(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】硬質基板の研削
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240621BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20240621BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
C09K3/14 550F
C09K3/14 550Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577128
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 US2022033485
(87)【国際公開番号】W WO2022266138
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シン, ラジブ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】デー, サニー
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB01
3C158CB03
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5F057EA28
5F057EA31
(57)【要約】
本発明は、モース硬度が約6を超えるものなどの硬質材料を研磨するための、改善されたスラリーを提供する。例示的な硬質表面として、サファイア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、および窒化ガリウム、ならびにダイヤモンドが挙げられる。本発明の組成物および方法では、添加剤の固有の組合せを含む新規の組成物は、驚くべきことに、広範な粒径を有するダイヤモンド粒子をスラリー中に均一に分散させることが見出された。本発明の方法では、本発明の通常アルカリ性のスラリー組成物は、40ミクロンを超えるダイヤモンド粒径を利用しながらも良好な除去率を達成することが可能である。このような場合、好適なパッドとともに利用されると、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サファイア、窒化ガリウム、およびダイヤモンドの迅速かつ平面的な研削が可能であり、表面損傷が均一となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、
約40μm~約120μmの平均直径を有するダイヤモンド粒子と、
少なくとも1つの弱塩基および少なくとも1つの水混和性溶媒で構成される分散剤と
を含む組成物であって、約6を超えるpHを有する組成物。
【請求項2】
ダイヤモンド粒子が約50μm~約110μmの平均直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ダイヤモンド粒子が約60μm~約100μmの平均直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ダイヤモンド粒子が約70μm~約90μmの平均直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ダイヤモンド粒子が約50μm~約70μmの平均直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ダイヤモンド粒子が約60μm~約80μmの平均直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
ダイヤモンド粒子が約70μm~約90μmの平均直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
弱塩基が、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、システイン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N-ジイソプロピルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、ビス-トリスメタン、メグルミン、アミノエチルエタノールアミン、N-メチルアミノエタノール、アミノエトキシエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノプロピルジエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N-メチルプロパノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、イソブタノールアミン、およびそれらの組合せから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
弱塩基がジメチルエタノールアミンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中のダイヤモンド粒子の量が、組成物の総重量に基づき約0.001~約20重量パーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
約6~約13.5のpHを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
硬質表面を研磨するための方法であって、
基板を、
水、約40μm~約120μmの平均直径を有するダイヤモンド粒子、ならびに少なくとも1つの弱塩基および少なくとも1つの水混和性溶媒で構成される分散剤
を含む組成物と接触させることと、
基板を研いで表面の一部を除去し、それによって研磨された表面を得ることと
を含む方法。
【請求項13】
ダイヤモンド粒子が約50μm~約110μmの平均直径を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ダイヤモンド粒子が約60μm~約100μmの平均直径を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ダイヤモンド粒子が約70μm~約90μmの平均直径を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
ダイヤモンド粒子が約50μm~約70μmの平均直径を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
ダイヤモンド粒子が約60μm~約80μmの平均直径を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
ダイヤモンド粒子が約70μm~約90μmの平均直径を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
弱塩基が、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、システイン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N-ジイソプロピルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、ビス-トリスメタン、メグルミン、アミノエチルエタノールアミン、N-メチルアミノエタノール、アミノエトキシエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノプロピルジエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N-メチルプロパノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、イソブタノールアミン、およびそれらの組合せから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
弱塩基がジメチルエタノールアミンである、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して硬質基板の表面を研削かつ研磨するための、改善された組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学機械研磨または化学機械平坦化(CMP)は、基板を平坦化する一般的な方法である。CMPは、基板から材料を選択的に除去するために、一般的に水、化学添加剤、および粒子を含むスラリーを利用する。従来のCMPでは、基板キャリアまたは研磨ヘッドがキャリアアセンブリに取り付けられて、CMP装置内で研磨パッドと接触して配置される。キャリアアセンブリは、制御可能な圧力を基板に与えて、基板を研磨パッドに押し付ける。パッドは基板に対して動かされる。
【0003】
サファイア、炭化ケイ素、窒化ガリウム、およびダイヤモンドなどの硬質基板の場合、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、炭化ケイ素、および炭化ホウ素などの硬質スラリー粒子は、ラッピングや研削などの機械研磨プロセスを使用して先述の基板を研磨するために、常套的に適用されている。粒子のサイズによって典型的に除去率が制御され、このとき、粒子のサイズが大きいほど、全体的に速度が高くなる。しかし、より大きな粒子では、表面および表面下でより高度の損傷も生じるため、機械研磨/研削プロセスは複数の工程を採用する場合がある。例えば、除去率および表面仕上げを改善する取組みにおいて、最初により大きなサイズの粒子を初期の工程で使用し、続いて、より小さなサイズの粒子を後期の工程で使用することができる。典型的に、このような大きな硬質粒子は、研磨プロセス中に高度の損傷を誘導するおそれがあるため、CMPプロセスでは使用されない。例として、平坦化された硬質表面材料は、所与の硬質表面の略円形の片を挽き切るか、または切断することによって調製される。次いで基板は、典型的に、直径約100ミクロンのダイヤモンドまたは窒化ホウ素粒子を含有するスラリー組成物を用いた研削に供される。これらのスラリー組成物は一般に、鋳鉄、鋼、銅、スズなどの金属板に供給され、それと同時にこの金属板によって硬質基板に圧力がかけられる。ラッピング(すなわち、ストック除去)を含む次の工程は、全体として直径約10ミクロンの粒子の使用を必要とする。次いで、直径約1ミクロンの粒子を利用する研磨スラリーを用いて、硬質基板の最終研磨が行われる。
【0004】
これらの従来のスラリーを使用すると、ダイヤモンド粒子の種々のサイズ分布、特に大きなダイヤモンド粒子の存在によって、基板材料の表面に深いスクラッチ傷および損傷が生じるおそれがある。さらに、より大きなダイヤモンド粒子は沈降しやすい傾向にあり(すなわち、分散したまま残らない)、このため研磨プロセスに再び循環させることが困難である。
【0005】
したがって、サファイア、炭化ケイ素、窒化ガリウム、およびダイヤモンドなどの硬質表面材料用の、改善された研削/研磨スラリーの開発が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
要約すると、本発明は、モース硬度が約6を超えるものなどの硬質材料を研削するための、改善されたスラリーを提供する。例示的な硬質表面として、サファイア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、および窒化ガリウム、ならびにダイヤモンドが挙げられる。本発明の組成物および方法では、添加剤の固有の組合せを含む新規の組成物は、驚くべきことに、広範な粒径を有するダイヤモンド粒子をスラリー中に均一に分散させることが見出された。この品質は、この高レベルの分散、およびそれに伴うスラリーの均一性を考慮すると、スラリー組成物の再利用に役立つ。本発明の方法では、本発明の通常アルカリ性のスラリー組成物は、40ミクロンを超えるダイヤモンド粒径を利用しながらも良好な除去率を達成することが可能である。このような場合、好適なパッドとともに利用されると、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サファイア、窒化ガリウム、およびダイヤモンドの迅速かつ平面的な研削が可能であり、表面損傷が均一となる。さらに、従来のスラリーおよび方法論とは異なり、本発明の組成物および方法は、基板材料に深いスクラッチ傷を生じさせることなく、より大きなダイヤモンド粒子を使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】40μmダイヤモンド粒子を含む本発明の組成物を使用した場合の、光学プロフィロメータを用いて得られた20倍画像の図である。
【
図2】60μmダイヤモンド粒子を含む本発明の組成物を使用した場合の、光学プロフィロメータを用いて得られた20倍画像の図である。
【
図3】80μmダイヤモンド粒子を含む本発明の組成物を使用した場合の、光学プロフィロメータを用いて得られた20倍画像の図である。
【
図4】40μmダイヤモンド粒子を含む従来の研削スラリー組成物(すなわち、比較例)を使用した場合の、光学プロフィロメータを用いて得られた20倍画像の図である。
【
図5】約80ミクロンのダイヤモンド粒子を利用する本発明の組成物に関する、印加圧力(psi)に対する材料除去率(μm/時間)のプロットである。
【
図6】本発明の組成物に関する、研磨持続時間(時間)に対する材料除去率(μm/時間)のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上で別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または(or)」という用語は、概して、文脈上で別段の明確な指示がない限り、「および/または(and/or)」を含めた意味で利用される。
【0009】
「約(about)」という用語は、概して、列挙された値と等価である(例えば、同じ機能または結果を有する)と考慮される数の範囲を指す。多くの例で、「約」という用語は、最も近い有効数字に四捨五入された数を含む場合もある。
【0010】
端点を用いて表現される数値範囲は、その範囲内に包含されるすべての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0011】
第1の態様では、本発明は、
水と、
約40μm~約120μmの平均直径を有するダイヤモンド粒子と、
少なくとも1つの弱塩基および少なくとも1つの水混和性溶媒で構成される分散剤と
を含む組成物であって、約6を超えるpHを有する組成物を提供する。
本発明の組成物中、ダイヤモンド粒子は、特定の実施形態では平均直径が約50μm~約110μm、約60μm~約100μm、約70μm~約90μm、約50μm~約70μm、約60μm~約80μm、または約70μm~約90μmである。ダイヤモンド粒子は、球形であっても非球形であってもよい。例示的な非球形の形状としては、例えば、三角柱や四角柱などの多角柱形状、円筒形状、円筒の中央部が端部よりも膨らんだ俵形形状、円盤の中央部に穴が開いたドーナツ形状、板状、中央部にくびれがあるいわゆる繭形形状、複数の粒子が一体化したいわゆる集合型球形形状、表面に複数の突起があるいわゆる金平糖型形状、ラグビーボール形状などが挙げられるが、特にこれらに限定されない。一実施形態では、ダイヤモンド粒子は通常、球形の形状である。一実施形態では、ダイヤモンド粒子は、約-1~約10のアスペクト比を有する。全体としてダイヤモンド粒子は、有利には目標直径の周囲のサイズ分布が狭い。一実施形態では、ダイヤモンド粒子の量は、組成物の総重量に基づき約0.001~約20重量パーセントである。別の実施形態では、その量は、約1.5重量パーセントである。好適なダイヤモンド粒子は、通常は粉末形態にある単結晶研磨剤として市販で入手される場合もある。
【0012】
本発明で利用される分散剤は、弱有機塩基と水混和性溶媒との組合せである。
【0013】
例示的な弱塩基としては、C2~C8アルカノールアミンなどの弱有機塩基、およびアンモニア水(NH4OH)などの弱無機塩基が挙げられる。例示的な弱塩基としては、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、エチレンジアミン、システイン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N-ジイソプロピルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、ビス-トリスメタン、メグルミン(アミノ糖)、アミノエチルエタノールアミン(aminoethylethanolamien)、N-メチルアミノエタノール、アミノエトキシエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノプロピルジエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N-メチルプロパノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、イソブタノールアミンなど、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0014】
特定の実施形態では、水混和性溶媒は、グリコールエーテルである。例示的なグリコールエーテルとしては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0015】
他の実施形態では、水混和性有機溶媒は、グリコールおよびポリオール(3個以上のヒドロキシル部分を有する化合物)である。
【0016】
上記のように、本発明の組成物は、約8以上のpHを有する。特定の実施形態では、pHは、約8~約9、約8~約10、約9~約10、または約6~約13.5である。
【0017】
必要に応じて、pH調整剤が利用されてもよい。好適なpH調整剤には、有機塩基および無機塩基が挙げられる。この目的において好適な塩基の例としては、コリン水酸化物、テトラブチルホスホニウム水酸化物(TBPH)、テトラメチルホスホニウム水酸化物、テトラエチルホスホニウム水酸化物、テトラプロピルホスホニウム水酸化物、ベンジルトリフェニルホスホニウム水酸化物、メチルトリフェニルホスホニウム水酸化物、エチルトリフェニルホスホニウム水酸化物、N-プロピルトリフェニルホスホニウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物(TEAH)、テトラプロピルアンモニウム水酸化物(TPAH)、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAH)、トリメチルエチルアンモニウム水酸化物、ジエチルジメチルアンモニウム水酸化物、トリブチルメチルアンモニウム水酸化物(TBMAH)、ベンジルトリメチルアンモニウム水酸化物(BTMAH)、テトラメチルアンモニウム塩酸塩(TMAH)、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム水酸化物、ジエチルジメチルアンモニウム水酸化物、アルギニン、水酸化カリウム、水酸化セシウム、およびそれらの組合せが挙げられる。一実施形態では、pH調整剤は、TMAH(テトラメチルアンモニウム水酸化物)である。
【0018】
硬質の金属製研削プレートを使用することが多い、硬質表面用の他の研削レジームとは異なり、本発明の組成物は、基板表面に過度の力を及ぼさないように組成物のより大きなダイヤモンド粒子を順応させるのに好適な弾性を有する研削パッドを利用することによって、望ましくない深いスクラッチ傷を回避する。これに関して、研削パッドは、例えばあらゆる種類のポリマー系研磨パッドで構成されてもよい。代替的にパッドは、スエードなどの他の好適な材料で構成されてもよい。研磨パッドの例は、ポリウレタンパッドおよびスエードパッドに基づく。パッドの厚さは、特定の実施形態では約0.1mmから約25mmまで変動し得る。パッドの硬度は、アスカーC硬度5からアスカー硬度95まで変動し得る。パッドの圧縮率は、0.1%~40%とすることができる。パッドは通常、非多孔質である。特定の実施形態では、パッドの孔径は、約0から約20ミクロンまで、または約0から約10ミクロンまで変動し得る。
【0019】
ポリウレタン系パッドの例は当該技術分野で周知であり、市販で見つけることができる。これらのパッドの硬度は、ショアD値5~99の範囲である。全体として、他のあらゆる種類のポリマー材料をスラリーとともに使用できる。
【0020】
化学機械研磨に好適な装置が市販されている。本発明の方法は、概して、上述の成分を含むスラリー組成物を混合すること、被研磨対象である硬質基板を、回転パッドを有するCMP装置に配置すること、およびその後に本発明のスラリー組成物を用いて化学機械研磨を行うことを含む。この研磨方法では、硬質基板表面の少なくとも一部が除去または研削され、それによって好適に研磨された硬質基板が得られる。
【0021】
これに応じて、第2の態様では、本発明は、ダイヤモンド、サファイア、炭化ケイ素、および窒化ガリウムから選択される表面を研磨するための方法であって、
基板を、第1の態様に明記される本発明の組成物と接触させること、
組成物を基板に対して移動させることと、
a.基板を研いで表面の一部を除去することにより、研磨された表面を得ることと
を含む方法を提供する。
【実施例】
【0022】
実験設定:
以下の除去率についての実験はすべて、100mmのC面サファイアを備えたBuehler Automet250卓上研磨機上、150rpmのプラテン速度で行った。流速を30mL/分に維持した。ショアD硬度が70である、研磨用の硬質かつ非多孔質のポリウレタン製研磨パッドに関するデータを生成し、ダイヤモンド粒子は組成物の重量に基づき1.5重量パーセントで利用した。
表1:研削スラリーにおける、pHに対する除去率(添加剤組成を一定に維持)
【0023】
表2:研削スラリーにおける、ダイヤモンドサイズ(D50)に対する除去率(添加剤組成を一定に維持)
【0024】
表3:研削スラリーにおける、種々の添加剤組成に対する除去率(ダイヤモンドサイズを一定に維持)
【0025】
態様
第1の態様では、本発明は、
水と、
約40μm~約120μmの平均直径を有するダイヤモンド粒子と、
少なくとも1つの弱塩基および少なくとも1つの水混和性溶媒で構成される分散剤と
を含む組成物であって、約6を超えるpHを有する組成物を提供する。
【0026】
第2の態様では、本発明は、ダイヤモンド粒子が約50μm~約110μmの平均直径を有する、第1の態様の組成物を提供する。
【0027】
第3の態様では、本発明は、ダイヤモンド粒子が約60μm~約100μmの平均直径を有する、第1の態様の組成物を提供する。
【0028】
第4の態様では、本発明は、ダイヤモンド粒子が約70μm~約90μmの平均直径を有する、第1の態様の組成物を提供する。
【0029】
第5の態様では、本発明は、ダイヤモンド粒子が約50μm~約70μmの平均直径を有する、第1の態様の組成物を提供する。
【0030】
第6の態様では、本発明は、ダイヤモンド粒子が約60μm~約80μmの平均直径を有する、第1の態様の組成物を提供する。
【0031】
第7の態様では、本発明は、ダイヤモンド粒子が約70μm~約90μmの平均直径を有する、第1の態様の組成物を提供する。
【0032】
第8の態様では、本発明は、弱塩基が、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、システイン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N-ジイソプロピルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、ビス-トリスメタン、メグルミン、アミノエチルエタノールアミン、N-メチルアミノエタノール、アミノエトキシエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノプロピルジエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N-メチルプロパノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、イソブタノールアミン、およびそれらの組合せから選択される、第1~第7の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0033】
第9の態様では、本発明は、弱塩基がジメチルエタノールアミンである、第1~第8の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0034】
第10の態様では、本発明は、組成物中のダイヤモンド粒子の量が、組成物の総重量に基づき約0.001~約20重量パーセントである、第1~第9の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0035】
第11の態様では、本発明は、約6~約13.5のpHを有する、第1~第10の態様のいずれか1つの組成物を提供する。
【0036】
第12の態様では、本発明は、硬質表面を研磨するための方法であって、
基板を請求項1に記載の組成物と接触させることと、
基板を研いで表面の一部を除去し、それによって研磨された表面を得ることと
を含む方法を提供する。
【0037】
第13の態様では、本発明は、ダイヤモンド粒子が約50μm~約110μmの平均直径を有する、第12の態様の方法を提供する。
【0038】
第14の態様では、本発明は、ダイヤモンド粒子が約60μm~約100μmの平均直径を有する、第12の態様の方法を提供する。
【0039】
第15の態様では、本発明は、ダイヤモンド粒子が約70μm~約90μmの平均直径を有する、第12の態様の方法を提供する。
【0040】
第16の態様では、本発明は、ダイヤモンド粒子が約50μm~約70μmの平均直径を有する、第12の態様の方法を提供する。
【0041】
第17の態様では、本発明は、ダイヤモンド粒子が約60μm~約80μmの平均直径を有する、第12の態様の方法を提供する。
【0042】
第18の態様では、本発明は、ダイヤモンド粒子が約70μm~約90μmの平均直径を有する、第12の態様の方法を提供する。
【0043】
第19の態様では、本発明は、弱塩基が、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、システイン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N-ジイソプロピルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、ビス-トリスメタン、メグルミン、アミノエチルエタノールアミン、N-メチルアミノエタノール、アミノエトキシエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノプロピルジエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N-メチルプロパノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、イソブタノールアミン、およびそれらの組合せから選択される、第12~第18の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0044】
第20の態様では、本発明は、弱塩基がジメチルエタノールアミンである、第12~第19の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0045】
第21の態様では、本発明は、組成物中のダイヤモンド粒子の量が、組成物の総重量に基づき約0.001~約20重量パーセントである、第12~第20の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0046】
第22の態様では、本発明は、組成物が約6~約13.5のpHを有する、第12~第21の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0047】
第23の態様では、本発明は、硬質表面が、サファイア、炭化ケイ素、窒化ガリウム、およびダイヤモンドから選択される、第12~第22の態様のいずれか1つの方法を提供する。
【0048】
このように本開示のいくつかの例示的な実施形態が記述されてきたが、当業者であれば、さらに他の実施形態が添付の特許請求の範囲内で作製かつ使用され得ることを容易に認識するであろう。本明細書によって網羅される本開示の多数の利点は、前述の記載に明記されている。しかし、本開示は多くの点で例示的なものにすぎないことが理解されるであろう。当然ながら本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定められる。
【国際調査報告】