(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】荷電粒子装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/28 20060101AFI20240625BHJP
H01J 37/06 20060101ALI20240625BHJP
H01J 37/12 20060101ALI20240625BHJP
H01J 37/147 20060101ALI20240625BHJP
H01J 37/073 20060101ALI20240625BHJP
H01J 37/153 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01J37/28 B
H01J37/06 A
H01J37/12
H01J37/147 B
H01J37/073
H01J37/153
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574124
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2022062443
(87)【国際公開番号】W WO2022258271
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ゾースト,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンストラ,ロイ,ラモン
(72)【発明者】
【氏名】スマクマン,エルウィン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ズトフェン,トム
(72)【発明者】
【氏名】マングナス,アルベルタス,ヴィクター,ゲラルドス
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101DD06
5C101DD38
5C101EE03
5C101EE08
5C101EE14
5C101EE17
5C101EE19
5C101EE22
5C101EE65
5C101EE69
5C101EE78
5C101FF52
(57)【要約】
本開示は、荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置に関する。荷電粒子ビーム装置は、それぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含み、各荷電粒子光学コラムは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて放射するように構成された荷電粒子源であって、放射源アレイ内に含まれる荷電粒子源と、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された静電電極を備える対物レンズと、サンプルから放出された信号荷電粒子を検出するように構成され、対物レンズアレイに関連付けられた検出器と、を含む。対物レンズは、サンプルに向けて導かれた荷電粒子ビームに影響を与えるように構成された荷電粒子光学コラムの最もダウンビームの要素である。
【選択図】
図1、5、13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置であって、
前記荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子光学コラムアレイ状に配置された複数の荷電粒子光学コラムであって、それぞれの荷電粒子ビームを前記サンプルに向けて投影するように構成された、複数の荷電粒子光学コラムを含み、
各荷電粒子光学コラムは、
前記荷電粒子ビームを前記サンプルに向けて放射するように構成された複数の荷電エミッタであって、前記荷電粒子エミッタは、放射源アレイ内に含まれる、複数の荷電エミッタと、
前記荷電粒子ビームを前記サンプルに向けて導くように構成された対物レンズであって、前記対物レンズは静電対物レンズであり、前記対物レンズは対物レンズアレイ内に含まれる、対物レンズと、を含み、
前記荷電粒子エミッタは、前記荷電粒子エミッタのサブセットを選択して前記荷電粒子ビームを前記サンプルに向けて放射することができるように、選択可能であるように構成される、荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
前記エミッタは、前記放射源アレイ内のエミッタを選択的に動作させることにより選択可能である、請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項3】
前記エミッタは、選択されたエミッタから前記電子光学コラム内の前記ビーム経路に向けて前記電子ビームを偏向させることにより、選択可能である、請求項1又は2に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項4】
前記荷電粒子エミッタに関連付けられた偏向器アレイを更に含み、
前記偏向器アレイの各偏向器は、前記荷電粒子の経路が前記電子光学コラムの軸に沿うように、前記放射源アレイ内の荷電粒子エミッタによって放出された荷電粒子を偏向させるように構成されている、請求項1~3の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項5】
前記サブセットの各荷電粒子エミッタは、前記荷電粒子光学コラムアレイのうちのある1つの荷電粒子光学コラムに対応し、望ましくは、前記荷電粒子光学コラムアレイのうちのある1つの荷電粒子光学コラムに属する、請求項1~4の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
前記サブセット内の荷電粒子エミッタの数は、前記荷電粒子光学コラムアレイ内の荷電粒子光学コラムの数と同じである、請求項1~5の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
前記放射源アレイは、複数の放射源を含み、
各放射源は、前記複数のエミッタを含み、
各放射源は、前記複数の電子光学コラムのうちの1つに割り当てられ、
望ましくは、各放射源は、前記複数の電子光学コラムのうちの1つのコラムに属する、請求項1~6の何れか一項に記載の荷電粒子装置。
【請求項8】
前記放射源アレイは、前記荷電粒子エミッタが、前記サンプルの少なくとも一部分、望ましくは前記サンプルのかなりの部分、好ましくは前記サンプルの実質的に全体に渡って延在するように寸法決めされている、請求項1~7の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項9】
前記荷電粒子エミッタは、アバランシェダイオード構造を含んでいる、請求項1~8の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項10】
前記荷電粒子エミッタは、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び、窒化ホウ素からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1~9の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項11】
各荷電粒子光学コラムは、前記荷電粒子エミッタからの放射を増加させるように構成された抽出器を含み、
前記抽出器は、前記荷電粒子光学コラムの全てで共通の抽出器電極を備える、請求項1~10の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項12】
各対物レンズは、静電電極を含み、
前記静電電極は、複数の前記荷電粒子光学コラムで共通であり、
各荷電粒子光学コラムは、前記サンプルから放出された信号荷電粒子を検出するように構成された、前記対物レンズアレイに関連付けられた検出器を備え、
前記対物レンズは、前記サンプルに向けて導かれた前記荷電粒子ビームに影響を与えるように構成された前記荷電粒子光学コラムの最もダウンビームの要素である、請求項1~11の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項13】
前記静電電極は、前記荷電粒子光学コラムの全てに共通である、請求項12に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項14】
各荷電粒子光学コラムは、前記荷電粒子ビームの特性を補正するように構成された個別のビーム補正器を含み、
好ましくは、前記補正器は、前記荷電粒子光学コラムの少なくともグループのためのビーム補正器アレイ内に含まれている、請求項1~13の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項15】
前記荷電粒子ビーム装置は、前記サンプルホルダ及び前記荷電粒子光学コラムが走査方向に互いに対して移動可能であるように構成され、
前記荷電粒子光学コラムは、前記走査方向に対してある斜角をなす平行なライン状に配置される、請求項1~14の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年6月8日に出願された欧州特許出願第21178234.7号、2021年7月7日に出願された欧州特許出願21184290.1号、及び2021年12月24日に出願された欧州特許出願第21217745.5号の優先権を主張するものであり、これらの出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、全般的に、荷電粒子ビーム装置、及び荷電粒子ビーム装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際に、例えば、光学効果及び偶発的粒子の結果として、望ましくないパターン欠陥が、製作プロセス中に、基板(すなわち、ウェーハ)又はマスク上で不可避的に生じ、それによって歩留まりが低下する。したがって、望ましくないパターン欠陥の程度をモニタリングすることは、ICチップの製造において重要なプロセスである。より一般的に、基板又は他の物体/材料の表面の検査及び/又は測定は、それの製造中及び/又は製造後において重要なプロセスである。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームを用いたパターン検査ツールは、物体を検査するために、例えば、パターン欠陥を検出するために使用されてきた。これらのツールは、一般的に、走査電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡法技術を使用する。SEMでは、比較的高いエネルギーの電子の一次電子ビームが、比較的低い着地エネルギーでサンプル上に着地するために、最終減速ステップでターゲットにされる。電子ビームは、サンプル上にプロービングスポットとして集束される。プロービングスポットにおける材料構造と、電子ビームからの着地電子の相互作用により、二次電子、後方散乱電子、又はオージェ電子などの電子が表面から放出される。発生した二次電子は、サンプルの材料構造から放出され得る。サンプル表面に渡り、プロービングスポットとして一次電子ビームを走査することによって、サンプルの表面に渡り二次電子を放出させることができる。サンプル表面からのこれらの放出二次電子を収集することによって、サンプルの表面の材料構造の特徴を表す画像を取得することが出来る。
【0005】
[0005] パターン検査ツールには、電子ビームの放射源が備えられている。そのような放射源は、電子ビームを放射するエミッタを特徴として備えている。電子ビームの放射源の、輝度の低下と総電流と電流安定性との組み合わせを改善する一般的な必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本発明の目的は、電子ビームの輝度の低下、総電流、電流安定性の組み合わせを改善することである。
【0007】
[0007] 本発明の一態様によれば、荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置が提供され、荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子光学コラムアレイ状に配置された複数の荷電粒子光学コラムであって、それぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された、複数の荷電粒子光学コラムを含み、各荷電粒子光学コラムは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて放射するように構成された複数の荷電粒子エミッタであって、放射源アレイ内に含まれる、複数の荷電粒子エミッタと、好ましくは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された対物レンズであって、静電対物レンズであり、対物レンズアレイ内に含まれる、対物レンズと、を含み、荷電粒子エミッタは、荷電粒子エミッタのサブセットを選択して荷電粒子ビームをサンプルに向けて放射することができるように、選択可能であるように構成されている。
【0008】
[0008] 本開示の上記及び他の態様は、添付の図面と併せた例示的実施形態の説明からより明白となるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009]例示的な荷電粒子ビーム検査装置を示す概略図である。
【
図2】[0010]
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置の一部である例示的な荷電粒子ビーム装置を示す概略図である。
【
図3】[0011]コリメータアレイを含む荷電粒子マルチビームコラムの概略図である。
【
図4】[0012]
図3のマルチビームコラムを含む荷電粒子マルチビームコラムアレイの概略図である。
【
図5】[0013]矩形のマルチビームコラムアレイの概略平面図である。
【
図6】[0014]ダウンビームアパーチャアレイを有するマルチビームコラム内に減速対物レンズを形成する電極の一部分の概略側面断面図である。
【
図7】[0015]
図6の平面A-Aを基準にした概略拡大上部断面図であり、ダウンビームアパーチャアレイ内のアパーチャを示す。
【
図8】[0016]3電極対物レンズアレイと一体化された電子検出デバイスの概略側面断面図である。
【
図9】[0017]
図8又は
図12に示したタイプの検出器モジュールの底面図である。
【
図10】[0018]検出器モジュールの一部を断面図で示す。
【
図11】[0019]サブビーム規定アパーチャアレイのダウンビーム表面に配置された電子検出デバイスの概略側面断面図である。
【
図12】[0020]
図11のサブビーム規定アパーチャアレイのダウンビーム表面の端面図である。
【
図13】[0021]コラムアレイを示す概略図である。
【
図14】[0022]コラムアレイを示す概略図である。
【
図15】[0023]コラムの放射源アレイの放射源を示す概略図である。
【
図16】[0024]コラムアレイのコラムのパターンを示す概略図である。
【
図17】[0025]異なる態様で動作する
図13のコラムアレイを示す概略図である。
【
図18】[0026]異なる態様で動作する
図14のコラムアレイを示す概略図である。
【
図19】[0027]コラムアレイのダウンビーム表面の端面図である。
【
図20】[0028]コラムアレイのダウンビーム表面の端面図である。
【
図21】[0029]コラムアレイを示す概略図である。
【
図22】[0030]例えば
図19又は
図20に示すような実施形態によるコラムアレイの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0031] これより、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を、添付の図面に示す。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表示がない限り、異なる図面における同一の番号は、同一又は類似の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本発明と一致する全ての実装形態を表すわけではない。代わりに、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0011】
[0032] バイスの物理的サイズを減少させる、電子デバイスの計算能力の向上は、ICチップ上のトランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの回路コンポーネントの実装密度を大幅に増加させることによって達成することができる。これは、更に小さい構造の作製を可能にする分解能の向上によって可能にされてきた。例えば、親指の爪の大きさであり、2019年以前に利用可能なスマートフォンのICチップは、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪の1/1000未満である。したがって、半導体IC製造が、数百の個々のステップを有する、複雑で時間のかかるプロセスであることは驚くに値しない。たとえ1つのステップのエラーであっても、最終製品の機能に劇的に影響を与える可能性がある。たった1つの「キラー欠陥」が、デバイスの故障を生じさせ得る。製造プロセスの目標は、プロセスの全体的な歩留まりを向上させることである。例えば、50のステップを有するプロセス(ここでは、ステップが、ウェーハ上に形成される層の数を示し得る)に関して75%の歩留まりを得るためには、個々のステップは、99.4%を超える歩留まりを有していなければならない。個々のステップが95%の歩留まりを有した場合、全体的なプロセス歩留まりは、7%と低い。
【0012】
[0033] ICチップ製造設備において、高いプロセス歩留まりが望ましい一方で、一時間当たりに処理される基板の数と定義される高い基板(すなわち、ウェーハ)スループットを維持することも必須である。高いプロセス歩留まり及び高い基板スループットは、欠陥の存在による影響を受け得る。これは、欠陥を調査するためにオペレータの介入が必要な場合に特に当てはまる。したがって、検査ツール(走査電子顕微鏡(「SEM」)など)によるマイクロスケール、ナノスケール及びサブナノスケール欠陥の高スループット検出及び識別は、高い歩留まり及び低いコストを維持するために必須である。
【0013】
[0034] SEMは、走査デバイス及び検出器装置を含む。走査デバイスは、一次電子を発生させるための電子源を含む照明装置と、一次電子の1つ又は複数の集束ビームで基板などのサンプルを走査するための投影装置とを含む。共に、少なくとも照明装置又は照明システム、及び投影装置又は投影システムは、合わせて電子-光学システム又は装置と呼ばれることがある。一次電子は、サンプルと相互作用し、信号電子を発生させる。検出装置は、SEMがサンプルの走査エリアの画像を生成できるように、サンプルが走査されるときに、サンプルからの信号電子を捕捉する。高スループットの検査のために、検査装置の一部は、一次電子の複数の集束ビーム、すなわち、マルチビームを使用する。マルチビームの成分ビームは、サブビーム又はビームレットと呼ばれることがある。マルチビームは、サンプルの異なる部分を同時に走査することができる。したがって、マルチビーム検査装置は、単一ビーム検査装置よりもはるかに高速でサンプルを検査することができる。
【0014】
[0035] 以下の図は、概略図である。したがって、図面では、コンポーネントの相対寸法は、明瞭にするために拡大される。以下の図面の説明では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様のコンポーネント又はエンティティを指し、個々の実施形態に対する違いのみを説明する。説明及び図面は電子光学装置を対象とするが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するためには使用されないことが理解される。したがって、本文書全体に渡る電子への言及は、荷電粒子への一般的な言及とみなすことができ、荷電粒子は、必ずしも電子であるとは限らない。
【0015】
[0036] ここで
図1を参照する。
図1は、例示的な電子ビーム検査装置100を示す概略図である。
図1の電子ビーム検査装置100は、メインチャンバ10、ロードロックチャンバ20、電子ビーム装置40(電子ビームツールと呼ばれることがある)、機器フロントエンドモジュール(EFEM)30、及びコントローラ50を含む。電子ビーム装置40は、メインチャンバ10の内部に配置される。
【0016】
[0037] EFEM30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM30は、追加の1つ又は複数の装填ポートを含むことがある。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、例えば、基板(例えば、半導体基板若しくは他の材料でできている基板)又は検査対象のサンプル(以降では、基板、ウェーハ、及びサンプルはまとめて「サンプル」と呼ばれる)を収容する、基板前面開口式一体型ポッド(FOUP(front opening unified pod))を受け取ることがある。EFEM30内の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、サンプルをロードロックチャンバ20に運ぶ。
【0017】
[0038] ロードロックチャンバ20は、サンプルの周囲の気体を取り除くために使用される。これは、周囲環境の圧力より低い局所気体圧力である真空を生じさせる。ロードロックチャンバ20は、装填ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続されてもよく、装填ロック真空ポンプシステムは、ロードロックチャンバ20内の気体粒子を取り除く。装填ロック真空ポンプシステムの動作により、ロードロックチャンバが大気圧を下回る第1の圧力に達することが可能になる。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が、ロードロックチャンバ20からメインチャンバ10にサンプルを運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。メインチャンバ真空ポンプシステムは、サンプルの周囲の圧力が第1の圧力を下回る第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内の気体粒子を取り除く。第2の圧力に達した後に、サンプルは、荷電粒子ビームツール40に運ばれ、サンプルは、電子ビーム装置40によって検査され得る。電子ビーム装置40は、マルチビーム装置でもよい。
【0018】
[0039] コントローラ50は、電子ビーム装置40に電子的に接続される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置100を制御するように構成されたプロセッサ(コンピュータなど)でもよい。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。
図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、ロードロックチャンバ20、及びEFEM30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部でもよいことが理解される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置100のコンポーネント要素の1つの内部に位置してもよく、又はコントローラ50は、コンポーネント要素の少なくとも2つに分散されてもよい。
【0019】
[0040] ここで
図2を参照する。
図2は、
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置100の一部である例示的な電子ビーム装置40を示す概略図である。電子ビーム装置40は、電子源199、投影装置230、電動ステージ209、及びサンプルホルダ207を含んでもよい。一実施形態では、複数の電子源199が設けられる。電子源199及び投影装置230は、まとめて、電子光学装置と呼ばれることがある。サンプルホルダ207は、検査のためにサンプル208(例えば、基板又はマスク)を保持するように、電動ステージ209によって支持される。電子ビーム装置40は、電子検出デバイス240を更に含んでもよい。
【0020】
[0041] 電子源199は、カソード(
図9に表示)及び抽出器又はアノード(図示せず)を含むことがある。電子源199は、一次電子として電子をカソードから放出するように構成されることがある。一次電子は、抽出器及び/又はアノードによって抽出又は加速されて、一次電子を含む電子ビーム202を形成する。
【0021】
[0042] 投影装置230は、電子ビーム202を複数のビームレット211、212、213に変換し、且つ各ビームレットをサンプル208上に導くように構成されてもよい。簡潔にするために3つのビームレットが示されているが、何十、何百、又は何千ものビームレットが存在してもよい。
【0022】
[0043] コントローラ50は、電子源199、電子検出デバイス240、投影装置230、及び電動ステージ209などの、
図1の電子ビーム検査装置100の様々な部分に接続されていてもよい。コントローラ50は、様々な画像及び信号処理機能を実施してもよい。コントローラ50は、また、様々な制御信号を生成して、電子ビーム装置40を含む、電子ビーム検査装置100の動作を管理してもよい。
【0023】
[0044] 投影装置230は、検査のためにビームレット211、212、及び213をサンプル208上に集束させるように構成されてもよく、サンプル208の表面に3つのプローブスポット221、222、及び223を形成してもよい。投影装置230は、サンプル208の表面の一セクション内の個々の走査エリアにわたってプローブスポット221、222、及び223を走査するために、ビームレット211、212、及び213を偏向させるように構成されてもよい。そのような走査には、スポットがサンプル表面を走査するように、プローブスポットの下でサンプル表面が移動するようなステージの移動、及び電子光学コラム内の静電偏向器によって達成される静電動作、が含まれてもよい。サンプル208上のプローブスポット221、222、及び223へのビームレット211、212、及び213の入射に応答して、二次電子及び後方散乱電子などの信号粒子を含み得る電子が、サンプル208から発生してもよい。二次電子は、一般的に、50eV以下の電子エネルギーを有する。後方散乱電子は、一般的に、50eVとビームレット211、212、及び213の着地エネルギーとの間の電子エネルギーを有する。
【0024】
[0045] 電子検出デバイス240は、信号電子を検出し、対応する信号を生成するように構成され得、これらの信号は、例えば、サンプル208の対応する走査エリアの画像を構築するために、コントローラ50又は信号処理システム(図示せず)に送られる。電子検出デバイス240は、投影装置230に組み込まれているか、又は投影装置からは分離されていることがあり、二次光学コラムが、信号電子を電子検出デバイス240に向けるように設けられる。
【0025】
[0046] コントローラ50は、画像取得器(図示せず)及びストレージデバイス(図示せず)を含む画像処理システムを含み得る。例えば、コントローラ50は、プロセッサ、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイスなど、又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得器は、コントローラの処理機能の少なくとも一部を含み得る。したがって、画像取得器は、少なくとも1つ又は複数のプロセッサを含み得る。画像取得器は、数ある中でも特に、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機、又はこれらの組み合わせなどの信号通信を可能にする電子ビーム装置40の電子検出デバイス240に通信可能に結合され得る。画像取得器は、電子検出デバイス240から信号を受信し、信号に含まれるデータを処理し、そこから画像を構築することができる。したがって、画像取得器は、サンプル208の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成、及び取得画像へのインジケータの重畳などの様々な後処理機能を行うこともできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を行うように構成され得る。ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体でもよい。ストレージは、画像取得器と結合されてもよく、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存したり、後処理された画像を保存したりするために使用することができる。
【0026】
[0047] 画像取得器は、電子検出デバイス240から受信された撮像信号に基づいてサンプルの1つ又は複数の画像を取得することができる。撮像信号は、荷電粒子撮像を実施するための走査動作に対応し得る。取得画像は、複数の撮像エリアを含む単一の画像であり得る。単一の画像は、ストレージに保存することができる。単一の画像は、複数の領域に分割され得るオリジナルの画像であり得る。各領域は、サンプル208の特徴を含む1つの撮像エリアを含み得る。取得画像は、ある期間に渡って複数回サンプリングされたサンプル208の単一の撮像エリアの複数の画像を含み得る。複数の画像は、ストレージに保存することができる。コントローラ50は、サンプル208の同じ場所の複数の画像を用いて画像処理ステップを行うように構成され得る。
【0027】
[0048] コントローラ50は、測定回路(例えば、アナログ/デジタル変換器)を含んで、検出された荷電粒子(例えば、信号電子)の分布を取得することがある。検出時間ウィンドウ中に収集された荷電粒子(例えば、電子)分布データを、サンプル表面に入射するビームレット211、212、及び213の各々の対応する走査経路データと組み合わせて使用して、検査対象のサンプル構造の画像を再構築することができる。再構築された画像を使用して、サンプル208の内部構造又は外部構造の様々な特徴を明らかにすることができる。それによって、再構築された画像を使用して、サンプル中に存在することがある何らかの欠陥を明らかにすることができる。
【0028】
[0049] コントローラ50は、サンプル208の検査中にサンプル208を移動させるように電動ステージ209を制御することができる。コントローラ50は、電動ステージ209が、少なくともサンプルの検査中に、好ましくは継続的に、例えば、一定の速度で、スキャン方向にサンプル208を移動させることを可能にし得る。コントローラ50は、電動ステージ209が、様々なパラメータに依存するサンプル208の移動の速度を変えるように、電動ステージ209の移動を制御することができる。例えば、コントローラ50は、走査プロセスの検査ステップの特性に応じて、ステージ速度(その方向を含む)を制御することができる。
【0029】
[0050]
図3は、電子ビームコラム110を示す。電子ビームコラム110は、電子マルチビームをサンプル208に向けて投影する電子ビーム装置の一部として提供されてもよく、その理由のため、電子ビームコラム110は、マルチ電子ビームコラム110と呼ばれることがある。電子ビーム装置は、
図2を参照して上述した電子ビーム装置40の特徴のうちの任意のものを含んでもよい。各電子ビームコラム110には、電子112のビームを放射する電子源199が関連付けられている。(電子ビームコラム110は、電子ビーム源199を含むとみなすこともできるが、放射源アレイはコラムとは別のモジュール内にあってもよいので、そのような放射源は関連するコラムからは分離させることができる。そのような放射源は、電子エミッタを含んでもよい。放射源は、電子ビームを放射する。放射源に関連付けられた電子ビームコラムは、電子ビームをサンプルに向けて動作させる、例えば投影する。)実施形態によっては、電子以外の荷電粒子が、電子の代わりに使用される。電子源199は、
図2を参照して上述した態様の何れかで構成されてもよい。電子源199は、カソード(図示せず)を含んでもよく、抽出器又はアノード(図示せず)が設けられてもよい。電子源199は、輝度の低下と総放射電流との間の望ましいバランスを持つ高輝度エミッタを含んでもよい。輝度の低下という特性は、放射された電子のエネルギーの広がりを考慮に入れている。一構成では、複数の電子源が存在する。電子源199は、複数の電子源中の1つの電子源である。複数の電子源は、放射源のアレイを形成し、放射源アレイと呼ばれる。放射源アレイでは、複数の電子源は、共通の基板上に設けられてもよい。
【0030】
[0051] 電子ビームコラム110は、サブビーム規定アパーチャアレイ152(例えば、複数のアパーチャを有するプレート状のボディを含む)を含んでもよい。サブビーム規定アパーチャアレイ152は、電子源199によって放射された電子112のビームからサブビームを形成する。しかしながら、サブビーム規定アパーチャアレイを設けることは必須ではない。一実施形態では、電子ビームコラム110は、単一のビームをサンプル208に向けて投影するように構成される。
【0031】
[0052] 一実施形態では、電子ビームコラム110は、コリメータアレイ150を備える。コリメータアレイ150は、複数のコリメータを含む。
図3では、3つのコリメータが示されている。代替の実施形態では、各電子ビームコラム110は、コリメータアレイ150のうちの単一のコリメータを含む。コリメータアレイ150は、サブビーム規定アパーチャアレイ152が設けられた場合、サブビーム規定アパーチャアレイ152からダウンビームにある。各コリメータは、それぞれのサブビームをコリメートするように構成されている。コリメータアレイ150は、放射された電子112からコリメートされたビームレットを形成する。
【0032】
[0053] サブビーム規定アパーチャアレイ152は、コリメータアレイ150に直接的に隣接しているか、及び/又はコリメータアレイ150と一体化されていてもよい。コリメータアレイ150中の各コリメータは、偏向器であってもよく、コリメータ偏向器と呼ばれることがある。
【0033】
[0054] 電子ビームコラム110は、複数の対物レンズを含む対物レンズアレイ118を更に含む。
図3では、3つの対物レンズが示されている。代替の実施形態では、各電子ビームコラム110は、対物レンズアレイ118のうちの単一の対物レンズ(これは、複数の電極を含んでもよい)を含む。
図3では、電子の経路は破線で概略的に示されており、コリメータは、ビームレットが対物レンズに、その後サンプル208に、実質的に垂直に入射するように、電子を偏向させることが概略的に分かる。対物レンズアレイ118の対物レンズは、共通の平面内にあってもよい。各対物レンズは、コリメートされたサブビームをサンプル208に投影する。電子源199から各対物レンズまでの距離は、所望の縮小率が得られるように選択される。コリメーションにより、対物レンズにおける像面湾曲効果が低減され、それによって、非点収差及びフォーカス誤差などの、像面湾曲によって引き起こされる誤差が低減されてもよい。コリメータアレイ150は、本実施形態では集光レンズのアレイを基準にした中間像面に設けられていない。これにより、色収差が増大し、それによって、サンプル208上の照射スポットの最小サイズが増大することがある。しかしながら、各電子源199によって照射されるエリアは、比較的に小さいことがあり、その結果、色収差に起因する照射スポットの最小サイズの増大は、許容できるものであり得る。
【0034】
[0055] 対物レンズアレイは、本明細書では、楕円形のアレイによって概略的に示される。各楕円形は、対物レンズアレイ中の複数の対物レンズのうちの1つを表す。楕円形は、光学レンズで採用されることが多い両凸形状の類推により、レンズを表すために慣習的に使用される。しかしながら、本明細書で考察されるものなどの荷電粒子装置の文脈では、対物レンズアレイは通常、静電的に動作するので、両凸形状を採用する物理的素子を必要としないことがあることが、理解されよう。即ち、対物レンズは静電レンズである。対物レンズアレイは、静電レンズアレイであってもよい。対物レンズアレイは、例えば、少なくとも2つのプレートを含んでもよく、そのそれぞれが、複数の穴又はアパーチャを有してもよい。プレート内の各穴の位置は、別のプレート内の対応する穴の位置に対応する。対応するそれらの穴は、使用時に、マルチビーム中の同じサブビームに対して作用する。
【0035】
[0056] 電子ビームコラム110は、検出器170を更に含む。検出器170は、サンプル208から放出された荷電粒子(例えば、信号電子)を検出する。検出器170は、サブビーム規定アパーチャアレイ152からダウンビームにある平面内に設けられる。実施形態によっては、
図3に例示するように、検出器170は、電子ビームコラム110の最もダウンビームの表面(例えば、使用時にサンプル208に面する)内に配置される。他の実施形態では、
図11及び
図12に例示され以下で考察されるように、検出器は、対物レンズアレイ118からアップビームにある平面内に、又は対物レンズアレイ118の少なくとも1つの電極のアップビームにある平面内に配置される。考察する例では、検出器170は、サブビーム規定アパーチャアレイ152のダウンビーム表面内に配置される。
【0036】
[0057] 一実施形態では、検出器170は、対物レンズアレイ118のうちの1つ又は複数の対物レンズの底部電極と一体化されたCMOSチップ検出器を含む。検出器170は、電子検出デバイス240について上述した態様の何れかで構成されてもよい。検出器170は、例えば、
図1及び
図2を参照して上述したようにコントローラ50又は信号処理システムに送られる信号を生成して、例えば、マルチビームコラム110によって走査されたサンプル208のエリアの画像を構築するか、又は他の後処理を実施してもよい。
【0037】
[0058] 図示する実施形態では、コリメータアレイ150内の各コリメータは、対物レンズアレイ118内の対物レンズのうちの1つに直接的に隣接している。コリメータは、対物レンズに直接的に接触していてもよく、又は、(間に何らかの他の要素が設けられていても又は設けられていなくても)ある短い距離だけ対物レンズから離れていてもよい。対物レンズに直接的に隣接することにより、コリメータ及びサブビーム規定アパーチャアレイ152(これは、電子源199からビーム経路に沿って最初のアレイ要素であり得る)は、代替の構成、即ち、コリメータアレイが更にアップビームに、例えば集光レンズアレイに関連付けられた中間像面内に、設けられている代替の構成よりも、サンプル208にはるかに近くなり得る。従って、コリメータアレイ150及びサブビーム規定アパーチャアレイ152は、電子源199よりも、対物レンズ及び/又はサンプル208により近くなる。サブビーム規定アパーチャアレイ152と対物レンズとの間の距離は、電子源199からサブビーム規定アパーチャアレイ152までの距離よりも、望ましくははるかに小さい、好ましくは約10倍小さい。
【0038】
[0059] このようにコリメータアレイ150をサンプル208の近くに設けると、コリメータアレイ150のアップビームにある荷電粒子光学系に対する要件が単純になる。例えば、サブビームがコリメータ及び/又は対物レンズに良好なアライメントで入射するのを保証する補正器の必要性が、緩和される(というのも、サブビームは、コリメータ及び/又は対物レンズの直接的にアップビームに形成され、従って、本質的に、十分に整列されているからである)。
【0039】
[0060] 実施形態によっては、
図3に例示するように、電子ビームコラム110は、電子が、電子源199からサブビーム規定アパーチャアレイ152まで、なんらのレンズアレイ又は偏向器アレイも通過することなく伝播するように、構成される。コリメータアレイ150のアップビームになんらのレンズ又は偏向器アレイも設けないことは、対物レンズを通って導かれる、電子源199からの電子の割合がより小さくなるものの、対物レンズのアップビームにある電子光学系に対する要件、及びそのような光学系の不完全度を補正するための補正器に対する要件が低減される、ことを意味してもよい。
【0040】
[0061] 代替の実施形態では、コリメータアレイ150は省略される。コリメータアレイ150を省略すると、全体的な構成が単純になり、サブビーム規定アパーチャアレイ152を、対物レンズアレイのより近くに配置する、及び/又は対物レンズアレイと一体化することができてもよい。
【0041】
[0062] 実施形態によっては、複数の電子源199を使用することにより、スループットが高められる。実施形態によっては、
図4及び
図5に例示するように、荷電粒子マルチビームコラムアレイが設けられる。荷電粒子マルチビームコラムアレイは、本明細書で説明した電子ビームコラム110の実施形態の何れかを複数含んでもよい。各電子ビームコラム110は、異なるそれぞれの電子源199によって放出された電子からビームレットを形成する。各それぞれの電子源199は、複数の電子源199中の1つの電子源であってもよい。複数の電子源199の少なくともサブセットが、放射源アレイとして設けられてもよい。放射源アレイは、共通の基板上に設けられた複数の電子源199を含んでもよい。複数の電子ビームコラム110は、同じサンプル208の異なる領域に同時に投影するように配置される。それによって、同時に処理する(例えば、評価する)ことができるサンプル208のエリアを増加させることができる。電子ビームコラム110同士の間の小さな間隔を実現するために、各電子ビームコラム110の対物レンズアレイ118及び/又はコリメータアレイ150は、微小電気機械システム(MEMS)を製造するために使用される技術を使用して、又はCMOS技術を使用することにより、製造することができる。電子ビームコラム110は、電子サブビームをサンプル208の隣接する領域に投影するように、互いに隣接して配置されてもよい。原理的には、任意の数の電子ビームコラム110を使用してもよい。電子ビームコラム110の数は、9個~10,000個の範囲内であることが好ましい。一実施形態では、電子ビームコラム110は、
図5に概略的に示すように、矩形のアレイ状に配置される。代替の実施形態では、電子ビームコラム110は、六角形のアレイ状に配置される。他の実施形態では、電子ビームコラム110は、不規則なアレイ状に、又は矩形若しくは六角形以外のジオメトリを有する規則的なアレイ状に設けられる。マルチビームコラムアレイの各電子ビームコラム110は、単一の電子ビームコラム110を参照しながら本明細書で説明する態様の何れかで構成されてもよい。
【0042】
[0063] 各電子ビームコラム110のサブビームは、サンプル208が載置される対物面のそれぞれの個々の走査エリアに渡って走査することができる。即ち、サンプルの表面は、各サブビームのビームスポットにさらされる。各ビームスポットにさらされるサンプル表面は、アドレス可能エリアと呼ばれることがある。コラムアレイの全てのサブビームのアドレス可能エリアは、まとめてアレイアドレス可能エリアと呼ばれることがある。アレイアドレス可能エリアは、連続していない、というのも、サブビームの走査範囲は、対物レンズ118のピッチよりも小さいからである。サンプル208の連続した領域は、対物面内でサンプル208を走査方向に機械的に走査することにより、走査することができる。サンプル208の機械的走査は、曲がりくねっていることも、又はステップアンドスキャン方式の動きであることもある。一実施形態では、サンプル208の機械的走査は、連続的な、一定速度の走査である。
【0043】
[0064] アドレス可能エリアは、円形又は多角形の領域であり得る。この領域は、アドレス可能エリアを包含する最小の形状である。隣接する電子ビームコラム110によって扱われる領域は、対物面に置かれたときにサンプル208上で隣接する。隣接する領域は、必ずしも当接しているとは限らない。電子ビームコラム110は、サンプル208の少なくとも一部から全部をカバーするように配置されてもよい。それらの領域は、電子ビームコラム110が全体部分上に投影できるように、間隔をあけられていてもよい。ステージは、電子ビームコラム110に関連付けられた領域が、サンプル208の全体部分をオーバーラップなしにカバーするように、電子ビームコラム110に対して移動してもよい。電子ビームコラム110のフットプリント(即ち、対物面への電子ビームコラム110の投影)は、電子ビームコラム110がサブビームを投影する領域よりも通常は大きくなる。
【0044】
[0065]
図3及び
図4の実施形態で例示するように、本明細書で説明する実施形態のいずれにおいても、電子ビームコラム110は、サンプル208に入射するサブビーム中の1種類以上の収差を低減するように構成された1つ以上の収差補正器126を含んでもよい。収差補正器126の少なくともサブセットの各々は、対物レンズアレイ118中の1つ以上の対物レンズと、又は、コリメータアレイ150が存在する場合には、コリメータアレイ150中の1つ以上のコリメータと、一体化されているか、又は直接的に隣接していてもよい。収差補正器126は、焦点補正、像面湾曲補正、非点収差補正のうちの1つ以上を、サブビームに施すように構成されてもよい。補正は、個々のサブビームに施しても(例えば、各サブビームは場合によっては異なる補正を受ける)、又は、サブビームのグループに施しても(例えば、各グループ内のサブビームは全て、少なくとも1つのタイプの補正について、同じ補正を受ける)よい。複数のグループのうちの少なくとも幾つかのグループは、それぞれ、複数のサブビームであって、その全てが同じ電子ビームコラム110内にある複数のサブビームからなってもよい。その代わりに又はこれに加えて、複数のグループのうちの少なくとも幾つかのグループは、それぞれ、コラムアレイ中の異なる電子ビームコラム110内にあるサブビームを含んでもよい。グループで補正を施すと、収差補正器126のルーティング要件が軽減される。収差補正器126は、特にサブビームに補正を施すためのビームマニピュレータユニット及びアパーチャアセンブリの開示に関して、参照により本明細書に組み込まれる欧州特許出願第20168281.2号に記載されているように実装されてもよい。
【0045】
[0066] 実施形態によっては、コラムアレイは、焦点補正器を含む。焦点補正器は、個々のサブビームのそれぞれに焦点補正を施すように構成されてもよい。他の実施形態では、焦点補正器は、サブビームの複数のグループのそれぞれにグループ焦点補正を施す。各グループ焦点補正量は、それぞれのグループのサブビームの全てに対して同じである。焦点補正は、Z方向、Rx方向、及びRy方向の補正の何れか又は全てを含むことがある。上述のように、グループで補正を施すと、ルーティング要件が緩和されることがある。実施形態によっては、焦点補正器は、異なる電子ビームコラム110からのサブビームに異なる補正を施す。従って、ある電子ビームコラム110からのマルチビームに施される焦点補正は、同じコラムアレイ中の異なる電子コラム110からのマルチビームに施される焦点補正とは異なっていてもよい。従って、焦点補正器は、異なる電子ビームコラム110間の製造上の又は設置上の差異、及び/又は、異なる電子ビームコラム110間のサンプル208の表面の高さの差異を補正することができる。その代わりに又はこれに加えて、焦点補正器は、同じマルチビーム内の異なるサブビームに異なる補正を施してもよい。従って、焦点補正器は、より細かいレベルの粒度で焦点補正を提供し、それによって、例えば、電子ビームコラム110内の製造上のばらつき、及び/又はサンプル208の表面の高さの比較的に小さな範囲のばらつきを補正することができてもよい。
【0046】
[0067] 実施形態によっては、焦点補正器は、機械式アクチュエータを含む。機械式アクチュエータは、少なくとも部分的に焦点調整要素の機械的な作動によって、グループ焦点補正のうちの1つ又は複数の補正のそれぞれを施す。焦点調整要素を機械的に作動すると、電子ビームコラム110全体、又はその一部のみ、例えば対物レンズアレイ118、の傾斜及び/又はシフトが適用されてもよい。例えば、焦点調整要素は、対物レンズアレイ118の1つ又は複数の電極を含んでもよく、機械式アクチュエータは、対物レンズアレイ118の1つ又は複数(例えば、全て)の電極を(例えば、サンプル208の表面に向けて又は表面から離れるように)移動させることにより、焦点を調整してもよい。電極は、対物レンズアセンブリと一体化された1つ以上の電極プレートとして形成されてもよい。電極プレートは、異なるサブビームの焦点を異なる態様で制御するために使用(例えば、機械的に調整)されてもよい。
【0047】
[0068] 実施形態によっては、サンプル208に渡ってビームレット211、212、213を走査するために、1つ以上の走査偏向器(
図9に示す)が、対物レンズのうちの1つ以上と一体化されているか、又はそれらと直接的に隣接していてもよい。一実施形態では、走査偏向器は、欧州特許出願公開第2425444A1号に記載されるように使用されてもよい(この特許出願は、特に、走査偏向器としてのアパーチャアレイの使用の開示に関して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0048】
[0069] 収差補正器126は、欧州特許出願公開第2702595A1号に開示されるようなCMOSベースの個々のプログラマブル偏向器、又は欧州特許出願公開第2715768A2号に開示されるような多極偏向器のアレイであることがあり、両文書におけるビームレットマニピュレータの説明は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
[0070] 一実施形態では、収差補正器126は、像面湾曲を低減するように構成された像面湾曲補正器を含む。一実施形態では、像面湾曲補正器は、対物レンズのうちの1つ又は複数と一体化されるか、又はそれらと直接的に隣接する。一実施形態では、像面湾曲補正器は、受動補正器を含む。受動補正器は、例えば、対物レンズのアパーチャの直径及び/又は楕円率を変化させることにより、実装されることがある。受動補正器は、例えば、特に非点収差を補正するためのアパーチャパターンの使用についての開示を参照することにより本明細書に組み込まれる欧州特許出願公開第2575143A1号に記載されるように、実装されてもよい。受動補正器の受動性質は、制御電圧が必要ないことを意味するので、望ましい。受動補正器が、対物レンズのアパーチャの直径及び/又は楕円率を変化させることにより実装される実施形態では、受動補正器は、追加のレンズ要素などの追加の要素を必要としない、という更なる望ましい特徴を提供する。受動補正器の課題は、それらは固定されているので、必要な補正量を事前に慎重に計算する必要がある、ということである。これに加えて又はその代わりに、一実施形態では、像面湾曲補正器は、能動補正器を含む。能動補正器は、荷電粒子の経路を制御可能に補正して、補正を提供してもよい。能動補正器は、ビームアレイに渡る荷電粒子ビーム経路のライン用の電極であって、ライン内の全てのサブビームに対して作用する電極か、又は各ビーム経路に関連付けられた電極を有してもよく、或いは、各ビーム経路は、そのビーム経路の周りに電極のアレイを有してもよい。電極は、個別にアドレス可能であってもよく、CMOS回路によって制御されてもよい。各能動補正器によって施される補正は、能動補正器の1つ又は複数の電極の各々の電位を制御することにより、制御されることがある。一実施形態では、受動補正器が粗い補正を施し、能動補正器がより細かい及び/又は調整可能な補正を施す。
【0050】
[0071] 対物レンズアレイ118及び検出器170の更なる実施形態が、
図6及び
図7に示されている。対物レンズアレイ118及び検出器170のこの構成は、本明細書で考察するマルチビームコラム110及び/又はマルチビームコラムアレイの何れかと組み合わせて使用することができる。図示する構成では、対物レンズアレイ118は、第1の電極121及び第2の電極122を含む。第2の電極122は、第1の電極121とサンプル208との間にある。第1の電極121及び第2の電極122はそれぞれ導電性のボディを含んでもよく、この導電性のボディは、対応する複数の対物レンズ118を規定する複数のレンズアパーチャを有していてもよい。各対物レンズは、一対の整列したレンズアパーチャによって規定されてもよく、レンズアパーチャのうちの1つは、第1の電極121によって形成され、レンズアパーチャのうちの1つは、第2の電極122によって形成されてもよい。レンズアパーチャは、円形であっても又は非円形、例えば楕円形であってもよい。そのように成形されたアパーチャは、欧州特許出願第21166214.3号に記載されるようなサブビームの収差のオフアクシス補正のために使用されてもよく、該出願は、オフアクシス収差を補正するためのレンズアパーチャの改良に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
[0072] 各対物レンズは、10よりも大きな倍率、望ましくは50から100以上の範囲の倍率で、サブビームを縮小するように構成されることがある。電源160は、第1の電位を第1の電極121に印加する。電源160は、第2の電位を第2の電極122に印加する。一実施形態では、第1及び第2の電位は、対物レンズアレイ118を通過するサブビームを減速させて、サンプル208に所望の着地エネルギーで入射させる電位である。第2の電位は、サンプルの電位に近い電位、例えば約50Vだけ、より正の電位であり得る。或いは、第2の電位は、約+500Vから約+1,500Vまでの範囲内であり得る。第1及び/又は第2の電位は、焦点補正を行うために、アパーチャ毎に変えることができる。
【0052】
[0073] 着地エネルギーを決定することができるように、対物レンズアレイ118に減速機能を持たせるために、第2の電極及びサンプル208の電位を変化させることが望ましい。電子を減速させるために、第2の電極は、第1の電極よりも負にされる。最も低い着地エネルギーが選択された場合に、最も高い静電場強度が発生する。第2の電極と第1の電極との間の距離、最も低い着地エネルギー、及び第2の電極と第1の電極との最大電位差は、結果として得られる電場強度が許容可能であるように、選択される。着地エネルギーがより高くなると、静電場はより低くなる(同じ長さに渡る減速度がより小さくなる)。
【0053】
[0074] 電子源199と対物レンズアレイ118との間の電子光学系構成は同じままなので、ビーム電流は、着地エネルギーが変化しても変わらないままである。着地エネルギーが変化すると、解像度に影響が及び、解像度が向上するか又は低減することがある。
【0054】
[0075] 実施形態によっては、
図6及び
図7に例示するように、電子ビームコラム110は、ダウンビームアパーチャアレイ123を更に含む。ダウンビームアパーチャアレイ123は、対物レンズアレイ118からはダウンビームの複数のアパーチャ124を規定する。従って、ダウンビームアパーチャアレイ123は、対物レンズアレイ118のダウンビームにあってもよい。アパーチャ124の各々は、対応する対物レンズと位置合わせされている。従って、ダウンビームアパーチャアレイ123のアパーチャ124の各々は、対物レンズアレイ118中に対応する対物レンズを有する。この位置合わせは、対物レンズからの電子サブビームの一部分がアパーチャ124を通過し、サンプル208に衝突するようにするものである。各アパーチャ124は更に、電子サブビームの選択された部分(例えば、中心部分)のみが、対物レンズからダウンビームアパーチャアレイ123に入射してアパーチャ124を通過できるように構成される。アパーチャ124は、例えば、サブビーム規定アパーチャアレイ152内の対応するアパーチャの断面積よりも小さい断面積、又は対物レンズアレイ118に入射する対応するサブビームの断面積よりも小さい断面積を有してもよい。従って、ダウンビームアパーチャアレイのアパーチャは、サブビーム規定アパーチャアレイ152及び/又は対物レンズアレイ118に規定された対応するアパーチャよりも寸法が小さくても(即ち、面積が小さくても、及び/又は直径が小さくても、及び/又は他の特徴的な寸法が小さくても)よい。
【0055】
[0076]
図6及び
図7に例示するように、検出器170のアップビームにダウンビームアパーチャアレイ123を設けることが望ましい。検出器170のアップビームにダウンビームアパーチャアレイ123を設けると、ダウンビームアパーチャアレイ123が、サンプル208から放出された荷電粒子を妨げず、荷電粒子が検出器170に到達するのを邪魔しないことが確実になる。
【0056】
[0077] 従って、ダウンビームアパーチャアレイ123は、対物レンズアレイ118の対物レンズを出てゆく各電子サブビームが、それぞれのレンズの中央を通過したものであることを確実にするために、使用されることがある。これは、対物レンズに入射するサブビームが対物レンズと十分に位置合わせされていることを確実にするための複雑なアライメント手順を必要とすることなしに、達成することができる。更に、ダウンビームアパーチャアレイ123の効果は、コラムアライメント動作、放射源不安定性、又は機械的不安定性によって妨げられることはない。
【0057】
[0078]
図6及び
図7を参照して上述したように動作するように構成されたダウンビームアパーチャアレイ123を含む構成を、(例えば、
図3を参照して上記で考察したように)サブビーム規定アパーチャアレイ152からダウンビームにコリメータアレイ150を有する電子ビームコラム110内で、及び/又はそのようなコリメータアレイ150を有さない電子ビームコラム110内で、使用してもよい。
【0058】
[0079]
図6及び
図7の特定の例では、ダウンビームアパーチャアレイ123は、対物レンズアレイ118の底部電極とは別に形成された要素として示されている。他の実施形態では、ダウンビームアパーチャアレイ123は、(例えば、リソグラフィを実施して、基板の両面にレンズアパーチャ及びビーム遮断アパーチャとして機能するのに適した空洞をエッチングすることにより)対物レンズアレイ118の底部電極と一体的に形成されてもよい。
【0059】
[0080] 一実施形態では、ダウンビームアパーチャアレイ123内のアパーチャ124は、対応する対物レンズアレイ118の底部電極中の対応するレンズアパーチャの少なくとも一部分からダウンビームにある距離をおいて、即ち、レンズアパーチャの直径と同じか又はそれより大きい距離、好ましくは、レンズアパーチャの直径よりも少なくとも1.5倍大きい、好ましくはレンズアパーチャの直径よりも少なくとも2倍大きい距離をおいて、設けられている。
【0060】
[0081]
図6及び
図7の例では、ダウンビームアパーチャアレイ123は、底部電極122に隣接して配置されることが望ましい。対物レンズアレイ118が、アインツェルレンズ構成におけるような、3つ以上の電極を含む場合、ダウンビームアパーチャアレイ123を中央電極に隣接して配置することが望ましい。中央の電極はサブビームエネルギーとは異なる電位を有する一方、外側の電極はサブビームエネルギーと同じ電位を有する。一般的に、ダウンビームアパーチャアレイ123を電場が小さい領域、好ましくは実質的に電場の無い領域に配置することも望ましい。これにより、ダウンビームアパーチャアレイ123が存在することによる所望のレンズ効果の乱れが回避されるか又は最小限に抑えられる。
【0061】
[0082]
図8~
図10は、荷電粒子が電子である例示的なシナリオを特に参照して、サンプル208によって放出された荷電粒子を検出するための検出器をどのように構成できるかについて、更なる詳細を提供している。以下で考察する構成の何れかを使用して、本明細書で考察する電子ビームコラム110及び/又はマルチビームコラムアレイの実施形態の何れかにおける対物レンズアレイ118及び/又は検出器170を実装してもよい。例えば、検出器170は、以下で参照する検出器モジュール402及び/又は502と同じ態様で構成されてもよい。
【0062】
[0083]
図8~
図10に例示するように、対物レンズは、底部電極がCMOSチップ検出器アレイと一体化されている多電極レンズを含んでもよい。多電極レンズは、
図8に例示するように3つの電極を、又は2つの電極、又は異なる数の電極を含んでもよい。この構成は、プレートである4つ以上のレンズ電極として説明されてもよい。プレートでは、複数のアパーチャが例えばアパーチャアレイとして規定され、これらは、対応するビームアレイ中の複数のビームと位置合わせされている。電極は、例えば、制御電極グループ及び対物電極グループを提供するように、2つ以上の電極にグループ化されてもよい。一構成では、対物電極グループは少なくとも3つの電極を有し(
図8に示す)、制御電極グループは少なくとも2つの電極を有する(
図8には図示せず)。ある電極が両方のグループに属してもよく、その場合、一方の表面が一方のグループに寄与し、対向する表面が他方のグループに寄与する。
【0063】
[0084] 検出器アレイを対物レンズに一体化させると、信号電子を検出するための二次コラムの必要性がなくなる。CMOSチップは、サンプルと向き合うように向けられることが好ましい(ウェーハと電子光学系の底部との間の距離が短い(例えば、100μm)ため)。一実施形態では、信号電子を捕捉する捕捉電極が設けられる。捕捉電極は、例えば、CMOSデバイスの金属層内に形成することができる。捕捉電極は、対物レンズの底部層を形成してもよい。捕捉電極は、CMOSチップの底面を形成してもよい。CMOSチップは、CMOSチップ検出器であってもよい。CMOSチップは、対物レンズアセンブリのサンプル対向面に組み込まれてもよい。捕捉電極は、信号電子を検出するためのセンサユニット又は検出器の例である。捕捉電極は、他の層内に形成することができる。CMOSの電力及び制御信号は、シリコン貫通ビアによってCMOSに接続されてもよい。堅牢にするために、底部電極は2つの要素、即ち、CMOSチップ、及び穴を有する受動Siプレート、からなることが好ましい。プレートは、高電場からCMOSを防護する。
【0064】
[0085] センサユニット(検出器)を対物レンズ(対物レンズアレイ)の底部又はサンプル対向面に関連付けることは有益である、というのも、電子が電子光学系の電子光学要素に遭遇して、その電子光学要素によって操作される前に、信号電子を検出することができるからである。有益にも、電子を放出するそのようなサンプルの検出にかかる時間が短縮される、好ましくは最小限に抑えられることがある。
【0065】
[0086] 例示的な実施形態が
図8に示されており、この図は、対物レンズ401(対物レンズアレイと呼ばれることもある)を概略断面図で示している。対物レンズ401の出力側、即ち、サンプル208に面する側には、検出器モジュール402が設けられている。
図9は、検出器モジュール402の底面図であり、この検出器モジュール402は基板404を含み、基板404には複数の捕捉電極405が設けられており、それら複数の捕捉電極405の各々は、ビームアパーチャ406を取り囲んでいる。ビームアパーチャ406は、一次電子サブビームのいずれも遮断しないように十分に大きい。捕捉電極405は、電極に信号を送り、検出信号、この場合には電流、を生成するセンサユニット又は検出器の例と見なすことができる。ビームアパーチャ406は、基板404を貫通してエッチングすることによって形成することができる。
図9に示される配置では、ビームアパーチャ406は、矩形アレイで示されている。ビームアパーチャ406は、異なるように(例えば、六方最密アレイで)配置されることも可能である。
【0066】
[0087]
図10は、縮尺を大きくして、検出器モジュール402の一部を断面で示す。捕捉電極405は、検出器モジュール402の一番下の面、すなわちサンプルに最も近い面を形成する。捕捉電極405とシリコン基板404の本体との間には、論理層407が設けられる。論理層407は、増幅器、例えば、トランスインピーダンス増幅器、アナログ-デジタル変換器、及び読出し論理回路を含み得る。ある実施形態では、1つの捕捉電極405につき、1つの増幅器及び1つのアナログ-デジタル変換器が存在する。論理層407及び捕捉電極405は、捕捉電極405が最終メタライゼーション層を形成するCMOSプロセスを使用して製造することができる。
【0067】
[0088] 配線層408は、基板404の裏側に設けられ、スルーシリコンビア409によって論理層407に接続される。スルーシリコンビア409の数は、ビームアパーチャ406の数と同じである必要はない。具体的には、電極信号が論理層407においてデジタル化される場合、データバスを提供するために、少数のスルーシリコンビアのみが必要とされ得る。配線層408は、制御線、データ線、及び電力線を含み得る。ビームアパーチャ406にもかかわらず、全ての必要な接続に十分なスペースが存在することに気付くだろう。検出モジュール402は、バイポーラ又は他の製造技術を使用して製作することもできる。プリント回路基板及び/又は他の半導体チップが検出器モジュール402の裏側に設けられてもよい。
【0068】
[0089]
図11及び
図12は、サンプル208から放出された荷電粒子を検出するための検出器(この例では、電子検出デバイス240)が、サブビーム規定アパーチャアレイ152のダウンビーム表面に配置されている、代替の実施形態を例示している。
【0069】
[0090] この例では、電子検出デバイス240は、放射源から最も遠い対物レンズアレイの電極からは離れて(即ち、対物レンズアレイのダウンビーム電極からは離れて)配置されている。図示する例では、電子検出デバイスは、対物レンズ501のアレイの上部電極と一体化されているか又は関連付けられている。動作中にセンサユニット503を支持する基板は、上部電極と同じ電位差に保持されてもよい。この位置では、対物レンズ501のアレイ内の電極は、電子検出デバイス240よりもサンプルに近いか、又は電子検出デバイス240のダウンビームにある。従って、サンプル208によって放出された信号電子は、例えば、多kV(おそらく約28.5kV)まで加速される。その結果、センサユニット503は、例えばPIN検出器又はシンチレータを含むことができる。これには、PIN検出器及びシンチレータは信号の初期増幅が大きいので、有意な追加のノイズ源が存在しないという利点がある。この構成の別の利点は、例えば、電力及び信号の接続部を形成するために、又は使用中の保守のために、電子検出デバイス240により容易にアクセスできることである。その代わりに、捕捉電極を有するセンサユニットをこの位置で使用することもできるが、これは、性能の低下につながる可能性がある。
図12に示す実施形態では、センサユニット503は、単なる例として、六角形に配置されている。センサユニット503は、異なる態様、例えば直線の格子状に配置されてもよい。
【0070】
[0091] PIN検出器は、逆バイアスされたPINダイオードを含み、pドープ領域とnドープ領域との間に挟まれた真性(非常に軽くドープされた)半導体領域を有する。真性半導体領域に入射した信号電子は、電子-正孔の対を生成し、電流を流し、検出信号を生成する。
【0071】
[0092] シンチレータは、電子が入射すると光を放射する材料を含む。検出信号は、カメラ又は他の撮像デバイスを用いてシンチレータを撮像することにより、生成される。
【0072】
[0093] 一実施形態では、センサユニット503は、二次電子及び後方散乱電子を同時に検出するように構成され、好ましくはセンサユニットの検出器は使用時にサンプルに面する。二次電子は後方散乱電子とは区別されてもよい。例えば、一実施形態では、センサユニット503は、二次電子及び後方散乱電子を検出するための別々の領域を含んでもよい。それらの領域は、互いからは半径方向に又は円周方向に離れていてもよい。
【0073】
[0094] センサユニットに関連付けられたビームアパーチャ504は、サンプルから放出された電子を捕捉するのに利用できるセンサユニットの表面を増加させるために、対物レンズアレイ内のアパーチャよりも直径が小さくなっている。しかしながら、ビームアパーチャの直径は、サブビームの通過を許すように選択される、即ち、ビームアパーチャ504はビームを制限しない。ビームアパーチャ504は、サブビームの断面を成形することなしにサブビームが通過できるように設計される。同じ原理が、
図11及び
図12を参照して上述した実施形態のセンサユニット402に関連付けられたビームアパーチャ406にも当てはまる。
【0074】
[0095] 別の構成では、検出器は対物レンズの上方に配置されてもよい。検出器は、アレイ状に配置されたセンサユニットを含んでもよく、各センサユニットは、サンプルに向けて導かれた1本のサブビームに関連付けられてもよい。各センサユニットは、対応するサブビームの経路の周りの環形の形状を取ってもよい。別の構成では、検出器は、サンプルに向けて導かれるサブビームの経路に影響を与えることなく(サンプルからの)信号電子を対応する検出器要素にそらすウィーンフィルタアレイのアップビームにあってもよい。
【0075】
[0096] 一実施形態では、ビーム補正器アレイ145、ビーム制限アパーチャ133(アレイとして存在してもよい)、及び/又は偏向器アレイ134、及び/又は対物レンズアレイ118は、それ自体が、又はアレイなどの他の要素と組み合わせて、交換可能なモジュールである。交換可能モジュールは、現場交換可能であってもよい、即ち、フィールドエンジニアがモジュールを新しいモジュールと交換することができる。一実施形態では、複数の交換可能モジュールが、ツールの内部に含まれており、電子ビーム装置40を開けることなく、動作可能位置と動作不可能位置との間で入れ替わることができる。
【0076】
[0097] 一実施形態では、交換可能モジュールは、電子ビーム装置40内部で交換可能であるように構成される。一実施形態では、交換可能モジュールは、現場で交換可能であるように構成される。現場で交換可能であるとは、電子ビーム装置40が配置されている真空を維持しながら、モジュールを取り外して、同じモジュール又は異なるモジュールと交換することができることを意味することが意図されている。取り外されるべき及び戻されるか又は交換されるべきモジュールのためにモジュールが排気されるのに対応して、電子ビーム装置40の一区画のみが排気される。
【0077】
[0098]
図13は、本発明の一実施形態による、電子ビーム装置40の概略図である。電子ビーム装置40は、電子ビーム(即ち、電子112のビーム)をサンプル208に向けて投影するように構成されている。
図13に示すように、一実施形態では、電子ビーム装置40は複数の電子光学コラム111を備える。電子光学コラム111は、それぞれの電子ビームをサンプル208に向けて投影するように構成されている。一実施形態では、電子光学コラム111は、コラムアレイ200に含まれる。なお、この構成では、各電子光学コラム111は、単一のビームをサンプル208に向けて投影することに留意されたい。後述するように、放射源のエミッタからコラムを通るビームは、単純に成形される。
【0078】
[0099]
図13に示すように、一実施形態では、各電子光学コラム111は電子源199を備える。或いは、電子源199は、電子光学コラム111に電子を提供する、電子光学コラム111とは別個の要素とみなされてもよい。電子源199は、電子ビームをサンプル208に向けて放射するように構成されている。
図13に示すように、電子源199は、放射源アレイ131に含まれる。一実施形態では、電子源199は先端部を備え、そこから電子112が放出される。或いは、電子源199は先端部を持たなくてもよい。一実施形態では、電子源199は、半導体ベースのエミッタ201を備える。放射源アレイ131は、実質的に平面状であり得る半導体基板を含んでもよい(
図15を参照)。半導体基板は、電子光学コラム111のグループで共通であってもよい。一実施形態では、放射源アレイの半導体基板は、全ての電子光学コラム111で共通である。
【0079】
[0100] 一実施形態では、電子源201は、アバランシェダイオード構造を含む。アバランシェダイオード構造は、ドープされた半導体接合のスタックを含み、2つの接続からバイアスされている。例えば、アバランシェダイオード構造は、PN接合又はPIN接合を含んでもよい。アバランシェダイオード構造は、異なるバンドギャップの半導体のスタックを有するヘテロ接合又はホモ接合を含んでもよい。一実施形態では、アバランシェダイオード構造は、炭化ケイ素P型基板とその上の窒化ガリウムN++層とのヘテロ接合を含む。窒化ガリウムは、仕事関数がより小さく(約1eV低い)、従って、より多くの電子がそれから逃れることができる。一方、炭化ケイ素は、熱伝導率が高く、それをP型にする能力がある。バンドギャップ構造は、アバランシェダイオード構造のアバランシェ領域における電子エネルギー分布に影響を与える。電子源199は、エミッタ技術としてアバランシェ電子放出ダイオード(AEED)に基づいていてもよい。AEEDエミッタは、半導体ベースのエミッタである。AEEDは、アバランシェ冷陰極又は半導体接合冷陰極と代替的に呼ばれることもある。一実施形態では、電子源201は、接合ベースである。例えば、電子エミッタ201は、PN接合などのダイオード接合を含んでもよい。一実施形態では、電子源201は、複数の接合部を含む。各接合部は、類似の半導体又は異なる半導体の2つの層又は領域の間の界面であってもよい。一実施形態では、接合部は、ドープされた材料間の界面である。接合部は、2つ又は3つ以上の材料間の接合部であってもよい。そのような接合部はダイオードであってもよい。一実施形態では、電子源201は、サンプル208に面する表面に垂直な電子エミッタ201のダイオードの内部でアバランシェ電流が生成されるように、構成される。一部の電子112は、表面の仕事関数に打ち勝ち、真空中に放出されるのに十分なだけ、アバランシェ領域においてエネルギー付与される。
【0080】
[0101] 本発明の一実施形態は、基板上の放射源アレイ131内に多数の電子源199を製造するのを容易にすることが期待される。一実施形態では、電子ビーム装置40は、検出器170のセンサユニット503よりも多数の電子エミッタ201を備える。1つの放射源当たりに多数のエミッタを備えた放射源のそのような放射源アレイは、高い冗長率を有する。一実施形態では、電子エミッタ201は小型である。一実施形態では、電子エミッタは、最大で2μm、任意選択的に最大で1μm、任意選択的に最大で500nm、任意選択的に最大で200nm、任意選択的に最大で100nm、任意選択的に最大で50nm、任意選択的に最大で20nm、及び任意選択的に最大で10nmの直径を有する。一実施形態では、電子エミッタは、少なくとも5nm、任意選択的に少なくとも10nm、任意選択的に少なくとも20nm、任意選択的に少なくとも50nm、任意選択的に少なくとも100nm、任意選択的に少なくとも200nm、任意選択的に少なくとも500nm、任意選択的に少なくとも1μmの直径を有する。そのようなエミッタは、約50nmとなるように寸法決めされてもよく、高密度に詰め込まれることができてもよい。エミッタが小さいと、仮想放射源のサイズがより小さくなり、輝度の低下が増大する。小型のエミッタがより小さいと、排出された電子との表面近傍での電子間相互作用が低減され、それにより、放出された電子間のエネルギーの広がりが低減される。エミッタが小さいと、局所的な発熱が低減され、及び/又は局所的な電力損失が増加することがある。局所的な電力損失は、エミッタがより小さい場合により大きくなることがある、というのも、周囲の格子が、熱をよりよく排出することがあるからである。
【0081】
[0102] 一実施形態では、電子エミッタ201は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素からなる群から選択される少なくとも1つを含む。これらの材料は、半導体であり、適切に大きいバンドギャップを有する。これらの材料のドーピングレベルは高いことがある。特に、炭化ケイ素が好ましことがある、というのも、この材料は熱伝導率が高く、絶縁破壊強度も高いからである。このことは、材料内に高い電場を印加して電子を加速させることが可能であることを意味する。一実施形態では、電子源199は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素からなる群から選択される少なくとも1つを含む対応するエミッタ201を備える。一実施形態では、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、又は窒化ホウ素が、エミッタの表面を形成する。電子は、エミッタの表面から放出される。一実施形態では、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素のうちの2つ以上のものの組み合わせが、電子源201において一緒に組み合わされる。そのような材料により、より大きな絶縁破壊電圧/電場で、(ケイ素と比べて)より大きなアバランシェ電流が可能になる。
【0082】
[0103] これらの材料は、ケイ素に比べて高温での動作を可能にする。特に、これらの材料は、熱伝導率がより高いので、局所的な温度を低く保つのに、ケイ素よりも効果的である。本発明の一実施形態は、エミッタの輝度の低下と、放出された電子のエネルギーの広がりとの組み合わせの改善を実現することが期待される。一般的に、電子源199にケイ素が使用される場合、輝度の低下とエネルギーの広がりとの間にはトレードオフが存在することがある。
【0083】
[0104] 仕事関数と呼ばれることがある、電子が逃げるために必要とされるエネルギーの量は、電子エミッタ201のパラメータを選択することにより制御することができる。一般的に、仕事関数が増加すると、望ましいことに逃げることができる電子のエネルギー分布が狭くなり、望ましくないことに真空電流密度ひいては輝度の低下が低減する。一方、仕事関数が減少すると、望ましいことに真空電流密度が増加し、従って輝度の低下が増大するが、望ましくないことに逃げることができる電子のエネルギー分布が広がる。
【0084】
[0105] 炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素は、大きな輝度の低下と狭いエネルギーの広がりの両方を同時に可能にする。一実施形態では、電子エミッタ201の材料は、高い熱伝導率を有する。熱伝導率が高いと、局所的な電流密度をより高くし、輝度の低下をより高くすることに役立つことがある。例えば、炭化ケイ素は高い熱伝導率を有する。本発明の一実施形態は、電子源199を冷たく保つことを容易にすることが期待される。しかしながら、代替の実施形態では、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素の何れかの代わりにケイ素が使用される。
【0085】
[0106]
図13に示すように、一実施形態では、各電子光学コラム111は単一ビームコラムである。電子光学コラム111は、電子光学コラム111に関連付けられた電子源199によって放出されサンプル208に到達する電子112の実質的に全てが、単一ビーム内に含まれるように、構成されている。電子源199によって放射された電子ビームは、分割されたり、又は追加のビームが発生したりすることなく、サンプル208に到達する。各電子ビームは、電子光学コラム111に対応する。これにより、各コラムの電子光学系が簡素化される、というのも、例えば、オフアクシスビームが生成されないので、必要とされるコリメーション及び収差補正が少なくなるからである。電子光学コラム111は、マイクロコラムと呼ばれることがある。代替の実施形態では、上述し、
図2及び
図3に図示したように、電子源199によって放射された電子ビームは、サンプル208に到達する複数のビームレットに分割される。
【0086】
[0107] 各コラムによって単一ビームを投影させることにより、ビームは、コラムの電子光学軸に従ってもよい。これは、マルチ電子ビームコラムとは異なっており、マルチ電子ビームコラムでは、中心ビームを除く全てのビームはオフアクシスであり、その結果、中心ビームを除く全てのビームには幾らかのオフアクシス収差がある。そのような収差は、通常は電子光学系内で補正されるが、そのような補正は、収差を緩和及び/又は打ち消すために、例えば追加の電子光学要素を必要としたり、及び/又は既存の電子光学要素に変更を加えたりなど、電子光学系にさらなる複雑さを持ち込む。そうしないと、補正されていない収差がスループットを低下させることがある。
【0087】
[0108] 一実施形態では、電子光学コラム111は、MEMS技術を使用して製造される。本発明の一実施形態は、コラム111のMEMSベースの電子光学要素を簡素化することが期待される。本発明の一実施形態は、MEMSベースの電子光学コラム111の製造を容易にすることが期待される。例えば、補正機能及び追加の補正要素を有する集光レンズ及びコリメータ偏向器を製造することは困難である場合がある。電子光学コラム111を、それ自体の電子源199と関連付けられた単一ビームコラムとして設けることにより、電子光学コラム111を、例えば放射源、エミッタ、及び電子光学要素などと互いに位置合わせすることがより容易に且つより迅速になり、また、例えば複数のビーム経路のコラムを有すること及びそれに関連する収差補正を有することという追加の複雑さが必要になることを回避することにより、電子光学コラム111全体に渡る均一性を高めることが、より容易に且つより迅速になる。
【0088】
[0109]
図13に示すように、一実施形態では、電子光学コラム111は検出器170を備える。検出器170は、
図3、
図6、
図8~
図12を参照して上述したようなものであってもよい。検出器170の詳細は、簡潔にするために以下では繰り返さないが、但し、検出器は、以下の位置、即ち、対物レンズアレイの下、対物レンズアレイの内部、対物レンズアレイに関連付けられ対物レンズアレイのアップビームに隣接する追加の電子光学レンズ電極に関連付けられた位置、及び/又は、コラム内の対物レンズアレイのアップビーム、に配置されてもよいことを注記しておく。
【0089】
[0110]
図15は、ビーム制限アパーチャ133を有する単一電子光学コラム111の放射源199の複数の電子エミッタ201を示す概略図である。なお、放射源199は、図示されていない抽出器132を含んでもよい。電子光学コラム111は、例えば、
図13又は
図14に示すタイプのものであってもよい。
図15に示す複数の電子エミッタ201のいずれも、電子光学コラム111用の電子ビームを放射してもよい、例えば、電子光学コラム111のエミッタのグループである。一実施形態では、電子光学コラム111には、少なくとも3個の、任意選択的に少なくとも9個の、任意選択的に少なくとも16個の、及び任意選択的に少なくとも100個の電子エミッタ201が設けられる。従って、電子エミッタ201を含む基板は、エミッタの複数のグループを含んでもよい。エミッタの各グループは、異なるコラムに対応する。一構成では、エミッタアレイ又は複数のエミッタ201のうちの単一のエミッタは、電子ビームを放射するように動作する。エミッタの1つのグループに対して、1つの抽出器が存在してもよく、又は、抽出器は、エミッタの1つのグループに関連付けられていて、そのグループのうちの1つのエミッタが、放射される電子ビームを提供するように選択されてもよい。別の構成では、エミッタの1つのグループからの複数のエミッタが、放射されるビームを提供するように動作するように選択されてもよい。
図15に示すように、電子エミッタ201の全てが、電子光学コラム111の軸に近いか又は近接している。
図15では、この軸は、一点鎖線で示されている。この軸は、電子ビームが通過する電子光学コラム111のアパーチャの中心を通る線に対応する。
【0090】
[0111] 例えば、
図15は、電子ビームが通過するアパーチャを有するビーム制限アパーチャ133を示す。ビーム制限アレイのアパーチャは、サンプル208に向けられる電子ビームの断面を規定するように構成される。一実施形態では、ビーム制限アパーチャ133は、サンプル208に向けて投影されることになる電子ビームの断面を選択するように構成される。ビーム制限アパーチャ133は、複数の電子光学コラム111に共通のプレート内に規定されてもよい。一実施形態では、ビーム制限アパーチャ133は、全ての電子光学コラム111に共通のプレート内に規定されてもよい。
【0091】
[0112]
図15に示すように、一実施形態では、軸から複数の電子エミッタ201の各々までの距離は、ビーム制限アレイ133によって規定される電子ビームの半径よりも小さい。一実施形態では、電子光学コラム111の軸から各電子エミッタ201までの距離は、ビームアパーチャ504の半径の0.1未満、任意選択的に0.01未満、及び任意選択的に0.001未満である。一実施形態では、全ての電子ビームは実質的にオンアクシスである。一実施形態では、エミッタの寸法が50nmの場合、500nmのビーム軸の範囲内に非常に多数、例えば約1000個のエミッタを配置することができるが、より実用的に制御可能な構成は、約10個、50個、又は100個のエミッタを有する。エミッタアレイのそのような構成は、動作するエミッタの選択を可能にし、放射された電子ビームにオフアクシス収差がある場合に、最小のものを示す。電子光学コラム111が単一ビームコラムである本発明の一実施形態は、電子ビームのオフアクシス収差への寄与を、防止しないにしても低減することが期待される。本発明の一実施形態は、電子ビームによって形成されるサンプル208上のビームスポットの位置における誤差を低減することが期待される。
【0092】
[0113] ビーム制限アパーチャ133は、一部の電子112がサンプル208に到達するのを防ぐように構成されている。遮断される電子112は、電子光学コラム111の軸からより離れている電子112である。一実施形態では、ビーム制限アパーチャ133は、ビーム制限アパーチャ133に導かれた電子112の少なくとも50%を遮断するように構成される。一実施形態では、ビーム制限アパーチャ133は、電子112の少なくとも80%、任意選択的に少なくとも90%、及び任意選択的に少なくとも95%を遮断するように構成される。ビーム制限アパーチャ133は、電子ビームの最大で50%、任意選択的に最大で20%、任意選択的に最大で10%、及び任意選択的に最大で5%が、ビーム制限アパーチャ133のダウンビームを通過するように構成される。ビーム制限アパーチャ133のダウンビームを通過する電子ビームの割合は、例えば、ビーム制限アパーチャ133のアパーチャの直径を選択することにより制御されてもよい。
【0093】
[0114] 本発明の一実施形態は、サンプル208に到達する電子112のエネルギーの広がりをより狭くするのを達成することが期待される。異なる電子が、サンプル208に到達する際に異なるエネルギー量を有することが、可能である。エネルギーの範囲がより狭いことが望ましい。電子が有するエネルギーの量は、少なくとも、電子エミッタ201から真空エネルギーに逃げるために持つことが必要とされるエネルギーの量である。このエネルギー量は、エスケープエネルギーと呼ばれることがある。電子のエスケープエネルギーは、半径方向の位置、即ち、電子ビームの中心からの距離、に部分的に依存する。ビーム制限アパーチャ133は、一般的に、中心に位置する電子が、サンプル208に導かれるように選択されるように、構成される。電子ビームの中心のみを使用することにより、電子112間のエネルギーの広がりが低減される。通常、ビームの中心部分、電子エネルギーは殆ど変動のない共通の値になる傾向がある。中心部分のサイズが低減すると、変動がさらに低減されることがある。
【0094】
[0115] 一実施形態では、コラムアレイ200は、半導体層のスタックとして形成される。本発明の一実施形態は、サンプル208に投影される電子ビームの数を拡大するのを容易にすることが期待される。一実施形態では、放射源アレイ131は、各電子源199が1つのコラムに割り当てられるように寸法決めされる。放射源アレイ内では、電子エミッタ201は、サンプル208のかなりの部分に渡って延在する。一実施形態では、放射源アレイ131は、電子源199がサンプルの実質的に全体に渡って延在するように寸法決めされる。従って、エミッタ201は、サンプルの実質的に全体に渡って延在する。一実施形態では、放射源アレイ131は、光軸に沿って見たときに、検査されるサンプル208と少なくとも同じくらいの大きさである。様々な異なるサイズのサンプル208を検査することができる。一実施形態では、サンプル208は、直径が300mm、又は任意選択的に450mmである。一実施形態では、放射源アレイ131は、直径が少なくとも300mm、又は少なくとも450mmである。代替の実施形態では、放射源アレイ131は、サンプル208よりも小さい。例えば、放射源アレイ131は、電子エミッタ201が、サンプル208(又はサンプルホルダ207)の直径の少なくとも10%、任意選択的に少なくとも20%、及び任意選択的に少なくとも50%に渡って延在するように、寸法決めされてもよい。一実施形態では、電子エミッタ201は、軸に対して垂直に少なくとも約30mmに渡って延在する。一実施形態では、電子源201は、軸に対して垂直に最大で約50mmに渡って延在する。
【0095】
[0116] 本発明の一実施形態は、サンプル208全体のサイズに、或いは他の任意のサイズ及び/又は形状に調整された電子ビームを提供することを容易にすることが期待される。一実施形態では、電子源199は、サンプル208の形状に合致するパターンで配置される。例えば、パターンは概ね円形であってもよい。放射源199間のピッチ及び/又は距離は、コラム111間のピッチ及び/又は距離に対応する。そのようなピッチは、20~500ミクロン、より好ましくは30~300ミクロン、又は更には50~200ミクロンの範囲内である。
【0096】
[0117] 一実施形態では、放射源アレイ131は、電子エミッタ201が形成されている単一の基板を含む。代替の実施形態では、放射源アレイ131は、互いに隣接して配置された複数の基板を含む。例えば、一実施形態では、光軸に垂直な方向に約100mmの寸法を有する複数の基板が、寸法が100mmよりも大きいサンプル208の上方に、互いに隣接して配置される。本発明の一実施形態は、サンプル208の表面のより大きな部分を同時に検査するのを容易にすることが期待される。本発明の一実施形態は、スループットを高めること、即ち、サンプル208つまりサンプル表面を検査するのに必要とされる時間を短縮することが期待される。
【0097】
[0118]
図13に示すように、一実施形態では、電子光学コラム111は対物レンズを備える。対物レンズは、少なくとも1つの静電電極を備えてもよい。一実施形態では、対物レンズは、例えば
図6を参照して上述したように、少なくとも2つの電極を備える。対物レンズは、静電対物レンズであってもよい。一実施形態の対物レンズは、3つの電極を備える。対物レンズは、電子ビームをサンプル208に向けるように構成される。対物レンズは、対物レンズアレイ118に含まれる。一実施形態では、対物レンズの静電電極は、複数の電子光学コラム111で共通である。一実施形態では、静電電極は、全ての電子光学コラム111で共通である。
【0098】
[0119] 検出器170は、サンプル208から放出された信号電子を検出するように構成される。一実施形態では、検出器170は、対物レンズアレイ118と関連付けられる。検出器170は、電子112のビーム経路において対物レンズアレイ118に隣接していてもよい。検出器170は、対物レンズアレイ118のすぐダウンビームにあってもよい。異なる実施形態では、検出器は、対物レンズアレイ118のアップビームに配置されてもよい。一実施形態では、検出器170は、対物レンズアレイ118と直接的に関連付けられる。検出器170及び対物レンズアレイ118は、1つのモジュール内に一緒に含まれていてもよい。一実施形態では、検出器170及び対物レンズアレイ118は、互いに一体化されている。
【0099】
[0120]
図13に示すように、一実施形態では、放射源アレイ131は、それぞれの電子ビームを放射するように構成された複数の電子源199を含む。コラムアレイ200は、放射源アレイ131の電子源199によって放射された対応するそれぞれの電子ビームをサンプル208に向けて投影するように構成された複数の電子光学コラム111を含む。
【0100】
[0121]
図13に示すように、一実施形態では、対物レンズは、サンプル208に向けられた電子ビームに影響を与えるように構成された電子光学コラム111の最もダウンビームの要素である。対物レンズは、サンプル208の近くにある。対物レンズアレイ118に関連付けられた検出器170は、対物レンズよりも更にダウンビームにあってもよい。検出器170は、サンプル208から放出された信号電子を検出する。検出器170は、サンプル208に向けられた電子ビームが、検出器170による影響を受けずに検出器170の位置を通過するように、構成される。複数の電子光学コラム111で共通の電極を有する対物レンズは、電子ビームの経路に沿ってサンプル208の近くにある。本発明の一実施形態は、対物レンズとサンプル208との間の距離を低減することが期待される。検出器がサンプルの近くにあると、コラムのビームによって生成された信号電子と他のコラムの検出器との間のクロストークを低減するのに役立つ。
【0101】
[0122] 一実施形態では、それらの電子源199は、実質的に互いに同じである電子ビームを生成するように構成される。異なる電子源201によって生成される電子ビーム間には、幾らかのばらつきが存在する可能性がある。一実施形態では、放射源アレイ131は、電子ビーム間のばらつきを低減するように構成された補正器を備える。補正器は、CMOSベースであってもよい。一実施形態では、電子光学コラム111の電子光学系は、異なる電子ビーム間のばらつきを補償するように構成される。
【0102】
[0123] 本発明の一実施形態は、電子源199とサンプル207との間の距離を低減することが期待される。例えば、電子ビームを分割する(即ち、それによりサブビーム又はビームレットを生成する)必要がないことにより、電子光学系を電子源199とサンプル208との間に収めるのに必要なスペースが小さくなる。電子源199は、サンプル208の非常に近くに配置することができる、即ち、コラムがマルチビームを投影した場合、及びコラムが、対応する放射源からの付随するビームから複数のサブビームを生成した場合の他の場合よりも近くに配置することができる。一実施形態では、電子源199は、サンプル208に到達する前に分割される電子ビームを生成する電子源と比べると、電子112のより低い電流を生成するように構成される。本発明の一実施形態は、電子ビーム内でのクーロン相互作用を低減することが期待される。本発明の一実施形態は、電子112を加速させるのに必要な電圧を低減することが期待される。例えば、一実施形態では、電子112は、数kV、例えば最大で約30kV、任意選択的に最大で約10kV、及び任意選択的に最大で約5kVなどまで加速される。しかしながら、代替の実施形態では、電子112は、1kV未満、例えば少なくとも約200V、及び任意選択的に少なくとも約500Vまで加速される。一実施形態では、電子112は、100eV~10keVの間、好ましくは300eV~3keVの間の着地エネルギーを有してもよい。本発明の一実施形態は、絶縁破壊の危険性を過度に高めることなく、設計の自由度を高めることが期待される。
【0103】
[0124]
図13に示すように、一実施形態では、電子光学コラム111は、アノードと呼ばれることがある抽出器132を備える。抽出器132は、電子源199からの放射を増加させるように構成される。一実施形態では、抽出器132は、電子エミッタ201とサンプル208との間にある。或いは、抽出器132は、電子源201に含まれていてもよい。一実施形態では、抽出器132は、荷電粒子、例えば電子、とは逆に帯電した電極を備える。一実施形態では、抽出器132の電極は、電子光学コラム111のグループで共通である。一実施形態では、抽出器132の電極は、全ての電子光学コラム111で共通である。一実施形態では、抽出器132の電極は、複数の又は全ての電子光学コラム111について同時に制御することができる。
【0104】
[0125]
図13に示すように、一実施形態では、電子光学コラム111は偏向器を備える。一実施形態では、偏向器は、電子光学コラム111の軸に垂直な方向に電子ビームを偏向させるように構成される。偏向器は、少なくともグループの電子光学コラム111用の偏向器の偏向器アレイ134に含まれてもよい。一実施形態では、偏向器は、全ての電子光学コラム111用の偏向器の偏向器アレイ134に含まれる。偏向器アレイ134の偏向器を制御して、マルチコラムアレイの異なるコラムのビームをコリメートしてもよく、その結果、偏向器アレイ134はコリメータアレイと呼ばれることがある。例えば、コリメータアレイは、ビーム経路が全て、サンプルに向かって実質的に平行になるように、ビームをコリメートしてもよい。偏向器アレイを制御して、サンプル表面の一部分に渡って、一方向に又は2つの直交する方向に、ビームを静電的に走査してもよい。
【0105】
[0126]
図14は、電子光学コラム111の代替のコラムアレイ200の概略図である。一実施形態では、
図14に示す電子光学コラム111は、
図13に示す構成に関連して上述した特徴の全てを含む。これらの特徴については、説明をより簡潔にするために、以下では再度の説明はしない。
図14に示すように、一実施形態では、電子光学コラム111は、少なくとも1つの集光レンズを特徴として備える集光レンズ機構141を備える。集光レンズ機構141は、電子源199とサンプル208との間にある。一実施形態では、集光レンズ機構141は、対物レンズアレイ118のアップビームにある。一実施形態では、集光レンズ機構141は、偏向器アレイ134のアップビームにある。一実施形態では、集光レンズ機構141は、アパーチャプレート135のアップビームにある。アパーチャプレート135は、ビームを制限しなくてもよい。集光レンズ機構141の集光レンズは、電子ビームに作用するように構成される。アパーチャプレート135内のアパーチャは、各電子ビームの中間焦点に又はそのまわりにあってもよい。
【0106】
[0127] 一実施形態では、集光レンズ機構141は、集光レンズ電極を含む。集光レンズ電極は、電極レンズのプレート電極であってもよい。集光電極は、複数の電子光学コラム111で共通であってもよい。一実施形態では、集光レンズ電極は、全ての電子光学コラム111で共通である。一実施形態では、集光レンズ機構141は、アップビーム集光電極142及びダウンビーム集光電極144などの複数の集光レンズ電極を備える。1つ以上のアップビーム集光電極142が、アップビーム集光レンズを規定してもよく、1つ以上のダウンビーム集光電極が、ダウンビーム集光レンズを規定してもよい。アップビーム集光電極142及びダウンビーム集光電極144は、電子源毎のビーム電流を変更するように構成されてもよい。集光レンズ機構141は、ビーム制限アパーチャであり得る集光アパーチャ143を含んでもよい。集光アパーチャ143は、特に、別のビーム制限アパーチャが存在しない構成において、ビームを成形してもよい。集光アパーチャ143は、アップビーム集光レンズとダウンビーム集光レンズとの間にある。一実施形態では、集光アパーチャ143は、少なくとも電子光学コラム111のグループの、集光アパーチャアレイ内に含まれ、このアレイの各アパーチャは、異なるコラムのビームに作用する。一実施形態では、集光アパーチャ143は、全ての電子光学コラム111用のアパーチャの集光アパーチャアレイ内に含まれる。一実施形態では、アップビーム集光電極142は、少なくとも電子光学コラム111のグループで共通である。一実施形態では、アップビーム集光電極142は、全ての電子光学コラム111で共通である。一実施形態では、ダウンビーム集光電極144は、少なくとも電子光学コラム111のグループで共通である。一実施形態では、ダウンビーム集光電極144は、全ての電子光学コラム111で共通である。代替の実施形態では、集光レンズ機構141について異なる構成が使用される。
【0107】
[0128]
図14に示すように、一実施形態では、集光レンズ機構141は、電子ビームを中間焦点146に集束させるように構成される。中間焦点146は、集光レンズ141とサンプル208との間にある。一実施形態では、複数の電子光学コラム111の中間焦点146は、共通の中間焦点面147内に設けられる。中間焦点面は、全ての電子光学コラム111で共通であってもよい。一実施形態では、中間焦点146は、コラムモジュールが機械的に最適ではない態様で位置合わせされている場合に、望ましくは、例えばビーム経路を真っ直ぐにする際に、例えば中間焦点146のアップビーム及びダウンビームのコラムモジュールのアライメントに取り組むために、アパーチャプレート135と偏向器アレイ134との間にある。電子ビームは、中間焦点146と対物レンズアレイ118との間で発散してもよい。電子ビームが中間焦点146を有することは必須ではない。代替の実施形態では、集光レンズ141は、対物レンズアレイ118に向けられた電子ビームをコリメートするように構成される。
【0108】
[0129]
図14に示すように、一実施形態では、電子光学コラム111は個別のビーム補正器を備える。個別のビーム補正器は、電子ビームの特性を補正するように構成される。一実施形態では、個別のビーム補正器は、電子光学コラム111の少なくともグループ用のビーム補正器アレイ145内に含まれる。ビーム補正器アレイ145は、電子ビームに対して個別のビーム補正を提供するように構成されてもよい。個別のビーム補正とは、電子ビームのアライメントの補正、及び/又は電子ビームの電流の最適化であってもよい。例えば、ビーム補正器アレイ145のビーム補正器は、それぞれの電子ビームのアライメントを改善するか又は更には補正してもよく、それにより、電子ビームの経路が、アパーチャプレート135のそれぞれのアパーチャを通るようになる。一実施形態では、個別のビーム補正器は、全ての電子光学コラム111用のビーム補正器アレイ145内に含まれる。一実施形態では、個別のビーム補正器は、例えば、非点収差及び/又は相対的なビームアライメントの、補正を提供するように構成される。
【0109】
[0130] 従って、アパーチャプレート135の機能は、中間焦点が形成されるべき場所に規定されてもよい。アパーチャプレート135の位置決めにより、それぞれの電子光学コラム111の上側部分と、それぞれの電子光学コラム111の底部部分との互いに対するアライメントが容易になってもよい。このアライメント機能は、電子光学コラムが2つのモジュール(例えば、底部部分及び上側部分)からなり、望ましくは、アパーチャプレート135が、底部モジュールの最もアップビームの電子光学要素である場合、又は、電子光学コラムが単一のジュールであり、底部部分の電子光学要素はスタック状に一緒に固定され、従って底部部分内部のミスアライメントが制限されている場合に、望ましいことがある。例えば、底部部分の電子光学要素は、糊などの接着剤で一緒に取り付けられている。
【0110】
[0131]
図14に示すように、一実施形態では、個別のビーム補正器は、集光レンズ機構141のすぐダウンビームに配置され、一構成では、集光レンズ機構141と一体化されている。
図14に示すように、一実施形態では、個別のビーム補正器は、アパーチャプレート135のアップビームに配置される。代替の実施形態では、個別のビーム補正器は、偏向器アレイ134のすぐダウンビームに配置される。別の構成では、個別のビーム補正器は、例えば、偏向器アレイ134が個別のビーム補正器及び偏向器アレイ134の機能を有するように、偏向器アレイ134と一体化される。これらの位置が選択されるのは、収差が集光レンズ機構内で発生するとすぐに、又は、補正により更なる収差が引き起こされる可能性が最も低い中間焦点ではないにしても、その付近で、収差を補正することが有益であるからである。
【0111】
[0132]
図14に示すように、一実施形態では、各電子光学コラム111は複数の個別のビーム補正器を備える。個別のビーム補正器は、ビーム経路内で一緒にグループ化されてもよい。個別のビーム補正器は、電子ビームの異なる特性を補正するためのものであってもよい。一実施形態では、個別のビーム補正器は、多極偏向器を備える。多極偏向器は、MEMS技術を使用して製造されてもよい。一実施形態では、製造プロセスは、二極互換であるか、又はCMOS技術を使用し、ローカルの電子機器を組み込むことを可能にし、例えば、標本化及び保持機能を可能にする。多極は、4つの極を有する四極であってもよい。或いは、多極は、例えば8個又は12個の極を含んでもよく、又は、例えば4の倍数などの任意の適切な数の極を含んでもよい。一実施形態では、多極偏向器は、実質的に平面状の基板を含み、この基板は、行及び列に規則的に配置された貫通開口のアレイを備えている。貫通開口は、この平面状の基板の表面を実質的に横断して延在し、少なくとも1つの電子ビームを通過させるように配置される。
【0112】
[0133] 一実施形態では、多極は、対応する分圧器と関連付けられる。分圧器は、電圧を多極の電極に分配するように構成される。一実施形態では、電子制御回路が多極偏向器に関連付けられる。電子制御回路は、特に平面状の基板の非ビームエリア上に、貫通開口に隣接して配置された集積回路を含んでもよい。電子制御回路の上に絶縁層が設けられてもよく、その絶縁層の上に電極層が配置されてもよい。電子制御回路は、多極偏向器の電極を制御して、例えば、ビーム経路の周りの多極のアパーチャに渡って均一な電場を提供して、対応するビームに作用させるように構成される。
【0113】
[0134]
図13又は
図14には図示していないが、一実施形態では、各電子光学コラム111は制御レンズアレイを備える。制御レンズアレイは、対物レンズアレイ118のアップビームにある。制御レンズアレイは、対物レンズアレイ118と関連付けられる。制御レンズアレイは、電子ビームの少なくとも1つのパラメータを制御するように構成される。例えば、制御レンズアレイは、電子ビームの着地エネルギーを制御するように構成されてもよい。一実施形態では、制御レンズアレイは、複数の制御レンズを含む。各制御レンズは、それぞれの電位源に接続された少なくとも2つの電極(例えば、2つ又は3つの電極)を含む。
【0114】
[0135] 一実施形態では、各電子光学コラム111は複数の電子エミッタ201を備える。そのような構成では、特定の電子光学コラムに関連付けられた放射源199は、電子光学コラム111の一部とみなされるか、又は更には構造上の一部であるが、必ずしもこの限りではない。一実施形態では、電子エミッタ201は選択可能に構成され、その結果、電子源199の電子エミッタ201のサブセットを選択して、電子ビームをサンプル208に向けて放射することができる。電子エミッタ201を、放射源199及びその関連する電子光学コラム111に電子ビームを提供するように選択可能であるようにすることにより、電子エミッタ201に幾らかの冗長性が生まれる。本発明の一実施形態は、電子光学コラム111が機能する信頼性を高めることが期待される。歩留まりエラーに起因して、放射源アレイ131内には期待以下の性能の電子エミッタ201が存在する場合がある。冗長性を提供することにより、期待以下の性能のエミッタが、装置に悪影響を及ぼす可能性が低くなる。
【0115】
[0136] 電子エミッタ201を選択するには、様々な方法がある。一実施形態では、電子エミッタ201は、選択された電子エミッタ201を動作させる(即ち、オンにする)ことにより選択可能であるように構成される。一実施形態では、各電子エミッタ201は、個別にオン及びオフになるように制御可能であるように構成される。
【0116】
[0137] 一実施形態では、電子エミッタは、選択されたエミッタから電子光学コラム111内のビーム経路に向けて電子ビームを偏向させることにより、選択可能である。この選択は、コラム111の電子光軸に沿って放射源199からのビームを偏向させるように構成された偏向器(図示せず)の機構によって、達成されてもよい。例えば、1コラム毎に約10個の放射源がある場合、放射源間の距離は小さく、ビームの経路の偏向は十分に小さくなるので、比色収差などの収差は有意には持ち込まれない。一実施形態では、電子光源209は、偏向器を含んでもよい。偏向器は、アレイ状、例えば偏向器アレイになっていてもよい。偏向器は、エミッタと関連付けられてもよい。偏向器は、エミッタによって放出された電子を偏向させ、電子の経路が電子光学コラム111の軸に沿った方向になるように構成される。次いで、放射源アレイ内のある放射源のエミッタ又は選択されたエミッタによって放射された電子ビームは、電子光学コラムの軸に向けられてもよい。
【0117】
[0138]
図5に示すように、一実施形態では、電子光学コラム111は、光軸に沿って見たときに、コラムアレイ200内に、あるパターンで配置される。このパターンは格子であってもよい。例えば、
図5に示すように、このパターンは直線の格子であってもよい。別の配置では、このパターンは、六角形であってもよい。格子は、不規則であってもよく、斜めに歪んでいたり、シフトされていたり、又はオフセットされていてもよい。或いは、このパターンは、六角形、即ち、電子光学コラム111の行が、交互に、同じ行の隣接する電子光学コラム間のピッチの半分だけオフセットされている形状、であってもよい。
【0118】
[0139] 一実施形態では、電子源199、又は少なくともその電子ビーム経路は、光軸に沿って見たときに、放射源アレイ131内に、あるパターンで配置される。このパターンは格子であってもよい。例えば、このパターンは、不規則であってもよい直線の格子又は六角形の格子であってもよい。或いは、そのような六角形のパターンは、例えば、電子源199の行が、交互に、同じ行の隣接する電子源199間のピッチの半分だけオフセットされていて、規則的であってもよい。電子源は、斜めに歪んだ六角形の格子状に配置されてもよい。そのような斜めに歪んだ又はオフセットされたパターンが望ましい場合がある、というのも、これは、電子光学コラムの各ビームの経路が、サンプル上で別のビームの経路と部分的に重なる経路となるのを確実にするように助けることがあるからである。しかしながら、放射源アレイの全ての経路は異なっていてもよい。そのような構成は、冗長性を可能にするので、有益であってもよい。ある放射源が故障した場合、故障した放射源の寄与は、放射源アレイ131の他の放射源によって引き継がれる。
【0119】
[0140] 一実施形態では、同じ電子光学コラム111に対応する電子エミッタ201間のピッチは、電子光学コラム111間のピッチよりもはるかに小さくてもよい(というのも、例えば、放射源のグループの位置は、導出されるビームの直径の小さな割合の範囲内だからである)。同じ電子光学コラム111に対応する電子エミッタ201は、ビーム経路の周りに六角形に配置されてもよい。電子源199は、斜めに歪んだ六角形の格子状に配置されてもよい。
【0120】
[0141] このパターンは、電子エミッタ201の複数のグループを含んでもよく、各グループは、電子光学コラム111のうちの1つ及び/又は対応する放射源199に対応する。一実施形態では、1つの放射源199、又は電子エミッタの1つのグループは、少なくとも10個、任意選択的に少なくとも20個、及び任意選択的に少なくとも50個の電子エミッタ201を含む。一実施形態では、1つの放射源199は、最大で150個、任意選択的に最大で100個、又は任意選択的に最大で50個及び任意選択的に少なくとも20個の電子エミッタ201を含む。一実施形態では、エミッタ201のグループは、電子エミッタが設けられていない領域、即ち、エミッタの無い領域によって間隔をあけられている。代替の実施形態では、電子エミッタ201は、放射源アレイ131の規則的な間隔で配置され、そのようなエミッタ201又は特定の数のエミッタは、放射源アレイ131の表面に渡って規則的に間隔をあけられている。
【0121】
[0142]
図16は、コラムアレイ200の電子光学コラム111の配置の光軸に沿った概略図である。一実施形態では、電子ビーム装置40は、サンプルホルダ207及び電子光学コラム111が、走査方向161に互いに対して移動可能であるように、構成される。走査方向161は、光軸に対して垂直である。電子ビーム装置40の使用中、サンプルホルダ207は、電動ステージ209の動作によって動いてもよい。これに加えて又はその代わりに、コラムアレイ200が、光軸に垂直な方向に機械的に移動してもよい。電子光学コラム111は、走査経路に沿って、サンプル208に対して移動される。一実施形態では、走査経路は、直線の部分を含む。走査経路は、複数の直線部分が曲がり部によって結合されている蛇行を含んでもよい。直線部分は、互いに平行であってもよい。直線部分は、走査プロセス中に、サンプル208の表面全体が、複数の電子光学コラム111のうちの少なくとも1つのコラムの視野内に含まれるように、ある距離だけ互いから離れていてもよい。
【0122】
[0143]
図16は、例えば
図13又は
図14に示したような電子光学コラム111が配置されるパターンを概略的に示す。
図16に示すように、この配置は直線の格子であってもよい。或いは、六角形の格子配置が使用されてもよい。そのような格子は、オフセットされていたり、シフトされていたり、又は斜めに歪んでいたりなど、不規則であってもよい。一実施形態では、電子光学コラム111は、平行なライン状に配置される。
図16では、3つの平行なラインが示されており、各ラインは3つの電子光学コラム111を含む。各ラインにおける電子光学コラム111の数は、少なくとも10個、任意選択的に少なくとも100個、及び任意選択的に少なくとも1000個であってもよい。平行なラインの数は、少なくとも10本、任意選択的に少なくとも100本、及び任意選択的に少なくとも1000本であってもよい。
【0123】
[0144]
図16に示すように、一実施形態では、平行なラインは、走査方向161に対して斜角αをなしている。格子のそのような斜角は、格子が不規則になるのを引き起こすことがある。平行なラインが走査方向161に対して斜角αをなすようにすることにより、走査技術に冗長性を持ち込むことができる。斜角αは、複数の電子光学コラム111が垂直軸(即ち、電子ビームの方向に平行な軸)の周りにアライメント回転することによって形成される電子ビームのアレイに対応する。電子光学コラム111が配置される格子は、走査方向161に対して斜めに歪んでいる。一実施形態では、斜角αは少なくとも1°、任意選択的に少なくとも2°、任意選択的に少なくとも5°、任意選択的に少なくとも10°、及び任意選択的に少なくとも20°である。一実施形態では、斜角αは最大で20°、任意選択的に最大で10°、任意選択的に最大で5°、任意選択的に最大で2°、及び任意選択的に最大で1°である。従って、走査中、コラムアレイの下のサンプルの経路は、サンプルの表面に渡るビームの経路が互いに整列し、サンプル表面の領域が走査されるようなものである。即ち、表面上でのビームの経路は、コラムアレイ内の別のビームの経路と重ならない。ビームアパーチャ504は、ある走査におけるビーム経路間の重なりを低減するか又は回避するように、走査方向161に対して配置され位置合わせされる。ある走査におけるビーム経路間には、幾らかの(しかし完全にではない)重なりが存在してもよい。
【0124】
[0145] 一実施形態では、電子ビーム装置40は、コントローラ50であって、それぞれの電子ビームの閾値電流密度未満の電子がそれぞれのビーム制限アパーチャ133を通過するように、それぞれの電子ビームをそれぞれのビーム制限アパーチャ133によって成形するように、電子光学コラム111を選択的に制御するように構成されたコントローラ50を備える。これは、例えば
図13に示されている。電子ビームの電子の電流の一部分が、ビーム制限アパーチャ133を通過するのを妨げられるように、電子ビームが成形される。電子ビームの電子の一部分が、サンプル208に到達するのを妨げられる。ビーム制限アパーチャ133を通過する電子ビームの電子の割合は、最大で50%、任意選択的に最大で35%、任意選択的に最大で20%、任意選択的に最大で10%、任意選択的に最大で5%、任意選択的に最大で2%、及び任意選択的に最大で1%であってもよい。
【0125】
[0146] 一実施形態では、コントローラ50は、電子ビームの少なくとも一部分の少なくとも閾値電流密度の電子がそれぞれのビーム制限アパーチャ133、143を通過するように、電子光学コラム111を選択的に制御するように更に構成される。これは、例えば
図17に示されている。一実施形態では、電子ビームの実質的に全てが、ビーム制限アパーチャ133を通過する。或いは、電子の電流の一部分が遮断されてもよい。それにも関わらず、フラッディングのために十分な電流の電子が、ビーム制限アパーチャ133を通過する。フラッディングとは、サンプル208を検査する前に、サンプル208の表面上に電子ビーム電荷を堆積させることである。フラッディングは、サンプル208の欠陥検査においてコントラストを高めるのに役立つことができる。例えば、フラッディングは、例えば余分な電荷をサンプル208に供給することにより、結果的に得られる画像のコントラストを改善するのに役立つことができる。従って、フラッディングは、結果的に得られる画像のコントラストの範囲を広げるのを助ける。サンプル208上の余分な電荷は、一次ビームの付随的な電子間の相互作用の機会を増やし、従って、検出のための信号粒子の放出の機会を増やす。信号粒子の生成の機会が増えると、検出の機会が増え、検出信号が大きくなる。信号粒子の検出率が増加した場合、信号がより強くなる可能性が高く、画像のコントラストがより大きくなり、画像から特定のタイプの情報を取得しやすくなる。コントラストがより高いと、欠陥を判別するのに役立つことができる。より低いコントラスト設定で得られた画像と比べると、追加の情報が、結果として得られる画像から取得されることがある。コントラスト設定が異なると、異なる情報を画像から導き出すことができる。このようにして、コントラスト範囲に渡ってコントラストを変化させると、特定のコントラスト設定での画像からよりも、より広範な情報を得ることが可能になる。従って、画像のコントラストを高める能力により、ある種の欠陥を発見するのがより容易になる。電圧コントラストに基づく検査のためには、高密度のフラッディングが必要である。ビーム制限アパーチャ133を通過する電子ビームの電子の割合は、少なくとも2%、任意選択的に少なくとも5%、任意選択的に少なくとも10%、任意選択的に少なくとも20%、任意選択的に少なくとも50%、任意選択的に少なくとも80%、任意選択的に少なくとも90%、任意選択的に少なくとも95%、及び任意選択的に実質的に100%であってもよい。
【0126】
[0147] コントローラ50は、ビーム制限アパーチャ133を通過する電子ビームの割合を制御するように、電子光学コラム111を制御するように構成される。コントローラ50は、
図13及び
図17に示すように、電子光学コラム111を選択的に制御して電子ビームを制御するように構成される。一実施形態では、コントローラ50は、
図13と
図17に示す設定との間で切り替わるように構成される。一実施形態では、コントローラ50は、電子光学コラム111を制御して、
図13に示すモード(例えば、検査又は評価に適したモード)、又は
図17に示すモード(例えば、フラッディングに適したモード)で動作するように構成される。
【0127】
[0148] なお、
図17は、隣接する異なる電子光学コラム111の1つ以上の共通の要素が、同じ要素で形成されている実施形態を示す。例えば、対物レンズの全ての電極でないにしても少なくとも1つの電極が、対物レンズアレイ118の少なくとも1つの電極で共通である。ビーム制限アパーチャ133は、例えば、2つ以上の電子光学コラム111、例えば全ての電子光学コラム111で共通のプレート内のアレイに属していてもよい。電子光学コラム111の1つ以上の他の要素が、共通の要素を有してもよい。
【0128】
[0149] 一実施形態では、コントローラ50は、電子装置40を制御してサンプル208の表面のフラッディングを行うように構成される。コントローラ50は、サブビームの少なくとも閾値電流密度である少なくとも一部分がそれぞれのビーム制限アパーチャ133を通過する場合に、電子装置40を制御して、サンプル208の表面をフラッディングさせる。電子装置40は、フラッディング動作モードを有するように構成される。一構成では、例えばAEEDエミッタなどの本明細書で開示するようなケイ素ベースのエミッタなどの半導体ベースのエミッタの場合、検査ビーム電流は、サンプル208の表面の少なくとも一部分をフラッディングさせるのに十分であってもよい。即ち、サブビームの電流密度は、少なくとも閾値電流密度である。一構成では、電流密度は、閾値電流密度に達するか又は上回ってもよいが、フラッディングモード中にサンプル表面の一部分を所望の通りにフラッディングさせるためには、例えばサブビームと表面との間の相対的な走査中の滞在時間は、検査モード中よりも長くなってもよい。フラッディングモードの別の構成では、サンプル表面におけるビーム電流(又はプローブ電流)を増加させて、所望の閾値電流密度を満足させるか又は上回らせる。フラッディングモード中にビーム電流を増加させることを含む理由は、例えば、プローブスポットの仕様などの様々な要因に依存してもよい。以下の説明では、ビーム電流が、閾値電流密度に達するか又は上回るために増加される必要がある場合の構成について検討する。
【0129】
[0150] 一実施形態では、検査のために用いられるのと同じ一次電子ビームが、フラッディングのために使用される。本発明の一実施形態は、検査に使用される電子光学コラム111とは別個のフラッディング用の電子光学コラムを必要とせずに、フラッディングを実現することが期待される。フラッディングと検査との両方に同じ電子光学コラム111を使用することにより、フラッディングを受けたサンプル208の表面の検査を実施するために、電子光学コラム111を基準にしてサンプル208を動かすことは、殆ど又は全く必要ではなくなる。高いコントラストでサンプル208を検査するために、電子光学コラム111を基準にしてサンプル208を動かすのに必要な時間が、より短くなる。本発明の一実施形態は、フラッディングを伴う検査を実施するのに必要とされる時間を短縮することにより、スループットを高めることが期待される。
【0130】
[0151] サンプル208上の電子の電流は、電子ビームの少なくとも閾値電流密度である少なくとも一部分がそれぞれのビーム制限アパーチャ133を通過する場合には、電子ビームがそれぞれのビーム制限アパーチャ133によって成形される場合よりも、大きくなる。それぞれのビーム制限アパーチャ133による電子ビームのそのような成形は、各それぞれのビームの閾値電流密度未満の電子が、それぞれのビーム制限アパーチャ133を通過することを決定する。
【0131】
[0152]
図13及び
図17に示すように、一実施形態では、各電子光学コラム111は検出器170を備える。検出器170は、サンプル208から放出された信号電子を検出するように構成される。一実施形態では、コントローラ50は、電子ビーム装置40を制御するように構成される。コントローラ50は、それぞれの電子ビームがそれぞれのビーム制限アパーチャ133によって成形される場合に、サンプル208によって放出された信号電子を検出するように動作するように、電子ビーム装置40を制御する。そのように成形されるそれぞれの電子ビームは、それぞれのビーム制限アパーチャ133によって成形され、その結果、それぞれの電子ビームの閾値電流密度未満の電子が、それぞれのビーム制限アパーチャ133を通過するようになる。
【0132】
[0153] 閾値電流密度は、フラッディング閾値と呼ばれることもある。一実施形態では、閾値電流密度は、各電子ビームの閾値電流密度未満の電子がそれぞれのビーム制限アパーチャ133を通過するように、電子ビームがそれぞれのビーム制限アパーチャ133によって成形される場合、電子ビームの電流の少なくとも3倍である。フラッディング電流密度は、検査電流の少なくとも3倍である。任意選択的に、フラッディング電流は、検査電流の少なくとも5倍、任意選択的に少なくとも10倍、及び任意選択的に少なくとも20倍である。(なお、フラッディング電流がより高くても、検査用の電流密度はより高くなる可能性がある、というのも、プローブスポットが非常に小さいので、はるかに小さなエリアを飛び越すからである。一方、フラッディングは、関心領域全体に渡るが、プローブスポットに比べた電流密度は依然として低くなる。)
【0133】
[0154] 一実施形態では、フラッディングは、複数の電子ビームを使用して同時に実施される。これは、単一のフラッディングビームを使用することがある他のシステムとは対照的である。複数の電子ビームを同時に使用することにより、サンプル208と電子光学コラム111との間の相対的移動に必要とされる速度が低減される。本発明の一実施形態は、電動ステージ209の設計要件を緩和することが期待される。
【0134】
[0155]
図13及び
図17に示すように、一実施形態では、各電子光学コラム111は、複数の電子光学コラム111で共通の、好ましくは複数の電子光学コラム111のうちの少なくとも一部分で共通の、抽出器132を備える。抽出器132は、放射源に含まれていてもよい。放射源は、それぞれの電子光学コラム111の一部であってもよい。抽出器132は、エミッタ201とビーム制限アパーチャ133との間に配置される。一実施形態では、コントローラ50は、対応する電子ビームがそれぞれのビーム制限アパーチャ133によって成形される範囲を制御するように、エミッタ201からビーム制限アパーチャ133に向かう対応する電子ビームの開き角を制御するように、抽出器132に印加される電圧を制御するように構成される。これは、
図13と
図17を比較すると分かる。
図13は、より広い開き角を示しており、これにより、より小さな割合の電子ビームが、ビーム制限アパーチャ133を通過するようになる。
図17は、より狭い開き角を示しており、これにより、より大きな割合の電子ビームが、ビーム制限アパーチャ133を通過するようになる。
【0135】
[0156]
図21は、
図13及び
図17に示した電子ビーム装置40の修正版を示す。
図21に示すように、一実施形態では、各電子光学コラム111は、複数の電子光学コラム111で共通の、好ましくは複数の電子光学コラム111のうちの少なくとも一部分で共通の、開き角電極190を備える。開き角電極190は、エミッタ201とビーム制限アパーチャ133との間に配置される。開き角電極190は、抽出器132とビーム制限アパーチャ133との間に配置される。一実施形態では、コントローラ50は、対応する電子ビームがそれぞれのビーム制限アパーチャ133によって成形される範囲を制御するように、エミッタ201からビーム制限アパーチャ133に向かう対応する電子ビームの開き角を制御するように、開き角電極190に印加される電圧を制御するように構成される。開き角電極190は必須ではない。ビーム制限アパーチャ133に向かう電子ビームの開き角を制御する機能は、抽出器132によって実施されてもよい。
【0136】
[0157] 一実施形態では、コントローラ50は、電子光学コラム111を制御して、ビーム制限アパーチャ133における電子ビームの断面を縮小するように構成される。これは、
図13と
図17を比較すると分かる。
図17では、コントローラ50は、電子光学コラム111を制御して、それぞれの電子ビームを集束させて、ビーム制限アパーチャ133における断面を(
図13に示した状況と比べて)縮小させる。これにより、ビーム制限アパーチャ133を通過する電子ビームの電流の割合が増加する。
【0137】
[0158]
図17に示すように、全ての電子ビームを制御して、フラッディングを実施するようにサンプル208に到達する電流の割合を増加させてもよい。代替の実施形態では、複数の電子ビームの全てではなくともその一部分を制御して、フラッディングを実施する。
【0138】
[0159] 検査モード(例えば、
図13)とフラッディングモード(例えば、
図17)との間で切り替わるコントローラ50は、
図13及び
図17に示したもの以外の実施形態に適用可能である。例えば、
図14は、検査モードであってもよい電子ビーム装置40を示す。
図18は、異なる態様で動作する
図14の構成を示す。
図18は、フラッディングモードにおける
図14に示す電子ビーム装置40を示す。なお、
図14の電子ビーム装置の場合、フラッディングモードは、最大のビーム電流において達成され、電子ビーム装置のこの設計の場合、最大のビーム電流の設定は、検査のためにも使用されてもよいことに留意されたい。フラッディングモードは、検査設定を調整したものである。
【0139】
[0160]
図18に示すように、コントローラ50は、フラッディング電流が集光アパーチャ143のビーム制限アパーチャとアパーチャプレート135のアパーチャとを通過するように、電子光学コラム111を制御してそれぞれの電子ビームを集束させるように構成されてもよい。
図18に示すように、集光レンズ機構141のダウンビームに投影された電子ビームの実質的に全てが、アパーチャプレート135を通過する。
図14に示す状況では、より小さな割合の電子ビームが、ビーム制限アパーチャ143を通過する。一実施形態では、コントローラ50は、ビーム制限アパーチャ143を通過する電子ビームの割合を制御するために、抽出器132に印加される電圧を制御するように構成される。これに加えて又はその代わりに、追加の開き角電極(
図14又は
図18には図示せず)を、抽出器132とビーム制限アパーチャ143との間に設けてもよい。コントローラ50は、ビーム制限アパーチャ143を通過する電子ビームの割合を制御するために、開き角電極に印加される電圧を制御するように構成されてもよい。これに加えて又はその代わりに、コントローラ50は、ビーム制限アパーチャ143を通過する電子ビームの割合を制御するために、集光レンズ機構141の1つ以上の電極に印加される電圧を制御するように構成されてもよい。
【0140】
[0161] なお、
図18は、隣接する異なる電子光学コラム111の1つ以上の共通の要素が、同じ要素で形成されている実施形態を示す。例えば、対物レンズの全ての電極でないにしても少なくとも1つの電極が、対物レンズアレイ118の少なくとも1つの電極で共通である。アパーチャプレート135は、例えば、2つ以上の電子光学コラム111、例えば全ての電子光学コラム111で共通のプレート内のアレイに属していてもよい。ビーム制限アパーチャ143は、例えば、2つ以上の電子光学コラム111、例えば全ての電子光学コラム111で共通のプレート内のアレイに属していてもよい。
【0141】
[0162]
図19は、電子光学コラム111のコラムアレイ200のダウンビーム表面の端面図である。複数の捕捉電極405はそれぞれ、ビームアパーチャ406を取り囲んでいる。捕捉電極405は、信号電極を検出し、検出信号、この場合には電流、を生成するセンサユニット又は検出器170の例と見なすことができる。
図19に示す構成では、ビームアパーチャ406は、六角形のアレイで示されている。ビームアパーチャ406は、異なる配置、例えば矩形のアレイ状とすることもできる。
【0142】
[0163]
図19に示すように、一実施形態では、電子ビーム装置40は複数のフラッディングコラム192を備える。フラッディングコラム192は、それぞれのフラッディング電子ビームをサンプル208に向けて投影するように構成されている。各フラッディングコラム192は、フラッディングビームをサンプル208に向けて放射するように構成された少なくとも1つの電子エミッタを備える。一実施形態では、各フラッディングコラム192は複数のエミッタを備える。電子エミッタは、放射源アレイ内に含まれる。フラッディングコラム192は、電子光学コラム111よりも大きな電子電流をサンプル208に投影するように構成される。
【0143】
[0164] 一実施形態では、フラッディングコラム192は、フラッディング電流(即ち、少なくとも閾値電流密度)の電子をサンプル208に投影するように構成される。一実施形態では、コントローラ50は、フラッディングが行われるべきときには、フラッディングコラム192を制御してフラッディングビームを投影するように構成される。検査が行われるべきときには、コントローラ50は、フラッディングコラム192を制御して、フラッディングビームをオフにしてもよい。
【0144】
[0165]
図19に示すように、一実施形態では、フラッディングコラム192は、検査のために使用される電子光学コラム11よりも小さな断面を有する。フラッディングコラム192を設けることにより、フラッディングを実施するのに必要とされる制御を簡素化することができる。
【0145】
[0166] 一実施形態では、コントローラ50は、電動ステージ209を制御してサンプル208とコラムアレイ200との間の移動を制御するように構成される。この移動は、検査のためにサンプル208のターゲットエリア上に配置されるフラッディングコラム192と電子光学コラム111とを切り替えるように行われてもよい。相対的な移動は、フラッディングコラム192から電子光学コラム111までのピッチに対応してもよい。
図19に示すように、一実施形態では、フラッディングコラム192は電子光学コラム111の間に散在している。本発明の一実施形態は、フラッディングモードと検査モードとの間の移動を低減することが期待される。
【0146】
[0167]
図19に示すように、一実施形態では、フラッディングコラム192は、それぞれの電子光学コラム111に隣接して配置される。一実施形態では、フラッディングコラム192のピッチは、電子光学コラム111のピッチと同様である。例えば、電子光学コラム111は格子状に配置されてもよい。フラッディングコラム192は、フラッディングコラム192が、少なくとも2つの隣接する電子光学コラム111間に、好ましくは実質的に等距離に配置されるパターンで、配置されてもよい。一実施形態では、フラッディングコラム192は、2つの隣接する電子光学コラム111間のラインに沿って配置されてもよい。
【0147】
[0168]
図20は、フラッディングコラム192の配置が異なる、コラムアレイ200の端面図を示す。
図20に示すように、一実施形態では、フラッディングコラム192は、フラッディングコラム192が、少なくとも3つの隣接する電子光学コラム111間に位置するパターンで配置される。この3つ隣接する電子光学コラム111は、3つの最近傍電子光学コラム111と呼ばれることがある。フラッディングコラム192は、3つの隣接する電子光学コラム111のうちの少なくとも2つ、更には3つの間に実質的に等距離に配置されることが好ましい。フラッディングコラム192は、2つの隣接する電子光学コラム111間のラインに沿って配置されてもよい。その代わりに、フラッディングコラム192は、2つの隣接する電子光学コラム111間のラインから離れて配置されてもよい。2つの隣接するフラッディングコラム192間の距離は、2つの隣接する電子光学コラム111間の距離と実質的に同じであってもよい。一実施形態では、いずれの隣接する電子光学コラム111とフラッディングコラム192との間の距離も、実質的に同じであってもよい。
【0148】
[0169]
図19及び
図20を参照したこの説明は、隣接する電子光学コラムに対するフラッディングコラム192の位置決めに言及している。その代わりに、図示した構成、及びこれらの図に関連した説明の範囲内の相違点は、フラッディングコラム192に対する電子光学コラム111の位置決めに言及する形で説明されてもよい。
【0149】
[0170] 一実施形態では、フラッディングコラム192は、電子光学コラム111の格子に似た格子で配置され、フラッディングコラム192は、
図19に示すように、電子光学コラムの格子における2つの隣接する電子光学コラム間のラインに沿うように、電子光学コラム11の格子を基準にしてオフセットされている。一実施形態では、フラッディングコラム192は、電子光学コラム111の格子と同様の格子状に配置される。フラッディングコラム192は、
図20に示すように、同様の変位範囲内で間隔をおかれた3つの隣接する電子光学コラム111を有するように、電子光学コラム11の格子を基準にしてオフセットされている。
【0150】
[0171] 一実施形態では、電子ビーム装置40は、直交する作動方向190、191に電子光学コラム11を基準にしてサンプルホルダ207を作動させるように構成されたアクチュエータ(例えば、電動ステージ209に含まれる)を備える。一実施形態では、フラッディングコラム192は、作動方向190、191のうちの少なくとも一方の方向に、それぞれの電子光学コラム111を基準にして配置される。電子光学コラム11を基準にしたフラッディングコラム192の位置を作動方向と一致させることにより、フラッディング位置と検査位置との間でサンプル208を移動させるために、1つのアクチュエータのみが必要になってもよい。
【0151】
[0172] 例えば、
図19に示すように、フラッディングコラム192は、
図19の図では左から右である作動方向190に、それぞれの電子光学コラム111を基準にして配置されてもよい。これに加えて又はその代わりに、
図20に示すように、フラッディングコラム192は、
図20の図では上下である作動方向191に、それぞれの電子光学コラム111を基準にして配置されてもよい。
【0152】
[0173] 一実施形態では、フラッディングコラム192の数は、電子光学コラム111の数以下である。電子光学コラム11に対するフラッディングコラム192の比率は、任意選択的に少なくとも0.5、任意選択的に少なくとも0.8、任意選択的に少なくとも0.9、任意選択的に少なくとも0.95、及び任意選択的に1である。電子光学コラム111よりも少ないフラッディングコラム192が設けられる場合、各フラッディングコラム192は、複数の電子光学コラム111に対して使用されてもよい。各フラッディングコラム192を使用して、複数の電子光学コラム111が検査することになる場所に対応するサンプル208の表面をフラッディングさせることができる。電子光学コラム111を基準にしてサンプル208を更に移動させる必要があってもよい。
【0153】
[0174]
図22は、電子光学コラム111及びフラッディングコラム192を備えたコラムアレイ200の概略図である。コラムアレイ200は、検査用の電子光学コラム111とフラッディング用のフラッディングコラム192とを交互に有するように配置されている。
【0154】
[0175]
図22に示すように、一実施形態では、各フラッディングコラム192は抽出器を備える。抽出器は、エミッタ201からの電子の放出を増加させるように構成される。抽出器は、エミッタ201のダウンビームにある。抽出器132及びエミッタ201は一緒に、電子源199の少なくとも一部を構成してもよい。抽出器は、複数のフラッディングコラム192のうちの少なくとも一部、好ましくは全てで共通である。フラッディングコラム192の抽出器は、複数の電子光学コラム111のうちの少なくとも一部、好ましくは全てのコラムの抽出器132の電極で共通である抽出器電極を含んでもよい。或いは、各フラッディングコラム192及び各電子光学コラム111の抽出器132は、別個の電極プレートを含む。フラッディングコラム192及び電子光学コラム111の電極プレートは、互いに電気的に接続され、共通の電位を有してもよい。或いは、異なるコラムの抽出器132は、個別に制御可能であってもよい。それらの抽出器は、互いから電気的に絶縁されていてもよい。抽出器132の個別の制御は、異なるコラムのエミッタ201の性能のばらつきを補償するのに役立つことができる。抽出器132の電位を調節することにより、複数の電子源199の放射の差を低減することが可能になる。
【0155】
[0176]
図22に示すように、一実施形態では、各フラッディングコラム192は対物レンズを備える。対物レンズは、抽出器のダウンビームにある。対物レンズは、複数の、好ましくは全てのフラッディングコラム192で共通の少なくとも1つの電極を備えてもよい。一実施形態では、フラッディングコラム192の対物レンズの少なくとも1つの電極は、電子光学コラム111の対物レンズアレイ118の少なくとも1つの電極と共通である。対物レンズは、サンプル208の表面にフラッディングビームによって形成されるスポットのサイズを制御するように構成される。一実施形態では、対物レンズは、サンプル208上の電流密度を制御するように構成される。一実施形態では、コントローラ50は、電子ビーム装置40をフラッディングモードと検査モードとの間で切り替えるように構成される。一実施形態では、切り替えは、対物レンズアレイ118の焦点の位置を変更することを含む。コントローラ50は、対物レンズアレイ118を制御して、検査用の1つの焦点及びフラッディング用の異なる焦点を有するように構成されてもよい。
【0156】
[0177]
図22に示すように、一実施形態では、各フラッディングコラム192は開き角電極193を備える。開き角電極193は、抽出器132のダウンビームにある。一実施形態では、開き角電極193は、抽出器132と対物レンズアレイ118との間に配置される。開き角電極193は、対物レンズにおける電子ビームの断面を制御するように構成される。開き角電極193は、複数の、好ましくは全てのフラッディングコラム192で共通であってもよい。開き角電極193は、複数の、好ましくは全ての電子光学コラム111で共通であってもよい。エミッタ201からの開き角は、検査用の電子ビームとフラッディングビームとで同じであってもよい。或いは、開き角電極193は、設けられなくてもよい。抽出器132が、エミッタ201からの開き角を制御するように制御されてもよい。
【0157】
[0178]
図22に示すように、一実施形態では、各フラッディングコラム192はビーム制限アパーチャ133を備える。ビーム制限アパーチャ133は、抽出器132、及び設けられている場合には開き角電極193の、ダウンビームにあってもよい。フラッディングコラム192のビーム制限アパーチャ133は、電子光学コラム111のビーム制限アパーチャ133が形成されている基板と共通の基板に形成されてもよい。一実施形態では、フラッディングコラム192のビーム制限アパーチャ133は、電子光学コラム111のビーム制限アパーチャ133よりも寸法が大きい。或いは、フラッディングコラム192は、ビーム制限アパーチャ133を備えていなくてもよい。
【0158】
[0179]
図22に示すように、一実施形態では、各フラッディングコラム192は偏向器アレイ134のうちの1つの偏向器を備える。一実施形態では、偏向器は、ビーム制限アパーチャ134と対物レンズとの間に配置される。偏向器は、サンプル208上のフラッディングビームからのビームスポットの位置を制御するように構成される。偏向器アレイ134は、フラッディングコラム192と電子光学コラム111で共通であってもよい。
【0159】
[0180]
図22に示すように、一実施形態では、フラッディングコラム192は検出器170を備えていない。一実施形態では、フラッディングコラム192は、電子光学コラム111と似ていてもよいが、フラッディングコラム192には検出器170がなく、ビーム制限アパーチャ133は、フラッディングコラム192についてはより大きいという点が異なる。
【0160】
[0181] 一実施形態では、コントローラ50は、フラッディングビームの焦点を制御するようにフラッディングコラム192を制御するように構成される。例えば、一実施形態では、コントローラ50は、対物レンズを制御してフラッディングビームの焦点を制御するように構成される。
図22に示すように、一実施形態では、コントローラ50は、フラッディングビームの焦点がサンプル208の表面より下になるように、フラッディングコラム192を制御するように構成される。焦点は、サンプル208の表面の上方に、又はサンプル208の表面にあるように制御されることがある。フラッディングビームの焦点の位置を制御することにより、サンプル208の表面上の電子の電流密度を調整することが可能になる。
【0161】
[0182] 一実施形態では、上述したような電子ビーム装置40を動作させる方法が提供される。この方法は、電子源199によって放射された電子ビームをサンプル208に向けて投影することを含む。一実施形態では、この方法は、電子ビームをそれぞれの対物レンズを用いてサンプル208に向けて導くことを含む。一実施形態では、この方法は、サンプル208から放出された信号電子を、対物レンズアレイ118に関連付けられた検出器170を用いて検出することを含む。これにより、サンプル208を検査することが可能になる。サンプル208における欠陥を、検出された信号電子に基づいて検出することができる。
【0162】
[0183] 一実施形態では、この方法は、電子ビームを放射するための、放射源アレイ131からの、例えば放射源アレイ131のうちのある放射源199からの、電子エミッタ201のサブセットを選択することを含む。この選択は、電子的に行われてもよい。この方法は、電子エミッタ201のサブセットによって放射された電子ビームをサンプル208に向けて投影することを含む。一実施形態では、電子ビームを投影することは、電子光学コラム111のコラムアレイ200のうちの電子光学コラム111を使用することを含む。
【0163】
[0184] 一実施形態では、この方法は、サンプルホルダ207を用いてサンプル208を保持すること、並びに、サンプルホルダ207と電子光学コラム111を走査方向161に互いに対して移動させること、を含む。一実施形態では、複数の電子光学コラム111は、走査方向161に対して斜角αをなす平行なライン状に配置される。一実施形態では、サンプルホルダ207及び電子光学コラム111は、平行なラインのうちの1本のライン内の電子光学コラム111の各電子ビームが、サンプル208上で異なる経路を有するように、互いに対して相対的に移動される。一実施形態では、サンプルホルダ207及び電子光学コラム111は、電子光学コラム111の各電子ビームが、電子光学コラム111の他の全ての電子ビームとはサンプル208上で異なる経路を有するように、互いに対して相対的に移動される。
【0164】
[0185] 一実施形態では、サンプル208を走査する方法は、各エリアが平均して少なくとも1つの他のビームによって覆われるように、部分的に重なる走査領域を使用することを含む。その結果、サンプル208の冗長な被覆範囲により、欠陥のある電子ビームを補償することが可能になる。一実施形態では、各電子ビームは、サンプル208の表面の一部分に対応する視野を有する。この視野は、電子光学コラム111からの電子ビームが到達することができる部分に対応する。電子ビームが、ビーム経路に垂直な方向に延在する部分に到達することができるように、電子ビームをビーム経路に垂直な方向に偏向させることができる。一実施形態では、サンプルホルダ207及び電子光学コラム111が互いに対して移動するとき、隣接する電子ビーム同士の視野は部分的に重なる。
【0165】
[0186] 一実施形態では、この方法は、電子ビームのうちの1つ以上に欠陥があることを判定することを含む。電子ビームには、製造上の欠陥に起因して欠陥があることがある。電子ビームは、使用中に欠陥が生じることがある。例えば、イオンが衝突すると電子源199に欠陥が生じることがある。一実施形態では、イオントラップが設けられる。イオントラップは、捕捉しなければ電子源199に悪影響を与えることがあるイオンを捕捉するように構成される。イオントラップは電極を含んでもよい。イオントラップは、抽出器132と一体化されていることがある。イオントラップは、放出面のダウンビームにある抽出電極と結合された平面状の電子光学系を使用することにより、作製されてもよい。平面状の電子光学系は、導電性及び/又は抵抗性の何れかである半導体を含んでもよい。或いは、イオントラップは、MEMSミラー、MEMSベースのウィーンフィルタ、又はマクロ磁場生成コンポーネントを含んでもよい。
【0166】
[0187] 一実施形態では、この方法は、欠陥があると判定された電子ビームを制御すること、例えばオフにすること、を含む。欠陥がある電子ビームは、欠陥のあるビームの電子エミッタ201を制御する電子制御回路により、オフにされてもよい。エミッタは、電子的に選択されてもよい。或いは、欠陥のある電子ビームに対応する電子光学コラム111の電子光学系を制御することにより、その欠陥のある電子ビームを効果的にオフにすることができる。電子ビームは、電子光学的に選択されてよい。例えば、欠陥のある電子ビームは、サンプル208に届かないように、偏向されてもよい。
【0167】
[0188] 一実施形態では、電子ビーム装置40を動作させる方法は、電子源によって放射された電子ビームをサンプル208に向けて投影することと、選択的に、(a)それぞれの電子ビームの閾値電流密度未満の電子がそれぞれのビーム制限アパーチャ133を通過するように、それぞれの電子ビームがそれぞれのビーム制限アパーチャ133によって成形され、(b)複数の電子ビームの少なくとも一部分の少なくとも閾値電流密度の電子が、それぞれのビーム制限アパーチャ133を通過する、ように、電子光学コラム111を制御することと、を含む。
【0168】
[0189] 一実施形態では、この方法は、それぞれの複数のフラッディングコラム192を使用して、複数のフラッディング電子ビームをサンプル208に向けて投影することを含む。一実施形態では、フラッディングビームは、電子光学コラム111によって投影される電子ビームよりも大きな電子電流を有する。
【0169】
[0190] 本明細書における閾値電流密度への言及は、閾値電流への言及であってもよい。一般的に、これらの用語は、同義語であるか、又は少なくとも重複しているとみなすことができる。しかしながら、開示される本明細書の文脈ではより正確には、閾値電流密度は、電子ビームの機能及び関連する荷電粒子コラムの機能、ひいては、電子ビームの電子光学的性能に関係する。ビーム電流は、スループット、又はサンプル209と電子ビームが互いに対して走査される速度に、より関係する。
【0170】
[0191] 本開示の実施形態は、方法の形態で提供されてもよく、この方法は、上述した構成の何れか、又は他の構成を使用してもよい。
【0171】
[0192] 特定の態様で荷電粒子ビームを操作するように制御可能な複数の構成要素又は複数の要素の、構成要素又はシステムへの言及には、上述した態様で荷電粒子ビームを操作するようにその構成要素を制御するように、且つ任意選択的に、他のコントローラ又はデバイス(例えば、電圧源及び又は電流源)を使用して、この態様で荷電粒子ビームを操作するようにその構成要素を制御するように、コントローラ又は制御システム又は制御ユニットを構成することが、含まれる。例えば、電圧源は、1つ以上の構成要素に電気的に接続されて、それらの構成要素、例えば、非限定的なリストでは、集光アパーチャ143、ダウンビーム集光電極144、ビーム補正器アレイ145、対物レンズアレイ118、コリメータ要素アレイ及び偏向器アレイ134などに、コントローラ又は制御システム又は制御ユニットの制御下で、電位を印加してもよい。ステージなどの作動可能な構成要素は、その構成要素の作動を制御するための1つ以上のコントローラ、制御システム、又は制御ユニットを使用して、作動させ、従って、ビーム経路などの別の構成要素に対して移動させるように、制御可能であってもよい。
【0172】
[0193] 本明細書に記載する実施形態は、1本のビーム又はマルチビームの経路に沿ってアレイ状に配置された一連のアパーチャアレイ又は電子光学要素の形態を取ってもよい。そのような電子光学要素は、静電的であってもよい。例えば、対物レンズアレイは、静電レンズアレイであってもよい。一実施形態では、例えば、サンプルより前のビーム経路内の、ビーム制限アパーチャアレイから最後の電子光学要素までの、全ての電子光学要素は、静電的であることがあり、及び/又はアパーチャアレイ若しくはプレートアレイの形態をしていることがある。構成によっては、電子光学要素のうちの1つ又は複数は、微小電子機械システム(MEMS)として(即ち、MEMS製造技術を使用して)製造される。MEMSは、微細加工技術を使用して作製された小型の機械的且つ電気機械的要素である。一実施形態では、上述の交換可能モジュールはMEMSモジュールである。特に断りの無い限り、走査偏向器のアレイなどの全ての電子光学要素は、MEMS要素であってもよく、及び/又は、MEMS製造技術を使用して作製、例えば形成されてもよい。
【0173】
[0194] 互いに対して異なる電位に設定され得る複数の電極が設けられる場合、そのような電極は、互いから電気的に絶縁されることが理解されよう。一実施形態では、電極を互いから電気的に絶縁するために、酸化物層又は酸素含有硝酸塩層などの絶縁層が設けられる。電極が互いに機械的に接続されている場合、電気絶縁コネクタを設けてもよい。例えば、電極が、一連の導電性プレートであって、その各プレートが例えば対物レンズアレイ又は制御レンズアレイを形成するためのアパーチャアレイを規定する一連の導電性プレート、として設けられる場合、それらの導電性プレートの間に電気絶縁プレートが設けられてもよい。絶縁プレートは、導電性プレートに接続され、それによって、絶縁コネクタとして機能してもよい。導電性プレートは、絶縁プレートによって、ビーム経路に沿って互いから分離されていてもよい。
【0174】
[0195] 上側及び下側、アップ及びダウン、上方及び下方への言及は、サンプル208に当たる電子ビーム又はマルチビームの(通常は、常にではないが垂直な)アップビーム方向及びダウンビーム方向に平行な方向を指しているものと理解されるべきである。従って、アップビーム及びダウンビームへの言及は、何らかの重力場とは無関係に、ビーム経路に関する方向を指すことが意図されている。
【0175】
[0196] 本開示の一実施形態による評価システムは、サンプルの定性的評価(例えば、合格/不合格)を行うツール、又は、サンプルの定量的測定(例えば、フィーチャのサイズ)を行うツール、又はサンプルのマップの画像を生成するツールであってもよい。評価システムの例は、(例えば、欠陥を特定するための)検査ツール、(例えば、欠陥を分類するための)レビューツール及び計測ツール、又は、検査ツール、レビューツール、若しくは計測ツールに関連した評価機能の任意の組み合わせを実施することができるツール(例えば、計測検査ツール)である。電子ビーム装置40は、検査ツール若しくは計測検査ツール、又は電子ビームリソグラフィツールの一部などの、評価システムの構成要素であり得る。本明細書でのツールへの言及は、デバイス、装置、又はシステムを包含することを意図しており、ツールは、様々な構成要素であって、一所に置かれていることも置かれていないこともある、特に例えばデータ処理要素については、別々の部屋に配置されていることさえあり得る、様々な構成要素を含む。
【0176】
[0197] 「サブビーム」及び「ビームレット」という用語は、本明細書では互換的に使用され、両方とも、親の放射ビームを分割又は分裂させることにより、親の放射ビームから導出された任意の放射ビームを包含するものと理解される。「マニピュレータ」という用語は、レンズ又は偏向器などの、サブビーム又はビームレットの経路に影響を与える任意の要素を包含するように使用される。
【0177】
[0198] ビーム経路又はサブビーム経路に沿って整列している要素への言及は、それぞれの要素が、ビーム経路又はサブビーム経路に沿って位置決めされていることを意味すると理解される。
【0178】
[0199] 本発明の更なる態様によれば、荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置が提供され、荷電粒子ビーム装置は、それぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含み、各荷電粒子光学コラムは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて放射するように構成された荷電粒子エミッタであって、放射源アレイ内に含まれる、荷電粒子エミッタと、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された静電電極を含む対物レンズであって、対物レンズは対物レンズアレイ内に含まれ、静電電極は複数の荷電粒子光学コラムで共通である、対物レンズと、対物レンズアレイに関連付けられた検出器であって、サンプルから放出された信号荷電流粒子を検出するように構成された検出器と、を含み、対物レンズは、サンプルに向けて導かれた荷電粒子ビームに影響を与えるように構成された荷電粒子光学コラムの最もダウンビームの要素である。
【0179】
[0200] 本発明の更なる態様によれば、荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置が提供され、荷電粒子ビーム装置は、サンプルを保持するように構成されたサンプルホルダと、それぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムと、を含み、各荷電粒子光学コラムは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて放射するように構成された複数の荷電粒子エミッタであって、放射源アレイ内に含まれる、複数の荷電粒子エミッタと、好ましくは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された対物レンズであって、対物レンズアレイ内に含まれる、対物レンズと、を含み、荷電粒子ビーム装置は、サンプルホルダ及び荷電粒子光学コラムが、走査方向に互いに対して移動可能であるように構成され、荷電粒子光学コラムは、走査方向に対してある斜角をなす平行なライン状に配置される。
【0180】
[0201] 本発明の更なる態様によれば、荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置が提供され、荷電粒子ビーム装置は、それぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含み、各荷電粒子光学コラムは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて放射するように構成された複数の荷電粒子エミッタであって、放射源アレイ内に含まれる、複数の荷電粒子エミッタと、好ましくは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された対物レンズであって、対物レンズアレイ内に含まれる、対物レンズと、を含み、荷電粒子エミッタは、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素からなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0181】
[0202] 本発明の更なる態様によれば、荷電粒子ビーム装置を動作させる方法が提供され、この装置は、荷電粒子ビームアレイ状の複数の荷電粒子ビームを放射するように構成された荷電粒子エミッタを含む放射源アレイと、放射源アレイからのそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む、荷電粒子光学コラムのアレイと、を含み、この方法は、荷電粒子エミッタによって放射された荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影することと、静電電極を備えるそれぞれの対物レンズを用いて、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くことであって、対物レンズは対物レンズアレイ内に含まれ、複数の荷電粒子光学コラムで共通である複数の電極のうちの少なくとも1つに電位を印加することにより、対物レンズアレイを含む静電電極を制御することにより、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くことと、対物レンズアレイに関連付けられた検出器を用いてサンプルから放出された信号荷電粒子を検出することと、を含み、対物レンズは、サンプルに向けて導かれた荷電粒子ビームに影響を与えるように構成された荷電粒子光学コラムの最もダウンビームの要素である。
【0182】
[0203] 本発明の更なる態様によれば、荷電粒子ビーム装置を動作させる方法が提供され、この装置は、荷電粒子ビームアレイ状の複数の荷電粒子ビームを放射するように構成された荷電粒子エミッタを含む放射源アレイと、放射源アレイからのそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む荷電粒子光学コラムのアレイと、を含み、この方法は、放射源アレイから荷電粒子エミッタのサブセットを選択して荷電粒子ビームを放射することと、荷電粒子エミッタのサブセットによって放射された荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影することと、を含む。
【0183】
[0204] 本発明の更なる態様によれば、荷電粒子ビーム装置を動作させる方法が提供され、この装置は、放射源アレイであって、複数の荷電粒子源であって、各荷電粒子源が荷電粒子ビームを放射するように構成された複数の荷電粒子源を含み、放射源アレイは、荷電粒子ビームのアレイ状の複数の荷電粒子ビームを放射するように構成される、放射源アレイと、放射源アレイからのそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む荷電粒子光学コラムのアレイと、を含み、この方法は、サンプルホルダを用いてサンプルを保持することと、荷電粒子源によって放射された荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影することと、好ましくは、複数の荷電粒子光学コラムであって、その各々が単一の荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影する、複数の荷電粒子光学コラムを使用することを含むことと、サンプルホルダ及び荷電粒子光学コラムを走査方向に互いに対して移動させることと、を含み、荷電粒子光学コラムは、走査方向に対してある斜角をなす平行なライン状に配置される。
【0184】
[0205] 本発明の更なる態様によれば、荷電粒子ビーム装置を動作させる方法が提供され、この装置は、荷電粒子ビームアレイ状の複数の荷電粒子ビームを放射するように構成された荷電粒子源を含む放射源アレイと、放射源アレイからのそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む荷電粒子光学コラムのアレイと、を含み、この方法は、荷電粒子源によって放射された荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影することを含み、荷電粒子源は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0185】
[0206] 本発明の更なる態様によれば、荷電粒子ビーム装置を動作させる方法が提供され、この装置は、荷電粒子ビームアレイ状の複数の荷電粒子ビームを放射するように構成された荷電粒子源を含む放射源アレイと、放射源アレイからのそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む荷電粒子光学コラムのアレイと、を含み、各荷電粒子光学コラムは、サンプルに向けて投影されることになる荷電粒子ビームの断面を選択するように構成されたビーム制限アパーチャを含み、この方法は、荷電粒子源によって放射された荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影することと、選択的に、(a)それぞれの荷電粒子ビームの閾値電流密度未満の荷電粒子がそれぞれのビーム制限アパーチャを通過するように、それぞれの荷電粒子ビームが、それぞれのビーム制限アパーチャによって成形され、(b)複数の荷電粒子ビームの少なくとも一部分の少なくとも閾値電流密度の荷電粒子がそれぞれのビーム制限アパーチャを通過する、ように荷電粒子光学コラムを制御することと、を含む。
【0186】
[0207] 本発明の更なる態様によれば、荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置が提供され、荷電粒子ビーム装置は、それぞれの荷電粒子ビームを放射するように構成された複数の荷電粒子エミッタを含む放射源アレイと、放射源アレイの荷電粒子エミッタによって放射された対応するそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む荷電粒子光学コラムアレイと、を含み、各荷電粒子光学コラムは、対物レンズ及び検出器を含み、対物レンズは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された静電電極を含み、対物レンズは対物レンズアレイ内に含まれ、静電電極は複数の荷電粒子光学コラムで共通であり、検出器は、対物レンズアレイに関連付けられ、サンプルから放出された信号荷電流粒子を検出するように構成され、対物レンズは、サンプルに向けて導かれた荷電粒子ビームに影響を与えるように構成された荷電粒子光学コラムの最もダウンビームの要素である。
【0187】
[0208] 本発明の更なる態様によれば、荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置が提供され、荷電粒子ビーム装置は、それぞれの荷電粒子ビームを放射するように構成された複数の荷電粒子エミッタを含む放射源アレイと、放射源アレイの荷電粒子エミッタによって放射された対応するそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む荷電粒子光学コラムアレイと、を含み、各荷電粒子光学コラムは、任意選択的に、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された対物レンズであって、対物レンズアレイ内に含まれる対物レンズ、を含み、荷電粒子エミッタは、荷電粒子エミッタのサブセットを選択して荷電粒子ビームをサンプルに向けて放射することができるように、選択可能であるように構成される。
【0188】
[0209] 本発明の更なる態様によれば、荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置が提供され、荷電粒子ビーム装置は、サンプルを保持するように構成されたサンプルホルダと、それぞれの荷電粒子ビームを放射するように構成された複数の荷電粒子源を含む放射源アレイと、放射源アレイの荷電粒子源によって放射された対応するそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む荷電粒子光学コラムアレイと、を含み、荷電粒子ビーム装置は、サンプルホルダ及び荷電粒子光学コラムが、走査方向に互いに対して移動可能であるように構成され、各荷電粒子光学コラムは、任意選択的に、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された対物レンズであって、対物レンズアレイ内に含まれる対物レンズ、を含み、荷電粒子光学コラムは、荷電粒子光学コラムの平行なラインが走査方向に対してある斜角をなすパターンで配置される。
【0189】
[0210] 本発明の更なる態様によれば、荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置が提供され、荷電粒子ビーム装置は、それぞれの荷電粒子ビームを放射するように構成された複数の荷電粒子源を含む放射源アレイと、放射源アレイの荷電粒子源によって放射された対応するそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む荷電粒子光学コラムアレイと、を含み、各荷電粒子光学コラムは、任意選択的に、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された対物レンズであって、対物レンズアレイ内に含まれる対物レンズ、を含み、荷電粒子源は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素からなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0190】
[0211] 本発明について様々な実施形態と関連付けて説明してきたが、当業者には、本明細書で開示される発明の明細及び実施を考慮することから、他の実施形態が明らかであろう。この明細書及び例は、単なる例とみなされることが意図されており、本発明の真の範囲及び趣旨は、以降の特許請求の範囲及び条項によって示される。
【0191】
[0212] 以下の条項が提供される。条項1:荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置であって、荷電粒子ビーム装置は、それぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含み、各荷電粒子光学コラムは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて放射するように構成された荷電粒子エミッタであって、放射源アレイ内に含まれる、荷電粒子エミッタと、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された静電電極を含む対物レンズであって、対物レンズは対物レンズアレイ内に含まれ、静電電極は複数の荷電粒子光学コラムで共通である、対物レンズと、対物レンズアレイに関連付けられた検出器であって、サンプルから放出された信号荷電流粒子を検出するように構成された検出器と、を含み、対物レンズは、サンプルに向けて導かれた荷電粒子ビームに影響を与えるように構成された荷電粒子光学コラムの最もダウンビームの要素である、荷電粒子ビーム装置。
【0192】
[0213] 条項2:荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置であって、荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子光学コラムアレイ状に配置されてもよい複数の荷電粒子光学コラムであって、それぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された、複数の荷電粒子光学コラムを含み、各荷電粒子光学コラムは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて放射するように構成された複数の荷電エミッタであって、荷電粒子エミッタは、放射源アレイ内に含まれる、複数の荷電エミッタと、好ましくは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された対物レンズであって、対物レンズは望ましくは静電対物レンズであり、対物レンズは対物レンズアレイ内に含まれ、対物レンズは、望ましくは複数の荷電粒子光学コラムのうちの異なる荷電粒子光学コラムのものである、対物レンズと、を含み、荷電粒子エミッタは、荷電粒子エミッタのサブセットを選択して荷電粒子ビームをサンプルに向けて放射することができるように、選択可能であるように構成されている、荷電粒子ビーム装置。
【0193】
[0214] 条項3:荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置であって、荷電粒子ビーム装置は、それぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含み、各荷電粒子光学コラムは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて放射するように構成された複数の荷電エミッタを含む放射源アレイのうちのある放射源であって、各放射源は幾つかの複数のエミッタを含む、放射源と、サンプルに向けて投影されることになる荷電粒子ビームの断面を選択するように構成されたビーム制限アパーチャと、を含み、荷電粒子エミッタは、荷電粒子エミッタのサブセットを選択してサンプルに向けて荷電粒子ビームを放射するように、選択可能であるように構成され、荷電粒子エミッタのサブセットを選択する際に、放射される荷電粒子ビームは、複数の荷電粒子コラムのうちの異なるコラムのものであり、且つ、荷電粒子コラムのうちのそれぞれの異なるコラムの放射源のものである、荷電粒子ビーム装置。エミッタは基板内にあることが望ましい。エミッタは、平面アレイ状になっていてもよい。基板は平面状である。放射源アレイは、コラム毎に抽出器を含む。放射源アレイは、抽出器アレイを含むことが望ましい。放射源は、コラム毎のグループ内のエミッタの動作を制御することにより、選択可能であることが望ましい。放射源アレイは、コラムのエミッタのグループのサブセットを選択するように制御可能である制御回路を備える。グループ内のエミッタは、アドレス可能である。エミッタのグループのうちの1つ以上のエミッタを制御可能に動作させることができるように、アドレス可能エミッタを有効にする制御回路。偏向器は、エミッタのグループから1つ以上のエミッタを選択するように、又は、動作するように制御されたエミッタのグループからの1つ以上のエミッタからの荷電粒子ビームを導くように、制御可能であってもよい。コラムの放射源の抽出器毎に、1つ以上のエミッタがあってもよい。望ましくは、複数のコラムのうちの1つのコラムのビーム制限アパーチャ毎に、1つ以上のエミッタがあってもよい。
【0194】
[0215] 条項4:荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置であって、荷電粒子ビーム装置は、サンプルを保持するように構成されたサンプルホルダと、それぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムと、を含み、各荷電粒子光学コラムは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて放射するように構成された複数の荷電粒子エミッタであって、放射源アレイ内に含まれる荷電粒子エミッタと、好ましくは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された対物レンズであって、対物レンズアレイ内に含まれる対物レンズと、を含み、荷電粒子ビーム装置は、サンプルホルダ及び荷電粒子光学コラムが走査方向に互いに対して移動可能であるように構成され、荷電粒子光学コラムは、走査方向に対してある斜角をなす平行なライン状に配置される、荷電粒子ビーム装置。
【0195】
[0216] 条項5:荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置であって、荷電粒子ビーム装置は、それぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含み、各荷電粒子光学コラムは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて放射するように構成された複数の荷電粒子エミッタであって、荷電粒子源は、放射源アレイ内に含まれる、複数の荷電粒子エミッタと、好ましくは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された対物レンズであって、対物レンズアレイ内に含まれる、対物レンズと、を含み、荷電粒子エミッタは、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素からなる群から選択される少なくとも1つを含む、荷電粒子ビーム装置。
【0196】
[0217] 条項6:荷電粒子エミッタは、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素からなる群から選択される少なくとも1つを含む、条項1~4の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0197】
[0218] 条項7:荷電粒子ビーム装置は、サンプルホルダ及び荷電粒子光学コラムが走査方向に互いに対して移動可能であるように構成され、荷電粒子光学コラムは、走査方向に対してある斜角をなす平行なライン状に配置される、条項1、2、3、又は5の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0198】
[0219] 条項8:各荷電粒子光学コラムは、複数の荷電粒子エミッタを備え、荷電粒子エミッタは、荷電粒子エミッタのサブセットを選択して荷電粒子ビームを基板に向けて放射することができるように、選択可能であるように構成される、条項1、4、又は5の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0199】
[0220] 条項9:各対物レンズは静電電極を含み、静電電極は、複数の荷電粒子光学コラムで共通であり、各荷電粒子光学コラムは、サンプルから放出された信号荷電粒子を検出するように構成された、対物レンズアレイに関連付けられた検出器を備え、対物レンズは、サンプルに向けて導かれた荷電粒子ビームに影響を与えるように構成された荷電粒子光学コラムの最もダウンビームの要素である、条項2~5の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0200】
[0221] 条項10:静電電極は、荷電粒子光学コラムの全てに共通である、条項1又は9に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0201】
[0222] 条項11:各荷電粒子ビームは、サンプルの表面の一部分に対応する視野を有し、好ましくは、サンプルホルダ及び荷電粒子光学コラムが互いに対して移動すると、隣接する荷電粒子ビームの視野は部分的に重なる、条項4又は7に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0202】
[0223] 条項12:各荷電粒子光学コラムは、荷電粒子エミッタからの放射を増大させるように構成された抽出器を備える、先行する条項の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0203】
[0224] 条項13:抽出器は、荷電粒子光学コラムの全てに共通である抽出器電極を備える、条項12に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0204】
[0225] 条項14:各荷電粒子光学コラムは、サンプルに向けて投影されることになる荷電粒子ビームの断面を選択するように構成されたビーム制限アパーチャを備え、好ましくは、ビーム制限アパーチャは、複数の荷電粒子光学コラム、好ましくは全ての荷電粒子光学コラムで共通のプレート内に規定される、先行する条項の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0205】
[0226] 条項15:選択的に、(a)それぞれの荷電粒子ビームの閾値電流密度未満の荷電粒子が、それぞれのビーム制限アパーチャを通過するように、それぞれの荷電粒子ビームがそれぞれのビーム制限アパーチャによって成形され、(b)複数の荷電粒子ビームの少なくとも一部分の少なくとも閾値電流の荷電粒子がそれぞれのビーム制限アパーチャを通過する、ように、荷電粒子光学コラムを制御するように構成されたコントローラを含む、条項14に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0206】
[0227] 条項16:コントローラは、複数の荷電粒子ビームの少なくとも閾値電流密度である少なくとも一部分がそれぞれのビーム制限アパーチャを通過するときに、荷電粒子ビーム装置を制御してサンプルの表面のフラッディングを実施するように構成される、条項15に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0207】
[0228] 条項17:各荷電粒子光学コラムは、サンプルから放出された信号荷電粒子を検出するように構成された検出器を備え、コントローラは、それぞれの荷電粒子ビームの閾値電流密度未満の荷電粒子がそれぞれのビーム制限アパーチャを通過するように、それぞれの荷電粒子ビームがそれぞれのビーム制限アパーチャによって成形されるとき、荷電粒子ビーム装置を制御して、サンプルによって放出された信号荷電粒子を検出するように動作するように構成される、条項15又は16に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0208】
[0229] 条項18:各荷電粒子光学コラムは、複数の荷電粒子光学コラム、好ましくはその少なくとも一部分、で共通の抽出器を含み、抽出器は、エミッタとビーム制限アパーチャとの間に配置され、コントローラは、対応する荷電粒子ビームがそれぞれのビーム制限アパーチャによって成形される範囲を制御するように、ビーム制限アパーチャに向けたエミッタからの対応する荷電粒子ビームの開き角を制御するように、抽出器に印加される電圧を制御するように構成される、条項15~17の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0209】
[0230] 条項19:各荷電粒子光学コラムは、複数の荷電粒子光学コラム、好ましくはその少なくとも一部分、で共通の開き角電極を含み、開き角電極は、エミッタとビーム制限アパーチャとの間に配置され、コントローラは、対応する荷電粒子ビームがそれぞれのビーム制限アパーチャによって成形される範囲を制御するように、ビーム制限アパーチャに向けたエミッタからの対応する荷電粒子ビームの開き角を制御するように、開き角電極に印加される電圧を制御するように構成される、条項15~18の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0210】
[0231] 条項20:それぞれの荷電粒子のフラッディングビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数のフラッディングコラムを含み、各フラッディングコラムは、少なくとも1つの荷電粒子エミッタであって、フラッディングビームをサンプルに向けて放射するように構成され、且つ放射源アレイ内に含まれる、少なくとも1つの荷電粒子エミッタを含み、フラッディングコラムは、前述の荷電粒子光学コラムよりも、より大きな電流の荷電粒子をサンプルに投影するように構成される、条項15~19の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0211】
[0232] 条項21:フラッディングコラムは、前述の荷電粒子光学コラムの間に散在している、条項15~20の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0212】
[0233] 条項22:フラッディングコラムは、それぞれの荷電粒子光学コラムに隣接して配置されている、条項20又は21に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0213】
[0234] 条項23:荷電粒子光学コラムは、格子状に配置されている、条項22に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0214】
[0235] 条項24:フラッディングコラムは、少なくとも2つの隣接する荷電粒子光学コラムの間、好ましくは3つの隣接する荷電粒子光学コラムの間に、実質的に等距離に位置するパターンで、配置されている、条項23に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0215】
[0236] 条項25:フラッディングコラムは、荷電粒子光学コラムの格子と同様の格子状に配置され、フラッディングコラムは、荷電粒子光学コラムの格子内の2つの隣接する荷電粒子光学コラムの間にラインに沿うように、又は、同様の変位範囲内で間隔をおいて配置された3つの隣接する荷電粒子光学コラムを有するように、荷電粒子光学コラムの格子に対してオフセットされている、条項23又は24に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0216】
[0237] 条項26:荷電粒子光学コラムを基準にして、直交する作動方向に、サンプルを保持するように構成されたサンプルホルダを作動させるように構成されたアクチュエータを含み、フラッディングコラムは、作動方向のうちの少なくとも1つの方向に、それぞれの荷電粒子光学コラムを基準にして配置されている、条項23~25の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0217】
[0238] 条項27:フラッディングコラムの数は、荷電粒子光学コラムの数以下である、条項20~25の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0218】
[0239] 条項28:各荷電粒子光学コラムは、荷電粒子光学コラムの軸に垂直な方向に荷電粒子ビームを偏向させるように構成された偏向器を含み、好ましくは、偏向器は、荷電粒子光学コラムの少なくともグループのための複数の偏向器の偏向器アレイ内に含まれている、先行する条項の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0219】
[0240] 条項29:各荷電粒子光学コラムは、荷電粒子ビームに作用するように構成された集光レンズを備える、先行する条項の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0220】
[0241] 条項30:集光レンズは、荷電粒子光学コラムの全てに共通である少なくとも1つの集光電極を備える、条項29に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0221】
[0242] 条項31:各荷電粒子光学コラムは、荷電粒子ビームの特性を補正するように構成された個別のビーム補正器を含み、好ましくは、補正器は、荷電粒子光学コラムの少なくともグループのためのビーム補正器アレイ内に含まれている、先行する条項の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0222】
[0243] 条項32:荷電粒子エミッタは半導体ベースである、先行する条項の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0223】
[0244] 条項33:荷電粒子エミッタは、アバランシェダイオード構造を含んでいる、先行する条項の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0224】
[0245] 条項34:放射源アレイは、荷電粒子エミッタが、サンプルの少なくとも一部分、望ましくはサンプルのかなりの部分、好ましくはサンプルの実質的に全体に渡って延在するように寸法決めされている、先行する条項の何れか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0225】
[0246] 条項35:放射源アレイは、複数の放射源を含み、各放射源は、複数のエミッタを含み、各放射源は、複数の電子光学コラムのうちの1つに割り当てられ、望ましくは各放射源は、複数の電子光学コラムのうちの1つのコラムのものである、先行する条項の何れか一項に記載の荷電粒子装置。
【0226】
[0247] 条項36:荷電粒子ビーム装置を動作させる方法であって、この装置は、荷電粒子ビームアレイ状の複数の荷電粒子ビームを放射するように構成された荷電粒子エミッタを含む放射源アレイと、放射源アレイからのそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む、荷電粒子光学コラムのアレイと、を含み、この方法は、荷電粒子エミッタによって放射された荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影することと、静電電極を備えるそれぞれの対物レンズを用いて、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くことであって、対物レンズは対物レンズアレイ内に含まれ、複数の荷電粒子光学コラムで共通である複数の電極のうちの少なくとも1つに電位を印加することにより、対物レンズアレイを含む静電電極を制御することにより、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くことと、対物レンズアレイに関連付けられた検出器を用いてサンプルから放出された信号荷電粒子を検出することと、を含み、対物レンズは、サンプルに向けて導かれた荷電粒子ビームに影響を与えるように構成された荷電粒子光学コラムの最もダウンビームの要素である、方法。
【0227】
[0248] 条項37:荷電粒子ビーム装置を動作させる方法であって、この装置は、荷電粒子ビームアレイ状の複数の荷電粒子ビームを放射するように構成された荷電粒子エミッタを含み、荷電粒子光学コラムのアレイは、放射源アレイからのそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含み、この方法は、放射源アレイから荷電粒子エミッタのサブセットを選択して荷電粒子ビームを放射することと、荷電粒子エミッタのサブセットによって放射された荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影することと、を含む、方法。
【0228】
[0249] 条項38:荷電粒子ビームを投影することは、荷電粒子光学コラムのアレイのうちの荷電粒子光学コラムを使用することを含む、条項37に記載の方法。
【0229】
[0250] 条項39:荷電粒子ビーム装置を動作させる方法であって、この装置は、放射源アレイであって、複数の荷電粒子源であって、各荷電粒子源が荷電粒子ビームを放射するように構成された複数の荷電粒子源を含み、放射源アレイは、荷電粒子ビームのアレイ状の複数の荷電粒子ビームを放射するように構成される、放射源アレイと、放射源アレイからのそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む、荷電粒子光学コラムのアレイと、を含み、この方法は、サンプルホルダを用いてサンプルを保持することと、荷電粒子源によって放射された荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影することと、好ましくは、複数の荷電粒子光学コラムであって、その各々が単一の荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影する複数の荷電粒子光学コラムを使用することを含むことと、サンプルホルダ及び荷電粒子光学コラムを走査方向に互いに対して移動させることと、を含み、荷電粒子光学コラムは、走査方向に対してある斜角をなす平行なライン状に配置される、方法。
【0230】
[0251] 条項40:サンプルホルダ及び荷電粒子光学コラムは、平行なラインのうちの1本のライン内の荷電粒子光学コラムの各荷電粒子ビームが、サンプル上で異なる経路を有するように、互いに対して相対的に移動される、条項39に記載の方法。
【0231】
[0252] 条項41:サンプルホルダ及び荷電粒子光学コラムは、荷電粒子光学コラムの各荷電粒子ビームが、複数の荷電粒子光学コラムの他の全ての荷電粒子ビームとはサンプル上で異なる経路を有するように、互いに対して相対的に移動される、条項40に記載の方法。
【0232】
[0253] 条項42:荷電粒子ビーム装置を動作させる方法であって、この装置は、荷電粒子ビームアレイ状の複数の荷電粒子ビームを放射するように構成された荷電粒子源を含む放射源アレイと、放射源アレイからのそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む荷電粒子光学コラムのアレイと、を含み、この方法は、荷電粒子源によって放射された荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影することを含み、荷電粒子源は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素からなる群から選択される少なくとも1つを含む、方法。
【0233】
[0254] 条項43:荷電粒子ビーム装置を動作させる方法であって、この装置は、荷電粒子ビームアレイ状の複数の荷電粒子ビームを放射するように構成された荷電粒子源を含む放射源アレイと、放射源アレイからのそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む荷電粒子光学コラムのアレイと、を含み、各荷電粒子光学コラムは、サンプルに向けて投影されることになる荷電粒子ビームの断面を選択するように構成されたビーム制限アパーチャを含み、この方法は、荷電粒子源によって放射された荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影することと、選択的に、(a)それぞれの荷電粒子ビームの閾値電流密度未満の荷電粒子がそれぞれのビーム制限アパーチャを通過するように、それぞれの荷電粒子ビームが、それぞれのビーム制限アパーチャによって成形され、(b)複数の荷電粒子ビームの少なくとも一部分の少なくとも閾値電流密度の荷電粒子がそれぞれのビーム制限アパーチャを通過する、ように荷電粒子光学コラムを制御することと、を含む、方法。
【0234】
[0255] 条項44:それぞれの複数のフラッディングコラムを使用して荷電粒子の複数のフラッディングビームをサンプルに向けて投影することを含み、フラッディングビームは、荷電粒子光学コラムによって投影される荷電粒子ビームよりも大きな荷電粒子の電流を有する、条項43に記載の方法。
【0235】
[0256] 条項45:荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置であって、荷電粒子ビーム装置は、それぞれの荷電粒子ビームを放射するように構成された複数の荷電粒子源を含む放射源アレイと、放射源アレイの荷電粒子源によって放射された対応するそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む荷電粒子光学コラムアレイと、を含み、各荷電粒子光学コラムは、対物レンズ及び検出器を含み、対物レンズは、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された静電電極を含み、対物レンズは対物レンズアレイ内に含まれ、静電電極は複数の荷電粒子光学コラムで共通であり、検出器は、対物レンズアレイに関連付けられ且つ、サンプルから放出された信号荷電流粒子を検出するように構成され、対物レンズは、サンプルに向けて導かれた荷電粒子ビームに影響を与えるように構成された荷電粒子光学コラムの最もダウンビームの要素である、荷電粒子ビーム装置。
【0236】
[0257] 条項46:荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置であって、荷電粒子ビーム装置は、それぞれの荷電粒子ビームを放射するように構成された複数の荷電粒子エミッタを含む放射源アレイと、放射源アレイの荷電粒子源によって放射された対応するそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む荷電粒子光学コラムアレイと、を含み、各荷電粒子光学コラムは、任意選択的に、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された対物レンズであって、対物レンズアレイ内に含まれる対物レンズ、を含み、荷電粒子エミッタは、荷電粒子エミッタのサブセットを選択して荷電粒子ビームをサンプルに向けて放射することができるように、選択可能であるように構成される、荷電粒子ビーム装置。
【0237】
[0258] 条項47:サブセットの各荷電粒子源は、荷電粒子光学コラムアレイのうちのある荷電粒子光学コラムに対応し、望ましくは、サブセットの各荷電粒子エミッタは、荷電粒子光学コラムアレイのうちのある荷電粒子光学コラムのものである、条項46に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0238】
[0259] 条項48:サブセット内の荷電粒子源の数は、荷電粒子光学コラムアレイ内の荷電粒子光学コラムの数と同じである、条項46又は47に記載の荷電粒子ビーム装置。
【0239】
[0260] 条項49:荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置であって、荷電粒子ビーム装置は、サンプルを保持するように構成されたサンプルホルダと、それぞれの荷電粒子ビームを放射するように構成された複数の荷電粒子源を含む放射源アレイと、放射源アレイの荷電粒子源によって放射された対応するそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む荷電粒子光学コラムアレイと、を含み、荷電粒子ビーム装置は、サンプルホルダ及び荷電粒子光学コラムが、走査方向に互いに対して移動可能であるように構成され、各荷電粒子光学コラムは、任意選択的に、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された対物レンズであって、対物レンズアレイ内に含まれる対物レンズ、を含み、荷電粒子光学コラムは、荷電粒子光学コラムの平行なラインが走査方向に対してある斜角をなすパターンで配置される、荷電粒子ビーム装置。
【0240】
[0261] 条項50:荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された荷電粒子ビーム装置であって、荷電粒子ビーム装置は、それぞれの荷電粒子ビームを放射するように構成された複数の荷電粒子源を含む放射源アレイと、放射源アレイの荷電粒子源によって放射された対応するそれぞれの荷電粒子ビームをサンプルに向けて投影するように構成された複数の荷電粒子光学コラムを含む荷電粒子光学コラムアレイと、を含み、各荷電粒子光学コラムは、任意選択的に、荷電粒子ビームをサンプルに向けて導くように構成された対物レンズであって、対物レンズアレイ内に含まれる対物レンズ、を含み、荷電粒子源は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素からなる群から選択される少なくとも1つを含む、荷電粒子ビーム装置。
【0241】
[0262] 上記の説明は、例示的であることを意図しており、限定するものではない。従って、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく、説明したように変更を加えることができることが、当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】