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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】基板を改変するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C03C 23/00 20060101AFI20240621BHJP
   B23K 26/36 20140101ALI20240621BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20240621BHJP
   C03C 15/00 20060101ALI20240621BHJP
   C03B 33/09 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C03C23/00 D
B23K26/36
B23K26/082
C03C15/00 Z
C03B33/09
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569968
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 GB2022052060
(87)【国際公開番号】W WO2023026021
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】2112125.6
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003943
【氏名又は名称】インテル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プサイラ、ニコラス ディー
(72)【発明者】
【氏名】ラミング、リチャード
【テーマコード(参考)】
4E168
4G015
4G059
【Fターム(参考)】
4E168AD00
4E168AE02
4E168CA02
4E168CA06
4E168CA13
4E168CB04
4E168CB07
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA43
4E168EA02
4E168EA15
4E168JA14
4G015FA06
4G015FA09
4G015FB01
4G059AA01
4G059AB09
4G059AC09
4G059AC18
4G059BB04
(57)【要約】
基板を改変するための方法及び装置
基板を改変するための方法は、一連のレーザパルスを含むパルスレーザビームを生成する段階、一連のレーザパルスは少なくとも3つの連続レーザパルスを含む;及び、少なくとも3つの連続レーザパルスは、基板の少なくとも3つの領域の相対的な空間位置を定義する予め定められた空間シーケンス、及び、基板の少なくとも3つの領域の照射の順序に従って、基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、パルスレーザビームの方向及び/又は基板の位置をレーザパルスごとに 制御する段階を備える。基板を改変するための装置も説明される。方法及び装置は、排他的ではないが特に光デバイスを形成するために使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を改変するための方法であって、
一連のレーザパルスを含むパルスレーザビームを生成する段階、前記一連のレーザパルスは少なくとも3つの連続レーザパルスを含む;及び
前記少なくとも3つの連続レーザパルスが、前記基板の少なくとも3つの領域の相対的な空間位置を定義する予め定められた空間シーケンス、及び、前記基板の前記少なくとも3つの領域の照射の順序に従って、前記基板の前記少なくとも3つの領域に順次に照射するように、前記パルスレーザビームの方向及び/又は前記基板の位置をレーザパルスごとに制御する段階
を備える方法。
【請求項2】
前記少なくとも3つの連続レーザパルスが、前記予め定められた空間シーケンスに従って、前記基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御する段階は、前記基板の前記少なくとも3つの領域が、前記予め定められた空間シーケンスに従って、前記少なくとも3つの連続レーザパルスで順次に照射されるように、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を前記少なくとも3つの連続レーザパルスのタイミングと同期させる段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも3つの連続レーザパルスが、前記予め定められた空間シーケンスに従って、前記基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御する段階は:
前記少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第1のものが、第1位置を中心とする前記基板の第1領域に照射するように、前記パルスレーザビームの公称書き込み位置を前記基板における前記第1位置へ移動させるために、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御する段階;
前記少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第2のものが、第2位置を中心とする前記基板の第2領域に照射するように、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置を、第1方向に沿って前記基板における前記第1位置から前記基板における前記第2位置へ移動させるために、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御する段階:及び
前記少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第3のものが、第3位置を中心とする前記基板の第3領域に照射するように、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置を、前記第2方向に沿って前記基板における前記第2位置から前記基板における前記第3位置へ移動させるために、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御する段階
を含み、
ここで、前記第1及び第2方向は異なる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板の前記第3領域は、前記第2領域より前記第1領域の近くに位置する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基板の前記第3領域は、前記基板の前記第1及び第2領域の間に位置する、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
予め定められた最小の期間より大きい又はそれに等しい期間だけ離隔されたレーザパルスを使用して、前記基板の任意の2つの最も近い近隣領域に照射する段階を備える、任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記予め定められた最小の期間は、前記基板の前記任意の2つの最も近い近隣領域の温度が、予め定められた閾値温度より低い又はそれに等しくなるように選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
連続レーザパルスで前記基板の任意の2つの領域に照射する段階を備え、ここで、前記基板の前記任意の2つの領域は、予め定められた最小の空間的離隔より大きい又はそれに等しい距離だけ離隔されている、任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記予め定められた最小の空間的離隔は、前記基板の前記任意の2つの領域の温度が、予め定められた閾値温度より低い又はそれに等しくなるように選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御する段階は、例えば、前記基板に対して前記パルスレーザビームをレーザパルスごとにステアリングすることによって、前記基板に対する前記パルスレーザビームの移動をレーザパルスごとに制御する段階を含む、任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御する段階は、例えば:
前記基板の表面に平行な方向に;
前記基板の表面に直交する方向に;
前記パルスレーザビームの伝搬の方向に;及び/又は
前記パルスレーザビームの伝搬の方向と反対の方向に
前記基板の移動を制御することによって、前記パルスレーザビームに対する前記基板の移動を制御する段階を含む、任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御する段階は、
少なくとも3つの連続レーザパルスが前記基板の前記少なくとも3つの領域に照射する期間の間に変動する速度で、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの公称書き込み位置を移動させるために、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御する段階
を含み、
ここで、前記速度は、第1及び第2速度成分を含み、
ここで、前記第1速度成分は一定であり、前記第2速度成分は可変であり;又は
前記第1速度成分は、前記第2速度成分より遅く変動する、
任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1速度成分は一方向である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2速度成分は、大きさ及び/又は方向において変動する、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1速度成分は、前記パルスレーザビームに対する前記基板の移動に関連付けられる、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2速度成分は、前記基板に対する前記パルスレーザビームの移動に関連付けられ、例えば、前記第2速度成分は、前記基板に対する前記パルスレーザビームのビームステアリングに関連付けられる、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記レーザパルスの1又は複数について放射タイミングデータを判定又は測定する段階;
前記基板における前記パルスレーザビームの公称書き込み位置を判定又は測定する、及び/又は、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置の速度を判定又は測定する段階;
前記判定又は測定された放射タイミングデータ、及び、前記基板における前記パルスレーザビームの前記判定又は測定された公称書き込み位置、及び、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置の前記判定又は測定された速度のうちの少なくとも1つを使用して、前記基板に対する未来のレーザパルスの放射のときの、前記基板における前記パルスレーザビームの予測される公称書き込み位置を計算する段階;及び
例えば、ビームスキャナのビームステアリング構成、及び/又は、前記ビームスキャナの前記ビームステアリング構成の変更のレートを制御することによって、前記基板における前記パルスレーザビームの前記予測される公称書き込み位置、及び、前記基板における前記パルスレーザビームの対応する所望の未来の公称書き込み位置の間の任意の差異を補償し、前記基板における前記パルスレーザビームの前記予測される公称書き込み位置、及び、前記基板における前記パルスレーザビームの前記所望の未来の公称書き込み位置の間の任意の差異を補償する段階
を備える、任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項18】
前記レーザパルスの1又は複数について、放射タイミングデータを判定又は測定する段階;
より遅いビームスキャナの1又は複数の傾斜角度などのビームステアリング構成を判定又は測定する、及び/又は、前記より遅いビームスキャナの前記1又は複数の傾斜角度の変更のレートなどのビームステアリング構成の変更のレートを判定又は測定する段階;
前記判定又は測定された放射タイミングデータ、及び、前記より遅いビームスキャナの前記判定又は測定されたビームステアリング構成、及び、前記より遅いビームスキャナの前記ビームステアリング構成の前記判定又は測定された変更のレートのうちの少なくとも1つを使用して、前記未来のレーザパルスの放射のときの、前記より遅いビームスキャナの予測されるビームステアリング構成を計算する段階;及び
より速いビームスキャナを使用して、例えば、前記より速いビームスキャナのビームステアリング構成、及び/又は、前記より速いビームスキャナの前記ビームステアリング構成の変更のレートを制御することによって、前記未来のレーザパルスの放射のときの、前記より遅いビームスキャナの前記予測されるビームステアリング構成、及び、前記より遅いビームスキャナの対応する所望のビームステアリング構成の間の任意の差異を補償し、前記未来のレーザパルスの放射のときの、前記より遅いビームスキャナの前記予測されるビームステアリング構成、及び、前記より遅いビームスキャナの対応する所望のビームステアリング構成の間の任意の差異を補償する段階
を備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記一連のレーザパルスは周期的である;
前記一連のレーザパルスは、少なくとも100KHz、少なくとも1MHz、少なくとも2MHz、少なくとも5MHz、又は、少なくとも10MHzの繰り返し周波数を有する;
前記一連のレーザパルスは、Qスイッチレーザ又はモードロックレーザを使用して生成される;及び
前記一連のレーザパルスは、レーザを光変調器と組み合わせて使用して生成される
のうちの少なくとも1つである、任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項20】
前記基板の前記少なくとも3つの領域は、1D配列、2D配列、又は3D配列、例えば、均一な1D配列、均一な2D配列、又は均一な3D配列などの配列に配置される、任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項21】
所望の空間プロファイルに従って前記基板を改変するために、前記少なくとも3つの連続レーザパルスで前記基板の前記少なくとも3つの領域に順次に照射する段階を備え、任意選択的に、
前記基板を改変することは、
前記基板の材料の屈折率を改変すること;
前記基板の前記材料の化学的エッチング性を改変すること;又は
前記基板の前記材料を除去すること
のうちの少なくとも1つを含む、
任意の前述の請求項に記載の方法。
【請求項22】
基板を改変するための装置であって、
少なくとも3つの連続レーザパルスを含む一連のレーザパルスを含むパルスレーザビームを生成するためのパルスレーザ;及び
前記少なくとも3つの連続レーザパルスが、相対的な空間位置を定義する予め定められた空間シーケンス、及び、前記基板の前記少なくとも3つの領域の照射の順序に従って、前記基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、前記パルスレーザビームの方向、及び/又は、前記基板の位置をレーザパルスごとに制御するための照射制御機構
を備える装置。
【請求項23】
前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を、前記少なくとも3つの連続レーザパルスのタイミングと同期させることによって、前記少なくとも3つの連続レーザパルスが、前記予め定められた空間シーケンスに従って、前記基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、前記照射制御機構は、前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御するよう構成され、その結果、前記基板の前記少なくとも3つの領域は、前記予め定められた空間シーケンスに従って前記少なくとも3つの連続レーザパルスで順次に照射される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第1のものが、前記第1位置を中心とする前記基板の第1領域に照射するように、前記パルスレーザビームの公称書き込み位置を前記基板における第1位置へ移動させるために、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御することによって;
前記少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第2のものが、第2位置を中心とする前記基板の第2領域に照射するように、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置を、第1方向に沿って、前記基板における前記第1位置から前記基板における前記第2位置へ移動させるために、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御することによって;及び
前記少なくとも3つの連続レーザパルスの第3のものが、第3位置を中心とする前記基板の第3領域に照射するように、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置を、第2方向に沿って、前記基板における前記第2位置から前記基板における前記第3位置へ移動させるために、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御することによって、
前記少なくとも3つの連続レーザパルスが、前記予め定められた空間シーケンスに従って、前記基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、前記照射制御機構は、前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御するよう構成されており、
ここで、前記第1及び第2方向は異なる、請求項22又は23に記載の装置。
【請求項25】
前記基板の前記第3領域は、前記第2領域より前記第1領域の近くに位置する、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記照射制御機構は、前記基板における前記パルスレーザビームの位置をレーザパルスごとに制御するためのスキャナを含み、任意選択的に、
前記スキャナは、非機械的スキャナ、ソリッドステートスキャナ、音響光学変調器スキャナ、又は、電気光学変調器スキャナのうちの少なくとも1つを含み、任意選択的に、
前記スキャナは、2つの非平行軸及び/又は2つの直交軸などの1軸又は2軸を中心に前記パルスレーザビームの方向を回転させるよう構成され、任意選択的に、
前記スキャナは、対応する第1軸を中心に前記パルスレーザビームの角度を変動させるための第1スキャナ要素、及び、対応する第2軸を中心に前記パルスレーザビームの角度を変動させるための第2スキャナ要素を含み、ここで、前記第1及び第2軸は、非平行であり、及び/又は直交し、任意選択的に:
前記スキャナは、4f構成で配置された第1レンズ及び第2レンズを含み、前記第1及び第2レンズは、2fの距離だけ離隔され、前記第1スキャナ要素は前記第1レンズの後方焦点面に位置し、前記第2スキャナ要素は、前記第2レンズの前方焦点面に位置し;又は
前記スキャナはハーフピッチGRINロッドレンズを含み、ここで、前記第1スキャナ要素は、前記ハーフピッチGRINロッドレンズの第1端に位置し、前記第2スキャナ要素は、前記ハーフピッチGRINロッドレンズの第2端に位置する、
のいずれかである、請求項22から25のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排他的ではないが特に光デバイスの形成において使用するための、パルスレーザビームを使用して基板を改変するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板をパルスレーザビームで照射することによって溶融シリカなどの材料を含む基板又はボディを改変するためのレーザ処理方法を使用することが知られている。パルスレーザビームは、基板の1又は複数の局所的領域又はボリュームに照射するために使用され得、それにより、1又は複数の照射領域又はボリュームを改変する。例えば、照射領域における基板の材料の屈折率を改変するために、パルスレーザビームで基板の領域に照射することが知られている。照射領域における基板の材料の化学的エッチング性を改変するために、パルスレーザビームで基板の領域に照射することも知られている。これにより、パルスレーザビームで基板を照射した後に化学的エッチング段階を使用して基板を3D微細加工することを可能にし得る。照射領域における基板の材料の少なくとも一部を除去するために、パルスレーザビームで基板の領域に照射することも知られている。
【0003】
いくつかの適用において、パルスレーザビーム及び基板を互いに対して移動させることによって、所望の空間プロファイルに従って基板の材料を改変するために、基板の複数の領域に照射することが知られている。基板を過度に損傷することを回避しながら所望の空間プロファイルに従って基板の材料を改変するには、レーザ処理条件又は規則のセットに準拠するように、すなわち、パルスレーザビームの特性、及び、パルスレーザビーム及び基板の間の相対的な移動が予め定められたレーザ処理条件ウィンドウ内に収まるように、パルスレーザビームの特性、及び、パルスレーザビーム及び基板の間の相対的な移動が慎重に制御される必要がある。
【0004】
しかしながら、所与の予め定められたレーザ処理条件ウィンドウについて、基板の複数の領域を改変するための、そのような知られているレーザ処理方法のスループットは限定され得る。
【発明の概要】
【0005】
本開示の態様によれば、基板を改変するための方法が提供され、方法は、一連のレーザパルスを含むパルスレーザビームを生成する段階、一連のレーザパルスは少なくとも3つの連続レーザパルスを含む;及び、少なくとも3つの連続レーザパルスは、基板の少なくとも3つの領域の相対的な空間位置を定義する予め定められた空間シーケンス、及び、基板の少なくとも3つの領域の照射の順序に従って、基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、パルスレーザビームの方向及び/又は基板の位置をレーザパルスごとに制御する段階を備える。
【0006】
任意選択的に、基板の少なくとも3つの領域は異なり、別個であり、及び/又は、基板の非重複領域である。
【0007】
そのような方法は、基板を過度に損傷することなく、従来技術の方法より高いレーザパルス繰り返し周波数で、所望の空間プロファイルに従って基板が改変されることを可能にし得る。そのような方法は、従来技術の方法より急速に基板が改変されることを可能にし、それにより、より高いレーザ処理スループットを達成し得る。
【0008】
方法は、パルスレーザビームで基板を照射して、基板の材料の屈折率を改変する段階を備え得る。
【0009】
方法は、パルスレーザビームで基板を照射して、基板の材料の化学的エッチング性を改変する段階を備え得る。方法は、パルスレーザビームで基板を照射した後に、基板を化学的エッチャントに晒すことを備え得る。
【0010】
方法は、パルスレーザビームで基板を照射して、基板の材料を除去する段階を備え得る。
【0011】
方法は、パルスレーザビームの1又は複数の特性を制御する段階を備え得る。
【0012】
方法は、パルスレーザビーム内の各パルスのエネルギー、パルスレーザビームの繰り返し周波数、パルス時間長、パルスレーザビームの波長、パルスレーザビームの偏光のうちの1又は複数を制御する段階を備え得る。
【0013】
パルスレーザビームは、可視光又は非可視光を含み得る。例えば、パルスレーザビームは、赤外線、可視光、又は、紫外線のうちの1又は複数を含み得る。
【0014】
パルスレーザビームは、400nmより大きい波長を有し得る。例えば、パルスレーザビームは、520nm、800nm、1035nm又は1550nmと実質的に等しい波長を有し得る。
【0015】
基板は、パルスレーザビームに対して少なくとも部分的に透過的である誘電材料などの材料を含み得る。例えば、基板は、溶融シリカ、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、ドープ又は改変されたケイ酸塩、リン酸塩ガラス、ドープ又は改変されたリン酸塩、カルコゲナイドガラス、ドープ又は改変されたカルコゲナイドなどのガラス又はガラスセラミック材料を含み得る。基板はガラス以外の材料を含み得る。基板は、石英などの水晶材料、周期分極ニオブ酸リチウム又はネオジムドープされたイットリウム・アルミニウム・ガーネットなどのニオブ酸リチウム、イットリウム・アルミニウム・ガーネット、又は、ドープされた、分極した、又は改変された水晶、レアアースでドープされたガラス又は水晶などのレーザ又は増幅器利得媒質を含み得る。
【0016】
任意選択的に、少なくとも3つの連続レーザパルスが、予め定められた空間シーケンスに従って、基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、パルスレーザビームの方向、及び/又は、基板の位置をレーザパルスごとに制御する段階は、基板の少なくとも3つの領域が、予め定められた空間シーケンスに従って、少なくとも3つの連続レーザパルスで順次に照射されるように、パルスレーザビーム及び/又は基板の移動を少なくとも3つの連続レーザパルスのタイミングと同期させる段階を含む。これは、基板の少なくとも3つの照射領域の位置をより正確に制御することを可能にし得る。
【0017】
任意選択的に、少なくとも3つの連続レーザパルスが、予め定められた空間シーケンスに従って、基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、パルスレーザビームの方向、及び/又は、基板の位置をレーザパルスごとに制御する段階は:
少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第1のものが、第1位置を中心とする基板の第1領域に照射するように、パルスレーザビームの公称書き込み位置を基板における第1位置へ移動させるために、パルスレーザビーム及び/又は基板の移動を制御する段階;
少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第2のものが、第2位置を中心とする基板の第2領域に照射するように、基板にわたるパルスレーザビームの公称書き込み位置を、第1方向に沿って基板における第1位置から基板における第2位置へ移動させるために、パルスレーザビーム及び/又は基板の移動を制御する段階:及び
少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第3のものが、第3位置を中心とする基板の第3領域に照射するように、基板にわたるパルスレーザビームの公称書き込み位置を、第2方向に沿って基板における第2位置から基板における第3位置へ移動させるために、パルスレーザビーム及び/又は基板の移動を制御する段階
を含み、ここで、第1及び第2方向は異なる。
【0018】
任意選択的に、基板の第1、第2及び第3領域は、基板の異なる、別個の、及び/又は非重複領域である。
【0019】
任意選択的に、基板における第1、第2及び第3位置は、基板における異なる位置である。
【0020】
任意選択的に、基板の第3領域は、第2領域より第1領域の近くに位置する。
【0021】
任意選択的に、基板の第3領域は、基板の第1及び第2領域の間に位置する。
【0022】
任意選択的に、方法は、予め定められた最小の期間より大きい又はそれに等しい期間だけ離隔されたレーザパルスを使用して基板の任意の2つの最も近い近隣領域に照射する段階を備える。
【0023】
最小期間は、予め定められたレーザ処理条件ウィンドウに対する方法の準拠のために選択され得る。
【0024】
予め定められた最小の期間は、基板の上記任意の2つの最も近い近隣領域の温度が予め定められた閾値温度より低い又はそれに等しいように選択され得る。
【0025】
パルスレーザビームのレーザパルスの特性は、レーザパルスによる基板の領域の照射の結果、照射領域における基板の材料におけるレーザパルスの多光子吸収、及び、照射領域における基板の材料の加熱が生じるように選択され得る。照射領域において生成される、結果として生じる熱エネルギーは、照射領域から基板を通じて拡散し、それにより照射領域は経時的に冷却する。したがって、基板の上記任意の2つの最も近い近隣領域の温度が予め定められた閾値温度より低い又はそれに等しいように、予め定められた最小の期間を選択することにより、方法が、予め定められたレーザ処理条件ウィンドウに準拠することを確実にし得、それにより、基板を過度に損傷することなく従来技術の方法より高いレーザパルス繰り返し周波数で、所望の空間プロファイルに従って基板が改変されることを可能にする。
【0026】
任意選択的に、方法は、連続レーザパルスで基板の任意の2つの領域に照射する段階を備え、ここで、基板の上記任意の2つの領域は、予め定められた最小の空間的離隔より大きい又はそれに等しい距離だけ離隔されている。
【0027】
最小の空間的離隔は、予め定められたレーザ処理条件ウィンドウに対する方法の準拠のために選択され得る。
【0028】
予め定められた最小の空間的離隔は、基板の上記任意の2つの領域の温度が、予め定められた閾値温度より低い又はそれに等しいように選択され得る。
【0029】
パルスレーザビームのレーザパルスの特性は、レーザパルスによる基板の領域の照射の結果、照射領域における基板の材料におけるレーザパルスの多光子吸収、及び、照射領域における基板の材料の加熱が生じるように選択され得る。照射領域において生成される、結果として生じる熱エネルギーは、照射領域から基板を通じて拡散し、それにより照射領域は経時的に冷却する。したがって、基板の上記任意の2つの領域の温度が予め定められた閾値温度を超えるように予め定められた最小の空間的離隔を選択することにより、方法が、予め定められたレーザ処理条件ウィンドウに準拠することを確実にし得、それにより、基板を過度に損傷することなく、従来技術の方法より高いレーザパルス繰り返し周波数で、所望の空間プロファイルに従って基板が改変されることを可能にする。
【0030】
基板の少なくとも3つの領域は、1D配列、2D配列、又は3D配列などの配列で配置され得る。
【0031】
基板の領域の1D配列を照射することと比較して、基板の領域の2D配列を照射することは、基板の領域が照射されるシーケンスを選択するための追加の自由度を提供し得る。例えば、基板の領域の1D配列を照射することと比較して、基板の領域の2D配列を照射することは、レーザ処理条件ウィンドウ内でなお動作しながら、より高いレーザパルス繰り返し周波数の使用を可能にし得る。なぜなら、より大きい距離だけ離隔された基板の領域に照射するために連続レーザパルスが使用され得る、及び/又は、なぜなら、基板の最も近い近隣領域が、より長い期間だけ離隔された非連続レーザパルスで照射され得るからである。
【0032】
基板の領域の2D配列を照射することと比較して、基板の領域の3D配列を照射することは、基板の領域が照射されるシーケンスを選択するための追加の自由度を提供し得る。例えば、基板の領域の2D配列を照射することと比較して、基板の領域の3D配列を照射することは、レーザ処理条件ウィンドウ内でなお動作しながら、より高いレーザパルス繰り返し周波数の使用を可能にし得る。なぜなら、より大きい距離だけ離隔された基板の領域に照射するために連続レーザパルスが使用され得る、及び/又は、なぜなら、基板の最も近い近隣領域が、より長い期間だけ離隔された非連続レーザパルスで照射され得るからである。
【0033】
基板の複数の領域は、均一な1D配列、均一な2D配列、又は均一な3D配列などの均一な配列で配置され得る。
【0034】
方法は、所望の空間プロファイルに従って基板を改変するために、パルスレーザビームで基板の少なくとも3つの領域に照射する段階を備え得る。
【0035】
方法は、基板における1又は複数の特徴又は構造を作成又は定義するために、パルスレーザビームで基板を照射する段階を備え得る。各特徴又は構造は、光を送信、反射、屈折及び/又は回析するよう構成され得る。各特徴又は構造は光デバイスを備え得る。各特徴又は構造は、光をガイドするよう構成され得る。各特徴又は構造は、別々に形成された光学コンポーネントを基板対して位置付ける及び/又はアライメントするよう構成され得る。各特徴又は構造は、別々に形成された光導波管又は光ファイバを基板に対して位置付ける及び/又はアライメントするよう構成され得る。
【0036】
任意選択的に、方法は、一連のレーザパルスのうちの対応する単一のレーザパルスで基板の少なくとも3つの領域のうちの1又は複数の領域に照射する段階を備える。
【0037】
任意選択的に、方法は、一連のレーザパルスのうちの対応する複数の非連続レーザパルスで基板の少なくとも3つの領域のうちの1又は複数の領域に照射する段階を備える。そのような方法は、レーザ処理条件ウィンドウになお準拠しながら、基板の少なくとも3つの領域のうちの異なる領域が、異なる全量の照射を受けることを可能にし得る。これは、基板の異なる領域の間の改変の程度を変動させるために、例えば、所望の屈折率プロファイルに従って、基板の異なる領域の間で屈折率の改変を変動させるために有用であり得る。
【0038】
任意選択的に、パルスレーザビームの方向、及び/又は、基板の位置をレーザパルスごとに制御する段階は、例えば、基板に対してパルスレーザビームをレーザパルスごとにステアリングすることによって、基板に対するパルスレーザビームの移動をレーザパルスごとに制御する段階を含む。
【0039】
任意選択的に、パルスレーザビームの方向、及び/又は、基板の位置をレーザパルスごとに制御することは、パルスレーザビームに対する基板の移動を制御することを含む。例えば、方法は、基板の表面に平行な方向における、パルスレーザビームに対する基板の移動を制御する段階を備え得る。方法は、基板の表面に直交する方向におけるパルスレーザビームに対する基板の移動を制御する段階を備え得る。方法は、パルスレーザビームの伝搬の方向における基板の移動を制御する段階を備え得る。方法は、パルスレーザビームの伝搬の方向と反対である方向における基板の移動を制御する段階を備え得る。そのような方法は、基板が3Dにおいて改変されることを可能にし得る。
【0040】
任意選択的に、パルスレーザビームの方向、及び/又は、基板の位置をレーザパルスごとに制御することは、パルスレーザビーム及び/又は基板の移動を制御することによって、少なくとも3つの連続レーザパルスが基板の少なくとも3つの領域に照射する期間中に変動する速度で、基板にわたるパルスレーザビームの公称書き込み位置を移動させることを含む。
【0041】
任意選択的に、速度は第1及び第2速度成分を含む。
【0042】
任意選択的に、第1速度成分は一定であり、第2速度成分は可変である。
【0043】
任意選択的に、第1速度成分は、第2速度成分より遅く変動する。
【0044】
任意選択的に、第1速度成分は一方向である。
【0045】
任意選択的に、第2速度成分は、大きさ及び/又は方向において変動する。
【0046】
任意選択的に、第1速度成分は、パルスレーザビームに対する基板の移動に関連付けられる。
【0047】
任意選択的に、第2速度成分は、基板に対するパルスレーザビームの移動に関連付けられ、例えば、第2速度成分は、基板に対するパルスレーザビームのビームステアリングに関連付けられる。
【0048】
方法は、ビームスキャナパ使用して、パルスレーザビームの方向をレーザパルスごとに制御する段階を備え、その結果、少なくとも3つの連続レーザパルスは、基板の少なくとも3つの領域の相対的な空間位置を定義する予め定められた空間シーケンス、及び、基板の少なくとも3つの領域の照射順序に従って、基板の少なくとも3つの領域に順次に照射する段階を備え得る。
【0049】
方法は、更なるビームスキャナを使用して、パルスレーザビーム及び基板の間の追加の相対的な動きを、ビームスキャナによって提供されるパルスレーザビーム及び基板の間の相対的な動きに付与する段階を備え得る。
【0050】
ビームスキャナは、更なるビームスキャナの応答時間より速い応答時間を有し得る。
【0051】
応答時間とは、ビームスキャナ(又は更なるビームスキャナ)が、ビームスキャナ(又は更なるビームスキャナ)についての新しい構成又は状態を指定する入力信号を受けるとき、及び、ビームスキャナ(又は更なるビームスキャナ)が新しい構成又は状態と一致するようにその構成又は状態を変更するときの間の時間を指し得る。
【0052】
ビームスキャナは、更なるビームスキャナより速いパルスレーザビームを移動させる、例えばステアリングするよう構成され得る。
【0053】
更なるビームスキャナは、ビームスキャナに関連付けられたパルスレーザビームの移動の範囲より大きい、パルスレーザビームの移動の関連付けられた範囲を提供し得る。更なるビームスキャナは、ビームスキャナより大きい角度範囲でパルスレーザビームをステアリングするように操作可能であり得る。
【0054】
ビームスキャナ及び更なるビームスキャナをこのように組み合わせて使用することにより、基板を過度に損傷することなく、従来技術の方法より高いレーザパルス繰り返し周波数で、所望の空間プロファイルに従って、基板の少なくとも3つの領域に照射することも可能にしながら、ビームスキャナを単独で使用する場合より大きい距離にわたって基板に対してパルスレーザビームを移動させることが可能となり得る。
【0055】
ビームスキャナは非機械的ビームスキャナを含み得る。ビームスキャナはソリッドステートビームスキャナを含み得る。ビームスキャナは音響光学変調器ビームスキャナを含み得る。ビームスキャナは電気光学変調器ビームスキャナを含み得る。
【0056】
更なるビームスキャナは機械的ビームスキャナを含み得る。更なるビームスキャナは、1又は複数の移動部分を含み得る。更なるビームスキャナは、検流計ビームスキャナを含み得る。更なるビームスキャナは、傾斜ミラービームスキャナを含み得る。
【0057】
方法は、基板が固定されるモーション制御ステージ又は平行移動ステージなどの移動可能ステージを使用して、パルスレーザビームに対して基板を移動させる段階を含み得る。移動可能ステージを使用することにより、ビームスキャナ及び/又は更なるビームスキャナを使用して基板に対してパルスレーザビームを移動させることによって可能となるものより大きい面積の基板をパルスレーザビームによって照射することが可能となり得る。
【0058】
方法は、基板に対してパルスレーザビームを移動させながら、パルスレーザビームに対して基板を移動させる段階を含み得る。
【0059】
方法は、ビームスキャナを使用して、また、任意選択的に、更なるビームスキャナも使用して、パルスレーザビームを基板に対して移動させながら、移動可能ステージを使用してパルスレーザビームに対して基板を移動させる段階を含み得る。
【0060】
方法は、同期制御又はトリガ信号を生成する段階、及び、同期制御又はトリガ信号を使用して、基板及びパルスレーザビームの間の相対的な移動を、一連のレーザパルスのレーザパルスのタイミングと同期する段階を含み得る。
【0061】
方法は、高速フォトディテクタなどのフォトディテクタを使用して、パルスレーザビームの一部を検出し、それにより、同期制御信号を生成する段階を備え得る。
【0062】
方法は、パルスピッカを使用して、同期制御信号に従って、レーザパルスの一連のレーザパルスのタイミングを制御して、基板及びパルスレーザビームの間の相対的な移動を、一連のレーザパルスのレーザパルスのタイミングと同期させる段階を備え得る。
【0063】
方法は、同期制御信号を使用して、パルスレーザからの一連のレーザパルスの各レーザパルスの放射をトリガ又は開始する段階、及び、同期制御信号を使用して、基板及びパルスレーザビームの間の相対的な移動をを一連のレーザパルスのレーザパルスのタイミングと同期する段階を備え得る。
【0064】
方法は、同期制御信号を使用して、パルスレーザビームによる基板の少なくとも3つの領域の照射のシーケンスを制御するための予め定められた波形の生成をトリガする段階を備え得る。これにより、基板の照射領域の位置をより正確に制御することが可能となり得る。
【0065】
方法は、同期制御信号を使用して、任意波形生成器をトリガして、パルスレーザビームによる基板の少なくとも3つの領域の照射のシーケンスを制御するための予め定められた波形を生成する段階を備え得る。
【0066】
方法は、レーザパルスの1又は複数についての放射タイミングデータを判定又は測定する段階を備え得る。例えば、方法は、パルスレーザビームの一部を検出し、それにより、パルスレーザから放射されたレーザパルスの1又は複数についての放射タイミングデータを測定する段階を備え得る。
【0067】
方法は、基板におけるパルスレーザビームの公称書き込み位置(nominal writing position)を判定又は測定する段階を備え得る。方法は、基板にわたるパルスレーザビームの公称書き込み位置の速度を判定又は測定する段階を備え得る。方法は、測定された放射タイミングデータ、及び、基板におけるパルスレーザビームの判定又は測定された公称書き込み位置、及び、基板におけるパルスレーザビームの公称書き込み位置の判定又は測定された速度のうちの少なくとも1つを使用して、基板に対する未来のレーザパルスの放射のときの基板におけるパルスレーザビームの予測される公称書き込み位置を計算する段階を備え得る。方法は、基板におけるパルスレーザビームの予測される公称書き込み位置、及び、基板におけるパルスレーザビームの対応する所望の公称書き込み位置の間の任意の差異を補償する段階を備え得る。例えば、方法は、ビームスキャナのビームステアリング構成、及び/又は、ビームスキャナのビームステアリング構成の変更のレートを制御して、基板におけるパルスレーザビームの予測される公称書き込み位置、及び、基板におけるパルスレーザビームの所望の公称書き込み位置の間の任意の差異を補償する段階を備え得る。
【0068】
方法は、未来のレーザパルスの放射のタイミングを調節して、基板におけるパルスレーザビームの予測される公称書き込み位置、及び、基板におけるパルスレーザビームの所望の公称書き込み位置の間の任意の差異を補償する段階を備え得る。
【0069】
基板におけるパルスレーザビームの予測される公称書き込み位置、及び、基板におけるパルスレーザビームの所望の公称書き込み位置の間の任意の差異をこのように補償することにより、より高い位置正確度で基板の複数の領域に照射することが可能であり得る。これにより、基板を改変することによって作成された任意の特徴の位置正確度を改善し得る。これにより、結果として生じる基板の改変において任意の不要な空間的変動を最小化し得る。例えば、これにより、基板の屈折率における任意の不要な変動を最小化し得る。これにより、基板のエッチング性における任意の不要な変動を最小化し得る。これにより、基板のその後の化学的エッチングに続く、及び/又は、基板の材料の除去によって基板が改変される、基板の任意の不要な表面粗さを最小化し得る。
【0070】
方法は、より遅いビームスキャナの1又は複数の傾斜角度などのビームステアリング構成を判定又は測定する段階を備え得る。方法は、1又は複数のロータリエンコーダなどの1又は複数のセンサを使用して、より遅いビームスキャナのビームステアリング構成を測定する段階を備え得る。方法は、より遅いビームスキャナの1又は複数の傾斜角度の変更のレートなどのビームステアリング構成の変更のレートを判定又は測定する段階を備え得る。方法は、より遅いビームスキャナのビームステアリング構成の変更のレートを測定するために、1又は複数のロータリエンコーダなどの1又は複数のセンサを使用する段階を備え得る。方法は、判定又は測定された放射タイミングデータ、及び、より遅いビームスキャナの判定又は測定されたビームステアリング構成、及び、より遅いビームスキャナのビームステアリング構成の変更の判定又は測定されたレートのうちの少なくとも1つを使用して、未来のレーザパルスの放射のときのより遅いビームスキャナの予測されるビームステアリング構成を計算する段階を備え得る。方法は、より速いビームスキャナを使用して、未来のレーザパルスの放射のときの、より遅いビームスキャナの予測されるビームステアリング構成、及び、より遅いビームスキャナの所望のビームステアリング構成の間の任意の差異を補償する段階を備え得る。例えば、方法は、より速いビームスキャナのビームステアリング構成、及び/又は、より速いビームスキャナのビームステアリング構成の変更のレートを制御して、未来のレーザパルスの放射のときの、より遅いビームスキャナの予測されるビームステアリング構成、及び、未来のレーザパルスの放射のときの、より遅いビームスキャナの所望のビームステアリング構成の間の任意の差異を補償する段階を備え得る。
【0071】
より速いビームスキャナをこのように使用して、未来のレーザパルスの放射のときの、より遅いビームスキャナのビームステアリング構成、及び、より遅いビームスキャナの所望のビームステアリング構成の間の任意の差異を補償することにより、より高い位置正確度で基板の領域の各々が照射されることを可能にし得る。これにより、基板を改変することによって作成された任意の特徴の位置正確度を改善し得る。これにより、結果として生じる基板の改変において任意の不要な空間的変動を最小化し得る。例えば、これにより、基板の屈折率における任意の不要な変動を最小化し得る。これにより、基板のエッチング性における任意の不要な変動を最小化し得る。これにより、基板のその後の化学的エッチングに続く、及び/又は、基板の材料の除去によって基板が改変される、基板の任意の不要な表面粗さを最小化し得る。より遅いビームスキャナの速度が増加されるとき、より遅いビームスキャナの測定されたビームステアリング構成、及び。より遅いビームスキャナの所望の未来のビームステアリング構成の間の差異が増加し得る。したがって、より速いビームスキャナをこのように使用して、より遅いビームスキャナの予測されるビームステアリング構成、及び、より遅いビームスキャナの所望の未来のビームステアリング構成の間の任意の差異を補償することは、パルスレーザビームが基板の領域の各々を照射し得る位置正確度を過度に低下させることなく、より遅いビームスキャナがより高速に操作され得、それにより、全体的なレーザ処理スループットが増加することを意味し得る。
【0072】
一連のレーザパルスは周期的であり得る。
【0073】
一連のレーザパルスは、少なくとも100KHz、少なくとも1MHz、少なくとも2MHz、少なくとも5MHz、又は少なくとも10MHzの繰り返し周波数を有し得る。
【0074】
一連のレーザパルスは、Qスイッチレーザ又はモードロックレーザを使用して生成され得る。
【0075】
一連のレーザパルスは、レーザを光変調器と組み合わせて使用して生成され得る。
【0076】
本開示の態様によれば、基板を改変するための装置が提供され、装置は、
少なくとも3つの連続レーザパルスを含む一連のレーザパルスを含むパルスレーザビームを生成するためのパルスレーザ;及び
少なくとも3つの連続レーザパルスが、相対的な空間位置を定義する予め定められた空間シーケンス、及び、基板の少なくとも3つの領域の照射の順序に従って、基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、パルスレーザビームの方向、及び/又は、基板の位置をレーザパルスごとに制御するための照射制御機構
を備える。
【0077】
任意選択的に、基板の少なくとも3つの領域は異なり、別個であり、及び/又は、基板の非重複領域である。
【0078】
パルスレーザビーム及び/又は基板の移動を、少なくとも3つの連続レーザパルスのタイミングと同期させることによって、少なくとも3つの連続レーザパルスが、予め定められた空間シーケンスに従って、基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、照射制御機構は、パルスレーザビームの方向、及び/又は、基板の位置をレーザパルスごとに制御するよう構成され得、その結果、基板の少なくとも3つの領域は、予め定められた空間シーケンスに従って少なくとも3つの連続レーザパルスで順次に照射される。
【0079】
少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第1のものが、第1位置を中心とする基板の第1領域に照射するように、パルスレーザビームの公称書き込み位置を基板における第1位置へ移動させるために、パルスレーザビーム及び/又は基板の移動を制御することによって;
少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第2のものが、第2位置を中心とする基板の第2領域に照射するように、基板にわたるパルスレーザビームの公称書き込み位置を、第1方向に沿って、基板における第1位置から基板における第2位置へ移動させるために、パルスレーザビーム及び/又は基板の移動を制御することによって;及び
少なくとも3つの連続レーザパルスの第3のものが、第3位置を中心とする基板の第3領域に照射するように、基板にわたるパルスレーザビームの公称書き込み位置を、第2方向に沿って、基板における第2位置から基板における第3位置へ移動させるために、パルスレーザビーム及び/又は基板の移動を制御することによって、
少なくとも3つの連続レーザパルスが、予め定められた空間シーケンスに従って、基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、照射制御機構は、パルスレーザビームの方向、及び/又は、基板の位置をレーザパルスごとに制御するよう構成され得、ここで、第1及び第2方向は異なる。
【0080】
任意選択的に、基板の第1、第2及び第3領域は、基板の異なる、別個の、及び/又は非重複領域である。
【0081】
任意選択的に、基板における第1、第2及び第3位置は、基板における異なる位置である。
【0082】
基板の第3領域は、第2領域より第1領域の近くに位置し得る。
【0083】
照射制御機構は、基板におけるパルスレーザビームの公称書き込み位置を制御するためのビームスキャナを含み得る。ビームスキャナは非機械的ビームスキャナを含み得る。ビームスキャナはソリッドステートビームスキャナを含み得る。ビームスキャナは音響光学変調器ビームスキャナを含み得る。ビームスキャナは電気光学変調器ビームスキャナを含み得る。
【0084】
照射制御機構は、基板におけるパルスレーザビームの公称書き込み位置を制御するための更なるビームスキャナを含み得る。
【0085】
更なるビームスキャナは機械的ビームスキャナを含み得る。更なるビームスキャナは1又は複数の移動部分を含み得る。更なるビームスキャナは検流計ビームスキャナを含み得る。更なるビームスキャナは傾斜ミラービームスキャナを含み得る。
【0086】
ビームスキャナは、1軸を中心にパルスレーザビームの方向を回転させるよう構成され得る。
【0087】
ビームスキャナは、2つの非平行軸、例えば2つの直交軸を中心にパルスレーザビームの方向を回転させるよう構成され得る。
【0088】
ビームスキャナは、対応する第1軸を中心にパルスレーザビームの角度を変動させるための第1ビームスキャナ要素、及び、対応する第2軸を中心にパルスレーザビームの角度を変動させるための第2ビームスキャナ要素を含み得、ここで、第1及び第2軸は非平行であり、例えば直交する。
【0089】
ビームスキャナは第1レンズ及び第2レンズを含み得る。第1及び第2レンズは4f構成で配置され得、ここで、第1及び第2レンズは、2fの距離だけ離隔され、第1ビームスキャナ要素は、第1レンズの後方焦点面に位置し、第2ビームスキャナ要素は、第2レンズの前方焦点面に位置する。代替的に、ビームスキャナはハーフピッチGRINロッドレンズを含み得る。第1ビームスキャナ要素は、ハーフピッチGRINロッドレンズの第1端に位置し得、第2ビームスキャナ要素は、ハーフピッチGRINロッドレンズの第2端に位置し得る。ハーフピッチGRINロッドレンズを含むそのようなビームスキャナは、パルスレーザビームによって体験される光路長の変動を低減するように機能し得る。なぜなら、パルスレーザビームの方向は、4f構成における第1及び第2レンズを含むビームスキャナと比較したとき、第1ビームスキャナ要素によってスキャンされるからである。ハーフピッチGRINロッドレンズを含むそのようなビームスキャナはまた、ロバスト性を改善し、及び/又は、4f構成における第1及び第2レンズを含むビームスキャナと比較したとき、光学的なアライメントが容易であり得る。
【0090】
第1及び第2ビームスキャナ要素の1つ又は各々は、非機械的ビームスキャナ要素を含み得る。第1及び第2ビームスキャナ要素の1つ又は各々は、ソリッドステートビームスキャナ要素を含み得る。第1及び第2ビームスキャナ要素の1つ又は各々は、音響光学変調器ビームスキャナ要素を含み得る。第1及び第2ビームスキャナ要素の1つ又は各々は、電気光学変調器ビームスキャナ要素を含み得る。
【0091】
更なるビームスキャナは、1軸を中心にパルスレーザビームの方向を回転させるよう構成され得る。
【0092】
更なるビームスキャナは、2つの非平行軸、例えば2つの直交軸を中心にパルスレーザビームの方向を回転させるよう構成され得る。
【0093】
照射制御機構は第3レンズ及び第4レンズを含み得る。ビームスキャナ、第3及び第4レンズ、及び更なるビームスキャナは、4f構成で配置され得、ここで、第3及び第4レンズは、2fの距離だけ離隔され、ビームスキャナは第3レンズの後方焦点面に位置し、更なるビームスキャナは、第4レンズの前方焦点面に位置する。
【0094】
照射制御機構は、第5レンズ、第6レンズ及び顕微鏡対物レンズを含み得る。更なるビームスキャナ、第5及び第6レンズ、及び顕微鏡対物レンズは、4f構成で配置され得、ここで、第5及び第6レンズは、2fの距離だけ離隔され、更なるビームスキャナは、第5レンズの後方焦点面に位置し、顕微鏡対物レンズは、第6レンズの前方焦点面に位置する。
【0095】
照射制御機構は、パルスレーザビームに対して基板を移動させるための移動可能ステージを含み得る。移動可能ステージは、基板が固定されるモーション制御ステージ又は平行移動ステージを含み得る。
【0096】
装置は、同期制御信号を生成し、同期制御信号を使用して基板及びパルスレーザビームの間の相対的な移動を一連のレーザパルスのレーザパルスのタイミングと同期させるよう構成され得る。
【0097】
装置は、パルスレーザビームの一部を検出するための高速フォトディテクタなどの検出器を含み得、それにより、同期制御信号を生成する。
【0098】
照射制御機構は、同期制御信号を使用して、パルスレーザビームで基板の少なくとも3つの領域に照射するための予め定められたシーケンスを生成するよう構成され得る。
【0099】
照射制御機構は、同期制御信号を使用して、パルスレーザビームを用いて基板の少なくとも3つの領域の照射のシーケンスを制御するための予め定められた波形を生成するよう構成されている任意波形生成器を含み得る。
【0100】
本開示の上記の態様のいずれか1つの特徴の任意の1又は複数は、本開示の他の上記の態様のいずれかの特徴の任意の1又は複数と組み合わされ得ることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
添付図面を参照して、非限定的な単なる例として、本開示のこれら及び他の態様をここで説明する。
【0102】
図1】基板を改変するための装置の概略図を示す。
図2】基板を改変するための方法を詳述するフローチャートを示す。
図3図2の方法を使用して、1Dにおける基板の改変において使用するための第1、第2、第3、及び第4パルス空間シーケンスを示す。
図4A図3の第1パルス空間シーケンスに従って、各レーザパルスによって照射される基板の領域の位置をレーザパルスについての時間の関数として示すグラフを示す。
図4B】より遅い更なるビームスキャナの寄与から分離された、図4Aのグラフに対するより速いビームスキャナの寄与を示すグラフを示す。
図5A図3の第2パルス空間シーケンスに従って、各レーザパルスによって照射された基板の領域の位置をレーザパルスについての時間の関数として示すグラフを示す。
図5B】より遅い更なるビームスキャナの寄与から分離された、図5Aのグラフに対するより速いビームスキャナの寄与を示すグラフを示す。
図6A図3の第3パルス空間シーケンスに従って、各レーザパルスによって照射された基板の領域の位置をレーザパルスについての時間の関数として示すグラフを示す。
図6B】より遅い更なるビームスキャナの寄与から分離された、図6Aのグラフに対するより速いビームスキャナの寄与を示すグラフを示す。
図7A図3の第4パルス空間シーケンスに従って、各レーザパルスによって照射された基板の領域の位置をレーザパルスについての時間の関数として示すグラフを示す。
図7B】より遅い更なるビームスキャナの寄与から分離された、図7Aのグラフに対するより速いビームスキャナの寄与を示すグラフを示す。
図8】各レーザパルスによって照射された基板の領域の2D位置を示す、図2の方法を使用して2Dにおける基板を改変することに使用するための第1パルス空間シーケンスを示す。
図9】各レーザパルスによって照射された基板の領域の2D位置を示す、図2の方法を使用して2Dにおける基板を改変することに使用するための第2パルス空間シーケンスを示す。
図10】各レーザパルスによって照射された基板の領域の2D位置を示す、図2の方法を使用して2Dにおける基板を改変することに使用するための第3パルス空間シーケンスを示す。
図11】各レーザパルスによって照射された基板の領域の2D位置を示す、図2の方法を使用して2Dにおける基板を改変することに使用するための第4パルス空間シーケンスを示す。
図12】各レーザパルスによって照射された基板の領域の2D位置を示す、図2の方法を使用して2Dにおける基板を改変することに使用するための第5パルス空間シーケンスを示す。
図13図1の装置において使用するための代替的な2軸ビームスキャナの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0103】
図1は、基板108を改変するための装置100の概略図を示す。装置100は、パルスレーザ102及び照射制御機構103を含む。
【0104】
パルスレーザ102は、一連のレーザパルスの形態でパルスレーザビーム150を放射するためのパルスフェムト秒レーザであり、1035nmの領域の波長、100KHz~10MHzの範囲の繰り返し周波数、及び、100~2000nJの範囲のパルスエネルギーを有する。
【0105】
照射制御機構103は、ビームステアリング機構104及び移動可能ステージ109を含む。基板108は移動可能ステージ109に固定されている。
【0106】
ビームステアリング機構104は、2軸音響光学変調器(AOM)ビームスキャナの形態である2軸ビームスキャナ120、光リレーシステム126、2軸検流計ビームスキャナの形態である更なる2軸ビームスキャナ122、更なる光リレーシステム144、及び顕微鏡対物レンズ148を含む。
【0107】
2軸AOMビームスキャナ120は、第1の1軸音響光学変調器(AOM)ビームスキャナ要素の形態である第1の1軸ビームスキャナ要素130、及び、第2の1軸AOMビームスキャナ要素134の形態である第2の1軸ビームスキャナ要素を含む。ビームスキャナ120は更に第1レンズ132及び第2レンズ133を含む。第1ビームスキャナ要素132、第1レンズ132、第2レンズ133、及び第2ビームスキャナ要素134は、4f構成で配置され、ここで、第1及び第2レンズ132、133は、2fの距離だけ離隔され、第1ビームスキャナ要素130は、第1レンズ132の後方焦点面に位置し、第2ビームスキャナ要素134は、第2レンズ133の前方焦点面に位置する。
【0108】
2Dビームステアリングを達成するために、第1及び第2ビームスキャナ要素130、134は、相互に直交するように配置される。具体的には、第1ビームスキャナ要素130は、y軸を中心にパルスレーザビーム150を回転させることによってパルスレーザビーム150の方向を制御するよう構成され、第2ビームスキャナ要素134は、x軸を中心にパルスレーザビーム150を回転させることによってパルスレーザビーム150の方向を制御するよう構成されている。
【0109】
光リレーシステム126は、第3レンズ136及び第4レンズ137を含む。第2ビームスキャナ要素134、第3レンズ136、第4レンズ137、及び更なるビームスキャナ122は4f構成で配置されている。具体的には、第3及び第4レンズ136、137は、2fの距離だけ離隔され、ビームスキャナ120の第2ビームスキャナ要素134は、第3レンズ136の後方焦点面に位置し、検流計ビームスキャナ122は、第4レンズ137の前方焦点面に位置する。
【0110】
更なる光リレーシステム144は、スキャンレンズの形態である第5レンズ140及びチューブレンズの形態である第6レンズ142を含む。検流計ビームスキャナ122、第5レンズ140、第6レンズ142、及び顕微鏡対物レンズ148は、4f構成で配置され、ここで、第5及び第6レンズ140、142は、2fの距離だけ離隔され、検流計ビームスキャナ122は、第5レンズ140の後方焦点面に位置し、顕微鏡対物レンズ148は、第6レンズ142の前方焦点面に位置する。
【0111】
照射制御機構103は更に、高速フォトディテクタの形態であるフォトディテクタ110、パルスレーザビーム150の一部を高速フォトディテクタ110へ逸らせるためのビームスプリッタ111、及び、任意波形生成器(AWG)の形態である信号生成器112、及びコントローラ114を含む。検流計スキャナ122はまた、検流計ビームスキャナ122のビームステアリング構成を測定するために、1又は複数のロータリエンコーダの形態である1又は複数のセンサ123を含む。
【0112】
図1において破線で示されるように、コントローラ114は、フォトディテクタ110、AWG112、及び検流計ビームスキャナ122の1又は複数のロータリエンコーダ123と通信するように構成されている。さらに、AWG112は、AOMビームスキャナ120の第1及び第2ビームスキャナ要素130、134に電気的に接続されている。
【0113】
下でより詳細に説明されるように、任意波形生成器112は、ビームステアリング空間シーケンスに従ってパルスレーザ102によって放射されるパルスレーザビーム150をステアリングするために、AOMビームスキャナ120の第1及び第2ビームスキャナ要素130、134を制御するために使用される波形又は信号を生成するよう構成されており、それにより、パルスレーザビーム150の方向をレーザパルスごとに制御し、その結果、少なくとも3つの連続レーザパルスは、基板108の少なくとも3つの領域の相対的な空間位置を定義する予め定められた空間シーケンス、及び、基板108の少なくとも3つの領域の照射の順序に従って、基板108の少なくとも3つの領域に順次照射する。
【0114】
使用中、装置100は、図2に示される方法200に従って、基板108を改変する。基板108は、少なくとも3つの領域を含む。方法200は、パルスレーザ102が、少なくとも3つの連続レーザパルスを含む一連のレーザパルスを備えるパルスレーザビーム150を生成する段階202で開始する。方法200は、基板108を改変するために、照射制御機構103がパルスレーザビーム150による基板108の照射を制御する段階204に続く。具体的には、照射制御機構103は、パルスレーザビーム150の方向及び/又は基板の位置をレーザパルスごとに制御し、その結果、少なくとも3つの連続レーザパルスは、基板108の少なくとも3つの領域の相対的な空間位置を定義する予め定められた空間シーケンス、及び、基板108の少なくとも3つの領域の照射の順序に従って、基板108の少なくとも3つの領域に順次に照射する。
【0115】
より詳細には、レーザ102からの放射に続いて、パルスレーザビーム150は2軸AOMビームスキャナ120によって受信される。2軸AOMビームスキャナ120の第1ビームスキャナ要素130は、y軸を中心にパルスレーザビーム150を回転させることによって、1Dにおいてパルスレーザビーム150の方向を制御し、2軸AOMビームスキャナ120の第2ビームスキャナ要素134は、x軸を中心にパルスレーザビーム150を回転させることによって、1Dにおいてパルスレーザビーム150の方向を制御する。
【0116】
光リレーシステム126は、2軸AOMビームスキャナ120の第2ビームスキャナ要素134からのパルスレーザビーム150を検流計ビームスキャナ122に結合する。
【0117】
検流計ビームスキャナ122は、2つの次元における(すなわち、x軸及びy軸の両方を中心とする)パルスレーザビーム150の追加的なステアリングを提供する。
【0118】
更なる光リレーシステム144は、パルスレーザビーム150を顕微鏡対物レンズ148に結合する。顕微鏡対物レンズ148は、パルスレーザビーム150を基板上に収束させる。
【0119】
照射制御機構103は、AOMビームスキャナ120及び検流計ビームスキャナ122を使用して、基板108の上表面に平行な平面における2つの次元においてパルスレーザビーム150をステアリングすることによって、パルスレーザビーム150を基板108に対して移動させる。具体的には、第1レーザパルスで第1領域に照射し、第2レーザパルスで第3領域に照射し、次に、第3レーザパルスで第2領域に照射するために、AOMビームスキャナ120は、パルスレーザビーム150をステアリングする。検流計ビームスキャナ122は、基板108に対する追加的な動きをパルスレーザビーム150に付与し、ここで、追加の動きは、AOMビームスキャナ120によって付与される、基板108に対するパルスレーザビーム150の動きへの追加である。例えば、検流計ビームスキャナ122は、基板108に対する追加の線形的な動きをパルスレーザビーム150に付与する。
【0120】
AOMビームスキャナ120は、検流計ビームスキャナ122より速くパルスレーザビーム150をステアリングし、及び/又は、検流計ビームスキャナ122の応答時間より速い応答時間を有する。結果的にAOMビームスキャナ120及び検流計ビームスキャナ122を組み合わせて使用することにより、検流計ビームスキャナ122を単独で使用したときに可能であるものより速く、かつ、AOMビームスキャナ120を単独で使用したときに可能であるものより大きい面積の基板108にわたって、パルスレーザビーム150をステアリングすることを可能にする。さらに、移動可能ステージ109を使用して、パルスレーザビーム150に対して基板108を移動させることにより、基板108の一層より大きい面積が照射されることが可能となる。
【0121】
ビームスプリッタ111は、パルスレーザビーム150の一部をフォトディテクタ110上に逸らせ、フォトディテクタ110に、パルスレーザビーム150内の各パルスのタイミング情報を含む同期制御信号を生成させる。同期制御信号はコントローラ114へ電気的に送信される。コントローラ114は同期制御信号を使用してAWG112をトリガする。AWG112は、同期制御信号によってトリガされるとき、所望のパルス空間シーケンスに従って基板108に対するパルスレーザビーム150の移動を制御するために、AOMビームスキャナ120の第1及び第2AOMビームスキャナ要素130、132を制御するために使用される波形を生成する。
【0122】
さらに、1又は複数のロータリエンコーダ123は、検流計ビームスキャナ122のビームステアリング構成、及び/又は、検流計ビームスキャナ122のビームステアリング構成の変更のレートを表す信号を生成する。具体的には、1又は複数のロータリエンコーダ123は、検流計ビームスキャナ122のミラーの1又は複数の傾斜角度、及び/又は、検流計ビームスキャナ122のミラーの1又は複数の傾斜角度の変更のレートを表す信号を生成する。検流計ビームスキャナ122のビームステアリング構成、及び/又は、検流計ビームスキャナ122のビームステアリング構成の変更のレートを表す信号は、1又は複数のロータリエンコーダ123からコントローラ114へ電気的に送信される。コントローラ114は次に、同期制御信号、及び、検流計ビームスキャナ122のビームステアリング構成、及び/又は、検流計ビームスキャナ122のビームステアリング構成の変更のレートを表す信号を使用して、未来のレーザパルスの放射のときの検流計ビームスキャナ122のビームステアリング構成を予測し、コントローラ114は、未来のレーザパルスの放射のときの、検流計ビームスキャナ122の予測されるビームステアリング構成、及び、検流計ビームスキャナ122の所望の未来のビームステアリング構成の間の任意の差異を補償するために、ビームステアリング構成、及び/又は、より速いAOMビームスキャナ120のビームステアリング構成の変更のレートを制御する。
【0123】
このようにより速いAOMビームスキャナ120を使用して、未来のレーザパルスの放射のときの、より遅い検流計ビームスキャナ122の予測されるビームステアリング構成、及び、より遅い検流計ビームスキャナ122の所望の未来のビームステアリング構成の間の任意の差異を補償することにより、より大きい位置正確度で基板108の各領域が照射されることを可能にし得る。これにより、基板108を改変することによって作成される任意の特徴の位置正確度を改善し得る。これにより、基板108の結果的な改変における任意の不要な空間的変動を最小化し得る。例えば、これにより、基板108の屈折率における任意の不要な変動を最小化し得る。これにより、基板108のエッチング性における任意の不要な変動を最小化し得る。これにより、基板108のその後の化学的エッチングに続く、及び/又は、基板108の材料の除去によって基板108が改変される場合の、基板108の任意の不要な表面粗さを最小化し得る。より遅い検流計ビームスキャナ122の速度が増加されるとき、より遅い検流計ビームスキャナ122の測定されたビームステアリング構成、及び、より遅い検流計ビームスキャナ122の意図されるビームステアリング構成の間の差異が増加し得る。したがって、このようにより速いAOMビームスキャナ120を使用して、より遅い検流計ビームスキャナ122のビームステアリング構成、及び、より遅い検流計ビームスキャナ122の意図されるビームステアリング構成の間の任意の差異を補償することはまた、基板108の領域の各々をパルスレーザビーム150が照射し得る位置正確度を過度に低下させることなく、より遅い検流計ビームスキャナ122がより高速に操作され得、それにより、全体的なレーザ処理スループットを増加させることを意味し得る。
【0124】
図3は、第1線形パルス空間シーケンス302、第2線形パルス空間シーケンス304、第3線形パルス空間シーケンス306、及び第4線形パルス空間シーケンス308の例300を列挙する。図3において、基板108の異なる領域は、線形経路に沿って1Dの均一な配列に配置され、「0」~「11」とラベリングされる。線形パルス空間シーケンス302、304、306、308の各々は、基板108の異なる領域「0」~「11」の各々が対応するレーザパルスで照射されるシーケンス又は順序を指定する。
【0125】
下でより詳細に説明されるように、各線形パルス空間シーケンス302、304、306、308は、線形経路に沿ってパルスレーザビーム150を前方に「ジャンプ」させ、次に、線形経路に沿ってパルスレーザビーム150を後方に「ジャンプ」させることを伴い、それにより、連続レーザパルスは、基板108の非近隣領域に照射する。結果的に、基板108の近隣領域は、非連続レーザパルスで照射される。
【0126】
各線形パルス空間シーケンスは、シーケンスが反復する前のシーケンスにおけるレーザパルスの数として定義される期間を有する。さらに、各線形パルス空間シーケンスは、2つのパラメータによって特徴付けられる。第1パラメータは、(パルス間隔を単位とする)連続するパルス間の最小の空間的ジャンプnである。第2パラメータは、1/RRを単位とする、基板108の隣接する照射領域間の最小の時間的期間mであり、ここで、RRは、パルスレーザビーム150におけるレーザパルスの繰り返し周波数である。m又はnを増加させるために、線形空間シーケンスの期間は増加される必要がある。
【0127】
例えば、第1線形パルス空間シーケンス302(n=2、m=2)は、シーケンスが反復する前に5の期間を有し、第2線形パルス空間シーケンス304(n=2、m=3)は、シーケンスが反復する前に、7の期間を有し、第3線形パルス空間シーケンス306(n=3、m=3)は、シーケンスが反復する前に、8の期間を有し、第4線形パルス空間シーケンス308(n=3、m=4)は、シーケンスが反復する前に、11の期間を有する。
【0128】
図4Aは、第1線形パルス空間シーケンス302に従って、各レーザパルスによって照射される基板108の領域の位置を時間の関数として示すグラフ400を示す。グラフ400は、第1線形パルス空間シーケンス302に従って、線形経路に沿って、異なるレーザパルスで基板108の異なる領域に照射するために、照射制御機構103を使用してパルスレーザビーム150をステアリングすることに対応する。時間の関数として、照射領域の位置は、破線によって示される正の線形ランプの上に重ねられるより速いAOMビームスキャナ120のビームステアリングに起因する鋸歯パターンに従い、ここで、正の線形ランプは、より遅い検流計ビームスキャナ122の一定のビームステアリング速度に、例えば、より遅い検流計スキャナ122の動作に起因するビームステアリング角度の変更の線形レートに起因する。
【0129】
より具体的には、第1線形パルス空間シーケンス302に従って、シーケンスにおける第1パルスは、領域0に入射し、シーケンスにおける第2パルスは、領域2に入射し(すなわち、領域1を越えて前方へジャンプし)、シーケンスにおける第3パルスは、領域4に入射し(すなわち、領域3を越えて前方へジャンプし)、シーケンスにおける第4パルスは、領域1に入射し(すなわち、領域1へ後方にジャンプし)、シーケンスにおける第5パルスは、領域3に入射する(すなわち、領域2)を越えて前方にジャンプする)。この後、シーケンスは反復する。しかしながら、検流計ビームスキャナ122は、破線によって示される基板108に対するパルスレーザビーム150の移動の一定レートを付与するので、シーケンスにおける第6パルス(すなわち、新しいシーケンスの第1パルス)は、領域5に(すなわち、基板108に対するパルスレーザビーム150の移動の一定レートが無い場合の領域0の代わりに)入射する。したがって、第1線形パルス空間シーケンス302は、互いに隣接する基板108の領域に照射するために連続レーザパルスが使用されない、基板108の異なる領域の照射を定義する。
【0130】
図4Bは、検流計ビームスキャナ122の寄与から分離された、図4Aのグラフ400のAOMビームスキャナ120の寄与を示すグラフ402を示す。グラフ402は、検流計ビームスキャナ122の寄与を含まないので、より遅い検流計ビームスキャナ122の動作に起因する、基板108に対するパルスレーザビーム150の移動の一定速度は図4Bに示されない。したがって、グラフ402は、シーケンスのすべてのイテレーションを反復する周期的鋸歯パターンを示す。図4Bから理解され得るように、周期的鋸歯パターンは、複数の歯を含み、ここで、各歯は、時間と共に徐々に増加する値を有する、複数の位置によって定義されるより緩やかな正の傾きの部分を含み、より急な負の傾きの部分が後に続く。
【0131】
図5Aは、図3の第2線形パルス空間シーケンス304に従って、各レーザパルスによって照射される基板108の領域の位置をレーザパルスについての時間の関数として示すグラフ500を示す。図5Bは、検流計ビームスキャナ122の寄与から分離された図5Aのグラフ500に対するAOMビームスキャナ120の寄与を示すグラフ502を示す。
【0132】
図6Aは、図3の第3線形パルス空間シーケンス306に従って、各レーザパルスによって照射された基板108の領域の位置をレーザパルスの時間の関数として示すグラフ600を示す。図6Bは、検流計ビームスキャナ122の寄与から分離された、図6Aのグラフ600に対するAOMビームスキャナ120の寄与を示すグラフ602を示す。
【0133】
図7Aは、図3の第4線形パルス空間シーケンス308に従って、各レーザパルスによって照射された基板108の領域の位置をレーザパルスの時間の関数として示すグラフ700を示す。図7Bは、検流計ビームスキャナ122の寄与から分離された、図7Aのグラフ700に対するAOMビームスキャナ120の寄与を示すグラフ702を示す。
【0134】
図4A~7Bの上記の説明から理解され得るように、図3の線形パルス空間シーケンスは、基板108の誘発された改変の形態に著しい変更を生じさせることなく、繰り返し周波数が増加したレーザパルスの使用、及び、線形経路に沿った、検流計ビームスキャナ122によって提供される追加のスキャンの速度における対応する増加を可能にする。結果的に、基板108を改変するための上で説明される方法200は、基板108のレーザ処理スループットを増加させる。
【0135】
図8は、5個のレーザパルスのシーケンスの各レーザパルスによって照射された基板の領域の2D位置を示す図2の方法200における使用のための第1パルス空間シーケンス800を示す。具体的には、第1パルス空間シーケンス800は、5個のレーザパルスを使用する、基板108の5個の別個の領域の照射順序を定義し、ここで、5個の別個の領域は、AOMビームスキャナ120を使用してパルスレーザビーム150をy方向にステアリングし、検流計ビームスキャナ122を使用して、矢印820によって示されるx方向にパルスレーザビーム150をステアリングすることによって、y方向に沿って配置される。第1パルス空間シーケンス800の基板108の照射領域の位置は、近隣領域間の間隔の5倍の(すなわち、y方向に沿った)幅を有する均一な線形配列として配置されている。第1パルス空間シーケンス800については、n=2、及び、m=2である。
【0136】
図9は、図2の方法200における使用のための第2パルス空間シーケンス900を示し、12個のレーザパルスのシーケンスの各レーザパルスによって照射された基板108の領域の2D位置を示す。具体的には、第2パルス空間シーケンス900は、12個のレーザパルスを使用して、基板108の12個の別個の領域の照射の順序を定義し、ここで、12個の別個の領域は、AOMビームスキャナ120を使用して、パルスレーザビーム150を2Dにおいてステアリングし、検流計ビームスキャナ122を使用して、矢印920によって示されるx方向にパルスレーザビーム150をステアリングすることによって、2Dに配置される。第2パルス空間シーケンス900は、近隣領域間の間隔の3倍の幅(すなわち、y方向に沿った)を有する。第2パルス空間シーケンス900は、近隣領域間の間隔の4倍の長さ(すなわち、x方向に沿った)を有する。第2パルス空間シーケンス900については、n=2、及び、m=2である。
【0137】
図10は、36個のレーザパルスのシーケンスの各レーザパルスによって照射された基板108の領域の2D位置を示す、図2の方法200における使用のための第3パルス空間シーケンス1000を示す。具体的には、第3パルス空間シーケンス1000は、36個のレーザパルスを使用する、基板108の36個の別個の領域の照射順序を定義し、ここで、36個の別個の領域は、AOMビームスキャナ120を使用してパルスレーザビーム150を2Dにおいてステアリングし、検流計ビームスキャナ122を使用して、矢印1020によって示されるx方向においてパルスレーザビーム150をステアリングすることによって、2Dにおいて配置される。第3パルス空間シーケンス1000は、近隣領域間の間隔の6倍の幅(すなわち、y方向に沿った)を有する。第3パルス空間シーケンス1000は、近隣領域間の間隔の6倍の長さ(すなわち、x方向に沿った)を有する。第3パルス空間シーケンス1000については、n=3、及び、m=4である。
【0138】
図11は、図2の方法200における使用のための第4パルス空間シーケンス1100を示し、32個のレーザパルスのシーケンスの各レーザパルスによって照射される基板108の領域の2D位置を示す。具体的には、第4パルス空間シーケンス1100は、32個のレーザパルスを使用して、基板108の32個の別個の領域の照射順序を定義し、ここで、32個の別個の領域は、AOMビームスキャナ120を使用してパルスレーザビーム150を2Dにおいてステアリングし、検流計ビームスキャナ122を使用して、矢印1120によって示されるx方向においてパルスレーザビーム150をステアリングすることによって2Dに配置される。第4パルス空間シーケンス1100は、近隣領域間の間隔の8倍の幅(すなわち、y方向に沿った)を有する。第4パルス空間シーケンス1100は、近隣領域間の間隔の4倍の長さ(すなわち、x方向に沿った)を有する。第4パルス空間シーケンス1100については、n=4、及び、m=4である。
【0139】
図12は、図2の方法200における使用のための第5パルス空間シーケンス1200を示し、18個のレーザパルスのシーケンスの各レーザパルスによって照射される基板109の領域の2D位置を示す。具体的には、第5パルス空間シーケンス1200は、18個のレーザパルスを使用して、基板108の18個の別個の領域の照射順序を定義し、ここで、18個の別個の領域は、AOMビームスキャナ120を使用してパルスレーザビーム150を2Dにステアリングし、検流計ビームスキャナ122を使用して、矢印1220によって示されるx方向においてパルスレーザビーム150をステアリングすることによって、2Dに配置される。第5パルス空間シーケンス1200は、近隣領域間の間隔の9倍の幅(すなわち、y方向に沿った)を有する。第5パルス空間シーケンス1200は、近隣領域間の間隔の2倍の長さ(すなわち、x方向に沿った)を有する。第5パルス空間シーケンス1200については、n=4、及び、m=3である。
【0140】
図8から12に示される空間シーケンスの説明から理解され得るように、AOMビームスキャナ120及び検流計ビームスキャナ122を組み合わせて使用して、パルス空間シーケンス800、900、1000、1100、1200に従って基板108を照射する結果、基板レーザ処理速度が、検流計ビームスキャナ122を単独で使用する場合に達成され得るものより高くなり、また、基板をレーザ処理するための従来技術の方法と比較して、基板108のレーザ処理スループットがより高くなり得る。
【0141】
ここで図13を参照すると、図1の装置100において使用するための代替的な2軸AOMビームスキャナ1300の概略図が示されている。第1及び第2レンズ132、133がハーフピッチグレーデッドインデックス(GRIN)ロッド1324で置き換えられていることを除いて、代替的な2軸ビームスキャナ1300は、図1に関して説明される2軸AOMビームスキャナ120と同一である。図13は、パルスレーザ102によって放射されたパルスレーザビーム150を受信し、パルスレーザビーム150を2つの偏向された光線、すなわち、x+光線1352及びx-光線1353の1つに偏向する(すなわち、ステアリングする)第1ビームスキャナ要素130を示す。x+光線1352は、第1スキャナ要素130によって、正のx方向に偏向されている。x-光線1352は、第1スキャナ要素130によって、負のx方向に偏向されている。x+光線1352及びx-光線1353は、2軸ビームスキャナ1300の光軸1360から最大に変位した光線に対応する。
【0142】
使用中、2軸ビームスキャナ1300は、パルスレーザビーム150を、x+光線1352及びx-光線1353の間で、任意の方向に沿ってステアリングする。図1に関して説明された2軸AOMビームスキャナ120のレンズ132、133と異なり、GRINロッド1324は、単一光学要素である。GRINロッド1324は1つの単一光学要素なので、GRINロッド1324は、アライメントの複雑性を最小化する。GRINロッド1324は、GRINロッド1324を通る異なる光路の間のパルス遅延変動を低減し、これは、超高速のパルスレーザビーム150を使用する基板108を処理に重要である。例えば、光軸1360に沿って進む光線は、x+光線1352より短い光路を有するが、光軸1360に沿って進む光線は、x+光線1352が通過するGRINロッド1324の領域より高い屈折率を有するGRINロッド1324のエリア領域を通過する。
【0143】
上で説明された異なる装置及び方法は単に例示であり、請求項は、上で説明された装置及び方法に限定されるものではないことが理解されるべきである。当業者であれば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、上で説明された装置及び方法に対して様々な修正が行われ得ることを理解するであろう。例えば、ビームスキャナ120は、AOMビームスキャナとして上で説明されているが、ビームスキャナ120は、非機械的ビームスキャナ又は任意の種類のソリッドステートビームスキャナであり得る。例えば、ビームスキャナ120は、電気光学変調器(EOM)ビームスキャナであり得る。
【0144】
ビームスキャナ120の第1ビームスキャナ要素130は、y軸を中心にパルスレーザビーム150を回転させると上で説明され、スキャナ120の第2ビームスキャナ要素134は、x軸を中心にパルスレーザビーム150を回転させると説明されている。しかしながら、代替的なビームスキャナでは、第1ビームスキャナ要素130は、x軸を中心にパルスレーザビーム150を回転させ得、第2ビームスキャナ要素134は、y軸を中心にパルスレーザビーム150を回転させ得る。
【0145】
上で説明された更なるビームスキャナ122は2軸ビームスキャナであるが、更なるビームスキャナ122は、1軸ビームスキャナであり得る。上で説明される更なるビームスキャナ122は検流計ビームスキャナであるが、更なるスキャナ122は、傾斜ミラービームスキャナであり得る。
【0146】
図4A~7Bを参照して説明される基板を改変する方法の各々において、時間の関数としての、異なるレーザパルスによって照射される基板108の異なる領域の位置に対するAOMビームスキャナ120の寄与が、図4B、5B、6B及び7Bに示され、複数の歯を含む対応する周期的鋸歯パターンを含み、ここで、各歯は、時間と共に徐々に増加する値を有する複数の位置によって定義される、より緩やかな正の傾きの部分を含み、より急な負の傾きの部分が後に続く。図4A~7Bを参照して説明される基板を改変する方法のいずれかの変形において、時間の関数としての、異なるレーザパルスによって照射された基板108の異なる領域の位置に対するAOMビームスキャナ120の寄与は、複数の歯を含む対応する周期的鋸歯パターンを含み得、ここで、各歯は、時間と共に徐々に減少する値を有する、複数の位置によって定義される、より緩やかな負の傾きの部分を含み、より急な正の傾きの部分が後に続く。
【0147】
より速いAOMビームスキャナ120を使用して、より遅い検流計ビームスキャナ122の測定されたビームステアリング構成、及び、より遅い検流計ビームスキャナ122の意図されるビームステアリング構成の間の任意の差異を補償することに加えて、又は、それに代えて、より遅い検流計ビームスキャナ122の測定されたビームステアリング構成及びより遅い検流計ビームスキャナ122の意図されるビームステアリング構成の間の任意の差異を補償するために、パルスレーザ102からのレーザパルスの放射のタイミングは制御され得る。
【0148】
方法は、例えば移動可能ステージ109を使用して、パルスレーザビーム150の伝搬の方向に、及び/又は、パルスレーザビーム150の伝搬の方向と反対の方向に基板108を移動させる段階を備え得る。そのような方法は、基板108が3Dにおいて改変されることを可能にし得る。
【0149】
基板108の各領域は、単一レーザパルスによって照射されると上で説明されているが、基板108の領域の1又は複数は、2又はより多くの非連続レーザパルスによって照射され得る。
【0150】
上のビームステアリング機構104は、フォトディテクタ110、AWG112、及びコントローラ114を含むと上で説明されているが、これらのコンポーネントの1又は複数はパルスレーザ102を提供され得る。
【0151】
パルスレーザ102は、1035nmの領域における波長を有する一連のレーザパルスの形態でパルスレーザビーム150を放射するためのパルスフェムト秒レーザであると上で説明されているが、パルスレーザは、400nmより大きい波長を有する一連のレーザパルスの形態でパルスレーザビームを放射するよう構成され得る。例えば、パルスレーザは、520nm、800nm又は1550nmと実質的に等しい波長を有する一連のレーザパルスの形態でパルスレーザビームを放射するよう構成され得る。
【0152】
一連のレーザパルスは、Qスイッチレーザ又はモードロックレーザを使用して生成され得る。一連のレーザパルスは、レーザを光変調器と組み合わせて使用して生成され得る。
【0153】
本明細書において開示又は説明される各特徴は、上で説明される異なる装置及び方法のいずれかに、単独で、又は、本明細書において開示又は説明される任意の他の特徴との任意の適切な組み合わせで組み込まれ得る。図面を参照して上で説明される装置又は方法のいずれかの特徴の1又は複数は、同一の装置又は方法の他の特徴の1又は複数と別に使用されるとき、効果をもたらし得る、又は、特長を提供し得る。上で説明された装置及び方法の特徴の特定の組み合わせ以外に、特徴の異なる組み合わせが可能である。
【0154】
当業者であれば、前述の説明及び添付の特許請求の範囲において、「上」、「に沿って」、「側」などの位置に関する用語は、添付の図面に示されるものなど、概念的な図示を参照することを理解するであろう。これらの用語は、参照を容易にするために使用され、限定する性質であることを意図しない。したがって、これらの用語は、添付図面に示される向きのときのオブジェクトを参照していると理解される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスレーザビームを生成するためのパルスレーザ;
前記パルスレーザビームを受信するためのビームスプリッタ;
前記ビームスプリッタから前記パルスレーザビームの第1部分を受信するための光学要素の機構、前記光学要素は:
第1の2軸ビームスキャナ要素;
前記第1の2軸ビームスキャナ要素の後の第2の2軸ビームスキャナ要素;及び
前記第2の2軸ビームスキャナ要素の後の顕微鏡対物レンズ
を含む;
基板を収容するステージ、前記ステージは、前記ステージに結合された基板が前記光学要素の機構からパルスレーザビームを受信するように位置決めされる;
前記パルスレーザビームの第2部分を受信するためのフォトディテクタ;及び
前記フォトディテクタからの信号に基づいて、前記第1の2軸ビームスキャナ要素、及び、前記第2の2軸ビームスキャナ要素を作動させるための制御回路
を備えるシステム。
【請求項2】
前記制御回路は、前記第1の2軸ビームスキャナ要素及び前記第2の2軸ビームスキャナ要素を作動させて、レーザパルスごとに前記パルスレーザビームの方向を制御し、その結果、少なくとも3つの連続レーザパルスは、前記基板の前記少なくとも3つの領域の相対的な空間位置、及び、照射の順序を定義する予め定められた空間シーケンスに従って、前記基板の少なくとも3つの領域を順次に照射する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御回路は更に、レーザパルスごとに前記ステージの位置を制御し、その結果、少なくとも3つの連続レーザパルスは、前記基板の前記少なくとも3つの領域の相対的な空間位置及び照射の順序を定義する予め定められた空間シーケンスに従って、前記基板の少なくとも3つの領域を順次に照射する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御回路は:
前記パルスレーザビームの公称書き込み位置を前記基板における第1位置に移動するように、前記パルスレーザビームの方向又は前記基板の位置を制御し、その結果、少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第1のものが、前記第1位置を中心とする前記基板の第1領域を照射し;
前記基板における前記第1位置から前記基板における第2位置へ第1方向に沿って前記基板にわたって前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置を移動するように、前記パルスレーザビームの方向又は前記基板の位置を制御し、その結果、前記少なくとも3つの連続レーザパルスのうち第2のものが、前記第2位置を中心とする前記基板の第2領域を照射する;及び
前記基板における前記第2位置から前記基板における第3位置へ第2方向に沿って前記基板にわたって前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置を移動するように、前記パルスレーザビームの方向又は前記基板の位置を制御し、その結果、前記少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第3のものが、前記第3位置を中心とする前記基板の第3領域を照射し、ここで、前記第1方向及び前記第2方向は異なる、
請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の2軸ビームスキャナ要素は、第1方向において前記パルスレーザビームの方向を制御するための第1の1軸AOMビームスキャナ要素、及び、第2方向において前記パルスレーザビームの方向を制御するための第2の1軸AOMビームスキャナ要素を含む2軸音響光学変調器(AOM)ビームスキャナ要素である、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1方向及び前記第2方向は直交する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の1軸AOMビームスキャナ要素及び前記第2の1軸AOMビームスキャナ要素の間に第1レンズ及び第2レンズを更に備え、ここで、前記第1レンズは、前記第1の1軸AOMビームスキャナ要素から1つの焦点距離の距離にあり、前記第2レンズは、前記第1レンズから2つの焦点距離の距離にあり、前記第2の1軸AOMビームスキャナ要素は、前記第2レンズから1つの焦点距離の距離にある、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記光学要素の機構は更に、前記第1の2軸ビームスキャナ要素及び前記第2の2軸ビームスキャナ要素の間に第1レンズ及び第2レンズを含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1レンズは、前記第1の2軸ビームスキャナ要素から1つの焦点距離の距離にあり、前記第2レンズは、前記第1レンズから2つの焦点距離の距離にあり、前記第2の2軸ビームスキャナ要素は、前記第2レンズから1つの焦点距離の距離にある、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の2軸ビームスキャナ要素は、2軸検流計ビームスキャナである、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項11】
前記光学要素の機構は更に、前記第2の2軸ビームスキャナ要素及び前記顕微鏡対物レンズの間に光リレーシステムを含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項12】
前記光リレーシステムは、前記第2の2軸ビームスキャナ要素から1つの焦点距離の距離にある第1レンズを含み、第2レンズは、前記第1レンズから2つの焦点距離の距離にあり、前記顕微鏡対物レンズは、前記第2レンズから1つの焦点距離の距離にある、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記パルスレーザは、少なくとも100KHzの繰り返し周波数で一連の周期的レーザパルスを生成する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項14】
前記パルスレーザは、Qスイッチレーザ又はモードロックレーザを含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項15】
一連のレーザパルスを含むパルスレーザビームを生成する段階、前記一連のレーザパルスは、少なくとも3つの連続レーザパルスを含む;及び
所望の空間プロファイルに従って基板を改変するように、前記少なくとも3つの連続レーザパルスを前記基板の少なくとも3つの領域を順次に照射する段階、ここで、前記基板の改変は、前記基板の材料の屈折率を改変すること、前記基板の前記材料の化学的エッチング性を改変すること、又は、前記基板の前記材料を除去することのうちの少なくとも1つを含む;及び
レーザパルスごとに前記パルスレーザビームの方向又は前記基板の位置を制御する段階、その結果、前記少なくとも3つの連続レーザパルスは、前記基板の少なくとも3つの領域の相対的な空間位置を定義する、及び、前記基板の前記少なくとも3つの領域の照射の順序を定義する予め定められた空間シーケンスに従って、前記基板の前記少なくとも3つの領域に順次に照射する、
を備える方法。
【請求項16】
前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置を制御する段階は、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を、前記少なくとも3つの連続レーザパルスのタイミングと同期させる段階、その結果、前記基板の前記少なくとも3つの領域が、前記予め定められた空間シーケンスに従って、前記少なくとも3つの連続レーザパルスで順次に照射される、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記パルスレーザビームの前記方向、又は、前記基板の前記位置を制御する段階は:
記パルスレーザビームの公称書き込み位置を前記基板における第1位置へ移動するように前記パルスレーザビーム又は前記基板の移動を制御する段階、その結果、前記少なくとも3つの連続レーザパルスの第1のものが、前記第1位置を中心とする前記基板の第1領域に照射する;
前記基板における前記第1位置から前記基板における第2位置へ第1方向に沿って前記基板にわたって前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置を移動するように、前記パルスレーザビーム又は前記基板の移動を制御する段階、その結果、前記少なくとも3つの連続レーザパルスの第2のものが、前記第2位置を中心とする前記基板の第2領域に照射する;及び
前記基板における前記第2位置から前記基板における第3位置へ第2方向に沿って前記基板にわたって前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置を移動するように、前記パルスレーザビーム又は前記基板の移動を制御する段階、その結果、前記少なくとも3つの連続レーザパルスの第3のものが、前記第3位置を中心とする前記基板の第3領域に照射し、ここで、前記第1方向及び前記第2方向は異なる、
を含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
予め定められた最小の期間より大きい又はそれに等しい期間だけ離隔されたレーザパルスを使用して、前記基板の任意の2つの最も近い近隣領域に照射する段階、ここで、前記予め定められた最小の期間は、前記基板の前記任意の2つの最も近い近隣領域の温度が、予め定められた閾値温度より小さい又はそれに等しくなるように選択される、を備える、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項19】
連続レーザパルスで前記基板の任意の2つの領域に照射する段階、ここで、前記基板の前記任意の2つの領域は、予め定められた最小の空間的離隔より大きい又はそれに等しい距離だけ離隔され、ここで、前記予め定められた最小の空間的離隔は、前記基板の前記任意の2つの領域の温度が、予め定められた閾値温度より小さい又はそれに等しくなるように選択される、を備える、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項20】
前記パルスレーザビームの前記方向及び/又は前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御する段階は、前記基板の前記少なくとも3つの領域に前記少なくとも3つの連続レーザパルスが照射する期間の間に変動する速度で、前記基板にわたって前記パルスレーザビームの公称書き込み位置を移動するように、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御する段階を含み、
ここで、前記速度は、第1速度成分及び第2速度成分を含み、ここで、前記第1速度成分は一定であり、前記第2速度成分は可変であり、又は、
ここで、前記第1速度成分は、前記第2速度成分より遅く変動する、
請求項15又は16に記載の方法。
【請求項21】
前記第1速度成分は一方向であり、前記第2速度成分は、大きさ及び/又は方向において変動する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1速度成分は、前記パルスレーザビームに対する前記基板の移動に関連付けられる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記レーザパルスの1又は複数についての放射タイミングデータを判定又は測定する段階;
前記基板における前記パルスレーザビームの公称書き込み位置を判定又は測定し、及び/又は、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置の速度を判定又は測定する段階;
判定又は測定された前記放射タイミングデータ、及び、前記基板における前記パルスレーザビームの判定又は測定された前記公称書き込み位置、及び、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置の判定又は測定された前記速度のうちの少なくとも1つを使用して、前記基板上の未来のレーザパルスの放射のときの前記基板における前記パルスレーザビームの予測される公称書き込み位置を計算する段階;及び
ビームスキャナのビームステアリング構成、及び/又は、前記ビームスキャナの前記ビームステアリング構成の変更のレートを制御して、前記基板における前記パルスレーザビームの前記予測される公称書き込み位置、及び、前記基板における前記パルスレーザビームの前記所望の未来の公称書き込み位置の間の任意の差異を補償することによって、前記基板における前記パルスレーザビームの前記予測される公称書き込み位置、及び、前記基板における前記パルスレーザビームの対応する所望の未来の公称書き込み位置の間の任意の差異を補償する段階
を備える、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項24】
前記レーザパルスの1又は複数についての放射タイミングデータを判定又は測定する段階;
より遅いビームスキャナの1又は複数の傾斜角度などのビームステアリング構成を判定又は測定し、及び/又は、前記より遅いビームスキャナの前記1又は複数の傾斜角度の変更のレートなどのビームステアリング構成の変更のレートを判定又は測定する段階;
判定又は測定された前記放射タイミングデータ、及び、前記より遅いビームスキャナの判定又は測定された前記ビームステアリング構成、及び、前記より遅いビームスキャナの前記ビームステアリング構成の判定又は測定された前記変更のレートのうちの少なくとも1つを使用して、未来のレーザパルスの放射のときの前記より遅いビームスキャナの予測されるビームステアリング構成を計算する段階;及び
より速いビームスキャナを使用して、例えば、前記より速いビームスキャナのビームステアリング構成、及び/又は、前記より速いビームスキャナの前記ビームステアリング構成の変更のレートを制御して、前記より遅いビームスキャナの前記予測されるビームステアリング構成、及び、前記未来のレーザパルスの放射のときの前記より遅いビームスキャナの対応する所望のビームステアリング構成の間の任意の差異を補償することによって、前記より遅いビームスキャナの前記予測されるビームステアリング構成、及び、前記未来のレーザパルスの放射のときの前記より遅いビームスキャナの対応する所望のビームステアリング構成の間の任意の差異を補償する段階
を備える、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項25】
前記基板の前記少なくとも3つの領域は、1D配列、2D配列、又は、3D配列、例えば、均一1D配列、均一2D配列、又は均一3D配列などの配列で配置される、請求項15又は16に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0154
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0154】
当業者であれば、前述の説明及び添付の特許請求の範囲において、「上」、「に沿って」、「側」などの位置に関する用語は、添付の図面に示されるものなど、概念的な図示を参照することを理解するであろう。これらの用語は、参照を容易にするために使用され、限定する性質であることを意図しない。したがって、これらの用語は、添付図面に示される向きのときのオブジェクトを参照していると理解される。
[項目1]
基板を改変するための方法であって、
一連のレーザパルスを含むパルスレーザビームを生成する段階、前記一連のレーザパルスは少なくとも3つの連続レーザパルスを含む;及び
前記少なくとも3つの連続レーザパルスが、前記基板の少なくとも3つの領域の相対的な空間位置を定義する予め定められた空間シーケンス、及び、前記基板の前記少なくとも3つの領域の照射の順序に従って、前記基板の前記少なくとも3つの領域に順次に照射するように、前記パルスレーザビームの方向及び/又は前記基板の位置をレーザパルスごとに制御する段階
を備える方法。
[項目2]
前記少なくとも3つの連続レーザパルスが、前記予め定められた空間シーケンスに従って、前記基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御する段階は、前記基板の前記少なくとも3つの領域が、前記予め定められた空間シーケンスに従って、前記少なくとも3つの連続レーザパルスで順次に照射されるように、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を前記少なくとも3つの連続レーザパルスのタイミングと同期させる段階を含む、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記少なくとも3つの連続レーザパルスが、前記予め定められた空間シーケンスに従って、前記基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御する段階は:
前記少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第1のものが、第1位置を中心とする前記基板の第1領域に照射するように、前記パルスレーザビームの公称書き込み位置を前記基板における前記第1位置へ移動させるために、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御する段階;
前記少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第2のものが、第2位置を中心とする前記基板の第2領域に照射するように、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置を、第1方向に沿って前記基板における前記第1位置から前記基板における前記第2位置へ移動させるために、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御する段階:及び
前記少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第3のものが、第3位置を中心とする前記基板の第3領域に照射するように、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置を、前記第2方向に沿って前記基板における前記第2位置から前記基板における前記第3位置へ移動させるために、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御する段階
を含み、
ここで、前記第1及び第2方向は異なる、項目1又は2に記載の方法。
[項目4]
前記基板の前記第3領域は、前記第2領域より前記第1領域の近くに位置する、項目3に記載の方法。
[項目5]
前記基板の前記第3領域は、前記基板の前記第1及び第2領域の間に位置する、項目3又は4に記載の方法。
[項目6]
予め定められた最小の期間より大きい又はそれに等しい期間だけ離隔されたレーザパルスを使用して、前記基板の任意の2つの最も近い近隣領域に照射する段階を備える、任意の前述の項目に記載の方法。
[項目7]
前記予め定められた最小の期間は、前記基板の前記任意の2つの最も近い近隣領域の温度が、予め定められた閾値温度より低い又はそれに等しくなるように選択される、項目6に記載の方法。
[項目8]
連続レーザパルスで前記基板の任意の2つの領域に照射する段階を備え、ここで、前記基板の前記任意の2つの領域は、予め定められた最小の空間的離隔より大きい又はそれに等しい距離だけ離隔されている、任意の前述の項目に記載の方法。
[項目9]
前記予め定められた最小の空間的離隔は、前記基板の前記任意の2つの領域の温度が、予め定められた閾値温度より低い又はそれに等しくなるように選択される、項目8に記載の方法。
[項目10]
前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御する段階は、例えば、前記基板に対して前記パルスレーザビームをレーザパルスごとにステアリングすることによって、前記基板に対する前記パルスレーザビームの移動をレーザパルスごとに制御する段階を含む、任意の前述の項目に記載の方法。
[項目11]
前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御する段階は、例えば:
前記基板の表面に平行な方向に;
前記基板の表面に直交する方向に;
前記パルスレーザビームの伝搬の方向に;及び/又は
前記パルスレーザビームの伝搬の方向と反対の方向に
前記基板の移動を制御することによって、前記パルスレーザビームに対する前記基板の移動を制御する段階を含む、任意の前述の項目に記載の方法。
[項目12]
前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御する段階は、
少なくとも3つの連続レーザパルスが前記基板の前記少なくとも3つの領域に照射する期間の間に変動する速度で、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの公称書き込み位置を移動させるために、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御する段階
を含み、
ここで、前記速度は、第1及び第2速度成分を含み、
ここで、前記第1速度成分は一定であり、前記第2速度成分は可変であり;又は
前記第1速度成分は、前記第2速度成分より遅く変動する、
任意の前述の項目に記載の方法。
[項目13]
前記第1速度成分は一方向である、項目12に記載の方法。
[項目14]
前記第2速度成分は、大きさ及び/又は方向において変動する、項目12又は13に記載の方法。
[項目15]
前記第1速度成分は、前記パルスレーザビームに対する前記基板の移動に関連付けられる、項目12から14のいずれか一項に記載の方法。
[項目16]
前記第2速度成分は、前記基板に対する前記パルスレーザビームの移動に関連付けられ、例えば、前記第2速度成分は、前記基板に対する前記パルスレーザビームのビームステアリングに関連付けられる、項目12から15のいずれか一項に記載の方法。
[項目17]
前記レーザパルスの1又は複数について放射タイミングデータを判定又は測定する段階;
前記基板における前記パルスレーザビームの公称書き込み位置を判定又は測定する、及び/又は、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置の速度を判定又は測定する段階;
前記判定又は測定された放射タイミングデータ、及び、前記基板における前記パルスレーザビームの前記判定又は測定された公称書き込み位置、及び、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置の前記判定又は測定された速度のうちの少なくとも1つを使用して、前記基板に対する未来のレーザパルスの放射のときの、前記基板における前記パルスレーザビームの予測される公称書き込み位置を計算する段階;及び
例えば、ビームスキャナのビームステアリング構成、及び/又は、前記ビームスキャナの前記ビームステアリング構成の変更のレートを制御することによって、前記基板における前記パルスレーザビームの前記予測される公称書き込み位置、及び、前記基板における前記パルスレーザビームの対応する所望の未来の公称書き込み位置の間の任意の差異を補償し、前記基板における前記パルスレーザビームの前記予測される公称書き込み位置、及び、前記基板における前記パルスレーザビームの前記所望の未来の公称書き込み位置の間の任意の差異を補償する段階
を備える、任意の前述の項目に記載の方法。
[項目18]
前記レーザパルスの1又は複数について、放射タイミングデータを判定又は測定する段階;
より遅いビームスキャナの1又は複数の傾斜角度などのビームステアリング構成を判定又は測定する、及び/又は、前記より遅いビームスキャナの前記1又は複数の傾斜角度の変更のレートなどのビームステアリング構成の変更のレートを判定又は測定する段階;
前記判定又は測定された放射タイミングデータ、及び、前記より遅いビームスキャナの前記判定又は測定されたビームステアリング構成、及び、前記より遅いビームスキャナの前記ビームステアリング構成の前記判定又は測定された変更のレートのうちの少なくとも1つを使用して、前記未来のレーザパルスの放射のときの、前記より遅いビームスキャナの予測されるビームステアリング構成を計算する段階;及び
より速いビームスキャナを使用して、例えば、前記より速いビームスキャナのビームステアリング構成、及び/又は、前記より速いビームスキャナの前記ビームステアリング構成の変更のレートを制御することによって、前記未来のレーザパルスの放射のときの、前記より遅いビームスキャナの前記予測されるビームステアリング構成、及び、前記より遅いビームスキャナの対応する所望のビームステアリング構成の間の任意の差異を補償し、前記未来のレーザパルスの放射のときの、前記より遅いビームスキャナの前記予測されるビームステアリング構成、及び、前記より遅いビームスキャナの対応する所望のビームステアリング構成の間の任意の差異を補償する段階
を備える、項目1から16のいずれか一項に記載の方法。
[項目19]
前記一連のレーザパルスは周期的である;
前記一連のレーザパルスは、少なくとも100KHz、少なくとも1MHz、少なくとも2MHz、少なくとも5MHz、又は、少なくとも10MHzの繰り返し周波数を有する;
前記一連のレーザパルスは、Qスイッチレーザ又はモードロックレーザを使用して生成される;及び
前記一連のレーザパルスは、レーザを光変調器と組み合わせて使用して生成される
のうちの少なくとも1つである、任意の前述の項目に記載の方法。
[項目20]
前記基板の前記少なくとも3つの領域は、1D配列、2D配列、又は3D配列、例えば、均一な1D配列、均一な2D配列、又は均一な3D配列などの配列に配置される、任意の前述の項目に記載の方法。
[項目21]
所望の空間プロファイルに従って前記基板を改変するために、前記少なくとも3つの連続レーザパルスで前記基板の前記少なくとも3つの領域に順次に照射する段階を備え、任意選択的に、
前記基板を改変することは、
前記基板の材料の屈折率を改変すること;
前記基板の前記材料の化学的エッチング性を改変すること;又は
前記基板の前記材料を除去すること
のうちの少なくとも1つを含む、
任意の前述の項目に記載の方法。
[項目22]
基板を改変するための装置であって、
少なくとも3つの連続レーザパルスを含む一連のレーザパルスを含むパルスレーザビームを生成するためのパルスレーザ;及び
前記少なくとも3つの連続レーザパルスが、相対的な空間位置を定義する予め定められた空間シーケンス、及び、前記基板の前記少なくとも3つの領域の照射の順序に従って、前記基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、前記パルスレーザビームの方向、及び/又は、前記基板の位置をレーザパルスごとに制御するための照射制御機構
を備える装置。
[項目23]
前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を、前記少なくとも3つの連続レーザパルスのタイミングと同期させることによって、前記少なくとも3つの連続レーザパルスが、前記予め定められた空間シーケンスに従って、前記基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、前記照射制御機構は、前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御するよう構成され、その結果、前記基板の前記少なくとも3つの領域は、前記予め定められた空間シーケンスに従って前記少なくとも3つの連続レーザパルスで順次に照射される、項目22に記載の装置。
[項目24]
前記少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第1のものが、前記第1位置を中心とする前記基板の第1領域に照射するように、前記パルスレーザビームの公称書き込み位置を前記基板における第1位置へ移動させるために、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御することによって;
前記少なくとも3つの連続レーザパルスのうちの第2のものが、第2位置を中心とする前記基板の第2領域に照射するように、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置を、第1方向に沿って、前記基板における前記第1位置から前記基板における前記第2位置へ移動させるために、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御することによって;及び
前記少なくとも3つの連続レーザパルスの第3のものが、第3位置を中心とする前記基板の第3領域に照射するように、前記基板にわたる前記パルスレーザビームの前記公称書き込み位置を、第2方向に沿って、前記基板における前記第2位置から前記基板における前記第3位置へ移動させるために、前記パルスレーザビーム及び/又は前記基板の移動を制御することによって、
前記少なくとも3つの連続レーザパルスが、前記予め定められた空間シーケンスに従って、前記基板の少なくとも3つの領域に順次に照射するように、前記照射制御機構は、前記パルスレーザビームの前記方向、及び/又は、前記基板の前記位置をレーザパルスごとに制御するよう構成されており、
ここで、前記第1及び第2方向は異なる、項目22又は23に記載の装置。
[項目25]
前記基板の前記第3領域は、前記第2領域より前記第1領域の近くに位置する、項目24に記載の装置。
[項目26]
前記照射制御機構は、前記基板における前記パルスレーザビームの位置をレーザパルスごとに制御するためのスキャナを含み、任意選択的に、
前記スキャナは、非機械的スキャナ、ソリッドステートスキャナ、音響光学変調器スキャナ、又は、電気光学変調器スキャナのうちの少なくとも1つを含み、任意選択的に、
前記スキャナは、2つの非平行軸及び/又は2つの直交軸などの1軸又は2軸を中心に前記パルスレーザビームの方向を回転させるよう構成され、任意選択的に、
前記スキャナは、対応する第1軸を中心に前記パルスレーザビームの角度を変動させるための第1スキャナ要素、及び、対応する第2軸を中心に前記パルスレーザビームの角度を変動させるための第2スキャナ要素を含み、ここで、前記第1及び第2軸は、非平行であり、及び/又は直交し、任意選択的に:
前記スキャナは、4f構成で配置された第1レンズ及び第2レンズを含み、前記第1及び第2レンズは、2fの距離だけ離隔され、前記第1スキャナ要素は前記第1レンズの後方焦点面に位置し、前記第2スキャナ要素は、前記第2レンズの前方焦点面に位置し;又は
前記スキャナはハーフピッチGRINロッドレンズを含み、ここで、前記第1スキャナ要素は、前記ハーフピッチGRINロッドレンズの第1端に位置し、前記第2スキャナ要素は、前記ハーフピッチGRINロッドレンズの第2端に位置する、
のいずれかである、項目22から25のいずれか一項に記載の装置。
【国際調査報告】