IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-523160書込み前ウィークプリチャージデュアルレールSRAM書込み最適化
<>
  • 特表-書込み前ウィークプリチャージデュアルレールSRAM書込み最適化 図1
  • 特表-書込み前ウィークプリチャージデュアルレールSRAM書込み最適化 図2
  • 特表-書込み前ウィークプリチャージデュアルレールSRAM書込み最適化 図3
  • 特表-書込み前ウィークプリチャージデュアルレールSRAM書込み最適化 図4
  • 特表-書込み前ウィークプリチャージデュアルレールSRAM書込み最適化 図5
  • 特表-書込み前ウィークプリチャージデュアルレールSRAM書込み最適化 図6
  • 特表-書込み前ウィークプリチャージデュアルレールSRAM書込み最適化 図7
  • 特表-書込み前ウィークプリチャージデュアルレールSRAM書込み最適化 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】書込み前ウィークプリチャージデュアルレールSRAM書込み最適化
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/419 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
G11C11/419 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574126
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2022033402
(87)【国際公開番号】W WO2022271484
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】17/358,527
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】タウフィーク アフメド
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジェイ. ロビソン
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ジェイ. シュレイバー
【テーマコード(参考)】
5B015
【Fターム(参考)】
5B015HH03
5B015JJ24
5B015KB03
5B015KB50
5B015KB82
(57)【要約】
メモリセルにアクセスするための方法は、メモリセルの次のアクセスの前にメモリセルのビット線のプリチャージを有効にすることを含む。この方法は、次のアクセスが書込みである場合、第1の間隔の後にプリチャージを無効にすることを含む。本方法は、次のアクセスが読出しである場合、第2の間隔の後にプリチャージを無効にすることを含む。第1の間隔は、第2の間隔よりも短い。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルにアクセスする方法であって、
前記メモリセルの次のアクセス前に前記メモリセルのビット線のプリチャージを有効にすることと、
前記次のアクセスが書込みである場合、第1の間隔の後に前記プリチャージを無効にすることと、
前記次のアクセスが読出しである場合、第2の間隔の後に前記プリチャージを無効にすることであって、前記第1の間隔は前記第2の間隔よりも短い、ことと、を含む、
方法。
【請求項2】
プリチャージを有効にすることは、前記メモリセルの前記次のアクセスの前に前記メモリセルのビット線プリチャージ制御信号をアクティブレベルに設定することを含み、
前記メモリセルの前記次のアクセスは書込みであり、前記プリチャージは前記第1の間隔の後に無効にされ、無効にすることは、ワード線制御信号のアサートの前に前記ビット線プリチャージ制御信号を非アクティブレベルにリセットすることを含む、
請求項1の方法。
【請求項3】
プリチャージを有効にすることは、前記メモリセルの前記次のアクセスの前に前記メモリセルのビット線プリチャージ制御信号をアクティブレベルに設定することを含み、
前記メモリセルの前記次のアクセスは読出しであり、前記プリチャージは前記第1の間隔の後に無効化され、無効化することは、ワード線制御信号を第2のアクティブレベルに設定することと同時に前記ビット線プリチャージ制御信号を非アクティブレベルにリセットすることを含む、
請求項1の方法。
【請求項4】
前のアクセスは読出しであり、前記次のアクセスは書込みであり、前記ビット線は電源電圧にプリチャージされる、
請求項1の方法。
【請求項5】
前のアクセスは書込みであり、前記次のアクセスは書込みであり、前記ビット線は電源電圧の最大90%までウィークプリチャージされる、
請求項1の方法。
【請求項6】
前記第1の間隔は、前記第2の間隔よりも実質的に短い、
請求項1、2、3、4又は5の方法。
【請求項7】
メモリセル制御回路は、第1の正の電圧範囲を有する電源電圧を受け取り、前記メモリセルは、第2の正の電圧範囲を有する第2の電源電圧を受け取る、
請求項1、2、3、4又は5の方法。
【請求項8】
前記書込みは、前記メモリセルを含むメモリアレイにアクセスするプロセッサの第2のクロック信号と同じ周波数を有するクロック信号に同期する、
請求項1、2、3、4又は5の方法。
【請求項9】
ビット線プリチャージ制御信号は、ワード線制御信号の非アクティブレベルへのリセットと同時にアサートされる、
請求項1、2、3、4又は5の方法。
【請求項10】
メモリであって、
ビット線に結合され、ビット線プリチャージ制御信号、メモリセル選択信号及びメモリセル書込み制御信号に応答するメモリセルと、
前記メモリセルの次のアクセスの前に前記ビット線をプリチャージするために前記ビット線プリチャージ制御信号、前記メモリセル選択信号及び前記メモリセル書込み制御信号を生成し、前記次のアクセスが書込みである場合に第1の間隔の後に前記プリチャージを無効にし、前記次のアクセスが読取りである場合に第2の間隔の後に前記プリチャージを無効にするように構成された制御回路であって、前記第1の間隔は前記第2の間隔よりも短い、制御回路と、を備える、
メモリ。
【請求項11】
前記制御回路は、前記メモリセルの前記次のアクセスの前に、前記メモリセルの前記ビット線プリチャージ制御信号をアサートし、
前記メモリセルの前記次のアクセスは書込みであり、前記制御回路は、ワード線制御信号のアサートの前に前記ビット線プリチャージ制御信号をクリアする、
請求項10のメモリ。
【請求項12】
前記制御回路は、前記メモリセルの前記次のアクセスの前に、前記メモリセルの前記ビット線プリチャージ制御信号をアサートし、
前記メモリセルの前記次のアクセスは読出しであり、前記制御回路は、ワード線制御信号のアサートと同時に前記ビット線プリチャージ制御信号をクリアする、
請求項10のメモリ。
【請求項13】
前のアクセスは読出しであり、前記次のアクセスは書込みであり、前記ビット線は電源電圧にプリチャージされる、
請求項10のメモリ。
【請求項14】
前のアクセスは書込みであり、前記次のアクセスは書込みであり、前記ビット線は電源電圧の最大90%までウィークプリチャージされる、
請求項10のメモリ。
【請求項15】
前記第1の間隔は、前記第2の間隔よりも実質的に短い、
請求項10、11、12、13又は14のメモリ。
【請求項16】
前記制御回路は、読出しアクセスのために、ワード線制御信号をアサートするのと同時に、前記ビット線プリチャージ制御信号を非アクティブレベルにリセットする、
請求項10、11、12、13又は14のメモリ。
【請求項17】
前記制御回路は、書込みアクセスのために、前記ビット線プリチャージ制御信号を非アクティブレベルにリセットした後にワード線制御信号をアサートする、
請求項10、11、12、13又は14のメモリ。
【請求項18】
前記制御回路は、第1の正の電圧範囲を有する電源電圧を受け取り、前記メモリセルは、第2の正の電圧範囲を有する第2の電源電圧を受け取る、
請求項10、11、12、13又は14のメモリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
図1を参照すると、メモリセル140は、関連する回路に結合された例示的な6トランジスタ、デュアルレールスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)セルである。メモリセル140は、ワード線WLによって駆動されるゲートを有するパストランジスタ101及びパストランジスタ103を含む。さらに、メモリセル140は、パストランジスタを介してビット線BLT及びビット線BLCに結合された2つの交差結合インバータを含む。ビット線BLT及びBLCは、プリチャージされており、密度の目的で多くのメモリセルがビット線に結合されているため、かなりの容量を有する。ワード線ドライバ113は、読出し動作のためにワード線WL上の信号をアサートし(すなわち、アクティブレベルに設定し)、ビット線からメモリセルに電荷を送達させる。
【0002】
プリチャージトランジスタ134及び138は、メモリセル動作(すなわち、読出し又は書込み)に備えて、コントローラ及びアドレスデコーダ130によるプリチャージ信号BLPCXのアサートに応じて、ビット線BLT及びビット線BLCをVDD(例えば、メモリセル140の電源電圧又はコントローラ及びアドレスデコーダ130の電源電圧)にプリチャージする。プリチャージ信号BLPCXは、「X」で示すようにアクティブLowである。イコライザートランジスタ136は、BLPCXに結合され、プリチャージ信号BLPCXがアクティブである間、ビット線BLT及びビット線BLCを一緒に短絡する。
【0003】
センスアンプ回路120は、センスアンプ回路120に結合するために所望のビット線対を選択するように機能する読出し列(カラム)選択トランジスタ102及び読出し列選択トランジスタ104を含む。読出し列選択トランジスタ102は、ビット線真(true)BLTとセンスアンプ真線(true line)SATとを結合する(又は分離する)。読出し列選択トランジスタ104は、相補ビット線BLCとセンスアンプ補線(complement line)SACとを結合(又は分離)する。読出し列選択制御信号RDCSXは、「X」で示すようにアクティブLowである。プリチャージトランジスタ114及びプリチャージトランジスタ116は、読出し動作に備えて、アクティブLowセンスアンププリチャージ信号SAPCXのアサートに応じて、センスアンプ真線SAT及びセンスアンプ補線SACをVDDにプリチャージする。また、イコライザートランジスタ118は、センスアンププリチャージ信号SAPCXに結合され、プリチャージがアクティブである間、センスアンプ真線SATとセンスアンプ補線SACとを短絡する。センスアンプ真線SAT及びセンスアンプ補線SACがプリチャージされ、ビット線BLT及びBLCが上述した個別のプリチャージ回路によってプリチャージされると、プリチャージトランジスタ114及び116並びにイコライザートランジスタ118がオフにされ、読出し列選択がオンにされて、ビット線BLT及びBLCをセンスアンプ真線SAT及びセンスアンプ補線SACに結合する。読み出されるメモリセルの値に対応して、センスアンプ真線SAT及びセンスアンプ補線SAC上に差動電荷が蓄積する。その差動電荷が蓄積されると、差動センスアンプ回路120は、センスアンプイネーブル信号SAENを使用してオンにされ、テールトランジスタ126をイネーブルして、読み出されているメモリセルの値をラッチする。
【0004】
書込みドライバ170は、書込み列選択線WRCSによって駆動されるゲートを有するパストランジスタ150及びパストランジスタ152を含む。一実施形態では、書込みドライバ170は、パストランジスタ150及びパストランジスタ152をそれぞれ介してビット線BLT及びビット線BLCにそれぞれ結合されたプルダウントランジスタ154及びプルダウントランジスタ156を含む。書込み動作の場合、コントローラ及びアドレスデコーダ130は、書込み列選択線WRCSをアサートして、「X」で示すように、アクティブlowである書込みデータ信号WDT_X及び書込みデータ信号WDC_Xに従って、書込み列選択線WRCSをアサートしてビット線からメモリセルを放電させる。
【0005】
図1及び図2を参照すると、メモリセル140の例示的な書込み動作において、ビット線BLT及びBLCは、第1のメモリ動作の後であって次のメモリ動作の前にVDDにプリチャージされる。次の動作が読出しである場合、両方のビット線は、ビット線上に差動(例えば、約5mV~10mVの差動)を発生させ始める前に、VDDに完全にプリチャージされる必要がある。次のアクセスが書込みである場合、書込みドライバ170は、ビット線をプリチャージした後、ワード線WLをアサートする前に、書込みデータWDT_X、WDC_Xに従ってビット線BLT、BLC上のデータを駆動する必要がある。ワード線WLをアサートすると、ハイノードがn型トランジスタを介して放電する。n型トランジスタは、メモリセル140のプルアップを克服するのに十分な強度を有する。弱い(weak)「1」が、ソースフォロワn型トランジスタ転送デバイスを介してメモリセル140に書き込まれる。少なくとも1つの実施形態において、新しいデータが到着すると(例えば、ビット線BLCをVDDに駆動するために)、書込みドライバはn型トランジスタのみを使用するので、VDDへの強い経路(strong path)がない。書込みドライバ170が、ワード線WLをアサートする前に又はそれと同時にビット線BLT及びBLC上のデータを完全に駆動しない場合、メモリセル140は読出し動作を開始し、例えば、ビット線BLCを接地に駆動し、ビット線BLTはVDDに留まり、図3に示すように書込みが失敗する。したがって、メモリセルを書き込むための改善された技術が望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、メモリセルにアクセスするための方法は、メモリセルの次のアクセスの前にメモリセルのビット線のプリチャージを有効にすることを含む。この方法は、次のアクセスが書込みである場合、第1の間隔の後にプリチャージを無効にすることを含む。本方法は、次のアクセスが読出しである場合、第2の間隔の後にプリチャージを無効にすることを含む。第1の間隔は、第2の間隔よりも短い。
【0007】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、メモリは、ビット線に結合され、ビット線プリチャージ制御信号、メモリセル選択信号、及び、メモリセル書込み制御信号に応答するメモリセルを含む。メモリは、ビット線プリチャージ制御信号、メモリセル選択信号、及び、メモリセル書込み制御信号を生成して、メモリセルの次のアクセスの前にビット線のプリチャージを有効にし、次のアクセスが書込みである場合に第1の間隔の後にプリチャージを無効にし、次のアクセスが読出しである場合に第2の間隔の後にプリチャージを無効にするように構成された制御回路を含む。第1の間隔は、第2の間隔よりも短い。
【0008】
本発明は、添付の図面を参照することによってより良好に理解され、その数々の目的、特徴及び利点が当業者に明らかになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的なメモリセル及び関連する回路の回路図である。
図2図1のメモリセルへの書込みのための例示的な波形を示す図である。
図3図1のメモリセルへの書込みの失敗についての例示的な波形を示す図である。
図4】本発明の少なくとも1つの実施形態による、コントローラ及びアドレスデコーダによって制御されるメモリセルの機能ブロック図である。
図5】本発明の少なくとも1つの実施形態による、図4のコントローラ及びアドレスデコーダによって生成される例示的な波形を示す図である。
図6】本発明の少なくとも1つの実施形態に一致する図4のコントローラ及びアドレスデコーダの実施形態のための例示的な情報及び制御フローを示す図である。
図7】本発明の少なくとも1つの実施形態によるメモリアレイの機能ブロック図である。
図8図4のメモリセルのための別の書込みドライバの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
異なる図面における同じ符号の使用は、類似又は同一のアイテムを示す。
【0011】
デュアルレールSRAMメモリセルの書込み障害を低減又は除去するための技術は、メモリセルへの書込みの前にメモリセルのビット線を電源電圧VDDにウィーク(weak)プリチャージし、メモリセルの読出しの前にビット線のVDDへの通常のプリチャージを実行する。少なくとも1つの実施形態において、プリチャージ間隔は、プリチャージ制御信号がメモリセルのビット線のプリチャージを有効にする場合に開始し、プリチャージ期間は、プリチャージ制御信号がビット線のプリチャージを無効にする場合に終了する。少なくとも1つの実施形態において、書込み前のプリチャージ間隔の持続時間は、読出し前のプリチャージ間隔の持続時間とは異なる。少なくとも1つの実施形態において、ウィークプリチャージは、通常のプリチャージのプリチャージ間隔よりも実質的に短いプリチャージ間隔を使用する。少なくとも1つの実施形態において、書込み前のより短いプリチャージ間隔は、書込みのためのワード線がアサートされる前に、書込みドライバがビット線上のデータを駆動するための追加の時間を提供する。少なくとも1つの実施形態において、コントローラは、メモリ動作サイクルにおいて、読出しのためのワード線をアサートするよりも後に、書込みのためのワード線をアサートする。すなわち、コントローラは、書込みのためのワード線のアサートを遅延させる。
【0012】
図4及び図5を参照すると、コントローラ及びアドレスデコーダ401は、クロック信号CLKの遷移に調整されたメモリ制御信号を生成する。例えば、メモリ動作READ1において、コントローラ及びアドレスデコーダ401は、メモリセル140の読出しのためのメモリ制御信号を生成する。波形セクション502において、コントローラ及びアドレスデコーダ401は、読出しの前にビット線BLT及びBLCをVDD(例えば、1.4V)に完全にプリチャージした後、ビット線プリチャージ信号BLPCXを非アクティブレベル(例えば、「1」)にリセットし、ワード線ドライバ113は、ワード線WLをアクティブレベル(例えば、「1」)に設定することによってメモリセル140を選択する。少なくとも1つの実施形態において、VDDは、メモリセル140の電源電圧である。他の実施形態において、VDDはコントローラ及びアドレスデコーダ130の電源電圧である。コントローラ及びアドレスデコーダ130は、第1の正の電圧範囲を有する電源電圧を受け取り、メモリセル140は、第2の正の電圧範囲を有する第2の電源電圧を受け取る。少なくとも1つの実施形態において、第1の正の電圧範囲及び第2の正の電圧範囲は異なるが、他の実施形態において、第1の正の電圧範囲及び第2の正の電圧範囲は同じである。波形セクション502における遷移は、クロック信号CLKの立ち上がりエッジの後に同期して生じる。メモリ動作READ1において、メモリセル140は、波形セクション504に示すように、ビット線BLT及びBLC上に比較的低い差動信号を発生する。センスアンプ120は、その比較的低い差動信号を検出し、それに応じて信号:読出しデータを生成する。コントローラ及びアドレスデコーダ401は、ワード線WLを非アクティブレベルにリセットし、ビット線プリチャージ信号BLPCXをアクティブレベル(例えば、「0」)に設定することによってプリチャージを有効にする。一般に、書込み前のプリチャージは、読出し前のプリチャージよりも厳しくなく、したがって、コントローラ及びアドレスデコーダ401は、書込み前の早期にプリチャージを終了し、それによって、ビット線BLT及びBLCをウィークプリチャージする。メモリ動作READ1の後及びメモリ動作WRITE 1の前のプリチャージは、コントローラ及びアドレスデコーダ401が、書込み列選択線WRCSをアクティブレベル(例えば、「1」)に設定し、ビット線プリチャージ信号BLPCXを非アクティブレベルにリセットすることによって、ビット線BLT及びBLC上に書込みデータをセットアップする前に、第1の間隔tを使用してビット線BLT及びBLCをプリチャージする。
【0013】
波形セクション506において、コントローラ及びアドレスデコーダ401は、メモリセル140へのメモリ動作WRITE1のためのメモリ制御信号を生成する。コントローラ及びアドレスデコーダ401は、ビット線プリチャージ信号BLPCXを早期に、すなわちワード線WLのアサートの前にリセットし、書込み前のプリチャージが持続時間tを有するようにする。書込み時間はビット線の時定数によって支配されるので、データをビット線上に早く駆動することは性能を改善する。プリチャージの終了に応じて、書込み列選択線WRCSは、従来のメモリアクセスよりも早くビット線BLT及びBLC上のデータを駆動するために書込みドライバ170を活性化し、それによって、上述した課題(例えば、誤った読出し)を緩和する。例えば、書込みドライバ170は、プリチャージが終了した後、書込み線WLをアサートする前に、他方のビット線をVDDに維持しながら、ビット線BLT又はビット線BLCを接地まで駆動し続ける。
【0014】
メモリ動作WRITE1の波形セクション508は、メモリセル140への書込み直後の書込みのためのプリチャージを示す。一方のビット線は、プリチャージ回路160内のイコライザートランジスタによりわずかに降下する。他方のビット線は上昇するが、プリチャージデバイスロールオフは、高いVDSで、プリチャージの最後の約10%(例えば、約100mV)をプリチャージの残りの部分(例えば、最初の90%)よりも遅くし、また、ビット線はウィークプリチャージされるだけであるため(例えば、ビット線プリチャージ信号BLPCXは、間隔t後に早期にリセットされる)、ビット線BLT又はビット線BLCは、メモリ動作WRITE2の次の書込みの前に、VDDまで完全にプリチャージしなくてもよい。しかしながら、いくつかの条件下では、ビット線BLT又はビット線BLCは、メモリ動作WRITE2の次の書込みの前に、VDDまでプリチャージし続ける。
【0015】
間隔tにわたるメモリ動作WRITE1とメモリ動作WRITE2との間のウィークプリチャージは、コントローラ及びアドレスデコーダ401が、書込み列選択信号WRCSを、プリチャージを遮断するアクティブレベルに設定する前に終了する。少なくとも1つの実施形態において、書込み列選択信号WRCS並びに書込みデータ信号WDT_X及びWDC_Xは、書込みドライバ170に1つのビット線を接地に駆動させる。少なくとも1つの実施形態において、クロスカップルキーパートランジスタ180は、コントローラ及びアドレスデコーダ401がクロスカップルイネーブル信号XCENXをアサートすることに応じて、他方のビット線をVDDにゆっくりと戻す。書込み前のプリチャージは、読出し前のプリチャージよりも厳格でないので、コントローラ及びアドレスデコーダ401は、プリチャージを早期に(例えば、間隔tの終わりに)終了し、ビット線はウィークプリチャージされ、VDDよりも低いレベル(例えば、VDDの90%)にしか達し得ない。しかしながら、ある条件下では、ビット線はVDDに達する。
【0016】
メモリセル140への書込みは、ワード線信号WLのアサートの前に、データがビット線BLT及びBLC上にセットアップされることを必要とする。ビット線プリチャージ信号BLPCXを非アクティブレベルにリセットするのと同時にワード線WLをアサートするのではなく、ビット線プリチャージ信号BLPCXは、書込みのために早期にリセットされ、データがビット線上に早期に駆動されることを可能にして、デュアルレールSRAMにおける書込み前読出し問題を低減する。コントローラ及びアドレスデコーダ401は、ワード線WLのアサート前にデータをセットアップするために、書込み列選択信号WRCSを可能な限り速く駆動する。書込みドライバ170は、ワード線WLをアサートする前に、ビット線BLT及びBLC上のメモリセル140に書き込まれるデータを駆動する。少なくとも1つの実施形態において、ワード線WLのアサートは、ビット線BLT及びBLC上のデータをセットアップするための追加の時間を提供するために、書込みのために遅延される。少なくとも1つの実施形態において、図4に示された回路の代わりに、書込みドライバ170は、書込みデータをセットアップしながら、残りの経路で適切なビット線をVDDにプルアップすることによってプリチャージを終了するプッシュプルドライバを含む。例えば、メモリセル140は、プリチャージの半分(例えば、50%VDD)を用いて、前のクロックサイクルと、次の書込みサイクルの次のデータに対向するデータとに関連付けられたメモリアクセスから回復する。
【0017】
メモリ動作WRITE2において書込み列選択信号WRCSを非アクティブレベルにリセットした後、コントローラ及びアドレスデコーダ401は、ワード線WLをリセットし、間隔tよりも長い間隔tの間、ビット線プリチャージ信号BLPCXをアクティブレベルに設定し、読出し前にビット線をVDDに等化するのに十分な時間を提供する。すなわち、コントローラ及びアドレスデコーダ401は、ビット線プリチャージ信号BLPCXをリセットせず、書込み前に行ったような早期のプリチャージを無効にしない。コントローラ及びアドレスデコーダ401の少なくとも1つの実施形態において、間隔tは、間隔tよりも実質的に短い(例えば、30%~40%短い)。少なくとも1つの実施形態において、CLKは、製品(例えば、プロセッサ)の残りと同じ周波数(例えば、5GHz)を有する。波形セクション510は、メモリ動作WRITE2の直後のメモリ動作READ2のためのプリチャージを示す。ビット線BLT及びBLCは、読出しの前にVDDまでプリチャージする。
【0018】
ビット線BLT及びBLCをVDDにプリチャージし、ビット線BLT及びBLCのプリチャージをディセーブルするのと同時にワード線をアサートするのではなく、意図しない読出しが書込みの前に発生するのを回避するために、ビット線BLT及びBLCはウィークプリチャージされる。ビット線プリチャージは、読出しよりも早くディセーブルされ(例えば、VDDにプリチャージされなくてもよいが、最大でVDDの90%にプリチャージされてもよい)、データがビット線上で早く駆動されることを可能にし、ワード線WLをアサートする前にデータがセットアップされる時間を増加させる。書込み動作の前のビット線プリチャージは、ワード線のアサートの前に無効にされる。結果として、書込みに先行するプリチャージ間隔は、読出しに先行するプリチャージ間隔よりも短い。
【0019】
少なくとも1つの実施形態において、コントローラ及びアドレスデコーダ401は、選択されたプリチャージ間隔に対応するデジタル値をビット線プリチャージ信号BLPCXの対応するエッジに変換するデジタル/時間コンバータ(例えば、カウンタ、タイマ又は他の適切な回路)を含む。ビット線プリチャージ信号BLPCXは、書込み命令の前の間隔tにおいてアクティブレベルとなり、読出し命令の前の期間tにおいてアクティブレベルとなる。コントローラ及びアドレスデコーダ401の少なくとも1つの実施形態において、間隔t及び間隔tは、シミュレーションによって決定される所定の値を有する。コントローラ及びアドレスデコーダ401の他の実施形態において、間隔t及び間隔tは、システムの初期化中又は生産試験中にコントローラ及びアドレスデコーダ401に提供される値に基づいて構成されるプログラム可能な値を有する。コントローラ及びアドレスデコーダ401は、次のアクセスが読出しであるか、又は、次のアクセスが書込みであるかに基づいて間隔値を選択し、それに応じてビット線プリチャージ信号BLPCXを生成する。
【0020】
少なくとも1つの実施形態において、コントローラ及びアドレスデコーダ401は、ワード線WLを非アクティブレベルにリセットすることに同期してビット線プリチャージ信号BLPCXをアクティブレベルに設定するように構成された制御論理を含む(402)。コントローラ及びアドレスデコーダ401は、メモリセルへの次のアクセスが書込みであるかどうかを判定する(404)。次のアクセスがリードであれば、間隔tの後、コントローラ及びアドレスデコーダ401は、ビット線プリチャージ信号BLPCXをリセットし、ワード線WLをアクティブレベルに設定する(414)。読出しの終了時に、コントローラ及びアドレスデコーダ401は、ワード線WLを非アクティブレベルにリセットし(416)、メモリアクセスを終了する(418)。次のアクセスが書込みである場合には(404)、コントローラ及びアドレスデコーダ401は、間隔tの後にビット線プリチャージ信号BLPCXを非アクティブレベルにリセットし(406)、ビット線プリチャージ信号BLPCXをリセットした後にWRCSをアサートし(408)、ワード線WLをアサートして書込みをアクティブにし(410)、ワード線WLを非アクティブレベルにリセットして書込みを終了し(412)、メモリアクセスを終了する(418)。なお、図5の波形及び図6の制御フローは一例に過ぎない。
【0021】
図7は、メモリセル、コントローラ及びアドレスデコーダ並びに関連する回路をコンテキスト内に配置するメモリバンク600の一部の高レベルブロック図である。コントローラ及びアドレスデコーダ601は、行アドレスをデコードするように結合された行デコーダ602を含み、行アドレスに基づいてワード線WL0~WLMを駆動するワード線ドライバを含む。ワード線は、メモリセル603に結合される。書込みデータは、書込みカラム選択信号WRCS[]に従って、相補ビット線(BLT0、BLC0、BLT1、BLC1、BLTN、BLCN)を介してメモリセル603に駆動される。相補ビット線(BLT0、BLC0、BLT1、BLC1、BLTN、BLCN)も、RDCSX[]によって制御される読出し列選択トランジスタ(図示せず)を介して、メモリセル603、回路615及びセンスアンプ617に結合される。列デコーダ616は、列アドレスを受け取り、RDCSX[]信号を使用してセンスアンプ617に結合される適切なビット線対を選択する。一実施形態では、SA制御618によって制御されるセンスアンプ617は、センスアンプ回路120として示される実施形態又は別の実施形態である。プリチャージ回路、キーパー、書込みドライバ、関連する列選択回路、及び、書込み列選択信号は、書込み動作中にコントローラ及びアドレスデコーダ601によっても制御されるが、説明を容易にするために関連する回路615に含まれていることに留意されたい。
【0022】
したがって、通常のプリチャージ間隔を使用して読出し前にビット線をプリチャージし、書込み前により短い間隔を使用してビット線をウィークプリチャージするメモリセルを制御するための技術が開示される。本明細書に記載された本発明の説明は例示的なものであり、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。例えば、本発明は、6トランジスタメモリセルが使用される実施形態において説明されたが、当業者は、本明細書の教示が、他の数のトランジスタを含むメモリセルとともに利用され得ることを理解するであろう。加えて、本発明は、n型トランジスタのみを含む書込みドライバが使用される実施形態において説明されたが、当業者は、本明細書の教示が、他のタイプのトランジスタを含む他の書込みドライバ(例えば、ノードWDT及びノードWDC上の容量が比較的高い実施形態において使用される、図8の書込みドライバ)とともに利用され得ることを理解するであろう。特許請求の範囲で使用される「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、文脈によって別段に明確でない限り、特許請求の範囲内の異なる項目を区別するためのものであり、時間、位置又は品質における何らかの順序を別段に指示又は暗示するものではない。例えば、「第1のメモリアクセス」及び「第2のメモリアクセス」は、第1のメモリアクセスが第2のメモリアクセスよりも時間的に前に発生することを示すものでも暗示するものでもない。本明細書に開示される実施形態の変形及び修正は、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される説明に基づいて行われてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】