(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】CVDリアクタ用の蒸気ソース
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20240628BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C23C16/448
H01L21/205
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023579104
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2022068288
(87)【国際公開番号】W WO2023280715
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】102021117457.0
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502010251
【氏名又は名称】アイクストロン、エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100224269
【氏名又は名称】小島 佑太
(72)【発明者】
【氏名】ラウッファー、ペーター・ゼバルト
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA16
4K030AA17
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5F045AA04
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(57)【要約】
本発明は、気化装置(2,2’,2”)に流入する搬送ガスフローを供給する入口用マスフローコントローラ(10)、(11)を含む、CVDリアクタ(1,1’,1”)内で使用するプロセスガスを供給するための構造に関し、搬送ガスフロー は、プロセスガス供給ライン(9,9’,9”)を通してCVDリアクタ(1,1’,1”)へ出発物質(3)の蒸気を搬送し、出発物質は気化装置(2,2’,2”)の容器(4)に収容されており、プロセスガス供給ライン(9,9’,9”)の全圧は、圧力調整器(8)によって所定の値に維持可能である。CVDリアクタ内に供給される出発物質(3)のマスフローを時間経過しても十分に一定に維持するために、プロセスガス供給ラインを通って流れるガスフローがマスフローコントローラによって制御され、かつ所定の全圧であるプロセスガス供給ライン(9,9’,9”)内の出発物質の濃度が測定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CVDリアクタ(1,1’,1”)内で用いるプロセスガスを提供するための構造であって、
搬送ガスと共に搬送されるガス状の出発物質のマスフローを提供するための入口用マスフローコントローラ(10,11)を備えたガスソース(2-5,19,20)を有し、前記出発物質のマスフローは、プロセスガス供給管(9,9’,9”)を通って前記CVDリアクタ(1,1’,1”)へ搬送され、
前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)には、全圧を測定するための圧力測定器と、搬送ガス中の出発物質の濃度又は分圧を測定するための測定器(14,14’,14”)とが配置され、前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)内の出発物質の濃度又は分圧を一定値に維持する制御装置(21)を有し、かつ、
前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)に補償ガスを供給するための搬送ガス供給管(7)を有する、前記構造において、
前記圧力測定器は、前記補償ガスを供給する圧力調整器(8)を有し、
プロセスガスマスフローコントローラ(13,13’,13”)が前記測定器(14,14’,14”)の下流側に配置され、かつ、
前記制御装置(21)は、前記圧力調整器(8)により一定値に維持された全圧で前記CVDリアクタ内に流入する前記出発物質のマスフローを、前記プロセスガスマスフローコントローラ(13,13’,13”)を用いて調整するように構成されていることを特徴とする構造。
【請求項2】
前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)を通って搬送される反応ガスは、前記入口用マスフローコントローラ(10,11)を通って流れ、かつ、前記ガスソースは、前記反応ガスを収容した容器、又は搬送ガスで搬送される蒸気を提供する蒸気ソース(19)であること、又は、
入口用マスフローコントローラ(10,11)から提供される搬送ガスフローが、気化装置(2,2’,2”)の気化容器(4)を通って流れ、かつ、前記気化装置(2,2’,2”)で生成された蒸気が搬送ガスにより前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)に搬送されることを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記圧力調整器(8)の出口は、複数のガス供給管(12,12’,12”)を用いて、それぞれ別のCVDリアクタ(1,1’,1”)に割り当てられたプロセスガス供給管(9,9’,9”)とそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造。
【請求項4】
前記プロセスガス供給管(9)を通って流れ、前記圧力調整器(8)により所定の全圧に維持されるプロセスガスフローが、複数の部分フローに分割されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の構造。
【請求項5】
2つのプロセスガスマスフローコントローラ(13,13’)が並列に接続されていること、及び/又は、前記プロセスガスフローがそれぞれマスフローを制御されて2つの異なるガス入口孔(15,15’)を通って前記CVDリアクタ(1)のプロセスチャンバ(18)に供給されることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の構造。
【請求項6】
前記圧力調整器(8)の出口が、複数のガス供給管(12,12’,12”)を用いて異なる反応ガスを提供するそれぞれ異なるガスソース(19;2-5)に接続され、前記ガスソースは、プロセスガス供給管(9,9’,9”)によって1つ以上のCVDリアクタ(1,1’,1”)と接続されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の構造。
【請求項7】
前記制御装置(21)は、前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)内の出発物質の濃度又は分圧を一定値に維持するために、入口用マスフローコントローラ(11)に設定値を設定することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の構造。
【請求項8】
少なくとも1つの搬送ガスソースとCVDリアクタ(1,1’,1”)とを有するCVDリアクタ構造であって、請求項1~7のいずれかに記載の構造による、前記CVDリアクタ(1,1’,1”)内に供給されるプロセスガスの提供のための構造を有することを特徴とするCVDリアクタ構造。
【請求項9】
プロセスガスを、特に請求項1~8のいずれかに記載の構造に提供する方法であって、
前記出発物質の濃度又は分圧及び前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)内の全圧が圧力測定器と測定器(14,14’,14”)とにより測定され、CVDリアクタ(1,1’,1”)に流入する出発物質のマスフローが一定値に維持されかつプロセスガス供給管(9,9’,9”)に補償ガスが供給される、前記方法において、
補償ガスの供給によってプロセスガス供給管(9,9’,9”)内の全圧が一定値に維持され、かつ、CVDリアクタ(1,1’,1”)に流入する出発物質のマスフローが測定器(14,14’,14”)の下流側に配置されたプロセスガスマスフローコントローラ(13,13’,13”)を用いて一定値に維持されることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)内の前記出発物質の濃度又は分圧が測定器(14,14’,14”)によって測定され、かつ特にそのようにして得られた測定値を用いてプロセスガスマスフローコントローラの設定値が補正され、かつ/又は、そのようにして得られた測定値を用いて前記濃度又は分圧が一定値に維持されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記圧力調整器(8)の出口から流れる搬送ガスのマスフローが、複数のマスフローに分割され、それぞれが互いに異なるプロセスガス供給管(9,9’,9”)に流入し、それらの各々を通ってプロセスガスのマスフローが、気化装置(2,2’,2”)からCVDリアクタ(1,1’,1”)まで流れることを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記ガスソース(19;2-5)から提供されるプロセスガスのマスフローが複数の部分フローに分割され、それらがそれぞれプロセスガスマスフローコントローラ(13,13’)によって調整されて異なるガス入口孔(15,15’)を通ってCVDリアクタ(1,1’,1”)のプロセスチャンバ(18)に流入し、又は、異なるCVDリアクタ(1,1’,1”)に流入することを特徴とする請求項9、10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前出請求項の1つの1つ以上の特徴的な特徴によって特徴付けられる構造又は方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CVDリアクタ内で、特にMOCVDリアクタ内で使用するプロセスガスを提供するための構造に関する。1つの入口用マスフローコントローラ又は複数の入口用マスフローコントローラからなる構成を用いて、例えば水素又は窒素である搬送ガスが供給される。搬送ガスは、CVDリアクタのガス入口部材に開口するプロセスガス供給管に直接接続されるか、又は、気化装置の形態であるソースの入口に直接接続される。後者の場合、気化装置の出口がプロセスガス供給管と接続されることによって、搬送ガスと共に、気化装置の容器内に収容された液体又は固体の出発物質の蒸気がプロセスガス供給管を通ってCVDリアクタへ搬送される。
容器内の出発物質の蒸気圧は、容器を加熱または冷却する温度制御装置によって調整できる。MOCVDリアクタでこの構造が使用される場合、容器は有機金属の出発物質を収容する。
さらに別のガスソースが設けられ、それを用いて別の、特にガス状出発物質が、CVDリアクタのガス入口部材に直接供給されることによって、CVDリアクタのプロセスチャンバに2つの異なる化学元素、例えば、V主族とIII主族の元素のガスが供給され、それによって、プロセス温度に加熱された、プロセスチャンバ内に配置された基板上にIII主族とV主族の元素からなる半導体層が堆積される。
【0002】
さらに、中央ガス供給機構にソースを設けることもでき、それによって容器内に収容されたガス、例えばプロパン等のマスフローが提供され、それは搬送ガスと共に1つ以上のCVDリアクタに搬送される。搬送ガス中の反応ガスの濃度は変動する可能性がある。もっとも、容器内に収容されたガスの替わりに、固体又は液体の出発物質が気化されてその蒸気が上述したように搬送ガスにより1つ以上のCVDリアクタに搬送されるソースを用いることもできる。この場合もまた、ガス流中の反応ガスの濃度が、時間の経過と共に、特に容器が交換された場合に変わる可能性がある。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、供給管を具備する気化装置を開示し、その供給管を通ってマスフローコントローラにより調整された搬送ガスが気化器の入口に供給される。気化器の出口は、プロセスガス供給管に開口し、その中にさらに別の搬送ガス供給管が開口している。この搬送ガス供給管を通して補償ガスが流れ、それによって気化器から来るプロセスガスフローが希釈される。圧力調整器が設けられ、それを用いて補償ガスのマスフローが制御されることによって、ソースの容器内及びプロセスガス供給管内の全圧が一定値に維持される。
【0004】
先行技術によればさらに、プロセスガス供給管内に測定器が配置され、それを用いてプロセスガス供給管内の出発物質の蒸気の濃度又は分圧を測定できることが知られている。このために、特に、音響信号、特に超音波信号を発生し、プロセスガス内での音の伝播時間又は音速を測定する測定器が用いられる。音速は搬送ガス中の出発物質の濃度に依存するので、このようにして得られた測定値から濃度又は分圧を決定できる。この測定器の測定値は、プロセスガス供給管内又は測定器の測定セル内の全圧にも依存する。
【0005】
さらに、所定のプロセスガスフローをCVDリアクタのガス入口部材に供給すること、特に異なる所定のプロセスガスフローをCVDリアクタ内に、異なる箇所に配置されたガス入口孔を通して供給することが望ましい。さらに中央ガス供給機構を設け、それを用いて時間経過しても安定した濃度でプロセスガスを提供可能であることも望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1870490号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、精確に調整可能な出発物質のマスフローをCVDリアクタに供給することである。
【0008】
本発明の目的はさらに、ソース容器及びプロセスガス供給管の両方における全圧を一定値に維持する手段を提供することである。
【0009】
さらに、本発明の目的は、CVDリアクタ及びプロセスガスの提供方法を特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、特許請求の範囲に規定された発明によって解決される。従属項は、下位の請求項に記載された発明の有利なさらなる発展を示すだけでなく、課題に対する独立した解決手段も示す。
【0011】
本発明は、第1に、そして本質的に、公知のCVDリアクタで使用するプロセスガスを提供するための構造に関する。本発明によるその構造は、CVDリアクタ用のガス供給システムの一部であり得る。その構造は、搬送ガスソースと接続された又は接続可能な供給管を有する。もっとも、異なる搬送ガスソースと接続可能な複数の供給管を設けることもできる。したがって、互いに異なる搬送ガスを用いることができる。その構造は、特にプロセスガス供給管として、CVDリアクタのガス入口部材と接続可能な出口を有する。
本発明の例示的実施形態では、搬送ガス、反応ガス、又は搬送ガスと蒸気もしくは反応ガスとの混合物である第1のマスフローを提供するための第1の入口用マスフローコントローラを有する。第1の入口用マスフローコントローラの入口は、搬送ガスソースと接続され得る。第1の入口用マスフローコントローラの出口は、気化装置の供給管と接続され得る。それは、切換装置を用いて行うことができる。
気化装置は、気化空間を形成する容器を有する。容器内には、気化させる出発物質を収容できる。それは液体又は固体の出発物質とすることができる。その供給管を通って流入する搬送ガスが粉末状又は液体状の出発物質を通って流れることによって出発物質の蒸気で飽和されるように、その供給管は容器内に開口している。気化空間から出て行く気化装置の出口は、CVDリアクタへのプロセスガス供給管と接続されている。プロセスガス供給管内又はそれを通って、搬送ガスと、例えば気化した出発物質である反応ガスとからなるマスフローが、CVDリアクタへと流れる。
別のガス状出発物質をCVDリアクタに流入させるさらなる供給管を設けることができる。特に、気化装置内でIII主族の元素の有機金属出発物質を気化させ、そしてV主族の元素のガスを別の供給管を通してCVDリアクタに供給するように構成される。
【0012】
しかしながら、入口用マスフローコントローラの入口は、反応ガスのソースと接続されていてもよい。上述した変形形態では、搬送ガスのみが入口用マスフローコントローラを通って流れるが、第2の変形形態では、反応ガス、又は反応ガスと搬送ガスとの混合物、又は、中央気化装置で発生した蒸気が、特に搬送ガスと一緒に入口用マスフローコントローラを通って流れる。
この変形形態によるガスソースは、中央ガス供給機構に割り当てられかつ複数のCVDリアクタに複数のプロセスガスを供給する中央ガスソースとすることができる。中央気化装置は、上述した特性を有することができ、中央気化装置は、気化させる出発物質を受容するためのさらに大きな容器を有する。この容器は、貯蔵用容器から常時、補充される。
【0013】
プロセスガスのソースは、ガス状出発物質が収容された1つの容器であるように構成できる。ガス状出発物質は、例えば水素化物とすることができる。しかしながら、ガス状出発物質は、他の任意の反応ガスであってもよく、特に炭素含有ガス、ケイ素含有ガス等でもよい。そのガスは、最も純粋な状態で容器に収容できる。しかしながら、そのガスは、別のガスと共にガス混合物として容器に収容してもよい。特に、後者の場合、容器中の反応ガスの濃度は、それぞれのバッチに依存する可能性がある。
【0014】
CVDリアクタ内には、プロセス温度に加熱可能なサセプタがあり、その上にコーティングされる基板が載置される。CVDリアクタのプロセスチャンバ内で複数の基板を同時にコーティング可能である。このために、ガス入口部材を用いて、互いに異なるプロセスガスが搬送ガスと共にプロセスチャンバに供給される。
【0015】
本発明によれば、圧力調整器の入口が、第2の搬送ガスソースと接続されること、又は、第1の入口用マスフローコントローラに接続されている同じ搬送ガスソースと接続されることが提供される。圧力調整器は、プロセスガス供給管内の全圧を一定値に維持するためにプロセスガス供給管に供給される補償ガスを供給することができる。圧力調整器によって同時に、気化装置の容器内の全圧も一定値に維持することができる。
本発明のさらなる態様によれば、圧力調整器の出口とCVDリアクタとの間、又は圧力調整器の下流側のプロセスガス供給管内に、少なくとも1つの別のマスフローコントローラが配置されることが提供される。このマスフローコントローラを通ってプロセスガスのマスフローが流れるので、以下では、プロセスガスマスフローコントローラと称することとする。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、圧力調整器の出口とCVDリアクタとの間、又は圧力調整器の下流側、及びプロセスガスマスフローコントローラの上流側のプロセスガス供給管内に、出発物質の蒸気の濃度又は分圧を測定するための装置が配置されることが提供される。濃度又は分圧を測定するためにこの測定器の測定セル内の全圧が、圧力調整器を用いて一定値に維持され、超音波発生器を用いて音響信号が発生され、その音の伝播時間を測定距離に亘って測定可能であるので、全圧の変化による測定値の誤りを生じない。
プロセスガスマスフローコントローラは、測定器とCVDリアクタとの間に配置できる。プロセスガスマスフローコントローラは、CVDリアクタ内を流れる反応ガスのマスフローを制御する。プロセスガスマスフローコントローラと、圧力調整器と、濃度又は分圧を測定する装置との組合せによって、プロセスガスマスフローコントローラ及び/又は入口用マスフローコントローラの設定値を補正できることも有利である。プロセスガスマスフローコントローラから供給されるマスフローの値は、プロセスガス供給管内の蒸気の濃度又は分圧に依存し得る。上述した手段を用いて、MOCVDリアクタ用のソース機構の性能は、出発物質の調整可能なマスフローの誤差に関して改善される。
【0017】
本発明の上述した態様の一つ又は上述した態様の幾つかによるさらなる発展によれば、圧力センサにより一定の全圧に維持されたプロセスガスフローを、又は測定器によりその濃度又はその分圧に関して決定されたマスフローを、複数の部分マスフローに分割することが可能である。このために、プロセスガス供給管を2つ以上のガス供給管に分岐することができ、それらにそれぞれ1つのプロセスガスマスフローコントローラが配置される。プロセスガスマスフローコントローラにより調整されたプロセスガスのマスフローは、異なる箇所でCVDリアクタのプロセスチャンバ内に供給され得る。このために、CVDリアクタは、複数の異なる箇所に配置されたガス入口孔を具備するガス入口部材を有することができる。
本発明のさらなる発展においては、異なるリアクタ機構のプロセスガス供給管に供給可能な複数の補償ガスを発生するために、1つのみの圧力調整器を用いることができる。この構成によって、互いに異なるCVDリアクタのプロセスガス供給管が同じ全圧に維持される。このために、圧力調整器の出口は、異なるガス供給管を用いて異なるプロセスガス供給管に接続されており、それらのガス供給管はそれぞれ、プロセスガスマスフローコントローラの上流側、かつ/又は、濃度又は分圧を測定する測定器の上流側にてプロセスガス供給管に開口することが好ましい。
【0018】
プロセスガスを提供するための本発明による構造では、特に、プロセスガス供給管内の全圧が、圧力調整器を用いて搬送ガスの補償ガスフローを供給することによって所定の値に維持されるか、維持可能である。プロセスガス供給管を通ってCVDリアクタに流れるガス流量は、圧力調整器又は圧力調整器から供給される補償ガスの供給箇所の下流側でプロセスガス供給管に配置されたマスフローコントローラによって調整される。
【0019】
本発明による装置及び本発明による方法によって、中央ガスソースから発生した、又は各CVDリアクタに個別に割り当てられたガスソースから発生したプロセスガスのマスフローを、一定の圧力に維持できる。さらに、搬送ガスフロー中の反応ガスの濃度を、ソースから供給されるマスフローに関係なく一定値に維持することが可能である。
【0020】
本発明の変形形態は、気化した液体、気化した固体、又はガスボンベにより提供された出発物質とし得るガス状出発物質のソースが、搬送ガス中の出発物質の濃度において時間的に変動して供給されるようなガス供給装置又はCVDリアクタに関する。時間的に均一に維持される出発物質の分圧をもつ時間的に均一に維持されるプロセスガスのマスフローを提供するために、ガス状出発物質が入口用マスフローコントローラによってプロセスガス供給管に供給され、プロセスガス供給管には圧力調整器のガス供給管が開口しており、それにより補償ガスを供給することによってプロセスガス供給管内の全圧が一定値に維持されることが提供される。
分圧の濃度を測定するための測定器内の圧力も、圧力調整器によって一定に維持される。測定器は、制御装置に与えられる測定値を出力する。制御装置は、設定値を出力し、それを用いて入口用マスフローコントローラは、プロセスガスマスフローコントローラが一定に維持された混合比をもつガス混合物を受け取るように稼動される。測定器の下流側にプロセスガスマスフローコントローラを設けることができる。
【0021】
したがって、入口用マスフローコントローラにより調整されたガス状出発物質又はガス状出発物質と搬送ガスとの混合物のガスフローにおいて、出発物質の分圧が時間的に変動し、圧力調整器により調整された搬送ガスの希釈ガスフローが入口用マスフローコントローラの下流側で供給され、これら両方のガスフローが出発物質の濃度又は分圧を測定するための測定器に供給されるように構成できる。その場合、測定器の測定セル内の全圧が圧力調整器によって一定に維持され、圧力調整器はさらに、測定セルに補償ガスフローを供給し、そして、測定セル内の出発物質の濃度又は分圧が狭い限定範囲内でのみ変動するように制御装置によって出発物質のマスフローが変更される。
測定箇所の下流側に設けられたプロセスガスマスフローコントローラによって、出発物質のマスフローと希釈ガスフローの合計が一定に維持され、それによって圧力調整器を介して希釈ガスフローの変更が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、添付の図面を参照して例示的実施形態を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【
図1】
図1は、気化した有機金属出発物質を提供するためのソース機構の概略図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した構成であるが第2の例示的実施形態の概略図であり、圧力調整器8が複数のガス供給管12、12’、12”を介して全部で3つのリアクタ構造の異なるプロセスガス供給管9,9’、9”と接続されている。
【
図3】
図3は、
図1による概略図であり、プロセスガス供給管9が2つのプロセスガス供給管9’、9”に分岐され、それらをそれぞれ通ってプロセスガスマスフローコントローラ13によってプロセスガスが、CVDリアクタ1のガス入口部材の異なるガス入口孔15、15’に流れる。
【
図4】
図4は、本発明のさらに別の例示的実施形態であり、反応ガスが、それぞれのバッチに依存する濃度の反応ガスを含むガス容器から取り出される。
【
図5】
図5は、さらに別の例示的実施形態であり、蒸気ソースを具備する中央ガスソースが複数のCVDリアクタに供給する。
【
図6】
図6は、さらに別の例示的実施形態であり、1つのCVDリアクタが複数のガスソースから供給され、気化容器内でそれぞれ同じ全圧に維持される。
【
図7】
図7は、さらに別の例示的実施形態であり、中央蒸気ソース19からの反応ガスの蒸気が用いられる。
【
図8】
図8は、さらに別の例示的実施形態であり、2つのプロセスガスマスフローコントローラ13、13’が互いに並列に接続されている。
【
図9】
図9は、さらに別の例示的実施形態であり、2つのプロセスガスマスフローコントローラ13、13’が互いに並列に接続されている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1~3並びに5及び6に示したソース機構はそれぞれ、固体又は液体の出発物質3の蒸気を提供するための少なくとも1つのソースを有し、出発物質3は気化装置2、2’、2”の容器4内に収容されている。気化装置2、2’、2”は供給管を有し、それを通って搬送ガスが容器4内に流入し得る。その際、例えば水素、窒素又は希ガスである搬送ガスは、出発物質の蒸気で飽和され、出口を通って容器4から出て行く。
【0024】
容器4の入口と出口は、複数のバルブを有する切換装置5と接続されており、それらのバルブは、1つ以上の入口用マスフローコントローラ10、11(以下、搬送ガスマスフローコントローラと称す)からなる構造によって供給される搬送ガスフローが容器4を通って流れるか、又は容器4をバイパスして流れるかを切り替えることができる。
【0025】
搬送ガスマスフローを供給するための構造は、例示的実施形態では、互いに異なるフロー領域を有する2つのマスフローコントローラ10、11からなる。マスフローコントローラ11は、例えばマスフローコントローラ10よりも大きいフロー領域を有し得る。搬送ガス供給管6は、両方のマスフローコントローラ10、11と接続されており、マスフローコントローラ11への供給管に遮断バルブが配置されている。
【0026】
ソース機構は、CVDリアクタ1、1’、1”用の有機金属出発物質の供給のために用いられ、CVDリアクタ1、1’、1”には、プロセスチャンバ18の床を形成する加熱されたサセプタ16上に1つ以上の基板17が載置されている。
【0027】
例示的実施形態はそれぞれ、少なくとも1つのCVDリアクタ1、1’、1”を有する。
図1に示した例示的実施形態では、CVDリアクタに、プロセスガス供給管9が開口し、その中に、気化装置2から搬送ガスにより搬送された出発物質の蒸気が供給され、CVDリアクタ1のガス入口孔15へと供給される。
【0028】
図2に示した例示的実施形態では、3つの互いに異なるプロセスガス供給管9、9’、9”が開口し、それらの中にそれぞれ気化装置2、2’、2”から搬送ガスにより搬送された出発物質の蒸気が供給され、それぞれCVDリアクタ1、1’、1”のガス入口孔15へと供給される。この場合、複数のガス供給管12、12’、12”に分岐する出口をもつ単一の圧力調整器8が、別々のCVDリアクタ1、1’、1”の複数のソース機構と接続されている。
【0029】
図3に示した例示的実施形態では、気化装置2から搬送ガスにより搬送された出発物質の蒸気が供給されるプロセスガス供給管9が、2つのプロセスガス供給管9’、9”に分岐している。各々のプロセスガス供給管9’、9”には、プロセスガスマスフローコントローラ13、13’が設けられている。両方のプロセスガスマスフローコントローラ13、13’により調整されたマスフローは、同じCVDリアクタ1の2つの異なるガス入口孔15、15’に流入する。2つのそれぞれ調整されたプロセスガスフローが生じ、それらはCVDリアクタのプロセスチャンバ18の異なる箇所に供給される。
【0030】
例示的実施形態は、1つの圧力調整器8を示している。圧力調整器8は、搬送ガス供給管7に接続されている。搬送ガス供給管7は、搬送ガス供給管6も接続されている同じ搬送ガスソースに接続することができる。しかしながら、搬送ガス供給管7を別の搬送ガスソースに接続することもできる。圧力調整器8に供給された搬送ガスフローは圧力調整器8を通過して流れ、そこで、圧力調整器8の出口と接続されたガス供給管12、12’、12”内の圧力を一定値に維持するように設定される。このために、圧力調整器8は、制御回路を有する。圧力調整器8を用いて、気化装置2、2’、2”の容器4内の全圧も一定値に維持される。ガス供給管12、12’、12”は、容器4の下流側でプロセスガス供給管9、9’、9”に開口している。
【0031】
例示的実施形態は、さらに別の任意の測定器14、14’、14”を示しており、それを用いて搬送ガス中の出発物質の濃度又は分圧を決定することができる。測定器として、特にEpisonの名称で知られる装置を用い得る。この測定器を用いて音の伝播時間を測定することによって測定値が得られ、それは、一方では出発物質の濃度又は分圧に依存し、他方では測定器の測定セル内の全圧に依存する。圧力調整器8から生じた補償ガスが、測定器14、14’、14”の上流側でプロセスガス供給管9、9’、9”に供給される。これによって、測定器14、14’、14”の測定セル内の全圧が一定値に維持される。
【0032】
各プロセスガス供給管9、9’、9”には、プロセスガスマスフローコントローラ13、13’、13”が設けられ、それを用いてプロセスガス供給管9、9’、9”を通って各CVDリアクタ1、1’、1”に供給されるプロセスガスのマスフローを調整することができる。この構成によって、各マスフローコントローラ13、13’、13”が、搬送ガスと出発物質の蒸気とからなる混合物のマスフローを調整し、その場合、出発物質の分圧は既知である。プロセスガスマスフローコントローラの設定値に必要な、いかなる設定値補正も、測定器14、14’、14”により測定された値を用いて行うことができる。
【0033】
図4に示した例示的実施形態では、搬送ガス中で搬送される反応ガスを提供するためのソース19が、例えばガスボンベである容器20であり、その中に、例えばV主族又はIV主族の元素の水素化物である純粋な反応ガスが収容されている。しかしながら、ガスボンベ中に、例えばプロパンである別のガスを収容してもよい。
特に、容器20中に希釈された反応ガス、例えば、反応ガスと水素又は窒素である搬送ガスとの混合物が既に収容されているように構成できる。本実施形態では入口用マスフローコントローラであるマスフローコントローラ10を用いて、反応ガス又はガス混合物の所定のマスフローを提供できる。入口用マスフローコントローラ10と並列に、より大きい値の領域を有するマスフローコントローラ11が設けられ、それは任意に切り換え可能である。
【0034】
圧力調整器8を用いて、補償ガスフローが既存のガスフローに供給されることによって、測定器14内の全圧が一定値に維持される。測定器14では、プロセスガス供給管9内のプロセスガスの濃度を決定できる。制御装置21を用いて、入口用マスフローコントローラ10を介してプロセスガス供給管9を通るプロセスガスフロー中の反応ガスの濃度を一定値に維持できる。
【0035】
容器20は、1つの中央ガス供給機構から構成することができる。
【0036】
図4に符号20で示したソースは、
図1~
図3に示したような1つのソース機構により、すなわち気化させる固体又は液体の出発物質3を内蔵する容器4を具備する気化装置2により形成することもできる。そのような装置は、
図7に示されている。上述した方法で少なくとも1つの搬送ガスマスフローコントローラ10、11を用いて容器4内に搬送ガスが供給されることによって、出発物質の蒸気と搬送ガスとの混合物が、入口用マスフローコントローラ10、11を通って流れる。その際、搬送ガス中の出発物質の蒸気の濃度が変動する可能性がある。容器4は、搬送ガスによって搬送される永続的な蒸気流を供給する中央蒸気ソース19の一部であり、蒸気流は複数の局所ガス供給装置26へ運ばれる。容器4の内容物は、別の容器27から常時補充することができる。
【0037】
図7は、それぞれCVDリアクタ1にガス供給する2つの局所ガス供給装置26を示している。切換バルブ24が設けられ、それを用いてここでは搬送ガスと蒸気との混合物である反応性出発物質を、入口用マスフローコントローラ10、11に供給することができる。切換バルブ24を用いて、搬送ガス又は反応ガスを入口用マスフローコントローラ10に選択的に供給できる。搬送ガスの供給は、局所ガス供給装置26の管の洗浄のために行われる。各ガス供給装置26は制御装置21を有し、それを用いて、測定器14の測定セルにおける出発物質の濃度が一定値を維持するように反応ガスのマスフローを設定できる。
【0038】
図5は、
図3に示した例示的実施形態の変形形態としての別の例示的実施形態を示している。ここでは、プロセスガスのマスフローが複数の部分フローに分割され、それぞれが異なるCVDリアクタ1、1’、1”に送られる。CVDリアクタ1、1’、1”に繋がる各プロセスガス供給管9、9’、9”には、個々のプロセスガスマスフローコントローラ13、13’、13”が割り当てられている。
【0039】
図6に示した例示的実施形態は、例えば有機金属化合物である固体又は液体の出発物質の複数の異なるソースと接続された1つのCVDリアクタを示している。この場合、各ソースには、プロセスガス供給管9、9’、9”内の出発物質の濃度を測定するための測定器14、14’、14”が割り当てられている。プロセスガス供給管9、9’、9”の各々を通って流れるプロセスガスのガスフローは、プロセスガスマスフローコントローラ13、13’、13”によって調整可能である。プロセスガスのマスフローは、1つのCVDリアクタのガス入口部材に流入し、そのプロセスガスは、ガス入口部材の異なるガス入口孔から出ることができる。
【0040】
図8は、上述した幾つかの例示的実施形態のさらに別の変形形態を示している。プロセスガス供給管9に、反応ガス、又は反応ガスと搬送ガスとの混合物、又は蒸気と搬送ガスとの混合物が上述した方法で供給される。ここでは、制御装置21を設けることもでき、それを用いて、マスフローコントローラ10、11への設定値を設定することによって入口用マスフローコントローラが制御される。
第1のプロセスガスマスフローコントローラ13が設けられており、それは、CVDリアクタ1内に永続的に供給されるプロセスガスのマスフローを提供する。切換バルブ22を用いることで、第2のプロセスガスマスフローコントローラ13’から提供されるプロセスガスもCVDリアクタ1に供給するか、あるいは、排気ガス管23へ送ることが可能である。
このような装置によって、CVDリアクタ1に供給されるマスフローを非常に短時間で変化させることができる。なぜなら、マスフローコントローラ13、13’を通って流れるプロセスガスの全マスフローは一定に維持されているからである。このことは、制御装置21の効果を妨げない。
【0041】
同様の装置を
図9に示す。しかしながら、ここでは、第2のプロセスガスマスフローコントローラ13’が排気ガス管23に直接接続されており、それによって、マスフローコントローラ13’を通って流れるマスフローはCVDリアクタ1に到達せず、第1のプロセスガスマスフローコントローラ13を通るマスフローのみがCVDリアクタ1に到達する。制御装置25を用いて、プロセスガスマスフローコントローラ13を通るプロセスガスのマスフローを変更可能である。同時に、第2のプロセスガスマスフローコントローラ13’を通って排気ガス管23へ流れるプロセスガスのマスフローも変更される。両方のプロセスガスマスフローコントローラの変更が行われることによって、プロセスガスマスフローコントローラ13、13’を通って流れるプロセルガスのマスフローの全体が一定に維持される。これによって、CVDリアクタ1内で基板上に、層の厚さに伴って層特性が変化するような層を堆積することができる。
図8及び9に示した例示的実施形態では、プロセスガスの全体フローを一定に維持することによって、制御装置21を妨げない。
【0042】
上述した構成要素が、搬送ガスのフロー方向において以下の順序で配置される場合に有利であると考えられる。
気化装置2、2’、2”が、圧力調整器8のガス供給管12、12’、12”の供給箇所より上流側に配置される。
測定器14が、圧力調整器8、又は圧力調整器8のガス供給管12、12’、12”の供給箇所より下流側に配置される。
少なくとも1つのプロセスガスマスフローコントローラ13、13’、13”が、測定器14より下流側に配置される。
【0043】
複数のソース機構の各々が、バブラーとして構成された気化装置2、2’、2”を有し、それらが並列に接続されていることがさらに有利と考えられる。バブラーの容器4内の圧力を一定に維持するために、1つの共通の圧力調整器8が用いられる。別々のプロセスチャンバ18にプロセスガスを供給するために別々のガスラインを設けることもできる。
【0044】
上述したことは、全体として本願の対象となる発明を説明するものであり、これらの発明は、少なくとも以下の特徴の組み合わせを通じて従来技術を独立して発展させるものであり、これらの特徴の組み合わせのうちの2つ、それ以上、又はすべてを組み合わせることもできる。
【0045】
プロセスガス供給管9、9’、9”からCVDリアクタへ流れるガス流量がプロセスガスマスフローコントローラ13、13’、13”を用いて調整されることを特徴とする構造。
【0046】
プロセスガス供給管9、9’、9”を通って搬送される反応ガスが、入口用マスフローコントローラ10、11を通って流れ、かつ、ガスソースが、反応ガスを収容した容器、又は搬送ガス中で搬送される蒸気を提供する蒸気ソース19であること、又は、
入口用マスフローコントローラ10、11により提供された搬送ガスフローが気化装置2、2’、2”の気化容器4を通って流れ、かつ、気化装置2、2’、2”で生成された蒸気が搬送ガスによりプロセスガス供給管9、9’、9”に搬送されることを特徴とする構造。
【0047】
圧力調整器8の下流側に、プロセスガス供給管9、9’、9”内の気化した又はガス状の出発物質3の濃度又は分圧を測定するための測定器14、14’、14”が設けられることを特徴とする構造。
【0048】
圧力調整器8の出口が、複数のガス供給管12、12’、12”によって、異なるCVDリアクタ1、1’、1”にそれぞれ割り当てられたプロセスガス供給管9、9’、9”と接続されていることを特徴とする構造。
【0049】
プロセスガス供給管9を通って流れ、圧力調整器8によって所定の全圧に維持されたプロセスガスフローが、複数の部分フローに分割されること、及び/又は、
2つのプロセスガスマスフローコントローラ13、13’が並列に接続されること、及び/又は、
プロセスガスフローが、マスフロー制御されて2つの異なるガス入口孔15、15’を通ってCVDリアクタ1のプロセスチャンバ18に供給されることを特徴とする構造。
【0050】
入口用マスフローコントローラ10、11が、複数の入口用マスフローコントローラ10、11を有する入口用マスフローコントローラ装置の一部であること、及び/又は、
切換装置5が設けられ、それを用いて、気化装置2、2’、2”の容器4に供給可能か、又は、プロセスガス供給管9、9’、9”に直接供給可能であること、及び/又は、
気化装置2、2’、2”の容器4が加熱可能か又は冷却可能であることを特徴とする構造。
【0051】
測定器14、14’、14”の出口が、各々がプロセスガス供給管9、9’、9”を介して1つのCVDリアクタ1、1’、1”と接続されている複数の並列接続されたプロセスガスマスフローコントローラ13、13’と接続されていることを特徴とする構造。
【0052】
圧力調整器8の出口が、複数のガス供給管12、12’、12”によって、異なる反応ガスを提供するそれぞれ異なるガスソース19;2~5に接続され、それらのガスソースはプロセスガス供給管9、9’、9”によって1つ以上のCVDリアクタ1、1’、1”と接続されることを特徴とする構造。
【0053】
プロセスガス供給管9、9’、9”内の出発物質の濃度又は分圧を一定値に維持するために、入口用マスフローコントローラ11に設定値を設定する制御装置21を有することを特徴とする構造。
【0054】
CVDリアクタ1、1’、1”に供給されるプロセスガスを提供するための構造を特徴とするCVDリアクタ構造。
【0055】
CVDリアクタで用いるためのプロセスガスを提供する方法であって、入口用マスフローコントローラ10、11及びガスソース19;2~5によって、搬送ガス中で搬送される反応ガスのマスフローが提供され、そのマスフローはプロセスガス供給管9、9’、9”を通って1つ以上のCVDリアクタ1、1’、1”に運ばれることを特徴とする方法。
【0056】
プロセスガス供給管9、9’、9”内の出発物質の濃度又は分圧が、測定器14、14’、14”を用いて測定され、かつ、特にそのようにして得られた測定値を用いてプロセスガスマスフローコントローラの設定値が補正され、かつ/又は、そのようにして得られた測定値を用いて、測定器14、14’、14”の上流側のマスフローコントローラ11によって希釈ガスが供給されることによって濃度又は分圧が一定値に維持されることを特徴とする方法。
【0057】
圧力調整器8の出口から流れる搬送ガスのマスフローが、複数のマスフローに分割され、それらの各々が互いに異なるプロセスガス供給管9、9’、9”内に流入し、それらの各々を通ってプロセスガスのマスフローが1つの気化装置2、2’、2”から1つのCVDリアクタ1、1’、1”まで流れることを特徴とする方法。
【0058】
ソース19;2~5から提供されるプロセスガスのマスフローが複数の部分フローに分割され、それらの各々が1つのプロセスガスマスフローコントローラ13、13’により調整されて異なるガス入口孔15、15’を通って1つのCVDリアクタ1、1’、1”のプロセスチャンバ18に流入し、又は別々のCVDリアクタ1、1’、1”に流入することを特徴とする方法。
【0059】
開示された全ての特徴は、(それ自体のために、また互いに組み合わされて)本発明に不可欠である。ここでの出願の開示は、関連する/追加された優先権書類(先の出願の写し)の開示内容をその内容全体に含み、それはこれらの書類の特徴を本願の請求項に組み込む目的でもある。従属請求項は、特にこれらの請求項に基づいて分割出願を行うために、引用される請求項の特徴がなくても、先行技術の独立した発明性のあるさらなる発展を特徴とする。各請求項で特定された発明は、前述の説明で特定された、特に参照符号が付与された、及び/又は符号の説明で特定された、1つ以上の機能を追加で有することができる。本発明はまた、特に、それらがそれぞれの使用目的に明らかに不要であるか、又は技術的に同じ効果を有する別の手段で置き換えることができる限り、前述の説明で述べた特徴の個々のものが実装されない設計形態に関する。
【符号の説明】
【0060】
1 CVDリアクタ
1’ CVDリアクタ
1” CVDリアクタ
2 気化装置
2’ 気化装置
2” 気化装置
3 出発物質
4 容器
5 切換装置
6 搬送ガス供給管
7 搬送ガス供給管
8 圧力調整器
9 プロセスガス供給管
9’ プロセスガス供給管
9” プロセスガス供給管
10 入口用マスフローコントローラ
11 入口用マスフローコントローラ
12 ガス供給管
12’ ガス供給管
12” ガス供給管
13 プロセスガスマスフローコントローラ
13’ プロセスガスマスフローコントローラ
13” プロセスガスマスフローコントローラ
14 測定器
14’ 測定器
14” 測定器
15 ガス入口孔
15’ ガス入口孔
16 サセプタ
17 基板
18 プロセスチャンバ
19 中央蒸気ソース
20 容器
21 制御装置
22 バルブ
23 停止バルブ
24 バルブ
25 制御装置
26 局所ガス供給装置
27 容器
【手続補正書】
【提出日】2023-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CVDリアクタ(1,1’,1”)内で用いるプロセスガスを提供するための構造であって、
搬送ガスと共に搬送されるガス状の出発物質のマスフローを提供するための入口用マスフローコントローラ(10,11)を備えたガスソース(2-5,19,20)を有し、前記出発物質のマスフローは、プロセスガス供給管(9,9’,9”)を通って前記CVDリアクタ(1,1’,1”)へ搬送され、
前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)には、
圧力調整器(8)を有し全圧を測定するための圧力測定器と、搬送ガス中の出発物質の濃度又は分圧を測定するための測定器(14,14’,14”)とが配置され、前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)内の出発物質の濃度又は分圧を一定値に維持する制御装置(21)を有
し、
前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)に補償ガスを供給するための搬送ガス供給管(7)を有
し、
プロセスガスマスフローコントローラ(13,13’,13”)が前記測定器(14,14’,14”)の下流側に配置され、かつ、
前記制御装置(21)は、前記圧力調整器(8)により一定値に維持された全圧で前記CVDリアクタ内に流入する前記出発物質のマスフローを、前記プロセスガスマスフローコントローラ(13,13’,13”)を用いて調整するように構成されている
、前記構造において、
前記圧力調整器(8)が前記補償ガスを供給し、
前記測定器(14,14’,14”)が、前記圧力調整器(8)の出口と前記プロセスガスマスフローコントローラ(13,13’,13”)との間に位置することを特徴とする構造。
【請求項2】
蒸気ソース(19)が、搬送ガスで搬送される蒸気を提供す
ることを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)を通って搬送される反応ガスは、前記入口用マスフローコントローラ(10,11)を通って流れ、かつ、前記ガスソースは、前記反応ガスを収容した容器
である蒸気ソース(19)であることを特徴とする請求項
1に記載の構造。
【請求項4】
入口用マスフローコントローラ(10,11)から提供される搬送ガスフローが、気化装置(2,2’,2”)の気化容器(4)を通って流れ、かつ、前記気化装置(2,2’,2”)で生成された蒸気が搬送ガスにより前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)に搬送されることを特徴とする請求項
1に記載の構造。
【請求項5】
1つのみの前記圧力調整器(8)の出口は、複数のガス供給管(12,12’,12”)を用いて、それぞれ別のCVDリアクタ(1,1’,1”)に割り当てられたプロセスガス供給管(9,9’,9”)とそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項
1に記載の構造。
【請求項6】
前記プロセスガス供給管(9)を通って流れ、前記圧力調整器(8)により所定の全圧に維持されるプロセスガスフローが、複数の部分フローに分割されることを特徴とする請求項1~
5のいずれかに記載の構造。
【請求項7】
2つのプロセスガスマスフローコントローラ(13,13’)が並列に接続されていること、及
び、前記プロセスガスフローがそれぞれマスフローを制御されて2つの異なるガス入口孔(15,15’)を通って前記CVDリアクタ(1)のプロセスチャンバ(18)
又は異なるCVDリアクタ(1,1’,1”)のプロセスチャンバ(18)に供給されることを特徴とする請求項1~
6のいずれかに記載の構造。
【請求項8】
前記圧力調整器(8)の出口が、複数のガス供給管(12,12’,12”)を用いて異なる反応ガスを提供するそれぞれ異なるガスソース(19;2-5)に接続され、前記ガスソースは、プロセスガス供給管(9,9’,9”)によって1つ以上のCVDリアクタ(1,1’,1”)と接続されていることを特徴とする請求項1~
7のいずれかに記載の構造。
【請求項9】
前記制御装置(21)は、前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)内の出発物質の濃度又は分圧を一定値に維持するために、入口用マスフローコントローラ(11)に設定値を設定することを特徴とする請求項1~
8のいずれかに記載の構造。
【請求項10】
少なくとも1つの搬送ガスソースとCVDリアクタ(1,1’,1”)とを有するCVDリアクタ構造であって、請求項1~
9のいずれかに記載の構造による、前記CVDリアクタ(1,1’,1”)内に供給されるプロセスガスの提供のための構造を有することを特徴とするCVDリアクタ構造。
【請求項11】
プロセスガスを、特に請求項1~
9のいずれかに記載の構造に提供する方法であって、
前記出発物質の濃度又は分圧及び前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)内の全圧が圧力測定器と測定器(14,14’,14”)とにより測定され、CVDリアクタ(1,1’,1”)に流入する出発物質のマスフローが一定値に維持されかつプロセスガス供給管(9,9’,9”)に補償ガスが供給さ
れ、
補償ガスの供給によってプロセスガス供給管(9,9’,9”)内の全圧が一定値に維持され、かつ、CVDリアクタ(1,1’,1”)に流入する出発物質のマスフローが測定器(14,14’,14”)の下流側に配置されたプロセスガスマスフローコントローラ(13,13’,13”)を用いて一定値に維持される
、前記方法において、
前記圧量調整器(8)が補償ガスを供給し、
前記測定器(14,14’,14”)が、前記圧力調整器(8)の出口と前記プロセスガスマスフローコントローラ(13,13’,13”)との間に位置することを特徴とする方法。
【請求項12】
前記プロセスガス供給管(9,9’,9”)内の前記出発物質の濃度又は分圧が測定器(14,14’,14”)によって測定され、かつ特にそのようにして得られた測定値を用いてプロセスガスマスフローコントローラの設定値が補正され、かつ/又は、そのようにして得られた測定値を用いて前記濃度又は分圧が一定値に維持されることを特徴とする請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記圧力調整器(8)の出口から流れる搬送ガスのマスフローが、複数のマスフローに分割され、それぞれが互いに異なるプロセスガス供給管(9,9’,9”)に流入し、それらの各々を通ってプロセスガスのマスフローが、気化装置(2,2’,2”)からCVDリアクタ(1,1’,1”)まで流れることを特徴とする請求項
11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記ガスソース(19;2-5)から提供されるプロセスガスのマスフローが複数の部分フローに分割され、それらがそれぞれプロセスガスマスフローコントローラ(13,13’)によって調整されて異なるガス入口孔(15,15’)を通ってCVDリアクタ(1,1’,1”)のプロセスチャンバ(18)に流入し、又は、異なるCVDリアクタ(1,1’,1”)に流入することを特徴とする請求項
11、12又は13に記載の方法。
【国際調査報告】