(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】前駆体を処理チャンバに供給するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240628BHJP
C23C 16/448 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/448
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580615
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 US2021040118
(87)【国際公開番号】W WO2023277920
(87)【国際公開日】2023-01-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サン, ガンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】コー, ジェフリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】チャオ, ライ
(72)【発明者】
【氏名】スン, チョーリン
(72)【発明者】
【氏名】ベジャット, メヘラン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ, ミン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, ケンリック ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ホ, クァンス
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA01
4K030JA05
4K030JA09
4K030LA18
5F045AA03
5F045AA15
5F045AC11
5F045AC15
5F045AC16
5F045DP03
5F045EE01
5F045EE02
5F045EE04
5F045EE19
5F045GB06
(57)【要約】
本開示は、気化器およびリザーバを有する前駆体供給システムを提供することを対象とする。リザーバは気化器と流体連通している上流端を含む。リザーババルブはリザーバの下流端と流体連通しており、ファイナルバルブはリザーババルブの下流に配設される。緩衝ゾーンがリザーババルブとファイナルバルブとの間に画定される。第1のガス入口は緩衝ゾーンに結合される。第1のガス入口は緩衝バルブに結合される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆体供給システムであって、
気化器と、
前記気化器と流体連通している上流端を含むリザーバと、
前記リザーバの下流端と流体連通しているリザーババルブと、
前記リザーババルブの下流に配設されたファイナルバルブと、
前記リザーババルブと前記ファイナルバルブとの間に画定された緩衝ゾーンと、
前記緩衝ゾーンに結合される第1のガス入口であって、前記第1のガス入口は緩衝バルブに結合される、第1のガス入口と、を備える、前駆体供給システム。
【請求項2】
前記気化器の前記上流端に結合される液体流量コントローラ(LFC)をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記リザーバの前記下流端に近接する第1の圧力計をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記緩衝ゾーンに結合された第2の圧力計をさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記緩衝ゾーンに結合された排気バルブをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記緩衝バルブは三方バルブであり、前記緩衝バルブはフォアラインへ迂回するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ファイナルバルブは三方バルブであり、前記ファイナルバルブはフォアラインへ迂回するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ファイナルバルブは処理チャンバに連通結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記気化器と前記緩衝ゾーンとを流体結合するバイパスラインをさらに備え、前記バイパスラインはバイパスバルブを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前駆体を処理チャンバの処理領域に送給する方法であって、
リザーバが第1の圧力に達するまで前駆体を前記リザーバに送給することと、
開状態で位置しているリザーババルブを通して前記リザーバから緩衝ゾーンに前記前駆体を送給することであって、前記緩衝ゾーンは、前記リザーババルブとファイナルバルブとの間に画定される、前記前駆体を送給することと、
開状態で位置している前記ファイナルバルブを通して前記緩衝ゾーンから前記処理領域に前記前駆体を送給することと、
前記リザーババルブおよび前記ファイナルバルブのそれぞれを閉状態に切り換えることと、
開状態で位置している緩衝バルブを通して前記緩衝ゾーンに緩衝ガスを送給することと、
開状態で位置しているダイバータバルブを通して前記緩衝ガスをフォアラインに迂回させることと、
前記ダイバータバルブを閉状態に切り換えることと、
前記リザーババルブを閉状態に切り換えることと、を含む、方法。
【請求項11】
前記前駆体を前記リザーバに送給することは、前記リザーバの上流端に配設された補給バルブを通してガスを送給することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記前駆体を前記リザーバに送給することは、液体流量コントローラ(LFC)を開状態で位置付けることをさらに含み、前記LFCは前記リザーバの上流に配設される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記LFCは気化器の上流に配設され、前記気化器は前記リザーバの上流に配設される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記リザーババルブおよび下流の前記バルブは同時に開状態に位置する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記緩衝ゾーンは第2の圧力を含み、前記第2の圧力が前記リザーバの前記第1の圧力と実質的に同じまたはこれより10%低いとき、前記前駆体は前記緩衝ゾーンに送給される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記緩衝ガスは窒素含有ガスである、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記ダイバータバルブを閉状態に切り換えることは、前記緩衝ゾーンの圧力を増大させる、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記ファイナルバルブの出口に流体結合された下流入口を通して、1つまたは複数の追加のガスを導入することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
基板処理システムであって、
基板を処理するための処理領域を含む処理チャンバであって、前記処理チャンバはガス入口を有する、処理チャンバと、
前記ガス入口に流体結合されるガス分配アセンブリであって、
気化器、
前記気化器と流体連通している上流端を含むリザーバ、
前記リザーバの下流端と流体連通しているリザーババルブ、
前記リザーババルブの下流に配設されるファイナルバルブ、
前記リザーババルブと前記ファイナルバルブとの間に画定される緩衝ゾーン、および、
前記緩衝ゾーンに結合される緩衝ガス入口であって、前記緩衝ガス入口は緩衝バルブに結合される、緩衝ガス入口を含む、ガス分配アセンブリと、を備える、基板処理システム。
【請求項20】
前記ガス入口に流体結合される下流ガス入口をさらに備え、前記下流ガス入口は追加のプロセスガスを前記処理領域に供給するように構成される、請求項19に記載の基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般的に、基板を処理するためのプロセスガスを供給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜技術は、フラットパネル技術に向けた基板サイズなど、面積がますます広くなった基板に対する均一性をより良くするより薄い堆積層へと移行している。薄膜技術はまた、生産収率を大きくし生産性をより高める方へと移行している。スパッタまたは物理気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、および原子層堆積(ALD)の方法を含めて、基板上に薄膜を堆積させるためにさまざまなプロセスが使用される。
【0003】
ALDによって薄膜を形成しかつ成長させることは、基板の堆積表面での化学吸着による、反応性前駆体分子の飽和単層の形成を含む。ALDでは、反応性ガス前駆体が、処理チャンバ内へ交互にパルス化または注入される。反応性前駆体のそれぞれのパルスまたは注入は、不活性ガスパージによって分離される。前駆体注入は基板の表面に反応して、プロセスのそれぞれの全サイクルで新たな原子層を形成する。前駆体を処理チャンバに供給することは、通流タイミング制御を使用する。良好な通流タイミング制御を維持するために、前駆体は気化器から連続して解放されて、定常状態条件を維持する。気化器からの前駆体蒸気の連続した流れは、プロセス方策に従ってチャンバ内への流れが必要とされないときは排気される。チャンバフォアラインへの前駆体蒸気の迂回または排気は、良好なプロセスの均一性をもたらすが、使用される前駆体蒸気の量は大きい。さらに、気化器から前駆体をパルス化するまたは気化器から前駆体蒸気を連続して解放することによって、導管に沿った処理チャンバへの圧力降下が生じる。この圧力降下は凝縮の危険性を示している。
【0004】
よって、当技術分野では、処理中の前駆体蒸気の使用を低減し、凝縮の危険性を管理する一方、処理チャンバに対する流量制御を維持する前駆体蒸気供給システムが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態では、気化器およびリザーバを有する前駆体供給システムが提供される。リザーバは、気化器と流体連通している上流端を含む。リザーババルブは、リザーバの下流端と流体連通しており、リザーババルブの下流にファイナルバルブが配設される。リザーババルブとファイナルバルブとの間に緩衝ゾーンが画定される。第1のガス入口は緩衝ゾーンに結合される。第1のガス入口は緩衝バルブに結合される。
【0006】
いくつかの実施形態では、前駆体を処理チャンバの処理領域に送給する方法が提供される。方法は、リザーバが第1の圧力に達するまで前駆体をリザーバに送給することを含む。前駆体は、開状態で位置しているリザーババルブを通してリザーバから緩衝ゾーンに送給される。緩衝ゾーンは、リザーババルブとファイナルバルブとの間に画定される。前駆体は、開状態で位置しているファイナルバルブを通して緩衝ゾーンから処理領域に送給される。リザーババルブおよびファイナルバルブのそれぞれは、閉状態に切り換えられる。開状態で位置している緩衝バルブを通して緩衝ゾーンに緩衝ガスが送給される。緩衝ガスは、開状態で位置しているダイバータバルブを通してフォアラインに迂回させる。ダイバータバルブは閉状態に切り換えられ、リザーババルブは閉状態に切り換えられる。
【0007】
いくつかの実施形態では、基板を処理するための処理領域がある処理チャンバを有する基板処理システムが提供される。処理チャンバは、ガス入口と、ガス入口に流体結合されるガス分配アセンブリとを含む。ガス分配アセンブリは、気化器と、気化器と流体連通している上流端を有するリザーバと、リザーバの下流端と流体連通しているリザーババルブとを含む。ファイナルバルブはリザーババルブの下流に配設される。緩衝ゾーンは、リザーババルブとファイナルバルブとの間に画定され、緩衝ガス入口は緩衝ゾーンに結合される。緩衝ガス入口は緩衝バルブに結合される。
【0008】
本開示の上記に列挙した特徴が詳細に理解可能であるように、上に簡潔に要約された本開示のより詳細な説明は、一部が添付の図面で示されている実施形態を参照することによって得られ得る。しかしながら、添付の図面は、例示的な実施形態のみを示しているため、本発明の範囲を限定すると見なすべきではなく、他の等しく有効な実施形態を許容し得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態による前駆体供給システムの概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による前駆体を供給するための方法のフロー図である。
【
図3A】本開示の実施形態による、ガスを供給するための方法のさまざまな段階における前駆体供給システムの概略図である。
【
図3B】本開示の実施形態による、ガスを供給するための方法のさまざまな段階における前駆体供給システムの概略図である。
【
図3C】本開示の実施形態による、ガスを供給するための方法のさまざまな段階における前駆体供給システムの概略図である。
【
図3D】本開示の実施形態による、ガスを供給するための方法のさまざまな段階における前駆体供給システムの概略図である。
【
図4】本開示の実施形態による、前駆体を供給するための方法のさまざまな段階での前駆体供給システムにおける圧力のグラフ表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするように、図に共通する同一の要素を明示するために、可能な限り同一の参照符号が使用されている。1つの実施形態の要素および特徴は、有益には、さらに詳述することなく他の実施形態に組み込まれる場合があることが考えられる。
【0011】
本開示の実施形態は、気化器から処理チャンバまでの安定した前駆体供給を有する前駆体供給システムを提供する。この供給システムによって、スループットが向上し、処理効率が改善し、前駆体の浪費が低減し、前駆体供給ラインにおける凝縮が低減する。本開示の1つまたは複数の実施形態では、原子層堆積チャンバに関して説明される。しかしながら、前駆体供給システムは、プラズマエッチングチャンバ、化学気相堆積チャンバ、注入チャンバ、または他のチャンバなどの他のタイプの処理チャンバで有用である。とりわけ、本明細書に記載される前駆体供給システムは、精確な通流タイミング制御、および供給ラインにおける圧力降下が生じる凝縮の低減をもたらし、それによって、流れは、プロセス均一性および欠陥の低減を促進する非常に安定した前駆体供給を生じさせる、流量設定時間が皆無かそれに近くなるように迅速にパルス化され得る。前駆体供給システムは、他のガス供給システムで考えられるような、前駆体をフォアラインに投入することに頼らないことで、前駆体の浪費が少なくなる。
【0012】
図1は、前駆体供給システム100の概略図を示す。システム100は気化器102を含む。液体前駆体は、液体流量コントローラ(LFC)120を通して気化器102に送給される。いくつかの実施形態では、ガス源121を介したキャリアガスなどの他の流体が気化器102に送給される。リザーバ104は気化器102と流体連通しており、それによって、リザーバ104は気化器102の下流端に結合される。いくつかの実施形態では、補給バルブ122がリザーバ104の上流端に配設される。代替的には、前駆体は、補給バルブ122なしで気化器102から直接リザーバ104に送給される。他の供給システムはリザーバを使用せずに前駆体を供給する。リザーバを使用しないシステムが気化器から直接前駆体をパルス化することに頼っていることが分かるが、リザーバなしの気化器の応答時間がある特定のプロセスに対する前駆体のパルス化に追いつくほどには速くなく、これによって、不正確な通流タイミング制御が生じる。処理チャンバとフォアラインとの間の前駆体の流れを迅速に切り換えることによって前駆体をパルス化することが可能であることも分かっている。前駆体を迂回させることは前駆体を浪費する。リザーバを追加することはある特定の課題に対処するが、動作中、リザーバでは圧力が高まり、低圧のガスラインの下流においてより低い圧力まで開かれるとき、前駆体の温度は降下し、ライン内の凝縮を危険にさらす。理論にとらわれずに、流量制御バルブを調節し、かつバルブの連続した開閉の時間を調整することによって、圧力差およびガスラインにおける温度降下が低減されるため、凝縮の危険性が低減する。
【0013】
リザーババルブ126は、リザーバ104の下流に配設される。いくつかの実施形態では、第1の圧力計152は、リザーバ104の下流端、およびリザーババルブ126の上流に配設される。いくつかの実施形態では、第2の圧力計154は、リザーババルブ126の下流に配設される。バイパスバルブ124が配設されているバイパスラインは、ガスラインを、補給バルブ122の上流におよびリザーババルブ126の下流に、例えば、第2の圧力計154(図示せず)の下流にまたは第2の圧力計154の上流に流体結合する。バイパスラインによって、前駆体を、リザーバ104をバイパスして処理チャンバ106に搬送することが可能になる。緩衝ゾーン130は、リザーババルブ126とファイナルバルブ128との間に画定される。いくつかの実施形態では、第2の圧力計154は緩衝ゾーン130に結合される。第1のガス入口140は緩衝ゾーン130および緩衝バルブ132に結合される。第1のガス入口140は、窒素ガス、アルゴンガス、または他の非反応性ガスなどの緩衝ガスを供給することが可能である。
【0014】
いくつかの実施形態では、緩衝バルブ132は、排気に結合される三方バルブである。代替的には、フォアライン138は排気バルブ136に結合され、かつ真空バルブが開位置にあるとき、緩衝ゾーン130からフォアライン138に前駆体を排気するように構成される。ファイナルバルブ128は、排気バルブ136の下流でガスライン101に結合され、かつ処理チャンバ106に流体結合される。
【0015】
バルブ146を有するガスライン144およびバルブ148を有するガスライン142など、ガスラインにおけるバルブを有する追加のガス入口も考えられる。それぞれのガスライン142、144は、非反応性ガスを含めて、亜酸化窒素(N2O)、酸素(O2)、アルゴン、または他のプロセスガスなどのプロセスガスを供給することが可能である。いくつかの実施形態では、フィルタ129が、ファイナルバルブ128の下流でガスライン101に結合される。代替的には、フィルタ129は気化器102とリザーバ104との間に配設される。いくつかの実施形態では、ファイナルバルブ128は、前駆体をフォアライン150に迂回させるように動作可能である三方バルブである。いくつかの実施形態では、フォアライン150をフォアライン138の代わりに使用して前駆体を排気する。いくつかの実施形態では、ファイナルバルブ128は、二方バルブであり、フォアライン150に結合されない。ガスライン101は入口109で処理チャンバ106に結合される。前駆体は、処理チャンバ106の処理領域114内で基板支持体108上に配設された基板112にわたって分布させる。いくつかの実施形態では、前駆体はガス供給アセンブリ110を使用して分布させる。
【0016】
図1に示される前駆体供給システム100は、
図2を参照して説明される方法200などの方法に従って処理チャンバ106に前駆体を供給するのに有用である。方法200のある特定の工程が、
図3A~
図3Dを参照して示されている。工程202において、リザーバ104が第1の圧力に達するまで前駆体がリザーバ104に送給される。いくつかの実施形態では、第1の圧力は、リザーバ104の下流端に配設された第1の圧力計152によって測定される。いくつかの実施形態では、第2の圧力計154によって測定される緩衝圧力は、第1の圧力計152によって測定されるリザーバ圧力よりわずかに低い。いくつかの実施形態では、第2の圧力がリザーバの第1の圧力と実質的に同じまたはこれより約10%低い、例えば、1%~約10%低いとき、前駆体が緩衝ゾーンに送給される。前駆体は、リザーバ104の上流端に配設された補給バルブ122を通して気化器102から送給される。いくつかの実施形態では、前駆体は、補給バルブ122がなく、または一定の開状態での補給バルブ122を有して、気化器102からリザーバ104に直接送給される。いくつかの実施形態では、前駆体をリザーバに送給することは、液体流量コントローラ(LFC)を開状態で位置付けることを含み、LFCは、気化器102の上流など、リザーバの上流に配設される。
【0017】
工程204では、
図3Aに示されるように、前駆体は、開状態で位置しているリザーババルブ126を通してリザーバ104から緩衝ゾーンに送給される。緩衝ゾーンはリザーババルブとファイナルバルブとの間に画定される。緩衝バルブ132およびダイバータバルブ136はそれぞれ、閉状態のままである。いくつかの実施形態では、ファイナルバルブ128は閉状態で位置している。工程206では、
図3Aに示されるように、前駆体は、開状態で位置しているファイナルバルブを通して緩衝ゾーンから処理領域に送給される。いくつかの実施形態では、ファイナルバルブ128が閉状態から開状態に切り換えられるのと実質的に同時に、リザーババルブ126を閉状態から開状態に切り換えることで、工程204および206はそれぞれ実質的に同時に行われる。理論にとらわれずに、緩衝ガスが低圧まで放出され、前駆体を抜き出して低減した圧力降下で流れることが考えられる。工程204および206は、プロセス方策に応じて、約100ミリ秒~約2秒、例えば、約300ミリ秒~5ミリ秒間行われる。緩衝ガスは、窒素ガス(N
2)などの窒素含有ガスといった任意の非反応性ガスである。いくつかの実施形態では、緩衝ガスはアルゴンガスを含む。
【0018】
工程208では、
図3Bに示されるように、リザーババルブ126およびファイナルバルブ128のそれぞれは、閉状態に切り換えられる。リザーババルブ126およびファイナルバルブ128は両方共、前駆体の流れを停止するために実質的に同時に閉められる。工程210では、
図3Bに示されるように、緩衝ガスは開状態で位置している緩衝バルブ132を通して緩衝ゾーンに送給される。工程212では、
図3Bに示されるように、緩衝ガスは、開状態で位置しているダイバータバルブ136を通してフォアラインに迂回させる。いくつかの実施形態では、工程208、210、および212はそれぞれ実質的に同時に行われる。緩衝ゾーンにおける残りの前駆体は排気するために迂回させる。いくつかの実施形態では、リザーババルブ126およびファイナルバルブ128は、工程208において、約0.5秒~約3秒、例えば、約1秒~約2秒間閉状態にある。いくつかの実施形態では、工程210および212において、緩衝ガスは緩衝バルブ132を通して緩衝ゾーンに送給され、かつ約50ミリ秒~約550ミリ秒、例えば、約100ミリ秒~約500ミリ秒間ダイバータバルブ136を通して迂回させる。工程210および212は、それぞれが全体的に同時に、またはそれぞれが少なくとも部分的に同時に行われる。いくつかの実施形態では、緩衝ゾーンに前駆体が実質的にないときに工程214が開始される。いくつかの実施形態では、リザーババルブが閉められるときリザーバ圧力が増大する。いくつかの実施形態では、リザーバ内の圧力は、リザーバ104の上流に配設された補給バルブ122を使用して制御される。例えば、リザーバの圧力が所定の圧力を超えるとき、補給バルブ122は閉状態に切り換えられる。いくつかの実施形態では、リザーバの圧力が所定の圧力を下回って降下するとき、補給バルブ122は開状態に切り換えられる。いくつかの実施形態では、補給バルブ122およびLFC120が開状態に切り換えられることで、工程212などの間に、前駆体がリザーバに補給される。補給バルブ122を使用してリザーバ圧力を制御する。理論にこだわらずに、ガス交換が早いプロセスでは、LFCは、リザーバにおけるサイクル間圧力変動を生じさせる比較的長い応答時間を有し得ることが考えられる。補給バルブ122を使用することによって、リザーバにおける圧力変動が低下し、その代わりに、気化器102内では圧力変動はそのままである。代替的には、補給バルブ122は使用されず、LFC129は常に開状態にあり、気化器102はリザーバ104を連続して満たす。いくつかの実施形態では、工程202~212全ての間、補給バルブ122は開状態にある。いくつかの実施形態では、工程208、210、および212の間、緩衝ゾーンの圧力は維持される。
【0019】
工程214では、
図3Cに示されるように、ダイバータバルブ136は閉状態に切り換えられる。いくつかの実施形態では、ダイバータバルブ136は、残りの前駆体が緩衝ゾーンから排出されると、閉状態に切り換えられる。いくつかの実施形態では、緩衝バルブ132は、緩衝ゾーン130を加圧するために開状態のままである。いくつかの実施形態では、工程214は、約0.5秒~約2.5秒、例えば、約0.9秒~約1.9秒、例えば、プロセス方策に応じて約1.2秒~約1.7秒間行われる。
【0020】
工程216では、
図3Dに示されるように、緩衝バルブ132は閉状態に切り換えられる。いくつかの実施形態では、緩衝バルブ132は、緩衝ゾーンが最高設計圧力などの所定の圧力に達するとき、閉状態に切り換えられる。よって、リザーバ出口における一時的な圧力降下が最小化されるため、凝縮は低減される。いくつかの実施形態では、ファイナルバルブの出口に流体結合された下流入口を通して、1つまたは複数の追加のガスが送給される。
【0021】
工程202~216は周期的に繰り返される。いくつかの実施形態では、工程202から工程215までのサイクル時間は、約1.5秒~約5秒、例えば、約2秒~約3秒である。
【実施例】
【0022】
図4は、本開示の実施形態による、前駆体を供給するための方法200などの方法のさまざまな段階での前駆体供給システムにおける圧力のグラフ表示を示す。曲線PG1は、経時的な第1の圧力計152におけるリザーバ104の圧力を表す。曲線PG2は、経時的な第2の圧力計154における緩衝ゾーン130の圧力を表す。曲線402は、リザーババルブが経時的に閉位置に位置している閉状態412、およびリザーババルブが経時的に開位置に位置しているときの開状態422を含む、リザーババルブ126の状態を表す。曲線404は、閉状態414および開状態424を含む、緩衝バルブ132の状態を表す。曲線406は、閉状態416および開状態426を含む、ファイナルバルブ128の状態を表す。曲線408は、閉状態418および開状態428を含む、ダイバータバルブ136の状態を表す。
【0023】
時間t0、t1、t2、t3、およびt4は、方法200において説明される作業工程に対応する。とりわけ、t0の前に、リザーバ、緩衝器、およびファイナルバルブのそれぞれは、工程202などにおいて閉位置にある。t0において、リザーバ圧力(PG1)は、約30torrの設計圧力に達する。約20torr~約50torrの圧力などの他の設計圧力も、リザーバのサイズおよび前駆体タイプに基づいて考えられる。いくつかの実施形態では、t0において、リザーバ圧力および緩衝ゾーン圧力は、実質的に等しい、例えば、互いに10%以内にある。工程204および206において説明されるように、リザーババルブおよびファイナルバルブはそれぞれ、開状態に位置付けられるが、緩衝バルブおよびダイバータバルブはそれぞれ、閉状態のままである。t0とt1との間で見ることができるように、リザーバの圧力および緩衝ゾーンの圧力は低減される。t1において、工程208、210、および212において説明されるように、リザーババルブおよびファイナルバルブはそれぞれ、閉状態に切り換えられるが、緩衝バルブおよびダイバータバルブはそれぞれ、開状態に切り換えられる。これによって、リザーバ圧力PG1は上昇することになるが、緩衝ゾーン圧力PG2は、t1とt2との間で実質的に維持される。t2において、工程214において説明されるように、ダイバータバルブは閉状態に切り換えられる。t2とt3との間で、リザーバ圧力は増大し続け、緩衝ゾーン圧力は増大する。t3において、工程216において説明されるように、緩衝バルブは閉状態に切り換えられる。t4において、緩衝ゾーンの圧力PG2がリザーバの圧力PG1に実質的に等しいまたはこれよりわずかに低いとき、工程はt0から繰り返される。t0~t4で見ることができるように、リザーバ出口圧力PG1および緩衝ゾーン圧力PG2は常に互いに20%以内で、例えば、10%以内で、例えば、互いに5%以内で維持される。
【0024】
まとめると、気化器から処理チャンバまでの安定した前駆体供給を有する前駆体供給システムが提供される。この供給システムによって、スループットが向上し、処理効率が改善し、前駆体の浪費が低減し、前駆体供給ラインにおける凝縮が低減する。本明細書に記載される前駆体供給システムは、精確な通流タイミング制御、および供給ラインにおける圧力降下によって引き起こされる凝縮の低減をもたらし、それによって、流れは、流量設定時間を皆無かそれに近くすることで、プロセス均一性および欠陥の低減を促進する非常に安定した前駆体供給がもたらされるように迅速にパルス化され得る。前駆体供給システムは、他のガス供給システムで考えられるような、前駆体をフォアラインに投入することに頼らないことで、前駆体の浪費が少なくなる。とりわけ、ガスラインにおいて配設されるリザーバおよび複数のバルブを使用することは、リザーバ圧力および緩衝ゾーン圧力をそれぞれ所定の圧力範囲内に、より重要なのは、互いに所定の圧力範囲内に維持することによって、プロセス制御の向上を可能にする。よって、リザーバ圧力が高いとき、バルブは開状態と閉状態との間で切り換えられる。ガスラインのある特定のエリア(例えば、緩衝ゾーン)は、リザーバをガスラインまで開く前などに緩衝ガスを使用して加圧されることで、処理のさまざまな段階におけるリザーバからガスラインへの圧力降下が低減する。それぞれのバルブを開状態から閉状態に切り換えることは、プロセス方策に基づいて時間が調整され、または、緩衝ゾーン内の圧力計表示値に基づいて自動的に切り換えられる。前駆体通流タイミング制御は大幅に向上し、ガスラインにわたる圧力差も高められて、圧力降下と関連付けられた凝縮が低減する。
【0025】
前述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他のおよびさらなる実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく考案されてよく、本開示の範囲は以下の特許請求の範囲によって判断される。
【国際調査報告】