(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】樹脂重合反応装置及び樹脂吐出方法
(51)【国際特許分類】
C08G 63/78 20060101AFI20240621BHJP
B01F 27/1145 20220101ALI20240621BHJP
B01F 27/921 20220101ALI20240621BHJP
B01F 27/192 20220101ALI20240621BHJP
B01F 27/07 20220101ALI20240621BHJP
B01F 27/1125 20220101ALI20240621BHJP
B01F 27/90 20220101ALI20240621BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20240621BHJP
B01F 35/221 20220101ALI20240621BHJP
B01J 2/20 20060101ALI20240621BHJP
B29B 7/36 20060101ALI20240621BHJP
B29B 7/72 20060101ALI20240621BHJP
C08G 63/02 20060101ALI20240621BHJP
C08L 101/16 20060101ALI20240621BHJP
B01F 35/50 20220101ALN20240621BHJP
【FI】
C08G63/78
B01F27/1145
B01F27/921
B01F27/192
B01F27/07
B01F27/1125
B01F27/90
B01F35/75
B01F35/221
B01J2/20
B29B7/36
B29B7/72
C08G63/02 ZBP
C08L101/16
B01F35/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576410
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 KR2022016106
(87)【国際公開番号】W WO2023068859
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0141469
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・スー・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・スー・ソン
(72)【発明者】
【氏名】イェ・フン・イム
(72)【発明者】
【氏名】ドン・チョル・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ユン・チェ
【テーマコード(参考)】
4F201
4G004
4G037
4G078
4J029
4J200
【Fターム(参考)】
4F201AJ08
4F201AR12
4F201BA01
4F201BC01
4F201BC02
4F201BC13
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4F201BK74
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4G078BA09
4G078CA01
4G078DA01
4G078DA14
4G078EA03
4J029AA02
4J029AA03
4J029AB04
4J029AC01
4J029AC02
4J029BA05
4J029BA09
4J029CA06
4J029CB06A
4J029EA05
4J029KB13
4J029KD01
4J029KD02
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4J029KD09
4J029KE07
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4J029LA08
4J029LA10
4J029LB01
4J029LB07
4J029LB09
4J200AA09
4J200BA09
4J200BA14
4J200EA17
(57)【要約】
本発明の一実施例による樹脂重合反応装置は、樹脂が収容されて樹脂重合反応が行われる反応器;反応器の内部に設置されて樹脂を撹拌する撹拌部;及び反応器の下部に位置して吐出口の直径の3/80~10/80範囲内である開口直径を有した複数の吐出開口が形成された吐出口を含むことが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂が収容されて樹脂重合反応が行われる反応器、
前記反応器の内部に設置されて前記樹脂を撹拌する撹拌部、及び
前記反応器の下部に位置されて吐出口の直径の3/80~10/80範囲内である開口直径を有した複数の吐出開口が形成され吐出口を含むことを特徴とする、樹脂重合反応装置。
【請求項2】
前記複数の吐出開口は、同一直径を有することを特徴とする、請求項1に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項3】
前記複数の吐出開口は、前記吐出口の中心を基準として所定の半径を有した仮想の同心円の円周方向に沿って離隔配列されたことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項4】
前記仮想の同心円は、前記吐出口の直径の1/4~5/7の範囲内である直径を有することを特徴とする、請求項3に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項5】
前記複数の吐出開口は、前記吐出口の中心を基準として放射状に離隔配列されたことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項6】
前記複数の吐出開口が形成され、前記吐出口に脱着可能に結合される少なくとも一つの打孔板をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項7】
前記打孔板は、前記複数の吐出開口が前記開口直径の範囲内で同一直径で形成され、前記開口直径の範囲は、前記吐出口の直径の3/80~10/80範囲内であることを特徴とする、請求項6に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項8】
前記反応器は、前記樹脂の吐出予熱温度が従来の重合反応温度より高くなるように温度制御されることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項9】
前記反応器は、前記樹脂の重合反応の完了後に前記樹脂を前記吐出予熱温度に加熱することを特徴とする、請求項8に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項10】
前記吐出予熱温度は、前記重合反応温度より20度~50度範囲で高い温度であることを特徴とする、請求項9に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項11】
前記吐出予熱温度は、前記重合反応温度より30度高い温度であることを特徴とする、請求項9に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項12】
前記撹拌部は、
前記樹脂の吐出方向に前記反応器の内部に設置された撹拌棒、
前記撹拌棒に回転力を提供する撹拌モーター、
前記吐出方向と垂直になるように前記撹拌棒の上部に設置された上部支持台、
前記上部支持台と並んで前記撹拌棒の下部に設置された下部支持台、及び
二重螺旋構造で前記上部支持台と前記下部支持台に結合された撹拌羽根を含むことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項13】
前記撹拌羽根は、
螺旋形構造を有するが、上端が前記上部支持台の一端に結合され、下端が前記下部支持台の他端に結合された第1撹拌羽根、及び
螺旋形構造を有するが、上端が前記上部支持台の他端に結合され、下端が前記下部支持台の一端に結合された第2撹拌羽根を含むことを特徴とする、請求項12に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項14】
前記撹拌部は、前記下部支持台の先端から吐出方向に向かって下向きに傾いた下部羽根をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項15】
前記下部羽根は、
前記第1撹拌羽根の下端で前記下部支持台の下部に延長されるが、前記下部支持台の一端で前記撹拌棒の回転軸に向かって前記吐出方向に下向きに傾いた第1下部羽根、及び
前記第2撹拌羽根の下端で円周方向下部支持台の下部に延長されるが、前記下部支持台の他端で前記撹拌棒の回転軸に向かって前記吐出方向に下向きに傾いた第2下部羽根を含むことを特徴とする、請求項14に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項16】
前記第1下部羽根と前記第2下部羽根とは、三角断面を有するが、前記撹拌棒の回転軸を中心として対称となるように形成されたことを特徴とする、請求項15に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項17】
前記第1下部羽根と前記第2下部羽根とは、前記撹拌棒の回転軸を中心として対称となるが、前記吐出口の直径より大きい間隔で離隔されたことを特徴とする、請求項15に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項18】
前記下部羽根は、前記反応器の漏斗部に位置され、前記漏斗部の傾斜面と対応する傾斜度で前記下部支持台の先端から下向きに傾いた構造を有したことを特徴とする、請求項14に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項19】
前記撹拌部は、前記撹拌羽根と前記下部羽根とが前記撹拌棒の回転方向に回転しながら前記撹拌羽根が前記漏斗部の上部に存在する樹脂を撹拌し、前記下部羽根が前記漏斗部に存在する樹脂を撹拌することを特徴とする、請求項18に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項20】
前記反応器の上部にガスを注入するガス注入部をさらに含み、
前記ガスは、所定の圧力で、前記樹脂が前記吐出口に向かって移動するように前記樹脂を加圧することを特徴とする、請求項1に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項21】
前記吐出開口の直径は、前記吐出口の直径の1/16~1/8の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項22】
前記吐出開口の直径は、前記吐出口の直径の1/16~1/10の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項23】
前記吐出開口の直径は、前記吐出口の直径の3/80~1/10の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂重合反応装置。
【請求項24】
請求項1~請求項23のうちいずれか一項に記載の樹脂重合反応装置を利用して反応器で樹脂重合反応を行い、前記樹脂の重合反応後に前記樹脂を前記反応器から吐出させることを特徴とする、樹脂吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本出願は、樹脂重合反応装置及び樹脂吐出方法に関し、詳しくは、反応器の温度制御を通じて樹脂の吐出温度を高めて樹脂の粘度を低めることによって、樹脂の吐出速度を高め、打孔板を通じて吐出面積を調節して樹脂の吐出効率を向上させ得る樹脂重合反応装置及び樹脂吐出方法に関する。
【0002】
本出願は、2021年10月22日に出願された大韓民国特許出願第10-2021-0141469号に基づく優先権の利益を主張し、該当大韓民国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
一般的に、樹脂は、モノマー及び開始剤とともに重合反応器に投入された後、重合反応を経て粘度を有した状態で重合反応器から吐出される。重合反応の完了後、樹脂を重合反応器から吐出させるためには、重合反応器の上部に窒素ガスが注入される。
【0004】
重合反応器10内の樹脂は、窒素ガスが加圧する力によって吐出口から吐出される。このとき、樹脂の吐出速度は、吐出口11の吐出面積によって吐出速度が可変する。樹脂の吐出速度は、吐出口の吐出面積が広いほど速くなる。
【0005】
樹脂の吐出速度が窒素ガスが重合反応器の上部から下部へ移動する速度より速いと、窒素ガスが重合反応器の下部に到逹する前に樹脂が吐出口を通じて外部に吐出される状況が発生する。それによって、重合反応器の下部にはまだ吐出されなかった樹脂が残存することになる。
【0006】
また、重合反応器10で吐出口11の吐出面積が狭いと、樹脂の吐出速度が遅くなり、それによって、樹脂が吐出口の周辺で凝固して吐出口を塞ぐという問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、反応器の温度制御を通じて樹脂の吐出温度を高めて樹脂の粘度を低めることによって、樹脂の吐出速度を高め、打孔板を通じて吐出面積を調節して樹脂の吐出効率を向上させ得る樹脂重合反応装置及び樹脂吐出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例による樹脂重合反応装置は、樹脂が収容されて樹脂重合反応が行われる反応器;反応器の内部に設置されて樹脂を撹拌する撹拌部;及び反応器の下部に位置して吐出口の直径の3/80~10/80範囲内である開口直径を有した複数の吐出開口が形成された吐出口を含むことが好ましい。
【0009】
本発明の一実施例において、複数の吐出開口は、同一直径を有することが好ましい。
【0010】
本発明の一実施例において、複数の吐出開口は、吐出口の中心を基準として所定の半径を有した仮想の同心円の円周方向に沿って離隔配列されたことが好ましい。
【0011】
本発明の一実施例において、仮想の同心円は、吐出口の直径の1/4~5/7の範囲内である直径を有することが好ましい。
【0012】
本発明の一実施例において、複数の吐出開口は、吐出口の中心を基準として放射状に離隔配列されたことが好ましい。
【0013】
本発明の一実施例において、複数の吐出開口が形成されて吐出口に脱着可能に結合される少なくとも一つの打孔板をさらに含むことが好ましい。
【0014】
本発明の一実施例において、打孔板は、複数の吐出開口が開口直径の範囲内で同一直径で形成され、開口直径の範囲は、吐出口の直径の3/80~10/80範囲内であることが好ましい。
【0015】
本発明の一実施例において、反応器は、樹脂の吐出予熱温度が樹脂の重合反応温度より高くなるように温度が御されることが好ましい。
【0016】
本発明の一実施例において、反応器は、樹脂の重合反応の完了後に樹脂を吐出予熱温度に加熱することが好ましい。
【0017】
本発明の一実施例において、吐出予熱温度は、重合反応温度より20度~50度範囲で高い温度であることが好ましい。
【0018】
本発明の一実施例において、吐出予熱温度は、重合反応温度より30度高い温度であることが好ましい。
【0019】
本発明の一実施例において、撹拌部は、樹脂の吐出方向に反応器の内部に設置された撹拌棒;撹拌棒に回転力を提供する撹拌モーター;吐出方向と垂直になるように撹拌棒の上部に設置された上部支持台;上部支持台と並んで撹拌棒の下部に設置された下部支持台;及び二重螺旋構造で上部支持台と下部支持台に結合された撹拌羽根を含むことが好ましい。
【0020】
本発明の一実施例において、撹拌羽根は、螺旋形構造を有するが、上端が上部支持台の一端に結合され、下端が下部支持台の一端に結合された第1撹拌羽根;及び螺旋形構造を有するが、上端が上部支持台の他端に結合され、下端が下部支持台の他端に結合された第2撹拌羽根を含むことが好ましい。
【0021】
本発明の一実施例において、撹拌部は、下部支持台の先端から吐出方向に向かって下向きに傾いた下部羽根をさらにことが好ましい。
【0022】
本発明の一実施例において、下部羽根は、第1撹拌羽根の下端から下部支持台の下部に延長されるが、下部支持台の一端から撹拌棒の回転軸に向かって吐出方向に下向きに傾いた第1下部羽根;及び第2撹拌羽根の下端から下部支持台の下部に延長されるが、下部支持台の他端から撹拌棒の回転軸に向かって吐出方向に下向きに傾いた第2下部羽根を含むことが好ましい。
【0023】
本発明の一実施例において、第1下部羽根と第2下部羽根とは、三角断面を有するが、撹拌棒の回転軸を中心として対称となるように形成されたことが好ましい。
【0024】
本発明の一実施例において、第1下部羽根と第2下部羽根とは、撹拌棒の回転軸を中心として対称となるが、吐出口の直径より大きい間隔で離隔されたことが好ましい。
【0025】
本発明の一実施例において、下部羽根は、反応器の漏斗部に位置され、漏斗部の傾斜面に対応する傾斜度で下部支持台の先端から下向きに傾いた構造を有したことが好ましい。
【0026】
本発明の一実施例において、撹拌部は、撹拌羽根と下部羽根とが撹拌棒の回転方向に回転しながら撹拌羽根が漏斗部の上部に存在する樹脂を撹拌し、下部羽根が漏斗部に存在する樹脂を撹拌することが好ましい。
【0027】
本発明の一実施例による樹脂重合反応装置は、反応器の上部からガスを注入するガス注入部をさらに含み、ガスは、所定の圧力で樹脂が吐出口に向かって移動するように樹脂を加圧することが好ましい。
【0028】
本発明の一実施例において、吐出開口の直径は、吐出口の直径の1/16~1/8の範囲内であることが好ましい。
【0029】
本発明の一実施例において、吐出開口の直径は、吐出口の直径の1/16~1/10の範囲内であることが好ましい。
【0030】
本発明の一実施例において、吐出開口の直径が吐出口の直径の3/80~1/10の範囲内であることが好ましい。
【0031】
一方、本発明の一実施例による樹脂吐出方法は、樹脂重合反応装置を利用して反応器で樹脂重合反応を行い、樹脂重合反応後に樹脂を反応器から吐出させることが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、反応器の温度制御を通じて樹脂の吐出温度を高めて樹脂の粘度を低めることによって樹脂の吐出速度を高めることができ、これから樹脂の吐出時間を短縮させる効果を導出することができる。
【0033】
本発明は、打孔板を通じて樹脂の吐出面積を調節することによって樹脂の吐出量及び吐出速度を調節することができる。
【0034】
また、本発明は、打孔板の交替を通じて重合工程後に進行されるペレタイジング(pelletizing)工程の要求事項に合わせて生分解性樹脂の太さを調節することが可能なので、全体工程進行の効率を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】従来の樹脂重合反応器を説明するための図である。
【
図2】本発明の好ましい実施例による樹脂重合反応装置の構成図を説明するための図である。
【
図3】本発明の好ましい実施例による樹脂重合反応装置の作動状態を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施例で、反応器の内部斜視図であって、反応器に設置された撹拌部の構造を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施例による打孔板の平面図を概略的に示した図である。
【
図6】本発明の一実施例で、打孔板の吐出開口の直径による吐出速度に対する実験グラフである。
【
図7】本発明の一実施例で、打孔板の吐出開口の直径による吐出量に対する実験グラフである。
【
図8】(a)は、重合工程後に反応器で樹脂の吐出が始まった時点の樹脂の体積分率分布イメージである。(b)は、反応器で樹脂の吐出がほとんど完了した時点の樹脂の体積分率分布イメージである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明は、多様な変更が加えられて様々な実施例を有し得るところ、特定の実施例を図面に例示して説明する。
【0037】
しかし、これは、本出願を特定の実施形態について限定しようとするものではなく、本出願の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されなければならない。本出願を説明するにおいて、関連した公知技術に対する具体的な説明が本出願の要旨をあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0038】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するために使用できるが、構成要素は用語によって限定されてはいけない。用語は、一つの構成要素を他の構成要素と区別する目的のみで用いられる。
【0039】
本出願で使用した用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いられたものであって、本出願を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0040】
本出願で「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解されなければならない。
【0041】
したがって、本明細書に記載した実施例に図示された構成は、本出願の最も好ましい実施例に過ぎず、本出願の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願の時点において、これらを代替し得る多様な均等物と変形例があり得る。また、本出願で添付した図面は、説明の便宜のために拡大又は縮小して図示されたものとして理解されなければならない。
【0042】
以下では、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例による樹脂重合反応装置及び樹脂吐出方法に対して説明する。
【0043】
本発明は、生分解性樹脂を重合反応し、重合反応が完了した生分解性樹脂の吐出量を向上させるために開発されたものである。
【0044】
生分解性樹脂は、微生物など生物的作用により容易に分解される樹脂である。生分解性樹脂としては、ポリ乳酸(PLA、Poly Lactic Acid)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT、Poly(butylene adipate-co-terephthalate)、ポリ乳酸ヒドロアクリラート(PLH、Poly Lactate Hydracrylate)などである。
【0045】
ここで、ポリ乳酸(PLA、Poly Lactic Acid)、PLHは、トウモロコシ澱粉から抽出した原料で作った環境にやさしい樹脂であって、使用中には一般プラスチックと同等の特徴を有するが、廃棄時には微生物により100%生分解される。
【0046】
生分解性樹脂は、モノマー及び開始剤とともに重合反応器に投入された後、重合反応を経て粘度を有した状態で重合反応器から吐出される。
【0047】
図2は、樹脂重合反応装置の構成図である。
図2を参照すると、本発明の好ましい実施例による樹脂重合反応装置100は、反応器110、撹拌部120、打孔板130及びガス注入部140を含む。
【0048】
反応器110は、樹脂Rに対する重合反応が行われる装置である。反応器110は、円筒状を有した本体111と、本体の下部に延長されるが、漏斗構造を有した漏斗部112、漏斗部112の下端に形成された吐出口113で構成される。
【0049】
反応器110の上部には、ガス注入部140が連結される。
【0050】
ガス注入部140は、反応器110の上部にガスGを注入する装置である。所定の圧力を有したガスGは、ガス注入部140を通じて反応器110の上部に注入され、樹脂Rを反応器110の下部へ押し出す。ガスGは、窒素N2が用いられ得る。
【0051】
図3は、樹脂重合反応装置の作動状態図である。
図4は、反応器の内部斜視図であって、反応器に設置された撹拌部120の構造を説明するための図である。
【0052】
図3及び
図4を参照すると、撹拌部120は、反応器110の内部に回転可能に設置される。撹拌部120は、樹脂Rの重合反応の完了後に樹脂Rを撹拌する。
【0053】
撹拌部120は、撹拌モーター121、撹拌棒122、上部支持台123、下部支持台125、撹拌羽根124、下部羽根126と中間支持台127で構成される。
【0054】
撹拌モーター121は、反応器110の外部で撹拌棒122に結合される。撹拌モーター121は、撹拌棒122に回転力を提供する。
【0055】
撹拌棒122は、樹脂Rの吐出方向Fに反応器110の内部に設置される。撹拌棒122は、撹拌棒122の回転軸が吐出口113の中心と同軸線上に位置する。
【0056】
撹拌棒122には、上部支持台123と下部支持台125が設置される。上部支持台123及び下部支持台125は、吐出方向Fと垂直になるように撹拌棒122に設置される。
【0057】
上部支持台123は、反応器110の上端から下部へ離隔して撹拌棒122に設置される。下部支持台125は、上部支持台123と並んで撹拌棒122の下部に設置される。下部支持台125には、撹拌羽根124から延長された下部羽根126が形成される。
【0058】
上部支持台123と下部支持台125の間には、中間支持台127が設置される。中間支持台127は、上部支持台123と下部支持台125に並んで離隔して撹拌羽根124を支持する。
【0059】
撹拌羽根124は、二重螺旋構造で上部支持台123と下部支持台125に結合される。二重螺旋構造を具現するために撹拌羽根124は、第1撹拌羽根124aと第2撹拌羽根124bで構成される。
【0060】
第1撹拌羽根124a及び第2撹拌羽根124bは、螺旋形構造を有する。
【0061】
第1撹拌羽根124aは、上端が上部支持台の一端123aに結合され、下端が下部支持台の一端125aに結合される。第2撹拌羽根124bは、上端が上部支持台の他端123bに結合され、下端が下部支持台の他端125bに結合される。
【0062】
下部羽根126は、第1下部羽根126aと第2下部羽根126bを含む。
【0063】
図2~
図4を参照すると、第1下部羽根126aと第2下部羽根126bは、撹拌棒122の回転軸を中心として対称となるが、吐出口113の直径R1より大きい間隔Dで離隔される。第1下部羽根126aと第2下部羽根126bは、反応器110の漏斗部112に位置される。
【0064】
第1下部羽根126aは、第1撹拌羽根124aの下端で下部支持台125の下部に延長される。第1下部羽根126aは、下部支持台の一端125aから撹拌棒122の回転軸に向かって吐出方向Fに下向きに傾斜して形成される。第1下部羽根126aは、三角断面を有する。
【0065】
第2下部羽根126bは、第2撹拌羽根124bの下端で下部支持台125の下部に延長される。第2下部羽根126bは、下部支持台125の他端で撹拌棒122の回転軸に向かって吐出方向Fに下向きに傾斜して形成される。第2下部羽根126bは、三角断面を有する。
【0066】
撹拌部120は、撹拌羽根124と下部羽根126が撹拌棒122の回転方向に回転しながら撹拌羽根124が漏斗部112の上部に存在する樹脂Rを撹拌し、下部羽根126が漏斗部112に存在する樹脂Rを撹拌する。
【0067】
これによって、本発明は、下部羽根126が漏斗部112に存在する樹脂Rを撹拌することによって、従来樹脂Rが吐出口113の周辺で凝固して吐出口113を塞ぐ問題点を解決することができる。
【0068】
本実施例、反応器110の吐出口113には、打孔板130が設置される。打孔板130は、吐出口113に脱着可能に設置される。打孔板130と吐出口113の結合構造は、当業者の立場では自明な範囲内の多様な構造が適用可能である。
【0069】
図2及び
図5を参照すると、打孔板130には、複数の吐出開口133が形成される。
図2は、樹脂重合反応装置の構成図であり、
図5は、打孔板の平面図を概略的に示した図である。
【0070】
複数の吐出開口133は、打孔板130の中心を基準として所定の直径を有した仮想の同心円Cに沿って離隔配置される。
【0071】
例えば、同心円の直径R3は、吐出口113の直径R1の1/4~5/7の範囲内であることが好ましい。例えば、吐出口113の直径R1が80mmであると、仮想の同心円Cの直径R3は、20mm~58mm範囲内である。
【0072】
図5に示したように、打孔板130は、仮想の同心円C上で複数の吐出開口133を有する。仮想の同心円Cの直径R3は、吐出口113の直径R1の1/2を有することができる。
【0073】
複数の吐出開口133は、打孔板130の中心を基準として仮想の同心円Cに沿って放射状に離隔配置される。打孔板130ごとに複数の吐出開口133は同一直径で形成される。
【0074】
吐出開口133の直径R2は、吐出口113の直径R1の3/80~10/80範囲内であることが好ましい。例えば、吐出口113の直径R1が80mmであると、吐出開口133は、3mm~10mmの直径を有する。
【0075】
ペレタイジング(pelletizing)工程の要求事項が速い速度で樹脂Rが吐出されることを希望する場合に、複数の吐出開口133は、吐出口113の直径R1の1/16~1/8の範囲内である吐出開口133の直径R2を有することが好ましい。例えば、吐出口113の直径R1が80mmであると、吐出開口133の直径R2は、5mm~10mm範囲内である。
【0076】
ペレタイジング(pelletizing)工程の要求事項が吐出速度は大きく影響しないが、樹脂Rの吐出量が重要な場合に、複数の吐出開口133は、吐出口113の直径R1の3/80~1/16の範囲内である吐出開口133の直径R2を有することができる。例えば、吐出口113の直径R1が80mmであると、吐出開口133の直径R2は、3mm~5mm範囲内である。
【0077】
ペレタイジング(pelletizing)工程の要求事項が樹脂Rを速い速度で多くの吐出量を要求する場合に、複数の吐出開口133は、吐出口113の直径R1の1/16~1/10の範囲内である吐出開口133の直径R2を有することができる。例えば、吐出口113の直径R1が80mmであると、吐出開口133の直径R2は、5mm~8mmの範囲内である。
【0078】
本発明は、打孔板を通じて樹脂Rの吐出面積を調節することによって、樹脂Rの吐出量及び吐出速度を調節することができる。そして、本発明は、打孔板の交替を通じて重合工程後に進行されるペレタイジング(pelletizing)工程の要求事項に合わせて生分解性樹脂Rの太さを調節可能なので、全体工程の進行効率を向上させ得る。
【0079】
以下では、表1、
図6及び
図7を参照して吐出開口133の直径R2による吐出速度及び吐出量増加率に対して説明する。
【0080】
表1は、吐出開口の直径による樹脂Rの吐出速度の割合及び吐出量の割合に対する実験1~実験4の結果表である。
図6は、打孔板130の吐出開口133の直径R2による樹脂Rの吐出速度割合を比較したグラフである。
図7は、打孔板の吐出開口の直径による吐出量に対する実験グラフである。
【0081】
【0082】
実験1は、5mm直径の吐出開口133を有した打孔板130から吐出される樹脂Rの吐出速度の割合及び吐出量の割合に対する実験である。表1を参照すると、5mm直径の吐出開口133を有した打孔板130から吐出される樹脂Rの吐出速度の割合を1と仮定する。そして、表1を参照すると、5mm直径の吐出開口133を有した打孔板130から吐出される樹脂Rの吐出量は、全体吐出量の78.9%であることが分かる。以下では、実験1を基準として実験2~実験4による吐出速度の割合及び吐出量の割合を検討する。
【0083】
実験2は、3mm直径の吐出開口133を有した打孔板130から吐出される樹脂Rの吐出速度の割合及び吐出量の割合に対する実験である。
【0084】
実験2の吐出速度の割合は、実験1の吐出速度の割合を1と仮定したとき、実験1の吐出速度の割合の0.2倍である。実験2での樹脂Rの吐出量は、全体吐出量の82%であることが分かる。5mmの吐出開口133と比較して、3mmの吐出開口133は、吐出速度は0.2倍に顕著に減少するが、吐出量の割合が78.9%から82%に3.1%増加することが分かる。
【0085】
実験3の吐出速度の割合は、実験1の吐出速度の割合を1と仮定したとき、実験1の吐出速度の割合の4.1倍である。実験3での樹脂Rの吐出量は、全体吐出量の58.4%であることが分かる。5mmの吐出開口133と比較して、8mmの吐出開口133は、吐出速度は4.1倍に増加するが、吐出量の割合が78.9%から58.4%に20.5%減少することが分かる。
【0086】
実験4の吐出速度の割合は、実験1の吐出速度の割合を1と仮定したとき、実験1の吐出速度の割合の7.8倍である。実験3での樹脂Rの吐出量は、全体吐出量の49.1%であることが分かる。5mmの吐出開口133と比較して、10mmの吐出開口133は、吐出速度は7.8倍に急激に増加するが、吐出量の割合が78.9%から49.1%に29.8%急激に減少することが分かる。
【0087】
表1の結果を総合すると、同一条件で、樹脂Rの吐出速度は、吐出開口133の直径R2が大きいほど、すなわち、吐出面積が大きくなるほど速くなることが分かる。そして、同一条件で、樹脂Rの吐出量は、吐出開口133の直径R2が小さいほど、すなわち、吐出面積が小さいほど多くなることが分かる。ここで、同一条件とは、樹脂Rの種類及び樹脂Rの吐出温度が同一の場合を言う。
【0088】
したがって、実験1~実験4から、樹脂Rの吐出量を増大させるためには、吐出開口133の直径R2が小さい必要があり、吐出時間を短縮させるためには、吐出開口133の直径R2を大きくしなければならないという結果が導出される。
【0089】
反応器110は、樹脂Rの吐出予熱温度が樹脂Rの重合反応温度より高くなるように反応器の温度を制御する。
【0090】
反応器110は、樹脂Rの重合反応の完了後に樹脂Rを吐出予熱温度に加熱する。吐出予熱温度は、重合反応温度より20度~50度範囲で高い温度である。吐出予熱温度は、重合反応温度より30度高い温度であることが好ましい。
【0091】
本発明は、反応器の温度制御を通じて樹脂Rの吐出温度を高めて樹脂Rの粘度を低めることによって、樹脂Rの吐出速度を高めることができ、これによって樹脂Rの吐出時間を短縮させる効果を導出することができる。
【0092】
図8を参照して、樹脂Rの吐出前と吐出完了後に樹脂Rの流体の流動流れをよく説明すると、次の通りである。
【0093】
図8の(a)は、重合工程後に樹脂Rが反応器110から吐出される前のCFDイメージであり、
図8の(b)は、反応器110から樹脂Rの吐出がほとんど完了した時点のCFDイメージである。CFDイメージは、流体の流動流れをコンピュータ解析したイメージである。
【0094】
図8の(a)は、重合工程後に反応器110から樹脂Rの吐出が始まった時点の樹脂Rの体積分率分布イメージである。
図8の(b)は、反応器110から樹脂Rの吐出がほとんど完了した時点の樹脂Rの体積分率分布イメージである。
【0095】
ここで、樹脂Rの体積分率分布イメージは、樹脂Rの流動流れを電算流体力学によってコンピュータ解析したイメージである。
【0096】
体積分率は、0又は1で表現される。ここで、0は、樹脂Rが存在しない領域であって、
図8のイメージで青い領域で表現される。そして、1は、樹脂Rが存在する領域であって、
図8のイメージで赤い領域で表現される。
【0097】
また、
図8で緑領域は、赤い領域(樹脂R存在)と青い領域(樹脂R存在しない)の境界である。
図8の(b)を参照すると、樹脂Rは、反応器110での吐出がほとんど完了すると、反応器110の漏斗部112に残存して吐出されないことが分かる。
【0098】
【0099】
表2の実験結果値は、同一条件で、樹脂Rの吐出温度のみ180度から210度に変更されたことに対する実験結果値である。表2は、実験1を基準として、樹脂Rの吐出温度を重合反応温度である180度から210度に昇温したものである。実験5は、実験1で樹脂Rの吐出温度のみ180度から210度に変更したことに対する実験結果値である。ただし、吐出予熱温度は、重合反応温度で一定範囲以上に昇温した温度であって、樹脂Rの種類及び反応器110の規格によって調節可能な温度であるところ、必ずしも210度に限定されるものではない。
【0100】
実験5の吐出量の割合は、81.5%であって、実験1の吐出量の割合である78.9%より2.6%増加することが分かる。実験5の吐出量の割合は、実験1の吐出量の割合にほぼ近接することが分かる。
【0101】
実験1の吐出速度の割合を1と仮定したとき、実験5の吐出速度の割合は、実験2の吐出速度の割合の7.9倍であることが分かる。これによって、樹脂Rの吐出速度は、樹脂Rの吐出温度に影響を受けることが分かる。
【0102】
表1及び表2を総合すると、本発明は、打孔板130を通じて樹脂Rの吐出面積を調節することによって、樹脂Rの吐出量を調節することができる。
【0103】
これと共に、本発明は、反応器110の温度制御を通じて樹脂Rの吐出温度を高めて樹脂Rの粘度を低めることによって、樹脂Rの吐出速度を増加させることができ、これによって樹脂Rの吐出時間を短縮させる効果を導出することができる。
【0104】
また、本発明は、打孔板130の代替を通じて重合工程後に進行されるペレタイジング(pelletizing)工程の要求事項に合わせて生分解性樹脂Rの太さを調節可能なので、全体工程の進行効率を向上させ得る。
【0105】
本発明は樹脂Rの重合反応の完了後に樹脂Rを樹脂R吐出予熱温度に加熱して樹脂Rの粘度を低めて樹脂Rの流動性を向上させることによって、生分解性樹脂Rの吐出効率を向上させ得る。
【0106】
以上、実施例を通じて本発明を具体的に説明した。しかし、本発明の範囲が下記実施例によって制限されるものではない。上で説明した本発明の好ましい実施例は、例示の目的のために開示されたものであって、本発明に対する通常の知識を有した当業者であれは、本発明の思想と範囲内で多様な修正、変更、付加が可能であり、このような修正、変更及び付加は、下記の特許請求範囲に属するものと見なければならない。
【符号の説明】
【0107】
100 樹脂重合反応装置
110 反応器
111 本体
112 漏斗部
113 吐出口
120 撹拌部
121 撹拌モーター
122 撹拌棒
123 上部支持台
124 撹拌羽根
125 下部支持台
126 下部羽根
127 中間支持台
130 打孔板
133 吐出開口
140 ガス注入部
【国際調査報告】