(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-02
(54)【発明の名称】プロセスチャンバ用電力供給システムにおけるアーク放電の検出方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577319
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 US2022033712
(87)【国際公開番号】W WO2022266277
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クオ, ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ラーマスワーミ, カーティク
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA04
2G084AA05
2G084AA08
2G084BB33
2G084CC05
2G084CC09
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD38
2G084DD55
2G084FF15
2G084HH05
2G084HH24
2G084HH33
2G084HH34
2G084HH42
(57)【要約】
プラズマプロセスチャンバ用の電力供給システムにおけるアークの検出方法は、可視アーク検出センサを活用して、アークの位置を特定し、アークの位置に関連する電源をシャットダウンすることを容易にする。幾つかの実施形態では、本方法は、可視光スペクトルで動作するアーク検出センサからアーク表示を受信することであって、少なくとも1つのアーク検出センサは、プラズマプロセスチャンバ用の電力供給システムのアセンブリに位置決めされる、可視光スペクトルで動作するアーク検出センサからアーク表示を受信することと、プラズマプロセスチャンバのアーク検出コントローラによって、アーク表示の位置を決定することと、少なくとも1つのアーク表示が閾値を超えたときに、プラズマプロセスチャンバの電力供給システムの電源に対して安全インタロック信号を起動させることとを含む。安全インタロック信号は電源の電力状態を制御し、安全インタロック信号を起動させることにより、電源の電力が除去される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給システムにおけるアーク放電の検出方法であって、
可視光スペクトルで動作する少なくとも1つのアーク検出センサから少なくとも1つのアーク表示を受信することであって、前記少なくとも1つのアーク検出センサは、プラズマプロセスチャンバ用の少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つのアセンブリに位置決めされる、可視光スペクトルで動作する少なくとも1つのアーク検出センサから少なくとも1つのアーク表示を受信することと、
前記プラズマプロセスチャンバのアーク検出コントローラによって、前記少なくとも1つのアーク表示の少なくとも1つの位置を決定することと、
前記少なくとも1つのアーク表示が閾値を超えたときに、前記プラズマプロセスチャンバの前記少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つの電源に対して少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることであって、前記少なくとも1つの安全インタロック信号は前記少なくとも1つの電源の電力状態を制御し、前記少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることにより、前記少なくとも1つの電源から電力が除去されることと
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアーク表示は、アークの強度、アークの持続時間、又は前記電力供給システムのアセンブリ内のアークの位置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つのアーク検出センサのうちの1つは、約10,000ルクスから約20,000ルクスの範囲のアークの強度を提供するように構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアーク検出センサのうちの1つは、光ファイバセンサである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の光ファイバセンサが、特定の部品を監視するために少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つのアセンブリのうちの1つに位置決めされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアーク検出センサのうちの1つは、180度の検出視野を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのアーク検出センサのうちの1つは、360度の検出視野を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プラズマプロセスチャンバのコントローラから、前記少なくとも1つのアーク表示の時間に関連する動作パラメータを受信することと、
前記動作パラメータ、前記少なくとも1つのアーク表示、及び前記少なくとも1つのアーク表示の少なくとも1つの位置に少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つのアーク表示の可能性のある原因の診断を提供することと
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プラズマプロセスチャンバのコントローラからの動作パラメータは、チャンバ圧力、電力レベル、プロセスの化学的性質、インピーダンス整合ネットワークキャパシタ位置、又はチャンバインピーダンスを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのアーク表示の位置表示を提供することであって、前記表示は、前記プラズマプロセスチャンバを操作している職員によって見られることができる、前記少なくとも1つのアーク表示の位置表示を提供すること
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
電力供給システムにおけるアーク放電の検出方法であって、
可視光スペクトルで動作する少なくとも1つのアーク検出センサから少なくとも1つのアーク表示を受信することであって、前記少なくとも1つのアーク検出センサは、プラズマプロセスチャンバ用の少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つのアセンブリに位置決めされ、前記少なくとも1つのアーク表示は、アークの強度、アークの持続時間、又は前記電力供給システムのアセンブリ内のアークの位置を含み、少なくとも1つのアーク検出センサは、約10,000ルクスから約20,000ルクスの範囲のアークの強度を提供するように構成される、可視光スペクトルで動作する少なくとも1つのアーク検出センサから少なくとも1つのアーク表示を受信することと、
前記プラズマプロセスチャンバのアーク検出コントローラによって、前記少なくとも1つのアーク表示の少なくとも1つの位置を決定することと、
前記少なくとも1つのアーク表示が閾値を超えたときに、前記プラズマプロセスチャンバの前記少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つの電源に対して少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることであって、前記少なくとも1つの安全インタロック信号は、前記少なくとも1つの電源の電力状態を制御し、前記少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることにより、前記少なくとも1つの電源から電力が除去される、前記少なくとも1つのアーク表示が閾値を超えたときに、前記プラズマプロセスチャンバの前記少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つの電源に対して少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることと
を含む方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのアーク検出センサのうちの1つは、光ファイバセンサである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複数の光ファイバセンサが、特定の部品を監視するために少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つのアセンブリのうちの1つに位置決めされる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのアーク検出センサのうちの1つは、180度の検出視野又は360度の検出視野を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記プラズマプロセスチャンバのコントローラから、前記少なくとも1つのアーク表示の発生に関連する動作パラメータを受信することと、
前記動作パラメータ、前記少なくとも1つのアーク表示、及び前記少なくとも1つのアーク表示の少なくとも1つの位置に少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つのアーク表示の可能性のある原因の診断を提供することと
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記プラズマプロセスチャンバのコントローラからの動作パラメータは、チャンバ圧力、電力レベル、プロセスの化学的性質、インピーダンス整合ネットワークキャパシタ位置、又はチャンバインピーダンスを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのアーク表示の位置表示を提供することであって、前記表示は、前記プラズマプロセスチャンバを操作している職員によって見られることができる、前記少なくとも1つのアーク表示の位置表示を提供すること
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
非一過性コンピュータ可読媒体であって、実行されると、
可視光スペクトルで動作する少なくとも1つのアーク検出センサから少なくとも1つのアーク表示を受信することであって、前記少なくとも1つのアーク検出センサは、プラズマプロセスチャンバ用の少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つのアセンブリに位置決めされる、可視光スペクトルで動作する少なくとも1つのアーク検出センサから少なくとも1つのアーク表示を受信することと、
前記プラズマプロセスチャンバのアーク検出コントローラによって、前記少なくとも1つのアーク表示の少なくとも1つの位置を決定することと、
前記少なくとも1つのアーク表示が閾値を超えたときに、前記プラズマプロセスチャンバの前記少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つの電源に対して少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることであって、前記少なくとも1つの安全インタロック信号は前記少なくとも1つの電源の電力状態を制御し、前記少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることにより、前記少なくとも1つの電源から電力が除去される、前記少なくとも1つのアーク表示が閾値を超えたときに、前記プラズマプロセスチャンバの前記少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つの電源に対して少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることと
を含む、電力供給システムにおけるアークの検出方法を実行させる命令が記憶された非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記方法は更に、
前記プラズマプロセスチャンバのコントローラから、前記少なくとも1つのアーク表示の発生に関連する動作パラメータを受信することと、
前記動作パラメータ、前記少なくとも1つのアーク表示、及び前記少なくとも1つのアーク表示の少なくとも1つの位置に少なくとも部分的に基づいて、前記少なくとも1つのアーク表示の可能性のある原因の診断を提供することと
を含む、請求項18に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記プラズマプロセスチャンバのコントローラからの動作パラメータは、チャンバ圧力、電力レベル、プロセスの化学的性質、インピーダンス整合ネットワークキャパシタ位置、又はチャンバインピーダンスを含む、請求項19に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本原理の実施形態は、概して半導体製造に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]半導体プロセスチャンバは、処理中のプラズマ生成又は基板のバイアス用に、1又は複数のRF電源を利用し得る。RFインピーダンス整合ネットワーク及び/又はRFフィルタ等の補助電力機器が、RF発生装置とともに使用される場合がある。RF電源を動作させるための典型的な安全プロトコルは、チャンバにおける寄生プラズマ条件によって引き起こされたインピーダンス不整合等のインピーダンス不整合に基づいている。インピーダンス不整合が発生した場合、RF電源は、機器又は職員への危害を防止するためにシャットダウンされることがある。しかし、本発明者らは、非プラズマ寄生条件下ではインピーダンス不整合が発生しない可能性があり、そのため、安全プロトコルはRF発生装置を動作させたままにし、機器の損傷及び職員への危害の可能性につながることを確認している。
【0003】
[0003]したがって、本発明者らは、インピーダンス不整合が発生しない場合であってもRF電源機器の障害を検出する方法及び装置を提供し、その結果、RF電源機器及び職員の保護が高まる。
【発明の概要】
【0004】
[0004]RF電源機器におけるアーク放電の検出方法及び装置が、本明細書において提供される。
【0005】
[0005]幾つかの実施形態では、電力供給システムにおけるアーク放電の検出方法は、可視光スペクトルで動作する少なくとも1つのアーク検出センサから少なくとも1つのアーク表示を受信することであって、少なくとも1つのアーク検出センサは、プラズマプロセスチャンバ用の少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つのアセンブリに位置決めされる、可視光スペクトルで動作する少なくとも1つのアーク検出センサから少なくとも1つのアーク表示を受信することと、プラズマプロセスチャンバのアーク検出コントローラによって、少なくとも1つのアーク表示の少なくとも1つの位置を決定することと、少なくとも1つのアーク表示が閾値を超えたときに、プラズマプロセスチャンバの少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つの電源に対して少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることとを含んでいてよく、少なくとも1つの安全インタロック信号は少なくとも1つの電源の電力状態を制御し、少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることにより、少なくとも1つの電源から電力が除去される。
【0006】
[0006]幾つかの実施形態では、本方法は更に、少なくとも1つのアーク表示が、アークの強度、アークの持続時間、又は電力供給システムのアセンブリ内のアークの位置を含み、少なくとも1つのアーク検出センサのうちの1つが、約10,000ルクスから約20,000ルクスの範囲のアークの強度を提供するように構成され、少なくとも1つのアーク検出センサのうちの1つは、光ファイバセンサであり、複数の光ファイバセンサが、特定の部品を監視するために少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つのアセンブリのうちの1つに位置決めされ、少なくとも1つのアーク検出センサのうちの1つは、180度の検出視野を有し、少なくとも1つのアーク検出センサのうちの1つは、360度の検出視野を有することを含み得る。本方法は更に、プラズマプロセスチャンバのコントローラから、少なくとも1つのアーク表示の時間に関連する動作パラメータを受信することと、動作パラメータ、少なくとも1つのアーク表示、及び少なくとも1つのアーク表示の少なくとも1つの位置に少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つのアーク表示の可能性のある原因の診断を提供することとを含んでいてよく、プラズマプロセスチャンバのコントローラからの動作パラメータが、チャンバ圧力、電力レベル、プロセスの化学的性質、インピーダンス整合ネットワークキャパシタ位置、又はチャンバインピーダンスを含み、及び/又は、本方法は更に、少なくとも1つのアーク表示の位置表示を提供することであって、表示は、プラズマプロセスチャンバを操作している職員によって見られることができる、少なくとも1つのアーク表示の位置表示を提供することとを含み得る。
【0007】
[0007]幾つかの実施形態では、電力供給システムにおけるアーク放電の検出方法は、可視光スペクトルで動作する少なくとも1つのアーク検出センサから少なくとも1つのアーク表示を受信することであって、少なくとも1つのアーク検出センサは、プラズマプロセスチャンバ用の少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つのアセンブリに位置決めされ、少なくとも1つのアーク表示は、アークの強度、アークの持続時間、又は電力供給システムのアセンブリ内のアークの位置を含み、少なくとも1つのアーク検出センサは、約10,000ルクスから約20,000ルクスの範囲のアークの強度を提供するように構成される、可視光スペクトルで動作する少なくとも1つのアーク検出センサから少なくとも1つのアーク表示を受信することと、プラズマプロセスチャンバのアーク検出コントローラによって、少なくとも1つのアーク表示の少なくとも1つの位置を決定することと、少なくとも1つのアーク表示が閾値を超えたときに、プラズマプロセスチャンバの少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つの電源に対して少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることであって、少なくとも1つの安全インタロック信号は、少なくとも1つの電源の電力状態を制御し、少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることにより、少なくとも1つの電源から電力が除去される、少なくとも1つのアーク表示が閾値を超えたときに、プラズマプロセスチャンバの少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つの電源に対して少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることとを含み得る。
【0008】
[0008]幾つかの実施形態では、本方法は更に、少なくとも1つのアーク検出センサのうちの1つは光ファイバセンサであり、複数の光ファイバセンサが、特定の部品を監視するために少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つのアセンブリのうちの1つに位置決めされ、少なくとも1つのアーク検出センサのうちの1つは、180度の検出視野又は360度の検出視野を有することを含み得る。本方法は更に、プラズマプロセスチャンバのコントローラから、少なくとも1つのアーク表示の発生に関連する動作パラメータを受信することと、動作パラメータ、少なくとも1つのアーク表示、及び少なくとも1つのアーク表示の少なくとも1つの位置に少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つのアーク表示の可能性のある原因の診断を提供することとを含んでいてよく、プラズマプロセスチャンバのコントローラからの動作パラメータは、チャンバ圧力、電力レベル、プロセスの化学的性質、インピーダンス整合ネットワークキャパシタ位置、又はチャンバインピーダンスを含み、及び/又は、本方法は更に、少なくとも1つのアーク表示の位置表示を提供することであって、表示は、プラズマプロセスチャンバを操作している職員によって見られることができる、少なくとも1つのアーク表示の位置表示を提供することを含み得る。
【0009】
[0009]幾つかの実施形態では、非一過性コンピュータ可読媒体であって、実行されると、可視光スペクトルで動作する少なくとも1つのアーク検出センサから少なくとも1つのアーク表示を受信することであって、少なくとも1つのアーク検出センサは、プラズマプロセスチャンバ用の少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つのアセンブリに位置決めされる、可視光スペクトルで動作する少なくとも1つのアーク検出センサから少なくとも1つのアーク表示を受信することと、プラズマプロセスチャンバのアーク検出コントローラによって、少なくとも1つのアーク表示の少なくとも1つの位置を決定することと、少なくとも1つのアーク表示が閾値を超えたときに、プラズマプロセスチャンバの少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つの電源に対して少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることであって、少なくとも1つの安全インタロック信号は少なくとも1つの電源の電力状態を制御し、少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることにより、少なくとも1つの電源から電力が除去される、少なくとも1つのアーク表示が閾値を超えたときに、プラズマプロセスチャンバの少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つの電源に対して少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させることとを含む、電力供給システムにおけるアークの検出方法を実行させる命令をその上に記憶した、非一過性コンピュータ可読媒体が提供される。
【0010】
[0010]幾つかの実施形態では、本方法は更に、プラズマプロセスチャンバのコントローラから、少なくとも1つのアーク表示の発生に関連する動作パラメータを受信することと、動作パラメータ、少なくとも1つのアーク表示、及び少なくとも1つのアーク表示の少なくとも1つの位置に少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つのアーク表示の可能性のある原因の診断を提供することとを含み得る、及び/又は、プラズマプロセスチャンバのコントローラからの動作パラメータは、チャンバ圧力、電力レベル、プロセスの化学的性質、インピーダンス整合ネットワークキャパシタ位置、又はチャンバインピーダンスを含む。
【0011】
[0011]その他の更なる実施形態を以下に開示する。
【0012】
[0012]添付の図面に示す本原理の例示的な実施形態を参照することにより、上記に要約し、以下により詳細に説明する本原理の実施形態を理解することができる。しかし、添付の図面は本原理の典型的な実施形態を単に示すものであり、したがって、範囲を限定するものと見なすべきではなく、本原理は他の等しく有効な実施形態も許容しうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本原理の幾つかの実施形態に係るプラズマチャンバを示す断面図である。
【
図2】本原理の幾つかの実施形態に係る電力供給システムを示す断面図である。
【
図3】本原理の幾つかの実施形態に係る電力供給システムのRFフィルタを示すトップダウン図である。
【
図4】本原理の幾つかの実施形態に係るアーク検出器を有するRFフィルタを示す断面図である。
【
図5】本原理の幾つかの実施形態に係る光ファイバアーク検出器を示す断面図である。
【
図6】本原理の幾つかの実施形態に係るRFフィルタにおける光ファイバアーク検出器を示すトップダウン図である。
【
図7】本原理の幾つかの実施形態に係る電力供給システムにおけるアークの検出方法である。
【
図8】本原理の幾つかの実施形態に係るプラズマチャンバの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0021]理解を容易にするために、可能な限り、図面共通の同一要素を示すのに同一の参照番号を使用している。図面は縮尺どおりには描かれておらず、わかりやすくするために簡略化されている場合がある。一実施形態の要素及び特徴は、更に詳述することなく、他の実施形態に有益に組み込まれ得る。
【0015】
[0022]本方法及び装置は、例えば半導体プロセスチャンバにおいて使用されるRF電源機器に更なる保護を提供する。可視光スペクトル検出器によるアーク検出は、インピーダンス不整合が発生しない場合でもRF電源機器を保護し、高価な機器を節約し、職員への危害の可能性を防ぐ。光センサからの信号が可視アーク検出器コントローラに送られ、予め設定された閾値と比較される。閾値と一致した場合、システム安全インタロックスイッチが起動し、RF発生装置を直ちにシャットダウンする。本原理の方法及び装置には、RFエンクロージャのすべてを網羅する光センサの広い検出角度、アーク検出器の非常に速い応答時間、特にRFインピーダンス、ひいては反射電力を変化させるプラズマがない寄生状況においてアーク検出器によってRF電力システムを深刻な損傷から保護できること、根本原因解析及び設計最適化のための正確なアーク放電の位置検出等の利点がある。
【0016】
[0023]一般に、RF発生装置は、高い反射電力が検出されると(一般に、インピーダンス不整合によって発生する)遮断される。しかし、高い反射電力の検出は、すべての障害条件を網羅するわけではない。プラズマが形成されずに寄生条件が存在するある状況でRF整合が同調する場合、反射電力は依然として低く、障害は検出されない。正しく動作している場合、プロセスチャンバのプラズマは、チャンバ内外の電圧を安全なレベルに維持する電流負荷を提供する。チャンバにおいてプラズマが形成されていない場合、チャンバ及び電力供給システムの電圧が、構成要素全体にわたってアークが発生するのに十分な高電圧になるまで蓄積し続ける可能性がある。反射電力障害が検出されない場合、RF発生装置は寄生負荷に電力を供給し続け、その結果、RFインピーダンス整合ネットワーク及び/又はRFフィルタエンクロージャの内部でアーク放電が発生し、深刻な電源機器の損傷、システムの過熱、及び場合によっては火災が発生する。本原理の方法及び装置は、潜在的な危険とシステム損傷を低減するために、電源機器エンクロージャに位置決めされた可視アーク検出器を利用して、システム安全インタロックスイッチをトリガする。光センサはアーク検出器として機能し、RFインピーダンス整合ネットワーク及びRFフィルタボックスに分散配置され、エンクロージャの高電圧領域の近くに位置決めされ得る。光センサは、光センサの視野(FOV)において、広い半球(180度)又は完全な球(360度)の検出角度又は狭い検出角度を有し得る。光センサはまた、異なる感度及び検出範囲を有し得る。幾つかの実施形態では、アーク検出器コントローラを光センサと組み合わせて使用することができる。光センサからの信号はアーク検出器コントローラに送られ、予め設定された閾値と比較される。1又は複数の光センサからの信号が閾値を超えた場合、電力供給システムにおいてアークが発生している。次に、システム安全インタロックスイッチが起動し、インタロック信号を使用してRF発生装置を直ちに遮断する。
【0017】
[0024]本原理の方法及び装置は、異なる構成の補助支援アセンブリ(RFフィルタ、DCフィルタ、インピーダンス整合ネットワーク等)を有する異なる構成の発電装置(DC及びRF発生装置、パルス発生装置及び非パルス発生装置等)の電力供給システムを有する多くの異なる種類のプロセスチャンバで使用することができる。
図1及び
図8は、誘電体エッチング用のプラズマプロセスチャンバの例である。しかしながら、本明細書に記載の実施形態は、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセス、プラズマ物理的気相堆積(PEPVD)プロセス、プラズマ原子層堆積(PEALD)プロセス、プラズマ処理プロセス、又はプラズマドーピング(PLAD)処理等のプラズマ系イオン注入処理を含むプラズマ堆積プロセス等の他のプラズマプロセスで使用するように構成されたプロセスシステムと共に使用することもできる。
【0018】
[0025]
図1は、幾つかの実施形態に係るプラズマチャンバ100の1つの例示的な構成を示す断面図である。プラズマチャンバ100は、本原理の方法及び装置が組み込まれ得る例示的なチャンバ(限定を意図するものではない)を表す。プラズマチャンバ100は、例えば、半導体構造を形成するための基板110上の材料のエッチングに使用され得るが、これに限定されない。本方法及び装置を利用することができる他のプロセスチャンバは、堆積、ガス抜き、加熱、基板の反り除去等に使用することができる。プラズマチャンバ100は、処理領域118に容量結合プラズマ(CCP)154を形成するように構成される。幾つかの実施形態では、プラズマ生成用のRF電源128がカソードアセンブリ138内のRFベースプレート108に供給され、リッド190のガス分配プレート130は接地される。幾つかの実施形態(図示せず)では、ガス分配プレート130はバイアスされ得る。プラズマチャンバ100は、円筒側壁102、床103、及びリッド190を含む。リッド190は、ガス分配プレート130を貫通して形成されたオリフィス132を有するガス分配プレート130の上にあるガスマニホールド152を含むガス分配シャワーヘッドであってよい。ガスマニホールド152は、ガス供給入口140を有するマニホールドエンクロージャ192によって囲まれている。ガスパネル184は、ガス供給入口140への異なるプロセスガスの個々の流量を制御する。基板110は、静電チャック(ESC)有り又は無しでペデスタル196の上面198に支持され、RFベースプレート108はペデスタル支持体106に支持されている。プラズマチャンバ100の内部を排気し、プラズマチャンバ100の内部を所望の圧力に維持しやすくするために、ポンプ182がプラズマチャンバ100に接続されている。
【0019】
[0026]例示のチャンバでは、RF電源128は、処理中に基板110をエッチングするためのプラズマを生成するために、RFベースプレート108にRF電力を供給する。第1のRFフィルタ174及び第1のRFインピーダンス整合ネットワーク172が、RF電源128とRFベースプレート108との間に配置される。例えば、RF電源128によって供給されるRFエネルギーは、約13MHzから約162MHzの範囲の周波数であってよく、例えば、13.56MHz、60MHz、120MHz、又は162MHz等の非限定的な周波数が使用可能である。幾つかの実施形態では、パルスRF電源128は、高電圧パルスRF電力等を提供することができる。パルスRF電力は、デューティサイクルが約5%から約95%の範囲で、約100Hzから約5kHzの周波数を有していてよい。幾つかの実施形態では、RF又はパルスRF電源128は、約1kWから約20kWの範囲のRF又はパルスRF電力を提供し得る。幾つかの実施形態では、RF又はパルスRF電源128は、約20kWから約60kWの範囲のRF又はパルスRF電力を提供し得る。
【0020】
[0027]RFバイアス電源126は、基板110にバイアス制御を誘導するために、RFベースプレート108に結合され得る。RFベースプレート108は、第2のRFフィルタ166及び第2のRFインピーダンス整合ネットワーク168を通してRFバイアス電源126からRFバイアス電力を供給される。例えば、RFバイアス電源126によって供給されるRFエネルギーは、約100kHzから約20MHzの周波数範囲であってよく、例えば、2MHz又は13.56MHz等の非限定的な周波数が使用可能である。RFバイアス電力はまた、パルス状であってもよい。幾つかの実施形態では、RF電力は、およそ数十ワットから数百ワットの範囲でRFバイアス電源126によって供給され得る。幾つかの実施形態では、RFバイアス電源126によって供給されるRF電力は、およそ数キロワットから最大10kWであってよい。他の用途では、ペデスタル196は接地され得る、又は電気的に浮遊したままであってよい。静電チャック電極160には、高電圧DC電源176からローパスフィルタ178を介して正及び負の高電圧DC電力が供給される。静電チャック電極160は、処理中にペデスタル196の上面に静電荷を形成して基板110を保持する。幾つかの実施形態では、プラズマチャンバ100は、エッジの均一性制御のためにエッジに別の電極を有していてよい。
【0021】
[0028]コントローラ144が、プラズマチャンバ100の様々な構成要素に設けられて結合され、その動作を制御し得る。コントローラ144は、中央処理装置(CPU)146、メモリ148、及び支援回路150を含む。コントローラ144は、プラズマチャンバ100を直接制御し得る、あるいは特定のプロセスチャンバ及び/又は支援システム構成要素に関連するコンピュータ(又はコントローラ)を介して制御し得る。コントローラ144は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するために産業環境で使用することができる任意の形態の汎用コンピュータプロセッサの1つであってよい。コントローラ144のメモリ、又はコンピュータ可読媒体148は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、光記憶媒体(例えば、コンパクトディスク又はデジタルビデオディスク)、フラッシュドライブ、又はローカルもしくはリモートの他の任意の形態のデジタルストレージ等の容易に入手可能なメモリの1又は複数であってよい。支援回路150は、従来の方法でプロセッサを支援するためにCPU146に結合されている。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路及びサブシステム等を含む。プラズマチャンバ100及び/又はアーク検出プロセスを制御する方法は、本明細書に記載の方法でプラズマチャンバ100の動作を制御するために実行又は起動され得るソフトウェアルーチンとしてメモリ148に記憶され得る。ソフトウェアルーチンはまた、CPU146によって制御されるハードウェアから遠隔に位置する第2のCPU(図示せず)によって記憶及び/又は実行され得る。例えば、幾つかの実施形態では、方策及び/又はアーク検出診断又はアーク検出プロセスは、コントローラ144に記憶させることができ、コントローラ144は、プラズマチャンバ100の電力供給システムにおけるアーク放電の検出を容易にするために、可視アーク検出器コントローラ104と接合していてよい。
【0022】
[0029]可視アーク検出器コントローラ104は、プラズマチャンバ100用電力供給システムのアセンブリに接続され、アセンブリの1又は複数への印加電力を制御し、また、1又は複数のアセンブリに設置された1又は複数の光検出器162を介してアーク放電を検出する。
図1は、光検出器162の可能な位置の一例であり、どのアセンブリが光検出器162を有し得るかを、また各アセンブリに設置される光検出器162の数量を限定することを意図していない。本実施例では、電力供給システムは、RF電源128、第1のRFインピーダンス整合ネットワーク172、RFバイアス電源126、第2のRFインピーダンス整合ネットワーク168、及び第2のRFフィルタ166等のアセンブリを含み得る。RFインピーダンス整合ネットワークは、電力供給効率を最適化するためにRFソース発生装置とプラズマリアクタとの間で使用される電気回路である。同調インピーダンス整合点において、最大電力がプラズマ負荷に供給され、ほぼゼロの電力がRF源に反射される。RFインピーダンス整合ネットワークの例としては、電動可変シャントキャパシタ、電動可変直列キャパシタ、直列インダクタンス素子が含まれる。回路構成は一般的にLネットワーク又はpiネットワークである。ターゲットに異なるRF電力を組み合わせるために、RFインピーダンス整合ネットワークとプラズマリアクタとの間にRFフィルタが必要である。RFフィルタは、選択された周波数範囲の電力のみを許容し、RF電源を互いに絶縁するように設計されている。
【0023】
[0030]本原理の方法及び装置は、
図8に示すチャンバ等の他のチャンバ構成での使用にも適用可能である。
図1及び
図8のチャンバはエッチングプロセスで使用することができるが、本方法及び装置はエッチングチャンバだけに限定されるものではない。
図8において、プラズマチャンバ800には、ローパスフィルタ178を介して基板110の下方の静電チャック電極160に接続された波形発生装置830が組み込まれている。波形発生装置830は、静電チャック電極160にパルス又はランプ波形等のDC波形を発生させる。ローパスフィルタ178は、プラズマチャンバ800での処理中にRFが波形発生装置830及び/又は高電圧DC電源176に伝わるのを防止する。可視アーク検出器コントローラ104は、高電圧DC電源176及び/又はRF電源128(例えば、第1のRFフィルタ174、第1のRFインピーダンス整合ネットワーク172、ローパスフィルタ178等)に関連するアセンブリのいずれかの光検出器162に接続され得る。可視アーク検出器コントローラ104はまた、RF電力供給システムのアセンブリの1又は複数、及び/又は波形発生装置830を含むDC電力供給システムの1又は複数のアセンブリに接続され、アセンブリに印加される電力を制御することができる。
【0024】
[0031]通常、プロセスチャンバにおける急激なインピーダンス変化から保護するために、RF反射電力が十分に監視される。高い反射電力が検出されると、電力供給システムの損傷を避けるために、RFソース発生装置が遮断される。しかし、反射電力を用いて障害を決定することは、起こり得る障害状況をすべて網羅することはできない。ある条件下では、プラズマが形成されていない寄生負荷は、整合同調範囲内のインピーダンスを有し、反射電力を実質的に変化させないことがある。RFインピーダンス整合ネットワークが、プラズマが存在しない寄生条件に同調しても、反射電力は低いままであり、システムは障害を把握できない。RFソース発生装置は、プラズマ負荷のない寄生条件に電力を供給し続け、チャンバ及び電力供給アセンブリに高電圧を蓄積する。その後、障害によってRFインピーダンス整合ネットワーク及び/又はRFフィルタエンクロージャの内部でアーク放電が発生し、その結果、深刻な電源の損傷、システムの過熱、更には火災が発生する可能性がある。
【0025】
[0032]潜在的な危険及びシステム損傷を低減するために、可視アーク検出器コントローラ104を使用して、システム安全インタロックスイッチをトリガすることができる。システム安全インタロックスイッチは、例示的なプロセスチャンバにおけるRFソース発生装置の動作状態を制御する。
図1は、プラズマチャンバ100を使用するRFプラズマ処理システムにおける可視アーク検出器コントローラ104を示し、
図8は、プラズマチャンバ800を使用するRFプラズマ処理システムにおける可視アーク検出器コントローラ104を示す。
図2は、プラズマチャンバ100(又はプラズマチャンバ800のプラズマ供給システム)のプラズマ電力供給システムの
図200であり、第1のRFインピーダンス整合ネットワーク172及び第1のRFフィルタ174、特に電力供給システムアセンブリ内部の高電圧領域(例えば、整合出力及びフィルタ出力)付近に分布する光センサ208を示す。同様に、第2のRFインピーダンス整合ネットワーク168及び第2のRFフィルタ166も、内部に分散配置され且つ可視アーク検出器コントローラ104に接続された光センサ208を有していてよい。光センサは、電力供給システムアセンブリ内のアーク放電障害を検出するために、180度の半球又は360度の球の広い検出角度又は狭い検出角度を有していてよい。光センサ208からの信号は、可視アーク検出器コントローラ104のアークモニタ202に送られ、アークモニタ202のメモリ及び/又はコントローラ144に接続されている場合はコントローラ144のメモリに記憶された予め設定された閾値と比較される。1又は複数の光センサからの信号が閾値を超えた場合、電力供給システムにおけるアーク障害が明らかとなる。アーク障害が検出されると、安全インタロックコントローラ204がシステム安全インタロックスイッチを起動させ、インタロック信号が送信されて、関連する全てのRFソース発生装置が直ちに遮断される。幾つかの実施形態では、光センサは、電圧が高いRFフィルタ及びRFインピーダンス整合ネットワークの出力付近を含む電気アセンブリの複数の場所に設置することができる。光強度が、例えば約10,000ルクスから約20,000ルクスの予め設定された閾値を超えた場合、インタロック信号をRFソース発生装置に送信し、約100ミリ秒以内に電源を遮断することができる。事務所エリア又は研究室の周囲光の強度レベルは通常2000ルクス未満であるため、インタロック信号は通常の動作条件では閉じており、電力供給システムのアセンブリが開いたとしても、周囲照明によってトリガされることはない。
【0026】
[0033]本原理の方法及び装置は、プロセスチャンバ及び電力供給システムの両方の障害解析及び診断にも使用可能である。可視アーク検出器コントローラ104のオプションの診断システム206により、電力システム内及び/又はプロセスチャンバ内、あるいはプロセスチャンバによって使用されるプロセス方策内でも、障害のある構成要素の決定が容易になり得る。オプションの診断システム206は、アーク放電の原因の診断を支援するために、予備知識に基づくルックアップテーブルを使用することができ、及び/又は機械学習を組み込むこともできる。幾つかの実施形態では、オプションの診断システム206は、プラズマチャンバ100のコントローラ144に接続され得る。オプションの診断システム206は、診断を支援するために、プラズマチャンバ100からの検出されたアークの瞬間の動作パラメータ及び/又は検出されたアークの瞬間の前の動作パラメータを用いることができる。多くの場合、アーク放電に至るまでに発生した事象は、アーク放電が発生した理由を決定する上で大いに役立つ可能性がある。オプションの診断システム206は機械学習を使用することができるため、履歴データ及び/又は現在の動作パラメータを常時監視して、障害が発生する可能性があるかどうか、また、電力供給システムのどのアセンブリで障害が発生する可能性があるかを事前に決定し、機器及び場合によっては職員の損傷を防ぐことができる。オプションの診断システム206を組み込んだ可視アーク検出器コントローラは、アークが検出されたときに追加情報を提供する、より高い精度及び/又は高度な機能を備えた光センサを組み込むこともできる。例えば、光センサは、強度レベル値、検出角度(光センサの検出FOV内でアークが発生した場所)、検出時間、アーク放電の持続時間、及び/又は検出されたアークの数等とともに、アークの発生を報告する機能を有していてよい。より高度な光センサはより高価であるが、アークの原因の診断を提供するために必要なデータも提供し、生産チャンバではなく、チャンバ設計の試験又は評価段階で使用することができる。光強度及び/又は位置データは、チャンバ圧力、電力レベル、化学的性質、整合キャパシタ位置、チャンバインピーダンス等を含むがこれらに限定されない他のチャンバパラメータと共に、早期検出、障害解析及びアークの危険緩和のために使用することができる。幾つかの実施形態では、光ファイバセンサの強度を監視しながらプロセス条件を変化させることで、安全な運転体制を得ることができる。
【0027】
[0034]光センサは、RFインピーダンス整合ネットワークエンクロージャ及びRFフィルタエンクロージャの全領域を網羅するために、広い検出角度を有していてよい。ソフトウェアベースの検出方法と比較して、可視アーク検出器コントローラ104は、100ミリ秒未満のより速い応答時間を有する。可視アーク検出器コントローラ104は、特に、反射電力スパイクがないためにRF電源を適切に遮断することができない一部の同調寄生無プラズマ状況において、RF電力システムを深刻な損傷から保護することができる。また、本方法及び装置を用いて、正確なアーク放電の位置を決定し、根本原因解析及びシステム設計の最適化に役立てることができる。光ファイバセンサはまた、アーク放電を検出する光センサとしても使用することができ、電力供給システムの所定のアセンブリ内の障害位置を決定しやすくするために、複数の位置に配置することができる。光ファイバセンサは、非常に小さく、電力供給システムのアセンブリ内に簡単に設置できるという利点がある。
【0028】
[0035]以下の実施例は、簡潔にするために、電力供給システムの例示的なアセンブリとして第1のRFフィルタ174を参照しているが限定するものではなく、本方法及び装置は電力供給システムの他のアセンブリにも適用可能である。
図3は、上部カバーが取り外された第1のRFフィルタ174を示すトップダウン
図300である。第1のRFフィルタ174は、アセンブリボード322上の出力コネクタ312に接続された出力ケーブル302と、入力コネクタ314に接続された入力ケーブル304とを有する。第1の光センサ318は、第1のRFフィルタ174の出力セクションの真上に取り付けられ、出力セクションを明示的に監視する。第1の光センサ318の検出FOVは非常に広くてよく、キャパシタ316等の近傍の構成要素を監視するためにも使用できる。第2の光センサ320は、第1のRFフィルタ174の入力セクションの近くに位置決めされ、第2の光センサの広い検出FOVにより、抵抗器308とともにインダクタ306又は他の構成要素310を監視することができる。複数の光センサを使用することにより、可視アーク検出器コントローラ104は更に、どのアセンブリで障害が発生したかだけでなく、アセンブリ内のどこで障害が発生したかも突き止めることができる。アーク位置情報は、障害がなぜ発生したかを診断するのに役立ち、これは修理の際にも、将来のチャンバ設計の際にも有用であり得る。
【0029】
[0036]
図4は、180度の検出FOVを有する第1の光センサ402、360度の検出FOVを有する第2の光センサ404、及び狭いFOVを有する第3の光センサ406を示す、第1のRFフィルタ174の断面
図400である。第1の光センサ402は、第1の光センサの180度の検出FOV内を最大限網羅できるように、第1のRFフィルタ174の構成要素の上方又は側方に取り付けられ得る。第1の光センサ402はまた、第1のRFフィルタ174の側壁にも取り付けることができる。第2の光センサ404は、第2の光センサの360度の検出FOVを使用して最大限網羅できるように、第1のRFフィルタ174の側面から離して取り付けることができる。第2の光センサ404は、全側面から網羅するために、構成要素内又は間に配置され得る。第3のセンサ406は、狭い検出FOVを有し、第1のRFフィルタ174内の特定の領域又は構成要素の真上(図示)又は側方に位置決めされ得る。第3の光センサ406は、光がセンサの先端408においてのみ吸収される光ファイバセンサであってよい。狭い検出FOVにより、第1のRFフィルタ174の非常に特定の構成要素又は領域をアーク放電について監視することができる。幾つかの実施形態では、複数の光ファイバベースのセンサを、電力供給システムのアセンブリの構成要素の上方にグリッドパターンで位置決めして、アークの位置をかなり正確に特定し、アークを検出した光ファイバベースのセンサの数に基づいて、アークの大きさ、及びアセンブリ内部の構成要素の1又は複数のどれが実際に影響を受けたかどうかを決定することができる。
【0030】
[0037]
図5は、幾つかの実施形態に係る光ファイバアーク検出器を示す断面
図500である。光ファイバをベースとする光センサは、直径が非常に小さく、他のタイプの光センサでは不可能であり得る広範な用途及び配置を可能にする。第1の光ファイバアーク検出器502は、狭い検出FOV508の光の検出を可能にする、90度にカットされた研磨端部514を有する。幾つかの実施形態では、狭い検出FOV508は、約20度から約30度であってよい。検出FOV508が狭いため、第1の光ファイバアーク検出器502を、同じアセンブリの他の領域で発生するアーク障害からのクロストークを大幅に抑制しながら、アセンブリ内の特定の構成要素又は位置を監視するように位置決めすることが可能である。第2の光ファイバアーク検出器504は、第1の光ファイバアーク検出器502と同様の検出FOV510を25度から35度の範囲で有する。第2の光ファイバアーク検出器504の利点は、第2の光ファイバアーク検出器504に対して垂直な検出を可能にする45度にカットされた研磨端部516であり、第2の光ファイバアーク検出器504のアセンブリエンクロージャへの上方ではなく側方からの進入を可能にする、又はアセンブリの構成要素等の側面を監視するために上部からの進入が可能になる。第3の光ファイバアーク検出器506は、より広いFOV512を可能にする丸い研磨端部518を有する。FOV512が広いため、第3の光ファイバ検出器506を180度の光センサの代わりにすることができるが、アセンブリ内での位置決めが容易な、はるかに小さなフォームファクタとなる。より広いFOV512は、最大約180度であってよい。
図6の
図600は、第1のRFフィルタ174に位置決めされた複数の光ファイバアーク検出器602を示すトップダウン図である。この実施例では、複数の光ファイバアーク検出器602は、より狭い検出FOV604を有し、第1のRFフィルタ174の特定の領域におけるアーク検出を可能にし、電力供給システムのアセンブリ内のあらゆるアーク放電の位置決定を向上させる。
【0031】
[0038]
図7は、幾つかの実施形態に係る電力供給システムにおけるアークの検出方法700である。ブロック702において、可視光スペクトル(波長380nmから700nm)で動作する少なくとも1つのアーク検出センサから少なくとも1つのアーク表示を受信する。アーク検出センサは、プラズマプロセスチャンバ用の少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つのアセンブリに位置決めされる。アーク表示は、電力供給システムのアセンブリ内のアークの強度、アークの持続時間、アーク検出の角度、及び/又はアークの位置等を含み得る。幾つかの実施形態では、アーク検出センサは、約10,000ルクスから約20,000ルクスの範囲のアークの強度を提供するように構成され得る。幾つかの実施形態では、アーク検出センサは、光ファイバセンサであってよい。複数の光ファイバセンサはまた、アセンブリの特定の部品を監視するために、1つの電力供給システムの1つのアセンブリに位置決めされ得る。また、アーク検出センサは、180度の検出視野を有する光センサであってよい、又は360度の検出視野を有する光センサであってよい。
【0032】
[0039]オプションのブロック704において、プラズマプロセスチャンバのコントローラから、少なくとも1つのアーク表示の時間又は発生に関連する動作パラメータを受信する。幾つかの実施形態では、プラズマプロセスチャンバのコントローラからの動作パラメータは、チャンバ圧力、電力レベル、プロセスの化学的性質、インピーダンス整合ネットワークキャパシタ位置、及び/又はチャンバインピーダンスを含み得るが、これらに限定されない。動作パラメータの状態は、特定のアークが発生した理由を決定するのに役立ち、また、場合によってはアークの発生を防止することができるようにし得る。ブロック706において、プラズマプロセスチャンバの可視アーク検出コントローラによって、アーク表示の少なくとも1つの位置を決定する。最も単純な形態では、可視アーク検出コントローラは、入力1がRFフィルタであり、入力2が第1のRF電源のRFインピーダンス整合ネットワークであることがわかるように配線されるだけでよい。入力1の状態が低から高(入力電圧)へ、又は高から低(入力接地)へと変化した場合、可視アーク検出コントローラは、RFフィルタにアークが発生したことを認識し、第1のRF電源をシャットダウンする。より複雑な実施形態では、複数のアーク検出センサを第1のRFフィルタに用いることができ、可視アーク検出器コントローラは、追加のロジック(例えば、どのセンサ(センサの自己識別)及びいくつがアーク放電を報告したか、検出角度、強度値等)を使用して、第1のRFフィルタのどの特定の領域又は構成要素にアークが発生したかを決定することができる。
【0033】
[0040]ブロック708において、アーク表示が閾値を超えたときに、プラズマプロセスチャンバの少なくとも1つの電力供給システムの少なくとも1つの電源に対して少なくとも1つの安全インタロック信号を起動させる。少なくとも1つの安全インタロック信号は、電源の電力状態を制御し、安全インタロック信号を起動させることにより、電源から電力が除去される。幾つかの実施形態では、可視アーク検出器コントローラは、他の電源で一般的であり、現在のプロセスチャンバ条件下で発生する可能性が高い障害を識別することができる場合がある。次に、可視アーク検出器コントローラは、他のシステムで損傷が発生するのを防止するために、複数の電源に安全インタロック信号を送信することができる。幾つかの実施形態では、アーク表示の位置表示は、プラズマプロセスチャンバを操作している職員によって、及び/又は監視ステーション等の遠隔位置で見られることができる場合がある。アーク放電は職員にとって危険であり得るため、可視アーク検出器コントローラは、プロセスチャンバ又は電力システムの局所領域において、及び/又は監視領域において職員の安全を保つために、警告標識又は他の表示(例えば、可聴アラーム、視覚アラーム等)を表示して、起こり得る損傷又は火災さえも職員に警告することもできる。
【0034】
[0041]オプションのブロック710において、少なくとも1つのアーク表示の可能性のある原因の診断が提供される。診断は、動作パラメータ、少なくとも1つのアーク表示、及び少なくとも1つのアーク表示の少なくとも1つの位置に少なくとも部分的に基づく。上述したように、可視アーク検出器コントローラは、ルックアップテーブル及び他のシステムを利用して、障害が発生した理由の診断を提供するのに役立てることができる。また、可視アーク検出器コントローラは、機械学習を利用して、いつアーク放電が起こり得るかの予測を支援し、また、機器に深刻な損傷を与える可能性のある連鎖的な事象を防止することもできる。可視アーク検出器コントローラは、プロセスチャンバのコントローラ及び/又は他のシステムと接合して、アーク放電発生時及びアーク放電に至るまでの間にプロセス情報及びチャンバの状態を収集し、電力供給システムの特定のアセンブリにおけるアーク放電の原因を決定しやすくすることができる。
【0035】
[0042]本原理に係る実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装され得る。また、実施形態は、1又は複数のコンピュータ可読媒体を用いて記憶された、1又は複数のプロセッサによって読み取られ、実行され得る命令として実装され得る。コンピュータ可読媒体は、機械(例えば、コンピューティングプラットフォーム又は1又は複数のコンピューティングプラットフォーム上で動作する「仮想マシン」)によって読み取り可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構を含み得る。例えば、コンピュータ可読媒体は、任意の好適な形態の揮発性又は不揮発性メモリを含み得る。幾つかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、非一過性コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0036】
[0043]上記は本原理の実施形態を対象としたものであるが、本原理の他の及び更なる実施形態を、その基本的範囲から逸脱することなく考案することが可能である。
【国際調査報告】