(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】可変DUVレーザアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/37 20060101AFI20240702BHJP
H01S 3/109 20060101ALI20240702BHJP
G02F 1/39 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
G02F1/37
H01S3/109
G02F1/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554000
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 US2022032781
(87)【国際公開番号】W WO2022261285
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュアン ユン-ホ アレックス
(72)【発明者】
【氏名】シャオリー インイン
(72)【発明者】
【氏名】フィールデン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】チャン バイガン
【テーマコード(参考)】
2K102
5F172
【Fターム(参考)】
2K102AA05
2K102AA07
2K102AA08
2K102AA32
2K102BA16
2K102BA18
2K102BB02
2K102BC01
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2K102DA10
2K102DA20
2K102DC01
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2K102DD05
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2K102EB08
2K102EB20
2K102EB26
5F172AE03
5F172AE08
5F172AE09
5F172AE12
5F172AF02
5F172NR05
5F172NR12
5F172NR22
(57)【要約】
可変レーザアセンブリは、基本波光を扇状周期的ポーリング非線形結晶の異なる領域に向けて対応する異なる逓降変換信号を生成するとともに、異なる非線形加算結晶を用いて異なる逓降変換信号を基本波長の第五高調波と混合することにより、1μm~1.1μmの基本波長を用いて、184nm~200nmの範囲内の2つ以上の出力波長で選択的にレーザ出力光を生成する。それぞれの非線形加算結晶は、光伝搬方向に対してある角度で位置合わせされた結晶軸を有することで、効率的な透過、ならびに第五高調波および関連する逓降変換信号との足し合わせを容易にする。ユーザ選択出力波長に応答して、周波数制御システムは、対応する逓降変換信号周波数を生成するように扇状周期的ポーリング非線形結晶を配置し、第五高調波および対応する逓降変換信号を受信するように関連する非線形加算結晶を配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
およそ184nm~およそ200nmの範囲で選択的に調整可能な対応する波長を有する可変出力周波数を有する深紫外線(DUV)出力光を生成する可変レーザアセンブリであって、
約1μm~1.1μmの対応する基本波長を有する少なくとも1つの対応する基本波周波数を有する基本波光を生成するようにそれぞれ構成される1つ以上の基本波レーザと、
前記基本波光の第1の部分を受信して前記基本波周波数の5倍に等しい第五高調波周波数を有する第五高調波光を生成するように構成される第五高調波生成器と、
前記基本波光の第2の部分を受信するように構成される扇状周期的ポーリング非線形結晶と、
第1および第2の非線形加算結晶と、
周波数制御システムと、を備え、前記周波数制御システムは、出力周波数信号に応答して前記扇状周期的ポーリング非線形結晶、ならびに前記第1および第2の非線形加算結晶の相対的な位置および向きを協働的に調整するように構成され、それにより
前記出力周波数信号が第1の値を有する場合、前記周波数制御システムは、前記第2の部分を前記扇状周期的ポーリング非線形結晶の第1の領域に通し、それにより第1の逓降変換周波数を有する第1の逓降変換信号を生成し、前記周波数制御システムは、前記第五高調波光および前記第1の逓降変換信号の両方を受信するように前記第1の非線形加算結晶を配置し、それにより前記範囲内の第1の波長を有する前記DUV出力光を生成し、
前記出力周波数信号が第2の値を有する場合、前記周波数制御システムは、前記第2の部分を前記扇状周期的ポーリング非線形結晶の第2の領域に通し、それにより第2の逓降変換周波数を有する第2の逓降変換信号を生成し、前記周波数制御システムは、前記第五高調波光および前記第2の逓降変換信号の両方を受信するように前記第2の非線形加算結晶を配置し、それにより前記範囲内の第2の波長を有する前記DUV出力光を生成することを特徴とする、可変レーザアセンブリ。
【請求項2】
前記扇状周期的ポーリング非線形結晶は、対抗する第1および第2の側縁部、ならびに対抗する第1および第2の端縁部を有し、前記第1の側縁部側の第1の周期から前記第2の側縁部側の第2の周期まで段階的に変化するポーリング周期を含み、前記第1の周期は、前記第2の周期よりも大きく、
前記周波数制御システムが前記第2の部分を前記第1の領域に通す場合、前記第2の部分は、前記第2の側縁部よりも前記第1の側縁部に近い経路に沿って前記対抗する第1および第2の端縁部の間を通り、
前記周波数制御システムが前記第2の部分を前記第2の領域に通す場合、前記第2の部分は、前記第2の側縁部よりも前記第1の側縁部に近い経路に沿って前記対抗する第1および第2の端縁部の間を通ることを特徴とする、請求項1に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項3】
前記扇状周期的ポーリング非線形結晶は、ニオブ酸リチウム(PPLN)、酸化マグネシウムドープニオブ酸リチウム(Mg:LN)、化学量論タンタル酸リチウム(SLT)、酸化マグネシウムドープ化学量論タンタル酸リチウム(Mg:SLT)、およびチタンリン酸カリウム(KTP)のうちの1種類を含むことを特徴とする、請求項2に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の非線形加算結晶は、第1の結晶軸を有し、前記第2の非線形加算結晶は、第2の結晶軸を有し、
前記出力周波数信号が前記第1の値を有する場合、前記周波数制御システムは、前記第1の逓降変換信号が前記第1の結晶軸に対して第1の角度を形成する第1の光伝搬方向の前記第1の非線形加算結晶を通るように前記第1の非線形加算結晶を配置し、
前記出力周波数信号が前記第2の値を有する場合、前記周波数制御システムは、前記第2の逓降変換信号が前記第2の結晶軸に対して第2の角度を形成する第2の光伝搬方向の前記第2の非線形加算結晶を通るように前記第2の非線形加算結晶を配置し、
前記第1の角度は、前記第2の角度と少なくとも5度異なることを特徴とする、請求項1に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項5】
前記第1および第2の非線形加算結晶のそれぞれは、焼鈍ホウ酸セシウムリチウム(CLBO)結晶および四ホウ酸ストロンチウム(SBO)結晶のうちの一方を含む、請求項1に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項6】
前記第1および第2の非線形加算結晶は、フレームに固定接続され、
前記周波数制御システムは、
前記扇状周期的ポーリング非線形結晶を移動するように構成され、これにより前記出力周波数信号が第1の値を有する場合に、前記第2の部分を前記第1の領域に通し、前記出力周波数信号が第2の値を有する場合に、前記第2の部分を前記第2の領域に通す第1の制御器と、
前記フレームを第1の位置に移動するように構成され、それにより前記出力周波数信号が前記第1の値を有する場合に、前記第1の逓降変換信号が前記第1の非線形加算結晶を通り、前記出力周波数信号が前記第2の値を有する場合に、前記第2の逓降変換信号が前記第2の非線形加算結晶を通る、第2の制御器と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項7】
前記逓降変換信号を受信するように配置される波長セレクタをさらに備え、前記周波数制御システムは、前記波長セレクタを制御するようにさらに構成され、それにより前記波長セレクタは、前記出力周波数信号が前記第1の値を有する場合に、前記第1の逓降変換周波数付近に中心がある有効帯域幅から外れる周波数を除去するように構成され、前記波長セレクタは、前記出力周波数信号が前記第2の値を有する場合に、前記第2の逓降変換周波数付近に中心がある前記有効帯域幅から外れる周波数を除去するように構成されることを特徴とする、請求項6に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項8】
前記第2の基本波光を受信するように光学的に結合され、前記扇状周期的ポーリング非線形結晶および波長セレクタのうちの少なくとも一方に前記第2の基本波光を向けるように構成される光学パラメータシステム(OPS)と、
前記逓降変換信号を前記OPSから受信し、前記第五高調波光を前記第五高調波生成器から受信するように光学的に結合され、前記第1および第2の加算結晶のうちの一方に前記逓降変換信号および前記第五高調波光を向けるように構成される周波数加算段と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項9】
前記第五高調波生成器は、
前記基本波光の前記第1の部分を受信して第1の基本波部分および第2の基本波部分に分割するように構成されるビームスプリッタと、
第1の基本波部分を受信するように光学的に結合され、前記基本波周波数の4倍に等しい第四高調波周波数を有する第四高調波光を生成するように構成される第四高調波生成モジュールと、
前記第2の基本波部分および前記第四高調波光の両方を受信するように光学的に結合され、前記第四高調波光および前記基本波部分を混合することにより前記第五高調波光を生成するように構成される第五高調波生成段と、
を備えることを特徴とする、請求項8に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項10】
前記OPSは、第1の集束ミラーおよび第2の集束ミラーをさらに備え、前記第1の集束ミラーおよび前記第2の集束ミラーは、前記波長セレクタとキャビティを形成するように動作可能に構成され、前記キャビティ内で光が前記波長セレクタと前記第1および第2の集束ミラーとの間で反射され、それにより反射された前記光は、前記扇状周期的ポーリング非線形結晶を通ることを特徴とする、請求項8に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項11】
前記波長セレクタは、体積型ブラッグ回折格子、分布ブラッグ反射器、およびリトロー回折格子のうちの1つを含むことを特徴とする、請求項10に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項12】
前記波長セレクタを一定温度に維持する手段をさらに備えることを特徴とする、請求項11に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項13】
前記OPSは、第1の集束ミラー、第2の集束ミラー、第3のミラー、および第4のミラーをさらに備え、前記第1の集束ミラー、前記第2の集束ミラー、前記第3のミラー、および前記第4のミラーは、キャビティを形成するように動作可能に構成され、前記キャビティ内で光が前記扇状周期的ポーリング非線形結晶および前記波長セレクタの両方に向けられることを特徴とする、請求項8に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項14】
前記波長セレクタは、透過回折格子およびエタロンのうちの一方を含むことを特徴とする、請求項13に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項15】
前記周波数加算段は、キャビティを形成するように集合的に構成される複数の反射型光学素子をさらに備え、前記キャビティは、前記逓降変換周波数で光の未消費部分を循環させ、それにより前記第1および第2の加算結晶のうちの前記一方に向けられる前に、前記未消費部分は、前記OPSから受信された前記逓降変換信号と合成され、前記第1および第2の加算結晶のそれぞれは、焼鈍ホウ酸セシウムリチウム(CLBO)結晶および四ホウ酸ストロンチウム(SBO)結晶のうちの一方を含むことを特徴とする、請求項8に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項16】
前記第1および第2の非線形加算結晶のうちの一方から出射する未消費逓降変換光を循環させるように構成される単一のキャビティ装置をさらに備え、それにより前記未消費逓降変換光は、前記扇状周期的ポーリング非線形結晶に向けられることを特徴とする、請求項1に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項17】
前記単一のキャビティ装置は、
前記未消費逓降変換光を前記扇状周期的ポーリング非線形結晶に反射するように構成される第1のミラーと、
光を前記扇状周期的ポーリング非線形結晶から受信し、前記逓降変換周波数を有する受信した前記光の一部を反射するように構成される第2のミラーであって、反射した前記光の一部は、前記周期的ポーリング非線形結晶により生成される前記逓降変換信号を含む、第2のミラーと、
反射された前記光の一部を前記第2のミラーから受信するように構成される第3のミラーと、
前記第3のミラーから受信した前記反射光の一部を、前記第1および第2の非線形加算結晶の前記一方に反射するように構成される第4のミラーと、
前記第1および第2の非線形加算結晶のうちの前記一方から出射する前記未消費逓降変換光を反射するように構成される第5のミラーと、
前記第5のミラーから受信した前記未消費逓降変換光を前記第1のミラーに反射するように構成される第6のミラーと、
を備えることを特徴とする、請求項16に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項18】
前記可変レーザは、第3の周波数加算結晶をさらに備え、
前記周波数制御システムは、前記出力周波数信号に応答して前記扇状周期的ポーリング非線形結晶、ならびに前記第1、第2、および第3の非線形加算結晶の相対的位置および向きを協働的に調整するようにさらに構成され、それにより前記出力周波数信号が第3の値を有する場合に、前記周波数制御システムは、前記第2の部分を前記扇状周期的ポーリング非線形結晶の第3の領域に通し、それにより第3の逓降変換周波数を有する第3の逓降変換信号を生成し、前記周波数制御システムは、前記第五高調波光および前記第3の逓降変換信号の両方を受信するように前記第3の非線形加算結晶を配置し、それにより第1の出力波長および第2の出力波長の両方とは少なくとも5nm異なる第3の出力波長を有する前記DUV出力光を生成することを特徴とする、請求項1に記載の可変レーザアセンブリ。
【請求項19】
検査システムであって、
およそ184nm~およそ200nmの範囲の出力波長を有するレーザ出力光を生成するように構成されるレーザアセンブリと、
前記レーザアセンブリから検査する対象に前記レーザ出力光を向けるように構成される第1の光学系と、
検査する前記対象により影響される前記レーザ出力光の画像部分を集光し、前記画像部分を1つ以上のセンサに向けるように構成される第2の光学系と、
を備え、
前記レーザアセンブリは、
約1μm~1.1μmの対応する基本波長を有する少なくとも1つの対応する基本波周波数を有する基本波光を生成するようにそれぞれ構成される1つ以上の基本波レーザと、
前記基本波光の第1の部分を受信して、前記基本波周波数の5倍に等しい第五高調波周波数を有する第五高調波光を生成するように構成される第五高調波生成器と、
前記基本波光の第2の部分を受信するように構成される扇状周期的ポーリング非線形結晶と、
第1および第2の非線形加算結晶と、
周波数制御システムと、を備え、前記周波数制御システムは、出力周波数信号に応答して前記扇状周期的ポーリング非線形結晶および前記非線形加算結晶の相対的位置を協働的に調整するように構成され、それにより
前記出力周波数信号が第1の値を有する場合、前記周波数制御システムは、前記第2の部分を前記扇状周期的ポーリング非線形結晶の第1の領域に通し、それにより第1の逓降変換周波数を有する第1の逓降変換信号を生成し、前記周波数制御システムは、前記第五高調波光および前記第1の逓降変換信号の両方を受信するように前記第1の非線形加算結晶を配置し、それにより前記範囲内の第1の波長を有する前記DUV出力光を生成し、
前記出力周波数信号が第2の値を有する場合、前記周波数制御システムは、前記第2の部分を前記扇状周期的ポーリング非線形結晶の第2の領域に通し、それにより第2の逓降変換周波数を有する第2の逓降変換信号を生成し、前記周波数制御システムは、前記第五高調波光および前記第2の逓降変換信号の両方を受信するように前記第2の非線形加算結晶を配置し、それにより前記範囲内の第2の波長を有する前記DUV出力光を生成することを特徴とする、検査システム。
【請求項20】
可変レーザアセンブリが第1の期間中に第1のDUV波長を有する第1の深紫外線(DUV)出力光を生成し、第2の期間中に第2のDUV波長を有する第2のDUV出力光を生成するように前記可変レーザアセンブリを動作させる方法であって、前記第1および第2のDUV波長の両方は、およそ184nm~およそ200nmの範囲であり、前記方法は、
約1μm~1.1μmの対応する基本波長を有する基本波周波数を有する基本波光を生成するステップと、
前記基本波光の第1の部分を利用して前記基本波周波数の5倍に等しい第五高調波周波数を有する第五高調波光を生成するステップと、
前記第1の期間中に、扇状周期的ポーリング非線形結晶がおよそ1350nm~3300nmの対応する波長を有する第1の逓降変換周波数を有する第1の逓降変換信号を生成するように、前記基本波光の第2の部分を前記扇状周期的ポーリング非線形結晶の第1の領域に向け、第1の非線形加算結晶が前記第1の波長を有する前記第1のDUV出力光を生成するように、前記第1の逓降変換信号および前記第五高調波光の両方を前記第1の非線形加算結晶に向けるステップと、
前記第2の期間中に、前記扇状周期的ポーリング非線形結晶がおよそ1350nm~3300nmの対応する波長を有する第2の逓降変換周波数を有する第2の逓降変換信号を生成するように、前記基本波光の前記第2の部分を前記扇状周期的ポーリング非線形結晶の第2の領域に向け、第2の非線形加算結晶が前記第2の波長を有する前記第2のDUV出力光を生成するように、前記第2の逓降変換信号および前記第五高調波光の両方を前記第2の非線形加算結晶に向けるステップと、を含み、
前記第1の非線形加算結晶は、第1の結晶軸を有し、前記第1の期間中、前記第1の逓降変換信号が前記第1の結晶軸に対して第1の角度を形成する第1の光伝搬方向の前記第1の非線形加算結晶を通過するように配置され、
前記第2の非線形加算結晶は、第2の結晶軸を有し、前記第2の期間中、前記第2の逓降変換信号が前記第2の結晶軸に対して第2の角度を形成する第2の光伝搬方向の前記第2の非線形加算結晶を通るように配置され、
前記第1の角度は、前記第2の角度と少なくとも5度異なることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、深紫外線(DUV)波長を有する光を生成することができるレーザに関し、より詳細には、およそ184nm~およそ200nmの範囲内の2つ以上の波長を有する光を生成することができる可変レーザ、およびそのようなレーザを用いて例えばフォトマスク、レチクルや半導体ウェハを検査する検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願
本願は、2021年6月11日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる「DUV Tunable Laser Using OPO」という名称の米国特許仮出願第63/209,413号の優先権を主張する。
【0003】
本願は、Chuangらの米国特許第10,199,149号、Chuangらの米国特許第9,748,729号、Chuangらの米国特許第9,529,182号、Chuangらの米国特許第9,608,399号に関し、これらのすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
半導体装置の寸法が小さくなるにつれて、装置を故障させる可能性がある最小粒子またはパターンの不具合の大きさも小さくなる。したがって、パターン形成済みまたはパターン未形成の半導体ウェハおよびレチクル上のより小さい粒子や不具合を検出する必要性が生じる。一般に、光の波長よりも小さい粒子により散乱する当該光の強度は、当該粒子の大きさの高いパワーとして上昇する(例えば、遊離した小さい球形粒子の全散乱光強度は、球形の直径の6乗に比例し、かつ波長の4乗に反比例して上昇する)。散乱光強度が上昇しているので、一般には、より短い波長のほうがより長い波長よりも小さい粒子や不具合を検出するのにより高度な感度を提供する。
【0005】
小さな粒子や不具合から散乱した光の強度は一般には低いので、非常に短時間で検出できる信号を生成するために高い照射強度が要求される。平均光源パワーレベルとして0.3W以上が要求される場合がある。これらの高い平均パワーレベルでは、高いパルス繰り返し率が望ましい。なぜなら、繰り返し率が高くなるにつれて、パルス当たりのエネルギーが低くなり、したがってシステムの光学系や検査する物品に対する損傷のリスクが低くなるからである。一般には、連続波(CW)光源が、検査での照射の必要性や計測法を最も良く満足させる。CW光源は、一定のパワーレベルを有し、これによりピークパワーによる損傷の問題を回避し、画像またはデータを継続的に得ることも可能にする。しかし、場合によっては約50MHz以上の繰り返し率を有するモードロックレーザが有用なことがある。なぜなら、高い繰り返し率は、特定の計測用途や検査用途では、損傷を回避するためにパルス当たりのエネルギーを十分低いものとし得ることを意味するからである。
【0006】
深紫外線(DUV)光を生成するパルスレーザが当技術分野で知られている。193nmの光を生成する従来技術のエキシマレーザが周知である。しかしながら、そのようなレーザは検査用途にはあまり適していない。なぜなら、レーザのパルス繰り返し率が低く、レーザ媒質に有害な腐食性ガスを用いるので所有コストが高くなるからである。193nmの出力に近い光を生成する少数の固体レーザやファイバ系レーザが当技術分野で知られている。例示的なレーザは、2つの異なる基本波長(例えば、Leiらの特許文献1)または基本波の第八高調波(例えば、Tokuhisaらの特許文献2)を用いるが、これらはいずれも高価か大量生産されないレーザまたは材料を必要とする。別の手法(Meadらの特許文献3)は、半導体検査用途で要求される安定した出力と高いパワーを有する商用製品をもたらしていない(典型的には、点検事象間の3か月以上にわたり継続的に動作し得るレーザではおよそ0.3W以上が要求される)。さらに、これらのレーザのほとんどは、非常に低いパワー出力を有し、数MHz以下のレーザパルス繰り返し率に限られている。Chuangら(特許文献4)は、183nmのモードロックレーザおよび関連する検査システムを開示している。
【0007】
パルス光源は、CW光源の時間平均パワーレベルよりもはるかに高い瞬間ピークパワーレベルを有する。レーザパルスの非常に高いピークパワーは、光学系や測定している試料、つまりウェハに損傷をもたらす可能性がある。なぜなら、ほとんどの損傷の過程は非線形的であり、平均パワーよりもむしろ圧倒的にピークパワーに左右されるからである。パルス繰り返し率が高くなるほど、同じ時間平均パワーレベルでのパルス当たりの瞬間ピークパワーは低くなる。
【0008】
存在する従来のレーザアセンブリのいずれでも、ユーザは、2つの著しく異なるDUV波長(すなわち、5ナノメートル以上異なる波長)の間でレーザ出力光を選択的に調節する(すなわち、変更・調整する)ことができない。単一のレーザアセンブリを調整し、2つ以上の異なるDUV波長を生成し得れば(例えば、レーザが第1の期間中におよそ184nmの波長を有する光を出力し、第2の期間中におよそ194nmの波長を出力するように)、単一のDUV出力波長を用いて検出し得ない、または正確に特定し得ない特定の不具合を検出する検査システムの能力を大幅に向上させるであろう。すなわち、2つの異なるDUV波長を用いてウェハ/レチクルを検査すれば、所定の不具合の形状、寸法、および/または材料が第2のDUV波長よりも第1のDUV波長で実質的に多くの反射を生成し得る。同様に、不具合の周囲のパターンの反射率は、2つのDUV波長で異なる場合がある。したがって、適切な波長を選択することにより、不具合とパターンとの間のコントラストの改善を可能にし、不具合の検出をさらに向上させることができる。従来のDUVレーザアセンブリは単一の波長(例えば、およそ193nm)のみを生成するため、そのようなレーザを用いるウェハ/レチクル検査システムは、ウェハ/レチクル上の重大な不具合を検出し得ない、または正確に特定し得ない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0111799号明細書
【特許文献2】米国特許第7,623,557号明細書
【特許文献3】米国特許第5,742,626号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2016/0099540号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、具体的にはおよそ184nm~およそ200nmの範囲の2つ以上のDUV波長のレーザ出力光を生成するユーザ可変モードロックレーザまたはCWレーザの必要性が生じる。また、およそ184nm~およそ200nmの範囲の2つ以上の出力DUV波長を有するモードロックまたはCW可変レーザ光を生成し、上記の問題および難点のうちのいくつかまたはすべてを回避できる検査システムおよび関連する方法の必要性が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、半導体製造産業で利用される検査システムの改善に関し、具体的には、当該検査システム用の可変レーザアセンブリおよび関連する方法に関する。可変レーザアセンブリおよび関連する方法は、置き換え可能な2つ以上の非線形加算結晶セットと組み合わせられる調整可能な扇状周期的ポーリング非線形光学結晶(扇状PPNLC)を利用する。置き換え可能な2つ以上の非線形加算結晶セットは、周波数制御システムにより動作可能に制御され、(例えば、ユーザにより提供される出力周波数信号に応答して)およそ184nm~およそ200nmの範囲内で変化する0.3W以上の光源パワーレベルおよびユーザ選択出力周波数/波長を有するレーザ光を生成する。可変レーザアセンブリは、1つ以上の基本波レーザを利用して約1μm~1.1μmの波長を有する基本波光を生成し、第五高調波生成器を利用して基本波光の一部を第五高調波光に変換する。扇状PPNLCは、基本波光の第2の部分に対して移動可能に配置され、第2の基本波光部分が扇状PPNLC結晶体の2つ以上の対応する異なる領域に向けられると、2つ以上の異なる逓降変換周波数が生成されるように構成される。非線形加算結晶には、対応する異なる結晶軸配向が提供され、第五高調波光を広範な異なる逓降変換周波数と効率的に足し合わせるのを容易にする(例えば、第1の加算結晶の結晶軸配向は、比較的低い逓降変換周波数を効率的に処理するように構成され、第2の加算結晶の結晶軸配向は、比較的高い逓降変換周波数を効率的に処理するように構成される)。ユーザにより提供される異なる出力周波数信号値に応答して、周波数制御システムは、さまざまな結晶を配置し/方向合わせし、それにより扇状PPNLCは、選択された逓降変換周波数で逓降変換光を生成する。逓降変換周波数は選択された対応する非線形加算結晶により第五高調波光と足し合わされると、およそ184nm~およそ200nmの範囲内の選択されたDUV波長でDUVレーザ光を生成する。扇状PPNLCと2つ以上の置き換え可能な非線形加算結晶を組み合わせて用いることにより、可変レーザアセンブリがウェハ/レチクルの検査中に5nm以上変化する2つ以上の異なるDUV波長の間でレーザ出力光を切り替えることを可能にし、それにより(例えば、各不具合と周囲の不具合がないパターンとの間のコントラストを大きくすることにより)特定の不具合の検出を大幅に向上させ、したがってユーザが、単一のDUV周波数(例えば、184nmの光のみ、または194nmの光のみ)を用いて検出可能でない場合がある不具合を検出/分析するのを可能にする。なお、以下の説明で限定なしに波長に言及する場合は、当該波長は真空中の波長であるものと仮定してよい。
【0012】
本発明の例示的実施形態によれば、第五高調波光は、基本波光と、第四高調波生成モジュールにより生成される第四高調波光とを混合するように構成される第五高調波生成段により生成される。いくつかの実施形態では、第四高調波生成モジュールは、2つの周波数倍増段を用いて実装される。一実施形態では、第1の周波数倍増段は、三ホウ酸リチウム(LBO)結晶を用いて第二高調波光を生成する。LBO結晶は、約515nm~約535nmの波長範囲で第二高調波を生成するために室温~約200℃の温度で(結晶面の適切な選択のために)実質的に非臨界に位相整合し得る。代替的実施形態では、第1の周波数倍増段は、ホウ酸セシウムリチウム(CLBO)結晶またはベータホウ酸バリウム(BBO)結晶を含んでもよい。これらのいずれも、約515nm~約535nmの波長範囲で第二高調波を生成するために臨界に位相整合し得る。他の代替的実施形態では、第1の周波数倍増段は、周波数変換のためにKTiOPO4(KTP)、周期的ポーリングニオブ酸リチウム(PPLN)、周期的ポーリング化学量論タンタル酸リチウム(PPSLT)、または他の非線形結晶を含んでもよい。一実施形態では、第2の周波数倍増段は、CLBO、BBO、または他の非線形結晶材料において臨界な位相整合を用いて第四高調波光を生成する。好ましい実施形態では、第2の周波数倍増段は、水素処理または重水処理CLBO結晶を含む。代替的実施形態では、第五高調波生成段は、パルスレーザにおけるように非線形結晶を用いてキャビティなしで、またはCWレーザ用のキャビティを用いて基本波周波数で共振するように構成されるキャビティで基本波光を循環させ、それにより循環した基本波光が非線形結晶を通るようにすることで基本波光および第四高調波光を直接混合し、第四高調波光および循環する第1の基本波光を合成して第五高調波光を生成する形で第四高調波光も非線形結晶を通るように(すなわち、キャビティ内で循環することなく)第四高調波光を向けるように構成される。これらの特定の装置により、検査システムに適したパワーレベルで第五高調波光を生成することができる第五高調波生成器を提供する。
【0013】
実施形態によれば、可変レーザアセンブリは、光学パラメータシステム(OPS)を含む。OPSは、扇状PPNLCを通して逓降変換周波数を循環させ、非線形加算結晶セットに通される逓降変換光のパワーをさらに向上させるように構成される。代替的実施形態では、OPSは、約1350nm~約3300nmの逓降変換波長で逓降変換信号を生成するように構成される光学的パラメータ発振器(OPO)または光学パラメータ増幅器(OPA)のいずれかとして実装され、それにより1064nmの基本波周波数に基づいて第五高調波光と混合されると、可変レーザアセンブリは約184nm~約200nmの波長のレーザ出力光を生成する。一実施形態では、OPSはPPNLCおよび反射型波長セレクタ(例えば、体積型ブラッグ回折格子、分布ブラッグ反射器、またはリトロー回折格子)の両方を含む。別の実施形態では、OPSは、PPNLCおよび透過型波長セレクタ(例えば、透過回折格子またはエタロン)の両方を含む。いくつかの実施形態では、レーザ出力の波長の小さな調整は、波長セレクタの温度を調整して逓降変換周波数を変更することにより行い得る。
【0014】
本発明の実施形態によれば、DUVレーザ出力光は、非線形加算結晶セットの選択された非線形加算結晶を用いて逓降変換レーザ光を第五高調波光と混合することにより生成される。周波数加算は、逓降変換信号が循環するキャビティ内で行われるのが好ましい。CWレーザでは、キャビティは、逓降変換周波数で共振して循環逓降変換信号を選択された非線形加算結晶に向けるように構成される。パルスレーザでは、キャビティ長は循環パルスが入力パルスと重なるように構成される。いずれの場合も、第五高調波光は、第五高調波光と循環逓降変換レーザ光を合成する形で(すなわち、循環することなく)選択された非線形加算結晶を通るように向けられる。逓降変換周波数で光を循環するように構成されるキャビティを設けることにより、キャビティがない場合と比較して非線形加算結晶内における逓降変換周波数の光のパワーは大きく増大し、それにより変換効率を向上させる。
【0015】
別の実施形態によれば、可変レーザは単一のキャビティ装置を利用する。単一のキャビティ装置は、非線形加算結晶のうちの1つから出射する未消費逓降変換光を選択的に循環させるように構成され、それにより未消費逓降変換光は、扇状PPNLCに方向転換される。単一セットのミラーを配置して逓降変換周波数の光を循環させ、逓降変換光を連続的経路に沿って非線形加算結晶セットおよび扇状PPNLCの両方に向けることにより、単一のキャビティ装置でレーザを簡略化し、複数のキャビティの実施形態と比較して変換効率を向上させる。
【0016】
一実施形態では、ウェハ、レチクル、またはフォトマスク等の試料を検査するように構成される検査システムは、本明細書で説明する、およそ184nm~およそ200nmの範囲の入力波長を生成するレーザのうちの1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一般的実施形態による簡略的な可変レーザアセンブリを示す簡略ブロック図である。
【
図1A】動作中の
図1の可変レーザアセンブリの一部を示す簡略斜視図である。
【
図1B】動作中の
図1の可変レーザアセンブリの一部を示す簡略斜視図である。
【
図2】本発明の特定の例示的実施形態による可変レーザアセンブリを示すブロック図である。
【
図3】本発明の例示的実施形態による、
図2の可変アセンブリのパルスレーザバージョンで使用される逓降変換信号を生成するように構成される例示的OPOを示す簡略図である。
【
図4】本発明の別の例示的実施形態による、
図2の可変アセンブリのCWレーザバージョンで用いられる逓降変換信号を生成するように構成される例示的OPO/OPAを示す簡略図である。
【
図5】本発明の例示的実施形態による、
図2の可変アセンブリで利用される例示的な周波数加算段を示す簡略図である。
【
図6】扇状PPNLCおよび非線形加算結晶セットが単一のキャビティ装置に含まれる代替的実施形態による部分的可変レーザアセンブリを示す簡略図である。
【
図7A】さまざまな動作状態における
図6の可変レーザアセンブリの一部を図示する簡略図である。
【
図7B】さまざまな動作状態における
図6の可変レーザアセンブリの一部を図示する簡略図である。
【
図7C】さまざまな動作状態における
図6の可変レーザアセンブリの一部を図示する簡略図である。
【
図7D】さまざまな動作状態における
図6の可変レーザアセンブリの一部を図示する簡略図である。
【
図8】本発明の別の具体的実施形態による、本明細書に説明するレーザアセンブリのうちの1つを利用する暗視野検査モードおよび明視野検査モードを用いる例示的検査システムを示す簡略図である。
【
図9A】本発明の別の具体的実施形態による、本明細書で説明するレーザアセンブリのうちの1つをそれぞれ利用する暗視野検査システムを示す。
【
図9B】本発明の別の具体的実施形態による、本明細書で説明するレーザアセンブリのうちの1つをそれぞれ利用する暗視野検査システムを示す。
【
図10】本発明の別の具体的実施形態による、本明細書で説明するレーザアセンブリのうちの1つを用いてパターン未形成ウェハを検査するように構成される代替的暗視野検査システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、半導体検査システム用レーザの改善に関する。以下の説明は、特定用途およびその要件に照らして当業者が本発明を実行し用いるのを可能にするために提示している。本明細書で用いるように、「上部」、「左」、「右」、「水平」、および「下方」等の方向に関する用語は、説明のために相対的位置を提供することを意図しており、絶対的枠組みの参照記号を示すことを意図しない。説明する実施形態に対するさまざまな変形が当業者には明らかであり、本明細書で定義する一般的原理は他の実施形態にも適用可能である。したがって、本発明は示して説明する特定の実施形態に限定されることを意図しているのではなく、本明細書で開示する原理および新規な特徴と整合する最も広範な範囲で合致するものである。
【0019】
図1は、一般的実施形態による、およそ184nm~およそ200nmの範囲で選択的に調節可能な対応波長を有する可変出力周波数ω
OUTを有するパルスまたはCW深紫外線(DUV)出力光159を生成するように構成される可変レーザアセンブリ100を示す簡略ブロック図である。一般に、可変レーザアセンブリ100は、1つ以上の基本波レーザ110、第五高調波生成器130、扇状周期的ポーリング非線形結晶(PPNLC)145、任意の波長セレクタ147、一式の非線形加算結晶155、および周波数制御システム160を備える。下記の例示的実施形態では、基本波レーザ110は、およそ1064nmの赤外線基本波長を有する第1および第2の基本波周波数ω
1およびω
2を生成するように構成され、扇状PPNLC145は、およそ1350nm~およそ3300nmの対応波長を有する逓降変換周波数ω
xを有する逓降変換信号149を生成するように構成され、非線形加算結晶セット155は、およそ184nm~およそ200nmの範囲の波長を有する出力周波数ω
OUTを有するレーザ出力光159を生成するように協働的に構成される少なくとも2種類の非線形加算結晶を含む。
【0020】
基本波レーザ110は、既知の技術を用いて約1μm~1.1μmの対応基本波長を有する対応基本波周波数ω1およびω2を有する基本波光線119-1および119-2(業界では単に「基本波」と呼ばれる)を生成するように構成される。例示的実施形態では、基本波レーザ100は、Nd:YAG(ネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット)レーザ媒質、Ndドープイットリウムオルトバナジウム酸レーザ媒質、およびイットリウムドープ(Ybドープ)ファイバレーザ媒質のうちの1つを用いて、またはバイバー増幅器により実装される。半導体ウェハまたはレチクルの検査用に約184nm~約200nmの波長で十分な光を生成するために、基本波レーザ110は、数十または数百ワット以上の平均パワーで基本波光119-1および119-2を生成する必要がある。適した基本波レーザがCoherent Inc.(80MHzおよび120MHzの繰り返し率を有するPaladinファミリーのモデルを含む)、Newport Corporation(Explorerファミリーのモデルを含む)、および他の製造者からパルス(モードロックまたは準CW)として市販されている。そのような基本波レーザのレーザパワーレベルは、ミリワットから数十ワット以上の範囲になる場合がある。代替的な例示的実施形態では、基本波レーザ110は、およそ1053nmまたはおよそ1047nmの基本波長で基本波レーザ光を生成するNd:YLF(ネオジムドープフッ化イットリウムリチウム)レーザ媒質を用いるレーザにより実装される。さらに別の例示的実施形態では、基本波レーザ110は、およそ1030nmの基本波長で基本波レーザ光を生成するイッテルビウムドープファイバレーザにより実装してもよい。いくつかの実施形態では、1つの基本波レーザにより生成される光を2つの光部分119-1および119-2に分離してもよく、第2の基本波周波数ω2は第1の基本波周波数ω1と必ず等しくする。
【0021】
第五高調波生成器130は、既知の技術(例えば、
図2を参照して以下に説明するもの)を用いて基本波周波数ω
1の5倍に等しい(すなわち、約200nm~約220nmの対応する第五高調波長を有する)第五高調波光線(第五高調波)139を生成するように構成される。
【0022】
扇状PPNLC145は、第2の基本波光部分119-2を受信するように構成され、かつ選択した逓降変換周波数ω
xで逓降変換信号149を生成するように構成される。
図1の右上方の吹き出しを参照すると、一実施形態では、扇状PPNLC145は、適したプラットフォーム146(例えばX-θテーブル)上に搭載された結晶構造であり、平行なX-Z平面(示したX-Y-Z座標を用いる)を画定し、対抗する第1および第2の端面145-E1および145-E2と、端面145-E1と端面145-E2との間に平行に(例えばY軸方向に)延び、対抗する第1および第2の側面145-S1および145-S2とを有する。扇状PPNLC145は、既知の技術を用いて、第1の側縁部145-S1側の最小(第1の)ポーリング周期Λ1から、対抗する(第2の)側縁部145-S1側の最大(第2の)ポーリング周期Λ2(例えば、網掛け領域により示す)へと徐々に増加する扇状周期的ポーリング構成を含むように製造される。
図1Aおよび
図1Bを参照して以下に考察するように、この扇状周期的ポーリング構成は、端面145-E1と端面145-E2との間の扇状PPNLC145を通る際に第2の基本波光部分119-2が経験したポーリング周期に左右される選択逓降変換周波数ω
xで逓降変換信号149を生成する。代替的実施形態では、扇状PPNLC145は、ニオブ酸リチウム(PPLN)、酸化マグネシウムドープニオブ酸リチウム(Mg:LN)、化学量論タンタル酸リチウム(SLT)、酸化マグネシウムドープ化学量論タンタル酸リチウム(Mg:SLT)、およびチタンリン酸カリウム(KTP)のうちの1種類以上を含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、逓降変換周波数ω
xは、各選択逓降変換周波数ω
x付近に中心がある狭い有効帯域幅から外れる周波数を除去するように構成される波長セレクタ147を通して透過されるか、波長セレクタ147により反射される。
図1に示し、
図4を参照して以下に説明する場合では、波長セレクタ147は、逓降変換光149の経路内に配置される(すなわち、扇状PPNLC145から透過した逓降変換光149は波長セレクタ147を通って非線形加算結晶セット155へ進むように)1つ以上の透過型素子を含んでもよい。他の場合(例えば、
図3に示し、以下に考察される)、波長セレクタ147は、扇状PPNLC145と非線形加算結晶セット155の間の経路外に配置される(すなわち、逓降変換信号149が波長セレクタ147からの反射により扇状PPNLC145から非線形加算結晶セット155に透過されるように)1つ以上の反射型素子を含んでもよい。
図6を参照して以下に説明するもの等、さらに他の実施形態では、波長セレクタ147は、1つ以上の透過型素子と1つ以上の反射型素子を含んでもよい。さらに、波長セレクタ147は、扇状PPNLC145を離れる光の有効帯域幅が十分に狭く、選択逓降変換周波数ω
x付近に中心がある場合には、省略してもよい。いずれの場合も、逓降変換信号149は、扇状PPNLC145から透過され、非線形加算結晶セット155に向けられる。
【0024】
図1の下方部を参照すると、第五高調波139および逓降変換信号149は、実質的に共線的に(すなわち、5°以下の相対角度βで)非線形加算結晶セット155に向けられる。一般的実施形態では、非線形加算結晶セット155は、第五高調波139および逓降変換信号149を選択的に受信する(すなわち、
図1Aに図示するように、第1の非線形加算結晶155-1が第五高調波および逓降変換信号を受信するか、または
図1Bに図示するように、第2の非線形加算結晶155-2が第五高調波および逓降変換信号を受信するように)選択的に配置された2つの(第1および第2の)非線形加算結晶155-1および155-2を含む。
図1の左側に配置した吹き出しに示すように、好ましい実施形態では、第1および第2の非線形加算結晶155-1および155-2は、両方の結晶が光伝搬(Y軸)方向(すなわち、逓降変換光149がセット155の方に向けられる方向)と平行になるように、(例えば、X-Y-θテーブルに固定搭載するか、または他の選択的に移動可能なフレーム156により)固定した関係に維持される。この配置により、ある動作モード(
図1Aを参照して以下で説明)中は、非線形加算結晶155-1は、第五高調波139および逓降変換信号149が入力面155-11を通って結晶155-1に入射し、光経路LP1に沿って出力面155-12へ進むように配置され、第2の動作モード(
図1Bを参照して以下に説明)中は、非線形加算結晶155-2は、第五高調波139および逓降変換信号149が入力面155-21を通って結晶155-2に入射し、光経路LP2に沿って出力面155-22へと進むように配置される。
【0025】
本発明の態様によれば、非線形加算結晶155-1および155-2の両方が同じ非線形結晶材料を含み、それぞれの非線形加算結晶155-1および155-2は、入力面/出力面に対して異なる結晶軸配向で製造され(例えば切断され)、対応する異なる範囲の信号周波数および出力周波数にわたって位相整合を容易にする。好ましい本実施形態では、非線形加算結晶155-1および155-2は、焼鈍ホウ酸セシウムリチウム(CLBO)結晶、水素処理CLBO結晶、重水素処理CLBO結晶、および四ホウ酸ストロンチウム(SBO)結晶のうちの1種類を含む。
図1の左側に配置した吹き出しに示すように、第1の非線形加算結晶155-1は、光伝搬方向LP1に角度Φ1で配向される対応する(第1の)結晶軸A1を有し、第2の非線形加算結晶155-2は、光伝搬方向LP2に対して対応する(第2の)角度Φ2で配向される対応する(第2の)結晶角度A2を有する。好ましい本実施形態では、非線形加算結晶155-1および155-2は、
図1に示すような並行関係に配置されると角度Φ1が角度Φ2と少なくとも5度異なるように製造される。結晶軸A1およびA2が光伝搬方向に対して適切な角度Φ1およびΦ2で位置合わせされるように既知の技術を用いて非線形加算結晶155-1および155-2を製造することにより、非線形加算結晶155-1および155-2は、第五高調波光139と、単一の非線形加算結晶により通常効率的に処理できなかった2つ以上の異なる逓降変換信号周波数とを効率的に足し合わせることを容易にし、それにより可変レーザアセンブリ100が約184nm~約200nmの範囲内の著しく異なるDUV周波数でDUV出力光を生成することを可能にする。
【0026】
周波数制御システム160は、ユーザにより選択された可変出力周波数ω
OUT(例えば、出力周波数信号OFにより定義される)を受信し、扇状PPNLC145、任意の波長セレクタ147、および非線形加算結晶155の相対的位置および向きを協働的に調整する(設定する)ように構成され、それにより可変レーザアセンブリ100は、ユーザにより特定された2つ以上の異なるDUV出力周波数でDUV出力光159を生成する。例示的実施形態では、周波数制御システム160は、協調制御信号CS-1およびCS-2を対応する第1および第2の制御器161および162に送信することにより協働的調整を行い、制御器161および162は、関連する波長調整W1およびW2を扇状PPNLC145、任意の波長セレクタ147、および非線形加算結晶155に適用する。例えば、
図1Aは、周波数制御システム(FCS)160が可変レーザアセンブリ100により比較的高いDUV出力光周波数ω
OUT1を生成するというユーザの希望を伝える例示的(第1の)出力周波数信号値(すなわち、「OF=1」)を含む出力周波数信号OFを受信する場合の第1の動作期間T1(「100(T1)」により示す)中の可変レーザアセンブリ100の関連部分を図示する。第1の出力周波数信号値(「OF=1」)に応答して、周波数制御システム160は第1の制御信号CS11およびCS21を生成する。制御信号CS11により、制御器161(
図1)は、基本波光部分119-2が第1の領域R1を通るように(例えば、基本波光部分119-2が対抗する側縁部145-S2よりも側縁部145-S1に近い経路に沿って対抗する端縁部の間を通るように)第1の波長調整W11を適用して、扇状PPNLC145および任意の波長セレクタ147(
図1Aに不図示)を配置し、それにより扇状PPNLC145および任意の波長セレクタ147(不図示)に、比較的高い(第1の)逓降変換周波数ω
x1を有する対応する(第1の)逓降変換信号149-1を生成させる。さらに、制御信号CS12により、制御器162(
図1)は、第五高調波光139および逓降変換信号149-1の両方が非線形加算結晶155-1内に動作可能に集束するように、フレーム156を操作する波長調整W21を生成し、それによってユーザにより選択されたDUV波長ω
OUT1を有するDUV出力光159-1を生成する。
図1Bは、FCS160が可変レーザアセンブリ100により異なる出力光周波数を生成するというユーザの希望を伝える、異なる(第2の)出力周波数信号値(すなわち「OF=2」)を含む出力周波数信号OFを受信する場合(例えば、ユーザが比較的低いDUV周波数ω
OUT2を有するDUV出力光159-2を用いて分析を行うことを望む場合)の第2の動作期間T2(「100(T2)」により示す)中の可変レーザアセンブリ100の関連部分を図示する。第2の出力周波数値に応答して、FCS160は、対応する調整W11およびW12を生成する第2の(異なる)一式の制御信号CS12およびCS22を生成する。制御信号/調整CS12/W12により、基本波光部分119-2が第2の領域R2を通るように(例えば、基本波光部分119-2が対抗する側縁部145-S1よりも側縁部145-S2に近い経路に沿って通るように)扇状PPNLC145および任意の波長セレクタ147(
図1Bに不図示)を再配置し、それにより扇状PPNLC145および任意の波長セレクタ147(不図示)に比較的低い(第2の)逓降変換周波数ω
x2を有する対応する(第2の)逓降変換信号149-2を生成させ、制御信号/調整CS22/W22は、第五高調波光139および逓降変換信号149-2の両方が非線形加算結晶155-2内に動作可能に集束するようにフレーム156を操作し、それによりユーザにより選択されたDUV波長ω
OUT2を有するDUV出力光159-2を生成する。
【0027】
図1Aおよび
図1Bに示す位置調整に加えて、周波数制御システム160は、(例えば、第1の制御器161経由で)波長セレクタ147を動作可能に制御するようにさらに構成され、出力周波数信号が第1の値(OF=1)を有する場合は、波長セレクタ147は第1の逓降変換周波数ω
x1付近に中心がある有効帯域幅から外れた周波数を除去するように構成され、出力周波数信号が第2の値(OF=2)を有する場合は、波長セレクタ147は、第2の逓降変換周波数ω
x2付近に中心がある有効帯域幅から外れた周波数を除外するように構成される。波長セレクタ147の動作可能な制御は、例えば波長セレクタ147の平行移動もしくは回転、および波長セレクタ147の動作温度の変更を含んでもよい。
【0028】
図2は、具体的な実施形態による、DUV出力光159Aを生成するように構成される可変レーザアセンブリ100Aを示す簡略ブロック図である。一般に、レーザアセンブリ100Aは、第1の基本波レーザ110A-1、第2の基本波レーザ110A-2、第五高調波生成器130A、光学パラメータシステム(OPS)140A、および周波数加算段150Aを備える。
図2の下方部を参照すると、OPS140Aは、扇状PPNLC145および波長セレクタ147(
図1)を参照して説明したのと同様に、第2の基本波光119A-2を受信して処理するように構成される扇状PPNLC145Aおよび波長セレクタ147Aを備える。代替的な具体的実施形態では、OPS140Aは、第2の基本波周波数ω
2よりも低い逓降変換周波数ω
xを有する逓降変換信号149Aに、第2の基本波光119A-2の一部を逓降変換するように構成される光学パラメータ発振器(OPO)または光学パラメータ増幅器(OPA)のいずれかとして実装される。具体的実施形態のOPS140Aに関するさらなる詳細は、
図3、
図4、および
図6を参照して説明する具体的実施形態を参照して以下に提供する。
図2の右下方部を参照すると、周波数加算段150Aは、非線形加算結晶セット155Aを利用して第五高調波生成器150Aから受信した第五高調波光139Aと、OPS140Aから受信した逓降変換信号149Aとを足し合わせ、和5ω
1+ω
xに等しい出力周波数ω
OUTを有する最終出力光159Aを生成する。周波数加算段150Aのさらなる詳細は、
図5および
図6を参照して以下に説明する。可変レーザアセンブリ100Aは、
図1を参照して上記で説明し、
図3、
図4、
図5、および
図6を参照して以下にさらに説明する周波数制御システム160と同様に構成され、機能する周波数制御システム(不図示)も備える。いくつかの好ましい実施形態では、第1および第2の基本波周波数ω
1およびω
2は、およそ1064nmの対応波長を有し、OPS140Aは、およそ1350nm~およそ3300nmの対応波長を有する逓降変換周波数ω
xを有する逓降変換信号149Aを生成するように構成され、レーザアセンブリ100Aはおよそ184nm~およそ200nmの範囲の波長を有する出力周波数ω
OUTを有するレーザ出力光159Aを生成する。
【0029】
第1および第2の基本波レーザ110A-1および110A-2は、
図1を参照して上記で説明したように、およそ1000nm~およそ1100nm(すなわち、約1μm~1.1μm)の範囲の基本波長を有する基本波光を生成するように構成される。一実施形態では、第1の基本波光119A-1の第1の基本波周波数ω
1が第2の基本波光119A-2の第2の基本波周波数ω
2に実質的に等しくなる(例えば、第1の基本波光119A-1および第2の基本波光119A-1の両方がおよそ1064nmの波長を有する)ように、第1の基本波レーザ110A-1は第1の基本波光119A-1を生成し、第2の基本波レーザ110A-2は第2の基本波光119A-2を生成する。
【0030】
図2の上方部を参照すると、第五高調波生成器130Aは第1の基本波光119A-1を受信するように構成され、ビームスプリッタ210、第四高調波生成モジュール240を集合的に形成する2つの周波数倍増段220および230、ならびに第五高調波生成段250を備える。ビームスプリッタ210は、第1の基本波光119A-1を第1の基本波部分212および第2の基本波部分213に分割するように構成され、両方の部分が第1の基本波周波数ω
1を有する。第1の周波数倍増段220は、第1の基本波部分212を受信し、第1の基本波周波数ω
1の2倍に等しい第二高調波周波数2ω
1を有する第二高調波光221を生成する。第2の周波数倍増段230は、第二高調波光221を受信し、第1の基本波周波数ω
1の4倍に等しい第四高調波周波数4ω
1を有する第四高調波光241を生成する。第五高調波生成段250は、第2の基本波部分213および第四高調波光241を受信して混合し、第1の基本波周波数ω
1の5倍に等しい第五高調波周波数5ω
1で第五高調波光251を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、可変レーザアセンブリ100Aは、CWレーザアセンブリとして構成され、第五高調波生成段250は、第2の基本波光部分213のみを循環させてパワーを向上させるように構成される共振キャビティにおいて周波数混合を実装する。他の実施形態では、可変レーザアセンブリ100Aは、パルスレーザアセンブリとして構成され、第五高調波生成段250は、共振キャビティを用いずに第四高調波光241および第2の基本波光部分213を混合することにより第五高調波光を生成する。
【0031】
可変レーザアセンブリ100Aがパルスレーザアセンブリとして実装される具体的な一実施形態では、第1の周波数倍増段220を出射する基本波光の未消費部分は、ビームスプリッタまたはプリズム(不図示)により第二高調波光221から分離され、第2の基本波光部分213として第五高調波生成段250の方に向けられてもよい。一実施形態(不図示)では、未消費の基本波は第二高調波221から分離されずに第二高調波光221とともに第2の周波数倍増段230を通って共伝搬し、第四高調波241と実質的に同じ場所にある第五高調波生成段250に到達する。未消費の基本波を第二高調波光221から分離する1つの利点は、適切な時間遅延が未消費の基本波部分または第四高調波光241のいずれかに適用され、それにより2つのレーザパルスが実質的に同時に第五高調波生成段250に到達し得るということである。さらなる利点は、光を向ける/集束するために用いられるミラー、レンズやプリズム(不図示)等の光学素子を各経路内で適切な波長に対して別々に最適化できるということである。
【0032】
いくつかの実施形態では、それぞれの周波数倍増段220および230が、内部に配列された少なくとも3つの光学ミラーと非線形結晶とを備える外部共振キャビティを備えてもよい。キャビティは、標準的なPDH(パウンド・ドレーバー・ホール)法、HC(ヘンシュ・クイヨー)法、または他のロック技術を用いて安定化し得る。制御信号でミラーまたはプリズムの位置を調整することにより、キャビティの長さを調整し、共振を維持する。
【0033】
好ましい実施形態では、第1の周波数倍増段220は、三ホウ酸リチウム(LBO)結晶を含む。三ホウ酸リチウム結晶は、約515nm~約535nmの波長範囲で第二高調波を生成するために室温~約200℃の温度で(結晶面の適切な選択のために)実質的に非臨界に位相整合し得る。代替的実施形態では、第1の周波数倍増段220は、ホウ酸セシウムリチウム(CLBO)結晶またはベータホウ酸バリウム(BBO)結晶を含んでもよい。これらのいずれも、約515nm~約535nmの波長範囲で第二高調波を生成するために臨界に位相整合し得る。他の代替的実施形態では、第1の周波数倍増段220は、周波数変換のためにKTiOPO4(KTP)、周期的ポーリングニオブ酸リチウム(PPLN)、周期的ポーリング化学量論タンタル酸リチウム(PPSLT)、または他の非線形結晶を含んでもよい。第2の周波数倍増段230は、CLBO、BBO、または他の非線形結晶で臨界な位相整合を用いてもよい。好ましい実施形態では、第2の周波数倍増段230は、水素処理または重水素処理CLBO結晶を含む。
【0034】
一実施形態では、第五高調波生成器130Aおよび周波数加算段150Aのうちの少なくとも一方が、第五高調波光139Aを逓降変換光149Aと混合することによっておよそ184nm~およそ200nmの範囲の波長を生成するためにほぼ非臨界に位相整合されるように構成される焼鈍、水素処理、または重水素処理したホウ酸セシウムリチウム(CLBO)結晶を含む。ほぼ非臨界な位相整合であるため、周波数混合は非常に効率的であり(例えば、非線形係数は約1pm V-1であるかこれよりわずかに大きい場合がある)かつウォークオフ角は小さい(例えば、約30mrad未満)。好ましい実施形態では、焼鈍CLBO結晶は、50℃付近の一定温度に保持される。別の好ましい実施形態では、第五高調波生成器用の焼鈍CLBO結晶は、およそ80℃以下の一定温度に保持され、周波数加算段用の焼鈍CLBO結晶は、およそ30℃以下の一定温度に保持される。
【0035】
図3は、可変レーザアセンブリ100または100Aがパルスレーザアセンブリとして実装される場合に、OPS140A(
図2)を実装するために用いられる逓降変換周波数ω
xで逓降変換信号149A-1を生成するように構成される例示的なOPS140A-1を示す。OPS140A-1は、第2の基本波レーザ110A-2(
図2)から第2の基本波光(第2の部分)119A-2を受信し、第2の基本波光119A-2の一部を逓降変換して周波数ω
xを有する逓降変換信号149A-1を生成する。OPS140A-1は、集束レンズ301、第1の集束ミラー302、扇状PPNLC145A-1、第2の集束ミラー303、反射型回折格子(波長セレクタ)147A-1、および出力カプラ306を備え、これらは、示しているように、集束ミラー302および303、ミラー304、ならびに扇状PPNLC145A-1を経由して光が回折格子147A-1と出力カプラ306との間で反射する光学キャビティを形成するように構成される。第2の基本波光119A-2は集束レンズ301により集束され、集束ミラー302を通ることでOPS140A-1に入射する。集束レンズ301は、扇状PPNLC145A-1の中心に近い地点に基本波光119A-2を集束するように機能する。扇状PPNLC145A-1は、扇状PPNLC145を参照して上記で説明した実施形態のいずれかを含み、周波数ω
2の第2の基本波光から信号周波数ω
xの光を生成する準位相整合用に設計されている。扇状PPNLC145A-1により信号周波数の光に変換されていない任意の残りの第2の基本波光119A-2は集束ミラー303を通るが、除去してもよい。集束ミラー303は、好ましくは扇状PPNLC145A-1内で生成されるアイドラ周波数も透過する必要がある。一実施形態では、集束ミラー303は、信号周波数ω
xの光に対しては高反射性になるように構成され、扇状PPNLC145A-1内で生成されるか、または扇状PPNLC145A-1を通る信号周波数の光を、ミラー304からの反射により出力カプラ306に向けるように配置される。出力カプラ306は、信号周波数ω
xで自らに入射した第1の割合の光(およそ20%の割合等)を透過し、第2の割合の光(およそ80%等)を反射する。信号周波数ω
xの第2の割合の光はミラー304により反射されて集束ミラー303に向けられ、これにより扇状PPNLC145A-1を通して集束ミラー302へと光を方向転換し、次に光を回折格子147A-1に方向転換する。回折格子147A-1は波長セレクタとして機能し、既知の技術を用いて所望の信号周波数ω
xに中心がある選択範囲の周波数に対して高反射性となるように構成される。例えば、回折格子147A-1は、およそ0.2nmのFWHMまたはおよそ0.5nmのFWHMの波長範囲を反射してもよい。回折格子147A-1はレーザ出力159A(例えば
図2を参照)の波長を決定する上で重要である。なぜなら、レーザ出力159Aの波長は基本波の第五高調波と信号周波数ω
xの和に対応する波長だからである。一実施形態では、回折格子147A-1は、体積型ブラッグ回折格子を含む。好ましい実施形態では、回折格子147A-1は、その中心波長が一定にとどまることを確保するため、一定温度に維持される。一実施形態では、信号周波数ω
x、したがってレーザ出力光の波長は、回折格子147A-1の温度を調整して逓降変換信号周波数ω
xを変更することにより制御される。他の実施形態では、回折格子147A-1は、分布ブラッグ反射器およびリトロー(Littrow)回折格子のうちの一方を含む。集束ミラー302および扇状PPLNC145A-1の方に再反射する波長を選択するように回折格子147A-1を回転することにより、信号周波数を調整してもよい。
【0036】
信号周波数ωxの逓降変換光は、回折格子147A-1から反射した後、集束ミラー302に戻り、これにより逓降変換光を扇状PPNLC145A-1に方向転換する。信号周波数ωxで光がたどる光学経路長であって、扇状PPNLC145A-1から集束ミラー303、出力カプラ306に進み、集束ミラー303に戻って扇状PPNLC145A-1を通り集束ミラー302、ミラー304、回折格子147A-1に進み、集束ミラー302に戻り、扇状PPNLC145A-1に戻る光学経路長は、信号周波数ωxの光の各パルスが入力レーザ光119A-2のパルスと実質的に同時に扇状PPNLC145A-1に再到達するようにする必要がある。この配置を用いて、入力レーザ光119A-2のパルスと信号周波数の光が扇状PPNLC145A-1を実質的に共伝搬して、入力レーザ光を逓降変換周波数ωxの光に逓降変換するのを刺激できるようにする。好ましい実施形態では、光学経路長は、信号周波数ωxの光のパルスと入力レーザ光119A-2のパルスの到達時間における不整合が入力レーザ光119A-2のパルス幅の約10%未満となるようにする必要がある。
【0037】
一実施形態では、集束ミラー302および303は、説明したばかりの往復を完了した後に、逓降変換周波数の光のパルスが、非線形結晶310に再到達して扇状PPNLC145A-1の中心付近に集束され、入力レーザ光119A-2のパルスと実質的に空間的に重なるように設定される焦点距離を含むように構成される。代替的実施形態では、回折格子147A-1および/または出力カプラ306は、集束ミラー302および303に代えて、またはこれらに加えて逓降変換周波数ωxの光を集束してもよい。別の実施形態では、集束ミラーに代えて、またはこれに加えて、1つ以上のレンズを用いて逓降変換周波数を再集束してもよい。
【0038】
なお、追加のミラーおよび/またはプリズムを組み込んで逓降変換周波数ω
xの光を方向転換するように適切な配置変更が行われる限り、出力カプラ306および回折格子305の相対位置を交換してもよい。
図3に示す配置は、例示的なものであり、動作の原理を説明することを意図している。
【0039】
一実施形態では、1つ以上の制御器161A-1を利用して(例えば、波長調整W1A-11およびW1A-12により)扇状PPNLC145A-1および回折格子147A-1の位置、向き、および/または温度を制御し、選択した逓降変換周波数ωxで逓降変換信号149A-1を生成する。
【0040】
図4は、可変レーザアセンブリ100または100AがCWレーザアセンブリとして実装される場合に、OPS140A(
図2)を実装するために用いられる逓降変換周波数ω
xで逓降変換信号149A-2を生成するように構成される例示的なOPS140A-2を示す。OPS140A-2は、第2の基本波レーザ110A-2(
図2)から第2の基本波光(第2の部分)119A-2を受信し、第2の基本波光119A-2の一部を周波数ω
xの逓降変換信号145A-2に逓降変換する。OPS140A-2は、第1の集束ミラー401、扇状PPNLC145A-2、第2の集束ミラー402、波長セレクタ147A-2、第3の集束ミラー403、および第4の集束ミラー404を備え、これらは、示しているように、集束ミラー401、402、403、および404の間で光が反射して波長セレクタ147A-2および扇状PPNLC145A-2を透過する光学キャビティを形成するように動作可能に構成される。第2の基本波光119A-2は、集束ミラー401を通ることによりOPS140A-2に入射する。集束またはモード整合光学系(不図示)を入力レーザ光119A-2の光経路内に配置し、扇状PPNLC145A-2の中心に近い地点に入力光119A-2を集束してもよい。扇状PPNLC145A-2は、扇状PPNLC145を参照して上記で説明した実施形態のいずれかを含み、周波数ω
2の第2の基本波光から信号周波数ω
xの光を生成する準位相整合用に設計されている。扇状PPNLC145A-2により信号周波数の光に変換されていない任意の残りの第2の基本波光119A-2は集束ミラー402を通るが、除去してもよい。
【0041】
波長セレクタ147A-2は、既知の技術を用いて所望の信号周波数ω
xに中心がある狭い周波数範囲に対して高透過性になるように構成される。波長セレクタ147A-2は、レーザ出力159A(例えば
図2を参照)の波長を決定する上で重要である。なぜなら、レーザ出力100Aの波長は基本波の第五高調波と逓降変換信号周波数ω
xの和に対応する波長だからである。一実施形態では、波長セレクタ147A-2は透過性回折格子を含む。別の実施形態では、波長セレクタ147A-2はエタロンを含む。
【0042】
代替的実施形態では、透過型波長セレクタ147A-2を、ミラー403またはミラー404等、キャビティを形成するミラーのうちの1つに代わる反射型素子と交換してもよい。この実施形態では、波長セレクタは、所望の信号周波数ωxに中心がある狭い周波数範囲内の周波数を反射するように構成されることになるであろう。この実施形態では、波長セレクタは、反射体積型ブラッグ回折格子またはリトロー回折格子等の反射回折格子を含んでもよい。
【0043】
実施形態では、波長セレクタ147A-2は、その中心波長が一定にとどまることを確保するため、一定温度に保持される。一実施形態では、波長セレクタ147A-2の温度を調整し、または波長セレクタ素子を回転することにより、逓降変換周波数ωxに対する調整を行うことができる。
【0044】
信号周波数ωxの逓降変換光149A-2は、まず集束ミラー402により反射し、次に集束ミラー403により反射して波長セレクタ147A-2を通り、集束ミラー404および401で反射して扇状PPNLC145A-2に方向転換される。信号周波数ωxの逓降変換光149A-2は、ミラー402を通ってOPS140A-2から出射する。集束ミラー401、402、403、および404は、キャビティを形成することにより、逓降変換光がキャビティ内を循環してパワーを増大することを可能にする。別の実施形態では、集束ミラーに代えて、またはこれに加えて、1つ以上レンズを用いて信号周波数の光を集束してもよい。
【0045】
一実施形態では、1つ以上の制御器161A-2を利用して(例えば、波長調整W1A-21およびW1A-22により)扇状PPNLC145A-2および回折格子147A-2の位置、向き、および/または温度を制御し、選択した逓降変換周波数ωxで逓降変換信号149A-2を生成する。
【0046】
図2に図示した周波数倍増キャビティを参照して上記で説明したものと同様に、既知の技術を用いて、例えばミラー403またはミラー404を移動することによりOPSキャビティの長さを調整し、周波数ω
xで逓降変換信号を循環させるためにキャビティ内の共振状態を維持してもよい。
【0047】
図5は、選択した出力周波数ω
OUTでDUV出力光159Aを生成するように構成された例示的な周波数加算段150Aを示す簡略図であり、可変レーザアセンブリ100A(
図2)で用いることができる例示的実施形態を表す。周波数加算段150Aは、OPS140A(例えば、
図3に示すOPS140A-1または
図4に示すOPS140A-2のいずれか)から逓降変換信号149Aを受信し、第五高調波生成器130A(
図2)から第五高調波光139Aを受信する。周波数加算段150Aは、入力カプラ503、フラットミラー504、ならびに曲面ミラー505および506を含むいくつかの反射型光学素子により形成されるボウタイ・リングキャビティを含む。逓降変換信号149Aは、入力カプラ503を通ってこのキャビティに入射し、非線形加算結晶155A-1および155A-2のうちの選択されたものを通る(例えば、
図5に図示するように結晶155A-1の入力面155A-11および出力面155A-12を通る)ようにミラー504および505により方向転換される。第五高調波光139Aは、ボウタイ・リングキャビティに入射し、ミラー505の近くを通り(しかし、通過しない)、非線形加算結晶155A-1および155A-2のうちの選択されたもの(例えば、結晶155A-1)に向けられる。選択された非線形加算結晶155A-1の出力面155A-12から出射した光は、ユーザにより選択された出力周波数ω
OUTの選択DUV出力光159A、逓降変換光149Aの未消費部分514、および第五高調波光139Aの未消費部分516を含む。出力光581は、ビームスプリッタ(BS)515の表面から反射し、キャビティの外部に向けられる。DUV出力光159Aは、出力面155A-12とミラー506との間に配置されるビームスプリッタ(BS)515から反射した後、キャビティから出射する。例えば、ビームスプリッタ515とミラー506との間に配置される第2のビームスプリッタ525から反射することにより、未消費第五高調波光部分516もキャビティの外部に向けられる。ビームスプリッタ515および525は、キャビティ内を再循環して逓降変換周波数ω
xで光のパワーを向上させるように、逓降変換信号149Aの未消費部分514を通すように構成される。
【0048】
一実施形態では、1つ以上の第2の制御器162Aを利用して(例えば、波長調整W2A-1により)非線形加算結晶155A-1および155A-2の位置、向き、および/または温度を制御し、選択したDUV出力周波数ωOUTAでDUV出力信号159Aを生成し、(例えば、波長調整W2A-2により)BS515の位置、向き、および/または温度を制御して周波数加算段150Aの外部にDUV出力信号159Aを向ける。
【0049】
いくつかの実施形態では、非線形加算結晶155A-1および155A-2は、適した温度制御システム(例えば、熱電冷却器)経由で(例えば、第2の制御器162により)およそ30℃以下の一定温度Tに維持される焼鈍(重水素処理または水素処理)ホウ酸セシウムリチウム(CLBO)結晶を含む。一実施形態では、非線形加算結晶155A-1および155A-2の温度は、0℃よりも低く、例えばおよそ-5℃または-10℃であってもよい。1342nm付近の第2の基本波または信号波長と、209.4nm付近の波長を有する第五高調波とを用いるおよそ30℃の温度でのCLBOのタイプIの整合では、位相整合角はおよそ79°である。1300nm付近の第2の基本波長と、213nm付近の波長を有する第五高調波とを用いるおよそ30℃の温度でのCLBOのタイプIの整合では、位相整合角はおよそ81°である。これらの両方の例は、およそ184nm~およそ200nmの範囲の波長を生成する、高い効率性および低いウォークオフのほぼ非臨界な位相整合を達成し得ることを示している。これらの波長の組み合わせは単なる例であり、本発明の範囲を限定することを意図していない。当業者は、位相整合を達成するために波長、温度、および角度の異なる組み合わせをどのように選択するかを理解している。
【0050】
一実施形態では、BS515は四ホウ酸ストロンチウム(SBO)結晶、SBOガラス、またはCaF2結晶を含んでもよい。SBOは良好な深UV透過率を有し、かつ高い損傷閾値を有するので、SBOをBS515の基板材料として有利に用いて、キャビティ内を循環する未消費逓降変換光514の高いパワーレベルにも関わらず長い寿命を確保し得る。BS515がSBO結晶を含む場合、その厚さおよび/または結晶c軸の配向は、自らを通る未消費逓降変換光514の任意の周波数倍増を最小化するように構成されてもよい。BS515は、波長を分離するために偏光ビームスプリッタ、二色性ビームスプリッタ、プリズム、または他の部品を含んでもよい。一実施形態では、BS515は、自身の表面に対して未消費逓降変換光514が実質的にP偏光し、当該表面がその未消費入力光に対しておよそブルースター角になるように表面を配向させる。
【0051】
別の実施形態では、BS515は、DUV出力光159Aおよび未消費第五高調波光部分516の両方をキャビティの外部に反射するようにさらに構成されてもよく、かつ第2のビームスプリッタ525を省略してもよい。
【0052】
一実施形態では、逓降変換光149A(ωx)は、キャビティに入射する前に1つ以上のレンズ501により集束され、選択した非線形加算結晶155A-1内またはその近位にビームウェストを有する共振キャビティの固有モードを整合する。代替的実施形態では、入力面155A-11および出力面155A-12をブルースター角で配向させるのに代えて、非線形加算結晶155A-1の入力面155A-11に適切な反射防止コーティングを塗布してもよい。
【0053】
図5には最終周波数加算段150Aのキャビティを2つのフラットミラーと2つの曲面ミラーにより形成されているものとして図示しているが、他のミラーおよび/またはレンズの別の組み合わせを用いてキャビティ内を循環する逓降変換光を再集束してもよい。代替的実施形態では、最終周波数加算段は、ボウタイ・キャビティに代えてデルタキャビティ、定常波キャビティ、または他の形状のキャビティを備えてもよい。これらのキャビティのいずれも標準的なPDHまたはHCロック技術を用いて安定化し得る。キャビティ長を調整し、圧電変圧器(PZT)、ボイスコイル、または他のアクチュエータに接続される制御信号(不図示)によりミラーのうちの1つ(
図5のミラー504等)の位置またはプリズムの位置を調整することにより共振を維持する。
【0054】
パルスレーザアセンブリの場合、逓降変換信号149Aの第五高調波光139Aとの混合は、ミラー504、505、および506をなくすことによりキャビティなしで実装し得る。非線形加算結晶155A-1および155A-2を選択的に配置して第五高調波光139A(すなわち、
図2の第五高調波生成器150Aから)および逓降変換信号149A(
図2のOPO140Aから)の両方を選択的に受信し、それにより両方が非線形加算結晶155A-1にほぼ共線的に入射し、非線形加算結晶155A-1内またはその近位に配置される対応ビームウェストに集束される(ビームウェストは不図示)。
【0055】
図6は、扇状PPNLC145Bおよび非線形加算結晶セット155Bの両方を介して逓降変換周波数ω
xの光を選択的に循環させるように構成される単一のキャビティ装置170Bに、扇状PPNLC145Bおよび非線形加算結晶セット155Bが含まれる別の実施形態による可変レーザアセンブリ100Bの一部を図示する。すなわち、アセンブリ100AのOPS145Aおよび周波数加算段150Aにより利用される2つの別々のキャビティ(
図2)とは対照的に、非線形加算結晶セット155Bを出射する未消費逓降変換光627は、扇状PPNLC145Bへと循環する(戻る)。それによって未消費逓降変換光627は増幅されて逓降変換信号149Bを生成し、単一のキャビティ装置170Bを形成するさまざまなミラーおよび光学素子により非線形加算結晶セット155Bに向けられる。単一のキャビティ装置170Bに加えて、可変レーザアセンブリ100Bは、1つ以上の基本波レーザ(不図示)および第五高調波生成器(不図示)を備える。1つ以上の基本波レーザおよび第五高調波生成器は、
図1および
図2を参照して上記で説明したのと同様に、基本波光119Bおよび第五高調波光139Bをキャビティ装置170Bに提供する。以下に説明するように単一のキャビティ内で動作する以外に、扇状PPNLC145Bは、上述の実施形態を参照して説明したように実質的に構成され、機能する。非線形加算結晶セット155Bは、
図7A~
図7Dを参照して以下に説明するように、単一のキャビティ装置170Bにより生成される光経路内に選択的に配置される3つの非線形加算結晶155B-1、155B-2、および155B-3を備える点で上述の実施形態とは異なるが、それ以外は
図1および
図2を参照して上記でそれぞれ説明したセット155および155Aと同様に機能する。
【0056】
図6に示す例示的実施形態では、単一のキャビティ装置(キャビティ)170Bは、ミラー601、602、606、および620、反射素子ミラー(すなわち、ミラーもしくは波長セレクタ)147B-1、ならびに出力カプラ/ミラー621により形成され、これらは、一方はPPNLC145B内に発生し、他方は非線形加算結晶155B-1、155B-2、および155B-3のうちの1つ(例えば、
図6に図示する非線形加算結晶155B-3内)の中に発生する2つのレーザビームウェストを有する光学経路に沿って逓降変換周波数ω
xを有する光を向けるように構成される。
図6の下方部を参照すると、基本波周波数ω
2の基本波光119B-2はミラー601に向けられ、扇状PPNLC145B内に集束されて逓降変換信号周波数ω
xで光を生成する。また、第1のミラー601は、未消費逓降変換光627を反射するように構成され、これによりミラー606から受信した未消費逓降変換光627はPPNLC145B内にビームウェストを形成する。基本波光119B-2がミラー601(図示)を通ってキャビティ170Bに入射するのを容易にするために、ミラー601は、(例えば、基本波周波数ω
2に近い周波数を有する光を透過するコーティングをミラー601に施す一方、逓降変換周波数ω
xに近い周波数を有する光を反射することにより)基本波光119B-2を透過または通す一方、逓降変換周波数ω
xで再循環した信号光627を反射するように構成されてもよい。代替的実施形態では、基本波光119B-2をミラー606等、別のミラーを通してキャビティ170Bに注入し得るであろう。この場合、ミラー601は基本波光119B-2および再循環信号光627の両方を反射するように構成する必要がある。一実施形態では、ミラー602は逓降変換信号149Bを選択的に反射するように構成され、かつ基本波周波数ω
2を有する残りの基本波光631(すなわち、逓降変換光149Bの生成により消費されなかった基本波光)がキャビティ170Bから出射するのを可能にするように構成される。逓降変換光149Bは、ミラー602から反射素子反射型回折格子/ミラー147B-1に向けられ、反射素子反射型回折格子/ミラー147B-1はミラー620の方に逓降変換光149Bを方向転換する。ミラー620は、非線形加算結晶155B-1、155B-2、および155B-3のうちの1つを通してミラー147B-1から受信した逓降変換光149Bを方向転換するように構成される。ミラー621は、非線形加算結晶155B-1~155B-3を出射した未消費逓降変換光627を反射するように構成され、ミラー606は、この未消費逓降変換光627を受信してミラー601に反射するように構成される。キャビティ170Bを、6つのミラーを備えるものとして図示しているが、より多いかより少ないミラーを用いてもよい。可変レーザアセンブリ100BがCWレーザとして構成される場合、キャビティ長を短く保持するのが好ましく、したがって、601、602、620、および621等の曲面ミラーのみを用いてもよい。可変レーザアセンブリ100Bがパルスレーザとして構成される場合、キャビティ長をパルス間の間隔(または当該長さの整数の分数または倍数)と整合する必要があり、したがって、キャビティは大きくする必要がある(例えば、レーザの繰り返し率が80MHzである場合、キャビティ長は3.747mまたは1.874m)。そのようなキャビティは、都合のよい設置面積に適合するために6つ以上のミラーを用いる場合がある。CWキャビティは、シングルモードキャビティ(非常に狭い帯域幅の信号を生成するであろう)またはマルチモードキャビティ(例えば、若干のモードまたは数百ものモード)として構成されてもよい。一般に、マルチモードキャビティがシングルモードキャビティよりも安定しているが、信号光149Bおよび627の帯域幅はより大きくなる。半導体検査システムで用いるためには、一般に大きな数のモード(約100以上)または高い繰り返し率のパルスレーザが好ましいであろう。
【0057】
一実施形態では、扇状PPNLC145Bを出射する信号光149Bの逓降変換周波数ω
xは、基本波光119B-2および再循環信号光627が通る扇状PPNLC145Bの区間のポーリング長に起因して準位相整合(QPM)により決定される。上記で考察したように、逓降変換光が通る扇状PPNLC145Bの区間(領域)は、波長セレクタ147B-2および/または反射素子147B-1による波長選択と組み合わせて波長調整W1B-1(例えば、
図6に示す+X軸方向および-X軸方向への非線形結晶145Bの平行移動)により制御器161Bで選択的に調整される。典型的には、反射素子147B-1および波長セレクタ147B-2のうちの一方のみが波長を選択するように構成される(すなわち、透過型波長セレクタ147B-2が用いられる場合、反射素子147B-1はミラーを用いて実装されてもよく、逆に反射素子147B-1が例えば反射型回折格子を用いて波長セレクタとして実装される場合、波長セレクタ147B-2を省略してもよい)。波長セレクタ147B-2は、エタロン(ファブリーペロー干渉計)および透過型回折格子(体積型ブラッグ回折格子または機械刻線回折格子等)のうちの一方を含んでもよい。波長セレクタとして実装される場合、反射素子147B-1は、(点線矢印により図示するように)回折格子が回転してミラー620の方に所望の波長を向けるように波長調整W1B-2により、または体積型ブラッグ回折格子の場合は温度Tを調整することにより、制御器161Bで調整されてもよい。反射素子147B-1がミラーである場合、波長セレクタ147B-2は、波長調整W1B-3により制御器161Bで調整されてもよい(例えば、矢印により示す回転および/または動作温度Tの調整により)。いずれの場合も、反射素子147B-1および/または波長セレクタ147B-2は、ミラー620に所望の信号周波数ω
xを有する光を向け、アイドラ周波数を含む所望でない波長は、素子147B-1および/または147B-2によりキャビティの外部に向けられ、吸収され、または別の方法で遮断されてもよい。さらに、キャビティ内のミラーのうちの1つ以上は、アイドラ周波数を高い効率性(例えば、約90%以上の効率性)で送信する一方、複数のミラーから反射した後に実質的にすべてのアイドラ周波数がキャビティを離れるように、信号光149Bを反射するように構成されてもよい。
【0058】
上記の扇状PPNLC素子と同様に、扇状PPNLC145Bは、所望の信号周波数範囲に及ぶポーリング周期の範囲を有する扇状構成でポーリングされる。適した扇状PPNLC素子が例えば、HC Photonics(台湾新竹市)から市販されている。入力光119B-2が1064.5nmに近い波長を有する場合、1356~2129nmの信号波長に対応する信号周波数範囲は、扇状PPNLC145BがMgOドープニオブ酸リチウム結晶を含む場合には25.86μm~32.15μmのQPMポーリング周期を必要とし、扇状PPNLC145Bが化学量論チタン酸リチウム結晶を含む場合には25.66μm~32.32μmのQPMポーリング周期を必要とする。なお、これらの結晶材料は約4μmよりも長い波長の強い吸収性を有し、したがってこれらの材料は約1450nmよりも短い信号波長に対応する信号周波数には有用でない場合がある。なぜなら、アイドラは4μmより長い対応波長を有し、扇状PPNLC145B内に放散される熱が位相整合を低下させ、および/または熱レンズ効果を生じさせる可能性があるからである。
【0059】
キャビティ170Bは、逓降変換信号光149Bおよび第五高調波光139Bが加算光経路に沿って非線形加算結晶セット155Bに向けられ、出力周波数ω
OUTBを有するDUV出力光159Bを生成するようにさらに構成される。
図6に図示する例示的実施形態では、第五高調波光139Bは、ミラー620を通り、またはその縁部から出射することによりキャビティ170Bに入射する。第五高調波光139Bは、第五高調波光139Bおよび信号光149Bが選択された非線形加算結晶(例えば、
図6に図示する結晶155B-3)の中心付近を横断するように、信号光149Bに対してわずかな角度(例えば5°未満の角度)で進む。所望の出力周波数ω
OUTBのレーザ出力光159Bおよび未消費第五高調波光616は、ミラー/出力カプラ621付近またはその中を通ることによりキャビティ170Bから出射する。
【0060】
可変レーザアセンブリ100Bが約193nm~約184nmの波長等、広範囲の波長にわたって出力光を生成するためには、非線形加算結晶セット155Bに2つ超の非線形加算結晶を設けることが必要な場合がある。なぜなら、必要とされる角度調整範囲が25°にまでになる場合があるからである。単一の非線形加算結晶をそのように大きな角度で回転すると、反射損失により必要とされるパワーを有するレーザ出力光の生成を妨げる場合がある。さらに、そのような大きな角度まで回転させた場合に非線形加算結晶による未消費逓降変換光627の変位が大きすぎ、キャビティ170Bを形成するミラーの1つ以上を調整することにより補償できない場合がある。したがって一実施形態では、非線形加算結晶セット155Bは3つの非線形加算結晶159B-1~159B-3を備える。これらの結晶のそれぞれは、その異なる結晶軸が加算光伝搬方向に対して対応する異なる角度を形成し、異なる範囲の信号周波数および出力周波数(すなわち、
図1を参照して上記で説明したものと類似する)にわたって位相整合するように製造(切断)される。最も適切な非線形加算結晶159B-1、159B-2、または159B-3を加算光経路に移動/配置するのを容易にして、ユーザにより選択された波長でDUV出力光を生成するため、非線形加算結晶159B-1~159B-3は、例えば
図7A~
図7Dを参照して以下に説明するように、第2の制御器162Bで(すなわち、波長調整W2B-1により)制御されるフレーム156B(例えばX-Y-θテーブル、線形ステージ、または別の適した機構)に固定搭載される。フレーム156Bは、周波数加算の位相整合条件の最適化をもたらすために温度制御され、回転可能である必要がある。他の実施形態では、2つ、4つ、またはそれより多い非線形加算結晶を利用してもよい。
【0061】
図6の上方部を参照すると、非線形加算結晶セット155Bは、変換信号光149Bおよび第五高調波光139Bにより形成され、実質的に同じ場所にある光経路内に選択的に配置される(移動される)3つの非線形結晶155B-1、155B-2、および155B-3を含む。第2の制御器162Bは、可変レーザアセンブリ100Bの周波数制御システムの別の部分を形成する。一実施形態では、非線形加算結晶155B-1~155B-3は、X-Y-θテーブル(フレーム)156Bに固定搭載することにより固定した関係に維持される。テーブル(フレーム)156Bの動作は、波長調整W2B-1により制御器162Bで制御される。
【0062】
図7A~
図7Dに、4つの異なる動作状態(すなわち、4つの異なる期間)で構成される場合の可変レーザアセンブリ100Bの一部を図示する。
図1を参照して上記で説明したように、4つの異なる動作状態は、図示したそれぞれの動作状態の前に可変レーザアセンブリ100Bの周波数制御システムに提出される、ユーザにより提供される4つの異なる出力周波数制御信号値に対応する。説明のため、
図7A~
図7Dにミラー620および621、ならびに非線形加算結晶155B-1~155B-3を含む可変レーザアセンブリ100Bの一部を図示する。
図7A~
図7Dには示していないが、周波数制御システムは、制御器162B経由で非線形加算結晶155B-1~155B-3の図示している移動を制御するとともに、制御器161B経由で扇状PPNLC145B(
図6)での光の透過も制御し、それにより異なる逓降変換光の周波数は、選択された非線形加算結晶155B-1~155B-3に向けられることが理解される。
【0063】
図7A、
図7B、および
図7Cは、著しく異なる、ユーザにより選択された出力周波数に応答して利用し得る例示的動作状態を図示する。例えば
図7Aに図示するように、第1の期間T1中に(例えば第1の出力周波数値OF=1に応答して)、周波数制御システムは、基本波光部分119B-2を扇状PPNLC145Bの第1の領域に通し、それにより第1の逓降変換周波数ω
xB1を有する第1の逓降変換信号149B-1を生成する。次に、第1の逓降変換信号149B-1が選択された非線形加算結晶155B-1において第五高調波光139Bと足し合わされると、可変レーザアセンブリ100は第1のユーザ選択出力波長ω
OUTB1を有するDUV出力光159B-1を生成する。同様に
図7Bに示すように、第2の期間T2中に(例えば第2の出力周波数値OF=2に応答して)、周波数制御システムは、基本波光部分119B-2を扇状PPNLC145Bの第2の領域に通し、それにより対応する逓降変換周波数ω
xB2を有する逓降変換光149B-2を生成する。逓降変換光149B-2が選択された非線形加算結晶155B-2において第五高調波光139Bと足し合わされると、可変レーザアセンブリ100は第2のユーザ選択出力波長ω
OUTB2を有するDUV出力光159B-2を生成する。最後に
図7Cに図示するように、第3の期間T3中に(例えば第3の出力周波数値OF=3に応答して)、周波数制御システムは、基本波光部分119B-2を扇状PPNLC145Bの第3の領域に通し、それにより対応する逓降変換周波数ω
xB3を有する逓降変換光149B-3を生成する。逓降変換光149B-3が選択された非線形加算結晶155B-3において第五高調波光139Bと足し合わされると、可変レーザアセンブリ100Bは、第3のユーザ選択出力波長ω
OUTB3を有するDUV出力光159B-3を生成する。
【0064】
図7Dに、例示的な第4の動作状態(例えば第4の出力周波数値OF=4に応答する)における可変レーザアセンブリ100Bを図示する。例示的な第4の動作状態は、DUV出力周波数ω
OUTB3(
図7C)とは比較的小さい量だけ異なるユーザ選択出力周波数に応答して利用し得る。前の例と同様に第4の期間T4中に、周波数制御システムは、基本波光部分119B-2を扇状PPNLC145Bの対応する第4の領域に通し、それにより逓降変換周波数ω
xB3とは比較的小さい量だけ異なる対応する逓降変換周波数ω
xB4を有する逓降変換光149B-4を生成する。さらに、周波数制御システムは、選択された非線形加算結晶155B-3の軸と光伝搬方向逓降変換光149B-4との間の角度を変更することにより(すなわち、
図7Cで達成した位相整合角と比較して)、入力周波数ω
xB4および5ω
1ならびに出力周波数ω
OUTB4の間の位相整合を達成するように選択された非線形加算結晶155B-3を角度Δθで回転させる。これらの動作条件の変更により、可変レーザアセンブリ100Bは、第3のユーザ選択出力波長ω
OUTB3とは比較的小さい量だけ異なる第4のユーザ選択出力波長ω
OUTB4を有するDUV出力光159B-4を生成する。いくつかの実施形態では、非線形加算結晶155B-3の温度は最適な位相整合条件を維持するように(例えば、図示しない加熱器により)制御される。好ましい実施形態では、非線形加算結晶155B-3は結晶を回転させ、温度調整を行って位相整合を維持することにより調整してもよい。信号周波数を調整する際に、非線形加算結晶の温度および/または角度の対応する調整を行ってもよい。非線形加算結晶が回転すると、DUV出力光159B-4がキャビティを離れる方向が変化する。この変化を補償するために調整可能な下流の光学系(不図示)を設けてもよい。非線形加算結晶155B-1~155B-3は、反射損失を最小化するために加算光伝搬方向に対してブルースター角近辺で配向された入力面および出力面を有するのが好ましい。小さい角度(±5°等)で加算結晶の配向を調整しても著しい反射損失は生じない。なぜなら、逓降変換信号光と第五高調波光がブルースター角近辺にとどまるからである。
【0065】
扇状PPNLC145B、回折格子147B-1および147B-2、ならびに非線形加算結晶155B-1~155B-3等の部品の1つ以上を調整すると、再循環する信号光627の方向に小さな変位または変化が生じる場合があるので、他のキャビティミラー(またはキャビティに含まれる別の光学補償器、不図示)のうちの1つ以上を、アセンブリの制御システムにより(例えば制御器161Bまたは162Bを用いて)選択的に制御し、キャビティ170B内で再循環する信号光627の良好な位置合わせを維持してもよい。キャビティ170BがCWキャビティとして構成される場合、既知のキャビティロック技術を用いてミラーまたは他のキャビティ部品のうちの1つを適した制御器(例えば、圧電変圧器またはボイスコイル)により調整し、所望のキャビティ長を達成・維持してもよい。
【0066】
表1(以下に提供)は、3つのCLBO結晶を用いてレーザアセンブリ100Bを実装し、184.8nm~193.5nmの出力波長範囲を有するレーザ出力光の生成を容易にした実施形態における例示的な波長および位相整合角を示す。この例では、第1のCLBO結晶であれば、非線形加算結晶155B-1を実装するのに用いられ、光伝搬方向に対して68.4°の角度の軸で切断されることになる。非線形加算結晶155B-2を実装する第2のCLBO結晶であれば、61.1°の角度の軸で切断されることになる。非線形加算結晶155B-3を実装する第3のCLBO結晶であれば、54.4°の角度の軸で切断されることになる。表は、212.9nmの第五高調波を用い、それぞれのCLBO結晶を用いて生成し得る最短および最長のレーザ出力波長の例も含む。それぞれの結晶は、
図7Dを参照して上記で説明したように公称から±4°未満の範囲にわたって調整し、異なる出力波長に適合する必要があるであろう。入力面と出力面が公称波長でブルースター角になるようにそれぞれの結晶を切断した場合、公称から4°未満回転させて異なる波長に適合させても、反射率、したがってキャビティ損失には小さな増加しか生じないであろう。
【0067】
【0068】
本発明の別の態様は、ウェハ、レチクル、もしくはフォトマスクの検査または計測のシステムであり、およそ184nm~およそ200nmの範囲の出力波長を有する本発明によるレーザのうちの少なくとも1つを組み込む。そのようなシステムの態様を
図8、
図9、および
図10に示す。
【0069】
このレーザは、
図8に示す暗視野検査モードおよび明視野検査モードを用いる検査システムで用いてもよい。この図およびシステムは、Chuangらの米国特許第7,817,260号明細書に説明されており、完全に記載した場合と同様に参照により本明細書に組み込まれる。
図8に垂直入射レーザ照射を組み込む反射屈折撮像システム800を示す。システム800の照射ブロックは、レーザ801、検査している表面での照射ビームのサイズおよび外形を制御する適合光学系802、機構ハウジング804内のアパーチャ・ウィンドウ803、および垂直入射時に光軸に沿ってレーザを試料808の表面に向け直すプリズム805を備える。また、プリズム805は、試料808の表面特徴からの鏡面反射および対物レンズ806の光学面からの反射を、光学経路に沿って画像面809に向ける。対物レンズ806用のレンズは、反射屈折対物レンズ、集束レンズ群、および拡大鏡筒区間807の一般的形態で提供してもよい。好ましい実施形態では、レーザ801は、上記のレーザのうちの1つにより実装されてもよい。
【0070】
このレーザは、
図9Aおよび
図9Bに示す斜線照射を用いる暗視野検査システムで用いてもよい。この検査システムは、示すように、軸外のほぼ垂直な集光を含む2つまたは3つの異なる集光システムを有してもよい。この暗視野検査システムは、垂直入射線照射(不図示)も含んでもよい。
図9Aおよび
図9Bに示したシステムの説明を含むさらなる詳細は、Leongらの米国特許第7,525,649号明細書に見出し得、完全に記載した場合と同様に参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
図9Aに、表面検査装置900を示す。表面検査装置900は、表面911の複数の区域を検査する照射システム901および集光システム910を備える。
図9Aに示すように、レーザシステム920は、ビーム形成光学系903に光線902を向ける。好ましい実施形態では、レーザシステム920は、上記レーザアセンブリのうちの少なくとも1つ(すなわち、レーザアセンブリ100、100A、または100B)を備える。第1のビーム形成光学系903は、レーザシステムからビームを受信するように構成されてもよい。ビームは表面911に集束される。
【0072】
ビーム形成光学系903は、その主要平面が試料の表面911に実質的に平行になるように方向合わせされ、その結果、照射線905がビーム形成光学系903の焦点面で表面911上に形成される。さらに、光線902および集束線904は非直交の入射角で表面911に向けられる。具体的には、光線902と集束線904は、垂直方向から約1°~約85°の角度で表面911に向けられてもよい。このように、照射線905は、実質的に集束線904の入射平面内にある。
【0073】
集光システム910は、照射線905から散乱した光を集光するレンズ912と、感光検出器の配列を備える電荷結合素子(CCD)914等のデバイスにレンズ912から出射する光を集束するレンズ913を備える。一実施形態では、CCD914は、線形配列の検出器を備えてもよい。そのような場合、CCD914内の線形配列の検出器は、照射線905と平行に方向合わせされてもよい。別の実施形態では、CCD914は、長軸が照射線905と平行な矩形配列として配置される2次元配列の検出器を備えてもよい。例えばCCD914は、およそ1000~8000個の検出器×およそ50~250個の検出器の矩形配列を備えてもよい。一実施形態では、複数の集光システムを含んでもよい。これらの集光システムのそれぞれは、類似の部品を備えるが向きが異なっている。
【0074】
例えば、
図9Bに、表面検査装置用の集光システム931、932、および933の例示的配列を示す(例えば、照射システム901のそれに類似する照射システムは簡略のため示さない)。集光システム931の第1の光学系は、試料911の表面から第1の方向に散乱した光を集光する。集光システム932の第2の光学系は、試料911の表面から第2の方向に散乱した光を集光する。集光システム933の第3の光学系は、試料911の表面から第3の方向に散乱した光を集光する。なお、第1、第2、および第3の経路は、試料911の当該表面に対して異なる反射角になっている。試料911を支持するプラットフォーム912を用いて光学系と試料911との間に相対運動を生じさせ、それにより試料911の表面全体を走査してもよい。
【0075】
本明細書に説明するレーザは、
図10に示す検査システム1000等、パターン未形成ウェハ用の検査システムにも用いてよい。そのような検査システムは、これらの図面に示した散乱光に対する斜入射照射および/または垂直入射照射、ならびに大きな集光立体角を組み込んでもよい。照射源1100は、レーザアセンブリ100、100A、または100Bのいずれかを組み込んでDUV光またはVUV光を生成し、ウェハ1122を所望の角度で照射し、反射光が撮像集光光学系1108のシステムにより集光されないようにする。光学系1106は、所望の照射パターンを生成するように構成されてもよい。ウェハ1122からの散乱光は、無限焦点レンズシステム1110に光を向けるように構成される撮像集光光学系1108のシステムにより集光されてもよい。一実施形態では、集光レンズマスクシステム1112が光を複数のチャネルに分割し、TDIセンサ1118に供給してもよい。一実施形態は、増強器1114および/またはセンサ中継器1116を備えてもよい。TDIセンサ1118および/または増強器1114は、画像処理コンピュータ1120に信号を送信するように構成されてもよい。画像処理コンピュータ1120は、ウェハ画像および/またはウェハ1122の表面の不具合もしくは粒子のリストを生成するように構成されてもよい。
図10の要素のさらなる説明は、Vazhaeparambilらの米国特許第9,891,177B2号明細書に見出し得る。パターン未形成ウェハ検査システムのさらなる詳細は、米国特許第6,201,601号および第6,271,916号に見出し得る。これらの特許すべてが、完全に記載した場合と同様に参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
本発明を特定の具体的な実施形態に関連して説明したが、本発明の発明上の特徴が別の実施形態にも適用可能であることが当業者には明らかであり、これらの実施形態は本発明の範囲に包含されることが意図される。
【国際調査報告】