(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】鉄トライアド金属及びその合金の電着溶液中のハロゲン化物濃度を測定及び監視するための無試薬方法及びプロセス制御
(51)【国際特許分類】
C25D 21/12 20060101AFI20240621BHJP
C25D 3/12 20060101ALI20240621BHJP
C25D 3/20 20060101ALI20240621BHJP
C25D 21/14 20060101ALI20240621BHJP
C25D 7/12 20060101ALI20240621BHJP
C25D 3/56 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C25D21/12 C
C25D3/12
C25D3/20
C25D21/14 B
C25D7/12
C25D3/56 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563333
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-16
(86)【国際出願番号】 US2022021117
(87)【国際公開番号】W WO2022260735
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャリット ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】バイ チュアンナン
(72)【発明者】
【氏名】パレク ヴィシャル
(72)【発明者】
【氏名】デン ボーリン
【テーマコード(参考)】
4K023
4K024
【Fターム(参考)】
4K023AA12
4K023AA13
4K023AA14
4K023AB18
4K023BA08
4K023DA11
4K024AA03
4K024AA04
4K024AA14
4K024BA11
4K024BB12
4K024CA01
4K024CA16
4K024CB24
4K024CB26
4K024GA04
4K024GA16
(57)【要約】
鉄トライアド金属及びその合金のための処理溶液中のハロゲン化物濃度を、選択的に測定及び監視するための方法及び装置を含む技術が、提供される。方法は、主な金属濃度の結果、例えば、鉄トライアド金属(例えば、ニッケル(Ni))の濃度の第2の分析測定値の補正を伴う、導電率などの第1の分析方法に基づき、ハロゲン化物イオンを監視することを含む。このような測定値から、特定のハロゲン化物イオンの濃度は、選択的に決定され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のハロゲン化物イオン及び1つ以上のめっき金属を含む処理溶液中のハロゲン化物イオンの濃度を決定するための方法であって、
前記処理溶液の導電率を測定することを含む第1の分析方法を実行して、第1の測定値を提供すること、
第2の分析方法を実行して、第2の測定値を提供すること、及び、
前記ハロゲン化物イオンの濃度を前記第1の測定値及び前記第2の測定値に基づいて決定すること、を含み、
ここで前記ハロゲン化物イオンは前記複数のハロゲン化物イオンから選択され、
ここで前記第1の分析方法は前記第2の分析方法とは異なる、
方法。
【請求項2】
前記第2の分析方法は、前記1つ以上のめっき金属の濃度を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上のめっき金属の前記濃度は、UV-Vis(紫外可視分光法)によって測定される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の分析方法は、前記処理溶液の吸光度を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のハロゲン化物イオンは、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のめっき金属は、鉄トライアド金属及びそれらの合金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のめっき金属は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、又は鉄(Fe)を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記処理溶液は、1つ以上の塩類の混合物を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記処理溶液の導電率は一定温度で測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記処理溶液は半導体処理溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
複数のハロゲン化物イオン及び所定の濃度の1つ以上のめっき金属を含む、処理溶液中のハロゲン化物イオンの濃度を決定するため方法であって、
前記処理溶液の導電率を測定することを含む第1の分析方法を実行して、第1の測定値を提供することと、
前記ハロゲン化物イオンの濃度を、前記第1の測定値及び前記1つ以上のめっき金属の前記所定の濃度に基づいて決定することを含み、
ここで前記ハロゲン化物イオンは前記複数のハロゲン化物イオンから選択される、
方法。
【請求項12】
前記複数のハロゲン化物イオンは、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上のめっき金属は、鉄トライアド金属及びそれらの合金を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上のめっき金属は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、又は鉄(Fe)を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記処理溶液は、1つ以上の塩類の混合物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記処理溶液の導電率は一定温度で測定される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記処理溶液は半導体処理溶液である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
複数のハロゲン化物イオン及び1つ以上のめっき金属を含む処理溶液中のハロゲン化物イオンの濃度を決定するための装置であって、
前記処理溶液を含む試験溶液を収容するように適合されたリザーバと、
サンプリング機構であって、前記リザーバに結合され、所定量の前記試験溶液を前記リザーバから前記サンプリング機構に結合された1つ以上のセンサに供給するように適合されたサンプリング機構と、を備え、
ここで前記1つ以上のセンサのそれぞれは、前記所定量の前記試験溶液の少なくとも一部分を受け取るように適合され、1つ以上の分析方法を実行するように動作し、
ここで前記1つ以上のセンサは、導電率センサ及び吸光度センサからなる群から選択される、
装置。
【請求項19】
前記試験溶液は前記処理溶液の1つ以上のサンプルを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記試験溶液は1つ以上の標準溶液を更に含む、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記サンプリング機構は、シリンジ、メスフラスコ、メスシリンダ、自動注入器、又は定量ポンプを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記1つ以上の分析方法は、前記試験溶液の導電率、前記1つ以上のめっき金属の濃度、又は前記試験溶液の吸光度のうちの1つ以上を測定することを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記吸光度センサに結合された吸光度計、光源、光検出器、又はそれらの組み合わせを更に備える、請求項18に記載の装置。
【請求項24】
前記導電率センサに結合された導電率計を更に備える、請求項18に記載の装置。
【請求項25】
前記1つ以上のセンサは、前記導電率センサ及び前記吸光度センサを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項26】
前記処理溶液は、所定の濃度の前記1つ以上のめっき金属を含み、前記1つ以上のセンサは前記導電率計を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項27】
前記1つ以上のめっき金属は、鉄トライアド金属及びそれらの合金を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項28】
前記1つ以上のめっき金属は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、又は鉄(Fe)を含む、請求項27に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理溶液、例えば半導体処理溶液の分析及びプロセス制御、ならびに鉄トライアド金属及びその合金用のそのような処理溶液中のハロゲン化物濃度の選択的測定及び監視のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照 本出願は、2021年6月10日に出願された米国仮特許出願第63/209,128号、及び2021年7月9日に出願された米国仮特許出願第63/220,052号に対する優先権を主張し、それぞれの内容はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0003】
処理溶液は、半導体産業を含むいくつかの産業で使用されて、望ましい特性を備えた製品を製造している。このような処理溶液には、鉄トライアド金属、例えばニッケル(Ni)電着物を含み得て、それらはその適切な特性によりエレクトロニクス、半導体、自動車、又はその他の産業で広く使用される。例えば、鉄トライアド金属(例えば、ニッケル(Ni)電着物)は、磁気特性を有し得て、それは処理溶液中の異なる金属イオンの比率を変えることによって変化され得る。そのような鉄トライアド金属、例えばニッケル(Ni)電着物は、酸化ニッケルの不動態層、調整可能な応力レベル、及び高い拡散層特性により、更に高い化学抵抗率を有し得る。
【0004】
ニッケル(Ni)電着物の場合、ニッケル(Ni)の不動態化特性は、例えば硫酸ニッケル(NiSO4)電解液中のニッケル(Ni)ベースアノードの使用を減少又は防止する可能性がある。このような不動態化特性に対抗するために、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、又はヨウ化物(I))を使用して、ニッケル(Ni)表面を脱不動態化し、アノード反応(例えば、Ni+6ハロゲン化物(-)→Niハロゲン化物6(4-)+2e(-))を可能にすることができる。更に、ハロゲン化物イオンは、副反応によりアノードで消費される可能性がある(例えば、2ハロゲン化物(-)→ハロゲン2+2e(-))。したがって、処理溶液中のハロゲン化物イオンは、一貫した処理性能のために監視され、必要に応じて補充され得る。
【0005】
このような測定と監視は、例えば硝酸銀(AgNO3)を用いた滴定法によって行われ得る。しかし、このような方法は試薬を必要とし、滴定剤を複数回、漸増的に添加する必要があるため処理時間が比較的長く、銀(Ag)塩を含む滴定剤を必要とするため比較的高価であり、銀(Ag)の毒性による安全性への関与を有する場合がある。例えば、サンプルを分析のために抽出し、また分析後に廃棄物処理を実行する必要性に関連して、安全性の問題が発生する可能性がある。特定のアプローチは、欠点を含む場合があり、特定のイオン選択性電極を用いる電位差測定が、高濃度の場合には更に希釈ステップを必要とすることが挙げられる。他の方法論、例えばイオンクロマトグラフィ及びキャピラリ電気泳動は、どちらも比較的高価で自動化が難しく、分析時間が比較的長い場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6458262号
【特許文献2】米国特許第6673226号
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0158545号
【特許文献4】米国特許出願公開第2013/0264214号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、鉄トライアド金属及びその合金の処理溶液中のハロゲン化物濃度の、経済的、安全、効率的、比較的迅速かつ正確な選択的測定及び監視を提供するプロセス及び装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、半導体処理溶液などの処理溶液中のハロゲン化物イオン(例えば、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、又はヨウ化物(I))の選択的測定及び監視のための技術を提供することによって、これらおよび他の必要性に対処する。
【0009】
複数のハロゲン化物イオン及び1つ以上のめっき金属を含む処理溶液中のハロゲン化物イオンの濃度を決定するための例示的な方法が提供される。方法は、処理溶液の導電率を測定する第1の分析方法を実行して、第1の測定値を提供することと、第2の分析方法を実行して、第2の測定値を提供することと、ハロゲン化物イオンの濃度を第1及び第2の測定値に基づいて決定することとを含む。ハロゲン化物イオンは、複数のハロゲン化物イオンから選択され得る。第1の分析方法は、第2の分析方法とは異なり得る。
【0010】
特定の実施形態では、第2の分析方法は、1つ以上のめっき金属の濃度を測定することを含み得る。
【0011】
特定の実施形態では、1つ以上のめっき金属の濃度は、UV-Vis(紫外可視分光法)によって測定され得る。
【0012】
特定の実施形態では、第2の分析方法は、処理溶液の吸光度を測定することを含み得る。
【0013】
特定の実施形態では、複数のハロゲン化物イオンは、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0014】
特定の実施形態では、1つ以上のめっき金属は、鉄トライアド金属及びそれらの合金を含み得る。特定の実施形態では、1つ以上のめっき金属は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、又は鉄(Fe)を含み得る。
【0015】
特定の実施形態では、処理溶液は、1つ以上の塩類の混合物を含み得る。
【0016】
特定の実施形態では、処理溶液の導電率は一定温度で測定され得る。
【0017】
特定の実施形態では、処理溶液は半導体処理溶液であり得る。
【0018】
複数のハロゲン化物イオン及び所定の濃度の1つ以上のめっき金属を含む処理溶液中の、ハロゲン化物イオンの濃度を決定するための例示的な方法が提供される。方法は、処理溶液の導電率を測定することを含む第1の分析方法を実行して、第1の測定値を提供することと、ハロゲン化物イオンの濃度を、第1の測定値及び1つ以上のめっき金属の所定の濃度に基づいて決定することを含む。ハロゲン化物イオンは、複数のハロゲン化物イオンから選択される。
【0019】
特定の実施形態では、複数のハロゲン化物イオンは、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0020】
特定の実施形態では、1つ以上のめっき金属は、鉄トライアド金属及びそれらの合金を含み得る。特定の実施形態では、1つ以上のめっき金属は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、又は鉄(Fe)を含み得る。
【0021】
特定の実施形態では、処理溶液は、1つ以上の塩類の混合物を含み得る。
【0022】
特定の実施形態では、処理溶液の導電率は一定温度で測定され得る。
【0023】
特定の実施形態では、処理溶液は半導体処理溶液であり得る。
【0024】
複数のハロゲン化物イオン及び1つ以上のめっき金属を含む処理溶液中のハロゲン化物イオンの濃度を決定するための例示的な装置が提供される。装置は、処理溶液を含む試験溶液を収容するように適合されたリザーバと、サンプリング機構であって、リザーバに結合され、所定量の試験溶液をリザーバからサンプリング機構に結合された1つ以上のセンサに供給するように適合されたサンプリング機構とを含む。1つ以上のセンサのそれぞれは、所定量の試験溶液の少なくとも一部分を受け取るように適合され、1つ以上の分析方法を実行するように動作する。1つ以上のセンサは、導電率センサ及び吸光度センサからなる群から選択される。
【0025】
特定の実施形態では、試験溶液は、処理溶液の1つ以上のサンプルを含み得る。
【0026】
特定の実施形態では、試験溶液は、1つ以上の標準溶液を更に含み得る。
【0027】
特定の実施形態では、サンプリング機構は、シリンジ、メスフラスコ、メスシリンダ、自動注入器、又は定量ポンプを含み得る。
【0028】
特定の実施形態では、1つ以上の分析方法は、試験溶液の導電率、1つ以上のめっき金属の濃度、又は試験溶液の吸光度のうちの1つ以上を測定することを含み得る。
【0029】
特定の実施形態では、装置は、吸光度センサに結合された吸光度計、光源、光検出器、又はそれらの組み合わせを更に含み得る。
【0030】
特定の実施形態では、装置は、導電率センサに結合された導電率計を更に含み得る。
【0031】
特定の実施形態では、1つ以上のセンサは、導電率センサ及び吸光度センサを含み得る。
【0032】
特定の実施形態では、処理溶液は、所定の濃度の1つ以上のめっき金属を含み得て、1つ以上のセンサは、導電率計を含み得る。
【0033】
特定の実施形態では、1つ以上のめっき金属は、鉄トライアド金属及びそれらの合金を含み得る。
【0034】
特定の実施形態では、1つ以上のめっき金属は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、又は鉄(Fe)を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】処理溶液のハロゲン化物分析のための、本開示の例示的な装置を概略的に示す。
【
図2】実施例1による、溶液サンプル中の塩化物(Cl)の測定濃度(g/L)対塩化物(Cl)の予期された濃度(g/L)の結果を示す。
【
図3】実施例2による、溶液サンプル中の塩化物(Cl)の測定濃度(g/L)対塩化物(Cl)の予期された濃度(g/L)の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示は、半導体処理溶液などの処理溶液中のハロゲン化物イオン(例えば、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、又はヨウ化物(I))の選択的測定及び監視のための技術を提供する。特定の実施形態では、本開示は、第1の分析方法と第2の分析方法を組み合わせて、溶液中の所定のハロゲン化物イオンの濃度を正確に決定する。第1の分析方法は導電率測定であり得て、第2の分析方法は吸光度測定であり得る。本開示はまた、第1の分析方法と、例えば所定の濃度のめっき金属(例えば、ニッケル(Ni))を有する処理溶液中のめっき金属濃度とを組み合わせるか、又は処理溶液中の同じものの測定値であり得る第2の分析方法とを組み合わせることを提供する。したがって、処理溶液中に存在するハロゲン化物イオンは、試薬なしで選択的に決定され、測定され、監視され得る。
【0037】
本開示で使用される技術用語は、当業者には一般に周知である。本明細書で使用される「所定の濃度」という語句は、溶液中の成分の既知の、目標の、又は最適な濃度を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「選択的な」又は「選択的に」という用語は、例えば、特定の又は特別な成分の特性の監視、測定、又は決定を指す。例えば、ハロゲン化物イオンの選択的測定とは、溶液中に存在する複数のハロゲン化物イオンから、1つの特別な又は所定の対象ハロゲン化物イオンを測定することを指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「正確な」又は「正確に」という用語は、例えば、既存の値又は真の値、標準、又は既知の測定値若しくは値に比較的近い、又は近い測定値又は決定を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「約」又は「近似的に」という用語は、特定の値が、当業者のうちの一人によって決定された場合に、許容可能な誤差範囲内にあることを意味するが、これは部分的には、その値がどのように測定又は決定されるかに、つまり測定システム上の制限に依存するものである。例えば、「約」は、所与の値の最大20%、最大10%、最大5%、及び又は最大1%の範囲を意味し得る。
【0041】
本明細書で使用される場合、「結合された」又は「動作可能に結合された」という用語は、互いに組み合わせられている1つ以上の構成要素を指し、本明細書で使用される場合、間接的又は直接的な接続のいずれかを意味することを意図する。したがって、あるデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は直接接続による場合もあれば、別のデバイス又は接続を介した間接的な機械的接続又はその他の接続による場合もある。
【0042】
本開示の方法は、処理溶液を含む様々な種類の溶液に適用され得る。特定の実施形態では、処理溶液は半導体処理溶液であり得る。
【0043】
特定の実施形態では、処理溶液は1つ以上のハロゲン化物イオンを含み得る。当業者は、広範な種類のハロゲン化物イオンが本開示での使用に適していることを理解するであろう。特定の実施形態では、1つ以上のハロゲン化物イオンは、塩化物(Cl)、臭化物(Br)、ヨウ化物(I)、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0044】
特定の実施形態では、処理溶液は1つ以上のめっき金属を含み得る。当業者は、めっき金属の広範な組み合わせが本開示での使用に適していることを理解するであろう。特定の実施形態では、1つ以上のめっき金属は、鉄トライアド金属及びそれらの合金を含み得る。鉄トライアド金属は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及び鉄(Fe)を含み得る。特定の実施形態では、1つ以上のめっき金属は、ニッケル(Ni)を含み得る。
【0045】
本開示の方法は、処理溶液の複数の分析方法及び測定を提供して、例えば、処理溶液中のハロゲン化物イオンを有利に選択的に測定及び監視する。1つ以上のハロゲン化物イオンの濃度は、処理溶液中で監視され、それは第1の分析方法、例えば処理溶液の導電率を測定することによって実行され得る。特定の態様では、処理溶液は、1つ以上の塩類(例えば、硫酸ニッケルと塩化ニッケル若しくは臭化ニッケル、スルファミン酸ニッケルと塩化ニッケル若しくは臭化ニッケル、又は塩化ニッケル若しくは臭化ニッケルと塩化ナトリウム若しくは臭化ナトリウム)の混合物を含み得る。当業者は、広範な種類の塩類が本開示での使用に適していることを理解するであろう。
【0046】
このような実施形態では、処理溶液の導電率の測定により、複数の塩類の合計濃度が得られる。処理溶液中のハロゲン化物イオン(例えば、塩化物(Cl)又は臭化物(Br))を選択的に測定及び監視するために、第2の分析測定が実施され得る。特定の実施形態では、第2の分析方法は、処理溶液のめっき金属濃度、例えば、1つ以上の鉄トライアド金属及びニッケル(Ni)などの合金の、めっき金属濃度を測定することを含み得る。当業者は、めっき金属濃度を測定するための広範な種類な方法が本開示での使用に適していることを理解するであろう。
【0047】
特定の実施形態では、第2の分析方法は、UV-Vis(紫外可視分光法)を含み得る。したがって、処理溶液のハロゲン化物及びめっき金属の濃度に関する情報は、経済的、安全、効率的、比較的迅速かつ正確な方法によって決定され得る。これらの測定値を使用して、処理溶液中のハロゲン化物イオンの濃度を選択的に決定し得る。特定の実施形態では、第1の分析方法、例えば、処理溶液の導電率測定を、第2の分析方法、例えば、処理溶液の金属濃度測定と組み合わせ得る。特定の態様では、計算は、金属イオン濃度を計算する中間プロセスを用いて実行され得る。
【0048】
例えば、特定の実施形態では、処理溶液のハロゲン化物イオン濃度は、次のように決定され得る。[ハロゲン化物]=A1×[導電率]+B1×[金属]+C1。係数(a)、(b)、及び(c)は、既知の濃度の金属及びハロゲン化物を含むいくつかの標準溶液の導電率測定及び分光計測によって決定され得る。
【0049】
特定の実施形態では、処理溶液中のハロゲン化物イオンの濃度は、未加工の分析信号に基づき得る。例えば、1つ以上のハロゲン化物の濃度は、処理溶液中で監視され、それは第1の分析方法を実行することにより、例えば処理溶液の導電率を測定することにより行われ得る。第2の分析方法もまた実行され得て、例えば、処理溶液の吸光度の測定が実行され得る。これらの測定値を有利に使用して、処理溶液中のハロゲン化物イオンの濃度を選択的に決定し得る。
【0050】
例えば、特定の実施形態では、処理溶液のハロゲン化物イオン濃度は、次のように決定され得る。[ハロゲン化物]=A2×[導電率]+B2×[吸光度]+C2。係数(a)、(b)、及び(c)は、既知の濃度の金属及びハロゲン化物を含む溶液の導電率測定及び分光計測によって決定され得る。
【0051】
これらの測定値を使用して、処理溶液中のハロゲン化物イオンの濃度を選択的に決定し得る。特定の実施形態では、処理溶液の導電率測定などの第1の分析方法は、処理溶液の金属濃度測定などの第2の分析方法と組み合わせられ得る。更に、特定の実施形態では、処理溶液の導電率測定などの第1の分析方法は、処理溶液の吸光度測定などの第2の分析方法と組み合わせられ得る。
【0052】
特定の実施形態では、処理溶液の導電率が測定され得る。例えば、特定の実施形態では、処理溶液の導電率は導電率計によって測定され得る。当業者は、導電率を測定するための広範な種類の方法が、本開示での使用に適していることを理解するであろう。特定の実施形態では、導電率測定は、一定温度又は温度補償で実行され得る。特定の実施形態では、導電率測定は、特定の温度に標準化され得る。
【0053】
特定の実施形態では、処理溶液の吸光度が測定され得る。当業者は、吸光度を測定するための広範な種類の方法が、本開示での使用に適していることを理解するであろう。
【0054】
本開示の方法は、処理溶液中の所定のハロゲン化物の濃度を選択的に決定することを提供する。特定の実施形態では、方法は、処理溶液を提供することを含み得る。処理溶液は、複数のハロゲン化物及びめっき金属を含み得る。特定の実施形態では、処理溶液の第1の分析方法を実行して、第1の測定値を提供することができる。第1の分析方法は、処理溶液の導電率を測定することを含み得る。特定の実施形態では、方法は、第2の分析方法を処理溶液に実行して、第2の測定値を提供することを含み得る。第2の分析方法は、めっき金属の濃度を測定することを含み得る。方法は、複数のハロゲン化物のうちの所定のハロゲン化物の濃度を、第1及び第2の測定値に基づいて決定するステップを更に含み得る。
【0055】
本開示の方法は、処理溶液中の所定のハロゲン化物の濃度を選択的に決定することを提供する。特定の実施形態では、方法は、処理溶液を提供することを含み得る。処理溶液は、複数のハロゲン化物及びめっき金属を含み得る。特定の実施形態では、処理溶液の第1の分析方法を実行して、第1の測定値を提供することができる。第1の分析方法は、処理溶液の導電率を測定することを含み得る。特定の実施形態では、方法は、処理溶液の第2の分析方法を実行して、第2の測定値を提供することを含み得る。第2の分析方法は、処理溶液の吸光度を測定することを含み得る。方法は、複数のハロゲン化物のうちの所定のハロゲン化物の濃度を、第1及び第2の測定値に基づいて決定するステップを更に含み得る。
【0056】
図1は、本開示の例示的な装置を概略的に示す。特定の態様では、例示的な装置は、例えば鉄トライアド金属及びその合金のための処理溶液中のハロゲン化物濃度の測定及び監視に関連し得る。装置は、例えば、1つ以上の分析方法を実行するように動作する1つ以上のセンサを含み得る。特定の実施形態では、1つ以上のセンサは、導電率センサ310、光センサ320(例えば、吸光度センサ)、又はそれらの組み合わせを含み得る。特定の実施形態では、装置は、導電率計311、吸光度計321、光源322、光検出器323、又はそれらの組み合わせを更に含み得る。
【0057】
特定の実施形態では、導電率計311は導電率センサ310に接続され得る。特定の実施形態では、吸光度計321、光源322、及び/又は光検出器323は、光センサ320に接続され得る。特定の実施形態では、光源322及び/又は光検出器323は、吸光度計321に接続され得る。装置は更に、選択デバイス100、サンプル導入デバイス200、又はそれらの組み合わせを含み得る。特定の実施形態では、装置は、選択デバイス100及びサンプル導入デバイス200を更に含み得る。
【0058】
特定の実施形態では、選択デバイス100は、溶液、例えば、1つ以上の標準溶液、1つ以上の処理サンプル、又はそれらの組み合わせを含み得る。選択デバイス100は、サンプル導入デバイス200に結合され得る。特定の実施形態では、サンプル導入デバイス200は、選択デバイス100に含まれる所定量の溶液を1つ以上のセンサに供給し得る。特定の実施形態では、サンプル導入デバイス200は、約5mL~約45mL、約5mL~約40mL、約5mL~約35mL、約5mL~約30mL、約5mL~約25mL、約5mL~約20mL、約5mL~約10mL、又は約10mL~約30mLの溶液を1つ以上のセンサに供給し得る。例えば、サンプリング導入デバイスは、約5mL、約10mL、約15mL、約20mL、約25mL、約30mL、約35mL、約40mL、又は約45mLの溶液を1つ以上のセンサに供給し得る。選択デバイス100に含まれる所定量の溶液を供給するための適切なサンプル導入デバイス200は、例えば手動送達用のシリンジ若しくはメスシリンダ、又は例えば自動送達用の、関連する配管及び配線を備えた自動シリンジ若しくは計量ポンプを含み得る。所定量の溶液の送達はまた、自動レベルセンサによって検出される予め設定されたレベルまで実行され得る。選択デバイス100は、タンク又はリザーバであり得る。溶液を自動送達するために、サンプル導入デバイス200は、例えば選択デバイス100と1つ以上のセンサ、例えば導電率センサ310、光センサ320、又はそれらの組み合わせとの間に延びるパイプに接続され得る。
【0059】
特定の態様では、所定量の溶液の第1の部分は第1のセンサ、例えば導電率センサ310に送達され得て、所定量の溶液の第2の部分は第2のセンサ、例えば光センサ320に送達され得る。特定の実施形態では、所定量の溶液は、任意の順序で直列に配置された1つ以上のセンサ、例えば第1のセンサ、続いて第2のセンサに送達され得る。特定の実施形態では、溶液の所定の部分は、互いに組み合わせて配置された1つ以上のセンサに送達され得る。
【0060】
1つ以上のセンサは、1つ以上の分析方法を実行するように動作し得る。特定の実施形態では、1つ以上の分析方法は、(例えば、溶液の)導電率の測定、(例えば、溶液中のめっき金属の)濃度の測定、(例えば、溶液の)吸光度の測定、又はそれらの組み合わせを含み得る。1つ以上のセンサは、導電率センサ310、光センサ320、又はそれらの組み合わせを含み得る。特定の実施形態では、装置は、導電率センサ310及び光センサ320を含み得る。導電率センサ310は、例えば溶液の導電率を測定し得る。光センサ320は、例えば溶液の吸光度を測定し得る。特定の態様では、装置は、例えば溶液中のめっき金属の濃度を測定するためのデバイス又はセンサを含み得る。1つ以上のセンサは、並列に、任意の順序で直列に、又は組み合わせになり得る。例えば、限定するものではないが、特定の実施形態では、装置は、導電率センサ310及び光センサ320を並列に、任意の順序で直列に、又は組み合わせて含み得る。特定の実施形態では、導電率センサ310と光センサ320は並列であってもよい。
【0061】
特定の実施形態では、装置は、導電率計311を更に含み得る。導電率計311は、導電率センサ310に動作可能に結合され得る。特定の実施形態では、導電率計311は、導電率センサ310にケーブル、例えば電気ケーブルを介して結合され得る。装置は更に、吸光度計321、例えば分光光度計を含み得る。特定の実施形態では、吸光度計321は光センサ320に動作可能に結合され得る。特定の態様では、装置は、光源322、光検出器323、又はそれらの組み合わせを更に含み得る。特定の実施形態では、装置は、光源322及び光検出器323を含み得る。光源322は、吸光度計321及び/又は光センサ320に、例えば光ファイバによって動作可能に結合され得る。光検出器323は、吸光度計321及び/又は光センサ320に、例えば光ファイバによって動作可能に結合され得る。
【0062】
溶液の分析測定が完了した後、溶液はプロセスに戻すように流すか、廃液として排出され得る。
【実施例】
【0063】
ここに開示される主題は、以下の実施例を参照することによってよりよく理解されるであろう。以下の実施例は、本明細書で開示される主題を単に例示するものであり、主題の範囲をいかなる意味においても限定するものとみなされるべきではない。
【0064】
実施例1、導電率測定と所定のニッケル(Ni)濃度を用いるハロゲン化物イオンの選択的測定
この実施例は、所定濃度のニッケル(Ni)を含む処理溶液中のハロゲン化物イオン、例えば塩化物(Cl)を、導電率測定及び所定濃度のめっき金属を使用して、選択的に測定することを提供する。導電率は、所定のニッケル(Ni)濃度のめっき金属(つまりニッケル(Ni))及びハロゲン化物イオン(つまり塩化物(Cl))を含む処理液の6つのサンプルに対して測定された。各サンプルの導電率測定の結果を以下の表1に示す。
【0065】
【0066】
表1に示す導電率測定値とめっき金属ニッケル(Ni)の所定の濃度から、各処理溶液サンプル中のハロゲン化物イオン、塩化物(Cl)の濃度が、選択的に決定された。
【0067】
【0068】
【0069】
計算パラメータ
以下の計算パラメータ (式1及び表3) を使用して、処理溶液中のハロゲン化物イオン(つまり、塩化物(Cl))の測定濃度が選択的に決定された。
[ハロゲン化物]=A1×[導電率]+B1×[金属]+C1(式1)
【0070】
【0071】
実施例2、導電率測定及び吸光度測定を用いるハロゲン化物イオンの選択的測定
この実施例は、処理溶液中のハロゲン化物イオン、例えば塩化物(Cl)を、導電率及び吸光度の測定を使用して選択的に測定することを提供する。導電率及び吸光度は、めっき金属(つまりニッケル(Ni))とハロゲン化物イオン(つまり塩化物(Cl))を含む処理液の5つのサンプルに対して測定された。各サンプルの予期されたニッケル(Ni)及び塩化物(Cl)濃度を、以下の表4に示す。
【0072】
【0073】
各サンプルの導電率及び吸光度の測定結果を以下の表5に示す。表5に示した導電率及び吸光度の測定値から、各処理溶液サンプル中のハロゲン化物イオン、塩化物(Cl)の濃度は、表5及び
図3に示すように選択的に決定された。
【0074】
【0075】
計算パラメータ
以下の計算パラメータ (式2及び表6) を使用して、混合溶液中の複数の塩基の測定濃度が選択的に決定された。
[ハロゲン化物]=A2×[導電率]+B2×[吸光度]+C2(式2)
【0076】
【0077】
実施例3、ハロゲン化物イオン(塩化物)の選択測定-定性分析
本明細書に開示される方法は、定性分析によって評価された。30ポイントの連続ランと、1日につき3ポイントのランを5日間とを実行した。30ポイントの連続ランテストの結果を以下の表7に示す。
【0078】
【0079】
1日につき3ポイントのテストの5日間の結果を以下の表8に示す。
【0080】
【0081】
本明細書の記述は、開示された主題の原理を単に説明するものである。記載された実施形態に対する様々な修正及び変更は、本明細書の教示を考慮すれば当業者には明白であろう。したがって、本明細書の開示は、開示された主題の範囲を示すことであって、それを限定するものではないことが意図される。更に、開示された主題の原理は、様々な構成で実装され得て、また、本明細書に提示される特定の実施形態にいかなる意味でも限定されることを意図していない。
【0082】
図示され特許請求される様々な実施形態に加えて、開示された主題は、本明細書で開示され特許請求される特徴の他の組み合わせを有する別の実施形態にも関する。したがって、本明細書に提示される特定の特徴は、開示された主題の範囲内で別の方法で互いに組み合わせられ得ることで、開示された主題が本明細書に開示される特徴の任意の適切な組み合わせを含む。開示された主題の特定の実施形態の上記の説明は、例示及び説明の目的で提示されている。これは、網羅的であること、又は開示された主題を開示された実施形態に限定することを意図するものではない。
【0083】
様々な修正及び変更は、開示された主題のシステム及び方法において、開示された主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく成され得ることは、当業者には明白であろう。したがって、開示された主題は、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内にある修正及び変更を含むことが意図される。
【国際調査報告】