(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ケイ素含有膜のプラズマ強化原子層堆積
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240628BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240628BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240628BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20240628BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20240628BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/205
H01L21/316 X
H01L21/318 B
H01L21/318 C
H01L21/316 M
H01L21/318 M
C23C16/455
C23C16/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500263
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 US2022036026
(87)【国際公開番号】W WO2023283144
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クマー・ラヴィ
(72)【発明者】
【氏名】アガーワル・プルキット
(72)【発明者】
【氏名】ラボエ・エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】オースティン・ダスティン・ザッカリー
(72)【発明者】
【氏名】アベル・ジョセフ・アール.
(72)【発明者】
【氏名】アグニュー・ダグラス・ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー・ジョナサン・グラント
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA06
4K030AA09
4K030AA14
4K030AA17
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5F058BH12
(57)【要約】
【解決手段】方法は、基板支持体およびシャワーヘッドを備える処理ステーション内に基板を設けることであって、基板は、充填されるギャップを備えることと、動作(a)~(d):(a)シャワーヘッドを介してケイ素含有前駆体を処理ステーション内に流し、ケイ素含有前駆体を基板上に吸着させることを可能にすることを含む投与動作、(b)(a)の後、パージガスを処理ステーション内に流す動作、(c)(b)の後、基板をプラズマ種に曝露し、吸着されたケイ素含有前駆体と反応させる動作、および(d)(c)の後、パージガスを処理ステーション内に流す動作の複数のサイクルを含むプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによって、ギャップ内にケイ素含有膜を堆積することとを含み、ケイ素含有前駆体は、少なくとも(b)の間、処理ステーション内に流れ続ける。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持体およびシャワーヘッドを備える処理ステーション内に基板を設けることであって、前記基板は、充填されるギャップを備えることと、
動作(a)~(d):
(a)前記シャワーヘッドを介してケイ素含有前駆体を前記処理ステーション内に流し、前記ケイ素含有前駆体を前記基板上に吸着させることを可能にすることを含む投与動作、
(b)(a)の後、パージガスを前記処理ステーション内に流す動作、
(c)(b)の後、前記基板をプラズマ種に曝露し、前記吸着されたケイ素含有前駆体と反応させる動作、および
(d)(c)の後、パージガスを前記処理ステーション内に流す動作
の複数のサイクルを含むプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによって、前記ギャップ内にケイ素含有膜を堆積することと
を含み、
前記ケイ素含有前駆体は、少なくとも(b)の間、前記処理ステーション内に流れ続ける、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記ケイ素含有前駆体は、(c)の少なくとも一部の間、前記処理ステーション内に流れ続ける、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記ケイ素含有前駆体は、(c)、および(d)の少なくとも一部の間、前記処理ステーション内に流れ続ける、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
(a)の後、前記ケイ素含有前駆体の流れは、流量を減少して前記処理ステーション内に流れ続ける、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
(a)は、出口弁を介してガス送給ラインに流体接続されたケイ素含有前駆体源から不活性ガスおよび気化したケイ素含有前駆体を流すことであって、前記ガス送給ラインは、前記シャワーヘッドに流体接続されることと、(a)の終わりにおいて、前記出口弁を閉じることとを含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記ガス送給ライン内のケイ素含有前駆体は、前記出口弁が閉じられた後も前記処理ステーション内に流れ続ける、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
(c)および(d)の1つまたは複数の間、前記処理ステーションからケイ素含有前駆体を分流させることをさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
(c)の前記プラズマは、高周波(HF)および低周波(LF)RF電力を使用して生成される二重周波数RFプラズマである、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
(c)の間、前記処理ステーション内への不活性ガスの流れを増加させることをさらに含む、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、
前記HF電力は、少なくとも4kWであり、前記LF電力は、500W~5kWである、方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、
前記ギャップ内への前記ケイ素含有膜の堆積の間、前記ギャップ内にケイ素含有膜をスパッタリングして再堆積することをさらに含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記プラズマ種は、酸素(O
2)から生成される、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
前記プラズマ種は、亜酸化窒素(N
2O)から生成される、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
前記プラズマ種は、窒素(N
2)から生成される、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
(b)は、持続時間が50~500ミリ秒である、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、
前記充填されるギャップは、3D NAND構造のメモリスタック間のギャップである、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、
前記ギャップは、少なくとも20:1のアスペクト比を有する、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、
前記複数のサイクルのうちの少なくとも1つの前に、前記堆積された膜を抑制プラズマに曝露することをさらに含む、方法。
【請求項19】
充填されるギャップを含む構造を有する基板を設けることと、
(a)前記シャワーヘッドを介してケイ素含有前駆体を前記処理ステーション内に流し、前記ケイ素含有前駆体を前記基板上に吸着させることを可能にすることを含む投与動作、
(b)(a)の後、パージガスを前記処理ステーション内に流す動作、
(c)(b)の後、前記基板をプラズマ種に曝露し、前記吸着されたケイ素含有前駆体と反応させる動作であって、(c)の前記プラズマは、高周波(HF)および低周波(LF)RF電力を使用して生成される二重周波数RFプラズマである動作、および
(d)(c)の後、パージガスを前記処理ステーション内に流す動作
を含むプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによって、前記ギャップ内に部分的にのみ延びるように前記構造の上側部分に選択的にケイ素含有保護膜を堆積することと
を含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
前記保護膜を含む前記基板をハロゲン種を含む抑制プラズマに曝露し、前記ギャップの一部に対する堆積を抑制すること、および
前記基板を前記抑制に曝露した後、前記ギャップ内に誘電体材料を堆積すること
の1つまたは複数のサイクルを実施することをさらに含む、方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、
前記ケイ素含有前駆体は、少なくとも(b)の間、前記処理ステーション内に流れ続ける、方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、
前記保護膜は、前記抑制プラズマへの曝露中にエッチングされる、方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法であって、
(a)の間の前記プラズマは、三フッ化窒素(NF
3)から生成され、前記保護ライナは、窒化ケイ素膜である、方法。
【請求項24】
請求項1に記載の方法であって、
前記保護ライナは、厚さが10~999オングストロームである、方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法であって、
保護ライナを堆積することおよび1つまたは複数のサイクルを前記実施することは、同じチャンバ内で実施される、方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法であって、
前記構造は、3D NAND構造であり、前記ギャップは、各々が酸化物層および窒化物層の複数の対を含む2つのスタックによって形成され、ポリシリコン層によってキャップされ、前記保護膜は、前記ポリシリコン層を保護する、方法。
【請求項27】
基板支持体およびシャワーヘッドを備える処理ステーション内に基板を設けることと、
動作(a)~(d):
(e)前記シャワーヘッドを介してケイ素含有前駆体を前記処理ステーション内に流し、前記ケイ素含有前駆体を前記基板上に吸着させることを可能にすることを含む投与動作、
(f)(b)の後、パージガスを前記処理ステーション内に流す動作、
(g)(b)の後、前記基板をプラズマ種に曝露し、前記吸着されたケイ素含有前駆体と反応させる動作、および
(h)(c)の後、パージガスを前記処理ステーション内に流す動作
の複数のサイクルを含むプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによって、前記基板上にケイ素含有膜を堆積することと
を含み、
前記ケイ素含有前駆体は、少なくとも(b)の間、前記処理ステーション内に流れ続ける、
方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、
前記ケイ素含有膜は、前記基板上のギャップを充填する、方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、
前記ケイ素含有膜は、ギャップによって分離された2つのスタックを有する構造上に非共形的に堆積され、それにより前記膜が前記ギャップ内に部分的にのみ延びる前記スタックの上部に堆積される、方法。
【請求項30】
請求項27に記載の方法であって、
(c)の前記プラズマは、高周波(HF)および低周波(LF)RF電力を使用して生成される二重周波数RFプラズマである、方法。
【請求項31】
基板支持体およびシャワーヘッドを備える処理ステーション内に基板を設けることと、
動作(a)~(d):
(e)前記シャワーヘッドを介してケイ素含有前駆体を前記処理ステーション内に流し、前記ケイ素含有前駆体を前記基板上に吸着させることを可能にすることを含む投与動作、
(f)(b)の後、パージガスを前記処理ステーション内に流す動作、
(g)(b)の後、前記基板をプラズマ種に曝露し、前記吸着されたケイ素含有前駆体と反応させる動作、および
(h)(c)の後、パージガスを前記処理ステーション内に流す動作
の複数のサイクルを含むプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによって、前記基板上にケイ素含有膜を堆積することと
を含み、
(c)の前記プラズマは、高周波(HF)および低周波(LF)RF電力を使用して生成される二重周波数RFプラズマである、
方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、
前記ケイ素含有膜は、前記基板上のギャップを充填する、方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であって、
前記ケイ素含有膜は、ギャップによって分離された2つのスタックを有する構造上に非共形的に堆積され、それにより前記膜が前記ギャップ内に部分的にのみ延びる前記スタックの上部に堆積される、方法。
【請求項34】
処理ステーション内に基板を設けることと、
(f)酸化ケイ素堆積のための前記処理ステーション内のプロセス条件を安定化すること、
(g)酸素ベースのプラズマを使用してx回のプラズマ強化原子層堆積(PEALD)サイクルを実施することであって、xは、0よりも大きい整数であること、
(h)窒化ケイ素堆積のための前記処理ステーション内のプロセス条件を安定化すること、
(i)窒素ベースのプラズマを使用してy回のプラズマ強化原子層堆積(PEALD)サイクルを実施することであって、yは、0よりも大きい整数であること、および
(j)1回以上(a)~(d)を繰り返すこと
によって前記基板上に酸窒化ケイ素(SiON)膜を堆積することと
を含む、方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、
x+yは、20以下である、方法。
【請求項36】
請求項34に記載の方法であって、
x+yは、15以下である、方法。
【請求項37】
請求項34に記載の方法であって、
x+yは、15以下である、方法。
【請求項38】
請求項34に記載の方法であって、
(b)の各サイクルの前記酸素ベースのプラズマは、第1の持続時間を有し、(d)の各サイクルの前記窒素ベースのプラズマは、第2の持続時間を有し、前記第2の持続時間は、前記第1の持続時間の少なくとも2倍である、方法。
【請求項39】
請求項34に記載の方法であって、
前記SiON膜は、パターニングされた層上に共形的に堆積される、方法。
【請求項40】
基板支持体およびシャワーヘッドを備える処理ステーション内に基板を設けることであって、前記基板は、充填されるギャップを備えることと、
動作(a)~(d):
(a)前記シャワーヘッドを介してケイ素含有前駆体を前記処理ステーション内に流し、前記ケイ素含有前駆体を前記基板上に吸着させることを可能にすることを含む投与動作、
(b)(a)の後、パージガスを前記処理ステーション内に流す動作、
(c)(b)の後、前記基板を反応剤ガスから生成されたプラズマ種に曝露し、前記吸着されたケイ素含有前駆体と反応させる動作、および
(d)(c)の後、パージガスを前記処理ステーション内に流す動作
の複数のサイクルを含むプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによって、前記ギャップ内にケイ素含有膜を堆積することと
を含み、
前記反応剤ガスおよび/または前記プラズマ種は、少なくとも(a)の間、前記処理ステーション内に流れ続ける、
方法。
【請求項41】
基板支持体およびシャワーヘッドを備える処理ステーション内に基板を設けることであって、前記基板は、充填されるギャップを備えることと、
動作(a)~(d):
(a)前記シャワーヘッドを介してケイ素含有前駆体を前記処理ステーション内に流し、前記ケイ素含有前駆体を前記基板上に吸着させることを可能にすることを含む投与動作、
(b)(a)の後、パージガスを前記処理ステーション内に流す動作、
(c)(b)の後、前記基板を反応剤ガスから生成されたプラズマ種に曝露し、前記吸着されたケイ素含有前駆体と反応させる動作、および
(d)(c)の後、パージガスを前記処理ステーション内に流す動作
の複数のサイクルを含むプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによって、前記ギャップ内にケイ素含有膜を堆積することと
を含み、
前記ケイ素含有前駆体は、少なくとも(b)の間、前記処理ステーション内に流れ続け、ならびに/または前記反応剤ガスおよび/もしくは前記プラズマ種は、少なくとも(a)の間、前記処理ステーション内に流れ続け、
閉じた空隙が、前記ギャップ内に形成される、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[参照による援用]
本出願の一部として、本明細書と同時にPCT出願願書が提出される。この同時出願されたPCT出願願書に明記され、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
多くの半導体デバイス製作プロセスは、窒化ケイ素および酸化ケイ素などのケイ素含有膜を含む膜の形成を伴う。プラズマ強化原子層堆積(ALD)を使用して、ケイ素含有膜を堆積することが可能である。
【0003】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明されている範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、
基板支持体およびシャワーヘッドを含む処理ステーション内に基板を設けることであって、基板は、充填されるギャップを含むことと、
動作(a)~(d):
(a)シャワーヘッドを介してケイ素含有前駆体を処理ステーション内に流し、ケイ素含有前駆体を基板上に吸着させることを可能にすることを含む投与動作、
(b)(a)の後、パージガスを処理ステーション内に流す動作、
(c)(b)の後、基板をプラズマ種に曝露し、吸着されたケイ素含有前駆体と反応させる動作、および
(d)(c)の後、パージガスを処理ステーション内に流す動作
の複数のサイクルを含むプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによって、ギャップ内にケイ素含有膜を堆積することと
を含み、
ケイ素含有前駆体は、少なくとも(b)の間、処理ステーション内に流れ続ける、
方法に関する。
【0005】
いくつかの実施形態では、ケイ素含有前駆体は、(c)の少なくとも一部の間、処理ステーション内に流れ続ける。いくつかの実施形態では、ケイ素含有前駆体は、(c)、および(d)の少なくとも一部の間、処理ステーション内に流れ続ける。いくつかの実施形態では、(a)の後、ケイ素含有前駆体の流れは、流量を減少して処理ステーション内に流れ続ける。
【0006】
いくつかの実施形態では、(a)は、出口弁を介してガス送給ラインに流体接続されたケイ素含有前駆体源から不活性ガスおよび気化したケイ素含有前駆体を流すことであって、ガス送給ラインは、シャワーヘッドに流体接続されることと、(a)の終わりにおいて、出口弁を閉じることとを含む。いくつかのそのような実施形態では、ガス送給ライン内のケイ素含有前駆体は、出口弁が閉じられた後も処理ステーション内に流れ続ける。
【0007】
いくつかの実施形態では、方法は、(c)および(d)の1つまたは複数の間、処理ステーションからケイ素含有前駆体を分流させることをさらに含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、(c)のプラズマは、高周波(HF)および低周波(LF)RF電力を使用して生成される二重周波数RFプラズマである。いくつかのそのような実施形態では、HF電力は、少なくとも4kWであり、LF電力は、500W~5kWである。
【0009】
いくつかの実施形態では、方法は、(c)の間、処理ステーション内への不活性ガスの流れを増加させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、ギャップ内へのケイ素含有膜の堆積の間、ギャップ内にケイ素含有膜をスパッタリングして再堆積することをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、プラズマ種は、酸素(O2)から生成される。いくつかの実施形態では、プラズマ種は、亜酸化窒素(N2O)から生成される。いくつかの実施形態では、プラズマ種は、窒素(N2)から生成される。いくつかの実施形態では、(b)は、持続時間が50~500ミリ秒である。いくつかの実施形態では、充填されるギャップは、3D NAND構造のメモリスタック間のギャップである。いくつかの実施形態では、ギャップは、少なくとも20:1のアスペクト比を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、方法は、複数のサイクルのうちの少なくとも1つの前に、堆積された膜を抑制プラズマに曝露することをさらに含む。本開示の別の態様は、
基板支持体およびシャワーヘッドを備える処理ステーション内に基板を設けることであって、基板は、充填されるギャップを備えることと、
動作(a)~(d):
(a)シャワーヘッドを介してケイ素含有前駆体を処理ステーション内に流し、ケイ素含有前駆体を基板上に吸着させることを可能にすることを含む投与動作、
(b)(a)の後、パージガスを処理ステーション内に流す動作、
(c)(b)の後、基板を反応剤ガスから生成されたプラズマ種に曝露し、吸着されたケイ素含有前駆体と反応させる動作、および
(d)(c)の後、パージガスを処理ステーション内に流す動作
の複数のサイクルを含むプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによって、ギャップ内にケイ素含有膜を堆積することと
を含み、
反応剤ガスおよび/またはプラズマ種は、少なくとも(a)の間、処理ステーション内に流れ続ける、
ことに関する。
【0012】
本開示の別の態様は、充填されるギャップを含む構造を有する基板を設けることと、
(a)シャワーヘッドを介してケイ素含有前駆体を処理ステーション内に流し、ケイ素含有前駆体を基板上に吸着させることを可能にすることを含む投与動作、
(b)(a)の後、パージガスを処理ステーション内に流す動作、
(c)(b)の後、基板をプラズマ種に曝露し、吸着されたケイ素含有前駆体と反応させる動作であって、(c)のプラズマは、高周波(HF)および低周波(LF)RF電力を使用して生成される二重周波数RFプラズマである動作、および
(d)(c)の後、パージガスを処理ステーション内に流す動作
を含むプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによって、ギャップ内に部分的にのみ延びるように構造の上側部分に選択的にケイ素含有保護膜を堆積することとを含む、方法に関する。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、
保護膜を含む基板をハロゲン種を含む抑制プラズマに曝露し、ギャップの一部に対する堆積を抑制すること、および
基板を抑制に曝露した後、ギャップ内に誘電体材料を堆積すること
の1つまたは複数のサイクルを実施することをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、ケイ素含有前駆体は、少なくとも(b)の間、処理ステーション内に流れ続ける。いくつかの実施形態では、保護膜は、抑制プラズマへの曝露中にエッチングされる。いくつかの実施形態では、(a)の間のプラズマは、三フッ化窒素(NF3)から生成され、保護ライナは、窒化ケイ素膜である。
【0015】
いくつかの実施形態では、保護ライナは、厚さが10~999オングストロームである。いくつかの実施形態では、保護ライナを堆積することおよび1つまたは複数のサイクルを実施することは、同じチャンバ内で実施される。
【0016】
いくつかの実施形態では、構造は、3D NAND構造であり、ギャップは、各々が酸化物層および窒化物層の複数の対を含む2つのスタックによって形成され、ポリシリコン層によってキャップされ、保護膜は、ポリシリコン層を保護する。
【0017】
本開示の別の態様は、
基板支持体およびシャワーヘッドを含む処理ステーション内に基板を設けることと、
動作(a)~(d):
(a)シャワーヘッドを介してケイ素含有前駆体を処理ステーション内に流し、ケイ素含有前駆体を基板上に吸着させることを可能にすることを含む投与動作、
(b)(b)の後、パージガスを処理ステーション内に流す動作、
(c)(b)の後、基板をプラズマ種に曝露し、吸着されたケイ素含有前駆体と反応させる動作、および
(d)(c)の後、パージガスを処理ステーション内に流す動作
の複数のサイクルを含むプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによって、基板上にケイ素含有膜を堆積することと
を含み、
ケイ素含有前駆体は、少なくとも(b)の間、処理ステーション内に流れ続ける、
方法に関する。
【0018】
いくつかの実施形態では、ケイ素含有膜は、基板上のギャップを充填する。いくつかの実施形態では、ケイ素含有膜は、ギャップによって分離された2つのスタックを有する構造上に非共形的に堆積され、それにより膜がギャップ内に部分的にのみ延びるスタックの上部に堆積される。いくつかの実施形態では、(c)のプラズマは、高周波(HF)および低周波(LF)RF電力を使用して生成される二重周波数RFプラズマである。
【0019】
本開示の別の態様は、
基板支持体およびシャワーヘッドを含む処理ステーション内に基板を設けることと、
動作(a)~(d):
(a)シャワーヘッドを介してケイ素含有前駆体を処理ステーション内に流し、ケイ素含有前駆体を基板上に吸着させることを可能にすることを含む投与動作、
(b)(b)の後、パージガスを処理ステーション内に流す動作、
(c)(b)の後、基板をプラズマ種に曝露し、吸着されたケイ素含有前駆体と反応させる動作、および
(d)(c)の後、パージガスを処理ステーション内に流す動作
の複数のサイクルを含むプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスによって、基板上にケイ素含有膜を堆積することと
を含み、
(c)のプラズマは、高周波(HF)および低周波(LF)RF電力を使用して生成される二重周波数RFプラズマである、
方法に関する。
【0020】
いくつかの実施形態では、ケイ素含有膜は、基板上のギャップを充填する。いくつかの実施形態では、ケイ素含有膜は、ギャップによって分離された2つのスタックを有する構造上に非共形的に堆積され、それにより膜がギャップ内に部分的にのみ延びるスタックの上部に堆積される。
【0021】
さらに、本開示の別の態様は、処理ステーション内に基板を設けることと、
(a)酸化ケイ素堆積のための処理ステーション内のプロセス条件を安定化すること、
(b)酸素ベースのプラズマを使用してx回のプラズマ強化原子層堆積(PEALD)サイクルを実施することであって、xは、0よりも大きい整数であること、
(c)窒化ケイ素堆積のための処理ステーション内のプロセス条件を安定化すること、
(d)窒素ベースのプラズマを使用してy回のプラズマ強化原子層堆積(PEALD)サイクルを実施することであって、yは、0よりも大きい整数であること、および
(e)1回以上(a)~(d)を繰り返すこと
によって基板上に酸窒化ケイ素(SiON)膜を堆積することとに関する。
【0022】
いくつかの実施形態では、x+yは、20、15、または10以下である。
【0023】
いくつかの実施形態では、(b)の各サイクルの酸素ベースのプラズマは、第1の持続時間を有し、(d)の各サイクルの窒素ベースのプラズマは、第2の持続時間を有し、第2の持続時間は、第1の持続時間の少なくとも2倍である。いくつかの実施形態では、SiON膜は、パターニングされた層上に共形的に堆積される。
【0024】
これらおよび他の態様は、図面を参照して以下でさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、反応剤を1つまたは複数のALDサイクルを実施するために使用され得るマルチステーション反応チャンバ(図示せず)の単一のステーションに送給するためのガス送給システムの概略図である。
【0026】
【
図2】
図2は、ケイ素含有前駆体の分流を含む、4ステーションチャンバにおける酸化ケイ素のプラズマ強化原子層堆積(PEALD)についての例示的なタイミング図である。
【
図3】
図3は、ケイ素含有前駆体の分流を含む、4ステーションチャンバにおける酸化ケイ素のプラズマ強化原子層堆積(PEALD)についての例示的なタイミング図である。
【0027】
【
図4】
図4は、ケイ素含有前駆体を送給するためのガス送給システムの一部の簡略化した概略図である。
【0028】
【
図5】
図5は、CVD型成分を含む酸化ケイ素のPEALD堆積についてのタイミングシーケンスの例を示す図である。
【
図6】
図6は、CVD型成分を含む酸化ケイ素のPEALD堆積についてのタイミングシーケンスの例を示す図である。
【
図7】
図7は、CVD型成分を含む酸化ケイ素のPEALD堆積についてのタイミングシーケンスの例を示す図である。
【
図8】
図8は、CVD型成分を含む酸化ケイ素のPEALD堆積についてのタイミングシーケンスの例を示す図である。
【
図9】
図9は、CVD型成分を含む酸化ケイ素のPEALD堆積についてのタイミングシーケンスの例を示す図である。
【0029】
【
図10】
図10は、すべての他のプロセスパラメータを一定に保った場合の、RFパージ時間の関数としての堆積速度の一例を示す図である。
【0030】
【
図11a】
図11aは、本明細書に記載の方法を使用して充填され得る、未充填のギャップを含む構造の一例を示す図である。
【0031】
【
図11b】
図11bは、本明細書に記載の方法を使用して充填され得る、2つのメモリスタック間の未充填のギャップを含む構造の一例を示す図である。
【0032】
【
図11c】
図11cは、本明細書に記載の方法を使用して形成され得るエアギャップを含む構造の一例を示す図である。
【0033】
【
図12a】
図12aは、保護膜の堆積を含む、開示された実施形態に従って使用され得るプロセスシーケンスの一例を示す図である。
【0034】
【0035】
【
図13】
図13は、高周波RF電力のみを伴う、および高周波RF電力および低周波RF電力を伴うPEALDを使用して堆積された膜についての厚さ不均一性(NU)および屈折率(RI)を示す図である。
【0036】
【
図14】
図14は、保護ライナの堆積の一部として実施され得る単一のPEALDサイクルについての、または
図12bに示す他のALD動作のいずれかについてのプロセスフロー図である。
【0037】
【
図15】
図15は、酸窒化ケイ素層を形成する方法についてのプロセスフロー図を示す図である。
【0038】
【
図16A】
図16Aは、
図15による方法において様々な数のSiNサイクルを使用して堆積された膜についての屈折率(RI)および密度を示す図である。
【0039】
【
図16B】
図16Bは、本明細書に記載の方法を使用して堆積された4つの厚さ3kÅの膜についてのFTIRスペクトルを示す図である。
【0040】
【
図16C】
図16Cは、パターニングされた層上に共形的に堆積された、調節された組成およびドライエッチング速度を有するSiON膜の概略的な例を示す図である。
【0041】
【
図17】
図17は、本明細書に記載の方法を実施するために使用され得るプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスステーションの一実施形態の概略図である。
【0042】
【
図18】
図18は、本明細書に記載の方法を実施するために使用され得る例示的な基板処理装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下の説明では、提示された実施形態の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載されている。開示された実施形態は、これらの具体的な詳細の一部または全部なしで実践することができる。他の例では、開示された実施形態を不必要に曖昧にしないように、周知のプロセス動作は詳細に説明されていない。開示された実施形態は、特定の実施形態と併せて説明されるが、特定の実施形態は、開示された実施形態を限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。
【0044】
半導体製造プロセスは、多くの場合、ケイ素含有膜を含む誘電体材料の堆積を伴う。そのような膜は、3D NAND構造、DRAM構造、およびシャロートレンチアイソレーション(STI)構造を含む構造におけるギャップ充填のために、またはパターニングされた基板上に使用され、コンタクト用のバリア層などの様々な用途のための共形膜を形成することが可能である。窒化ケイ素層および炭化ケイ素層は、FinFET、MRAM、3DXPoint、ReRAM、およびPCRAMなどの論理およびメモリ構造用の先進的なデバイスにおける封止膜、スペーサ、およびバリア膜として使用され得る。
【0045】
本明細書に記載の実施形態は、ALDによる堆積を伴う。ALDは、連続的な自己制限反応を使用して材料の薄層を堆積する技法である。典型的には、ALDサイクルは、少なくとも1つの反応剤を基板表面に送給して吸着させ、その後、吸着された反応剤を1つまたは複数の反応剤と反応させ、膜の少なくとも部分的な層を形成する動作を含む。一例として、酸化ケイ素堆積サイクルは、以下の動作を含むことができる:(i)ケイ素含有前駆体の送給/吸着、(ii)チャンバからのケイ素含有前駆体のパージ、(iii)任意選択のプラズマによる酸素含有反応剤の送給、ならびに(iv)チャンバからの酸素含有反応剤および/またはプラズマのパージ。プラズマが第2の反応剤の送給中に使用される場合、いくつかの実施形態では、これはプラズマ強化原子層堆積(PEALD)と呼ばれる。ケイ素含有前駆体の送給または吸着は、「投与」動作と呼ばれることがあり、吸着された前駆体と反応させるための第2の反応剤の送給は、「変換」動作と呼ばれることがある。
【0046】
化学気相堆積(CVD)技法とは異なり、ALDプロセスは、表面媒介堆積反応を使用して、層ごとに膜を堆積する。ALDプロセスの一例では、表面活性部位の集団を含む基板表面が、基板を収容するチャンバに提供される投与量の第1の前駆体(ケイ素含有前駆体など)の気相分布に曝露される。この第1の前駆体の分子は、第1の前駆体の化学吸着種および/または物理吸着分子を含め、基板表面上に吸着される。化合物が本明細書に記載のように基板表面上に吸着される場合、吸着層は、化合物ならびに化合物の誘導体を含み得ることを理解されたい。例えば、ケイ素含有前駆体の吸着層は、ケイ素含有前駆体ならびにケイ素含有前駆体の誘導体を含むことができる。第1の前駆体の投与後、チャンバを排気して気相に残っている第1の前駆体のほとんどまたはすべてを除去し、吸着種の大部分または吸着種のみが残るようにする。いくつかの実施態様では、チャンバが完全に排気されない場合がある。例えば、チャンバは、気相中の第1の前駆体の分圧が反応を軽減するのに十分に低くなるように排気されてもよい。酸素含有反応剤などの第2の反応剤がチャンバに導入されることで、これらの分子の一部が表面上に吸着された第1の前駆体と反応する。いくつかのプロセスでは、第2の前駆体は、吸着された第1の前駆体と直ちに反応する。他の実施形態では、第2の反応剤は、活性化源が一時的に適用された後にのみ反応する。いくつかの実施形態では、プラズマが第2の反応剤の投与中に点火される。その後、チャンバを再び排気し、結合していない第2の反応剤分子を除去することが可能である。いくつかの実施形態では、チャンバが完全に排気されない場合がある。追加のALDサイクルを使用して、膜厚を構築することも可能である。ケイ素含有第1の反応剤(ケイ素含有前駆体とも呼ばれる)および第2の反応剤(共反応剤とも呼ばれる)の例が、以下に提供される。
【0047】
図1では、反応剤を1つまたは複数のALDサイクルを実施するために使用され得るマルチステーション反応チャンバ(図示せず)の単一のステーションに送給するためのガス送給システム100が概略的に示されている。この図は、ALD反応剤の送給を行うためのガス流ライン、マニホールド、弁、レギュレータ、フィルタ、シャワーヘッドなどの構成を示している。例として、ガスラインは、ガス流の方向を示す矢印を有する細い実線として概略的に示され、弁は、図では円内の十字線で示され、レギュレータは、円内の矢印で示され、マニホールドは、「マニホールド」とラベル付けされた実線のボックスで示され、フィルタは、ガスラインの両側に曲線で示されている。ガス流ラインのほとんどは、ガスを「シャワーヘッド」110に送り、シャワーヘッド110は、この概略図に示すように、ALD反応剤を図示しない反応チャンバに送給するデバイスである。
【0048】
したがって、
図1に示すガス送給システム100の特定の実施形態を参照すると、反応チャンバへの膜前駆体(例えば、ケイ素含有膜前駆体)の送給(ALD投与および吸着ステップ(上記動作(i)を参照)に関連する)は、前駆体を液体送給システム(「LPDS」とラベル付けされている)120から加熱された注入マニホールド125(「HIM」とラベル付けされている)に導入することを伴い得、そこで前駆体がガス源130(「マニホールドA」)から生じる予熱された(「予熱器」124参照)不活性キャリアガスと混合される。続いてキャリアガスが、前駆体を4つの弁169、164、165、166のアレイに運び、この弁のアレイは、(ガス流距離の点で)反応チャンバに非常に近接しているため、アセンブリ160として使用時点弁マニホールド(PVM)と呼ぶことができる。 特に、弁165が開き、弁166が閉じている状態でPVM160から、前駆体およびキャリアガスがシャワーヘッド110に直接流れ、続いて反応チャンバ内に流れる。
【0049】
同様に、
図1の送給システム100はまた、ALDで使用するための反応チャンバへの酸化剤の送給を示している(酸化プラズマの生成および吸着されたケイ素含有前駆体との反応に関連する(上記のステップ(iii)参照))。具体的には、ガス源140(「マニホールドC」)は、図に示すPVM160の弁169を通ってシャワーヘッド110に流されるO
2および/またはN
2Oガスの源として示される。マニホールドC140および「マニホールドD」170の存在もまた、投与後パージ(上記のステップ(ii))およびRF後パージ(上記のステップ(iv))のために不活性ガスを送給するために使用され得るため、この構成の場面において留意されるべきである。マニホールドD170に関して、ガス送給システム100は、マニホールドDから供給されるパージガスが「予熱器」171を通過し、その後シャワーヘッドに向かって2つの経路を流れるように構成される。両方の経路を流れるパージガスは、レギュレータ(172または173)を通過し、その後、弁(173Aおよび173Cまたは175Aおよび175C)が上流および下流に配置されたフィルタ(173Bまたは175B)を通過する。一方の経路はシャワーヘッド110に直接進み、他方の経路はまずPOS160に接続し、投与ステップ後にPOSデバイス内に残留するあらゆる残っている反応剤ガスをパージする。また、いくつかの実施形態では、前駆体は、不活性パージガスを使用せずに、真空を反応チャンバに適用することによって(例えば、弁作動真空源の動作を通じて)、反応チャンバ内の処理ステーションを囲む容積から除去され得ることに留意されたい。
【0050】
加えて、
図1は、NF
3ベースのプラズマ(図に示すように)を用いる遠隔プラズマ源195を示しており、反応チャンバおよびプロセスステーションへのその流体結合は弁116によって調節されることにも留意されたい。最後に、いくつかの実施形態では、マニホールドB150(弁144によって調節される)は、共反応剤ガス、例えば、POS160の弁165を通ってシャワーヘッド110に流される窒素(N
2)などの窒素含有共反応剤の源として機能し得ることに留意されたい。
【0051】
連続して複数のPEALDサイクルを実施することによって、PEALDを介して共形膜を堆積することができる。PEALDによって堆積された各層は非常に薄く、典型的にはケイ素含有前駆体の単一の単層から形成され、実質的な厚さの膜を堆積するには多くのサイクルを伴う場合があり、したがって比較的時間がかかることがある。多くの場合、PEALDサイクル時間は、弁および流量制御デバイスの動作時間に匹敵し、これは、そのような流量制御デバイスがケイ素含有前駆体および/または他の反応剤の定常状態の流れを提供するのにかかる時間が、サイクル時間における所望のさらなる短縮を妨げる制限要因になることを意味する。反応剤の定常状態の流れは、流量制御デバイスを開位置にしたままにし、PEALDサイクルのタイミング要件によって必要に応じて反応チャンバへの、または反応チャンバからの反応剤の流れを分流させることによって確立することが可能である。
【0052】
図2および
図3は、ケイ素含有前駆体の分流を含む、4ステーションチャンバにおける酸化ケイ素のPEALD堆積についての例示的なタイミング図を示す。
図2は、4つのステーションにおける同時投与に対応し、
図3は、ステーション1および2における同時投与、続いてステーション3および4における同時投与に対応する。
図2および
図3は、例として提供されていることに留意されたい。本明細書に記載の方法は、単一のステーションチャンバを含む、任意の数のステーションで実施することが可能である。マルチステーションチャンバの場合、ケイ素含有前駆体の投与は、ステーションのすべてまたはサブセットにわたって並行しておよび/または順次に実施されてもよい。
【0053】
さらに、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸炭窒化ケイ素などを含む他の材料の堆積は、適切な反応剤の選択によって実施されてもよい。例えば、タイミング図におけるRF酸化剤の動作は、RF窒化によって置き換えることが可能である。
【0054】
図2では、タイミング図において上から下に、4つの処理ステーション(「ステーション1」~「ステーション4」とラベル付けされている)の各々へのケイ素含有前駆体送給の概略図が表示されており、これは、4つの処理ステーションの各々に誘導/方向転換された前駆体流を示す4つのトレース211、212、213、214によって示されている。分流流路に(すなわち、処理ステーションにではない)分流された前駆体流が、第5のトレース215によって概略的に示されている。これらの5つのトレース(211、212、213、214、および215)は、
図2の最上部のトレース210によって概略的に示されている全前駆体流の内訳を表す。図はまた、投与後およびRF後のパージガス流のタイミング(「パージガス」とラベル付けされたトレース220/221で示される)、ならびに酸化プラズマの生成および吸着された前駆体との反応のタイミング(「酸化剤/RF」とラベル付けされたトレース230で示される)を概略的に示している。
図2の例では、
図1に示すような単一のガス送給システムを使用して、前駆体を、例えば、4処理ステーション構成(場合によりすべてが同じ反応チャンバ内に含まれる)における各処理ステーションに流すことができる。他の実施形態では、各処理ステーションに対して専用のガス送給システムを用いることが可能である。
【0055】
図2のタイミング図では、4つのALDサイクルの前駆体投与ステップは、互いに一致するようにタイミングが調整される。したがって、ステップ(i)(左端)において、4つのステーションに位置決めされた基板には、4つのウエハの各々の表面上に吸着させることが可能であるケイ素含有前駆体が同時に投与される。この場面では、これは
図1の弁164の開放に対応し得るが、POSの他の弁は閉じたままであることに留意されたい。投与ステップ(i)が終了した後、図の「分流」トレース215によって示されるように、前駆体流の全体が分流される。投与後パージステップ(ii)中(
図2の「パージガス」トレース220によって示す)、ステップ(iii)におけるRF生成酸化プラズマによる活性化を介した吸着された前駆体の反応中(
図2の「酸化剤/RF」トレース230によって示す)、およびRF後パージ中(
図2の「パージガス」トレース220によっても示す)、ケイ素含有前駆体の完全な分流が行われる。
【0056】
この場面では、「投与」トレースと「分流」トレースとの間の遷移は、
図1の「真空への分流」ラベルによって示すように、POSの弁164の閉鎖および弁166の開放に対応し得ることに留意されたい。同様に、弁164および166がこれらの位置(164が閉じ、166が開く)にある場合、
図1の「パージガス」トレース220によって示されるパージステップ(ii)および(iv)は、当然のことながら、閉じたままの弁165、169を開くことによって達成することができる(また、いくつかの実施形態では、シャワーヘッド付近で追加のパージを行うために弁162Aおよび162Bの開放も伴う)。
図2の「酸化剤/RF」トレース230によって示す酸化プラズマステップ(iii)を介した反応は、(パージステップのために開いたままにされていた)弁165が閉じられ、164および166がそれらの分流位置に留まる一方でPOSの弁169が開くことに対応し得る。
図1を参照した弁動作の説明は、一例であることに留意されたい。
【0057】
図3は、
図2と同様のタイミング図を示すが、一連の4つのALDサイクルの並列実行を伴い、そこでは共通の源からのケイ素含有前駆体の流れが最初に処理ステーション1および2でウエハに投与され、その後、ステーション3および4でウエハに投与されるように方向転換される。
【0058】
本開示の一態様は、PEALDによって増加した成長速度で材料を堆積する方法に関する。方法は、深いフィーチャを含めてギャップ充填に使用することができ、フィーチャ内の空隙を迅速に閉鎖することが可能となる。例示的な適用には、メモリスタック、他の3D NAND構造、DRAM構造、およびシャロートレンチアイソレーション(STI)構造を隔離する3D NAND構造におけるスリットのギャップ充填が挙げられる。いくつかの実施形態では、ギャップは、高アスペクト比(HAR)ギャップであり得る。例には、最大35:1のアスペクト比を有するギャップが挙げられる。
【0059】
いくつかの実施形態では、方法は、ケイ素含有前駆体の投与中に流量を制御することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、投与後のサイクルの少なくとも一部の間にケイ素含有前駆体をステーション内に流すことを可能にすることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、投与、パージ、およびRF動作のタイミングシーケンスを制御することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、RF動作中に低周波RF(LFRF)成分を含めることを伴う。様々な実施形態によれば、成長速度を高めるために上記の方法のいずれか1つまたは複数が用いられる。方法は、CVD型成分をALD堆積に追加することによって成長速度を高めることが可能である。
【0060】
ケイ素含有前駆体投与中の流量の制御は、キャリアガスを減少させることによってケイ素含有前駆体およびキャリアガスの総流量を低減することを伴い得る。これにより、投与中にケイ素含有前駆体の濃度が増加する。一例として、ステーション当たりの総流量は、ケイ素含有前駆体およびアルゴンまたは別のキャリアガスにおいて2000~4000標準立方センチメートル毎分(sccm)であり得る。投与中のケイ素含有前駆体:キャリアガスの体積流量比は、例えば、1:4~3:1または3:5~5:2であってもよい。これは、成長速度の増加がないプロセスの場合の1:6~1:5の比率と比較することができる。
【0061】
パージ中にケイ素含有前駆体をチャンバ内に流すことを可能にすることは、様々な方式で実施することができる。例えば、シャワーヘッドへの弁は、投与とRF動作との間の少なくとも一部の時間の間、ケイ素含有前駆体ガスを分流させずに開いたままにすることが可能である。これにより、ケイ素含有前駆体がステーション内に流れ続けることが可能になる。
【0062】
いくつかの実施形態では、チャンバ内への流れは、ケイ素含有前駆体ガス源で完全に制御され得る。
図4は、ケイ素含有前駆体を送給するためのガス送給システムの一部の簡略化した概略図を示す。ケイ素含有前駆体ガス源402は、例えば、蒸気吸引アンプル、ケイ素含有前駆体源、および不活性ガス源を含むことができる。アンプルは、ケイ素含有前駆体および不活性ガスを受け取り、ケイ素含有前駆体を気化させるように構成され得る。プッシュガス源404からプッシュガスを供給し、ケイ素含有前駆体/不活性ガス混合物を図示のようにシャワーヘッドに押し出すことが可能である。3つの弁が、
図4の簡略化した概略図に図示されている。出口弁412が、ケイ素含有ガス源における流れを制御する。シャワーヘッドへの入口弁416は、シャワーヘッドを通ってステーション内への流れを制御する。また、分流弁414を含む分流ラインも示されている。
図4に示すガス分配システムは、例えば、
図1に関して上述したようなガス分配システムの一部であってもよい。
【0063】
特定の実施形態では、ALDサイクルの投与後パージの少なくとも一部の間、入口弁416は開いており、分流弁414は閉じている。これにより、ケイ素含有前駆体ガスの流れを出口弁412によって制御することが可能になる。出口弁412が閉じられた後であっても、ある程度の量のケイ素含有前駆体ガスがライン内にあり、ステーションに入る可能性がある。
【0064】
図5~
図8は、CVD型成分を含む酸化ケイ素のPEALD堆積についてのタイミングシーケンスの例を提供する。
図2および
図3に関して上述したように、これらのシーケンスは、酸化ケイ素の堆積またはRF酸化プロセスに限定されない。窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸炭窒化ケイ素などを含む他の材料の堆積は、適切な反応剤の選択によって実施されてもよい。例えば、タイミング図におけるRF酸化剤の動作は、RF窒化によって置き換えることが可能である。
【0065】
まず。
図5を参照すると、酸化ケイ素の堆積のための例示的なタイミングシーケンスが示されている。5つのステージ:2回の投与(D1およびD2)、投与後パージ(PDP)、RF/酸化、およびRF後パージが
図5には示されている。最上部のトレースは、Si含有前駆体源出口弁からのSi含有前駆体および不活性ガスの流れを示す。一例は、
図4の出口弁412である。最上部から2番目のトレースは、ステーション内へのSi含有前駆体および不活性ガスの流れである。
図4の例では、不活性ガスは、
図4のケイ素含有前駆体ガス源402およびプッシュガス源404から来ることが可能である。分流ガス、パージガス、およびRF/酸化剤もまた示されている。
【0066】
投与D1の間、Si含有前駆体ガス源からの出口弁は開いている。これは、
図2および
図3の投与ステップと同様である。出口弁が閉じられると、Si含有前駆体ガス源からのSi含有前駆体および不活性ガスの流れが停止する。ある程度の量のSi含有前駆体が、ラインおよびシャワーヘッド内に残る。投与D2の間、このSi含有前駆体および不活性ガスは、ステーション内に流れ続ける。これは、最上部から2番目のトレースによって示される。D2の間にケイ素含有前駆体ガス源からのSi含有前駆体の継続的な供給がない間、いくつかの実施形態では不活性ガス源から不活性ガスが供給され得ることに留意されたい。例えば、
図4では、不活性ガスは、プッシュガス源404から流れ続けることが可能である。
【0067】
図5のシーケンスは、
図2のシーケンスとは異なり、後者のシーケンスは、投与後の任意のSi含有前駆体の流れを分流させる。
図5の例では、ライン内に残っている任意の前駆体は、サイクル全体を通じて、分流を伴わずにステーション内に流れ続けることが可能である。これは、投与後パージ中、パージガスが流されるとき、RF/酸化ステージ中、およびRF後パージ中を含む。Si含有前駆体および不活性ガスはD2の間にステーション内に流れ続けるが、その源から新たなSi含有前駆体が供給されないため、流れ中のSi含有前駆体の総流量および量は減少する。いくつかの実施形態では、それらはプロセス全体を通じて継続的に減少し得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、サイクルの一部の間に分流が行われてもよい。
図6は、
図5と同様に、D2投与ステージを含むタイミングシーケンスの別の例を示す。
図6の例では、前駆体の流れが、RF/酸化ステージおよびRF後パージステージに対して分流される。代替の実施形態では、分流は、PDPステージの始まりに、またはPDPもしくはRF/酸化ステージ中の任意の時点で開始されてもよい。
図5および
図6の例では、ステーションへの流れは、シャワーヘッド内または分流弁414の下流のライン内にあり得るケイ素含有前駆体および不活性ガスを含む。
【0069】
D1ステージの後に前駆体をステーション内に流すことを可能にすることにより、堆積プロセスへのCVD型成分の提供を容易にすることができる。RF/酸化ステージ中にステーション内に存在する非吸着前駆体は、CVD型反応で反応する。堆積プロセスのCVD型成分によって堆積される膜の量は、D2ステージおよび分流の有無およびタイミングを含む、いくつかのパラメータによって制御することができる。
図6のタイミング図を使用する場合よりも
図5のタイミング図を使用する場合、RF/酸化ステージ中により多くの前駆体が存在することになる。PDPステージの存在、パージ量、およびタイミングもまた、CVD型成分を制御するために使用され得る。CVD型成分を増加させるために、PDPステージ中に流されるパージガスの量および/またはPDPステージの持続時間を低減することができる。いくつかの実施形態では、投与後パージは、
図7に示すように省略されてもよい。いくつかの実施形態では、D2ステージは省略されてもよく、PDPステージはD1ステージの終わりから始まる。ケイ素含有前駆体は、
図8のタイミング図に示すように、分流せずにステーションに依然として流れることが可能である。
【0070】
堆積のCVD型成分を制御する別のパラメータは、D1段階(または
図2および
図3で参照される投与)の終わりとRF/酸化の開始との間の時間である。この時間は、D2および/またはPDPステージを含む。例示的な時間は、5ミリ秒~500ミリ秒の範囲である。この範囲の下限では、堆積は、より多くのCVD型成分を有する。範囲の上限では、堆積は、大部分がALDであり得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、酸化または窒化中、RFには、低周波(LF)成分ならびに高周波(HF)成分が供給される。そのような実施形態では、堆積された誘電体の一部がフィーチャ上部からスパッタリングされ、フィーチャ内でさらに再堆積される。いくつかの実施形態では、HF成分は、酸化物、窒化物、または他の所望の膜への良好な変換を得るために比較的高い。例えば、HF成分は、4kW~10kW(4つのステーションに分割される)、すなわちステーション当たり1kW~2.5kWであってもよい。スパッタリングおよび再堆積の量は、LF電力を制御することによって調節することが可能である。いくつかの実施形態では、LF電力は、RF電力と同じであるか、またはRF電力よりも低くてもよい。例えば、LF成分は、500W~10kW(4つのステーションに分割される)、すなわちステーション当たり125W~2.5kWであってもよい。いくつかの実施形態では、LF電力は、500W~5kW(4つのステーションに分割される)、すなわちステーション当たり125W~1250Wである。ステーション当たりの電力は、任意の数のステーションを有するチャンバに使用され得る。HF周波数は、約13.56または27MHzであり、LF周波数は、約300~400kHzである。
【0072】
スパッタリングおよび再堆積はまた、アルゴン(Ar)などの不活性ガスの流量によって制御することもできる。いくつかの実施形態では、スパッタリングおよび再堆積を増加させるために、RFステージ中に高アルゴンArガス流が使用される。例えば、Ar流量は、4つのステーションに対して最大約50標準リットル/分(slm)、すなわちステーション当たり最大12.5slmである。下限では、RFステージ中に約3.5~10slm、すなわちステーション当たり875sccm~2.5slmのAr流量が使用され得る。いくつかの実施形態では、ステーションへのAr流量は、RFステージに対してのみ増加されてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、CVD型成分は、RFパージ(RFP)を使用して制御される。酸化剤または他の共反応剤は完全にはパージされず、次の投与ステージにおいて前駆体と反応するためにチャンバ内に残ることが可能である。これは、上述した投与および/またはPDPの制御に加えて、またはその代わりに行われてもよい。例示的なタイミング図が、
図9に示されている。
【0074】
図9は、サイクルにおける4つのステージ:投与、PDP、RF/酸化、およびRFPを示す。示す例では、Si前駆体および不活性ガスは、投与中にステーションにある。いくつかの実施形態では、分流器(図示せず)を使用して、投与中にステーションから遠ざけるように前駆体を誘導することが可能である。代替の実施形態では、前駆体は、投与後にチャンバ内に流れ続けることが可能であってもよい。
図9では、酸化剤は、プラズマが消滅すると同時にオフおよび/または分流される。代替の実施形態では、酸化剤は、RFがオフになった後もチャンバ内に流れ続けることが可能であってもよい。
【0075】
RFPのタイミングを適切に制御することによって、その後の投与中にCVD型成分を導入することができる。パージ流ならびに酸化剤(または他の共反応剤)の量および濃度も制御することで、CVD型成分に影響を及ぼすことが可能である。RFP時間を短縮すること、ならびに/または酸化剤の量および/もしくは濃度を増加させことによって、酸化剤種は、前駆体と反応する次の投与段階中に存在することが可能になる。酸化剤種は、分子および/もしくはラジカル、または他の残光プラズマ種であってもよい。残りの種の反応性を高めるために、RF電力(HFおよび/またはLF)も増加させることができる。RFP時間の例は、0.5秒~5秒の範囲である。パージ流の例は、5lpm~45lpmの範囲である(しかし、これは特定のリアクタの幾何学的形状およびサイズに依存する)。
【0076】
いくつかの実施形態では、RFP時間は、1秒未満である。1秒以上のRFP時間は、純粋なALDをもたらす可能性が高い。対照的に、パージ流が少ない0.1秒のRFPでは、CVD型成分が高い。いくつかの実施形態では、RFP時間は、0.9秒、0.8秒、0.7秒、0.6秒、0.5秒、0.4秒、0.3秒、または0.2秒未満である。
【0077】
図10は、すべての他のプロセスパラメータを一定に保った場合の、RFP時間の関数としての堆積速度の一例を示す。5000WのRF電力が使用された。例示的なプロセスでは、堆積速度は、約0.3秒以下のRFP時間ではより高く、その後、RFP時間が増加するにつれて減少する。0.5秒では、プロセスは、純粋なALDであるかまたはそれに近い。強いまたは弱いCVD型成分または純粋なALDをもたらすRFP時間は、パージ流、酸化剤の量、酸化剤の濃度、RF電力などに依存する。
【0078】
上述したように、方法は、メモリおよび論理用途を含む様々な用途に対して実施され得る。いくつかの実施形態では、方法は、ギャップ充填のために使用することが可能である。
図11aは、側壁1115間に未充填のギャップ1103を含むフィーチャ1101の一例を示す。図では、幅「a」および高さ「b」が示されている。幅は、直径であってもよい。アスペクト比(A/R)は、示されるようにb/aによって与えられる。側壁1115は、概して垂直である。しかし、いくらかのリエントランシーが存在する可能性がある。リエントランシーは、フィーチャの底部から上に向かって狭くなっていく。挿入
図1110は、フィーチャ内の深さ「x」における厚さ「y」のリエントランシーを示す。側壁面は、1つまたは複数の誘電体材料、導電性材料、または半導電性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、ギャップは、ライナ膜で裏打ちされてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、方法は、3D NAND構造の製作中にギャップを充填するために実施される。例えば、酸化ケイ素/窒化ケイ素(ONON)交互層にスリットをエッチングした後、誘電体をスリットに堆積することが可能である。
図11bは、2つのメモリスタック1105間にギャップ1103を含む構造の一例を示す。各スタックは、2対256対以上の交互の酸化物/窒化物層を含むことができる。様々な実施形態によれば、スタックは層、例えば、ポリシリコン層で裏打ちされてもよい。ギャップ1103の充填中、LF成分がRF酸化動作に追加され得る。LF成分を追加することにより、ONONスタックにおける亀裂の形成が軽減される。いくつかの実施形態では、これは、スパッタリングおよび再堆積された膜における架橋および/または応力によるものである。
【0080】
方法は、論理デバイス製作用のDRAM構造、ならびにシャロートレンチアイソレーション(STI)およびディープトレンチアイソレーション(DTI)構造を含む任意の適切な構造の誘電体ギャップ充填に使用され得る。いくつかの実施形態では、ギャップ充填中、方法は、抑制および/またはエッチング動作を含むことができる。例えば、上述のPEALDタイミングシーケンスは、ギャップを充填する堆積-エッチング-堆積(DED)プロセスにおける堆積動作に使用されてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、ホールおよびトレンチ構造内に閉じた空隙を形成するために使用される。
図11cは、2つのフィーチャ間に形成された空隙1120の一例を示す。誘電体材料1122は、より多くの誘電体材料がフィーチャの上部に堆積されるにつれて空隙1122が形成されるのに十分な量のCVD型成分を用いてフィーチャ間のギャップに堆積される。上述の技法を使用して、空隙を形成するようにCVD型成分を制御することが可能である。
【0082】
空隙(エアギャップとも呼ばれる)を形成することによって、半導体デバイスにおけるレベル内容量を低減することができる。方法はまた、MEMSデバイス内にエアギャップを形成することを含む、任意の適切な場面でエアギャップを形成するために使用することができる。半導体構造の例には、相互接続、導電ライン、または他の導電性フィーチャが挙げられる。方法はまた、フィーチャ間の誘電体膜によってキャップされたエアギャップが有用な任意の場面でも実施することが可能である。構造の例には、ホールおよびスリットなどの3D NAND構造、ビットライン構造などのDRAM構造、バックエンドオブライン(BEOL)の金属ライン、論理ゲートなどが挙げられる。構造は、フィーチャ間に未充填のギャップを有する2つ以上の隣接するフィーチャを有することによって特徴付けられる。多くの実施態様では、フィーチャは導電性フィーチャであり、形成されるエアギャップは非常に低いk誘電率を提供し、寄生容量を低減する。しかし、フィーチャの側壁面は、導電性表面、誘電性表面、または半導体表面、またはこれらの組み合わせを含む任意の材料であってもよい。例えば、構造は、炭化ケイ素(SiC)膜でコーティングされた銅(Cu)ラインであってもよい。構造の寸法はまた、特定の用途に依存する。例えば、入来するDRAM構造は、幅25~50nm、深さ300~800nmのギャップを有することができ、入来する3D NAND構造は、幅50~350nm、深さ5~8ミクロンである場合がある。しかし、方法は、いずれかの特定の構造寸法、フィーチャ構成、または側壁面に限定されない。いくつかの実施形態では、方法は、エアギャップを形成するための他の技法(犠牲材料の堆積および除去など)を実施することが困難な用途で実施することが可能である。
【0083】
形成された空隙は、1126で示す空隙の上部の載置および形状によって特徴付けることができる。空隙の場所は、RF時間の量および/またはスパッタリング量によって調節することができる。空隙の上部は、一般に、さらなる処理中に空隙が閉じられたままであることを確実にするために、フィーチャの上部よりもある程度は下にある。いくつかの実施形態では、空隙の上部は、
図11cに示すように丸形である。丸形の上部は、亀裂を防止するのに役立つ。
【0084】
空隙を含むフィーチャは、堆積の結果形成される窪み1128によってさらに特徴付けることができる。上述のスパッタリングにより、窪み角1130が広がる。いくつかの実施形態では、窪み角は、50°よりも大きい、55°よりも大きい、60°よりも大きい、65°よりも大きい、70°よりも大きい、75°よりも大きい、80°よりも大きい、または85°よりも大きい。
【0085】
いくつかの実施形態では、プロセスは、抑制プラズマへの定期的な曝露を含むことができる。抑制プラズマは不動態化された表面を形成し、膜の核形成障壁を増加させる。抑制プラズマがフィーチャ内の材料と相互作用する場合、フィーチャの底部における材料は、幾何学的陰影の効果のため、フィーチャの上部部分近くまたはフィールド内に位置する材料よりも少ないプラズマ処理を受ける。フィーチャの上部における堆積が選択的に抑制され、フィーチャの下側部分における堆積はより少ない抑制で、または抑制されずに進行する。その結果、ボトムアップ充填が強化され、継ぎ目の影響を軽減し、空隙の形成を防止するより好ましい傾斜プロファイルを形成する。ハロゲン含有プラズマは、効果的な抑制プラズマとなり得る。例えば、いくつかの用途では、三フッ化窒素(NF3)から生成されたプラズマは、分子状窒素(N2)から生成されたプラズマと比較して、大幅に短縮された時間で抑制効果を提供することが可能である。しかし、ハロゲン含有プラズマはまた、エッチャントとして作用し得る。例えば、抑制を実施している間、低エネルギーで表面に衝突する原子は抑制剤として作用することができ、高エネルギーの原子は材料を除去することができる。プラズマはエネルギー分布を有するため、プラズマの一部の成分がフィーチャの上部近くに衝突し、エッチングされる場合がある。エッチングされた誘電体は、堆積中に置換される。下層の材料(例えば、ポリシリコン(ポリSi)、金属酸化物など)が除去された場合、エッチングされた誘電体は置換されず、デバイス性能に影響を及ぼす可能性がある。
【0086】
いくつかの実施形態では、方法は、ギャップの上部に保護膜を形成するために実施される。この膜は、ギャップの上部にある「ヘルメット」と呼ばれることがあり、抑制プラズマによる損傷から保護することができる。
図12aは、開示された実施形態に従って使用され得るプロセスシーケンスの一例を示す。
図12aの例では、複数のALD動作が示されている。これらの動作のいずれか1つまたは複数は、上述の技法の1つまたは複数を使用して、CVD型成分を含むことができる。
【0087】
図12aのプロセスシーケンスは、抑制プラズマへの曝露前に保護膜の堆積を含む。他の動作(例えば、浸漬、不動態化)は、特定の実施形態では省略されてもよく、特定の実施形態では動作が追加されてもよい。
図12aの例示的なプロセスシーケンスでは、1つまたは複数のウエハがギャップ充填を受ける。プロセスは、堆積チャンバに提供された後、浸漬から始まることができる。これは、例えば、粒子の除去または別の前処理に有用であり得る。続いて、保護膜のALD堆積のn1サイクルが実施される。保護ライナALDのさらなる詳細については、以下で説明される。保護膜が堆積された後、n個の抑制ブロックが実施され、1つの抑制ブロックの動作が示されている。抑制ブロックの第1の動作は、表面処理である抑制プラズマである。上述したように、プラズマは、アニオンを含むハロゲン種、およびF
-、Cl
-、I
-、Br
-、フッ素ラジカルなどのラジカル種を含むことができる。構造に損傷を与える可能性のあるプラズマからの保護を行う保護膜を有する、他の抑制プラズマが使用されてもよい。例えば、分子状窒素(N
2)、分子状水素(H
2)、アンモニア(NH
3)、アミン、ジオール、ジアミン、アミノアルコール、チオール、またはそれらの組み合わせから生成されたプラズマは、抑制プラズマとして使用することが可能である。温度、RF電力、および下層の材料の感度などの条件が、これらによりプラズマ損傷が発生し得るような条件である場合、保護膜を使用することができる。いくつかの実施形態では、ハロゲン含有ガス(例えば、NF
3)が使用される。ハロゲン含有ガスは、抑制を制御し、かつエッチングを防止するために酸素(O
2)などの別のガスで大幅に希釈されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、酸化剤:ハロゲンの体積流量比は、少なくとも5:1または少なくとも10:1であってもよい。
【0088】
抑制プラズマがフィーチャ内の材料と相互作用する場合、フィーチャの底部における材料は、幾何学的陰影の効果のため、フィーチャの上部部分近くまたはフィールド内に位置する材料よりも少ないプラズマ処理を受ける。その結果、フィーチャの上部における堆積が選択的に抑制され、フィーチャの下側部分における堆積はより少ない抑制で、または抑制されずに進行する。
図12aでは、抑制ブロックにおける次の動作は、ALD充填のn2サイクルである。誘電体材料は、フィーチャの底部に選択的に堆積される。抑制プラズマおよびALD充填のn2サイクルは、一緒になって成長サイクルを形成する。成長サイクルをn3回繰り返すことで、抑制効果が減少した際に断続的な抑制動作でフィーチャを充填し続けることができる。抑制ブロックにおける成長サイクルの数は、フィーチャのリエントランシーに依存する場合がある。より多くのリエントランシーを示すフィーチャは、より長い抑制時間または複数の抑制ブロックを使用することができる。
図12aの例では、抑制ブロックは、不動態化動作で終了する。これは、残留抑制剤を除去し、堆積された膜を緻密化することもできる表面処理である。いくつかの実施形態では、酸素プラズマが使用される。いくつかの実施形態では、不動態化サイクルは、省略されてもよい。
【0089】
成長サイクルおよび不動態化を含む1つまたは複数の追加の抑制ブロックが、合計n個の抑制ブロックに対して実施され得る。抑制ブロックの数は、フィーチャを充填するためにどれだけの材料が使用されるかに依存する。抑制プラズマ、ALD、および不動態化条件は、フィーチャを充填するために抑制ブロックごとに変更することが可能である。例えば、抑制プラズマ持続時間は、フィーチャの下4分の1が充填されるまで20秒であり(抑制ブロック1)、その後、構造の中央の50%に対しては5秒に変更される(抑制ブロック2)などであってもよい。
【0090】
フィーチャがほぼ充填されると、抑制はもはや必要なくなり、充填はALD充填のn4サイクルで完了することができる。いくつかの実施形態では、その後、誘電体のキャップまたはオーバーバーデン層を堆積することが可能である。高速堆積のために、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)がこのステージにおいて使用されてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、保護膜は、上述のようにCVD型成分を使用して堆積される。
図12bは、ONONスタックの上部にポリSi1218を有する3D NAND構造1250の一例を示す。1251において、ポリSi218は、ギャップ206を充填するために使用される抑制プラズマに曝露されると脆弱になる。1253において、保護膜1260が示されている。特定の実施形態では、シャワーヘッドへのケイ素含有前駆体を制御する入口弁は開いており、分流弁は閉じられていない。これにより、ケイ素含有前駆体ガスの流れをケイ素含有前駆体源の出口弁によって制御することが可能になる。
図4に関して上述したように、出口弁が閉じられた後、ある程度の量のケイ素含有前駆体ガスがライン内にあり、ステーションに入ることができる。同じまたは他の実施形態では、LF電力が保護膜の形成中に使用される。
【0092】
保護ライナの堆積中にケイ素含有前駆体をステーション内に流すことを可能にすることにより、CVD型成分を用いないALDプロセスよりもはるかに迅速に保護膜を堆積することが可能となる。LF成分を提供することにより、堆積を改善することもでき、HFのみを堆積した膜よりも均一性が高く、かつ屈折率(RI)が高い膜を提供することができる。
図13を参照すると、1000W HF+1500W LF(三角形)を用いた、および1000W HFのみを用いたPEALDにより10Torrでケイ素含有前駆体/パージ/N
2プラズマ/パージシーケンスを使用して堆積された膜についての厚さ不均一性(NU)および屈折率(RI)が示されている。HF+LF堆積膜の場合、NUは著しく低く、RIは高い。RIは、エッチング速度と逆相関する。したがって、HF+LF堆積膜は、よりエッチング耐性がある。堆積速度も複数の圧力で示されており、HF+LF堆積膜の方が高い。
【0093】
保護膜は、抑制プラズマに対して比較的エッチング耐性のある材料から形成され得る。保護ライナの例には、窒化ケイ素、炭化ケイ素、および酸化ケイ素(酸窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、炭窒化ケイ素などを含む)が挙げられる。抑制剤ガスと適合し、下層の膜と比較して抑制剤において高い選択性(低いエッチング速度)を有する任意の材料を使用することが可能である。
【0094】
酸化ケイ素は、フッ素系または同様のプラズマに対して窒化ケイ素または炭化ケイ素よりも低い耐性を有し、特定の状況でのみ使用され得る。特定の状況には、以下の1つまたは複数が挙げられ得る:抑制プラズマが比較的弱いこと、抑制プラズマが短期間のみ適用されること、およびフィーチャ寸法が、充填中にフィーチャをピンチオフすることなくかなり大量の保護膜を堆積することが可能であること。
【0095】
窒化ケイ素(SiN)は、N
2プラズマまたは他の窒素含有プラズマを使用して堆積され得る。いくつかの実施形態では、酸化剤はSiNの堆積中に使用されない。しかし、特定のプロセス条件では、周囲条件により窒化ケイ素ではなく酸化ケイ素が形成される場合がある。SiN保護膜の堆積中にLFを使用すると、酸化物ではなく窒化物が形成される。例えば、
図13を参照すると、HFのみの堆積は、膜のかなりの部分が窒化物ではなく酸化物であることを示すRIを有する。HF/LF堆積膜は、窒化物のRIと一致するRIを有する。LF RF電力は、過剰なスパッタリングを回避するために制限される場合がある。いくつかの実施形態では、LF電力の量は、4つのステーションに対して1~2kW(すなわちステーション当たり250W~500W)である。酸素がほとんど存在しない極低圧を使用すること、および/またはより長いRF時間を使用することによって、SiN膜を堆積することも可能である。炭化ケイ素は、炭素含有共反応剤(例えば、シランとメタンの反応)を使用して堆積され得る。
【0096】
多くの実施形態では、材料は犠牲的であり、抑制中に除去されるため、特に限定されない。保護膜の深さは、保護ライナがない場合に抑制プラズマが下層に損傷を与える深さを決定することによって決定することができる。これは、モデル化によって、またはこれらの組み合わせによって実験的に行うことができる。保護膜は、抑制プラズマを通して下層を保護するが、最後の抑制プラズマの終わりまでに除去されるような厚さに堆積され得る。これは、実験的に、および/または既知のエッチング速度から決定することができる。例示的な厚さは、数十~数百オングストロームの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、ギャップ充填後にある程度の量の保護膜が残る場合がある。そのような場合、保護ライナが残るギャップの部分を充填する前に、別々の除去プロセスを実施することができる。いくつかの実施形態では、残りの保護膜がデバイス内に残される場合がある。いくつかの実施形態では、保護膜の堆積は複数回、例えば、m個の抑制ブロックごとに実施されてもよい。
【0097】
PEALDプロセスにおけるCVD型成分は、共形的にではなく構造の上部に優先的に保護ライナを堆積することを容易にすることができる。上述したように、いくつかの実施形態では、ケイ素含有前駆体は、プロセス全体にわたって、あるいは
図5~
図8に関して説明したように流れることが可能である。いくつかの実施形態では、LF RFプラズマが使用される。さらに、保護ライナの非共形堆積をさらに容易にするために、圧力を比較的低く(例えば、20Torr未満、または15Torr未満)に保つことができる。
【0098】
本明細書に記載の方法による保護ライナの堆積により、ギャップの上部からその最深点まで厚さが徐々にテーパ状になる可能性がある。エッチング速度は深さが増加するにつれて減少し、それにより下層をエッチングすることなくテーパ状の保護ライナを除去することができる。
【0099】
図14は、保護ライナの堆積の一部として実施され得る単一のPEALDサイクルについての、または
図12aに示す他のALD動作のいずれかについてのプロセスフロー図を提示する。動作1402において、基板がケイ素含有前駆体に曝露され、前駆体をフィーチャの表面上に吸着させる。この動作は、自己制限的であってもよい。いくつかの実施形態では、前駆体は、フィーチャの表面上のすべての活性部位よりも少ない部位に吸着する。動作1404において、プロセスチャンバは任意選択でパージされ、未吸着のケイ素含有前駆体が除去される。上述したように、いくつかの実施形態では、基板は、パージ中にケイ素含有前駆体を含む流れに曝露され続ける。
【0100】
動作1406において、基板は、共反応剤から生成されたプラズマに曝露される。例には、酸化ケイ素層または酸窒化ケイ素層を形成するためのO2および/またはN2O、窒化ケイ素層を形成するための窒素(N2)またはアンモニア(NH3)、炭化ケイ素層を生成するためのメタン(CH4)などが挙げられる。上述したように、いくつかの実施形態では、基板は、この動作中にケイ素含有前駆体を含む流れに曝露され続ける。また、上述したように、同じまたは他の実施形態では、プラズマは、LFおよびHF電圧を使用して生成されるRF生成プラズマである。
【0101】
動作1408において、プロセスチャンバは任意選択でパージされ、ケイ素含有前駆体と共反応剤との間の反応から副生成物を除去する。上述したように、いくつかの実施形態では、基板は、この動作中にケイ素含有前駆体を含む流れに曝露され続ける。動作1402~1408が多数のサイクルにわたって繰り返され、フィーチャ内に所望の厚さでケイ素含有層が堆積される。
【0102】
本明細書に記載のプロセスは、特定の反応機構に限定されないことに留意されたい。したがって、
図14に関して説明したプロセスは、厳密に自己制限的ではないものも含め、ケイ素含有前駆体および変換プラズマへの連続曝露を使用するすべての堆積プロセスを含む。プロセスは、プラズマを生成するために使用される1つまたは複数のガスが断続的なプラズマ点火によりプロセス全体にわたって継続的に流されるシーケンスを含む。
【0103】
本開示の別の態様は、PEALDによって酸窒化ケイ素層を形成する方法に関する。本明細書で使用される場合、酸窒化ケイ素(SiON)は、SiO
xN
yを指し、xおよびyは、0よりも大きい数である。
図15は、酸窒化ケイ素層を形成する方法についてのプロセスフロー図である。まず、動作1502において、SiO堆積のためのプロセス条件が安定化される。これは、上述したように、ガス流を変更し、チャンバまたはチャンバのステーション内への流量を安定化することを伴う。いくつかの実施形態では、これは、チャンバ圧力を安定化することを伴い得る。以下でさらに説明するように、基板温度および/またはチャンバ圧力は、前の動作と同じであってもよく、安定化する必要がない場合がある。
【0104】
次に、ケイ素含有前駆体および酸素含有(O含有)共反応剤を使用するx回のPEALDサイクルが動作1504で実施される。以下でさらに説明するように、サイクル数xは、堆積された膜に組み込まれる酸素の量、および堆積された膜が均質なSiON膜であるか、または層状SiO/SiN膜であるかによって決定され得る。いくつかの実施形態では、xは、終点を含む、1~15、または1もしくは10、または1~7の整数である。
【0105】
x回のサイクルが実施されると、チャンバにおけるプロセス条件が動作1506でSiN堆積のために安定化される。動作1506は、ガス流を変更し、かつ安定化することを含み、チャンバ圧力を変更することをさらに含むことができる。以下でさらに説明するように、基板温度および/またはチャンバ圧力は、前の動作と同じであってもよく、安定化する必要がない場合がある。
【0106】
次に、ケイ素含有前駆体および窒素含有(N含有)共反応剤を使用するy回のPEALDサイクルが動作1508で実施される。N含有反応剤は、典型的には酸素を含まず、動作1508中にO含有反応剤は使用されない。以下でさらに説明するように、サイクル数yは、堆積された膜に組み込まれる窒素の量、および堆積された膜が均質なSiON膜であるか、または層状SiO/SiN膜であるかによって決定され得る。いくつかの実施形態では、yは、終点を含む、1~15、または1もしくは10、または1~7の整数である。
【0107】
動作1501において、動作1502~1508が1回以上繰り返されて膜厚が蓄積される。様々な実施形態によれば、
図15に示すプロセス全体は、同じチャンバ内で実施され、いくつかの実施形態では、マルチステーションチャンバの同じステーション内で実施される。いくつかの実施形態では、異なるステーションが異なるプロセス動作に対して使用されてもよい。
【0108】
SiON膜への窒素の組み込みの微制御を使用して、膜のドライエッチング速度を制御することができ、一般に、より多くの窒素がよりエッチング耐性の高い膜をもたらす。x:yの比を使用して、膜中のOおよびNの相対量を調節することができる。いくつかの実施形態では、SiOおよびSiNの堆積を繰り返す前のサイクル数xおよびyの各々ならびに合計サイクル数x+yは、堆積された膜が均質なSiON膜となるように十分に低く保たれる。SiOおよびSiNが個別の交互層である実施形態では、サイクル数を増やすことができる。様々な実施形態によれば、比x:yは、1:10~10:1の範囲であり得る。他の比が使用されてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、チャンバ圧力は、動作1502および1506で変更される。他の実施形態では、同じチャンバ圧力が使用される。動作1508(窒素系プラズマを使用)のPEALDサイクル中のプラズマ持続時間は、動作1504(酸素系プラズマを使用)のプラズマ持続時間よりもはるかに長い。例えば、これは少なくとも2倍の長さ、少なくとも3倍の長さ、少なくとも5倍の長さ、または少なくとも7倍の長さである。様々な実施形態によれば、動作1504で使用されるケイ素含有前駆体は、動作1508で使用されるものと同じであっても異なっていてもよい。
【0110】
様々な実施形態によれば、動作1502は、処理ステーションに入る窒素(N
2)または他の非酸素含有窒素含有反応剤の流れを停止することを伴い得る。これは、例えば、マニホールドからの流れを停止または分流させることを伴う場合がある。この動作は、分流を伴ってマニホールドから酸化剤(例えば、O
2および/またはN
2O)の流れを開始することをさらに伴ってもよい。この動作は、処理ステーションへのケイ素含有前駆体の流れを開始することをさらに伴ってもよい。これは、分流を伴わずにケイ素含有前駆体ガス源からの弁、例えば
図4の弁412を開くことを伴うができる。いくつかの実施形態では、弁は、動作1508のRFパージ動作中に開いてもよいし、開いたままにしてもよい。
【0111】
様々な実施形態によれば、動作1506は、処理ステーションに入る酸素(O
2)または他の酸素反応剤の流れを停止することを伴い得る。これは、例えば、マニホールドからの流れを停止または分流させることを伴う場合がある。この動作は、分流を伴ってマニホールドから非酸素含有窒素含有反応剤(例えば、N
2)の流れを開始することをさらに伴ってもよい。この動作は、処理ステーションへのケイ素含有前駆体の流れを開始することをさらに伴ってもよい。これは、分流を伴わずにケイ素含有前駆体ガス源からの弁、例えば
図4の弁412を開くことを伴うができる。いくつかの実施形態では、弁は、動作1504のRFパージ動作中に開いてもよいし、開いたままにしてもよい。
【0112】
図16Aは、
図15による方法において様々な数のSiNサイクルを使用して堆積された膜についてのエッチング速度と逆相関する屈折率(RI)および密度を示す。
図16Aからわかるように、RIおよび密度(したがってドライエッチング速度)は、合計SiNおよびSiOサイクルに対してSiNサイクルの数を増減させることによって、かなり広い範囲で調節することができる。
【0113】
図16Bは、4つの厚さ3kÅの膜、すなわち、各反復について3回の酸化剤サイクルから7回の窒化剤サイクルを伴う
図15に示すような方法を使用して堆積された1つのSiO
2膜、1つのSiN膜、1つのSiON膜、および各反復について7回の酸化剤サイクルから3回の窒化剤サイクルを伴う
図15に示すような方法を使用して堆積されたSiON膜についてのFTIRスペクトルを示す。O
2/Arプラズマ動作とN
2/Arプラズマ動作の両方を使用して堆積された膜の場合、ピークはSiO
2とSiNのピークの間にあり、膜が混合SiON膜であり、層状SiO
2/SiN膜ではないことを示している。
【0114】
本明細書に記載のSiON膜は、パターニングスキームにおけるスペーサとしての用途を含む様々な用途に使用することが可能である。例えば、SiON膜は、エッチングされるターゲット層の上に重なるパターニングされたコア材料の上に堆積され得る。いくつかの実施形態では、パターニングされたコア材料は、アモルファスカーボン構造などの炭素系構造であってもよい。SiON膜を堆積させ、パターニングされたコア材料を共形的にコーティングすることができる。
図16Cは、パターニングされた層1613上に共形的に堆積された、調節された組成およびドライエッチング速度を有するSiON膜1620の一例を示す。パターニングされた層1613についての材料の例には、アモルファスカーボン、アモルファスケイ素、およびフォトレジストが挙げられる。共形膜1620は方向性エッチングされ、パターニングされた第1の層1613に隣接するスペーサ1621を形成する。パターニングされた第1の層1613が選択的に除去され、自立型スペーサ1621が残る。スペーサ221は、下層1605内にさらに小さいピッチでフィーチャを形成するために、さらに小さいCDを有するマスクを提供することができる。SiON膜1620は、パターン転写スキームにおいていくつかの正確なエッチング動作を受ける可能性があるため、上述したようにドライエッチング速度を調節することができることが有利である。
【0115】
図1~
図16Cを参照して上述したようにケイ素含有膜を堆積するために、1つまたは複数のケイ素含有前駆体を使用することが可能である。ケイ素含有反応剤は共反応剤と反応し、ケイ素含有膜(例えば、SiO
2、SiN、SiON、SiC、SiOCなど)を形成することができる。開示された実施形態に従って使用するのに適したケイ素含有前駆体は、ポリシラン(H
3Si-(SiH
2)
n-SiH
3)を含み、n>0である。シランの例は、シラン(SiH
4)、ジシラン(Si
2H
6)、およびオルガノシラン、例えばメチルシラン、エチルシラン、イソプロピルシラン、t-ブチルシラン、ジメチルシラン、ジエチルシラン、ジ-t-ブチルシラン、アリルシラン、sec-ブチルシラン、テキシルシラン、イソアミルシラン、t-ブチルジシラン、ジ-t-ブチルジシランなどである。
【0116】
ハロシランは、少なくとも1つのハロゲン基を含み、水素および/または炭素基を含んでも含まなくてもよい。ハロシランの例は、ヨードシラン、ブロモシラン、クロロシラン、およびフルオロシランである。特定のクロロシランは、テトラクロロシラン、トリクロロシラン、ジクロロシラン、モノクロロシラン、クロロアリルシラン、クロロメチルシラン、ジクロロメチルシラン、クロロジメチルシラン、クロロエチルシラン、t-ブチルクロロシラン、ジ-t-ブチルクロロシラン、クロロイソプロピルシラン、クロロ-sec-ブチルシラン、t-ブチルジメチルクロロシラン、テキシルジメチルクロロシランなどである。
【0117】
アミノシランは、ケイ素原子に結合した少なくとも1つの窒素原子を含むが、水素、酸素、ハロゲン、および炭素も含有してもよい。アミノシランの例は、モノ、ジ、トリ、およびテトラアミノシラン(それぞれ、H3Si(NH2)、H2Si(NH2)2、HSi(NH2)3、およびSi(NH2)4)、ならびに置換モノ、ジ、トリ、およびテトラアミノシラン、例えば、t-ブチルアミノシラン、メチルアミノシラン、tert-ブチルシランアミン、ビス(tert-ブチルアミノ)シラン(SiH2(NHC(CH3)3)2(BTBAS)、tert-ブチルシリルカルバメート、SiH(CH3)-(N(CH3)2)2、SiHCl-(N(CH3)2)2、(Si(CH3)2NH)3などである。アミノシランのさらなる例は、トリシリルアミン(N(SiH3))である。いくつかの実施形態では、中心のSi原子に結合した2つ以上のアミン基を有するアミノシランが使用されてもよい。これらは、単一のアミン基のみが結合しているアミノシランよりも損傷が少ない場合がある。
【0118】
ケイ素含有前駆体のさらなる例には、トリメチルシラン(3MS)、エチルシラン、ブタシラン、ペンタシラン、オクタシラン、ヘプタシラン、ヘキサシラン、シクロブタシラン、シクロヘプタシラン、シクロヘキサシラン、シクロオクタシラン、シクロペンタシラン、1,4-ジオキサ-2,3,5,6-テトラシラシクロヘキサン、ジエトキシメチルシラン(DEMS)、ジエトキシシラン(DES)、ジメトキシメチルシラン、ジメトキシシラン(DMOS)、メチルジエトキシシラン(MDES)、メチルジメトキシシラン(MDMS)、オクタメトキシドデカシロキサン(OMODDS)、tert-ブトキシジシラン、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、テトラオキシメチルシクロテトラシロキサン(TOMCTS)、トリエトキシシラン(TES)、トリエトキシシロキサン(TRIES)、およびトリメトキシシラン(TMSまたはTriMOS)が挙げられる。
【0119】
いくつかの実施態様では、ケイ素含有前駆体は、シロキサンまたはアミノ基含有シロキサンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書で使用されるシロキサンは、X(R1)aSi-O-Si(R2)bYの式を有してもよく、aおよびbは、0~2の整数であり、XおよびYは、独立して、HまたはNR3R4とすることができ、R1、R2、R3、およびR4の各々は、水素、非分岐アルキル、分岐アルキル、飽和複素環基、不飽和複素環基、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのXまたはYがNR3R4である場合、R3およびR4は、各々が結合している原子と一緒になって、飽和複素環式化合物を形成する。いくつかの実施形態では、ケイ素含有前駆体は、ペンタメチル化アミノ基含有シロキサンまたはジメチル化アミノ基含有シロキサンである。アミノ基含有シロキサンの例には、1-ジエチルアミノ1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン、1-ジイソプロピルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン、1-ジプロピルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン、1-ジ-n-ブチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン、1-ジ-sec-ブチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン、1-N-メチルエチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン、1-N-メチルプロピルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン、1 N-メチルブチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン、1-t-ブチルアミノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン、1-ピペリジノ-1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン、1-ジメチルアミノ-1,1-ジメチルジシロキサン、1-ジエチルアミノ-1,1-ジメチルジシロキサン、1-ジイソプロピルアミノ-1,1-ジメチルジシロキサン、1-ジプロピルアミノ-1,1-ジメチルジシロキサン、1-ジ-n-ブチルアミノ-1,1-ジメチルジシロキサン、1-ジ-sec-ブチルアミノ-1,1-ジメチルジシロキサン、1-N-メチルエチルアミノ-1,1-ジメチルジシロキサン、1-N-メチルプロピルアミノ-1,1-ジメチルジシロキサン、e 1-N-メチルブチルアミノ-1,1-ジメチルジシロキサン、1-ピペリジノ-1,1-ジメチルジシロキサン、1-t-ブチルアミノ-1,1-ジメチルジシロキサン、1-ジメチルアミノジシロキサン、1-ジエチルアミノジシロキサン、1-ジイソプロピルアミノジシロキサン、1-ジプロピルアミノジシロキサン、1-ジ-n-ブチルアミノジシロキサン、1-ジ-sec-ブチルアミノジシロキサン、1-N-メチルエチルアミノジシロキサン、1-N-メチルプロピルアミノジシロキサン、1-N-メチルブチルアミノジシロキサン、1-ピペリジノジシロキサン、1-t-ブチルアミノジシロキサン、および1-ジメチルアミノ-1,1,5,5,5-ペンタメチルジシロキサンが挙げられる。
【0120】
ケイ素含有前駆体に加えて、アルゴン、窒素、ヘリウム、水素、またはそれらの組み合わせなどの不活性ガスを含む1つまたは複数の他のガスも流すことが可能である。様々な実施形態において、アルゴンガスは、約1slm~約20slmの流量を使用して導入されてもよい。いくつかの実施形態では、窒素ガスは、約0slm~約30slmの流量を使用して導入される(0slmは、窒素ガスが流されていないことを指すことを理解されたい)。いくつかの実施形態では、水素ガスは、約0slm~約5slmの流量を使用して導入される(0slmは、水素ガスが流されていないことを指すことを理解されたい)。
【0121】
プラズマエネルギーを供給することで第2の反応剤をイオンおよびラジカル、ならびに他の活性種に活性化し、これらが吸着された前駆体の吸着層および気相中に存在する任意の前駆体と反応する。様々な実施形態において、プラズマはその場(in-situ)プラズマであり、それによりプラズマはチャンバ内の基板表面の真上に形成される。in-situプラズマは、約0.2122W/cm2~約2.122W/cm2、または約0.4421W/cm2~約1.7684W/cm2の基板面積当たりの電力で点火され得る。例えば、単一のウエハに対する電力は、約150W~約6000W、または約500W~約6000W、または約600W~約6000W、または約800W~約4000W、または約310W~約1250Wの範囲であってもよい。4つの300mmウエハに対する電力は、約150W~約6000W、または約1250W~約5000Wの範囲であってもよい。本明細書に記載の範囲は、その終点を含む。
【0122】
ALDプロセス用のプラズマは、2つの容量結合されたプレートを使用して無線周波数(RF)場をガスに印加することによって生成され得る。RF場によるプレート間のガスのイオン化によりプラズマが点火され、プラズマ放電領域内に自由電子が生成される。これらの電子はRF場によって加速され、気相反応剤分子と衝突する可能性がある。これらの電子と反応剤分子の衝突により、堆積プロセスに関与するラジカル種が形成され得る。RF場は、任意の適切な電極を介して結合され得ることが理解されよう。
【0123】
本出願では、「半導体ウエハ」、「ウエハ」、「基板」、「ウエハ基板」、および「部分的に製作された集積回路」という用語は、互換的に使用される。当業者は、「部分的に製作された集積回路」という用語が、集積回路製作の多くの段階のいずれかにあるケイ素ウエハを指すことができることを理解するであろう。半導体デバイス業界で使用されるウエハまたは基板は、典型的には、200mm、または300mm、または450mmの直径を有する。特に明記しない限り、本明細書に記載される処理の詳細(例えば、流量、電力レベルなど)は、直径300mmの基板の処理、または直径300mmの基板を処理するように構成された処理チャンバに関連し、他のサイズの基板もしくはチャンバに応じて拡大縮小することができる。
【0124】
図17は、プロセスチャンバ本体1702を有するプラズマ強化原子層堆積(PEALD)プロセスステーション1700の一実施形態の概略図を図示する。PEALDプロセスステーション1700は、いくつかの実施形態では、低圧環境で基板を処理するのに適している場合がある。いくつかの実施形態では、PEALDプロセスステーション1700の1つまたは複数のハードウェアパラメータ値(以下で詳細に説明されるものを含む)は、1つまたは複数のコンピュータコントローラ1750によってプログラム的に調整することができる。
【0125】
PEALDプロセスステーション1700は、プロセスガスを分配シャワーヘッド1706に送給するための反応剤送給システム1701aと流体連通する。反応剤送給システム1701aは、
図1を参照して上述した、または
図18を参照して以下で説明される1つまたは複数のマニホールド、混合容器、質量流量コントローラ、液体流量コントローラ、および弁を含むことができる。様々な実施形態において、シャワーヘッド1706またはプロセスチャンバ1702への1つまたは複数のプロセスガスの送給は、サイクルにわたって変化し得る。例えば、1つまたは複数のプロセスガスを投与する継続期間は、変化する場合がある。開示された実施形態では、コントローラ1750は、1つまたは複数の入口弁、分流弁、および出口弁を制御することによって、1つまたは複数のプロセスガスの送給を制御することが可能である。
【0126】
シャワーヘッド1706は、プロセスガスを基板1712に向けて分配する。
図17に示す実施形態では、基板1712は、シャワーヘッド1706の下に位置し、台座1708上に静止した状態で示されている。シャワーヘッド1706は、任意の適切な形状を有してもよく、プロセスガスを基板1712に分配するための任意の適切な数および配置のポートを有してもよい。任意選択で、台座408は、プロセス圧力、反応剤濃度、プラズマ密度などを調節するために、プロセスの一部の間に下降および/または上昇されてもよい。
【0127】
シャワーヘッド1706および/または台座1708は、プラズマに電力を供給するために、整合ネットワーク1716を介して高周波無線周波数(HFRF)電源1714aおよび低周波無線周波数(LFRF)と電気的に通信する。いくつかの実施形態では、プラズマエネルギーは、プロセスステーション圧力、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、およびプラズマ電力パルスタイミングの1つまたは複数を制御することによって制御することができる。そのようなパラメータ値は、本明細書で説明されるマルチサイクルALDプロセスにおいて、ALDサイクルごとに変化し得る。例えば、LFRF電源1714bおよび整合ネットワーク1716は、1つまたは複数のALDサイクル中に所望のスパッタリング効果を得るために任意の適切な電力で動作することが可能である。適切な電力の例は、上記に含まれている。例示的な低周波RF周波数は、限定はしないが、50kHz~500kHzの周波数を含み得る。例示的な高周波RF周波数は、限定はしないが、1.8MHz~2.45GHzの周波数を含み得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、プラズマは、1つまたは複数のプラズマモニタによってin-situで監視することができる。1つのシナリオでは、プラズマ電力は、1つまたは複数の電圧、電流センサ(例えば、VIプローブ)によって監視され得る。別のシナリオでは、プラズマ密度および/またはプロセスガス濃度は、1つまたは複数の発光分光センサ(OES)によって測定されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマパラメータは、そのようなin-situプラズマモニタからの測定値に基づいてプログラム的に調整することができる。例えば、OESセンサは、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためのフィードバックループで使用され得る。いくつかの実施形態では、他のモニタを使用して、プラズマおよび他のプロセス特性を監視することができることが理解されよう。そのようなモニタには、限定はしないが、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、および圧力変換器が挙げられ得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、コントローラ1750に対する命令は、入出力制御(IOC)シーケンス命令を介して提供され得る。一例では、プロセス段階に対する条件を設定するための命令は、プロセスレシピの対応するレシピ段階に含まれてもよい。場合によっては、プロセスレシピ段階は、プロセス段階に対するすべての命令がそのプロセス段階と同時に実行されるように、順に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のリアクタパラメータ値を設定するための命令が、レシピ段階に含まれ得る。例えば、第1のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応剤ガス(例えば、シランなどの第1の前駆体)の流量を設定するための命令、キャリアガス(窒素またはアルゴンなど)の流量を設定するための命令、および第1のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでもよい。第2の後続のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応剤ガスの流量を調節または停止するための命令、キャリアガスまたはパージガスの流量を調節するための命令、ならびに第2のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでもよい。第3のレシピ段階は、第1のレシピ段階で使用されるガス(例えば、酸素などの第2の前駆体)と同じであっても異なっていてもよい不活性ガスおよび/または反応剤ガスの流量を設定するための命令、プラズマHFRF電力を設定するための命令、プラズマLFRF電力を設定するための命令、第1のレシピ段階における流量と同じであっても異なっていてもよいキャリアガスの流量、プラズマ条件を調節するための命令、ならびに第3のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでもよい。第4のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応剤ガスの流量を調節または停止するための命令、キャリアガスまたはパージガスの流量を調節するための命令、ならびに第4のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでもよい。第5のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応剤ガス(例えば、酸素および/またはアルゴン)の流量を設定するための命令、異なるまたは同じプラズマLFRFおよび/またはHFRF電力を設定するための命令、キャリアガスの流量、プラズマ条件を調節するための命令、ならびに間欠プラズマ処理を実施するための第5のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでもよい。場合によっては、レシピ段階はまた、オン状態とオフ状態との間でプラズマをパルスするための命令を含んでもよい。さらに多くのレシピ段階がまた、使用されてもよい。これらのレシピ段階は、本開示の範囲内で任意の適切な方法でさらに細分化および/または反復され得ることが理解されよう。
【0130】
いくつかの実施形態では、台座1708は、ヒータ1710を介して温度制御されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、プロセスステーション1700についての圧力制御は、バタフライ弁1718によって提供され得る。
図17の実施形態に示すように、バタフライ弁1718は、下流の真空ポンプ(図示せず)によって提供される真空を絞る。しかし、いくつかの実施形態では、プロセスステーション1700の圧力制御はまた、プロセスステーション1700に導入される1つまたは複数のガスの流量を変化させることによって調整することができる。プロセスステーション1700は、上述のような例示的なレシピを制御するための制御部1750を含むことができる。
【0131】
いくつかの実施態様では、コントローラ1750はシステムの一部であり、そのようなシステムは上述した例の一部であってもよい。そのようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理機器を備えることができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステム動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。そのような電子機器は「コントローラ」と呼ばれることがあり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素または副部品を制御してもよい。コントローラ1750は、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスとしては、処理ガスの送給および/もしくは1つまたは複数のガスの分流を含むプロセスガスの送給のための異なる投与時間の変更、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、RF発生器設定および/もしくはRF電力設定の変更、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送給設定、位置および動作設定、特定のシステムに接続または連動するツールおよび他の移送ツールに対するウエハの搬入と搬出、ならびに/またはロードロックに対するウエハの搬入と搬出が含まれる。
【0132】
広義には、コントローラ1750は、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または1つまたは複数のマイクロプロセッサ、すなわちプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラ450に通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハダイの製作における1つまたは複数の処理ステップを実現するためプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0133】
コントローラ1750は、いくつかの実施態様では、システムと統合または結合されるか、他の方法でシステムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であってもよく、またはそのようなコンピュータに結合されてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、コントローラ1750は、「クラウド」内にあってもよいし、ファブホストコンピュータシステムのすべてもしくは一部であってもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検討し、複数の製作動作から傾向または性能基準を検討し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、または新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供することができる。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでいてもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラ1750は命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実施される各処理ステップのためのパラメータを特定するものである。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、およびコントローラ1750が連動または制御するように構成されるツールのタイプに特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラ1750は、例えば、互いにネットワーク接続され共通の目的(本明細書で説明されるプロセスおよび制御など)に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを含むことによって分散されてもよい。このような目的のための分散型コントローラの例として、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路であって、(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔配置されておりチャンバにおけるプロセスを制御するよう組み合わせられる1つまたは複数の集積回路と通信するものが挙げられるであろう。
【0134】
限定はしないが、例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連するか使用されてもよい任意の他の半導体処理システムを含むことができる。
【0135】
上記のように、ツールによって実施される1つまたは複数のプロセスステップに応じて、コントローラ1750は、1つまたは複数の他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール場所および/もしくはロードポートに対してウエハの容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。
【0136】
本明細書に記載の方法は、マルチステーションまたはシングルステーション基板処理装置を使用して実施することができる。マルチステーション基板処理装置のいくつかの実施形態では、様々なプロセス入力(例えば、プロセスガス、プラズマ電力、プラズマ生成用のガス、反応剤、膜前駆体、ヒータ電力など)の制御および/または供給は、共有源からマルチステーション装置内の複数の処理ステーションに分散されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、共有RF電力源が、2つ以上の処理ステーション内でプラズマを生成するためのRF電力を供給することが可能である。別の例では、共有ガス分配マニホールドが、プロセスガスを2つ以上の処理ステーションに供給することができる。マルチステーション処理ツールのいくつかの非限定的な例示的な実施形態について、以下で説明する。
【0137】
図18は、共通の低圧反応チャンバ内に複数の処理ステーション3842を含む、例示的な基板処理装置3840を概略的に示す。低圧環境に各ステーションを維持することによって、膜堆積プロセス間の真空破壊によって引き起こされる欠陥を回避することができる。
図18に示す例では、各処理ステーション3842は、上述のようにケイ素含有膜を堆積するように構成される。
図18に図示される実施形態では、各処理ステーション3842に対するプロセスガスは、送給前にプロセスガスをブレンドおよび/または調整するための共通の混合容器3844によって供給される。いくつかの実施形態では、混合容器3844は、温度制御されてもよい。膜前駆体(ケイ素含有膜前駆体など)および場合によってはキャリアガス中の他の反応剤を含むプロセスガス、ならびにプラズマサポート用のガスは、複数のプロセスガス送給ライン、弁、およびマニホールドから供給され得る。例えば、
図18は、送給ライン3845と流体連通するケイ素前駆体/アルゴン混合物およびアルゴン(キャリアガスとして)を含むマニホールドA、送給ライン3847と流体連通する窒素およびアルゴン(同様に、キャリアガスとして機能する)を含むマニホールドB、ならびに送給ライン3848と流体連通する酸素ガス(O
2)および/もしくは亜酸化窒素(N
2O)、ヘリウム、ならびに/またはアルゴン(後者の2つはキャリアガスとして)を含むマニホールドCを図示する。他の適切な配置および化学物質(上述したような)が本開示の範囲内に含まれること、ならびに様々なALDベースの膜堆積化学物質および複数基板の装置および配置が、本明細書に開示されるプロセスタイミングシーケンスから利益を得ることができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、別々の混合容器を用いて、不適合な反応剤と前駆体を分離することが可能である。
【0138】
図18は、単一の反応チャンバ内に4つの処理ステーションを有するマルチステーション基板処理装置を図示しているが、他の構成は、単一の反応チャンバ内により多くのまたはより少ない数の処理ステーションを有してもよい。したがって、例えば、いくつかの実施形態では、マルチステーション基板処理装置は、反応チャンバ当たり2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16個、またはそれ以上の処理ステーション、または反応チャンバ当たりの処理ステーションの前述の数の任意の対によって定義される範囲内における反応チャンバ当たりの処理ステーションの数、例えば、反応チャンバ当たり2~6つの処理ステーション、反応チャンバ当たり4~8つの処理ステーション、反応チャンバ当たり8~16個の処理ステーションなどを有してもよい。
【0139】
他の実施形態では、基板処理装置は、反応チャンバごとに単一の処理ステーションのみを有してもよい。
【0140】
本明細書に記載の装置/プロセスは、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、太陽光パネルなどの製作または製造のために、リソグラフィパターニングツールまたはプロセスと併せて使用されてもよい。典型的には、必須ではないが、そのようなツール/プロセスは、共通の製作施設で共に使用または実施される。膜のリソグラフィパターニングは、典型的には、以下の動作のいくつかまたはすべてを含み、各動作が使用可能な多くのツールを用いて可能にされる:(1)スピンオンツールまたはスプレーオンツールを使用して、ワークピース(すなわち、基板)にフォトレジストを塗布する動作、(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを使用してフォトレジストを硬化する動作、(3)ウエハステッパなどのツールを用いて可視光またはUV光またはX線光でフォトレジストを露光する動作、(4)ウェットベンチなどのツールを使用して、レジストを現像してレジストを選択的に除去し、それによってレジストをパターニングする動作、(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを使用することによって、下層の膜またはワークピースにレジストパターンを転写する動作、および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを使用してレジストを除去する動作。
【0141】
結論
前述の実施形態は、明確な理解のために多少詳しく説明されてきたが、一定の変更および修正が添付の特許請求の範囲の範囲内で実践されてもよいことは明らかであろう。本実施形態のプロセス、システム、および装置の実施には多くの別の方法があることに留意されたい。したがって、本実施形態は、限定ではなく例示と見なされるべきであり、それらの実施形態は本明細書に述べられる詳細に限定されるべきではない。
【国際調査報告】