒド放散量の増加をまねく。
【0005】
米国特許出願公開第2013/0203880号明細書(US 20130203880)には、ポリウレタンフォーム中のアルデヒド放散量を減少させるための物質としてポリヒドラゾジカルボンアミドを使用することが記載されている。しかしながら、アルデヒドの明らかな減少は、前記ポリオール成分中の2~5.5重量%の大量のポリヒドラゾジカルボンアミドの添加の場合にのみ達成される。ポリヒドラゾジカルボンアミドは同様に触媒的特性を有するので、この程度のこの物質の添加により、その反応プロファイルが変化する。さらに、大量のポリヒドラゾジカルボンアミドを使用する際に達成されるアルデヒド減少自体をさらに改善する必要がある。
【0006】
国際公開第2015/082316号(WO 2015082316)には、組み込み可能な触媒との組合せでホルムアルデヒド放散量を減少させるための一般式R-CH-R[式中、RおよびRは互いに独立して電子求引性残基を表す]のCH酸性化合物の使用が記載されている。その際に、ホルムアルデヒドを効率的に減少させることができるが、しかしながら、そのフォーム試験片は依然として揮発性有機物質(VOC)の高い放散量を示す。
【0007】
欧州特許出願公開第3310824号明細書(EP 3310824)には、ポリイソシアネートおよびポリオールが、1-ベンジル-1,3-プロパンジアミン、イソトリデシルオキシプロピル-1,3-ジアミノプロパン、ドデシルオキシプロピル-1,3-ジアミノプロパンおよびヘキシルオキシプロピル-1,3-ジアミノプロパンから選択されるアルデヒド捕捉剤の存在下で反応されることによる、ポリウレタンの製造方法が記載されている。欧州特許出願公開第3310824号明細書に記載されたアルデヒド捕捉剤は、これらの低分子量アミンがたいてい、より高い毒性を有する傾向があるという欠点を有する。
【0008】
本発明の課題は、放散挙動、殊にアルデヒド、例えばホルムアルデヒドの放散挙動が改善されており、かつさらなる化合物の卓越した放散挙動も有する、例えば窒素含有物放散量および臭気放散量も低下される、ポリウレタン、殊にポリウレタンフォームを提供することであった。
【0009】
本発明による課題は、(a)ポリイソシアネート、(b)イソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物、(c)任意に触媒、(d)一般式HN-W-NR-[W-NR]-[Q-NR]-[S-NR]-W-NHのポリマーアミンおよび任意に(e)発泡剤、(f)連鎖延長剤および/または架橋剤および(g)助剤および/または添加物を混合して反応混合物を形成させ、かつ前記反応混合物を反応させてポリウレタンを得ることを含む方法により製造でき、ここで、各Wは互いに独立して、炭素原子3~10個を有する線状または分岐鎖状の炭化水素を表し、各Qはエチレン残基を表し、各Sは互いに独立して、置換炭化水素を表し、各Rは互いに独立して、水素または炭素原子1~10個を有する炭化水素残基を表し、Hは水素原子を表し、かつNは窒素原子を表し、lは0~100の値を表し、mは0~50の値を表し、かつnは0~100の値を表し、ここで、前記ポリマーアミン(d)の多分散度が少なくとも1.2であるポリウレタンにより解決される。さらに、本発明は、本発明による方法により製造できるポリウレタン、ならびに閉鎖空間における、例えば輸送機関におけるそのようなポリウレタンの使用および(b)イソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物、(c)触媒および(d)一般式HN-W-NR-[W-NR]-[Q-NR]-[S-NR]-W-NHのポリマーアミンおよび水を含む発泡剤を含み、ここで、前記ポリマーアミン(d)の多分散度が少なくとも1.2である組成物に関する。
【0010】
本発明の意味でのポリウレタンは、公知のあらゆるポリイソシアネート重付加生成物を含む。これらは、イソシアネートとアルコールとからの付加生成物ならびにイソシアヌレート構造、アロファネート構造、尿素構造、カルボジイミド構造、ウレトンイミン構造、ビウレット構造およびさらなるイソシアネート付加生成物を含有していてよい変性ポリウレタンを含む。本発明によるこれらのポリウレタンは、殊に中実ポリイソシアネート重付加生成物、例えば熱硬化性プラスチック、およびポリイソシアネート重付加生成物をベースとするフォーム、例えば軟質フォーム、半硬質フォーム、硬質フォームまたはインテグラルフォームならびにポリウレタンコーティングおよびバインダーを含む。好ましくは、本発明によるポリウレタンは、ポリウレタンフォームまたは中実ポリウレタンであり、これらは、以下に説明されるポリウレタン構成単位(a)~(g)の他に、さらなるポリマーを含有しない。
【0011】
本発明の範囲内で、ポリウレタンフォームは、DIN 7726に従うフォームであると理解される。その際に、本発明によるポリウレタン軟質フォームは、DIN 53 421/DIN EN ISO 604に従って15kPa以下、好ましくは1~14kPaおよび殊に4~14kPaの10%ひずみ時圧縮応力もしくは圧縮強さを有する。本発明によるポリウレタン半硬質フォームは、DIN 53 421/DIN EN ISO 604に従って15kPa超~80kPa未満の10%ひずみ時圧縮応力を有する。本発明によるポリウレタン半硬質フォームおよびポリウレタン軟質フォームは、DIN ISO 4590に従って、好ましくは85%超、特に好ましくは90%超の連続気泡含有率を有する。本発明によるポリウレタン軟質フォームおよびポリウレタン半硬質フォームについてのさらなる詳細は、“Kunststoffhandbuch, Band 7, Polyurethane”、Carl Hanser Verlag、第3版、1993、第5章に見出される。
【0012】
本発明によるポリウレタン硬質フォームは、80kPa以上、好ましくは120kPa以上、特に好ましくは150kPa以上の10%ひずみ時圧縮応力を有する。さらに、前記ポリウレタン硬質フォームは、DIN ISO 4590に従って、80%超、好ましくは90%超の独立気泡含有率を有する。本発明によるポリウレタン硬質フォームについてのさらなる詳細は、“Kunststoffhandbuch, Band 7, Polyurethane”、Carl Hanser Verlag、第3版、1993、第6章に見出される。
【0013】
エラストマーポリウレタンフォームは、本発明の範囲内で、その厚さの50%だけの短時間の変形後に、DIN 53 577に従って、10分後にその出発厚さの2%を上回る永久変形を示さない、DIN 7726に従うポリウレタンフォームであると理解すべきである。それらは、ポリウレタン硬質フォーム、ポリウレタン半硬質フォームまたはポリウレタン軟質フォームであってよい。
【0014】
ポリウレタンインテグラルフォームは、その成形方法に制約されてコアよりも高い密度を有する表面層を有するDIN 7726に従うポリウレタンフォームである。前記コアおよび前記表面層について平均した全見掛け密度は、その際に好ましくは100g/L超である。本発明の意味でのポリウレタンインテグラルフォームも、ポリウレタン硬質フォーム、ポリウレタン半硬質フォームまたはポリウレタン軟質フォームであってよい。本発明によるポリウレタンインテグラルフォームについてのさらなる詳細は、“Kunststoffhandbuch, Band 7, Polyurethane”、Carl Hanser Verlag、第3版、1993、第7章に見出される。
【0015】
その際に、本発明によるポリウレタンは、好ましい実施態様において、10~850g/Lの平均密度を有するポリウレタンフォーム、好ましくはポリウレタン半硬質フォームまたはポリウレタン軟質フォームまたはポリウレタン硬質フォーム、特に好ましくはエラストマーポリウレタン軟質フォーム、ポリウレタン半硬質フォームまたはエラストマーポリウレタンインテグラルフォームである。前記エラストマーポリウレタンインテグラルフォームは、好ましくは、150~500g/Lの前記コアおよび前記表面層について平均した密度を有する。前記ポリウレタン軟質フォームは、好ましくは、10~100g/Lの平均密度を有する。前記ポリウレタン半硬質フォームは、好ましくは70~150g/Lの平均密度を有する。
【0016】
さらに好ましい実施態様において、前記ポリウレタンは、好ましくは850g/L超、好ましくは900~1400g/Lおよび特に好ましくは1000~1300g/Lの密度を有する中実ポリウレタンである。その際に、中実ポリウレタンは、発泡剤を添加せずに得られる。少量の発泡剤、例えば、製造に制約されてポリオール中に含まれている水は、その際に本発明の範囲内で発泡剤の添加として理解すべきではない。好ましくは、前記の緻密なポリウレタンを製造するための反応混合物は、水0.2重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満および殊に0.05重量%未満を含有する。
【0017】
その際に、本発明によるポリウレタンは、好ましくは、輸送機関、例えば船舶、飛行機、貨物自動車、乗用車またはバス、特に好ましくは乗用車またはバスおよび殊に乗用車の内部空間において使用される。その際に、前記の乗用車およびバスの内部空間は、以下では自動車内装品と呼ばれる。ポリウレタン軟質フォームは、その際に座席クッション材料として、ポリウレタン半硬質フォームは、ドアサイド要素または機器パネルのフォームバッキングとして、ポリウレタンインテグラルフォームは、ステアリングホイール、ギヤノブまたはヘッドレストとして、および中実ポリウレタンは、例えばケーブルシースとして、使用することができる。
【0018】
本発明によるポリウレタンの製造に使用されるポリイソシアネート成分(a)は、ポリウレタンの製造に公知のあらゆるポリイソシアネートを含む。これらは、従来技術から公知の脂肪族、脂環式および芳香族の2価または多価のイソシアネートならびにそれらの任意の混合物を含む。例は、2,2′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネートおよび4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、モノメリックジフェニルメタンジイソシアネートと前記ジフェニルメタンジイソシアネートの多核同族体との混合物(ポリメリックMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)またはそのオリゴマー、2,4-トリレンジイソシアネートまたは2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)またはそれらの混合物、テトラメチレンジイソシアネートまたはそのオリゴマー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)またはそのオリゴマー、ナフチレンジイソシアネート(NDI)またはそれらの混合物である。
【0019】
好ましくは、2,4-トリレンジイソシアネートおよび/または2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)またはそれらの混合物、モノメリックジフェニルメタンジイソシアネートおよび/または前記ジフェニルメタンジイソシアネートの多核同族体(ポリメリックMDI)およびそれらの混合物が使用される。さらに可能なイソシアネートは、例えば、“Kunststoffhandbuch, Band 7, Polyurethane”、Carl Hanser Verlag、第3版、1993、第3.2章および第3.3.2章に記載されている。
【0020】
前記ポリイソシアネート成分(a)は、ポリイソシアネートプレポリマーの形で使用することができる。これらのポリイソシアネートプレポリマーは、過剰量の前記ポリイソシアネート(成分(a-1))を、例えば30~100℃の温度で、好ましくは約80℃で、イソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物(b)(成分(a-2))および/または連鎖延長剤(f)(成分(a-3))と反応させて前記イソシアネートプレポリマーを得ることによって得ることができる。
【0021】
イソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物(a-2)および連鎖延長剤(a3)は、当業者に公知であり、かつ例えば“Kunststoffhandbuch, 7, Polyurethane”、Carl Hanser-Verlag、第3版、1993、第3.1章に記載されている。そのため、例えば、イソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物(a-2)として、以下に(b)で記載される、イソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物を使用することもできる。
【0022】
イソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物(b)として、イソシアネートに対して反応性の水素原子少なくとも2個を有する公知のあらゆる化合物、例えば2~8の官能価および400~15000g/molの数平均分子量を有するものを使用することができる。そのため、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールまたはそれらの混合物の群から選択される化合物を使用することができる。
【0023】
ポリエーテルオールは、例えば、エポキシド、例えばプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドから、またはテトラヒドロフランから水素活性なスターター化合物、例えば脂肪族アルコール、フェノール類、アミン、カルボン酸、水または天然物系の化合物、例えばサッカロース、ソルビトールまたはマンニトールを用いて、触媒を使用して製造される。ここでは塩基性触媒または複合金属シアン化物触媒を挙げることができ、これらは例えば、PCT/EP2005/010124号、欧州特許出願公開第90444号明細書(EP 90444)または国際公開第05/090440号(WO 05/090440)に記載されている。
【0024】
ポリエステルオールは、例えば、脂肪族または芳香族のジカルボン酸および多価アルコール、ポリチオエーテルポリオール、ポリエステルアミド、ヒドロキシル基含有ポリアセタールおよび/またはヒドロキシル基含有脂肪族ポリカーボネートから、好ましくはエステル化触媒の存在下で製造される。さらに可能なポリオールは、例えば、“Kunststoffhandbuch, Band 7, Polyurethane”、Carl Hanser Verlag、第3版、1993、第3.1章に記載されている。
【0025】
記載されたポリエーテルオールおよびポリエステルオールに加えて、ポリマーポリエーテルオールまたはポリマーポリエステルオールとも呼ばれる、充填剤含有ポリエーテルオールまたはポリエステルオールを使用することができる。そのような化合物は、好ましくは、熱可塑性プラスチック製の、例えばオレフィン系モノマー、例えばアクリロニトリル、スチレン、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸および/またはアクリルアミドから構成される分散粒子を含有する。そのような充填剤含有ポリオールは、公知であり、かつ商業的に入手可能である。それらの製造は、例えば、西独国特許出願公告第1111394号明細書(DE 1 111 394)、米国特許第3304273号明細書(US 3 304 273)、米国特許第3383351号明細書(US 3 383 351)、米国特許第3523093号明細書(US 3 523 093)、西独国特許出願公告第1152536号明細書(DE 1 152 536)、西独国特許出願公告第1152537号明細書(DE 1 152 537)、国際公開第2008/055952号(WO 2008/055952)および国際公開第2009/128279号(WO2009/128279)に記載されている。さらに、本発明によるイソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物(b)として、酸成分とアルコール成分との重縮合により得ることができる少なくとも1種のポリエステルオールを使用することができ、ここで、前記酸成分は、マロン酸および/またはそれらの誘導体を含有し、かつ前記アルコール成分は、炭素原子4~12個を有する脂肪族ジアルコールを含有する。それらの製造は、例えば、国際公開第2019/149583号(WO 2019/149583)に記載されている。
【0026】
本発明の特に好ましい実施態様において、前記成分(b)は、ポリエーテルオールを含有し、かつさらに好ましくはポリエステルオールを含有しない。
【0027】
一般式HN-W-NR-[W-NR]-[Q-NR]-[S-NR]-W-NHの化合物(d)の触媒作用に基づき、さらなるポリウレタン触媒の使用を減らすことができる。さらなる触媒(c)が使用される場合には、通常のあらゆるポリウレタン触媒を使用することができる。その際に、前記触媒(c)は、使用される場合には、好ましくは組み込み可能なアミン触媒を含有し、特に好ましくは、前記触媒(c)は、組み込み可能なアミン触媒からなる。
【0028】
前記ポリウレタンの製造に使用することができる通常の触媒として、例えば、アミジン、例えば2,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン、第三級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-シクロヘキシルモルホリン、N,N,N′,N′-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′-テトラメチルブタンジアミン、N,N,N′,N′-テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)尿素、ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-アザビシクロ-(3,3,0)-オクタン、および好ましくは1,4-ジアザビシクロ-(2,2,2)-オクタンおよびアルカノールアミン化合物、例えばトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N-メチルジエタノールアミンおよびN-エチルジエタノールアミンおよびジメチルエタノールアミンが挙げられる。同じように、有機金属化合物、好ましくは有機スズ化合物、例えば有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば酢酸スズ(II)、スズ(II)オクトエート、スズ(II)エチルヘキサノエートおよびスズ(II)ラウレートおよび有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエートおよびジオクチルスズジアセテート、ならびにビスマスカルボキシレート、例えばビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス-2-エチルヘキサノエートおよびビスマスオクタノエートまたはそれらの混合物が考慮に値する。前記有機金属化合物は、単独で、または好ましくは強塩基性アミンとの組合せで使用することができる。前記成分(b)がエステルである場合には、好ましくはもっぱらアミン触媒が使用される。
【0029】
組み込み可能なアミン触媒は、少なくとも1個、好ましくは1~8個および特に好ましくは1~2個の、イソシアネートに対して反応性の基、例えば第一級アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシル基、アミド基または尿素基、好ましくは第一級アミノ基、第二級アミノ基、ヒドロキシル基を有する。組み込み可能なアミン触媒はたいてい、殊に自動車車内領域において使用される低放散ポリウレタンの製造に使用される。そのような触媒は、公知であり、かつ例えば欧州特許出願公開第1888664号明細書(EP1888664)に記載されている。これらは、前記の1個以上のイソシアネートに対して反応性の基に加えて、好ましくは1個以上の第三級アミノ基を有する化合物を含む。好ましくは、前記の組み込み可能な触媒の第三級アミノ基のうち少なくとも1個は、少なくとも2個の脂肪族炭化水素残基を有し、好ましくは残基1個あたり炭素原子1~10個、特に好ましくは残基1個あたり炭素原子1~6個を有する。特に好ましくは、前記第三級アミノ基は、メチル残基およびエチル残基から互いに独立して選択される2個の残基、ならびにさらなる有機残基を有する。使用できる組み込み可能な触媒の例は、ビスジメチルアミノプロピル尿素、ビス(N,N-ジメチルアミノエトキシエチル)カルバメート、ジメチルアミノプロピル尿素、N,N,N-トリメチル-N-ヒドロキシエチルビス(アミノプロピルエーテル)、N,N,N-トリメチル-N-ヒドロキシエチルビス(アミノエチルエーテル)、ジエチルエタノールアミン、ビス(N,N-ジメチル-3-アミノプロピル)アミン、1-(3-アミノプロピル)ピロリジン、ジメチルアミノプロピルアミン、3-ジメチルアミノプロピル-N,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン、ジメチル-2-(2-アミノエトキシエタノール)、(1,3-ビス(ジメチルアミノ)-プロパン-2-オール)、N,N-ビス-(3-ジメチルアミノ-プロピル)-N-イソプロパノールアミン、ビス-(ジメチルアミノプロピル)-2-ヒドロキシエチルアミン、N,N,N-トリメチル-N-(3-アミノプロピル)-ビス(アミノエチルエーテル)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-メタノールおよび3-ジメチルアミノイソプロピル-ジイソプロパノールアミンまたはそれらの混合物である。
【0030】
触媒(c)が使用される場合には、これらは、例えば、前記成分(b)の全重量を基準として、触媒もしくは触媒組合せ物として0.001~5重量%、殊に0.05~2重量%の濃度で使用することができる。
【0031】
ポリマーアミン(d)として、一般式HN-W-NR-[W-NR]-[Q-NR]-[S-NR]-W-NHの化合物が使用され、ここで、前記ポリマーアミン(d)の多分散度は少なくとも1.2である。その際、Hは水素原子を表し、かつNは窒素原子を表す。
【0032】
各Wは、互いに独立して、炭素原子3~10個を有する線状または分岐鎖状の炭化水素、好ましくはプロピレン残基またはブチレン残基および殊にプロピレン残基を表す。
【0033】
各Qはエチレン残基を表す。各Sは、互いに独立して、置換炭化水素、例えばハロゲン原子または酸素原子で置換されたアルキレン残基を表すか、または環状残基を表す。その例は、残基CH-CH-O-CH-CH-または式
【化1】
の残基である。
【0034】
各Rは、互いに独立して、水素または炭素原子1~10個を有する炭化水素残基を表す。好ましくは、各Rは、水素原子、メチル残基、エチル残基またはプロピル残基、特に好ましくはメチル残基または水素を表す。特に好ましくは、前記残基Rの少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも75%および殊に100%が水素原子を表す。
【0035】
添字lおよびnは、0~100の値、mは0~50を表す。その際に、前記添字は、好ましくはポリマーアミン(d)の数平均分子量が、300~5000g/mol、特に好ましくは400~3000g/molおよび殊に600~1500g/molであるように選択される。前記ポリマーアミン(d)が、分子量分布を有することにより、l、mおよびnの値は平均により得られ、そのため分数値を取りうる。その際に、前記数平均分子量は、例えばGPCによって求めることができる。本発明の範囲内で、GPC測定は、3本カラムの組合せによって実施された:HFIP-LG Guard、PL HFIPGELおよびPL HFIPGel。溶離液を、ヘキサフルオロイソプロパノールおよびトリフルオロ酢酸カリウム0.05重量%を有する1mL/minの一定流量で搬送した。注入される試料を、プレフィルターMillipore Millex FG(0.2μm)を通してポンプ輸送した。50μLを、1.5mg/mLの濃度(溶離液で希釈)で注入した。このカラム流出物を、UV検出器DRI Agilent 1100を用いてλ=230および280nmで測定した。校正を、800~2200000g/molのモル質量を有するPMMA標準(PSS、マインツ、ドイツ)を用いて実施した。校正範囲外の値は外挿した。重量平均分子量および数平均分子量の比から計算される多分散度は、その際に、好ましくは少なくとも1.2、特に好ましくは1.3~10および殊に1.5~5である。
【0036】
その際に、単位-W-NR-、-Q-NR-および-S-NR-は、HN-W-が末端基として存在していることが保証されている限り、前記分子中に任意に、例えば交互、ブロック状または統計的に、好ましくは統計的に配置されていてよい。
【0037】
前記ポリマーアミン(d)は、ポリアミノ交換反応によって製造することができる。前記ポリマーアミン(d)の製造用の出発物質として使用することができる第一級アミンは、好ましくは末端基としてプロピレンアミン残基を有する。前記のプロピレンアミン基を有するジアミンに加えて、さらなる第一級ジアミンを使用することができる。これらは、線状、分岐状または環状の脂肪族ジアミンを含む。そのようなさらなるジアミンの例は、エチレンジアミン、ブチレンジアミン(例えば1,4-ブチレンジアミンまたは1,2-ブチレンジアミン)、ジアミノペンタン(例えば1,5-ジアミノペンタンまたは1,2-ジアミノペンタン)、ジアミノヘキサン(例えば1,6-ジアミノヘキサン、1,2-ジアミノヘキサンまたは1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン)、ジアミノヘプタン(例えば1,7-ジアミノヘプタンまたは1,2-ジアミノヘプタン)、ジアミノオクタン(例えば1,8-ジアミノオクタンまたは1,2-ジアミノオクタン)、ジアミノノナン(例えば1,9-ジアミノノナンまたは1,2-ジアミノノナン)、ジアミノデカン(例えば1,10-ジアミノデカンまたは1,2-ジアミノデカン)、ジアミノウンデカン(例えば1,11-ジアミノウンデカンまたは1,2-ジアミノウンデカン)、ジアミノドデカン(例えば1,12-ジアミノドデカンまたは1,2-ジアミノドデカン)であり、ここで、対応するα,ω-ジアミンは、それらの1,2-異性体に比べて好ましい、3,3′-ジメチル-4,4′-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4′-ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、ポリエーテルアミンおよび3-(メチルアミノ)プロピルアミン。好ましくは、1,2-エチレンジアミンおよび1,4-ブタンジアミンである。その際に、前記反応は、末端基としてプロピレンアミン残基、ブチレンアミン残基、ペンチレンアミン残基、ヘキシレンアミン残基、ヘプチレンアミン残基、オクチレンアミン残基、ノニレンアミン残基および/またはデシレンアミン残基、好ましくはプロピレンアミン残基および/またはブチレンアミン残基が得られるように制御される。これは、例えば、反応混合物への出発化合物の添加順序により制御することができる。
【0038】
前記ポリアミノ交換反応に好適な触媒は、とりわけ、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、およびPtの群から、好ましくはCo、Ni、Ru、Cu、およびPdの群から、特に好ましくはCo、Ni、およびCuからなる群から選択される1種以上の遷移金属を含む不均一系触媒である。
【0039】
前記ポリアミノ交換反応は、水素の存在下で、例えば、1~400barの水素分圧で、好ましくは1~200barで、および最も好ましくは1~100barで、および50~200℃の範囲内、好ましくは90~180℃の範囲内、および最も好ましくは130~170℃の範囲内の反応器温度で実施される。
【0040】
特に好ましい実施態様において、本発明によるポリマーアミン(d)は、モノマー(A)、任意にモノマー(B)および/または任意にモノマー(C)のポリアミノ交換反応により得られ、ここで、モノマー(A)は、以下の式で記載することができる:
【化2】
モノマー(B)は、以下の式で記載することができ、
【化3】
かつモノマー(C)は、以下の式で記載することができ、
【化4】
ここで、kは0~1であり、lは1~3であり、mは1~4であり、oは0~1であり、かつRは、C1~C18のアルキル鎖を記載する。
【0041】
モノマー(A)は、N,N′-ビス-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン(N4-アミン)であり、純粋な材料として、または粗製混合物としてのいずれかで、アクリロニトリル約2当量を1,3-プロパンジアミン(1,3-PDA)に付加することから出発し、引き続き還元して得られる。好ましくは、使用されるN4-アミンは、80重量%超、特に好ましくは90重量%超および殊に97重量%超の純度を有する。
【0042】
モノマー(A)の重要な特性は、C2-スペーサーで二置換された第二級ジアミンであり、これは、典型的なアミノ交換反応条件中の6員環および7員環(例えばピペラジンまたはホモピペラジン)の形のピペラジン単位への環化を回避し、ひいては高い純度で、より高分子量のポリマーの形成を可能にする。
【0043】
モノマー(B)の例は、1,3-PDA(m=1)、およびこれらのオリゴマー、例えばN1-(3-アミノプロピル)-プロパン-1,3-ジアミン(m=2)、N1,N1’-(プロパン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-1,3-ジアミン)(m=3)およびN1-(3-アミノプロピル)-N3-(3-((3-アミノプロピル)アミノ)プロピル)-プロパン-1,3-ジアミン(m=4)、またはこれらの混合物である。特に好適なのは、モノマー(B)として1,3-PDAである。
【0044】
モノマー(C)の例は、N1-メチルプロパン-1,3-ジアミン(o=0、l=1、k=0、R=CH)、N1-(3-アミノプロピル)-N1-メチルプロパン-1,3-ジアミン(o=1、l=1、k=0、R=CH)、N1-(3-アミノプロピル)-N3-メチルプロパン-1,3-ジアミン(o=0、l=1、k=1、R=CH)、N,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミン(o=1、l=1、k=1、R=CH)およびo=0~1、l=1~3およびk=0~1のバリエーションを有するモノマー、およびこれらの混合物である。前記モノマー(C)のR基は、C1~C18アルキル残基、好ましくはC1~C4、および最も好ましくはメチルである。特に好適には、前記モノマー(C)は、N,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミン(BAPMA)である。
【0045】
本発明によるポリマーアミン(d)の製造には、好ましくはモノマー(A)、任意にモノマー(B)および/または任意にモノマー(C)が溶液の形で予備混合され、かつ前記反応器中へ搬送される。選択的に、モノマー(A)、任意にモノマー(B)および/または任意にモノマー(C)は、好ましくは溶液の形で、互いに独立してポンプ輸送され、かつ前記反応器の直前に合一される。
【0046】
その際に、化合物(d)は好ましくは、前記成分(b)の重量を基準としてそれぞれ、0.001~5重量%、特に好ましくは0.01~2重量%、より好ましくは0.05~1重量%および殊に0.1~0.5重量%の量で使用される。
【0047】
本発明によるポリウレタンが、ポリウレタンフォームとして存在する場合には、本発明による反応混合物は、さらに発泡剤(e)を含有する。その際に、ポリウレタンの製造に公知のあらゆる発泡剤を使用することができる。これらは、化学発泡剤および/または物理発泡剤を含むことができる。そのような発泡剤は、例えば、“Kunststoffhandbuch, Band 7, Polyurethane”、Carl Hanser Verlag、第3版、1993、第3.4.5章に記載されている。化学発泡剤は、その際に、イソシアネートとの反応によりガス状生成物を形成する化合物であると理解される。そのような発泡剤の例は、水またはカルボン酸である。物理発泡剤は、その際に、前記ポリウレタン製造の供給原料中に溶解または乳化されており、かつ前記ポリウレタン形成の条件下で蒸発する化合物であると理解される。それらは、例えば、炭化水素、ハロゲン化炭化水素および他の化合物、例えば過フッ化アルカン、例えばペルフルオロヘキサン、クロロフルオロカーボン、およびエーテル、エステル、ケトン、アセタールおよび/または液体二酸化炭素である。その際に、前記発泡剤は、それぞれ任意の量で使用することができる。好ましくは、前記発泡剤は、生じるポリウレタンフォームが、10~850g/L、特に好ましくは20~800g/Lおよび殊に25~500g/Lの密度を有する量で使用される。特に好ましくは、水を含む発泡剤が使用される。
【0048】
連鎖延長剤および架橋剤(f)として、イソシアネートに対して反応性の基を少なくとも2個有し、かつ400g/mol未満の分子量を有する化合物を使用することができ、ここで、イソシアネートに対して反応性の水素原子を2個有する分子は、連鎖延長剤と呼ばれ、かつイソシアネートに対して反応性の水素を2個より多く有する分子は、架橋剤と呼ばれる。しかしながら、その際に、前記連鎖延長剤または架橋剤を省くこともできる。しかしながら、機械的性質、例えば硬さを変更するには、連鎖延長剤、架橋剤または任意にそれらの混合物の添加も有利であると判明していることがある。
【0049】
連鎖延長剤および/または架橋剤が使用される場合には、これらは通常、成分(b)~(f)の全重量を基準としてそれぞれ、0.5~60重量%、好ましくは1~40重量%および特に好ましくは1.5~20重量%の量で使用される。
【0050】
連鎖延長剤および/または架橋剤(f)が使用される場合には、ポリウレタンの製造の際に公知の連鎖延長剤および/または架橋剤を使用することができる。これらは、好ましくは、イソシアネートに対して反応性の官能基を有する低分子量化合物、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、グリコールおよびジアミンである。さらに可能な低分子量の連鎖延長剤および/または架橋剤は、例えば、“Kunststoffhandbuch, Band 7, Polyurethane”、Carl Hanser Verlag、第3版、1993、第3.2章および第3.3.2章に記載されている。
【0051】
さらに、助剤および/または添加物(g)を使用することができる。その際に、ポリウレタンの製造に公知のあらゆる助剤および添加物を使用することができる。例えば、表面活性物質、フォーム安定剤、セル調整剤、離型剤、充填剤、染料、顔料、難燃剤、酸化防止剤、加水分解保護剤、静真菌作用および静菌作用のある物質が挙げられる。そのような物質は、公知であり、かつ例えば、“Kunststoffhandbuch, Band 7, Polyurethane”、Carl Hanser Verlag、第3版、1993、第3.4.4章および第3.4.6~3.4.11章に記載されている。
【0052】
殊に化合物(d)および酸化防止剤の組合せは、有機物質、例えばアルデヒドの放散をさらに低下させる。酸化防止剤の例は、フェノール系物質、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、ベンゼンプロパノール酸、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-C7~C9分岐状アルキルエステル、アミン系酸化防止剤、例えばN,N′-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、チオ相乗剤、例えばジラウリル-5-チオジプロピオネート、ホスフィットおよびホスホニット、例えばトリフェニルホスフィット、ジフェニルアルキルホスフィット、ベンゾフラノンおよびインドリノン、他の酸化防止剤、例えばO-、N-およびS-ベンジル化合物、トリアジン化合物、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、置換および非置換の安息香酸のエステル、ニッケル化合物およびβ-チオジプロピオン酸のエステルまたはこれらの酸化防止剤のうち2種以上の混合物である。そのような酸化防止剤は、例えば、国際公開第2017/125291号(WO2017125291)に記載されており、かつ例えば、商品名Irganox 1076、Irganox 245、Irganox 2000、Irganox E201(ビタミンE)、Irganox 5057またはIrgafos 38で商業的に入手可能である。
【0053】
一般に、本発明によるポリウレタンの製造の際に、前記ポリイソシアネート(a)、前記ポリオール(b)、触媒(c)、化合物(d)および、使用される場合には、前記発泡剤(e)および連鎖延長剤(f)および/または架橋剤(g)は、前記ポリイソシアネート(a)のNCO基の、前記成分(b)、(c)、(d)および任意に(e)、(f)および(g)の反応性水素原子の合計に対する当量比が、0.75~1.5:1、好ましくは0.80~1.25:1であるような量で反応される。前記の気泡状プラスチックが、少なくとも部分的にイソシアヌレート基を含有する場合には、通常、1.5~20:1、好ましくは1.5~8:1の前記ポリイソシアネート(a)のNCO基の、前記成分(b)、(c)、(d)および任意に(e)、(f)および(g)の反応性水素原子の合計に対する比が使用される。1:1の比は、その際に100のイソシアネート指数に相当する。好ましい実施態様において、その際に、ポリイソシアネート(a)を含有するイソシアネート成分は、イソシアネートに対して反応性の基を有するポリマー化合物(b)、触媒(c)、ポリマーアミン(d)および発泡剤(e)を含有するポリオール成分と反応される。特に好ましい実施態様において、前記ポリオール成分は、発泡剤である水を含有する。
【0054】
本発明によるポリウレタンを製造するための特別な出発物質(a)~(g)は、本発明によるポリウレタンとして熱可塑性ポリウレタン、軟質フォーム、半硬質フォーム、硬質フォームまたはインテグラルフォームが製造される際に、それぞれ、量的および質的にごくわずかに相違するのみである。そのため、例えば、中実ポリウレタンの製造には、発泡剤は使用されず、ならびに熱可塑性ポリウレタンには、主に厳密に二官能性の出発物質が使用される。さらに、例えば、少なくとも2個の反応性水素原子を有するより高分子量の化合物の官能価および鎖長を介して、本発明によるポリウレタンの弾性および硬さを変えることができる。そのような変形例は、当業者に公知である。
【0055】
中実ポリウレタンを製造するための出発物質は、例えば、欧州特許出願公開第0989146号明細書(EP 0989146)または欧州特許出願公開第1460094号明細書(EP 1460094)、軟質フォームを製造するための出発物質は、PCT/EP2005/010124号および欧州特許出願公開第1529792号明細書(EP 1529792)に、半硬質フォームを製造するための出発物質は、“Kunststoffhandbuch, Band 7, Polyurethane”、Carl Hanser Verlag、第3版、1993、第5.4章に、硬質フォームを製造するための出発物質は、PCT/EP2005/010955号におよびインテグラルフォームを製造するための出発物質は、欧州特許出願公開第364854号明細書(EP 364854)、米国特許第5506275号明細書(US 5506275)または欧州特許出願公開第897402号明細書(EP 897402)に記載されている。これらの文献に記載された出発物質に、ついで、それぞれさらに前記化合物(d)が添加される。
【0056】
本発明による方法によれば、本発明による方法により得ることができるポリウレタンも、本発明の対象である。本発明によるポリウレタンは、好ましくは閉鎖空間において、例えば居住用建物における熱絶縁材料、例えば管および冷蔵庫用の絶縁材として、家具製造において、例えば装飾要素としてまたは座席クッション材料として、マットレスとして、ならびに乗物の内部空間において、例えば自動車内部空間において、例えばステアリングホイール、ダッシュボード、ドアパネル、カーペットフォームバッキング、音響フォーム、例えばヘッドライナー、ならびにヘッドレストまたはギヤノブとして使用される。その際に、本発明によるポリウレタンについては、殊にそのホルムアルデヒド放散量は、添加剤なしの参考製品に比べて明らかに、しかし従来技術からのアルデヒドを低下させるための添加剤に比べても低下されている。さらに、本発明によるポリウレタンは、VDA 278およびVDA 277による極めて少量の揮発性有機化合物(VOC)を発散するに過ぎない。最後に、本発明によるポリウレタンは、卓越したエージング挙動および耐熱性を示す。
【0057】
本発明は、以下に、実施例に基づいて説明される。
【実施例
【0058】
アミン添加剤A1~A5を製造するために、以下のアミンを使用した:
N,N′-ビス-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン(N4-アミン)
N,N-ビス-(3-アミノプロピル)メチルアミン(BAPMA)
1,3-プロピレンジアミン(1,3-PDA)。
【0059】
アミン添加剤A1:ポリエチレン/-プロピレンコポリアミン(ポリ(N4-co-PDA)コポリマー(A1)の合成
1,3-PDAをN4-アミンと3:1重量%の比で予備混合したものを水素ガス15NL/hと一緒に、金属コバルトからなる固定層触媒の充填物、10mmの内径および3.17mmの内部サーモウェルを有する管形反応器に連続的にポンプ輸送する。その反応圧力は50barであり、前記反応器温度は175℃である。予備混合した出発材料を、0.2kg/Lcat×hの速度で搬送した。所望の生成物は、さらなる後処理工程なしに直接、澄明な流出物として得られた。得られた生成物は、3250g/molの重量平均分子量を有する。
【0060】
アミン添加剤A2:ポリエチレン/-プロピレンコポリアミン(ポリ(N4-co-PDA)コポリマー(A2)の合成
1,3-PDAをN4-アミンと3:1重量%の比で予備混合したものを水素ガス15NL/hと一緒に、金属コバルトからなる固定層触媒の充填物、10mmの内径および3.17mmの内部サーモウェルを有する管形反応器に連続的にポンプ輸送する。その反応圧力は50barであり、前記反応器温度は167℃である。予備混合した出発材料を、0.3kg/Lcat×hの速度で搬送した。流出物を、50mbarおよび60℃で2時間蒸留し、かつ生成物は、澄明な流出物として得られた。得られた生成物は、702g/molの重量平均分子量を有する。
【0061】
アミン添加剤A3:ポリエチレン/-プロピレンコポリアミン(ポリN4-ポリマー(A3)の合成
N4-アミンを水素ガス15NL/hと一緒に、金属コバルトからなる固定層触媒の充填物、10mmの内径および3.17mmの内部サーモウェルを有する管形反応器に連続的にポンプ輸送する。その反応圧力は50barであり、前記反応器温度は170℃である。予備混合した出発材料を、0.27kg/Lcat×hの速度で搬送した。所望の生成物は、さらなる後処理工程なしに直接、澄明な流出物として得られた。得られた生成物は、700g/molの重量平均分子量を有する。
【0062】
アミン添加剤A4:ポリプロピレン/-2,5-ビス(アミノメチル)テトラヒドロフランコポリアミン(ポリ(PDA-co-2,5-ビス(アミノメチル)テトラヒドロフラン)コポリマー(A4)の合成
1,3-PDAを2,5-ビス(アミノメチル)テトラヒドロフランと3:1重量%の比で予備混合したものを水素ガス15NL/hと一緒に、金属コバルトからなる固定層触媒の充填物、10mmの内径および3.17mmの内部サーモウェルを有する管形反応器に連続的にポンプ輸送する。その反応圧力は50barであり、前記反応器温度は170℃である。予備混合した出発材料を、0.28kg/Lcat×hの速度で搬送した。所望の生成物は、さらなる後処理工程なしに直接、澄明な流出物として得られた。得られた生成物は、1010g/molの重量平均分子量を有する。
【0063】
アミン添加剤A5:ポリエチレン/-プロピレンBAPMA-コポリアミン(ポリ(N4-co-PDA-co-BAPMA)コポリマー(A5)の合成
1,3-PDAをN4-アミンおよびBAPMAと4:3:3重量%の比で予備混合したものを水素ガス15NL/hと一緒に、前記金属コバルトからなる固定層触媒の充填物、10mmの内径および3.17mmの内部サーモウェルを有する管形反応器に連続的にポンプ輸送する。その反応圧力は50barであり、前記反応器温度は170℃である。予備混合した出発材料を、0.28kg/Lcat×hの速度で搬送した。所望の生成物は、さらなる後処理工程なしに直接、澄明な流出物として得られた。得られた生成物は、770g/molの重量平均分子量を有する。
【0064】
アミン添加剤V1:トリ-n-プロピレンテトラアミン(TPTA)
アミン添加剤V2:N,N′-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン(N4-アミン)
アミン添加剤V3:トリ-n-プロピレンテトラアミン50重量%およびN,N′-ビス-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン50重量%の混合物。
【0065】
前記ポリウレタンフォームを製造するために、以下の出発物質を使用した:
ポリオール1:27mgKOH/gの平均OH価、2.5の平均官能価およびポリエーテルの全重量を基準として78重量%のプロピレンオキシド含有率を有する、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドをベースとするグリセリン開始ポリエーテルポリオール。
【0066】
ポリオール2:35mgKOH/gの平均OH価、2.7の平均官能価およびポリエーテルの全重量を基準として85重量%のプロピレンオキシド含有率を有する、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドをベースとするグリセリン開始ポリエーテルポリオール。
【0067】
ポリオール3:42mgKOH/gの平均OH価、2.7の平均官能価およびポリエーテルの全重量を基準として25重量%のプロピレンオキシド含有率を有する、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドをベースとするグリセリン開始ポリエーテルポリオール。
【0068】
ポリオール4:55mgKOH/gの平均OH価を有する、アジピン酸、1,4-ブタンジオール、イソフタル酸およびモノエチレングリコールから形成されるポリエステルポリオール。
【0069】
TEOA トリエタノールアミン
Isopur(登録商標)SU-12021 ISL-Chemie社の黒色ペースト
乳化剤:マレイン酸-オレフィンコポリマーのハーフエステル
Jeffcat(登録商標)ZF10:Huntsman社のアミン触媒。
【0070】
イソシアネート1:31.5重量%のNCO含有率および2.7の平均官能価を有する、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)。
【0071】
イソシアネート2:23重量%のNCO含有率および2の平均官能価を有する、メチレンジフェニルジイソシアネート、ジプロピレングリコールおよび250mgKOH/gの平均OH価、2の官能価およびポリエーテルの全重量を基準として83重量%のプロピレンオキシド含有率を有するポリエーテルポリオールからなるプレポリマー。
【0072】
イソシアネート3:29.5重量%のNCO含有率および2.2の平均官能価を有する、メチレンジフェニルジイソシアネートおよび対応するカルボジイミドからなる混合物。
【0073】
前記ポリオール成分を、以下の成分を混合することにより製造した:
ポリオール1 50.0重量部
ポリオール2 34.3重量部
ポリオール3 2.0重量部
ポリオール4 6.0重量部
TEOA 0.5重量部
乳化剤 0.5重量部
Isopur(登録商標)SU-12021 0.5重量部
水 2.9重量部
Jeffcat(登録商標)ZF10 0.3重量部
添加剤A1~A5、もしくはV1~V3 0.1重量部。
【0074】
前記イソシアネート成分を、以下の成分を混合することにより製造した:
イソシアネート1 30.0重量部
イソシアネート2 35.0重量部
イソシアネート3 35.0重量部。
【0075】
前記ポリオール成分および前記イソシアネート成分を100のイソシアネート指数で互いに混合し、かつ密閉型中へ添加したので、120g/Lの平均密度を有する成形品が得られた。前記成形品を、製造直後に気密遮光包装し、かつ放散量の測定まで製造後3~10日間、25℃で貯蔵した。以下に例1~5および比較例1~3と呼ぶ、得られたポリウレタン半硬質フォームの場合に、引き続き、その放散量値を以下のとおり測定した:
ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドを測定するために、ASTM D-5116-06に類似して行った。そのチャンバーサイズは、4.7リットルであった。ポリウレタン試料として、前記フォームの内部からの110mm×100mm×25mmのサイズを有する試験片を使用した。前記測定チャンバー中の温度は、前記測定中に65℃であり、その相対空気湿度は50%であった。その空気交換速度は毎時3.0リットルであった。前記ポリウレタンからの揮発性アルデヒドを有する排ガス流を、120分にわたって、2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)でコーティングされたシリカを有するカートリッジに導通した。前記DNPHカートリッジを、引き続き、アセトニトリルおよび水の混合物で溶離させた。溶出液中のホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドの濃度を、HPLC-UV-Visを用いて測定した。この構成によれば、ホルムアルデヒド放散量の検出限界(NG)は5μg/m以下であり、かつアセトアルデヒド放散量については6μg/m以下である。
【0076】
第1表:それぞれの添加剤A1~A5、ならびにV1~V2を記載された濃度において添加した場合の前記半硬質フォームからの前記チャンバー中で測定されたホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド放散量、ならびにVOCおよびFOG放散量(VDA 278に従って測定)、それぞれ上記の混合物Aの重量%で記載される。
【0077】
第1表
【表1】
【0078】
第1表は、前記混合物A中の本発明による添加剤A1~A5の使用により、そのホルムアルデヒド放散量が、著しく低下し、かつアセトアルデヒド放散量が、変わらないままであるか、またはわずかに低下することを示す。添加剤V1~V3は、確かに同様にそのホルムアルデヒド放散量の低下をもたらすが、そのアセトアルデヒド放散量の上昇もまねく。
【0079】
第2表:それぞれの添加剤A5、V1~V3を記載された濃度で添加した場合の半硬質フォームのVOCおよびFOG放散量(VDA 278に従って測定)、上記の混合物Aの重量%でそれぞれ記載される。
【0080】
第2表
【表2】
【0081】
第2表は、前記混合物A中の本発明による添加剤の使用により、VOCならびにFOG放散量が、添加剤V1~V3を有する対応するフォームのレベルを下回ることを示す。
【国際調査報告】