(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】パルスDCプラズマチャンバにおけるプラズマ均一性制御
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240625BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240625BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01L21/302 101H
H01L21/302 101B
H01L21/31 C
H05H1/46 R
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576082
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 US2022029257
(87)【国際公開番号】W WO2022260827
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サイ, リンイン
(72)【発明者】
【氏名】ロジャーズ, ジェームズ
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
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5F004AA01
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5F045EK07
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5F045EM09
(57)【要約】
本明細書で提供される実施形態は、概して、処理チャンバ内で基板をプラズマ処理するための装置、例えばプラズマ処理システム、及び方法を含む。いくつかの実施形態では、本装置及び方法の態様は、基板の表面全体にわたる処理の均一性を向上させること、基板の表面の欠陥率を低減すること、又はこれらの両方を対象とする。いくつかの実施形態では、装置及び方法は、基板のエッジ上に形成されるプラズマの均一性及び/又は基板の表面におけるイオンエネルギーの分布に対する改善された制御を提供する。プラズマの均一性制御の向上は、基板表面の微粒子関連欠陥を低減するために、基板ハンドリング法、例えばチャッキング解除方法と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、プラズマ均一性の改善された制御は、インシトゥ(その場)プラズマチャンバ洗浄プロセス中にエッジリングの一部から蓄積された処理副生成物を優先的に洗浄するために使用される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持アセンブリであって、
支持ベース、
前記支持ベース上に配置され、かつ誘電体材料の第1の部分によって前記支持ベースから間隔を置いて配置される第1の電極、
前記第1の電極の上に配置された誘電体材料の第2の部分であって、基板支持面を形成する、誘電体材料の第2の部分、及び
前記第1の電極の中心から距離を置いて配置され、かつ誘電体材料の第3の部分によって前記支持ベースから間隔を置いて配置される、第2の電極
を備える、基板支持アセンブリと、
前記第1の電極及び前記第2の電極に電気的に接続された1つ又は複数のパルス電圧波形発生器と、
前記支持ベースに電気的に接続された高周波(RF)発生器であって、
前記RF発生器が、RF信号を前記支持ベースに供給するように構成され、
前記RF信号が、前記第1の電極に第1のRF波形を確立する、RF発生器と、
前記第2の電極に電気的に接続されたエッジ同調回路であって、前記エッジ同調回路が、前記第1の電極で確立された前記第1のRF波形の1つ又は複数の特性に対して、前記第2の電極で確立された第2のRF波形の1つ又は複数の特性を調整するように構成される、エッジ同調回路と
を備える、プラズマ処理システム。
【請求項2】
前記エッジ同調回路が、
(a)前記第2の電極における前記第2のRF波形と、前記第1の電極における前記第1のRF波形と、の間の電圧振幅比、
(b)前記第2の電極における前記第2のRF波形と、前記第1の電極における前記第1のRF波形と、の間の位相差、及び
(c)前記第2の電極における前記第2のRF波形と、前記第1の電極における前記第1のRF波形と、の間の電力比
の1つ又は組み合わせを変更することによって、前記第1のRF波形の前記1つ又は複数の特性に対して、前記第2のRF波形の前記1つ又は複数の特性を調整するように構成される、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項3】
前記RF発生器によって供給された前記RF信号が、処理チャンバの処理領域に供給されるガス又は蒸気からプラズマを点火し維持するように構成される、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項4】
前記RF発生器が、約1MHz以上の周波数で前記RF信号を供給するように構成される、請求項3に記載のプラズマ処理システム。
【請求項5】
前記基板支持アセンブリが、前記第2の電極を、前記誘電体材料の第3の部分を通して前記支持ベースに容量結合することにより、前記第2のRF波形を前記第2の電極に確立するように構成される、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項6】
導電性エッジリングが前記第2の電極に容量結合される、請求項5に記載のプラズマ処理システム。
【請求項7】
処理チャンバを更に備え、該処理チャンバが、
集合的に処理空間を画定するチャンバリッド、1つ又は複数のチャンバ壁、及びチャンバベース
を備え、
前記処理チャンバが、前記プラズマを前記チャンバリッド及び前記基板支持アセンブリに容量結合することを通して、処理領域に供給されるガス又は蒸気のプラズマを点火し維持するように構成される、請求項6に記載のプラズマ処理システム。
【請求項8】
チャンバリッド及び1つ又は複数のチャンバ壁であって、前記チャンバリッドが前記基板支持アセンブリに面し、前記チャンバリッド、前記1つ又は複数のチャンバ壁、及び前記基板支持アセンブリが集合的に処理領域を画定する、チャンバリッド及び1つ又は複数のチャンバ壁と、
プロセッサによって実行されると、基板を処理する方法を実行するように構成された、メモリに記憶されるコンピュータ実行命令と
を更に含み、該命令が、
(i)前記処理領域に供給されたガス又は蒸気からプラズマを点火し維持することであって、前記プラズマの第1の部分が、前記チャンバリッドと前記第1の電極との間に形成され、前記プラズマの第2の部分が、前記チャンバリッドと前記第2の電極との間に形成される、プラズマを点火し維持すること、並びに
(ii)前記プラズマの前記第2の部分におけるプラズマ密度対前記プラズマの前記第1の部分におけるプラズマ密度の比を変化させるために、前記エッジ同調回路を使用することにより、前記第1のRF波形の1つ又は複数の特性に対して、前記第2のRF波形の1つ又は複数の特性を調整することであって、それぞれの前記プラズマ密度が、各々前記プラズマの前記第1の部分及び前記第2の部分の1cm
3あたりの自由電子の数を含む、前記第2のRF波形の1つ又は複数の特性を調整すること
を含む、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項9】
前記第1のRF波形の前記1つ又は複数の特性に対して、前記第2のRF波形の前記1つ又は複数の特性を調整することが、前記プラズマの前記第1の部分における前記プラズマ密度に対して、前記プラズマの前記第2の部分における前記プラズマ密度を増加させ、前記方法が、
(iii) (ii)の前又は後に、前記基板を前記基板支持面から持ち上げること、及び
(iv) (iii)の後に、前記プラズマを消すこと
を更に含む、請求項8に記載のプラズマ処理システム。
【請求項10】
1つ又は複数のパルス電圧波形発生器が、前記第1の電極及び前記第2の電極にそれぞれの第1のパルス電圧波形及び第2のパルス電圧波形を確立するように構成され、
前記第1のパルス電圧波形及び前記第2のパルス電圧波形が各々、一連の繰り返しサイクルを含み、各繰り返しサイクル内の波形が、第1の時間間隔中に発生する第1の部分と、第2の時間間隔中に発生する第2の部分とを有し、
前記波形が、前記第1の時間間隔中に電圧ピークを有し、かつ
前記波形が、前記第2の時間間隔の少なくとも一部の間、実質的に正の傾き、実質的に負の傾きを有するか、又は実質的に一定である、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項11】
前記1つ又は複数のパルス電圧波形発生器のうちの第1のパルス電圧波形発生器を前記第1の電極に電気的に接続する第1の伝送ラインであって、前記第1のパルス電圧波形発生器と前記第1の電極との間に配置される第1のブロッキングキャパシタを備える、第1の伝送ラインと、
第1の直流(DC)電圧源と第1のブロッキング抵抗とを含む第1のクランピングネットワークであって、前記第1のDC電圧源が、前記第1の伝送ラインの第1の点と接地との間に電気的に接続され、前記第1の点が、前記第1のブロッキングキャパシタと前記第1の電極との間にあり、前記第1のブロッキング抵抗が、前記第1の点と前記第1のDC電圧源との間に電気的に接続される、第1のクランピングネットワークと
を更に備える、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項12】
(i)高周波(RF)発生器からのRF信号を使用することにより、チャンバリッド及び基板支持アセンブリによって画定される処理領域に供給されるガス又は蒸気のプラズマを発生させることであって、前記基板支持アセンブリが、
前記RF発生器に電気的に接続された支持ベース、
前記支持ベース上に配置され、かつ誘電体材料の第1の部分によって前記支持ベースから間隔を置いて配置される第1の電極であって、前記RF信号が、前記第1の電極において第1のRF波形を確立する、第1の電極、
前記第1の電極の上に配置された誘電体材料の第2の部分であって、基板支持面を形成する、誘電体材料の第2の部分、及び
前記第1の電極の中心から距離を置いて配置され、誘電体材料の第3の部分によって前記支持ベースから間隔を置いて配置され、かつエッジ同調回路に電気的に接続される第2の電極
を備える、ガス又は蒸気のプラズマを発生させることと、
(ii)前記RF信号及び前記同調回路を使用することにより、前記第2の電極において第2のRF波形を確立することであって、前記第1のRF波形の1つ又は複数の特性が、前記第2のRF波形の特性とは異なる、第2のRF波形を確立することと
を含む、基板を処理する方法。
【請求項13】
前記第1のRF波形と前記第2のRF波形との間の前記1つ又は複数の異なる特性が、
(a) 前記第2の電極における前記第2のRF波形と、前記第1の電極における前記第1のRF波形と、の間の電圧振幅比の差、
(b) 前記第2のRF波形と、前記第1のRF波形と、の間の電流振幅比の差、
(c) 前記第2の電極における前記第2のRF波形と、前記第1の電極における前記第1のRF波形と、の間の位相差、又は
(d) (a)、(b)若しくは(c)の組み合わせ
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プラズマの第1の部分が、前記チャンバリッドと前記第1の電極との間に形成され、
前記プラズマの第2の部分が、前記チャンバリッドと前記第2の電極との間に形成され、
前記第2のRF波形と前記第1のRF波形との間の前記1つ又は複数の異なる特性が、前記プラズマの前記第1の部分におけるプラズマ密度に対して、前記プラズマの前記第2の部分におけるプラズマ密度を制御するように構成され、前記プラズマ密度が、前記プラズマの前記第1の部分及び前記第2の部分の1cm
3あたりの自由電子の数を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(iii) 前記プラズマの前記第1の部分における前記プラズマ密度に対して、前記プラズマの前記第2の部分における前記プラズマ密度を増加させるために、前記第1のRF波形に対して、前記第2のRF波形の1つ又は複数の特性を調整すること、
(iv) 前記基板支持面から基板を少なくとも部分的に持ち上げること、及び
(v) (iv)の後に、前記プラズマを消すこと
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のRF波形の前記1つ又は複数の特性に対して、前記第2のRF波形の前記1つ又は複数の特性を調整することが、エッジ同調回路の1つ又は複数の可変キャパシタの容量を変化させることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記プラズマを生成することが、前記プラズマを前記チャンバリッド及び前記基板支持アセンブリに容量結合させることを通じて、前記処理領域に供給される前記ガス又は蒸気から前記プラズマを点火し維持することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記プラズマが、1つ又は複数の洗浄ガスから形成される洗浄プラズマであり、
前記洗浄プラズマの前記第2の部分におけるプラズマ密度が、前記洗浄プラズマの前記第1の部分における前記プラズマ密度よりも大きく、かつ
該方法が、処理副生成物を除去するために、前記基板支持アセンブリの表面を前記洗浄プラズマに曝露することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
第1のパルス電圧波形発生器を用いて、前記第1の電極における第1のパルス電圧波形を確立することを更に含み、
前記第1のパルス電圧波形が、一連の繰り返しサイクルを含み、
各サイクル内の波形が、第1の時間間隔の間に発生する第1の部分、及び第2の時間間隔の間に発生する第2の部分を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記基板を前記基板支持アセンブリに静電チャックするために、第1の直流(DC)電圧源を使用することにより、前記第1の電極にチャッキング電圧を供給すること
を更に含み、
前記第1のパルス電圧波形発生器が、第1の伝送ラインを使用して前記第1の電極に電気的に接続され、前記第1の伝送ラインが、第1のブロッキングキャパシタを含み、かつ
前記第1のDC電圧源が、前記第1の伝送ラインの第1の点と接地との間に電気的に接続され、前記第1の点が、前記第1のブロッキングキャパシタと前記第1の電極との間にある、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書における実施形態は、半導体デバイス製造において使用されるプラズマ生成ガス又は蒸気電気空間放電デバイス、特に、チャンバ空間に供給されるガス又は蒸気材料の容量結合プラズマを生成し、その空間中で半導体基板を処理するように構成された処理チャンバを対象とする。
【背景技術】
【0002】
[0002]高アスペクト比フィーチャを確実に製造することは、次世代半導体デバイスの重要な技術課題の1つである。高アスペクト比フィーチャを形成する1つの方法は、マスキング層の開口部をその下の基板表面の露出部分に転写するために、反応性イオンエッチング(RIE)プロセスなどのプラズマ支援エッチングプロセスを使用する。
【0003】
[0003]典型的なプラズマ支援エッチングプロセスでは、基板は、処理チャンバ内に配置された静電チャック(ESC)などの基板支持体上に配置され、基板上にプラズマが形成され、イオンが、プラズマと基板の表面との間に形成されたプラズマシース、すなわち電子が枯渇した領域を横切って、プラズマから基板に向かって加速される。マスク層の開口部は、異方性エッチングを提供するプラズマ生成中性子及び衝突イオンとの化学的及び物理的相互作用の組み合わせを通じて基板表面に転写される。基板表面での処理結果は、特に、その上に形成されるプラズマとプラズマシースの特性に依存する。
【0004】
[0004]多くの場合、プラズマチャンバは、容量結合プラズマを形成し、2つ以上の高周波(RF)電力を使用してプラズマシースを制御するように構成される。例えば、高周波成分が、プラズマを点火し維持するために使用され、プラズマ密度、ひいては基板表面でのイオンフラックスを決定する一方で、低周波成分は、プラズマシース全体の電圧降下を制御するために使用される。
【0005】
[0005]残念なことに、プラズマ密度及び/又はプラズマシースの形状における不均一性は、エッチングされたフィーチャプロファイルにおける望ましくない処理結果のばらつき(基板の中心からエッジまでの不均一な処理結果)を引き起こす可能性がある。過度の処理不均一性は、デバイスの歩留まり(基板上で製造されたデバイスの総数のうち、性能仕様に適合したデバイスの割合)に悪影響を及ぼし、抑制する可能性がある。このような不均一性は、基板エッジ付近で特に顕著であることが多く、特に、不均一な電力分布、チャンバ形状寸法の変化、表面材料特性の違い、及び/又は基板のエッジとそれに近接して配置されるESCの表面との間の電気的不連続性によって引き起こされうる。
【0006】
[0006]更に、望ましくない処理副生成物は、処理中に基板のエッジと基板を取り囲むエッジリングとの間の間隙など、チャンバ部品の表面に蓄積することが多い。蓄積された処理副生成物は、基板のベベルエッジに移行し、及び/又は、基板のベベルエッジとエッジリングとの間に望ましくないアーク放電を引き起こす可能性があり、更に、デバイスの歩留まりを抑制し、及び/又は、チャンバの生産性を低下させる。
【0007】
[0007]従って、プラズマ支援処理中の基板のエッジにおける処理の均一性及び欠陥率を改善する装置及び方法に対する必要性が当技術分野において存在する。また、上述の問題を解決するシステム、デバイス、及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
[0008]本明細書で提供される実施形態は、概して、処理チャンバ内で基板をプラズマ処理するための装置、例えばプラズマ処理システム、及び方法を含む。いくつかの実施形態では、本装置及び方法の態様は、基板の表面全体にわたる処理の均一性を向上させること、基板の表面の欠陥率を低減させること、又はこれらの両方を対象とする。
【0009】
[0009]1つの実施形態では、プラズマ処理システムは、基板支持アセンブリであって、支持ベース、支持ベース上に配置され、かつ誘電体材料の第1の部分によって支持ベースから間隔を置いて配置される第1の電極、第1の電極の上に配置された誘電体材料の第2の部分であって、基板支持面を形成する、誘電体材料の第2の部分、及び第1の電極の中心から距離を置いて配置され、かつ誘電体材料の第3の部分によって支持ベースから間隔を置いて配置される、第2の電極
を備える、基板支持アセンブリと、第1の電極及び第2の電極に電気的に接続された1つ又は複数のパルス電圧波形発生器と、支持ベースに電気的に接続された高周波(RF)発生器であって、RF発生器が、RF信号を支持ベースに供給するように構成され、RF信号が、第1の電極に第1のRF波形を確立する、RF発生器と、第2の電極に電気的に接続されたエッジ同調回路であって、エッジ同調回路が、第1の電極で確立された第1のRF波形の1つ又は複数の特性に対して、第2の電極で確立された第2のRF波形の1つ又は複数の特性を調整するように構成される、エッジ同調回路とを含む。
【0010】
[0010]1つの実施形態では、プラズマ処理システムは、集合的に処理領域を画定するチャンバリッド、1つ又は複数のチャンバ壁、及び基板支持アセンブリを含みうる処理チャンバであって、基板支持アセンブリが、支持ベース、支持ベース上に配置され、かつ誘電体材料の第1の部分によって支持ベースから間隔を置いて配置される第1の電極、第1の電極の上に配置された誘電体材料の第2の部分であって、基板支持面を形成する、誘電体材料の第2の部分、及び第1の電極の中心から距離を置いて配置され、かつ誘電体材料の第3の部分によって支持ベースから間隔を置いて配置される、第2の電極を含みうる、処理チャンバと、支持ベースに電気的に接続された高周波(RF)発生器であって、RF発生器が、RF信号を支持ベースに供給するように構成され、RF信号が、処理領域に供給されるガス又は蒸気のプラズマを点火し維持するように構成され、RF信号が、第1の電極に第1のRF波形を確立する、RF発生器と、第2の電極に電気的に接続されたエッジ同調回路であって、エッジ同調回路が、第1の電極で確立された第1のRF波形の1つ又は複数の特性に対して、第2の電極で確立された第2のRF波形の1つ又は複数の特性を調整するように構成される、エッジ同調回路とを含む。
【0011】
[0011]1つの実施形態では、処理方法は、(i)高周波(RF)発生器からのRF信号を使用することにより、チャンバリッド及び基板支持アセンブリによって画定される処理領域に供給されるガス又は蒸気のプラズマを発生させることであって、基板支持アセンブリが、RF発生器に電気的に接続された支持ベース、支持ベース上に配置され、かつ誘電体材料の第1の部分によって支持ベースから間隔を置いて配置される第1の電極であって、RF信号が、第1の電極において第1のRF波形を確立する、第1の電極、第1の電極の上に配置された誘電体材料の第2の部分であって、基板支持面を形成する、誘電体材料の第2の部分、及び第1の電極の中心から距離を置いて配置され、誘電体材料の第3の部分によって支持ベースから間隔を置いて配置され、かつエッジ同調回路に電気的に接続される第2の電極を含みうる、ガス又は蒸気のプラズマを発生させることと、(ii)RF信号及び同調回路を使用することにより、第2の電極において第2のRF波形を確立することであって、第1のRF波形の1つ又は複数の特性が、第2のRF波形の特性とは異なる、第2のRF波形を確立することとを含む。
【0012】
[0012]他の実施形態は、対応するコンピュータシステム、装置、及び1つ又は複数のコンピュータ記憶デバイス上に記録されたコンピュータプログラムを含み、方法の動作を実行するように各々が構成される。
【0013】
[0013]しかし、添付図面は、例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。しかし、添付図面は、例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】[0014]本明細書に記載の方法を実行するように構成された、1つ又は複数の実施形態による処理システムの概略断面図である。
【
図1B】本明細書に記載の方法を実行するように構成された、1つ又は複数の実施形態による処理システムの概略断面図である。
【
図1C】[0015]1つの実施形態による、
図1Aに示される処理システムの一部の近接概略断面図である。
【
図2】[0016]1つ又は複数の実施形態による、
図1A~1Bに示される処理システムの一方又は両方と共に使用することができる付勢(biasing)及びエッジ制御スキームの簡略化された概略図である。
【
図3A】[0017]1つ又は複数の実施形態による、
図1A~1Bに示される処理システムの一方又は両方と共に使用することができる例示的なエッジ同調回路を概略的に示す。
【
図3B】1つ又は複数の実施形態による、
図1A~1Bに示される処理システムの一方又は両方と共に使用することができる例示的なエッジ同調回路を概略的に示す。
【
図3C】1つ又は複数の実施形態による、
図1A~1Bに示される処理システムの一方又は両方と共に使用することができる例示的なエッジ同調回路を概略的に示す。
【
図3D】[0018]
図1A~1Bに示される処理システムの一方又は両方と共に使用することができる静電チャック(ESC)タイプの機能的に等価な回路図である。
【
図3E】
図1A~1Bに示される処理システムの一方又は両方と共に使用することができる異なる静電チャック(ESC)タイプの機能的に等価な回路図である。
【
図4】[0019]本明細書に記載の実施形態を使用して確立することができるパルス電圧(PV)波形の例を示す。
【
図5】[0020]A~Cは、本明細書に記載の実施形態を使用して生成することができるパルス電圧(PV)波形の例を示す。
【
図6】[0021]A~Bは、本明細書に記載される実施形態を使用して確立することができる例示的な高周波(RF)波形を示す。
【
図7】[0022]A~Dは、例えば、本明細書の実施形態によるエッジ同調回路構成を用いた、シミュレーション結果のグラフである。
【
図8】[0023]A~Cは、本明細書に記載の実施形態を使用して実行することができる処理方法を示す図である。
【
図9A】[0024]
図8A~8Cに記載の方法の態様を例示する、1つの実施形態によるプラズマ処理システムの一部の概略断面図である。
【
図9B】
図8A~8Cに記載の方法の態様を例示する、1つの実施形態によるプラズマ処理システムの一部の概略断面図である。
【
図9C】
図8A~8Cに記載の方法の態様を例示する、1つの実施形態によるプラズマ処理システムの一部の概略断面図である。
【
図9D】
図8A~8Cに記載の方法の態様を例示する、1つの実施形態によるプラズマ処理システムの一部の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0025]本明細書で提供される実施形態は、処理チャンバ内で基板をプラズマ処理するための装置及び方法を含む。いくつかの実施形態では、本装置及び方法の態様は、基板の表面全体にわたる処理の均一性を向上させること、基板の表面の欠陥率を低減すること、又はこれらの両方を対象とする。いくつかの実施形態では、装置及び方法は、基板のエッジ上に形成されるプラズマの均一性及び/又は基板の表面におけるイオンエネルギーの分布に対する改善された制御を提供する。いくつかの実施形態では、プラズマ均一性に対する改善された制御は、基板表面の微粒子関連の欠陥率を低減するために、基板ハンドリング方法、例えば、チャッキング解除(de-chucking)方法と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態では、プラズマ均一性の改善された制御は、インシトゥ(その場)プラズマチャンバ洗浄プロセス中にエッジリングの一部から蓄積された処理副生成物を優先的に洗浄するために使用される。
【0016】
[0026]本開示の実施形態は、プラズマプロセス中に基板を付勢及びクランプしつつ、1つ又は複数のパルス電圧(PV)発生器から処理チャンバ内の複数の電極に供給されるパルス電圧(PV)波形を提供するための装置及び方法を含みうる。いくつかの実施形態では、高周波(RF)発生器から処理チャンバ内の1つ又は複数の電力電極にRFが発生されるRF波形が供給され、処理チャンバ内でプラズマを確立及び維持し、一方、1つ又は複数のPV発生器から供給される1つ又は複数のPV波形は、基板の表面及びそれに隣接する基板支持アセンブリの表面にわたってほぼ一定のシース電圧(例えば、プラズマ電位と基板電位との間の一定の差)を確立するように構成される。確立されたほぼ一定のシース電圧は、処理チャンバ内で実行される1つ又は複数のプラズマ処理工程の間、基板の表面で望ましいイオンエネルギー分布関数(IEDF)を提供する。
【0017】
[0027]本開示のいくつかの実施形態は、例えば、基板の中心に対して基板の外周エッジ領域及び基板支持アセンブリの隣接する表面にわたってバルクプラズマ中の電子密度を制御することによって、プラズマ均一性を制御するための装置及び方法を含む。いくつかの実施形態では、プラズマ均一性は、エッジ制御電極において確立されたRF波形と、バイアス電極において確立されたRF波形と、の間の電圧振幅比、エッジ制御電極とバイアス電極におけるRF波形間の電流振幅比、及びそれぞれの電極におけるRF波形間の位相差の1つ又は組み合わせを制御するために、エッジ同調回路を用いて制御される。
【0018】
[0028]有利には、本装置及び方法は、反応性中性種濃度、イオンエネルギー及び角度分布、イオンの方向性及び方向性の均一性を制御し、基板のエッジなど基板の表面全体にわたってイオンフラックス及び/又は反応性中性種の均一性を個別に制御するための個々の同調ノブを提供するために、単独で又は組み合わせて使用されうる。例えば、いくつかの実施形態では、プラズマシースの厚さプロファイルと、基板のエッジ領域上に形成される(プラズマシースとプラズマとの間の)シース境界の形状と、したがって基板表面に向かって加速されるイオンのエネルギー及び方向性とを制御するように、エッジ電極及びチャック電極で確立されるPV波形をそれぞれ調整することによって、イオンエネルギー及び方向性の均一性が制御されうる。イオンフラックス及び/又は反応性中性種濃度の均一性は、それぞれの電極で確立されたRF波形を調整することによって、個別に制御されうる。概して、イオンのエネルギーと方向性は、基板の表面に形成されるフィーチャ開口部におけるエッチングプロファイルなど、基板表面でのイオン相互作用に関連する処理結果に影響を与える一方で、イオンフラックスと反応性中性種濃度は、フィーチャ開口部からの材料除去速度など、処理速度に強く影響する。このように、イオンエネルギー、イオンの方向性、イオンフラックス、及び処理表面での反応性中性種を個別に制御する能力は、望ましい調整パラメータを提供する。このパラメータは、次世代の電子デバイスの厳しい公差に必要なエッチングプロファイルと、コスト効率の高い製造に必要な処理スループットの両方を最適化するために使用されうる。
【0019】
プラズマ処理システムの例
[0029]
図1A及び
図1Bは、本明細書に明記されるプラズマ処理方法の1つ又は複数を実行するように構成された処理システム10A及び10Bそれぞれの概略断面図である。
図2は、処理システム10A及び10Bの一方又は両方と共に使用することができる処理スキームの簡略化された概略図である。
図3A~3Cは、プラズマ均一性を制御し調整するために、処理システム10A及び10Bの一方又は両方と共にエッジ同調回路170として使用することができるエッジ同調回路170a、170b、170cの例である。
【0020】
[0030]いくつかの実施形態では、
図1A及び
図1Bに示される処理システム10A及び10Bは、反応性イオンエッチング(RIE)プラズマ処理などのプラズマ支援エッチングプロセスのために構成される。しかし、本明細書に記載の複数の実施形態はまた、プラズマ堆積プロセス、例えば、プラズマ支援化学気相堆積(PECVD)プロセス、プラズマ支援物理気相堆積(PEPVD)プロセス、プラズマ支援原子層堆積(PEALD)プロセス、プラズマ処理プロセス、又はプラズマベースのイオン注入プロセス(例えば、プラズマドーピング(PLAD)プロセス)などの、他のプラズマ支援プロセスで使用されるように構成された処理システムと共に使用されてよいことに留意されたい。
【0021】
[0031]
図1A~1Bに示すように、処理システム10A~10Bは、容量結合プラズマ(CCP)を形成するように構成され、処理チャンバ100は、処理空間129内に配置された上部電極(例えば、チャンバリッド123)を含み、また、この上部空間は、処理空間129内に配置された下部電極(例えば、基板支持アセンブリ136)と対向する。典型的な容量結合プラズマ(CCP)処理システムでは、高周波(RF)源(例えば、RF発生器118)が、上部電極又は下部電極の一方に電気的に接続され、プラズマ(例えば、プラズマ101)を点火し維持するように構成されたRF信号を供給し、このRF信号は、上部電極及び下部電極のそれぞれに容量結合され、その間の処理領域に配置される。通常、上部電極又は下部電極の対向する一方は、接地又は第2のRF電源に接続される。
図1A~1Bにおいて、支持ベース107のような基板支持アセンブリ136の1つ又は複数の構成要素は、RF発生器118を含むプラズマ発生器アセンブリ163に電気的に接続され、チャンバリッド123は接地に電気的に接続される。
【0022】
[0032]
図1A~1Bに示すように、処理システム10A及び10Bの各々は、処理チャンバ100、基板支持アセンブリ136、システムコントローラ126、及びプラズマ制御スキーム18を含む。本明細書に記載される実施形態において、処理システム10Aの特徴、構成、及び/又は構造的構成要素、例えば、基板支持アセンブリ136の構造的構成要素及び/又はプラズマ制御スキーム18の電気的構成要素のいずれか1つ又は組み合わせが、処理システム10Bにおいて使用されてもよく、逆もまた同様であることが企図される。
【0023】
[0033]処理チャンバ100は通常、チャンバリッド123、1つ又は複数の側壁122、及びチャンバベース124を含むチャンバ本体113を含み、これらは集合的に処理空間129を画定する。1つ又は複数の側壁122及びチャンバベース124は、概して、処理チャンバ100の要素用の構造的支持を形成するようにサイズ決定され成形された材料であって、それらに印加される圧力及び更なるエネルギーに耐えるように構成された材料を含む。一方で、プラズマ101は、処理中に処理チャンバ100の処理空間129内で維持される真空環境内で生成される。1つの実施例では、1つ又は複数の側壁122及びチャンバベース124が、アルミニウム、アルミニウム合金、又はステンレス鋼合金などの金属から形成される。
【0024】
[0034]チャンバリッド123を貫通して配置されたガス入口128は、流体連結している処理ガス源119から処理空間129に1つ又は複数の処理ガス又は蒸気を供給するために使用される。いくつかの実施形態では、チャンバリッド123はシャワーヘッド(図示せず)を含み、ガス又は蒸気はシャワーヘッドを通して処理空間に分配される。いくつかの実施形態では、ガス又は蒸気は、1つ又は複数の側壁122(図示せず)のうちの1つを通って配置されたガス入口を使用して、処理空間129に供給される。基板103は、1つ又は複数の側壁122の一方の側壁内の開口部(図示せず)を通して処理空間129に搬入され、かつ処理空間129から搬出され、この開口部は、基板103のプラズマ処理中にスリット弁(図示せず)で密閉される。
【0025】
[0035]いくつかの実施形態では、基板支持アセンブリ136に形成された開口部を通って移動可能に配置された複数のリフトピン20が、基板支持面105Aへの、及び基板支持面105Aからの基板の移送を容易にするために使用される。いくつかの実施形態では、複数のリフトピン20は、上方に配置され、処理空間129内に配置されたリフトピンフープ(図示せず)に接続され、及び/又はこれと係合可能である。リフトピンフープは、チャンバベース124を貫通して密封的に延びるシャフト(図示せず)に接続されうる。シャフトは、リフトピンフープを昇降させるために使用されるアクチュエータ(図示せず)に接続されうる。リフトピンフープが上昇位置にあるとき、複数のリフトピン20と係合して、リフトピンの上面を基板支持面105Aの上方に上昇させ、基板103をそこから持ち上げ、ロボットハンドラ(図示せず)による基板103の非アクティブ(裏側)面へのアクセスを可能にする。リフトピンフープが下降位置にあるとき、複数のリフトピン20は基板支持面105Aと同一平面にあるか、基板支持面105Aの下方に凹んでおり、基板103はその上に載置される。
【0026】
[0036]本明細書では処理チャンバコントローラとも呼ばれるシステムコントローラ126は、中央処理装置(CPU)133、メモリ134、及びサポート回路135を含む。システムコントローラ126は、基板103を処理するために使用されるプロセスシーケンス(本明細書で説明される基板バイアス方法を含む)を制御するために使用される。CPU133は、処理チャンバ及び処理チャンバと関連するサブプロセッサを制御するための、産業設定で使用されるように構成された汎用コンピュータプロセッサである。本明細書で説明されるメモリ134は、概して不揮発性メモリであり、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、フロッピー若しくはハードディスクドライブ、又は他の適切な形態のデジタルストレージ(ローカル若しくはリモート)を含みうる。サポート回路135は、従来からCPU133に接続されており、キャッシュ、クロック回路、入/出力サブシステム、電源など、及びこれらの組み合わせを備える。ソフトウェア命令(プログラム)及びデータは、CPU133内のプロセッサに命令するために、メモリ134内にコード化され、記憶されうる。システムコントローラ126内のCPU133によって読み取り可能なソフトウェアプログラム(又はコンピュータ指示命令)は、どの作業が処理システム10A及び/又は10B内の構成要素によって実行可能であるかを特定する。
【0027】
[0037]典型的には、プログラムが、システムコントローラ126内のCPU133によって読み取り可能であり、コードが含まれる。このコードは、プロセッサ(CPU133)によって実行されると、本明細書で説明されるプラズマ処理スキームに関連したタスクを実行する。本プログラムは、命令を含みうる。本命令は、処理システム10A及び/又は10B内の様々なハードウェア及び電気部品を制御するために使用される。それによって、本明細書で説明される方法を実施するために使用される、様々なプロセスタスク及び様々なプロセスシーケンスを実行する。1つの実施形態では、プログラムは、
図7及び
図8A~8Cに関連して後述する工程の1つ以上を実行するために使用される命令を含む。
【0028】
[0038]
図1A~1Bに図示されたプラズマ制御スキーム188は、概して、プラズマ発生器アセンブリ163と、バイアス電極104において第1のPV波形を確立するための第1のパルス電圧(PV)源アセンブリ196と、エッジ制御電極115において第2のPV波形を確立するための第2のPV源アセンブリ197とを含む。いくつかの実施形態では、プラズマ発生器アセンブリ163は、RF信号を支持ベース107(例えば、電力電極又はカソード)に供給し、これは、基板支持アセンブリ136とチャンバリッド123との間に配置された処理領域においてプラズマ101を発生させる(維持及び/又は点火する)ために使用されうる。いくつかの実施形態では、RF発生器118は、約400kHzより大きい周波数、例えば、約1MHz以上、又は約2MHz以上、例えば、約13.56MHz以上、約27MHz以上、約40MHz以上、又は例えば、約30MHzと約200MHzとの間、例えば、約30MHzと約160MHzとの間、約30MHzと約120MHzとの間、又は約30MHzと約60MHzとの間の周波数を有するRF信号を供給するように構成される。
【0029】
[0039]いくつかの実施形態では、プラズマ制御スキーム188は、エッジ同調回路170を更に含み、このエッジ同調回路170は、基板支持アセンブリ136とチャンバリッド123との間に形成されるプラズマ101の1つ又は複数の特性を調整するために使用されうる。いくつかの実施形態では、エッジ同調回路170は、基板支持アセンブリ136上に配置された基板103の外周エッジ上に形成されたプラズマ101の部分の密度を、基板103の中心の表面上に形成されたプラズマ101の部分の密度に対して、調整するために使用されうる。概して、本明細書で使用されるように、プラズマ密度は、単位体積当たりのバルクプラズマ中の自由電子の数(例えば、自由電子の数/cm3)を指し、これは、いくつかの実施形態では、約108cm-3~約1011cm-3の範囲内でありうる。エッジ同調回路170は、基板支持アセンブリ136の中心部分上の領域でプラズマ101を維持するために使用されるRF電力に対して、基板支持アセンブリ136のエッジ上の領域でプラズマ101を維持するために使用されるRF電力の1つ又は複数の特性の操作を可能にする。例えば、エッジ同調回路170は、基板支持アセンブリ136の中心領域103A内のRF電力に対して、基板支持アセンブリ136のエッジにおけるRF電力の電圧、電流、及び/又は位相のうちの1つ以上を調整するために使用されうる。
【0030】
[0040]更に後述するように、エッジ同調回路170は、基板支持アセンブリ136に配置されたエッジ制御電極115に電気的に接続されうる。いくつかの実施形態では、プラズマ101を点火及び/又は維持するために使用されるRF信号は、プラズマ発生器アセンブリ163から支持ベース107に供給され、支持ベース107は、その間に配置された誘電体材料の層を介してエッジ制御電極115に容量結合される。エッジ同調回路170は、例えば、支持ベース107に供給されるRF電力に対して、エッジ制御電極115におけるRF電力の電圧、電流、及び/又は位相を調整することによって、エッジ制御電極115上の領域内にプラズマを維持するために使用されるRF電力の1つ又は複数の特性を調整するために使用されうる。
【0031】
[0041]いくつかの実施形態では、エッジ制御電極115及びバイアス電極104上の領域においてプラズマを点火及び/又は維持するために使用されるRF電力の電圧、電流、及び/又は位相間の差は、エッジ制御電極115及び/又はバイアス電極104におけるRF電力のそれぞれの電圧、電流、及び/又は位相を測定又は決定することによって決定及び/又はモニタされる。いくつかの実施形態では、エッジ制御電極115及び/又はバイアス電極104におけるRF電力の1つ又は複数の特性は、以下に記載される信号検出モジュール187を用いて測定及び/又は決定される。
【0032】
[0042]上述したように、いくつかの実施形態では、RF発生器118及びRF整合アセンブリ160を含むプラズマ発生器アセンブリ163は、概して、システムコントローラ126から供給される制御信号に基づいて、所望の実質的に固定された正弦波形周波数で所望の量の連続波(CW)又はパルスRF電力を基板支持アセンブリ136の支持ベース107に供給するように構成される。処理中、プラズマ発生器アセンブリ163は、基板支持体105に近接し、基板支持体アセンブリ136内に配置された支持ベース107にRF電力(例えば、RF信号)を供給するように構成される。支持ベース107に供給されるRF電力は、処理空間129内に配置された処理ガスの処理プラズマ101を点火し、維持するように構成される。
【0033】
[0043]いくつかの実施形態では、支持ベース107は、RF整合回路162及び第1のフィルタアセンブリ161を介してRF発生器118に電気的に接続されるRF電極であり、RF整合回路162及び第1のフィルタアセンブリ161の両方が、RF整合アセンブリ160内に配置されている。第1のフィルタアセンブリ161は、PV波形発生器150の出力によって生成された電流が、RF電力供給ライン167を通って流れ、RF発生器118に損傷を与えることを実質的に防止するように構成された1つ又は複数の電気素子を含む。第1のフィルタアセンブリ161は、PV波形発生器150内のPVパルス発生器P1から発生したPV信号に対して高インピーダンス(例えば高Z)として作用し、RF整合回路162とRF発生器118への電流の流れを抑制する。
【0034】
[0044]いくつかの実施形態では、RF整合アセンブリ160及びRF発生器118は、処理空間129内に配置された処理ガス、及びRF発生器118によって支持ベース107に供給されたRF電力(RF信号)によって発生したフィールド(field)を使用して、処理プラズマ101を点火及び維持するために使用される。処理空間129は、真空出口120を通して1つ又は複数の専用真空ポンプに流体連通している。1つ又は複数の専用真空ポンプは、処理空間129を準大気圧状態に維持し、処理空間129から処理ガス及び/又は他のガスを排気する。いくつかの実施形態では、処理空間129内に配置された基板支持アセンブリ136は、接地され、チャンバベース124を通って延びる支持シャフト138上に配置される。しかしながら、いくつかの実施形態では、RF整合アセンブリ160は、支持ベース107に対して基板支持体105内に配置されたバイアス電極104にRF電力を供給するように構成される。
【0035】
[0045]いくつかの実施形態では、エッジ同調回路170は、バイアス電極104に確立されたRF波形(例えば、
図6に示された第1のRF波形601)の1つ又は複数の特性に対する、エッジ制御電極115に確立されたRF波形(例えば、
図6に図示された第2のRF波形602)の1つ又は複数の特性を制御及び/又は調整するために使用される。
図1A及び
図2に示すようないくつかの実施形態では、エッジ同調回路170は、エッジ制御電極115と接地との間に電気的に接続されている。
図1Bに示すような、また
図2に点線で示すような他の実施形態では、エッジ同調回路170は、エッジ制御電極115とプラズマ発生器アセンブリ163との間に電気的に接続されうるため、ひいては、エッジ制御電極115と支持ベース107との間に電気的に接続される。
【0036】
[0046]上で簡単に説明したように、基板支持アセンブリ136は、概して、基板支持体105(例えば、ESC基板支持体)及び支持ベース107を含む。いくつかの実施形態では、基板支持アセンブリ136が、更に、絶縁体プレート111及び接地プレート112を含みうるが、これについては以下で更に説明される。支持ベース107は、絶縁体プレート111によってチャンバベース124から電気的に絶縁され、接地プレート112は、絶縁体プレート111とチャンバベース124との間に挿入されている。基板支持体105は、支持ベース107と熱的結合され、支持ベース107上に配置されている。いくつかの実施形態では、支持ベース107が、基板処理中に、基板支持体105、及び基板支持体105上に配置された基板103の温度を調節するように構成されている。いくつかの実施形態では、支持ベース107が、内部に配置された1つ又は複数の冷却チャネル(図示せず)を含む。1つ又は複数の冷却チャネルは、比較的高い電気抵抗を有する冷媒源又は水源などの冷却剤源(図示せず)に流体連通され、流体連結している。いくつかの実施形態では、基板支持体105が、基板支持体105の誘電体材料内に埋め込まれた抵抗加熱素子などのヒータ(図示せず)を含む。ここで、支持ベース107は、耐食性金属(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、又はステンレス鋼)などの耐食性熱伝導材料で形成され、接着剤又は機械的手段によって基板支持体に接続されている。
【0037】
[0047]典型的には、基板支持体105は、誘電体材料、例えばバルク焼結セラミック材料(耐腐食性金属酸化物又は金属窒化物材料、例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、これらの混合物、又はこれらの組み合わせなど)で形成される。本明細書の実施形態では、基板支持体105は、その誘電体材料に埋め込まれたバイアス電極104を更に含む。いくつかの実施形態では、バイアス電極104上の処理領域においてプラズマ101を維持するために使用されるRF電力の1つ又は複数の特性は、バイアス電極104において確立されるRF波形(例えば、
図6の第1のRF波形601)を測定することによって決定及び/又はモニタされる。典型的には、第1のRF波形601は、プラズマ発生器アセンブリ163から基板支持体105にRF信号を供給することによって確立され、基板支持体105は、その間に配置された誘電体材料層105C(
図1C)を通してバイアス電極104に容量結合される。
【0038】
[0048]1つの構成では、バイアス電極104は、基板103を基板支持体105の基板支持面105Aに固定し(すなわち、チャックし)、本明細書に記載のパルス電圧バイアススキームの1つ又は複数を使用して、基板103を処理プラズマ101に対して付勢するために使用されるチャッキングポール(chucking pole)である。典型的には、バイアス電極104が、1つ又は複数の金属メッシュ、箔、プレート、又はこれらの組み合わせなどの、1つ又は複数の導電性部品で形成される。
【0039】
[0049]いくつかの実施形態では、バイアス電極104は、クランピングネットワーク116と電気的に接続される。クランピングネットワーク116は、同軸電力供給ライン106(例えば、同軸ケーブル)などの電気導体を使用して、約-5000Vと約5000Vとの間の静的DC電圧などのチャッキング電圧をバイアス電極104に供給する。以下で更に検討するように、クランピングネットワーク116は、バイアス補償回路要素116A、DC電力供給源155、及びバイアス補償モジュールブロッキングキャパシタを含む。バイアス補償モジュールブロッキングキャパシタは、本明細書でブロッキングキャパシタC5とも呼ばれる。ブロッキングキャパシタC5は、パルス電圧(PV)波形発生器150の出力とバイアス電極104との間に配置される。
【0040】
[0050]
図1A及び
図1Bを参照すると、基板支持アセンブリ136は、エッジ制御電極115を更に含みうる。エッジ制御電極115は、エッジリング114の下方に配置され、バイアス電極104を取り囲み、及び/又はバイアス電極104の中心から距離を置いて配置されている。概して、回路基板を処理するように構成される処理チャンバ100では、エッジ制御電極115が、環形状であり、導電性材料から作製され、バイアス電極104の少なくとも一部を取り囲むように構成されている。
図1Aで示されているようないくつか実施形態では、エッジ制御電極115が、基板支持体105の領域内に配置される。いくつかの実施形態では、
図1Aに示されるように、エッジ制御電極115は、エッジリング114から、基板支持体105の基板支持面105Aからバイアス電極104と同様の距離(すなわち、Z方向)で配置される導電性メッシュ、箔、及び/又はプレートを含む。
図1Bで示されているようないくつかの他の実施形態では、エッジ制御電極115が、誘電体管110の領域上に又は誘電体管110の領域内に配置された、導電性メッシュ、箔、及び/又はプレートを含む。誘電体管110は、バイアス電極104及び/又は基板支持体105の少なくとも一部分を取り囲む。誘電体管110は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、石英などの様々な絶縁体で作ることができる。いくつかの実施形態では、誘電体管110は、同じ材料又は異なる材料で作られた、いくつかの部品を含むことができる。代替的に、いくつかの他の実施形態(図示せず)では、エッジ制御電極115が、基板支持体105上に隣接して配置されるエッジリング114内に配置されるか、又はそれと接続される。
【0041】
[0051]エッジ制御電極115は、概して、エッジ同調回路170と共に使用されるとき、及び/又はパルスバイアススキーム140(
図1)を使用して付勢されるとき、基板103に対するそれの位置のため、基板103の外周エッジの上又は外側にある生成プラズマ101の一部に影響を与えうるか又は変更しうるように位置決めされる。いくつかの実施形態では、エッジ制御電極115に電気的に接続されたエッジ同調回路170を使用して、エッジ制御電極115の上の処理領域129A内のプラズマを点火及び/又は維持するために使用されるRF電力の1つ又は複数の特性を操作することができる。例えば、いくつかの実施形態では、エッジ同調回路170を使用して、エッジ制御電極115とチャンバリッド123との間に配置された処理領域内のプラズマ101を点火及び/又は維持するために使用されるRF電力の電圧、電流、位相及び/又は供給された電力のうちの1つ以上を、調整及び/又は操作することができる。
【0042】
[0052]いくつかの実施形態では、エッジ制御電極115上の処理領域においてプラズマ101を維持するために使用されるRF電力の1つ又は複数の特性は、エッジ制御電極115及びバイアス電極104においてそれぞれ確立される第2のRF波形602と第1のRF波形601との間の1つ又は複数の差を測定することによって決定及び/又はモニタされる。いくつかの実施形態では、第2のRF波形602及び第1のRF波形601の1つ又は複数の特性の違いは、基板103の外周方向エッジ上の領域のプラズマ密度を調整するために、エッジ同調回路170を使用することによって操作されうる。このように、エッジ同調回路170は、有益には、バルクプラズマにおける活性化種の発生を制御するために使用されうる。これにより、基板103の中心領域103Aに対する基板103のエッジ(エッジ領域103B)におけるイオン及び/又はラジカルのフラックスに対する微細な制御が可能になる。
【0043】
[0053]エッジ制御電極115は、バイアス電極104を付勢するために使用されるPV波形発生器150とは異なるPV波形発生器150を使用して付勢することができる。いくつかの実施形態では、エッジ制御電極115が、電力の一部をエッジ制御電極115に分割することによってバイアス電極104を付勢するためにも使用されるPV波形発生器150を使用することにより付勢されうる。ある構成では、第1のPV源アセンブリ196の第1のPV波形発生器150が、バイアス電極104を付勢するように構成され、第2のPV源アセンブリ197の第2のPV波形発生器150が、エッジ制御電極115を付勢するように構成される。
【0044】
[0054]いくつかの実施形態では、システムコントローラ126に通信可能に接続された信号検出モジュール187を使用することにより、生成されたRF電力の1つ又は複数の特性が測定及び/又は決定される。信号検出モジュール187は、概して、処理システム10A及び10B内の様々な構成要素、例えばノードNに電気的に接続されている電気信号トレース(図示せず)から電気信号を受信するように構成されている。信号検出モジュール187は、それぞれが対応する電気信号トレースから電気信号を受信するように構成された複数の入力チャネル172と、データ取得モジュール169とを含みうる。受信された電気信号は、限定されるものではないが、支持ベース107に供給されるRF信号、バイアス電極104及びエッジ制御電極115の一方又は両方に確立されるRF波形、バイアス電極104及びエッジ制御電極115の一方又は両方に確立されるパルス電圧(PV)波形、及びバイアス電極104及びエッジ制御電極115の一方又は両方に供給されるチャッキング電圧の1つ又は複数の特性を含むことができる。いくつかの実施形態では、データ取得モジュール169は、基板処理中にRF信号、RF波形、PV波形、及び/又はチャッキング電圧の1つ又は複数の特性を自動的に制御するために使用される制御信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の特性における所望の変化は、システムコントローラによって信号検出モジュール187に伝達され、データ取得モジュール169は、所望の変化を実施するために使用されうる。
【0045】
[0055]いくつかの実施形態では、図示されているように、第2のPV源アセンブリ197は、同軸電力供給ライン106(例えば、同軸ケーブル)のような電気導体を使用してエッジ制御電極115に電気的に接続されるクランピングネットワーク116を含む。クランピングネットワーク116は、約-5000Vと約5000Vとの間などの静的DC電圧をエッジ制御電極に供給するために使用することができ、1つ又は複数のバイアス補償回路素子116A、DC電源155、及びブロッキングキャパシタC5を含みうる。ブロッキングキャパシタC5は、パルス電圧(PV)波形発生器150の出力とエッジ制御電極115との間に配置されている。ここで、第2のPV源アセンブリ197のクランピングネットワーク116は、第1のPV源アセンブリ196のクランピングネットワーク116とは独立して制御可能である。第2のPV源アセンブリ197のクランピングネットワーク116は、バイアス電極に供給されるクランピング電圧と同じ又は異なるクランピング電圧をエッジ制御電極に供給するために使用され、追加のプロセス調整ノブを提供することができる。
【0046】
[0056]いくつかの実施形態では、処理チャンバ100は、基板支持アセンブリ136の一部を少なくとも部分的に取り囲む誘電体パイプ110、又はカラーを更に含む。誘電体パイプ110は、RFホット基板支持アセンブリ136と接地ライナ108との間に誘電バリアをもたらし、また、基板支持体105及び/又は支持ベース107を、腐食性処理ガス又はプラズマ、洗浄ガス又はプラズマ、又はこれらの副生成物との接触から保護する。典型的には、誘電体管110、絶縁体プレート111、及び接地プレート112にライナ108が外接する。いくつかの実施形態では、プラズマスクリーン109が、カソードライナ108と側壁122との間に配置されて、ライナ108と1つ又は複数の側壁122との間のプラズマスクリーン109の下方の空間内にプラズマが発生するのを防止する。
【0047】
基板支持アセンブリの構成
[0057]
図1Cは、
図1Aに示す基板支持アセンブリ136の一部の近接図であり、基板支持アセンブリ136の1つ又は複数の実施形態内の様々な構造要素の電気特性の簡略化された電気概略図を含む。
図1Cに示される簡略化された電気的概略図は、
図1Bに描かれた基板支持アセンブリ136の対応する構造要素にも等しく適用可能である。ここで、基板支持アセンブリ136は、静電チャック(ESC)として構成され、クーロン型(Coulombic type)ESC又はジョンセン・ラーベック型(Johnsen-Rahbek type)ESCのいずれか一方でありうる。クーロン型ESCとジョンセン・ラーベク型ESCの簡略化した等価回路モデル191が、
図3D及び
図3Eにそれぞれ示され、後述される。概して、基板支持アセンブリ136のいずれのESC構成においても、基板103は、基板103とチャック電極との間に電位を与えることによって基板支持体105に固定され、その結果、その間に静電吸引力が生じる。1つの実施形態では、バイアス電極104は、本明細書で説明するパルス電圧(PV)波形のバイアス方式を容易にすることに加えて、チャック電極として使用される。
【0048】
[0058]図示されるように、基板支持アセンブリ136は、基板支持体105、支持ベース107、絶縁体プレート111、及び接地プレート112を含み、これらについてそれぞれ順番に説明する。基板支持体105は、誘電体材料で形成され、誘電体材料に埋め込まれたバイアス電極104を含む基板支持面105Aを提供する。バイアス電極104は、チャック電極として機能し、基板支持面105A、ひいては基板103から、第1の誘電体材料層105Bによって、かつ支持ベース107から、第2の誘電体材料層105Cによって、間隔を置いて配置される。
【0049】
[0059]いくつかの実施形態では、ESC構成は、比較的低圧(例えば、超高真空)の処理環境において、基板103を基板支持体105に固定するために使用されうる。いくつかの実施形態では、処理中に基板103を加熱及び/又は冷却して基板を所望の処理温度に維持することが望ましい場合がある。これらの実施形態では、基板支持アセンブリ136は、基板支持体105、ひいてはその上に配置された基板103を加熱又は冷却することによって、基板103を所望の温度に維持するように構成されうる。多くの場合、それらの実施形態では、基板支持面105Aは、基板103に接触する隆起部分(例えばメサ)と、基板103との間隙領域105Dを画定する凹部とを有するようにパターニングされる。基板処理中、不活性ガス、例えばヘリウムが、間隙領域105Dに供給され、基板支持面105Aとその上に配置された基板103との間の熱伝達を改善することができる。
【0050】
[0060]バイアス電極104は、DC電源155(
図1A~1Bで上述されている)に電気的に接続されており、このDC電源155は、基板103とバイアス電極104との間に電位を与え、その結果、その間に静電吸引力(チャッキング力)を発生させるように構成されている。基板支持アセンブリ136は、クーロン型ESC又はジョンセン・ラーベック型ESCのいずれか一方として構成されうる。ジョンセン・ラーベック型ESCは、クーロン型ESCと比較すると、より高いチャッキング力を提供し、より低いチャッキング電圧を使用しうる。クーロン型ESCでは、第1の誘電体材料層105Bに選択される誘電体材料は、通常、ジョンセン・ラーベック型ESCに選択される誘電体材料よりも高い電気抵抗を有することになる。その結果、
図3C及び
図3Eにそれぞれ示される簡略化された機能的等価回路モデル191a、191bに差が生じる。
【0051】
[0061]最も簡単な場合(例えば、
図3Dに示すクーロン型ESCの回路モデル191)では、第1の誘電体層105Bは、絶縁体として機能すると仮定された誘電体材料(例えば、無限抵抗R
JRを有する)で形成される。したがって、機能的に等価な回路モデル191aは、第1の誘電体層105Bを介してバイアス電極104と基板103との間の直接容量C
1を含む。クーロン型ESCのいくつかの実施形態では、第1の誘電体材料層105Bの誘電体材料及び厚さT
DL1は、容量C
1が約5nFと約100nFとの間、例えば約7nFと約20nFとの間となるように選択される。例えば、誘電体材料層105Bは、セラミック材料(例えば、酸化アルミニウム(Al
2O
3)など)で形成され、約0.1mmと約1mmとの間、例えば、約0.1mmと約0.5mmとの間、例えば、約0.3mm、の厚さT
DL1を有しうる。
【0052】
[0062]
図3Eに示すジョンセン・ラーベック型ESCの回路モデル191bに示されるような、より複雑な場合には、回路モデル191bは、誘電体材料抵抗R
JR及び間隙容量C
JRと並列に接続される容量C
1を含む。典型的には、ジョンセン・ラーベック型ESCでは、誘電体材料層105Bは、完全な絶縁体ではなく、ある程度の導電性を有するという点で、「漏れ性(leaky)」とみなされる。というのは、例えば、誘電体材料は、約9の誘電率(ε)を有するドープされた窒化アルミニウム(AlN)でありうるからである。
図3Dに示すクーロン型ESCの回路モデル191aと同様に、バイアス電極104と基板103との間には、誘電体材料層105Bとヘリウムで満たされた間隙領域105Dを通して直接容量C
1が存在する。ジョンセン・ラーベック型ESC内の誘電体層の体積抵抗は、約10
12オーム・cm(Ω・cm)未満、又は約10
10Ω・cm未満、更には10
8Ω・cmと10
12Ω・cmとの間の範囲内である。したがって、誘電体材料層105Bは、10
6Ωと10
11Ωとの間の範囲の誘電体材料抵抗R
JRを有しうる。
図3Eのモデル191bでは、基板103と基板支持面105Aとの間のガス含有間隙領域105Dを考慮するために、間隙容量C
JRが使用される。間隙容量C
JRは、容量C
1よりも少し大きな容量を有することが予想される。
図1Cに戻って、基板支持アセンブリ136内に形成された回路の電気概略図は、支持ベース誘電体層容量C
2を含み、これは、第2の誘電体材料層105Cの容量を表す。いくつかの実施形態では、第2の誘電体材料層105Cの部分の厚さは、第1の誘電体材料層105Bの厚さよりも大きい。いくつかの実施形態では、バイアス電極の両側の誘電体層を形成するために使用される誘電体材料は、同じ材料であり、基板支持体105の構造本体を形成する。1つの例では、支持ベース107とバイアス電極104との間に延びる方向で測定される第2の誘電体材料層105C(例えば、Al
2O
3又はAlN)の厚さは、約1.5mmと約100mmとの間の厚さを有するなど、1mmより大きい。支持ベース誘電体層容量C
2は、典型的には、約0.5ナノファラッド(nF)と約10nFとの間の容量を有する。
【0053】
[0063]
図1Cに示すように、基板支持アセンブリ136内に形成された回路の電気概略図はまた、支持ベース抵抗R
P、絶縁体プレート容量C
3、及び一端で接地に接続される接地プレート抵抗R
Gを含む。支持ベース107と接地プレート112は通常、金属材料で形成されているため、支持ベース抵抗R
Pと接地プレート抵抗R
Gは、数ミリオーム未満など非常に低い。絶縁体プレート容量C
3は、支持ベース107の底面と接地プレート112の上面との間に位置する誘電体層の容量を表す。1つの例では、絶縁体プレート容量C
3は、約0.1nFと約1nFとの間の容量を有する。
【0054】
バイアス及びエッジ制御スキーム
[0064]
図2は、
図1A及び
図1Bに示される処理システム10A~10Bの一方又は両方と共に使用することができるバイアス及びエッジ制御スキームの簡略化された概略図である。
図2に示すように、RF発生器118とPV波形発生器150は、それぞれRF波形とパルス電圧波形を、処理チャンバ100の処理空間129内に配置された1つ又は複数の電極に供給するように構成される。1つの実施形態では、RF発生器118とPV波形発生器150は、RF波形とパルス電圧波形を、基板支持アセンブリ136内に配置された1つ又は複数の電極に同時に供給するように構成される。
【0055】
[0065]上述したように、エッジ同調回路170は、概して、チャンバリッド123と基板支持アセンブリ136との間に形成されるプラズマの均一性を、例えば、基板103の外周エッジにわたるプラズマ密度(すなわち、バルクプラズマ中の自由電子密度)を制御することによって、制御するように構成される。いくつかの実施形態では、
図1A及び
図2に示すように、エッジ同調回路170は、エッジ制御電極115(エッジバイアス電極)と接地との間に電気的に接続される。他の実施形態では、
図1B及び
図2の点線で示されるように、エッジ同調回路170は、エッジ制御電極115とプラズマ発生器アセンブリ163との間、例えば、エッジ制御電極115とRF整合アセンブリ160との間に電気的に接続される。
【0056】
[0066]いくつかの実施形態では、エッジ同調回路170は、エッジ制御電極上の領域にプラズマを維持するために使用されるRF電力の電圧、電流、及び/又は位相を調整するために使用されうるインダクタ及びキャパシタ(例えば、LC回路)を含む共振回路として構成される。本明細書に記載の実施形態のいずれか1つにおいてエッジ同調回路170として使用されうる例示的な電気回路170a、170b、170cが、
図3A~3Cに図示されている。
図3A及び
図3Bにおいて、エッジ同調回路170a、170bは、
図1Aに示されるように、エッジ制御電極115と接地との間など、電力供給ライン158と接地との間に電気的に接続されるものとして示されていることに留意されたい。しかしながら、
図3A及び
図3Bに図示された例示的なエッジ同調回路170a、170bはまた、
図1Bに示されるように、エッジ制御電極115とRF整合アセンブリ160との間など、電力供給ライン158とプラズマ発生器アセンブリ163(点線で示される)との間に電気的に接続されうることが企図される。いくつかの他の実施形態では、エッジ同調回路170は、
図3Cのエッジ同調回路170cなど、同時に電力供給ライン158、プラズマ発生器アセンブリ163、及び接地に電気的に接続されうる。
【0057】
[0067]
図3Aに示す1つの実施形態では、エッジ同調回路170aは、並列に配置されたインダクタL
2と可変キャパシタC
7とを含む(すなわち、並列LC共振回路)。
図3Bに示す別の実施形態では、エッジ同調回路170bは、直列に配置されたインダクタL
2と可変キャパシタC
7を含む(すなわち、直列LC共振回路)。
図3Cに示す別の実施形態では、エッジ同調回路170cは、電力供給ライン158とプラズマ発生器アセンブリ163との間(すなわち、エッジ制御電極115とRF整合アセンブリ160との間)に直列に配置されたインダクタL
2及び可変キャパシタC
8(すなわち、直列LC共振回路)と、電力供給ライン158と接地との間に直列に配置された第2の可変キャパシタC
7とを含む。
【0058】
[0068]いくつかの実施形態では、可変キャパシタC7又はC8の一方又は両方は、少なくとも約50pF~約500pF(少なくとも約50pF~少なくとも約200pFなど)、又は少なくとも約20pF~約250pFで調整可能である。
【0059】
[0069]エッジ同調回路170に選択されるLC共振回路のタイプ、例えば、並列又は直列又は他の構造は、基板支持アセンブリ136の機械的寸法、及びエッジリング、エッジ電極、ベースプレート、ウエハ電極、ウエハ、及び接地プレートなどの導電性部品間又は電極間に結果的に生じる電気的結合に依存しうる。
【0060】
[0070]いくつかの実施形態では、LC共振回路のタイプは、バイアス電極104で確立された第1のRF波形601の1つ又は複数の特性に対して、エッジ制御電極115で確立された第2のRF波形602(
図6)の1つ又は複数の特性が調整できるように、LC共振回路の1つ又は複数のパラメータを調整することによって達成できるプラズマ密度分布を制御する所望の能力に基づいて選択することができる。例示的なエッジ同調回路170について達成できる様々な制御特性のシミュレーション結果を、
図7A~7Dで以下に説明する。
【0061】
[0071]
図2に戻ると、非限定的な一例として、RF発生器118とPV波形発生器150は、RF波形とパルス電圧波形を、基板支持アセンブリ136に配置された支持ベース107とバイアス電極104にそれぞれ供給するように構成されている。別の実施例では、RF発生器118、第1のPV波形発生器150、及び第2のPV波形発生器150は、RF波形、第1のパルス電圧波形、及び第2のパルス電圧波形を、それぞれ、基板支持アセンブリ136にすべてが配置されている支持ベース107、バイアス電極104、及びエッジ制御電極115に供給するように構成されている。
【0062】
[0072]
図2に示されるように、RF発生器118は、正弦波RF波形、ここではRF波形601、602(
図6A~6B)を含む正弦波RF波形(RF信号)を、RF整合回路162及び第1のフィルタアセンブリ161を含むRF(プラズマ)整合アセンブリ160を通して供給することによって、チャンバ本体113内に配置された1つ又は複数の電極にRF信号を供給するように構成される。更に、PV波形発生器150の各々は、第2のフィルタアセンブリ151を通してバイアス電極104又はエッジ電極115でPV波形を確立することにより、典型的には一連の電圧パルス(例えば、ナノ秒電圧パルスを含むサブマイクロ秒電圧パルス)を含むPV波形を、チャンバ本体113内に配置された1つ又は複数の電極に供給するように構成される。クランピングネットワーク116内の構成要素は、オプションで、各PV波形発生器150と第2のフィルタアセンブリ151との間に配置することができる。各PV波形発生器150により提供可能なPV波形401a~cの例を
図5A~5Cに示す。バイアス電極104及び/又はエッジ制御電極115で確立できるPV波形401の例を
図4に示す。
【0063】
[0073]処理中、第1のPV源アセンブリ196のPV波形発生器150によってバイアス電極104に、PV波形が供給され、第2のPV源アセンブリ197のPV波形発生器150によってエッジ制御電極115に、PV波形が供給される。パルス電圧波形は、処理チャンバ100内に配置された負荷(例えば、
図3D~3Eに示す複合負荷130)に供給される。PV波形発生器150は、それぞれの電力供給ライン157及び158を通してバイアス電極104及びエッジ制御電極115に接続されている。PV波形発生器150の各々からのPV波形の供給の制御は、システムコントローラ126から供給される信号を用いて行われる。
【0064】
[0074]1つの実施形態では、PV波形発生器150は、例えば、トランジスタ-トランジスタ論理(transistor-transistor logic(TTL))ソース(図示せず)からの信号を使用して、所定の長さの時間間隔で周期的な電圧関数(voltage function)を出力するように構成される。トランジスタ-トランジスタ論理(TTL)ソースによって生成される周期的電圧関数は、所定の負又は正の電圧とゼロとの間の2状態DCパルス(two-states DC pulses)でありうる。1つの実施形態では、PV波形発生器150は、1つ又は複数のスイッチを所定の割合で繰り返し開閉することにより、所定の長さの時間間隔が定期的に繰り返される間、その出力にわたって(すなわち接地に対して)所定の実質的に一定の負電圧を維持するように構成されている。1つの実施例では、パルス間隔の第1の位相の間、高電圧電源をバイアス電極104に接続するために、第1のスイッチが使用され、パルス間隔の第2の位相の間、バイアス電極104を接地に接続するために、第2のスイッチが使用される。別の実施形態では、PV波形発生器150は、その内部スイッチ(図示せず)を所定の割合で繰り返し開閉することによって、所定の長さの時間間隔が定期的に繰り返される間、その出力にわたって(すなわち接地に対して)所定の実質的に一定の正電圧を維持するように構成されている。
【0065】
[0075]1つの構成では、パルス間隔の第1の位相の間、バイアス電極104を接地に接続するために、第1のスイッチが使用され、パルス間隔の第2の位相の間、高電圧電源をバイアス電極104に接続するために、第2のスイッチが使用される。別の構成では、パルス間隔の第1のフェーズの間、バイアス電極104が高電圧電源から切り離され、バイアス電極104がインピーダンスネットワーク(例えば、直列に接続されたインダクタと抵抗器)を通して接地に結合されるように、第1のスイッチが開いた状態で配置される。次に、パルス間隔の第2のフェーズの間、第1のスイッチは、高電圧供給源をバイアス電極104に接続するために閉じた状態で配置され、一方、バイアス電極104は、インピーダンスネットワークを通して接地に接続された状態を維持する。
【0066】
[0076]PV波形発生器150は、PV発生器と、PV波形を出力に供給するように構成された高反復率スイッチ(図示せず)、キャパシタ(図示せず)、インダクタ(図示せず)、フライバックダイオード(図示せず)、電力トランジスタ(図示せず)及び/又は抵抗器(図示せず)など(これらに限定されない)の1つ又は複数の電気部品とを含みうる。ナノ秒パルス発生器として構成できる実際のPV波形発生器150は、任意の数の内部構成要素を含みうる。
【0067】
[0077]電力供給ライン157は、第1のPV源アセンブリ196のPV波形発生器150の出力を、オプションのフィルタアセンブリ151及びバイアス電極104に電気的に接続する。以下の議論では、PV波形発生器150をバイアス電極104に接続するために使用される第1のPV源アセンブリ196の電力供給ライン157について主に説明するが、PV波形発生器150をエッジ制御電極115に接続する第2のPV源アセンブリ197の電力供給ライン158は、同一又は類似の構成要素を含むことになる。電力供給ライン157の様々な部分内の1つ又は複数の電気導体は、以下を含みうる。(a)硬質同軸ケーブルと直列に接続されたフレキシブル同軸ケーブルなどの同軸ケーブルの1つ又は組み合わせ、(b)絶縁された高電圧耐コロナフックアップワイヤ、(c)裸線、(d)金属棒、(e)電気コネクタ、又は(f)(a)~(e)の電気要素の任意の組み合わせ。オプションのフィルタアセンブリ151は、RF発生器118の出力によって生成された電流が電力供給ライン157を通って流れ、PV波形発生器150に損傷を与えるのを実質的に防ぐように構成された1つ又は複数の電気素子を含む。オプションのフィルタアセンブリ151は、RF発生器118によって生成されたRF信号に対して高インピーダンス(例えば高Z)として作用し、PV波形発生器150への電流の流れを抑制する。
【0068】
[0078]いくつかの実施形態では、
図1A~1Bに示すように、第1のPV源アセンブリ196のPV波形発生器150は、生成されたパルス電圧波形を、ブロッキングキャパシタC
5、フィルタアセンブリ151、電力供給ライン157、及び容量C
1(
図1C)を通して供給することによって、バイアス電極104、ひいては複合負荷130(
図3D~3E)にパルス電圧波形信号を供給するように構成される。いくつかの実施形態では、プラズマ制御スキーム188は、クランピングネットワーク116を電力供給ライン157内のある点に接続する構成要素内に配置されたブロッキング抵抗器(図示せず)を更に含みうる。ブロッキングキャパシタC
5の主な機能は、DC電源155によって生成されるDC電圧からPV波形発生器150を保護することであり、このDC電圧はブロッキングキャパシタC
5にわたって降下し、PV波形発生器150の出力を乱さない。クランピングネットワーク116のブロッキング抵抗器の目的は、DC電源155に誘導される電流を最小化するのに十分な程度まで、PV波形発生器150によって生成されるパルス電圧をブロックすることである。
【0069】
波形例
[0079]
図4は、バイアス電極104に確立されうるPV波形401と、PV波形401がバイアス電極104に供給されるため基板103に確立されるPV波形402の例を示している。PV波形401は、バイアス電極104に電気的に接続されたPV波形発生器150によって生成されたPV波形401a(
図5A)に基づいている。PV波形401、402はまた、それぞれエッジ制御電極115とエッジリング114で確立されたPV波形を表しうる。
【0070】
[0080]ここで、PV波形401は、それぞれのPV源アセンブリ196、197内のPV波形発生器150と、対応するクランピングネットワーク116のDC電圧源155を使用することにより、バイアス電極104及び/又はエッジ制御電極115で確立される。
図4を見ると、コントローラ126のメモリに記憶されたプラズマ処理レシピの設定によって制御されうるPV波形発生器150の出力は、本明細書でパルス電圧レベルV
PPとも呼ばれるピークツーピーク電圧(peak-to-peak voltage)を含むPV波形401を確立する。ここで、PV波形402は、バイアス電極104でのPV波形401確立のため基板103により見られる波形であり、点420と点421との間を延びるシース崩壊及び再充電フェーズ450(又は、議論を簡単にするために、シース崩壊フェーズ450)と、点421と点422との間を延びるシース形成フェーズ451と、点422と次に連続的に確立されるパルス電圧波形期間の点420に戻る開始点との間(between point 422 and back to the start at point 420 of the next sequentially established pulse voltage waveform period)を延びるイオン電流フェーズ452を含むものとして特徴付けられる。シース崩壊フェーズ450は、概して、シースの容量が放電され、基板電位が局所プラズマ電位433のレベルにもたらされる期間を含む。
【0071】
[0081]所望のプラズマ処理条件によっては、基板103上で望ましいプラズマ処理結果を実現するために、PV波形周波数(1/T
P)、パルス電圧レベルV
pp、パルス電圧オン時間、及び/又はPV波形401の他のパラメータなど、少なくともPV波形特性を制御及び設定することが望ましい場合がある。1つの実施例では、パルス電圧(PV)オン時間が、イオン電流期間(例えば、
図4の点422と次の点420との間の時間)と波形期間T
pとの比として規定され、50%を上回る、又は70%を上回る、例えば80%と95%との間である。
【0072】
[0082]いくつかの実施形態では、PV波形発生器150は、
図4及び
図5Aに示されるように、第2の部分406の間、概ね一定の負の電圧を有するPV波形401aを提供するように構成される。いくつかの実施形態では、イオン電流フェーズ452の間、イオン電流(Ii)が基板表面に正の電荷を堆積させるため、基板表面の電圧は、点422と点420との間の直線の正の傾き(
図4)によって見られるように、経時的に増加することになる。基板表面での経時的な電圧上昇は、シース電圧を低下させ、イオンエネルギー分布の広がりをもたらすことになろう。そのため、少なくともPV波形周波数(1/T
P)を制御及び設定し(ここでT
PはPV波形周期である(
図5A))、シース電圧の低下やイオンエネルギー分布の広がりの影響を最小限に抑えることが望ましい。
【0073】
[0083]
図5A~5Cは、PV波形発生器に電気的に接続されたバイアス電極104又はエッジ制御電極115においてPV波形を確立するために使用することができるそれぞれのPV波形401a~cを示す。PV波形401a~cは、クランピングネットワーク116の入力に接続されたノードで確立されるパルス電圧波形を表すものであり、したがって、基板103又はエッジリング114で確立される対応するパルス電圧波形とは異なる場合がある。各PV波形401a~cに見られるDCオフセットΔVは、クランピングネットワーク116のDC電源155によって印加されるバイアス、及びPV波形を確立するために使用されるPV波形発生器150の構成の様々な特性に依存する。概して、各PV波形401a~cの波形周期は、シース崩壊フェーズ450に対応する第1の領域405と、シース形成フェーズ451及びイオン電流フェーズ452に対応する第2の領域406とを有するものとして特徴付けられる。
【0074】
[0084]
図5Aは、第2の領域406の少なくとも一部にわたって、例えばバイアス電極104で確立された波形401の対応するイオン電流フェーズ452の間などに、一定の負電圧を有するPV波形401aを示す。
図5Bは、PV波形発生器150によって生成され、バイアス電極104及び/又はエッジ制御電極115に成形されたPV波形(図示せず)を確立するために使用されうる成形されたパルス電圧波形401bを示している。いくつかの実施形態では、成形されたパルス波形401bは、1つ又は複数の内部スイッチ及びDC電源を使用することにより、電圧パルスの1つ又は複数のフェーズ(例えば、第1の領域405)の間に正電圧を供給し、電圧パルスの1つ又は複数の位相(例えば、第2の領域406)の間に負電圧を供給するように構成されたPV波形発生器150によって形成される。ここで、第1の領域405は、概して、シース崩壊フェーズ450に対応し、第2の領域406は、概して、シース形成フェーズ451及びイオン電流フェーズ452に対応し、第2の領域406の電圧は、負の傾きを含みうる。第2の領域406における負の傾きは、イオン電流フェーズ中に基板103又はエッジリング114に流れるイオン電流を補償するため、又は基板表面におけるイオンエネルギー分布の広がりを調整するための制御ノブとして使用されうる。
【0075】
[0085]いくつかの実施形態では、PV波形発生器150は、バイアス電極104及び/又はエッジ制御電極115にPV波形(図示せず)を確立するために、
図5Cに示されるパルス電圧波形401cを提供するように構成される。この例では、第1の領域405は、概して、シース崩壊フェーズ450に対応し、第2の領域406は、概して、シース形成フェーズ451及びイオン電流フェーズ452に対応し、第2の領域406の電圧は、基板の表面におけるイオンエネルギー分布の広がりを調整するための制御ノブを提供する正の傾きを含みうる。
【0076】
[0086]
図6A~6Bは、プラズマ発生器アセンブリ163内のRF発生器118によって支持ベース107に供給されるRF信号の容量性結合による、バイアス電極104で確立される第1のRF波形601と、エッジ制御電極115で確立される第2のRF波形602とを示す。第1のRF波形601及び第2のRF波形602の波形特性は、
図3A(並列LC共振回路)、
図3B(直列共振回路)又は
図3Cに例示される構成のうちの1つなどのエッジ同調回路170の構成を使用することによって制御される。
図6A~6Bに示された例示的な波形、及び以下の
図7A~7Dに示されたシミュレーション結果は、本明細書で提供される本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、議論を簡単にするために提供されるものである。
【0077】
[0087]概して、支持ベース107に供給されるRF信号は比較的高い周波数を有するので、第1のRF波形601及び第2のRF波形602は、約1MHz以上、例えば約30MHzと約60MHzとの間、の対応する高い周波数(1/TRF)を有する。本明細書で開示される様々な実施形態で説明されるエッジ同調回路170は、バイアス電極104で確立される第1のRF波形601の1つ又は複数の特性に対して、エッジ制御電極115で確立される第2のRF波形602の1つ又は複数の特性を調整するために使用されうる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の相対特性は、第2のRF波形602と第1のRF波形601との間のRF波形振幅比(例えば、電圧振幅比VRF2/VRF1)、第2のRF波形602と第1のRF波形601との間のRF電流振幅比(例えば、電流振幅比は図示されず)、第2のRF波形602と第1のRF波形601との間の位相差(ΔΦ)、及び/又は第2のRF波形602と第1のRF波形601との間のRF供給電力比(例えば、供給電力比は図示されず)を含む。
【0078】
[0088]第1のRF波形601に対する第2のRF波形602の1つ又は複数の特性は、エッジ制御電極115及びバイアス電極104において確立されたRF波形のそれぞれの電圧、電流、位相、及び/又はそれぞれの電力を測定することによって、決定及び/又はモニタすることができる。第2のRF波形602及び第1のRF波形601の測定された特性は、それぞれ、プラズマ密度のような、エッジ制御電極115及びバイアス電極104の上方に形成された部分におけるバルクプラズマの特性に対応する。第2のRF波形602と第1のRF波形601との間で決定された差は、エッジリング114上に形成されたバルクプラズマの部分の電子密度と、基板103の中心部分上に形成されたバルクプラズマの部分の電子密度の差とをモニタ及び制御するために使用することができる。プラズマ密度の均一性及び/又は分布は、可変キャパシタC7を調整するためにシステムコントローラ126を使用するなど、エッジ同調回路170を使用することによって、所望の処理結果を実現するように制御及び/又は調整されうる。
【0079】
[0089]
図3A及び
図3Bに示されるエッジ同調回路170の非限定的なシミュレーション結果を
図7A~7Bに示し、
図3Cに示される直列及び並列構成を組み合わせたエッジ同調回路170のシミュレーション結果を
図7C~7Dに示す。
図7A及び
図7Cにおいて、シミュレーション結果は、約20pF~約250pFの範囲にわたって容量を変化させること(例えば、それぞれのエッジ同調回路170の構成の可変キャパシタC
7、C
8を調整することにより)が、第2のRF波形602と第1のRF波形601との間の電圧振幅比(例えば、V
RF2/V
RF1)に及ぼす影響を示すLC回路同調曲線の例を提供する。
図7B及び
図7Dにおいて、シミュレーション結果は、C
7、C
8の容量を変化させることが、第2のRF波形602と第1のRF波形601との間の位相差(例えば、Φ
RF2-Φ
RF1)に及ぼす影響を示すLC回路調整曲線の例を提供する。
【0080】
[0090]
図7Aに示すように、約170pFの値を有するエッジ同調回路170(
図3Aの構成)の可変容量C
7は、約1.5の対応する電圧振幅比(V
RF2/V
RF1)を有している。
図7Bに示すように、
図7Aと同じ構成を有するエッジ同調回路170の170pFの容量に対応する位相差は比較的小さく、例えば5度未満であるため、
図6Aに示すように、第1のRF波形601に対する第2のRF波形602の増幅と、その間の小さな位相差(ΔΦ)が生じる。
【0081】
[0091]
図7C~7Dにおいて、エッジ同調回路170の可変容量C
7(
図3Cの構成)は、約25pFの値に設定されうる。その結果、電圧振幅比(V
RF2/V
RF1)は、約0.5に等しく(
図7C)、位相差(ΔΦ)は、
図6Dに示されるように、約ゼロ(about null)である。
【0082】
[0092]
図7Aに示すように、
図3Aのエッジ同調回路170の構成(例えば、並列LC共振回路)に基づくシミュレーション結果は、約100pFと約120pFで共振ピークを示す。
図7Dでは、エッジ同調回路170(図示せず)のシミュレーション結果が、60pFと250pFで共振相転移を示している。いくつかの実施形態では、RFプラズマが維持されている期間中、それぞれのエッジ同調回路170を共振のいずれかの側で動作させることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、エッジ同調回路170は、例えば、並列及び直列LC回路を組み合わせた可変キャパシタの使用などによって、共振領域を横切ることなく共振ピークの両側側で(between either side of a resonance peak)エッジ同調回路170のスイッチング動作を許容するように構成されうる。上述したように、
図7A~7Dに示されたシミュレーション結果は、限定することを意図していない。というのは、電圧振幅比(V
RF2/V
RF1)及び/又は電流振幅比及び/又は第2のRF波形602と第1のRF波形601との間の位相差を増幅、低減、及び/又は均等化するための他の所望の動作範囲を提供するために、他のエッジ同調回路170の構成が使用されうるからである。
【0083】
[0093]いくつかの実施形態では、それぞれのRF波形の間に位相差を生じさせる同調回路構成及び/又は可変容量C7、C8を選択することが望ましい場合があり、これによりエッジ制御電極115とバイアス電極104との間の電界が増幅される。増幅された電界は、2つの電極間のある距離において基板支持アセンブリ136上に形成されたプラズマ101の部分において、対応するプラズマ密度の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、プラズマ密度が基板103のエッジに及ぶ領域にわたって実質的に均一なままであるように、それぞれの電極で確立されるRF波形間に位相差を生じさせない同調回路構成及び/又は可変容量C7を選択することが望ましい場合がある。
【0084】
[0094]有益には、エッジ同調回路170は、基板103の中心とエッジとの間の異なる点におけるプラズマ密度分布を制御及び/又は調整するために、広範囲の所望のプラズマ処理条件を提供するように構成されうる。エッジ同調回路170の特性、ひいては同調曲線(
図7A~7D)上のシステムの位置は、システムコントローラ126を使用して、1つ又は複数の可変キャパシタC
7、C
8を調整することによって、制御されうる。システムコントローラ126によるエッジ同調回路の特性の制御された調整により、ハードウェア関連の構成を手動で変更する必要なく、単一の基板プラズマプロセス内、連続する基板プラズマプロセス間、及び/又は異なる種類の基板に対して、プラズマ処理条件を比較的容易に変更することが可能になろう。したがって、本明細書に記載される実施形態は、
図8A~8C及び
図9A~9Dに関連して以下に記載されるような、改良されたエッジから中心部までの処理均一性制御方法を提供するために使用されうる。
【0085】
[0095]いくつかの実施形態では、同調回路は、処理チャンバ100の様々な構成要素の形状寸法及び/又は材料の経時的変化によるプラズマ均一性ドリフトを考慮するなど、所望の処理条件を維持するように自動的に調整される。例えば、本方法は、イオン衝突によるエッジリング114から使用される誘電体材料の浸食によって引き起こされうるエッジリング114の厚さの変化を考慮して、容量C7、C8を変更することなどによって、同調回路を自動的に調整するために使用されうる。例えば、いくつかの実施形態では、システムコントローラ126は、信号検出モジュール187を使用することによって、処理システム10A、10Bの対応するノードNにおける1つ又は複数の電気パラメータの信号を検出し、検出された信号の特性を1つ又は複数の制御限界と比較することによって、処理システム10A、10Bが所望の処理条件内で動作しているかどうかを判定し、電気信号特性が制御限界外にある場合、エッジ同調回路170の1つ又は複数の構成要素を調整するように構成されうる。いくつかの実施形態は、エッジ制御電極115とバイアス電極104における異なるRF波形の間の所望のRF電圧振幅比、RF電流振幅比、及び/又はRF位相差を維持するために、容量C7を調整するなど、エッジ同調回路を自動的に調整することを含む。
【0086】
[0096]いくつかの実施形態では、システムコントローラ126は、1つ又は複数の処理条件及び/又はRF波形を所定の限界、例えば制御限界値と比較し、システムコントローラ126のメモリ134に記憶されたアルゴリズム又はルックアップテーブルに基づいて、エッジ同調回路170の容量C7、C8などの1つ又は複数の設定点を変更することによって、エッジ制御電極115とバイアス電極104とのRF波形間の所望の処理条件及び/又は所望の特性に基づいて、エッジ同調回路170を自動的に調整するように構成される。
【0087】
[0097]いくつかの実施形態では、エッジ同調回路170は、エッジ同調回路170の1つ又は複数の構成要素を所望の設定点に、及び/又は所望の制御限界内に調整することによって、手動で調整及び/又は制御されうる。所望の設定点及び/又は制御リストは、ユーザによって選択され、処理システム10A、10Bを制御するために使用される命令に記憶される。例えば、エッジ同調回路170の容量C7は、ユーザによって決定され、システムコントローラ126のメモリに記憶された所望の容量に制御されうる。
【0088】
処理応用
[0098]概して、負のパルス波形401、成形されたパルス波形441、又は正のパルス波形431のいずれかのような、電極104及び115に確立されたパルス電圧波形は、電圧オフセット(ΔV)の上部に、周期TPDで繰り返される周期的な一連のパルス電圧(PV)波形を含む。1つの例では、PV波形の周期TPDは、約1μsと約5μsとの間、約2.5μsなど、例えば約200kHzと約1MHzとの間、又は約400kHz、約1MHz以下など、又は約500kHz以下とすることができる。
【0089】
[0099]上述したように、いくつかの実施形態では、処理チャンバ100は、少なくとも、1つ又は複数のRF発生器118、及びそれらに関連する第1のフィルタアセンブリ161、並びに1つ又は複数のPV発生器314、及びそれらに関連する第2のフィルタ151を含み、これらはまとめて、基板支持アセンブリ136内に配置された1つ又は複数の電極に所望の波形を供給するように構成される。システムコントローラ126のメモリに記憶されたソフトウェア命令は、処理チャンバ内に形成されたプラズマの1つ又は複数の態様を確立し、維持し、制御するように構成されるRF波形を生成するように構成される。制御されるプラズマの1つ又は複数の態様は、処理空間129内に形成されるプラズマ中のプラズマ密度、プラズマ化学、及びイオンエネルギーを含みうるが、これらに限定されない。
【0090】
[00100]
図8Aは、1つの実施形態による、基板処理中にプラズマ均一性を制御する方法800を示すプロセスフロー図である。
図9A~9Dは、方法800、810、及び820の態様を実行するために使用されうる処理システム10の一部を概略的に示す近接断面図である。
図9A~9Dに示す処理システム10の部分は、基板支持アセンブリ136のエッジ部分と、処理領域129A及びその上に配置されたチャンバリッド123の対応する部分である。
図9A~9Bに図示された処理システム10は、
図1A~1Bにそれぞれ記載された処理システム10A及び10Bのフィーチャのいずれか1つ又は組み合わせを含みうる。
【0091】
[00101]工程802において、方法800は、処理チャンバ100の処理空間129内に配置された基板支持アセンブリ136の支持ベース107に第1の高周波(RF)信号を供給することを含む。概して、RF信号は、支持ベース107に電気的に接続されたプラズマ発生器アセンブリ163を使用して支持ベース107に供給される。ここで、RF信号は、処理チャンバ100の処理領域129Aにおいて処理プラズマ101を点火及び/又は維持するように構成される。処理領域129Aは、基板支持アセンブリ136とチャンバリッド123との間に配置される。いくつかの実施形態では、RF信号は約1MHz以上、例えば約20MHz以上の周波数を有する。
【0092】
[00102]典型的には、支持ベース107に供給されるRF信号は、バイアス電極104において第1のRF波形601(
図6A~6B)を確立する。このバイアス電極104は、その間に配置された誘電体材料の第1の部分(例えば、誘電体材料層105C)を通して支持ベース107に容量結合される。バイアス電極104は、誘電体材料の第2の部分(例えば、誘電体材料層105B)と、いくつかの実施形態では、基板支持面105A上に配置された基板103とによって、処理プラズマ101から間隔を置いて配置される。基板支持面105Aは、誘電体材料の第2の部分(例えば、誘電体材料層105B)から形成される。
【0093】
[00103]いくつかの実施形態では、支持ベース107に供給されるRF信号はまた、エッジ制御電極115(第2の電極)において第2のRF波形602(
図6A~6B)を確立し、これは、その間に配置された誘電体材料の第3の部分を通して支持ベース107に容量結合されうる。
図1Aに示すようないくつかの実施形態では、誘電体材料の第3の部分は、バイアス電極104を支持ベース107から分離する誘電体材料の第1の部分と同じ材料で形成され、同じ厚さを有しうる。
図9Aに示すようないくつかの実施形態では、誘電体材料の第3の部分は、エッジ制御電極115を支持ベース107から分離する。他の実施形態では、誘電体材料の第3の部分は、誘電体材料の第1の部分とは異なる誘電体材料で形成され、及び/又は、
図1Bに示すように、複数の誘電体材料の層によって支持ベース107から分離されうる。
【0094】
[00104]いくつかの実施形態では、方法800は、電力供給ライン157を使用してバイアス電極104に電気的に接続されたDC電源155からバイアス電極104にチャッキング電圧を供給することによって、基板103を基板支持体105に静電的にクランプすることを更に含む。チャッキング電圧は、基板103とバイアス電極104との間に電位を生じさせ、その結果、その間に配置された誘電体材料の第1の部分の容量C1を通して静電吸引力(チャッキング力)を生じさせるために使用される。いくつかの実施形態では、方法800は、電力供給ライン158を使用してエッジ制御電極115に電気的に接続されたDC電源155からエッジ制御電極115にチャッキング電圧を供給することによって、エッジリング114を基板支持アセンブリ136に静電的にクランプすることを更に含む。いくつかの実施形態では、方法800は、基板103と基板支持面105Aとの間、及び/又はエッジリング114と基板支持アセンブリ136の表面との間に配置された間隙領域に不活性ガス(例えばヘリウム)を流入させ、その間の熱伝達を促進することを含む。
【0095】
[00105]工程804において、方法800は、バイアス電極104において確立された第1のRF波形601の1つ又は複数の特性に対して、エッジ制御電極115において確立された第2のRF波形602の1つ又は複数の特性を調整することを含む。いくつかの実施形態では、第1のRF波形601の1つ又は複数の特性に対して第2のRF波形602の1つ又は複数の特性を調整することは、
図6A又は
図6Bに示すように、第2のRF波形602と第1のRF波形601との間の電圧振幅比(例えば、
図6A又は
図6Bに示されるように、第2のRF波形602と第1のRF波形601との間の電圧振幅比(V
RF2/V
RF1)を変更することと、第2のRF波形602と第1のRF波形との間の電流振幅比を調整すること、第2のRF波形602と第1のRF波形601との間の位相差、例えば、デルタΦを調整すること、第2のRF波形602と第1のRF波形601との間の供給された電力比を調整すること、又はこれらの組み合わせを含む。第1のRF波形601に対して第2のRF波形602の1つ又は複数の特性を調整することは、エッジ同調回路170内の素子の1つ以上の電気特性を調整することによって実行される。
【0096】
[00106]いくつかの実施形態では、第1のRF波形601に対して第2のRF波形602を調整することは、処理領域129Aの少なくとも一部にわたってプラズマ均一性を変化させる。例えば、1つの実施形態では、処理領域129Aは、チャンバリッド123及び基板支持アセンブリ136によって画定され、プラズマ101は、その間に形成されるバルクプラズマである。いくつかの実施形態では、プラズマ101の第1の部分は、チャンバリッド123とバイアス電極104との間に配置された領域に形成される。プラズマ101の第2の部分は、チャンバリッド123とエッジ制御電極115との間に配置された領域に形成される。それらの実施形態では、第1のRF波形601に対する第2のRF波形602を調整することは、プラズマ101の第1の部分におけるプラズマ密度に対するプラズマ101の第2の部分におけるプラズマ密度を変化させる。
【0097】
[00107]いくつかの実施形態では、バイアス電極104において確立された第1のRF波形601の1つ又は複数の特性に対して、エッジ制御電極115において確立された第2のRF波形602の1つ又は複数の特性を調整することは、
図9Aに示され、上述されたエッジ同調回路170のような、エッジ制御電極115に電気的に接続されたエッジ同調回路を使用することを含む。いくつかの実施形態では、エッジ同調回路170は、1つ又は複数の可変キャパシタC
7、C
8を含み、第1のRF波形601の1つ又は複数の特性に対して第2のRF波形602の1つ又は複数の特性を調整することは、1つ又は複数の可変容量C
7、C
8を変更することを含む。エッジ同調回路170の調整は、システムコントローラ126が、RF波形601、602の所望の特性及び/又はその間の所望の差に基づいて、容量C
7、C
8などのエッジ同調回路170の1つ又は複数の構成要素の電気特性を調整するように、自動的に行われうる。例えば、いくつかの実施形態では、システムコントローラ126は、信号検出モジュール187を使用することによって、1つ又は複数のノードNでとられた電気信号の1つ又は複数の特性を測定することによって、それぞれの波形の特性を決定し、決定された特性を所望の特性と比較し、その比較に基づいて、エッジ同調回路170の構成要素の出力を変更するように構成されうる。いくつかの実施形態では、ユーザが可変キャパシタC
7、C
8の容量又は回路のインダクタンスLなど、エッジ同調回路170の構成要素の設定点を変更する場合に、エッジ同調回路170が手動で調整されうる。ユーザは、システムコントローラ126及び/又は信号検出モジュール187を使用して、例えば、処理システム10A、10Bを動作させるためにシステムコントローラ126によって使用される命令における構成要素又は別の設定に対応するレシピパラメータ(recipe parameter)を変更することによって、設定点を変更しうる。
【0098】
[00108]概して、比較的一定のRF電力がプラズマ発生器アセンブリ163から支持ベース107に供給されると仮定すると、エッジ同調回路170の使用により、VRF2/VRF1比が増加すると、基板の中心付近のプラズマ密度に対する基板のエッジ付近のプラズマ密度の比が増加することになる。プラズマ密度の相対的な増加により、バルクプラズマ中のプラズマ生成種も対応して増加し、したがって、その下の基板表面のエッジにおけるイオンフラックス及び活性化された中性ガス分子フラックスの相対的な増加をもたらす。同様に、VRF2/VRF1比が低下すると、基板のエッジ付近のプラズマ密度対基板中心付近のプラズマ密度の比が低下し、基板のエッジにおけるイオンフラックスと活性化された中性ガス分子フラックスが対応するように低下する。
【0099】
[00109]プラズマの第1の部分と第2の部分との間の相対的なプラズマ密度を制御することによって、処理領域129A内の活性種の対応する分布もまた制御され、ウエハ内処理不均一性のような全体的な処理不均一性を改善するために使用されうる。有利には、方法800は、容量C7、C8を調整するためにシステムコントローラ126を使用してエッジ同調回路170を制御することによるなどして、処理パラメータ調整として実施されうる。従って、方法800は、容量結合プラズマ(CCP)システムにおけるバルクプラズマ分布を調整するために通常必要とされ、従ってその微細制御を妨げる、機械的調整又はハードウェア構成の変更に頼ることなく実施されうる。
【0100】
[00110]工程806において、方法800は(オプションで)、バイアス電極104及びエッジ制御電極115の一方又は両方においてパルス電圧(PV)波形を確立することを含む。ここで、第1のPV電圧波形は、第1のPV源アセンブリ196を用いてバイアス電極104に確立さうる。第2のPV波形は、第2のPV源アセンブリ197を用いてエッジ制御電極115に確立されうる。上述したように、PV波形発生器150は、基板表面に向かって加速されるイオンに対して単一のピークIEDFを提供するほぼ一定のシース電圧(例えば、基板電位とプラズマ電位との間のほぼ一定の差)を確立するために使用することができ、及び/又は、基板表面におけるイオンエネルギーの所望のIEDFプロファイルを提供するように操作することができる。
【0101】
[00111]いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のPV波形は、一連の繰り返しサイクルを含み、各サイクル内の波形は、第1の時間間隔、例えば、シース形成フェーズ451及びイオン電流フェーズ452(
図4)の間に発生する第1の部分と、第2の時間間隔、例えば、シース崩壊フェーズ450の間に発生する第2の部分とを有する。いくつかの実施形態では、基板の表面で確立される波形は、第2の時間間隔の少なくとも一部の間、実質的に一定であり、第2の時間間隔は、第1の時間間隔よりも長い。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のPV波形はそれぞれ、第1の時間間隔に電圧ピークを有しており、第2の時間間隔の少なくとも一部の間、実質的に正の傾き又は実質的に負の傾きを有している。いくつかの実施形態では、第2の時間間隔は第1の時間間隔より長い。他の実施形態では、第2の時間間隔は第1の時間間隔より短いか、ほぼ同じである。
【0102】
[00112]工程808において、方法800は、オプション的で、バイアス電極104において確立された第1のPV波形及びエッジ制御電極115において確立された第2のPV波形の一方又は両方を調整することを含む。いくつかの実施形態では、それぞれの電極における第1及び第2のPV波形は、基板の中心とエッジとの間の所望の相対シース電圧の微調整を許容するように、独立して制御可能であり、その結果、その間の基板表面における相対イオンエネルギーの微調整が可能になる。このように、いくつかの実施形態では、工程808は、第2のPV波形の1つ又は複数の特性に対して、第1のPV波形の1つ又は複数の特性を調整することを含む。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の特性を調整することは、バイアス電極104及びエッジ制御電極115にそれぞれ確立された第1及び/又は第2のPV波形のPV波形周波数(1/TP)、パルス電圧レベルVpp、パルス電圧オン時間の1つ又は組み合わせを調整することを含む。
【0103】
[00113]バイアス電極104及びエッジ制御電極115における第1及び第2のPV波形をそれぞれ独立して制御する能力により、基板103のエッジにおける基板103の露出表面へのイオン衝突の方向性が制御可能なる。例えば、いくつかの実施形態では、1つ又は複数の特性は、プラズマシースの境界が、エッジ領域を横切って延びるように基板103の表面に対して概ね平行であるように、基板の中心領域103Aとエッジ領域103Bとの間に均一な厚さを有するプラズマシースを提供するように制御されうる。プラズマシースの厚さが均一であるため、概して、イオン入射角は基板表面に対して垂直となる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の特性は、バイアス電極104上のシースの高さに対してエッジ制御電極115上のシースの高さを増加又は減少させ、基板のエッジ領域におけるイオン軌道及びイオンエネルギーの微調整を可能にするために、基板エッジにおいてプラズマシースを屈曲させるように制御されうる。
【0104】
[00114]有利には、バイアス電極104及びエッジ制御電極115それぞれにおける独立したPV波形バイアススキームは、エッジ同調回路170によって提供されるプラズマ密度の均一性及び分布制御とは別に、及び/又はこれらと組み合わせて使用されうる。したがって、方法800は、有利には、PVバイアススキームを使用して、基板表面にわたるイオンエネルギー及び方向性の均一性に対する微細なプロセス制御、並びに高周波(RF)エッジ同調スキームを使用して、プラズマ密度の均一性及び/又はプラズマ密度分布に対する微細な制御を提供する。
【0105】
[00115]
図8Bは、基板103の表面における微粒子関連の欠陥率及び/又は処理空間129内の表面に微粒子関連の残留物が蓄積するのを低減するために、例えばエッジ同調回路170の使用によって、プラズマ密度の分布を制御する方法810を示すプロセスフロー図である。このような微粒子に関連する欠陥率は、材料が基板表面からスパッタされるエッチングプロセス中のプロセス生成微粒子、処理空間内の表面からの微粒子物質、基板搬送中に処理空間に導入された微粒子物質、及び/又はシステムメンテナンス中に処理空間に導入された微粒子物質を含む、任意の数の供給源に由来する可能性がある。多くの場合、
図9A~9Cに粒子状物質30として示されているそのような粒子は帯電しており、プラズマ101が消滅したときに基板103の表面に沈殿するのみで、基板処理中にプラズマ101中に浮遊したままである。したがって、いくつかの実施形態では、方法810は、浮遊粒子が基板103の表面上に沈降する代わりに、基板表面上の位置から掃引され、真空出口120を通って処理空間129から排気されうるように、プラズマ101を消滅させる前に、基板支持アセンブリ136の外周エッジに向かってプラズマ密度を優先的に調整するために使用されうる。方法810は、本明細書に記載される他の方法、例えば方法800及び820と組み合わせて使用されてもよく、又はこれらとは独立して使用されてもよい。
【0106】
[00116]工程812において、方法810は、RF信号を支持ベース107に供給することを含み、RF信号は、処理空間129の処理領域129A内に形成されたプラズマ101を点火及び/又は維持するように構成される。ここで、RF信号は、バイアス電極104において第1のRF波形601を確立し、エッジ制御電極115において第2のRF波形602を確立する。
【0107】
[00117]工程814において、方法810は、
図9Bに示されるような、バイアス電極104上に形成されたプラズマの部分におけるプラズマ密度に対して、エッジ制御電極115上に形成されたプラズマの部分におけるプラズマ密度を増加させるために、エッジ同調回路170内の要素のうちの1つ以上の電気特性を調整することによって、第2のRF波形602及び第1のRF波形601のうちの1つ又は両方を調整することを含む。バイアス電極104上のプラズマ密度に対してエッジ制御電極115上のプラズマ密度を増加させると、プラズマの中心部分に浮遊する粒子が基板支持アセンブリ136の周辺エッジに向かって半径方向外側に移動する。
【0108】
[00118]工程816において、方法810は、複数のピン20を使用するなどして、基板支持面105Aから基板103を持ち上げることを含む。典型的には、基板支持面105Aから基板103を持ち上げることは、基板支持面105Aの上方に基板を延ばすために複数のピン20を延ばす前に、バイアス電極104へのチャッキング電圧の供給を停止することによって、基板をチャッキング解除し、基板103とバイアス電極104との間の静電チャッキング力の発生を停止することを含む。いくつかの実施形態では、基板103は、工程814の前に基板支持面105Aから持ち上げられる。いくつかの実施形態では、間隙領域105D(
図1C)へのヘリウムの流入は、基板103がチャック解除される前に停止又は低減される。他の実施形態では、ヘリウムの流入は、基板103が基板支持面105Aから持ち上げられる際に、基板103の外周エッジとエッジリング114の半径方向内向きの表面との間に配置された領域から粒子状物質を除去する、例えば、外に向かって吹き飛ばすために継続される。いくつかの実施形態では、チャンバ内に流入するプロセスガスの流量及び/又は真空ポンプによって提供される真空は、チャンバ内の半径方向の流れを増大させて、粒子状物質を基板表面から半径方向外側に吹き飛ばすか又は移送するように調整されうる。
【0109】
[00119]工程818において、方法810は、例えば、支持ベース107へのRF信号の供給を停止し、基板103を処理空間129から移送することによって、処理プラズマ101を消滅させることを含む。いくつかの実施形態では、プラズマは、工程816において、基板103が基板支持面105Aから持ち上げられる前に消滅する。有利には、処理領域129A(浮遊粒子状物質30が真空出口120を通って処理領域129Aから排気されうる)の1つ又は複数の側壁122に向かって半径方向外側に浮遊粒子状物質30を移動させるように、エッジ同調回路170内の素子の1つ以上の電気的特性を調整することにより、基板103の外周エッジに向かってプラズマ密度を優先的に調整すると、
図9Cに示されるように、処理プラズマ101が消滅する際に基板103の表面上への沈殿の可能性が少なくとも低下する。
【0110】
[00120]
図8Cは、基板支持表面105Aの中心領域に対するインシトゥ(その場)プラズマベースの損傷を低減しつつ、エッジリング114、及び/又はそれに隣接する基板支持表面105Aの部分から蓄積された処理副生成物を洗浄するために使用されうる、インシトゥプラズマチャンバ洗浄方法、ここでは方法820を示すプロセスフロー図である。
図9Dに示すように、方法820は、基板処理間に、例えば、基板が基板支持体105上に配置されていない状態などで、実行されうる。
【0111】
[00121]工程822において、方法820は、処理領域129A内のプラズマ101を点火し維持するために、支持ベース107に高周波(RF)信号を供給することを含む。
図9Dに示されるように、処理プラズマ101は、ガス入口128を通して処理領域129Aに流入される1つ又は複数の洗浄ガスで形成されうるインシトゥ洗浄プラズマである。いくつかの実施形態では、洗浄ガスは、ハロゲン系ガス、例えばフッ素及び/又は塩素系ガス、並びに酸化性ガス、例えば酸素系ガスを含む。概して、プラズマ活性化洗浄ガスのラジカル種は、処理空間129内の表面に蓄積した処理副生成物と反応して揮発性反応生成物を形成する。この揮発性反応生成物は次いで、処理空間129を通って真空出口120から排出されうる。
【0112】
[00122]工程824において、方法820は、エッジ同調回路170内の素子の1つ以上の電気的特性を調整することによって、バイアス電極104上に形成されたプラズマの部分のプラズマ密度に対して、エッジ制御電極115上に形成されたプラズマ101の部分に向かってプラズマ密度を優先的に調整することを含む。プラズマ密度を優先的に調整することにより、エッジリング114の表面及び基板支持面105Aの半径方向に隣接する部分、例えば、基板103とエッジリング114との間の外周間隙を画定する基板支持アセンブリ136の部分で、かつ基板処理中に、洗浄ガスラジカルのフラックスが増加した。この間隙は、基板支持面105Aの他の部分よりも早く処理副生成物残留物(processing byproduct residue)を蓄積し、基板支持面105Aは、その上に基板103が配置されているため、プラズマ処理中に露出されない。したがって、方法820は、基板支持面105Aのより大きな中心部分を形成する誘電体材料のイオンフラックス、したがって浸食などのイオンに基づく損傷を低減しつつ、処理副生成物残留物の蓄積がより高い領域に洗浄ガスラジカルを集中させるために使用されうる。
【0113】
[00123]上述の実施形態は、容量結合プラズマ(CCP)チャンバの処理領域内の活性種の生成及び分布に対する微細な制御を提供するために、単独で又は組み合わせて使用されうる。有利には、本実施形態は、個々のチャンバ部品を調整又は変更することなく、システムコントローラを使用することにより実行されうる。したがって、単一の基板の処理中及び/又は連続的に処理される基板間で容易に調整可能である処理レシピパラメータが提供される。RFプラズマ密度制御方法は、従来のRFバイアスCCPシステムと比較すると、イオンエネルギー、IEDF、イオンの方向性、イオンフラックス、及び基板表面における活性化中性ガス分子フラックスを独立かつ微細に制御するために、独立して及び/又はパルス電圧(PV)波形バイアス方法と組み合わせて実施されうる。
【0114】
[00124]以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】