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特表2024-524855オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物、架橋剤組成物および光素子用の封止材組成物用の添加剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物、架橋剤組成物および光素子用の封止材組成物用の添加剤
(51)【国際特許分類】
   C08K 5/57 20060101AFI20240702BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20240702BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20240702BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C08K5/57
C08L23/00
C08F10/00
C09K3/10 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574505
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 KR2022017654
(87)【国際公開番号】W WO2023085807
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0154113
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジン・クク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ジュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン・ウン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ウ・イ
(72)【発明者】
【氏名】サン・ウク・ハン
【テーマコード(参考)】
4H017
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4H017AA04
4H017AB07
4H017AC10
4H017AD06
4H017AE05
4J002BB001
4J002BB051
4J002EH077
4J002EH107
4J002EH147
4J002EK018
4J002EK028
4J002EK038
4J002EK048
4J002EK058
4J002EK068
4J002EK078
4J002EK088
4J002EQ018
4J002ET008
4J002EU197
4J002EX039
4J002EX069
4J002EX079
4J002EZ016
4J002FD146
4J002FD147
4J002FD158
4J002GJ02
4J100AA02P
4J100AA03Q
4J100AA04Q
4J100AA07Q
4J100AA15Q
4J100AA16Q
4J100AA17Q
4J100AA19Q
4J100AA20Q
4J100BA11H
4J100BA15H
4J100BA94H
4J100BC73H
4J100CA04
4J100CA31
4J100HA53
4J100HC34
4J100HC36
4J100HC54
4J100HC63
4J100HC85
4J100JA00
4J100JA44
(57)【要約】
本発明は、オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物、架橋剤、および光素子用の封止材組成物用の添加剤に関し、これを光素子用の封止材組成物の製造に用いて体積抵抗および光透過率が高い光素子用の封止材組成物および光素子用の封止材フィルムを製造することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物を含む、オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物。
【化1】
前記化学式1中、l、m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【請求項2】
前記化学式1中、前記m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~2の整数である、請求項1に記載のオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物。
【請求項3】
化学式1の化合物は、テトラビニルスズである、請求項1に記載のオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物。
【請求項4】
前記オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物は、不飽和基を少なくとも一つ以上含有する架橋助剤をさらに含む、請求項1に記載のオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物。
【請求項5】
前記化学式1の化合物および不飽和基を少なくとも一つ以上含有する架橋助剤の重量比は、20:80~80:20である、請求項4に記載のオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物。
【請求項6】
前記不飽和基を少なくとも一つ以上含有する架橋助剤は、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、およびトリメチロールプロパントリメタクリレートからなる群から選択される1種以上を含む、請求項4に記載のオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物。
【請求項7】
架橋剤と、
シランカップリング剤と、
下記化学式1の化合物とを含む、オレフィン系共重合体用の架橋剤組成物。
【化2】
前記化学式1中、l、m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【請求項8】
前記架橋剤は、有機過酸化物、ヒドロ過酸化物およびアゾ化合物からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項7に記載のオレフィン系共重合体用の架橋剤組成物。
【請求項9】
前記架橋剤は、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-クミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ヒドロペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルヒドロペルオキシド、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、o-メチルベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシイソブチレート、t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート(TBEC)、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシオクトエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルペルオキシフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)-3-ヘキシン、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)からなる群から選択される1種以上である、請求項7に記載のオレフィン系共重合体用の架橋剤組成物。
【請求項10】
前記シランカップリング剤は、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、およびp-スチリルトリメトキシシランからなる群から選択される1種以上である、請求項7に記載のオレフィン系共重合体用の架橋剤組成物。
【請求項11】
下記化学式1の化合物を含む、光素子用の封止材組成物用の添加剤。
【化3】
前記化学式1中、l、m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年11月10日付けの韓国特許出願第10-2021-0154113号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物、架橋剤組成物および光素子用の封止材組成物用の添加剤に関し、オレフィン系共重合体を含む光素子用の封止材組成物に使用されるオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物、前記架橋助剤を含む架橋剤組成物および添加剤に関する。
【背景技術】
【0003】
地球環境問題、エネルギー問題などが次第に深刻化している中で、クリーンで枯渇の恐れのないエネルギー生成手段として、太陽電池が注目されている。太陽電池は、建物の屋根など屋外で使用する場合、モジュール形態で使用することが一般的であり、太陽電池モジュールの製造時には、結晶型太陽電池モジュールを得るために、太陽電池モジュール用保護シート(表面側透明保護部材)/太陽電池封止材/結晶型太陽電池素子結晶型太陽電池素子/太陽電池封止材/太陽電池モジュール用保護シート(裏面側保護部材)の順に積層して製造する。一方、薄膜系太陽電池モジュールを得るためには、薄膜型太陽電池素子/太陽電池封止材/太陽電池モジュール用保護シート(裏面側保護部材)の順に積層して製造する。
【0004】
上述の太陽電池封止材として、一般的に、エチレン/酢酸ビニル共重合体もしくはエチレン/アルファ-オレフィン共重合体などが使用されている。また、太陽電池封止材には、長期間の耐候性が求められる点で、添加剤として光安定剤が通常含まれている。また、ガラスに代表される表面側透明保護部材もしくは裏面側保護部材の密着性を考慮して、太陽電池封止材には、シランカップリング剤も通常含まれている。
【0005】
具体的には、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)シートが、透明性、柔軟性および接着性などに優れる点で広く使用されてきた。エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)膜は、透明性、柔軟性および接着性などに優れる点で広く使用されている。しかし、EVA組成物を太陽電池封止材の構成材料として使用する場合、EVAが分解して発生する酢酸ガスなどの成分が、太陽電池素子に影響を及ぼす可能性が懸念される。
【0006】
エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、樹脂の加水分解の問題がないことから、寿命低下や信頼性低下の問題を解決することができた。しかし、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、樹脂に極性基を含まないことから、従来、太陽電池封止材の構成材料として含まれる極性の架橋助剤とは混合性が低下して、含浸に非常に長い時間がかかるため、生産性に問題があった。
【0007】
このように、体積抵抗に優れることから、太陽電池封止材など、高い絶縁性が求められる物質として有用に活用することができるエチレン/アルファ-オレフィン共重合体を含む太陽電池封止材の生産性を向上させることができる架橋助剤の開発が必要な状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許2018-0063669
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、オレフィン系共重合体との混合性に優れる架橋助剤を含むオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物を提供することである。
【0010】
本発明の他の解決しようとする課題は、オレフィン系共重合体の架橋に使用されるオレフィン系共重合体用の架橋剤組成物を提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の解決しようとする課題は、光素子用の封止材組成物用の添加剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は、オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物、架橋剤組成物および光素子用の封止材組成物用の添加剤を提供する。
【0013】
[1]本発明は下記化学式1の化合物を含むオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物を提供する。
【化1】
前記化学式1中、l、m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【0014】
[2]本発明は、前記[1]において、前記化学式1中、前記m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~2の整数であるオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物を提供する。
【0015】
[3]本発明は、前記[1]または[2]において、化学式1の化合物は、テトラビニルスズであるオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物を提供する。
【0016】
[4]本発明は、前記[1]~[3]のいずれか一つにおいて、前記オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物は、不飽和基を少なくとも一つ以上含有する架橋助剤をさらに含むオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物を提供する。
【0017】
[5]本発明は、前記[4]において、前記化学式1の化合物および不飽和基を少なくとも一つ以上含有する架橋助剤の重量比は、20:80~80:20であるオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物を提供する。
【0018】
[6]本発明は、前記[4]または[5]において、前記不飽和基を少なくとも一つ以上含有する架橋助剤は、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、およびトリメチロールプロパントリメタクリレートからなる群から選択される1種以上を含むオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物を提供する。
【0019】
[7]また、本発明は、架橋剤と、シランカップリング剤と、下記化学式1の化合物とを含むオレフィン系共重合体用の架橋剤組成物を提供する。
【化2】
前記化学式1中、l、m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【0020】
[8]本発明は、前記[7]において、前記架橋剤は、有機過酸化物、ヒドロ過酸化物およびアゾ化合物からなる群から選択される1種または2種以上のオレフィン系共重合体用の架橋剤組成物を提供する。
【0021】
[9]本発明は、前記[7]または[8]において、前記架橋剤は、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-クミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ヒドロペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルヒドロペルオキシド、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、o-メチルベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、t-ブチルペルオキシイソブチレート、t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート(TBEC)、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシオクトエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルペルオキシフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)-3-ヘキシン、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)からなる群から選択される1種以上のオレフィン系共重合体用の架橋剤組成物を提供する。
【0022】
[10]本発明は、前記[7]~[9]のいずれか一つにおいて、前記シランカップリング剤は、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、およびp-スチリルトリメトキシシランからなる群から選択される1種以上のオレフィン系共重合体用の架橋剤組成物を提供する。
【0023】
[11]また、本発明は下記化学式1の化合物を含む光素子用の封止材組成物用の添加剤を提供する。
【化3】
前記化学式1中、l、m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【発明の効果】
【0024】
本発明のオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物、架橋剤組成物および光素子用の封止材組成物用の添加剤は、オレフィン系共重合体との混合性に優れるスズを含む化合物を含み、オレフィン系共重合体に対して含浸が速く、これを用いて製造された光素子用の封止材組成物が優れた体積抵抗および光透過率を示すことから、電気電子産業分野において様々な用途に広く利用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に関する理解に資するため、本発明をより詳細に説明する。
【0026】
本発明の説明および特許請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0027】
[オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物]
本発明のオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物は、下記化学式1の化合物を含むことを特徴とする。
【0028】
【化4】
【0029】
前記化学式1中、l、m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【0030】
また、前記化学式1中、l、m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~2の整数であることができる。
【0031】
また、本発明の一例によるオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物は、具体的には、前記化学式1の化合物として、テトラビニルスズ(tetravinyltin)を含むことができる。
【0032】
本発明のオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物が含む前記化学式1の化合物は、前記オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物に架橋助剤として含まれることができ、前記化学式1の化合物は、オレフィン系共重合体に対して優れた混合性を示すことから速い含浸速度を示すことができる。また、前記化学式1の化合物を含む本発明のオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物が、オレフィン系共重合体を含む光素子用の封止材組成物に架橋助剤として適用される場合、前記光素子用の封止材組成物が、高い架橋度、体積抵抗および光透過度を示すことができる。
【0033】
また、前記オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物は、さらに、前記化学式1の化合物以外の架橋助剤を含むことができる。
【0034】
前記架橋助剤としては、当技術分野において公知の様々な架橋助剤が使用されることができ、例えば、アリル基または(メタ)アクリルオキシ基などの不飽和基を少なくとも一つ以上含有する化合物が含まれることができる。
【0035】
前記不飽和基を少なくとも一つ以上含有する架橋助剤としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレートまたはジアリルマレエートなどのポリアリル化合物が例示されることができ、前記(メタ)アクリルオキシ基を含有する化合物は、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどのポリ(メタ)アクリロキシ化合物などが例示されることができるが、特にこれらに制限されるものではない。
【0036】
本発明の一例によるオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物が、さらに、前記化学式1の化合物以外の不飽和基を少なくとも一つ以上含有する架橋助剤を含む場合、前記化学式1の化合物および追加架橋助剤の重量比は、20:80~80:20であることができ、具体的には、21:79~79:21、22:78~78:22、23:77~77:23、24:76~76:24、25:75~75:25であることができる。
【0037】
本発明の一例によるオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物が、前記化学式1の化合物および不飽和基を少なくとも一つ以上含有する架橋助剤をともに含む場合、これを光素子用の封止材組成物に適用するときに、光素子用の封止材組成物が高い体積抵抗、速い浸漬速度、優れた光透過度および付着性を満たすことができ、前記化学式1の化合物のみを含む場合に比べてさらに高い架橋度を達成することができる。前記化学式1の化合物および架橋助剤をともに含み、且つ前記化学式1の化合物に対する架橋助剤の比率が増加するほど、同量の架橋助剤の使用量に対する光透過度が増加することができ、架橋助剤の比率が減少するほど、浸漬速度、体積抵抗および架橋度が向上することから、発揮しようとする物性に応じて前記範囲で適切に比率を決定することができる。
【0038】
本発明の一例によるオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物は、オレフィン系共重合体80~99重量部に対して、0.1~9重量部使用されることができる。前記オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物は、オレフィン系共重合体80~99重量部に対して、具体的には0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.3重量部以上、0.4重量部以上、0.5重量部以上、0.6重量部以上、0.7重量部以上、0.8重量部以上、または1重量部以上~9重量部以下、8重量部以下、7重量部以下、6重量部以下、5重量部以下、4重量部以下、または3重量部以下使用されることができる。前記オレフィン系共重合体に対して、架橋助剤組成物の使用量が少なすぎると、架橋反応が起こり難く、前記架橋助剤組成物の使用量が多すぎると、光素子用の封止材の体積抵抗が減少する可能性がある。前記架橋助剤組成物が前記オレフィン系共重合体に対して前記の比率で使用される場合、光素子用の封止材組成物が適切に架橋反応を起こして、光素子用の封止材として製造されることができ、且つ製造された光素子用の封止材が高い体積抵抗を示すことができる。
【0039】
前記オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物が適用されることができるオレフィン系共重合体は、例えば、(a)密度0.85~0.90g/cc、および(b)メルトインデックス0.1~100g/10minを満たすことができる。
【0040】
前記オレフィン系共重合体の(a)密度は、具体的には、0.850g/cc以上、0.855g/cc以上、0.860g/cc以上、0.865g/cc以上、または0.870g/cc以上~0.900g/cc以下、0.895g/cc以下、0.890g/cc以下、0.885g/cc以下、0.880g/cc以下、0.875g/cc以下、または0.870g/cc以下であることができる。前記オレフィン系共重合体の密度が高すぎると、前記オレフィン系共重合体に含まれる結晶相によって、これを使用した光素子用の封止材組成物およびこれを用いて製造した光素子用の封止材の光透過度が減少する可能性があるが、前記オレフィン系共重合体が前記密度範囲を満たす場合、高い光透過度を示すことができる。
【0041】
前記オレフィン系共重合体の(b)メルトインデックスは、0.1g/10min以上、0.5g/10min以上、1.0g/10min以上、1.5g/10min以上、2.0g/10min以上、2.5g/10min以上、5.0g/10min以上、または10.0g/10min以上~100g/10min以下、95g/10min以下、90g/10min以下、85g/10min以下、80g/10min以下、75g/10min以下、70g/10min以下、60g/10min以下、または50g/10min以下であることができる。前記オレフィン系共重合体のメルトインデックスが前記範囲を逸脱して低すぎるか高すぎると、前記光素子用の封止材組成物の成形性が悪くなって安定的な押出が難しいという問題があり得るが、前記オレフィン系共重合体が、前記メルトインデックスの範囲を満たす場合、前記光素子用の封止材組成物の成形性に優れることから、安定的に光素子用の封止材、光素子用の封止材シート(sheet)を押出することができる。
【0042】
本発明の一例によるオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物が適用される前記オレフィン系共重合体は、具体的には、エチレン/アルファ-オレフィン共重合体であることができる。
【0043】
通常エチレン/アルファ-オレフィン共重合体の密度は、重合時に使用される単量体の種類と含量、重合度などの影響を受け、共重合体の場合、共単量体の含量による影響を大きく受ける。ここで、共単量体の含量が多いほど、低密度のエチレン/アルファ-オレフィン共重合体が製造される可能性があり、共単量体が共重合体内に導入され得る含量は、触媒固有の共重合性に依存的であり得る。
【0044】
本発明のオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物が適用されるエチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、上述のような低密度を示し、優れた加工性を示すことができる。
【0045】
前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体は、エチレンとアルファ-オレフィン系単量体を共重合して製造され、ここで、共重合体内のアルファ-オレフィン系単量体から由来した部分を意味する前記アルファ-オレフィンは、C4~C20のアルファ-オレフィン、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、または1-エイコセンなどが挙げられ、これらのうち、1種単独または2種以上の混合物であることができる。
【0046】
中でも、前記アルファ-オレフィンは、1-ブテン、1-ヘキセンまたは1-オクテンであることができ、好ましくは、1-ブテン、1-ヘキセン、またはこれらの組み合わせであることができる。
【0047】
また、前記エチレン/アルファ-オレフィン共重合体において、アルファ-オレフィンの含量は、上記の物性的要件を満たす範囲内で適宜選択されることができ、具体的には、0超99モル%以下、または10~50モル%であることができるが、これに制限されない。
【0048】
また、前記オレフィン系共重合体は、体積抵抗が1.0×1015Ω・cm以上であるエチレンアルファ-オレフィン共重合体であることができ、具体的には、3.0×1015Ω・cm以上、5.0×1015Ω・cm、7.0×1015Ω・cm以上、1.0×1016Ω・cm以上、3.0×1016Ω・cm以上、または5.0×1016Ω・cm以上である共重合体であることができる。前記オレフィン系共重合体の体積抵抗が低すぎる場合、光素子用の封止材組成物の架橋後の体積抵抗が適切な水準に至ることができないが、前記オレフィン系共重合体の体積抵抗が前記値を満たす場合、光素子用の封止材組成物が架橋後、優れた体積抵抗を示すことができる。前記オレフィン系共重合体の体積抵抗の上限は、特に制限されないが、オレフィン系共重合体が通常示す体積抵抗と、体積抵抗が高いオレフィン系共重合体の製造には不都合があるという点を考慮すると、9.9×1016Ω・cm以下、9.0×1016Ω・cm以下、7.0×1016Ω・cm以下、5.0×1016Ω・cm以下、3.0×1016Ω・cm以下、2.5×1016Ω・cm以下、または2.0×1016Ω・cm以下であるものが使用されることができる。
【0049】
[オレフィン系共重合体用の架橋剤組成物]
また、本発明は、オレフィン系共重合体用の架橋剤組成物を提供する。
【0050】
本発明のオレフィン系共重合体用の架橋剤組成物は、具体的には、架橋剤と、シランカップリング剤と、下記化学式1の化合物とを含むことができる。
【0051】
架橋剤と、
シランカップリング剤と、
下記化学式1の化合物とを含むオレフィン系共重合体用の架橋剤組成物:
【0052】
【化5】
【0053】
前記化学式1中、l、m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【0054】
前記オレフィン系共重合体用の架橋剤組成物は、上述のような本発明の一例によるオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物を含むことができ、これとともに、架橋剤およびシランカップリング剤を含む。
【0055】
前記架橋剤としては、ラジカル重合を開始することができるか、架橋結合を形成することができる架橋性化合物であれば、技術分野において公知の様々な架橋剤を様々に使用することができ、有機過酸化物、ヒドロ過酸化物およびアゾ化合物からなる群から選択される1種または2種以上を使用することができる。
【0056】
また、本発明の一例において、前記架橋剤は、具体的には、有機過酸化物であることができる。
【0057】
前記有機過酸化物は、120~135℃、例えば、120~130℃、120~125℃、好ましくは121℃の1時間半減期温度を有する有機過酸化物であることができる。前記「1時間半減期温度」とは、前記架橋剤の半減期が1時間になる温度を意味する。前記1時間半減期温度に応じて、ラジカル開始反応が効率的に起こる温度が相違し、したがって、上述の範囲の1時間半減期温度を有する有機過酸化物を架橋剤として使用する場合、光電子装置を製造するためのラミネーション工程温度で、ラジカル開始反応、すなわち、架橋反応が効果的に行われることができる。
【0058】
前記架橋剤としては、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、ジ-クミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシンなどのジアルキルペルオキシド類;クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ヒドロペルオキシ)ヘキサン、t-ブチルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、o-メチルベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;t-ブチルペルオキシイソブチレート、t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート(TBEC)、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシオクトエート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルペルオキシフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)-3-ヘキシンなどのペルオキシエステル類;およびメチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシドなどのケトンペルオキシド類、ラウリルペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物からなる群から選択される1種以上が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0059】
前記シランカップリング剤は、例えば、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、およびp-スチリルトリメトキシシランからなる群から選択される1種以上であることができる。
【0060】
前記オレフィン系共重合体用の架橋剤組成物が含む前記化学式1の化合物は、前記オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物で上述したとおりであり、前記さらなる架橋助剤に関する内容も同様である。すなわち、前記オレフィン系共重合体用の架橋剤組成物は、前記オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物を含むことができる。
【0061】
前記オレフィン系共重合体用の架橋剤組成物は、前記架橋剤を1~90重量部、前記シランカップリング剤を0.1~20重量部、および前記化学式1の化合物を1~90重量部含むことができる。前記それぞれの成分の含量は、前記オレフィン系共重合体用の架橋剤組成物が含むそれぞれの成分の重量間の相対的な比率を意味することができる。
【0062】
前記架橋剤は、前記オレフィン系共重合体用の架橋剤組成物に、1重量部~90重量部含まれることができ、具体的には、1重量部以上、2重量部以上、3重量部以上、4重量部以上、5重量部以上、6重量部以上、7重量部以上、8重量部以上、10重量部以上~90重量部以下、80重量部以下、70重量部以下、60重量部以下、50重量部以下、40重量部以下、30重量部以下含まれることができる。前記架橋剤の含量が少なすぎると、前記オレフィン系共重合体を用いた時に架橋反応が起こり難く、前記架橋剤の含量が多すぎると、前記オレフィン系共重合体を用いて製造した光素子用の封止材の体積抵抗が減少する可能性があり、前記オレフィン系共重合体用の架橋剤組成物に前記架橋剤が前記範囲で含まれる場合、これを使用した光素子用の封止材組成物が適切に架橋反応を起こして、光素子用の封止材として製造されることができ、且つ製造された光素子用の封止材が高い体積抵抗を示すことができる。
【0063】
前記シランカップリング剤は、前記オレフィン系共重合体用の架橋剤組成物に0.1~20重量部含まれることができ、具体的には、0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.5重量部以上、0.7重量部以上、0.9重量部以上、1.0重量部以上、または1.5重量部以上~20重量部以下、18重量部以下、17重量部以下、15重量部以下、12重量部以下、10重量部以下、8重量部以下、7重量部以下、5重量部以下、または4重量部以下の量で含まれることができる。前記シランカップリング剤の含量が少なすぎると、前記オレフィン系共重合体を用いた時に、光素子用の封止材組成物の基板に対する接着力、例えば、ガラス基板に対する前記光素子用の封止材組成物の接着力が低くて、光素子用の封止材として適切な性能を発揮し難く、前記シランカップリング剤の含量が多すぎると、光素子用の封止材の体積抵抗が減少するため、適切ではない。前記オレフィン系共重合体用の架橋剤組成物に前記シランカップリング剤が前記範囲で含まれる場合、これを使用した光素子用の封止材組成物が、光素子の基板または光素子が位置するガラス基板に対して優れた接着性を示して、水分の浸透などを効果的に防ぎ、光素子が長期的に優れた性能を維持することができ、光素子用の封止材が高い体積抵抗を示すことができる。
【0064】
前記化学式1の化合物は、前記オレフィン系共重合体用の架橋剤組成物に1~9重量部含まれることができ、具体的には、1重量部以上、2重量部以上、3重量部以上、4重量部以上、5重量部以上、6重量部以上、7重量部以上、8重量部以上、または10重量部以上~90重量部以下、80重量部以下、70重量部以下、60重量部以下、50重量部以下、40重量部以下、または30重量部以下含まれることができる。
【0065】
本発明の一例によるオレフィン系共重合体用の架橋剤組成物は、オレフィン系共重合体80~99重量部に対して0.21~20重量部使用されることができる。前記オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物は、オレフィン系共重合体80~99重量部に対して、具体的には0.21重量部以上、0.25重量部以上、0.30重量部以上、0.40重量部以上、0.50重量部以上、0.60重量部以上、0.70重量部以上、0.80重量部以上、または1.0重量部以上~20重量部以下、19重量部以下、18重量部以下、17重量部以下、16.5重量部以下、16重量部以下、または15重量部以下使用されることができる。前記オレフィン系共重合体に対して架橋剤組成物の使用量が少なすぎると、架橋反応が起こり難く、前記架橋剤組成物の使用量が多すぎると、光素子用の封止材の体積抵抗が減少する可能性がある。前記架橋剤組成物が、前記オレフィン系共重合体に対して前記の比率で使用される場合、これを使用した光素子用の封止材組成物が、適切に架橋反応を起こして、光素子用の封止材として製造されることができ、且つ製造された光素子用の封止材が高い体積抵抗を示すことができる。
【0066】
本発明の一実施形態によるオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物または光素子用の封止材組成物用の添加剤を適用した光素子用の封止材組成物は、架橋後、体積抵抗が増加することができ、具体的には、増加量は、1.5倍以上、1.6倍以上、1.65倍以上、1.7倍以上、または1.8倍以上であることができ、200倍以下、または100倍以下であることができる。
【0067】
また、本発明の一実施形態によるオレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物または光素子用の封止材組成物用の添加剤を適用した光素子用の封止材組成物は、架橋後、優れた光透過度を示すことができ、具体的には、380nm~1100nmの波長範囲で、92.0%以上、具体的には、92.1%以上または92.2%以上の光透過度を示すことができる。
【0068】
[光素子用の封止材組成物用の添加剤]
また、本発明は、下記化学式1の化合物を含む光素子用の封止材組成物用の添加剤を提供する。
【0069】
【化6】
【0070】
前記化学式1中、l、m、n、およびoは、それぞれ独立して、0~4の整数である。
【0071】
前記化学式1の化合物に関する説明は、前記オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物およびオレフィン系共重合体用の架橋剤組成物が含む化学式1の化合物に関する説明と同様である。
【0072】
本発明の一例による光素子用の封止材組成物用の添加剤は、オレフィン系共重合体80~99重量部に対して0.1~9重量部使用されることができる。前記光素子用の封止材組成物用の添加剤は、オレフィン系共重合体80~99重量部に対して、具体的には、0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.3重量部以上、0.4重量部以上、0.5重量部以上、0.6重量部以上、0.7重量部以上、0.8重量部以上、または1重量部以上~9重量部以下、8重量部以下、7重量部以下、6重量部以下、5重量部以下、4重量部以下、または3重量部以下使用されることができる。前記オレフィン系共重合体に対して、光素子用の封止材組成物用の添加剤の使用量が少なすぎると、架橋反応が起こり難く、前記光素子用の封止材組成物用の添加剤の使用量が多すぎると、光素子用の封止材の体積抵抗が減少する可能性がある。前記光素子用の封止材組成物用の添加剤が、前記オレフィン系共重合体に対して、前記の比率で使用される場合、光素子用の封止材組成物が適切に架橋反応を起こして、光素子用の封止材として製造されることができ、且つ製造された光素子用の封止材が高い体積抵抗を示すことができる。
【0073】
前記オレフィン系共重合体用の架橋助剤組成物、オレフィン系共重合体用の架橋剤組成物および光素子用の封止材組成物用の添加剤が光素子用の封止材組成物に使用される時には、オレフィン系共重合体とともに使用されることができ、前記オレフィン系共重合体は、前記光素子用の封止材組成物100重量部に対して、80~99重量部含まれることができ、具体的には、80重量部以上、82重量部以上、85重量部以上、86重量部以上、87重量部以上、または88重量部以上~99重量部以下、98重量部以下、97重量部以下、96重量部以下、または95重量部以下含まれることができる。前記光素子用の封止材組成物に含まれるオレフィン系共重合体の含量が少なすぎると、光素子用の封止材の引裂抵抗、引裂強度などの機械的物性が適切に発揮され難いため、前記オレフィン系共重合体が、全体の光素子用の封止材組成物に前記範囲で含まれる場合、光素子用の封止材として適切な機械的物性を発揮することができる。
【0074】
また、前記光素子用の封止材組成物用の添加剤は、必要に応じて、光安定剤、UV吸収剤および熱安定剤などから選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0075】
前記光安定剤は、前記組成物が適用される用途に応じて、樹脂の光劣化開始の活性種を捕捉し、光酸化を防止する役割を果たすことができる。使用可能な光安定剤の種類は、特に制限されず、例えば、ヒンダードアミン系化合物またはヒンダードピペリジン系化合物などの公知の化合物を使用することができる。
【0076】
前記UV吸収剤は、組成物の用途に応じて、太陽光などからの紫外線を吸収し、分子内で無害な熱エネルギーに変換して、樹脂組成物中の光劣化開始の活性種が励起されることを防止する役割を果たすことができる。使用可能なUV吸収剤の具体的な種類は、特に制限されず、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダードアミン系、超微粒子酸化チタンまたは超微粒子酸化亜鉛などの無機系UV吸収剤などの1種または2種以上の混合物を使用することができる。
【0077】
また、前記熱安定剤の例としては、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスホネートおよびビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系熱安定剤;8-ヒドロキシ-5,7-ジ-tert-ブチル-フラン-2-オンとo-キシレンとの反応生成物などのラクトン系熱安定剤が挙げられ、前記のうち1種または2種以上を使用することができる。
【0078】
前記光安定剤、UV吸収剤および/または熱安定剤の含量は、特に限定されない。すなわち、前記添加剤の含量は、樹脂組成物の用途、添加剤の形状や密度などを考慮して適宜選択することができ、通常、光素子用の封止材組成物の全体固形分100重量部に対して0.01~5重量部の範囲内で適宜調節されることができる。
【0079】
また、前記光素子用の封止材組成物は、前記成分以外にも、樹脂成分が適用される用途に応じて、当該分野において公知の様々な添加剤を適切にさらに含むことができる。
【0080】
また、前記光素子用の封止材組成物は、射出、押出などの方法により成形して様々な成形品として活用することができ、具体的には、様々な光電子装置(optoelectronic device)、例えば、太陽電池などで素子をカプセル化する封止材(Encapsulant)として使用することができ、例えば、昇温ラミネーション工程などに適用される産業用素材としても使用することができるが、用途がこれに制限されるものではない。
【0081】
実施例
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであって、これらにのみ本発明の範囲が限定されるものではない。
【0082】
実施例1
トリアリルイソシアヌレート(TAIC)0.5重量部およびテトラビニルスズ(TVT)0.125重量部を架橋助剤にした。
【0083】
実施例2~4
トリアリルイソシアヌレート(TAIC)およびテトラビニルスズ(TVT)を下記表1のようにその量を異ならせた以外は、実施例1と同様に架橋助剤を準備した。
【0084】
実施例5
テトラビニルスズ(TVT)0.625重量部を架橋助剤にした。
【0085】
実施例6および7
テトラビニルスズ(TVT)を下記表1のようにその量を異ならせた以外は、実施例5と同様に架橋助剤を準備した。
【0086】
比較例1
トリアリルイソシアヌレート(TAIC)0.5重量部を架橋助剤にした。
【0087】
比較例2
テトラビニルシラン(TVS)0.5重量部を架橋助剤にした。
【0088】
比較例3
トリアリルイソシアヌレート(TAIC)1.0重量部を架橋助剤にした。
【0089】
【表1】
【0090】
実施例1A
エチレン/1-ブテン共重合体であるLG化学社製のLUCENETM LF675 500gを40℃のコンベクションオーブンを用いて一晩中乾燥した。前記LUCENETM LF675のASTM D1505に準じて測定した密度は0.877g/cmであり、ASTM D1238に準じて測定したメルトインデックス(190℃、2.16Kg)は14.0g/10minである。粘度計(Thermo Electron (Karsruhe)GmbH社製、Haake Modular Torque Viscometer)のボウル(bowl)温度を40℃にセットした。ボウルにエチレン/アルファオレフィン共重合体を投入した後、電動ピペットを用いて、架橋剤として、t-ブチル1-(2-エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート(TBEC、シグマアルドリッチ社製)1phr(parts per hundred rubber)、架橋助剤として、前記実施例1で製造した架橋助剤0.625phr、シランカップリング剤として、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO、信越社製)0.2phrを投入した。40rpmで攪拌しながら時間経過に伴うトルク(torque)値の変化を観察し、トルク値が急激に増加する時に含浸を終了した。
【0091】
その後、含浸が完了した試料をマイクロ押出機を用いて、高温架橋されないほどの低温(押出機バレル温度90~100℃の条件)で平均厚さ0.5mmでプレス成形して、シート状の封止材フィルムを製造した。
【0092】
実施例2A~7A
架橋助剤として、実施例1の代わりに、それぞれ実施例2~7を使用した以外は、前記実施例1Aと同様の過程を行った。
【0093】
比較例1A~3A
前記実施例1の架橋助剤の代わりに、それぞれ比較例1~3の架橋助剤を使用した以外は、前記実施例1Aと同様の過程を行った。
【0094】
実験例
(1)含浸速度
前記実施例1A~7Aおよび比較例2Aそれぞれでエイジングの前の1次含浸(pre-soaking)終了時間およびエイジング後の2次含浸(soaking)終了時間を測定し、含浸にかかった時間を計算した後、表2に示した。また、比較例1Aおよび3Aで含浸(soaking)終了時間を測定して、含浸にかかった時間を計算した後、表2に示した。
【0095】
(2)体積抵抗
実施例1A~7Aおよび比較例1A~3Aそれぞれで使用されたエチレン/アルファオレフィン共重合体に対して、23±1℃の温度と50±3%の湿度条件で、Agilent 4339B High-Resistance meter(アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いて、1000Vの電圧を600秒間加えて、体積抵抗を測定した。
【0096】
また、実施例1A~7Aおよび比較例1A~3Aそれぞれで製造されたそれぞれの含浸された樹脂をマイクロ押出機を用いて、高温架橋されないほどの低温(押出機バレル温度90~100℃の条件)で、平均厚さ0.5mmでプレス成形して、シート状の試験片を製造した。その後、試験片を150℃で20分間架橋した。架橋が完了したそれぞれの試験片を23±1℃の温度と50±3%の湿度条件で、Agilent 4339B High-Resistance meter(アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いて、1000Vの電圧を600秒間加えて、体積抵抗を測定した。
【0097】
(3)光透過度
Shimadzu UV-3600分光光度計を用いて、200nm~1,000nmでの光透過率を測定して光透過度カーブ(curve)を得た後、280~380nmの値および380~1100nmの値を確認した。
【0098】
-測定モード:transmittance
-波長interval:1 nm
-測定速度:medium
【0099】
(4)黄色度(yellow index)の測定
前記(2)体積抵抗の測定で製造された架橋されたそれぞれの試験片に対して、ASTM E313に準じて黄色度(yellow index)を測定した。
【0100】
【表2】
【0101】
前記表2から確認することができるように、実施例1~7の架橋助剤組成物を使用する場合、比較例1および3のトリアリルイソシアヌレートを架橋助剤として使用した場合に比べて架橋剤の含浸完了時間を短縮することができ、また、架橋後、オレフィン系共重合体組成物の体積抵抗を著しく向上させることができることを確認することができた。また、実施例1~7の架橋助剤組成物を使用する場合、比較例2のテトラビニルシランを架橋助剤として使用した場合に比べて、架橋後、オレフィン系共重合体組成物の体積抵抗を著しく向上させることができ、架橋後にも高い光透過度を示すことを確認することができた。比較例2のテトラビニルシランを架橋助剤として使用した場合は、架橋剤の含浸完了時間の短縮効果には優れたが、架橋後、オレフィン系共重合体組成物の体積抵抗の向上効果が実施例1~7に比べて十分でなく、架橋後、光透過度が十分でなかった。
【国際調査報告】