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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】扉ガスケットを有する基板容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20240628BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01L21/68 T
F16J15/10 T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576232
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 US2022033289
(87)【国際公開番号】W WO2022266005
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/210,342
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスタル, アーロン
(72)【発明者】
【氏名】フラー, マシュー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ストリックハウザー, クリストファー
【テーマコード(参考)】
3J040
5F131
【Fターム(参考)】
3J040AA17
3J040BA01
3J040EA03
3J040EA16
3J040FA05
3J040HA05
3J040HA22
5F131AA02
5F131CA17
5F131GA14
5F131GA94
5F131JA33
(57)【要約】
ウエハ容器用のガスケットが、封止部本体および保持突出部を備える。保持突出部は、封止部本体から延出する保持セグメントと、保持セグメントから延出する圧縮リリーフセグメントと、圧縮リリーフセグメントの端部に配置されたビードとを備える。圧縮リリーフセグメントは、保持セグメントの断面幅より小さい断面幅を有する。ビードは、幅が、グランド内の対応する深さでのグランドの断面幅より大きい部分を含む形状を有する。ガスケットを、ウエハ容器またはウエハ容器の扉に設けることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ容器用の扉であって、
ガスケットの一部分を受け入れるように構成されたグランドを備える扉プレートと、
圧縮材を含有するガスケットと
を具備し、
前記ガスケットが、
封止部本体と、
保持突出部と
を備え、
前記保持突出部が、
前記封止部本体から延出する保持セグメントであって、断面幅が、前記グランド内の対応する深さでの前記グランドの断面幅以下である保持セグメントと、
前記保持セグメントから延出する圧縮リリーフセグメントであって、前記保持セグメントの断面幅より小さい断面幅を有する圧縮リリーフセグメントと、
前記圧縮リリーフセグメントの端部に配置されたビードであって、最大断面幅が、前記グランド内の対応する深さでの前記グランドの断面幅より大きいビードと
を備える、
扉。
【請求項2】
前記ガスケットが、0.5対1.0の保持力対挿入力の比を有し、前記保持力が、前記ガスケットを前記グランドから取り外すのに必要な力であり、前記挿入力が、前記保持突出部を前記グランドに完全に挿入するのに必要な力である、請求項1に記載の扉。
【請求項3】
前記扉をウエハ容器に取り付けたとき、前記扉の合わせ目を通るコンダクタンスが、0.02未満である、請求項1に記載の扉。
【請求項4】
前記保持セグメントが、前記保持突出部の全長の少なくとも1/2を形成する、請求項1に記載の扉。
【請求項5】
前記保持セグメントが、前記圧縮リリーフセグメントの全長の少なくとも2倍の長さを有する、請求項1に記載の扉。
【請求項6】
前記ガスケットが、50~80デュロメータのショアA硬度を有する熱可塑性エラストマーから形成される、請求項1に記載の扉。
【請求項7】
前記保持セグメントが前記封止部本体と合体する位置で、前記保持セグメントの断面幅が、前記グランドの断面幅より5%から15%小さい、請求項1に記載の扉。
【請求項8】
前記ビードの、最も幅が広い箇所での断面幅が、前記グランド内の対応する深さでの前記グランドの断面幅より5%から12%大きい、請求項1に記載の扉。
【請求項9】
前記圧縮リリーフセグメントの断面幅が、前記保持セグメントの断面幅より5%から15%小さい、請求項1に記載の扉。
【請求項10】
正面開口を有する容器本体であり、前記正面開口が扉枠によって画定される、容器本体と、
前記扉枠に取り付けられるように構成された扉と
を具備する正面開口式ウエハ容器であって、
前記扉が、
ガスケットの一部分を受け入れるように構成されたグランドを備える扉プレートと、
圧縮材を含有するガスケットと
を備え、
前記ガスケットが、
封止部本体と、
保持突出部と
を備え、
前記保持突出部が、
前記封止部本体から延出する保持セグメントであって、断面幅が、前記グランド内の対応する深さでの前記グランドの断面幅以下である保持セグメントと、
前記保持セグメントから延出する圧縮リリーフセグメントであって、前記保持セグメントの断面幅より小さい断面幅を有する圧縮リリーフセグメントと、
前記圧縮リリーフセグメントの端部に配置されたビードであって、最大断面幅が、前記グランド内の対応する深さでの前記グランドの断面幅より大きいビードと
を備え、
前記ガスケットが、前記扉と前記扉枠との間に封止部を形成するように構成されている、
正面開口式ウエハ容器。
【請求項11】
前記ガスケットが、0.6対1.0の保持力対挿入力の比を有する、請求項10に記載の正面開口式ウエハ容器。
【請求項12】
前記扉をウエハ容器に取り付けたとき、前記扉の合わせ目を通るコンダクタンスが、0.02未満である、請求項10に記載の正面開口式ウエハ容器。
【請求項13】
前記保持セグメントが、前記保持突出部の全長の少なくとも1/2を形成する、請求項10に記載の正面開口式ウエハ容器。
【請求項14】
前記保持セグメントが、前記圧縮リリーフセグメントの全長の少なくとも2倍の長さを有する、請求項10に記載の正面開口式ウエハ容器。
【請求項15】
前記ガスケットが、60から90デュロメータのショアA硬度を有する熱可塑性エラストマーから形成される、請求項10に記載の正面開口式ウエハ容器。
【請求項16】
前記保持セグメントが前記封止部本体と合体する位置で、前記保持セグメントの断面幅が、前記グランドの断面幅より5%から15%小さい、請求項10に記載の正面開口式ウエハ容器。
【請求項17】
前記ビードの、最も幅が広い箇所での断面幅が、前記グランド内の対応する深さでの前記グランドの断面幅より5%から12%大きい、請求項10に記載の正面開口式ウエハ容器。
【請求項18】
前記圧縮リリーフセグメントの断面幅が、前記保持セグメントの断面幅より5%から15%小さい、請求項10に記載の正面開口式ウエハ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板容器に関し、詳細には、ガスケットの封止および保持を改善する形状を有するガスケットを備える容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハ容器は、半導体ウエハなど、ウエハを保管し、加工するための微小環境を画定する。微小環境を画定するために、ウエハ容器は、通常、開口側面と、開口側面を閉鎖する扉とを備える。扉と本体の他の部分との間に、ガスケットなど、封止部を形成することができる。ガスケットは、ウエハ容器の一部または扉に形成されたグランド内に保持することができる。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、基板容器に関し、詳細には、ガスケットの封止および保持を改善する形状を有するガスケットを備える容器に関する。
【0004】
諸実施形態によるガスケットは、必要な挿入力を基準とすると大幅に強い保持力を発揮する。したがって、本ガスケットは、挿入に要する力を増加させることなく、さもなければ、ガスケットのウエハ容器またはウエハ容器扉への組み込みを複雑にすることなく、より強固に固定することができる。これは、ガスケットのずれの危険性を減らし、封止部の品質を確実にする。諸実施形態によるガスケットは、さらに、封止効果を向上させることができる。
【0005】
一実施形態では、ウエハ容器用の扉が、ガスケットの一部分を受け入れるように構成されたグランドを備える扉プレートと、圧縮材を含有するガスケットとを備える。ガスケットは、封止部本体と、保持突出部とを備える。保持突出部は、封止部本体から延出する保持セグメントを備える。保持セグメントは、断面幅が、グランド内の対応する深さでのグランドの断面幅以下である。保持突出部は、保持セグメントから延出する圧縮リリーフセグメントをさらに備える。圧縮リリーフセグメントは、保持セグメントの断面幅より小さい断面幅を有する。保持突出部は、圧縮リリーフセグメントの端部に配置されたビードをさらに備える。ビードは、最大断面幅が、グランド内の対応する深さでのグランドの断面幅より大きい。
【0006】
一実施形態では、ガスケットが、0.5対1.0の保持力対挿入力の比を有し、保持力は、ガスケットをグランドから取り外すのに必要な力であり、挿入力は、保持突出部をグランドに完全に挿入するのに必要な力である。
【0007】
一実施形態では、扉をウエハ容器に取り付けたとき、扉の合わせ目を通るコンダクタンスが、0.02未満である。
【0008】
一実施形態では、保持セグメントが、保持突出部の全長の少なくとも1/2を形成する。
【0009】
一実施形態では、保持セグメントが、圧縮リリーフセグメントの全長の少なくとも2倍の長さを有する。
【0010】
一実施形態では、ガスケットが、50~80デュロメータのショアA硬度を有する熱可塑性エラストマーから形成される。
【0011】
一実施形態では、保持セグメントが封止部本体と合体する位置で、保持セグメントの断面幅が、グランドの断面幅より5%~15%小さい。
【0012】
一実施形態では、ビードの、最も幅が広い箇所での断面幅が、グランド内の対応する深さでのグランドの断面幅より5%~12%大きい。
【0013】
一実施形態では、圧縮リリーフセグメントの断面幅が、保持セグメントの断面幅より5%~15%小さい。
【0014】
一実施形態では、正面開口式ウエハ容器が、扉枠によって画定された正面開口を有する容器本体と、扉枠に取り付けられるように構成された扉とを備える。扉は、ガスケットの一部分を受け入れるように構成されたグランドを備える扉プレートと、圧縮材を含有するガスケットとを備える。ガスケットは、封止部本体と、保持突出部とを備える。保持突出部は、封止部本体から延出する保持セグメントを備える。保持セグメントは、断面幅が、グランド内の対応する深さでのグランドの断面幅以下である。保持突出部は、保持セグメントから延出する圧縮リリーフセグメントをさらに備える。圧縮リリーフセグメントは、保持セグメントの断面幅より小さい断面幅を有する。保持突出部は、圧縮リリーフセグメントの端部に配置されたビードをさらに備える。ビードは、最大断面幅が、グランド内の対応する深さでのグランドの断面幅より大きい。ガスケットは、扉と扉枠との間に封止部を形成するように構成されている。
【0015】
ウエハ容器の一実施形態では、ガスケットは、0.6対1.0の保持力対挿入力の比を有する。
【0016】
ウエハ容器の一実施形態では、扉をウエハ容器に取り付けたとき、扉の合わせ目を通るコンダクタンスは、0.02未満である。
【0017】
ウエハ容器の一実施形態では、保持セグメントは、保持突出部の全長の少なくとも1/2を形成する。
【0018】
ウエハ容器の一実施形態では、保持セグメントは、圧縮リリーフセグメントの全長の少なくとも2倍の長さを有する。
【0019】
ウエハ容器の一実施形態では、ガスケットは、60~90デュロメータのショアA硬度を有する熱可塑性エラストマーから形成される。
【0020】
ウエハ容器の一実施形態では、保持セグメントが封止部本体と合体する位置で、保持セグメントの断面幅は、グランドの断面幅より5%~15%小さい。
【0021】
ウエハ容器の一実施形態では、ビードの、最も幅が広い箇所での断面幅が、グランド内の対応する深さでのグランドの断面幅より5%~12%大きい。
【0022】
ウエハ容器の一実施形態では、圧縮リリーフセグメントの断面幅が、保持セグメントの断面幅より5%~15%小さい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態によるウエハ容器の分解組立図である。
図2】一実施形態によるガスケットおよびウエハ容器扉の断面図である。
図3】一実施形態によるガスケットの保持突出部の図である。
図4】一実施形態によるガスケットの保持突出部の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、基板容器に関し、詳細には、ガスケットの封止および保持を改善する形状を有するガスケットを備える容器に関する。
【0025】
図1は、一実施形態によるウエハ容器の分解組立図を示す。ウエハ容器100は、開口端部104を有する容器本体102を備える。ウエハ容器100は、扉106をさらに備える。扉106と容器本体102とが合わさって開口端部104を閉鎖する場所を封止するために、ガスケット108を使用することができる。
【0026】
ウエハ容器100は、半導体ウエハなど、ウエハを加工、移送、および/または保管するのに使用する容器である。ウエハ容器100は、たとえば正面開口式一体型ポッド(FOUP)などの正面開口式容器であり得る。容器本体102は、ウエハ容器100内に内部空間を画定し、開口端部104が、容器本体102の一側面に設けられている。開口端部104は、容器本体102によって画定された内部空間内にウエハを配置し、かつ/またはそこから取り外すことを可能にすることができる。扉106は、開口端部104を閉じるために使用することができる。開口端部104が扉106によって閉じられると、封止部が形成され得、その結果、ウエハ容器100内の内部空間が、ウエハ容器100を取り巻く環境の汚染物質から保護された微小環境を形成する。封止部は、ガスケット108によって設けることができる。ガスケット108は、扉106が開口端部104を閉鎖したとき、容器本体102と扉106との間に封止部を形成するように構成されている。ガスケット108は、ポリマー材など、封止部を形成するのに適切ないかなる材料から製作してもよい。一実施形態では、ガスケット108は、50~80デュロメータのショアA硬度を有する熱可塑性エラストマーを含む。一実施形態では、ガスケット108は、約50~80デュロメータのショアA硬度を有する熱可塑性エラストマーから全体が形成される。
【0027】
図1に示される実施形態では、扉106は、開口端部104を閉鎖するために組み立てられるとき容器本体102の方に向く扉106の面に形成されたグランド110を備える。グランド110は、ガスケット108を保持するように構成されている。グランド110は、ガスケット108からの突出部を収容するように構成された溝である。一実施形態では、グランド110は、グランド110が扉106の表面から扉106の本体に入って行くにつれて、グランド110の断面幅が減少するように、先細になっている。グランド110は、扉106に配置されるとして示されているが、グランドは、たとえば開口端部104の外周など、扉106と容器本体102との間に封止部を形成できるようにガスケット108を保持するのに適するいかなる位置にあってもよいことを理解されたい。
【0028】
図2は、一実施形態によるガスケットおよびウエハ容器扉の断面図を示す。ウエハ容器扉200は、グランド202およびガスケット204を備える。ガスケット204は、封止部本体206および保持突出部208を備える。保持突出部208は、保持セグメント210、圧縮リリーフセグメント212、およびビード214を備える。
【0029】
ウエハ容器扉200は、ウエハ容器100の扉106など、ウエハ容器を閉鎖するように構成された扉であり、その扉は、図1に示し、上記で説明されたように開口端部104を閉鎖する。グランド202は、ウエハ容器扉200に形成された溝である。一実施形態では、グランド202の側面は、互いに平行であり、溝はその深さ全体が一定幅である。一実施形態では、グランド202の側面は、溝の幅が深さと共に減少する先細形状を溝が有するように、互いに傾けられる。保持突出部208の各セグメントの相対厚さは、保持突出部208がグランド202に完全に挿入されたとき、そのセグメントまたはそれの関連部分が位置を占める深さでのグランド202の幅に対応し得る。
【0030】
ガスケット204は、ウエハ容器扉200と、上記で説明され図1に示されたウエハ容器100のような、対応するウエハ容器(図示せず)との間に封止部を形成するように構成されている。ガスケット204は、保持突出部208とグランド202との締り嵌めによって、ウエハ容器扉200に保持されるように構成されている。ガスケット204は、ポリマー材など、封止部を形成するのに適切ないかなる材料から製作してもよい。一実施形態では、ガスケット204は、50~80デュロメータのショアA硬度を有する熱可塑性エラストマーを含む。一実施形態では、ガスケット204は、50~80デュロメータのショアA硬度を有する熱可塑性エラストマーから全体が形成される。
【0031】
封止部本体206は、扉200とウエハ容器との間で圧縮されて封止部を形成するように構成されたガスケット204の一部分である。封止部本体206は、そのような圧縮に適切ないかなる形状および厚さを有してもよい。封止部本体204は、ウエハ容器扉200と接触することによって事前荷重が掛かるように構成することができる。一実施形態では、封止部本体206は、ガスケット204がグランド202内に保持されたとき、封止部本体206の先端が扉200から離れる角度になるように構成され得ている。一実施形態では、封止部本体206の少なくとも一部分が、保持突出部208と鋭角を形成するように、保持突出部208に対して角度設定することができる。
【0032】
保持突出部208は、グランド202に挿入してガスケット204を扉200に保持するように構成されている。保持突出部208は、保持突出部208の少なくともあるセグメントをグランド202の壁によって圧縮して、保持力を生じさせるように構成されている。グランド202によって保持突出部を圧縮することによって、保持突出部208をグランド202に挿入することに対する抵抗力も生じさせ得る。保持突出部208は、保持セグメント210、圧縮リリーフセグメント212、およびビード214を備える。
【0033】
保持セグメント210は、封止部本体206に繋がる、保持突出部208のセグメントである。封止部本体206位置で、保持セグメント210は、グランド202の開口の幅より小さい断面幅を有し得る。一実施形態では、封止部本体206位置での保持セグメントの断面幅は、グランド202の開口の断面幅より5%~15%小さくてもよい。保持セグメント210の一部が、グランド202に挿入されるように構成され得る。保持セグメント210の、グランド202に挿入されるように構成された部分は、ガスケット204がグランド202に挿入されたときの保持セグメント210の位置に対応する深さにおけるグランド202の断面幅にほぼ等しい断面幅を有し得る。一実施形態では、保持セグメント210は、保持突出部208の全長の少なくとも1/2を形成する。一実施形態では、保持セグメント210は、圧縮リリーフセグメント212の長さの少なくとも2倍の長さを有する。
【0034】
圧縮リリーフセグメント212は、保持セグメント210からビード214まで延在する、保持突出部208のセグメントである。圧縮リリーフセグメント212は、断面厚さが、対応する深さにおけるグランド202の断面幅より小さい、保持突出部208のセグメントである。標準的FOUP設計向けの典型的幅を有するグランド202の一実施形態では、圧縮リリーフセグメント212は、保持セグメント210の厚さより約0.15mm小さい厚さを有する。一実施形態では、圧縮リリーフセグメント212の全長は、保持セグメント210の全長の半分の長さより短いか、または等しい。
【0035】
ビード214は、保持突出部208の端部、圧縮リリーフセグメント212が保持セグメント210と合体するのと反対側の、圧縮リリーフセグメント212の端部に設けられる。ビード214は、グランド202に挿入可能であり、グランド202と干渉部を形成するように構成された、保持突出部208の一部分である。ビード214は、グランド202の開口より小さい断面幅を有する先端216を備え、それによって、先端216をグランド202に導入することができる。ビード214は、断面幅がグランド202内の対応する深さの断面幅より大きい少なくとも1つの締り嵌め部分218をさらに備える。締り嵌め部分218は、断面幅に関してビード214の最も幅の広い箇所を備え得る。ビードは、先端216から締り嵌め部分218まで延在する、丸みを帯びまたは先細であるなど、あらゆる適切な形状を有し得る。締り嵌め部分218は、保持突出部208がグランド202に挿入されたとき、グランド202の壁によって圧縮されるように寸法設定することができる。一実施形態では、締り嵌め部分218は、断面幅がグランド内の対応する深さでのグランドの断面幅より5%~12%大きい最も幅の広い箇所を有し、または備える。標準的FOUP設計で使用するために構成された一実施形態では、締り嵌め部分218は、断面幅が、グランド内の対応する深さでのグランドの断面幅より約0.15mm大きい。一実施形態では、ビード214は、丸い形状を有し、その丸い形状は、締り嵌め部分218の最大断面幅に対応する直径を有する。一実施形態では、ビード214は、締り嵌め部分218が、圧縮リリーフセグメント212によって一方の側面に形成される線と連続し、締り嵌め部分218が、圧縮リリーフセグメントの前記一方の側面とは反対側の側面に対して外側に延出するように、圧縮リリーフセグメント212に対して配置することができる。一実施形態では、ビード214は、締り嵌め部分218が、断面で視たとき、圧縮リリーフセグメント212の両側面に対して外側に延出するように、圧縮リリーフセグメント212に対して配置される。ビード214のさらに別の非限定的例が、図3および4に示され、下記で説明される保持突出部300および400に含まれている。ビード214の締り嵌め部分218を圧縮すると、保持突出部208の一部または全部を膨らませて、グランド202との締り嵌めを形成し、それによって、ガスケット204をグランド202内に保持し、扉200がウエハ容器に取り付けられたとき、グランド202の一方の側からグランド202の反対側への流れを抑止する封止部を形成することができる。
【0036】
保持セグメント210、圧縮リリーフセグメント212、およびビード214を備える保持突出部208は、ガスケット204を挿入する力に比較して相対的に大きい保持力を発揮することができる。保持力は、ガスケット204をグランド202から取り外すのに必要とされる大きさの力である。挿入力は、ガスケット204をグランド202に完全に挿入するのに必要とされる大きさの力である。一実施形態では、挿入力に対する保持力の比は、0.5~1.0の範囲にあり得る。比較すると、ウエハ容器用の標準的ガスケット設計では、約0.25~約0.35の保持力比になる。したがって、ガスケット204は、標準的ガスケット設計に比較して、より容易な組立を可能にし、かつ/またはグランド202内にガスケット204をより強く保持することを可能にすることができる。
【0037】
保持突出部208を備えるガスケットが用意された。保持セグメント210、圧縮リリーフセグメント212、およびビード214をそれぞれが含む3つの実施形態が用意された。ビード形状、および各セグメントの相対長さは、3つの実施形態を通して一致していた。諸実施形態例を通して唯一の変化は、保持突出部の1つまたは複数のセグメントの断面幅を変えたことである。表1に示された実施形態において、実施形態2は、実施形態1と比較して、保持セグメントおよびビードの断面幅が0.05mmまたは約2.5%大きい。実施形態3は、保持セグメントでは実施形態1と同じ断面幅を有し、実施形態1のビードよりも0.1mmまたは約5%大きい断面幅を持つビードを有する。各実施形態を対応するウエハ容器扉のグランドに完全に挿入するのに必要なニュートンでの力が、測定され、挿入値として表1に記録されている。次いで、完全に挿入された実施形態をグランドから取り外すのに必要なニュートンでの力が、測定され、保持値として表1に記録されている。保持値を挿入値で割った比が、比率値として示されている。次いで、挿入力および保持力に関する同じ試験が、ウエハ容器の扉用の封止部として現在使用されている確証された製品(product of record:POR)に対して行われた。そのPORは、実施形態1~3におけるような個別の圧縮リリーフセグメントまたはビードの無い、グランドの形状に対応するように形成された傾斜壁を有する。
【0038】
表1で分かるように、セグメントの個々の断面幅を変えると、圧縮力に対する保持力の比が、各実施形態を通じて変化するが、その比は、PORと比較すると、少なくとも部分的には圧縮リリーフセグメントおよびビードを個々に備え配置することによって、全ての実施形態において著しく大きくなる。
【0039】
さらに、ガスケット204は、扉200がウエハ容器に取り付けられたとき、標準的ガスケット設計に比較して強力な封止部を実現することができる。たとえば、ウエハ容器に取り付けられた一実施形態による扉を通るコンダクタンスは、0.02以下になり得る。
【0040】
図3は、一実施形態によるガスケットの保持突出部を示す。ガスケット300は、封止部本体302および保持突出部304を備える。保持突出部304は、保持セグメント306、圧縮リリーフセグメント308、およびビード310を備える。図3に示す実施形態では、ビード310は、先端312および締り嵌め部分314を備える。ビード310の断面形状は、たとえば、丸みを帯びた角部を有する全体的に長斜方形であり得る。締り嵌め部分314は、保持突出部304の第1の側面318に対して外側に延出する締り嵌め突起316を備える。ガスケット300では、第1の側面318の反対側の第2の側面320は、保持突出部304の全長に亘って連続する先細である。
【0041】
図4は、一実施形態によるガスケットの保持突出部を示す。ガスケット400は、封止部本体402および保持突出部404を備える。保持突出部404は、保持セグメント406、圧縮リリーフセグメント408、およびビード410を備える。図4に示す実施形態では、ビード410は、先端412および締り嵌め部分414を備える。ビード410は、全体的に円形の断面形状を有する。ガスケット400では、ビード410の全体的に円形の断面形状は、保持突出部404の第1の側面418が、保持突出部404の全長に亘って連続する先細になるように、その円形の断面形状の中心をずらして形成される。締り嵌め部分414は、第2の側面420に対して外側に延出する締り嵌め突起416を備え、第2の側面420は、保持突出部404の第1の側面418の反対側にある。図4に示される実施形態では、ガスケット400は、グランド422に挿入されている。ガスケット400がグランド422に挿入されると、保持セグメント406およびビード410が圧縮され、圧縮リリーフセグメント408が、保持セグメント406およびビード410の周囲の物体からの圧縮によって、膨らんでグランド422をさらに充満する。
【0042】
態様
任意の態様1~9を任意の態様10~18と組み合わせることができることを理解されたい。
【0043】
態様1 ウエハ容器用の扉であって、
ガスケットの一部分を受け入れるように構成されたグランドを備える扉プレートと、
圧縮材を含有するガスケットと
を具備し、
ガスケットが、
封止部本体と、
保持突出部と
を備え、
保持突出部が、
封止部本体から延出する保持セグメントであって、断面幅がグランド内の対応する深さでのグランドの断面幅以下である保持セグメントと、
保持セグメントから延出する圧縮リリーフセグメントであって、保持セグメントの断面幅より小さい断面幅を有する圧縮リリーフセグメントと、
圧縮リリーフセグメントの端部に配置されたビードであって、最大断面幅がグランド内の対応する深さでのグランドの断面幅より大きいビードと
を備える、扉。
【0044】
態様2 ガスケットが、0.5対1.0の保持力対挿入力の比を有し、保持力が、ガスケットをグランドから取り外すのに必要な力であり、挿入力が、保持突出部をグランドに完全に挿入するのに必要な力である、態様1による扉。
【0045】
態様3 扉をウエハ容器に取り付けたとき、扉の合わせ目を通るコンダクタンスが、0.02未満である、態様1または2による扉。
【0046】
態様4 保持セグメントが、保持突出部の全長の少なくとも1/2を形成する、態様1から3のいずれかによる扉。
【0047】
態様5 保持セグメントが、圧縮リリーフセグメントの全長の少なくとも2倍の長さを有する、態様1から4のいずれかによる扉。
【0048】
態様6 ガスケットが、50~80デュロメータのショアA硬度を有する熱可塑性エラストマーから形成される、態様1から5のいずれかによる扉。
【0049】
態様7 保持セグメントが封止部本体と合体する位置で、保持セグメントの断面幅が、グランドの断面幅より5%~15%小さい、態様1から6のいずれかによる扉。
【0050】
態様8 ビードの、最も幅が広い箇所での断面幅が、グランド内の対応する深さでのグランドの断面幅より5%~12%大きい、態様1から7のいずれかによる扉。
【0051】
態様9 圧縮リリーフセグメントの断面幅が、保持セグメントの断面幅より5%~15%小さい、態様1から8のいずれかによる扉。
【0052】
態様10 正面開口を有する容器本体であり、正面開口が扉枠によって画定される、容器本体と、
扉枠に取り付けられるように構成された扉と
を具備する正面開口式ウエハ容器であって、
扉が、
ガスケットの一部分を受け入れるように構成されたグランドを備える扉プレートと、
圧縮材を含有するガスケットと
を備え、
ガスケットが、
封止部本体と、
保持突出部と
を備え、
保持突出部が、
封止部本体から延出する保持セグメントであって、断面幅が、グランド内の対応する深さでのグランドの断面幅以下である、保持セグメントと、
保持セグメントから延出する圧縮リリーフセグメントであって、保持セグメントの断面幅より小さい断面幅を有する圧縮リリーフセグメントと、
圧縮リリーフセグメントの端部に配置されたビードであって、最大断面幅が、グランド内の対応する深さでのグランドの断面幅より大きいビードと
を備え、
ガスケットが、扉と扉枠との間に封止部を形成するように構成されている、
正面開口式ウエハ容器。
【0053】
態様11 ガスケットが、0.6対1.0の保持力対挿入力の比を有する、態様10による正面開口式ウエハ容器。
【0054】
態様12 扉をウエハ容器に取り付けたとき、扉の合わせ目を通るコンダクタンスが、0.02未満である、態様10または11による正面開口式ウエハ容器。
【0055】
態様13 保持セグメントが、保持突出部の全長の少なくとも1/2を形成する、態様10から12のいずれかによる正面開口式ウエハ容器。
【0056】
態様14 保持セグメントが、圧縮リリーフセグメントの全長の少なくとも2倍の長さを有する、態様10から13のいずれかによる正面開口式ウエハ容器。
【0057】
態様15 ガスケットが、60~90デュロメータのショアA硬度を有する熱可塑性エラストマーから形成される、態様10から14のいずれかによる正面開口式ウエハ容器。
【0058】
態様16 保持セグメントが封止部本体と合体する位置で、保持セグメントの断面幅が、グランドの断面幅より5%~15%小さい、態様10から15のいずれかによる正面開口式ウエハ容器。
【0059】
態様17 ビードの、最も幅が広い箇所での断面幅が、グランド内の対応する深さでのグランドの断面幅より5%~12%大きい、態様10から16のいずれかによる正面開口式ウエハ容器。
【0060】
態様18 圧縮リリーフセグメントの断面幅が、保持セグメントの断面幅より5%~15%小さい、態様10から17のいずれかによる正面開口式ウエハ容器。
【0061】
本出願で開示された例は、あらゆる点において例示的かつ非限定的と見なすべきである。本発明の範囲は、前述の説明によるのではなく、添付特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と同等な趣旨および範囲に入る全ての変形形態は、特許請求の範囲に包含されるものとする。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ容器用の扉であって、
ガスケットの一部分を受け入れるように構成されたグランドを備える扉プレートと、
圧縮材を含有するガスケットと
を具備し、
前記ガスケットが、
封止部本体と、
保持突出部と
を備え、
前記保持突出部が、
前記封止部本体から延出する保持セグメントであって、断面幅が、前記グランド内の対応する深さでの前記グランドの断面幅以下である保持セグメントと、
前記保持セグメントから延出する圧縮リリーフセグメントであって、前記保持セグメントの断面幅より小さい断面幅を有する圧縮リリーフセグメントと、
前記圧縮リリーフセグメントの端部に配置されたビードであって、最大断面幅が、前記グランド内の対応する深さでの前記グランドの断面幅より大きいビードと
を備える、
扉。
【請求項2】
正面開口を有する容器本体であり、前記正面開口が扉枠によって画定される、容器本体と、
前記扉枠に取り付けられるように構成された扉と
を具備する正面開口式ウエハ容器であって、
前記扉が、
ガスケットの一部分を受け入れるように構成されたグランドを備える扉プレートと、
圧縮材を含有するガスケットと
を備え、
前記ガスケットが、
封止部本体と、
保持突出部と
を備え、
前記保持突出部が、
前記封止部本体から延出する保持セグメントであって、断面幅が、前記グランド内の対応する深さでの前記グランドの断面幅以下である保持セグメントと、
前記保持セグメントから延出する圧縮リリーフセグメントであって、前記保持セグメントの断面幅より小さい断面幅を有する圧縮リリーフセグメントと、
前記圧縮リリーフセグメントの端部に配置されたビードであって、最大断面幅が、前記グランド内の対応する深さでの前記グランドの断面幅より大きいビードと
を備え、
前記ガスケットが、前記扉と前記扉枠との間に封止部を形成するように構成されている、
正面開口式ウエハ容器。
【請求項3】
前記ガスケットが、0.5対1.0の保持力対挿入力の比を有し、前記保持力が、前記ガスケットを前記グランドから取り外すのに必要な力であり、前記挿入力が、前記保持突出部を前記グランドに完全に挿入するのに必要な力である、請求項1または2に記載の
【請求項4】
前記扉をウエハ容器に取り付けたとき、前記扉の合わせ目を通るコンダクタンスが、0.02未満である、請求項1または2に記載の
【請求項5】
前記保持セグメントが、前記保持突出部の全長の少なくとも1/2を形成する、請求項1または2に記載の
【国際調査報告】