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特表2024-524849半導体処理システムにおいてラジカル濃度を検出および定量化するための装置
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  • 特表-半導体処理システムにおいてラジカル濃度を検出および定量化するための装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】半導体処理システムにおいてラジカル濃度を検出および定量化するための装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/42 20060101AFI20240702BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240702BHJP
   H01J 49/14 20060101ALI20240702BHJP
   G01N 27/62 20210101ALI20240702BHJP
【FI】
H01J49/42 150
H01L21/302 101Z
H01J49/14 700
G01N27/62 V
G01N27/62 F
G01N27/62 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574345
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 US2022029302
(87)【国際公開番号】W WO2022256161
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/242,402
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/196,576
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/735,837
(32)【優先日】2022-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モアレム, メヘラン
【テーマコード(参考)】
2G041
5F004
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041DA13
2G041EA05
2G041FA02
2G041GA03
2G041GA15
2G041GA22
2G041GA30
2G041LA01
2G041LA02
2G041LA08
5F004CB04
5F004CB14
(57)【要約】
本明細書で開示される実施形態が、中性ラジカル濃度を測定するための処理ツールを含む。一実施形態では、処理ツールは、処理チャンバと、処理チャンバに流体的に結合された中性ラジカル質量分析(NRMS)分析器とを備える。一実施形態では、NRMS分析器は、処理チャンバに流体的に結合された第1のチャンバであって、第1のチャンバが変調器を備える、第1のチャンバと、第1のチャンバに流体的に結合された第2のチャンバであって、第2のチャンバが残留ガス分析器または質量分析計である、第2のチャンバとを備える。一実施形態では、妨害されていない見通し線が処理チャンバから第2のチャンバまで通る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバと、
前記処理チャンバに流体的に結合された中性ラジカル質量分析(NRMS)分析器と
を備える、処理ツールであって、前記NRMS分析器が、
前記処理チャンバに流体的に結合された第1のチャンバであって、前記第1のチャンバが変調器を備える、第1のチャンバと、
前記第1のチャンバに流体的に結合された第2のチャンバであって、前記第2のチャンバが残留ガス分析器または質量分析計であり、妨害されていない見通し線が前記処理チャンバから前記第2のチャンバまで通る、第2のチャンバと
を備える、処理ツール。
【請求項2】
前記第1のチャンバが、前記処理チャンバの圧力よりも低い第1の圧力におけるものであるように構成され、前記第2のチャンバが、前記第1の圧力よりも低い第2の圧力におけるものであるように構成される、請求項1に記載の処理ツール。
【請求項3】
前記第1の圧力および前記第2の圧力を与えるために、差動排気が使用される、請求項2に記載の処理ツール。
【請求項4】
前記第1の圧力が約1mTorrから約100mTorrの間であり、前記第2の圧力が約0.1μTorrから約100μTorrの間である、請求項2に記載の処理ツール。
【請求項5】
前記処理チャンバと前記第1のチャンバとの間のバルブ
をさらに備える、請求項1に記載の処理ツール。
【請求項6】
前記バルブが遮断ゲートバルブである、請求項5に記載の処理ツール。
【請求項7】
前記変調器が、1つまたは複数の開口を備えるディスクであり、前記ディスクが、所望の変調周波数を与えるために回転されるように構成される、請求項1に記載の処理ツール。
【請求項8】
前記変調周波数が約10Hzから約1000Hzの間である、請求項7に記載の処理ツール。
【請求項9】
前記第2のチャンバが四重極質量分析計である、請求項1に記載の処理ツール。
【請求項10】
前記四重極質量分析計が、クロスビームイオン化を与えるように構成される、請求項9に記載の処理ツール。
【請求項11】
前記第2のチャンバがセンサをさらに備える、請求項1に記載の処理ツール。
【請求項12】
前記センサが、電子増倍管またはファラデーカップである、請求項11に記載の処理ツール。
【請求項13】
基板を処理する方法であって、
基板を備える処理チャンバにおいてプラズマを始動することと、
前記処理チャンバに流体的に結合された中性ラジカル質量分析(NRMS)分析器により、前記プラズマ中のラジカル種の濃度を測定することと、
前記プラズマ中の前記ラジカル種の測定された濃度を前記ラジカル種の設定点濃度と比較することと、
前記ラジカル種の前記測定された濃度を前記ラジカル種の前記設定点濃度に戻すために、コントローラにより1つまたは複数のプラズマパラメータを調整することと
を含む、方法。
【請求項14】
前記NRMS分析器は、前記NRMS分析器のセンサによって感知された信号を変調するために、変調器を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記センサによって感知された前記変調される信号が、ノイズを低減するためにロックイン増幅器に与えられる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記NRMS分析器が四重極質量分析計を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記四重極質量分析計が、クロスビームイオン化を使用するように構成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
1つまたは複数のプラズマパラメータを調整することが、使用して実装される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
処理チャンバと、
前記処理チャンバに流体的に結合された中性ラジカル質量分析(NRMS)分析器と
を備える、プラズマ処理ツールであって、前記NRMS分析器が、
遮断ゲートバルブによって前記処理チャンバに流体的に結合された第1のチャンバであって、前記第1のチャンバが変調器を備え、第1のポンプが前記第1のチャンバに流体的に結合された、第1のチャンバと、
前記第1のチャンバに流体的に結合された第2のチャンバであって、前記第2のチャンバが残留ガス分析器または質量分析計であり、第2のポンプが前記第2のチャンバに流体的に結合され、妨害されていない見通し線が前記処理チャンバから前記第2のチャンバまで通る、第2のチャンバと
を備える、プラズマ処理ツール。
【請求項20】
前記NRMS分析器が、前記処理チャンバ中のラジカル種濃度の閉ループ制御を与えるように構成される、請求項19に記載のプラズマ処理ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年6月3日に出願された米国仮出願第63/196,576号および2021年9月9日に出願された米国仮出願第63/242,402号の利益を主張する、2022年5月3日に出願された米国出願第17/735,837号の優先権を主張する。
【0002】
本開示の実施形態は、半導体処理の分野に関し、詳細には、中性ラジカル質量分析(NRMS:neutral radical mass spectrometry)を実装するためのツールと、NRMSツールを使用する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体処理では、ラジカル種(radical species)が、しばしば、チャンバにおける様々な処理動作のために使用される。たとえば、原子状フッ素など、ラジカル種は、エッチングまたはチャンバ洗浄プロセスにおいて使用され得る。ラジカル種は、様々なプロセスによって形成され得る。ラジカル種を生成するための1つのプロセスは、プラズマを使用することである。たとえば、フッ素含有ガスがチャンバに流入され、プラズマは、化合物を元素フッ素に分解する。ラジカル種は、化学反応性が高い。プラズマ中に生成された化学的に活性なフリーラジカルは、サンプル表面(たとえば、ウエハ表面)に拡散することができる。フリーラジカルは、化学反応における活性化エネルギーを減少させ、材料除去を生じる。揮発性化学反応副生成物は、真空システムによってサンプル表面およびプロセスチャンバから除去される。
【0004】
ラジカル種のプロセス制御は、困難である。特に、処理チャンバ中のラジカル種濃度を効果的に測定することが、現在可能でない。これは、ラジカル種の反応性が高い性質に一部起因する。ラジカル種が何らかの表面または他の化合物に接触するときはいつでも、ラジカル種は反応する。表面がラジカル種と反応しない場合でも、表面は、依然として、ラジカルの互いとの再結合のための部位として働き、したがって、それらの種を他の役に立たない化合物に変換し得る。したがって、既存の質量分析ツールは、ラジカル種の濃度を測定することが可能でない。ラジカル種濃度を定量的に測定する能力がなければ、閉ループ制御など、効果的なプロセス制御は、既存の半導体製造ツールにおいて可能でない。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で開示される実施形態が、中性ラジカル濃度を測定するための処理ツールを含む。一実施形態では、処理ツールは、処理チャンバと、処理チャンバに流体的に結合された中性ラジカル質量分析(NRMS)分析器とを備える。一実施形態では、NRMS分析器は、処理チャンバに流体的に結合された第1のチャンバであって、第1のチャンバが変調器を備える、第1のチャンバと、第1のチャンバに流体的に結合された第2のチャンバであって、第2のチャンバが残留ガス分析器または質量分析計である、第2のチャンバとを備える。一実施形態では、妨害されていない見通し線(line of sight)が処理チャンバから第2のチャンバまで通る。
【0006】
本明細書で開示される実施形態は、基板を処理する方法をも含み得る。一実施形態では、方法は、基板を備える処理チャンバにおいてプラズマを始動することを含む。一実施形態では、方法は、処理チャンバに流体的に結合された中性ラジカル質量分析(NRMS)分析器により、プラズマ中のラジカル種の濃度を測定することを続ける。一実施形態では、方法は、プラズマ中のラジカル種の測定された濃度をラジカル種の設定点濃度と比較することと、ラジカル種の測定された濃度をラジカル種の設定点濃度に戻すために、コントローラにより1つまたは複数のプラズマパラメータを調整することとをさらに含む。
【0007】
追加の実施形態が、プラズマ処理ツールを含み得る。一実施形態では、処理ツールは、処理チャンバと、処理チャンバに流体的に結合された中性ラジカル質量分析(NRMS)分析器とを備える。一実施形態では、NRMS分析器は、遮断ゲートバルブ(isolation gate valve)によって処理チャンバに流体的に結合された第1のチャンバであって、第1のチャンバが変調器を備え、第1のポンプが第1のチャンバに流体的に結合された、第1のチャンバを備える。一実施形態では、NRMS分析器は、第1のチャンバに流体的に結合された第2のチャンバであって、第2のチャンバが残留ガス分析器または質量分析計であり、第2のポンプが第2のチャンバに流体的に結合され、妨害されていない見通し線が処理チャンバから第2のチャンバまで通る、第2のチャンバをさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による、中性ラジカル質量分析(NRMS)分析器に結合された処理チャンバの概略図である。
図2】一実施形態による、NRMS分析器において使用するための変調器の図である。
図3A】一実施形態による、残留ガス分析器の概略図である。
図3B】一実施形態による、クロスビームイオン化を使用する残留ガス分析器の概略図である。
図4】一実施形態による、低いバックグラウンドノイズをもつラジカル濃度を測定するためのプロセスの図である。
図5】一実施形態による、閉ループ制御を使用して処理チャンバ中で基板を処理するプロセスフロー図である。
図6】本開示の一実施形態による、例示的なコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
中性ラジカル質量分析(NRMS)を実装するためのツールとNRMSツールを使用する方法とが、本明細書で説明される。以下の説明では、本開示の実施形態の徹底的な理解を与えるために、多数の具体的な詳細が記載される。これらの具体的な詳細なしに本開示の実施形態が実践され得ることは、当業者には明らかであろう。他の事例では、集積回路製造など、よく知られている態様は、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、詳細に説明されない。さらに、図に示されている様々な実施形態は、例示的な表現であり、必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らないことを理解されたい。
【0010】
上述のように、プラズマチャンバなど、処理ツール中のラジカル種の濃度を測定することが、現在可能でない。ラジカル種は、他の元素とのそれらの高い化学反応性に一部起因して、測定することが困難である。たとえば、ラジカル種は、プロセスにおける他のガス、ワークピースの表面、チャンバの表面などと反応し得る。ラジカル種は、プロセスにおける所望の化学反応の主要な要因である(たとえば、ラジカルフッ素は、エッチング動作における主要な要因である)ので、ラジカル種濃度の定量的測定をリアルタイムで得ることが、大いに望ましい。
【0011】
ラジカル種の濃度の定量的測定を有する能力がなければ、処理環境の閉ループ制御が可能でない。閉ループ制御は、進行中のプロセスにおける処理条件を修正するための、コントローラへのフィードバック信号としての定量的測定の使用を指す。たとえば、ラジカル種の測定の場合、ラジカル種の濃度が測定され得、測定された値は設定点値と比較され得る。測定された値が設定点値を下回るとき、ラジカル種の生成速度および出力濃度を増加させるために、処理パラメータが変更され得、測定された値が設定点値を上回るとき、ラジカル種の濃度を減少させるために、処理パラメータが変更され得る。したがって、より安定した再生可能なプロセスが、実装され得る。
【0012】
したがって、本明細書で開示される実施形態は、中性反応(ラジカル)質量分析(NRMS)分析器の使用を含む。NRMS分析器は、プラズマ処理チャンバなど、処理チャンバに結合される。NRMS分析器は、真空チャンバのペアを含み得る。第1の真空チャンバが変調器を含み、第2のチャンバが残留ガス分析器を備える。差動排気(differential pumping)は、第1の真空チャンバが、処理チャンバよりも低い圧力におけるものであることを可能にし、第2の真空チャンバが、第1の真空チャンバよりも低い圧力におけるものであることを可能にする。圧力の逓減により、ラジカルを含む分子ビームが、処理チャンバから残留ガス分析器まで進むことになる。さらに、処理チャンバから残留ガス分析器までの見通し線経路が存在する。これは、分子ビームがプラズマ源と残留ガス分析器との間の表面に接触しないことを保証する。したがって、プロセスチャンバ中のラジカル濃度の正確なおよび再生可能な測定が行われる。
【0013】
一実施形態では、NRMS分析器は、ノイズの存在を緩和するための変調器をさらに含む。変調器は、分子ビームをチョップし、ビームがRGAによって検出されたとき、変調器は、ロックイン増幅器を使用して処理され得る方形波信号を生成する。方形波信号の周波数は知られているので、異なる周波数におけるものであるノイズがフィルタで除去され、高い信号対雑音比をもつ純粋な信号を後に残し得る。したがって、処理動作の閉ループ制御が可能であるコントローラに通知するために、正確なおよび高感度の示度が使用され得る。
【0014】
次に図1を参照すると、一実施形態による、ツール100の概略図が示されている。一実施形態では、ツール100は処理チャンバ105を備える。処理チャンバ105は、プラズマチャンバまたは低大気圧チャンバ(sub-atmospheric chamber)であり得る。一実施形態では、処理ツール105は、エッチング動作、堆積動作、チャンバ洗浄動作、プラズマ処理動作、または半導体製造設備でよく見る他のタイプの動作のために好適である。一実施形態では、1つまたは複数の基板(たとえば、ウエハ)(図示せず)が、処理ツール105内に与えられ得る。一実施形態では、処理チャンバ105は、所望の動作のために好適な圧力において維持され得る。特定の実施形態では、圧力は、約1Torrから約200Torrの間であり得る。
【0015】
一実施形態では、ツール100は、処理チャンバ105に流体的に結合されたNRMS分析器120をさらに備え得る。たとえば、バルブ107が、処理チャンバ105とNRMS分析器120との間の管に沿って与えられ得る。一実施形態では、バルブ107は、処理チャンバ105とNRMS分析器120との間の妨害されていない見通し線170を可能にするタイプのバルブである。たとえば、バルブ107は、遮断ゲートバルブであり得る。遮断ゲートバルブは、バイナリ動作状態を可能にし得る。すなわち、バルブ107は、開(すなわち、1)または閉(すなわち、0)であり得る。バルブ107が開であるとき、見通し線170は妨害されず、処理チャンバ105からの純粋な分子ビームが通り、NRMS分析器120中に入り得る。そのようなバルブ107の使用は、一般的なバルブ使用される処理チャンバとは別個である。一般的には、ニードルバルブが使用されるであろう。しかしながら、ニードルバルブは、見通し線170が妨害されることを生じる。したがって、純粋な分子ビームは、ニードルバルブが使用されるとき、処理チャンバ105から外に進まないことがある。
【0016】
一実施形態では、NRMS分析器120は、第1のチャンバ125を備え得る。第1のチャンバは、管によってバルブ107に流体的に結合される。一実施形態では、オリフィス108が、バルブ107と第1のチャンバ125との間に与えられ得る。オリフィス108は、約1mmまたはより小さい直径を有し得る。しかしながら、見通し線170が、妨害されずにオリフィス108を通過することを諒解されたい。一実施形態では、第1のチャンバ125は、処理チャンバ105よりも低い圧力におけるものであり得る。たとえば、ターボポンプ123が、第1のチャンバ125に所望の圧力を与え得る。一実施形態では、第1のチャンバ125中の圧力は、約1mTorrから約100mTorrの間であり得る。特定の実施形態では、第1のチャンバ125中の圧力は、約10mTorrであり得る。バルブ124が、第1のチャンバ125とターボポンプ123との間に与えられ得る。ターボポンプ123は、フォアポンプ113に流体的に結合され得る。
【0017】
互いに流体的に結合されているにもかかわらず、処理チャンバ105と第1のチャンバ125との間の圧力差が、維持され得る。圧力差は、小さいオリフィス108とターボポンプ123との使用によって維持され得る。すなわち、ターボポンプ123は、処理チャンバ105のために使用されるものと同じポンプでない。そのようなセットアップ(すなわち、各チャンバがそれ自体のポンプを有するセットアップ)は、本明細書では差動排気構成と呼ばれることがある。一実施形態は、2つの差動排気されるチャンバに接続された異なる段階をもつ多段ポンプの使用であり、したがって各チャンバ中の異なる圧力を可能にし得る。ラジカル種は、妨害されていない見通し線170に沿って処理チャンバ150から第1のチャンバ125に流れるが、後続のチャンバ中のより低い圧力は、ターゲット種のバックグラウンドを低減し、したがって信号対雑音比を効果的に増加させる。
【0018】
一実施形態では、第1のチャンバ125は、変調チャンバと呼ばれることがある。これは、第1のチャンバ125が変調器127を備え得るからである。変調器127は、分子ビームが変調されることを可能にするデバイスであり得る。たとえば、変調器127は、分子ビームがわずかな時間通過することを可能にする、正しい位置における開口をもつ回転ディスクを含み得るが、変調器127は、残りの時間分子ビームを遮断する。したがって、分子ビームは、変調器127によってオンおよびオフに切り替えられる。
【0019】
次に図2を参照すると、一実施形態による、変調器の図が示されている。図示のように、変調器227は開口228を備える。変調器227が(矢印によって示されるように)スピンされるとき、開口228はオリフィス208と整合する。開口228がオリフィス208と整合されるとき、信号はオンであり、開口がオリフィス208と整合されないとき、信号はオフである。回転のスピードは、所望の周波数を信号に与えるように選択され得る。たとえば、周波数は、約10Hzから約1000Hzの間にあるように選定され得る。特定の実施形態では、周波数は約40Hzであり得る。図示の実施形態では、単一の開口228が示されている。ただし、変調器227の回転のスピードを増加させる必要なしに信号周波数を増加させるために、複数の開口228が使用され得ることを諒解されたい。
【0020】
再び図1を参照すると、第2のチャンバ130が、第1のチャンバ125に流体的に結合される。第2のチャンバ130は、残留ガス分析器(RGA)、質量分析計などであり得る。第2のチャンバ130は、第1のチャンバ125の圧力よりも低い圧力において維持される。一実施形態では、第2のチャンバ130は、約0.1μTorrから約100μTorrの間の圧力を有し得る。特定の実施形態では、第2のチャンバ130中の圧力は、約1μTorrであり得る。第2のチャンバ130中の圧力は、ターボポンプ133によって維持され得る。上述のように、第1のチャンバ125と第2のチャンバ130との間の別個のターボポンプ133の使用は、差動排気と呼ばれることがある。
【0021】
一実施形態では、第2のチャンバ130は、2つのチャンバ間の管に沿ってオリフィス109を通って第1のチャンバ125に流体的に結合される。オリフィス109は、約1mmまたはより小さい直径を有し得る。小さい直径にもかかわらず、見通し線170は、第1のチャンバ125から第2のチャンバ130まで続く。すなわち、見通し線170は、処理チャンバ105から、第1のチャンバ125へ、および第2のチャンバ130中まで、妨害されていない。したがって、ラジカル種の分子ビームは、処理チャンバ105から第2のチャンバ130(すなわち、質量分析計またはRGA)まで、表面に接触することなしに通ることができる。分子ビームの純粋な性質は、第2のチャンバ125において、処理チャンバ105内のラジカルの濃度と本質的に同等である濃度示度を生じる。
【0022】
次に図3Aを参照すると、一実施形態による、第2のチャンバ330の概略図が示されている。第2のチャンバ330は、イオン源と質量フィルタとを備え得る。質量フィルタは、特定の原子または分子質量対電荷比を有するイオン種を除くすべてのイオン種をフィルタで除去するように調節され得る。図示のように、見通し線370は、第2のチャンバのRGA構成要素を通って続く。特定のRGAアーキテクチャが図3Aに示されているが、任意の好適なRGAまたは質量分析計構成がNRMS分析器120とともに使用され得ることを諒解されたい。
【0023】
図3Aに示されている特定の実施形態では、四重極質量分析計が示されている。すなわち、ロッド335のペアが、図示の断面図に示されている。第3および第4のロッド335は、図3Aの平面の外にある。一実施形態では、フィラメント331が、RGAデバイスの第1の端部において与えられる。フィラメント331は、タングステンフィラメントであるか、または電子を生成するための任意の他の好適な材料であり得る。一実施形態では、フィラメント331は、約-70Vの電位において保持される。電子は、イオン源の接地された構成要素334を通る開口332を通って光学経路370に入る。電子は、見通し線370に沿って反応種に当たり、それらをイオン化する。負電位イオン光学および抽出プレート336が、イオン化された反応種を、RGAデバイスの質量フィルタ部分に入る前に集束させる。
【0024】
質量フィルタは、4つのロッド335のセットを含み得る。ロッド335は、AC電圧を供給され得る。たとえば、AC電圧は約2,000Vであり得る。一実施形態では、AC電圧を介してDC電圧が供給され得る。DC電圧の制御が、4つのロッド335を通ってセンサ337に伝搬することになる質量の選択を可能にする。特定の実施形態では、DC電圧は、約0Vから約100Vの間であり得る。センサ337は、RGAデバイスをうまく通り抜けたラジカル種の数を感知する。一実施形態では、センサ337は、デバイスの感度を増加させるために電子増倍管を備え得る。他の実施形態では、センサ337は、ファラデーカップを備え得る。
【0025】
次に図3Bを参照すると、追加の実施形態による、RGAデバイスの断面図。図3B中のRGAは、クロスビームイオン化を利用する。軸によって示されるように、分子ビーム370に沿った中性が、左から右に進む。フィラメント331からの電子は、図3Bの平面に伝搬する。中性種との電子の衝突から生じるイオンは、次いで、質量フィルタ部分およびセンサ337のほうへ下に伝搬される。すなわち、センサ337は、いくつかの実施形態では、分子ビーム370に沿っている必要はない。
【0026】
再び図1を参照すると、信号180が、NRMS分析器120からコンピュータ185に与えられる。図示のように、信号180は、変調された信号(たとえば、方形波)である。変調された信号180は、変調器127の結果として与えられる。以下でより詳細に説明されるように、変調された信号180は、高い信号対雑音比を与えるために信号処理動作とともに使用され得る。一実施形態では、コンピュータ185は、変調された信号180を入力として受信することが可能である任意の計算デバイスであり得る。そのような実施形態では、コンピュータ185は、処理チャンバ105中のラジカル種の濃度を決定するために、変調された信号180を分析し得る。特定の実施形態では、コンピュータ185はコントローラであり得る。ラジカル濃度が所望の設定点から離れているとき、コントローラは、ラジカル濃度を所望の設定点に戻すために、処理チャンバ105の1つまたは複数の処理パラメータ(たとえば、ガス流量、電圧、周波数、または任意の他の制御可能パラメータ)を変更するように構成され得る。このようにして、NRMS分析器120は、処理環境の閉ループ制御を可能にする。
【0027】
次に図4を参照すると、一実施形態による、NRMS分析器120によって取得された信号を処理するための方法のプロセスフローが示されている。図示のように、信号452が、第2のチャンバ430(たとえば、RGAまたは質量分析計)の端部における高利得電子増倍管451によって生成される。図示のように、信号452は、変調された信号(たとえば、方形波)である。変調器127の変調周波数が知られているので、変調器信号454が、ロックイン増幅器453にフィードされ得る。ロックイン増幅器は本質的に、変調周波数におけるものでない信号のすべてをフィルタで除去し、高い信号対雑音比信号を後に残す。高速フーリエ変換(FFT)が次いで、大きさおよび位相を与え、これは、デジタイザ455にフィードされ得る。得られた信号は、次いで、コンピュータ456に与えられる。コンピュータ456は、処理チャンバにおける処理動作の閉ループ制御を与えるために、コントローラとして使用され得る。一実施形態では、RGAからの方形波信号と変調器からの制御信号とは、最初にデジタル化され得、次いで、デジタル情報は、大きさおよび位相についてのFFT値を数値的に取得するために処理され、したがって、ロックイン検出器のハードウェアを、フーリエ変換アルゴリズムを採用するソフトウェアと置き換える。
【0028】
閉ループ制御は、進行中のプロセスにおける処理条件を修正するための、コントローラへのフィードバック信号としての定量的測定値の使用を指すことを諒解されたい。たとえば、ラジカル種の測定の場合、ラジカル種の濃度が測定され得、測定された値は設定点値と比較され得る。測定された値が設定点値を下回るとき、ラジカル種の生成速度および出力濃度を増加させるために、処理パラメータが変更され得、測定された値が設定点値を上回るとき、ラジカル種の濃度を減少させるために、処理パラメータが変更され得る。したがって、より安定した再生可能なプロセスが、実装され得る。
【0029】
次に図5を参照すると、一実施形態による、閉ループ制御を使用して処理チャンバ中で基板を処理するためのプロセス590を示すプロセスフロー図が示されている。一実施形態では、処理チャンバは、ラジカル種を利用する任意のプロセスのために使用され得る。いくつかの実施形態では、プロセス590は、エッチング動作、堆積動作、チャンバ洗浄動作、プラズマ処理動作、または半導体製造設備でよく見る他のタイプの動作である。特定の実施形態では、プロセス590は、プロセスを実装するためにラジカル種を利用するプロセスである。たとえば、ラジカルフッ素は、エッチングまたはチャンバ洗浄プロセスにおいて使用され得る。
【0030】
一実施形態では、プロセス590は、処理チャンバ中でラジカル種を形成することを含む、動作591から始まり得る。一実施形態では、ラジカル種は、プラズマプロセスにより形成され得る。コントローラは、所望のラジカル種濃度を与えるために、プラズマ源、ソースガスの流量、圧力などを制御するために使用され得る。特定の実施形態では、ラジカル種は原子状フッ素である。
【0031】
一実施形態では、プロセス590は、処理チャンバ中のラジカル種濃度を測定することを含む、動作592を続け得る。一実施形態では、ラジカル種濃度は、NRMS分析器によって検出され得る。たとえば、NRMS分析器は、処理チャンバに流体的に結合され得る。NRMS分析器は、上記でより詳細に説明されたNRMS分析器120と実質的に同様であり得る。たとえば、NRMS分析器は、変調のための第1のチャンバと、質量分析のための第2のチャンバ(たとえば、四重極質量分析計)とを備え得る。NRMS分析器は、遮断ゲートバルブによって処理チャンバに結合され得る。動作591が実装されるとき、遮断ゲートバルブは開かれる。次いで、分子ビームが、妨害されていない様式で処理チャンバから第2のチャンバまで伝搬することが可能である。NRMS分析器は、コントローラにラジカル種濃度の測度を与え得る。たとえば、いくつかの実施形態では、図4に示されているプロセスと同様のプロセスが使用され得る。
【0032】
一実施形態では、プロセス590は、測定されたラジカル種濃度を設定点濃度と比較することを含む、動作593を続け得る。分岐594によって示されるように、測定されたラジカル種濃度が設定点濃度に実質的に等しいとき、制御パラメータは維持され、処理は続く。分岐594は、追加の測定を行うために動作592に戻ることによって続き得、またはプロセスは、分岐595によって示されるように終了され得る。測定されたラジカル種濃度が、設定点濃度を実質的に上回るかまたは下回るとき、分岐596がとられる。分岐596に基づいて、コントローラは、ボックス597によって示されるように、ラジカル種濃度を設定点濃度のほうへ戻すために、処理パラメータのうちの1つまたは複数を調整し得る。次いで、プロセスは、動作592に戻ることによって続き得、ラジカル種濃度の追加の測定値が作られ、動作593において設定点と比較される。
【0033】
いくつかの実施形態では、プロセス590は、処理ツール中での1つまたは複数の基板の処理の制御および/または複数の異なる処理チャンバ中での基板の処理の制御において使用される、機械学習(ML)および/または人工知能(AI)アルゴリズムの一部として利用され得る。たとえば、コントローラは、ラジカル種濃度を設定点に戻すためにMLまたはAIプロセスを使用し得る。さらに、プロセス590によって収集されたデータが、MLまたはAIアルゴリズムのための学習またはトレーニングデータとして使用するために記憶され得る。
【0034】
図5は、機械に本明細書で説明される方法論のうちのいずれか1つまたは複数を実施させるための命令のセットが実行され得る、コンピュータシステム500の例示的な形態の機械の図式表現を示す。代替実施形態では、機械は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、またはインターネット中で他の機械に接続され(たとえば、ネットワーク化され)得る。機械は、クライアントサーバネットワーク環境内のサーバ機械またはクライアント機械の資格で動作するか、あるいはピアツーピア(または分散型)ネットワーク環境内のピア機械として動作し得る。機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、セルラー電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、あるいはその機械によってとられるべきアクションを指定する命令のセット(連続またはそれ以外)を実行することが可能な任意の機械であり得る。さらに、単一の機械のみが示されているが、「機械」という用語はまた、本明細書で説明される方法論のうちのいずれか1つまたは複数を実施するために命令のセット(または複数のセット)を個々にまたは一緒に実行する、機械(たとえば、コンピュータ)の任意の集合を含むと解釈されるものとする。
【0035】
例示的なコンピュータシステム500は、バス530を介して互いと通信する、プロセッサ502と、メインメモリ504(たとえば、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)またはRambus DRAM(RDRAM)など)と、スタティックメモリ506(たとえば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、MRAMなど)と、2次メモリ518(たとえば、データストレージデバイス)とを含む。
【0036】
プロセッサ502は、マイクロプロセッサ、中央処理ユニットなど、1つまたは複数の汎用処理デバイスを表す。より詳細には、プロセッサ502は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装するプロセッサ、または命令セットの組合せを実装するプロセッサであり得る。プロセッサ502はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなど、1つまたは複数の専用処理デバイスであり得る。プロセッサ502は、本明細書で説明される動作を実施するための処理論理526を実行するように構成される。
【0037】
コンピュータシステム500は、ネットワークインターフェースデバイス508をさらに含み得る。コンピュータシステム500は、ビデオディスプレイユニット510(たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、または陰極線管(CRT))と、英数字入力デバイス512(たとえば、キーボード)と、カーソル制御デバイス514(たとえば、マウス)と、信号生成デバイス516(たとえば、スピーカー)とをも含み得る。
【0038】
2次メモリ518は、本明細書で説明される方法論または機能のうちのいずれか1つまたは複数を具現する命令の1つまたは複数のセット(たとえば、ソフトウェア522)が記憶された機械アクセス可能ストレージ媒体(またはより詳細には、コンピュータ可読ストレージ媒体)532を含み得る。ソフトウェア522はまた、コンピュータシステム500によるソフトウェア522の実行中に、メインメモリ504内におよび/またはプロセッサ502内に完全にまたは少なくとも部分的に存在し得、メインメモリ504およびプロセッサ502は、機械可読ストレージ媒体をも構成する。ソフトウェア522は、さらに、ネットワークインターフェースデバイス508を介してネットワーク520上で送信または受信され得る。
【0039】
機械アクセス可能ストレージ媒体532は、例示的な実施形態において単一の媒体であることが示されているが、「機械可読ストレージ媒体」という用語は、命令の1つまたは複数のセットを記憶する単一の媒体または複数の媒体(たとえば、集中型または分散型データベース、ならびに/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むと解釈されるものとする。「機械可読ストレージ媒体」という用語はまた、機械による実行のための命令のセットを記憶または符号化することが可能であり、機械に本開示の方法論のうちのいずれか1つまたは複数を実施させる、任意の媒体を含むと解釈されるものとする。「機械可読ストレージ媒体」という用語は、したがって、限定はしないが、固体メモリと、光および磁気媒体とを含むと解釈されるものとする。
【0040】
本開示の一実施形態によれば、機械アクセス可能ストレージ媒体は命令を記憶しており、命令は、データ処理システムに、NRMS分析器を使用する処理動作においてラジカル濃度の閉ループ制御の方法を実施させる。
【0041】
したがって、ガス濃度を測定するための方法が開示された。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
【国際調査報告】