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特表2024-524810自動焦点位置制御部およびその使用方法を備えたデジタルリソグラフィ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】自動焦点位置制御部およびその使用方法を備えたデジタルリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/207 20060101AFI20240702BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G03F7/207 H
G03F7/20 505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562677
(86)(22)【出願日】2023-04-17
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 US2023018854
(87)【国際公開番号】W WO2023205093
(87)【国際公開日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】63/332,557
(32)【優先日】2022-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャン, チョンチョアン
(72)【発明者】
【氏名】リン, レントン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシュヌ, ミーナラガン
(72)【発明者】
【氏名】コスクン, テイマー
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー, ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】レイディグ, トーマス エル.
(72)【発明者】
【氏名】チェン, チャン ファン
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA29
2H197BA09
2H197CA07
2H197CC12
2H197DA03
2H197DA09
2H197DB11
2H197DC02
2H197EA06
2H197EA19
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
(57)【要約】
本開示の実施形態は、デジタルリソグラフィシステムおよび関連した方法に関し、システムは、レンズを介して基板上に光線を放射するように構成される少なくとも1つの光源と、レンズを介して基板からの反射光線を検出するように構成される少なくとも1つのイメージセンサと、レンズを移動させて基板上に光線を集束させるように構成される少なくとも1つのモータと、少なくとも1つの光源、少なくとも1つのイメージセンサ、および少なくとも1つのモータと通信する制御装置と、を含み、制御装置は、少なくとも1つのイメージセンサからの少なくとも1つの信号に応答してレンズを移動させるように少なくとも1つのモータを作動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを介して基板上に光線を放射するように構成される少なくとも1つの光源と、
前記レンズを介して前記基板からの反射光線を検出するように構成される少なくとも1つのイメージセンサと、
前記レンズを移動させて前記基板上に前記光線を集束させるように構成される少なくとも1つのモータと、
前記少なくとも1つの光源、前記少なくとも1つのイメージセンサ、および前記少なくとも1つのモータと通信する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記少なくとも1つのイメージセンサからの少なくとも1つの信号に応答して、前記少なくとも1つのモータを作動させて、前記レンズを移動させるように構成される、デジタルリソグラフィシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光源が、レーザ、連続波(CW)レーザ、品質(Q)スイッチレーザ、またはモードロックレーザのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記基板が、ガラス、反射材料、金属、クロム、ポリマー、結晶または酸化物のうちの少なくとも1つの材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記レンズが、光学レンズ、球面レンズまたは非球面レンズのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのイメージセンサが、リニアイメージセンサ、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)もしくはアクティブピクセルイメージセンサ、電荷結合素子(CCD)イメージセンサ、または固体デバイスのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのモータが、圧電モータ、超音波モータ、超音波共振モータ、ピエゾステッパモータ、ピエゾウォークモータ、ピエゾスティックスリップモータ、フレキシャ型モータ、または慣性モータのうちの少なくとも1つを備えるリニアモータを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの光源および前記少なくとも1つのイメージセンサに関連付けられた1つまたは複数の自動焦点チャネルを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御装置が、前記1つまたは複数の自動焦点チャネルからの自動焦点の信号重心をフィードバック信号として使用する比例積分微分制御方法を使用して、前記少なくとも1つのモータを作動させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御装置が、前記1つまたは複数の自動焦点チャネルからの自動焦点の信号重心をフィードバック信号として使用するカルマンフィルタ制御方法を使用して、前記少なくとも1つのモータを作動させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御装置が、前記1つまたは複数の自動焦点チャネルからの自動焦点の信号重心をフィードバック信号として使用する動的なチャネル選択を備えた比例積分微分制御方法を使用して、前記少なくとも1つのモータを作動させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御装置が、前記1つまたは複数の自動焦点チャネルからのリアルタイム自動焦点の信号重心をフィードバック信号として使用する経験的基準位置制御方法を使用して、前記少なくとも1つのモータを作動させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
レンズを介して基板上に光線を放射するように各々が構成される複数の光源と、
前記レンズを介して前記基板からの反射光線を検出するように各々が構成される複数のイメージセンサであって、各光源は各イメージセンサと対になる、複数のイメージセンサと、
前記レンズを移動させて前記光線を前記基板上に集束させるように構成される少なくとも1つのモータと、
前記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源および前記複数のイメージセンサのうちの少なくとも1つのイメージセンサに各々が関連付けられた複数の自動焦点チャネルと、
前記複数の光源、前記複数のイメージセンサおよび前記少なくとも1つのモータと通信する制御装置と、を備え、
前記制御装置が、前記複数のイメージセンサからの1つまたは複数の信号に応答して前記レンズを移動させるように前記少なくとも1つのモータを作動させる、デジタルリソグラフィシステム。
【請求項13】
前記制御装置が、前記1つまたは複数の自動焦点チャネルからの自動焦点の信号重心をフィードバック信号として使用する比例積分微分制御方法を使用して、前記少なくとも1つのモータを作動させるか、
前記制御装置が、前記1つまたは複数の自動焦点チャネルからの自動焦点の信号重心をフィードバック信号として使用するカルマンフィルタ制御方法を使用して、前記少なくとも1つのモータを作動させるか、
前記制御装置が、前記1つまたは複数の自動焦点チャネルからの自動焦点の信号重心をフィードバック信号として使用する動的なチャネル選択を備えた比例積分微分制御方法を使用して、前記少なくとも1つのモータを作動させるか、または、
前記制御装置が、前記1つまたは複数の自動焦点チャネルからのリアルタイム自動焦点の信号重心をフィードバック信号として使用する経験的基準位置制御方法を使用して、前記少なくとも1つのモータを作動させる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
デジタルリソグラフィシステムにおいて光線を自動的に集束させる方法であって、
少なくとも1つの光源からの少なくとも1つの光線を、レンズを介して基板上に向けることと、
前記基板からの前記少なくとも1つの光線を、前記レンズを通して少なくとも1つのイメージセンサに反射することと、
前記少なくとも1つのイメージセンサからの少なくとも1つの信号を制御装置によって受信することであって、前記少なくとも1つの信号は、前記基板上の前記光線の位置を示す、少なくとも1つの信号を制御装置によって受信することと、
前記制御装置によって、前記光線を前記基板の表面上に集束させるための前記レンズの位置を制御することと、を含む方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのイメージセンサの長さに沿った前記反射光線の長さ(ΔL)の変化を、前記基板の前記表面の高さ(ΔZ)の変化と相関させるために、前記少なくとも1つのイメージセンサを較正することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記レンズの前記位置を制御することが、前記レンズを移動させるために少なくとも1つのモータを作動させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記レンズの前記位置を制御することが、
前記1つまたは複数の自動焦点チャネルからの自動焦点の信号重心をフィードバック信号として使用する比例積分微分制御方法を使用して、前記少なくとも1つのモータを前記制御装置によって作動させることと、
前記1つまたは複数の自動焦点チャネルからの自動焦点の信号重心をフィードバック信号として使用するカルマンフィルタ制御方法を使用して、前記少なくとも1つのモータを作動させることと、
前記1つまたは複数の自動焦点チャネルからの自動焦点の信号重心をフィードバック信号として使用する動的なチャネル選択を備えた比例積分微分制御方法を使用して、前記少なくとも1つのモータを作動させることと、
前記1つまたは複数の自動焦点チャネルからのリアルタイム自動焦点の信号重心をフィードバック信号として使用する経験的基準位置制御方法を使用して、前記少なくとも1つのモータを作動させることと、を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのモータが、圧電モータ、超音波モータ、超音波共振モータ、ピエゾステッパモータ、ピエゾウォークモータ、ピエゾスティックスリップモータ、フレキシャ型モータ、および慣性モータからなる群から選択されるリニアモータである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記基板が、ガラス、反射材料、金属、クロム、ポリマー、結晶または酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのイメージセンサが、リニアイメージセンサ、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)またはアクティブピクセルイメージセンサ、電荷結合素子(CCD)イメージセンサ、および固体デバイスからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、自動焦点位置制御部を有するデジタルリソグラフィ装置、およびそのようなデジタルリソグラフィ装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィは、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)および有機発光ダイオードディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode Display)のような半導体デバイスおよび表示デバイスを製造する際に広く使用されている。大面積基板は、多くの場合、LCDの製造の際に利用される。LCDまたはフラットパネルは、コンピュータ、タッチパネルデバイス、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯電話、テレビモニタなどのアクティブマトリクスディスプレイに一般に使用される。概して、フラットパネルは、2枚のプレートの間に挟まれたピクセルを形成する液晶材料層を含み得る。電源からの電力が液晶材料全体に印加されるとき、液晶材料を通過する光の量は、イメージの生成が可能となったピクセル位置で制御され得る。
【0003】
デジタルリソグラフィ技術は、一般に、ピクセルを形成する液晶材料層の一部として組み込まれる電気的特徴を作製するために使用される。この技術によれば、感光性フォトレジストは、通常、基板の少なくとも1つの表面に塗布される。次いで、パターンジェネレータは感光性フォトレジストの選択された領域をパターンの一部として光で露光して、選択領域中のフォトレジストに化学変化を引き起こし、後に続く材料除去および/または材料付加プロセスのためにこれらの選択領域を準備して、電気的特徴を作製する。
【0004】
基板上にパターンを正確かつ費用対効果が良いように作製するための新しい装置、アプローチ、およびシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
様々な実施形態に従って、デジタルリソグラフィシステムは、本明細書で開示され、レンズを介して基板上に光線を放射するように構成される少なくとも1つの光源と、レンズを介して基板からの反射光線を検出するように構成される少なくとも1つのイメージセンサと、レンズを移動させて基板上に光線を集束させるように構成される少なくとも1つのモータと、少なくとも1つの光源、少なくとも1つのイメージセンサ、および少なくとも1つのモータと通信する制御装置と、を備え、制御装置は、少なくとも1つのイメージセンサからの少なくとも1つの信号に応答して、少なくとも1つのモータを作動させて、レンズを移動させるように構成される。
【0006】
更なる実施形態では、デジタルリソグラフィシステムは、本明細書で開示され、レンズを介して基板上に光線を放射するように各々が構成される複数の光源と、レンズを介して基板からの反射光線を検出するように各々が構成される複数のイメージセンサであって、各光源は各イメージセンサと対になる、複数のイメージセンサと、レンズを移動させて基板上に光線を集束させるように構成される少なくとも1つのモータと、複数の光源のうちの少なくとも1つの光源および複数のイメージセンサのうちの少なくとも1つのイメージセンサに各々が関連付けられた複数の自動焦点チャネルと、複数の光源、複数のイメージセンサおよび少なくとも1つのモータと通信する制御装置と、を備え、制御装置は、複数のイメージセンサからの1つまたは複数の信号に応答してレンズを移動させるように少なくとも1つのモータを作動させる。
【0007】
更に、本明細書で開示されるデジタルリソグラフィシステムにおいて光線を自動的に集束させる方法の実施形態は、少なくとも1つの光源からの少なくとも1つの光線を、レンズを介して基板上に向けることと、基板からの少なくとも1つの光線を、レンズを通して少なくとも1つのイメージセンサに反射することと、少なくとも1つのイメージセンサからの少なくとも1つの信号を制御装置によって受信することであって、少なくとも1つの信号は、基板上の光線の位置を示す、少なくとも1つの信号を制御装置によって受信することと、制御装置によって、光線を基板の表面上に集束させるためのレンズの位置を制御することと、を備える。
【0008】
本開示は、同様の参照符号が類似の要素を示す添付の図面の図において、限定するものとしてではなく例示するものとして示される。本開示における「1つ(an)」または「1つ(one)」の実施形態に対する異なる言及は、必ずしも同じ実施形態に対するものではなく、そのような言及は少なくとも1つを意味することに留意されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態によるデジタルリソグラフィシステムの概略図である。
図2】基板の表面に対するレンズの位置の変化の概略図である。
図3A】イメージ走査中の光学レンズの焦点外れを表す基板高さマップを示す図である。
図3B】イメージ走査内の低コントラストの不均一な輝度領域(即ち、ムラ)を表す基板高さマップを示す図である。
図4】基板の表面上の光線の焦点を維持するためにレンズの位置を制御する方法を示す図である。
図5A】1つまたは複数のチャネルの自動焦点の重心とともに比例積分微分制御を使用して位置が決定されるときに、走査中に測定される基板高さを表す基板高さマップを示す図である。
図5B】1つまたは複数のチャネルの自動焦点の重心とともに動的なチャネル選択制御によって位置が決定されるときに、走査中に測定される基板高さを表す基板高さマップを示す図である。
図6A】1つまたは複数のチャネルの自動焦点の重心とともに比例積分微分制御を使用して位置が決定されるときに、走査中に測定される基板高さを表す基板高さマップを示す図である。
図6B】1つまたは複数のチャネルの自動焦点の重心とともにカルマンフィルタ制御方法によって位置が決定されるときに、走査中に測定される基板高さを表す基板高さマップを示す図である。
図7A】1つまたは複数のチャネルの自動焦点の重心とともに比例積分微分制御を使用して位置が決定されるときに、走査中に測定される基板高さを表す基板高さマップを示す図である。
図7B】リアルタイム自動焦点信号のフィードバック制御とともに基準位置によって位置が決定されるときに、走査中に測定される基板高さを表す基板高さマップを示す図である。
図8】本明細書に記載のシステムおよび方法を実装するコンピューティングデバイスの実例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態は、ムラを殆どまたは全く伴わずに精密な焦点を提供するための堅牢かつ正確なやり方でのデジタルリソグラフィツール内のレンズの位置の制御に関する。デジタルリソグラフィシステムおよび方法によって、光源を使用して基板(例えば、ガラス基板)上にデバイス構造が印刷される。本明細書に記載のデジタルリソグラフィシステムおよび方法は、とりわけ、ディスプレイを製造するために使用される。例えば、顧客が5,000台の電話機を注文し、これらの5,000個の部品用のパターンを半導体製造業者に提供し得るとする。製造業者は、基板あたり数百のこれらのパターンを形成し得る。同じ製造プロセスを、例えば、100回または200回繰り返し得る。半導体製造業者は、通常、最初の基準走査として第1の基板を走査する。しかしながら、各基板(例えば、ガラス)は僅かに異なることもあり得て、位置は機械間の何らかの配置のずれを伴って、一方向または他方向に僅かに歪み得る。基板の高さ変化を追跡することにより、制御装置は、走査中に光源を適切に集束するようにレンズを移動させることができる。
【0011】
本明細書の実施形態による自動焦点システムは、精密レンズを通過し、次いで基板上に投影する1つまたは複数の光線を利用する。光源は、その後、反射して戻り、その位置を決定するためにイメージセンサを使用して測定される。いくつかの実施形態では、基板は、下部に反射材料(例えば、クロム)を備えた透明な表面上に投影される線をもったミラーを効果的に形成する。この反射率のために、基板の表面の位置を特定することが困難である場合がある。いくつかの実施形態では、材料層が別の層上に印刷されるとき、反射率の異なるタイプのものがこれらの層上に作製される。光線は、これらの変動する反射率のために焦点がずれることがあり得る。例えば、レンズは、目標位置から一方の側または別の側にドリフトし得る。いくつかの実施形態では、基板は複数の層を含み、各層は透明である。基板は、例えば、5、6、7、8、または9つの透明層から形成され得る。光線が基板に向けられると、信号はノイズが非常に多くなり、システムは表面の高さを決定するのが困難になる。
【0012】
ある場合では、基板が加熱および/または冷却され得て、その高さが変化し、これは例えば、光源を縁部上で屈曲させる場合がある。本明細書に記載のシステムおよび方法は、そのような条件の間に光源を集束させるように構成される。システムが基板を走査していないとき、基板に対するレンズの高さは変化し得る。例えば、新しい基板がステージ上に配置されるとき、基板材料は様々な厚さ(例えば、ミクロンオーダーで)を有するので、各個々の基板は、高さに関して、他の基板と僅かに異なる。システム内のセンサは、この高さの変化を決定するように構成される。そのような情報は、光源の焦点を制御するためのフィードバックとして使用することができる。光源を使用して印刷動作を実行するシステムおよび方法の場合では、光源の焦点を維持することが有益である。本明細書の実施形態によって記載された自動焦点サブシステムは、自動焦点サブシステムの改善されたソフトウェア制御とともに機能する。
【0013】
リアルタイムで正確な焦点を得るために、基板条件(例えば、トポグラフィ、反射率、パターン構造など)、チャック平坦度、ステージ移動、測定ノイズおよび熱の影響を含む様々なパラメータが考慮される。本明細書の実施形態による方法およびシステムは、そのようなパラメータデータをリアルタイムで収集し、リアルタイムデータを利用して光源の位置を制御する。いくつかの実施形態では、光源の位置を制御するために、(例えば、以前の走査およびリソグラフィ工程からの)履歴パラメータデータを使用することもあり得る。
【0014】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、制御装置およびモータユニットを使用してその位置を正確に制御することによって、光学レンズの焦点精度をリアルタイムで改善する。本明細書の実施形態によるシステムおよび方法は、印刷中の実際の動きを決定するために、リアルタイムの自動焦点信号および経験的基準位置を利用する。そのようなシステムおよび方法はまた、1つまたは複数のモータを異なるユースケースで駆動するために、一部または全ての自動焦点信号を利用する。様々な実施形態によるシステムおよび方法は、ムラを最小限に抑え、改善された忠実な印刷物を生み出すことができ、任意選択的に、基板上の下層、下層パターンの配向/密度、および/または走査速度を無視することができる。
【0015】
本明細書に記載のシステムおよび方法では、特に高走査速度中に焦点を維持するために、光源を「オンザフライ」で集束することが有益である。精密な焦点を維持するために、基板条件(例えば、トポグラフィ、反射率およびパターン構造)、チャック平坦度、ステージ移動、測定ノイズおよび走査中の熱の影響を含む様々なパラメータが考慮される。
【0016】
本明細書に記載の実施形態は、高速走査中に位置決め制御を利用する。位置は、以下のアプローチによって決定することができ、1)自動焦点の信号重心を比例積分微分(PID:Proportional-Integral-Derivative)制御とともに使用するアプローチ、すなわち、動きを決定するために全てのチャネルのPID制御ループおよび自動焦点の信号重心をフィードバックとして使用するアプローチ、2)自動焦点の信号重心をカルマンフィルタとともに使用するアプローチ、すなわち、動きを決定するために全てのチャネルのカルマンフィルタおよび自動焦点の信号重心をフィードバックとして使用するアプローチ、3)自動焦点の信号重心を動的なチャネル選択とともに使用する(1と類似する)アプローチ、動きを決定するために全てではないがいくらかのチャネルを動的に使用するアプローチ、および/または、4)経験的な基準位置をリアルタイム自動焦点信号のフィードバックとともに使用するアプローチによって決定し、そして、4)のこのアプローチは、位置がリアルタイム自動焦点信号によって常に決定されるわけではないという点で、アプローチ3)とは異なる。むしろ、アプローチ4)は所定の基準位置とリアルタイム自動焦点信号の両方を使用し、基準位置はプレーン基板(すなわち、下層パターンがない)、第1層の印刷、他の方法から生成された後処理された位置から得られることができる。下層/下層パターンがあるかどうか、および/または下層パターンの配向/密度に応じて、異なるアプローチを使用することができる。
【0017】
図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態によるデジタルリソグラフィシステム100の概略図を示す。システム100では、光源102は、リフレクタ108およびレンズ110を介して光線104を基板106に投影するように構成される。基板は、ガラス、反射材料、金属、クロム、ポリマー、結晶または酸化物を含むが、これらに限定されない適切な材料で形成され得る。レンズは、光学レンズ、球面レンズまたは非球面レンズであり得る。光源102は、動作中に光源102を安定させるように構成された実装基板112を介してシステム100に実装され得る。適切な光源は、レーザ、連続波(CW:Continuous Wave)レーザ、品質(Q:Quality)スイッチレーザ、モードロックレーザなどを含むが、これらに限定されない。リフレクタ108は、ミラー、ガラス、金属などを含むが、これらに限定されない、任意の適切な材料で形成され得る。レンズ110は、ガラス、シリカ、結晶材料、ナノ結晶材料などを含むが、これらに限定されない、任意の適切な材料で形成された光学レンズであり得る。
【0018】
システム100は、少なくとも1つのイメージセンサ114を更に含み、イメージセンサ114をストリップボード115に実装し得る。いくつかの実施形態では、複数のイメージセンサ114をストリップボード上に列状に実装できる。イメージセンサ114は、リニアイメージセンサ、相補型金属酸化膜半導体(CMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor)またはアクティブピクセルイメージセンサ、電荷結合素子(CCD:Charge-Coupled Device)イメージセンサ、ラインバイライン方式で光学イメージをアナログ信号に変換する固体デバイス
などであり得る。イメージセンサ114は、基板106上の光源スポット116を検出するために使用され得る。図1に示すように、光線104は、基板106から光源スポット116で反射し、反射光線118をリフレクタ120に向ける。反射光線118は、リフレクタ120からリフレクタ122に反射し、そこで、自動焦点信号としてイメージセンサ114に向けられる。
【0019】
図1に示される実施形態では、システム100が単一の自動焦点チャネル124を有するが、いくつかの実施形態ではシステム100が複数の自動焦点チャネルを含み得ることを理解されたい。例えば、システム100は、各チャネルが光源およびリニアイメージセンサ対に関連付けられるように、複数の自動焦点チャネルを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のシステムは、少なくとも3つの自動焦点チャネルを含む。
【0020】
システム100は、制御装置126および1つまたは複数のモータ128からなるユニットを更に含み得る。適切な制御装置126には、比例制御装置、積分制御装置、比例積分制御装置、比例微分制御装置、または比例積分微分(PID)制御装置が含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
適切なモータには、リニアモータ、例えば、圧電モータ、超音波モータ、超音波共振モータ、ピエゾステッパモータ、ピエゾウォークモータ、ピエゾスティックスリップモータ、フレキシャ型モータ、および慣性モータが含まれるが、これらに限定されない。制御装置126は、1つまたは複数のリニアモータ128を作動させるように構成される。実施形態によれば、1つまたは複数のリニアモータ128は、基板106に対してレンズ110を移動させて、基板106上の光源104の焦点を改善および/または最適化する。データ処理ユニット130は、少なくとも1つのイメージセンサ114、光源102、および制御装置126に信号を送信し、そこから信号を受信する。
【0022】
図2は、基板206の表面207に対するレンズ210の位置の変化の概略図を示す。基板が処理を受けるにつれて、回路およびデバイスの特徴の層が構築され、レンズ210が光線を基板の表面上に集束させることが困難になる。本明細書に記載のシステムおよび方法は、基板の表面の位置を検出し、基板の表面上への光線の焦点を最適化するように構成される。
【0023】
図2に示されるように、光線204がスポット215でレンズ210を通って基板206に達すると、光線204は基板206から反射して、211でレンズ210に戻る。光源(図示せず)を使用した基板206の後続の走査中に、基板の表面の高さは、例えばΔZで表されるように207から209に変化し、基板の表面とレンズ210との間の距離が減少し得る。
【0024】
図2に示されるように、基板206の表面の高さが、209によって表されるようにレンズ210に向かってシフトするとき、光線213はスポット217で表面209から反射し、216でレンズ210に戻る。実施形態によれば、基板高さ(ΔZ)の変化は、自動焦点の信号重心の変化によって捉えられ、測定され得る。光線204は、スポット215で反射した後、リニアイメージセンサ214上にビームスポット218を生成する。ビームスポット218の重心が計算され、207と210との間の相対距離を表す。同様に、光線213は、リニアイメージセンサ214上にビームスポット219(追加する必要がある)を生成する。このように、リニアイメージセンサ214上のシフト(ΔL)は、基板の高さ変化(ΔZ)を捉えることができる。
【0025】
レンズ210の動きは、上述のような1つまたは複数の自動焦点チャネル、例えば、基板高さ(ΔZ)の変化に起因するリニアイメージセンサ214上のシフト(ΔL)によって決定され得る。基板表面(すなわち、207~209)の高さΔZの変化に起因する211~216(および、スポット215~217)のシフトΔLは、光源の焦点がずれることができ、および/またはムラを作製することができる。
【0026】
本明細書の実施形態によるシステムおよび方法は、基板の表面の高さ変化ΔZを考慮して、光源を再び集束するように用いられる。いくつかの実施形態では、基板の表面(例えば、スポット215、217)上への光源の入射と、リニアセンサ214に沿った反射光線の動きとの間に対応関係がある。例えば、線形シフトの測定は、レンズに対する基板の表面の高さの変化を示す。このように、システム100は、処理中に目標焦点(例えば、ピクセル数)を維持するために、自動焦点チャネルを使用して較正され得る。プレーン(コーティングされていない)基板を走査し、較正のために使用し得る。高さの変動は、基板材料(例えば、ガラス)の厚さの変動に基づく。基板は印刷中に予め走査され得て、次いで、基板上にピクセルを実際に印刷するとき、印刷がリアルタイムで走査される。基板を走査するとき、実際のピクセル数が変化する場合、制御装置は、光線が目標から一定数のピクセルだけ離れていると決定する。フィードバックループを使用して、制御装置126は、リニアモータ128に、レンズ110を移動させて、光線104の焦点を目標位置に戻すように命令する。
【0027】
図3Aは、イメージ走査中の光学レンズの焦点外れを表す基板高さマップを示す。制御装置およびモータユニットを使用して、デジタルリソグラフィシステム内の光源を自動的に焦点を合わせた。この基板高さマップは、処理中に焦点が制御されないときに生じる可能性がある問題を示す。この走査中、y軸に沿った70回の走査を、x軸に沿って12800フレームで実行した。基板高さマップは、レンズを通る基板のトポロジを示す。走査基板は、デバイス、回路特徴、およびフィルムの複数の層を具備していた。レンズは、基板の表面上ではなく、下層の特徴上に光線を集束させ、その結果、図示の水平および垂直の線が得られた。リニアモータが基板の表面を追跡するためにレンズを移動させることができない場合、結果として生じる誤差は焦点深度よりも大きくなり、印刷されたパターンは焦点がずれることになる。
【0028】
1つまたは複数の実施形態では、基板がクロムまたは他の金属および非金属材料を含有し得て、すなわち、基板は材料の組み合わせからなることもあり得る。同様に、基板の1つの領域は、基板の他の領域とは異なる材料の組み合わせを有し得る。このような不規則な材料を有する基板を光源が走査するにつれて、レンズが間違った位置に移動され、図3Aに示される線をもたらし得るので、光源は集束されなくなる。本明細書の1つまたは複数の実施形態によるシステムおよび方法は、この焦点ずれから生じる変動を除去するように構成される。言い換えれば、基板から反射する光線は、基板の表面から反射するのではなく、基板内の下層にあるデバイスまたは層から反射し得る。このように、レンズは、現在印刷されている表面上ではなく、下層の特徴上に光線を集束させようとする。これにより、モータがレンズを不要な位置に移動させ、光線の焦点がずれ、結果として図3Aに示すパターンになる。1つまたは複数の実施形態によるシステムおよび方法は、ここでは、これらの誤った信号を促進するのではなく、むしろそれらを補正する。本明細書に記載のシステムおよび方法は、高速走査中に正確な位置決め制御を維持するように構成される。レンズの動きの制御は、ムラを最小限に抑え、印刷の忠実度を改善することができる。
【0029】
図3Bは、イメージ走査内の低コントラストの不均一な輝度領域(即ち、ムラ)を表す基板高さマップを示す。ある場合では、レンズの不適切な動きが結果としてムラをもたらす可能性がある。図3Bの基板高さマップに示されるように、次の(x、y)座標:(10mm、-80mm)付近にムラが存在する。
【0030】
1つまたは複数の実施形態によれば、とりわけ、制御装置およびリニアモータをイメージセンサとともに使用してレンズの位置を制御するための方法400が本明細書に記載されている。1つまたは複数の実施形態では、制御装置がイメージセンサに沿った光線の位置に、および基板の表面の高さに対して較正される。図4に示す制御方法400は、自動焦点の信号重心を比例積分微分(PID)制御とともに利用して、レンズの位置を向ける。ブロック402において、光源は、レンズを介して光線を基板に投影する。
【0031】
ブロック404において、光線は基板から反射し、レンズを通って戻る。反射光線は、イメージセンサの長さに沿った複数の位置で光線を受信して、検出するように構成されたイメージセンサ(例えば、リニアイメージセンサ)に照射される。図2に示されるように、反射光線は、光線の予想位置211と実際の位置216との間のシフトΔLを決定するために使用され得る。
【0032】
ブロック406において、制御装置は、レンズを通ってイメージセンサ上に反射して戻り反射光線の位置を示す信号をイメージセンサから受信する。制御装置は、光線の実際の位置と光線の目標位置との間の差を決定する。図2に示すように、反射光線の長さに沿ったシフト(ΔL)は、基板の表面の高さ(ΔZ)の変化に対応する。
【0033】
ブロック408において、制御装置は、基板の表面の現在の高さを決定する。次いで、制御装置は制御方法、例えば、PID制御ループを、1つまたは複数のチャネルの自動焦点の信号重心とともに、フィードバックとして利用して、基板の決定された高さに対して適切な集束のためにレンズの動きを決定する。例えば、レンズが光線を基板の表面の下の下層構造に集束させる場合、制御装置はレンズを移動させて基板の表面上に光線を集束させる(すなわち、下層構造より上の高さに集束させる)。いくつかの実施形態では、制御装置が動的なチャネル選択を、1つまたは複数のチャネルの自動焦点の信号重心とともにフィードバックとして使用する。例えば、制御装置は、全てではないが一部のチャネルを動的に使用して、レンズの動きを制御する。他の実施形態では、制御装置がレンズの動きを制御するために全てのチャネルを使用する。1つまたは複数の実施形態では、自動信号がイメージセンサから収集され、次いで、これらの信号の重心が決定され、位置を確認するために使用される。
【0034】
いくつかの実施形態では、上述のPID制御ループに代わるものとして、方法400はカルマンフィルタ(すなわち、線形二次推定)を、フィードバックとして1つまたは複数のチャネルの自動焦点の信号重心と組み合わせる。本実施形態では、制御装置は、現在の1つまたは複数のチャネル測定値と組み合わされた1つまたは複数のチャネルの自動焦点の信号重心からの履歴データを利用する。本実施形態では、カルマンフィルタはまた、表面高さがどのように変化するかを予測し、制御装置がリニアモータを作動させてレンズを移動させ、光線を基板の表面上に集束させる。いくつかの実施形態では、カルマンフィルタは以下の式に基づく。
カルマンフィルタモデルは、時間kの真の状態が(k-1)における状態から次式に従って進展すると仮定する。
=Fk-1+B+w
式中、
・Fは、前の状態xk-1に適用される状態遷移モデルである。
・Bは、制御ベクトルuに適用される制御入力モデルである。
・wはプロセスノイズであり、これは共分散(Q)をもつゼロ平均多変量正規分布(N)から導かれると仮定される(w~N(0、Q))。
時間kにおいて、真の状態xの観測(または測定)zが、次式に従って行われる。
=H+v
式中、
・Hは観測モデルであり、これは真の状態空間を観測空間に写像する。
・vは観測ノイズであり、これは共分散(R)をもつゼロ平均ガウスホワイトノイズであると仮定される(v~N(0、R))。
初期状態、および各ステップにおけるノイズベクトル{x、w、...、w、v、...、v}は、全て相互に独立であると仮定される。
【0035】
いくつかの実施形態では、上述のPID制御ループに代わるものとして、方法400は、基板(例えば、基板の基準マップ)のための経験的基準位置を、フィードバックとしての1つまたは複数のチャネルのリアルタイム自動焦点の信号重心と組み合わせる。いくつかの実施形態では、各基板は、識別コードで追跡される基準マップを有する。本実施形態では、レンズの位置は、必ずしも1つまたは複数のチャネルからのリアルタイム自動焦点信号によって決定されるとは限らない。制御装置は、リアルタイム自動焦点信号とともに、制御装置によって制御されるレンズの事前に定義された基準位置の両方を利用する。基準位置は、プレーン基板(すなわち、下層パターンまたは特徴がない)、第1層の印刷、他の方法から生成された後処理された位置などから得られることができる。いくつかの実施形態では、下層または下層パターンがあるかどうか、下層パターンの配向または密度に応じて、上記の制御アプローチのいずれかを使用することができる。例えば、レンズを通過する光線は、基板の表面の様々な反射率のために焦点がずれ得る。本明細書に記載のシステムおよび方法は、基板の表面の実際の高さを測定するように構成される。これを行うために、基板表面の高さおよび/またはフィルタリングに関する以前の情報が、基板の表面上の光線の焦点を維持するためにレンズを移動させるために使用される。
【0036】
図5Aは、1つまたは複数のチャネルの自動焦点の重心とともに比例積分微分制御を使用して位置が決定されるときに、走査中に測定される基板高さを表す基板高さマップを示す。この走査中、y軸に沿った35回の走査を、x軸に沿って12,800フレームで実行した。制御装置は、自動焦点信号を収集し、これらの信号の重心を決定した。この重心は、レンズの位置を生成するためにPID制御装置によって使用された。いくつかの実施形態では、基板を走査するこの方法は、「ブランク基板」(例えば、完全な表面、コーティングされていない表面)上で使用され得る。
【0037】
図5Bは、1つまたは複数のチャネルの自動焦点の重心とともに動的なチャネル選択制御によって位置が決定されるときに、走査中に測定される基板高さを表す基板高さマップを示す。この制御方法は、特定の自動焦点チャネルを動的に選択するために使用され、全てではないが、いくつかのチャネルが動きを決定するためにPID制御装置へのフィードバックとして使用され得る。この走査中、3つの自動焦点チャネル(すなわち、3つのイメージセンサおよび光源の対)が使用され、各走査用のデータがメモリに記憶され、制御装置によってアクセス可能であった。最良の信号を有するチャネルからのデータを制御ループで使用した。いくつかの実施形態では、制御装置は、チャネル数を動的に選択することができる。走査中、光線は、特定のピクセル位置に着地し得る。いくつかの位置は、複雑なデバイス特徴、反射材料、および/または多層構造の上にあり得る。そのような位置における走査は、比較的より多くのノイズを有し得る(すなわち、レンズは、そのピクセル位置での焦点合わせが困難である)。システムは、フィードバック信号を改善するために、その位置におけるチャネル数を動的に増やし得る。この方法を使用してレンズの位置を制御することにより、図3Aに示されるような線を除去および/または減少させる。
【0038】
図6Aは、自動焦点の重心とともにPID制御を使用して位置が決定されるときに、走査中に測定される基板高さを表す基板高さマップを示す。この基板高さマップを生成するために、y軸に沿った57回の走査を、x軸に沿って6,545フレームで実行した。この方法を使用してレンズの位置を制御することにより、図3Aに示されるような線を除去および/または減少させる。
【0039】
図6Bは、カルマンフィルタ制御とともに自動焦点の重心によって位置が決定されるときに、走査中に測定される基板高さを表す基板高さマップを示す。この方法は、より低周波数の信号のみが通過するように、ステレオ上の高音部制御を下げる方法に類似する。本実施形態では、この方法を使用してレンズの位置を制御することにより、図3Aに示されるような線を除去および/または減少させる。
【0040】
図7Aは、比例積分微分制御とともに自動焦点の重心によって位置が決定されるときに、走査中に測定される基板高さを表す基板高さマップを示す。この走査中、x軸に沿った6,400フレームに対してy軸に沿って55回の走査を実行した。基板高さマップは、結果としていくつかの線パターンになった。
【0041】
図7Bは、リアルタイム自動焦点信号のフィードバック制御とともに基準位置によって位置が決定されるときに、走査中に測定される基板高さを表す基板高さマップを示す。これらの走査中、経験的基準位置を利用した。例えば、本明細書に記載のシステムおよび方法は、各データ走査をメモリに記憶し得る。各1つまたは複数の前の層は、基準として制御システムによって利用され得る。この基準データ(または履歴データ)は、制御ループ内のフィードバック信号としてリアルタイムイメージセンサ信号を利用され、組み合わせられ得る。いくつかの実施形態では、リアルタイム信号は、基板内の複数の層の結果としてノイズを含み得る。このように、リアルタイム信号は、過度のノイズのために無視され得る。
【0042】
例えば、リアルタイム信号は、信号が信頼できると判定されたときに利用され得る。いくつかの実施形態では、フィードバックのためにリアルタイム信号を使用して、制御装置は基板の特定領域(またはピクセル)における基板の実際の高さを知る。この実際の高さは、基準マップがシステムのメモリ内に記憶され、高さの差を決定することができるので、第1の層と比較することができる。制御装置は、この対応するピクセル領域においてこの差を適用することになる。本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態によれば、リニアモータを作動させてレンズの位置を制御するために制御装置によってこの方法を利用すると、図3Aに提示される走査と比較して、図7Bに示されるノイズまたは線パターンが実質的に減少または除去される。
【0043】
図8は、本明細書で論じられる方法のうちのいかなる1つまたは複数の方法を実行するために、本明細書に記載されるようなシステムによって実行可能な命令セットを含む、コンピュータシステム800の例示的な形態での機械の図式表示を図示する。一実装形態では、システムは、図1、2、および4に関連して示され、記載されるプロセスおよび対応する構成要素の実行を可能にするための命令を含み得る。
【0044】
代替の実装形態では、システムは、LAN、イントラネット、エクストラネット、またはインターネット内の他の機械に接続された(例えば、ネットワーク化された)機械を含み得る。機械は、クライアントサーバネットワーク環境でのサーバマシンとして動作し得る。機械は、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)、ニューラルコンピュータ、セットトップボックス(STB:Set-Top Box)、形態情報端末(PDA)、携帯電話、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ、もしくはブリッジ、またはその機械によって行われるべきアクションを指定する命令セット(連続的または他の方法)を実行することが可能な任意の機械であり得る。更に、単一の機械のみが図示されているが、「機械」という用語は、本明細書に記載の方法のうちのいかなる1つまたは複数の方法を実行するために、1つの命令セット(または複数のセット)を個々にまたは共同で実行する機械のいかなる集合を含むものと解釈されるべきである。
【0045】
例示的なコンピュータシステム800は、バス830を介して互いに通信する、処理デバイス(プロセッサ)802、メインメモリ804(例えば、読み出し専用メモリ(ROM:Read-Only Memory))、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM:Synchronous DRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM:Dynamic Random Access Memory)、スタティックメモリ806(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:Static Random Access Memory))、およびデータオブジェクト記憶デバイス818を含むことができる。
【0046】
処理デバイス802は、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの1つまたは複数の汎用処理デバイスを表す。より詳細には、処理デバイス802は、複合命令セットコンピューティング(CISC:Complex Instruction Set Computing)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC:Reduced Instruction Set Computing)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW:Very Long Instruction Word)マイクロプロセッサ、または他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組み合わせを実装するプロセッサであり得る。処理デバイス802はまた、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ネットワークプロセッサなどの1つまたは複数の専用処理デバイスであり得る。本開示の様々な実装形態では、処理デバイス802は、本明細書に記載の動作およびプロセスを実行するために、本明細書に記載のデバイスまたはシステムに対する命令を実行するように構成される。
【0047】
コンピュータシステム800は、ネットワークインターフェースデバイス808を更に含み得る。コンピュータシステム800はまた、ビデオ表示ユニット810(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)または陰極線管(CRT:Cathode Ray Tube))、英数字入力デバイス812(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス814(例えば、マウス)、および信号生成デバイス816(例えば、スピーカ)を含み得る。
【0048】
データ記憶デバイス818は、コンピュータ可読媒体828を含み得て、その上に、本明細書の記載の方法論または機能のうちのいかなる1つまたは複数の方法論または機能を実施する、本明細書で記載されるようなデバイスおよびシステムのうちの1つまたは複数の命令セットが記憶される。命令はまた、コンピュータシステム800、メインメモリ804、および処理デバイス802もまたコンピュータ可読媒体を構成することによって、それらの実行中に、メインメモリ804内および/または処理デバイス802の処理ロジック826内に、完全にまたは少なくとも部分的に存在し得る。
【0049】
命令は更に、ネットワークインターフェースデバイス808を介してネットワーク820を通じて送信または受信され得る。コンピュータ可読記憶媒体828は、例示的な実装形態では単一の媒体であるように示されているが、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は1つまたは複数の命令セットを記憶する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、および/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むと解釈されるべきである。「コンピュータ可読記憶媒体」という用語はまた、機械による実行のための命令セットを記憶、コード化、または伝達することが可能であり、機械に本開示の方法論のうちのいかなる1つまたは複数の方法論を実行させるいかなる媒体も含むものと解釈されるべきである。それに応じて、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、限定はしないが、固体メモリ、光媒体、および磁気媒体を含むものと解釈されるべきである。
【0050】
前述の説明は本開示のいくつかの実施形態の良好な理解を提供するために、特定のシステム、構成要素、方法などの例のような、多数の具体的な詳細を記載する。しかしながら、本開示の少なくともいくつかの実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが、当業者には明らかであろう。他の例では、既知の構成要素または方法は、本開示を不必要に不明瞭にすることを避けるために、詳細に記載されないか、または単純なブロック図で提示される。したがって、記載される具体的な詳細は、単なる例示である。特定の実装形態は、これらの例示的な詳細とは異なり得て、依然として、本開示の範囲内であることが意図され得る。
【0051】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそぐわないことを示さない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば、「前駆体」への言及は、単一の前駆体ならびに2つ以上の前駆体の混合物を含み、「反応物」への言及は、単一の反応物ならびに2つ以上の反応物の混合物などを含む。
【0052】
本明細書を通して「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「一実施形態では」または「実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではない。加えて、「または」という用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味することが意図される。「約」または「およそ」という用語は、本明細書で使用される場合、これは、「約10」が9~11を含むことになるように、提示される公称値が±10%以内で正確であることを意味することが意図される。
【0053】
測定された量に関連する「少なくとも約」という用語は、測定を行い、測定の対象および測定機器の精度、ならびにそれよりも高いいかなる量に見合ったレベルの注意を行使することにおいて当業者によって予測されるような、測定された量での通常の変動を指す。ある種の実施形態では、「少なくとも約」という用語は、列挙された数から10%を引いたもの、および「少なくとも約10」が9および9より大きいものを含むことになるようなより大きないかなる量も含む。この用語は、「約10以上」と表現することもできる。同様に、「約~未満」という用語は、通常、列挙された数に10%を加えたものを含み、「約10未満」は11および11未満のものを含むことになるように、より少ないいかなる量も含む。この用語は、「約10以下」と表現することもできる。
【0054】
本明細書中の数値範囲の説明は、本明細書中で示されない限り、単にその範囲内に該当する各別個の値を個々に言及するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各別個の値は本明細書中で個々に列挙されるかのように、明細書に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または明らかに文脈に矛盾しない限り、いかなる適切な順序で実行することができる。本明細書で提供される任意のおよび全ての例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に特定の材料および方法を明示することを意図しており、範囲を限定するものではない。本明細書中のいかなる言語も、開示された材料および方法の実施に不可欠なものとして、特許請求されていないいかなる要素も示すものと解釈されるべきではない。
【0055】
本明細書における方法の動作が特定の順序で示され、記載されるが、各方法の動作の順序は、特定の動作が逆の順序で実行され得るように、または特定の動作が少なくとも部分的に、他の動作と同時に実行され得るように、変更され得る。別の実施形態では、別個の動作の命令または副動作は、断続的および/または交互の方法であり得る。
【0056】
上記明細書は例示的なものであり、限定的なものでないことが意図されることを理解すべきである。多くの他の実施形態は、上記明細書を読み、理解することにより、当業者に明らかになるのであろう。それ故に、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲とともに決定されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
【国際調査報告】