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特表2024-524549物理的気相堆積ウェブコーティング用のクローズカップルディフューザー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】物理的気相堆積ウェブコーティング用のクローズカップルディフューザー
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20240628BHJP
   C23C 14/56 20060101ALI20240628BHJP
   H01M 4/1395 20100101ALN20240628BHJP
【FI】
C23C14/24 A
C23C14/24 C
C23C14/56 A
H01M4/1395
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500244
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 US2022031096
(87)【国際公開番号】W WO2023282988
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】63/219,928
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イシカワ, デーヴィッド マサユキ
(72)【発明者】
【氏名】アーチャーリヤ, スメド ダッタトラヤ
(72)【発明者】
【氏名】シヴァラマクリシュナン, ヴィスウェスウォレン
【テーマコード(参考)】
4K029
5H050
【Fターム(参考)】
4K029AA02
4K029AA11
4K029AA25
4K029BA01
4K029CA01
4K029DA04
4K029DA08
4K029DB03
4K029DB12
4K029DB13
4K029DB14
4K029DB18
4K029JA02
4K029JA10
4K029KA03
5H050AA19
5H050BA16
5H050CB12
5H050GA24
5H050GA29
(57)【要約】
反応性堆積プロセス、反応性堆積装置、および反応性堆積の方法のためのガスを供給するための蒸発システムが提供される。蒸発システムは、ウェブ基板の片面または両面の連続するロール・ツー・ロールコーティングまたはバッチコーティング用のマルチゾーンディフューザーアセンブリを含む。ディフューザーアセンブリは、コーティングドラムの少なくとも一部分を収容するように大きさを決められる。ディフューザーアセンブリは、複数の交換可能な中実プレートおよび蒸発した材料をウェブ基板に向けて放出するためのディフューザープレートを含む。ディフューザープレートは、蒸発源と流体結合される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の上面および前記第1の上面の第1の端部から前記第1の上面の第2の端部へと延びる第1の円弧状面を有する第1の半円形側壁と、
前記第1の半円形側壁に対向し、第2の上面および前記第2の上面の第1の端部から前記第2の上面の第2の端部へと延びる第2の円弧状面を有する第2の半円形側壁と、
前記第1の半円形側壁の前記第1の円弧状面から前記第2の半円形側壁の前記第2の円弧状面へと延びる複数の直線状のレールであって、各々の直線状のレールが隣接する直線状のレールに平行に設置される、複数の直線状のレールと、
前記複数の直線状のレールのうちの第1の直線状のレールから第2の直線状のレールへと延びる複数のプレートであって、前記複数のプレートが前記第1の上面の第1の端部から前記第1の上面の第2の端部へと延びる外周面の少なくとも一部分を画定し、前記プレートのうちの少なくとも1つが蒸発した材料を放出するための複数の排出開口部を有する第1のディフューザープレートであり、前記複数の排出開口部が前記蒸発した材料によりコーティングされるべきウェブ材料の進行方向に、制御された蒸気欠乏のために配置され大きさを決められる、複数のプレートと
を備える、ディフューザーアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の半円形側壁、前記第2の半円形側壁、および前記外周面がコーティングドラムの一部分を収容するように大きさを決められたボリュームを画定する、請求項1に記載のディフューザーアセンブリ。
【請求項3】
前記複数のプレートの各々のプレートが、前記複数のプレートのうちの他のプレートに対して独立した温度制御を実施可能である、請求項1に記載のディフューザーアセンブリ。
【請求項4】
前記複数のプレートが、前記第1の直線状のレールおよび前記第2の直線状のレールにスライド可能に取り付けられる、請求項1に記載のディフューザーアセンブリ。
【請求項5】
前記複数のプレートが、
前記第1の半円形側壁に隣接して設置され、前記第1の直線状のレールから前記第2の直線状のレールへと延びる第1の中実プレートと、
前記第2の半円形側壁に隣接して設置され、前記第1の直線状のレールから前記第2の直線状のレールへと延びる第2の中実プレートと、
前記蒸発した材料を放出するように動作可能な前記複数の排出開口部を有し、前記第1の中実プレートと前記第2の中実プレートとの間に設置された前記第1のディフューザープレートと
を備える、請求項1に記載のディフューザーアセンブリ。
【請求項6】
前記複数のプレートが、
前記第1の半円形側壁に隣接して設置され、前記第1の直線状のレールから前記第2の直線状のレールへと延びる第2のディフューザープレートと、
前記第2の半円形側壁に隣接して設置され、前記第1の直線状のレールから前記第2の直線状のレールへと延びる第3のディフューザープレートと、
前記第2のディフューザープレートと前記第3のディフューザープレートとの間に設置された前記第1のディフューザープレートと
を備える、請求項1に記載のディフューザーアセンブリ。
【請求項7】
前記複数の直線状のレールが、
前記第1の直線状のレールに隣接して設置された前記複数の直線状のレールのうちの第3の直線状のレールと、
前記第2の直線状のレールから前記第3の直線状のレールへと延びる第2の複数のプレートであって、前記第2の複数のプレートが前記外周面の少なくとも一部分を画定し、前記第2の複数のプレートのうちの少なくとも1つの前記プレートが前記蒸発した材料を放出するように動作可能な複数の排出開口部を有する第2のディフューザープレートである、第2の複数のプレートと
をさらに備える、請求項1に記載のディフューザーアセンブリ。
【請求項8】
第1の上面および前記第1の上面の第1の端部から前記第1の上面の第2の端部へと延びる第1の円弧状面を有する第1の半円形側壁と、
前記第1の半円形側壁に対向し、第2の上面および前記第2の上面の第1の端部から前記第2の上面の第2の端部へと延びる第2の円弧状面を有する第2の半円形側壁と、
前記第1の半円形側壁の前記第1の円弧状面から前記第2の半円形側壁の前記第2の円弧状面へと延びる複数の直線状のレールであって、各々の直線状のレールが隣接する直線状のレールに平行に設置される、複数の直線状のレールと、
前記複数の直線状のレールのうちの第1の直線状のレールから第2の直線状のレールへと延びる複数のプレートであって、前記複数のプレートが前記第1の上面の第1の端部から前記第1の上面の第2の端部へと延びる外周面の少なくとも一部分を画定し、前記プレートのうちの少なくとも1つが蒸発した材料を放出するように動作可能な複数の排出開口部を有する第1のディフューザープレートである、複数のプレートと
を備える、ディフューザーアセンブリと、
前記第1のディフューザープレートと流体結合され、蒸発されるべき材料を保持するように動作可能なるつぼと
を備える、蒸発アセンブリ。
【請求項9】
前記るつぼが、フラッシュ蒸発用に動作可能である、請求項8に記載の蒸発アセンブリ。
【請求項10】
前記第1の半円形側壁、前記第2の半円形側壁、および前記外周面が、コーティングドラムの一部分を収容するように大きさを決められたボリュームを画定する、請求項8に記載の蒸発アセンブリ。
【請求項11】
前記複数のプレートが、前記第1の直線状のレールおよび前記第2の直線状のレールにスライド可能に取り付けられる、請求項8に記載の蒸発アセンブリ。
【請求項12】
前記複数のプレートの各々のプレートが、前記複数のプレートのうちの他のプレートに対する独立した温度制御のために構成され、
前記複数の排出開口部が、前記蒸発した材料によりコーティングされるべきウェブ材料の進行方向に、制御された蒸気欠乏のために配置され大きさを決められる、または
これらの組合せである、
請求項8に記載の蒸発アセンブリ。
【請求項13】
前記複数のプレートが、
前記第1の半円形側壁に隣接して設置され、前記第1の直線状のレールから前記第2の直線状のレールへと延びる第1の中実プレートと、
前記第2の半円形側壁に隣接して設置され、前記第1の直線状のレールから前記第2の直線状のレールへと延びる第2の中実プレートと、
前記第1の中実プレートと前記第2の中実プレートとの間に設置され、前記蒸発した材料を放出するように動作可能な前記複数の排出開口部を有する前記第1のディフューザープレートと
を備える、請求項8に記載の蒸発アセンブリ。
【請求項14】
前記複数のプレートが、
前記第1の半円形側壁に隣接して設置され、前記第1の直線状のレールから前記第2の直線状のレールへと延びる第2のディフューザープレートと、
前記第2の半円形側壁に隣接して設置され、前記第1の直線状のレールから前記第2の直線状のレールへと延びる第3のディフューザープレートと、
前記第2のディフューザープレートと前記第3のディフューザープレートとの間に設置された前記第1のディフューザープレートと
を備える、請求項8に記載の蒸発アセンブリ。
【請求項15】
前記複数の直線状のレールが、
前記第1の直線状のレールに隣接して設置された前記複数の直線状のレールのうちの第3の直線状のレールと、
前記第2の直線状のレールから前記第3の直線状のレールへと延びる第2の複数のプレートであって、前記第2の複数のプレートが前記外周面の少なくとも一部分を画定し、前記第2の複数のプレートのうちの少なくとも1つの前記プレートが前記蒸発した材料を放出するように動作可能な複数の排出開口部を有する第2のディフューザープレートである、第2の複数のプレートと
をさらに備える、請求項8に記載の蒸発アセンブリ。
【請求項16】
連続するフレキシブル基板が堆積面上を進むと同時に蒸発した材料が前記連続するフレキシブル基板上へと堆積される堆積面を有するコーティングドラムと、
第1の上面および前記第1の上面の第1の端部から前記第1の上面の第2の端部へと延びる第1の円弧状面を有する第1の半円形側壁と、
前記第1の半円形側壁に対向し、第2の上面および前記第2の上面の第1の端部から前記第2の上面の第2の端部へと延びる第2の円弧状面を有する第2の半円形側壁と、
前記第1の半円形側壁の前記第1の円弧状面から前記第2の半円形側壁の前記第2の円弧状面へと延びる複数の直線状のレールであって、各々の直線状のレールが隣接する直線状のレールに平行に設置される、複数の直線状のレールと、
前記複数の直線状のレールのうちの第1の直線状のレールから第2の直線状のレールへと延びる複数のプレートであって、前記複数のプレートが前記第1の上面の第1の端部から前記第1の上面の第2の端部へと延びる外周面の少なくとも一部分を画定し、前記プレートのうちの少なくとも1つが前記蒸発した材料を前記連続するフレキシブル基板へ放出するように動作可能な複数の排出開口部を有する第1のディフューザープレートであり、前記第1の半円形側壁、前記第2の半円形側壁、および前記外周面が前記コーティングドラムの一部分を収容するように大きさを決められたボリュームを画定する、複数のプレートと
を備える、ディフューザーアセンブリと、
前記第1のディフューザープレートと流体結合され、前記蒸発した材料を形成するために加熱される材料を保持するように動作可能なるつぼと
を備える、反応性堆積用のシステム。
【請求項17】
前記複数のプレートが、前記第1の直線状のレールおよび前記第2の直線状のレールにスライド可能に取り付けられ、
前記複数のプレートの各々のプレートが、前記複数のプレートのうちの他のプレートに対する独立した温度制御のために構成され、
前記複数の排出開口部が、前記蒸発した材料によりコーティングされるべきウェブ材料の進行方向に、制御された蒸気欠乏のために配置され大きさを決められる、または
これらの組合せである、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数のプレートが、
前記第1の半円形側壁に隣接して設置され、前記第1の直線状のレールから前記第2の直線状のレールへと延びる第1の中実プレートと、
前記第2の半円形側壁に隣接して設置され、前記第1の直線状のレールから前記第2の直線状のレールへと延びる第2の中実プレートと、
前記第1の中実プレートと前記第2の中実プレートとの間に設置され、前記蒸発した材料を放出するように動作可能な前記複数の排出開口部を有する前記第1のディフューザープレートと
を備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数のプレートが、
前記第1の半円形側壁に隣接して設置され、前記第1の直線状のレールから前記第2の直線状のレールへと延びる第2のディフューザープレートと、
前記第2の半円形側壁に隣接して設置され、前記第1の直線状のレールから前記第2の直線状のレールへと延びる第3のディフューザープレートと、
前記第2のディフューザープレートと前記第3のディフューザープレートとの間に設置された前記第1のディフューザープレートと
を備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数の直線状のレールが、
前記第1の直線状のレールに隣接して設置された前記複数の直線状のレールのうちの第3の直線状のレールと、
前記第2の直線状のレールから前記第3の直線状のレールへと延びる第2の複数のプレートであって、前記第2の複数のプレートが前記外周面の少なくとも一部分を画定し、前記第2の複数のプレートのうちの少なくとも1つの前記プレートが前記蒸発した材料を放出するように動作可能な複数の排出開口部を有する第2のディフューザープレートである、第2の複数のプレートと
をさらに備える、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は全体として、反応性堆積プロセス、反応性堆積装置、および反応性堆積の方法のためにガスを供給するための蒸発システムに関する。特に、本開示は全体として、ウェブ基板の片面または両面の連続するロール・ツー・ロールコーティングまたはバッチコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルムまたはフォイルなどのフレキシブル基板の処理は、パッケージング産業、半導体産業および他の産業では需要が高い。処理は、金属などの選択された材料を用いたフレキシブル基板のコーティングを含むことがある。これらのコーティングの経済的な生産は、製品にとって必要な厚さ均一性、コーティング材料の反応性、コーティング材料のコスト、およびコーティング材料の堆積速度によりしばしば制限される。最も需要の高い用途は、コーティング厚さの精密な制御のための真空チャンバ内の堆積を一般に含む。真空コーティング機器の高い資本コストは、大規模商業用途にとってコーティング面積の高いスループットを必要とする。単位時間当たりのコーティング面積は、コーティングされる基板の幅およびコーティング材料の真空堆積速度に典型的には比例する。
【0003】
大きな真空チャンバを利用できるプロセスは、莫大な経済的優位性を有する。真空コーティングチャンバ、基板処理作業および取扱作業機器、ならびに真空引き能力は、チャンバサイズとともに比例よりも小さいコストの上昇であり、それゆえに、一定の堆積速度およびコーティング設計に関する最も経済的なプロセスは、利用可能な最大の基板を利用することになる。より大きな基板が一般に製造され、コーティングプロセスが終了した後で個別の部品へと分割されてもよい。連続するウェブから製造される製品の場合、ウェブは、スリットまたは最終製品寸法もしくはその後の製造作業に適したより狭いウェブのいずれかに切断されるシートである。
【0004】
真空チャンバ内の反応性堆積で使用される1つの技術は、熱蒸着である。熱蒸着は、ソース材料が冷たい基板上での凝結のために十分な蒸気フラックスがソースからある場合に、ある温度まで蓋のないるつぼ内で加熱されるときに容易に行われる。ソース材料は、るつぼを加熱することによって間接的に、またはるつぼにより閉じ込められたソース材料へと向けられた大電流電子ビームにより直接加熱されてもよい。熱蒸着は典型的には、高温で行われる。ウェブ取扱いシステムは、言うまでもなく、例えば、リチウムなどの金属材料の安全な熱蒸着の両面コーティングを典型的にはできない。
【0005】
したがって、デバイス性能、歩留り、安全性、スループット、およびコストに関して大量生産目的を満足できる方法およびシステムに対する必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示は全体として、反応性堆積プロセス、反応性堆積装置、および反応性堆積の方法のためにガスを供給するための蒸発システムに関する。とりわけ、本開示は全体として、ウェブ基板の片面または両面の連続するロール・ツー・ロールコーティングまたはバッチコーティング用のマルチゾーンディフューザーに関する。
【0007】
1つの態様では、ディフューザーアセンブリが提供される。上記ディフューザーアセンブリは、第1の上面および上記第1の上面の第1の端部から上記第1の上面の第2の端部へと延びる第1の円弧状面を有する第1の半円形側壁を含む。上記ディフューザーアセンブリは、上記第1の半円形側壁に対向し、第2の上面および上記第2の上面の第1の端部から上記第2の上面の第2の端部へと延びる第2の円弧状面を有する第2の半円形側壁をさらに含む。上記ディフューザーアセンブリは、上記第1の半円形側壁の上記第1の円弧状面から上記第2の半円形側壁の上記第2の円弧状面へと延びる複数の直線状のレールであって、各々の直線状のレールが、隣接する直線状のレールに平行に設置される、複数の直線状のレールをさらに含む。上記ディフューザーアセンブリは、上記複数の直線状のレールのうちの第1の直線状のレールから第2の直線状のレールへと延びる複数のプレートであって、上記複数のプレートが上記第1の上面の第1の端部から上記第1の上面の第2の端部へと延びる外周面の少なくとも一部分を画定し、上記プレートのうちの少なくとも1つが蒸発した材料を放出するための複数の排出開口部を有する第1のディフューザープレートである、複数のプレートをさらに含む。
【0008】
もう1つの態様では、蒸発アセンブリが提供される。上記蒸発アセンブリは、ディフューザーアセンブリを含む。上記ディフューザーアセンブリは、第1の上面および上記第1の上面の第1の端部から上記第1の上面の第2の端部へと延びる第1の円弧状面を有する第1の半円形側壁を含む。上記ディフューザーアセンブリは、上記第1の半円形側壁に対向し、第2の上面および上記第2の上面の第1の端部から上記第2の上面の第2の端部へと延びる第2の円弧状面を有する第2の半円形側壁をさらに含む。上記ディフューザーアセンブリは、上記第1の半円形側壁の上記第1の円弧状面から上記第2の半円形側壁の上記第2の円弧状面へと延びる複数の直線状のレールであって、各々の直線状のレールが、隣接する直線状のレールに平行に設置される、複数の直線状のレールをさらに含む。上記ディフューザーアセンブリは、上記複数の直線状のレールのうちの第1の直線状のレールから第2の直線状のレールへと延びる複数のプレートであって、上記複数のプレートが上記第1の上面の第1の端部から上記第1の上面の第2の端部へと延びる外周面の少なくとも一部分を画定し、上記プレートのうちの少なくとも1つが蒸発した材料を放出するように動作可能な複数の排出開口部を有する第1のディフューザープレートである、複数のプレートをさらに含む。上記蒸発アセンブリは、上記第1のディフューザープレートと流体結合され、蒸発されるべき材料を保持するように動作可能なるつぼをさらに含む。
【0009】
さらにもう1つの態様では、反応性堆積のためのシステムが提供される。上記反応性システムは、連続するフレキシブル基板が堆積面上を進むと同時に蒸発した材料が上記連続するフレキシブル基板上へと堆積される堆積面を有するコーティングドラムを含む。上記システムは、ディフューザーアセンブリをさらに含む。上記ディフューザーアセンブリは、第1の上面および上記第1の上面の第1の端部から上記第1の上面の第2の端部へと延びる第1の円弧状面を有する第1の半円形側壁を含む。上記ディフューザーアセンブリは、上記第1の半円形側壁に対向し、第2の上面および上記第2の上面の第1の端部から上記第2の上面の第2の端部へと延びる第2の円弧状面を有する第2の半円形側壁をさらに含む。上記ディフューザーアセンブリは、上記第1の半円形側壁の上記第1の円弧状面から上記第2の半円形側壁の上記第2の円弧状面へと延びる複数の直線状のレールであって、各々の直線状のレールが、隣接する直線状のレールに平行に設置される、複数の直線状のレールをさらに含む。上記ディフューザーアセンブリは、上記複数の直線状のレールのうちの第1の直線状のレールから第2の直線状のレールへと延びる複数のプレートをさらに含む。上記複数のプレートが、上記第1の上面の第1の端部から上記第1の上面の第2の端部へと延びる外周面の少なくとも一部分を画定する。上記プレートのうちの少なくとも1つが、上記蒸発した材料を上記連続するフレキシブル基板へ放出するように動作可能な複数の排出開口部を有する第1のディフューザープレートである。上記第1の半円形側壁、上記第2の半円形側壁、および上記外周面が、上記コーティングドラムの一部分を収容するように大きさを決められたボリュームを画定する。上記システムは、上記第1のディフューザープレートと流体結合され、上記蒸発した材料を形成するために加熱される材料を保持するように動作可能なるつぼをさらに含む。
【0010】
もう1つの態様では、非一過性コンピュータ可読媒体は、命令を記憶しており、上記命令は、プロセッサにより実行されるときに、上記の装置および/または方法の作業をプロセスに実行させる。
【0011】
本開示の上記の列挙した特徴が詳細に理解され得るように、特に、上に簡単に要約した実装形態の説明が、実装形態のいくつかが添付の図面に図示される実装形態を参照して行われることがある。しかしながら、添付した図面は、この開示の典型的な実装形態だけを図示し、それゆえに、開示が他の同等に有効な実装形態を認めてもよいために、この開示の範囲を限定すると考えられるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の1つまたは複数の実装形態による蒸発アセンブリを有する蒸発装置の模式的側面図である。
図2】本開示の1つまたは複数の実装形態によるディフューザーアセンブリの斜視図である。
図3】本開示の1つまたは複数の実装形態による図2のディフューザーアセンブリの斜視図である。
図4】本開示の1つまたは複数の実装形態による図3のディフューザーアセンブリの一部分の拡大した斜視図である。
図5】本開示の1つまたは複数の実装形態による熱蒸発器の模式断面図である。
図6】本開示の1つまたは複数の実装形態による図5の熱蒸発器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解を容易にするために、同一の参照番号が、可能な場合に、複数の図に共通である同一の要素を明確に示すために使用されている。1つの実装形態の要素および特徴がさらに詳述せずに他の実装形態に有利に取り込まれてもよいことが考えられる。
【0014】
本開示の様々な実装形態がここで詳細に言及され、その1つまたは複数の例が、図に図示される。図面の下記の説明では、同じ参照番号は、同じ構成要素を参照する。一般に、個々の実装形態についての相違だけが説明される。各々の例は、本開示の説明として与えられ、本開示の限定としての意味はない。さらに、1つの実装形態の一部として図示されるまたは説明される特徴は、さらなる実装形態をさらにもたらすために他の実装形態でまたはとともに使用されてもよい。説明は、このような変更形態および変形形態を含むものである。
【0015】
図に示された詳細、寸法、角度および他の特徴のうちの多くは、特定の実装形態の単に例示に過ぎない。したがって、他の実装形態は、本開示の趣旨または範囲から乖離せずに他の詳細、構成要素、角度および特徴を有することができる。加えて、開示のさらなる実装形態は、下記に説明される詳細のうちのいくつかを用いずに実行されてもよい。
【0016】
いくつかの実装形態によれば、基板上の、例えばフレキシブル基板上の層堆積のための蒸発プロセスおよび蒸発装置が提供される。このように、フレキシブル基板は、とりわけ、プラスチック材料、金属または他の材料のフィルム、フォイル、ウェブ、ストリップを含むように考えられてもよい。典型的に、「ウェブ」、「フォイル」、「ストリップ」、「基板」等の用語は、同義的に使用される。いくつかの実装形態によれば、本明細書において説明する実装形態による蒸発プロセス用の構成要素、蒸発プロセス用の装置および蒸発プロセスが、上に説明したフレキシブル基板用に提供されてもよい。しかしながら、これらはまた、蒸発源からの反応性堆積プロセスを受けるガラス基板、等などの非フレキシブル基板とともに提供されてもよい。
【0017】
エネルギーストレージデバイス、例えば、Liイオン電池は典型的に、液体電解質とともにポリマセパレータにより分離された正極(例えば、カソード)および負極を含む。固体電池もまた典型的には、正極(例えば、カソード)および負極(例えば、アノード)を含むが、ポリマセパレータおよび液体電解質の両方をイオン導電性材料で置き換える。アノードは、重量で5パーセントのポリマバインダとともに保持されそして8から18ミクロン厚の銅フォイルの両面に約30パーセントの気孔率で20から100ミクロン、例えば、50から80ミクロンの厚さに圧縮された直径で1から10ミクロンのグラファイト粉末を使用して製造されてもよい。アノードは、リチウム金属アノードであってもよい。
【0018】
リチウム系のエネルギーストレージデバイスの比エネルギーおよびエネルギー密度は、カソードからのリチウムの5から20パーセントがアノードのところで固体電解質界面(「SEI」)形成により消費されるときに、最初のサイクルの充電中の活性リチウム損失のために明らかに下落する。
【0019】
最初のサイクルの充電に先立つアノードプレリチウム化は、活性リチウム損失を補償するための一般的な方策である。加えて、プレリチウム化は、リチウム系のエネルギーストレージデバイスへの他の性能および信頼性の優位性を提供する。例えば、プレリチウム化は、リチウム系のエネルギーストレージデバイスインピーダンスを減少できしたがって換算処理能力を向上できる。さらに、シリコン(Si)系のアノードに関して、プレリチウム化は、アノードの機械的安定性を高めるためにシリコンを予め膨張させることによってシリコンのクラッキングおよび粉砕を緩和できる。
【0020】
様々なアノードプレリチウム化法が存在する。これらのプレリチウム化法は、例えば、化学プレリチウム化、電気化学プレリチウム化、リチウム金属への直接接触によるプレリチウム化、および安定化させたリチウム金属粉末(「SLMP」)を含む。これらのプレリチウム化法は、大量のリチウム系のエネルギーストレージデバイス製造にとって適切でない長い反応時間および本来持っている安全性リスクなどの一般的な大量のリチウム系のエネルギーストレージデバイスを製造する欠点を共有する。
【0021】
典型的にはクラックせずに残る最大30%までのLiCO粉末シェルを有するSLMPは、エネルギーストレージデバイスのエネルギー密度を低下させる不活性物質をセル質量に取り込む。拡散中に遊離したばらばらの粉末粒子は、使用中に電解質内で移動され、本来的に備えている安全性リスクおよび信頼性リスクである。電気化学的プレリチウム化は、雰囲気空気中に反応性物質を生成し、上記反応性物質が窒素汚染および酸素汚染に起因するセルインピーダンスを増加させることがある。リチウム金属への直接接触は、60センチメートル幅で長さ20メートル以下で不連続である薄いリチウム金属フォイルにより阻害される不均一な低歩留りプロセスである。加えて、電気化学プレリチウム化を除いて、上記のプレリチウム化法を使用して製造されたエネルギーストレージデバイスは、反応性リチウムイオンを含む方法でプレリチウム化されたエネルギーストレージデバイスと同様には機能しないことがある。反応性リチウムイオンは、イオンが電極孔に浸透できそして間に入ることができてグラファイト複合体にわたってリチウム合金を形成するという理由でリチウム金属よりもさらに効果的である。
【0022】
アノードプレリチウム化のための真空ウェブコーティングおよび固体金属アノード保護は、両面コーティングされカレンダ処理された合金タイプのグラファイトアノードおよび現在のコレクタ、例えば、6ミクロン以上の厚さの銅フォイル、ニッケルフォイル、または金属化したプラスチックウェブ上の厚い(3から20ミクロン)金属(例えば、リチウム)堆積を含む。堆積のための1つの技術は、熱蒸着である。熱蒸着は、高品質で制御可能なプレリチウム化を容易にすると理解される、しかしながら、歴史的にこの手法を使用する方策は、資本コスト、エネルギーコスト、および維持コストに起因するコストが法外であった。先進的な電極活性物質に対する商業的な需要は、真空熱蒸着が価値を有する程度までそれ以来成熟している。コスト競争力のある熱蒸着は、電極用途特定ウェブコーティングシステムおよび動作方法を必要とする。活性リチウム損失を補償するための最適なプレリチウム化プロセスは、SEI形成により消費されるリチウムを補償するためにグラファイト、シリコン、および他のアノード構成成分との反応性リチウムイオン合金化を含む。最適な生産にふさわしい製造方法は、毎分約40メートル以上のウェブ速度で幅1メートル以上で長さ数1000メートルのアノード基板をウェブ処理することを含む。
【0023】
ウェブ取扱いシステムは、安全なリチウム熱蒸着は言うまでもなく両面コーティングできない。それゆえに、デバイス性能、歩留り、スループット、およびコストに関して大量のLIB製造目的を満足できる真空熱蒸着リチウム化システムおよび方法に対する必要性が存在する。
【0024】
本開示のいくつかの実装形態は、連続するフレキシブル基板の片面または両面の連続するロール・ツー・ロールコーティングまたはバッチコーティング用のマルチゾーン加熱型ディフューザーまたはシャワーヘッドを含む。リチウム堆積のために現在利用可能な技術は、適度な温度(例えば、600℃)に加熱した液体リチウムの穏やかなプールを含む。上記の設計は、スプラッシュ欠陥、低スループット、および低いリチウム利用率になりやすい。本開示の実装形態は、スプラッシュ欠陥を減少させ、スループットを増加させ、そしてリチウム利用率を向上させるように設計されたクローズカップルディフューザーまたはシャワーヘッドを含む。加熱したディフューザープレナムを通ってリチウム蒸気を流すことはスプラッシュ欠陥を減少させ、リチウムの沸点(1340℃)近くの蒸発ができるソースるつぼを利用することはスループットを向上させ、そしてスリムなプロセス体積を閉じ込める表面エリアにわたって蒸気を分配することは利用率を向上させる。いくつかの実装形態では、製造方法は、窒素、酸素、および他の汚染物質によるソース汚染を最小にするために加圧アルゴンおよび凍結弁のシステム動作を含む。
【0025】
熱蒸着は、加熱されたソースが基板上へ凝結する蒸気を生成するために使用される物理的気相堆積(PVD)法である。様々な蒸気源がポリマウェブおよび金属ウェブ上への熱蒸着のために存在する。ソース設計の一般的な原理は、材料リザーバと堆積ボリュームとの間の物理的な分離である。これらのボリュームを隔離することの目的は、蒸気が収集できそして物理的特性(例えば、温度、圧力、および濃度)が堆積ボリュームへと分配されて流れる前に平衡化する高い上流圧力を維持することである。
【0026】
他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、ノズル、排出開口部、および/またはスロットが、高圧リザーバボリュームを堆積ボリュームとは分離するために使用されてもよい。元素を制限する上記の蒸気の流れは、基板堆積均一性を制御するために大きさを決められそして位置決めされてもよい。さらにその上、異なる温度で動作するまたは異なる相対的な位置でもしくは異なる制限元素を有する異なる材料を含む複数のソースが、堆積均一性および組成を調節するために使用されてもよい。
【0027】
リザーバ内の材料から制限素子を通って堆積ボリューム内へのそしてウェブ上への流路に沿って蒸気温度を制御することは、熱蒸着コーティング品質およびスループットの向上に役立つ。
【0028】
ノズル、スロット、および他の抑制素子は、蒸気がより低い圧力の真空堆積環境への断熱膨張のために冷却するように特定の材料およびプロセス条件に最適化されてもよい。
【0029】
断熱膨張および冷却することは、蒸発した材料を跳ね返すよりはむしろウェブに付着することに役立つ。冷却することは、圧力を上昇させるために材料リザーバ内で加圧したガスを混合することによってまたは抑制素子内の蒸気抵抗を高めることによって最大化されてもよい。そうは言ったものの、過剰な冷却は、材料凝縮のために詰まりをもたらすことがあり、それゆえに、抑制素子および処理パラメータは、具体的な材料およびウェブアプリケーションのために最適化される。
【0030】
他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、材料リザーバボリュームは、堆積ボリュームよりも実質的に小さく、上記が加熱システムの複雑さを単純化し、そしてウェブ材料上への直接輻射熱負荷を低減できる。材料リザーバからの(抑制素子を通る見通し線を介した)過剰な迷走輻射光を最小にすることは、ウェブ上への熱負荷を減少させることに役立つ。過剰なウェブ熱負荷は、蒸発した材料を付着させることよりもむしろウェブから跳ね返させることがある。
【0031】
熱蒸発源は、高温シュラウドを典型的に含む。高温シュラウドは、冷たい基板から跳ね返された材料がそのときには、高温表面に当たるように使用され、高温表面では付着係数が低く、材料が高温表面から跳ね返され、したがって基板に付着する第2のチャンスを有する。
【0032】
高温シュラウドに加えて、別の一般的なソース設計は、堆積ボリューム、より具体的にウェブに隣接する低圧ゾーンの表面積を最小にすることである。堆積ドラムの周りに堆積を広げることができるように、任意の角度で堆積出口ノズルを配置することは常套手段である。ソースが取り囲まれたものであるという理由で、堆積損失を非常に小さい量まで減少させることができ、非常に高い、>99%の材料利用率を与える。実際には、しかしながら、特定のアプリケーションは、数1000メートルを超える連続するウェブコーティングを容易にするために、材料、充填、真空引き、および絶縁の仕組みに細心の注意を必要とする。
【0033】
本開示の実装形態は、大量の電極プレリチウム化に適した熱蒸発源を含む。熱蒸発源は、容易く得られるレベルで前述の設計手法に従うが、大量の基板処理を可能にするいくつかの特徴を有する。
【0034】
リチウム欠乏および断熱ガス冷却のためのクローズカップルディフューザーノズル設計
半導体ウェハ処理用のガスシャワーヘッドは典型的には、半径方向の前駆体欠乏を補償するために複数のフローゾーンを含む。材料がウェハ上に堆積するにつれて材料損失に起因するこの欠乏効果はシャワーヘッドに対するウェブの相対的な動きが与えられるとウェブ処理にとって有用であり得ることが観察されており、ウェブは、リチウム蒸気マスフローの量を制限することおよび縦方向の欠乏を活用することによって高温シュラウドを用いずにコーティングされてもよい。
【0035】
他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、堆積ボリュームは、最小化され、そして円筒状の冷却ドラム、平坦な冷却プレートにわたり進み得る、または自由に広がり得るウェブに一致するように画定される。特徴は、相対的なノズル直径、アスペクト比、処理間隔、および真空引き出口に対する入口位置を含むことができる。
【0036】
他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、クローズカップルディフューザーは、ノズル出口のところに座ぐり構造を含む。上記ノズル座ぐり構造は、リチウム蒸気が堆積ボリュームへと膨張するので断熱ガス冷却を含む。理論に囚われずに、断熱ガス冷却が、より少ない質量フラックスを有し、それゆえに(ノズル詰まりを最小にするために)上記ガス冷却効果を妨げる目的のノズル設計を有する他のソース設計とは反対に、リチウムクラスタが基板に付着することに役立つことが信じられている。
【0037】
クローズカップルディフューザーが蒸気欠乏を活用するように設計されるので、加熱されたシュラウドは必要ない。このことは、現在のリチウム熱蒸発システムに対する注目される改善であり、上記現在のシステムは、加熱されたシュラウドが始動時に平衡にするように働くための時間、コーティングが完了した後で加熱されたシュラウドを冷却するための時間を必要とし、寄生堆積に起因する低い利用率、そして加熱されたシュラウドのクリーニング経費に起因する高い運転コストを有する。
【0038】
他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、クローズカップルディフューザーは、モノリシックプレートから製造される。ガスディフューザーは、1メートルよりも広いウェブ幅に対して製造することが難題である溶接されたチューブアセンブリから典型的に製造される。モノリシックプレートから始めてサブトラクティブ製造技術、例えば、CNC機械加工を使用してクローズカップルディフューザーを製造することは、ノズル配置寸法制御を維持することに役立ち、複雑なツーリングおよび不活性電子ビーム溶接をしばしば必要とする同等の溶接されたアセンブリよりも費用が掛からないことがある。モノリシックプレートからの製造は、純粋な鉄などのリチウムと互換性のある合金が使用されてもよいという理由でLIBプレリチウム化にとって特に有利である。純粋な鉄は、リチウムとは合金を作らず、したがって他の金属で観察される液体金属クラッキングを受けにくい。モノリシックプレートからの製造はまた、セラミッククローズカップルディフューザーを生産するためにも有利である。グラファイトなどのある種のセラミックは、リチウムと互換性があり、高い放射率表面、大きな熱伝導性、または特定の濡れ特性が要求されるときに使用されてもよい。
【0039】
単一のプレートビレットからの製造もまた、熱膨張を補償するための機械的支持部を単純化する。1メートルよりも広いウェブは、幅広の蒸気源を必要とする。単一のプレートからの製造は、製造中の溶接部ゆがみおよび使用中のゆがみの複雑さを回避する。プレートは、製造することおよび昇温した処理温度まで加熱することがより単純である。ウェブ上に中心を置くことおよび横方向の熱膨張を可能にできる。
【0040】
まとめると、本明細書において説明するクローズカップルディフューザーのいくつかの実装形態は、(円柱状表面または平坦な表面に従って)ウェブに一致するように実質的に設計されたモノリシックプレートを含む。モノリシックプレートは、ウェブ基板の縦方向および横方向のリチウム蒸気の欠乏を容易にする複数の流れおよび温度を最適化したノズルを有する。
【0041】
付着を最小にするため温度制御されたディフューザー表面
蒸気源ノズルは、蒸気ジェットが基板に向かいそして付着するように設計されてもよい。他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、本明細書において説明するクローズカップルディフューザーのノズルは、この様式で設計される。寄生堆積に起因するサービスを必要とする前に、数1000メートルを処理するため機械能力を向上させるために、クローズカップルディフューザーは、ディフューザーエリアにわたるマルチゾーン温度制御を装備することによって高温シールドに対する必要性を不要にするように設計されてもよい。
【0042】
他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、クローズカップルディフューザーは、マルチゾーン温度制御を含む。10度までの温度のわずかな変化が制御できないリチウム凝縮を生じさせることがある。ディフューザーエリアにわたるマルチゾーン温度制御は、1メートルよりも広い幅を有するウェブを処理するときに温度均一性を与えるのに役立つ。マルチゾーン温度制御はまた、プレリチウム化の不均一性を生じさせ得る小じわを最小にすることにも役立つ。
【0043】
複数の蒸気源は、熱電対およびソース当たり1つの温度ゾーンを有するニクロムヒータまたはグラファイトヒータを典型的には使用する。他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、クローズカップルディフューザーは、縦方向および横方向の両方に別々の加熱ゾーンを有する。各々の加熱ゾーンは、非接触制御高温計を装備されてよく、または温度較正された制御高温計に対してオフセットされてよい。
【0044】
ツール稼働時間を最大にするフラッシュ蒸発るつぼ
他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、蒸発システムは、蒸発源と流体結合されたクローズカップルディフューザーを含む。蒸発源は、加熱されることが可能なるつぼを含む。蒸気源の急速冷却は、生産で許容可能な平均修復時間(「MTTR」)にとって望ましい。アルゴンなどの不活性ガスを導入することによってチャンバ圧力を急速に上昇させることは、蒸発を停止させるための1つの方法である。るつぼから熱を取り去るためのアルゴンまたはオイルなどの不活性冷却流体を循環させることは、蒸発を停止させるためのもう1つの方法である。他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、るつぼは、低い熱質量および統合冷却システムを有する。
【0045】
いくつかのリチウム熱蒸発プラットフォームは、生産ランを通して消費される溶融したリチウムで満たされたるつぼを用いてウェブコーティングを始める。この手法の1つの欠点は、全るつぼ熱質量が大きく、冷却して固化させるために数時間を必要とする。理論に囚われることなく、より安全でより信頼性のある手法は、必要な場合に蒸気源の急速冷却を可能にするために材料リザーバ内部の溶融したリチウムの量を最小にすることであることが信じられている。電磁ポンプまたは加圧された容器が、遠隔リザーバから蒸気源へと溶融したリチウムを供給するために使用されてもよい。他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、るつぼの材料リザーバ容積が最小にされ、るつぼがフラッシュ蒸発器として動作されてもよい。
【0046】
リチウムは、真空中では摂氏1340度未満で沸騰する。理論に囚われることなく、本発明者らは、摂氏1000度よりも高く加熱するように設計されたるつぼ内でのフラッシュ蒸発が、ソースとして働く溶融リチウムプールを用いる代替のプラットフォームよりも高いリチウム蒸気圧を与えると信じている。他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、クローズカップルディフューザーは、溶融リチウムが遠隔配送システムを介した追加ですぐにフラッシュ蒸発できるように、摂氏1000度よりも上で動作するように設計された大表面積低質量るつぼを有する。
【0047】
フラッシュ蒸発は、マスキングを用いずに断続的なコーティングを可能にする。1つの例では、断続的なコーティングは、「ステップ・アンド・グロウ」プロセスを含み、そこでは、コーティングドラムの回転は、蒸発器とコーティングドラムとの間に置かれたウェブが動かないように停止され、蒸気は、コーティングの最終厚さが実現されるまでウェブ上に凝縮する。次に、コーティングドラムは、コーティングされたエリア同士の間のコーティングされない断続する距離を規定する一定の長さウェブを進めて、回転を停止する前に蒸発器とコーティングドラムとの間にコーティングされないウェブを設置し、蒸気がコーティングの最終厚さが実現されるまで凝縮する。上記サイクルは、均等に間隔を空けて離された蒸発器プレート面エリアに対応するエリアを有し連続するウェブを生産することを繰り返す。
【0048】
最大利用のために任意の垂直姿勢または水平姿勢での動作
フラッシュ蒸発スキームは、典型的な蒸気源が実現できない向きにクローズカップルディフューザーが据え付けられることを可能にする。液体で満たされたるつぼを有する蒸気源は、向きを限定される;エルボウおよび他の蒸気方向付けチャネルが、水平な液体自由表面を維持するために必要とされる。フラッシュ蒸発させそして任意の角度で発明の蒸気源を方向付けする能力は、機器設計を最適化するために有用である。具体的に、蒸気源は、冷却ドラムより下に据え付けられる必要がなく、エルボウおよび他の蒸気方向付けチャネルなどの寄生表面が除去されてもよい。理論では、発明の蒸気源は、冷却ドラムまたは冷却プレート表面上のどこにでも据え付けられてもよく、実際問題として、主要な利点が総体的により大きな外周の利用であるために、ある種の外周方向距離が、堆積に先立ってウェブを冷却するために典型的には使用される。
【0049】
任意の垂直姿勢または水平姿勢での動作もまた、冷却ドラム、冷却プレート、およびフリースパン構成に対する共通ソースとしての使用を容易にする。水平方向の構成に限定される溶融した材料のプールを有する液体で満たされたるつぼは、冷却ドラムの下でのみ有用である。
【0050】
図1は、本開示の1つまたは複数の実装形態による蒸発アセンブリ120を有する蒸発システム100の模式的側面図である。蒸発システム100は、ウェブ材料上にコーティングを堆積するため、例えば、本明細書において説明する実装形態による金属コーティングフィルム積層体を堆積するために適合したロール・ツー・ロールシステムであってもよい。1つの例では、蒸発システム100は、エネルギーストレージデバイスを製造するため、そして特にリチウム含有アノード用のフィルム積層体用に使用されてもよい。蒸発システム100は、ウェブ材料上にコーティングを堆積するための処理行為のうちのいくつかまたはすべてが実行されてもよい共通処理環境104を画定するチャンバ本体102を含む。1つの例では、共通処理環境104は、真空環境として動作可能である。もう1つの例では、共通処理環境104は、不活性ガス環境として動作可能である。いくつかの例では、共通処理環境104は、1×10-3mbar(1×10-3hPa)以下、例えば、1×10-4mbar(1×10-4hPa)以下のプロセス圧力で維持されてもよい。
【0051】
蒸発システム100は、連続するフレキシブル基板108またはウェブを供給するための巻き戻しリール106、連続するフレキシブル基板108がその上方で処理されるコーティングドラム110、および処理後の連続するフレキシブル基板108を回収するための巻き取りリール112を含むロール・ツー・ロールシステムとして構成される。コーティングドラム110は、連続するフレキシブル基板108が堆積面上を進むと同時に材料が連続するフレキシブル基板108上へと堆積される堆積面111を含む。蒸発システム100はさらに、巻き戻しリール106と、コーティングドラム110と巻き取りリール112との間に設置された1つまたは複数の補助移送リール114、116をさらに含むことができる。1つの態様によれば、1つまたは複数の補助移送リール114、116、巻き戻しリール106、コーティングドラム110、および巻き取りリール112のうちの少なくとも1つは、モータにより駆動され回転されてもよい。1つの例では、モータは、ステップモータである。巻き戻しリール106、コーティングドラム110、および巻き取りリール112が共通処理環境104に図示されるように設置されているが、巻き戻しリール106および巻き取りリール112は別々のチャンバまたはモジュールに設置されてもよい、例えば、巻き戻しリール106のうちの少なくとも1つが巻き戻しモジュールに設置されてもよく、コーティングドラム110が処理モジュールに設置されてもよく、そして巻き取りリール112が巻き戻しモジュールに設置されてもよいことが理解されるはずである。
【0052】
巻き戻しリール106、コーティングドラム110、および巻き取りリール112は、個別に温度制御されてもよい。例えば、巻き戻しリール106、コーティングドラム110、および巻き取りリール112は、各々のリール内に設置された内部熱源または外部熱源を使用して個別に加熱されてもよい。
【0053】
蒸発アセンブリ120は、1つまたは複数の蒸発源140a~140d(集合的に140)と流体結合されたディフューザーアセンブリ130を含む。1つまたは複数の蒸発源140は、ディフューザーアセンブリ130から脱着可能である。ディフューザーアセンブリ130は、連続するフレキシブル基板108がコーティングドラム110の堆積面111の上方を進むにつれて1つまたは複数の蒸発源140からの蒸発した材料を連続するフレキシブル基板108上へと放出するように設置される。
【0054】
堆積ボリューム150が、ディフューザーアセンブリ130とコーティングドラム110の堆積面111との間に画定される。いくつかの実装形態では、堆積ボリューム150は、チャンバ本体102の共通処理環境104内での隔離された処理を提供する。堆積ボリューム150は、ウェブ、例えば、円柱状の冷却ドラム、例えば、コーティングドラム110、平坦な冷却プレート、またはフリースパン上に巻かれる連続するフレキシブル基板108に一致するように最小化されそして画定されてもよい。
【0055】
ディフューザーアセンブリ130および蒸発源140の両方が、図2図6を参照して非常に詳細に説明される。ディフューザーアセンブリ130および蒸発源140は、材料の連続するフレキシブル基板108またはウェブに1つまたは複数の処理操作を行うために設置される。1つの例では、図1に描かれたように、ディフューザーアセンブリ130は、1つまたは複数の蒸発源140がコーティングドラム110の周りに放射状に配置されるように設計される。加えて、放射状以外の配置が考えられる。1つの実装形態では、1つまたは複数の蒸発源140は、リチウム(Li)源を含む。さらに1つまたは複数の蒸発源140はまた、2つ以上の金属の合金も含んでもよい。堆積されるべき材料がるつぼに供給されてもよい。堆積されるべき材料は、例えば、熱蒸発技術により蒸発されてもよい。
【0056】
動作では、蒸発アセンブリ120は、蒸発した材料122の煙流を放ち、上記煙流は、堆積される材料のフィルムが連続するフレキシブル基板108上に形成される連続するフレキシブル基板108へと引き寄せられる。
【0057】
加えて、4つの蒸発源140a~140dが図1に示されているが、任意の数の適切な蒸発源が使用されてもよいことを理解されたい。加えて、蒸発システム100は、1つまたは複数の追加の堆積源をさらに含むことができる。例えば、本明細書において説明するような1つまたは複数の堆積源は、電子ビーム源ならびに、CVD源、PECVD源、および様々なPVD源の群から選択され得る追加のソースを含む。例示的なPVD源は、スパッタリング源、電子ビーム蒸発源、および熱蒸発源を含む。加えて、これらの追加の堆積源は、コーティングドラム110の堆積面111に対して放射状に設置されてもよい。
【0058】
他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、蒸発システム100は、連続するフレキシブル基板108の両面を処理するように構成される。例えば、蒸発源140に類似の追加の蒸発源が、連続するフレキシブル基板108の反対側を処理するために設置されてもよい。蒸発システム100が水平に向けられた連続するフレキシブル基板108を処理するように構成されているが、蒸発システム100は、別の向きに設置された基板を処理するように構成されてもよい、例えば、連続するフレキシブル基板108は、垂直に向けられてもよい。他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、連続するフレキシブル基板108はフレキシブルな導電性基板である。他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、連続するフレキシブル基板108は、上に形成された1つまたは複数の層を有する導電性基板を含む。他の実装形態と組み合わせられ得る本開示の1つの実装形態では、導電性基板は銅基板である。
【0059】
蒸発システム100は、ガスパネル160をさらに含む。ガスパネル160は、蒸発システム100へ処理ガスを配送するために1つまたは複数のコンジット(図示せず)を使用する。ガスパネル160は、蒸発システム100へ供給される各々の個別のガスについてガス圧力および流量を制御するためにマスフローコントローラおよび遮断弁を含むことができる。ガスパネル160により配送され得るガスの例は、圧力制御用の不活性ガス(例えば、アルゴン)、限定されないが蒸発システム100のインシトゥ洗浄用に使用されるジケトン類を含めエッチング薬品、および限定されないが1,1,1,2テトラフルオロエタンもしくは他のハイドロフルオロカーボン類およびトリメチルアルミニウム、四塩化チタン、またはインシトゥ数10ナノメートル厚の反応性リチウム混合型導電体表面改質のために使用される他の有機金属前駆体を含め堆積化学物質を含むが、これらに限定されない。
【0060】
蒸発システム100は、蒸発システム100の様々な態様を制御するために動作可能なシステムコントローラ170をさらに含む。システムコントローラ170は、蒸発システム100の制御および自動化を容易にし、そして中央処理ユニット(CPU)、メモリ、およびサポート回路(またはI/O)を含むことができる。ソフトウェア命令およびデータは、コード化され、CPUを命令するためにメモリ内に記憶されてもよい。システムコントローラ170は、蒸発システム100の構成要素のうちの1つまたは複数と、例えば、システムバスを介して通信できる。システムコントローラ170により読取り可能なプログラム(またはコンピュータ命令)は、どのタスクが基板に実行可能であるかを決定する。いくつかの態様では、上記プログラムはシステムコントローラ170により読取り可能であるソフトウェアであり、1つもしくは複数の蒸発源140および/またはディフューザーアセンブリ130の様々な領域の個別の温度制御を含めチャンバ状態をモニタするためのコードを含むことができる。単一のシステムコントローラ、システムコントローラ170だけが示されているが、複数のシステムコントローラが本明細書において説明する態様で使用されてもよいことが認識されるべきである。
【0061】
図2は、本開示の1つまたは複数の実装形態によるディフューザーアセンブリ200の斜視図を図示する。ディフューザーアセンブリ200は、図1に描かれたディフューザーアセンブリ130であってもよい。ディフューザーアセンブリ200は、コーティングドラム、例えば、図1に示したコーティングドラム110の少なくとも一部分を収容するように大きさを決められる。ディフューザーアセンブリ200は、第1の半円形側壁210、第1の半円形側壁210に対向する第2の半円形側壁220、および第1の半円形側壁210と第2の半円形側壁220との間に延びこれらを結合する外周面230を含む。第1の半円形側壁210、第2の半円形側壁220、および外周面230は、コーティングドラム、例えば、図1に示したコーティングドラム110の一部分を収容するためのボリューム240を画定する。
【0062】
第1の半円形側壁210は、上面212および上面212の第1の端部216から上面212の第2の端部218へと延びる円弧状面214を有する。1つの例では、上面212は、平らな表面である。第2の半円形側壁220は、上面222および上面222の第1の端部226から上面222の第2の端部228へと延びる円弧状面224を有する。1つの例では、上面222は、平らな表面である。
【0063】
外周面230は、複数の直線状のレール250a~250e(集合的に250)または直線状のブラケットおよび複数のプレート260a~260l(集合的に260)により画定される。複数のプレート260は、外周面230を画定するために隣接する直線状のレール250により支持される。複数の直線状のレール250の各々の直線状のレールは、第1の半円形側壁210の円弧状面214から第2の半円形側壁220の円弧状面224へと延びる。複数の直線状のレール250の各々の直線状のレールの第1の端部は、第1の半円形側壁210に固定され、複数の直線状のレール250の各々の直線状のレールの第2の端部は、第2の半円形側壁220に固定される。各々の直線状のレール250は、隣接する直線状のレール250に平行である。例えば、直線状のレール250aは、直線状のレール250bに平行である。
【0064】
図3は、本開示の1つまたは複数の実装形態による図2のディフューザーアセンブリ200の斜視図を図示する。図4は、本開示の1つまたは複数の実装形態による図3のディフューザーアセンブリ200の一部分の拡大した斜視図を図示する。図3は、第2の半円形側壁220を取り除いた状態のディフューザーアセンブリ200を描いている。ディフューザーアセンブリ200は、複数のプレート260a~260l(集合的に260)を含む。複数のプレート260の各々の裏面は、外周面230を規定する。ディフューザーアセンブリ200は、12枚のプレート260a~260lを含む。12枚のプレート260a~260l(260dはこの図では見えないことに留意する)が図3に示されているが、任意の適切な数のプレート260が、堆積される材料またはコーティングの望まれるパターンに応じて使用されてもよい。プレート260dは、プレート260eに隣接する。プレート260は、ディフューザープレート、中実プレート(例えば、シールド)、またはこれらの組合せの任意の数または組合せが使用されてもよいように互換性がある。ディフューザープレートおよび中実プレートの配置が、堆積される材料またはコーティングのパターンを決定する。例えば、図3の実施形態では、プレート260a、260c、260d、260f、260g、260i、260j、および260lは中実プレートであり、プレート260b、260e、260h、および260kはディフューザープレートである。図3に描かれた中実プレートおよびディフューザープレートの構成は、端部をコーティングされないで残しながらウェブの中央部に沿ってコーティングを堆積するはずである。
【0065】
プレート260a~260lは、3枚のプレートの4つのセットへと分けられる。例えば、プレート260a、260b、260cは、隣接する直線状のレール250aと250bとにより支持され、プレート260d、260e、および260fは、隣接する直線状のレール250bと250cとにより支持され、プレート260g、260h、および260iは、隣接する直線状のレール250cと250dとにより支持され、そしてプレート260j、260k、および260lは、隣接する直線状のレール250dと250eとにより支持される。プレート260は、直線状のレール250に取り付けられる。プレート260は、直線状のレール250にスライド可能に取り付けられてもよい。5本の直線状のレール250a~250eが図2および図3に示されているが、ディフューザーアセンブリ200は、2本以上の直線状のレール250を含んでもよい。直線状のレール250の数は、使用されるプレート260の数により決定されてもよい。
【0066】
図5は、本開示の1つまたは複数の実装形態による熱蒸発器500の模式的断面図を図示する。熱蒸発器500は、蒸発器本体520と結合されたるつぼ510または蒸発源を含む。蒸発器本体520は、堆積用の蒸発した材料をディフューザープレート560を通して放出するように動作可能である。るつぼ510は、フランジ530を介して蒸発器本体520と流体結合されてもよい。るつぼ510は、脱着可能であり、そしてフランジ530に対して調節可能に設置される。このように、るつぼ510は、フランジ530を介して蒸発器本体520から取り外されてもよい。
【0067】
他の実施形態と組み合わせられ得る1つの実施形態では、ディフューザープレート560は、モノリシック(例えば、無溶接)体である。ディフューザープレート560は、鉄(例えば、純鉄)、グラファイト、ステンレス鋼、またはこれらの組合せから製造されてもよい。ディフューザープレート560は、複数の排出開口部562またはノズルを含み、ここを通って蒸発した材料が進む。他の実施形態と組み合わせられ得る1つの実施形態では、複数の排出開口部562は、縦方向の制御された蒸気欠乏のために配置されそして大きさを決められる。複数の排出開口部562のこの配置は、高温シュラウド設計を使用せずに高い利用率を提供する。
【0068】
ヒータプレート570が、ディフューザープレート560に隣接しそして熱接触して設置される。ヒータプレート570は、ディフューザープレート560の構成要素であっても別々の構成要素であってもよい。ヒータプレート570からのエネルギーは、ディフューザープレート560に影響を及ぼしディフューザープレート560の温度を上昇させる。他の実施形態と組み合わせられ得る1つの実施形態では、ヒータプレート570は、抵抗グラファイトヒータである。他の実施形態では、ヒータプレート570は、アルミニウム、ステンレス鋼などの他の材料またはインコネルなどの材料を含むことができる。ヒータプレート570は、ディフューザープレート560の温度を制御するための高温計プレート温度測定部および閉ループ温度制御部を有する複数のグラファイト抵抗加熱素子574を含むことができる。ヒータプレート570は、ヒータプレート570および/またはディフューザープレート560の温度測定用の1つまたは複数の高温計ならびにディフューザープレート560の温度を制御するための閉ループ温度制御部をさらに含むことができる。例えば、ディフューザープレート560の高温計温度測定値が、システムコントローラ170へ送信されてもよく、システムコントローラ170はそのときにはディフューザープレート560の望まれる温度を実現するためにヒータプレート570の温度を調節する。
【0069】
他の実施形態と組み合わせられ得る1つの実施形態では、ヒータプレート570の本体572は、グラファイト製である。他の実施形態と組み合わせられ得る1つの実施形態では、本体572は、実質的にグラファイトだけを含み、本体572の組成が原子基準で約95%炭素よりも大きいことを意味する。他の実施形態と組み合わせられ得る1つの実施形態では、本体572の組成は、原子質量基準で約96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%炭素よりも大きい。
【0070】
ヒータプレート570は、1つまたは複数の抵抗加熱素子を含む。いくつかの実施形態の抵抗加熱素子は、本体572の凹み内に配置された-平面状、円形状、または他の形状であってもよい-材料の連続するセクションである。いくつかの実施形態では、抵抗ヒータは、金属線の巻線体を含む。1つの例では、ヒータプレート570は、2つのゾーンを形成する2つの抵抗ヒータを有し、当業者なら任意の数のゾーンまたは個別の加熱素子があってもよいことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、3つのゾーンを形成する3つの抵抗ヒータがある。いくつかの実施形態では、4つのゾーンを形成する4つの抵抗ヒータがある。
【0071】
抵抗加熱素子のすべてまたはいずれかが、本分野で知られている任意の好適な材料から作られてもよい。いくつかの実施形態では、抵抗加熱素子は、本体572の熱膨張係数に類似の熱膨張係数を有する。抵抗加熱素子用に好適な材料の1つの例は、熱分解グラファイトを含む。
【0072】
るつぼ510は、堆積されるべき材料514を保持することができる容器512を含む。容器512は、モノリシック制限オリフィス容器512であってもよい。容器512は、内部領域516を画定する。内部領域516は、堆積すべき材料514を保持するために動作可能である。材料514の例は、アルカリ金属(例えば、リチウムおよびナトリウム)、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、セレン、すず、鉛、アンチモン、ビスマス、テルル、アルカリ土類金属、銀、またはこれらの組合せを含む。1つの例では、材料は、リチウム、セレン、またはナトリウムを含む。
【0073】
るつぼ510は、モリブデン、グラファイト、ステンレス鋼、または窒化ホウ素などの高い熱伝導率を有する材料から形成されてもよい。1つの例では、るつぼ510は、熱分解窒化ホウ素から構成される。熱分解窒化ホウ素は、一般に不活性であり、高温に耐えることができ、一般に清浄でありそして真空環境への望ましくない不純物の一因にならず、赤外放射光のある波長に対して一般に透明であり、そして例えば、複雑な形状へと製造され得る。他の実施形態と組み合わせられ得る1つの実施形態では、るつぼは、フラッシュ蒸発用に、例えば、フラッシュ蒸発用の姿勢に無関係なるつぼ用に設計される。
【0074】
他の実施形態と組み合わせられ得る1つの実施形態では、熱蒸発器500は、るつぼヒータ580をさらに含む。るつぼヒータ580は、るつぼ510を取り囲み、そしてるつぼ510に適合する。るつぼヒータ580は、熱蒸発器500がフラッシュ蒸発器として機能することを可能にする。るつぼヒータ580は、誘導コイルヒータまたはグラファイト抵抗加熱素子を含むことができる。るつぼヒータ580からのエネルギーは、るつぼ510に影響を及ぼし、るつぼ510の温度を上昇させる。他の実施形態と組み合わせられ得る1つの実施形態では、るつぼヒータ580は、抵抗グラファイトヒータである。他の実施形態では、るつぼヒータ580は、アルミニウム、ステンレス鋼またはインコネルなどの材料などの他の材料を含むことができる。るつぼヒータ580は、るつぼ510の温度を制御するための高温計温度測定値および閉ループ温度制御を用いる複数のグラファイト抵抗加熱素子を含むことができる。例えば、高温計温度測定値が、システムコントローラ170へ伝送されることがあり、上記システムコントローラはそのときには、るつぼ510の望まれる温度を実現するためにるつぼヒータ580の温度を調節する。
【0075】
他の実施形態と組み合わせられ得る1つの実施形態では、るつぼヒータ580の本体582は、グラファイト製である。本体582は、るつぼ510を収容するための格納部を画定する側壁586および底面588を含む。他の実施形態と組み合わせられ得る1つの実施形態では、本体582は、実質的にグラファイトだけを含み、本体582の組成が原子基準で約95%炭素よりも大きいことを意味する。他の実施形態と組み合わせられ得る1つの実施形態では、本体582の組成は、炭素質量基準で約96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%炭素よりも大きい。
【0076】
るつぼヒータ580は、1つまたは複数の抵抗加熱素子584を含む。いくつかの実施形態の抵抗加熱素子は、本体582の凹み内に配置された-平面状、円形状、または他の形状であってもよい-材料の連続するセクションである。いくつかの実施形態では、るつぼヒータ580は、金属線の巻線体を含む。1つの例では、ヒータプレート570は、2つのゾーンを形成する2つの抵抗ヒータを有し、当業者なら任意の数のゾーンまたは個別の加熱素子があり得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、3つのゾーンを形成する3つの抵抗ヒータがある。いくつかの実施形態では、4つのゾーンを形成する4つの抵抗ヒータがある。
【0077】
抵抗加熱素子584のすべてまたはいずれかが、本分野で知られている任意の好適な材料から作られてもよい。いくつかの実施形態では、抵抗加熱素子584は、本体572の熱膨張係数に類似の熱膨張係数を有する。抵抗加熱素子584用の好適な材料の1つの例は、熱分解グラファイトを含む。
【0078】
実施形態の列挙
本開示は、とりわけ、下記の実施形態を提供し、その各々がいずれかの代替の実施形態を任意選択で含むと考えられてもよい。
【0079】
条項1.
第1の上面および上記第1の上面の第1の端部から上記第1の上面の第2の端部へと延びる第1の円弧状面を有する第1の半円形側壁と、
上記第1の半円形側壁に対向し、第2の上面および上記第2の上面の第1の端部から上記第2の上面の第2の端部へと延びる第2の円弧状面を有する第2の半円形側壁と、
上記第1の半円形側壁の上記第1の円弧状面から上記第2の半円形側壁の上記第2の円弧状面へと延びる複数の直線状のレールであって、各々の直線状のレールが隣接する直線状のレールに平行に設置される、複数の直線状のレールと、
上記複数の直線状のレールのうちの第1の直線状のレールから第2の直線状のレールへと延びる複数のプレートであって、上記複数のプレートが上記第1の上面の第1の端部から上記第1の上面の第2の端部へと延びる外周面の少なくとも一部分を画定し、上記プレートのうちの少なくとも1つが蒸発した材料を放出するための複数の排出開口部を有する第1のディフューザープレートである、複数のプレートと
を備える、ディフューザーアセンブリ。
【0080】
条項2.上記第1の半円形側壁、上記第2の半円形側壁、および上記外周面がコーティングドラムの一部分を収容するように大きさを決められたボリュームを画定する、条項1に記載のディフューザーアセンブリ。
【0081】
条項3.上記複数のプレートが、上記第1の直線状のレールおよび上記第2の直線状のレールにスライド可能に取り付けられる、条項1または条項2に記載のディフューザーアセンブリ。
【0082】
条項4.上記複数のプレートの各々のプレートが、上記複数のプレートのうちの他のプレートに対して独立した温度制御を実施可能である、条項1から3のいずれか一項に記載のディフューザーアセンブリ。
【0083】
条項5.上記複数の排出開口部が、上記蒸発した材料によりコーティングされるべきウェブ材料の進行方向に、制御された蒸気欠乏のために配置され大きさを決められる、条項1から4のいずれか一項に記載のディフューザーアセンブリ。
【0084】
条項6.上記複数のプレートが、
上記第1の半円形側壁に隣接して設置され、上記第1の直線状のレールから上記第2の直線状のレールへと延びる第1の中実プレートと、
上記第2の半円形側壁に隣接して設置され、上記第1の直線状のレールから上記第2の直線状のレールへと延びる第2の中実プレートと、
上記蒸発した材料を放出するように動作可能な上記複数の排出開口部を有し、上記第1の中実プレートと上記第2の中実プレートとの間に設置された上記第1のディフューザープレートと
を備える、条項1から5のいずれか一項に記載のディフューザーアセンブリ。
【0085】
条項7.上記複数のプレートが、
上記第1の半円形側壁に隣接して設置され、上記第1の直線状のレールから上記第2の直線状のレールへと延びる第2のディフューザープレートと、
上記第2の半円形側壁に隣接して設置され、上記第1の直線状のレールから上記第2の直線状のレールへと延びる第3のディフューザープレートと、
上記第2のディフューザープレートと上記第3のディフューザープレートとの間に設置された上記第1のディフューザープレートと
を備える、条項1から6のいずれか一項に記載のディフューザーアセンブリ。
【0086】
条項8.上記複数の直線状のレールが、
上記第1の直線状のレールに隣接して設置された上記複数の直線状のレールのうちの第3の直線状のレールと、
上記第2の直線状のレールから上記第3の直線状のレールへと延びる第2の複数のプレートであって、上記第2の複数のプレートが上記外周面の少なくとも一部分を画定し、上記第2の複数のプレートのうちの少なくとも1つの上記プレートが上記蒸発した材料を放出するように動作可能な複数の排出開口部を有する第2のディフューザープレートである、第2の複数のプレートと
をさらに備える、条項1から7のいずれか一項に記載のディフューザーアセンブリ。
【0087】
条項9.
第1の上面および上記第1の上面の第1の端部から上記第1の上面の第2の端部へと延びる第1の円弧状面を有する第1の半円形側壁と、
上記第1の半円形側壁に対向し、第2の上面および上記第2の上面の第1の端部から上記第2の上面の第2の端部へと延びる第2の円弧状面を有する第2の半円形側壁と、
上記第1の半円形側壁の上記第1の円弧状面から上記第2の半円形側壁の上記第2の円弧状面へと延びる複数の直線状のレールであって、各々の直線状のレールが隣接する直線状のレールに平行に設置される、複数の直線状のレールと、
上記複数の直線状のレールのうちの第1の直線状のレールから第2の直線状のレールへと延びる複数のプレートであって、上記複数のプレートが上記第1の上面の第1の端部から上記第1の上面の第2の端部へと延びる外周面の少なくとも一部分を画定し、上記プレートのうちの少なくとも1つが蒸発した材料を放出するように動作可能な複数の排出開口部を有する第1のディフューザープレートである、複数のプレートと
を備える、ディフューザーアセンブリと、
上記第1のディフューザープレートと流体結合され、蒸発されるべき材料を保持するように動作可能なるつぼと
を備える、蒸発アセンブリ。
【0088】
条項10.上記るつぼが、フラッシュ蒸発用に動作可能である、条項9に記載の蒸発アセンブリ。
【0089】
条項11.上記第1の半円形側壁、上記第2の半円形側壁、および上記外周面が、コーティングドラムの一部分を収容するように大きさを決められたボリュームを画定する、条項9または条項10に記載の蒸発アセンブリ。
【0090】
条項12.上記複数のプレートが、上記第1の直線状のレールおよび上記第2の直線状のレールにスライド可能に取り付けられる、条項9から11のいずれか一項に記載の蒸発アセンブリ。
【0091】
条項13.上記複数のプレートの各々のプレートが、上記複数のプレートのうちの他のプレートに対する独立した温度制御のために構成される、条項9から12のいずれか一項に記載の蒸発アセンブリ。
【0092】
条項14.上記複数の排出開口部が、上記蒸発した材料によりコーティングされるべきウェブ材料の進行方向に、制御された蒸気欠乏のために配置され大きさを決められる、条項9から13のいずれか一項に記載の蒸発アセンブリ。
【0093】
条項15.上記複数のプレートが、
上記第1の半円形側壁に隣接して設置され、上記第1の直線状のレールから上記第2の直線状のレールへと延びる第1の中実プレートと、
上記第2の半円形側壁に隣接して設置され、上記第1の直線状のレールから上記第2の直線状のレールへと延びる第2の中実プレートと、
上記第1の中実プレートと上記第2の中実プレートとの間に設置され、上記蒸発した材料を放出するように動作可能な上記複数の排出開口部を有する上記第1のディフューザープレートと
を備える、条項9から14のいずれか一項に記載の蒸発アセンブリ。
【0094】
条項16.上記複数のプレートが、
上記第1の半円形側壁に隣接して設置され、上記第1の直線状のレールから上記第2の直線状のレールへと延びる第2のディフューザープレートと、
上記第2の半円形側壁に隣接して設置され、上記第1の直線状のレールから上記第2の直線状のレールへと延びる第3のディフューザープレートと、
上記第2のディフューザープレートと上記第3のディフューザープレートとの間に設置された上記第1のディフューザープレートと
を備える、条項9から15のいずれか一項に記載の蒸発アセンブリ。
【0095】
条項17.上記複数の直線状のレールが、
上記第1の直線状のレールに隣接して設置された上記複数の直線状のレールのうちの第3の直線状のレールと、
上記第2の直線状のレールから上記第3の直線状のレールへと延びる第2の複数のプレートであって、上記第2の複数のプレートが上記外周面の少なくとも一部分を画定し、上記第2の複数のプレートのうちの少なくとも1つの上記プレートが上記蒸発した材料を放出するように動作可能な複数の排出開口部を有する第2のディフューザープレートである、第2の複数のプレートと
をさらに備える、条項9から16のいずれか一項に記載の蒸発アセンブリ。
【0096】
条項18.
連続するフレキシブル基板が堆積面上を進むと同時に蒸発した材料が上記連続するフレキシブル基板上へと堆積される堆積面を有するコーティングドラムと、
第1の上面および上記第1の上面の第1の端部から上記第1の上面の第2の端部へと延びる第1の円弧状面を有する第1の半円形側壁と、
上記第1の半円形側壁に対向し、第2の上面および上記第2の上面の第1の端部から上記第2の上面の第2の端部へと延びる第2の円弧状面を有する第2の半円形側壁と、
上記第1の半円形側壁の上記第1の円弧状面から上記第2の半円形側壁の上記第2の円弧状面へと延びる複数の直線状のレールであって、各々の直線状のレールが隣接する直線状のレールに平行に設置される、複数の直線状のレールと、
上記複数の直線状のレールのうちの第1の直線状のレールから第2の直線状のレールへと延びる複数のプレートであって、上記複数のプレートが上記第1の上面の第1の端部から上記第1の上面の第2の端部へと延びる外周面の少なくとも一部分を画定し、上記プレートのうちの少なくとも1つが上記蒸発した材料を上記連続するフレキシブル基板へ放出するように動作可能な複数の排出開口部を有する第1のディフューザープレートであり、上記第1の半円形側壁、上記第2の半円形側壁、および上記外周面が上記コーティングドラムの一部分を収容するように大きさを決められたボリュームを画定する、複数のプレートと
を備える、ディフューザーアセンブリと、
上記第1のディフューザープレートと流体結合され、上記蒸発した材料を形成するために加熱される材料を保持するように動作可能なるつぼと
を備える、反応性堆積用のシステム。
【0097】
条項19.上記複数のプレートが、上記第1の直線状のレールおよび上記第2の直線状のレールにスライド可能に取り付けられる、条項18に記載のシステム。
【0098】
条項20.上記複数のプレートの各々のプレートが、上記複数のプレートのうちの他のプレートに対する独立した温度制御のために構成される、条項18または条項19に記載のシステム。
【0099】
条項21.上記複数の排出開口部が、上記蒸発した材料によりコーティングされるべきウェブ材料の進行方向に、制御された蒸気欠乏のために配置され大きさを決められる、条項18から20のいずれか一項に記載のシステム。
【0100】
条項22.上記複数のプレートが、
上記第1の半円形側壁に隣接して設置され、上記第1の直線状のレールから上記第2の直線状のレールへと延びる第1の中実プレートと、
上記第2の半円形側壁に隣接して設置され、上記第1の直線状のレールから上記第2の直線状のレールへと延びる第2の中実プレートと、
上記第1の中実プレートと上記第2の中実プレートとの間に設置され、上記蒸発した材料を放出するように動作可能な上記複数の排出開口部を有する上記第1のディフューザープレートと
を備える、条項18から21のいずれか一項に記載のシステム。
【0101】
条項23.上記複数のプレートが、
上記第1の半円形側壁に隣接して設置され、上記第1の直線状のレールから上記第2の直線状のレールへと延びる第2のディフューザープレートと、
上記第2の半円形側壁に隣接して設置され、上記第1の直線状のレールから上記第2の直線状のレールへと延びる第3のディフューザープレートと、
上記第2のディフューザープレートと上記第3のディフューザープレートとの間に設置された上記第1のディフューザープレートと
を備える、条項18から22のいずれか一項に記載のシステム。
【0102】
条項24.上記複数の直線状のレールが、
上記第1の直線状のレールに隣接して設置された上記複数の直線状のレールのうちの第3の直線状のレールと、
上記第2の直線状のレールから上記第3の直線状のレールへと延びる第2の複数のプレートであって、上記第2の複数のプレートが上記外周面の少なくとも一部分を画定し、上記第2の複数のプレートのうちの少なくとも1つの上記プレートが上記蒸発した材料を放出するように動作可能な複数の排出開口部を有する第2のディフューザープレートである、第2の複数のプレートと
をさらに備える、条項18から23のいずれか一項に記載のシステム。
【0103】
この明細書において説明した実装形態および機能的動作のすべては、ディジタル電子回路で、またはこの明細書で開示した構造的手段およびそれらの構造的な等価物を含めコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアで、またはこれらの組合せで実施されてもよい。本明細書において説明した実装形態は、データ処理装置、例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータによる実行のためまたは上記データ処理装置の動作の制御のために、1つまたは複数の非一過性のコンピュータプログラム製品、すなわち、機械可読ストレージデバイスに実体的に具現化された1つまたは複数のコンピュータプログラムとして実施されてもよい。
【0104】
この明細書で説明したプロセスおよび論理の流れは、入力データ上で動作することおよび出力を生成することによって機能を行うために1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラマブルプロセッサにより行われてもよい。プロセスおよび論理の流れはまた、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)により行われてもよく、装置はまた、上記専用論理回路として実装されてもよい。
【0105】
「データ処理装置」という用語は、例として、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータを含め、データを処理するためのすべての装置、デバイス、および機械を包含する。装置は、ハードウェアに加えて、問題としているコンピュータプログラムのための実行環境を作り出すコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはこれらのうちの1つもしくは複数の組合せを構成するコードを含むことができる。コンピュータプログラムの実行のために適したプロセッサは、例として、汎用マイクロプロセッサおよび専用マイクロプロセッサの両方、ならびに任意の種類のディジタルコンピュータのいずれか1つまたは複数のプロセッサを含む。
【0106】
コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するために適したコンピュータ可読媒体は、例として、半導体メモリデバイス、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、例えば、内部ハードディスクまたは脱着可能ディスク;光磁気ディスク;ならびにCD ROMおよびDVD-ROMディスクを含め、すべての形態の不揮発性メモリ、メディアデバイスおよびメモリデバイスを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路により補完されてもよい、または組み込まれてもよい。
【0107】
本開示または例示的な態様またはこれらの実装形態の要素を導入するときに、冠詞「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」および「前記(said)」は、要素の1つまたは複数があることを意味するものである。
【0108】
「備える(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」という用語は、包括的であり、列挙した要素以外に追加の要素があり得ること意味するものである。
【0109】
前述のものが本開示の実施形態に向けられる一方で、開示の他の実装形態およびさらなる実装形態が本開示の基本的な範囲から逸脱せずに考案されてもよく、そして本開示の範囲は、別記の特許請求の範囲により決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】