(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】耐電圧の向上のための超接合における勾配ドーピングエピタキシ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240628BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240628BHJP
H01L 21/20 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01L29/78 658E
H01L29/78 652H
H01L21/20
H01L29/78 658G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500245
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 US2022036484
(87)【国際公開番号】W WO2023283417
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パル, アシシュ
(72)【発明者】
【氏名】チョン, イー
(72)【発明者】
【氏名】バジージ, エル メディー
【テーマコード(参考)】
5F152
【Fターム(参考)】
5F152AA12
5F152BB02
5F152CC08
5F152CD25
5F152CE03
5F152CE07
5F152DD02
5F152LL03
5F152LL07
5F152LN28
5F152MM04
(57)【要約】
本書では、基板処理の実施形態が提示される。一部の実施形態では、基板を処理する方法は、第1エピタキシャル成長プロセスによって、基板上にn型ドープされたケイ素材料を堆積させてn型ドープされた層を形成しつつ、n型ドープされた層の底部からn型ドープされた層の上部へとn型ドープされた層のドーパント濃度が増加するように、ドーパント前駆体とケイ素前駆体との比率を調整することと、テーパされた側壁を有する複数のトレンチと、複数のトレンチの間の複数のn型ドープされたピラーとを形成するよう、n型ドープされた層をエッチングすることと、第2エピタキシャル成長プロセスによって、p型ドープされた材料で複数のトレンチを充填して複数のp型ドープされたピラーを形成することと、
を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
第1エピタキシャル成長プロセスによって、基板上にn型ドープされたケイ素材料を堆積させてn型ドープされた層を形成しつつ、前記n型ドープされた層の底部から前記n型ドープされた層の上部へと前記n型ドープされた層のドーパント濃度が増加するように、ドーパント前駆体とケイ素前駆体との比率を調整することと、
テーパされた側壁を有する複数のトレンチと、前記複数のトレンチの間の複数のn型ドープされたピラーとを形成するよう、前記n型ドープされた層をエッチングすることと、
第2エピタキシャル成長プロセスによって、p型ドープされた材料で前記複数のトレンチを充填して複数のp型ドープされたピラーを形成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のn型ドープされたピラー及び前記複数のp型ドープされたピラーの上にゲート領域及びソース領域を形成することを更に含み、前記n型ドープされた層の反対の側でドレイン領域が前記基板に連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記n型ドープされた層の厚さが約30から約50マイクロメートルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記n型ドープされた層がリン又はヒ素でドープされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記p型ドープされた材料が、ホウ素、アルミニウム、又はガリウムがドープされたケイ素又は炭化ケイ素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ドーパント濃度が、前記n型ドープされた層の前記底部における1立方センチメートル当たり約5e15から約8e15という第1ドーパント濃度と、前記n型ドープされた層の前記上部における1立方センチメートル当たり約1e16から約2e16という第2ドーパント濃度とを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記n型ドープされた層をエッチングすることが、実質的に垂直な上部側壁と、テーパされた下部側壁とを有する複数のトレンチを形成することを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のトレンチを形成するよう前記n型ドープされた層をエッチングする前に、前記n型ドープされた層の上に酸化物ハードマスクを堆積させることを更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のp型ドープされたピラーが、約0.5から約1.5マイクロメートルの底部幅と、約1.0から約2.0マイクロメートルの上部幅とを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
非一過性コンピュータ可読媒体であって、一又は複数のプロセッサによって実行されると、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法を行う、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記ドーパント濃度が、前記n型ドープされた層の前記底部における1立方センチメートル当たり約5e15から約8e15という第1ドーパント濃度と、前記n型ドープされた層の前記上部における1立方センチメートル当たり約1e16から約2e16という第2ドーパント濃度とを含む、請求項10に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記n型ドープされた層をエッチングすることが、実質的に垂直な上部側壁と、内側へとテーパされた下部側壁とを有する、複数のトレンチを形成することを含む、請求項10に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記複数のトレンチを形成するよう前記n型ドープされた層をエッチングする前に、前記n型ドープされた層の上に酸化物ハードマスクを堆積させることを更に含む、請求項10に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記複数のp型ドープされたピラーが、約0.5から約1.5マイクロメートルの底部幅と、約1.0から約2.0マイクロメートルの上部幅とを有する、請求項10に記載の非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
半導体デバイスであって、
n型ドープされた層を備え、前記n型ドープされた層が、前記n型ドープされた層の底部から前記n型ドープされた層の上部へと増加するドーパント濃度を有し、かつ内側へとテーパされた側壁を有する複数のトレンチを含み、前記複数のトレンチの間に複数のn型ドープされたピラーが画定され、前記半導体デバイスが更に、
前記複数のトレンチのそれぞれに対応して配置された、複数のp型ドープされたピラーを備える、
半導体デバイス。
【請求項16】
前記複数のトレンチの前記側壁が、実質的に垂直な上部側壁と、内側へとテーパされた下部側壁とを含む、請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項17】
前記複数のトレンチの前記側壁が、前記複数のトレンチの上部から前記複数のトレンチの底部まで連続的にテーパされる、請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項18】
前記複数のp型ドープされたピラーが、実質的に均一なドーパント濃度を有する、請求項15から17のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項19】
前記n型ドープされた層の前記複数のn型ドープされたピラーの上に配置され、かつ、前記複数のp型ドープされたピラーのうちの隣接するものの上に部分的に配置された、金属酸化物層と、
前記金属酸化物層上に配置されたゲート電極と、
前記ゲート電極上に配置された絶縁膜と、を更に備える、請求項15から17のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項20】
前記複数のp型ドープされたピラーの各々の上に配置されているか又は上部に埋め込まれた、n
+ドープされたウエルと、
前記絶縁膜及び前記ウエルの上に配置されたソース電極と、を更に備える、請求項19に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して基板の処理及び基板を処理する機器に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は、電圧がデバイスの導電率を決定する、絶縁ゲートを有する電界効果トランジスタ(FET)である。MOSFETは一般に、信号の切り替え又は増幅に使用される。印加される電圧量によって導電率を変化させる能力は、電子信号の増幅又は切り替えに使用されうる。平面構造を有するMOSFETは、定格電圧が上昇すると、ドリフト層が厚くなり、稼働時のMOSFETのドレインとソースとの間の抵抗(オン抵抗)が増大するという欠点を有する。超接合(super-junction)MOSFETは、複数の縦型pn接合が配置された非平面構造を有し、これにより、高電圧を維持しつつ、オン抵抗を低減し、かつMOSFETをオンにするためにゲート電極に注入される必要がある電荷量を低減することが可能になる。しかし、複数の縦型pn接合のサイズが小さくなるにつれて、pnのp領域とn領域の間の電荷バランスを維持しつつ、縦型pn接合のトレンチをボイドなく充填することは、困難になる。
【0003】
[0003]上記を踏まえ、発明者らは、本書で、改良型の半導体デバイス、及び改良型の半導体デバイスを形成する方法を提示している。
【発明の概要】
【0004】
[0004]本書では、基板処理の実施形態が提示される。一部の実施形態では、基板を処理する方法は、第1エピタキシャル成長プロセスによって、基板上にn型ドープされたケイ素材料を堆積させてn型ドープされた層を形成しつつ、n型ドープされた層の底部からn型ドープされた層の上部へとn型ドープされた層のドーパント濃度が増加するように、ドーパント前駆体とケイ素前駆体との比率を調整することと、テーパされた側壁を有する複数のトレンチと、複数のトレンチの間の複数のn型ドープされたピラーとを形成するよう、n型ドープされた層をエッチングすることと、第2エピタキシャル成長プロセスによって、p型ドープされた材料で複数のトレンチを充填して複数のp型ドープされたピラーを形成することと、
を含む。
【0005】
[0005]一部の実施形態では、非一過性コンピュータ可読媒体は、一又は複数のプロセッサによって実行されると、第1エピタキシャル成長プロセスによって、基板上にn型ドープされたケイ素材料を堆積させてn型ドープされた層を形成しつつ、n型ドープされた層の底部からn型ドープされた層の上部へとn型ドープされた層のドーパント濃度が増加するように、ドーパント前駆体とケイ素前駆体の比率を調整することと、テーパされた側壁を有する複数のトレンチと、複数のトレンチの間の複数のn型ドープされたピラーとを形成するよう、n型ドープされた層をエッチングすることと、第2エピタキシャル成長プロセスによって、p型ドープされた材料で複数のトレンチを充填して複数のp型ドープされたピラーを形成することと、
を含む、基板を処理する方法を実施する。
【0006】
[0006]一部の実施形態では、半導体デバイスは、N型ドープされた層を含み、n型ドープされた層が、n型ドープされた層の底部からn型ドープされた層の上部へと増加するドーパント濃度を有し、かつ内側へとテーパされた側壁を有する複数のトレンチを含み、複数のトレンチの間に複数のn型ドープされたピラーが画定され、半導体デバイスは更に、複数のトレンチのそれぞれに対応して配置された、複数のp型ドープされたピラーを含む。
【0007】
[0007]本開示のその他の実施形態及び更なる実施形態についても後述する。
【0008】
[0008]上記で簡潔に要約されており以下で詳述する本開示の実施形態は、付随する図面に示している本開示の例示的な実施形態を参照することにより、理解可能である。しかし、付随する図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、範囲を限定するものと見なすべきではない。本開示は他の同様に有効な実施形態をも許容しうるからである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態の少なくとも一部による、基板を処理する方法のフロー図を示す。
【
図2A】本開示の実施形態の少なくとも一部による、n型ドープされたケイ素材料を堆積させた後の半導体デバイスを示す。
【
図2B】本開示の実施形態の少なくとも一部による、複数のトレンチを有した
図2Aの半導体デバイスを示す。
【
図2C】本開示の実施形態の少なくとも一部による、複数のトレンチがp型ドープされた材料で充填された
図2Bの半導体デバイスを示す。
【
図3】本開示の実施形態の少なくとも一部による、半導体デバイスの一部分の断面図を示す。
【
図4】本開示の実施形態の少なくとも一部による、半導体デバイスの一部分の断面図を示す。
【
図5】本開示の実施形態の少なくとも一部による、エピタキシチャンバの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0016]理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。図は縮尺どおりに描かれているわけではなく、分かりやすくするために簡略化されていることがある。一実施形態の要素及び特徴は、更なる記載がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれうる。
【0011】
[0017]本書では、基板を処理して電界効果トランジスタ(FET)を形成する実施形態が提示されている。超接合ー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は、複数の縦型pn接合が配置されている非平面構造を有する、「FET」デバイスの一種である。例えば、n型ドープされた層は、p型ドープされた材料を内部に収容して交互pn接合を形成するために、複数のフィーチャ(トレンチなど)を含みうる。例えば、n型ドープされた層は、p型ドープされた材料を内部に収容してpn接合(例えばpチャネルMOSFET)を形成するために、複数のフィーチャ(トレンチなど)を含みうる。n型ドープされた層はp型ドープされた材料を収容するための複数のフィーチャを有すると前述したが、代替的には、p型ドープされた層が、n型ドープされた材料を内部に収容してpn接合(例えばnチャネルMOSFET)を形成するために、複数のフィーチャを含むこともある。しかし、複数の縦型pn接合のサイズが小さくなるにつれて、縦型pn接合の複数のトレンチをボイドなく充填することは困難になる。
【0012】
[0018]発明者らは、複数のトレンチのテーパされた側壁により、この複数のトレンチ内でのボイド形成が有利に低減又は防止されることを確認した。しかし、テーパされた側壁は、n型ドープされた領域とp型ドープされた領域の間での電荷不均衡を引き起こし、ひいては、電磁干渉及び耐電圧の劣化につながる可能性がある。これについて、発明者らは、デバイスのn型ドープされた層(若しくは領域)又はp型ドープされた層(若しくは領域)の少なくとも一方のドーパント濃度を調整することで、pn接合のp領域とn領域との間の電荷均衡が有利に改良されることを確認した。本書で提示している方法は、マルチチャンバ処理ツール又は複数のスタンドアローンチャンバにおいて実施されうる。
【0013】
[0019]
図1は、本開示の実施形態の少なくとも一部による、基板を処理する方法100のフロー図を示している。方法100は、102において、第1エピタキシャル成長プロセスによって、基板(例えば基板210)上にn型ドープされたケイ素材料を堆積させてn型ドープされた層(例えばn型ドープされた層220)を形成しつつ、n型ドープされた層の底部(例えば底部212)からn型ドープされた層の上部(例えば上部214)へとn型ドープされた層のドーパント濃度が増加するように、ドーパント前駆体とケイ素前駆体との比率を調整することを含む。例えば、
図2Aは、本開示の実施形態の少なくとも一部による、n型ドープされたケイ素材料を堆積させた後の基板210を含む、半導体デバイス200を示している。一部の実施形態では、n型ドープされた層220の厚さは約30から約50マイクロメートルである。一部の実施形態では、n型ドープされた層220は、ドープされたケイ素材料(ドープされたケイ素やドープされた炭化ケイ素など)を含む。n型ドープされた層220は、任意の好適なドーパント(例えばリンやヒ素)でドープされてよい。
【0014】
[0020]一部の実施形態では、n型ドープされた層220の厚さ204は約30から約50マイクロメートルである。一部の実施形態では、基板210の厚さ206は約0.5から約5マイクロメートルである。一部の実施形態では、基板210が、正帯電したイオンを有するn型ドープされた材料を含む(すなわち、n+型の半導体基板)一方、n型ドープされた層220は、負帯電したイオンを有するn型ドープされた材料を含む(すなわち、nー型の半導体基板)。一部の実施形態では、基板210が、負帯電したイオンを有するn型ドープされた材料を含む一方、n型ドープされた層220は、正帯電したイオンを有するn型ドープされた材料を含む。一部の実施形態では、基板210は、第1エピタキシャル成長プロセスの前に予洗浄されうる。基板210は、半導体デバイス200のドレイン領域(ドレインなど)208に連結されうる。例えば、ドレイン領域は、n型ドープされた層と反対の側で基板に連結される。
【0015】
[0021]方法100は、104において、テーパされた側壁(例えば側壁230)を有する複数のトレンチ(例えば複数のトレンチ228)を形成するよう、n型ドープされた層をエッチングすることを含む。一部の実施形態では、方法100は、n型ドープされた層220の上にマスク(酸化物ハードマスクなど)を堆積させることを含む。マスクは、複数のトレンチ228を形成するようn型ドープされた層220をエッチングする前に、複数のトレンチ228をパターニングするために使用されうる。
【0016】
[0022]
図2Bは、本開示の実施形態の少なくとも一部による、複数のトレンチ228がエッチングされた後の
図2Aの半導体デバイス200を示している。複数のトレンチ228は、均一なサイズであってよく、かつ一定の間隔に沿って配置されうる。複数のトレンチ228は、一般に、複数のトレンチ228の各々の上部218が複数のトレンチ228の各々の底部216よりも広くなるように、下方にかつ内側へとテーパされた側壁230を含む。一部の実施形態では、複数のトレンチ228の各々の上部218は、n型ドープされた層220の上部214と実質的に共通の水平面に沿って配置される。複数のトレンチ228は、複数のトレンチ228の間に複数のn型ドープされたピラー250を画定する。一部の実施形態では、複数のトレンチ228は、約30から約50マイクロメートルの深さにエッチングされる。一部の実施形態では、複数のトレンチ228は、約0.5から約1.5マイクロメートルの底部幅と、約1.0から約2.0マイクロメートルの上部幅とを有する。一部の実施形態では、複数のトレンチ228は、1:1から約1:40、又は約1:1から約1:20のアスペクト比を有する。一部の実施形態では、側壁230は、n型ドープされた層220の上部214に対する法線から約1から約4度の角度232にテーパされる。
【0017】
[0023]
図3は、本開示の実施形態の少なくとも一部による、半導体デバイス200の一部分の断面図を示している。
図4は、本開示の実施形態の少なくとも一部による、半導体デバイスの一部分の断面図を示している。一部の実施形態では、
図3に示しているように、複数のトレンチ228の側壁230は、複数のトレンチ228の上部218から複数のトレンチの底部216まで連続的にテーパされる。一部の実施形態では、n型ドープされた層をエッチングすることは、
図4に示しているような、実質的に垂直な上部側壁404とテーパされた下部側壁406とを含む側壁230を有する、複数のトレンチを形成することを含む。
【0018】
[0024]複数のトレンチ228の側壁230上へのエピタキシ堆積で、p型ドープされたピラー240の形成中に複数のトレンチ228内にボイドが形成されにくくなるように、側壁230は、内側へとテーパされる。発明者らは、側壁230が、(
図3のように)連続的にテーパされる、又は(
図4のように)部分的にテーパされることで、複数のp型ドープされたピラー240の形成中のボイド形成が低減又は防止されることを確認した。発明者らは、側壁230が部分的にテーパされることによって、複数のn型ドープされたピラー250の幅が広くなり、このことが、(電流はn型ドープされたピラー250のみを通過する可能性があるので)耐電圧を向上する上で有利であることも確認した。一部の実施形態では、下部側壁406の深さ408は、実質的に垂直な上部側壁404とテーパされた下部側壁406とを含む側壁230の、複数のトレンチ228の深さ410の約1から約10パーセントである。
【0019】
[0025]一部の実施形態では、n型ドープされた層220のドーパント濃度は、n型ドープされた層220の底部212における第1ドーパント濃度と、n型ドープされた層220の上部214における第2ドーパント濃度とを含む。一部の実施形態では、n型ドープされた層220の底部における第1ドーパント濃度は、1立方センチメートル当たり約5e15から約8e15である。一部の実施形態では、n型ドープされた層220の上部214における第2ドーパント濃度は、1立方センチメートル当たり約1e16から約2e16である。
【0020】
[0026]一部の実施形態では、n型ドープされた層220は、ある較正方法に基づいてドープされる。一部の実施形態では、この較正方法は、特定のパラメータ(予想される耐電圧や複数のトレンチ228の形状及びサイズなど)に基づいて第1ドーパント濃度及び第2ドーパント濃度を規定することによって、n型ドープされた層220をチューニングすることを含む。較正方法は、n型ドープされた層のエピタキシ堆積中に、任意の好適な様態で、第1ドーパント濃度から第2ドーパント濃度へとドーパント濃度を調整することを含みうる。例えば、ドーパント濃度は、第1ドーパント濃度から第2ドーパント濃度へと、直線的に、放物線的に、区分的に、又は別の様態で、調整されうる。
【0021】
[0027]
図1を再度参照するに、方法100は、106において、第2エピタキシャル成長プロセスによって、複数のトレンチをp型ドープされた材料で充填することを含む。例えば、
図2Cは、本開示の実施形態の少なくとも一部による、複数のP型ドープされたピラー240を形成するように複数のトレンチ228がp型ドープされた材料で充填された、
図2Bの半導体デバイス200を示している。発明者らは、テーパされた側壁が、複数のトレンチ228におけるボイド形成を有利に減少させることを確認した。しかし、テーパされた側壁230は、複数のトレンチ228の上部218の近傍の、隣り合ったp型ドープされたピラー240同士の間に第1の幅242を有し、この第1の幅242は、複数のトレンチ228の底部216の近傍の、隣り合ったp型ドープされたピラー240同士の間の第2の幅244よりも狭い。このように幅が異なることにより、複数のp型ドープされたピラー240と複数のn型ドープされたピラー250との間に電荷不均衡が生じる。一部の実施形態では、p型ドープされたピラー240の形成後に、n型ドープされた層220の上部(例えば上部214)に、平坦化プロセス(化学機械研磨(CMP)プロセスなど)が実施されることもある。
【0022】
[0028]n型ドープされた層220がドーピング勾配を有することにより、側壁230がテーパされていることによる電荷不均衡は有利に改善される。例えば、n型ドープされた層220は、狭い方の第1の幅242において、第1の幅242よりも広い第2の幅244におけるものよりも高いドーパント濃度を有する。一部の実施形態では、p型ドープされたピラー240のドーパント濃度は、n型ドープされた層220の第1ドーパント濃度と第2ドーパント濃度との間になる。一部の実施形態では、複数のp型ドープされたピラー240は、実質的に均一なドーパント濃度を有する。一部の実施形態では、p型ドープされた材料は、任意の好適なp型ドーパント(ホウ素、アルミニウム、又はガリウムなど)がドープされた、ケイ素又は炭化ケイ素を含む。
【0023】
[0029]
図3及び
図4を再度参照するに、半導体デバイス200は、複数のp型ドープされたピラー240の各々の上に配置されているか又は上部に埋め込まれた、n
+ドープされたウエル308を更に含みうる。一部の実施形態では、n型ドープされた層220は、複数のp型ドープされたピラー240の各々の上に凹部302を含み、この凹部302は、複数のトレンチ228よりも幅が広い。凹部302はp型ドープされたボディ318で充填される。一部の実施形態では、ウエル308は、p型ドープされたボディ318内に少なくとも部分的に配置される。
【0024】
[0030]一部の実施形態では、半導体デバイス200は金属酸化物層304を含む。金属酸化物層304は、n型ドープされた層220の複数のn型ドープされたピラー250の上に配置され、かつ、p型ドープされたボディ318のうちの隣り合ったものの上に部分的に、又は複数のp型ドープされたピラー240のうちの隣り合ったものの上に部分的に配置される。一部の実施形態では、金属酸化物層上にゲート電極310が配置される。ゲート電極は、多結晶シリコン、ケイ素化合物材料、又は金属複合物(例えば窒化タングステン(WN)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)など)で作製されうる。ゲート電極310を封入するために、ゲート電極310の上面及び側部には、窒化物層又は酸化物層の少なくとも一方を含む絶縁膜312が配置されうる。絶縁膜312及び複数のp型ドープされたピラー240の上に、ソース電極314が配置されうる。ソース電極314は、ウエル308上に配置され、ウエル308に連結されることもある。ソース電極314は、例えば、アルミニウムベースの電極でありうる。
【0025】
[0031]使用中、ドレインに正電圧が印加されると、複数のn型ドープされたピラー250と複数のp型ドープされたピラー240との間に空乏領域が形成される。半導体デバイス200に閾値電圧よりも高いゲート電圧が印加されると、金属酸化物層304とn型ドープされた層220との間に反転層が形成される。反転層は、ドレイン208からソース電極314への電流の流れを促進する。一部の実施形態では、電流は、ドレイン208から、n型ドープされた層220及びウエル308を介して、ソース電極314へと流れる。
【0026】
[0032]
図5は、本開示の実施形態の少なくとも一部による、基板を処理するための方法を実施するのに適したマルチチャンバ処理ツール500の概略図を示している。マルチチャンバ処理ツール500の例は、カリフォルニア州Santa ClaraのApplied Materials, Inc.から市販されているCENTURA(登録商標)ツール及びENDURA(登録商標)ツールを含みうる。本書に記載の方法は、好適なプロセスチャンバが連結された別のマルチチャンバ処理ツールを使用して、又はその他の好適なスタンドアロンのプロセスチャンバ内で、実践されうる。例えば、一部の実施形態では、上述した本書の創造的な方法は、マルチチャンバ処理ツールにおいて、処理ステップ間の真空破壊が限定的になるか、又は全くなくなるように、有利に実施されうる。例えば、真空破壊が減少することで、マルチチャンバ処理ツール内で処理されている基板の汚染を、限定的にするか又は防止することが可能になる。その他のプロセスチャンバ(他の製造業者から入手可能なものを含む)も、本書で提示している教示に関連して好適に使用されうる。
【0027】
[0033]マルチチャンバ処理ツール500は、真空気密の処理プラットフォーム501と、ファクトリインターフェース(FI)504と、システムコントローラ502とを含む。処理プラットフォーム501は、真空下にある移送チャンバ503に動作可能に連結された複数の処理チャンバ(例えば514A、514B、514C、及び514D)を含む。ファクトリインターフェース504が、一又は複数のロードロックチャンバ(例えば、
図5の506A及び506B)によって、移送チャンバ503に選択的に動作可能に連結される。
【0028】
[0034]一部の実施形態では、ファクトリインターフェース504は、基板の移送を促進するために、少なくとも1つのドッキングステーション507と、少なくとも1つのファクトリインターフェースロボット538とを備える。少なくとも1つのドッキングステーション507は、一又は複数の前方開口型統一ポッド(FOUP)を受容するよう構成される。
図5には、505A、505B、505C、505Dと付号された4つのFOUPSが図示されている。少なくとも1つのファクトリインターフェースロボット538は、ファクトリインターフェース504からロードロックチャンバ506A、506Bを通して処理プラットフォーム501に基板を移送するよう構成される。ロードロックチャンバ506A及び506Bの各々は、ファクトリインターフェース504に連結された第1ポートと、移送チャンバ503に連結された第2ポートとを有する。ロードロックチャンバ506A及び506Bは、圧力制御システム(図示せず)に連結されており、この圧力制御システムは、移送チャンバ503の真空環境とファクトリインターフェース504の実質外気環境(例えば大気環境)との間の基板の通過を促進するために、ロードロックチャンバ506A及び506Bをポンプダウンし、排気する。
【0029】
[0035]移送チャンバ503の中には、真空ロボット542が配置されている。真空ロボット542は、ロードロックチャンバ506A及び506Bと処理チャンバ514A,514B,514C,及び514Dとの間で基板521を移送することが可能である。一部の実施形態では、基板521は基板210でありうる。一部の実施形態では、真空ロボット542は、移送チャンバ203に連結された任意の処理チャンバ内に伸長し、そのチャンバから後退することが可能である。
【0030】
[0036]処理チャンバ514A、514B、514C、及び514Dの各々は、エピタキシチャンバ、化学気相堆積(CVD)チャンバ、原子層堆積(ALD)チャンバ、物理的気相堆積(PVD)チャンバ、プラズマ原子層堆積(PEALD)チャンバ、エッチングチャンバ(すなわち乾式エッチングチャンバ)、予洗浄/アニーリングチャンバ、マスキングチャンバなどを含みうる。一部の実施形態では、処理チャンバ514A、514B、514C、及び514Dのうちの少なくとも1つは、第1エピタキシプロセス又は第2エピタキシプロセスの少なくとも一方を実施するよう構成されたエピタキシチャンバである。
【0031】
[0037]システムコントローラ502が、少なくとも1つのエピタキシチャンバの直接制御を使用して、又は代替的に、エピタキシチャンバ並びにプロセスチャンバ514A、514B、514C、及び514Dに関連付けられたコンピュータ(若しくはコントローラ)を制御することによって、マルチチャンバ処理ツール500の動作を制御する。システムコントローラ502は、一般に、中央処理装置(CPU)530、メモリ534、及びサポート回路532を含む。CPU530は、工業設定で使用されうる、一又は複数のプロセッサを有する任意の形態の汎用コンピュータの1つでありうる。サポート回路532は、従来のようにCPU130に連結され、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電力供給源などを備えうる。ソフトウェアルーチン(上述の処理方法など)は、メモリ534に記憶されてよく、CPU530によって実行されると、CPU530をシステムコントローラ502に変換しうる。ソフトウェアルーチンは、マルチチャンバ処理ツール500から遠隔に配置されている第2コントローラ(図示せず)によって記憶され、かつ/又は実行されることもある。
【0032】
[0038]稼働中、システムコントローラ502は、それぞれのチャンバ及びシステムからのデータ収集及びフィードバックを可能にして、マルチチャンバ処理ツール500のパフォーマンスを最適化すると共に、本書に記載の方法を実施するようシステム構成要素に命令を与える。例えば、メモリ534は、命令を有する非一過性コンピュータ可読記憶媒体であってよく、この命令は、CPU530(又はシステムコントローラ502)によって実行されると、本書に記載の方法を実施する。
【0033】
[0039]
図1を再度参照するに、一部の実施形態では、方法100は、108において、複数のn型ドープされたピラー250及び複数のp型ドープされたピラー240の上に半導体デバイス200のゲート領域及びソース領域を形成することを更に含む。例えば、一部の実施形態では、n型ドープされた層220の上部214がエッチングされて凹部(凹部302など)が形成されてよく、これにより、複数のp型ドープされたボディ(p型ドープされたボディ318など)が、凹部内に堆積され、その後に形成されるソース電極(ソース電極314など)に連結されることが可能になる。p型ドープされたボディ318の各々は、その後に形成されるゲート酸化物(金属酸化物層304など)及びゲート電極(ゲート電極310など)の下に垂直に延在しうる。例えば、ゲート酸化物は、n型ドープされた層220のn型ドープされたピラー250の各々の上に堆積され、部分的には、p型ドープされたピラー240の形成後に、複数のp型ドープされたピラー240の上に堆積される。
【0034】
[0040]一部の実施形態では、方法100は、金属酸化物層上にゲート電極を堆積させることを更に含む。窒化物層又は酸化物層の少なくとも一方を含む絶縁膜(絶縁膜312など)が、ゲート電極310上に堆積されうる。ソース電極314が絶縁膜312及び複数のp型ドープされたピラー240の上に堆積されてよく、絶縁膜がゲート電極をソース電極から絶縁する。ソース電極314は、ウエル308、及び一部の実施形態ではp型ドープされたボディ318に電気的に連結される。ソース電極314は、ラッチアップ又は寄生ダイオード構造の形成を防止するために、p型ドープされたボディ318を複数のp型ドープされたピラー240と短絡させる。
【0035】
[0041]上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されうる。
【国際調査報告】