(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】5-オキソ-ピリド[2,3-d]ピリダジン-6(5H)-イルアセトアミド
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20240621BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240621BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240621BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240621BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20240621BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240621BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240621BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240621BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240621BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240621BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240621BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240621BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240621BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240621BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240621BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20240621BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240621BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
C07D471/04 116
C07D471/04 CSP
A61P43/00 111
A61P37/02
A61P29/00
A61P1/16
A61P19/02
A61P19/06
A61P29/00 101
A61P13/12
A61P3/10
A61P27/02
A61P25/00
A61P25/28
A61P9/00
A61P3/00
A61P9/12
A61P9/10 101
A61P17/00
A61P17/02
A61P11/06
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/4985
A61K31/506
C07D519/00 311
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580661
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2022068040
(87)【国際公開番号】W WO2023275230
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(72)【発明者】
【氏名】オールリッヒ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ムラトール,マイケル エリック
(72)【発明者】
【氏名】ペレッツ ベニート,ローラ
(72)【発明者】
【氏名】レーネールツ,ジョセフ エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】トレサデルン,ギャリー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ファン グール,ミヒエル ルック エム
(72)【発明者】
【氏名】ファン オプデンボッシュ,ニナ
(72)【発明者】
【氏名】ラムカンフィ,モハメド
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA16
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA42
4C086ZA45
4C086ZA59
4C086ZA75
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC21
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、NLRP3インフラマソーム産生の阻害剤として使用するための新規化合物に関し、そのような化合物は、式(I)の化合物によって定義される通りであり、整数R
1、R
2及びR
3は本明細書で定義され、この化合物は、例えば、NLRP3インフラマソーム活性に関連する疾患又は障害の治療における使用のための医薬品として有用であり得る。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩であって、
【化1】
式中、
R
1が、
(i)-OH及び-C
1~3アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択で置換されたC
3~6シクロアルキル、
(ii)アリール若しくはヘテロアリールであって、その各々が、ハロ、-OH、-O-C
1~3アルキル、-C
1~3アルキル、ハロC
1~3アルキル、ヒドロキシC
1~3アルキル、C
1~3アルコキシ、ハロ
1-3アルコキシ、-C(O)OC
1~3アルキルから独立して選択される1~3個の置換基で任意選択で置換されたアリール若しくはヘテロアリール、又は
(iii)C
1~3アルキル及びC
3~6シクロアルキルから独立して選択される1~3個の置換基で任意選択で置換されたヘテロシクリルを表し、
R
2が、
(i)ハロ、-OH及び-OC
1~3アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択で置換されたC
1~3アルキル、
(ii)C
3~6シクロアルキル、
(iii)-OC
1~3アルキルで任意選択で置換されたC
2~4アルケニル、又は
(iv)-N(R
2a)R
2bを表し、
R
2a及びR
2bが、それぞれ水素若しくはC
1~4アルキルを表すか、又はR
2a及びR
2bが、ともに結合されて、1個以上のフルオロ原子で任意選択で置換された3~4員環を形成してもよく、
R
3が、
(i)水素、
(ii)ハロ、
(iii)ハロ、-OH及び-OC
1~3アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択で置換されたC
1~4アルキル、
(iv)-OC
1~3アルキルで任意選択で置換されたC
2~4アルケニル、
(v)C
3~6シクロアルキル、又は
(vi)-OC
1~3アルキルを表し、
ただし、(a)R2がイソプロピルであり、R3がブロモ又はトリフルオロメチルである場合、R1が5-フルオロピリミジン-4-イルではなく、(b)R2がジフルオロメチルであり、R3がトリフルオロメチルである場合、R1が5-フルオロピリミジン-2-イルではない、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
R
3が、
(i)ハロ、
(iii)ハロ、-OH及び-OC
1~3アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択で置換されたC
1~3アルキル、
(iii)-OC
1~3アルキルで任意選択で置換されたC
2~4アルケニル、
(iv)C
3~6シクロアルキル、又は
(v)-OC
1~3アルキルを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
3が、フルオロ、シクロプロピル又はメトキシで任意選択で置換されたC
1~3アルキルを表す、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R
2が、C
1~3アルキル、C
3~6シクロアルキル又は-N(C
1~3アルキル)
2を表す、請求項1、2及び3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R
2が、エチル、イソプロピル又はジメチルアミノを表す、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R
1が、以下を表し、
【化2】
式中、R
4が、水素、C
1~3アルキル又は-C(=O)O-tBuを表す、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
1が以下を表し、
【化3】
式中、R
4が水素又は-C(=O)O-tBuを表す、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R
2がイソプロピルであり、R
3がトリフルオロメチル又は1,1-ジフルオロエチルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
治療有効量の請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物と、医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項10】
医薬的に許容される担体を治療有効量の請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物と密接に混合することを特徴とする、請求項9に記載の医薬組成物を調製するプロセス。
【請求項11】
医薬又は薬剤として使用するための、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
NLRP3インフラマソーム活性の阻害に関連する疾患又は障害の治療に使用するための、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
NLRP3インフラマソーム活性の阻害に関連する疾患又は障害が、インフラマソーム関連疾患及び障害、免疫疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性発熱症候群、クリオピリン関連周期性症候群、慢性肝疾患、ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎、アルコール性脂肪性肝炎、アルコール性肝疾患、炎症性関節炎関連障害、痛風、軟骨石灰化症、変形性関節症、関節リウマチ、慢性関節症、急性関節症、腎関連疾患、高シュウ酸尿症、ループス腎炎、I型及びII型糖尿病、腎症、網膜症、高血圧性腎症、血液透析関連炎症、神経炎症関連疾患、多発性硬化症、脳感染症、急性損傷、神経変性疾患、アルツハイマー病、心血管疾患、代謝性疾患、心血管リスク低減、高血圧、アテローム性動脈硬化症、末梢動脈疾患、急性心不全、炎症性皮膚疾患、座瘡、創傷治癒及び瘢痕形成、喘息、サルコイドーシス、加齢性黄斑変性、結腸癌、肺癌、骨髄増殖性腫瘍、白血病、骨髄異形成症候群及び骨髄線維症から選択される、請求項12に記載の使用のための化合物又は組成物。
【請求項14】
請求項1~18のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の調製プロセスであって、
(i)式(II)
【化4】
(式中、R
2及びR
3は、請求項1で定義した通りである)の化合物と、式(III)
H
2N-R
1(III)
(式中、R
1が、請求項1で定義した通りである)の化合物とのアミド形成反応条件下での反応、又は
(ii)式(IV)
【化5】
(式中、R
2及びR
3は、請求項1で定義した通りである)の化合物と、式(V)
LG
a-CH
2-C(O)-N(H)R
1
(式中、LG
aは適切な脱離基を表し、R
1は請求項1で定義した通りである)の化合物との反応、を含む、プロセス。
【請求項15】
式(II)の化合物であって、
【化6】
R
2及びR
3が、請求項1で定義した通りである、化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NOD様受容体タンパク質3(NLRP3)インフラマソーム経路の阻害剤として有用な新規の5-オキソ-ピリド[2,3-d]ピリダジン-6(5H)-イルアセトアミドに関する。本発明はまた、当該化合物の調製プロセス、当該化合物を含む医薬組成物、様々な疾患及び障害の治療における当該化合物の使用方法、並びにそれらを含有する薬剤、並びにNLRP3によって媒介される疾患及び障害におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
自然免疫系の中心的なシグナル伝達ハブと考えられるインフラマソームは、多種多様な病原体関連分子パターン又は危険因子関連分子パターン(PAMP又はDAMP)による細胞内パターン認識受容体(PRR)の特定のセットの活性化の際に構築される多タンパク質複合体である。現在までに、インフラマソームは、ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン(NOD)様受容体(NLR)並びにパイリン及びHIN200ドメイン含有タンパク質によって形成することができることが示された(Van Opdenbosch N.and Lamkanfi M.Immunity,2019 Jun 18;50(6):1352-1364)。NLRP3インフラマソームは、環境結晶、汚染物質、宿主由来のDAMP及びタンパク凝集体の検出時に構築される(Tartey S and Kanneganti TD.Immunology,2019 Apr;156(4):329-338)。NLRP3と係合する臨床的に関連するDAMPとしては、痛風及びアテローム性動脈硬化症を引き起こす尿酸及びコレステロール結晶、アルツハイマー病において神経毒性であるアミロイド-β原線維、並びに中皮腫を引き起こすアスベスト粒子が挙げられる(Kelley et al.,Int J Mol Sci,2019 Jul 6;20(13))。更に、NLRP3は、コレラ菌(Vibrio cholerae)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)及びカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)などの真菌病原体、アデノウイルス、インフルエンザAウイルス及びSARS-CoV-2などの感染因子によって活性化される(Tartey and Kanneganti,2019;Fung et al.Emerg Microbes Infect,2020 Mar 14;9(1):558-570)。
【0003】
正確なNLRP3活性化機構は不明のままであるが、ヒト単球については、1段階の活性化で十分であるが、マウスでは2段階の機構が適所にあることが示唆されている。多数のトリガーを考慮すると、NLRP3インフラマソームは、転写レベル及び転写後レベルの両方でのアドオン調節を必要とする(Yang Y et al.,Cell Death Dis,2019 Feb 12;10(2):128)。
【0004】
NLRP3タンパク質は、N末端ピリンドメインと、それに続くヌクレオチド結合部位ドメイン(NBD)及びC末端上のロイシンリッチリピート(LRR)モチーフとからなる(Sharif et al.,Nature,2019 Jun;570(7761):338-343)。PAMP又はDAMPを認識すると、NLRP3は、アダプタータンパク質、アポトーシス関連の斑点様タンパク質(ASC)、及びプロテアーゼカスパーゼ-1と凝集して、機能的インフラマソームを形成する。活性化されると、プロカスパーゼ-1は自己タンパク分解を受け、その結果、ガスダーミンD(Gsdmd)を切断してN末端Gsdmd分子を生成し、これが最終的に原形質膜における細孔形成及びピロトーシスと呼ばれる溶解型の細胞死をもたらす。あるいは、カスパーゼ-1は、炎症促進性サイトカインpro-IL-1β及びpro-IL-18を切断して、ピロトーシスによるその生物学的に活性な形態の放出を可能にする(Kelley et al.、2019)。
【0005】
NLRP3インフラマソーム又はその下流メディエーターの調節不全は、免疫/炎症性疾患、自己免疫/自己炎症性疾患(クリオピリン関連周期性症候群(Miyamae T.Paediatr Drugs,2012 Apr 1;14(2):109-17)、鎌状赤血球症、全身性エリテマトーデス(SLE))から、肝障害(例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、慢性肝疾患、ウイルス性肝炎、アルコール性脂肪性肝炎、及びアルコール性肝疾患)(Szabo G and Petrasek J.Nat Rev Gastroenterol Hepatol,2015 Jul;12(7):387-400)及び炎症性腸疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎)(Zhen Y and Zhang H.Front Immunol,2019 Feb 28;10:276)まで、多くの病態に関連している。また、炎症性関節障害(例えば、痛風、偽痛風(軟骨石灰化症)、関節症、変形性関節症、及び関節リウマチ(Vande Walle L et al.,Nature,2014 Aug 7;512(7512):69~73)もNLRP3と関連していた。更に、腎臓関連疾患(高シュウ酸尿症(Knauf et al.,Kidney Int,2013 Nov;84(5):895-901)、ループス腎炎、高血圧性腎症(Krishnan et al.,Br J Pharmacol,2016 Feb;173(4):752-65)、糖尿病(1型、2型及び真性糖尿病)の腎臓関連合併症であり糖尿病性腎疾患とも呼ばれる血液透析関連炎症及び糖尿病性腎症(Shahzad et al.,Kidney Int,2015 Jan;87(1):74~84)は、NLRP3インフラマソーム活性化に関連する。神経炎症関連障害(例えば、脳感染症、急性損傷、多発性硬化症、アルツハイマー病)及び神経変性疾患(パーキンソン病)の発症及び進行をNLRP3インフラマソーム活性化と関連付ける報告がある(Sarkar et al.,NPJ Parkinson’s Dis,2017 Oct 17;3:30)。更に、心臓血管又は代謝障害(例えば、心血管リスク低減(CvRR)、アテローム性動脈硬化症、I型及びII型糖尿病並びに関連合併症(例えば、腎症、網膜症)、末梢動脈疾患(PAD)、急性心不全及び高血圧(Ridker et al.,CANTOS Trial Group.N Engl J Med,2017 Sep 21;377(12):1119~1131、及びToldo S and Abbate A.Nat Rev Cardiol,2018 Apr;15(4):203-214)は、最近、NLRP3に関連付けられた。また、皮膚関連疾患が記載された(例えば、創傷治癒及び瘢痕形成、炎症性皮膚疾患、例えば、座瘡、化膿性汗腺炎(Kelly et al.,Br J Dermatol,2015 Dec;173(6))。加えて、呼吸器の症状は、NLRP3インフラマソーム活性に関連している(例えば、喘息、サルコイドーシス、重症急性呼吸器症候群(SARS)(Nieto-Torres et al.,Virology,2015 Nov;485:330-9))だけでなく、加齢性黄斑変性にも関連している(Doyle et al.,Nat Med,2012 May;18(5):791-8)。いくつかの癌関連の疾患/障害が、NLRP3に関連して記載された(例えば、骨髄増殖性腫瘍、白血病、骨髄異形成症候群(MOS)、骨髄線維症、肺癌、結腸癌(Ridker et al.,Lancet,2017 Oct 21;390(10105):1833-1842、Derangere et al.,Cell Death Differ.2014 Dec;21(12):1914-24、Basiorka et al.,Lancet Haematol,2018 Sep;5(9):e393-e402、Zhang et al.,Hum Immunol,2018 Jan;79(1):57-62)。
【0006】
いくつかの特許出願がNLRP3阻害剤を記載しており、最近のものとしては、例えば、国際特許出願第2020/018975号、同第2020/037116号、同第2020/021447号、同第2020/010143号、同第2019/079119号、同第2019/0166621号及び同第2019/121691号が挙げられる。これらはある範囲の特定の化合物を開示している。
【0007】
国際特許出願第2022/036204号は、NLRP3を調節する1-オキソ-フタラジン-2(1H)-イルアセトアミド及び5-オキソ-ピリド[2,3-d]ピリダジン-6(5H)-イルアセトアミドを開示している。
【発明の概要】
【0008】
本明細書で言及される疾患/障害のための新規及び/又は代替な治療を提供するためのNLRP3インフラマソーム経路の阻害剤が必要とされている。
【0009】
本発明は、NLRP3インフラマソーム経路を阻害する化合物を提供する。
【0010】
したがって、本発明の一態様では、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩が提供され、
【0011】
【化1】
式中、
R
1は、
(i)-OH及び-C
1-3アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択で置換されたC
3-6シクロアルキル、
(ii)アリール若しくはヘテロアリールであって、その各々が、ハロ、-OH、-O-C
1-3アルキル、-C
1-3アルキル、ハロC
1-3アルキル、ヒドロキシC
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ、ハロ
1-3アルコキシ、-C(O)OC
1-3アルキルから独立して選択される1~3個の置換基で任意選択で置換されたアリール若しくはヘテロアリール、又は
(iii)C
1-3アルキル及びC
3-6シクロアルキルから独立して選択される1~3個の置換基で任意選択で置換されたヘテロシクリルを表し、
R
2は、
(i)ハロ、-OH及び-OC
1-3アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択で置換されたC
1-3アルキル、
(ii)C
3-6シクロアルキル、
(iii)-OC
1-3アルキルで任意選択で置換されたC
2-4アルケニル、又は
(iv)-N(R
2a)R
2bを表し、
R
2a及びR
2bは、それぞれ水素若しくはC
1-4アルキルを表すか、又はR
2a及びR
2bは、ともに結合されて、1個以上のフルオロ原子で任意選択で置換された3~4員環を形成してもよく、
R
3は、
(i)水素、
(ii)ハロ、
(iii)ハロ、-OH及び-OC
1-4アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択で置換されたC
1-3アルキル、
(iv)-OC
1-3アルキルで任意選択で置換されたC
2-4アルケニル、
(v)C
3-6シクロアルキル、又は
(vi)-OC
1-3アルキルを表し、
ただし、R
2がイソプロピルであり、R
3がブロモ又はトリフルオロメチルである場合、R
1は5-フルオロピリミジン-4-イルではなく、R
2がジフルオロメチルであり、R
3がトリフルオロメチルである場合、R
1は5-フルオロピリミジン-2-イルではない。
【0012】
別の態様では、薬剤として使用するための本発明の化合物が提供される。別の態様では、治療有効量の本発明の化合物を含む医薬組成物が提供される。
【0013】
更なる態様では、NLRP3活性(インフラマソーム活性を含む)に関連する疾患又は障害の治療において;NLRP3シグナル伝達が当該疾患/障害の病態、及び/又は症状、及び/又は進行に寄与する疾患又は障害の治療において;NLRP3インフラマソーム活性の阻害(それを必要とする対象におけるものを含む)において、及び/又はNLRP3阻害剤として、本発明の化合物(及び/又はこのような本発明の化合物を含む医薬組成物)の使用が提供される。特定の疾患又は障害が本明細書で言及されてもよく、例えば、インフラマソーム関連疾患若しくは障害、免疫疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、又は自己炎症性疾患から選択されてもよい。
【0014】
別の態様では、NLRP3活性(インフラマソーム活性を含む)に関連する疾患又は障害の治療において;NLRP3シグナル伝達が当該疾患/障害の病態、及び/又は症状、及び/又は進行に寄与する疾患又は障害の治療において;NLRP3インフラマソーム活性の阻害(それを必要とする対象におけるものを含む)において、及び/又はNLRP3阻害剤として、本発明の化合物(及び/又はこのような本発明の化合物を含む医薬組成物)の使用が提供される。
【0015】
別の態様では、NLRP3活性(インフラマソーム活性を含む)に関連する疾患若しくは障害を治療するための、NLRP3シグナル伝達が当該疾患/障害の病態、及び/若しくは症状、及び/若しくは進行に寄与する疾患若しくは障害を治療するための;並びに/又はNLRP3インフラマソーム活性の阻害(それを必要とする対象におけるものを含む)するための薬剤の製造における、本発明の化合物(及び/又はこのような本発明の化合物を含む医薬組成物)の使用が提供される。
【0016】
別の態様では、NLRP3シグナル伝達が当該疾患/障害の病態、及び/又は症状、及び/又は進行に寄与する疾患又は障害を治療する方法であって、治療有効量の本発明の化合物を、例えば、対象(それを必要とする)に投与することを含む方法が提供される。更なる態様では、対象(それを必要とする)においてNLRP3インフラマソーム活性を阻害する方法であって、治療有効量の本発明の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が提供される。
【0017】
更なる態様では、1つ以上の治療剤(例えば、本明細書に記載される)と組み合わせた本発明の化合物(医薬的組み合わせを含む)が提供される。このような組み合わせはまた、本発明の化合物に関して本明細書中に記載されるような使用、又は本発明の化合物に関して本明細書中に記載されるような組み合わせの使用のために提供されてもよい。本発明の化合物に関して本明細書に記載される方法も提供されてもよいが、この方法は、治療有効量のこのような組み合わせを投与することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩を提供し、
【0019】
【化2】
式中、
R
1は、
(i)-OH及び-C
1-3アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択で置換されたC
3-6シクロアルキル、
(ii)アリール若しくはヘテロアリールであって、その各々が、ハロ、-OH、-O-C
1-3アルキル、-C
1-3アルキル、ハロC
1-3アルキル、ヒドロキシC
1-3アルキル、C
1-3アルコキシ、ハロ
1-3アルコキシ、-C(O)OC
1-3アルキルから独立して選択される1~3個の置換基で任意選択で置換されたアリール若しくはヘテロアリール、又は
(iii)C
1-3アルキル及びC
3-6シクロアルキルから独立して選択される1~3個の置換基で任意選択で置換されたヘテロシクリルを表し、
R
2は、
(i)ハロ、-OH及び-OC
1-3アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択で置換されたC
1-3アルキル、
(ii)C
3-6シクロアルキル、
(iii)-OC
1-3アルキルで任意選択で置換されたC
2-4アルケニル、又は
(iv)-N(R
2a)R
2bを表し、
R
2a及びR
2bは、それぞれ水素若しくはC
1-4アルキルを表すか、又はR
2a及びR
2bは、ともに結合されて、1個以上のフルオロ原子で任意選択で置換された3~4員環を形成してもよく、
R
3は、
(i)水素、
(ii)ハロ、
(iii)ハロ、-OH及び-OC
1-4アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択で置換されたC
1-3アルキル、
(iv)-OC
1-3アルキルで任意選択で置換されたC
2-4アルケニル、
(v)C
3-6シクロアルキル、又は
(vi)-OC
1-3アルキルを表し、
ただし、R
2がイソプロピルであり、R
3がブロモ又はトリフルオロメチルである場合、R
1は5-フルオロピリミジン-4-イルではなく、R
2がジフルオロメチルであり、R
3がトリフルオロメチルである場合、R
1は5-フルオロピリミジン-2-イルではない。
【0020】
薬学的に許容される塩としては、酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。そのような塩は、従来の手段によって、例えば、本発明の化合物の遊離酸形態又は遊離塩基形態を、適切な酸又は塩基の1つ以上の等価物と、任意選択で溶媒中で、又は塩が不溶性である媒体中で反応させ、続いて標準的な技術を使用して(例えば、真空で、凍結乾燥法によって、又は濾過によって)、当該溶媒又は当該媒体を除去することによって形成されてもよい。塩はまた、例えば、好適なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の本開示の化合物の対イオンを別の対イオンと交換することによって調製されてもよい。
【0021】
医薬的に許容される酸付加塩は、無機酸及び有機酸を用いて形成することができる。
【0022】
塩を誘導することができる無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。
【0023】
塩を誘導することができる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸などが挙げられる。
【0024】
医薬的に許容される塩基付加塩は、無機塩基及び有機塩基を用いて形成することができる。
【0025】
塩を誘導することができる無機塩基としては、例えば、アンモニウム塩及び周期表のI~XII列からの金属が挙げられる。特定の実施形態では、塩は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛、及び銅から誘導される。特に好適な塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩が挙げられる。
【0026】
塩を誘導することができる有機塩基としては、例えば、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などが挙げられる。特定の有機アミンとしては、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジン、及びトロメタミンが挙げられる。
【0027】
本発明の関連化合物の「プロドラッグ」という用語は、経口投与又は非経口投与の後に、インビボで代謝されて、実験的に検出可能な量で、かつ所定の時間内に(例えば、6時間~24時間の投与間隔内(すなわち、1日1~4回))以内にその化合物を形成する任意の化合物を含む。誤解を避けるために、「非経口」投与という用語は、経口投与以外の全ての投与形態を含む。
【0028】
本発明の化合物のプロドラッグは、このようなプロドラッグが哺乳動物対象に投与された場合に、修飾がインビボで切断されるように、化合物上に存在する官能基を修飾することによって調製されてもよい。修飾は、典型的には、プロドラッグ置換基を有する親化合物を合成することによって達成される。プロドラッグとしては、本発明の化合物中のヒドロキシル基、アミノ基、スルフヒドリル基、カルボキシ基又はカルボニル基が、インビボで切断されて、遊離ヒドロキシル基、アミノ基、スルフヒドリル基、カルボキシ基、又はカルボニル基をそれぞれ再生成してもよい、任意の基に結合されている本発明の化合物が挙げられる。
【0029】
プロドラッグの例としては、ヒドロキシ官能基のエステル及びカルバメート、カルボキシル官能基のエステル基、N-アシル誘導体及びN-マンニッヒ塩基が挙げられるが、これらに限定されない。プロドラッグに関する一般的な情報は、例えば、Bundegaard,H.「Design of Prodrugs」p.l-92,Elsevier,New York-Oxford(1985)に見出すことができる。
【0030】
本発明の化合物は、二重結合を含有してもよく、ひいては各々の個々の二重結合について、E(entgegen)及びZ(zusammen)幾何異性体として存在してもよい。
【0031】
本発明の化合物はまた、互変異性を示してもよい。全ての互変異性型(又は互変異性体)及びそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。「互変異性体」又は「互変異性型」という用語は、低いエネルギー障壁を通して相互変換可能な異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトン性互変異性体としても知られている)は、ケト-エノール及びイミン-エナミン異性化などのプロトンの移動を介した相互変換を含む。価数互変異性体は、結合電子の一部の再構成による相互変換を含む。
【0032】
本発明の化合物はまた、1個以上の不斉原子を含有し得、ひいては光学及び/又はジアステレオ異性を示してもよい。ジアステレオ異性体は、従来の技術、例えばクロマトグラフィー又は分別晶析法を使用して分離されてもよい。様々な立体異性体は、従来の技術、例えば分別晶析法又はHPLC技術を使用して、ラセミ混合物又は化合物の他の混合物を分離することによって単離されてもよい。あるいは、所望の光学異性体は、ラセミ化又はエピマー化を引き起こさない条件下での適切な光学活性出発物質の反応(すなわち、「キラルプール」法)によって、適切な出発材料と、その後好適な段階で除去することができる「キラル補助剤」との反応によって、例えば、ホモキラル酸を用いた誘導体化(すなわち、動的分割を含む分割)と、それに続くクロマトグラフィーなどの従来の手段によるジアステレオマー誘導体の分離によって、又は全て当業者に公知の条件下での、適切なキラル試薬若しくはキラル触媒を用いた反応によって作製されてもよい。
【0033】
全ての立体異性体(ジアステレオ異性体、エナンチオマー及びアトロプ異性体を含むが、これらに限定されない)及びそれらの混合物(例えば、ラセミ混合物)は、本発明の範囲内に含まれる。
【0034】
本明細書に示される構造では、任意の特定のキラル原子の立体化学が特定されていない場合、全ての立体異性体が本発明の化合物として企図され、含まれる。立体化学が、特定の立体配置を表す実線のくさび形又は破線によって特定される場合、その立体異性体はそのように特定され、定義される。
【0035】
絶対配置が指定される場合、Cahn-Ingold-Prelogシステムに従う。非対称原子における配置は、R又はSのいずれかによって特定される。絶対配置が知られていない分解された化合物は、それらが平面偏光を回転させる方向に応じて、(+)又は(-)に指定することができる。
【0036】
特定の立体異性体が特定される場合、これは、当該立体異性体が実質的に含まれていない、すなわち、他の異性体の50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、更により好ましくは5%未満、特に2%未満、最も好ましくは1%未満と関連していることを意味する。したがって、式(I)の化合物が、例えば、(R)として特定される場合、これは、化合物が(S)異性体を実質的に含まないことを意味する。
【0037】
本発明の化合物は、非溶媒和形態並びに水、エタノールなどの医薬的に許容される溶媒との溶媒和形態で存在してもよく、本発明は溶媒和形態及び非溶媒和形態の両方を包含することが意図される。
【0038】
本発明はまた、本明細書に列挙されるものと同一である本発明の同位体標識された化合物を包含するが、それは、1つ以上の原子が、通常天然に見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子(又は天然に見出される最も豊富な原子)によって置き換えられるという事実のためである。本明細書で指定される任意の特定の原子又は元素の全ての同位体は、本発明の化合物の範囲内であると考えられる。本発明の化合物に組み込むことができる例示的な同位体としては、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123I、及び125Iなどの、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体が挙げられる。本発明のある特定の同位体標識された化合物(例えば、3H及び14Cで標識されたもの)は、化合物及び基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(3H)及び炭素-14(14C)同位体は、調製及び検出可能性の容易さのために有用である。更に、より重い同位体、例えば、重水素(すなわち、2H)などによる置換を行うと、代謝安定性がより高くなり(例えば、インビボにおける半減期が増大し、又は必要な投与量が減少する)、その結果、ある特定の治療的利点が得られ、したがって、状況次第で好ましい場合がある。例えば、15O、13N、11C、及び18Fなどの陽電子放出同位体は、基質受容体占有を調べるための陽電子放出断層撮影(positron emission tomography、PET)研究に有用である。本発明の同位体標識された化合物は、一般に、同位体標識されていない試薬の代わりに同位体標識された試薬を用いることによって、以下の説明/実施例に開示されているものと類似の手順に従って調製することができる。
【0039】
別段の指定がない限り、本明細書で定義されるC1-qアルキル基(qは範囲の上限である)は、直鎖であってもよく、又は十分な数(すなわち、必要に応じて最低2個又は3個)の炭素原子が存在する場合、分岐鎖であってもよい。このような基は、単結合によって分子の残りの部分に結合している。
【0040】
C2-qアルケニル(ここでもqは範囲の上限である)は、本明細書で使用される場合、不飽和、すなわち、少なくとも1つの二重結合を含有するアルキル基を指す。
【0041】
C3-qシクロアルキル(qは範囲の上限である)は、環状であるアルキル基を指し、例えば、シクロアルキル基は、単環式であってもよく、又は十分な原子が存在する場合、二環式であってもよい。一実施形態では、このようなシクロアルキル基は単環式である。置換基は、シクロアルキル基上の任意の点で結合されてもよい。
【0042】
「ハロ」という用語は、本明細書で使用される場合、好ましくは、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを含む。
【0043】
C1-qアルコキシ基(qは範囲の上限である)は、式-ORaのラジカルを指し、式中、Raは、本明細書で定義されるC1-qアルキル基である。
【0044】
ハロC1-qアルキル(qは範囲の上限である)基は、本明細書で定義されるC1-qアルキル基を指し、そのような基は1つ以上のハロによって置換されている。ヒドロキシC1-qアルキル(qは範囲の上限である)は、本明細書で定義されるC1-qアルキル基を指し、そのような基は、1つ以上の(例えば1つの)ヒドロキシ(-OH)基によって置換されている(又は1つ以上、例えば1個の水素原子が-OHで置き換えられている)。同様に、ハロC1-qアルコキシ及びヒドロキシC1-qアルコキシは、それぞれ、1つ以上のハロによって置換されているか、又は1つ以上の(例えば、1つの)ヒドロキシによって置換されている、対応する-OC1-qアルキル基を表す。
【0045】
言及され得るヘテロシクリル基としては、環系中の原子の少なくとも1個(例えば1~4個)が炭素以外(すなわちヘテロ原子)であり、環系中の原子の総数が3~20個(例えば3~10個、例えば3~8個、例えば5~8個)である、非芳香族単環式及び二環式ヘテロシクリル基が挙げられる。このようなヘテロシクリル基も架橋されていてもよい。このようなヘテロシクリル基は飽和している。言及され得るC2-qヘテロシクロアルキル基としては、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、6-アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、6-アザビシクロ[3.2.1]-オクタニル、8-アザビシクロ-[3.2.1]オクタニル、アジリジニル、アゼチジニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロピリジル、ジヒドロピロリル(2,5-ジヒドロピロリルを含む)、ジオキソラニル(1,3-ジオキソラニルを含む)、ジオキサニル(1,3-ジオキサニル及び1,4-ジオキサニルを含む)、ジチアニル(1,4-ジチアニルを含む)、ジチオラニル(1,3-ジチオラニルを含む)、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、モルホリニル、7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、6-オキサビシクロ-[3.2.1]オクタニル、オキセタニル、オキシラニル、ピペラジニル、ピペリジニル、非芳香族ピラニル、ピラゾリジニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピロリニル、キヌクリジニル、スルホラニル、3-スルホレニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピリジル(1,2,3,4-テトラヒドロピリジル及び1,2,3,6-テトラヒドロピリジルなど)、チエタニル、チイラニル、チオラニル、チオモルホリニル、トリチアニル(1,3,5-トリチアニルを含む)、トロパニルなどが挙げられる。ヘテロシクリル基上の置換基は、適切な場合、ヘテロ原子を含む環系中の任意の原子上に位置してもよい。ヘテロシクリル基の結合点は、(適切な場合には)ヘテロ原子(窒素原子など)を含む環系中の任意の原子、又は環系の一部として存在し得る任意の縮合炭素環上の原子を介していてもよい。ヘテロシクリル基はまた、N又はS酸化形態であってもよい。一実施形態では、本明細書で言及されるヘテロシクリル基は単環式である。
【0046】
言及され得るアリール基としては、C6-20、例えばC6-12、(例えばC6-10)アリール基が挙げられる。そのような基は単環式、二環式又は三環式であってもよく、6~12個(例えば6~10個)の環状炭素原子を有し、少なくとも1つの環が芳香族である。C6-10アリール基としては、フェニル、ナフチルなど、例えば1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフチルが挙げられる。アリール基の結合点は、環系の任意の原子を介していてもよい。例えば、アリール基が多環式である場合、結合点は、非芳香族環の原子を含む原子を介していてもよい。しかしながら、アリール基が多環式(例えば、二環式又は三環式)である場合、それらは好ましくは芳香族環を介して分子の残りに結合される。アリール基が多環式である場合、一実施形態では、各環は芳香族である。一実施形態では、本明細書で言及されるアリール基は、単環式又は二環式である。更なる実施形態では、本明細書で言及されるアリール基は単環式である。
【0047】
「ヘテロアリール」は、本明細書で使用される場合、好ましくはN、O及びSから選択される1個以上のヘテロ原子(例えば、1~4個のヘテロ原子)を含有する芳香族基を指す。ヘテロアリール基は、5~20員環(例えば、5~10員環)を有し、単環式、二環式又は三環式であってもよいものを含むが、ただし、環の少なくとも1つは芳香族(したがって、例えば、単環式、二環式又は三環式のヘテロ芳香族基を形成する)であることを条件とする。ヘテロアリール基が多環式である場合、結合点は、非芳香族環の原子を含む任意の原子を介していてもよい。しかしながら、ヘテロアリール基が多環式(例えば、二環式又は三環式)である場合、それらは好ましくは芳香族環を介して分子の残りの部分に結合される。一実施形態では、ヘテロアリール基が多環式である場合、各環は芳香族である。言及され得るヘテロアリール基としては、3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリニル、1,3-ジヒドロイソインドリル、1,3-ジヒドロイソインドリル(例えば、3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル、1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル、1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル;すなわち、非芳香族環を介して結合されたヘテロアリール基)、又は好ましくは、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキセピニル、ベンゾジオキソリル(1,3-ベンゾジオキソリルを含む)、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアジアゾリル(2,1,3-ベンゾチアジアゾリルを含む)、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル(2,1,3-ベンゾオキサジアゾリルを含む)、ベンゾオキサジニル(3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジニルを含む)、ベンゾオキサゾリル、ベンゾモルホリニル、ベンゾセレナジアゾリル(2,1,3-ベンゾセレナジアゾリルを含む)、ベンゾチエニル、カルバゾリル、クロマニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、インダゾリル、インドリニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソチオクロマニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル(1,6-ナフチリジニル又は好ましくは1,5-ナフチリジニル及び1,8-ナフチリジニルを含む)、オキサジアゾリル(1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル及び1,3,4-オキサジアゾリルを含む)、オキサゾリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノリジニル、キノキサリニル、テトラヒドロイソキノリニル(1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル及び5,6,7,8-テトラ-ヒドロイソキノリニルを含む)、テトラヒドロキノリニル(1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル及び5,6,7,8-テトラヒドロキノリニルを含む)、テトラゾリル、チアジアゾリル(1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル及び1,3,4-チアジアゾリルを含む)、チアゾリル、チオクロマニル、チオフェネチル、チエニル、トリアゾリル(1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル及び1,3,4-トリアゾリルを含む)などが挙げられる。ヘテロアリール基上の置換基は、適切な場合、ヘテロ原子を含む環系中の任意の原子上に位置してもよい。ヘテロアリール基の結合点は、(適切な場合には)ヘテロ原子(窒素原子など)を含む環系中の任意の原子、又は環系の一部として存在し得る任意の縮合炭素環上の原子を介していてもよい。ヘテロアリール基はまた、N又はS酸化形態であってもよい。ヘテロアリール基が、非芳香族環が存在する多環式である場合、その非芳香族環は、1つ以上の=O基によって置換されていてもよい。一実施形態では、本明細書で言及されるヘテロアリール基は、単環式又は二環式であってもよい。更なる実施形態では、本明細書で言及されるヘテロアリール基は単環式である。
【0048】
言及され得るヘテロ原子としては、リン、ケイ素、ホウ素、好ましくは酸素、窒素及び硫黄が挙げられる。
【0049】
誤解を避けるために、基が1つ以上の置換基(例えば、C1-6アルキルから選択される)によって置換され得ると本明細書で述べられる場合、それらの置換基(例えば、アルキル基)は互いに独立している。すなわち、このような基は、同じ置換基(例えば、同じアルキル置換基)又は異なる(例えば、アルキル)置換基で置換され得る。
【0050】
本明細書で言及される全ての個々の特徴(例えば、好ましい特徴)は、単独で、又は本明細書で言及される任意の他の特徴(好ましい特徴を含む)と組み合わせて採用されてもよい(したがって、好ましい特徴は、他の好ましい特徴と併せて、又はそれらとは独立して採用され得る)。
【0051】
当業者は、本発明の主題である本発明の化合物が安定な化合物を含むことを理解するであろう。すなわち、本発明の化合物は、例えば反応混合物から有用な程度の純度までの単離に耐えるのに十分に頑強なものを含む。
【0052】
ここで、本発明の化合物の実施形態を含む本発明の様々な実施形態を説明する。
【0053】
一実施形態では、R3が水素を表さない、上記で定義した通りの式(I)の化合物、又は薬学的に許容できるその塩が提供される。
【0054】
一実施形態では、R3が、以下を表す、上記で定義した通りの式(I)の化合物、又は薬学的に許容できるその塩が提供される。
(i)ハロ、
(iii)ハロ、-OH及び-OC1-4アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択で置換されたC1-3アルキル、
(iii)-OC1-3アルキルで任意選択で置換されたC2-4アルケニル、
(iv)C3-6シクロアルキル、又は
(v)-OC1-3アルキルを表す。
【0055】
一実施形態では、R3は、フルオロ、シクロプロピル又はメトキシで任意選択で置換されたC1-3アルキルを表す。
【0056】
一実施形態では、R2は、C1-3アルキル、C3-6シクロアルキル又は-N(C1-3アルキル)2を表す。
【0057】
一実施形態では、R2は、エチル、イソプロピル又はジメチルアミノを表す。
【0058】
一実施形態では、R1は、以下を表し、
【0059】
【化3】
式中、R
4は、水素、C
1-3アルキル又は-C(=O)O-t.Buを表す。
【0060】
一実施形態では、R1は、以下を表し、
【0061】
【化4】
式中、R
4は水素又は-C(=O)O-t.Buを表す。
【0062】
一実施形態では、R2はイソプロピルであり、R3はトリフルオロメチル又は1,1-ジフルオロエチルである。
【0063】
一実施形態では、本発明の化合物は、R1が、(i)C3-6シクロアルキル、(ii)アリール若しくはヘテロアリール、又は(iii)ヘテロシクリルを表し、これらの全てが、本明細書に定義されるように任意選択で置換された化合物を含む。特定の実施形態では、R1は、(i)C3-6シクロアルキル、又は(ii)アリール又はヘテロアリールを表し、これらの全ては、本明細書で定義されるように任意選択で置換されている。
【0064】
一実施形態では、R1が任意選択で置換されたC3-6シクロアルキルを表す場合、それは、C1-3アルキル(例えば、メチル)及び-OHから選択される1個又は2個の置換基により任意選択で置換されたC3-6シクロアルキル(又は、一実施形態では、C3-4シクロアルキル)を表す。更なる実施形態では、R1は、シクロプロピル(例えば、非置換)又はシクロブチルを表す。更なる実施形態では、R1は、シクロヘキシルを表す。なお更なる実施形態では、R1は、非置換シクロプロピル、又は-OH及びメチルによって(例えば、同じ炭素原子において)置換されたシクロブチルを表す。なお更なる実施形態では、R1は、例えば-OHによって(例えば、1個の-OH基によって)置換されたシクロヘキシルを表す。一実施形態では、R1は、以下を表し、
【0065】
【化5】
式中、各R
1aは、-OH及びC
1-3アルキル(例えば、メチル)から選択される1個又は2個の任意の置換基を表す。この態様の特定の実施形態では、R
1は、C
3-6シクロアルキル、例えば、任意選択で置換されたシクロヘキシル、任意選択で置換されたシクロブチル又は非置換の(又は任意選択で置換された)シクロプロピル、例えば以下を表し、
【0066】
【化6】
式中、各R
1abは、R
1aによって定義されるものから選択される1個又は2個の任意の置換基を表し、一実施形態では、-OHから選択される1個の任意の置換基を表し、
【0067】
【化7】
式中、各R
1aaは、R
1aによって定義されるものから選択される1個又は2個の任意の置換基を表し、一実施形態では、2個の置換基、メチル及び-OHを表し、又は
【0068】
【化8】
式中、R
1aは、上記で定義した通りであるが、特定の実施形態では存在しない。
【0069】
R1が本明細書で定義されるように任意選択で置換されたアリール又はヘテロアリールを表す実施形態では、それは、(i)フェニル、(ii)5員若しくは6員の単環式ヘテロアリール基、又は(iii)9員若しくは10員の二環式ヘテロアリール基を表し、これらは全て、本明細書で定義される1~3個の置換基によって任意選択で置換されている。一実施形態では、上述のアリール及びヘテロアリール基は、ハロ(例えばフルオロ)、-OH、C1-3アルキル及び-OC1-3アルキルから選択される1個又は2個(例えば1個)の置換基で任意選択で置換されている。一実施形態では、R1は、フェニル又は単環式6員ヘテロアリール基を表し、別の実施形態では、9員又は10員(例えば、9員)の二環式ヘテロアリール基を表してもよい。したがって、一実施形態では、R1は、以下を表してもよく、
【0070】
【化9】
式中、R
1bは、ハロ、C
1-3アルキル(例えば-CH
3)、-OH(又は、例えば互変異性型では=O)、C-
1-3アルコキシ(例えば-OCH
3)及び-C(O)O-C-
1-3アルキル(例えば-C(O)O-tert-ブチル)から選択される1個又は2個の任意の置換基を表し(更なる実施形態では、このような任意の置換基はフルオロ及びメトキシから選択される)、R
b、R
c、R
d、R
e及びR
fの少なくとも1つは窒素ヘテロ原子を表す(他はCHを表す)。一実施形態では、R
b、R
c、R
d、R
e及びR
fのいずれか1つ又は2つは、窒素ヘテロ原子を表し、例えば、R
dは窒素を表し、任意選択で、R
bは窒素を表すか、又はR
cは窒素を表す。一態様では、(i)R
b及びR
dは窒素を表し、(ii)R
dは窒素を表し、又は(iii)R
cは窒素を表す。したがって、R
1は、3-ピリジル又は4-ピリミジニルを表すことができ、これらの両方は、本明細書で定義されるように任意選択で置換されているが、しかしながら、一実施形態では、そのような基は非置換である。
【0071】
別の実施形態にでは、R1は、以下を表してもよく、
【0072】
【化10】
式中、R
1bは上記で定義された通りであるが(すなわち、1つ又は2つの任意の置換基を表す)、一態様では、好ましくは存在せず(したがって、一実施形態では、非置換5員ヘテロアリール基を表す)、R
k、R
l、R
m及びR
nのうちの少なくとも1つはヘテロ原子を表し、一実施形態では、これらのうちの少なくとも1つはNを表し、他はCH、N、O及びSから独立して選択される(原子価の規則が守られることを条件とする)。例えば、一実施形態では、R
k及びR
nの一方はNを表し、もう一方はN、O、S又はCHを表し、R
l及びR
mはそれぞれCHを表し、更なる特定の実施形態では、X
aはN、O、S又はCHを表し、例えばX
aはOを表し、したがって2-オキサゾリル基を形成する。したがって、特定の実施形態では、R
1は非置換2-オキサゾリルを表す。別の特定の実施形態では、R
1は3-ピラゾリル基を表す(例えば、R
k及びR
lがNを表し、R
n及びR
mがCHを表し、R
1bが1-(N)原子上にあるC
1-4アルキル(例えばイソプロピル)を表す)。
【0073】
別の実施形態にでは、R1は、以下を表してもよく、
【0074】
【化11】
式中、R
1bは、上記で定義した通りであり(すなわち、上で定義した1つ又は2つの任意の置換基を表す)、二環式系の各環は芳香族であり、R
gはN又はC原子を表し、R
h、R
i及びR
jのいずれか1つ又は2つ(例えば、R
i及びR
jの1つ又は2つ)はNを表し、他はCを表す(ただし、当業者が理解するように、結合価の規則に従うものとし、例えば、(ヘテロ)芳香族環の原子の1つがCを表す場合、それはH原子を有し得ることが理解される)。
【0075】
一実施形態では、R1は、以下を表し、
【0076】
【化12】
式中、R
b、R
c、R
d、R
e及びR
fのいずれか1つ又は2つは窒素を表し、例えばR
b及びR
dは窒素原子を表し、R
c及びR
dは窒素原子を表し、又はR
c及びR
eは窒素原子を表し、一実施形態では、R
1b置換基は存在しない。
【0077】
別の実施形態では、R1は、以下を表し、
【0078】
【化13】
式中、R
i及びR
jの一方はNを表し、もう一方はCを表すか、又はR
i及びR
jの両方はNを表し、一実施形態では、R
1b置換基は存在しない。
【0079】
更なる実施形態では、R1は、フェニル又は6員ヘテロアリール基(1~3個のヘテロ原子を含有する)を表し、本明細書で定義されるように任意選択で置換されている。一実施形態では、R1は、1~5個のヘテロ原子(少なくとも2個は窒素である)を含有する6,5-縮合二環式環を表し、この基は、本明細書で定義されるように任意選択で置換されている。
【0080】
更なる実施形態では、R1は、以下を表し、
【0081】
【化14】
式中、R
i、R
j及びR
1bは上記で定義の通りである。
【0082】
R1が、本明細書で定義されるように任意選択で置換されているヘテロシクリルを表す実施形態では、そのような基は、更なる態様では、例えば、少なくとも1個の窒素又は酸素ヘテロ原子を含有する5又は6員ヘテロシクリル基である。例えば、特定の実施形態では、この場合、R1は、C1-3アルキル及びC3-6シクロアルキルから選択される1個の置換基で任意選択で置換された6員窒素含有ヘテロシクリル基を表してもよい。この実施形態の一態様では、6員ヘテロシクリル基は、C3-4シクロアルキル(例えば、シクロブチル)によって任意選択で置換されたピペリジニル(例えば、3-ピペリジニル)であってもよく、又は6員ヘテロシクリル基は、テトラヒドロピラン、例えば、4-テトラヒドロピラニル(好ましくは、非置換である)であってもよい。
【0083】
一実施形態では、R2は、(i)ハロ(例えばフルオロ)、-OH及び-OC1-2アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択で置換されたC1-3アルキル、(ii)C3~6シクロアルキル、又は(iii)-OC1-2アルキルで任意選択で置換されたC2-4アルケニル、又は(iv)-N(R2a)R2b[式中、R2a及びR2bは、更なる実施形態において、C1-3アルキル(例えば、メチル)である]を表す。更なる実施形態では、R2は、(i)ハロ(例えばフルオロ)、-OH及び-OC1-2アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択で置換されたC1-3アルキルを表す。なお更なる実施形態では、R2は、非置換C1-3アルキルを表す。更なる実施形態において、R2は、-N(R2a)R2bを表す(ここで、R2a及びRbは、好ましくはメチルである)。
【0084】
特定の実施形態において、R2は、非置換イソプロピル、非置換エチル又は-N(CH3)2を表す。
【0085】
一実施形態では、R3は、以下を表し、(ii)ハロ(例えば、ブロモ);(iii)ハロ、-OH及び-OC1-4アルキルから独立して選択される1個以上の置換基で任意選択で置換されたC1-2アルキル、(iv)C3-6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)、又は(v)-OC1-3アルキルを表す。一実施形態では、R3が場合により置換されているC1-4アルキルを表す場合、それは、1個以上のフルオロ原子により任意選択で置換されているC-1-3アルキルを表す。一実施形態では、R3がC3-6シクロアルキルを表す場合、それはシクロプロピルを表す。一実施形態では、R3が-OC1-3アルキルを表す場合、それは-OC1-2アルキル(例えば、-OCH3)を表す。
【0086】
特定の実施形態において、R3は、水素、ブロモ、メチル、エチル、イソプロピル、-CF3、-CHF2、シクロプロピル又はメトキシを表す。別の実施形態において、R3は、イソプロピル、シクロプロピル、エチル、メトキシ、-CHF2及び-CF3を表す。
【0087】
本発明の化合物の名称は、Advanced Chemical Development,Inc.のソフトウェア(ACD/Name製品バージョン10.01;Build 15494、2006年12月1日)を使用して、Chemical Abstracts Service(CAS)によって合意された命名規則に従って、又はAdvanced Chemical Development,Inc.のソフトウェア(ACD/Name製品バージョン10.01.0.14105、2006年10月)を使用して、国際純正・応用化学連合(IUPAC)によって合意された命名法規則に従って生成した。互変異性型の場合、構造の示された互変異性型の名称が生成された。他の示されていない互変異性型もまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0088】
化合物の調製
本発明の一態様では、本発明の化合物の調製プロセスが提供され、ここでは、本明細書で定義される式(I)の化合物が参照される。
【0089】
式(I)の化合物は、
(i)式(II)の化合物
【0090】
【化15】
又はその誘導体(例えば、塩)(式中、R
2及びR
3は、上記で定義した通りである)と、式(III)
H
2N-R
1 (III)
の化合物又はその誘導体との反応であって、式中、R
1は、上記で定義した通りであり、アミド形成反応条件下(アミド化とも呼ばれる)、例えば、好適なカップリング試薬(例えば、プロピルホスホン酸無水物、1-[ビス(ジメチル-アミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N、N、N’、N’ヘキサフルオロリン酸テトラメチルウロニウム)、1,1’-カルボニルジイミダゾール,N,N’’-ジシクロヘキシル-カルボジイミド、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(又はその塩酸塩),N,N’’-ジスクシンイミジルカーボネート、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロ-ホスフェート、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(すなわちO-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N、N、N’、N’ヘキサフルオロリン酸テトラメチルウロニウム)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸、ブロモ-トリス-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、1-シクロヘキシルカルボジイミド-3-プロピルオキシ-メチルポリスチレンO-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)、任意選択で好適な塩基(例えば、水素化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルアミン、水酸化ナトリウムカリウムtert-ブトキシド及び/又はリチウムジイソプロピルアミド(又はその変異体))及び適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ピリジン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、トリフルオロメチルベンゼン、ジオキサン又はトリエチルアミン)の存在下である、反応で調製されてもよく、このような反応は、更なる添加剤(例えば、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物)の存在下で行われてもよい。あるいは、化合物のカルボン酸基を、まず、標準条件下で(例えば、SOCl
2又は塩化オキサリルの存在下で)対応する塩化アシルに変換されてもよく、次いで、この塩化アシルは、例えば、上記と同様の条件下で、式(II)の化合物と反応させ、
(ii)式(IV)の化合物
【0091】
【化16】
(式中、R
2及びR
3は、上記で定義した通りである)と、式(V)
LG
a-CH
2-C(O)-N(H)R
1 (V)
の化合物との反応であって、式中、LG
aは好適な脱離基(例えば、クロロなどのハロ)を表し、R
1は本明細書に定義される通りであり、好適な反応条件下、例えば適切な塩基、例えばCs
2CO
3、K
2CO
3若しくはLiHMDSなどの存在下、又は代替的なアルキル化反応条件下での反応;
(iii)式(I)の特定の化合物の別の化合物への変換(そのような変換ステップは中間体に対しても行われ得る)、例えば:
-R
2が-N(R
2a)R
2bを表す式(I)の化合物については、例えばCuI、配位子、例えばD/L-プロリン及び塩基、例えばK
2CO
3といった触媒の存在下で、例えば標準的なカップリング条件下などの適切な条件下での、式(I)の対応する化合物(式中、R
2はハロを表す)と、適切なアミンHN(R
2aR
2b(式中、R
2a及びR
2bは、本明細書で定義される通りである)とのアミノ化反応;(同様の変換は、別の基がハロを表し、アミンが別の位置にあることが望ましい化合物に対して行われてもよい)、
-アルケンを含有する式(I)の化合物については、例えば、エタノール又はメタノールなどの適切な反応不活性溶媒中で、例えば、パラジウム炭素などの適切な触媒の存在下で、例えば水素を用いるなどの還元条件下でのアルカンを含有する対応する式(I)の化合物への還元;
-ハロ又はトリフレート基を例えばアルキル、アルケニル又はシクロアルキル基に変換するための、例えば適切なカップリング試薬の存在下でのカップリングであって、ここで例えば試薬は-B(OH)
2-B(OR
wx)
2、亜鉛酸塩(例えば、-Zn(R
wx)
2-ZnBrR
wxを含む)又は-Sn(R
wx)
3(式中、各R
wxは、独立して、C
1-6アルキル基を表し、若しくは-B(OR
wx)
2の場合、それぞれのR
wx基は、ともに結合されて、4~6員環基(例えば、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル基)を形成し、それによって、例えば、ピナコラトボロン酸エステル基を形成してもよく、反応は、適切な触媒系、例えば、Pd、CuI、Pd/C、PdCl
2、Pd(OAc)
2、Pd(Ph
3P)
2Cl
2、Pd(Ph
3P)
4などの金属(又はその塩若しくは錯体)(すなわち、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン)、Pd
2(dba)
3及び/又はNiCl
2(好ましい触媒としては、RuPhos Pd G3、XPhos Pd及びビス(トリ-tert(ブチルホスフィン)-パラジウム(0)を含み)、及び任意選択でPdCl 2(dppf).DCM.、-Bu
3P、(C
6H
11)
3P,Ph
3P、AsPh
3,P(o-Tol)
31,2-ビス(ジフェニル-ホスフィノ)-エタン、2,2’-ビス(ジ-tert-ブチル-ホスフィノ)-1,1’-ビフェニル、2,2’-ビス(ジフェニル-ホスフィノ)-1,1’-ビ-ナフチル、1,1’-ビス(ジフェニル-ホスフィノ-フェロセン)、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、XantPhosなどの配位子、又はそれらの混合物を、Na
2CO
3,K
3PO
4,Cs
2CO
3、NaOH、KOH、K
2CO
3,CsF,Et
3N,(i-Pr)
2NEt、t-BuONa又はt-BuOK(又はその混合物)と共にその存在下で行われてもよく;好ましい塩基としては、ジオキサン、トルエン、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、エチレングリコールジメチルエーテル、水、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリジノン、テトラヒドロフラン又はそれらの混合物などの適切な溶媒中のNa
2CO
3及びK
2CO
3が挙げられる(好ましい溶媒としてはジメチルホルムアミド及びジメトキシエタンが挙げられる)、カップリング;
-例えばNaBH
4などの、適切な還元条件存在下でのケトンのアルコールへの還元;
-例えばアルキルMgBrといった、適切なグリニャール試薬の反応による-C(O)アルキル部分の-C(OH)(アルキル)(アルキル)部分への変換;
-例えばAD-mix-Alpha とメタンスルホンアミドの存在下でのアルケン=CH
2部分のカルボニル=O部分への変換であって、例えば、-CH=CH
2部分は、-C(O)H部分に変換されてもよく(例えば、四酸化オスミウムとの反応によって)、これは、次に、DASTとの反応によって-CHF
2基に変換されてもよい、変換;
-ケトンのアルコール-OH部分への変換;
-適切な反応条件下での-OH部分の(-O-アルキルへの)アルキル化、によって調製されてもよい。
【0092】
式(II)の化合物は、対応するカルボン酸エステルの加水分解(例えば、標準的な加水分解条件下、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム)によって調製されてもよく、次いで、式(IV)の化合物と、
【0093】
【化17】
(式中、R
2及びR
3は、上記で定義した通りである)と、式(VI)
LG-CH
2-C(O)O-R
aa (VI)
の化合物の反応によって調製され、式中、R
aaはC
1-6アルキル(例えば、エチル)を表し、LGはハロ(例えば、クロロ)などの好適な脱離基を表し、例えば、反応条件下で、本明細書に記載されているような試薬を使用する。
【0094】
したがって、一般に、本発明の化合物は、上記の手順を参照して作製することができる。しかしながら、汎用性のために、本発明の中間体化合物を提供するために更なるスキームを以下に提供する。更なる詳細は、以下のスキーム(並びに以下に記載される実験の特定の詳細)において提供される。
【0095】
この点において、スキーム1は、典型的な合成を概説する。
【0096】
【0097】
本明細書に記載されている本発明の化合物は、スキーム1(上記)に示されている反応順序によって調製することができ、それによって、R3が本明細書に定義されている通りである適切な塩化アシル(M1)を2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールと反応させて、対応するオキサゾリル化合物(M2)を得て、それを有機金属(例えば有機リチウム)と反応させて、オルト金属置換基を有する対応する化合物(例えば、オルトリチウム化中間体)を得て、それを適切なアルデヒドなどの適切な化合物でクエンチして、化合物(M3)を得る。(M3)を、例えば、デス-マーチン試薬で酸化して、対応するケトン(M4)を得る。(M4)のオキサゾリル部分は、例えば、対応する酸(H2SO4など)の存在下で、対応するエステル(M5)に加水分解されてもよいが、(M4)又は(M5)のいずれかを、適切な条件下でヒドラジン(例えば、水和物の形態)と反応させて、化合物(M6)(本明細書では式(IV)の化合物とも呼ばれる)を得てもよい。次いで、その化合物を、適切なハロ酢酸アルキルでアルキル化する。この場合、Rは、例えばK2CO3といった塩基、例えばKIといった求核触媒、及び例えば18-クラウン-6といったクラウンエーテルの存在下ではC1-4アルキルであり、エステル(M7)を得る。典型的にはこれは、例えばTHF溶液中での水性LiOH又はMeOH中のNaOHといった塩基性条件下で切断されて、酸中間体(M8)(本明細書において式(II)の化合物とも称される)を得た後、例えば1-プロパンホスホン酸無水物と、例えばトリエチルアミンといった塩基との標準的なカップリング条件を使用して、R1-NH2(式中、R1は、OH、NH2、CO2Hなどの官能基を有し、このような基は、必要に応じて保護される)とアミド化し、任意選択で更なる脱保護ステップを行い、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0098】
更に、以下のスキーム2及び3に示される以下の変換は、このような中間体の(及び最終化合物の)R2位に他の置換基を導入することを可能にする点で汎用性を示す。
【0099】
【0100】
スキーム2(上記)において、化合物(M6)への代替アプローチが提供される。(M9)から出発して、アニリンとの反応により(M10)が得られる。これをグリニャール反応に付して(M11)を得てもよい。この場合、グリニャール試薬は、R2が適切なアルキル基を表すものを表してもよく、次いでこの中間体をヒドラジンと反応させて(例えば、水和物の形態で)(M6)を得てもよい。その後、例えばスキーム1に概説した手順に従って変換を行ってもよい。
【0101】
【0102】
あるいは、スキーム3は、上記で化合物(M6)とも呼ばれる式(IV)の化合物への他の経路を提供する。例えば、スキームに従って、式(M6A)の化合物を臭素化して、R2がブロモを表す式(IV)の化合物(M6B)を得てもよい。その後、下流生成物中のR2基の更なる変形を得てもよい。例えば、(M6B)から、ブッフバルトカップリングは、例えば、アミン(例えば、HN(R2a)R2b)及び適切な触媒(例えば、Pdベースの触媒又は本明細書に記載される別のもの)の存在下で、任意選択で適切な塩基及び配位子(例えば、式(I)の化合物の調製に関して本明細書に記載されるもの)と反応させることによって、R2がアミノ(例えば、-N(R2a)(R2b)基、又はこのような基に変換され得る別のアミン基)を表す式(IV)の化合物などの更なる化合物を提供してもよい。あるいは、化合物(M6B)は、例えば適切なスズ系試薬の存在下で(M6D)に変換してもよい。次いで、その化合物(M6D)を、還元又はグリニャール反応によって(M6E)又は(M6F)のいずれかに更に変換して、例えば、(示されるように)任意選択で置換されたアルキル基といった代替のR2基を提供することができる。
【0103】
特定の中間体化合物は、市販されていてもよく、文献において公知であってもよく、又は本明細書に記載されているプロセスと同様にして、若しくは標準的な技術に従って、入手可能な出発材料から適切な試薬及び反応条件を用いて従来の合成手順によって得てもよい。
【0104】
本発明の最終化合物又は関連中間体上/中の特定の置換基は、当業者に周知の方法によって、上記の方法の後又は間に1回以上修飾され得る。このような方法の例としては、置換、還元、酸化、アルキル化、アシル化、加水分解、エステル化、エーテル化、ハロゲン化、ニトロ化又はカップリングが挙げられる。
【0105】
本発明の化合物は、従来の技術(例えば、可能であれば標準条件下での再結晶)を使用して、それらの反応混合物から単離することができる。
【0106】
上記及び下記の方法において、中間体化合物の官能基が保護基によって保護される必要があり得ることは、当業者によって理解されるであろう。
【0107】
このような保護の必要性は、遠隔官能基の性質及び調製方法の条件に依存して変化する(そしてこの必要性は、当業者によって容易に決定されることができる)。適切なアミノ保護基としては、アセチル、トリフルオロアセチル、t-ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)、9-フルオレニル-メチレン-オキシカルボニル(Fmoc)及び2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル(これは、酸、例えば、水/アルコール(例えば、MeOH)中のHClの存在下での反応によって脱保護されてもよい)などが挙げられる。そのような保護の必要性は、当業者によって容易に決定される。例えば、-C(O)O-tert--ブチルエステル部分は、-C(O)OH部分の保護基として働くことができ、したがって、例えば、弱酸(例えば、TFAなど)の存在下での反応によって、前者を後者に変換することができる。
【0108】
官能基の保護及び脱保護は、上記スキームにおける反応の前又は後に行われ得る。
【0109】
保護基は、当業者に周知であり、以下に記載される技術に従って除去されてもよい。例えば、本明細書に記載される保護化合物/中間体は、標準的な脱保護技術を使用して、保護されていない化合物に化学的に変換されてもよい。
【0110】
関与する化学の種類は、保護基の必要性及び種類、並びに合成を達成するための順序を決定する。
【0111】
保護基の使用は、「Protective Groups in Organic Synthesis」,3rdedition,T.W.Greene & P.G.M.Wutz,Wiley-Interscience(1999)に完全に記載されている。
【0112】
上記の方法で調製される本発明の化合物は、当技術分野で公知の分割手順に従って互いに分離することができるエナンチオマーのラセミ混合物の形態で合成されてもよい。ラセミ形態で得られる本発明の化合物は、適切なキラル酸との反応によって対応するジアステレオマー塩形態に変換されてもよい。その後、当該ジアステレオマー塩形態は、例えば、選択的又は分別晶析法によって分離され、エナンチオマーは、アルカリによってそれから遊離される。本発明の化合物のエナンチオマー形態を分離する代替的な方法は、キラル固定相を使用する液体クロマトグラフィーを含む。当該純粋な立体化学的異性体はまた、反応が立体特異的に起こるという条件で、適切な出発材料の対応する純粋な立体化学的異性体から誘導されてもよい。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、当該化合物は、立体特異的な調製方法によって合成されるであろう。これらの方法は、有利には、エナンチオマー的に純粋な出発材料を採用するであろう。
【0113】
薬理学
多数の異なる障害に関連して、又はその結果として生じる炎症応答におけるNLRP3誘導性IL-1及びIL-18の役割についての証拠が存在する(Menu et al.,Clinical and Experimental Immunology,2011,166,1-15;Strowig et al.,Nature,2012,481,278-286)。NLRP3突然変異は、CAPSとして知られる一連のまれな自己炎症性疾患の原因であることが見出されている(Ozaki et al.,J.Inflammation Research,2015,8,15-27;Schroder et al.,Cell,2010,140:821-832;Menu et al.,Clinical and Experimental Immunology,2011,166,1-15)。CAPSは、回帰熱及び炎症性によって特徴付けられる遺伝性疾患であり、臨床的連続体を形成する3つの自己炎症性疾患からなる。これらの疾患は、重症度が高い順に、家族性寒冷自己炎症性症候群(FCAS)、マックル-ウェルズ症候群(MWS)、及び慢性乳児皮膚神経関節症候群(CINCA;新生児発症多系統炎症性疾患(NOMID)とも呼ばれる)であり、これらは全て、IL-1βの分泌増加をもたらす、NLRP3遺伝子における機能獲得型変異に起因することが示されている。NLRP3はまた、化膿性関節炎、壊疸性膿皮症及び座瘡(PAPA)、スウィート症候群、慢性非細菌性骨髄炎(CNO)、並びに尋常性座瘡を含むいくつかの自己炎症性疾患にも関与している(Cook et al.,Eur.J.lmmunol.,2010,40,595-653)。
【0114】
特に、多発性硬化症、1型糖尿病(T1D)、乾癬、関節リウマチ(RA)、ベーチェット病、シュニッツラー症候群、マクロファージ活性化症候群(Braddock et al.,Nat.Rev.Drug Disc.2004,3,1-10;Inoue et al.,Immunology,2013,139,11-18;Coll et al.,Nat.Med.2015,21(3),248-55;Scott et al.,Clin.Exp.Rheumatol.2016,34(1),88-93)、全身性エリテマトーデス及びその合併症、例えばループス腎炎(Lu et al.,J.lmmunol.,2017,198(3),1119-29)、及び全身性硬化症(Artlett et al.,Arthritis Rheum.2011,63(11),3563-74)を含む、多くの自己免疫疾患にNLRP3が関与していることが示されているNLRP3はまた、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息(ステロイド抵抗性喘息を含む)、石綿肺、及び珪肺を含む多くの肺疾患に関与することが示されている(De Nardo et al.,Am.J.Pathol.,2014,184:42-54;Kim et al.,Am.J.Respir.Crit.Care Med,2017,196(3),283-97)。NLRP3はまた、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、認知症、ハンチントン病、脳マラリア、肺炎球菌性髄膜炎による脳損傷(Walsh et al.,Nature Reviews,2014,15,84-97;及びDempsey et al.,Brain.Behav.lmmun.2017,61,306-16)、頭蓋内動脈瘤(Zhang et al.,J.Stroke and Cerebrovascular Dis.,2015,24,5,972-9)、及び外傷性脳損傷(Ismaelet al.,J.Neurotrauma.,2018,35(11),1294-1303)を含む、多くの中枢神経系症状に関与していることが示唆されている。NLRP3活性はまた、2型糖尿病(T2D)及びその器官特異的合併症、アテローム性動脈硬化症、肥満、痛風、偽痛風、メタボリックシンドローム(Wen et al.,Nature Immunology,2012,13,352-357;Duewell et al.,Nature,2010,464,1357-1361;Strowig et al.,Nature,2014,481,278-286)、及び非アルコール性脂肪性肝炎(Mridha et al.,J.Hepatol.2017,66(5),1037-46)を含む、様々な代謝疾患に関与することが示されている。IL-1βを介したNLRP3の役割は、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞(van Hout et al.,Eur.Heart J.2017,38(11),828-36)、心不全(Sano et al.,J.Am.Coll.Cardiol.2018,71(8),875-66)、大動脈瘤及び解離(Wu et al.,Arteriosc/er.Thromb.Vase.Biol.,2017,37(4),694-706)、及び他の心血管イベント(Ridker et al.,N.Engl.J.Med.,2017,377(12),1119-31)においても示唆されている。
【0115】
NLRP3が関与することが示されている他の疾患としては、眼疾患、例えば、滲出型及び萎縮型の両方の加齢性黄斑変性(Doyle et al.,Nature Medicine,2012,18,791-798;Tarallo et al.,Cell2012,149(4),847-59)、糖尿病性網膜症(Loukovaara et al.,Acta Ophthalmol.,2017,95(8),803-8)、非感染性ブドウ膜炎及び視神経損傷(Puyang et al.,Sci.Rep.2016,6,20998);非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及び急性アルコール性肝炎を含む肝疾患(Henao-Meija et al.,Nature,2012,482,179-185);肺及び皮膚における炎症反応(Primiano et al.,J.lmmunol.2016,197(6),2421-33)であって、接触過敏症(例えば、水疱性類天疱瘡(Fang et al.,J Dermatol Sci.2016,83(2),116-23))、アトピー皮膚炎(Niebuhr et al.,Allergy,2014,69(8),1058-67)、化膿性汗腺炎(Alikhan et al.,J.Am.Acad.Dermatol.,2009,60(4),539-61)、及びサルコイドーシス(Jager et al.,Am.J.Respir.Crit.Care Med.,2015,191,A5816);関節における炎症反応(Braddock et al.,Nat.Rev.Drug Disc,2004,3,1-10);筋萎縮性側索硬化症(Gugliandolo et al.,Int.J.Mol.Sci.,2018,19(7),E1992);嚢胞性線維症(lannitti et al.,Nat.Commun.,2016,7,10791);脳卒中(Walsh et al.,Nature Reviews,2014,15,84-97);慢性腎疾患(Granata et al.,PLoS One2015,10(3),eoi22272);並びに潰瘍性大腸炎及びクローン病を含む炎症性腸疾患(Braddock et al.,Nat.Rev.Drug Disc,2004,3,1-10;Neudecker et al.,J.Exp.Med.2017,214(6),1737-52;Lazaridis et al.,Dig.Dis.Sci.2017,62(9),2348-56)が挙げられる。NLRP3インフラマソームは、酸化ストレスに応答して活性化されることが見出されている。NLRP3はまた、炎症痛覚過敏に関与することが示されている(Dolunay et al.,Inflammation,2017,40,366-86)。
【0116】
NLRP3インフラマソームの活性化は、インフルエンザ及びリーシュマニア症などのいくつかの病原性感染症を増強することが示されている(Tate et al.,Sci Rep.,2016,10(6),27912-20;Novias et al.,PLOS Pathogens2017,13(2),e1006196)。
【0117】
NLRP3はまた、多くの癌の病因に関与しているとされている(Menu et al.,Clinical and Experimental Immunology,2011,166,1-15)。例えば、いくつかの以前の研究は、癌の浸潤性、増殖及び転移におけるIL-1βの関与を示唆しており、カナキヌマブによるIL-1βの阻害は、無作為化二重盲検プラセボ対照試験において、肺癌の発生率及び全癌死亡率を減少させることが示されている(Ridker et al.,Lancet.,2017,390(10105),1833-42)。NLRP3インフラマソーム又はIL-1ベータの阻害はまた、インビトロで肺癌細胞の増殖及び移動を阻害することが示されている(Wang et al.,Onco/Rep.,2016,35(4),2053-64)。NLRP3インフラマソームの役割は、骨髄異形成症候群、骨髄線維症及び他の骨髄増殖性腫瘍、並びに急性骨髄白血病(AML)において示唆されており(Basiorka et al.,Blood,2016,128(25),2960-75.)、また、神経膠腫(Li et al.,Am.J.Cancer Res.2015,5(1),442-9)、炎症誘発性腫瘍(Allen et al.,J.Exp.Med.2010,207(5),1045-56;Huet al.,PNAS.,2010,107(50),21635-40)、多発性骨髄腫(Li et al.,Hematology,2016 21(3),144-51)、及び頭頸部の扁平上皮癌(Huang et al.,J.Exp.Clin.Cancer Res.,2017,36(1),116)を含む様々な他の癌の発癌においても示唆されている。NLRP3インフラマソームの活性化はまた、5-フルオロウラシルに対する腫瘍細胞の化学療法抵抗性を媒介することが示されており(Fengetal.,J.Exp.Clin.Cancer Res.,2017,36(1),81)、末梢神経におけるNLRP3インフラマソームの活性化は、化学療法誘発性神経障害性疼痛に寄与する(Jia et al.,Mol.Pain.,2017,13,1-11)。NLRP3はまた、ウイルス、細菌及び真菌の効率的な制御に必要であることが示されている。
【0118】
NLRP3の活性化は、細胞ピロトーシスをもたらし、この特徴は、臨床疾患の発現において重要な役割を果たす(Yan-gang et al.,Cell Death and Disease,2017,8(2),2579;Alexander et al.,Hepatology,2014,59(3),898-910;Baldwin et al.,J.Med.Chem.,2016,59(5),1691-1710;Ozaki et al.,J.Inflammation Research,2015,8,15-27;Zhen et al.,Neuroimmunology Neuroinflammation2014,1(2),60-65;Mattia et al.,J.Med.Chem.,2014,57(24),10366-82;Satoh et al.,Cell Death and Disease,2013,4,644)。したがって、NLRP3の阻害剤は、ピロトーシス、並びに細胞からの炎症促進性サイトカイン(例えば、IL-1β)の放出を遮断することが予想される。
【0119】
したがって、本明細書に記載される本発明の化合物(例えば、実施例によるものを含む本明細書に記載される実施形態のいずれか、及び/又は本明細書に記載される形態のいずれか、例えば、塩形態又は遊離形態など)は、有益な薬理学的特性、例えば、本明細書に記載されるようなインビトロ試験に示すように、NLRP3インフラマソーム経路に対するNLRP3阻害特性を示し、したがって、治療のために、又は研究化学物質としての使用のために、例えばツール化合物として示される。本発明の化合物は、インフラマソーム関連疾患/障害、免疫疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患又は自己炎症性疾患、例えば、NLRP3シグナル伝達が病態及び/又は症状及び/又は進行に寄与し、NLRP3阻害に応答し得、本明細書に記載の方法/使用のいずれかに従って、例えば本発明の化合物の使用又は投与によって治療又は予防され得る疾患、障害又は症状から選択される適応症の治療において有用であり得、したがって、一実施形態では、そのような適応症には、以下が含まれてもよい:
I.炎症性疾患、例えば、自己炎症性疾患の結果として生じる炎症、非炎症性疾患の症状として生じる炎症、感染の結果として生じる炎症、又は外傷、損傷若しくは自己免疫に続発する炎症を含む炎症。治療又は予防され得る炎症の例としては、以下に関連して、又は以下の結果として生じる炎症応答が挙げられる:
a.接触過敏性、水疱性類天疱瘡、日焼け、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、強皮症、天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、紅斑、又は脱毛などの皮膚症状;
b.変形性関節症、全身性若年性特発性関節炎、成人発症スティル病、再発性多発性軟骨炎、関節リウマチ、若年性慢性関節炎、結晶誘発性関節炎(例えば、偽痛風、痛風)、又は血清反応陰性脊椎関節症(例えば、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎又はライター病)などの関節症状;
c.多発性筋炎又は重症筋無力症などの筋症状;
d.炎症性大腸炎(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む)、胃潰瘍、セリアック病、直腸炎、膵炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、抗リン脂質抗体症候群、又は腸から離れた影響を及ぼし得る食品関連アレルギー(例えば、片頭痛、鼻炎又は湿疹)などの胃腸管の症状;
e.慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又は喘息(気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息又は塵埃喘息、特に慢性又は難治性喘息、例えば後期喘息及び気道過敏性を含む)、気管支炎、鼻炎(急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、萎縮性鼻炎、慢性鼻炎、乾酪性鼻炎、肥厚性鼻炎、化膿性鼻炎(rhinitis pumlenta)、乾燥性鼻炎、薬物性鼻炎、膜性鼻炎、季節性鼻炎、例えば、枯草熱、及び血管運動性鼻炎を含む)、副鼻腔炎、特発性肺線維症(IPF)、サルコイドーシス、農夫肺、珪肺、石綿肺、成人呼吸窮迫症候群、過敏性肺炎、又は特発性間質性肺炎呼吸器系症状などの呼吸器系の症状;
f.アテローム性動脈硬化症、ベーチェット病、脈管炎又はウェゲナー肉芽腫症などの血管症状;
g.免疫症状、例えば自己免疫症状、例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群、全身性硬化症、橋本病、I型糖尿病、特発性血小板減少症、又はグレーブス病;
h.ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎、又は春季結膜炎などの眼症状;
i.多発性硬化症又は脳脊髄炎などの神経症状;
j.後天性免疫不全症候群(AIDS)、急性若しくは慢性細菌感染症、急性若しくは慢性寄生虫感染症、急性若しくは慢性ウイルス感染症、急性若しくは慢性真菌感染症、髄膜炎、肝炎(A、B若しくはC、又は他のウイルス性肝炎)、腹膜炎、肺炎、喉頭蓋炎、マラリア、デング出血熱、リーシュマニア症、連鎖球菌性筋炎、結核菌(mycobacterium tuberculosis)、トリ型結核菌群(mycobacterium avium intracellulare)、カリニ肺炎、精巣炎/精巣上体炎、レジオネラ、ライム病、インフルエンザA、エプスタイン・バーウイルス、ウイルス性脳炎/無菌性髄膜炎、又は骨盤内炎症性疾患などの感染症又は感染症関連症状;
k.メサンギウム増殖性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、腎炎、糸球体腎炎、急性腎不全、尿毒症、又は腎炎症候群などの腎症状;
l.キャッスルマン病などのリンパ系症状;
m.高IgE症候群、癩腫癩、家族性血球貪食性リンパ組織球症、又は移植片対宿主病などの免疫系の症状、又は免疫系が関与する症状;
n.慢性活動性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール誘発性肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、アルコール性脂肪肝疾患(AFLD)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)又は原発性胆汁性肝硬変などの肝臓症状;
o.以下に列挙される癌を含む癌;
p.熱傷、創傷、外傷、出血又は脳卒中;
q.放射線曝露;
r.肥満;及び/又は
s.炎症性痛覚過敏などの疼痛;
II.炎症性疾患の結果として生じる炎症を含む炎症性疾患、例えば、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)、マックル-ウェルズ症候群(MWS)、家族性寒冷自己炎症性症候群(FCAS)、家族性地中海熱(FMF)、新生児期発症多臓器性炎症性疾患(NOMID)、Majeed症候群、化膿性関節炎、壊疸性膿皮症及び座瘡症候群(PAPA)、成人発症スティル病(AOSD)、A20ハプロ不全(HA20)、小児肉芽腫性関節炎(PGA)、PLCG2関連抗体欠乏及び免疫調節障害(PLAID)、PLCG2関連自己炎症、抗体欠乏及び免疫調節免疫調節障害(APLAID)、又はB細胞免疫不全、周期性発熱及び発育遅延を伴う鉄芽球性貧血(SIFD)などの自己炎症性疾患;
III.例えば自己免疫疾患、例えば急性散在性脳炎、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、抗合成酵素症候群、再生不良性貧血、自己免疫性副腎炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性多腺性不全、自己免疫性甲状腺炎、セリアック病、クローン病、1型糖尿病(T1D)、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本病、特発性血小板減少性紫斑病、川崎病、全身性エリテマトーデス(SLE)を含む紅斑性狼瘡、原発性進行性多発性硬化症(PPMS)、続発性進行性多発性硬化症(SPMS)及び再発寛解型多発性硬化症(RRMS)を含む多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オード甲状腺炎、天疱瘡、悪性貧血、多関節炎、原発性胆汁性肝硬変、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎、若年性特発性関節炎又はスティル病、難治性痛風性関節炎、ライター症候群、シェーグレン症候群、全身性硬化症、全身性結合組織障害、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、全身性脱毛症、Beliefs病(Beliefs disease)、シャーガス病、自律神経障害、子宮内膜症、化膿性汗腺炎(HS)、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、乾癬、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性大腸炎、シュニッツラー症候群、マクロファージ活性化症候群、ブラウ症候群、巨細胞性動脈炎、白斑又は慢性外陰部痛(vulvodynia)などの免疫疾患;
IV.肺癌、腎細胞癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、膵臓癌、胃癌、骨髄異形成症候群(MOS)、急性リンパ性白血病(ALL)及び急性骨髄性白血病(AML)を含む白血病、前骨髄球性白血病(APML又はAPL)、副腎癌、肛門癌、基底細胞及び扁平上皮皮膚癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳及び脊髄腫瘍、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング腫瘍ファミリー、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛疾患、神経膠腫、ホジキン肉腫、カポージ肉腫、腎臓癌、喉頭及び下咽頭癌、肝臓癌、肺カルチノイド腫瘍、皮膚T細胞リンパ腫を含むリンパ腫、悪性中皮腫、黒色腫、皮膚癌、メルケル細胞皮膚癌、多発性骨髄腫、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞癌、口腔及び中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、陰茎癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、胃癌、精巣癌、胸腺癌、未分化甲状腺癌を含む甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、及びウィルムス腫瘍を含む癌;
V.ウイルス感染症(例えば、インフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、アルファウイルス(例えば、チクングニアウイルス及びロスリバーウイルス)、フラビウイルス(例えば、デングウイルス及びジカウイルス)、ヘルペスウイルス(例えば、エプスタイン・バーウイルス、サイトメガロウィルス、水痘帯状疱疹ウイルス、及びKSHV)、ポックスウイルス(例えば、ワクシニアウイルス(修飾ワクシニアウイルスアンカラ)及びミキソーマウイルス)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス5)、パピローマウイルス、又はSARS-CoV-2)、細菌感染症(例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、インフルエンザ菌(Hemophilus influenzae)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multicida)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ライ菌(Mycobacterium leprae)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、マイコプラズマ・ホミニス(Mycoplasma hominis)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、斑点熱リケッチア(Rickettsia rickettsii)、レジオネラ・ニューモフィラ菌(Legionella pneumophila)、肺炎杆菌(Klebsiella pneumoniae)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、座瘡プロピオンバクテリウム(Propionibacterium acnes)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、チフス菌(Salmonella typhi)、ライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi)又はペスト菌(Yersinia pestis))、真菌感染症(例えば、カンジダ種又はアスペルギルス種)、原虫感染症(例えば、マラリア原虫(Plasmodium)、バベシア(Babesia)、ジアルジア(Giardia)、エントアメーバ(Entamoeba)、リーシュマニア(Leishmania)又はトリパノソーマ(Trypanosomes))、蠕虫感染(例えば、住血吸虫、回虫、条虫又は吸虫)、及びプリオン感染症を含む感染症;
VI.パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、運動ニューロン病、ハンチントン病、脳マラリア、肺炎球菌性髄膜炎による脳傷害、脳動脈瘤、外傷性脳損傷、多発性硬化症、及び筋萎縮性側索硬化症などの中枢神経系疾患;
VII.2型糖尿病(T2D)、アテローム性動脈硬化症、肥満、痛風、偽痛風などの代謝性疾患;
VIII.高血圧、虚血、心筋梗塞(MI)後虚血性再潅流障害を含む再潅流障害、虚血性脳卒中を含む脳卒中、一過性脳虚血発作、再発性心筋梗塞を含む心筋梗塞、うっ血性心不全及び収縮機能が保たれた心不全を含む心不全、塞栓症、腹部大動脈瘤を含む動脈瘤、心血管リスク低減(CvRR)、及びドレスラー症候群を含む心膜炎などの心血管疾患;
IX.慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性喘息及びステロイド抵抗性喘息などの喘息、石綿肺、珪肺、ナノ粒子誘発炎症、嚢胞性線維症、及び特発性肺線維症を含む呼吸器疾患;
X.進行した線維症ステージF3及びF4を含む非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性脂肪肝疾患(AFLD)、並びにアルコール性脂肪性肝炎(ASH)を含む肝疾患;
XI.急性腎疾患、高シュウ酸尿症、慢性腎疾患、シュウ酸腎症、腎石灰化症、糸球体腎炎、及び糖尿病性腎症を含む腎疾患;
XII.眼上皮、加齢性黄斑変性(AMO)(乾性及び湿性)、ブドウ膜炎、角膜感染症、糖尿病性網膜症、視神経損傷、ドライアイ、及び緑内障の疾患を含む眼疾患;
XIII.接触性皮膚炎及びアトピー皮膚炎などの皮膚炎、接触皮膚炎、日焼け、皮膚病変、化膿性汗腺炎(HS)、その他嚢胞を引き起こす皮膚疾患、及び集簇性座瘡を含む皮膚疾患;
XIV.リンパ管炎及びキャッスルマン病などのリンパ系疾患;
XV.うつ病及び心理的ストレスなどの心理的障害;
XVI.移植片対宿主病;
XVII.骨粗鬆症、大理石骨病を含む骨疾患;
XVIII.鎌状赤血球症を含む血液疾患;
XIX.機械的アロディニアを含むアロディニア;及び
XX.個体がNLRP3における生殖系列又は体細胞非サイレント変異を保有することが決定されている任意の疾患。
【0120】
より具体的には、本発明の化合物は、インフラマソーム関連疾患/障害、免疫疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、又は自己炎症性疾患、例えば自己炎症性発熱症候群(例えばクリオピリン関連周期性症候群)、鎌状赤血球症、全身性エリテマトーデス(SLE)、肝臓関連疾患/障害(例えば、慢性肝疾患、ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性脂肪性肝炎及びアルコール性肝疾患)、炎症性関節炎関連障害(例えば、痛風、偽痛風(軟骨石灰化症)、変形性関節症、関節リウマチ、関節症、例えば急性、慢性)、腎関連疾患、(例えば高シュウ酸尿症、ループス腎炎、I型/II型糖尿病及び関連合併症(例えば、腎症、網膜症)、高血圧性腎症、血液透析関連炎症)、神経炎症関連疾患(例えば多発性硬化症、脳感染症、急性損傷、神経変性疾患、アルツハイマー病)、心血管/代謝性疾患/障害(例えば心血管リスク低減(CvRR)、高血圧、アテローム性動脈硬化症、I型/II型糖尿病及び関連合併症、末梢動脈疾患(PAD)、急性心不全)、炎症性皮膚疾患(例えば化膿性汗腺炎、座瘡)、創傷治癒及び瘢痕形成、喘息、サルコイドーシス、加齢性黄斑変性並びに癌疾患/障害(例えば結腸癌、肺癌、骨髄増殖性腫瘍、白血病、骨髄異形成症候群(MOS)、骨髄線維症)から選択される適応症の治療に有用であり得る。特に、自己炎症性発熱症候群(例えば、CAPS)、鎌状赤血球症、I型/II型糖尿病及び関連合併症(例えば、腎症、網膜症)、高シュウ酸尿症、痛風、偽痛風(軟骨石灰化症)、慢性肝疾患、NASH、神経炎症関連障害(例えば、多発性硬化、脳感染症、急性損傷、神経変性疾患、アルツハイマー病)、アテローム性動脈硬化症及び心臓血管リスク(例えば、心血管リスク低減(CvRR)、高血圧)、化膿性汗腺炎、創傷治癒及び瘢痕形成、並びに癌(例えば、結腸癌、肺癌、骨髄増殖性腫瘍、白血病、骨髄異形成症候群(MOS)、骨髄線維症)である。
【0121】
特に、本発明の化合物は、自己炎症性発熱症候群(例えば、CAPS)、鎌状赤血球症、I型/II型糖尿病及び関連合併症(例えば、腎症、網膜症)、高シュウ酸尿症、痛風、偽痛風(軟骨石灰化症)、慢性肝疾患、NASH、神経炎症関連障害(例えば、多発性硬化、脳感染症、急性損傷、神経変性疾患、アルツハイマー病)、アテローム性動脈硬化症及び心臓血管リスク(例えば、心血管リスク低減(CvRR)、高血圧)、化膿性汗腺炎、創傷治癒及び瘢痕形成、並びに癌(例えば、結腸癌、肺癌、骨髄増殖性腫瘍、白血病、骨髄異形成症候群(MOS)、骨髄線維症)から選択される疾患又は障害の治療に有用であり得る。したがって、更なる態様として、本発明は、治療における本発明の化合物(したがって、本明細書の実施形態/形態/実施例のいずれかによって定義される化合物を含む)の使用を提供する。更なる実施形態では、治療は、NLRP3インフラマソームの阻害によって治療され得る疾患から選択される。別の実施形態では、疾患は、本明細書のリストのいずれかにおいて定義される通りである。したがって、本明細書に記載される(例えば、前述のリストに記載される)疾患又は障害のいずれかの治療において使用するための、本明細書に記載される本発明の化合物(実施形態/形態/実施例のいずれかを含む)のいずれか1つが提供される。
【0122】
医薬組成物及び組み合わせ
一実施形態では、本発明はまた、医薬的に許容される担体と、活性成分として治療有効量の本発明の化合物とを含む組成物に関する。本発明の化合物は、投与目的で、様々な医薬的形態に製剤化されてもよい。適切な組成物としては、薬物を全身投与するために通常使用される全ての組成物が挙げられてもよい。本発明の医薬組成物を調製するには、活性成分としての、任意選択で塩形態の有効量の化合物は、医薬的に許容される担体と加え合わせてよく混合されるが、この担体は、投与に望ましい製剤の形態に応じて様々な形態をとってもよい。これらの医薬組成物は、特に経口投与又は非経口注射による投与に好適な単位剤形とすることが望ましい。例えば、経口剤形の組成物を調製する際には、通常の医薬媒体のいずれかを使用してもよく、例えば、懸濁液、シロップ、エリキシル剤、エマルジョン及び溶液などの経口液体調製物の場合、水、グリコール、油、アルコールなど;又は粉末、ピル、カプセル、及び錠剤の場合、デンプン、糖、カオリン、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの固形担体などである。投与が容易であるため、錠剤及びカプセルは最も有利な経口投薬単位形態であるが、この場合、固体医薬担体が使用されることは明らかである。非経口組成物の場合、担体は通常、少なくとも大部分が滅菌水を含むが、(例えば、溶解性を補助するための)他の成分が含まれてもよい。例えば、担体が生理食塩水、グルコース溶液又は生理食塩水とグルコース溶液との混合物を含む注射用溶液を調製することができる。注射用懸濁液もまた調製されてもよく、その場合、適切な液体担体、懸濁化剤などが用いられてもよい。また、使用直前に液体形態の調製物に変換されることが意図される固体形態の調製物も含まれる。
【0123】
一実施形態では、投与様式に応じて、医薬組成物は、好ましくは0.05~99重量%、より好ましくは0.1~70重量%、更により好ましくは0.1~50重量%の活性成分と、1~99.95重量%、より好ましくは30~99.9重量%、更により好ましくは50~99.9重量%の医薬的に許容される担体とを含み、全てのパーセンテージは組成物の全重量に基づく。
【0124】
医薬組成物は、当該技術分野で公知の様々な他の成分、例えば、潤滑剤、安定化剤、緩衝剤、乳化剤、粘度調節剤、界面活性剤、保存剤、香味剤又は着色剤を更に含有してもよい。
【0125】
上記の医薬組成物は投与を容易とし、用量を均一とするために単位剤形として製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される場合、単位剤形は、単一の投与量として好適な物理的に分離した単位を指し、各単位は、必要な薬理学的担体と併せて、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性成分を含有する。そのような単位剤形の例は、錠剤(割線入り錠剤又はコーティング錠剤を含む)、カプセル、ピル、粉末パケット、オブラート、坐剤、注射用溶液又は懸濁液など、及びそれらの複数分割量である。
【0126】
本発明による化合物の1日投与量は、当然のことながら、使用される化合物、投与様式、所望の治療及び適応されるマイコバクテリア疾患によって変化する。しかしながら、一般に、本発明による化合物を1グラムを超えない1日の投与量、例えば10~50mg/kg体重の範囲で投与すると、満足のいく結果が得られる。
【0127】
一実施形態では、治療有効量の本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる本発明の化合物と、別の治療剤(1種以上の治療剤を含む)とを含む組み合わせが提供される。更なる実施形態では、そのような組み合わせが提供され、他の治療剤が、以下から選択される(1つ以上の治療剤が存在する場合、それぞれが独立して選択される)ような組み合わせが提供される:ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト;抗脂肪性疾患剤;抗線維化剤;JAK阻害剤、抗PD1阻害剤、抗LAG-3阻害剤、抗TIM-3阻害剤、又は抗POL1阻害剤を含むチェックポイント阻害剤;化学療法、放射線療法及び外科的処置;尿酸低下療法;同化剤及び軟骨再生治療;IL-17の遮断;補体阻害剤;ブルトンチロシンキナーゼ阻害剤(BTK阻害剤);Toll様受容体阻害剤(TLR7/8阻害剤);CAR-T療法;降圧剤、コレステロール低下剤;ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ(LTAH4)阻害剤;SGLT2阻害剤;132-アゴニスト;抗炎症剤、非ステロイド性抗炎症薬「NSAID」;アスピリンを含むアセチルサリチル酸薬(ASA);パラセタモール;再生治療処置;嚢胞性線維症の治療;又はアテローム性動脈硬化症の治療。更なる実施形態では、本発明の化合物に関して本明細書に記載される使用のための、例えば、NLRP3シグナル伝達が当該疾患/障害の病態、及び/若しくは症状、及び/若しくは進行に寄与する疾患又は障害、又はNLRP3活性(NLRP3インフラマソーム活性を含む)に関連する疾患又は障害の治療における使用のための、NLRP3インフラマソーム活性の阻害を含む、そのような組み合わせも提供され、この点で、本明細書で言及される特定の疾患/障害が同様に適用される。本発明の化合物に関して本明細書に記載される方法も提供され得るが、本方法は、治療有効量のそのような組み合わせを投与することを含む(一実施形態では、そのような方法は、NLRP3インフラマソーム活性の阻害に関連して本明細書で言及される疾患又は障害を治療するためであってもよい)。本明細書で言及される組み合わせは、単一の調製物中にあってもよく、又はそれらが同時に、別々に、若しくは逐次的に投与され得るように別々の調製物中に製剤化されてもよい。したがって、一実施形態では、本発明はまた、NLRP3インフラマソーム活性の阻害に関連する疾患又は障害(疾患又は障害が、本明細書に記載のもののいずれか1つであってもよい場合)の治療において同時に、別々に又は逐次的に使用するための組み合わせ製剤として、(a)本明細書に記載される実施形態のいずれか1つによる本発明による化合物、及び(b)1つ以上の他の治療剤(そのような治療剤は、本明細書に記載のものである場合)を含有する組み合わせ製品に関し、例えば、一実施形態では、組み合わせは、キットオブパーツであってもよい。このような組み合わせは、「医薬的組み合わせ」と称されてもよい。組み合わせの成分としての本発明の化合物の投与経路は、組み合わされる1つ以上の他の治療剤と同じであっても異なっていてもよい。他の治療剤は、例えば、本発明の化合物と組み合わせて患者に投与された場合に治療的に活性であるか、又は治療活性を増強する、化合物、ペプチド、抗体、抗体断片又は核酸である。
【0128】
組み合わせとして投与される場合の(a)本発明による化合物と(b)他の治療剤との重量比は、当業者によって決定され得る。当該比並びに投与の厳密な投与量及び投与の頻度は、当業者には周知のように、使用される本発明の特定の化合物及び使用される他の抗菌剤、治療される特定の病状、治療される病態の重症度、特定の患者の年齢、体重、性別、食事、投与時間及び全身的な健康状態、投与様式、並びに個体が服用し得る他の薬物による。更に、有効な1日の量は、治療される対象の反応に応じて、かつ/又は本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて、増減され得ることは明白である。本発明の化合物と別の抗菌剤との特定の重量比は、1/10~10/1、より具体的には1/5~5/1、更により具体的には1/3~3/1の範囲であってもよい。
【0129】
本発明の医薬組成物又は組み合わせは、約50~70kgの対象に対して約1~1000mgの活性成分、又は約1~500mg、又は約1~250mg、又は約1~150mg、又は約1~100mg、又は約1~50mgの活性成分の単位投与量であることができる。化合物、医薬組成物、又はそれらの組み合わせの治療有効投与量は、対象の種、体重、年齢及び個々の症状、治療される障害若しくは疾患又はその重症度による。当業者の医師、臨床医又は獣医は、障害又は疾患の進行を予防、治療又は阻害するのに必要な各活性成分の有効量を容易に決定することができる。
【0130】
上に引用した投薬特性は、有利には哺乳動物、例えばマウス、ラット、イヌ、サル又は摘出器官、組織及びそれらの調製物を使用したインビトロ及びインビボ試験で実証可能である。本発明の化合物は、溶液、例えば水溶液の形態でインビトロに、及びインビボで経腸的に、非経口的に、有利には静脈内に、例えば懸濁液又は水溶液として適用することができる。インビトロでの投与量は、約10-3モル濃度~10-9モル濃度の範囲であってもよい。インビボでの治療有効量は、投与経路に応じて、約0.1~500mg/kg又は約1~100mg/kgの範囲であってもよい。
【0131】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、経口又は非経口投与に適した形態の、少なくとも1つの医薬的に許容される担体と共に、本発明の化合物又は医薬的に許容されるその塩を指す。
【0132】
本明細書で使用される場合、「医薬的に許容される担体」という用語は、医薬組成物の調製又は使用において有用な物質を指し、当業者に公知であるように、例えば、好適な希釈剤、溶媒、分散媒、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤、等張剤、緩衝剤、乳化剤、吸収遅延剤、塩、薬物安定剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、染料、及びそれらの組み合わせを含む(例えば、Remington The Science and Practice of Pharmacy,22nd Ed.Pharmaceutical Press,2013,pp.1049-1070を参照)。
【0133】
「対象」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば治療、観察又は実験の対象であるか、又はそれらの対象であった動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを指す。
【0134】
「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、本発明の化合物(該当する場合、本発明のそのような化合物を含む形態、組成物、組み合わせを含む)の量が、例えば酵素若しくはタンパク質活性の減少若しくは阻害、又は症状の改善、状態の緩和、疾患の進行の遅延若しくは疾患の予防など、対象の生物学的若しくは医学的応答を誘発することを意味する。非限定的な一実施形態では、「治療有効量」という用語は、対象に投与された場合に、(1)(i)NLRP3によって媒介される、又は(ii)NLRP3活性と関連する、又は(iii)NLRP3の活性(正常又は異常)によって特徴付けられる状態、又は障害若しくは疾患を少なくとも部分的に緩和、阻害、予防及び/若しくは改善;又は(2)NLRP3の活性を低減又は阻害;又は(3)NLRP3の発現を低減又は阻害するのに有効な本発明の化合物の量を指す。別の非限定的な実施形態では、「治療有効量」という用語は、細胞、又は組織、又は非細胞性生体物質、又は培地に投与された場合に、NLRP3の活性を少なくとも部分的に低減又は阻害;又はNLRP3の発現を少なくとも部分的に低減又は阻害するのに有効な本発明の化合物の量を指す。
【0135】
本明細書で使用される場合、「阻害する」、「阻害」又は「阻害すること」という用語は、所与の状態、症状、若しくは障害、若しくは疾患の低減若しくは抑制、又は生物学的活性若しくはプロセスのベースライン活性の有意な減少を指す。具体的には、NLRP3の阻害又はNLRP3インフラマソーム経路の阻害は、NLRP3又はNLRP3インフラマソーム経路がIL-1及び/又はIL-18の産生を誘導する能力を低下させることを含む。これは、NLRP3の不活性化、不安定化、及び/又は分布の変化を含むがこれらに限定されない機構によって達成することができる。
【0136】
本明細書で使用される場合、「NLRP3」という用語は、核酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、センス及びアンチセンスポリヌクレオチド鎖、相補的配列、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、相同及び/又はオルソロガスNLRP分子、アイソフォーム、前駆体、変異体、多様体、誘導体、スプライス多様体、対立遺伝子、異なる種、並びにそれらの活性断片を含むが、これらに限定されないことを意味する。
【0137】
本明細書で使用される場合、任意の疾患又は障害を「治療する」、「治療すること」、又は「治療」という用語は、疾患若しくは障害を緩和若しくは改善すること(すなわち、疾患若しくはその臨床症状の少なくとも1つの発症を遅延若しくは停止させること);又は患者に認識できないものを含む、疾患若しくは障害に関連する少なくとも1つの物理的パラメータ若しくはバイオマーカを軽減若しくは改善することを指す。
【0138】
本明細書で使用される場合、任意の疾患又は障害を「予防する」、「予防すること」又は「予防」という用語は、疾患若しくは障害の予防的処置;又は疾患若しくは障害の発症若しくは進行を遅延させることを指す。
【0139】
本明細書で使用される場合、対象は、そのような対象がそのような治療から生物学的に、医学的に、又は生活の質において利益を得る場合、治療「を必要とする」。
【0140】
「組み合わせ」は、1つの投薬単位形態における固定された組み合わせ、又は本発明の化合物及び組み合わせパートナー(例えば、「治療剤」又は「助剤」とも呼ばれる、以下に説明される別の薬物)が、独立して同時に又は時間間隔内で別々に投与され得る併用投与のいずれかを指す。単一成分は、キット中に又は別々に包装されてもよい。成分(例えば、粉末又は液体)の一方又は両方を、投与前に所望の用量に再構成又は希釈してもよい。本明細書で使用される同時投与」又は「併用投与」などの用語は、それを必要とする単一の対象(例えば、患者)への選択された組み合わせパートナーの投与を包含することを意味し、薬剤が必ずしも同じ投与経路によって又は同時に投与されない治療計画を含むことが意図される。
【0141】
本明細書で使用される場合、「医薬的組み合わせ」という用語は、2つ以上の治療剤の混合又は組み合わせから得られる生成物を意味し、治療剤の固定された組み合わせ及び非固定の組み合わせの両方を含む。「医薬的組み合わせ」という用語は、本明細書で使用される場合、1つの投薬単位形態で固定された組み合わせ、又は2つ以上の治療剤が同時に又は時間間隔内で別々に独立して投与され得る併用投与のための非固定の組み合わせ若しくはキットオブパーツのいずれかを指す。「固定された組み合わせ」という用語は、治療剤、例えば本発明の化合物及び組み合わせパートナーが両方とも、単一の実体又は投与量の形態で患者に同時に投与されることを意味する。「非固定の組み合わせ」という用語は、治療剤、例えば本発明の化合物及び組み合わせパートナーが両方とも、別個の実体として、同時に、並行して、又は特定の時間制限なしに逐次的に患者に投与され、そのような投与が患者の体内で2つの化合物の治療有効レベルを提供することを意味する。後者はまた、カクテル療法、例えば、3つ以上の治療剤の投与にも当てはまる。
【0142】
「併用療法」という用語は、本開示に記載される治療症状又は障害を治療するための2つ以上の治療剤の投与を指す。そのような投与は、実質的に同時の様式での、例えば、固定比の活性成分を有する単一のカプセルでの、これらの治療剤の同時投与を包含する。あるいは、そのような投与は、各活性成分について複数の容器又は別々の容器(例えば、錠剤、カプセル、粉末、及び液体)での同時投与を包含する。粉末及び/又は液体は、投与前に所望の用量に再構成又は希釈されてもよい。加えて、そのような投与はまた、ほぼ同時又は異なる時間のいずれかに、逐次的な様式での各タイプの治療剤の使用を包含する。いずれの場合においても、治療計画は、本明細書に記載の症状又は疾患を治療する際に薬物併用の有益な効果を提供する。
【0143】
薬理学、使用、組成物及び組み合わせの概要
一実施形態では、治療有効量の本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる本発明の化合物と、医薬的に許容される担体(1つ以上の医薬的に許容される担体を含む)とを含む医薬組成物が提供される。
【0144】
一実施形態では、薬剤として使用するための、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる本発明の化合物が提供される。
【0145】
一実施形態では、NLRP3活性(インフラマソーム活性を含む)に関連する疾患又は障害の治療において;NLRP3シグナル伝達が当該疾患/障害の病態、及び/又は症状、及び/又は進行に寄与する疾患又は障害の治療において;NLRP3インフラマソーム活性の阻害(それを必要とする対象におけるものを含む)において、及び/又はNLRP3阻害剤として、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる本発明の化合物(及び/又は本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる、このような本発明の化合物を含む医薬組成物)の使用が提供される。
【0146】
一実施形態では、NLRP3活性(インフラマソーム活性を含む)に関連する疾患又は障害の治療において;NLRP3シグナル伝達が当該疾患/障害の病態、及び/又は症状、及び/又は進行に寄与する疾患又は障害の治療において;NLRP3インフラマソーム活性の阻害(それを必要とする対象におけるものを含む)において、及び/又はNLRP3阻害剤として、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる本発明の化合物(及び/又は本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる、このような本発明の化合物を含む医薬組成物)の使用が提供される。
【0147】
一実施形態では、NLRP3活性(インフラマソーム活性を含む)に関連する疾患若しくは障害を治療するための;NLRP3シグナル伝達が当該疾患/障害の病態、及び/若しくは症状、及び/若しくは進行に寄与する疾患若しくは障害を治療するための;並びに/又はNLRP3インフラマソーム活性の阻害(それを必要とする対象におけるものを含む)するための薬剤の製造における、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる本発明の化合物(及び/又は本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる、このような本発明の化合物を含む医薬組成物)の使用が提供される。
【0148】
一実施形態では、NLRP3シグナル伝達が当該疾患/障害の病態、及び/又は症状、及び/又は進行に寄与する疾患又は障害を治療する方法であって、治療有効量の本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる本発明の化合物(及び/又は本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる、このような本発明の化合物を含む医薬組成物)を、例えば対象(それを必要とする)に投与することを含む方法が提供される。更なる実施形態では、(それを必要とする)対象においてNLRP3インフラマソーム活性を阻害する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる本発明の化合物(及び/又は本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる、そのような本発明の化合物を含む医薬組成物)を投与することを含む方法が提供される。
【0149】
本発明の全ての関連する実施形態では、疾患又は障害(例えば、上記)が言及される場合、例えば、NLRP3シグナル伝達が当該疾患又は障害の病態及び/若しくは症状及び/若しくは進行に寄与する疾患若しくは障害、又はNLRP3インフラマソーム活性の阻害を含む、NLRP3活性(NLRP3インフラマソーム活性を含む)に関連する疾患又は障害が挙げられ、その場合、そのような疾患は、インフラマソーム関連疾患又は障害、免疫疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、又は自己炎症性疾患を含んでもよい。更なる実施形態では、そのような疾患又は障害としては、自己炎症性発熱症候群(例えばクリオピリン関連周期性症候群)、肝臓関連疾患/障害(例えば、慢性肝疾患、ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性脂肪性肝炎及びアルコール性肝疾患)、炎症性関節炎関連障害(例えば、痛風、偽痛風(軟骨石灰化症)、変形性関節症、関節リウマチ、関節症、例えば急性、慢性)、腎関連疾患、(例えば高シュウ酸尿症、ループス腎炎、I型/II型糖尿病及び関連合併症(例えば、腎症、網膜症)、高血圧性腎症、血液透析関連炎症)、神経炎症関連疾患(例えば多発性硬化症、脳感染症、急性損傷、神経変性疾患、アルツハイマー病)、心血管/代謝性疾患/障害(例えば心血管リスク低減(CvRR)、高血圧、アテローム性動脈硬化症、I型/II型糖尿病及び関連合併症、末梢動脈疾患(PAD)、急性心不全)、炎症性皮膚疾患(例えば化膿性汗腺炎、座瘡)、創傷治癒及び瘢痕形成、喘息、サルコイドーシス、加齢性黄斑変性並びに癌関連疾患/障害(例えば結腸癌、肺癌、骨髄増殖性腫瘍、白血病、骨髄異形成症候群(MOS)、骨髄線維症)が挙げられ得る。特定の態様では、そのような疾患又は障害は、自己炎症性発熱症候群(例えば、CAPS)、鎌状赤血球症、I型/II型糖尿病及び関連合併症(例えば、腎症、網膜症)、高シュウ酸尿症、痛風、偽痛風(軟骨石灰化症)、慢性肝疾患、NASH、神経炎症関連障害(例えば、多発性硬化、脳感染症、急性損傷、神経変性疾患、アルツハイマー病)、アテローム性動脈硬化症及び心臓血管リスク(例えば、心血管リスク低減(CvRR)、高血圧)、化膿性汗腺炎、創傷治癒及び瘢痕形成、並びに癌(例えば、結腸癌、肺癌、骨髄増殖性腫瘍、白血病、骨髄異形成症候群(MOS)、骨髄線維症)から選択される。特定の実施形態では、NLRP3インフラマソーム活性の阻害に関連する疾患又は障害は、インフラマソーム関連疾患及び障害、免疫疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、自己炎症性発熱症候群、クリオピリン関連周期性症候群、慢性肝疾患、ウイルス性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎、アルコール性脂肪性肝炎、アルコール性肝疾患、炎症性関節炎関連障害、痛風、軟骨石灰化症、変形性関節症、関節リウマチ、慢性関節症、急性関節症、腎関連疾患、高シュウ酸尿症、ループス腎炎、I型及びII型糖尿病、腎症、網膜症、高血圧性腎症、血液透析関連炎症、神経炎症関連疾患、多発性硬化症、脳感染症、急性損傷、神経変性疾患、アルツハイマー病、心血管疾患、代謝性疾患、心血管リスク低減、高血圧、アテローム性動脈硬化症、末梢動脈疾患、急性心不全、炎症性皮膚疾患、座瘡、創傷治癒及び瘢痕形成、喘息、サルコイドーシス、加齢性黄斑変性、結腸癌、肺癌、骨髄増殖性腫瘍、白血病、骨髄異形成症候群及び骨髄線維症から選択される。
【0150】
一実施形態では、治療有効量の本明細書に記載の実施形態のいずれか1つによる本発明の化合物と、別の治療剤(1種以上の治療剤を含む)とを含む組み合わせが提供される。更なる実施形態では、そのような組み合わせが提供され、他の治療剤が、以下から選択される(1つ以上の治療剤が存在する場合、それぞれが独立して選択される)ような組み合わせが提供される:ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト;抗脂肪性疾患剤;抗線維化剤;JAK阻害剤、抗PD1阻害剤、抗LAG-3阻害剤、抗TIM-3阻害剤、又は抗POL1阻害剤を含むチェックポイント阻害剤;化学療法、放射線療法及び外科的処置;尿酸低下療法;同化剤及び軟骨再生治療;IL-17の遮断;補体阻害剤;ブルトンチロシンキナーゼ阻害剤(BTK阻害剤);Toll様受容体阻害剤(TLR7/8阻害剤);CAR-T療法;降圧剤、コレステロール低下剤;ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ(LTAH4)阻害剤;SGLT2阻害剤;132-アゴニスト;抗炎症剤、非ステロイド性抗炎症薬「NSAID」;アスピリンを含むアセチルサリチル酸薬(ASA);パラセタモール;再生治療処置;嚢胞性線維症の治療;又はアテローム性動脈硬化症の治療。更なる実施形態では、本発明の化合物に関して本明細書に記載される使用のための、例えば、NLRP3シグナル伝達が当該疾患/障害の病態、及び/若しくは症状、及び/若しくは進行に寄与する疾患又は障害、又はNLRP3活性(NLRP3インフラマソーム活性を含む)に関連する疾患又は障害の治療における使用のための、NLRP3インフラマソーム活性の阻害を含む、そのような組み合わせも提供され、この点で、本明細書で言及される特定の疾患/障害が同様に適用される。本発明の化合物に関して本明細書に記載される方法も提供され得るが、本方法は、治療有効量のそのような組み合わせを投与することを含む(一実施形態では、そのような方法は、NLRP3インフラマソーム活性の阻害に関連して本明細書で言及される疾患又は障害を治療するためであってもよい)。本明細書で言及される組み合わせは、単一の調製物中にあってもよく、又はそれらが同時に、別々に、若しくは逐次的に投与されることができるように別々の調製物中に製剤化されてもよい。したがって、一実施形態では、本発明はまた、NLRP3インフラマソーム活性の阻害に関連する疾患又は障害(疾患又は障害が、本明細書に記載のもののいずれか1つであってもよい場合)の治療において同時に、別々に又は逐次的に使用するための組み合わせ製剤として、(a)本明細書に記載される実施形態のいずれか1つによる本発明による化合物、及び(b)1つ以上の他の治療剤(そのような治療剤は、本明細書に記載のものである場合)を含有する組み合わせ製品に関する。
【0151】
本発明の化合物(本発明の化合物を含む形態及び組成物/組み合わせを含む)は、上記の適応症での使用であるか否かにかかわらず、先行技術において公知の化合物よりも有効であるか、毒性が低いか、長時間作用するか、作用が強いか、副作用が少ないか、容易に吸収されるか、及び/又は薬物動態プロファイルがより良好(例えば、より高い経口バイオアベイラビリティ及び/又はより低いクリアランス)であり得る、かつ/又は他の有用な薬理学的、物理的若しくは化学的特性を有するという利点を有し得る。
【0152】
例えば、本発明の化合物は、良好な又は改善された熱力学的溶解度(例えば、先行技術で公知の化合物と比較して;例えば、公知の方法及び/又は本明細書に記載の方法によって決定される)を有するという利点を有し得る。本発明の化合物は、ピロトーシス、並びに細胞からの炎症促進性サイトカイン(例えば、IL-1β)の放出を遮断するという利点を有し得る。本発明の化合物はまた、例えば、先行技術の化合物と比較して、NLRP3阻害の選択性に起因し得る副作用を回避するという利点を有し得る。本発明の化合物はまた、良好な又は改善されたインビボ薬物動態及び経口バイオアベイラビリティを有するという利点を有し得る。本発明の化合物はまた、良好な又は改善されたインビボ有効性を有するという利点を有し得る。具体的には、本発明の化合物はまた、以下に概説される試験(例えば、実施例C及びD)で比較した場合、先行技術の化合物を超える利点を有し得る。
【0153】
一般的な調製及び分析方法
本発明による化合物は、一般に、一連のステップによって調製することができ、その各々は、当業者に公知であるか、又は本明細書に記載され得る。
【0154】
上記及び下記の反応では、反応生成物を反応媒体から単離し、必要に応じて、抽出、結晶化及びクロマトグラフィーなどの当該技術分野で一般に知られている方法に従って更に精製することができることは明らかである。更に、1つ以上のエナンチオマー形態で存在する反応生成物は、公知の技術、特に分取HPLC、キラルクロマトグラフィーなどの分取クロマトグラフィーによってそれらの混合物から単離することができることは明らかである。個々のジアステレオ異性体又は個々のエナンチオマーはまた、超臨界流体クロマトグラフィー(Supercritical Fluid Chromatography、SCF)によっても得ることができる。
【0155】
出発材料及び中間体は、市販されているか、又は当該技術分野で一般に知られている従来の反応手順に従って調製することができる化合物である。
【0156】
分析部分
LC-MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)
一般的な手順
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定は、それぞれの方法で指定されたLCポンプ、ダイオードアレイ(diode-array、DAD)又はUV検出器及びカラムを使用して実行した。必要に応じて、追加の検出器が含まれた(以下の方法の表を参照)。
【0157】
カラムからの流れは、大気圧イオン源で構成された質量分析計(Mass Spectrometer、MS)にもたらされた。化合物の公称モノアイソトピック分子量(MW)の同定を可能にするイオンを得るために、調整パラメータ(例えば、走査範囲、滞留時間など)を設定することは、当業者の知識の範囲内である。適切なソフトウェアでデータ収集を実行した。化合物は、それらの実験的保持時間(Rt)及びイオンによって記載される。データの表において別様に指定されない場合、報告された分子イオンは、[M+H]+(プロトン化分子)及び/又は[M-H]-(脱プロトン化分子)に相当する。化合物が直接イオン化不可能であった場合、付加物の種類は、特定される(すなわち、[M+NH4]+、[M+HCOO]-、など)。複数の同位体パターン(Br、Cl)を有する分子については、報告された値は、最も低い同位体質量に関して得られたものである。全ての結果は、使用される方法と一般的に関連する実験的不確定性を伴って得られた。
【0158】
以下、「SQD」はシングル四重極検出器を意味し、「MSD」は質量選別検出器を意味し、「RT」は室温を意味し、「BEH」は架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッドを意味し、「DAD」はダイオードアレイ検出器を意味し、「HSS」は高強度シリカを意味する。
【0159】
表:LCMS法コード(mL/分で表される流量;℃で表されるカラム温度(T);分で表されるランタイム)。
【0160】
【0161】
NMR
いくつかの化合物について、1H NMRスペクトルは、溶媒としてクロロホルム-d(重水素化クロロホルム、CDCl33)、DMSO-d6重水素化DMSO、ジメチル-d6スルホキシド)、メタノール-d4(重水素化メタノール)、ベンゼン-d6(重水素化ベンゼン、C6D6)又はアセトン-d6(重水素化アセトン、(CD3)2CO)を使用して、300若しくは400MHzで動作するBrukerAvanceIII分光計、400MHzで動作するBrukerAvanceIII-HD、400MHzで動作するBrukerAvanceNEO分光計、500MHzで動作するBruker AvanceNeo分光計、又は600MHzで動作するBruker Avance600分光計で記録した。化学シフト(δ)は、内部標準として使用されたテトラメチルシラン(TMS)に対する百万分率(ppm)で報告されている。
【0162】
融点
値は、ピーク値又は溶融範囲のいずれかであり、この分析方法に一般的に関連する実験的不確定性を伴って得られる。
【0163】
方法A:いくつかの化合物について、Mettler Toledo MP50上の開放キャピラリー管において融点を決定した。融点は、10℃/分の温度勾配により測定した。最高温度は300℃であった。融点データをデジタルディスプレイから読み取り、ビデオ記録システムからチェックした。
【0164】
方法B:いくつかの化合物について、DSC823e(Mettler Toledo)装置を用いて融点を決定した。融点は、10℃/分の温度勾配により測定した。標準最高温度は300℃であった。
【0165】
実験部
以下、「m.p.」という用語は融点を意味し、「aq.」は水性を意味し、「r.m.」は反応混合物を意味し、「rt」は室温を意味し、「DIPEA」はN,N-ジイソ-プロピルエチルアミンを意味し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「DMF」はジメチルホルムアミドを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し、「EtOH」はエタノールを意味し、「EtOAc」は酢酸エチルを意味し、「AcOH」は酢酸を意味し、「iPrOH」はイソプロパノールを意味し、「iPrNH2」はイソプロピルアミンを意味し、「MeCN」又は「ACN」はアセトニトリルを意味し、「MeOH」はメタノールを意味し、「Pd(OAc)2」は二酢酸パラジウム(II)を意味し、「rac」はラセミ体を意味し、「sat.」は飽和を意味し、「SFC」は超臨界流体クロマトグラフィーを意味し、「SFC-MS」は超臨界流体クロマトグラフィー/質量分析を意味し、「LC-MS」は液体クロマトグラフィー/質量分析を意味し、「GCMS」はガスクロマトグラフィー/質量分析を意味し、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを意味し、「RP」は逆相を意味し、「UPLC」は超高速液体クロマトグラフィーを意味し、「Rt」(又は「RT」)は、保持時間(分単位)を意味し、「[M+H]+」は化合物の遊離塩基のプロトン化質量を意味し、「DAST」は三フッ化ジエチルアミノ硫黄を意味し、「DMTMM」は4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリドを意味し、「HATU」はO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート)を意味し、「キサントホス」は、(9,9-ジメチル-9H-H-キサンテン-4,5-ジイル)ビス[ジフェニルホスフィン]を意味し、「TBAT」はテトラブチルアンモニウムトリフェニルジフルオロシリケートを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、「Et2O」はジエチルエーテルを意味し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、「SiO2」はシリカを意味し、「XPhos Pd G3」は(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)エタンスルホネートを意味し、「CDCl3」は重水素化クロロホルムを意味し、「MW」はマイクロ波又は分子量を意味し、「min」は分を意味し、「h」は時間を意味し、「rt」は室温を意味し、「quant」は定量的を意味し、「n.t.」は未試験を意味し、「Cpd」は化合物を意味し、「POCl3」はオキシ塩化リン(V)を意味する。
【0166】
重要な中間体並びにいくつかの最終化合物について、キラル中心の絶対配置(R及び/又はSとして示される)を、既知の配置のサンプルとの比較によって、又は絶対配置の決定に適した分析技術、例えば、VCD(振動円二色性)若しくはX線結晶学の使用によって確立した。キラル中心における絶対配置が未知である場合、任意にR*(各々S*)とする。
【0167】
実施例-実施例A
中間体の調製
1-(3-ブロモ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)-2-メチルプロパン-1-オンI-1
【0168】
【0169】
THF(10mL)中の市販の5-ブロモ-2-(トリフルオロメチル)ピリジン[436799-32-5](1.2g、5.3mmol)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルマグネシウムクロリド塩化リチウム錯体[898838-07-8](10mL、1M、10mmol)を、Sigma-Aldrich 2入口チップ(内部体積1mL、各ライン0.25mL、滞留時間2分)を通して室温でポンプ輸送した。流出溶液を、0℃でTHF(20mL)中のN-メトキシ-N,2-ジメチルプロパンアミド[113778-69-1](2.1g、15.9mmol)の溶液上に収集した。混合物を0℃で15分間撹拌し、次いでNH4Clの飽和溶液で処理し、EtOAcで抽出し、真空中で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ30g;ヘプタン中のDCM 0/100~50/50)によって精製した。所望の画分を収集し、溶媒を蒸発させて、表題化合物(818mg、収率37%)を透明油として得た。
【0170】
メチル2-イソブチリル-6-(トリフルオロメチル)ニコチネートI-2
【0171】
【0172】
TEA[121-44-8](839μL、0.7g/mL、5.8mmol)をI-1(818mg、1.9mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II][72287-26-4](142.5mg、0.19mmol)のMeOH(6.5mL)とDMF(1.5mL)の溶液に添加した。混合物をQ-管反応器中、65℃及び130psiのCOで5時間撹拌した。混合物をセライトパッドを通して濾過し、濾液溶媒を蒸発させた。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(二酸化ケイ素(silice):へプタン中のAcOEt、0/100~100/0まで)により精製した。所望の画分を収集し、溶媒を蒸発させて、表題化合物(577mg、収率88%)を透明油として得た。
【0173】
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)d ppm1.25(d,J=6.94Hz,6 H)3.73(quin,J=6.94Hz,1H)3.93(s,3H)7.83(d,J=7.86Hz,1H)8.20-8.24(m,1H)
【0174】
1-(3-ブロモ-6-クロロピリジン-2-イル)-2-メチルプロパン-1-オンI-3
【0175】
【0176】
市販の5-ブロモ-2-クロロピリジン[53939-30-3]を出発材料として使用し、I-1と同様にして、表題化合物(2.49g、収率87%)を合成した。
【0177】
ジメチル6-イソブチリルピリジン-2,5-ジカルボキシレートI-4
【0178】
【0179】
TEA[121-44-8](5mL、0.7g/mL、34.588mmol)を、MeOH 40mL中のI-3(2.49g、8.726mmol)の溶液に添加した。次いで、Pd(dppf)Cl2[72287-26-4](300mg、0.41mmol)を添加した。混合物をCOでパージ(3回)し、次いで約5バールのCO圧下、65℃で12時間加熱した。室温に冷却して、混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を減圧下で蒸発させた。残渣を、Hept/DCM(1:4)を用いたシリカゲルでの急速濾過にかけた。最も純粋な画分を収集し、減圧下で蒸発させた。橙色の残渣をDCMに溶解し、続いて約2gのSiliaMet DMTを添加した。懸濁液を室温で一晩撹拌し、次いでHept/DCM(1:4)で溶出するシリカゲルのパッドを通して濾過した。濾液を減圧下で蒸発させて、表題化合物(2.11g、収率91%)を淡黄色油として得た。
【0180】
ジメチルピリジン-2,3-ジカルボキシレートI-5
【0181】
【0182】
塩化チオニル[7719-09-7](9.6mL、1.63g/mL、131.64mmol)を、室温でメタノール(60mL)中の市販の2,3-ピリジンジカルボン酸[89-00-9](10g、59.84mmol)の撹拌溶液に添加した。反応混合物を60℃で18時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、残渣をNa2CO3の飽和水溶液で塩基性pHになるまで希釈した。次いで、これをEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させて、表題化合物(8.21g、収率70%)を白色固体として得た。
【0183】
1H NMR(300MHz,CDCl3)d8.77(d,J=4.7Hz,1H),8.17(d,J=7.9Hz,1H),7.50(dd,J=7.9,4.8Hz,1H),4.01(s,3H),3.94(s,3H)。
【0184】
2,3-ビス(メトキシカルボニル)ピリジン1-オキシドI-6
【0185】
【0186】
I-5(8.2g、42.0mmol)のDCM(200mL)溶液に、0℃でmCPBA(22.3g、84.03mmol、推定65%純度)を添加し、混合物を室温で18時間撹拌した。pHが約7に達するまでNaHCO3飽和水溶液を添加し、混合物をDCMで抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、表題化合物(11.52g、推定定量的収量)を黄色固体として得た。これを更に精製することなく合成の次のステップで使用した。
【0187】
ジメチル6-クロロピリジン-2,3-ジカルボキシレートI-7
【0188】
【0189】
I-6(11.52g、42.0mmol)の無水1,4-ジオキサン(100mL)中撹拌溶液に窒素下室温でオキシ塩化リン(V)(19.6mL、210.07mmol)を添加した。反応混合物を100℃で3時間撹拌した。混合物を氷/水に注ぎ、pH9までのNaHCO3の飽和溶液で処理した。次いで、懸濁液をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を分離し、乾燥させ(無水MgSO4)、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、80g;ヘプタン中AcOEt 0/100~20/80)によって精製した。所望の画分を回収し、真空で濃縮して、表題化合物(4.22g、42%)を黄色油として得た。
【0190】
ジメチル6-ビニルピリジン-2,3-ジカルボキシレートI-8
【0191】
【0192】
I-7(1g、4.36mmol)を1,4-ジオキサン(16mL)及び水(5mL)に溶解した。溶液を密閉管中でN2流で5分間バブリングした。この後、カリウムビニルトリフルオロボレート[13682-77-4](583mg、4.36mmol)、Cs2CO3(3.12g、9.58mmol)及びPd(dppf)Cl2・DCM錯体[95464-05-4](533.5mg、0.653mmol)を順次添加した。5分間バブリングした後、スクリューキャップを閉じ、系を90℃で16時間撹拌した。混合物をNaHCO3飽和水溶液で希釈し、EtOAcで抽出する。有機層を分離し、乾燥させ(無水MgSO4)、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させた。クルードをフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ20g;ヘプタン中AcOEt 0/100~20/70)によって精製した。所望の画分を回収し、真空で濃縮して、表題化合物(568mg、58%)を黄色油として得た。
【0193】
ジメチル6-メトキシピリジン-2,3-ジカルボキシレートI-9
【0194】
【0195】
ナトリウムメトキシド(MeOH中30%溶液、1.23mL、6.53mmol)を、MeOH(25mL)中のI-7(1g、4.36mmol)の溶液に添加した。混合物を、60℃で16時間撹拌した。溶媒を真空中で濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ25g;ヘプタン中AcOEt 0/100~30/70)によって精製した。所望の画分を収集し、真空中で濃縮して、表題化合物(472mg、収率48%)を白色固体として得た。
【0196】
ジメチル6-エチルピリジン-2,3-ジカルボキシレートI-10
【0197】
【0198】
I-8(568mg、2.57mmol)のEtOH(40mL)溶液に、窒素下0℃で、10%Pd/C(177mg)を添加した。窒素雰囲気を水素バルーンによって交換し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をセライトの短いパッドを通して濾過し、溶媒を真空中で除去して表題化合物(536mg、収率93%)を得た。クルードを次のステップでそのまま使用した。
【0199】
6-エチルピリジン-2,3-ジカルボン酸I-11
【0200】
【0201】
水(6mL)中の1M NaOH sol.をI-10(536mg、2.4mmol)のMeOH(6mL)中の撹拌懸濁液に添加した。混合物を50℃で一晩撹拌した。MeOHを真空中で除去し、残渣を酸性pHまでの6N HCl水溶液で希釈した。水相をDCMで数回抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(無水MgSO4)、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させて、表題化合物(478mg、推定定量的収量)、黄色固体を得た。
【0202】
6-メトキシピリジン-2,3-ジカルボン酸I-12
【0203】
【0204】
出発材料としてI-9を使用し、I-11と同様にして、表題化合物(960mg、収率81%)を合成した。
【0205】
フロ[3,4-b]ピリジン-5,7-ジオンI-13
【0206】
【0207】
丸底フラスコに、市販の2,3-ピリジンジカルボン酸[89-00-9](10g、59.84mmol)及び酢酸無水物[108-24-7](28.4mL、1.08g/mL、300mmol)を添加し、窒素ガス下、100℃で3時間加熱した。この後、揮発性物質を真空中で除去して、表題化合物(8905mg、収率99%)を淡褐色固体として得た。
【0208】
更なるアナログを、適切な試薬を代用して上記手順に従って合成した。
【0209】
【0210】
6-フェニル-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-5,7(6H)-ジオンI-16
【0211】
【0212】
アニリン[62-53-3](5.99mL、1.02g/mL、65.66mmol)を、アセトニトリル(180mL)中のI-13(8900mg、59.69mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、次いで無水酢酸[108-24-7](28.21mL、1.08g/mL、298.45mmol)を添加し、反応混合物を120℃で1時間撹拌した。氷水を添加し、形成された沈殿物を濾過した。固体をDCMに溶解し、有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮して、表題化合物(11356mg、収率78%)を白色固体として得た。
【0213】
更なるアナログを、適切な試薬を代用して上記手順に従って合成した。
【0214】
【0215】
5,7-ジオキソ-6-フェニル-6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン1-オキシドI-19
【0216】
【0217】
mCPBA[937-14-4](10g、44.6mmol)を、0℃でDCM(150mL)中のI-16(5g、22.3mmol)の溶液に添加し、混合物を還流で72時間撹拌した。混合物にmCPBA[937-14-4](10g、44.6mmol)を0℃で再投入し、還流させながら3時間撹拌した。反応を飽和NaHCO3水溶液でクエンチし、混合物をDCMで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、80g;DCM中AcOEt、0/100~100/0)によって精製した。所望の画分を回収し、真空で濃縮して、表題化合物(4658mg、81%)を黄色の固体として得た。
【0218】
2-クロロ-6-フェニル-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-5,7(6H)-ジオンI-20
【0219】
【0220】
オキシ塩化リン(V)[10025-87-3](2.72mL、1.65g/mL、29.14mmol)を、窒素下、室温で1,4-ジオキサン乾燥(14mL)中のI-19(2g、5.83mmol)の撹拌溶液に添加した。反応混合物を100℃で2時間撹拌した。混合物を氷/水に注ぎ、pH9までのNaHCO3の飽和溶液で処理した。次いで、懸濁液をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を分離し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、80g;ヘプタン中AcOEt 0/100~20/80)によって精製した。所望の画分を回収し、真空で濃縮して、表題化合物(859mg、49%)を黄色の固体として得た。
【0221】
2-シクロプロピル-6-フェニル-5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-5,7(6H)-ジオンI-21
【0222】
【0223】
シクロプロピルボロン酸[411235-57-9](754.6mg、8.79mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ジクロロメタンとの錯体[95464-05-4](275.9mg、0.34mmol)及びナトリウムカーボネート[497-19-8](1.43g、13.52mmol)を、密閉管中の1,4-ジオキサン(20mL)中のI-20(1.75g、6.76mmol)の撹拌溶液に添加した。水(127μL)を添加し、混合物を80℃で一晩撹拌した。混合物にシクロプロピルホウ酸[411235-57-9](754.6mg、8.79mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ジクロロメタンとの錯体[95464-05-4](275.9mg、0.34mmol)を、N2を泡立てながら再投入し、それを85℃で終夜撹拌した。混合物をAcOH及び水で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(無水MgSO4)、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ25g;ヘプタン中AcOEt 0/100~50/50)によって精製した。所望の画分を収集し、濃縮して、表題化合物(650mg、収率26%)を褐色固体として得た。
【0224】
5-ブロモ-2-(1,1-ジフルオロエチル)ピリジンI-22
【0225】
【0226】
DAST(18.5mL、139.97mmol)及びフッ化トリエチルアンモニウム(8.5mL、52.49mmol)を、窒素下-20℃でDCM(50mL)中の市販の5-ブロモ-2-アセトピリジン[214701-49-2]の混合物に添加した。混合物をプラスチック製の密閉容器において40℃で48時間撹拌した。クルードを室温に冷却し、DCMで希釈して注ぎ、NaHCO3の飽和溶液でクエンチした。クルードをDCMで抽出し、有機層を乾燥させ、濾過し、蒸発させ、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ80g;0/100~10/90のヘプタン中のEtOAc)により精製した。所望の画分を回収し、真空で濃縮して、表題化合物(5.91g、72%)を橙色の油として得た。
【0227】
エチル3-ブロモ-6-(トリフルオロメチル)ピコリネートI-23
【0228】
【0229】
無水THF(98mL)中に希釈した市販の5-ブロモ-2(トリフルオロメチル)ピリジン[436799-32-5](11g、46.24mmol)及び2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルマグネシウムクロリド塩化リチウム錯体溶液(THF/トルエン中1M、98mL、87.86mmol)を、25℃で2入口コイル(10mLの内部体積、各ライン1.5mL、3.33分の滞留時間)を通してポンピングした。無水THF(164mL)中のシアノギ酸エチルの撹拌溶液上に、窒素雰囲気下0℃で、以下の溶液を収集した。反応混合物を0℃で15分撹拌した。混合物を飽和NH4Cl水溶液で希釈し、AcOEtで抽出(3回)した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ330g;ヘプタン中AcOEt 0/100~5/95)によって精製した。所望の画分を回収し、真空で濃縮して、表題化合物(8.75g、62%)を淡黄色油として得た。
【0230】
エチル3-ブロモ-6-(1,1-ジフルオロエチル)ピコリネートI-24
【0231】
【0232】
出発材料としてI-22を使用して、I-23について記載した手順に従って、表題化合物(5.5g、収率29%)を合成した。
【0233】
ジエチル6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2,3-ジカルボキシレートI-25
【0234】
【0235】
Pd(dppf)Cl2・CH2Cl2[95464-05-4](1.46g、1.765mmol)を、密閉した鉄製反応器中、窒素雰囲気下、室温で、エタノール(120mL)及びDMF(20mL)中のI-23及びトリエチルアミン(14.8mL、105.89mmol)の撹拌溶液(予め5分間脱気した)に添加した。次いで、窒素雰囲気をCO(6バール)で置き換え、反応混合物を85℃で16時間撹拌した(反応終了後、1バールのCOが消費された)。EtOHを真空中で蒸発させた。残渣をNaHCO3飽和水溶液で希釈し、AcOEtで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させた。クルードをフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ120g;ヘプタン中AcOEt 0/100~7/93)によって精製した。所望の画分を回収し、真空中で濃縮して、表題化合物(9.1g、86%)を淡黄色の結晶固体として得た。
【0236】
ジエチル6-(1,1-ジフルオロエチル)ピリジン-2,3-ジカルボキシレートI-26
【0237】
【0238】
出発材料としてI-24を使用して、I-25について記載した手順に従って、表題化合物(5.38g、収率68%)を合成した。
【0239】
2-(トリフルオロメチル)-6,7-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリダジン-5,8-ジオンI-27
【0240】
【0241】
ヒドラジン一水和物(3.3mL、65.79mmol)を、密閉した鉄反応器中、室温で、エタノール(105mL)中のI-25(9.58g、32.90mmol)の撹拌溶液に添加した。反応混合物を、110℃で6時間撹拌した。溶媒を真空中で蒸発させた。反応混合物を濾過した。固体をEtOHでトリチュレートし、濾過し、真空下60℃で2時間乾燥させて、表題化合物(7.66g、推定定量的収量)を明黄色固体として得た。
【0242】
2-(1,1-ジフルオロエチル)-6,7-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリダジン-5,8-ジオンI-28
【0243】
【0244】
表題化合物(4.3g、推定定量的収量)を出発材料としてI-26を使用して、I-27について記載した手順に従って合成した。
【0245】
5,8-ジクロロ-2-(トリフルオロメチル)ピリド[2,3-d]ピリダジンI-29
【0246】
【0247】
I-27(3.85g、16.66mmol)をオキシ塩化リン(V)[10025-87-3](17.2mL、183.23mmol)に窒素雰囲気下にて0℃で添加した。次に、DIPEA(5.9mL、33.31mmol)を添加し、混合物を室温まで10分間温めた。混合物を100℃で40分間(橙色の透明な溶液が得られるまで)撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、POCl3を真空中で蒸発させた。AcOEtで希釈した残渣を、激しく撹拌した氷水混合物にゆっくり添加し、5~10℃で15分間撹拌した。混合物をセライトパッドで濾過し、AcOEtで洗浄した。濾液をAcOEtで抽出した。合わせた有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させて、表題化合物(3.1g)を赤レンガ色の固体として得、これを更に精製することなく次のステップで使用した。
【0248】
5,8-ジクロロ-2-(1,1-ジフルオロエチル)ピリド[2,3-d]ピリダジンI-30
【0249】
【0250】
出発材料としてI-28を使用し、I-29について記載した手順に従って、表題化合物(878mg)を合成した。
【0251】
5-クロロ-N,N-ジメチル-2-(トリフルオロメチル)ピリド[2,3-d]ピリダジン-8-アミンI-31
【0252】
【0253】
トリエチルアミン(6.4mL、45.8mmol)及びジメチルアミン(THF中2M溶液、11.5mL、22.91mmol)を、室温で無水DMSO(70mL)中のI-29の撹拌溶液に添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。次いで、NaHCO3水溶液で希釈し、セライトパッドで濾過した。濾液をAcOEtで抽出した。合わせた有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させた。クルードをフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ80g;ヘプタン中AcOEt 0/100~19/81)によって精製した。所望の画分を回収し、真空で濃縮して、表題化合物(570mg、17%)を橙色の固体として得た。
【0254】
5-クロロ-2-(1,1-ジフルオロエチル)-N,N-ジメチルピリド[2,3-d]ピリダジン-8-アミンI-32
【0255】
【0256】
出発材料としてI-30を使用し、I-31について記載された手順に従って、表題化合物(267mg、収率63%)を合成した。
【0257】
8-(ジメチルアミノ)-2-(トリフルオロメチル)ピリド[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンI-33
【0258】
【0259】
蒸留水(150μL、8.13mmol)を、酢酸(7.5mL)中のI-31及び無水酢酸ナトリウム[127-09-3](225mg、2.71mmol)の撹拌懸濁液に、室温で、密封マイクロ波管中で添加した。混合物をマイクロ波照射下120℃で5分間撹拌した。AcOHを真空中で蒸発させた。クルードをフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ25g;ヘプタン中AcOEt 0/100~26/74)によって精製した。所望の画分を回収し、真空で濃縮して、表題化合物(431mg、90%)を橙色の固体として得た。
【0260】
2-(1,1-ジフルオロエチル)-8-(ジメチルアミノ)ピリド[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンI-34
【0261】
【0262】
出発材料としてI-32を使用し、I-33について記載された手順に従って、表題化合物(192mg、収率78%)を合成した。
【0263】
8-エチルピリド[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンI-35
【0264】
【0265】
THF(40mL)中の臭化エチルマグネシウム溶液[925-90-6](13.6mL、3M、40.81mmol)を、THF(80mL)中のI-16(6100mg、27.21mmol)の溶液に0℃で添加した。5分後、反応混合物を水を添加してクエンチし、蒸発させた。そのようにして得られた粗製物をEtOH(60mL)に溶解し、次いでヒドラジン水和物[10217-52-4](5.08mL、1.03g/mL、81.62mmol)を室温で添加し、混合物を一晩還流した。反応混合物を室温に冷却し、真空中で蒸発させて残渣を得て、これをMeOHでトリチュレートして、表題化合物(4500mg、収率90%)を黄色固体として得た。
【0266】
更なるアナログを、適切な試薬を代用して上記手順に従って合成した。
【0267】
【0268】
8-イソプロピル-2-(トリフルオロメチル)ピリド[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンI-39
【0269】
【0270】
水酸化ヒドラジニウム[7803-57-8](0.4mL、1g/mL、8.4mmol)をI-2(577mg、1.7mmol)のEtOH(10mL)溶液に溶解した。混合物を、マイクロ波照射下で120℃で10分間加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣を1M HClで処理し、DCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、溶媒を蒸発させて、表題化合物(430mg、推定定量的収量)をオフホワイトの固体として得た。
【0271】
8-イソプロピル-5-オキソ-5,6-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリダジン-2-カルボヒドラジドI-40
【0272】
【0273】
出発材料としてI-4を使用して、I-39に従って表題化合物(1.84g、収率84%)を合成した。
【0274】
8-イソプロピル-5-オキソ-5,6-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリダジン-2-カルボン酸I-41
【0275】
【0276】
NaOH(H2O中1M)[1310-73-2](30mL、1M、30mmol)を、30mLのMeOH中のI-40(1.83g、7.401mmol)の撹拌溶液に添加した。得られた混合物を65℃で一晩撹拌した。室温に冷却したら、混合物をEtOAcで希釈し、1M HCl溶液で注意深くクエンチした。pHが約2~3に達するまで。有機層を分離し、水層をMTBEで逆抽出した(3倍)。合わせた乾燥(MgSO4)有機層を減圧下で蒸発させて、表題化合物(1.66g、収率96%)を淡黄色固体として得た。
【0277】
8-イソプロピル-N-メトキシ-N-メチル-5-オキソ-5,6-ジヒドロピリド[2,3-d]ピリダジン-2-カルボキサミドI-42
【0278】
【0279】
HBTU[94790-37-1](1g、2.637mmol)を、10mLの無水DMF中のI-41(400mg、1.715mmol)、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩[6638-79-5](350mg、3.588mmol)及びDIPEA[7087-68-5](1.5mL、0.742g/mL、8.621mmol)の撹拌溶液に添加した。得られた混合物を室温で24時間撹拌した。完了したら、混合物をEtOAcで希釈し、ブラインでクエンチした。有機層を分離し、ブライン(3倍)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾別し、減圧下で蒸発させて、表題化合物(455mg)をオフホワイトの固体として得、これを更に精製することなく次のステップに使用した。
【0280】
2-アセチル-8-イソプロピルピリド[2,3-d]ピリダジン-5(6H)-オンI-43
【0281】
【0282】
MeMgBr[75-16-1](2.5mL、2-MeTHF中3.6M、9mmol)を40mLの無水THF中のI-42(推定850mg、3.076mmol)の撹拌溶液に0℃で滴加した。得られた混合物を0℃で30分撹拌した。NH4Cl飽和水溶液を混合物に添加し、次いでこれをEtOAcで希釈した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾別し、減圧下で蒸発させて、表題化合物(789mg)を黄色の固体として得、これを更に精製することなく次のステップに使用した。
【0283】
エチル2-(8-エチル-5-オキソピリド[2,3-d]ピリダジン-6(5H)-イル)アセテートI-44
【0284】
【0285】
ブロモ酢酸エチル[105-36-2](2.18mL、1.51g/mL、19.69mmol)、18-クラウン-6[17455-13-9](173.51mg、0.66mmol)、ヨウ化カリウム[7681-11-0](261.53mg、1.58mmol)及び炭酸セシウム[534-17-8](6416.44mg、19.69mmol)を、アセトニトリル(100mL)中のI-35(2300mg、13.13mmol)の混合物に順次添加し、反応混合物を80℃で16時間撹拌した。水を添加し、混合物をAcOEtで抽出し、有機層を分離し、乾燥させ(無水MgSO4)、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ25g;ヘプタン中AcOEt 0/100~40/60)によって精製した。所望の画分を回収し、真空で濃縮して、表題化合物(1364mg、39%)を黄色油として得た。
【0286】
あるいは、NaH[7646-69-7](1.2当量)を、N2下、0℃で、DMF(10mL)中のアザフタリジノン(1当量)の撹拌懸濁液に添加した。反応混合物を0℃で15分間撹拌した後、ブロモ酢酸エチル[105-36-2](1.1当量)を添加し、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。必要であれば、更にブロモ酢酸エチル[105-36-2]を添加し、反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応液をNaHCO3飽和水溶液及びEtOAcで希釈し、有機層を分離し、無水MgSO4で脱水し、濾過し、溶媒を減圧下に濃縮した。クルードをフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製した。所望の画分を収集し、真空中で濃縮し、表題化合物(5.6g、84%)を得た。
【0287】
あるいは、ブロモ酢酸エチル[105-36-2](1.1当量)を、ACN(10mL)中のアザフタリジノン(1当量)及びCs2CO3[534-17-8](1.5当量)の混合物に添加した。溶解性の理由から、マイクロ波照射の前に1mLのDMFを混合物に添加することができる。混合物を、マイクロ波照射下150℃で10分間撹拌した。クルードをセライトで濾過し、EtOAcで洗浄した。濾液の溶媒を蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製した。所望の画分を回収し、溶媒を蒸発させて、表題化合物を得た。
【0288】
追加のアナログを、必要に応じて試薬を置き換えて上記手順に従って合成した。
【0289】
【0290】
エチル2-(8-ブロモ-2-イソプロピル-5-オキソピリド[2,3-d]ピリダジン-6(5H)-イル)アセタートI-52
【0291】
【0292】
イソ酪酸[79-31-2](0.62mL、0.95g/mL、6.7mmol)及びAgNO3[7761-88-8](29.58mg、0.17mmol)を、水(1.8mL)中のI-44(350mg、1.34mmol)の溶液に室温で添加した。硫酸10%[7664-93-9](2.86mL、1.84g/mL、53.58mmol)を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。その後、混合物を70℃に加熱し、水(0.8mL)中の(NH4)2S2O8[7727-54-0](397.4mg、1.74mmol)を滴加した。この混合物を70℃で2時間撹拌した。NaOH 2Mを添加し、混合物をAcOEtで抽出(3回)し、有機層を分離し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、25g;ヘプタン中のAcOEt 0/100~100/0)によって精製した。所望の画分を回収し、真空中で濃縮して、表題化合物(48mg、12%)を黄色がかった油として得た。
【0293】
エチル2-(2-(1,1-ジフルオロエチル)-8-イソプロピル-5-オキソピリド[2,3-d]ピリダジン-6(5H)-イル)アセテートI-53
【0294】
【0295】
ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド[38078-09-0](1mL、1.22g/mL、7.569mmol)及びトリエチルアミントリヒドロフルオリド[73602-61-6](1mL、0.989g/mL、6.135mmol)を、無水DCM40mL中のI-51(900mg、2.836mmol)の撹拌溶液に連続的に添加した。得られた混合物を40℃で48時間撹拌した。粗混合物を0℃に冷却し、NaHCO3飽和溶液(滴下)でクエンチした。クルードをCH2Cl2(3倍)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で蒸発させた。クルードを、Hept/DCM(1:0~0:1)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物の2つの画分を得た。一方(602mg、収率63%)は茶色がかった油として、及び不純な方(277mg、収率14%)を茶色がかった油として得た。
【0296】
2-(8-シクロプロピル-2-イソプロピル-5-オキソピリド[2,3-d]ピリダジン-6(5H)-イル)酢酸I-54
【0297】
【0298】
水酸化リチウム一水和物[1310-66-3](21.86、0.52mmol)をI-52(79mg、0.26mmol)のTHF(4mL)と水(1.5mL)mgの溶液に添加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌した。THFを減圧下で蒸発させ、いくらかの水を添加し、混合物を1N HClで処理して酸性pHにした。混合物をAcOEtで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させて、表題化合物(55mg、収率76%)を白色固体として得た。
【0299】
あるいは、鹸化は、メタノール中のエチルエステルの撹拌溶液にNaOH 1M(過剰)を添加することによって行うことができる。反応混合物を55℃で1時間撹拌した。混合物を1M HCl水溶液でpH=3まで酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させて酸にした。
【0300】
更なるアナログを、適切な試薬を代用して上記手順に従って合成した。
【0301】
【0302】
最終化合物の調製
カップリング剤としてT3Pを使用する一般的アミドカップリング手順
2-(8-エチル-2-イソプロピル-5-オキソピリド[2,3-d]ピリダジン-6(5H)-イル)-N-((1s,3s)-3-ヒドロキシ-3-メチルシクロブチル)アセトアミド1
【0303】
【0304】
トリエチルアミン[121-44-8](85.85μL、0.73g/mL、0.62mmol)を窒素下、室温で無水DMF(0.6mL)中で2-(8-エチル-2-イソプロピル-5-オキソピリド[2,3-d]ピリダジン-6(5H)-イル)酢酸I-61(55mg、0.2mmol)シス-3-アミノ-1-メチル-1-シクロブタノール塩酸塩[1363381-58-1](30.24mg,0.22mmol)の撹拌溶液に添加した。混合物を5分間撹拌し、次いで50%プロピルホスホン酸無水物溶液[68957-94-8](0.17mL、1.07g/mL、0.28mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をNaHCO3飽和水溶液で希釈し、AcOEtで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(無水MgSO4)、濾過し、溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、12g;DCM:DCM中MeOH(9:1)0/100~50/50)によって精製した。所望の画分を回収し、真空中で濃縮して、表題化合物(18mg、24%)を白色の固体として得た。
【0305】
更なるアナログを、適切な試薬を代用して上記手順に従って合成した。
【0306】
【0307】
【0308】
カップリング剤としてHATUを使用する一般的アミドカップリング手順
tert-ブチル6-(2-(8-イソプロピル-5-オキソ-2-(トリフルオロメチル)ピリド[2,3-d]ピリダジン-6(5H)-イル)アセトアミド)-1H-インダゾール-1-カルボキシレート11
【0309】
【0310】
DIPEA[7087-68-5](0.11mL、0.75g/mL、0.63mmol)をDMF(1.2mL)の2-(8-イソプロピル-5-オキソ-2-(トリフルオロメチル)ピリド[2,3-d]ピリダジン-6(5H)-イル)酢酸I-55(40mg、0.13mmol)、tert-ブチル6-アミノ-1H-インダゾール-1-カルボキシラート[219503-81-8](44.4mg、0.19mmol)及びHATU[148893-10-1](53.1mg、0.14mmol)の撹拌した懸濁液に添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。NaHCO3(2mL)及びEtOAc(3mL)を添加した。相を分離した。水相を更なるEtOAc(2×3mL)で逆抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮した。このクルードをRP HPLC(固定相:C18 XBridge 30×100mm 5μm)、移動相:55% NH4HCO3 0.25%水溶液、45% CH3CNから25% NH4HCO3 0.25%水溶液、75% CH3CNまでの勾配)で精製した。所望の画分を回収し、真空で濃縮して、表題化合物(30mg、45%)を黄色油として得た。
【0311】
更なるアナログを、適切な試薬を代用して上記手順に従って合成した。他に示されない限り、全てのアミンパートナーは市販されている。
【0312】
【0313】
【0314】
LiHMDSを使用する一般的アミド合成
N-([1,2,4]トリアゾロ[4,3-b]ピリダジン-6-イル)-2-(8-イソプロピル-5-オキソ-2-(トリフルオロメチル)ピリド[2,3-d]ピリダジン-6(5H)-イル)アセトアミド20
【0315】
【0316】
[1,2,4]-トリアゾロ[4,3b]ピリダジン-6-アミン[19195-46-1](86.9mg、0.59mmol)を、磁気撹拌棒を備えた乾燥MWバイアルに入れ、装置を窒素下に置いた(3回の真空/窒素サイクル)。無水DMF(1.64mL)を添加し、溶液を0℃に冷却した。0℃で5分後、LiHMDSの溶液(1mL、THF中1M、1mmol)を滴加し、得られた溶液を0℃で更に5分間撹拌した。次いで、無水THF(1.37mL)中のエチル2-(8-イソプロピル-5-オキソ-2-(トリフルオロメチル)ピリド[2,3-d]ピリダジン-6(5H-イル)アセテートI-50(145mg、0.42mmol)の溶液を0℃で滴加した。得られた混合物を15分間かけて0℃から室温まで温め、室温で2時間撹拌した。反応混合物を0.2M HCl水溶液(全体で5.5mL、pHが中性又は弱酸性になるまで)の添加によってクエンチした。得られた淡褐色混合物を、約1~1.5mLの懸濁液が残るまで真空下(45℃、<40mbar)で濃縮した。混合物をDMSO(5mL)で完全に溶解し、アセトニトリル(32mL)で希釈した。少量の固体が沈殿し、焼結漏斗で濾過し、濾液を分取RP-HPLC(固定相:RP XBridge Prep C18 OBD-10μm、50×150mm、移動相:0.25% NH4HCO3水溶液、CH3CN)に注入するために2つのバイアルに分割した。所望の画分を真空中で濃縮し(52℃の水浴)、アセトニトリル(5~10mL)に3回再溶解し、真空下で濃縮して(52℃の水浴)、表題化合物をオフホワイトのふわふわした固体(165mg、収率71%)として得た。
【0317】
更なるアナログを、適切な試薬を代用して上記手順に従って合成した。他に示されない限り、全てのアミンパートナーは市販されている。
【0318】
【0319】
他の手順
N-(1H-インダゾール-6-イル)-2-(8-イソプロピル-5-オキソ-2-(トリフルオロメチル)ピリド[2,3-d]ピリダジン-6(5H)-イル)アセトアミド26
【0320】
【0321】
TFA[76-05-1](0.043mL、1.49g/mL、0.57mmol)を、DCM[75-09-2](0.1mL)中の化合物11(30mg、0.057mmol)の撹拌溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。混合物をDCM(30mL)で希釈し、NaHCO3の飽和溶液(20mL)で洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、真空中で濃縮して黄色油を得、これをRP HPLC(固定相:C18 XBridge 30×100mm 5μm)、移動相:85% NH4HCO3 0.25%水溶液、15%CH3CNから55%NH4HCO3 0.25%水溶液、45%CH3CNへの勾配)によって精製して、表題化合物(3.6mg、収率15%)をオフホワイトの固体として得た。
【0322】
特性評価データ-LC-MS及び融点
LCMS:[M+H]+は、化合物の遊離塩基のプロトン化質量を意味し、Rtは、保持時間(分単位)を意味し、方法は、LCMSに使用される方法を指す。
【0323】
【0324】
特性評価データ-化合物+NMR
これを以下の表に示す。
【0325】
【0326】
【0327】
実施例B-医薬組成物
本発明の化合物(例えば、実施例の化合物)を、医薬的に許容される担体と会合させ、それによって、そのような活性化合物を含む医薬組成物を提供する。治療有効量の本発明の化合物(例えば、実施例の化合物)を、医薬組成物を調製するための方法において、医薬的に許容される担体と密接に混合する。
【0328】
実施例C-生物学的実施例
本発明による化合物の活性は、インビトロ方法によって評価することができる。本発明の化合物は、有益な薬理学的特性、例えば、以下の試験に示すように、NLRP3活性を阻害しやすい特性を示し、したがって、NLRP3インフラマソーム活性に関連する治療に適応される。
【0329】
PBMCアッセイ
末梢静脈血を健康な個体から収集し、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll-Histopaque(Sigma-Aldrich、A0561)密度勾配遠心分離によって血液から単離した。単離後、PBMCを後の使用のために液体窒素中で保存した。解凍したら、PBMC細胞生存率を増殖培地(10%ウシ胎児血清、1%Pen-Strep及び1%L-グルタミンを補充したRPMI培地)中で決定した。化合物をDMSO中の1:3段階希釈でスポットし、96ウェルプレート(Falcon、353072)中の30μl培地中で最終濃度に希釈した。PBMCをウェル当たり7.5×104細胞の密度で添加し、5%CO2インキュベータ中で37℃で30分間インキュベートした。100ng/mlのLPS(最終濃度、Invivogen、tlrl-smlps)を6時間添加することによってLPS刺激を実施した後、細胞上清を回収し、製造業者のガイドライン(MSD、K151A0H)に従ってMSD技術によってIL-1β(μM)及びTNFサイトカインレベル(μM)を分析した。
【0330】
IC50値(IL-1βについて)及びEC50値(TNF)は、本発明/実施例の化合物に関して得られ、以下の表に示されている。
【0331】
【0332】
実施例D-更なる試験
本発明の1つ以上の化合物(最終実施例の化合物を含む)を、いくつかの他の方法で試験して、他の特性の中でも、透過性、安定性(代謝安定性及び血液安定性を含む)及び溶解性を評価する。
【0333】
透過性試験
MDR1で安定に形質導入されたMDCK細胞を使用して、インビトロ受動的透過性及びP糖タンパク質(P-gp)の輸送基質となる能力を試験する(これは、ADME、PKサービスを提供する商業組織、例えばCyprotexで行われてもよい)。透過性実験を、120分のインキュベーションを伴うトランスウェルシステムにおいて単一濃度(5μM)で2連で行う。P-gp阻害剤GF120918の存在下及び非存在下での頂端側から基底側(AtoB)への輸送、並びにP-gp阻害剤の非存在下での基底側から頂端側(BToA)への輸送を測定し、試験化合物の透過速度(見かけの透過性)(Papp×10-6cm/秒)を計算する。
【0334】
肝ミクロソームにおける代謝安定性試験
1μMの試験化合物と共に37oCで最大60分間インキュベートしたヒト及び前臨床種由来の肝ミクロソーム(0.5mg/mlタンパク質)を使用することによって、試験化合物の代謝安定性を試験する(これは、ADME、PKサービスを提供する商業組織、例えばCyprotexで行われてもよい)。
【0335】
インビトロ代謝半減期(t1/2)を、親化合物の残存率対時間の関係(κ)からの対数線形回帰の傾きを用いて計算する。
t1/2=-ln(2)/κ
【0336】
インビトロ固有クリアランス(Clint)(ml/分/mgミクロソームタンパク質)を、以下の式を用いて計算する。
【0337】
【数1】
式中、V
inc=インキュベーション体積、
W
mic prot,inc=インキュベーション中のミクロソームタンパク質の重量。
【0338】
肝細胞における代謝安定性試験
試験化合物の代謝安定性を、1μMの試験化合物と共に37oCで最大120分インキュベートしたヒト及び前臨床種由来の肝細胞(1milj細胞)を使用して試験する。
【0339】
インビトロ代謝半減期(t1/2)を、親化合物の残存率対時間の関係(κ)からの対数線形回帰の傾きを用いて計算する。
t1/2=-ln(2)/κ
【0340】
インビトロ固有クリアランス(Clint)(μl/分/100万細胞)を、以下の式を使用して計算する。
【0341】
【数2】
式中、V
inc=インキュベーション体積、
#細胞
inc=インキュベーション中の細胞の数(x10
6)。
【0342】
溶解度試験
試験/アッセイを3連で行い、Tecan Fluentを使用して、以下の一般的なステップを用いて全ての液体処理について半自動化する。
-20μlの10mMストック溶液を500μlの96ウェルプレートに分注する
-DMSOを蒸発させる(Genevac)
-撹拌子及び400μlの緩衝液/バイオリレバント培地を添加する
-溶液を72時間(pH2及びpH7)又は24時間(FaSSIF及びFeSSIF)撹拌する
-溶液を濾過する
-3点較正曲線を使用してUPLC/UVによって濾液を定量化する
【0343】
LC条件は以下の通りである。
-水Acquity UPLC
-移動相A:H2O中0.1%ギ酸、B:CH3CN中0.1%ギ酸
-カラム:水HSS T3 1.8μm 2.1×50mm
-カラム温度:55℃
-注入体積:2μl
-流量:0.6ml/分
-波長:250_350nm
-勾配:0分:0%B、0.3分:5%B、1.8分:95%B、2.6分:95%B
【0344】
血液安定性アッセイ
本発明/実施例の化合物を、同意された前臨床種由来の血漿又は血液中に特定の濃度で添加し、次いで、所定の時間及び条件(37℃、0℃(氷)又は室温)でインキュベートした後、LCMS/MSを用いて血液又は血漿マトリックス中の試験化合物の濃度を決定することができる。
【国際調査報告】