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特表2024-524105複数のパッケージに共通の冷却ソリューション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】複数のパッケージに共通の冷却ソリューション
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20240628BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
G06F1/20 C
G06F1/20 B
G06F1/20 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577549
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022027037
(87)【国際公開番号】W WO2023278007
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】17/360,862
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エム. ジャガーズ
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA30
5F136BC06
5F136CC11
5F136DA41
(57)【要約】
本発明の装置は、共通の高さの複数のパッケージに共通の冷却ソリューションのための装置であって、第1のダイパッケージと、第1のダイパッケージと同じ高さを有する第2のダイパッケージと、冷却要素であって、冷却要素の平面状の表面によって第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージに熱的に結合されている、冷却要素と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の高さの複数のパッケージに共通の冷却ソリューションのための装置であって、
第1のダイパッケージと、
前記第1のダイパッケージと同じ高さを有する第2のダイパッケージと、
冷却要素であって、前記冷却要素の平面状の表面によって前記第1のダイパッケージ及び前記第2のダイパッケージに熱的に結合されている、冷却要素と、を備える、
装置。
【請求項2】
前記第1のダイパッケージは、アプリケーション処理ユニット(APU)ダイパッケージを備える、
請求項1の装置。
【請求項3】
前記第1のダイパッケージは、第1の基板に接合されており、前記第2のダイパッケージは、第2の基板に接合されている、
請求項1の装置。
【請求項4】
前記第2の基板と、前記第2のダイパッケージと、を備える離散グラフィックス処理ユニット(dGPU)を備える、
請求項1の装置。
【請求項5】
前記第1のダイパッケージと前記冷却要素との間の熱界面材料の第1の部分と、
前記第2のダイパッケージと前記冷却要素との間の熱界面材料の第2の部分と、を備え、
前記熱界面材料の第1の部分及び前記熱界面材料の第2の部分は、実質的に同じ厚さである、
請求項1の装置。
【請求項6】
前記熱界面材料の第1の部分又は前記熱界面材料の第2の部分は、熱ペーストを備える、
請求項5の装置。
【請求項7】
前記冷却要素は、流体冷却式冷却要素を備える、
請求項1の装置。
【請求項8】
前記冷却要素の平面状の表面は、導電性金属層の表面を備える、
請求項1の装置。
【請求項9】
半導体チップデバイスあって、
半導体チップ基板と、
前記半導体チップ基板に搭載された第1のダイパッケージであって、露出表面を備える第1のダイパッケージと、
前記半導体チップ基板に電気的に結合された第2のダイパッケージであって、前記第1のダイパッケージと同じ高さに露出表面を有し、前記第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージの露出表面が冷却要素に熱的に結合されるように構成されている、第2のダイパッケージと、を備える、
半導体チップデバイス。
【請求項10】
前記第1のダイパッケージは、アプリケーション処理ユニット(APU)ダイパッケージを備える、
請求項9の半導体チップデバイス。
【請求項11】
前記第2のダイパッケージは、第2の基板に接合されている、
請求項9の半導体チップデバイス。
【請求項12】
前記第2の基板と、前記第2のダイパッケージと、を備える離散グラフィックス処理ユニット(dGPU)を備える、
請求項11の半導体チップデバイス。
【請求項13】
前記第1のダイパッケージの露出表面は、前記第1のダイパッケージと前記冷却要素との間の熱界面材料の第1の部分を受容するように構成されており、
前記第2のダイパッケージの露出表面は、前記第2のダイパッケージと前記冷却要素との間の熱界面材料の第2の部分を受容するように構成されており、
前記熱界面材料の第1の部分及び前記熱界面材料の第2の部分は、実質的に同じ厚さである、
請求項9の半導体チップデバイス。
【請求項14】
前記熱界面材料の第1の部分又は前記熱界面材料の第2の部分は、熱ペーストを備える、
請求項13の半導体チップデバイス。
【請求項15】
共通の高さの複数のパッケージに共通の冷却ソリューションのための方法あって、
冷却要素の平面状の表面を第1のダイパッケージに熱的に結合することと、
前記冷却要素の平面状の表面を、前記第1のダイパッケージと同じ高さを有する第2のダイパッケージに熱的に結合することと、を含む、
方法。
【請求項16】
前記冷却要素の平面状の表面を前記第1のダイパッケージに熱的に結合することは、熱界面材料の第1の部分を介して、前記冷却要素の平面状の表面を前記第1のダイパッケージに熱的に結合することを含み、
前記冷却要素の平面状の表面を前記第2のダイパッケージに熱的に結合することは、熱界面材料の第2の部分を介して前記冷却要素の平面状の表面を前記第2のダイパッケージに熱的に結合することを含み、
前記熱界面材料の第1の部分及び前記熱界面材料の第2の部分は、実質的に同じ厚さである、
請求項15の方法。
【請求項17】
前記第1のダイパッケージは、アプリケーション処理ユニット(APU)ダイパッケージを備える、
請求項15の方法。
【請求項18】
前記第2のダイパッケージは、離散グラフィックス処理ユニット(dGPU)ダイパッケージを備える、
請求項15の方法。
【請求項19】
前記冷却要素は、流体冷却式冷却要素を備える、
請求項15の方法。
【請求項20】
前記冷却要素の平面状の表面は、導電性金属層の表面を備える、
請求項15の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コンピューティングデバイスは、プロセッサコア等の様々な構成要素によって発生した熱を放散するための1つ以上の冷却要素を含む。そのような冷却要素は、例えば、ヒートシンク、流体冷却システム(例えば、水冷システム)、蒸気チャンバ、ヒートパイプ、ファン及びコンピューティングデバイスから熱を放散するファンに熱を伝導するもの等を含む。各ダイパッケージは、ダイパッケージによって発生した熱を放散するために冷却要素に熱的に結合されている。コンピューティングデバイスが、冷却要素に結合されなければならない複数のダイパッケージを含む場合には、複雑性が生じる。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】いくつかの実施形態による、複数のパッケージに共通の冷却ソリューションに関する例示的な装置の図である。
図2】いくつかの実施形態による、複数のパッケージに共通の冷却ソリューションに関する例示的な装置の図である。
図3】いくつかの実施形態による、複数のパッケージに共通の冷却ソリューションに関する例示的なコンピューティングデバイスのブロック図である。
図4】いくつかの実施形態による、複数のパッケージに共通の冷却ソリューションに関する例示的な方法のフローチャートである。
図5】いくつかの実施形態による、複数のパッケージに共通の冷却ソリューションに関する他の例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0003】
いくつかの実施形態では、共通の高さの複数のパッケージに共通の冷却ソリューションに関する装置は、第1のダイパッケージと、第1のダイパッケージと同じ高さを有する第2のダイパッケージと、冷却要素であって、冷却要素の平面状の表面によって第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージに熱的に結合されている、冷却要素と、を含む。
【0004】
いくつかの実施形態では、第1のダイパッケージは、アプリケーション処理ユニット(application processing unit、APU)ダイパッケージを含む。いくつかの実施形態では、第1のダイパッケージは、第1の基板に接合されており、第2のダイパッケージは、第2の基板に接合されている。いくつかの実施形態では、装置は、第2の基板と、第2のダイパッケージと、を含む離散グラフィックス処理ユニット(discrete graphics processing unit、dGPU)を更に含む。いくつかの実施形態では、装置は、第1のダイパッケージと冷却要素との間の熱界面材料(thermal interface material)の第1の部分と、第2のダイパッケージと冷却要素との間の熱界面材料の第2の部分と、を更に含み、熱界面材料の第1の部分及び熱界面材料の第2の部分は、実質的に同じ厚さである。いくつかの実施形態では、熱界面材料の第1の部分又は熱界面材料の第2の部分のうち1つ以上は、熱ペーストを含む。いくつかの実施形態では、冷却要素は、流体冷却式冷却要素(fluid-cooled cooling element)を含む。いくつかの実施形態では、冷却要素の平面状の表面は、導電性金属の層の表面を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、半導体チップデバイスは、半導体チップ基板と、半導体チップ基板に搭載された第1のダイパッケージであって、露出表面を備える第1のダイパッケージと、半導体チップ基板に電気的に結合されている第2のダイパッケージであって、第1のダイパッケージと同じ高さに露出表面を有し、第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージの露出表面が冷却要素に熱的に結合されるように構成されている、第2のダイパッケージと、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1のダイパッケージは、アプリケーション処理ユニット(APU)ダイパッケージを含む。いくつかの実施形態では、第1のダイパッケージは、第1の基板に接合されており、第2のダイパッケージは、第2の基板に接合されている。いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイスは、第2の基板と、第2のダイパッケージと、を含む離散グラフィックス処理ユニット(dGPU)を更に含む。いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイスは、第1のダイパッケージと冷却要素との間の熱界面材料の第1の部分と、第2のダイパッケージと冷却要素との間の熱界面材料の第2の部分と、を更に含み、熱界面材料の第1の部分及び熱界面材料の第2の部分は、実質的に同じ厚さである。いくつかの実施形態では、熱界面材料の第1の部分又は熱界面材料の第2の部分のうち1つ以上は、熱ペーストを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、共通の高さの複数のパッケージに共通の冷却ソリューションに関する方法は、冷却要素の平面状の表面を第1のダイパッケージに熱的に結合することと、冷却要素の平面状の表面を第1のダイパッケージと同じ高さを有する第2のダイパッケージに熱的に結合することと、を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、冷却要素の平面状の表面を第1のダイパッケージに熱的に結合することは、熱界面材料の第1の部分を介して、冷却要素の平面状の表面を第1のダイパッケージに熱的に結合することを含み、冷却要素の平面状の表面を第2のダイパッケージに熱的に結合することは、熱界面材料の第2の部分を介して冷却要素の平面状の表面を第2のダイパッケージに熱的に結合することを含み、熱界面材料の第1の部分及び熱界面材料の第2の部分は、実質的に同じ厚さである。いくつかの実施形態では、第1のダイパッケージは、アプリケーション処理ユニット(APU)ダイパッケージを含む。いくつかの実施形態では、第2のダイパッケージは、離散グラフィックス処理ユニット(dGPU)ダイパッケージを含む。いくつかの実施形態では、冷却要素は、流体冷却式冷却要素を含む。いくつかの実施形態では、冷却要素の平面状の表面は、導電性金属の層の表面を含む。
【0009】
コンピューティングデバイスは、プロセッサコア等の様々な構成要素によって発生した熱を放散するための1つ以上の冷却要素を含む。そのような冷却要素は、例えば、ヒートシンク、流体冷却システム(例えば、水冷システム)、蒸気チャンバ、ヒートパイプ、ファン及びコンピューティングデバイスから熱を放散するファンに熱を伝導するもの等を含む。各ダイパッケージは、ダイパッケージによって発生した熱を放散するために冷却要素に熱的に結合されている。
【0010】
コンピューティングデバイスが、冷却要素に結合されなければならない複数のダイパッケージを含む場合には、複雑性が生じる。いくつかの既存のソリューションでは、任意の所定のダイパッケージが単一の冷却要素に熱的に結合され、各冷却要素が単一のダイパッケージに熱的に結合されるように、各ダイパッケージがそれぞれの冷却要素に熱的に結合される。このソリューションは、冷却要素によってコンピューティングデバイス内で使用する空間が増加し、内部空間が限られており、内部空間を節約しなくてはならないモバイルデバイスにおいて著しい欠点となる。更に、複数の冷却要素の動作は、複数のダイパッケージにわたって単一の冷却要素を動作させるよりも多くの電力を必要とする。
【0011】
複数のダイパッケージに熱的に結合されている単一の冷却要素の使用も、問題及び制限の原因を誘発する。いくつかのソリューションでは、単一の冷却要素は、典型的には、ダイパッケージの各々と接触する導電性材料(例えば、銅)の単一の実質的に連続した平面の表面に依存する。しかしながら、ダイパッケージの接触表面は、一般に、異なる高さ(例えば、Z軸高さ)にある。例えば、プロセッサ用のダイパッケージは、それらが異なる製造元から来る場合があること、又は、ダイパッケージの高さを定義する特定の規格に準拠しない場合があることから、一般に、グラフィックス処理ユニット(GPU)プロセッサ用のダイパッケージとは異なる高さを有する。したがって、冷却要素は、両方のダイパッケージに均一に接触することができない。
【0012】
代わりに、いくつかのソリューションでは、より低い高さのダイパッケージは、ダイパッケージ間の高さの差を補うために、ダイパッケージに塗布される熱ペースト又は熱パッド等の追加の熱界面材料を有する。したがって、より低い高さのダイパッケージは、冷却要素を通して熱を放散するために、熱界面材料のより厚い層を通して熱を伝導させる必要がある。熱界面材料の追加の層は、他のダイパッケージと冷却要素との間により少ない熱界面材料を有する他のダイパッケージと比較すると、熱抵抗が大きくなり、結果的に、追加の熱界面材料を有するダイパッケージの熱伝達及び冷却効率が低減してしまう。
【0013】
他のソリューションでは、冷却要素は、傾斜をつけるか又は斜めにインストールされることで、冷却要素の底部表面がある角度でダイパッケージに接触する。このソリューションを使用すると、冷却要素はダイパッケージに均一に接触することができず、冷却要素がダイパッケージに接触しない空隙を充填するために熱界面材料の不均一な層が必要となることになる。この結果、熱界面材料の部分が次第に厚くなることによって、熱抵抗が実質的に増加する。
【0014】
更なるソリューションでは、冷却要素の底部表面が、導電性材料の途切れた段差状の平面を含み、これにより、より低い高さのダイパッケージは、導電性材料のより厚い層を通して冷却要素に熱を伝導し、より高い高さのダイパッケージは、導電性材料のより薄い層を通して冷却要素に熱を伝導することになる。また、これは、より低い高さのダイパッケージと比較した場合、より低い高さのダイパッケージと冷却要素との間の熱抵抗を増加させる。より低い高さのダイパッケージが冷却要素に対して増加された熱抵抗を有するソリューションでは、このようなダイパッケージは、効率的に冷却させられず、オーバークロッキング等のように、ダイパッケージの動作温度を増加させ得る動作が制限される。
【0015】
これらの問題に対処するために、図1は、本開示の実施形態による、複数のパッケージに共通の冷却ソリューションのための装置100の例示的な図を示している。例示的な装置100は、デスクトップコンピューティングデバイス、モバイルコンピューティングデバイス、ゲーミングデバイス、セットトップボックス等を含む様々なコンピューティングデバイスに実装することができる。図1は、装置100の断面図又はプロファイル図を示す。
【0016】
図1の例示的な装置100は、基板104に接合されている(例えば、パッケージングされた)アプリケーション処理ユニット(APU)ダイパッケージ102を含む。APUダイパッケージ102は、ダイパッケージを形成するために基板に接合されているAPUのダイである。例えば、APUは、理解され得るように、はんだボール又は他の導電性接合材料を使用して基板104に接合されているピン(例えば、入力/出力ピン等)を使用して、基板104とともにパッケージングされている。基板104は、例えば、コンピューティングデバイスのマザーボード等のプリント回路基板(printed circuit board、PCB)を含む。
【0017】
周辺インターフェース106が基板に結合され、周辺デバイスが周辺インターフェース106にインストールされ、基板104内の信号経路(例えば、導電性トレース、バス等)を介してAPUダイパッケージ102及び装置の他の構成要素と通信することを可能にする。例えば、周辺インターフェース106は、周辺構成要素インターフェースエクスプレス(Peripheral Component Interface Express、PCIe)インターフェース又は理解され得るような他のインターフェースを含む。
【0018】
例示的な装置100では、離散グラフィックス処理ユニット(dGPU)108が周辺インターフェース106にインストールされる。dGPU108は、理解され得るように、行列数学演算、機械学習演算等を含むグラフィックス演算又は同様の演算を行うための専用ハードウェア構成要素を含む。dGPU108は、dGPUダイパッケージ110を含む。dGPUダイパッケージ110は、実行用dGPU108にサブミットされたジョブ又は動作の処理を容易にするdGPU108基板に接合されているdGPU108の専用プロセッサダイである。
【0019】
APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110は、冷却要素112に熱的に結合されている。冷却要素112は、当業者によって理解されるように、流体冷却式(例えば、水冷)冷却要素、ヒートパイプ、蒸気チャンバ、ヒートシンク、ラジエータ、ファン等を含む様々な冷却要素として実装され得る。冷却要素112は、冷却要素112の底部表面を介して、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110に熱的に結合されている。冷却要素112の底部表面は、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110から熱を伝導するためにAPUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110に均一に接触する導電性材料(例えば、銅)の実質的に途切れない平面である。したがって、冷却要素112の底部表面は、実質的に一定の厚さの導電性材料の層を含む。当業者であれば、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110に接触する導電性材料の平面に加えて、冷却要素112が、上述したようにAPUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110からの熱の放散を容易にするための他の構成要素を含むことを理解するであろう。
【0020】
いくつかの実施形態において、冷却要素112は、熱界面材料114の1つ以上の部分を介して、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110に熱的に結合されている。熱界面材料114は、APUダイパッケージ102又はdGPUダイパッケージ110と冷却要素112との間の空隙を排除するためにAPUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110に適用される材料又は構成要素である。例えば、熱界面材料114は、理解され得るように、熱ペースト、熱伝導パッド又は他の材料を含む。当業者は、本明細書に記載されるようなAPUダイパッケージ102又はdGPUダイパッケージ110に接触する冷却要素112が、APUダイパッケージ102又はdGPUダイパッケージ110に適用される熱界面材料114の層に接触する冷却要素112も含むことを理解するであろう。図1の例示的な装置に示すように、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110に適用される熱界面材料114の部分は、実質的に同じ厚さである。
【0021】
図1の例示的な装置100に示すように、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110は、基板104に結合されている場合(例えば、装置100にインストールされた場合)に、同じ高さ116に置かれている。したがって、APUダイパッケージ102の表面(例えば、基板104に接触する側の反対側)及びdGPUダイパッケージ110の表面(例えば、dGPU108の基板に接触する側の反対側)は、実質的に同一平面上にある。例えば、APUダイパッケージ102又はdGPUダイパッケージ110は、装置にインストールされた場合にAPUダイパッケージ102又はdGPUダイパッケージ110の両方が実質的に同一平面上にあるように、研削され、水平にされ又は他の方法で高さが修正される。したがって、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110に適用される熱界面材料114の部分は、実質的に同じ厚さであることから、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110に適用される熱界面材料114の部分の表面の高さは、実質的に同じ高さである。
【0022】
底部表面が、高さ又は厚さが実質的にばらつくことなく、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110に対して水平かつ平行であるという点で、冷却要素112の底部表面は、実質的に途切れない平面である(これは、例えば、異なる高さのAPUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110に接触するために必要とされる階段状又は湾曲した表面とは対照的である)。APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110が実質的に同じ高さであるので、冷却要素112は、冷却要素112の底部表面における導電性材料の実質的に途切れない平面を使用して、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110に均一に接触することができる。したがって、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110の両方は、装置100上にインストールされた(例えば、基板104に結合されている)場合に、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110が同じ高さでない場合に必要とされる熱界面材料114の追加の層又は冷却要素112の底部表面の水平面のばらつきによって引き起こされる熱抵抗の如何なる増加も伴わずに、冷却要素112に熱的に結合される。
【0023】
装置100がラップトップコンピュータ等のモバイルコンピューティングデバイスを含む例を考える。APUダイパッケージ102がdGPUダイパッケージ110よりも低い高さにある場合、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110の両方を冷却要素112に熱的に結合するために、冷却要素112内の熱界面材料114又は導電性材料の追加の層が必要になる。これは、APUダイパッケージ102と冷却要素112との間の熱抵抗を増加させ、APUダイパッケージ102に対する冷却要素112の全体的な冷却能力を低減させる。装置100が、実行される作業負荷に応じて、APUダイパッケージ102をオーバークロックすること又はAPUダイパッケージ102への電圧を増加させることが可能である場合、このようなオーバークロック及び電圧増加は、冷却要素112の低減された冷却能力に起因して制限されることになる。代わりに、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110が同じ高さにあることで、冷却要素112は、より多くの冷却能力をAPUダイパッケージ102に提供することができ、それによって、APUダイパッケージ102のためにオーバークロック及び電圧能力を増加させることが可能になる。これは、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110を含む実施形態において特に有益である。なぜなら、APUダイパッケージ102は、典型的には、dGPUダイパッケージ110と比較して、より大きな熱密度及び熱出力を有するからである。したがって、APUダイパッケージ102は、本明細書で提示される実施形態によってもたらされる冷却能力の増加から利益を得て、それらの増加された熱密度に対応し、オーバークロック及び電圧構成を増加させることを可能にする。
【0024】
例示的な装置100は、同じ高さのAPUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110に関連して記載されるが、本明細書で記載される複数のパッケージに共通の冷却ソリューションのための手法は、他の構成要素又はデバイス構成に適用されることが理解される。例えば、APUダイパッケージ102の代わりに、いくつかの実施形態では、複数のパッケージに共通の冷却ソリューションのための装置は、中央処理装置(CPU)ダイパッケージを含む。したがって、複数のパッケージに共通の冷却ソリューションは、複数のCPUダイパッケージ、CPUダイパッケージ及びdGPU、CPUダイパッケージ及び個別の統合グラフィックス処理ユニット(iGPU)ダイパッケージ等を使用して実装される。
【0025】
別の例として、dGPU108及びdGPUダイパッケージ110の代わりに、いくつかの実施形態では、複数のパッケージに対する装置共通の冷却ソリューションは、理解され得るように、別のAPUダイパッケージ102又は他のダイパッケージを含む。当業者であれば、複数のパッケージに共通の冷却ソリューションについて本明細書で記載される手法は、同じ高さの複数のダイパッケージが同じ単一の冷却要素112に熱的に結合される任意の実施形態に適用可能であることを理解するであろう。
【0026】
更なる説明のために、図2は、本開示の実施形態による、図1の複数のパッケージに共通の冷却ソリューションのための例示的な装置100の代替図を示している。図2は、装置100を上から見下ろした図を示す。図2は、基板104及び冷却要素112を示す。冷却要素112の下には、基板に接合されているAPUダイパッケージ102がある。また、冷却要素112の下には、dGPU108及びdGPUダイパッケージ110がある。したがって、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110の両方は、冷却要素112の下側表面に接触し、その結果として熱的に結合されている。dGPU108は、周辺インターフェース106にインストールされる。図2は、冷却要素112によって完全に覆われているdGPU108を示しているが、冷却要素112によるdGPUダイパッケージ110の冷却を可能にするためには、dGPUダイパッケージ110のみが冷却要素112の下にある必要があることが理解される。
【0027】
いくつかの実施形態では、複数のパッケージに共通の冷却ソリューションが、例示的なコンピューティングデバイス300において実装される。コンピューティングデバイス300は、加速処理ユニット(APU)302を含む。APU302は、単一のダイ上に中央処理装置(CPU)304及び統合グラフィックス処理ユニット(iGPU)306を含むマイクロプロセッサである。また、コンピューティングデバイス300は、離散グラフィックス処理ユニット(dGPU)308を含む。本明細書に記載される手法は、dGPU308と、iGPU306を有するAPU302と、を含むコンピューティングデバイス300のコンテキストで説明されるが、本明細書に記載される手法は、統合GPU及び離散GPUの両方を組み込む任意のシステム又はデバイスに適用可能であることを理解されたい。dGPU308は、APU302に動作可能に結合されているコンピューティングデバイス300の周辺又は追加の構成要素である。例えば、いくつかの実施形態では、dGPU308は、周辺構成要素インターフェースエクスプレス(PCIe)バスによってAPU302に動作可能に結合される。したがって、そのような実施形態では、dGPU308は、APU302がインストールされるマザーボード又は他のプリント回路基板(PCB)上のPCIeポートにインストールされる。APU302とdGPU308との間の動作可能な接続によって、APU302は、命令、レンダリングジョブ等をdGPU308に発行することが可能である。いくつかの実施形態では、dGPU308は、ディスプレイインターフェース309を含む。ディスプレイインターフェース309は、外部モニタ又はディスプレイが接続されるポート又はソケットである。ディスプレイインターフェース309は、表示のために外部ディスプレイにビデオ信号を提供する。ディスプレイインターフェース309は、例えば、高精細度マルチメディアインターフェース(High Definition Multimedia Interface、HDMI(登録商標))ポート、ビデオグラフィックスアレイ(Video Graphics Array、VGA)ポート、デジタルビジュアルインターフェース(Digital Visual Interface、DVI)ポート、ユニバーサルシリアルバスC(Universal Serial Bus C、USB-C)ポート、又は、理解され得るような他のディスプレイポートを含む。
【0028】
iGPU306及びdGPU308の各々は、1つ以上のビデオコア312を含む。ビデオコア312は、ビデオデータ処理ユニット、コア、又は、ビデオデータの符号化及び復号化専用のハードウェアリソースの他のユニットである。例えば、各ビデオコア312は、ストリーミングビデオコンテンツの復号化すること、ビデオ会議アプリケーションのためにビデオを符号化すること、後で再生するためにビデオファイルを符号化すること等のような、ビデオ符号化又は復号化動作を容易にする。いくつかの実施形態では、ビデオコア312は、ビデオコアネクスト(Video Core Next、VCN)等のように、ビデオ符号化及び復号化のための特定のハードウェアアーキテクチャ又は構成を実装する。
【0029】
iGPU306及びdGPU308の各々は、1つ以上の計算ユニット314も含む。各計算ユニット314は、ローカルキャッシュを共有する1つ以上のコアを含み、所定の計算ユニット314内の各コアの並列処理及びキャッシュアクセスを可能にする。計算ユニット314は、レンダリング動作、機械学習動作等を含む、iGPU306及びdGPU308にサブミットされる様々な計算及び処理ジョブを容易にする。
【0030】
iGPU306及びdGPU308の各々は、ディスプレイエンジン316も含む。各ディスプレイエンジン316は、コンピューティングデバイス300のディスプレイ(例えば、内部モバイルデバイスディスプレイ又はディスプレイインターフェース310に結合されている外部ディスプレイ)へのビデオ又は画像コンテンツの提示を管理する。いくつかの実施形態では、ディスプレイエンジン316は、ディスプレイコアネクスト(Display Core Next、DCN)等のディスプレイコア技術を実装する。APU302は、オーディオコプロセッサ(audio co-processor、ACP)318も含む。ACP318は、オーディオ符号化及び復号化専用のコア、プロセッサ又はハードウェア構成要素の他の割り当てである。
【0031】
また、コンピューティングデバイス300は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)等のメモリ320を含む。メモリ320には、オペレーティングシステム322及び電圧構成モジュール324が格納されている。図3の例におけるオペレーティングシステム322及び電圧構成モジュール324は、メモリ320内に示されているが、そのようなソフトウェアの多くの構成要素は、典型的には、例えばディスクドライブ又は他の記憶媒体等の不揮発性メモリ内にも格納されている。特定の実施形態による、コンピューティングデバイス300において有用なオペレーティングシステム322には、UNIX(登録商標)、Linux(登録商標)、Microsoft Windows(商標)、及び、当業者が想到する他のものが含まれる。
【0032】
電圧構成モジュール324は、APU302及びdGPU308に割り当てられる電圧を制御するためのモジュールである。例えば、電圧構成モジュール324は、特定のアプリケーションの性能を増加させるために電圧を割り当てるスマートシフト(SmartShift)技術を実装する。コンピューティングデバイス300内で実行される特定の作業負荷に応じて、電圧構成モジュール324は、APU302及びdGPU308によって使用される電圧を増加又は減少させる。一例として、複雑なグラフィックスレンダリング等のような、dGPU308に大きく依存する作業負荷の場合、電圧構成モジュール324は、dGPU308への電圧を増加させる。別の例として、オーディオ符号化等のような、dGPU308よりもAPU302に作業負荷が依存する場合、又は、コンピューティングデバイス300が低電力消費状態にある場合には、電圧構成モジュール324は、APU302への電圧を増加させる。いくつかの実施形態では、一方の構成要素(例えば、APU302及びdGPU308)への電圧の増加は、他方の構成要素の電圧の減少を引き起こすか、又は、それに応じて行われる。
【0033】
いくつかの実施形態では、所定の構成要素の電圧の変更は、所定の構成要素の動作周波数の変更を引き起こすか、又は、それに応じて行われる。例えば、レンダリングジョブがdGPU308に送信されたことに応じて、dGPU308の動作周波数を増加させるコマンド又は要求が発行されたと仮定する。次いで、電圧構成モジュール324は、dGPU308が増加した周波数で動作することができるように、dGPU308に提供される電圧を増加させる。いくつかの実施形態では、所定の成分の周波数は、周波数電圧曲線に従って定義される。周波数電圧曲線は、構成要素の周波数とそれに対応する電圧との間の関係を定義する。言い換えれば、周波数電圧曲線は、所定の周波数に対して、構成要素の対応する電圧を定義する。
【0034】
当業者であれば、電圧構成モジュール324が、コンピューティングデバイス300内の電圧に関する様々な制約内で動作することを理解するであろう。例えば、いくつかの実施形態では、APU302及びdGPU308は、定義された最小及び最大安全電圧を有する。当業者であれば、APU302及びdGPU308に対する特定の電圧制限が、コンピューティングデバイス300内において実装される特定の冷却及び熱ソリューションに依存することを理解するであろう。
【0035】
当業者であれば、複数のパッケージに共通の冷却ソリューションについて本明細書で説明される手法が、APU302及びdGPU308のための冷却能力の増加をもたらし、APU302及びdGPU308の両方のための最大安全動作電圧の増加を可能にすることも理解するであろう。したがって、本明細書に記載される改善された冷却手法によって、計算性能の増加が達成される。
【0036】
更なる説明のために、図4は、冷却要素112の平面状の表面を第1のダイパッケージに熱的に結合すること(402)を含む、複数のパッケージに共通の冷却ソリューションのための例示的な方法を示すフローチャートを記載している。いくつかの実施形態において、第1のダイパッケージは、図1に記載されるようなAPUダイパッケージ102を含む。いくつかの実施形態では、第1のダイパッケージは、CPUダイパッケージ、又は、理解され得るような他のダイパッケージを含む。冷却要素112は、流体冷却(例えば、水冷)、ヒートパイプ、蒸気チャンバ、ヒートシンク、ラジエータフィン、ファン等を含むコンピューティングデバイス構成要素のための様々な冷却要素112のうち何れかとして実装される。冷却要素112の平面状の表面は、導電性材料(例えば、銅)の単一の実質的に連続した平面状の表面を使用して複数のダイパッケージに接触することができる冷却要素112の底部表面である。言い換えれば、冷却要素112の平面状の表面は、冷却要素112によって冷却される複数のダイパッケージの各々と実質的に同じ高さであり、かつ、平行である。
【0037】
いくつかの実施形態では、冷却要素112の平面状の表面を第1のダイパッケージに熱的に結合すること(402)は、第1のダイパッケージが接合される基板104に冷却要素112を搭載すること、取り付けること又は結合することを含む。例えば、冷却要素112は、第1のダイパッケージがインストールされるコンピューティングデバイスのプリント回路基板に搭載又は取り付けられる。冷却要素112を基板104に搭載した後、冷却要素112の平面状の表面(例えば、底部表面)は、第1のダイパッケージ又は第1のダイパッケージに塗布された熱界面材料の層に接触する。
【0038】
また、図4の方法は、冷却要素112の平面状の表面を、第1のダイパッケージと同じ高さを有する第2のダイパッケージに熱的に結合すること(404)を含む。いくつかの実施形態では、第2のダイパッケージは、dGPU108のdGPUダイパッケージ110である。他の実施形態では、第2のダイパッケージは、CPUダイパッケージである。更なる実施形態では、第2のダイパッケージは、iGPUダイパッケージ、又は、理解され得るような他のダイパッケージである。
【0039】
第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージは、インストール後に第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージの表面(例えば、頂部表面)が実質的に同一平面上にあるという点で、同じ高さである。例えば、第1のダイパッケージがAPUダイパッケージ102であり、第2のダイパッケージがdGPUダイパッケージ110であると仮定すると、APUダイパッケージ102が基板104に接合され、dGPUダイパッケージ110を含むdGPU108が(例えば、周辺インターフェース106又は他のインターフェースにインストールすることによって)基板に結合された後、APUダイパッケージ102及びdGPUダイパッケージ110は、同じ高さを有する。
【0040】
第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージが同じ高さであるので、冷却要素112は、厚さが実質的に均一であり、その底部表面(例えば、平面状の表面)が実質的に連続的に平面状である導電性材料の層を使用して、第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージの両方に熱的に結合される。言い換えれば、冷却要素112内の導電性材料の層は、第1のダイパッケージと第2のダイパッケージとの間の高さの任意のばらつきに適応するように、厚さのばらつき(例えば、厚さの漸増又は階段状形成)を伴わずに、第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージへの熱結合を形成する。例えば、冷却要素112は、実質的に均一な厚さの導電性材料のプレートを含み、このプレートは、冷却要素112がインストールされると、第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージに均一に接触する。更に、第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージが同じ高さであるため、第1のダイパッケージが基板104上に冷却要素112をインストールすると、冷却要素112が第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージの両方に熱的に結合される。
【0041】
更なる説明のために、図5は、本開示のいくつかの実施形態による、複数のパッケージに共通の冷却ソリューションのための別の例示的な方法を示すフローチャートを記載している。図5の方法は、冷却要素112の平面状の表面を第1のダイパッケージに熱的に結合すること(402)と、冷却要素112の平面状の表面を第1のダイパッケージと同じ高さを有する第2のダイパッケージに熱的に結合すること(404)と、を含むという点で、図4と同様である。
【0042】
図5は、冷却要素112の平面状の表面を第1のダイパッケージに熱的に結合すること(402)が、熱界面材料の第1の部分114を介して冷却要素112の平面状の表面を第1のダイパッケージに熱的に結合すること(502)を含む点で、図4とは異なる。図5は、冷却要素112の平面状の表面を第1のダイパッケージと同じ高さを有する第2のダイパッケージに熱的に結合すること(404)が、冷却要素112の平面状の表面を熱界面材料の第2の部分114を介して第2のダイパッケージに熱的に結合すること(504)を含むという点で、図4と更に異なる。
【0043】
熱界面材料114は、例えば、熱ペースト、熱パッド、又は、所定のダイパッケージと冷却要素112との間に熱伝導性リンクを提供し、それによって所定のダイパッケージと冷却要素112との間の空隙を排除する他の材料を含む。例えば、熱界面材料114は、冷却要素112が第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージを含む装置又はコンピューティングデバイスにインストールされる前に、第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージに適用される。したがって、冷却要素112の平面状の表面(例えば、導電性材料の底部層)が熱界面材料114に接触し、熱界面材料114を介して第1及び第2のダイと冷却要素112との間で熱が伝達される。
【0044】
第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージに適用される熱界面材料114の部分は、実質的に同じ厚さである。したがって、第1のダイパッケージ及び適用された熱界面材料114の高さは、第2のダイパッケージ及び適用された熱界面材料114の高さと実質的に同じである。これにより、冷却要素112の平面状の表面は、平面状の表面が実質的に連続した平面状であるため、熱界面材料114の適用された部分に接触することが可能になる。更に、第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージに適用される熱界面材料114の部分が実質的に同じ厚さであるので、熱界面材料114によって引き起こされる熱抵抗の増加は、第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージ間で実質的に同じである。したがって、第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージが同じ高さであるので、一方のダイパッケージがダイパッケージ間の任意の高さの差に対応するために熱界面材料114の追加の層を必要とした場合に生じる熱抵抗の増加を、第1のダイパッケージも第2のダイパッケージの何れも受けない。
【0045】
上述した説明を考慮すれば、読者は、複数のパッケージに対する共通の冷却ソリューションの利点が、以下を含むことを認識するであろう。
・単一の冷却要素を使用して複数のダイパッケージの冷却を可能にし、コンピューティングデバイスのための電力及び内部空間を節約することによるコンピューティングシステムの性能の改善。
・ダイパッケージと冷却要素との間の熱抵抗を低減することにより、ダイパッケージの冷却能力を増加させ、ダイパッケージの最大動作電圧を増加させることによるコンピューティングシステムの性能の改善。
【0046】
本開示の例示的な実施形態は、複数のパッケージに共通の冷却ソリューションのための十分に機能的なコンピュータシステムのコンテキストにおいて主に記載されている。しかしながら、当業者の読者は、本開示が、任意の好適なデータ処理システムとともに使用するためにコンピュータ可読記憶媒体に配置されたコンピュータプログラム製品に具現化され得ることを認識するであろう。そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、磁気媒体、光学媒体又は他の好適な媒体を含む、機械可読情報のための任意の記憶媒体であり得る。そのような媒体の例としては、ハードドライブ又はディスケット内の磁気ディスク、光学ドライブのためのコンパクトディスク、磁気テープ、及び、当業者に着想されるような他のものを含む。当業者であれば、好適なプログラミング手段を有する任意のコンピュータシステムが、コンピュータプログラム製品で具現化された本開示の方法のステップを実行することが可能であることを直ちに認識するであろう。当業者であれば、本明細書に記載の例示的な実施形態のうちいくつかがコンピュータハードウェア上でインストール及び実行されるソフトウェアを対象としているが、それにもかかわらず、ファームウェアとして又はハードウェアとして実装される代替的な実施形態が、十分に本開示の範囲内にあることも認識するであろう。
【0047】
本開示は、システム、方法及び/又はコンピュータプログラム製品とすることができる。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本開示の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(又は複数の媒体)を含むことができる。
【0048】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用するための命令を保持及び記憶することができる有形デバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、又は、これらの任意の好適な組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的リストは、以下を含む。例えば、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(erasable programmable read-only memory、EPROM若しくはフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory、SRAM)、携帯型コンパクトディスク専用メモリ(compact disc read-only memory、CD-ROM)、デジタル多用途デバイス(digital versatile disk、DVD)、メモリスティック、フロッピー(登録商標)ディスク、パンチカード又はその上に記録された命令を有する溝内の隆起構造等の機械的にコード化されたデバイス、及び、これらの任意の好適な組み合わせである。本明細書で使用される場合、コンピュータ可読記憶媒体は、電波若しくは他の自由に伝播する電磁波等のように、導波管若しくは他の伝送媒体(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)を通って伝播する電磁波、又は、ワイヤを通って伝送される電気信号等の一時的な信号それ自体であると解釈されるべきではない。
【0049】
本明細書に記載されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、又は、ネットワーク(例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク及び/若しくは無線ネットワーク)を介して、外部コンピュータ若しくは外部記憶デバイスにダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又は、エッジサーバを含むことができる。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、コンピュータ可読プログラム命令を、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するために伝送する。
【0050】
本開示の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(instruction-set-architecture、ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又は、Smalltalk、C等のオブジェクト配向プログラミング言語、並びに、「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語等の従来の手続きプログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書き込まれたソースコード又はオブジェクトコードのうち何れかとすることができる。コンピュータ可読プログラム命令は、ユーザのコンピュータ上で完全に、ユーザのコンピュータ上で部分的に、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、ユーザのコンピュータ上で部分的に、リモートコンピュータ上で部分的に、又は、リモートコンピュータ若しくはサーバ上で完全に実行することができる。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)若しくは広域ネットワーク(wide area network、WAN)を含む任意のタイプのネットワークを通してユーザのコンピュータに接続することができるか、又は、外部コンピュータ(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用するインターネットを介して)に接続することができる。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)又はプログラマブルロジックアレイ(programmable logic array、PLA)を含む電子回路は、本開示の態様を行うために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路を個別化することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0051】
本開示の態様は、本開示の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して本明細書に記載されている。フローチャート及び/又はブロック図の各ブロック、並びに、フローチャート及び/又はブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装可能であることが理解されよう。
【0052】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能/行為を実施するための手段を生成するような機械を生成するように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供することができる。また、これらのコンピュータ可読プログラム命令は、記憶された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体がフローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能/行為の態様を実施する命令を含む製造物品を含むように、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置及び/又は他のデバイスに特定の方法で機能するように指示することができる、コンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。
【0053】
また、コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置又は他のデバイスにロードされて、コンピュータ、他のプログラマブル装置又は他のデバイス上で実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックで指定された機能/行為を実施するようなコンピュータ実装プロセスを生成するために、コンピュータ、他のプログラマブル装置又は他のデバイス上で一連の動作ステップを行わせることができる。
【0054】
図中のフローチャート及びブロック図は、本開示の様々な実施形態によるシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能及び動作を示す。これに関して、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実施するための1つ以上の実行可能命令を含む命令のモジュール、セグメント又は部分を表すことができる。いくつかの代替的な実装形態では、ブロックに記載されている機能は、図に記載された順序から外れて発生する可能性がある。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行されてもよいし、ブロックは、関与する機能に応じて、逆の順序で実行されてもよい。ブロック図及び/又はフロー図の各ブロック、並びに、ブロック図及び/又はフロー図におけるブロックの組み合わせは、指定された機能若しくは行為を行うか又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実装可能であることにも留意されたい。
【0055】
本開示の様々な実施形態において修正及び変更を行うことができることは、上述した内容から理解されるであろう。本明細書における記載は、例示のみを目的としており、限定的な意味で解釈されるべきではない。本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲の文言によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の高さの複数のパッケージに共通の冷却ソリューションのための装置であって、
第1のダイパッケージと、
前記第1のダイパッケージと同じ高さを有する第2のダイパッケージと、
冷却要素であって、前記冷却要素の平面状の表面によって前記第1のダイパッケージ及び前記第2のダイパッケージに熱的に結合されている、冷却要素と、を備える、
装置。
【請求項2】
前記第1のダイパッケージは、アプリケーション処理ユニット(APU)ダイパッケージを備える、
請求項1の装置。
【請求項3】
前記第1のダイパッケージは、第1の基板に接合されており、前記第2のダイパッケージは、第2の基板に接合されている、
請求項1の装置。
【請求項4】
前記第2の基板と、前記第2のダイパッケージと、を備える離散グラフィックス処理ユニット(dGPU)を備える、
請求項1の装置。
【請求項5】
前記第1のダイパッケージと前記冷却要素との間の熱界面材料の第1の部分と、
前記第2のダイパッケージと前記冷却要素との間の熱界面材料の第2の部分と、を備え、
前記熱界面材料の第1の部分及び前記熱界面材料の第2の部分は、実質的に同じ厚さである、
請求項1の装置。
【請求項6】
前記熱界面材料の第1の部分又は前記熱界面材料の第2の部分は、熱ペーストを備える、
請求項5の装置。
【請求項7】
前記冷却要素は、流体冷却式冷却要素を備える、
請求項1の装置。
【請求項8】
前記冷却要素の平面状の表面は、導電性金属層の表面を備える、
請求項1の装置。
【請求項9】
半導体チップデバイスあって、
半導体チップ基板と、
前記半導体チップ基板に搭載された第1のダイパッケージであって、露出表面を備える第1のダイパッケージと、
前記半導体チップ基板に電気的に結合された第2のダイパッケージであって、前記第1のダイパッケージと同じ高さに露出表面を有し、前記第1のダイパッケージ及び第2のダイパッケージの露出表面が冷却要素に熱的に結合されるように構成されている、第2のダイパッケージと、を備える、
半導体チップデバイス。
【請求項10】
前記第1のダイパッケージは、アプリケーション処理ユニット(APU)ダイパッケージを備える、
請求項9の半導体チップデバイス。
【請求項11】
前記第2のダイパッケージは、第2の基板に接合されている、
請求項9の半導体チップデバイス。
【請求項12】
前記第2の基板と、前記第2のダイパッケージと、を備える離散グラフィックス処理ユニット(dGPU)を備える、
請求項11の半導体チップデバイス。
【請求項13】
前記第1のダイパッケージの露出表面は、前記第1のダイパッケージと前記冷却要素との間の熱界面材料の第1の部分を受容するように構成されており、
前記第2のダイパッケージの露出表面は、前記第2のダイパッケージと前記冷却要素との間の熱界面材料の第2の部分を受容するように構成されており、
前記熱界面材料の第1の部分及び前記熱界面材料の第2の部分は、実質的に同じ厚さである、
請求項9の半導体チップデバイス。
【請求項14】
前記熱界面材料の第1の部分又は前記熱界面材料の第2の部分は、熱ペーストを備える、
請求項13の半導体チップデバイス。
【国際調査報告】