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特表2024-524333フォトレジスト組成物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】フォトレジスト組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/022 20060101AFI20240628BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240628BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20240628BHJP
   C08F 12/14 20060101ALI20240628BHJP
   C08F 220/18 20060101ALI20240628BHJP
   C08F 212/14 20060101ALI20240628BHJP
   C08F 20/18 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
G03F7/022 601
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
G03F7/004 501
C08F12/14
C08F220/18
C08F212/14
C08F20/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579748
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 CN2022129511
(87)【国際公開番号】W WO2023103663
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202111513743.5
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510232360
【氏名又は名称】中国科学院光電技術研究所
【氏名又は名称原語表記】The Institute of Optics and Electronics, The Chinese Academy of Sciences
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 350, Shuangliu, Chengdu, Sichuan 610209, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羅先剛
(72)【発明者】
【氏名】楊東旭
(72)【発明者】
【氏名】彭献
(72)【発明者】
【氏名】蘇凱欣
(72)【発明者】
【氏名】趙澤宇
(72)【発明者】
【氏名】高平
(72)【発明者】
【氏名】王長涛
【テーマコード(参考)】
2H225
4J100
【Fターム(参考)】
2H225AF03P
2H225AF08P
2H225AF23P
2H225AF78P
2H225AF81P
2H225AF83P
2H225AH04
2H225AH12
2H225AH13
2H225AJ04
2H225AJ13
2H225AJ48
2H225AM23P
2H225AM32P
2H225AN39P
2H225AN63P
2H225BA26P
2H225BA27P
2H225CA12
2H225CB06
2H225CB18
2H225CC03
2H225CC15
2H225CC21
4J100AB07P
4J100AL01Q
4J100BA03P
4J100BA22P
4J100JA38
(57)【要約】
本開示によるフォトレジスト組成物は、ポリマー樹脂と、光酸発生剤と、溶剤とを含有する化学増幅型基質と、ジアゾナフトキノン構造を含有する低分子材料である溶解抑制剤と、を含む。本開示は、このフォトレジスト組成物の使用をさらに提供する。本開示によるフォトレジスト組成物は、ジアゾナフトキノン構造を有する溶解抑制剤を添加することで、高残膜率の超薄フォトレジスト膜を形成できるとともに、露光領域および非露光領域の化学的コントラストを向上させるため、フォトリソグラフィ感度と、コントラストと、解像力を共に向上させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー樹脂と、光酸発生剤と、溶剤とを含有する化学増幅型基質と、
ジアゾナフトキノン構造を含有する低分子材料である溶解抑制剤と、を含む
ことを特徴とするフォトレジスト組成物。
【請求項2】
前記ポリマー樹脂は、パラヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、またはパラヒドロキシスチレン系モノマーと、アクリル酸エステル系モノマーとを共重合して得られる樹脂である
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
前記ポリマー樹脂は、酸不安定基を有する繰り返し単位を含有する
ことを特徴とする請求項2に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
前記ポリマー樹脂の分子量は2000~100000であり、
前記フォトレジスト組成物に対する前記ポリマー樹脂の含有量が0.5~10重量%である
ことを特徴とする請求項3に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
前記溶解抑制剤は、ジアゾナフトキノン構造を2~10個有する基が、スルホン酸エステルの形態でフェノール性水酸基を2~10個有するポリフェノール骨格構造にグラフトされている分子である
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
前記溶解抑制剤の構造が以下の式III~式VIで示され、
【化1】

ただし、RがHまたは

であり、なお、RがすべてHではなく、Rが炭素数1~5のアルキル基であり、n=1~5、o=1~10、p=1~10、q=0~4である
ことを特徴とする請求項5に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
前記フォトレジスト組成物に対する前記溶解抑制剤の含有量が0.1~3重量%である
ことを特徴とする請求項6に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
前記光酸発生剤は、非イオン性スルホン酸エステル系構造またはイオン性オニウム塩系構造を有する化合物であり、
前記フォトレジスト組成物に対する前記光酸発生剤の含有量が0.1~5重量%である
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
前記溶剤は、酢酸n-ブチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセタートおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルのうちの1種または複数種の混合物である
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
前記フォトレジスト組成物に対する前記溶剤の含有量が80~99重量%である
ことを特徴とする請求項9に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項11】
前記フォトレジスト組成物は、レベリング剤、界面活性剤および安定剤のうちの1種または複数種の混合物をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項12】
高解像度干渉フォトリソグラフィ、SP超回折フォトリソグラフィ、電子ビーム直接描画、I線プロキシミティフォトリソグラフィへの請求項1~11のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フォトレジストの技術分野に関し、具体的にフォトレジスト組成物およびその使用に関する。
【0002】
本開示は、2021年12月10日に提出された出願番号が202111513743.5である中国出願に基づいて優先権を主張し、その全ての内容は、参照として本開示に取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
解像力は、フォトリソグラフィの性能を決定するための前提である。従来の投影フォトリソグラフィは、回折限界の影響で、その解像度限界が1/2~1/4波長範囲内に抑えられる。解像力のレベルをさらに向上させるには、光源の波長の短縮、および開口数の向上が必要となる。この技術は、技術的難易度とコストの急激な上昇を招き、現在のトップクラスの極端紫外線リソグラフィ(Extreme Ultra-violet、EUV)は、装置の製造コスト、エンジニアリング技術、フォトリソグラフィ材料の観点から、この技術の開発限界に近づいている。
【0004】
近年、従来の解像力の回折限界を突破するために、研究者らは、例えば、フェムト秒レーザー技術に基づく2光子吸収リソグラフィ、励起放射線の抑制に基づく超解像蛍フォトリソグラフィ、表面プラズモン励起に基づくSP超回折フォトリソグラフィなどの様々な新型フォトリソグラフィ技術を提案した。これらの技術は、従来の投影フォトリソグラフィに代わり、低コスト、高効率、大面積の新世代ナノフォトリソグラフィとして有望である。
【0005】
しかしながら、新型フォトリソグラフィ技術に適合する特殊なフォトレジスト材料は、文献や特許でほとんど報告されていない。研究活動としての新型高解像度フォトリソグラフィ技術の検証に使用される材料は、ほとんど市販のフォトレジストである。現在の高解像度フォトレジストでは、通常ナノスケールの(100nm以下)解像力が要求される。このような解像力を実現するために、ナノパターンの崩れを防ぐための超薄フォトレジスト膜が必要となり、また、主体樹脂分子、感光性材料、添加成分などを最適化する必要がある。しかしながら、波長に対応した従来の市販フォトレジストでは対応できないことが多い。例えば、I線(波長365nm)についてのナノスケールのフォトリソグラフィ技術の場合、従来の市販I線フォトレジストは、ミクロンスケールの厚さおよび350nmより大きい解像力に基づいて最適化を行うため、ナノスケール解像力のフォトリソグラフィの検証に直接使用することは困難である。また、より高解像力の市販の深紫外フォトレジストは、近紫外波長帯で十分な感光性能を持っていないことが一般的である。
【0006】
したがって、超高解像度フォトリソグラフィのような新型技術の場合、従来のフォトレジスト材料は技術検証やプロセス開発に適合せず、新規フォトレジスト材料の開発は必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の課題に鑑みて、本開示は、従来のフォトレジストでフォトレジスト膜の超薄化や、超高解像力化の実現が困難とされていたなどの技術的課題を解決するためのフォトレジスト組成物およびその使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様によるフォトレジスト組成物は、ポリマー樹脂と、光酸発生剤と、溶剤とを含有する化学増幅型基質と、ジアゾナフトキノン(DNQ)構造を含有する低分子材料である溶解抑制剤と、を含む。
【0009】
さらに、ポリマー樹脂は、パラヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、またはパラヒドロキシスチレン系モノマーと、アクリル酸エステル系モノマーとを共重合して得られる樹脂である。
【0010】
さらに、ポリマー樹脂は、酸不安定基を有する繰り返し単位を含有する。
【0011】
さらに、ポリマー樹脂の分子量は2000~100000であり、フォトレジスト組成物に対するポリマー樹脂の含有量が0.5~10重量%である。
【0012】
さらに、溶解抑制剤は、ジアゾナフトキノン構造を2~10個有する基が、スルホン酸エステルの形態でフェノール性水酸基を2~10個有するポリフェノール骨格構造にグラフトされている分子である。
【0013】
さらに、溶解抑制剤の構造が以下の式III~式VIで示され、
【0014】
【化1】
【0015】
ただし、RがHまたは

であり、なお、RはすべてHではなく、Rが炭素数1~5のアルキル基であり、n=1~5、o=1~10、p=1~10、q=0~4である。
【0016】
さらに、フォトレジスト組成物に対する溶解抑制剤の含有量が0.1~3重量%である。
【0017】
さらに、光酸発生剤は、非イオン性スルホン酸エステル系構造またはイオン性オニウム塩系構造を有する化合物であり、フォトレジスト組成物に対する光酸発生剤の含有量が0.1~5重量%である。
【0018】
さらに、溶剤は、酢酸n-ブチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセタートおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルのうちの1種または複数種の混合物である。
【0019】
さらに、フォトレジスト組成物に対する溶剤の含有量が80~99重量%である。
【0020】
さらに、フォトレジスト組成物は、レベリング剤、界面活性剤および安定剤のうちの1種または複数種の混合物をさらに含む。
【0021】
本開示の別の一態様は、高解像度干渉フォトリソグラフィ、SP超回折フォトリソグラフィ、電子ビーム直接描画、I線プロキシミティフォトリソグラフィへの上記によるフォトレジスト組成物の使用を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本開示に係るフォトレジスト組成物は、化学増幅型レジスト系にジアゾナフトキノン(DNQ)基を含有する分子が独創的に導入され、DNQ基のヒドロキシ基、カルボキシル基などの親水基に対する溶解抑制効果および光照射により自身が分解され極性変化が起こる特徴を利用して、非露光領域で溶解抑制作用が、露光領域で溶解促進作用が生じることで、超薄膜に対する高残膜率の要求を満足し、露光領域/非露光領域の溶解速度の差を著しく向上させることができるため、コントラストを向上させることができる。さらに、このフォトレジスト組成物は、単に各単一の性能指標のバランスをとるだけではなく、化学増幅型フォトレジスト組成物の残膜率、コントラスト、解像力、感度などの全体的な性能を同時に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の実施例による化学増幅型レジスト系に溶解抑制剤を添加した後の反応模式図を模式的に示す。
図2】本開示の実施例1による露光結果パターンを模式的に示す。
図3】本開示の実施例5による露光結果パターンを模式的に示す。
図4】本開示の比較例1による露光結果パターンを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の目的、技術案、利点をより明瞭かつ明白にするために、以下、具体的な実施例並びに図面を参照しながら、本開示をさらに詳細に説明する。
【0025】
本願明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものにすぎず、本開示を制限するものではない。本願明細書で使用される「有する」、「含む」といった用語などは、特徴、ステップ、操作および/または部品が存在することを表すものであり、1つまたは複数のその他の特徴、ステップ、操作または部品の存在または追加を排除することが意図されない。
【0026】
特に断りがない限り、本願明細書で使用されるすべての用語(技術的用語と科学的用語を含む)は、当業者が通常認識している意味を有する。なお、本願明細書で使用される用語は、本明細書の上下の記載において同じ意味を持ち、理想または過剰に解釈すべきではない。
【0027】
本開示は、具体的に、半導体集積回路の製造におけるフォトレジスト調製の分野に属し、特に、ナノスケール解像力のフォトリソグラフィ技術に適用するフォトレジスト組成物およびその使用に関する。本開示が解決しようとする課題は、高解像度フォトリソグラフィ技術に適用するフォトレジスト組成物およびその使用並びにフォトリソグラフィ方法に関するものであり、ナノスケールの(100nm以下)超高解像力を有し、超薄膜を形成することができる。非従来型の高解像度フォトリソグラフィ技術に適用し、特に365nmのI線を用いた近接場紫外線ナノフォトリソグラフィに適用する。
【0028】
本開示の実施例は、フォトレジスト組成物を提供し、このフォトレジスト組成物は、ポリマー樹脂、光酸発生剤および溶剤を含有する化学増幅型基質と、ジアゾナフトキノン構造を含有する低分子材料である溶解抑制剤と、を含む。
【0029】
本開示に係るフォトレジスト組成物は、化学増幅型レジスト系に属する。このフォトレジスト組成物における光酸発生剤は、特定波長の光開始により、酸分子を発生することができる。この酸分子は、触媒として反応を促進したり連鎖反応を起こしたりすることができ、主体樹脂の溶解特性を変化させることで現像により画像を生成することができる。化学増幅型基質は、高解像力と高感度を同時に備えることができ、高品質のナノパターンを得ることができるため、高解像度フォトリソグラフィを実現するための理想的なものである。
【0030】
本開示は、従来の化学増幅型レジスト系を基に溶解抑制剤を添加し、即ち、本開示に係る化学増幅型基質にDNQ構造を含有する低分子材料を添加する。DNQ構造を有する低分子材料は、通常、感光成分として従来のフェノール樹脂類などの非化学増幅型フォトレジスト系に用いられる。しかしながら、本開示は、化学増幅型基質に少量のDNQ基を含有する低分子材料が独創的に導入され、DNQ基のヒドロキシ基、カルボキシル基などの親水基に対する溶解抑制効果および光照射により自身が分解され極性変化が起こる特徴を利用して、非露光領域で溶解抑制作用が、露光領域では溶解促進作用が生じることで、得られるフォトレジスト組成物が超薄膜に対する高残膜率の要求を満足させ、露光領域/非露光領域の溶解速度の差を著しく向上させることができるため、コントラストを向上させることができる。また、予期せぬこととして、本開示は、従来の溶解抑制剤よりも解像力、ラインエッジラフネスおよび感度を共に向上させる。
【0031】
以下の式VIIは、典型的な従来の化学増幅型フォトレジスト系の反応機構であり、その主体樹脂は、tert-ブチルカルボニル基で部分的に保護されたポリパラヒドロキシスチレン(PBOCST)である。光または電子線照射の条件下で光酸発生剤(Photo Acid Generator、PAG)による発生酸は、加熱条件下で保護基の脱保護反応の触媒として作用し、ポリパラヒドロキシスチレン(PHOST)を生成させる。これによって、疎水性から親水性に変換される。
【0032】
【化2】
【0033】
さらに、非露光領域では、本開示に係る溶解抑制剤自体が強い疎水性を有し、樹脂におけるヒドロキシ基と分子間の水素結合を形成することができるため、水系のアルカリ現像液でのフォトレジスト組成物の溶解を抑制する。露光領域では、溶解抑制剤のDNQ部分が非化学増幅によってカルボキシル基に転換され、水素結合が消失すると共に、光酸発生剤による酸が化学増幅によって保護ポリマーの側鎖の保護基を脱離させて極性変換させる。このような非化学増幅と化学増幅の相乗作用により、露光領域での溶解度が著しく向上する。
【0034】
式VIIIおよび図1は、本開示によるこの化学増幅型基質に溶解抑制剤を添加した後の反応機構および反応模式図をそれぞれ示す。非露光領域について、ジアゾナフトキノン成分は、水素結合を介してフェノール性水酸基と相互作用し、主体樹脂の溶解を効果的に抑制することができる。露光領域について、ジアゾナフトキノンは、照射により分解してインデンカルボン酸を生成し、抑制作用を解消するだけでなく、カルボン酸のアルカリ現像液への高溶解性により、露光領域での溶解をさらに促進することができる。よって、露光領域と非露光領域の化学的コントラストを向上させ、フォトリソグラフィ感度と、コントラストと、解像力を共に向上させる。
【0035】
【化3】
【0036】
上記実施例において、ポリマー樹脂は、パラヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、またはパラヒドロキシスチレン系モノマーと、アクリル酸エステル系モノマーとを共重合して得られる樹脂である。
【0037】
このポリマー樹脂は、パラヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、または両者を同時に含む共重合体樹脂であってもよい。そのモノマーは、化学式(I)、(II)で表されるものの少なくとも一方である。
【0038】
【化4】
【0039】
ただし、Rは、H、OH、炭素数1~20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素数1~20のエステル、および/またはtert-ブトキシカルボニル基、ビニル基、アダマンチル、アセタール、エーテルなどの構造で少なくとも部分的に保護されるヒドロキシ基である。
【0040】
【化5】
【0041】
ただし、Rが水素またはメチル基であり、RがH、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基または炭素数1~20のヒドロキシアルキル基である。当然のことながら、ポリマー樹脂がポリパラヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂に限定されなく、実際、化学増幅型レジスト系に適用可能な樹脂であれば、本開示に係るフォトレジスト組成物に適用可能である。
【0042】
上記実施例において、ポリマー樹脂は、酸不安定基を有する繰り返し単位を含有する。
【0043】
酸不安定基を有する繰り返し単位は、例えば、エステルを有する構造、アセタールを有する構造などを含む。酸不安定基は、PAGから発生する酸により、反応を迅速に促進したり連鎖反応を起こしたりすることができる。式VIIIに示すように、DNQは、この種のポリマー樹脂に対して、非露光領域での溶解を効果的に抑制し、露光領域での溶解を促進する効果を有するため、露光領域と非露光領域の化学的コントラストを向上させる。
【0044】
上記実施例において、ポリマー樹脂の分子量は2000~100000であり、フォトレジスト組成物に対するポリマー樹脂の含有量が0.5~10重量%である。
【0045】
ポリマー樹脂は、酸触媒による脱保護機構に基づくポリマー樹脂であり、その分子量が2000~100000で、分子量分布係数Mw/Mnが1.1~2.0である。また、厚膜を使用する従来の市販フォトレジストとは異なり、高解像度を満足させるために使用される膜は、極めて薄いものであるため、現像過程において僅かな膜減りにより、パターンの消失や効果の劣化が起こる(膜減り<2nm/30s(2.38%TMAH)を満たすべき)。
【0046】
したがって、本開示で使用されるポリマー樹脂は、適度な分子量を有する。分子量が小さすぎると、フォトレジスト組成物が水系のアルカリ現像液に溶解しやすくなり、残膜率が低下してしまう。分子量が大きすぎると、解像力やラインエッジラフネスに影響を与える。本開示で使用されるポリマー樹脂は、実際、化学増幅型フォトレジスト系に適用可能なすべてのポリマー樹脂であってもよいが、好ましくはポリパラヒドロキシスチレン系樹脂またはパラヒドロキシスチレンとアクリル酸エステルとの共重合体樹脂である。本開示において、フォトレジスト組成物に対するポリマー樹脂の含有量が0.5~10重量%であってもよいが、好ましくは1~8重量%、より好ましくは3~5重量%である。
【0047】
上記実施例において、溶解抑制剤は、ジアゾナフトキノン構造を2~10個有する基が、スルホン酸エステルの形態でフェノール性水酸基を2~10個有するポリフェノール骨格構造にグラフトされている分子である。
【0048】
溶解抑制剤は、例えば2,1,4-ジアゾナフトキノンスルホン酸エステル、2,1,5-ジアゾナフトキノンスルホン酸エステルのようなジアゾナフトキノン構造を含有する低分子材料であり、2,1,4-ジアゾナフトキノンスルホン酸エステル、2,1,5-ジアゾナフトキノンスルホン酸エステルがフェノール性水酸基を有するポリフェノール骨格構造にグラフトされている。
【0049】
上記実施例において、溶解抑制剤の構造が式III~式VIに示される。
【0050】
【化6】
【0051】
ただし、RがH、または

(2,1,5-ジアゾナフトキノンスルホン酸エステル)、

(2,1,4-ジアゾナフトキノンスルホン酸エステル)であり、なお、RがすべてHではない。Rが炭素数1~5のアルキル基であり、n=1~5、o=1~10、p=1~10、q=0~4である。
【0052】
当然のことながら、溶解抑制剤が上記構造式を有する化合物に限定されなく、他の構造を有するジアゾナフトキノンの低分子材料も溶解抑制剤として本開示に係るフォトレジスト組成物に適用可能である。
【0053】
上記実施例基において、フォトレジスト組成物に対する溶解抑制剤の含有量が0.1~3重量%である。
【0054】
溶解抑制剤の添加量が多すぎると、膜の疏水性が強すぎて溶解度の変換がPAGよりも溶解抑制剤に支配されるため、パターンの品質に影響を与える。一方、溶解抑制剤の添加量が少なすぎると、非露光領域での溶解を抑制し露光領域での溶解を促進する効果が明らかではなくなる。したがって、フォトレジスト組成物に対する溶解抑制剤の含有量が0.1~3重量%であり、好ましくは0.5~2重量%である。
【0055】
上記実施例において、光酸発生剤は、非イオン性スルホン酸エステル系構造またはイオン性オニウム塩系構造を有する化合物であり、フォトレジスト組成物に対する光酸発生剤の含有量が0.1~5重量%である。
【0056】
光酸発生剤(Photo Acid Generator、PAG)は、特定波長の光照射により酸(発生酸と称される)を発生し、この酸が一定の温度でフォトレジストの露光部分での脱保護反応(式VIIに示す)を促進し、パターンを生成するように現像時に露光部分を溶解させることができる。実際、本開示で使用されるPAGは、化学増幅型レジスト系に適用可能なすべての光酸発生剤であってもよいが、好ましくは非イオン性スルホン酸エステル系構造を有するPAGおよびイオン性オニウム塩系のPAGである。本開示において、フォトレジスト組成物に対するPAGの含有量が0.1~5重量%であってもよいが、好ましくは0.5~3重量%である。
【0057】
上記実施例において、溶剤は、酢酸n-ブチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセタートおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルのうちの1種または複数種の混合物である。
【0058】
溶剤は、フォトレジストを塗布しやすいように液体状態にすることができる。他の成分は、溶剤を通して混合され、フォトレジスト組成物が形成される。本開示で使用される溶剤は、酢酸n-ブチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびこれらの混合物からなる成分から選択されてもよい。上記溶剤は、極性の異なる複数のフォトレジストの成分を溶解するには優れた適性を有する。
【0059】
上記実施例基において、フォトレジスト組成物に対する溶剤の含有量が80~99重量%である。
【0060】
本開示において、フォトレジスト組成物に対する溶剤の含有量が80~99重量%であってもよいが、好ましくは90~98重量%であり、より好ましくは92~96重量%である。上記溶剤の割合は、100nm以下の超薄膜の形成に基づく最適値であり、溶剤が少なすぎると、スピンコート(回転速度:1500~4000rpm)による超薄膜の形成が困難になり、溶剤が多すぎると、フォトレジストが希釈されすぎて高品質のフォトレジスト膜を形成し難い。
【0061】
上記実施例基において、フォトレジスト組成物は、レベリング剤、界面活性剤および安定剤のうちの1種または複数種の混合物をさらに含む。
【0062】
本開示に係るフォトレジスト組成物は、少量(全量の1%以内)のレベリング剤、界面活性剤、安定剤などを選択的に添加してもよく、低分子のアンモニア類、シロキサン類、エチレンオキシド/プロピレンオキシド類および含フッ素アルカン分子類のうちの1種または複数種を含むが、これらに限定されない。
【0063】
本開示によるフォトレジスト組成物は、特定の官能基を有する溶解抑制剤を添加することで、高残膜率の超薄フォトレジスト膜(膜厚さ100nm以下、非露光領域の膜減り<2nm/30s)を図れると共に、露光領域と非露光領域の化学的コントラストを向上させ、フォトリソグラフィ感度と、コントラストと、解像力を共に向上させる。特に、波長150~450nmの高解像度フォトリソグラフィや電子ビームフォトリソグラフィの分野に適し、64nm未満のサイズの密集ラインパターンの調製を実現することができる。
【0064】
本開示は、高解像度干渉フォトリソグラフィ、近接場フォトリソグラフィ、SP超回折フォトリソグラフィ、電子ビーム直接描画、I線プロキシミティフォトリソグラフィへの上記のフォトレジスト組成物の使用をさらに提供する。
【0065】
本開示に係るフォトレジスト組成物は、従来のI線紫外フォトリソグラフィのみならず、例えば高解像度干渉フォトリソグラフィ、SP超回折フォトリソグラフィ、電子ビーム直接描画などのような新型高解像度フォトリソグラフィ技術にも適用可能である。上記分野におけるフォトレジストの膜厚さおよび解像力に対する要求は、通常、従来の近紫外および深紫外フォトリソグラフィの要求よりもはるかに高い。また、EUVフォトリソグラフィに用いられている超薄膜フォトレジストは、感光波長が対応していないため、上記の新型フォトリソグラフィ技術に直接適用することが困難である。
【0066】
以上により、本開示による化学増幅型フォトレジスト組成物、特に溶解抑制剤の導入は、従来の化学増幅型フォトレジスト系にはない技術である。フォトリソグラフィパターンの品質の点から、この技術は、単に各単一の性能指標のバランスをとるだけではなく、化学増幅型フォトレジストの残膜率、コントラスト、解像力、感度などの全体的な性能を同時に向上させることができる。したがって、本開示の技術案は、特に新型高解像度(100nm以下)フォトリソグラフィ技術に適用する。フォトレジスト膜の点から、本開示によるフォトレジスト組成物は、超薄フォトレジスト膜(100nm以下)に適用し、これも上記の高解像力の要求に合致する。一方、従来の市販フォトレジスト材料には、通常、超薄膜の残膜率不足の課題がある。
【0067】
以下、具体的な実施形態によって本開示をさらに説明する。以下の実施例において上記フォトレジスト組成物およびその使用を具体的に説明する。しかしながら、下記の実施例は、本開示を例示するためのものに過ぎず、本開示の範囲を限定するものではない。
【0068】
本開示に係るフォトレジスト組成物は、ポリマー樹脂と、光酸発生剤と、溶解抑制剤と、溶剤と、その他の添加成分とを含み、その他の添加成分が、レベリング剤、界面活性剤、安定剤などを含む。本開示によるフォトレジスト材料は、例えば高解像度干渉フォトリソグラフィ、近接場フォトリソグラフィ、SP超回折フォトリソグラフィ、電子ビーム直接描画などのような、照射波長が150~450nm(特に365nmによる超解像フォトリソグラフィ)であり、100nm以下の超薄膜(好ましくは50nm以下)、高残膜率(<2nm/30s@2.38%のTMAH)、高解像力(100nm以下)を有するフォトリソグラフィ技術に適用する。
【0069】
一、各実施例および比較例のポリマー樹脂は、以下を含む。
【0070】
(1)パラヒドロキシスチレンとアクリル酸エステルとの共重合体樹脂
その構造式が以下である。
【0071】
【化7】

ただし、RがHまたはtert-ブトキシカルボニル基であり、RがHまたはアルキル基である。
【0072】
具体的には、以下となる。
【0073】
【化8】

1-1-1(tert-ブトキシカルボニル基で保護されたパラヒドロキシスチレンとアクリル酸との共重合体)
【0074】
(2)パラヒドロキシスチレン系樹脂
その構造式が以下である。
【0075】
【化9】

ただし、RがHまたはtert-ブトキシカルボニル基である。
【0076】
具体的には以下となる。
【0077】
【化10】

1-2-1(tert-ブトキシカルボニル基で保護されたポリパラヒドロキシスチレン)
【0078】
【化11】

1-2-2(アセタールで保護されたポリパラヒドロキシスチレン)
【0079】
(3)アクリル酸エステル系樹脂
その構造式が以下である。
【0080】
【化12】

ただし、RがHまたはアルキル基である。
【0081】
具体的には以下となる。
【0082】
【化13】

1-3-1(アダマンチルエステルで保護されたポリアクリル酸)
【0083】
二、各実施例および比較例の光酸発生剤は、以下を含む。
【0084】
(1)非イオン性スルホン酸エステル系光酸発生剤
その構造式が以下である。
【0085】
【化14】
【0086】
(2)イオン性オニウム塩系光酸発生剤
その構造式が以下である。
【0087】
【化15】
【0088】
三、各実施例および比較例の溶解抑制剤は、その構造式が以下である。
【0089】
【化16】
【0090】
ただし、3-1、3-3における3つのR

であり、もう1つのRがHである。3-2、3-4におけるRがいずれも

である。
【0091】
四、各実施例および比較例の溶剤は、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート(4-1)や、乳酸エチル(4-2)や、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4-3)を含む。
【0092】
五、各実施例および比較例のその他の添加成分は、n-オクチルアミン(5-1)や、エチレンオキシド(5-2)を含む。
【0093】
各実施例および比較例のフォトレジスト組成物の調製およびフォトリソグラフィ実験は、以下のステップを含む。
【0094】
ステップA:フォトレジストの調製
異なる露光量および膜厚さの要求に応じて、フォトレジスト組成物のレシピ組成を以下のように調整した。1種のポリマー樹脂と、少なくとも1種の光酸発生剤と、少なくとも1種の溶解抑制剤とを秤量し、少なくとも1種の成分を含む溶剤に溶解し、完全に溶解するまで撹拌、震盪し、0.22ミクロンの膜でろ過した。具体的に、実施例および比較例は、フォトレジスト組成物の溶液100mLに対して表1の各成分および添加量にしたがって調製した。
【0095】
ステップB:フォトリソグラフィ
3000rpmで30秒スピンコートしてホモジナイズを行い、基板に膜厚さ15~100nmのフォトレジスト膜を形成した。そして、100℃で2分間ベークを行った。そして、I線(365nm)表面プラズモンフォトリソグラフィ、I線(365nm)干渉フォトリソグラフィ、または電子ビーム直接描画フォトリソグラフィを用いて露光した。そして、100℃で1分間べークを行った。そして2.83%TMAHで30s現像した。
【0096】
感度は、現像後にフォトレジスト膜が完全になくなるまでの露光量として定義された。フォトリソグラフィの場合、対応する波長の光源によって異なる露光量でパターン露光および現像を行った。電子ビーム直接描画の場合、20kVの電子ビームによって異なる露光量でパターン露光および現像を行った。露光領域の現像後の膜厚さは、膜/形態観察装置(例えばエリプソメーター、原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡など)で測定された。感度値は100mJ/cmまたは100μC/cm以下が一般的に高感度とされる。
【0097】
残膜率は、露光現像(2.83%TMAH、30s)後の非露光領域の膜厚さの、露光前の膜厚さに対する比であり、95%より大きいの場合をよい、80~95%をややよい、50~80%を普通、50%未満を悪いとする。上記膜厚さは、膜/形態観察装置(例えばエリプソメーター、原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡など)で測定された。
【0098】
【表1】
【0099】
以下、実施例1を例としてさらに説明する。
【0100】
実施例1:
ポリマー樹脂:4mg、構造モノマーの具体的な構造式は以下である。
【0101】
【化17】

1-1-1(tert-ブトキシカルボニル基で保護されたパラヒドロキシスチレンとアクリル酸との共重合体)
【0102】
光酸発生剤:1mg、具体的な構造式は以下である。
【0103】
【化18】
【0104】
溶解抑制剤:1mg、具体的な構造式は以下である。
【0105】


ただし、1つのRがHであり、他の3つのR

である。
【0106】
その他の添加成分:0.1mgのn-オクチルアミンである。
【0107】
フォトレジスト組成物100mLに対して、上記の各成分を残量のプロピレングリコールメチルエーテルアセタート溶剤に添加し、完全に溶解するまで撹拌、震盪し、0.22ミクロンの膜でろ過した。ステップBのプロセス条件に従ってフォトリソグラフィを行い、フォトリソグラフィ終了後、残膜率、感度に対して実験を行った。
【0108】
実施例1は、I線(365nm)表面プラズモンフォトリソグラフィを用い、パターン周期が128nmである。この実施例は、残膜率が95%よりも大きいからよいと評価され、膜質がよく、露光後の周期128nmの格子パターンのコントラストがよく、ラインエッジラフネスが10nm未満である。露光結果パターンが図2に示された。
【0109】
実施例2~10は、それぞれ成分、含有量および/またはフォトリソグラフィ方法を調整して実験したものであるが、得られた結果が実施例1とほぼ同様である。ただし、実施例4は365nm近接場フォトリソグラフィ、実施例5~6は365nm干渉フォトリソグラフィ、実施例10および比較例3は電子ビーム直接描画フォトリソグラフィを用いた。実施例5の露光パターンが図3に示され、膜厚さが40nmであり、パターン周期が120nmであり、残膜率および感度がよく、ラインが鮮明でコントラストがよい。本発明に係るフォトレジスト組成物を用いた高解像度干渉フォトリソグラフィ、SP超回折フォトリソグラフィ、電子ビーム直接描画などのフォトリソグラフィは、いずれも薄い膜で優れた残膜率と膜質を実現し、64nm未満のサイズの高品質の密集ラインパターンの調製を実現することができ、且つコントラストと感度が高い。
【0110】
実施例2と比較例1は、いずれも実施例1の対照実験である。実施例2は、溶解抑制剤のみを、実施例1の10分の1である0.1mg添加し、その他の条件が実施例1と同じで、その感度が実施例1の25mJ/cmから79mJ/cmに変化し、明らかな低下が見られた。一方、比較例1は、さらに溶解抑制剤を除去し、その感度がさらに130mJ/cmに低下し、且つ残膜率も明らかに低下し、露光効果が極めて悪く、完全なナノパターンが得られなかった。比較例1の露光結果パターンが図4に示された。
【0111】
同様に、比較例3は実施例10の対照実験である。比較例3は、溶解抑制剤を除去し、その他の条件が実施例10と同じで、その感度が実施例10の45μC/cmから115μC/cmに変化し、且つ残膜率もある程度低下した。
【0112】
以上により、本開示によるフォトレジスト組成物の技術案によって、化学増幅型フォトレジスト系にDNQ分子に基づく(DNQ基を含有する)機能的溶解抑制成分を導入することで、フォトリソグラフィ性能を全面的に向上させたことがわかる。超薄フォトレジスト膜について、本開示に係る溶解抑制剤の使用により、他の成分の残膜率(即疏水性)に対する要求を緩和することができ、より親水性を有するポリマー樹脂および光酸発生剤を使用可能になり、フォトリソグラフィ性能を最大限に最適化することができる。さらに、本開示に係る活性溶解抑制成分で調製された化学増幅型フォトレジスト組成物によれば、高解像度フォトリソグラフィを実現でき、従来のフォトリソグラフィ方法のみならず、さまざまな新型高解像度フォトリソグラフィ技術にも適用することができる。
【0113】
上記の具体的な実施例を参照しながら、本開示の目的、技術案、有益な効果をさらに詳細に説明したが、上記の記載は、本開示の具体的な実施例にすぎず、本開示を限定するものではない。本開示の本質および主旨から逸脱しない限り、すべての変更、均等置換、改良等は、いずれも本開示の保護範囲内に属する。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー樹脂と、光酸発生剤と、溶剤とを含有する化学増幅型基質と、
ジアゾナフトキノン構造を含有する低分子材料である溶解抑制剤と、を含み、
前記ポリマー樹脂は、パラヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、またはパラヒドロキシスチレン系モノマーと、アクリル酸エステル系モノマーとを共重合して得られる樹脂である
ことを特徴とするフォトレジスト組成物。
【請求項2】
前記ポリマー樹脂は、酸不安定基を有する繰り返し単位を含有する
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
前記ポリマー樹脂の分子量は2000~100000であり、
前記フォトレジスト組成物に対する前記ポリマー樹脂の含有量が0.5~10重量%である
ことを特徴とする請求項2に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
前記溶解抑制剤は、ジアゾナフトキノン構造を2■10個有する基が、スルホン酸エステルの形態でフェノール性水酸基を2■10個有するポリフェノール骨格構造にグラフトされている分子である
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
前記溶解抑制剤の構造が以下の式III~式VIで示され、
【化1】

ただし、RがHまたは

であり、なお、RがすべてHではなく、Rが炭素数1~5のアルキル基であり、n=1~5、o=1~10、p=1~10、q=0~4である
ことを特徴とする請求項4に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
前記フォトレジスト組成物に対する前記溶解抑制剤の含有量が0.1~3重量%である
ことを特徴とする請求項5に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
前記光酸発生剤は、非イオン性スルホン酸エステル系構造またはイオン性オニウム塩系構造を有する化合物であり、
前記フォトレジスト組成物に対する前記光酸発生剤の含有量が0.1~5重量%である
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
前記溶剤は、酢酸n-ブチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセタートおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルのうちの1種または複数種の混合物である
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
前記フォトレジスト組成物に対する前記溶剤の含有量が80~99重量%である
ことを特徴とする請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
前記フォトレジスト組成物は、レベリング剤、界面活性剤および安定剤のうちの1種または複数種の混合物をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項11】
高解像度干渉フォトリソグラフィ、SP超回折フォトリソグラフィ、電子ビーム直接描画、I線プロキシミティフォトリソグラフィへの請求項1~10のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物の使用。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー樹脂と、光酸発生剤と、溶剤とを含有する化学増幅型基質と、
ジアゾナフトキノン構造を含有する低分子材料である溶解抑制剤と、を含み、
前記ポリマー樹脂は、パラヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、またはパラヒドロキシスチレン系モノマーと、アクリル酸エステル系モノマーとを共重合して得られる樹脂である
ことを特徴とするフォトレジスト組成物。
【請求項2】
前記ポリマー樹脂は、酸不安定基を有する繰り返し単位を含有する
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
前記ポリマー樹脂の分子量は2000~100000であり、
前記フォトレジスト組成物に対する前記ポリマー樹脂の含有量が0.5~10重量%である
ことを特徴とする請求項2に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
前記溶解抑制剤は、ジアゾナフトキノン構造を2~10個有する基が、スルホン酸エステルの形態でフェノール性水酸基を2~10個有するポリフェノール骨格構造にグラフトされている分子である
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
前記溶解抑制剤の構造が以下の式III~式VIで示され、
【化1】

ただし、RがHまたは

であり、なお、RがすべてHではなく、Rが炭素数1~5のアルキル基であり、n=1~5、o=1~10、p=1~10、q=0~4である
ことを特徴とする請求項4に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
前記フォトレジスト組成物に対する前記溶解抑制剤の含有量が0.1~3重量%である
ことを特徴とする請求項5に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
前記光酸発生剤は、非イオン性スルホン酸エステル系構造またはイオン性オニウム塩系構造を有する化合物であり、
前記フォトレジスト組成物に対する前記光酸発生剤の含有量が0.1~5重量%である
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
前記溶剤は、酢酸n-ブチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセタートおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルのうちの1種または複数種の混合物である
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
前記フォトレジスト組成物に対する前記溶剤の含有量が80~99重量%である
ことを特徴とする請求項8に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項10】
前記フォトレジスト組成物は、レベリング剤、界面活性剤および安定剤のうちの1種または複数種の混合物をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項11】
高解像度干渉フォトリソグラフィ、SP超回折フォトリソグラフィ、電子ビーム直接描画、I線プロキシミティフォトリソグラフィへの請求項1~10のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物の使用。
【国際調査報告】