(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】表面欠陥数及びヘイズ低減用シリコンウェーハ最終研磨用スラリー組成物、及びそれを用いた最終研磨方法
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20240625BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20240625BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240625BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20240625BHJP
【FI】
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574160
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 KR2022008078
(87)【国際公開番号】W WO2023282475
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0089599
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523423908
【氏名又は名称】ワイシーケム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】YCCHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュンハン
(72)【発明者】
【氏名】イ スンフン
(72)【発明者】
【氏名】イ スンヒョン
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
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5F057AA03
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(57)【要約】
本発明は、砥粒としてのコロイダルシリカ1~20重量%、界面活性剤0.03~0.5重量%、pH調節剤0.1~10重量%、水溶性増粘剤0.02~2重量%、キレート剤0.05~0.2重量%、及び有機塩基0.1~1重量%からなる、研磨対象物表面の欠陥数を低減させ且つヘイズを低減させる性能に優れるシリコンウェーハ最終研磨用スラリー組成物、及びそれを用いた最終研磨方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥粒としてのコロイダルシリカ、界面活性剤、pH調節剤、水溶性増粘剤、キレート剤、研磨促進剤及び残量の水からなる、表面欠陥数及びヘイズ減少用シリコンウェーハ最終研磨用スラリー組成物。
【請求項2】
組成物の全体重量に対して、コロイダルシリカ1~20重量%、界面活性剤0.03~0.5重量%、pH調節剤0.1~10重量%、水溶性増粘剤0.02~2重量%、キレート剤0.05~0.2重量%、研磨促進剤0.1~1重量%、及び残量の水からなることを特徴とする、請求項1に記載の表面欠陥数及びヘイズ減少用シリコンウェーハ最終研磨用スラリー組成物。
【請求項3】
前記界面活性剤は、下記式(2)の構造を有するPEOメタクリレート(PEO-methacrylate)重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の表面欠陥数及びヘイズ減少用シリコンウェーハ最終研磨用スラリー組成物。
【化2】
(式中、nは7~22である。)
【請求項4】
前記研磨促進剤は、有機塩基として下記式(1)の構造を有するトリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド(THEMAH)であることを特徴とする、請求項1に記載の表面欠陥数及びヘイズ減少用シリコンウェーハ最終研磨用スラリー組成物。
【化1】
【請求項5】
pHが10.5~12であることを特徴とする、請求項1に記載の表面欠陥数及びヘイズ減少用シリコンウェーハ最終研磨用スラリー組成物。
【請求項6】
前記コロイダルシリカの粒径が30~70nmであることを特徴とする、請求項1に記載の表面欠陥数及びヘイズ減少用シリコンウェーハ最終研磨用スラリー組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物を用いたシリコンウェーハ最終研磨方法。
【請求項8】
研磨速度が40nm/min超過であることを特徴とする、請求項7に記載の最終研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥数及びヘイズを低減させつつシリコンウェーハを最終研磨する研磨用スラリー組成物、及びそれを用いた最終研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造時の基板となるシリコンウェーハは、単結晶成長(single crystal growing)、切断(slicing)、ラッピング(lapping)、エッチング(etching)、研磨(polishing)、洗浄(cleaning)などの工程を経て製造される。
ウェーハ製造工程の中でも、研磨工程は、シリコン単結晶インゴット(ingot)の成長で始まって最終CMP(Chemical Mechanical Polishing)工程で終わる過程の全ての工程で生成されたか或いは未だ除去されていないウェーハ表面の微細な欠陥であるスクラッチ(scratch)、クラック(crack)、金属不純物、パーティクル、LPD(Light Point Defect)、マイクロラフネス(microroughness)などを完璧に除去し、表面を鏡のように作らなければならない工程である
ウェーハのCMP工程は、多段階からなるが、ウェーハ表面のディープスクラッチ(deep scratch)を除去するために、速い研磨速度を要するストック除去(stock removal)研磨と、依然として残留するマイクロスクラッチを除去し、表面のマイクロラフネスを下げて(数Åレベルまで)鏡面を実現する鏡面研磨(final polishing)と、で構成される。
このとき、鏡面研磨工程で超微細欠陥を決定する主要な因子としては、硬質或いは軟質のウレタン研磨パッドとシリカスラリーが挙げられる。
一般に、鏡面研磨用ウェーハスラリーは、研磨剤としてのコロイダルシリカ、pH調節剤、研磨を促進させる有機塩基性化合物、分散安定性と洗浄性能を向上させる界面活性剤、粒子安定性とウェーハ表面の保護のための水溶性増粘剤、及び研磨スラリー中に含まれ得る金属不純物と錯イオンを形成してこれを捕捉することで金属不純物による研磨対象物の汚染を抑制するキレート剤などを含む。
最近、半導体の高集積化によるウェーハの表面欠陥管理範囲がさらに狭くなることにより、それに適した品質を有する研磨パッドとスラリーに関して盛んな研究開発が進められており、特に、スラリーは、ウェーハの最終品質を決定する重要な因子として見なされるため、多様な物理化学的性質を有する製品が発売されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半導体配線の微細化に伴い、シリコン基板をより高品位な表面に仕上げることが求められている。そのため、微細パーティクルとヘイズを低減させたシリコンウェーハ基板を提供できるようにする最終研磨用スラリー組成物が求められている。
そこで、本発明は、研磨対象物であるシリコンウェーハ基板の表面の微細パーティクルとヘイズを低減させることができる性能に優れるシリコンウェーハ最終研磨用組成物、及び該組成物を用いた最終研磨方法を提供することにより、シリコンウェーハ研磨工程の歩留まりを向上させようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、最終研磨後のシリコンウェーハの表面欠陥の抑制及びヘイズの低減のための塩基性化合物と水溶性高分子を探索した結果、特定の構造を有する化合物を含む組成物によれば、シリコンウェーハの表面欠陥及びヘイズの低減効果に優れることを明らかにすることにより、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、シリコンウェーハの表面の欠陥及びヘイズの低減効果に優れるシリコンウェーハ最終研磨用組成物を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、超純水、砥粒、pH調節剤、水溶性増粘剤、キレート剤を含むスラリー組成物において、第四級アンモニウムイオン(第四級アンモニウムカチオン(Quaternary ammonium cation))とメタクリレート重合体(単官能メタクリレート(Monofunctional methacrylate))を同時に含むことを特徴とする、シリコンウェーハ最終研磨用スラリー組成物を提供する。
本発明の第四級アンモニウムイオンは下記式(1)で表され、メタクリレート重合体は下記式(2)で表される物質を含むことを特徴とする。
【化1】
【化2】
(式中、nは7~22である。)
本発明の実施形態によれば、最終研磨用組成物は、動的光散乱法を用いて測定された研磨組成物中の粒子の平均粒径が80nm以下である。
通常、研磨組成物中の粒子の平均粒径を80nm以下にすると、被研磨面が疎水性になり、むしろ表面欠陥数又はヘイズが増加する。
また、研磨組成物中の粒子の平均粒径が小さい場合には、電気二重層引/斥力によって研磨後のウェーハ表面に粒子が再付着してパーティクルとなり易いため、欠陥数が増加する場合がある。
しかし、上述した有機塩基性化合物と水溶性重合体とを含む研磨用組成物では、研磨組成物中の粒子を小さくしてもシリコンウェーハの表面を洗浄する機能が向上し、ウェーハの表面が親水性に保つことができる。そのため、本発明の実施形態によれば、研磨後のシリコンウェーハの表面欠陥の抑制及びヘイズの低減を実現することができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明によるシリコンウェーハ最終研磨用スラリー組成物は、研磨速度を40nm/min超過に維持しながらもシリコンウェーハの表面の微細パーティクル生成抑制及びヘイズ低減を実現して工程信頼度及び生産性を大きく向上させる顕著な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施例1によるシリコンウェーハの表面欠陥数マップ(map)である。
【
図2】本発明の比較例4によるシリコンウェーハの表面欠陥数マップ(map)である。
【
図3】本発明の比較例7によるシリコンウェーハの表面欠陥数マップ(map)である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明をより詳細に説明する。他に定義されない限り、本発明の明細書で使用された全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する技術分野における熟練した専門家によって通常理解されるのと同じ意味を有する。
一般に、本発明の明細書で使用された命名法は、本発明の属する技術分野でよく知られており、通常使用されるものである。本発明の明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する
下記に開示される技術は、シリコン基板を研磨対象物とする研磨に適用される。特に、シリコンウェーハを研磨対象物とする研磨に適している。ここでいうシリコンウェーハの典型例は、シリコン単結晶ウェーハであり、例えば、シリコン単結晶インゴットをスライスして得られたシリコン単結晶ウェーハである。
ここに開示される技術における研磨対象面は、典型的にはシリコンを含む表面である。ここに開示される研磨方法は、シリコン基板の研磨(polishing)工程に好適に適用することができる。
本発明によるシリコンウェーハ用最終研磨用スラリー組成物は、脱イオン水を溶媒とし、砥粒、界面活性剤、pH調節剤、水溶性増粘剤、キレート剤、研磨促進剤を含むことを特徴とする、シリコンウェーハ最終研磨用スラリー組成物を提供する。
前記組成物は、組成物の全重量に対して、前記砥粒が1~20重量%、界面活性剤が0.03~0.5重量%、pH調節剤が0.1~10重量%、水溶性増粘剤が0.02~2重量%、キレート剤が0.05~0.2重量%、研磨促進剤が0.1~1重量%含まれることを特徴とする。
本実施形態のシリコンウェーハ最終研磨用スラリー組成物には、溶媒として典型的に水を含む。水としては、イオン交換水(脱イオン水)、純水、超純水、蒸留水等を好ましく使用することができる。使用する水は、研磨用組成物に含有される他の成分の作用が阻害されることを極力避けるために、金属イオンの合計含有量が100ppb以下であることが好ましい。
【0008】
本実施形態の研磨用組成物には砥粒を含む。砥粒は、シリコンウェーハの表面を機械的に研磨する機能を有する。砥粒としては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、コロイダルアルミナ、ヒュームドアルミナ及びセリアなどを用いることができる。シリコンウェーハの表面平滑性を向上させる観点からは、コロイダルシリカを用いることが好ましい。
本発明のスラリー組成物において、コロイダルシリカ粒子の平均粒径は、動的光散乱法による測定時に30~70nmの範囲が好ましい。
コロイダルシリカ粒子の平均粒径が30nm未満であれば、研磨速度が低すぎて実際の研磨工程に適用することが難しくなり、これに対し、コロイダルシリカ粒子の平均粒径が70nm超過であれば、ウェーハの表面欠陥が多量発生して本発明の目的から外れてしまう。
本実施形態の研磨用組成物には、界面活性剤が含まれる。界面活性剤の役割は、砥粒間のゼータ電位の増加を誘導し、かつ増粘剤として使用される高分子の配列に方向性を増加させることにより、研磨剤の分散安定性を増加させる。
特に界面活性剤の洗浄性能によって、研磨時に離脱して出るシロキサン粒子の再付着防止性能を増加させる。
界面活性剤としては、カーボネート系アニオン界面活性剤、スルホン酸系アニオン界面活性剤、リン酸系アニオン界面活性剤、ベタイン系両性界面活性剤、エチレン単独又はエチレンとプロピレン基が親水基の構造を有するノニオン界面活性剤などが挙げられる。
これらの界面活性剤の中でも、低起泡性又はpH調整容易性の観点から、ノニオン性界面活性剤がより好ましい。
【0009】
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、オキシアルキレンの単独重合体、複数種類のオキシアルキレンのブロック共重合体、複数種類のオキシアルキレンのランダム共重合体、メタクリレートオキシアルキレン重合体などが挙げられる。このようなノニオン界面活性剤が水溶性増粘剤の分子と分子との間に入り込んでウェーハの表面に緻密に吸着する。このように、ノニオン性界面活性剤が保護膜の隙間を埋めることにより、保護膜の密度や強度が向上してウェーハの表面の保護効果が向上する。
特に、これらのうち、下記式(2)の構造を有するメタクリレート重合体は、親水性が強くてウェーハ表面の保護効果が高まり、研磨後のウェーハの欠陥数及びヘイズ値が低減するので好ましい。
【化2】
(式中、nは7~22である。)
本発明では、pH調節剤として、スラリー全重量の0.1~10重量%に相当する量のアンモニア水を用いて、スラリーの最終pHを10.5~12.0に調節する。一方、アンモニア水は、pH調節剤としての役割以外にも、研磨工程中に金属と錯体を形成して金属残留を抑制する機能も持っており、このような機能によって研磨速度を向上させる有益な効果を得ることができる。
【0010】
本発明では、機械的研磨効果を緩和させながら所望の程度の研磨レベルを得るために、スラリーが層流(laminar)を生成するようにする役割を果たす水溶性増粘剤として、セルロース類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンポリアクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ソルビタンモノオレエートなどが挙げられる。これらの水溶性増粘剤の中では、ポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールがより好ましい。これらの水溶性増粘剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、研磨系内の金属不純物成分を捕捉して錯体を形成することにより、シリコンウェーハの金属汚染を抑制し、特にニッケル又は銅による汚染を抑制するキレート剤を含む。
キレート剤としては、グリシン、酢酸、アセトンオキシム、アクリル酸、アジピン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベタイン、ジメチルグリオキシム、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタミン、グルタル酸、グリセリン酸、グリセロール、グリコール酸、グリオキシル酸、ヒスチジン、イミノ二酢酸、イソフタル酸、イタコン酸、乳酸、ロイシン、リジン、マレイン酸、マレイン酸無水物、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、2,4-ペンタンジオン、フェニル酢酸、フェニルアラニン、フタル酸、プロリン、プロピオン酸、ピロカテコール、ピロメリット酸、キナ酸(quinic acid)、セリン、ソルビトール、コハク酸、酒石酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、チロシン、バリン、キシリトール、これらの塩及び誘導体、並びにこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。
これらのキレート剤の中でも、特にグリシンを用いることが好ましい。これらのキレート剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の研磨用組成物には、典型的には、シリコンウェーハ研磨促進剤を含有する。シリコンウェーハ研磨促進剤は、研磨用組成物に添加されることにより、研磨対象となる面を化学的に研磨する作用をし、研磨速度の向上に寄与する成分である。シリコンウェーハ研磨促進剤は、シリコンを化学的にエッチングする作用を有し、典型的には有機塩基性化合物である。
【0011】
有機塩基性化合物としては、第4級アンモニウム塩として、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド(Choline Hydroxide)、N,N-ジメチルピペリジンヒドロキシド及びトリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシドよりなる群より選択される1種である。また、このような有機塩基は、研磨時に離脱するシロキサン粒子や金属不純物をウェーハ表面から除去する洗浄剤として機能するが、特に、これらのうち、下記式(1)の構造を有するトリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド(THEMAH)の場合、他の第4級アンモニウム塩よりも洗浄機能に優れて好ましい。
【化1】
以下では、本発明の好適な実施例及び比較例を説明する。しかし、下記の実施例は、本発明の好適な一実施例に過ぎず、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0012】
実施例1~5、比較例1~5
表1の実施例及び比較例を用いて本発明を詳細に説明する。
砥粒(研磨剤)、界面活性剤、pH調節剤、水溶性増粘剤、キレート剤、研磨促進剤、及び脱イオン水を混合して、表1の研磨用組成物を得た。
組成物を具体的に見れば、全体組成物に対して砥粒10重量%、pH調節剤5重量%、水溶性増粘剤1重量%、キレート剤0.1重量%を含み、界面活性剤と研磨促進剤の種類と量を表1のように異ならせて含むようにし、残量の脱イオン水からなる研磨用組成物を製造した。
【表1】
表1の研磨用組成物を用いてシリコンウェーハの研磨を行った。そして、研磨における欠陥数の測定及びヘイズ値の測定を行った。研磨条件は、次の通りである。
-装備:12″5-zone pressure polisher & cleaner
-圧力:Wafer 1.2psi(2.5/1.2/1.2/1.2/1.2)R-ring 4.0psi
-PAD:Soft pad(H7000HN-PET)
-希釈比:1:1希釈
-流量:200mL/min
-Polishing time:60sec
-Cleaning solution:SC-1
-Brush type:roll type PVA(ポリビニルアルコール)
-Cleaning time:60sec
【0013】
Defect(欠陥数)の測定は、ケーエルエー・テンコール社製の商品名[AIT-XP+]装備の10μm spot sizeの光源を用いて測定し、Haze(ヘイズ)評価は、ウェーハ検査装置(ケーエルエー・テンコール社製、商品名「Surfscan SP2」)を用いて、DWOモードでヘイズ値(ppm)を測定した。測定した結果を下記表2に示した。
【表2】
実施例1と比較例1、2で研磨促進剤の種類を変更した結果、THEMAHは、TMAHに比べて欠陥数とヘイズが減少したことを確認した。比較例3、4及び5においても、類似した減少傾向を示す。実施例1と比較例5、比較例1と比較例3、比較例2と比較例4で界面活性剤の種類を変更した結果、PEO-メタクリレート系は、PEO-PPO-PEOに比べて欠陥数とヘイズが減少したことを確認した。
実施例1、2、3で界面活性剤の含量を増加させると欠陥数とヘイズが減少した結果を示し、実施例1、4、5で研磨促進剤の含量を増加させても類似した減少傾向を示す。ただし、ヘイズの減少は界面活性剤の影響性が大きく、欠陥数の減少は研磨促進剤の影響性が大きい傾向を示す。
このように、本発明のスラリー組成物において、PEO-メタクリレート系とOH基が増加した有機塩基(THEMAH)を含む場合、欠陥数とヘイズの低減を実現して研磨工程の収率を向上させることができる。
【0014】
実施例6~11、比較例6~9は、コロイダルシリカの平均粒径(nm)と含有量を表3のように異ならせてなる研磨用組成物を製造したが、組成物を具体的に見れば、全体組成物に対して、砥粒1~20重量%、pH調節剤5重量%、水溶性増粘剤1重量%、キレート剤0.1重量%、PEO-メタクリレート0.03重量%、THEMAH0.5重量%及び残量の脱イオン水からなる研磨用組成物を製造した。そして、研磨後の平均粒径に対する研磨速度、欠陥数、ヘイズ(Haze)を測定して表4に示した。
【表3】
【表4】
実施例6~11、比較例6及び比較例7で平均粒径を変更した結果、粒子径が小さいほど欠陥数とヘイズが減少するが、粒子径20nmの場合に研磨速度が非常に低いため、粒径30nm未満は、実際の工程で採択できないのである。
【0015】
そして、粒径80nmの場合は、研磨速度が増加して工程時間が短縮されるという利点があるが、欠陥数とヘイズが増加して研磨工程の収率を減少させるという問題点が生じるため、粒径70nm超過も、実際の工程で採択できないのである。
また、実施例7、10、11と比較例7、8、9で粒子の含有量を変更した結果、粒子の含有量が少ないほど研磨速度、欠陥数及びヘイズが減少する傾向を示す。この時、欠陥数及びヘイズが減少しても研磨速度が低すぎる場合には、工程の効率が大きく低下するので、実際の工程で採択できないのである。
【0016】
以上、本発明の特定の部分を詳述したところ、当該分野における通常の知識を有する者にとって、このような具体的技術は、単に好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が限定されるものではないことは明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は、請求項とそれらの等価物によって定義されるというべきである。
【国際調査報告】