(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】有機ケイ素化合物、染色化合物、シーリング試薬およびアルカリ性前処理剤の適用を含む、ケラチン物質の染色方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20240628BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20240628BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240628BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240628BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240628BHJP
A61K 8/58 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q5/10
A61K8/86
A61K8/39
A61K8/34
A61K8/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500286
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2022064674
(87)【国際公開番号】W WO2023280469
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】102021207098.1
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】シェープゲンス,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】レヒナー,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ヤイザー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】タイリ,アヴニ
(72)【発明者】
【氏名】クルッパ,カロリン
(72)【発明者】
【氏名】ノヴォトニィ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】マティアシク,カーステン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB031
4C083AB032
4C083AB231
4C083AB232
4C083AC071
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD092
4C083CC36
4C083EE26
(57)【要約】
本発明は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法であって、以下の工程を含む方法に関する:・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は、(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬を含む、・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は、(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む、および・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は、(b1)少なくとも1つのシーリング試薬を含み、ここで、前記剤(a)および(b)の少なくとも1つは、顔料および/または直接染料を含む群からの少なくとも1つの染色化合物をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬
を含む;
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は
(a1)1、2または3つのケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物
を含む;
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法であって、
前記剤(a)および(b)の少なくとも1つは、顔料および/または直接染料からなる群からの少なくとも1つの染色化合物をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記剤(a)は、式(I):
【化1】
[式中、
・R
1およびR
2は、互いに独立して、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・Lは、直鎖または分岐二価C
1-C
20アルキレン基を表し、
・R
3およびR
4は、互いに独立して、C
1-C
6アルキル基を表し、
・aは、1~3の整数を表し、および
・bは、3-aの整数を表す]
および/または(II)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含み、
式(II):
【化2】
の有機ケイ素化合物において
・R
5、R
5’、R
5’’、R
6、R
6’およびR
6’’は、互いに独立に、C
1-C
6アルキル基を表し、
・A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、互いに独立に、直鎖または分岐二価C
1-C
20アルキレン基を表し、
・R
7およびR
8は、互いに独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基、または式(III):
【化3】
の基を表し、
・cは、1~3の整数を表し、
・dは、整数3-cを表し、
・c’は、1~3の整数を表し、
・d’は、整数3-c’を表し、
・c’’は、1~3の整数を表し、
・d’’は、整数3-c’’を表し、
・eは、0または1を表し、
・fは、0または1を表し、
・gは、0または1を表し、
・hは、0または1を表す
(ただし、e、f、gおよびhの少なくとも1つが0とは異なることを条件とする)ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記剤(a)は、式(I):
【化4】
[式中、
・R
1およびR
2は、共に水素原子を表し、
・Lは、直鎖の二価C
1-C
6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH
2-CH
2-CH
2-)またはエチレン基(-CH
2-CH
2-)を表し、
・R
3およびR
4は、互いに独立に、メチル基またはエチル基を表し、
・aは、数値3を表し、
・bは、数値0を表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記剤(a)は、
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および/または
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
からなる群から選択される式(I)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記剤(a)は、式(II):
【化5】
[式中、
・eおよびfは、共に数1を表し、
・gおよびgは、共に数0を表し、
・AおよびA’は、互いに独立して、直鎖二価C
1-C
6アルキレン基を表し、
・R
7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基、または式(III)の基を表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記剤(a)は、式(IV):
【化6】
[式中、
・R
9は、C
1-C
18アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数を表し、
・mは、整数3-kを表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記剤(a)は
・メチルトリメトキシシラン
・メチルトリエトキシシラン
・エチルトリメトキシシラン
・エチルトリエトキシシラン
・プロピルトリメトキシシラン
・プロピルトリエトキシシラン
・ヘキシルトリメトキシシラン
・ヘキシルトリエトキシシラン
・オクチルトリメトキシシラン
・オクチルトリエトキシシラン
・ドデシルトリメトキシシラン
・ドデシルトリエトキシシラン
・オクタデシルトリメトキシシラン
・オクタデシルトリエトキシシラン、および
・これらの混合物
からなる群から選択される、式(IV)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記剤(a)は、構造的に相互に異なる少なくとも2つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記シーリング試薬は、フィルム形成ポリマー、アルカリ化剤、酸性化剤およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール(v1)は、200~600g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記脂肪族アルコール(v2)は、エタノールを含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記アルカリ化試薬(v3)は、アルカリ金属水酸化物、特に水酸化カリウムを含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
顔料および/または直接染料の群からの前記染色化合物は、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色酸化鉄(CI 77491)およびそれらの混合物からなる群から選択される無機顔料を含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
互いに別々に包装された、以下:
・剤(v)を含む第一の容器であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a’)を含む第二の容器であって、前記剤(a’)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
・剤(a’’)を含む第三の容器であって、前記剤(a’’)は以下を含む:
水、ならびに顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物
および
・剤(b)を含む第四の容器であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
を含む、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)。
【請求項15】
互いに別々に包装された、以下:
・剤(v)を含む第一の容器であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a’)を含む第二の容器であって、前記剤(a’)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物
・剤(a’’)を含む第三の容器であって、前記剤(a’’)は以下を含む:
水
・剤(a’’’)を含む第四の容器であって、前記剤(a’’’)は以下を含む:
顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物
・剤(b)を含む第五の容器であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
を含む、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、2つの剤(a)および(b)ならびにアルカリ性前処理剤の適用を含む、ケラチン物質、特にヒト毛髪の処理方法である。剤(a)は、少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)の含有によって特徴付けられる。剤(b)は、少なくとも1つのシーリング試薬(b1)を含む。さらに、剤(a)または剤(b)のいずれか、または剤(a)および(b)の両方が、顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物を含む。
【0002】
本出願の別の主題は、互いに別々に包装された少なくとも3つの剤(a’)、(a’’)および(b)、ならびに1つの前処理剤(v)を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)である。上記の方法で使用される剤(a)は、剤(a’)と剤(a’’)とから調製することができる。
【0003】
本出願のさらに別の主題は、互いに別々に包装された少なくとも4つの剤(a’)、(a’’)(a’’’)、および(b)ならびに1つの前処理剤(v)を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)である。上記の方法で使用される剤(a)は、剤(a’)、(a’’)および(a’’’)から調製することができる。
【背景技術】
【0004】
ケラチン繊維、特にヒトの毛髪の形状および色を変えることは、現代化粧品の重要な分野である。当業者は、カラーリングの要求に応じて、毛髪の色を変えるための様々なカラーリングシステムを知っている。酸化染料は一般的に、堅牢性が高く、灰色をうまくカバーする、永久的で強い染色に使用される。このような染料には、典型的には酸化染料前駆体(デベロッパー成分およびカプラー成分として知られている)が含まれ、これらは、例えば過酸化水素などの酸化剤の影響下で実際の染料を形成する。酸化染料は、色の仕上がりが非常に長持ちする点で特徴付けられる。
【0005】
直接染料を使用すると、すでに形成された染料がカラーリング剤から毛髪繊維の中に拡散する。酸化着色と比較すると、直接染料で得られる色は耐久性が低く、より早く洗い流される。直接染料での色は、通常5回~20回の洗髪の間、毛髪に残る。
【0006】
毛髪および/または皮膚の色を短時間変化させるための着色顔料の使用は知られている。着色顔料は一般に不溶性の着色物質を意味すると理解される。これらは着色調製物中に小粒子の形態で未溶解のまま存在し、外部から毛髪繊維および/または皮膚表面に単に堆積する。そのため、界面活性剤含有洗浄剤で数回洗浄すれば、一般的にそれらは残留することなく再び除去できる。この種の製品はヘアマスカラという名で、様々なものが市販されている。
【0007】
ユーザーが特に長持ちする着色を望む場合、これまでは酸化着色剤の使用が唯一の選択肢であった。しかしながら、何度も最適化を試みたにも関わらず、酸化染毛では不快なアンモニア臭またはアミン臭を完全に避けることはできない。酸化着色剤の使用に伴う毛髪のダメージが残ることも、ユーザーの毛髪に不利な影響を与える。
【0008】
EP 2168633 B1は、顔料を使用する持続性の高い染毛剤を製造するという課題に取り組んでいる。この文献は、顔料、有機ケイ素化合物、フィルム形成ポリマーおよび溶剤を組み合わせて毛髪に使用すると、摩擦および/またはシャンプーに対して特に耐性のある着色を生むことができることを教示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一方で、高度な洗浄堅牢性および摩擦堅牢性に悪影響を及ぼさず、他方では、扱いやすさおよび感触などの毛髪特性に悪影響を及ぼさない、顔料を含む染毛剤を提供する必要がある。この目的のためには、ケラチン物質上に顔料を良好かつ均一にコーティングすることによって、強い着色を得ることが望ましいであろう。
【0011】
したがって、本発明の目的は、酸化染色に匹敵する堅牢性を有する、顔料を含む染色系を提供することであった。特に、洗浄堅牢特性は優れている必要があるが、この目的で通常使用される酸化染料前駆体の使用は避けるべきである。特に、均一で持続性のある着色も達成されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、最初にアルカリ性前処理剤(v)、次に少なくとも2つの剤(a)および(b)がケラチン物質(毛髪)に適用される方法を使用して、ケラチン物質、特にヒトの毛髪が染色された場合、前述の目的が首尾よく解決できることが見出された。この場合、第1剤(a)は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。第2剤(b)は、少なくとも1つのシーリング試薬を含む。さらに、剤(a)または剤(b)のいずれか、または剤(a)および(b)の両方が、顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物を含む。
【0013】
前記(v)、(a)および(b)の3剤を染色法に使用した場合、特に高い色強度と高い染色堅牢度とでケラチン物質を染色することが可能であった。
【0014】
アルカリ性前処理剤でケラチン物質を前処理することにより、少なくとも1つの染色化合物による驚くほど均一で持続性のあるコーティングが達成された。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第一の主題は、以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬
を含む;
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は
(a1)1、2または3つのケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物
を含む;
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法であり、
ここで、前記剤(a)および(b)の少なくとも1つは、顔料および/または直接染料からなる群からの少なくとも1つの染色化合物をさらに含む。
【0016】
本発明に至る研究において、剤(a)および(b)を好ましくは連続的に適用することにより、ケラチン物質上に非常に安定で洗浄堅牢性の高い着色を形成することが可能になることが見出された。有機ケイ素化合物(a1)を使用すると、ケラチン物質上に特に耐性のあるフィルムが形成される。第2剤(b)を適用すると、ケラチン物質に適用されたフィルムが密封され、洗浄および/または磨耗に対する耐性がさらに高まる。剤(a)および(b)の少なくとも1つに顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物を使用することによって、着色フィルムを得ることができる。
【0017】
このようにして、染色化合物をケラチン物質上に永続的に固定でき、その結果、摩擦および/またはシャンプーに対する良好な耐性を備えた、極めて洗浄に強い着色を得ることが可能となった。
【0018】
アルカリ性前処理剤の助けにより、接着性を大幅に向上させることができ、従って、ケラチン物質上に形成されるフィルムの耐久性を向上させることができた。アルカリ性前処理剤は、エステル結合またはチオエステル結合を介してケラチン物質のキューティクル表面に共有結合している脂肪酸18-メチルエイコサン酸を除去すると推定される。エステルまたはチオエステル結合の切断と、共有結合した18-メチルエイコサン酸の除去により、ケラチン物質が親水性になり、ケラチン物質の表面にさらなる反応部位ができる。ケラチン物質の表面上のさらなる反応部位は、特に、負に帯電し得る。有機ケイ素化合物(a1)および/またはその縮合生成物および/または加水分解生成物は、負電荷と相互作用できる。
【0019】
ケラチン物質
ケラチン物質は、毛髪、皮膚、爪(例えば、手の指の爪および/または足の指の爪)を意味すると理解される。さらに、羊毛、毛皮および羽毛も、ケラチン物質の定義に入る。
【0020】
好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、ヒトの皮膚およびヒトの爪、特に、手の指の爪および足の指の爪を意味すると理解される。極めて好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪を意味すると理解される。
【0021】
前処理剤(v)
記載された方法の範囲内で、アルカリ性前処理剤(v)が最初にケラチン物質、特にヒトの毛髪に適用される。
【0022】
前記前処理剤(v)は、200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール(v1)、少なくとも1つの脂肪族アルコール(v2)、および少なくとも1つのアルカリ化試薬(v3)の含有によって特徴付けられる。
【0023】
染色法に使用される前記アルカリ性前処理剤(v)は、本発明の必須成分(v1)として、200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコールを含む。
【0024】
剤(v)中のポリエチレングリコール(v1)の存在により、剤(v)がケラチン繊維上に分布する能力が向上し、したがってケラチン物質の表面からの、共有結合した18-メチルエイコサン酸の特に効果的で均一な除去が可能になることが見出されている。
【0025】
ポリエチレングリコール(PEG)は、一般分子式C2nH4n+2On+1を有し、鎖の長さに応じて、液体、ペースト状、または固体のポリマーである。
【0026】
平均分子量200~400g/molのポリエチレングリコールは液体であり、平均分子量>400~600g/molのポリエチレングリコールはペースト状であり、平均分子量≧1000g/molのポリエチレングリコールは固体である。
【0027】
非常に特に好ましい実施形態では、本方法で使用される剤(v)は、200~8000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコール(v1)、400g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む。
【0028】
さらに特に好ましい実施形態では、本方法で使用される剤(v)は、200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも2つのポリエチレングリコール(v1)を含む。この実施形態において、本方法で使用される剤(v)は、400g/molの平均分子量を有する第1のポリエチレングリコールおよび6000g/molの平均分子量を有する第2のポリエチレングリコールを含むことが好ましい。
【0029】
本発明に必須の第2の成分(v2)として、染色法に使用されるアルカリ性前処理剤(v)は、少なくとも1つの脂肪族アルコールを含む。
【0030】
特に、脂肪族アルコールは、1~22個の炭素原子および0、1、2または3個の二重結合を有する直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和のアルコールである。典型的な代表例は、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、カプロンアルコール(caproic alcohol)、カプリルアルコール、2-エチルヘキサノール、カプリンアルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、ベヘニルアルコールまたはエルシルアルコールである。脂肪族アルコールは、好ましくは1~6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和アルコールであり、好ましくはエタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノールおよびそれらの混合物からなる群から選択される。脂肪族アルコールは、非常に特に好ましくはエタノールを含む。
【0031】
本発明に必須の第3の成分(v3)として、染色法に適用されるアルカリ性前処理剤(v)は、少なくとも1つのアルカリ化試薬を含む。
【0032】
適切なアルカリ化試薬としては、特に、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、塩基性アミノ酸および/またはアミンが挙げられる。
【0033】
アルカリ化試薬の求核性が高ければ高いほど、エステル結合またはチオエステル結合の切断および共有結合した18-メチルエイコサン酸の除去がより効果的になることが見出されている。アニオン性求核剤は、特に効果的なアルカリ化試薬である。
【0034】
この方法の好ましい実施形態では、前記前処理剤(v)は、水酸化アルカリを含む少なくとも1つのアルカリ化試薬(v3)を含む。
【0035】
水酸化アルカリは、アルカリ金属カチオンと水酸化物アニオンとからなる化合物の一種である。水酸化アルカリは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウムおよび水酸化セシウムである。最も好ましくは、少なくとも1つの水酸化アルカリは水酸化カリウムを含む。
【0036】
この方法の好ましい実施形態では、前記前処理剤(v)は、水酸化カリウムを含む少なくとも1つのアルカリ化試薬(v3)を含む。
【0037】
この方法の極めて好ましい実施形態では、前記前処理剤(v)は
(v1)400g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む、200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)エタノールを含む少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)水酸化カリウムを含む少なくとも1つのアルカリ化試薬
を含む。
【0038】
本方法の非常に特に好ましい実施形態では、前記前処理剤(v)は、それぞれの場合において前記前処理剤(v)の総重量に基づいて、40~80重量%、より好ましくは45~75重量%、非常に特に好ましくは50~70重量%の、200~8000の平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール(v1)を含む。
【0039】
同様に、本方法の非常に特に好ましい実施形態では、前記前処理剤(v)は、それぞれの場合において前記前処理剤(v)の総重量に基づいて、10~50重量%、より好ましくは15~45重量%、非常に特に好ましくは20~40重量%の少なくとも1つの脂肪族アルコール(v2)を含む。
【0040】
本方法の別の非常に特に好ましい実施形態では、前記前処理剤(v)は、それぞれの場合において前記前処理剤(v)の総重量に基づいて、0.5~5重量%、より好ましくは0.75~2重量%、非常に特に好ましくは1~1.5重量%の少なくとも1つのアルカリ化試薬(v3)を含む。
【0041】
水酸化アルカリの形態のアルカリ化試薬は、典型的には水溶液の形態で使用される。
【0042】
したがって、本方法のさらに好ましい実施形態によれば、前記前処理剤(v)はさらに水を含む。
【0043】
本方法の好ましい実施形態によれば、前記前処理剤(v)は、前記前処理剤(v)の総重量に基づいて、0.5~10重量%の水を含む。
【0044】
本方法の極めて好ましい実施形態では、前記前処理剤(v)は
(v1)前記前処理剤(v)の総重量に基づいて50~70重量%の、400g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールを含む、200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)前記前処理剤(v)の総重量に基づいて10~50重量%の、エタノールを含む少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)前記前処理剤(v)の総重量に基づいて0.5~5重量%の、水酸化カリウムを含む少なくとも1つのアルカリ化試薬、および
前記前処理剤(v)の総重量に基づいて0.5~10重量%の水
を含む。
【0045】
剤(a)および(b)
記載された方法の文脈において、剤(a)および(b)は、前記前処理剤(v)の後に、ケラチン物質、特にヒトの毛髪に適用される。2つの剤(a)および(b)は互いに異なる。
【0046】
剤(a)
剤(a)は、好ましくは、本発明に必須の成分(a1)を化粧品担体中、特に好ましくは水性または水性アルコール性化粧品担体中に含む。この化粧品担体は、液体、ゲルまたはクリームの形態であることができる。ペースト状、固体または粉末状の化粧品担体も、剤(a)を製造するために使用できる。毛髪処理、特に毛髪染色の目的では、そのような担体は、例えば、クリーム、エマルション、ゲル、または他の界面活性剤含有発泡溶液、例えば、シャンプー、泡エアロゾル、泡配合物、または毛髪への適用に適した他の調製物である。
【0047】
好ましくは、化粧品担体は、その重量に対して少なくとも2重量%の水を含む。より好ましくは、水含有量は10重量%超、さらにより好ましくは20重量%超、特に好ましくは40重量%超である。化粧品担体は水性アルコール性であってもよい。本発明の意味の範囲内で、水-アルコール溶液は、2~70重量%のC1-C4アルコール、特にエタノールまたはイソプロパノールを含む水溶液である。剤はさらに、例えばメトキシブタノール、ベンジルアルコール、エチルジグリコールまたは1,2-プロピレングリコールなどのさらなる有機溶媒を含有できる。したがって、すべての水溶性有機溶媒が好ましい。
【0048】
シランの群からの有機ケイ素化合物(a1)
本発明に必須の成分(a1)として、剤(a)は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。
【0049】
特に好ましくは、剤(a)は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含み、前記有機ケイ素化合物は、1分子当たり1つ以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0050】
剤(a)中の有機ケイ素化合物(a1)またはオルガノシランは、反応性化合物である。
【0051】
別名オルガノシリコン化合物とも称される有機ケイ素化合物は、直接ケイ素-炭素結合(Si-C)を有するか、または炭素が酸素、窒素または硫黄原子を介してケイ素原子に結合している、いずれかである化合物である。本発明による有機ケイ素化合物は、1~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は、特に好ましくは1個または2個のケイ素原子を含む。
【0052】
IUPAC命名法によると、用語「シラン」は、ケイ素骨格および水素に基づく一群の化合物を表す。有機シランの場合、水素原子は、(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基などの有機基により、完全にまたは部分的に置換されている。有機シランでは、いくつかの水素原子は、ヒドロキシル基により置換されてもよい。
【0053】
特に好ましい実施形態の文脈において、方法は、剤(a)をケラチン物質に適用することを特徴とし、前記剤(a)は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含み、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含む。
【0054】
非常に特に好ましい実施形態の文脈において、方法は、剤(a)をケラチン物質に適用することを特徴とし、前記剤(a)は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含み、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1つ以上の塩基性化学官能基および1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含む。
【0055】
この塩基性基または塩基性化学官能基は、例えばアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、またはトリアルキルアミノ基であってよく、これは、好ましくはリンカーを介してケイ素原子に結合されている。塩基性基は、好ましくはアミノ基、C1-C6アルキルアミノ基またはジ(C1-C6)アルキルアミノ基である。
【0056】
加水分解性基は、好ましくはC1-C6アルコキシ基、特にエトキシ基またはメトキシ基である。加水分解性基がケイ素原子に直接結合されている場合が好ましい。例えば加水分解性基がエトキシ基の場合、有機ケイ素化合物は、好ましくは構造単位R’R’’R’’’Si-O-CH2-CH3を含む。R’、R’’R’’’官能基は、ここではケイ素原子の3つの残存する自由原子価を表す。
【0057】
非常に特に好ましい方法は、剤(a)が、1、2または3つのケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とし、前記有機ケイ素化合物は、好ましくは、分子あたり1つまたは複数の塩基性化学官能基および1つまたは複数のヒドロキシル基、または加水分解性基を含む。
【0058】
剤(a)が式(I)および/または(II)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む場合、優れた結果が得られた。
【0059】
式(I)および(II)の化合物は、1、2または3つのケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、前記有機ケイ素化合物は、分子当たり1つまたは複数のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0060】
さらなる特に好ましい実施形態では、前記方法は、剤がケラチン物質(またはヒトの毛髪)に適用されることを特徴とし、ここで、剤(a)は、式(I):
【化1】
[式中、
・R
1およびR
2は、互いに独立して、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・Lは、直鎖または分岐の二価C
1-C
20アルキレン基を表し、
・R
3は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
4は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・aは、1~3の整数を表し、
・bは、3-aの整数を表す]
および/または(II):
【化2】
[式中、
・R
5、R
5’、R
5’’は、互いに独立して、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
6、R
6’およびR
6’’は、互いに独立して、C
1-C
6アルキル基を表し、
・A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、互いに独立して、直鎖または分岐の二価C
1-C
20アルキレン基を表し、
・R
7およびR
8は、互いに独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
【化3】
の基を表し
・cは、1~3の整数を表し、
・dは、整数3-cを表し、
・c’は、1~3の整数を表し、
・d’は、整数3-c’を表し、
・c’’は、1~3の整数を表し、
・d’’は、整数3-c’’を表し、
・eは、0または1を表し、
・fは、0または1を表し、
・gは、0または1を表し、
・hは、0または1を表す
(ただし、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なることを条件とする)]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。
【0061】
式(I)および式(II)の化合物中の置換基R1、R2、R3、R4、R5、R5’、R5’’、R6、R6’、R6’’、R7、R8、L、A’、A’’、A’’’およびA’’’’を、以下の例で説明する:
C1-C6アルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基およびt-ブチル基、n-ペンチル基およびn-ヘキシル基である。プロピル、エチルおよびメチルは、好ましいアルキル基である。
C2-C6アルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブタ-2-エニル(but-2-enyl)、ブタ-3-エニル(but-3-enyl)およびイソブテニルであり、好ましいC2-C6アルケニル基は、ビニルおよびアリルである。ヒドロキシC1-C6アルキル基の好ましい例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチルおよび6-ヒドロキシヘキシル基であり;2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。アミノC1-C6アルキル基の例は、アミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基が特に好ましい。直鎖の二価C1-C20アルキレン基の例としては、例えば、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)およびブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)が挙げられる。プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)が特に好ましい。3個のC原子の鎖長から、二価アルキレン基は分岐してもよい。分岐の二価C3-C20アルキレン基の例は、(-CH2-CH(CH3)-)および(-CH2-CH(CH3)-CH2-)である。
【0062】
式(I):
【化4】
の有機ケイ素化合物において、
基R
1およびR
2は、互いに独立して、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表す。非常に特に好ましくは、基R
1およびR
2は共に、水素原子を表す。
【0063】
有機ケイ素化合物の中央部分には、構造単位、または直鎖もしくは分岐鎖の二価C1-C20アルキレン基を表すリンカー-L-が存在する。
【0064】
二価C1-C20アルキレン基は、二価または二重結合C1-C20アルキレン基とも呼ばれることがあり、これは各基Lが2つの結合に加わることができることを意味する。1つの結合はアミノ基R1R2NからリンカーLまでであり、第2の結合はリンカーLとケイ素原子との間である。
【0065】
好ましくは、-L-は、直鎖の二価C1-C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは、-L-は、直鎖の二価C1-C6アルキレン基を表す。特に好ましくは、-L-は、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。非常に特に好ましくは、Lは、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表す。
【0066】
直鎖プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)は、プロパン-1,3-ジイル基とも呼ばれる。
【0067】
式(I):
【化5】
の有機ケイ素化合物は、一端にケイ素含有基-Si(OR
3)
a(R
4)
bを有する。
【0068】
末端構造単位-Si(OR3)a(R4)bにおいて、官能基R3は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表し、官能基R4は、C1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R3およびR4は、互いに独立して、メチル基またはエチル基を表す。
【0069】
この場合、aは、1~3の整数を表し、bは、整数3-aを表す。aが数3を表す場合、bは0に等しい。aが数2を表す場合、bは1に等しい。aが数1を表す場合、bは2に等しい。
【0070】
剤(a)が、官能基R3およびR4が、互いに独立して、メチル基またはエチル基を表す式(I)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む場合に、特に耐性のあるフィルムが得られた。
【0071】
したがって、ケラチン物質を染色する方法を使用する場合、剤(a)が、官能基R3およびR4が、互いに独立してメチル基またはエチル基を表す式(I)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含有する場合、同様に、最良の洗浄堅牢性を有する着色を得ることが可能であった。
【0072】
さらに、剤(a)が、官能基aが数3を表す、少なくとも1つ式(I)の有機ケイ素化合物を含有する場合に、最良の洗浄堅牢性を有する着色を得ることが可能であった。この場合、bは数0を表す。
【0073】
別の好ましい実施形態では、本方法で使用される剤(a)は、式(I):
[式中、
・R3、R4は、それぞれ独立して、メチル基またはエチル基を表し、
・aは、数3を表し、
・bは、数0を表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含有することを特徴とする。
【0074】
別の好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が式(I):
【化6】
[式中、
・R
1、R
2は、共に水素原子を表し、
・Lは、直鎖の二価C
1-C
6アルキレン基、好ましくは、プロピレン基(-CH
2-CH
2-CH
2-)またはエチレン(-CH
2-CH
2-)基を表し、
・R
3は、水素原子、エチル基、またはメチル基を表し、
・R
4は、メチル基、またはエチル基を表し、
・aは、数3を表し、
・bは、数0を表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含有することを特徴とする。
【0075】
本発明による目的を達成するために、特によく適した式(I)の有機ケイ素化合物は、
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、
【化7】
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、
【化8】
・1-(3-アミノプロプル)シラントリオール、
【化9】
【0076】
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、
【化10】
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、
【化11】
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール、
【化12】
【0077】
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、
【化13】
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、
【化14】
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール、
【化15】
【0078】
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン、
【化16】
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および
【化17】
1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
【化18】
である。
【0079】
別の好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が、以下の群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
・(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、
・(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、
・1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
・(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、
・(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、
・1-(2-アミノエチル)シラントリオール、
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、
・(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、
・1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール、
・(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン、
・(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および/または
・1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
【0080】
前述の式(I)の有機ケイ素化合物は市販されている。(3-アミノプロピル)トリメトキシシランは、例えばSigma-Aldrichから購入できる。(3-アミノプロピル)トリエトキシシランは、Sigma-Aldrichから市販されている。
【0081】
別の実施形態の文脈において、前記剤は、式(II):
【化19】
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む。
【0082】
本発明による式(II)の有機ケイ素化合物は、それぞれ、ケイ素含有基(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6’)d’(OR5’)c’を両端に有する。
【0083】
式(II)の分子の中央部分には、基-(A)e-および-[NR7-(A’)]f-および-[O-(A’’)]g-および-[NR8-(A’’’)]h-が存在する。この場合、官能基e、f、gおよびhのそれぞれは、互いに独立に、数0または1を表すことができる(ただし、e、f、gおよびhの少なくとも1つが0とは異なることを条件とする)。換言すれば、本発明による式(II)の有機ケイ素化合物は、-(A)-および-[NR7-(A’)]-および-[O-(A’’)]-および-[NR8-(A’’’)]-からなる群からの少なくとも1つの基を含む。
【0084】
2つの末端構造単位(R5O)c(R6)dSi-および-Si(R6’)d’(OR5’)c’において、官能基R5、R5’、R5’’は、互いに独立して、水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。基R6、R6’およびR6’’は、互いに独立して、C1-C6アルキル基を表す。
【0085】
この場合、cは、1~3の整数を表し、dは、整数3-cを表す。cが数3を表す場合、dは0に等しい。cが数2を表す場合、dは1に等しい。cが数1を表す場合、dは2に等しい。
【0086】
同様に、c’は、1~3の整数を表し、d’は、整数3-c’を表す。c’が数3を表す場合、d’は0に等しい。c’が数2を表す場合、d’は1に等しい。c’が数1を表す場合、d’は2に等しい。
【0087】
官能基cおよびc’の両方が数3を表す場合に、最高の安定性を有するフィルム、または最高の洗浄堅牢性を有する着色を得ることが可能であった。この場合、dおよびd’は両方とも数0を表す。
【0088】
別の好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が式(II):
【化20】
[式中、
・R
5およびR
5’は、互いに独立して、メチル基またはエチル基を表し、
・cおよびc’は、共に数3を表し、
・dおよびd’は、共に数0を表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0089】
cおよびc’が共に数3を表し、dおよびd’が共に数0を表す場合、本発明の式(IIa)の有機ケイ素化合物は
【化21】
に該当する。
【0090】
基e、f、gおよびhは、互いに独立に、数0または1を表すことができ、基e、f、gおよびhの少なくとも1つの残基は0とは異なる。したがって、略号e、f、g、およびhは、-(A)e-および-[NR7-(A’)]f-および-[O-(A’’)]g-および-[NR8-(A’’’)]h-のどの基が、式(II)の有機ケイ素化合物の中央部に位置するかを定義する。
【0091】
この文脈において、特定の基の存在が、洗浄堅牢性を高める観点から特に有利であることが証明された。基e、f、g、およびhの少なくとも2つが数1を表す場合に、特に良好な結果が得られた。特に好ましくは、eおよびfは、共に数1を表す。さらに、gおよびhは、特に好ましくは共に数0を表す。
【0092】
eおよびfが共に数1を表し、gおよびhが共に数0を表す場合、本発明による有機ケイ素化合物は、式(IIb):
【化22】
に相当する。
【0093】
基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、互いに独立して、直鎖または分岐鎖の二価C1-C20アルキレン基を表す。好ましくは、基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は互いに独立して、直鎖の二価C1-C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは、基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、互いに独立して、直鎖の二価C1-C6アルキレン基を表す。特に好ましくは、基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、互いに独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)またはブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)を表す。非常に特に好ましくは、基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’は、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表す。
【0094】
二価C1-C20アルキレン基は、二価C1-C20アルキレン基とも呼ばれることがあり、これは、各基A、A’、A’’、A’’’およびA’’’’が2つの結合を形成できることを意味する。
【0095】
直鎖プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)は、プロパン-1,3-ジイル基とも呼ばれる。
【0096】
官能基fが数1を表す場合、式(II)の有機ケイ素化合物は、構造基-[NR7-(A’)]-を含む。
【0097】
官能基hが数1を表す場合、式(II)の有機ケイ素化合物は、構造基-[NR8-(A’’’)]-を含む。
【0098】
この文脈において、R
7およびR
8は、互いに独立して、水素原子、C
1-C
6アルキル基、ヒドロキシC
1-C
6アルキル基、C
2-C
6アルケニル基、アミノC
1-C
6アルキル基または式(III):
【化23】
の基を表す。
【0099】
最も好ましくは、官能基R7およびR8は、互いに独立して、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0100】
基fが数1を表し、基hが数0を表す場合、有機ケイ素化合物は、基-[NR7-(A’)]-を含むが、基-[NR8-(A’’’)]-を含まない。基R7が式(III)の基を表す場合、剤(a)は、3個の反応性シラン基を有する有機ケイ素化合物を含む。
【0101】
別の好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が式(II):
【化24】
[式中、
・eおよびfは、共に数1を表し、
・gおよびhは、共に数0を表し、
・AおよびA’は、互いに独立して、直鎖の二価C
1-C
6アルキレン基を表し、
・R
7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0102】
別の好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が式(II)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とし、式中、
・eおよびfは、共に数1を表し、
・gおよびhは、共に数0を表し、
・AおよびA’は互いに独立して、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)またはプロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)を表し、
・R7は、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)の基を表す。
【0103】
本発明による目的を達成するために、好適な式(II)の有機ケイ素化合物は、
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化25】
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化26】
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化27】
【0104】
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化28】
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化29】
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化30】
【0105】
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化31】
・3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化32】
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化33】
【0106】
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化34】
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化35】
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化36】
である。
【0107】
式(II)の前述の有機ケイ素化合物は、市販されている。CAS番号82985-35-1のビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、例えばSigma-Aldrichから購入できる。
【0108】
CAS番号13497-18-2のビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、例えば、Sigma-Aldrichから購入できる。
【0109】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、別名ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンとも呼ばれ、Sigma-AldrichまたはFluorochemから市販品として購入できる。
【0110】
CAS番号18784-74-2の3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えば、FluorochemまたはSigma-Aldrichから購入できる。
【0111】
別の好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が、以下の群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
・3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
・3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
・N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
・N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
・2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール、
・2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール、
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
・3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン、
・N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン、
・N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン、
・N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および/または
・N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【0112】
さらなる実験、特に染色実験において、本方法においてケラチン物質に適用される剤(a)が式(IV):
【化37】
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合、非常に特に有利であることも判明した。
【0113】
式(IV)の化合物は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、該有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0114】
式(IV):
【化38】
[式中、
・R
9は、C
1-C
18アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数を表し、
・mは、整数3-kを表す]
の有機ケイ素化合物は、アルキルアルコキシシラン型またはアルキルヒドロキシシラン型のシランとも称されてよい。
【0115】
別の好ましい実施形態において、前記方法は、剤(a)が式(IV):
【化39】
[式中、
・R
9は、C
1-C
18アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数を表し、
・mは、整数3-kを表す]
の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0116】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、式(I)の有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
【化40】
[式中、
・R
9は、C
1-C
18アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数を表し、
・mは、整数3-kを表す]
の少なくとも1つのさらなる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0117】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、式(II)の有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
【化41】
[式中、
・R
9は、C
1-C
18アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数を表し、
・mは、整数3-kを表す]
の少なくとも1つのさらなる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0118】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、式(I)および/または(II)の有機ケイ素化合物に加えて、式(IV):
【化42】
[式中、
・R
9は、C
1-C
18アルキル基を表し、
・R
10は、水素原子またはC
1-C
6アルキル基を表し、
・R
11は、C
1-C
6アルキル基を表し、
・kは、1~3の整数を表し、
・mは、整数3-kを表す]
の少なくとも1つのさらなる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0119】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、官能基R9は、C1-C18アルキル基を表す。このC1-C18アルキル基は、飽和しており、直鎖または分岐鎖となり得る。R9は、好ましくは直鎖C1-C18アルキル基を表す。好ましくは、R9は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基、またはn-オクタデシル基を表す。特に好ましくは、R9は、メチル基、エチル基、n-ヘキシル基、またはn-オクチル基を表す。
【0120】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、官能基R10は、水素原子またはC1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R10は、メチル基またはエチル基を表す。
【0121】
式(IV)の有機ケイ素化合物において、官能基R11は、C1-C6アルキル基を表す。特に好ましくは、R11は、メチル基またはエチル基を表す。
【0122】
さらに、kは1~3の整数を表し、mは整数3-kを表す。kが数3を表す場合、mは0に等しい。kが数2を表す場合、mは1に等しい。kが数1を表す場合、mは2に等しい。
【0123】
官能基kが数3を表す式(IV)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む剤(a)を方法に使用した場合、特に安定なフィルム、すなわち特に良好な洗浄堅牢性を有する着色を得ることが可能であった。この場合、基mは数0を表す。
【0124】
本発明による目的の達成に特に好適な式(IV)の有機ケイ素化合物は、
・メチルトリメトキシシラン
【化43】
・メチルトリエトキシシラン
【化44】
・エチルトリメトキシシラン
【化45】
【0125】
・エチルトリエトキシシラン
【化46】
・n-ヘキシルトリメトキシシラン
【化47】
・n-ヘキシルトリエトキシシラン
【化48】
【0126】
・n-オクチルトリメトキシシラン
【化49】
・n-オクチルトリエトキシシラン
【化50】
・n-ドデシルトリメトキシシラン、および/または
【化51】
・n-ドデシルトリエトキシシラン
【化52】
である。
【0127】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、以下の群から選択される式(IV)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
・メチルトリメトキシシラン
・メチルトリエトキシシラン
・エチルトリメトキシシラン
・エチルトリエトキシシラン
・プロピルトリメトキシシラン
・プロピルトリエトキシシラン
・ヘキシルトリメトキシシラン
・ヘキシルトリエトキシシラン
・オクチルトリメトキシシラン
・オクチルトリエトキシシラン
・ドデシルトリメトキシシラン
・ドデシルトリエトキシシラン
・オクタデシルトリメトキシシランおよび/または
・オクタデシルトリエトキシシラン
【0128】
上述の有機ケイ素化合物は反応性化合物である。この文脈において、剤(a)が1つ以上の有機ケイ素化合物(a1)を、剤(a)の総重量に対して、総量で0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%含む場合に好ましいことが判明した。
【0129】
別の好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が1つ以上の有機ケイ素化合物(a1)を、剤(a)の総重量に対して、総量で0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%含むことを特徴とする。
【0130】
特に良好な染色結果を達成するために、剤(a)中に式(I)および/または(II)の有機ケイ素化合物を特定の範囲の量で使用することが特に有利である。特に好ましくは、剤(a)は、式(I)および/または(II)の1つ以上の有機ケイ素化合物を、剤(a)の総重量に対して、総量で0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%含む。
【0131】
別の好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が式(I)および/または(II)の1つ以上の有機ケイ素化合物を、剤(a)の総重量に対して、総量で0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%含むことを特徴とする。
【0132】
さらに、式(IV)の有機ケイ素化合物も剤(a)中に特定の量範囲で存在する場合、非常に特に好ましいことが判明した。特に好ましくは、剤(a)は、式(IV)の1つ以上の有機ケイ素化合物を、剤(a)の総重量に対して、総量で0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは4~9重量%含む。
【0133】
別の好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が式(IV)の1つ以上の有機ケイ素化合物を、剤(a)の総重量に対して、総量で0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは3.2~10重量%含むことを特徴とする。
【0134】
本発明に至る研究の過程で、剤(a)が互いに構造的に異なる2つの有機ケイ素化合物を含有する場合、特に安定で均一なフィルムをケラチン物質上に得ることができることが判明した。
【0135】
別の好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が互いに構造的に異なる少なくとも2つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0136】
好ましい実施形態では、方法は、少なくとも1つの式(I)の有機ケイ素化合物および少なくとも1つの式(IV)の有機ケイ素化合物を含有する剤(a)がケラチン物質に適用されることを特徴とする。
【0137】
明らかに非常に特に好ましい実施形態において、方法は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび(3-アミノプロピル)トリメトキシシランからなる群から選択され式(I)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物、さらには、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、およびヘキシルトリエトキシシランからなる群から選択される式(IV)の少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む剤(a)がケラチン物質に適用されることを特徴とする。
【0138】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して、
・0.5~5重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの第1の有機ケイ素化合物(a1)、および
・3.2~10重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、およびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの第2の有機ケイ素化合物(a1)
を含むことを特徴とする。
【0139】
この実施形態の文脈において、剤(a)は、第1のグループの1つ以上の有機ケイ素化合物を、総量で0.5~5重量%含む。この第1のグループの有機ケイ素化合物は、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび/または(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される。
【0140】
この実施形態の文脈において、剤(a)は、第2のグループの1つ以上の有機ケイ素化合物を、総量で3.2~10重量%含む。この第2グループの有機ケイ素化合物は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、およびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される。
【0141】
少なくとも1つの加水分解性基を有する有機ケイ素化合物の場合、少量の水の添加でも加水分解が起こる。加水分解生成物および/または少なくとも1つのヒドロキシ基を有する有機ケイ素化合物は、縮合反応において互いに反応できる。この理由により、少なくとも1つの加水分解性基を有する有機ケイ素化合物とその加水分解および/または縮合生成物との両方が剤(a)中に存在できる。少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物が使用される場合、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物およびその縮合生成物の両方が剤(a)中に存在できる。
【0142】
縮合生成物は、水の除去および/またはアルカノールの除去を伴う、分子当たり少なくとも1つのヒドロキシル基または加水分解性基を有する少なくとも2つの有機ケイ素化合物の反応によって得られる生成物を意味すると理解される。縮合生成物は、例えば二量体であってもよいが、三量体またはオリゴマーであってもよく、縮合生成物はモノマーと平衡にある。加水分解で使用または消費される水の量に応じて、モノマー有機ケイ素化合物の平衡が縮合生成物にシフトする。
【0143】
式(I)および/または(II)の有機ケイ素化合物を本方法で使用した場合、非常に特に良好な結果を得ることができた。上述したように、微量の水分が存在すると加水分解/縮合が起こるため、有機ケイ素化合物(I)および/または(II)の加水分解/縮合生成物も本実施形態でカバーされる。
【0144】
剤(a)のpH
剤(a)は、アルカリ性pHを有する含水剤の形態で調製されることが好ましいことが判明した。
【0145】
好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が8.5~12の範囲、より好ましくは9~11.5の範囲、特に好ましくは9.5~11の範囲のpHを有することを特徴とする。
【0146】
剤(b)
剤(v)および(a)の適用に加えて、ケラチン物質を処理する方法は、剤(b)の適用も含む。剤(b)は、少なくとも1つのシーリング試薬(b1)を含むことを特徴とする。
【0147】
剤(a)で処理されたケラチン物質への剤(b)の適用は、方法で得られる着色をより耐久性のあるものにする。特に、剤(b)を適用することにより、前記方法で得られる着色の洗浄堅牢性および耐摩擦性を向上させることができる。
【0148】
シーリング試薬(b1)は、フィルム形成ポリマー、アルカリ化剤、酸性化剤およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含むことが好ましい。
【0149】
シーリング試薬はフィルム形成ポリマーを含むことが好ましい場合がある。
【0150】
ポリマーは、少なくとも1,000g/mol、好ましくは少なくとも2,500g/mol、特に好ましくは少なくとも5,000g/molの分子量を有し、同様の繰り返し有機単位からなる巨大分子として理解されるべきである。本発明のポリマーは、モノマータイプの重合によって、または構造的に異なる様々なモノマータイプの重合によって調製される、合成的に調製されたポリマーであってもよい。1種類のモノマーを重合してポリマーが製造される場合、それはホモポリマーである。構造的に異なる種類のモノマーが重合に使用される場合、得られるポリマーはコポリマーと呼ばれる。
【0151】
ポリマーの最大分子量は、重合度(重合モノマーの数)およびバッチサイズに依存し、また、重合方法によっても決定される。本発明の文脈において、シーリング試薬(b1)としてのフィルム形成ポリマーの最大分子量は、107g/mol以下、好ましくは106g/mol以下、特に好ましくは105g/mol以下であることが好ましい。
【0152】
本発明の文脈において、フィルム形成ポリマーは、基材上、例えばケラチン物質またはケラチン繊維上にフィルムを形成できるポリマーを意味する。フィルムの形成は、例えば、ポリマーで処理されたケラチン物質を顕微鏡で観察することによって検出できる。
【0153】
剤(b)中のフィルム形成ポリマー(b1)は、親水性であっても疎水性であってもよい。
【0154】
第1の実施形態の文脈において、シーリング試薬(b1)として剤(b)中に少なくとも1つの疎水性フィルム形成ポリマーを使用することが好ましい場合がある。
【0155】
疎水性ポリマーは、25℃(760mmHg)における水への溶解度が1重量%未満であるポリマーを意味すると理解される。
【0156】
フィルム形成疎水性ポリマーの水への溶解度は、例えば次のようにして測定できる。1gのポリマーをビーカーに加える。水を100gまで加える。撹拌子を加え、撹拌しながらマグネチックスターラー上で混合物を25℃に加熱する。混合物を60分間撹拌する。その後、水性混合物を視覚的に評価する。混合物の濁度が高いため、ポリマーと水との混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物を濾過する。未溶解のポリマーの一部が濾紙上に残っている場合、ポリマーの溶解度は1重量%未満になる。
【0157】
ここで特に挙げられ得るのは、アクリル酸タイプのポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、セルロースポリマー、ニトロセルロースポリマー、シリコーンポリマー、アクリルアミドタイプのポリマーおよびポリイソプレンである。
【0158】
特によく適したフィルム形成疎水性ポリマーは、例えば、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレン、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドのホモポリマーまたはコポリマーポリアミドの群からのポリマーである。
【0159】
さらに好ましい実施形態では、剤(b)は、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレン、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドのホモポリマーまたはコポリマーの群から選択される少なくとも1つのフィルム形成疎水性ポリマーをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0160】
特に、合成ポリマー、フリーラジカル重合によって得られるポリマー、または天然ポリマーの群から選択されるフィルム形成疎水性ポリマーが、本発明による目的を達成するのに特によく適していることが証明されている。
【0161】
さらに特によく適したフィルム形成疎水性ポリマーは、オレフィン、例えばシクロオレフィン、ブタジエン、イソプレンまたはスチレン、ビニルエーテル、ビニルアミド、少なくとも1つのC1-C20アルキル基、アリール基、またはC2~C10ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミドのホモポリマーまたはコポリマーから選択できる。
【0162】
さらなるフィルム形成疎水性ポリマーは、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのホモポリマーまたはコポリマーおよび/またはそれらの混合物から選択できる。
【0163】
さらなるフィルム形成疎水性ポリマーは、(メタ)アクリルアミド、n-アルキル(メタ)アクリルアミド、特にC2-C18アルキル基を有するもの、例えばn-エチルアクリルアミド、n-tert-ブチルアクリルアミド、n-オクチルアクリルアミド、n-ジ(C1-C4)アルキル(メタ)アクリルアミドのホモポリマーまたはコポリマーから選択できる。
【0164】
さらに好ましいアニオン性コポリマーは、例えば、INCI表示アクリレートコポリマーとして市販されているような、アクリル酸、メタクリル酸またはそのC1-C6アルキルエステルのコポリマーである。適切な市販製品は、例えば、Rohm & Haas社のAculyn)登録商標)33である。しかし、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのC1-C6アルキルエステルと、エチレン性不飽和酸およびアルコキシル化脂肪アルコールとのエステルとのコポリマーがさらに好ましい。適切なエチレン性不飽和酸は、特にアクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸であり、適切なアルコキシル化脂肪アルコールは、特にステアレス-20またはセテス-20である。
【0165】
最も特に好ましい市販のポリマーは、例えば、Rohm and Haasが販売するAculyn(登録商標)22(アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー)、Aculyn(登録商標)28(アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)、Structure 2001(登録商標)(アクリレート/ステアレス-20イタコネートコポリマー)、Structure 3001(登録商標)(アクリレート/セテス-20イタコネートコポリマー)、Structure Plus(登録商標)(アクリレート/アミノアクリレートC10-30アルキルPEG-20イタコネートコポリマー)、Carbopol(登録商標)1342、1382、Ultrez 20、Ultrez 21(アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー)、Synthalen W2000(登録商標)(アクリレート/パルメト-25アクリレートコポリマー)、またはSoltex OPT(アクリレート/C12-22アルキルメタクリレートコポリマー)である。
【0166】
ビニルモノマーに基づく適切なポリマーの例としては、N-ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニル(C1-C6)アルキルピロール、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルピリミジンまたはビニルイミダゾールのホモポリマーおよびコポリマーを挙げることができる。
【0167】
さらに、例えば、NATIONAL STARCHによって商品名AMPHOMER(登録商標)またはLOVOCRYL(登録商標)47で市販されているコポリマーである、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリルレートコポリマー、またはNATIONAL STARCHからDERMACRYL(登録商標)LTおよびDERMACRYL(登録商標)79という商品名で市販されているアクリレート/オクチルアクリルアミドのコポリマーは、特によく適している。
【0168】
オレフィンに基づく適切なポリマーの例は、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンおよびブタジエンのホモポリマーおよびコポリマーである。
【0169】
さらなる実施形態の文脈内では、スチレンまたはスチレン誘導体の少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマーを、フィルム形成疎水性ポリマーとして使用できる。これらのブロックコポリマーは、スチレンブロックに加えて、1つ以上のさらなるブロック、例えばスチレン/エチレン、スチレン/エチレン/ブチレン、スチレン/ブチレン、スチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエンを含むコポリマーであり得る。対応するポリマーは、商品名「Luvitol HSB」でBASFから市販されている。
【0170】
驚くべきことに、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、スチレン、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドのホモポリマーおよびコポリマーの群から選択される少なくとも1つのフィルム形成ポリマーを含むと、非常に特に強くて洗浄耐性のある着色が得られることが見出された。
【0171】
さらに好ましい実施形態において、方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)として、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、スチレン、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドのホモポリマーおよびコポリマーの群から選択される少なくとも1つのフィルム形成ポリマーを含むことを特徴とする。
【0172】
さらなる実施形態の文脈において、シーリング剤(b1)として剤(b)中に少なくとも1つの親水性フィルム形成ポリマーを使用することが好ましい場合がある。
【0173】
親水性ポリマーは、25℃(760mmHg)で水中で1重量%を超える、好ましくは2重量%を超える溶解度を有するポリマーを意味すると理解される。
【0174】
フィルム形成親水性ポリマーの水への溶解度は、例えば次のようにして測定できる。1gのポリマーをビーカーに加える。水を100gまで加える。撹拌子を加え、撹拌しながらマグネチックスターラー上で混合物を25℃に加熱する。混合物を60分間撹拌する。その後、水性混合物を視覚的に評価する。完全に溶解したポリマーは肉眼的には均一に見える。混合物の濁度が高いため、ポリマーと水との混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物を濾過する。未溶解のポリマーが濾紙上に残っていなければ、ポリマーの溶解度は1重量%超である。
【0175】
非イオン性、アニオン性およびカチオン性ポリマーをフィルム形成親水性ポリマーとして使用できる。
【0176】
適切なフィルム形成親水性ポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン(コ)ポリマー、ポリビニルアルコール(コ)ポリマー、酢酸ビニル(コ)ポリマー、カルボキシビニル(コ)ポリマー、アクリル酸(コ)ポリマー、メタクリル酸(コ)ポリマー、天然ガム、多糖類および/またはアクリルアミド(コ)ポリマーの群から選択できる。
【0177】
さらに、フィルム形成親水性ポリマーとして、ポリビニルピロリドン(PVP)および/またはビニルピロリドンを含むコポリマーを使用することが非常に特に好ましい。
【0178】
さらに非常に特に好ましい実施形態では、剤(b)は、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリビニルピロリドンのコポリマーの群から選択される少なくとも1つのフィルム形成親水性ポリマーをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0179】
剤がフィルム形成親水性ポリマーとしてポリビニルピロリドン(PVP)を含む場合、さらに好ましい。驚くべきことに、PVP含有剤(b)を用いて得られる着色の洗浄堅牢性も非常に良好であった。
【0180】
特に適切なポリビニルピロリドンは、例えば、BASF SEからLuviskol(登録商標)Kの名称で、特にBASF SEからLuviskol(登録商標)K90またはLuviskol(登録商標)K85として入手可能である。
【0181】
Ashland(ISP、POI Chemical)によって販売されているポリマーPVP K30も、さらに明示的に非常に特に適したポリビニルピロリドン(PVP)として使用できる。PVP K 30は冷水によく溶けるポリビニルピロリドンで、CAS番号は9003-39-8である。PVP K 30の分子量は約40,000g/molである。
【0182】
さらに非常に特によく適したポリビニルピロリドンは、商品名LUVITEC K 17、LUVITEC K 30、LUVITEC K 60、LUVITEC K 80、LUVITEC K 85、LUVITEC K 90およびLUVITEC K 115で知られる物質であり、BASFから入手可能である。
【0183】
ポリビニルピロリドンのコポリマーの群からのフィルム形成親水性ポリマーをシーリング試薬(b1)として使用することにより、同様に、特に良好な洗浄堅牢性の染色結果がもたらされた。
【0184】
この文脈において、特によく適したフィルム形成親水性ポリマーとしては、例えば商品名Luviskol(登録商標)(BASF)で販売されているビニルピロリドン-ビニルエステルコポリマーを挙げることができる。Luviskol(登録商標)VA 64およびLuviskol(登録商標)VA 73は、それぞれビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーであり、特に好ましい非イオン性ポリマーである。
【0185】
ビニルピロリドン含有コポリマーのうち、スチレン/VPコポリマー、および/またはビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、および/またはVP/DMAPAアクリレートコポリマー、および/またはVP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーが、化粧品組成物において非常に特に好ましく使用される。
【0186】
ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーは、Luviskol(登録商標)VAという名称でBASF SEによって市販されている。VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーは、例えば、Aquaflex(登録商標)SF-40という商品名でAshland Inc.によって市販されている。VP/DMAPAアクリレートコポリマーは、例えば、Styleze CC-10の名称でAshland社から市販されており、非常に好ましいビニルピロリドン含有コポリマーである。
【0187】
ポリビニルピロリドンのさらなる適切なコポリマーとして、n-ビニルピロリドンを、v-ビニルホルムアミド、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、アクリルアミド、ビニルカプロラクタム、ビニルカプロラクトンおよび/またはビニルアルコールの群からの少なくとも1つのさらなるモノマーと反応させることによって得られるコポリマーが挙げられ得る。
【0188】
さらに非常に特に好ましい実施形態において、剤(b)は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/スチレンコポリマー、ビニルピロリドン/エチレンコポリマー、ビニルピロリドン/プロピレンコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルホルムアミドコポリマーおよび/またはビニルピロリドン/ビニルアルコールコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのフィルム形成親水性ポリマー(b1)をシーリング剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0189】
別の好適なビニルピロリドンのコポリマーは、INCI名マルトデキストリン/VPコポリマーで知られるポリマーである。
【0190】
さらに、非イオン性フィルム形成親水性ポリマーをフィルム形成親水性ポリマーとして使用した場合、非常に良好な洗浄堅牢性を有する強く着色されたケラチン物質、特に毛髪を得ることができた。
【0191】
さらなる実施形態の文脈において、剤(b)はシーリング試薬(b1)として、少なくとも1つの非イオン性フィルム形成親水性ポリマーを含むことができる。
【0192】
本発明によれば、非イオン性ポリマーは、プロトン性溶媒中、例えば水中において標準的な条件下で、対イオンによって補われるはずである永続的なカチオン基またはアニオン基を有する構造単位を担持しておらず、電子中性を維持したままであるポリマーであると理解される。例えば第四級化アンモニウム基がカチオン基に該当するが、プロトン化アミンは含まれない。例えばカルボン酸基およびスルホン酸基がアニオン基に該当する。
【0193】
非イオン性のフィルム形成親水性ポリマーとして、
・ポリビニルピロリドン、
・N-ビニルピロリドンと2~18個の炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステルとのコポリマー、特にN-ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンおよびN-ビニルイミダゾールおよびメタクリルアミドのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンおよびN-ビニルイミダゾールおよびアクリルアミドのコポリマー、
・N-ビニルピロリドンおよびN,N-ジ(C1~C4)アルキルアミノ-(C2~C4)アルキルアクリルアミドのコポリマー
からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む剤が非常に特に好ましい。
【0194】
N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマーが使用される場合、この場合も、含まれるモノマーN-ビニルピロリドンの構造単位と含まれるモノマー酢酸ビニルの構造単位とのモル比は20:80~80:20、特に30:70~60:40の範囲である場合が好ましい。好適なビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマーは、例えば商標Luviskol(登録商標)VA 37、Luviskol(登録商標)VA 55、Luviskol(登録商標)VA 64およびLuviskol(登録商標)VA 73でBASF SEから入手可能である。
【0195】
この場合、さらに特に好ましいポリマーはINCI名VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマーから選択され、これは、例えば商品名Luviset ClearでBASF SEから入手可能である。
【0196】
さらに非常に特に好ましい非イオン性のフィルム形成親水性ポリマーはN-ビニルピロリドンとN,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドとのコポリマーであり、これは、例えばINCI名VP/DMAPA アクリレートコポリマーで販売されており、例えばISP社から、商品名Styleze(登録商標)CC 10で販売されている。
【0197】
カチオン性ポリマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよび3-(メタクリロイルアミノ)プロピルラウリルジメチルアンモニウムクロリドのコポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-69)であり、これは、例えば商品名AquaStyle(登録商標)300(エタノール-水混合物中28~32重量%の活性物質、分子量350000)でISP社により販売されている。
【0198】
さらなる適切なフィルム形成親水性ポリマーは、例えば
・呼称Luviquat(登録商標)FC 370、FC 550およびINC名ポリクオタニウム-16ならびにFC 905およびHM 552の名称で提供されるビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、
・第3のモノマー単位としてアクリル酸エステルおよびアクリル酸アミドを有する、例えばAquaflex(登録商標)SF 40の名称で提供される、ビニルピロリドン-ビニルカプロラクタム-アクリレートターポリマー
である。
【0199】
ポリクオタニウム-11は、ビニルピロリドンおよびメタクリル酸ジメチルアミノエチルのコポリマーを有する硫酸ジエチルの反応生成物である。好適な市販品は、例えばDehyquart(登録商標)CC 11およびLuviquat(登録商標)PQ 11 PNの名称でBASF SEから、またはGafquat 440、Gafquat 734、Gafquat 755もしくはGafquat 755Nの名称でAshland Inc.から入手可能である。
【0200】
ポリクオタニウム-46は、ビニルカプロラクタムおよびビニルピロリドンとメチルビニルイミダゾリウムメトサルフェートとの反応生成物であり、例えばLuviquat(登録商標)Holdの名称でBASF SEから入手可能である。ポリクオタニウム-46は、好ましくは化粧品組成物の総重量に基づいて1~5重量%の量で使用される。ポリクオタニウム-46をカチオン性グアー化合物と組合せて使用することが特に好ましい。ポリクオタニウム-46をカチオン性グアー化合物およびポリクオタニウム-11と組合せて使用することがいっそう最も好ましい。
【0201】
例えば、非架橋形態または架橋形態で存在してよいアクリル酸ポリマーを、好適なアニオン性フィルム形成親水性ポリマーとして使用できる。対応する製品は、例えば商品名Carbopol 980、981、954、2984および5984でLubrizolにより、またはSynthalen MおよびSynthalen Kの名称で3V Sigma(The Sun Chemicals,Inter Harz)により市販されている。
【0202】
天然ガムの群からの好適なフィルム形成親水性ポリマーの例は、キサンタンガム、ゲランガム、およびカロブガムである。
【0203】
多糖類の群からの好適なフィルム形成親水性ポリマーの例はヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースである。
【0204】
アクリルアミドの群からの好適なフィルム形成親水性ポリマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド-C1-C4-アルキルスルホン酸またはその塩のモノマーから調製されるポリマーである。対応するポリマーは、ポリアクリルアミドメタンスルホン酸、ポリアクリルアミドエタンスルホン酸、ポリアクリルアミドプロパンスルホン酸、ポリ2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリ-2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸および/またはポリ-2-メチルアクリルアミド-n-ブタンスルホン酸のポリマーから選択できる。
【0205】
ポリ(メタ)アクリルアミド-C1-C4-アルキルスルホン酸の好ましいポリマーは架橋型であり、少なくとも90%が中和されている。これらのポリマーは架橋型であっても非架橋型であってもよい。
【0206】
ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸型の架橋された完全中和または部分中和ポリマーは、INCI名「アンモニウムポリアクリルアミド-2-メチル-プロパンスルホネート」または「アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド(ammonium polyacryldimethyltauramides)」で知られている。
【0207】
このタイプの別の好ましいポリマーは、Clariant社により商品名Hostacerin AMPSで販売されている架橋型ポリ-2-アクリルアミド-2メチル-プロパンスルホン酸ポリマーであり、アンモニアで部分的に中和されている。
【0208】
さらなる明白に非常に特に好ましい実施形態において、方法は、剤(b)が少なくとも1つのアニオン性フィルム形成ポリマーをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0209】
この文脈において、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、少なくとも1つの式(P-I)の構造単位および少なくとも1つの式(P-II)の構造単位:
【化53】
[式中、Mは水素原子またはアンモニウム(NH
4)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウムまたは1/2カルシウムを表す]
を含む少なくとも1つのフィルム形成ポリマーを含む場合、最良の結果を達成することが可能であった。
【0210】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、少なくとも1つの式(P-I)の構造単位および少なくとも1つの式(P-II)の構造単位:
【化54】
[式中、Mは水素原子またはアンモニウム(NH
4)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウムまたは1/2カルシウムを表す]
を含む少なくとも1つのフィルム形成ポリマーを含むことを特徴とする。
【0211】
Mが水素原子を表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸単位に基づく。
【0212】
Mがアンモニウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のアンモニウム塩に基づく。
【0213】
Mがナトリウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のナトリウム塩に基づく。
【0214】
Mがカリウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のカリウム塩に基づく。
【0215】
Mが半当量のマグネシウム対イオンを表す場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のマグネシウム塩に基づく。
【0216】
Mが半当量のカルシウム対イオンである場合、式(P-I)の構造単位はアクリル酸のカルシウム塩に基づく。
【0217】
フィルム形成ポリマー(b1)は好ましくは、剤(b)において特定の量範囲で使用される。この文脈において、本発明の目的を達成するために、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して、シーリング試薬(b1)として1つ以上のフィルム形成ポリマー(b1)を総量で、0.1~18重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは5~14.5重量%、最も特に好ましくは8~12重量%含む場合、特に好ましいことが証明された。
【0218】
さらなる好ましい実施形態において、方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して、シーリング試薬(b1)として1つ以上のフィルム形成ポリマー(b1)を総量で、0.1~18重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは5~14.5重量%、最も特に好ましくは8~12重量%含むことを特徴とする。
【0219】
シーリング試薬(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む剤(b)の適用は、剤(a)の適用によって最初に形成された任意の着色フィルムをシールおよび/または固定することを意図している。シーリング試薬(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む第2の剤(b)を適用すると、さらなるフィルムの形態で第1の層で形成された任意の着色フィルム上にフィルム形成ポリマー(b1)が堆積する。剤(b)が少なくとも1つの染色化合物をさらに含む場合、第1の工程で形成される着色フィルムの色の印象は、使用される染色化合物に応じて強化または修正されるか、または処理されたケラチン物質の着色が、第1の未着色フィルム上に第2の着色フィルムを形成することによって得られる。このようにして形成された多層フィルム系は、外部の影響に対する耐性が向上している。
【0220】
別の実施形態では、シーリング試薬(b1)はアルカリ化剤を含む。
【0221】
特に好ましくは、アルカリ化剤は、アンモニア、C2-C6アルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物からなる群から選択される。
【0222】
別の特に好ましい実施形態の文脈では、方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)として、アンモニア、C2-C6アルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属メタケイ酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属メタケイ酸塩、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ土類金属炭酸塩からなる群から選択される、少なくとも1つのアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0223】
アンモニアを含む剤(b)による後処理は、方法で得られた着色の洗浄堅牢性および摩擦堅牢性の改善に特に良好な影響を与えることが見出された。
【0224】
さらに非常に特に好ましい実施形態の文脈において、方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)としてアンモニアを含むことを特徴とする。
【0225】
剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1つのC2-C6アルカノールアミンを含む場合にも、良い結果を達成することが可能であった。
【0226】
剤(b)において使用できるアルカノールアミンは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有するC2-C6アルキル基底構造を有する第1級アミンの群から好ましくは選択できる。好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオールおよび2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールで形成される群から選択される。
【0227】
さらに好ましい実施形態において、本発明による方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオールおよび2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールからなる群から好ましくは選択される、アルカノールアミンの群からの少なくとも1つのアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0228】
剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含む場合も、良い結果を達成することが可能であった。
【0229】
本発明の意味におけるアミノ酸は、その構造内に少なくとも1つのプロトン化性アミノ基と少なくとも1つの-COOHまたは1つの-SO3H基を含む有機化合物である。好ましいアミノ酸はアミノカルボン酸、特にα-(アルファ)-アミノカルボン酸およびω-アミノカルボン酸であり、α-アミノカルボン酸が特に好ましい。
【0230】
本発明によれば、塩基性アミノ酸は、7.0より大きい等電点pIを有するアミノ酸を意味すると理解される。
【0231】
塩基性α-アミノカルボン酸は少なくとも1個の不斉炭素原子を含む。本発明の文脈において、両方のエナンチオマーが具体的な化合物として、またはその混合物、特にラセミ体として等しく使用できる。しかしながら、天然状態で好ましい異性体形態、通常、L体を使用することが特に有利である。
【0232】
塩基性アミノ酸は好ましくは、アルギニン、リシン、オルニチンおよびヒスチジン、さらに好ましくはアルギニンおよびリシンによって形成される群から選択される。したがって、別の特に好ましい実施形態において、方法は、シーリング試薬(b1)がアルギニン、リシン、オルニチンおよび/またはヒスチジンの群からの塩基性アミノ酸を含むアルカリ化剤であることを特徴とする。
【0233】
さらに好ましい実施形態では、方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)として、アルギニン、リジン、オルニチンおよびヒスチジンの群から好ましくは選択される塩基性アミノ酸の群からの少なくとも1つのアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0234】
剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1つのアルカリ金属水酸化物を含む場合にも、良い結果を達成することが可能であった。適切なアルカリ金属水酸化物の例は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが挙げられる。
【0235】
剤(b)がシーリング試薬(b1)として、少なくとも1つのアルカリ土類金属水酸化物を含むアルカリ化剤を含む場合にも、良い結果を達成することが可能であった。適切なアルカリ土類金属水酸化物の例としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、および水酸化バリウムが挙げられる。
【0236】
剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1つのアルカリ金属ケイ酸塩および/またはアルカリ金属メタケイ酸塩を含む場合にも、良い結果を達成することが可能であった。適切なアルカリ金属ケイ酸塩は、例えばケイ酸ナトリウムおよびケイ酸カリウムである。適切なアルカリ金属メタケイ酸塩は、例えばメタケイ酸ナトリウムおよびメタケイ酸カリウムである。
【0237】
剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1つのアルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ土類金属炭酸塩を含む場合にも、良い結果を達成することが可能であった。適切なアルカリ金属炭酸塩は、例えば炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムである。適切なアルカリ土類金属炭酸塩は、例えば炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムである。
【0238】
アルカリ化剤の形態の前述のシーリング試薬(b1)の群において、アンモニア、C2-C6アルカノールアミン、塩基性アミノ酸、およびアルカリ金属水酸化物が特に適していることが証明されている。
【0239】
さらに特に好ましい実施形態の文脈において、方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、アンモニア、C2-C6アルカノールアミン、塩基性アミノ酸およびアルカリ金属水酸化物の群から選択される少なくとも1つのアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0240】
さらに特に好ましい実施形態の文脈では、方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、アンモニア、2-アミノエタン-1-オール、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、アルギニン、リシン、オルニチン、ヒスチジン、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムの群から選択される少なくとも1つのアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0241】
剤(b)は、化粧品担体、好ましくは水性化粧品担体中にシーリング試薬(b1)としてアルカリ化剤を含む。
【0242】
この文脈において、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して、5.0~99.0重量%、好ましくは15.0~97.0重量%、より好ましくは25.0~97.0重量%、さらにより好ましくは35.0~97.0重量%、非常に特に好ましくは45.0~97.0重量%の水を含む場合、好ましいことが見出された。
【0243】
さらなる実施形態の文脈において、方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して、5.0~99.0重量%、好ましくは15.0~97.0重量%、より好ましくは25.0~97.0重量%、さらにより好ましくは35.0~97.0重量%、特に好ましくは45.0~97.0重量%の水を含むことを特徴とする。
【0244】
剤(b)に含まれるアルカリ化剤は、剤(b)のpHに影響を及ぼす。ここで、特定のアルカリ性pH値は、この方法で達成可能な着色力と着色堅牢性に有利な効果があることがわかった。
【0245】
このため、シーリング試薬(b1)としてアルカリ化剤を含む剤(b)は、7.0~12.0、好ましくは7.5~11.5、より好ましくは8.0~11.0、非常に特に好ましくは8.5~9.5のpHを有することが好ましい。
【0246】
pH測定は、組み合わせ電極を介したガラス電極による、またはpH指示紙を介したpH測定などの、従来技術から知られている通常の方法を使用して実施できる。
【0247】
さらに非常に特に好ましい実施形態では、方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)としてアルカリ化剤を含み、7.0~12.0、好ましくは7.5~11.5、より好ましくは8.0~11.0、非常に特に好ましくは8.5~9.5のpHを有することを特徴とする。
【0248】
本発明の意味におけるpH値は、22℃の温度で測定されたpH値である。
【0249】
さらに別の代替の実施形態では、シーリング試薬(b1)は酸性化剤を含む。
【0250】
特に好ましくは、酸性化剤は、無機酸、有機酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0251】
剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1つの無機酸を含む場合、良い結果を達成することが可能であった。適切な無機酸は、例えば、リン酸、硫酸および/または塩酸であり、硫酸が特に好ましい。
【0252】
さらに好ましい実施形態では、方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、無機酸の群から選択される少なくとも1つの酸性化剤を含み、これは、好ましくは、リン酸、硫酸、塩酸およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする。
【0253】
さらに、より好ましい実施形態の文脈では、方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)として硫酸を含むことを特徴とする。
【0254】
剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1つの有機酸を含む場合にも、良い結果を達成することが可能であった。有機酸は、好ましくは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオール酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、カンフル酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン酸、4,4’-ジシアノ-6,6’-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタルアミド酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸またはプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0255】
さらに好ましい実施形態では、方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)として、有機酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸性化剤を含み、有機酸が、好ましくは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオール酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、カンフル酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン酸、4,4’-ジシアノ-6,6’-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタルアミド酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸またはプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする。
【0256】
さらに、さらにより好ましい実施形態の文脈では、方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)として酢酸を含むことを特徴とする。
【0257】
同様に、適切な酸性化剤には、メタンスルホン酸および/または1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸が含まれる。
【0258】
酸性化剤の形態の上記のシーリング試薬(b1)の群の中で、硫酸および/または酢酸が特に適切であることが証明されている。
【0259】
さらに特に好ましい実施形態の文脈において、方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)として、硫酸、酢酸およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸性化剤を含むことを特徴とする。
【0260】
剤(b)は、化粧品担体、好ましくは水性化粧品担体中に、シーリング試薬(b1)として酸性化剤を含む。
【0261】
剤(b)に含まれる酸性化剤は、剤(b)のpHに影響を与える。ここで、酸性のpH値も、この方法で達成可能な着色力および着色の堅牢特性に有利な効果を有することが見出された。
【0262】
このため、シーリング試薬(b1)として酸性化剤を含む剤(b)は、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、非常に特に好ましくは4.5~5.5のpHを有することが好ましい。
【0263】
pH測定は、組み合わせ電極を介したガラス電極による、またはpH指示紙を介したpH測定などの、従来技術から知られている通常の方法を使用して実施できる。
【0264】
さらなる非常に特に好ましい実施形態において、方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)として酸性化剤を含み、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、非常に特に好ましくは4.5~5.5のpHを有することを特徴とする。
【0265】
本発明の意味におけるpH値は、22℃の温度で測定されたpH値である。
【0266】
剤(a)および(b)中のさらなる成分
上記の剤(a)および(b)は、1つ以上の任意の成分を含有してよい。しかし、剤(a)および(b)の少なくとも1つが、顔料および/または直接染料からなる群からの少なくとも1つの染色化合物をさらに含むことが本発明にとって必須である。
【0267】
剤(a)は、1、2または3つのケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)に加えて、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの染色化合物をさらに含むことが好ましい場合がある。
【0268】
あるいは、剤(b)は、シーリング試薬(b1)に加えて、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの染色化合物をさらに含むことが好ましい場合がある。
【0269】
方法の同様に好ましい実施形態において、剤(a)および剤(b)はそれぞれ、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの染色化合物をさらに含む。
【0270】
剤(a)および/または(b)に関係なく、顔料の使用はこの文脈において特に好ましいことが証明された。
【0271】
別の非常に特に好ましい実施形態では、方法は、剤(a)および/または剤(b)が、顔料の群からの少なくとも1つの染色化合物をさらに含むことを特徴とする。
【0272】
本発明の意味の範囲内の顔料は、25℃において0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、より好ましくは0.05g/L未満の水への溶解度を有する染色化合物を意味すると理解される。例えば水への溶解度を測定するために、下記の方法を使用できる:0.5gの顔料をビーカー内に量り入れる。撹拌子を添加する。次いで、1リットルの蒸留水を添加する。この混合物を、マグネチックスターラーで撹拌しながら25℃まで1時間加熱する。この期間後、顔料の未溶解成分が混合物中にまだ見られる場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。微細分散された顔料の高強度のため顔料-水の混合物を視覚的に評価できない場合、混合物を濾過する。未溶解顔料の一部が濾紙上に残存している場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。
【0273】
好適な着色顔料は無機および/または有機起源のものであってよい。
【0274】
好ましい実施形態において、方法は、剤(a)および/または剤(b)が、無機および/または有機顔料の群からの少なくとも1つの染色化合物をさらに含むことを特徴とする。
【0275】
好ましい顔料は合成または天然の無機顔料から選択される。天然起源の無機顔料は、例えば、白亜、黄土、アンバー、緑土、バーントシェンナ、またはグラファイトから製造できる。さらに、黒色顔料、例えば黒色酸化鉄、着色顔料、例えばウルトラマリンまたは赤色酸化鉄および蛍光またはリン光顔料が無機着色顔料として使用できる。
【0276】
着色金属酸化物、水酸化物および酸化物水和物、混相顔料、含硫シリケート、シリケート、金属硫化物、金属シアン化物錯体、金属硫酸塩、クロメートおよび/またはモリブデートが特に好適である。特に好ましい顔料は黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤褐色酸化鉄(CI 77491)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、ピグメントブルー29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、アイアンブルー(フェロシアン化第二鉄、CI 77510)および/またはカーマイン(コチニール)である。
【0277】
同様に特に好ましい顔料は、有色の真珠光沢顔料である。これらは通常、雲母に基づいており、1つ以上の金属酸化物でコーティングされていてよい。雲母は層状シリケートである。これらのシリケートの最も重要な代表例はマスコバイト、フロゴパイト、パラゴナイト、黒雲母、鱗雲母および真珠雲母である。金属酸化物との組合せでの真珠光沢顔料を製造するためには、雲母、主にマスコバイトまたはフロゴパイトを金属酸化物でコーティングする。
【0278】
したがって、好ましい方法は、剤(a)および/または剤(b)が、着色金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、シリケート、金属硫化物、金属シアン化物錯体、金属硫酸塩、ブロンズ顔料および/または少なくとも1つの金属酸化物および/または金属オキシ塩化物で被覆された天然または合成雲母に基づく着色顔料の群から選択される顔料の群から選択される少なくとも1つの染色化合物をさらに含むことを特徴とする。
【0279】
さらに好ましい実施形態では、方法は、剤(a)および/または剤(b)が、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および/または褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、ピグメント ブルー29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、酸化クロム(CI 77288)および/またはアイアンブルー(フェロシアン化第二鉄、CI 77510)の群からの1つ以上の金属酸化物で被覆された、天然または合成雲母に基づく顔料から選択される顔料の群からの少なくとも1つの染色化合物を含むことを特徴とする。
【0280】
他の好適な顔料は、金属酸化物でコートされたプレートレット形状ボロシリケートに基づくものである。これらは、例えば酸化スズ、酸化鉄、二酸化ケイ素および/または二酸化チタンでコーティングされる。そのようなボロシリケートに基づく顔料は、例えばMIRAGEという名称でEckartから、またはReflecksという名称でBASF SEから入手可能である。
【0281】
好ましい実施形態では、剤(a)は、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色酸化鉄(CI 77491)およびそれらの混合物からなる群から選択される無機顔料の群からの少なくとも1つの染色化合物を含むことを特徴とする。
【0282】
黄色酸化鉄(または酸化鉄イエロー)は、FeO(OH)の名称であり、C.I.ピグメントイエロー42としてカラーインデックスにリストされている。
【0283】
赤色酸化鉄(または酸化鉄レッド)は、Fe2O3の名称であり、C.I.ピグメントレッド101としてカラーインデックスにリストされている。粒子サイズに応じて、赤色酸化鉄顔料は、非常に黄色い色合い(粒子サイズが小さい)から非常に青い色合い(粒子が粗い)を帯びるように調整できる。
【0284】
黒色酸化鉄(または酸化鉄ブラック)は、C.I.ピグメントブラック11としてカラーインデックスにリストされている。黒色酸化鉄は強磁性である。化学式は一般的にFe3O4と表記されるが、実際には逆スピネル構造を持ったFe2O3とFeOの混合結晶が存在する。クロム、銅、またはマンガンをドープすると、さらに黒色の顔料が得られる。
【0285】
褐色黒色酸化鉄(または酸化鉄ブラウン)は、通常、定義された顔料ではなく、黄色、赤色および/または黒色の酸化鉄の混合物を指す。
【0286】
酸化鉄顔料は、典型的には、2000~4000nmの範囲の粒子直径を有する。いくつかの用途、特に化粧目的では、かなり小さい粒子直径を有する酸化鉄顔料を使用することが有利な場合がある。したがって、100~1000nm、より好ましくは150~700nmの範囲の粒子直径を有する酸化鉄顔料を用いたヘアカラーリングは、より良好な耐久性およびより良好な白髪カバーを示す。
【0287】
この理由から、顔料および/または直接染料の群からの染色化合物をさらに含む剤(a)がさらにより好ましく、ここで、染色化合物は酸化鉄顔料の群からの顔料を含み、前記酸化鉄顔料は、100~1000nm、より好ましくは150~700nmの範囲の粒子直径を有する。
【0288】
特に好適な着色顔料の例は、例えばMerck製のRona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Xirona(登録商標)、Dichrona(登録商標)およびTimiron(登録商標)、Sensient製のAriabel(登録商標)およびUnipure(登録商標)、Eckart Cosmetic Colors製のPrestige(登録商標)またはSynCrystal、BASF SE製のFlamenco(登録商標)、Cellini(登録商標)、Cloisonne(登録商標)、Duocrome(登録商標)、Gemtone(登録商標)、Timica(登録商標)、MultiReflections、Chione、およびSunstar製のSunshine(登録商標)の商品名で市販されているものである。
【0289】
商品名Colorona(登録商標)を有する非常に特に好ましい顔料は、例えば:
Colorona Copper, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Copper Fine, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Passion Orange, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)、アルミナ
Colorona Patina Silver, Merck, 雲母、CI 77499(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)
Colorona RY, Merck, CI 77891(二酸化チタン)、雲母、CI 75470(カーマイン)
Colorona Oriental Beige, Merck, 雲母、CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Dark Blue, Merck, 雲母、二酸化チタン、フェロシアン化第二鉄
Colorona Chameleon, Merck, CI 77491(酸化鉄)、雲母
Colorona Aborigine Amber, Merck, 雲母、CI 77499(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Blackstar Blue, Merck, CI 77499(酸化鉄)、雲母
Colorona Patagonian Purple, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)、CI 77510(フェロシアン化第二鉄)
Colorona Red Brown, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)、CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Russet, Merck, CI 77491(二酸化チタン)、雲母,CI 77891(酸化鉄)
Colorona Imperial Red, Merck, 雲母、二酸化チタン(CI 77891)、D&C RED NO.30(CI 73360)
Colorona Majestic Green, Merck, CI 77891(二酸化チタン)、雲母,CI 77288(酸化クロムグリーン)
Colorona Light Blue, Merck, 雲母、二酸化チタン(CI 77891)、フェロシアン化第二鉄(CI 77510)
Colorona Red Gold, Merck, 雲母、CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Gold Plus MP 25, Merck, 雲母、二酸化チタン(CI 77891)、酸化鉄(CI 77491)
Colorona Carmine Red, Merck, 雲母、二酸化チタン、カーマイン
Colorona Blackstar Green, Merck, 雲母、CI 77499(酸化鉄)
Colorona Bordeaux, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze Fine, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Fine Gold MP 20, Merck, 雲母、CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Sienna Fine, Merck, CI 77491(酸化鉄)、雲母
Colorona Sienna, Merck, 雲母、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Precious Gold, Merck, 雲母、CI 77891(二酸化チタン)、シリカ、CI 77491(酸化鉄)、酸化スズ
Colorona Sun Gold Sparkle MP 29, Merck, 雲母、二酸化チタン、酸化鉄、雲母、CI 77891, CI 77491(EU)
Colorona Mica Black, Merck, CI 77499(酸化鉄)、雲母、CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Bright Gold, Merck, 雲母、CI 77891(二酸化チタン)、CI 77491(酸化鉄)
Colorona Blackstar Gold, Merck, 雲母、CI 77499(酸化鉄)
Colorona SynCopper, Merck, 合成フルオロフロゴパイト(および)酸化鉄
Colorona SynBronze, Merck, 合成フルオロフロゴパイト(および)酸化鉄
である。
【0290】
商品名Xirona(登録商標)を有するさらに特に好ましい顔料は、例えば:
Xirona Golden Sky, Merck,シリカ、CI 77891(二酸化チタン)、酸化スズ
Xirona Caribbean Blue, Merck, 雲母、CI 77891(二酸化チタン)、シリカ、酸化スズ
Xirona Kiwi Rose, Merck, シリカ、CI 77891(二酸化チタン)、酸化スズ
Xirona Magic Mauve, Merck, シリカ、CI 77891(二酸化チタン)、酸化スズ
Xirona Le Rouge, Merck, 酸化鉄(および)シリカ
である。
【0291】
また、商品名Unipure(登録商標)を有する特に好ましい顔料は、例えば:
Unipure Red LC 381 EM, Sensient CI 77491(酸化鉄)、シリカ
Unipure Black LC 989 EM, Sensient, CI 77499(酸化鉄)、シリカ
Unipure Yellow LC 182 EM, Sensient, CI 77492(酸化鉄)、シリカ
である。
【0292】
商品名Flamenco(登録商標)を有する同様に特に好ましい顔料は、例えば:
Flamenco(登録商標)Summit Turquoise T30D, BASF, 二酸化チタン(および)雲母
Flamenco(登録商標)Super Violet 530Z, BASF, 雲母(および)二酸化チタン
である。
【0293】
別の実施形態の文脈において、方法で使用される剤(a)および/または剤(b)は、有機顔料の群からの1つ以上の染色化合物も含有し得る。
【0294】
有機顔料は、相応して不溶性の有機系の染料またはカラーラッカーであり、例えば、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、アントラキノン、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピオロール(diketopyrrolopyorrole)、インジゴ、チオインジド(thioindido)、ジオキサジンおよび/またはトリアリールメタン化合物の群から選択してよい。
【0295】
特に好適な有機顔料は、例えばカーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、またはCI 74160を有する青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、またはCI 47005を有する黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570、またはCI 74260を有する緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370、またはCI 71105を有する橙色顔料、カラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470を有する赤色顔料である。
【0296】
別の特に好ましい実施形態では、方法は、剤(a)および/または剤(b)が、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、またはCI 74160を有する青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、またはCI 47005を有する黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570、またはCI 74260を有する緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370、またはCI 71105を有する橙色顔料、カラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470を有する赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される有機顔料の群からの少なくとも1つの染色化合物を含むことを特徴とする。
【0297】
有機顔料はカラーレーキであってもよい。本発明の範囲において、カラーレーキという用語は、吸収された染料の層を含む粒子を意味し、粒子および染料からなるユニットは、上述の条件下で不溶性である。粒子は、例えば無機基材であってよく、アルミニウム、シリカ、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム、またはアルミニウムであってもよい。
【0298】
例えば、アリザリンカラーレーキをカラーレーキとして使用できる。
【0299】
方法の別の実施形態の文脈において、剤(a)および/または剤(b)は、有機顔料の群からの1つ以上の染色化合物を含むこともできる。
【0300】
別の特に好ましい実施形態では、方法は、剤(a)および/または剤(b)がカーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、またはCI 74160を有する青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、またはCI 47005を有する黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570、またはCI 74260を有する緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370、またはCI 71105を有する橙色顔料、カラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、および/またはCI 75470を有する赤色顔料の群から選択される、有機顔料の群からの少なくとも1つの染色化合物を含むことを特徴とする。
【0301】
顔料の群からの同様に適切な染色化合物は、ポリマーで修飾された無機および/または有機顔料である。ポリマー修飾は、例えば、少なくとも1つの層のそれぞれの物質に対する顔料の親和性を高めることができる。
【0302】
剤(a)および/または剤(b)において、金属エフェクト顔料と呼ばれるものを染色化合物として使用することも可能である。
【0303】
金属エフェクト顔料は、特にラメラ状基材プレートレットに基づく顔料、レンズ状基材プレートレットに基づく顔料、および/または真空金属化顔料(VMP)を含む基材プレートレットに基づく顔料を含み得る。これらの金属エフェクト顔料において、基材プレートレットは、金属、好ましくはアルミニウム、または合金を含む。金属基材プレートレットに基づく金属エフェクト顔料は、とりわけ保護層として機能するコーティングを有することが好ましい。
【0304】
適切な金属エフェクト顔料には、例えば、Schlenk Metallic Pigments製のAlegrace(登録商標)Marvelous、Alegrace(著作権)GorgeousまたはAlegrace(登録商標)Aurous顔料が含まれる。
【0305】
同様に適切な金属エフェクト顔料は、EckartのSILVERDREAMシリーズのアルミニウムに基づく顔料、およびVISIONAIREシリーズのアルミニウムまたは銅/亜鉛含有金属合金に基づく顔料である。
【0306】
その優れた光安定性および温度安定性のため、上記の顔料を剤(a)および/または剤(b)に使用することが非常に特に好ましい。使用される顔料が、ある粒子サイズを有する場合さらに好ましい。この粒子サイズは、一方において、形成されたポリマーフィルム中における顔料の一様な分布をもたらし、他方において、化粧品製品の適用後の毛髪または皮膚のざらざら感を回避する。したがって、本発明によれば、前記少なくとも1つの顔料が、1~50μm、好ましくは5~45μm、好ましくは10~40μm、特に14~30μmの平均粒子サイズD50を有する場合が有利である。平均粒子サイズD50は、例えば動的光散乱(DLS)を用いて測定できる。
【0307】
さらに好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に対して、顔料の形態の1つ以上の染色化合物を、総量で0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、最も好ましくは0.5~4.5重量%さらに含有することを特徴とする。
【0308】
さらに同様に好ましい実施形態では、方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に対して、顔料の形態の1つ以上の染色化合物を、総量で0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、最も特に好ましくは0.5~4.5重量%さらに含むことを特徴とする。
【0309】
方法に使用される剤(a)および/または剤(b)は、染色化合物として、1つ以上の直接染料を含有してもよい。直接染料は、毛髪に直接結合し、色形成のための酸化的プロセスを必要としない染料である。直接染料は通常、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン、トリアリールメタン染料またはインドフェノールである。
【0310】
本発明の意味に含まれる直接染料は、25℃(760mmHg)において0.5g/Lより大きい水への溶解度を有するものであり、したがって顔料とみなされるものではない。本発明の意味において、直接染料は、好ましくは25℃(760mmHg)において1g/Lより大きい水への溶解度を有する。
【0311】
直接染料は、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料および非イオン性直接染料に分けることができる。
【0312】
さらなる好ましい実施形態において、方法は、剤(a)および/または剤(b)が、染色化合物として少なくとも1つのアニオン性直接染料、カチオン性直接染料および/または非イオン性直接染料をさらに含むことを特徴とする。
【0313】
さらに好ましい実施形態では、方法は、剤(a)および/または剤(b)が、アニオン性直接染料、非イオン性直接染料、および/またはカチオン性直接染料の群から選択される少なくとも1つの染色化合物をさらに含むことを特徴とする。
【0314】
好適なカチオン性直接染料は、例えばベーシックブルー7、ベーシックブルー26、ベーシックバイオレット2およびベーシックバイオレット14、ベーシックイエロー57、ベーシックレッド76、ベーシックブルー16、ベーシックブルー347(カチオンブルー347/Dystar)、HCブルーNo.16、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックイエロー57、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31、ベーシックレッド51、ベーシックレッド76である。
【0315】
特に、非イオン性直接染料として、非イオン性のニトロ染料およびキノン染料ならびに中性アゾ染料が使用できる。好適な非イオン性直接染料は、国際呼称または商品名HCイエロー2、HCイエロー4、HCイエロー5、HCイエロー6、HCイエロー12、HCオレンジ1、ディスパースオレンジ3、HCレッド1、HCレッド3、HCレッド10、HCレッド11、HCレッド13、HCレッドBN、HCブルー2、HCブルー11、HCブルー12、ディスパースブルー3、HCバイオレット1、ディスパースバイオレット1、ディスパースバイオレット4、ディスパースブラック9、ならびに1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、1,4-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、3-ニトロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノフェノール2-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-4,6-ジニトロフェノール、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-1-メチルベンゼン、1-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-5-クロロ-2-ニトロベンゼン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、1-(2’-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼン、2-[(4-アミノ-2-ニトロフェニル)アミノ]安息香酸、6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、ピクラミン酸およびその塩、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸および2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロフェノールで列挙される既知化合物である。
【0316】
本発明に至る研究の過程において、特に少なくとも1つのアニオン性直接染料を含む剤(a)および/または剤(b)により、特に高い色強度の着色を作り出せることがわかった。
【0317】
したがって、明白に極めて特に好ましい実施形態において、方法は、剤(a)および/または剤(b)が、染色化合物として少なくとも1つのアニオン性直接染料をさらに含むことを特徴とする。
【0318】
アニオン性直接染料は酸性染料とも称される。酸性染料は、少なくとも1つのカルボン酸基(-COOH)および/または1つのスルホン酸基(-SO3H)を有する直接染料を意味する。pHに応じて、カルボン酸基またはスルホン酸基のプロトン化形態(-COOH、-SO3H)は、その脱プロトン化形態(-COO-、-SO3
-)と平衡状態で存在する。プロトン化形態の割合はpHの低下にともなって増大する。直接染料がその塩の形態で使用される場合、カルボン酸基またはスルホン酸基は脱プロトン化形態で存在し、対応する化学量論当量のカチオンで中和され、電気的中性が維持される。酸性染料は、そのナトリウム塩および/またはカリウム塩の形態でも使用できる。
【0319】
本発明の意味の範囲の酸性染料は、25℃(760mmHg)で、0.5g/Lを超える水への溶解度を有するものであり、したがって顔料とみなされるものではない。本発明の意味の範囲内で、酸性染料は、好ましくは25℃(760mmHg)で1g/Lを超える水への溶解度を有する。
【0320】
酸性染料のアルカリ土類塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)またはアルミニウム塩は、多くの場合、対応するアルカリ塩より低い溶解度を有する。これらの塩の溶解度が0.5g/L(25℃、760mmHg)未満である場合は、直接染料の定義に含まれない。
【0321】
酸性染料の必須の特徴はアニオン電荷形成能であり、これにより、これを担うカルボン酸基またはスルホン酸基は通常、異なる発色団系に連結される。好適な発色団系は、例えば、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料の構造に見出される。
【0322】
したがって、一実施形態の文脈において、ケラチン物質を染色するための方法は、剤(a)および/または剤(b)が、染色化合物として、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料の群から選択される少なくとも1つのアニオン性直接染料をさらに含むことを特徴とするものが好ましく、上記の群に由来する染料は各々、少なくとも1つのカルボン酸基(-COOH)、カルボン酸ナトリウム基(-COONa)、カルボン酸カリウム基(-COOK)、スルホン酸基(-SO3H)、スルホン酸ナトリウム基(-SO3Na)および/またはスルホン酸カリウム基(-SO3K)を含む。
【0323】
例えば、以下の群からの1つ以上の化合物を、特によく適した酸性染料として選択することができる:アシッドイエロー1(D&Cイエロー7、Citronin A、Ext. D&CイエローNo.7、ジャパンイエロー403、CI 10316、COLIPA n° B001)、アシッドイエロー3(COLIPA n°:C 54、D&Cイエロー No 10、Quinoline Yellow、E104、食用黄色13号)、アシッドイエロー9(CI 13015)、アシッドイエロー17(CI 18965)、アシッドイエロー23(COLIPA no C 29、Covacap Jaune W 1100(LCW)、Sicovit Tartrazine 85 E 102(BASF)、Tartrazine、食用黄色4号、ジャパンイエロー4、FD&CイエローNo.5)、アシッドイエロー36(CI 13065)、アシッドイエロー121(CI 18690)、アシッドオレンジ6(CI 14270)、アシッドオレンジ7(2-Naphthol orange、Orange II、CI 15510、D&Cオレンジ4、COLIPA no C015)、アシッドオレンジ10(C.I.16230;Orange G sodium salt)、アシッドオレンジ11(CI 45370)、アシッドオレンジ15(CI 50120)、アシッドオレンジ20(CI 14600)、アシッドオレンジ24(BROWN 1; CI 20170; KATSU201; nosodiumsalt; Brown No.201; RESORCIN BROWN;アシッドオレンジ24;ジャパンブラウン201;D&CブラウンNo.1)、アシッドレッド14(C.I.14720)、アシッドレッド18(E124、Red 18;CI 16255)、アシッドレッド27(E 123、CI 16185、C-Rot 46、Echtrot D, FD&C Red Nr.2, 食用赤色9号、Naphtholrot S)、アシッドレッド33(Red 33, Fuchsia Red, D&Cレッド33、CI 17200)、アシッドレッド35(CI C.I. 18065)、アシッドレッド51(CI 45430、Pyrosin B、テトラヨードフロオレセイン、Eosin J、Iodeosin)、アシッドレッド52(CI 45100、食用赤色106号、Solar Rhodamine B、Acid Rhodamine B、Red no 106 Pontacyl Brilliant Pink)、アシッドレッド73(CI 27290)、アシッドレッド87(Eosin、CI 45380)、アシッドレッド92(COLIPA no C53、CI 45410)、アシッドレッド95(CI 45425、Erythtosine、Simacid Erythrosine Y)、アシッドレッド184(CI 15685)、アシッドレッド195、アシッドバイオレット43(Jarocol Violet 43、Ext. D&Cバイオレットno 2, C.I. 60730、COLIPA no C063)、アシッドバイオレット49(CI 42640)、アシッドバイオレット50(CI 50325)、アシッドブルー1(Patent Blue、CI 42045)、アシッドブルー3(Patent Blue V、CI 42051)、アシッドブルー7(CI 42080)、アシッドブルー104(CI 42735)、アシッドブルー9(E 133、Patent Blue AE、Amido blue AE、Erioglaucin A、CI 42090、C.I.食用青色2号)、アシッドブルー62(CI 62045)、アシッドブルー74(E 132, CI 73015)、アシッドブルー80(CI 61585)、アシッドグリーン3(CI 42085、食用緑色1号)、アシッドグリーン5(CI 42095)、アシッドグリーン9(CI 42100)、アシッドグリーン22(C.I. 42170)、アシッドグリーン25(CI 61570、ジャパングリーン201、D&CグリーンNo.5)、アシッドグリーン50(Brilliant Acid Green BS、C.I. 44090、Acid Brilliant Green BS、E 142)、アシッドブラック1(Black no 401、Naphthalene Black 10B、Amido Black 10B、CI 20470、COLIPA no B15)、アシッドブラック52(CI 15711)、食用黄色8号(CI 14270)、食用青色5号、D&Cイエロー8、D&Cグリーン5、D&Cオレンジ10、D&Cオレンジ11、D&Cレッド21、D&Cレッド27、D&Cレッド33、D&Cバイオレット2および/またはD&Cブラウン1。
【0324】
例えば、アニオン性直接染料の水への溶解度は以下のようにして測定できる。0.1gのアニオン性直接染料をビーカーに入れる。撹拌子を添加する。次いで100mlの水を添加する。この混合物をマグネチックスターラーで撹拌しながら25℃まで加熱する。この混合物を60分間撹拌する。次いで、水性混合物を目視評価する。まだ未溶解残渣がある場合、水の量を、例えば10mlずつ増やす。使用した量の染料が完全に溶解するまで水を添加する。染料-水混合物が染料の高強度のため視認評価できない場合、混合物を濾過する。未溶解染料の一部が濾紙上に残存している場合、水の量をより多くして溶解度試験を繰り返す。0.1gのアニオン性直接染料が25℃において100mlの水に溶解する場合、染料の溶解度は1g/Lである。
【0325】
アシッドイエロー1は8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸二ナトリウム塩と称され、水への溶解度は少なくとも40g/L(25℃)である。
【0326】
アシッドイエロー3は2-(2-キノリル)-1H-インデン-1,3(2H)-ジオンのモノスルホン酸のナトリウム塩とジスルホン酸のナトリウム塩の混合物であり、水への溶解度は20g/L(25℃)である。
【0327】
アシッドイエロー9は8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は40g/L(25℃)より大きい。
【0328】
アシッドイエロー23は4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1-(4-スルホフェニル)-4-((4-スルホフェニル)アゾ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の三ナトリウム塩であり、25℃で水に非常に溶けやすい。
【0329】
アシッドオレンジ7は4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アゾ]ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩である。その水への溶解度は7g/L(25℃)より大きい。
【0330】
アシッドレッド18は7-ヒドロキシ-8-[(E)-(4-スルホナト-1-ナフチル)-ジアゼニル)]-1,3-ナフタレンジスルホン酸の三ナトリウム塩であり、20重量%より大きい非常に高い水への溶解度を有する。
【0331】
アシッドレッド33は5-アミノ-4-ヒドロキシ-3-(フェニルアゾ)-ナフタレン-2,7-ジスルホン酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は2.5g/L(25℃)である。
【0332】
アシッドレッド92は3,4,5,6-テトラクロロ-2-(1,4,5,8-テトラブロモ-6-ヒドロキシ-3-オキソキサンテン-9-イル)安息香酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は10g/L(25℃)より大きいと示されている。
【0333】
アシッドブルー9は2-({4-[N-エチル(3-スルホナトベンジル]アミノ]フェニル}{4-[(N-エチル(3-スルホナトベンジル)イミノ]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン}メチル)-ベンゼンスルホン酸の二ナトリウム塩であり、水への溶解度は20重量%(25℃)より大きい
【0334】
したがって、非常に好ましい方法は、剤(a)および/または剤(b)が、アシッドイエロー1、アシッドイエロー3、アシッドイエロー9、アシッドイエロー17、アシッドイエロー23、アシッドイエロー36、アシッドイエロー121、アシッドオレンジ6、アシッドオレンジ7、アシッドオレンジ10、アシッドオレンジ11、アシッドオレンジ15、アシッドオレンジ20、アシッドオレンジ24、アシッドレッド14、アシッドレッド、アシッドレッド27、アシッドレッド33、アシッドレッド35、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド73、アシッドレッド87、アシッドレッド92、アシッドレッド95、アシッドレッド184、アシッドレッド195、アシッドバイオレット43、アシッドバイオレット49、アシッドバイオレット50、アシッドブルー1、アシッドブルー3、アシッドブルー7、アシッドブルー104、アシッドブルー9、アシッドブルー62、アシッドブルー74、アシッドブルー80、アシッドグリーン3、アシッドグリーン5、アシッドグリーン9、アシッドグリーン22、アシッドグリーン25、アシッドグリーン50、アシッドブラック1、アシッドブラック52、食用黄色8号、食用青色5号、D&Cイエロー8、D&Cグリーン5、D&Cオレンジ10、D&Cオレンジ11、D&Cレッド21、D&Cレッド27、D&Cレッド33、D&Cバイオレット2および/またはD&Cブラウン1の群から選択されるアニオン性直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物をさらに含むことを特徴とする。
【0335】
直接染料、特にアニオン性直接染料は、所望の色強度に応じて剤(a)および/または剤(b)中に様々な量で使用できる。剤(a)および/または剤(b)が、それぞれの場合に、前記剤の総重量に対して、1つ以上の直接染料を染色化合物として0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、最も特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で含む場合、特に良好な結果を得ることが可能であった。
【0336】
さらなる好ましい実施形態において、方法は、剤(a)および/または剤(b)が、剤(a)および/または剤(b)の総重量に対して、染色化合物として1つ以上の直接染料を0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、最も特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量でさらに含むことを特徴とする。
【0337】
染色化合物に関する方法の好ましい実施形態を以下に開示する:
1.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
着色金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料およびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1つの無機顔料を含む少なくとも1つの染色化合物、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0338】
2.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
着色金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料およびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1つの無機顔料と、層状金属基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー金属基材プレートレットに基づく顔料、「真空金属化顔料」(VMP)を含む金属基材プレートレットに基づく顔料、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料とを含む少なくとも1つの染色化合物、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0339】
3.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
着色金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料およびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1つの無機顔料と、α)雲母を含む基材プレートレット、およびβ)TiO2、SnO2および/または酸化鉄を含む少なくとも1つの第1の金属酸化物(水和物)層を含むコーティングを含む少なくとも1つの顔料とを含む少なくとも1つの染色化合物、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0340】
4.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
着色金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料およびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1つの無機顔料を含む少なくとも1つの染色化合物、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬と、層状金属基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー金属基材プレートレットに基づく顔料、「真空金属化顔料」(VMP)を含む金属基材プレートレットに基づく顔料、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を含む少なくとも1つの染色化合物
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0341】
5.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
着色金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料およびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1つの無機顔料を含む少なくとも1つの染色化合物、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、ならびにα)雲母を含む基材プレートレットおよびβ)TiO2、SnO2および/または酸化鉄を含む少なくとも1つの第1の金属酸化物(水和物)層を含むコーティングを含む顔料を含む少なくとも1つの染色化合物
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0342】
6.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
着色金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料およびそれらの混合物の群から選択される少なくとも1つの無機顔料を含む少なくとも1つの染色化合物、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、ならびにα)ホウケイ酸ガラスを含む基材プレートレットおよびβ)TiO2、SnO2、SiO2および/または酸化鉄を含む少なくとも1つの第1の金属酸化物(水和物)層を含むコーティングを含む顔料を含む少なくとも1つの染色化合物
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0343】
7.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160を有する青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005を有する黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570、CI 74260を有する緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105を有する橙色顔料、カラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470を有する赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含む少なくとも1つの染色化合物、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0344】
8.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160を有する青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005を有する黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570、CI 74260を有する緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105を有する橙色顔料、カラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470を有する赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料と、層状金属基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー金属基材プレートレットに基づく顔料、「真空金属化顔料」(VMP)を含む金属基材プレートレットに基づく顔料、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料とを含む少なくとも1つの染色化合物、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0345】
9.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160を有する青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005を有する黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570、CI 74260を有する緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105を有する橙色顔料、カラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470を有する赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料と、α)雲母を含む基材プレートレットおよびβ)TiO2、SnO2および/または酸化鉄を含む少なくとも1つの第1の金属酸化物(水和物)層を含むコーティングを含む少なくとも1つの顔料とを含む少なくとも1つの染色化合物、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0346】
10.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160を有する青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005を有する黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570、CI 74260を有する緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105を有する橙色顔料、カラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470を有する赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含む少なくとも1つの染色化合物、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、ならびに層状金属基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー金属基材プレートレットに基づく顔料、「真空金属化顔料」(VMP)を含む金属基材プレートレットに基づく顔料、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を含む少なくとも1つの染色化合物、
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0347】
11.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160を有する青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005を有する黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570、CI 74260を有する緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105を有する橙色顔料、カラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470を有する赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含む少なくとも1つの染色化合物、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、ならびにα)雲母を含む基材プレートレットおよびβ)TiO2、SnO2および/または酸化鉄を含む少なくとも1つの第1の金属酸化物(水和物)層を含むコーティングを含む少なくとも1つの顔料を含む少なくとも1つの染色化合物、
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0348】
12.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックス番号CI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160を有する青色顔料、カラーインデックス番号CI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005を有する黄色顔料、カラーインデックス番号CI 61565、CI 61570、CI 74260を有する緑色顔料、カラーインデックス番号CI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105を有する橙色顔料、カラーインデックス番号CI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470を有する赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含む少なくとも1つの染色化合物、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、ならびにα)ホウケイ酸ガラスを含む基材プレートレットおよびβ)TiO2、SnO2、SiO2および/または酸化鉄を含む少なくとも1つの第1の金属酸化物(水和物)層を含むコーティングを含む顔料を含む少なくとも1つの染色化合物、
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0349】
13.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
顔料および/または酸化鉄顔料の群からの顔料を含む直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物であって、前記酸化鉄顔料は100~1000nm、より好ましくは150~700nmの範囲の粒径を有する、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0350】
14.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
顔料および/または酸化鉄顔料の群からの顔料を含む直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物であって、前記酸化鉄顔料は100~1000nm、より好ましくは150~700nmの範囲の粒径を有する、ならびに層状金属基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー金属基材プレートレットに基づく顔料、「真空金属化顔料」(VMP)を含む金属基材プレートレットに基づく顔料、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0351】
15.以下の工程:
・剤(v)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
顔料および/または酸化鉄顔料の群からの顔料を含む直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物であって、前記酸化鉄顔料は100~1000nm、より好ましくは150~700nmの範囲の粒径を有する、
・剤(b)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、ならびに顔料および/または層状金属基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー金属基材プレートレットに基づく顔料、「真空金属化顔料」(VMP)を含む金属基材プレートレットに基づく顔料、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を含む直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物、
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法。
【0352】
剤は、1つ以上の界面活性剤を含むこともできる。活性剤という用語は、表面活性物質を意味すると理解される。疎水性基と負電荷の親水性頭部基からなるアニオン性界面活性剤、負電荷と相殺性の正電荷の両方を担持する両性界面活性剤、疎水性基に加えて正電荷の親水性基を有するカチオン性界面活性剤、および電荷をもたないが強い双極子モーメントを有し、水溶液中で強く水和される非イオン性界面活性剤に区別される。
【0353】
「双性イオン界面活性剤」という用語は、分子内に少なくとも1つの第四級アンモニウム基と少なくとも1つの-COO(-)または-SO3
(-)基を有する表面活性化合物を指す。特に好適な双性イオン界面活性剤はいわゆるベタイン、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-グリシネート、例えばココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、および各場合に、アルキル基またはアシル基内に8~18個の炭素原子を有するおよび2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、およびココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン界面活性剤は、INCI名コカミドプロピルベタインで知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0354】
両性界面活性剤は、分子内のC8-C24アルキルまたはアシル基に加えて、少なくとも1つの遊離アミノ基と少なくとも1つの-COOHまたは-SO3H基を含み、分子内塩を形成することができる表面活性化合物を意味する。好適な両性界面活性剤の例は、各々、アルキル基内に約8~24個のC原子を有するN-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。両性または双性イオン界面活性剤の典型的な例はアルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインである。
【0355】
特に好ましい両性界面活性剤はN-ココ-アルキルアミノプロピオネート、ココ-アシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12-C18アシルサルコシンである。
【0356】
剤は少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含有することもできる。好適な非イオン性界面活性剤は、各場合において、脂肪アルコールまたは脂肪酸1molに対して、2~30molのエチレンオキシドを有する脂肪アルコールおよび脂肪酸へのアルキルポリグリコシドおよびアルキレンオキシド付加生成物である。好適な特性を有する調製物は、非イオン性界面活性剤として、少なくとも2molのエチレンオキシドと反応させたエトキシル化グリセリンの脂肪酸エステルを含む場合にも得られる。特に好ましい非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド、特にアルキルポリグリコシドである。
【0357】
さらに、該剤は少なくとも1つのカチオン性界面活性剤を含むこともできる。カチオン性界面活性剤は、各々、1個以上の正電荷を有する界面活性剤、すなわち表面活性化合物を意味すると理解される。カチオン性界面活性剤は正電荷のみを含む。通常、このような界面活性剤は疎水性部と親水性頭部基で構成されており、疎水性部は通常、炭化水素主鎖からなり(例えば、1つまたは2つの直鎖または分岐鎖のアルキル鎖からなる)、正電荷は親水性頭部基に位置している。カチオン性界面活性剤の例は、
・疎水性官能基として8~28個のC原子の鎖長を有する1つまたは2つのアルキル鎖を有することができる第四級アンモニウム化合物、
・8~28個のC原子の鎖長を有する1つ以上のアルキル鎖で置換された第四級ホスホニウム塩、または
・第三級スルホニウム塩
である。
【0358】
さらに、カチオン電荷は、オニウム構造の形態の複素環(例えば、イミダゾリウム環またはピリジニウム環)の一部になることもできる。カチオン電荷を担持している官能部に加えて、カチオン性界面活性剤は、例えばエステルクアットの場合のように、さらに無電荷官能基を含むこともできる。カチオン性界面活性剤は、それぞれの剤の総重量に基づいて、総量で0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、非常に特に好ましくは1~15重量%で使用される。
【0359】
さらに、剤は、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含有することもできる。アニオン性界面活性剤は、アニオン電荷(対応する対カチオンによって中和される)のみを有する界面活性剤である。アニオン性界面活性剤の例は脂肪酸、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェートおよびアルキル基内に12~20個のC原子を有し、分子内に最大16個のグリコールエーテル基を有するエーテルカルボン酸である。
【0360】
アニオン性界面活性剤は、それぞれの剤の総重量に基づいて、総量で0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、非常に特に好ましくは1~15重量%使用される。
【0361】
剤(a)および/または剤(b)は艶消し剤をさらに含んでよい。
【0362】
好適な艶消し剤として、例えば、(変性)デンプン、ワックス、タルクおよび/または(変性)ケイ酸が挙げられる。艶消し剤の量は、剤(a)または剤(b)の総量に基づいて、好ましくは0.1~10重量%の間である。好ましくは、剤(a)は艶消し剤を含む。
【0363】
剤(a)および/または剤(b)は、増粘剤を含むこともできる。
【0364】
剤(a)および/または剤(b)を使用する場合、それらは薄すぎてケラチン物質から滴り落ちてはいけない。このため、剤(a)および/または剤(b)が増粘剤をさらに含有することが好ましい場合がある。
【0365】
したがって、一実施形態の文脈では、剤(a)および/または剤(b)が増粘剤をさらに含むことを特徴とするケラチン物質の染色法が好ましい。
【0366】
剤は、他の活性成分、助剤および添加剤、例えば溶剤、脂肪成分、例えばC8-C30脂肪酸トリグリセリド、C8-C30脂肪酸モノグリセリド、C8-C30脂肪酸ジグリセリドおよび/または炭化水素;構造化剤、例えばグルコース、マレイン酸および乳酸、ヘアコンディショニング化合物、例えばリン脂質、例えばレシチンおよびセファリン(cephalins);香油、ジメチルイソソルビドおよびシクロデキストリン;繊維構造改善活性剤、特に単糖類、二糖類およびオリゴ糖、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトースおよびラクトース;製品を着色するための染料;フケ防止活性成分、例えばピロクトンオラミン、亜鉛オマジンおよびクリンバゾール;アミノ酸およびオリゴペプチド;動物系および/または植物系タンパク質加水分解物、ならびにその脂肪酸縮合生成物または任意にアニオン修飾型もしくはカチオン修飾型誘導体の形態;植物油;光安定剤およびUVブロッカー;活性成分、例えばパンテノール、パントテン酸、パントラクトン、アラントイン、ピロリジノンカルボン酸およびその塩、およびビサボロール;ポリフェノール、特にヒドロキシ桂皮酸、6,7-ジヒドロキシクマリン、ヒドロキシ安息香酸、カテキン、タンニン、ロイコアントシアニジン、アントシアニジン、フラバノン、フラボンおよびフラボノール;セラミドまたは疑似セラミド;ビタミン、プロビタミンおよびビタミン前駆体;植物エキス;脂肪およびワックス、例えば脂肪アルコール、ミツロウ、モンタンワックスおよびパラフィン;膨潤剤および浸透剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、カーボネート、炭酸水素塩、グアニジン、尿素および第一級、第二級および第三級ホスフェート;乳白剤、例えばラテックス、スチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミドコポリマー;真珠光沢薬剤、例えばエチレングリコールモノ-およびジステアレートならびにPEG-3-ジステアレート;ならびに発泡剤、例えばプロパン-ブタン混合物、N2O、ジメチルエーテル、CO2および空気を含むこともできる。
【0367】
これらの追加の物質の選択は、剤の所望の特性に従って当業者によって行われる。他の任意の成分およびこのような成分の使用量に関して、当業者に知られた関連マニュアルが明示的に参照される。追加の活性成分および補助物質は、好ましくは常に特定の剤の総重量に対して0.0001~25重量%、特に0.0005~15重量%の量で本発明による調製物に使用される。
【0368】
ケラチン物質の染色法
本発明による方法の文脈において、剤(v)、(a)および(b)をケラチン物質、特にヒトの毛髪に適用する。したがって、剤(v)、(a)および(b)は即時使用可能な剤である。剤(v)、(a)および(b)は互いに異なる。
【0369】
原則的に、剤(a)および(b)は同時または連続的に適用することができ、連続的に適用することが好ましい。剤(v)は、剤(a)および(b)の前に適用される。
【0370】
剤(v)を第一の工程でケラチン物質にまず適用し、剤(a)を第二の工程でケラチン物質に適用し、剤(b)を第三の工程で適用した場合に、最良の結果を得ることが可能であった。
【0371】
したがって、非常に特に好ましいのは、示された順序で以下の工程を含む、ケラチン物質を処理するための、特にヒトの毛髪を染色するための方法である:
1.第一の工程において、ケラチン物質へ剤(v)を適用する工程、ここで前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
2.第二の工程において、剤(a)をケラチン物質に適用する工程、ここで前記剤(a)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
3.第三の工程において、剤(b)をケラチン物質に適用する工程、ここで前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬、
ここで、剤(a)および(b)の少なくとも1つは、顔料および/または直接染料からなる群からの少なくとも1つの染色化合物をさらに含有する。
【0372】
染色されたケラチン物質に長期間にわたって高い耐洗浄性を付与するために、剤(v)、(a)および(b)は、同一の染色方法内で特に好ましく使用され、これは剤(v)および(b)の適用の間には、最大で数時間の期間が存在することを意味する。
【0373】
さらに特に好ましい実施形態の文脈において、方法は、剤(v)が最初に適用され、次に剤(a)が適用され、その後剤(b)が適用されることを特徴とし、剤(v)および(b)の適用の間の時間は、最長24時間、好ましくは最長12時間、特に好ましくは最長6時間である。
【0374】
剤(a)の特徴は、少なくとも1つの反応性有機ケイ素化合物(a1)を含むことである。反応性有機ケイ素化合物(a1)は、オリゴマー化または重合反応に関与し、この方法で、毛髪表面に接触するとすぐに機能化する。この方法の第二工程では、第二の剤(b)が毛髪に適用される。シーリング試薬(b1)として少なくとも1つのフィルム形成ポリマーを含む剤(b)の適用中に、それはシランフィルムと相互作用し、ケラチン物質に結合する。シーリング試薬(b1)として少なくとも1つのアルカリ化剤または酸性化剤を含む剤(b)の適用中に、シランフィルムの形成はプラスの影響を受ける。ケラチン物質の所望の着色は、剤(a)および/または剤(b)中の染色化合物によってもたらされる。着色は、着色シランフィルム(染色化合物は剤(a)のみに含まれる)によって、着色ポリマーフィルム(染色化合物は、シーリング試薬(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む剤(b)のみに含まれる)、または着色シランフィルムと着色ポリマーフィルムる(剤(a)および(b)はそれぞれ少なくとも1つの染色化合物を含み、剤(b)はシーリング試薬(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む)により得ることができる。
【0375】
さらなる実施形態の文脈において、示された順序で以下の工程を含む方法が最も特に好ましい:
(1)剤(v)をケラチン物質に適用する工程、
(2)剤(v)を1分~60分、好ましくは2分~25分の期間作用させる工程、
(3)場合により、ケラチン物質を水ですすぐ工程、
(4)剤(a)をケラチン物質に適用する工程、
(5)剤(a)を10秒~30分、好ましくは30秒~15分の期間作用させる工程、
(6)場合により、ケラチン物質を水ですすぐ工程、
(7)剤(b)をケラチン物質に適用する工程、
(8)剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間作用させる工程、
(9)ケラチン物質を水で洗い流す工程。
【0376】
本方法の工程(3)、(6)および(9)におけるケラチン物質を水ですすぐことは、本発明によれば、剤(v)、(a)、および(b)とは異なるいかなる追加の剤無しで、水のみがすすぎ工程に使用されることを意味すると理解される。
【0377】
工程(1)では、剤(v)が最初にケラチン物質、特にヒトの毛髪に適用される。
【0378】
適用後、剤(v)をケラチン物質に作用させる。この文脈において、毛髪への1分~60分、好ましくは2分~25分、非常に特に好ましくは10分~20分の適用時間が特に有利であることが証明されている。
【0379】
本発明による方法の特に好ましい実施形態の文脈では、次の工程で剤(a)を毛髪に適用する前に、剤(v)をケラチン物質から洗い流す。
【0380】
工程(4)において、剤(a)はケラチン物質、特にヒトの毛髪に適用される。
【0381】
適用後、剤(a)をケラチン物質に作用させる。この文脈において、毛髪への10秒~30分、好ましくは20秒~20分、非常に特に好ましくは30秒~15分の適用時間が特に有利であることが証明されている。
【0382】
本方法の好ましい実施形態の文脈では、次の工程で剤(b)を毛髪に適用する前に、剤(a)をケラチン物質から洗い流すことができる。
【0383】
剤(a)がまだ適用されているケラチン物質に剤(b)を適用すると、同様に良好な洗浄堅牢性を有する着色が得られた。
【0384】
工程(7)では、剤(b)がケラチン物質に適用される。適用後、剤(b)を毛髪に作用させる。
【0385】
剤(b)の適用時間が短くても、この方法により、特に良好な強度および洗浄堅牢性を有する着色を作り出すことが可能になる。毛髪への10秒~10分、好ましくは20秒~5分、非常に特に好ましくは30秒~3分の適用時間が特に有利であることが証明されている。
【0386】
工程(9)では、剤(b)(およびまだ存在する場合には、場合により剤(a))を水でケラチン物質から洗い流す。
【0387】
この実施形態の文脈では、一連の工程(1)~(9)は、好ましくは24時間以内に実行される。
【0388】
剤(a)は、有機ケイ素化合物とともに、適用されると加水分解またはオリゴマー化および/または重合に関与できるある種の高反応性化合物を含む。その高い反応性の結果、これらの有機ケイ素化合物は、ケラチン物質上にフィルムを形成する。
【0389】
早期のオリゴマー化または重合を回避するために、使用者が適用直前に即時使用可能な剤(a)のみを調製することは、非常に有利である。
【0390】
さらなる実施形態の文脈において、示された順序で以下の工程を含む方法が好ましい:
(1)剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
(2)第1剤(a’)と第2剤(a’’)とを混合することにより、剤(a)を製造する工程であって、
前記第1剤(a’)は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含み、
前記第2剤(a’’)は、水と、場合により、顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物とを含む、
(3)剤(a)をケラチン物質に適用する工程、
(4)剤(a)を10秒~30分、好ましくは30秒~15分の期間作用させる工程、
(5)場合により、ケラチン物質を水ですすぐ工程、
(6)剤(b)をケラチン物質に適用する工程、
(7)剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間作用させる工程、
(8)ケラチン物質を水で洗い流す工程。
【0391】
できるだけ安定した調製物を提供できるようにするために、剤(a’)自体は、好ましくは、水分が少なくなるように、または無水になるように製造される。
【0392】
好ましい実施形態において、方法は、剤(a’)が剤(a’)の総重量に対して、0.001~10重量%、好ましくは0.5~9重量%、より好ましくは1~8重量%、非常に特に好ましくは1.5~7重量%の含水量を有することを特徴とする。
【0393】
剤(a’)は、さらに増粘剤を含有できる。
【0394】
好ましい実施形態において、方法は、薬剤(a’’’)が剤(a’’)の総重量に対して、15~99.9重量%、好ましくは35~99重量%、より好ましくは55~99重量%、さらに好ましくは65~99重量%、非常に特に好ましくは75~99重量%の含水量を有することを特徴とする。
【0395】
この実施形態内では、即時使用可能な剤(a)は、剤(a’)と(a’’)とを混合することによって調製される。
【0396】
例えば、使用者は、まず、有機ケイ素化合物(a1)を含有する剤(a’)と、水を含む剤(a’’)とを撹拌または振盪できる。使用者は、(a’)と(a’’)とのこの混合物を、調製直後、または10秒~20分の短い反応時間の後に、ケラチン物質に適用できる。その後、使用者は前述のように剤(b)を適用できる。
【0397】
顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物を含む剤(a’’’)も本方法で使用することが好ましい場合がある。
【0398】
さらなる実施形態の文脈では、示された順序で以下の工程を含む方法が特に好ましい:
(1)剤(a)をケラチン物質に適用する工程であって、前記剤(a)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
(2)剤(v)を1分~60分、好ましくは2分~25分の期間作用させる工程、
(3)場合により、ケラチン物質を水ですすぐ工程、
(4)第1剤(a’)、第2剤(a’’)および第3剤(a’’’)を混合することにより剤(a)を製造する工程であって、、
・第1剤(a’)は、1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含み、
・第2剤(a’’)は、水を含み、
・第3剤(a’’’)は、顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物を含む、
(5)剤(a)をケラチン物質に適用する工程、
(6)剤(a)を10秒~30分、好ましくは30秒~15分の期間作用させる工程、
(7)場合により、ケラチン物質を水ですすぐ工程、
(8)剤(b)をケラチン物質に適用する工程、
(9)剤(b)を30秒~30分、好ましくは30秒~10分の期間作用させる工程、
(10)ケラチン物質を水で洗い流す工程。
【0399】
この実施形態内では、即時使用可能な剤(a)は、剤(a’)、(a’’)および(a’’’)を混合することによって調製される。
【0400】
例えば、使用者は、まず有機ケイ素化合物(a1)を含む剤(a’)を、水を含む剤(a’’)と撹拌または振盪し、次に少なくとも1つの染色化合物を含む剤(a’’’)と撹拌または振盪できる。使用者は、(a’)、(a’’)、および(a’’’)のこの混合物を、調製直後、または10秒~20分の短い反応時間の後に、ケラチン物質に適用できる。その後、使用者は前述のように剤(b)を適用できる。
【0401】
例えば、使用者は、まず、少なくとも1つの染色化合物を含む剤(a’’’)を、水を含む剤(a’’)と撹拌または振盪し、次に、有機ケイ素化合物(a1)を含む剤(a’)と撹拌または振盪できる。使用者は、(a’)、(a’’)、および(a’’’)のこの混合物を、調製直後、または10秒~20分の短い反応時間の後に、ケラチン物質に適用できる。その後、使用者は前述のように剤(b)を適用できる。
【0402】
即時使用可能な剤(b)は、特に少なくとも1つの染色化合物を含む場合、剤(b)を適用する直前に調製することもできる。この場合、即時使用可能な剤(b)は、例えば、剤(b’)と(b’’)とを混合することによって調製される。
【0403】
例えば、使用者は、シーリング試薬(b1)を含む剤(b’)と、少なくとも1つの染色化合物を含む剤(b’’)とを撹拌または振盪できる。使用者は、この(b’)と(b’’)との混合物を、調製直後、または10秒~20分の短い反応時間の後に、ケラチン物質に適用できる。
【0404】
顔料および直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物は、少なくとも1つの染色化合物および液体担体媒体を含む顔料懸濁液の形態で、好ましくは使用される。担体媒体は非水性であることが好ましい。担体媒体は、例えば、シリコーンオイルを含むことができる。同様に、剤(a)および(b)は、それぞれ2つの必須成分(a1)および(b1)ならびに少なくとも1つの染色化合物に加えて、それぞれの場合に液体担体媒体をさらに含むことができる。
【0405】
多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)
使用の利便性を高めるために、使用者は、必要なすべての剤が多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)の形態で提供されることが好ましい。
【0406】
したがって、本発明の第2の主題は、互いに別々に包装された以下を含む、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)である:
・剤(v)を含む第1の容器であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a’)を含む第2の容器であって、前記剤(a’)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
・剤(a’’)を含む第3の容器であって、前記剤(a’’)は以下を含む:
水、および
・剤(b)を含む第4の容器であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
(ここで、構成成分(a1)および(b1)は上記で詳細に開示されており、剤(a)および(b)の少なくとも1つは顔料および/または直接染料からなる群からの少なくとも1つの染色化合物をさらに含有する)。
【0407】
好ましい実施形態は、互いに別々に包装された以下を含む、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)を含む:
・剤(v)を含む第1の容器であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a’)を含む第2の容器であって、前記剤(a’)は以下を含む:
(a1)1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物、および
・剤(a’’)を含む第3の容器であって、前記剤(a’’)は以下を含む:
水、および
・剤(a’’’)を含む第4の容器であって、前記剤(a’’’)は以下を含む:
顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物
・剤(b)を含む第5の容器であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
(ここで、構成成分(v1)、(v2)、(v3)、(a1)および(b1)は上記で詳細に開示されている)。
【0408】
別の実施形態の文脈において好ましいものは、互いに別々に包装された以下を含む、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)である:
・剤(v)を含む第1の容器であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a’)を含む第2の容器であって、前記剤(a’)は以下を含む:
1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)、および
・剤(a’’)を含む第3の容器であって、前記剤(a’’)は以下を含む:
水、および顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物、
・剤(b)を含む第4の容器であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
(ここで、構成成分(v1)、(v2)、(v3)、(a1)および(b1)は上記で詳細に開示されている)。
【0409】
さらに別の実施形態の文脈において好ましいものは、互いに別々に包装された以下を含む、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)である:
・剤(v)を含む第1の容器であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a’)を含む第2の容器であって、前記剤(a’)は以下を含む:
1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)、および
・剤(a’’)を含む第3の容器であって、前記剤(a’’)は以下を含む:
顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物、および
・剤(b)を含む第4の容器であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬
(ここで、構成成分(v1)、(v2)、(v3)、(a1)および(b1)は上記で詳細に開示されている)。
【0410】
別の実施形態の文脈において好ましいものは、互いに別々に包装された以下を含む、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)である:
・剤(v)を含む第1の容器であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a’)を含む第2の容器であって、前記剤(a’)は以下を含む:
1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)、および
・剤(a’’)を含む第3の容器であって、前記剤(a’’)は以下を含む:
水、および
・剤(b)を含む第4の容器であって、前記剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、およびさらに顔料および/または直接染料の群からの染色化合物
(ここで、構成成分(v1)、(v2)、(v3)、(a1)および(b1)は上記で詳細に開示されている)。
【0411】
さらに別の実施形態の文脈において好ましいものは、互いに別々に包装された以下を含む、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)である:
・剤(v)を含む第1の容器であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a’)を含む第2の容器であって、前記剤(a’)は以下を含む:
1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)、および
・剤(a’’)を含む第3の容器であって、前記剤(a’’)は以下を含む:
水、
・剤(a’’’)を含む第4の容器であって、前記剤(a’’’)は以下を含む:
顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物
・剤(b’)を含む第5の容器であって、前記剤(b’)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、および
・剤(b’’)を含む第6の容器であって、前記剤(b’’)は以下を含む:
顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物
(ここで、構成成分(v1)、(v2)、(v3)、(a1)および(b1)は上記で詳細に開示されている)。
【0412】
さらに別の実施形態の文脈において好ましいものは、互いに別々に包装された以下を含む、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)である:
・剤(v)を含む第1の容器であって、前記剤(v)は以下を含む:
(v1)200~8000g/molの平均分子量を有する少なくとも1つのポリエチレングリコール、
(v2)少なくとも1つの脂肪族アルコール、および
(v3)少なくとも1つのアルカリ化試薬、
・剤(a’)を含む第2の容器であって、前記剤(a’)は以下を含む:
1、2または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)、および
・剤(a’’)を含む第3の容器であって、前記剤(a’’)は以下を含む:
水、
・剤(b’)を含む第4の容器であって、前記剤(b’)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、および
・剤(b’’)を含む第5の容器であって、前記剤(b’’)は以下を含む:
顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物
(ここで、構成成分(v1)、(v2)、(v3)、(a1)および(b1)は上記で詳細に開示されている)。
【0413】
多成分包装ユニットの追加の好ましい実施形態に関しては、方法に関して述べた内容が準用される。
【実施例】
【0414】
以下の調製物を調製した(特に明記しない限り、すべての数値は活性物質の重量%である)。
【0415】
【0416】
2つの前処理剤(v-I)および(v-II)のpHは15および15.2であった。
【0417】
【0418】
【0419】
【0420】
5gの剤(a’)、5gの剤(a’’’)および15gの剤(a’’)を混合することによって、即時使用可能な剤(a)を調製した。剤(a)のpHは、アンモニアまたは乳酸を添加することにより10.5に調整した。
【0421】
【0422】
まず、毛髪ストランド1g当たり、2gの前処理剤(v-I)または(v-II)を毛髪ストランド(Kerling、white Euronaturhaar)にもみ込み、室温で1分間作用させ、次いで、それぞれの前処理剤を水で洗い流した。
【0423】
次いで、剤(a)をそれぞれの毛髪ストランドにもみ込み、10分間作用させた。次いで、ストランドを水ですすいだ。
【0424】
次いで、剤(b)を毛髪ストランドに適用し3分間作用させ、これも水で洗い流した。
【0425】
両方の場合において、着色の洗浄堅牢性は、アルカリ性前処理剤(v)で事前に処理されていないストランドの洗浄堅牢性よりも著しく高かった。
【国際調査報告】