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特表2024-523035粉砕されたメラミンフォーム粒子を用いてメラミン樹脂フォームを製造する方法
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  • 特表-粉砕されたメラミンフォーム粒子を用いてメラミン樹脂フォームを製造する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】粉砕されたメラミンフォーム粒子を用いてメラミン樹脂フォームを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/04 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
C08J9/04 101
C08J9/04 CEZ
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023577706
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2022065386
(87)【国際公開番号】W WO2022263228
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】21179922.6
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ケーニッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート ヴァート
(72)【発明者】
【氏名】カイ オリヴァー ズィーゲンターラー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ハインツ シュタインケ
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA63
4F074BA34
4F074BA39
4F074BA95
4F074BC02
4F074CA25
4F074CC04Z
4F074CC55Y
4F074DA02
4F074DA24
4F074DA32
4F074DA57
4F074DA59
(57)【要約】
本発明は、マイクロ波放射を用いて水性混合物Mを加熱及び発泡することを含む、メラミン樹脂フォームを製造する方法であって、前記混合物Mが、メラミン樹脂フォーム粒子、少なくとも1種のメラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物、少なくとも1種の硬化剤、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種の発泡剤を含む方法並びにメラミン樹脂フォームスクラップをリサイクルする方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性混合物Mを、マイクロ波放射を用いて加熱及び発泡することを含む、メラミン樹脂フォームを製造する方法であって、前記混合物Mが、メラミン樹脂フォーム粒子、少なくとも1種のメラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物、少なくとも1種の硬化剤、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種の発泡剤を含む、前記方法。
【請求項2】
前記メラミン樹脂フォーム粒子が、顕微鏡法により測定して、150μm未満のD90値を有する粒子サイズ分布を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メラミン樹脂フォーム粒子が、10~500kg/mの範囲内のかさ密度を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
メラミン樹脂フォーム粒子対メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物の重量比が、0.5/100~10/100の範囲内である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物Mが、少なくとも1種のアニオン界面活性剤50~90重量%と少なくとも1種のノニオン界面活性剤10~50重量%との混合物を含む界面活性剤混合物を含み、ここで、前記重量パーセントは、前記界面活性剤混合物の全重量をそれぞれ基準としている、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ギ酸を硬化剤として使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ペンタンを発泡剤として使用する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ミル粉砕したメラミン樹脂フォームスクラップを、請求項1に記載の方法におけるメラミン樹脂フォーム粒子として使用する、メラミン樹脂フォームをリサイクルする方法。
【請求項9】
前記メラミン樹脂フォームの密度が、5~30kg/mの範囲内である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
メラミン樹脂フォームをリサイクルする方法であって、以下の工程:
a)メラミン樹脂フォームスクラップを、2~5cmの範囲内の最大寸法を有するフォームフレークにミル粉砕する工程、
b)工程a)からのフォームフレークを、光学顕微鏡又はふるい分けにより測定して、150μm未満のD90値を有する粒子サイズ分布を有するフォーム粒子にミル粉砕する工程、
c)工程b)からのフォーム粒子、少なくとも1種のメラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物、少なくとも1種の硬化剤、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種の発泡剤から水性混合物Mを形成する工程、
d)マイクロ波放射を用いて前記水性混合物Mを加熱及び発泡させて、メラミン樹脂フォームを製造する工程、及び
e)任意に、工程d)において得られたメラミン樹脂フォームを、120~300℃の温度で熱処理する工程
を含む、前記方法。
【請求項11】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法により得ることができる、メラミン樹脂フォーム。
【請求項12】
遮音及び/又は断熱のため又はクリーニングスポンジ、研削スポンジ又は研磨スポンジのための、請求項9に記載のメラミン樹脂フォームの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕されたメラミンフォーム粒子を用いてメラミン樹脂フォームを製造する方法並びにこの方法により得ることができるメラミン樹脂フォームに関する。特に、本発明は、メラミン樹脂フォームスクラップをリサイクルする方法に関する。
【0002】
関連する従来技術
国際公開第2010/039574号(WO 2010/039574)は、メラミンフォーム繊維とホルムアルデヒド捕捉剤とを含む、液状の硬質表面洗浄組成物に関する。
【0003】
中国特許出願公開第103030924号明細書(CN 103030924 A)には、機械的性質、例えば柔軟性及び圧縮強さが向上した繊維材料変性メラミンホルムアルデヒドフォームが開示されている。その繊維状材料、例えばガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、炭素繊維又は綿繊維は、その樹脂溶液の重合前のホルムアルデヒド溶液及びメラミンの0.2~10重量%の量で添加される。
【0004】
独国特許出願公開第102007009127号明細書(DE 10 2007 009 127 A1)は、連続気泡フォームの機械的性質、殊に圧縮強さを増加させるための、0.5~50重量%の繊維状フィラー、例えばメラミン繊維を含むアミノ樹脂をベースとする連続気泡フォームに関する。
【0005】
国際公開第2011/061178号(WO 2011/061178)は、約300~1600Hzの周波数範囲内で向上した吸音性及び消音特性を有し、ポリマーフォーム及び中空マイクロビーズの全重量を基準として、連続気泡ポリマーフォーム40~85重量%及び柔軟な外層を有する中空マイクロビーズ15~60重量%を含み、ここで、該中空マイクロビーズのD50値が、少なくとも70μm及び多くとも250μmである、メラミン樹脂フォームに関する。該メラミン樹脂フォームは、発泡性中空マイクロビーズを含む液状分散液に含浸される。
【0006】
国際公開第2009/021963号(WO 2009/021963)は、無機ナノ粒子を含むメラミン-ホルムアルデヒド縮合物に基づく研磨フォームの製造方法に関し、以下の工程を含む:(1)製造されうるフォームの初期縮合物及び無機ナノ粒子を含む溶液又は分散液を製造する工程、(2)工程(1)からの溶液又は分散液を加熱することにより、該初期縮合物を発泡させて、無機ナノ粒子を含むフォームを得る工程、及び該当する場合には(3)工程(2)において得られたフォームを熱処理して、これによりデリケートな表面を研磨する際に摩耗量が増加する工程。
【0007】
米国特許第8937106号明細書(US 8 937 106 B2)は、向上した熱伝導率及び吸音性を有し、ナノポーラス粒子、殊にエーロゲル又はエーロジルが充填された連続気泡フォームに関する。第1の実施態様において、該メラミン樹脂フォームは、ナノポーラスの、好ましくは無機の粒子に含浸される。第2の実施態様において、前記のナノポーラスの粒状粒子は、発泡前にメラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物と混合される。
【0008】
中国特許出願公開第112795053号明細書(CN 112 795 053 A)には、メラミンホルムアルデヒド樹脂廃棄物をリサイクルし、かつそれから難燃剤を製造する方法が開示されている。
【0009】
欧州特許出願公開第2703074号明細書(EP 2 703 074 A1)には、機械的及び音響学的特性の向上した組合せを有するメラミン樹脂フォームを製造し、かつ成形品を製造する方法が開示されている。
【0010】
本発明の課題は、メラミン樹脂フォームスクラップをリサイクルする方法を提供することである。殊に該メラミンフォームスクラップをリサイクルして、低密度で向上した洗浄挙動及び吸音性を有するメラミン樹脂フォームが製造されるべきである。
【0011】
前記課題を解決するために、本発明は、水性混合物Mを、マイクロ波放射を用いて加熱及び発泡することを含む、メラミン樹脂フォームを製造する方法であって、前記混合物Mが、メラミン樹脂フォーム粒子、少なくとも1種のメラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物、少なくとも1種の硬化剤、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種の発泡剤を含む方法を提供する。
【0012】
該メラミンフォーム粒子は、該メラミン樹脂フォームスクラップをミル粉砕することにより得ることができる。好ましくは該メラミンフォーム粒子は、2工程プロセスにおいてミル粉砕される。その第1工程において、メラミン樹脂フォームブロックは、フォームフレークにミル粉砕される。該フォームフレークの最大寸法は、好ましくは、2~5cmの範囲内である。第2工程において、該フォームフレークは、フォーム粒子にさらにミル粉砕される。該フォーム粒子の平均粒子サイズは、好ましくは1~250μmの範囲内である。
【0013】
好ましい実施態様において、該メラミン樹脂フォーム粒子は、1~250μm;より好ましくは10~200μm;及び最も好ましくは25~150μmの範囲内の平均粒子サイズを有する。該平均粒子サイズは、画像分析又はふるい分けと組み合わせた光学顕微鏡法又は電子顕微鏡法によって測定して、数平均で、D10、D50及びD90値を有する粒子サイズ分布として測定することができる。ふるい分けは、エアジェットシーブを使用して行うことができる。好ましくは、該メラミン樹脂粒子サイズの全分布のD90数は、光学顕微鏡により測定して、150μm未満、より好ましくは125μm未満、最も好ましくは50μm~110μmである。粒子の90%が、そのD90値未満の直径を有する。粒子の50%が、そのメジアン径D50よりも小さい直径を有し、かつ50%が、そのメジアン径D50よりも大きい直径を有する。
【0014】
好ましい実施態様において、該メラミン樹脂フォーム粒子は、10~500kg/m;より好ましくは15~250kg/m;及び最も好ましくは20~150kg/mの範囲内のかさ密度を有する。
【0015】
好ましい実施態様において、メラミン樹脂フォーム粒子対メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物の重量比は、0.01/100~50/100の範囲内;より好ましくは0.1/100~25/100の範囲内;及び最も好ましくは0.5/100~10/100の範囲内である。
【0016】
本発明の方法により製造されるメラミン樹脂フォームの密度は、好ましくは5~30kg/mの範囲内、より好ましくは8~20kg/mの範囲内である。
【0017】
該メラミンフォームは、国際公開第2009/021963号(WO 2009/021963)に記載されたように製造することができる。好ましくは該メラミン樹脂フォーム粒子は、粉末の形の又は水溶液中の少なくとも1種のメラミン樹脂と予備混合される。このメラミン樹脂予備混合物に、少なくとも1種の硬化剤、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種の発泡剤が添加されて、水性混合物Mを形成する。該メラミン樹脂フォームは、マイクロ波放射を用いて該水性混合物Mを加熱及び発泡することにより得られる。該メラミン樹脂フォームは、120~300℃の温度で熱処理されてよい。
【0018】
該メラミン/ホルムアルデヒド初期縮合物は、別個に製造されてよいか又は前記の2つの成分、すなわちメラミン及びホルムアルデヒドの商業的に入手可能な初期縮合物が使用されてよい。好ましくは、5:1~1.3:1、より好ましくは3.5:1~1.5:1の範囲のメラミンの、ホルムアルデヒドに対するモル比を有するメラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物が使用される。好ましくはその数平均分子量Mnは、200g/mol~1000g/molの範囲である。好ましいのは、未変性のメラミン/ホルムアルデヒド初期縮合物である。
【0019】
アニオン、カチオン及びノニオン界面活性剤並びにそれらの混合物は、分散剤/乳化剤として使用することができる。
【0020】
有用なアニオン界面活性剤は、例えばジフェニレンオキシドスルホネート、アルカン及びアルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、オレフィンスルホネート、アルキルエーテルスルホネート、脂肪アルコールスルフェート、エーテルスルフェート、α-スルホ脂肪酸エステル、アシルアミノアルカンスルホネート、アシルイセチオネート、アルキルエーテルカルボキシレート、N-アシルサルコシネート、アルキル及びアルキルエーテルホスフェートを含む。有用なノニオン界面活性剤は、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックコポリマー、アミンオキシド、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタンエステル及びアルキルポリグリコシドを含む。有用なカチオン乳化剤は、例えばアルキルトリアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩及びアルキルピリジニウム塩を含む。
【0021】
該分散剤/乳化剤は、該メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物を基準として、0.2重量%~5重量%の量で添加することができる。
【0022】
好ましくは該混合物Mは、少なくとも1種のアニオン界面活性剤50~90重量%と少なくとも1種のノニオン界面活性剤10~50重量%との混合物を含む界面活性剤混合物を含み、ここで、該重量パーセントは、該界面活性剤混合物の全重量をそれぞれ基準としている。
【0023】
硬化剤として、該メラミン樹脂のさらなる縮合を触媒する酸性化合物を使用することが可能である。これらの硬化剤の量は、一般に0.01重量%~20重量%の範囲内及び好ましくは0.05重量%~5重量%の範囲内であり、すべて該初期縮合物を基準としている。有用な酸性化合物は、例えば塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸、アミドスルホン酸、酸無水物及びそれらの混合物からなる群から選択される、有機酸及び無機酸を含む。好ましくはギ酸は、硬化剤として使用される。
【0024】
該混合物はさらに、少なくとも1種の発泡剤を含む。有用な物理発泡剤は、例えば、液体の形の、炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ハロゲン化された、より具体的には塩素化及び/又はフッ素化された、炭化水素、例えば塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール又はイソプロパノール、エーテル、ケトン及びエステル、例えばギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル又は酢酸エチル又はガスとしての空気、窒素又は二酸化炭素を含む。
【0025】
該混合物中の発泡剤の量は一般に、該フォームについて所望の密度に依存する。好ましくは該メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物に対する量は、該フォームの密度が5~15kg/m、より好ましくは6~12kg/mである量で、選択される。該発泡剤は、該メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物を基準として、0.5重量%~60重量%、好ましくは1重量%~40重量%及びより好ましくは1.5重量%~30重量%の量で該混合物中に好ましくは存在する。0~80℃の沸点を有する物理発泡剤を添加することが好ましい。最も好ましくはペンタンが発泡剤として使用される。
【0026】
該初期縮合物は、一般に該メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物の懸濁液を加熱することにより発泡して、発泡材料が得られる。
【0027】
エネルギーの導入は、好ましくは、電磁放射によって、例えば高周波放射によって、0.2~100GHz、好ましくは0.5~10GHzの周波数範囲内で、使用される混合物1kgあたり5~400kW、好ましくは5~200kW及びより好ましくは9~120kWで行うことができる。マグネトロンは、誘電体放射の有用な源であり、かつ1つのマグネトロン又は2つ以上のマグネトロンを同時に、使用することができる。
【0028】
製造された発泡材料を最終的に乾燥させて、該フォームから残留水及び発泡剤を除去することができる。乾燥は、好ましくは乾燥器中で40~200℃、特に好ましくは100~150℃の範囲内の温度で恒量まで実施される。前記の方法は、発泡材料のブロック又はスラブを提供し、任意の所望の形状の大きさにカットすることができる。
【0029】
好ましくは該方法は、メラミン樹脂フォームスクラップ、好ましくはその製造プラントから所望の仕様の範囲外の特性を有して製造されたメラミン樹脂フォームからのものを、リサイクルするのに使用される。本発明についてのさらなる対象は、以下の工程を含む、メラミン樹脂フォームをリサイクルする方法である:
a)メラミン樹脂フォームスクラップを、2~5cmの範囲内の最大寸法を有するフォームフレークにミル粉砕する工程、
b)工程a)からのフォームフレークを、光学顕微鏡又はふるい分けにより測定して、150μm未満のD90値を有する粒子サイズ分布を有するフォーム粒子にミル粉砕する工程、
c)工程b)からのフォーム粒子、少なくとも1種のメラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物、少なくとも1種の硬化剤、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種の発泡剤から水性混合物Mを形成する工程、
d)マイクロ波放射を用いて該水性混合物Mを加熱及び発泡して、メラミン樹脂フォームを製造する工程、及び
e)任意に、工程d)において得られたメラミン樹脂フォームを120~300℃の温度で熱処理する工程。
【0030】
本発明のさらなる対象は、本発明の方法により得ることができるメラミン樹脂フォームである。該メラミン樹脂フォーム粒子は、該メラミンフォーム全体に均質分布される。
【0031】
本発明による方法により製造されるメラミン樹脂フォームは、以下の方法により後処理されてよい:
1.熱圧縮して、より高い密度、より良好な耐久性及び洗浄挙動を有するフォームを得る。
2.疎水化して、より低い吸水率を有するフォームを得る、かつ
3.難燃剤に含浸して、火災の際のFST特性(炎、煙、毒性)を改善する。
【0032】
前記の軟質で未硬化のメラミン-ホルムアルデヒド発泡材料を圧縮し、かつ得られた発泡材料を硬化及び乾燥させる工程を含む、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂をベースとする異方性の機械的性質を有する反発弾性のある圧縮された発泡材料を製造する方法は、国際公開第2011/134778号(WO 2011/134778)に記載されている。
【0033】
フルオロカーボン樹脂及び/又はケイ素樹脂への含浸による親水化及び難燃性物質、例えばシリケート、ボレート、水酸化物又はホスフェートへの含浸は、国際公開第2007/023118号(WO 2007/023118)に記載されるように達成することができる。
【0034】
好ましくは該メラミン樹脂フォームの密度は、5~15kg/m、より好ましくは6~12kg/mの範囲内である。
【0035】
本発明により製造されるメラミン樹脂フォームのメラミン樹脂フォームは、遮音及び/又は断熱に又はクリーニングスポンジ、研削スポンジ又は研磨スポンジに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明によるメラミン樹脂フォームの顕微鏡写真
【0037】
粒子は、前者のセル状のストラットネットワークのフラグメントであり、かつそれぞれの形状(ストラット及びノード)を示す。その発泡プロセスにおいて、該粒子は、該MF樹脂により湿潤され、かつ多孔質又は緻密な部分構造をビルドアップすることができる(SEM写真)。
【0038】
実施態様
本発明は、以下の実施態様を含み、ここで、これらは、実施態様の特定の組合せを含む:
1.マイクロ波放射を用いて水性混合物Mを加熱及び発泡することを含む、メラミン樹脂フォームを製造する方法であって、前記混合物Mが、メラミン樹脂フォーム粒子、少なくとも1種のメラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物、少なくとも1種の硬化剤、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種の発泡剤を含む、該方法。
2.該メラミン樹脂フォーム粒子が、顕微鏡法により測定して、150μm未満のD90値を有する粒子サイズ分布を有する、実施態様1に記載の方法。
3.該メラミン樹脂フォーム粒子が、10~500kg/mの範囲内のかさ密度を有する、実施態様1又は2に記載の方法。
4.メラミン樹脂フォーム粒子対メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物の重量比が、1/100~10/100の範囲内である、実施態様1~3のいずれかの実施態様に記載の方法。
5.前記混合物Mが、少なくとも1種のアニオン界面活性剤50~90重量%と少なくとも1種のノニオン界面活性剤10~50重量%との混合物を含む界面活性剤混合物を含み、ここで、該重量パーセントは、該界面活性剤混合物の全重量をそれぞれ基準としている、実施態様1~4のいずれかに記載の方法。
6.ギ酸を硬化剤として使用する、実施態様1~5のいずれかに記載の該方法。
7.ペンタンを発泡剤として使用する、実施態様1~6のいずれかに記載の方法。
8.ミル粉砕したメラミン樹脂フォームスクラップを、実施態様1に記載の方法におけるメラミン樹脂フォーム粒子として使用する、メラミン樹脂フォームをリサイクルする方法。
9.該メラミン樹脂フォームの密度が、5~30kg/mの範囲内である、実施態様1~8のいずれかに記載の方法。
8.メラミン樹脂フォームをリサイクルする方法であって、以下の工程:
a)メラミン樹脂フォームスクラップを、2~5cmの範囲内の最大寸法を有するフォームフレークにミル粉砕する工程、
b)工程a)からのフォームフレークを、150μm未満のD90値を有する粒子サイズ分布を有するフォーム粒子にミル粉砕する工程、
c)工程b)からのフォーム粒子、少なくとも1種のメラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物、少なくとも1種の硬化剤、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種の発泡剤から水性混合物Mを形成する工程、
d)マイクロ波放射を用いて該水性混合物Mを加熱及び発泡させて、メラミン樹脂フォームを製造する工程、及び
e)任意に、工程d)において得られたメラミン樹脂フォームを、120~300℃の温度で熱処理する工程
を含む、前記方法。
9.実施態様1~9のいずれかの方法により得ることができる、メラミン樹脂フォーム。
10.遮音及び/又は断熱のため又はクリーニングスポンジ、研削スポンジ又は研磨スポンジのための、実施態様9に記載のメラミン樹脂フォームの使用。
【実施例
【0039】
以下に、本発明は、具体的に実施例を参照してより詳細にかつ記載されるが、しかしながら、実施例は、本発明を限定することを意図するものではない。
【0040】
測定方法:
ラム圧力値[N]:
メラミン樹脂フォームの機械的品質を評価するためのラム圧力測定を、次のとおりすべて実施した。8mmの直径及び10cmの高さを有する円柱状ラムを、11cmの直径及び発泡方向で5cmの高さを有する円柱状試料中へ90%の角度で該試料が裂けるまで押し込んだ。その引裂き力[N]は、以下にラム圧力値とも呼ばれ、該フォームの品質に関する情報を提供する。
【0041】
洗浄試験:
脂質エマルションは、2-プロパノール100mL中のPhysioderm Creme 100、Physioderm 6g及びActive Char 0.2g(活性炭、粒状、無灰1.5mm)、Merckの混合物からなり、これを、セラミックタイル上で約80mmのストリップで約400μmの皮膜厚で塗布し、160℃で15分間乾燥させる。
メラミン樹脂フォーム試験片(幾何学的形状:140mm×80mm×30mm)を、水中に10秒間置き、引き続き手により絞り出した。評価基準:2cmの幅の汚れた皮膜コーティングを除去するのに必要な、湿ったフォーム試験片の手での行程(上下=1行程)数。必要とされる行程が少なければ少ないほど、その洗浄効率はより良好になる。
【0042】
吸音度
吸音度を、ISO 10534-2に従ってインピーダンス管及び厚さ30mm、直径100mmを有するメラミン樹脂フォーム試料を用いて測定した。1250Hzでの吸収値が示される(1.000の値=吸収100%)。
【0043】
使用される材料:
MF 350g/molの平均分子量(数平均)Mを有するメラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物、1:3のメラミン:ホルムアルデヒドのモル比を有し、メラミンの他にさらなる熱硬化性樹脂形成剤を含まず、かつホルムアルデヒドの他にさらなるアルデヒドを含まず、かつスルフィット基フリーであった。
T1 C12/C14-アルキルスルフェート、ナトリウム塩。
T2 線状の飽和C16/C18脂肪アルコールから製造されたアルキルポリエチレングリコールエーテル。
MF-P ミル粉砕したメラミン-ホルムアルデヒドフォーム粒子(平均粒子サイズ60~120μm、かさ密度27g/L))。
【0044】
粒子サイズ分布の測定:
粒子サイズ分布を、Olympus BX 60を用いる光学顕微鏡測定により測定した。各試料につき、100個の個々の粒子を測定した。生じたデータを、数の合計分布D10、D50及びD90として計算した。粒子の90%は、そのD90値未満の直径を有する。粒子の50%が、そのメジアン径D50よりも小さい直径を有し、かつ50%が、そのメジアン径D50よりも大きい直径を有する。
【0045】
粒子サイズ分布を、エアジェットシーブALPINE Luftstrahlsieb(登録商標)200 LS-Nにより以下の条件で測定した:
試料重量:10g
ふるい:125、90及び60μm
真空(該ふるい下):40mbar
空気流速:50m/h。
【0046】
メラミン-ホルムアルデヒドフォーム粒子MF-P1の製造:
メラミン-ホルムアルデヒドフォームブロック(Basotect(登録商標))を、実験室規模でカッティングミルPallmann PS 3.5を用いてフォームフレーク(10~100mm)に粉砕し、15mmの正方形の穴のふるいに通した。該フレークを、さらにカッティングミルRetsch SM 2000でカットし、Condidurふるい1mmで重力によりふるい分けした。その処理量は毎時1.4kgであった。該粒子サイズは、顕微鏡により測定して、60~100μmであった。エアジェットシーブにより測定される粒子サイズ分布は、第1表にまとめられている。
【0047】
メラミン-ホルムアルデヒドフォーム粒子MF-P2の製造:
メラミン-ホルムアルデヒドフォームブロック(Basotect(登録商標))を、カッティングミルPallmann PS 3.5を用いてフォームフレーク(10~100mm)に粉砕し、15mmの正方形の穴のふるいに通した。該フレークを、手で配量し、生産規模でカッティングミルNetzsch、SecoMy 37(回転速度:1072min-1、エンジン出力37kW)を用いてさらにカットし、315mふるいでふるい分けした。その処理量は毎時300kgであった。該粒子サイズは、顕微鏡により測定して、40~60μmであった。顕微鏡及びエアジェットシーブにより測定される粒子サイズ分布は、第1表及び第2表にまとめられている。かさ密度は、湿度8%(±1%)で97kg/m(±2.5kg/m)であった。
【0048】
メラミン-ホルムアルデヒドフォーム粒子MF-P3の製造:
メラミン-ホルムアルデヒドフォームブロック(Basotect(登録商標))を、カッティングミルPallmann PS 3.5を用いてフォームフレーク(10~100mm)に粉砕し、15mmの正方形の穴のふるいに通した。該フレークを、手で配量し、生産規模でカッティングミルNetzsch、SecoMy 50 S(3000min-1での空気分級機、回転速度:1072min-1、エンジン出力37kW)を用いてさらにカットし、315mふるいでふるい分けした。その処理量は毎時160kgであった。顕微鏡及びエアジェットシーブにより測定される粒子サイズ分布は、第1表及び第2表にまとめられている。
【0049】
第1表:光学顕微鏡によるMF-P1~MF-P3の粒子サイズ分布
【表1】
【0050】
第2表:エアジェットシーブによるMF-P1~MF-P3の粒子サイズ分布
【表2】
【0051】
比較例C1:
第1工程において、該メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物MF 100重量部、水38重量部、アニオン界面活性剤T1 1.2重量部、ノニオン界面活性剤T2 0.3重量部、ギ酸ナトリウム2.5部、ギ酸3.0部及びペンタン19.5重量部を、20~35℃の温度で互いに混合した。この混合物を、ポリプロピレンの発泡モールド中へ導入し、電子レンジ中でマイクロ波を照射した。マイクロ波照射後に得られた発泡体を、循環空気炉中で200℃で20minアニーリングした。該フォームの密度は10.2g/Lであり、かつラム圧力値は28.0Nであった。
【0052】
比較例C2:
第1工程において、該メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物MF 100重量部、水38重量部、アニオン界面活性剤T1 1.2重量部、ノニオン界面活性剤T2 0.3重量部、ギ酸ナトリウム2.5部、ギ酸3.0部及びペンタン17.8重量部を、20~35℃の温度で互いに混合した。この混合物を、ポリプロピレンの発泡モールド中へ導入し、かつ電子レンジ中でマイクロ波を照射した。マイクロ波照射後に得られた発泡体を、循環空気炉中で200℃で20minアニーリングした。該フォームの密度は8.6g/Lであり、かつラム圧力値は24.9Nであった。
【0053】
例1~4:
第1工程において、該メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物MF 100重量部、メラミン-ホルムアルデヒドフォーム粒子MF-P1 2.5~10重量部(第3表による量)、水38重量部、アニオン界面活性剤T1 1.2重量部、ノニオン界面活性剤T2 0.3重量部、ギ酸ナトリウム2.5部、ギ酸3.0部及びペンタン19.5重量部を、20~35℃の温度で互いに混合した。この混合物を、ポリプロピレンの発泡モールド中へ導入し、かつ電子レンジ中でマイクロ波を照射した。マイクロ波照射後に得られた発泡体を、循環空気炉中で200℃で20minアニーリングした。該フォームの密度は約10g/Lであり、かつラム圧力値は20~25Nであった(第3表参照)。
【0054】
【表3】
【0055】
例5~8:
例1~4を、メラミン-ホルムアルデヒドフォーム粒子MF-P2を用いて繰り返した。MF初期縮合物100部あたりの添加されたMP-P2の量及び得られたフォームの特性は、第4表にまとめられている。
【0056】
第4表:例5~8のリサイクルMF-P2フォーム粒子の量及びMFフォームの特性
【表4】
【0057】
例9~12:
例1~4を、メラミン-ホルムアルデヒドフォーム粒子MF-P3を用いて繰り返した。MF初期縮合物100部あたりの添加されたMP-P2の量及び得られたフォームの特性は、第5表にまとめられている。
【0058】
第5表:例9~12のリサイクルMF-P3フォーム粒子の量及びMFフォームの特性
【表5】
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性混合物Mを、マイクロ波放射を用いて加熱及び発泡することを含む、5~30kg/m の範囲内の密度を有するメラミン樹脂フォームを製造する方法であって、前記混合物Mが、メラミン樹脂フォーム粒子、少なくとも1種のメラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物、少なくとも1種の硬化剤、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種の発泡剤を含む、前記方法。
【請求項2】
前記メラミン樹脂フォーム粒子が、顕微鏡法により測定して、150μm未満のD90値を有する粒子サイズ分布を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メラミン樹脂フォーム粒子が、10~500kg/mの範囲内のかさ密度を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
メラミン樹脂フォーム粒子対メラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物の重量比が、0.5/100~10/100の範囲内である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物Mが、少なくとも1種のアニオン界面活性剤50~90重量%と少なくとも1種のノニオン界面活性剤10~50重量%との混合物を含む界面活性剤混合物を含み、ここで、前記重量パーセントは、前記界面活性剤混合物の全重量をそれぞれ基準としている、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ギ酸を硬化剤として使用する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ペンタンを発泡剤として使用する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ミル粉砕したメラミン樹脂フォームスクラップを、請求項1に記載の方法におけるメラミン樹脂フォーム粒子として使用する、メラミン樹脂フォームをリサイクルする方法。
【請求項9】
前記メラミン樹脂フォームの密度が、0kg/mの範囲内である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
メラミン樹脂フォームをリサイクルする方法であって、以下の工程:
a)メラミン樹脂フォームスクラップを、2~5cmの範囲内の最大寸法を有するフォームフレークにミル粉砕する工程、
b)工程a)からのフォームフレークを、光学顕微鏡又はふるい分けにより測定して、150μm未満のD90値を有する粒子サイズ分布を有するフォーム粒子にミル粉砕する工程、
c)工程b)からのフォーム粒子、少なくとも1種のメラミン-ホルムアルデヒド初期縮合物、少なくとも1種の硬化剤、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種の発泡剤から水性混合物Mを形成する工程、
d)マイクロ波放射を用いて前記水性混合物Mを加熱及び発泡させて、メラミン樹脂フォームを製造する工程、及び
e)任意に、工程d)において得られたメラミン樹脂フォームを、120~300℃の温度で熱処理する工程
を含む、前記方法。
【請求項11】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法により得ることができる、メラミン樹脂フォーム。
【請求項12】
遮音及び/又は断熱のため又はクリーニングスポンジ、研削スポンジ又は研磨スポンジのための、請求項9に記載のメラミン樹脂フォームの使用。
【国際調査報告】