(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】化学機械的平坦化スラリー用の添加剤としてのホスホニウム系ポリマー及びコポリマー
(51)【国際特許分類】
C08F 30/02 20060101AFI20240702BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20240702BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C08F30/02
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
H01L21/304 622D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575872
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 US2022072760
(87)【国際公開番号】W WO2022261614
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】グレガー ラービッグ
(72)【発明者】
【氏名】インバル ダビディ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ステンダー
(72)【発明者】
【氏名】シアオポー シー
【テーマコード(参考)】
4J100
5F057
【Fターム(参考)】
4J100AB07P
4J100AB08P
4J100AM15Q
4J100AM45Q
4J100BA03P
4J100BA62P
4J100CA04
4J100CA31
4J100DA01
4J100DA04
4J100FA19
4J100HA61
4J100HC75
4J100JA15
4J100JA43
5F057AA09
5F057AA28
5F057BA15
5F057BB25
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA06
5F057EA07
5F057EA21
5F057EA22
5F057EA25
5F057EA26
5F057EA27
5F057EA28
5F057EA32
(57)【要約】
ホスホニウム系ポリマーの合成が開示されている。化学機械的平坦化(CMP)スラリーは、研磨剤、活性化剤、酸化剤、ホスホニウム系ポリマーを含む添加剤、及び水を含む。CMPスラリーにおける合成ホスホニウム系ポリマーの使用は、高選択性タングステンスラリーにおけるディッシング及びエロージョンを低減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのホスホニウム基を含有する少なくとも1つのカチオン性モノマーによって形成されるカチオン性ポリマー又はコポリマーであって、前記カチオン性モノマーが、
【化1】
[式中、
前記少なくとも1つのホスホニウム基が、前記カチオン性ポリマー又はコポリマーの骨格中にあり、
R
1及びR
2各々が、独立して、置換又は非置換脂肪族、分岐脂肪族又は環状脂肪族、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、芳香環又はヘテロ芳香環中のCH
2が、ヘテロ原子が互いに結合しないようにO、S又はNによって置き換えられていてもよく、
R
3が、置換若しくは非置換脂肪族、分岐脂肪族若しくは環状脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、又はシロキサン部分であり、芳香環又はヘテロ芳香環中のCH
2が、ヘテロ原子が互いに結合しないようにO、S又はNによって置き換えられていてもよく、水素が、F、Cl又はCNによって置き換えられていてもよく、
アニオンX
-が、F
-、Cl
-、Br
-、及びI
-からなる群から選択されるハライドアニオン、BF
4
-、PF
6
-、R=H、アルキル又はアリールを有するカルボキシレートRCOO
-、マロネート、シトレート、フマレート、R=H、アルキル又はアリールを有するスルホネートRSO
3
-、CF
3COO
-、CF
3SO
3
-、ナイトレート、サルフェート、カルボネート、及び水素カルボネートからなる群から選択される]、
【化2】
[式中、
前記少なくとも1つのホスホニウム基が、前記カチオン性ポリマー又はコポリマーの1つ又は複数の側鎖中にあり、
Spが、各出現において、前記少なくとも1つのホスホニウム基を前記カチオン性ポリマー又はコポリマーの骨格に化学的に連結するスペーサー又は単一の結合を示し、前記スペーサーが、1~20個、好ましくは1~10個の炭素原子を有する置換又は非置換アルキル鎖であり、任意選択でF、Cl、Br、I又はCNによって一置換又は多置換されており、1つ以上の隣接していないCH
2基各々が、独立して、ヘテロ原子が互いに結合しないように-O-、-S-、-NH-、-NR-によって置き換えられていてもよく、
Polが、前記カチオン性ポリマー又はコポリマーの骨格を示し、骨格型が、ビニル、スチレン、アクリル又はメタクリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、エチレングリコール、ビニルエーテル、シロキサン、フェノール、ノルボルネン型骨格、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
R
1、R
2、R
3各々が、独立して、置換又は非置換脂肪族、分岐脂肪族又は環状脂肪族、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、芳香環又はヘテロ芳香環中のCH
2が、ヘテロ原子が互いに結合しないようにO、S又はNによって置き換えられていてもよく、水素が、F、Cl又はCNによって置き換えられていてもよく、
アニオンX
-が、F
-、Cl
-、Br
-、及びI
-からなる群から選択されるハライドアニオン、BF
4
-、PF
6
-、R=H、アルキル又はアリールを有するカルボキシレートRCOO
-、マロネート、シトレート、フマレート、R=H、アルキル又はアリールを有するスルホネートRSO
3
-、CF
3COO
-、CF
3SO
3
-、ナイトレート、サルフェート、カルボネート、及び水素カルボネートからなる群から選択される]、
並びに
(3)(1)及び(2)の組み合わせ
からなる群から選択される構造を含む、カチオン性ポリマー又はコポリマー。
【請求項2】
前記カチオン性ポリマー又はコポリマーが、前記少なくとも1つのカチオン性モノマーに加えて少なくとも1つの非イオン性モノマーで形成され、前記少なくとも1つの非イオン性モノマーが、アクリレート又はメタクリレート型モノマー、アクリルアミド又はメタクリルアミド型モノマー、マレイミド型モノマー、ビニルベンゼン型モノマー、ビニル型モノマー、エチレングリコール型モノマー、シロキサン型モノマー、ノルボルネン型モノマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のカチオン性ポリマー又はコポリマー。
【請求項3】
前記カチオン性ポリマー又はコポリマーが、カチオン性コポリマーである、請求項1に記載のカチオン性ポリマー又はコポリマー。
【請求項4】
前記カチオン性ポリマー又はコポリマーが、ブロックコポリマーである、請求項1に記載のカチオン性ポリマー又はコポリマー。
【請求項5】
前記カチオン性ポリマー又はコポリマーが、対イオンとしてブロミド、クロリド、ナイトレート、サルフェート、ホスフェートから選択される官能性アニオンを有する、請求項1に記載のカチオン性ポリマー又はコポリマー。
【請求項6】
前記カチオン性ポリマー又はコポリマーが、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリド、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム-コ-アクリルアミドクロリド(コポリマー)、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム-コ-N-メチルマレイミドクロリド(コポリマー)、ポリ(4-ビニルフェノール-コ-トリフェニル(4-(4-ビニルフェノキシ)ブチル)ホスホニウム)ブロミド、ポリ(4-(ブチルジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミド、及びポリ(PEG5-ジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミドからなる群から選択される、請求項1に記載のカチオン性ポリマー又はコポリマー。
【請求項7】
前記カチオン性ポリマー又はコポリマーの重合が、フリーラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)、ニトロキシド媒介重合(NMP)、原子移動反応重合(ATRP)、開環重合(ROMP)、重縮合反応、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のカチオン性ポリマー又はコポリマー。
【請求項8】
無機酸化物粒子、金属酸化物被覆無機酸化物粒子、有機ポリマー粒子、金属酸化物被覆有機ポリマー粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨剤と、
活性化剤と、
酸化剤と、
請求項1~7のいずれか一項に記載のカチオン性ポリマー又はコポリマーを含む添加剤と、
水と、任意選択で
腐食防止剤と、
ディッシング低減剤と、
安定剤と、
pH調整剤と、
を含む、化学機械的平坦化組成物。
【請求項9】
前記研磨剤が、0.01重量%~30重量%、0.05重量%~20重量%、0.01重量%~10重量%、又は0.1重量%~2重量%の範囲であり、
前記カチオン性ポリマー又はコポリマーを含む前記添加剤が、0.00001重量%~0.05重量%、0.0001重量%~0.025重量%、0.0002重量%~0.02重量%、又は0.0001重量%~0.01重量%の範囲であり、
前記酸化剤が、0.01重量%~30重量%、0.1重量%~20重量%、又は0.5重量%~10重量%の範囲であり、
前記活性化剤が、0.00001重量%~5.0重量%、0.0001重量%~2.0重量%、0.0005重量%~1.0重量%、又は0.001重量%~0.5重量%の範囲であり、
前記腐食防止剤が、1.0重量%未満、0.5重量%未満、又は0.25重量%未満の範囲であり、
前記ディッシング低減剤が、0.001重量%~2.0重量%、0.005重量%~1.5重量%、又は0.01重量%~1.0重量%の範囲であり、及び
前記安定剤が、0.0001~5重量%、0.00025~2重量%、又は0.0005~1重量%の範囲である、
請求項8に記載の化学機械的平坦化組成物。
【請求項10】
前記研磨剤が、シリカ粒子である、請求項8に記載の化学機械的平坦化組成物。
【請求項11】
前記酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、パーオキシギ酸、過酢酸、プロパンパーオキソ酸、置換又は非置換ブタンパーオキソ酸、ヒドロパーオキシアセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、パーオキシ一硫酸アンモニウムからなる群から選択されるパーオキシ化合物、及び亜硝酸第二鉄、KClO
4、KBrO
4、KMnO
4からなる群から選択される非パーオキシ化合物、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の化学機械的平坦化組成物。
【請求項12】
前記活性化剤が、(1)表面に遷移金属が被覆された無機酸化物粒子であって、前記遷移金属が、Fe、Cu、Mn、Co、Ce、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、無機酸化物粒子、(2)硝酸鉄(III)、シュウ酸鉄(III)アンモニウム三水和物、三塩基性クエン酸鉄(III)一水和物、鉄(III)アセチルアセトネート及びエチレンジアミン四酢酸、鉄(III)ナトリウム塩水和物からなる群から選択される可溶性触媒、(3)Ag、Co、Cr、Cu、Fe、Mo、Mn、Nb、Ni、Os、Pd、Ru、Sn、Ti、V、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される複数の酸化状態を有する金属化合物、からなる群から選択される、請求項8に記載の化学機械的平坦化組成物。
【請求項13】
前記腐食防止剤が、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、5-アミノトリアゾール、ベンゾイミダゾール、2,1,3-ベンゾチアジアゾール、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、及びトリアジントリチオール、ピラゾール、イミダゾール、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の化学機械的平坦化組成物。
【請求項14】
前記pH調整剤が、(a)前記pHを低下させるための硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、様々な脂肪酸、様々なポリカルボン酸、及びこれらの混合物、並びに(b)前記pHを上昇させるための水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、修飾ポリエチレンイミン、及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記組成物のpHが、1~14、1~7、1~6、又は1.5~4である、請求項8に記載の化学機械的平坦化組成物。
【請求項15】
前記ディッシング低減剤が、サルコシネート及び関連カルボン酸化合物、炭化水素置換サルコシネート、アミノ酸、ポリエチレンオキシド(PEO)などのエチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、エトキシ化界面活性剤、窒素-水素結合を含まない窒素含有複素環、スルフィド、オキサゾリジン又は1つの化合物中の官能基の混合物、アルキルアンモニウムイオンを形成する3個以上の炭素原子を有する窒素含有化合物、3個以上の炭素原子を有するアミノアルキル、少なくとも1つの窒素含有複素環又は第三級若しくは第四級窒素原子の繰り返し基を含むポリマー腐食防止剤、ポリカチオン性アミン化合物、シクロデキストリン化合物、ポリエチレンイミン化合物、グリコール酸、キトサン、糖アルコール、多糖類、アルギネート化合物、及びスルホン酸ポリマー、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の化学機械的平坦化組成物。
【請求項16】
前記安定剤が、アジピン酸、フタル酸、クエン酸、マロン酸、オルトフタル酸、リン酸、置換又は非置換ホスホン酸、ニトリル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の化学機械的平坦化組成物。
【請求項17】
前記化学機械的平坦化組成物が、シリカ粒子、硝酸鉄(III)、マロン酸、過酸化水素、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリド、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム-コ-アクリルアミドクロリド(コポリマー)、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム-コ-N-メチルマレイミドクロリド(コポリマー)、ポリ(4-ビニルフェノール-コ-トリフェニル(4-(4-ビニルフェノキシ)ブチル)ホスホニウム)ブロミド、ポリ(4-(ブチルジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミド、ポリ(PEG5-ジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるカチオン性ポリマー又はコポリマー、並びに水を含み、前記組成物の前記pHが、1.5~4である、請求項8に記載の化学機械的平坦化組成物。
【請求項18】
タングステンを含有する少なくとも1つの表面を備える半導体基板の化学機械的平坦化のための研磨方法であって、
a)研磨パッドを提供する工程と、
b)化学機械的平坦化組成物を提供する工程であって、前記化学機械的平坦化組成物が、
無機酸化物粒子、金属酸化物被覆無機酸化物粒子、有機ポリマー粒子、金属酸化物被覆有機ポリマー粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨剤と、
活性化剤と、
酸化剤と、
請求項1~7のいずれか一項に記載のカチオン性ポリマー又はコポリマーを含む添加剤と、
水と、任意選択で
腐食防止剤と、
ディッシング低減剤と、
安定剤と、
pH調整剤と、
を含む、化学機械的平坦化組成物を提供する工程と、
c)タングステンを含有する前記少なくとも1つの表面を、前記化学機械的平坦化組成物で研磨する工程と、
を含む、研磨方法。
【請求項19】
前記化学機械的平坦化組成物が、
0.01重量%~30重量%、0.05重量%~20重量%、0.01重量%~10重量%、又は0.1重量%~2重量%の範囲である前記研磨剤を有し、
前記添加剤が、0.00001重量%~0.05重量%、0.0001重量%~0.025重量%、0.0002重量%~0.02重量%、又は0.0001重量%~0.01重量%の範囲であり、
前記酸化剤が、0.01重量%~30重量%、0.1重量%~20重量%、又は0.5重量%~10重量%の範囲であり、
前記活性化剤が、0.00001重量%~5.0重量%、0.0001重量%~2.0重量%、0.0005重量%~1.0重量%、又は0.001重量%~0.5重量%の範囲であり、
前記腐食防止剤が、1.0重量%未満、0.5重量%未満、又は0.25重量%未満の範囲であり、
前記ディッシング低減剤が、0.001重量%~2.0重量%、0.005重量%~1.5重量%、又は0.01重量%~1.0重量%の範囲であり、及び
前記安定剤が、0.0001~5重量%、0.00025~2重量%、又は0.0005~1重量%の範囲である、
請求項18に記載の研磨方法。
【請求項20】
前記化学機械的平坦化組成物が、前記研磨剤としてシリカ粒子を有する、請求項18に記載の研磨方法。
【請求項21】
前記化学機械的平坦化組成物中の前記酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、パーオキシギ酸、過酢酸、プロパンパーオキソ酸、置換又は非置換ブタンパーオキソ酸、ヒドロパーオキシアセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、パーオキシ一硫酸アンモニウムからなる群から選択されるパーオキシ化合物、及び亜硝酸第二鉄、KClO
4、KBrO
4、KMnO
4からなる群から選択される非パーオキシ化合物、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の研磨方法。
【請求項22】
前記化学機械的平坦化組成物中の前記活性化剤が、(1)表面に遷移金属が被覆された無機酸化物粒子であって、前記遷移金属が、Fe、Cu、Mn、Co、Ce、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、無機酸化物粒子、(2)硝酸鉄(III)、シュウ酸鉄(III)アンモニウム三水和物、三塩基性クエン酸鉄(III)一水和物、鉄(III)アセチルアセトネート及びエチレンジアミン四酢酸、鉄(III)ナトリウム塩水和物からなる群から選択される可溶性触媒、(3)Ag、Co、Cr、Cu、Fe、Mo、Mn、Nb、Ni、Os、Pd、Ru、Sn、Ti、V、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される複数の酸化状態を有する金属化合物、からなる群から選択される、請求項18に記載の研磨方法。
【請求項23】
前記化学機械的平坦化組成物中の前記腐食防止剤が、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、5-アミノトリアゾール、ベンゾイミダゾール、2,1,3-ベンゾチアジアゾール、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、及びトリアジントリチオール、ピラゾール、イミダゾール、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の研磨方法。
【請求項24】
前記化学機械的平坦化組成物中の前記pH調整剤が、(a)前記pHを低下させるための硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、様々な脂肪酸、様々なポリカルボン酸、及びこれらの混合物、並びに(b)前記pHを上昇させるための水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、修飾ポリエチレンイミン、及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記組成物のpHが、1~14、1~7、1~6、又は1.5~4である、請求項18に記載の研磨方法。
【請求項25】
前記化学機械的平坦化組成物中の前記ディッシング低減剤が、サルコシネート及び関連カルボン酸化合物、炭化水素置換サルコシネート、アミノ酸、ポリエチレンオキシド(PEO)などのエチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、エトキシ化界面活性剤、窒素-水素結合を含まない窒素含有複素環、スルフィド、オキサゾリジン又は1つの化合物中の官能基の混合物、アルキルアンモニウムイオンを形成する3個以上の炭素原子を有する窒素含有化合物、3個以上の炭素原子を有するアミノアルキル、少なくとも1つの窒素含有複素環又は第三級若しくは第四級窒素原子の繰り返し基を含むポリマー腐食防止剤、ポリカチオン性アミン化合物、シクロデキストリン化合物、ポリエチレンイミン化合物、グリコール酸、キトサン、糖アルコール、多糖類、アルギネート化合物、及びスルホン酸ポリマー、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の研磨方法。
【請求項26】
前記化学機械的平坦化組成物中の前記安定剤が、アジピン酸、フタル酸、クエン酸、マロン酸、オルトフタル酸、リン酸、置換又は非置換ホスホン酸、ニトリル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の研磨方法。
【請求項27】
前記化学機械的平坦化組成物が、シリカ粒子、硝酸鉄(III)、マロン酸、過酸化水素、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリド、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム-コ-アクリルアミドクロリド(コポリマー)、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム-コ-N-メチルマレイミドクロリド(コポリマー)、ポリ(4-ビニルフェノール-コ-トリフェニル(4-(4-ビニルフェノキシ)ブチル)ホスホニウム)ブロミド、ポリ(4-(ブチルジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミド、ポリ(PEG5-ジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるカチオン性ポリマー又はコポリマー、並びに水を含み、前記組成物の前記pHが、1.5~4である、請求項18に記載の研磨方法。
【請求項28】
タングステンを含有する前記少なくとも1つの表面が、2000オングストローム未満又は1000オングストローム未満のディッシングトポグラフィ及び2000オングストローム未満又は1000オングストローム未満のエロージョントポグラフィを含む、請求項20に記載の研磨方法。
【請求項29】
タングステンを含有する少なくとも1つの表面を備える半導体基板の化学機械的平坦化のためのシステムであって、
a)研磨パッドと、
b)化学機械的平坦化組成物であって、
無機酸化物粒子、金属酸化物被覆無機酸化物粒子、有機ポリマー粒子、金属酸化物被覆有機ポリマー粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨剤と、
活性化剤と、
酸化剤と、
請求項1~7のいずれか一項に記載のカチオン性ポリマー又はコポリマーを含む添加剤と、
水と、任意選択で
腐食防止剤と、
ディッシング低減剤と、
安定剤と、
pH調整剤と、
を含む、化学機械的平坦化組成物を含み、
前記タングステンを含有する少なくとも1つの表面が、前記研磨パッド及び前記化学機械的平坦化組成物と接触しており、前記タングステンを含有する少なくとも1つの表面を前記化学機械的平坦化組成物で研磨する、
システム。
【請求項30】
前記化学機械的平坦化組成物が、
0.01重量%~30重量%、0.05重量%~20重量%、0.01重量%~10重量%、又は0.1重量%~2重量%の範囲である前記研磨剤を有し、
前記添加剤が、0.00001重量%~0.05重量%、0.0001重量%~0.025重量%、0.0002重量%~0.02重量%、又は0.0001重量%~0.01重量%の範囲であり、
前記酸化剤が、0.01重量%~30重量%、0.1重量%~20重量%、又は0.5重量%~10重量%の範囲であり、
前記活性化剤が、0.00001重量%~5.0重量%、0.0001重量%~2.0重量%、0.0005重量%~1.0重量%、又は0.001重量%~0.5重量%の範囲であり、
前記腐食防止剤が、1.0重量%未満、0.5重量%未満、又は0.25重量%未満の範囲であり、
前記ディッシング低減剤が、0.001重量%~2.0重量%、0.005重量%~1.5重量%、又は0.01重量%~1.0重量%の範囲であり、及び
前記安定剤が、0.0001~5重量%、0.00025~2重量%、又は0.0005~1重量%の範囲である、
請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記化学機械的平坦化組成物が、前記研磨剤としてシリカ粒子を有する、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
前記化学機械的平坦化組成物中の前記酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、パーオキシギ酸、過酢酸、プロパンパーオキソ酸、置換又は非置換ブタンパーオキソ酸、ヒドロパーオキシアセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、パーオキシ一硫酸アンモニウムからなる群から選択されるパーオキシ化合物、及び亜硝酸第二鉄、KClO
4、KBrO
4、KMnO
4からなる群から選択される非パーオキシ化合物、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載のシステム。
【請求項33】
前記化学機械的平坦化組成物中の前記活性化剤が、(1)表面に遷移金属が被覆された無機酸化物粒子であって、前記遷移金属が、Fe、Cu、Mn、Co、Ce、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、無機酸化物粒子、(2)硝酸鉄(III)、シュウ酸鉄(III)アンモニウム三水和物、三塩基性クエン酸鉄(III)一水和物、鉄(III)アセチルアセトネート及びエチレンジアミン四酢酸、鉄(III)ナトリウム塩水和物からなる群から選択される可溶性触媒、(3)Ag、Co、Cr、Cu、Fe、Mo、Mn、Nb、Ni、Os、Pd、Ru、Sn、Ti、V、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される複数の酸化状態を有する金属化合物、からなる群から選択される、請求項29に記載のシステム。
【請求項34】
前記化学機械的平坦化組成物中の前記腐食防止剤が、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、5-アミノトリアゾール、ベンゾイミダゾール、2,1,3-ベンゾチアジアゾール、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、及びトリアジントリチオール、ピラゾール、イミダゾール、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載のシステム。
【請求項35】
前記化学機械的平坦化組成物中の前記pH調整剤が、(a)前記pHを低下させるための硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、様々な脂肪酸、様々なポリカルボン酸、及びこれらの混合物、並びに(b)前記pHを上昇させるための水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、修飾ポリエチレンイミン、及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記組成物のpHが、1~14、1~7、1~6、又は1.5~4である、請求項29に記載のシステム。
【請求項36】
前記化学機械的平坦化組成物中の前記ディッシング低減剤が、サルコシネート及び関連カルボン酸化合物、炭化水素置換サルコシネート、アミノ酸、ポリエチレンオキシド(PEO)などのエチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、エトキシ化界面活性剤、窒素-水素結合を含まない窒素含有複素環、スルフィド、オキサゾリジン又は1つの化合物中の官能基の混合物、アルキルアンモニウムイオンを形成する3個以上の炭素原子を有する窒素含有化合物、3個以上の炭素原子を有するアミノアルキル、少なくとも1つの窒素含有複素環又は第三級若しくは第四級窒素原子の繰り返し基を含むポリマー腐食防止剤、ポリカチオン性アミン化合物、シクロデキストリン化合物、ポリエチレンイミン化合物、グリコール酸、キトサン、糖アルコール、多糖類、アルギネート化合物、及びスルホン酸ポリマー、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載のシステム。
【請求項37】
前記化学機械的平坦化組成物中の前記安定剤が、アジピン酸、フタル酸、クエン酸、マロン酸、オルトフタル酸、リン酸、置換又は非置換ホスホン酸、ニトリル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項29に記載のシステム。
【請求項38】
前記化学機械的平坦化組成物が、シリカ粒子、硝酸鉄(III)、マロン酸、過酸化水素、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリド、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム-コ-アクリルアミドクロリド(コポリマー)、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム-コ-N-メチルマレイミドクロリド(コポリマー)、ポリ(4-ビニルフェノール-コ-トリフェニル(4-(4-ビニルフェノキシ)ブチル)ホスホニウム)ブロミド、ポリ(4-(ブチルジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミド、ポリ(PEG5-ジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるカチオン性ポリマー又はコポリマー、並びに水を含み、前記組成物の前記pHが、1.5~4である、請求項29に記載のシステム。
【請求項39】
タングステンを含有する前記少なくとも1つの表面が、2000オングストローム未満又は1000オングストローム未満のディッシングトポグラフィ及び2000オングストローム未満又は1000オングストローム未満のエロージョントポグラフィを含む、請求項29に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月10日に出願された米国仮特許出願第63/209,306号の利益を主張するものであり、参照により本明細書に完全に記載されている場合と同様に本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、半導体デバイスの製造における、化学機械的平坦化又は研磨(「CMP」)スラリー(又は組成物、又は配合物)、化学機械的平坦化を行うための研磨方法及び研磨システムに関する。特に、本開示は、タングステンを含有する金属材料を含むパターニングされた半導体ウエハを研磨するために好適に使用される、研磨スラリーに関する。
【0003】
集積回路は、周知の多層相互配線の使用によって相互配線される。相互配線構造は、通常、メタライゼーションの第1の層、相互配線層、メタライゼーションの第2の層、及び典型的にはメタライゼーションの第3及び後続の層を有する。シリコン基板又はウェル内の異なる層のメタライゼーションを電気的に絶縁するために、二酸化ケイ素などの層間絶縁材料、及び時にはlow-k材料が使用される。異なる相互配線層間の電気的接続は、金属化ビア、特にタングステンビアを使用することによって行われる。米国特許第4,789,648号には、絶縁膜中に複数の金属化層及び金属化ビアを調製する方法が記載されている。同様に、金属コンタクトは、相互配線層とウェル内に形成されたデバイスとの間の電気的接続を形成するために使用される。金属ビア及びコンタクトは、概してタングステンで充填され、概して窒化チタン(TiN)及び/又はチタンなどの接着層を用いて、タングステン金属層などの金属層を絶縁材料に接着する。
【0004】
1つの半導体製造プロセスでは、金属化ビア又はコンタクトは、ブランケットタングステン堆積とそれに続くCMP工程によって形成される。典型的なプロセスでは、層間絶縁膜(ILD)を通して相互配線の線又は半導体基板までビアホールがエッチングされる。次に、窒化チタン及び/又はチタンなどの薄い接着層が、概してILDの上に形成され、エッチングされたビアホール内に向けられる。次いで、タングステン膜が、接着層上及びビア内にブランケット堆積される。堆積は、ビアホールがタングステンで充填されるまで継続される。最後に、過剰なタングステンをCMPによって除去して、金属ビアを形成する。
【0005】
別の半導体製造プロセスでは、タングステンは、A.Yagishita et al,IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES,VOL.47,NO.5,MAY 2000に教示されるように、従来ゲート電極材料として使用されてきたポリシリコンよりも電気的特性が優れているため、トランジスタのゲート電極材料として使用される。
【0006】
典型的なCMPプロセスでは、基板を、回転する研磨パッドに直接接触させる。キャリアは、基板の裏側に対して圧力を加える。研磨プロセス中、パッド及びテーブルは回転され、その間、下向きの力が基板裏面に対して維持される。一般に研磨「スラリー」、研磨「組成物」又は研磨「配合物」と呼ばれる研磨剤及び化学反応性溶液が、研磨中にパッド上に堆積され、ウエハに対するパッドの回転及び/又は運動によって、当該スラリーが研磨パッドと基板表面との間の空間に運ばれる。スラリーは、研磨される膜と化学的に反応することによって研磨プロセスを開始する。研磨プロセスは、スラリーがウエハ/パッド界面に供給されるときに、基板に対するパッドの回転運動によって促進される。絶縁体上の所望の膜が除去されるまで、この方法で研磨が続けられる。CMPにおけるタングステンの除去は、機械的研磨とタングステン酸化とそれに続く溶解との相乗作用によると考えられている。
【0007】
その比較的単純な外観にもかかわらず、化学機械的平坦化(CMP)は、Lee Cook in digital Encyclopedia of Applied Physics,2019,DOI:10.1002/3527600434.eap847 10.1002/3527600434.eap847で記載されているように、非常に複雑なプロセスである。
【0008】
半導体産業におけるデバイススケーリング及び新しいトレンドに対する過去及び将来の要求のための技術を可能にすることの重要性は、議論の余地がない。ウエハ、スラリー及びパッドの間の多数の相互作用並びに全般的なプロセスパラメータが、CMPの結果を決定する。最後に、CMPにおける材料除去は、Lee,D.;Lee,H.;Jeong,H.Slurry components in metal chemical mechanical planarization(CMP)process:A review.International Journal of Precision Engineering and Manufacturing 2016,17,1751で記載されているように化学的力と機械的力との間の複雑な相互作用の結果である。多数の材料が半導体デバイス製造において使用されており、それらの全ては最適化されたCMPプロセスを必要とする。絶縁材料、バリア及び金属層などの完全に異なる材料の組み合わせを同時に研磨することは、CMPの真の課題である。
【0009】
高選択性スラリーは、金属の除去速度対絶縁膜の除去速度において大きな差を有し、将来の産業ニーズにとって大きな関心が持たれている。しかしながら、これらの高選択性スラリーの使用に関連する不完全性が存在する。金属層は容易に過剰研磨され、「ディッシング」効果を生じ得る。別の許容できない欠陥は、「エロージョン」と呼ばれ、これは、絶縁膜を有する領域と金属ビア又はトレンチの密なアレイとの間のトポグラフィの差を表す。
【0010】
CMPにおいて、特にタングステンなどの金属用途において一般的に遭遇する問題の1つは、エロージョン及びディッシングなどのトポロジー欠陥をどのように制御するかである。
【0011】
特別に設計された水系スラリーは、将来のデバイスのためのCMP性能を改善する際の主な推進要因と考えられる。スラリーの開発によると、異なる層間の除去速度及び選択性に影響を及ぼすだけでなく、研磨プロセス中の欠陥を制御する。概して、スラリー組成物は、異なる機能を有する研磨剤及び化学成分の複雑な組み合わせである。ポリマー添加剤は、ある特定の材料と相互作用することによって表面欠陥を最小限に抑えるのに重要な役割を果たす。例えば、正に帯電したポリマーは、タングステン除去を阻害するものであり、タングステンCMPプロセスにおけるディッシング効果を低減するために使用することができる。
【0012】
米国特許第5,876,490号は、研磨粒子を含み、垂直応力効果を示し、当該研磨粒子に関連するものとは異なる電荷のイオン部分を有する高分子電解質を更に含み、当該高分子電解質の濃度が当該研磨粒子の約5~約50重量%であり、当該高分子電解質が約500~約10,000の分子量を有する、研磨スラリーの使用を記載している。
【0013】
米国特許第2010/075501号は、タングステンを含有する相互配線層を含む研磨標的を研磨するために使用される化学機械的研磨用水系分散体を記載している。化学機械的研磨用水系分散体は、(A)カチオン性水溶性ポリマーと、(B)鉄(III)化合物と、(C)コロイダルシリカ粒子と、を含む。カチオン性水溶性ポリマー(A)の含有量(MA)(質量%)と、鉄(III)化合物(B)の含有量(MB)(質量%)とが、「MA/MB=0.004~0.1」の関係を満たす。化学機械的研磨用水系分散体は、1~3のpHを有する。
【0014】
米国特許第2010/0252774(A1)号は、タングステンを含有する配線層を含む研磨標的を研磨するために使用される化学機械的研磨用水系分散体を記載している。化学機械的研磨用水系分散体は、(A)カチオン性水溶性ポリマーと、(B)鉄(III)化合物と、(C)BET法による比表面積から算出される平均粒子径が10~60nmであるコロイダルシリカと、を含む。(A)カチオン性水溶性ポリマーの含有量(MA)(質量%)と、(C)コロイダルシリカの含有量(MC)(質量%)とが、「MA/MC=0.0001~0.003」の関係を満たす。化学機械的研磨用水系分散体。
【0015】
米国特許第10,604,678(B1)号は、タングステンの腐食速度を少なくとも低減するために、選択された四級ホスホニウム化合物を低濃度で含有する、タングステンを研磨するためのプロセス及び組成物を開示している。この方法及び組成物は、タングステンを含有する基板を提供することと、初期成分として、水、酸化剤、腐食速度を少なくとも低減するために低濃度の選択された四級ホスホニウム化合物、ジカルボン酸、鉄イオン源:コロイダルシリカ研磨剤及び任意選択でpH調整剤を含有する安定な研磨組成物を提供することと、研磨表面を有する化学機械的研磨パッドを提供することと、研磨パッドと基板との間の界面に動的接触を生じさせることと、研磨パッドと基板との間の界面又はその付近の研磨表面上に研磨組成物を分配することと、を含み、タングステンの一部が基板から研磨除去され、タングステンの腐食速度が低減される。
【0016】
米国特許第2009/0081871号は、液体キャリア、カチオン性ポリマー、酸、及びアミノシラン化合物で処理された研磨粒子を含む発明の研磨組成物で基板を化学機械的研磨することを含む、方法を開示している。
【0017】
米国特許第2014/0248823号は、(a)研磨粒子、(b)ポリマー、及び(c)水を含有する化学機械的研磨組成物であって、(i)ポリマーが全電荷を有し、(ii)研磨粒子がポリマーの非存在下で測定されるゼータ電位Zaを有し、研磨粒子がポリマーの存在下で測定されるゼータ電位Zbを有し、ゼータ電位Zaがポリマーの全電荷と同じ符号である数値であり、(iii)|ゼータ電位Zb|>|ゼータ電位Za|である、化学機械的研磨組成物を記載している。本発明はまた、研磨組成物で基板を研磨する方法を提供する。
【0018】
CMPにおいて、特にタングステンなどの金属用途において一般的に遭遇する問題の1つは、タングステン配線のディッシング及び金属配線のアレイのエロージョンである。ディッシング及びエロージョンは、研磨されたウエハの平坦性を規定する重要なCMPパラメータである。配線のディッシングは、典型的には、より広い配線について増加する。アレイのエロージョンは、典型的には、パターン密度の増加とともに増加する。
【0019】
タングステンCMPスラリーは、デバイスが機能するために重要な特定の設計目標を満たすように、ディッシング及びエロージョンを最小限に抑えることができるように配合されるべきである。
【0020】
エロージョン及びディッシングなどのトポロジー欠陥を制御するための解決策を見出すことは、将来のCMP要件にとって重要である。研磨において望ましい除去速度を維持しながら、ディッシング及びエロージョンを低減することができる新規なタングステンCMPスラリーが、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0021】
本発明は、金属層、特にタングステン膜の望ましい研磨を維持しながら、高選択性タングステンスラリーにおけるディッシング及びエロージョンの記載された問題を最小限に抑えるために、インテリジェントデザインされたタングステンCMPスラリー、CMPスラリーを使用するシステム及び方法を提供することによって、この必要性を満たす。
【0022】
より具体的には、本発明は、特定のホスホニウム系ポリマー又はコポリマーの合成を開示し、記載された問題を低減するためのCMPスラリーにおける合成ホスホニウム系ポリマー又はコポリマーの使用を示す。
【0023】
ホスホニウム系ポリマー又はコポリマーは、主鎖、ペンダントホスホニウム基、又はその両方を含有するホスホニウム含有高分子を有するカチオン性ポリマー又はコポリマーである。
【0024】
加えて、本発明のいくつかの特定の態様を以下に概説する。
態様1:少なくとも1つのホスホニウム基を含有する少なくとも1つのカチオン性モノマーによって形成されるカチオン性ポリマー又はコポリマーであって、カチオン性モノマーが、
【化1】
[式中、
少なくとも1つのホスホニウム基が、カチオン性ポリマー又はコポリマーの骨格中にあり、
R
1及びR
2各々が、独立して、置換又は非置換脂肪族、分岐脂肪族又は環状脂肪族、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、芳香環又はヘテロ芳香環中のCH
2が、ヘテロ原子が互いに結合しないようにO、S又はNによって置き換えられていてもよく、
R
3が、置換若しくは非置換脂肪族、分岐脂肪族若しくは環状脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、又はシロキサン部分であり、芳香環又はヘテロ芳香環中のCH
2が、ヘテロ原子が互いに結合しないようにO、S又はNによって置き換えられていてもよく、水素が、F、Cl又はCNによって置き換えられていてもよく、
アニオンX
-が、F
-、Cl
-、Br
-、及びI
-からなる群から選択されるハライドアニオン、BF
4
-、PF
6
-、カルボキシレート、例えばR=H、アルキル又はアリールを有するRCOO
-、マロネート、シトレート、フマレート、スルホネート、例えばR=H、アルキル又はアリールを有するRSO
3
-、CF
3COO
-、CF
3SO
3
-、ナイトレート、サルフェート、カルボネート、水素カルボネート、並びに任意の他の適切なアニオンからなる群から選択される]、
【化2】
[式中、
少なくとも1つのホスホニウム基が、カチオン性ポリマー又はコポリマーの1つ又は複数の側鎖中にあり、
Spが、各出現において、スペーサー基(Sp)又は単一の直鎖若しくは分岐結合、少なくとも1つのホスホニウム基をカチオン性ポリマー又はコポリマーの骨格に化学的に連結する置換若しくは非置換アルキル鎖を示し、Spが、1~20個、好ましくは1~10個の炭素原子を有することができ、任意選択でF、Cl、Br、I又はCNによって一置換又は多置換されていてもよく、1つ以上の隣接していないCH
2基各々が、独立して、ヘテロ原子が互いに結合しないように-O-、-S-、-NH-、-NR-によって置き換えられていてもよく、
Polが、カチオン性ポリマー又はコポリマーの骨格を示し、骨格型が、ビニル、スチレン、アクリル又はメタクリル、アクリルアミド又はメタクリルアミド、エチレングリコール、ビニルエーテル、シロキサン、フェノール、ノルボルネン型骨格、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
R
1、R
2、R
3各々が、独立して、置換又は非置換脂肪族、分岐脂肪族又は環状脂肪族、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、芳香環又はヘテロ芳香環中のCH
2が、ヘテロ原子が互いに結合しないようにO、S又はNによって置き換えられていてもよく、水素が、F、Cl又はCNによって置き換えられていてもよく、
アニオンX
-が、F
-、Cl
-、Br
-、及びI
-からなる群から選択されるハライドアニオン、BF
4
-、PF
6
-、カルボキシレート(R=H、アルキル又はアリールを有するRCOO
-)、マロネート、シトレート、フマレート、スルホネート(R=H、アルキル又はアリールを有するRSO
3
-)、CF
3COO
-、CF
3SO
3
-、ナイトレート、サルフェート、カルボネート、水素カルボネート、並びに任意の他の好適なアニオンからなる群から選択される]、
並びに
(3)(1)及び(2)の組み合わせからなる群から選択される構造を含む、
カチオン性ポリマー又はコポリマー。
態様2:態様1に記載の少なくとも1つのカチオン性モノマーと、アクリレート又はメタクリレート、アクリルアミド又はメタクリルアミド、マレイミド、ビニルベンゼン、ビニル型モノマー、エチレングリコール、シロキサン、ノルボルネンが挙げられるが、これらに限定されない当該技術分野で公知の少なくとも1つの非イオン性モノマーと、によって形成される、コポリマー。
態様3:重合が、フリーラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)、ニトロキシド媒介重合(NMP)、原子移動反応重合(ATRP)、開環重合(ROMP)、又は重縮合反応からなる群から選択される重合方法である、態様1又は2に記載のカチオン性ポリマー又はコポリマー。
態様4:コポリマーが、ブロックコポリマー特性を有する、態様1~3に記載のコポリマー。
態様5:カチオン性ポリマー又はコポリマーが、対イオンとしてブロミド、クロリド、ナイトレート、サルフェート、ホスフェートから選択される官能性アニオンを有する、態様1~4に記載のカチオン性ポリマー又はコポリマー。
態様6:カチオン性ポリマー又はコポリマーが、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリド、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム-コ-アクリルアミドクロリド(コポリマー)、ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム-コ-N-メチルマレイミドクロリド(コポリマー)、ポリ(4-ビニルフェノール-コ-トリフェニル(4-(4-ビニルフェノキシ)ブチル)ホスホニウム)ブロミド、ポリ(4-(ブチルジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミド、及びポリ(PEG5-ジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミドからなる群から選択される、態様1に記載のカチオン性ポリマー又はコポリマー。
態様7:
無機酸化物粒子、金属酸化物被覆無機酸化物粒子、有機ポリマー粒子、金属酸化物被覆有機ポリマー粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨剤と、
活性化剤と、
酸化剤と、
態様1~6に記載のカチオン性ポリマー又はコポリマーを含む添加剤と、
水と、任意選択で
腐食防止剤と、
ディッシング低減剤と、
安定剤と、
pH調整剤と、
を含む、化学機械的平坦化組成物。
態様8:化学機械的平坦化のためのシステムであって、
タングステンを含有する少なくとも1つの表面を備える半導体基板と、
研磨パッドと、
態様7に記載の化学機械的平坦化組成物と、を含み、
タングステンを含有する少なくとも1つの表面が、研磨パッド及び化学機械的平坦化組成物と接触している、化学機械的平坦化のためのシステム。
態様9:タングステンを含有する少なくとも1つの表面を備える半導体基板の化学機械的平坦化のための研磨方法であって、
a)タングステンを含有する前記少なくとも1つの表面を研磨パッドと接触させる工程と、
b)態様7に記載の化学機械的平坦化組成物を送達する工程と、
c)タングステンを含有する少なくとも1つの表面を、化学機械的平坦化組成物で研磨する工程と、
を含む、研磨方法。
【0025】
研磨剤としては、無機酸化物粒子、金属酸化物被覆無機酸化物粒子、有機ポリマー粒子、金属酸化物被覆有機ポリマー粒子、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
無機酸化物粒子としては、セリア、コロイダルシリカ、高純度コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、コロイダルセリア、アルミナ、チタニア、ジルコニア粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
金属酸化物被覆無機酸化物粒子としては、セリア被覆無機酸化物粒子、例えば、セリア被覆コロイダルシリカ、セリア被覆高純度コロイダルシリカ、セリア被覆アルミナ、セリア被覆チタニア、セリア被覆ジルコニア、又は任意の他のセリア被覆無機酸化物粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
有機ポリマー粒子としては、ポリスチレン粒子、ポリウレタン粒子、ポリアクリレート粒子、又は任意の他の有機ポリマー粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
金属酸化物被覆有機ポリマー粒子は、セリア被覆有機ポリマー粒子、ジルコニア被覆有機ポリマー粒子からなる群から選択される。
【0030】
研磨剤の濃度は、0.01重量%~30重量%の範囲であり得、好ましくは、約0.05重量%~約20重量%であり、より好ましくは約0.01~約10重量%であり、最も好ましくは、0.1重量%~2重量%である。重量%は、組成物に対するものである。
【0031】
活性化剤としては、(1)表面に遷移金属が被覆された無機酸化物粒子であって、遷移金属が、Fe、Cu、Mn、Co、Ce、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、無機酸化物粒子、(2)硝酸鉄(III)、シュウ酸鉄(III)アンモニウム三水和物、三塩基性クエン酸鉄(III)一水和物、鉄(III)アセチルアセトネート及びエチレンジアミン四酢酸、鉄(III)ナトリウム塩水和物からなる群から選択される可溶性触媒、(3)Ag、Co、Cr、Cu、Fe、Mo、Mn、Nb、Ni、Os、Pd、Ru、Sn、Ti、V、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される複数の酸化状態を有する金属化合物、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
活性化剤は、0.00001重量%~5.0重量%、0.0001重量%~2.0重量%、0.0005重量%~1.0重量%、又は0.001重量%~0.5重量%の範囲である。
【0033】
酸化剤としては、過酸化水素、過酸化尿素、パーオキシギ酸、過酢酸、プロパンパーオキソ酸、置換又は非置換ブタンパーオキソ酸、ヒドロパーオキシアセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、パーオキシ一硫酸アンモニウムからなる群から選択されるパーオキシ化合物、及び亜硝酸第二鉄、KClO4、KBrO4、KMnO4からなる群から選択される非パーオキシ化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
酸化剤濃度は、約0.01重量%~30重量%の範囲であり得るが、酸化剤の好ましい濃度は、約0.1重量%~20重量%であり、酸化剤のより好ましい濃度は、約0.5重量%~約10重量%である。重量%は、組成物に対するものである。
【0035】
ホスホニウム系ポリマー又はコポリマーを含む添加剤の全体的な量は、0.00001重量%~0.05重量%、0.0001重量%~0.025重量%、0.0002重量%~0.02重量%、又は0.0001重量%~0.01重量%の範囲である。
【0036】
研磨組成物のpHを低下させるのに好適なpH調整剤としては、硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、様々な脂肪酸、様々なポリカルボン酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。研磨組成物のpHを上昇させるのに好適なpH調整剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、修飾ポリエチレンイミン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
スラリーのpHは、1~14であり、好ましくは1~7であり、より好ましくは1~6であり、最も好ましくは1.5~4である。
【0038】
CMPスラリーは、界面活性剤、分散剤、キレート剤、膜形成腐食防止剤、及び殺生物剤を更に含んでもよい。
【0039】
本発明の他の態様、特徴及び実施形態は、以下の開示及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。
【0040】
本発明の実施形態は、単独で、又は互いに組み合わせて使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、金属層、特にタングステン膜の望ましい研磨を維持しながら、高選択性スラリーにおけるディッシング及びエロージョンの記載された問題を低減するために、インテリジェントデザインされたタングステンCMPスラリー、CMPスラリーを使用するシステム及び方法を提供することによって、この必要性を満たす。
【0042】
CMPスラリーに使用されるポリマーの中で、ホスホニウム含有高分子は、驚くべきことに、CMPスラリー用の添加剤として記載されていない。
【0043】
ホスホニウム系ポリマー又はコポリマーは、主鎖、ペンダントリン基、又はその両方を含有するホスホニウム含有高分子である。リンはより大きな原子半径を有し、これにより結合長が著しく長くなる場合があり、リン原子の立体障害が変化する。ホスホニウム系ポリマー又はコポリマーは、ホモポリマー、ランダムコポリマー及びブロックコポリマーを含む、様々な骨格化学から誘導されるホスホニウム担持高分子を包含する。
【0044】
驚くべきことに、記載されたホスホニウム系ポリマー又はコポリマーは、タングステン表面などの負に帯電した金属層と静電的に相互作用し、CMP中の金属の除去を阻害することができることが見出された。特定の設計されたポリマーを使用して、過剰研磨効果を防止し、エロージョン及びディッシングを低減することができる。結果として、ホスホニウム含有ポリマーは、全体的なトポグラフィ制御のため、特にディッシング及びエロージョンを低減するための有望な候補である。
【0045】
本発明は、ホスホニウム系ポリマーの合成を開示し、高選択性タングステンスラリーにおけるディッシング及びエロージョンの記載された問題を低減するための、CMPスラリーにおける合成ホスホニウム系ポリマーの使用を示す。
【0046】
本明細書に引用される刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が、参照により組み込まれることが個々にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
本発明を説明する文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)「a」及び「an」及び「the」という用語の使用並びに同様の言及は、本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「挙げられるが、これらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、その範囲内に入る各個別の値を個々に言及する省略法としての役割を果たすことが単に意図されており、各個別の値は、本明細書において個々に列挙されているのと同様に本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書で提供される任意の及び全ての例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく解明することを意図しており、別様に特許請求されない限り本発明の範囲で限定を課すものではない。本明細書中のいかなる言語も、本発明の実施に不可欠な任意の特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。本明細書及び特許請求の範囲における「含む(comprising)」という用語の使用は、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」というより狭い言葉を含む。
【0048】
本発明を実施するために本発明者らに知られている最良の形態を含む実施形態が本明細書に記載されている。これらの実施形態の変形は、前述の説明を読めば当業者には明らかになり得る。本発明者らは、当業者が必要に応じてそのような変形形態を使用することを予想し、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載されているものとは別の方法で実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用可能な法によって許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲で記載された主題の全ての修正形態及び均等物を含む。更に、その全ての可能な変形形態における上記要素の任意の組み合わせは、本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、本発明によって包含される。
【0049】
参照を容易にするために、「マイクロ電子デバイス」は、半導体基板、フラットパネルディスプレイ、相変化メモリデバイス、ソーラーパネル、並びにマイクロエレクトロニクス、集積回路、又はコンピュータチップ用途における使用のために製造されたソーラー基板、光起電装置、及び微小電気機械システム(MEMS)を含む他の製品に対応する。ソーラー基板としては、シリコン、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、CdTe、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、及びガリウム上のヒ化ガリウムが挙げられるが、これらに限定されない。ソーラー基板は、ドープ処理であっても未ドープ処理であってもよい。「マイクロ電子デバイス」という用語は、決して限定することを意味するものではなく、最終的にマイクロ電子デバイス又はマイクロ電子アセンブリになる任意の基板を含むことを理解されたい。
【0050】
「実質的に含まない」とは、本明細書では0.001重量%未満として定義される。「実質的に含まない」はまた、0.000重量%を含む。「含まない」という用語は、0.000重量%を意味する。
【0051】
本明細書で使用される場合、「約」は、述べられた値の±5%、好ましくは±2%に対応することが意図される。
【0052】
組成物の特定の成分が0の下限を含む重量パーセント範囲を参照して論じられる、全てのそのような組成物において、そのような成分は、組成物の様々な特定の実施形態において存在しても存在しなくてもよく、そのような成分が存在する場合、そのような成分は、そのような成分が使用される組成物の総重量に基づいて、0.00001重量パーセント程度の低い濃度で存在してもよいことが理解されるであろう。
【0053】
本発明におけるCMPスラリーは、研磨剤、酸化剤(すなわち、フリーラジカル発生剤ではない酸化剤)、活性化剤又は触媒、ホスホニウム系カチオン性ポリマーを含む添加剤、及び水、任意選択で、腐食防止剤、ディッシング低減剤、安定剤、及びpH調整剤を含む。スラリーのpHは、1~14であり、好ましくは1~7であり、より好ましくは1~6であり、最も好ましくは1.5~4である。
【0054】
CMPスラリーは、界面活性剤、分散剤、キレート剤、膜形成腐食防止剤、殺生物剤、及び研磨増強剤を更に含むことができる。
【0055】
研磨剤
CMPスラリーに使用される研磨剤としては、無機酸化物粒子、金属酸化物被覆無機酸化物粒子、有機ポリマー粒子、金属酸化物被覆有機ポリマー粒子、表面改質研磨剤粒子、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
CMPスラリーに使用される研磨剤は、活性化剤含有粒子(すなわち、活性化剤コーティングを有する研磨剤)、又は非活性化剤含有粒子であってもよい。
【0057】
無機酸化物粒子としては、セリア、シリカ、アルミナ、チタニア、ゲルマニア、スピネル、タングステンの酸化物若しくは窒化物、ジルコニア粒子、又は1つ以上の他の鉱物若しくは元素でドープされた上記のいずれか、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。酸化物研磨剤は、ゾル-ゲル法、水熱法、加水分解法、プラズマ法、熱分解法、エアロゲル法、発煙法及び沈殿法、並びにこれらの任意の組み合わせを含む様々な技術のいずれかによって製造することができる。
【0058】
沈殿無機酸化物粒子は、金属塩及び酸又は他の沈殿剤の反応による既知の方法によって得ることができる。熱分解金属酸化物及び/又はメタロイド酸化物粒子は、酸素/水素火炎中での好適な蒸発可能な出発材料の加水分解によって得られる。一例は、四塩化ケイ素からの熱分解二酸化ケイ素である。酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化ゲルマニウム及び酸化バナジウムの熱分解酸化物並びにそれらの化学的及び物理的混合物が好適である。
【0059】
金属酸化物被覆無機酸化物粒子としては、セリア被覆若しくはアルミナ被覆無機酸化物粒子、例えば、セリア被覆コロイダルシリカ、アルミナ被覆コロイダルシリカ、セリア被覆高純度コロイダルシリカ、アルミナ被覆高純度コロイダルシリカ、セリア被覆アルミナ、セリア被覆チタニア、アルミナ被覆チタニア、セリア被覆ジルコニア、アルミナ被覆ジルコニア、又は任意の他のセリア被覆若しくはアルミナ被覆無機酸化物粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
金属酸化物被覆有機ポリマー粒子は、セリア被覆有機ポリマー粒子、ジルコニア被覆有機ポリマーからなる群から選択される。
【0061】
有機ポリマー粒子としては、ポリスチレン粒子、ポリウレタン粒子、ポリアクリレート粒子、又は任意の他の有機ポリマー粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
コロイダルシリカ粒子及び高純度コロイダルシリカ粒子は、好ましい研磨粒子である。シリカは、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、1つ以上のアジュバントでドープされたシリカ、又は任意の他のシリカ系化合物のいずれであってもよい。
【0063】
研磨剤として使用されるコロイダルシリカ粒子及び高純度コロイダルシリカ粒子はまた、そのようなシリカ粒子表面が異なる化学官能基を有し、CMPスラリー中の異なる適用pH条件で正電荷又は負電荷を有することを可能にする、化学カップリング反応を介して表面化学修飾されたシリカ粒子を含む。そのような表面化学修飾シリカ粒子の例としては、SiO2-R-NH2、-SiO-R-SO3Mが挙げられるが、これらに限定されず、式中、Rは、例えば、(CH2)n基であってもよく、nは、1~12の範囲であってもよく、Mは、例えば、ナトリウム、カリウム、又はアンモニウムであってもよい。
【0064】
代替的実施形態において、シリカは、例えば、ゾル-ゲル法、水熱法、プラズマ法、発煙法、沈殿法、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるプロセスによって製造することができる。
【0065】
研磨剤は、概して、1つの材料又は異なる材料の組み合わせの研磨粒子、典型的には多くの研磨粒子の形態である。概して、好適な研磨粒子は、ほぼ球状であり、約10~700nm、約20~500nm、又は約30~300ナノメートル(nm)の有効直径を有するが、個々の粒径は変動し得る。強凝集粒子又は弱凝集粒子の形態の研磨剤は、好ましくは更に処理されて、個々の研磨粒子を形成する。
【0066】
研磨粒子は、コロイド安定性の改善に役立ち得る金属不純物を除去するために、イオン交換などの好適な方法を使用して精製されてもよい。あるいは、高純度研磨粒子が使用される。
【0067】
概して、上述の研磨剤は、単独で又は互いに組み合わせて使用することができる。優れた性能を得るために、異なるサイズを有する2つ以上の研磨粒子又は異なる種類の研磨剤を組み合わせることが有利であり得る。
【0068】
研磨剤の濃度は、0.01重量%~30重量%の範囲であり得、好ましくは、約0.05重量%~約20重量%であり、より好ましくは約0.01~約10重量%であり、最も好ましくは、0.1重量%~2重量%である。重量%は、組成物に対するものである。
【0069】
添加剤
本発明のCMPスラリーは、ホスホニウム系ポリマー又はコポリマーである添加剤を含む。
【0070】
ホスホニウム系ポリマーは、主鎖、ペンダントホスホニウム基、又はその両方を含有するホスホニウム含有高分子を有するカチオン性ポリマー又はコポリマーである。
【0071】
原理的に、ホスホニウム基がどのポリマー骨格に結合しているか、又はどのタイプの重合反応が使用されるかは、作用様式にとって重要ではない。加えて、ランダムに又はブロック様に連結したコポリマーは、それらが骨格、1つ若しくは複数の側鎖、又は骨格及び側鎖の両方にホスホニウム基を有する場合、現在の解決策の一部である。
【0072】
CMPスラリー中のホスホニウム系ポリマーは、タングステン表面に付着して保護膜を形成することができると考えられる。タングステンの酸化が阻害され、それによってタングステン除去速度が調整され、それにより、過剰研磨、すなわちディッシング又はエロージョンが防止される。
【0073】
少なくとも1つのホスホニウム基を含有する少なくとも1つのカチオン性モノマーによって形成されるカチオン性ポリマー又はコポリマーであって、カチオン性モノマーが、
【化3】
[式中、
少なくとも1つのホスホニウム基が、カチオン性ポリマー又はコポリマーの骨格中にあり、R
1及びR
2各々が、独立して、置換又は非置換脂肪族、分岐脂肪族又は環状脂肪族、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、芳香環又はヘテロ芳香環中のCH
2が、ヘテロ原子が互いに結合しないようにO、S又はNによって置き換えられていてもよく、
R
3が、置換若しくは非置換脂肪族、分岐脂肪族若しくは環状脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族、又はシロキサン部分であり、芳香環又はヘテロ芳香環中のCH
2が、ヘテロ原子が互いに結合しないようにO、S又はNによって置き換えられていてもよく、水素が、F、Cl又はCNによって置き換えられていてもよく、
アニオンX
-が、F
-、Cl
-、Br
-、及びI
-からなる群から選択されるハライドアニオン、BF
4
-、PF
6
-、カルボキシレート、例えばR=H、アルキル又はアリールを有するRCOO
-、マロネート、シトレート、フマレート、スルホネート、例えばR=H、アルキル又はアリールを有するRSO
3
-、CF
3COO
-、CF
3SO
3
-、ナイトレート、サルフェート、カルボネート、水素カルボネート、並びに任意の他の適切なアニオンからなる群から選択される]、
【化4】
[式中、
少なくとも1つのホスホニウム基が、カチオン性ポリマー又はコポリマーの1つ又は複数の側鎖中にあり、
Spが、各出現において、スペーサー基(Sp)又は単一の直鎖若しくは分岐結合、少なくとも1つのホスホニウム基をカチオン性ポリマー又はコポリマーの骨格に化学的に連結する置換若しくは非置換アルキル鎖を示し、
Spが、1~20個、好ましくは1~10個の炭素原子を有することができ、任意選択でF、Cl、Br、I又はCNによって一置換又は多置換されていてもよく、1つ以上の隣接していないCH
2基各々が、独立して、ヘテロ原子が互いに結合しないように-O-、-S-、-NH-、-NR-によって置き換えられていてもよく、
Polが、カチオン性ポリマー又はコポリマーの骨格を示し、骨格型が、ビニル、スチレン、アクリル又はメタクリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、エチレングリコール、ビニルエーテル、シロキサン、フェノール、ノルボルネン型骨格、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
R
1、R
2、R
3各々が、独立して、置換又は非置換脂肪族、分岐脂肪族又は環状脂肪族、芳香族又はヘテロ芳香族部分であり、芳香環又はヘテロ芳香環中のCH
2が、ヘテロ原子が互いに結合しないようにO、S又はNによって置き換えられていてもよく、水素が、F、Cl又はCNによって置き換えられていてもよく、
アニオンX
-が、F
-、Cl
-、Br
-、及びI
-からなる群から選択されるハライドアニオン、BF
4
-、PF
6
-、R=H、アルキル又はアリールを有するカルボキシレートRCOO
-、マロネート、シトレート、フマレート、R=H、アルキル又はアリールを有するスルホネートRSO
3
-、CF
3COO
-、CF
3SO
3
-、ナイトレート、サルフェート、カルボネート、水素カルボネート、及び
任意の他の適切なアニオンからなる群から選択される]、
並びに
(1)及び(2)の組み合わせ
からなる群から選択される構造を含む。
【0074】
カチオン性コポリマーは、(1)及び(2)に記載のカチオン性モノマーと、アクリレート又はメタクリレート、アクリルアミド又はメタクリルアミド、マレイミド、ビニルベンゼン、ビニル型モノマー、エチレングリコール、シロキサン、ノルボルネン、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない当該技術分野で公知の少なくとも1つの非イオン性モノマーと、によって形成される。
【0075】
カチオン性コポリマーは、ブロックコポリマーであり得る。
【0076】
カチオン性ポリマー又はコポリマーは、対イオンとしてブロミド、クロリド、ナイトレート、サルフェート、ホスフェート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される官能性アニオンを有することができる。
【0077】
ホスホニウム系ポリマーの例としては、(1)ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリド:
【化5】
(2)ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム-コ-アクリルアミドクロリド(コポリマー)、
【化6】
(3)ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム-コ-N-メチルマレイミドクロリド(コポリマー)、
【化7】
(4)ポリ(4-ビニルフェノール-コ-トリフェニル(4-(4-ビニルフェノキシ)ブチル)ホスホニウム)ブロミド、
【化8】
(5)ポリ(4-(ブチルジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミド:
【化9】
及び
(6)ポリ(PEG5-ジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミド:
【化10】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
更に、本発明は、フリーラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)、ニトロキシド媒介重合(NMP)、原子移動反応重合(ATRP)、開環重合(ROMP)又は重縮合反応などのいくつかの制御ラジカル重合技術を包含する。
【0079】
添加剤は、0.00001重量%~0.05重量%、0.0001重量%~0.025重量%、0.0002重量%~0.02重量%、又は0.0001重量%~0.01重量%の範囲の濃度を有する。
【0080】
酸化剤
本発明のCMPスラリーは、材料の化学エッチングのための酸化剤(oxidizing agent)又は酸化剤(oxidizer)を含む。
【0081】
CMPスラリーの酸化剤は、基板と接触している、基板表面上の標的物質の化学的除去を助ける、流体組成物中にある。したがって、酸化剤成分は、組成物の材料除去速度を向上又は増加させると考えられる。好ましくは、組成物中の酸化剤の量は、化学除去プロセスを補助するのに十分であるが、取扱い、環境の問題、又はコストなどの類似若しくは関連する問題を最小限に抑えるために可能な限り少ない。
【0082】
有利なことに、本発明の一実施形態において、酸化剤は、少なくとも1つの活性化剤に曝露されると、少なくとも選択された構造上でエッチング速度を増加させるフリーラジカルを生成する成分である。以下に記載されるフリーラジカルは、ほとんどの金属を酸化し、表面を他の酸化剤からの酸化に対してより感受性にする。しかしながら、いくつかの酸化剤は活性化剤に曝露されたときに容易にフリーラジカルを形成せず、いくつかの実施形態において、基板上に見出され得る金属の様々な組み合わせに対して適合したエッチング速度又は優先的なエッチング速度を提供する1つ以上の酸化剤を有することが有利であるため、酸化剤は、以下で議論される「フリーラジカルを生成する化合物」とは別個に列挙される。
【0083】
当該技術分野において知られているように、いくつかの酸化剤は、他の成分よりも特定の成分により適している。本発明のいくつかの実施形態において、当該技術分野で知られているように、別の金属とは対照的に1つの金属に対するCMPシステムの選択性が最大化される。しかしながら、本発明の特定の実施形態において、酸化剤の組み合わせは、導体及びバリアの組み合わせに対して実質的に同様のCMP速度(単なるエッチング速度とは異なり)を提供するように選択される。
【0084】
一実施形態において、酸化剤は、無機又は有機過化合物である。
【0085】
過化合物は、全般的に、過塩素酸などの最も高い酸化状態にある元素を含有する化合物、又は過酢酸及び過クロム酸などの少なくとも1つのパーオキシ基(-O-O-)を含有する化合物として定義される。
【0086】
少なくとも1つのパーオキシ基を含有する好適な過化合物としては、過酢酸又はその塩、過炭酸塩、及び有機過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化尿素、及び/又は過酸化ジ-t-ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
少なくとも1つのパーオキシ基を含有する好適な過化合物としては、過酸化物が挙げられる。本明細書で使用される場合、「過酸化物」という用語は、R-O-O-R’を包含し、式中、R及びR’は、各々独立して、H、C1~C6直鎖若しくは分岐アルキル、アルカノール、カルボン酸、ケトン(例えば)、又はアミンであり、上記の各々は、独立して、それ自体がOH又はC1~C5アルキルで置換されていてもよい1つ以上のベンジル基(例えば過酸化ベンゾイル)、並びにそれらの塩及び付加物で置換されていてもよい。したがって、この用語は、過酸化水素、パーオキシギ酸、過酢酸、プロパンパーオキソ酸、置換又は非置換ブタンパーオキソ酸、ヒドロパーオキシ-アセトアルデヒドなどの一般的な例を含み、過酸化物、例えば過酸化尿素の一般的な複合体もこの用語に包含される。
【0088】
少なくとも1つのパーオキシ基を含有する好適な過化合物としては、過硫酸塩が挙げられる。本明細書で使用される場合、「過硫酸塩」という用語は、一過硫酸塩、二過硫酸塩、並びにその酸及び塩及び付加物を包含する。例えば、パーオキシ二硫酸塩、パーオキシ一硫酸及び/又はパーオキシ一硫酸塩、カロ-酸(Caro’s acid)が挙げられ、例えば、パーオキシ一硫酸カリウムなどの塩が挙げられるが、好ましくはパーオキシ一硫酸アンモニウムなどの非金属塩である。
【0089】
少なくとも1つのパーオキシ基を含有する好適な過化合物としては、上記のように定義された、パーオキシジホスフェートを含むパーホスフェートが挙げられる。
【0090】
また、オゾンは、単独で、又は1つ以上の他の好適な酸化剤と組み合わせて、好適な酸化剤である。
【0091】
パーオキシ基を含有しない好適な過化合物としては、過ヨウ素酸及び/又は任意の過ヨウ素酸塩(以下「過ヨウ素酸塩」)、過塩素酸及び/又は任意の過塩素酸塩(以下「過塩素酸塩」)、過臭素酸及び/又は任意の過臭素酸塩(以下「過臭素酸塩」)、並びに過ホウ酸及び/又は任意の過ホウ酸塩(以下「過臭素酸塩」)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
他の酸化剤も、本発明の組成物の好適な成分である。ヨウ素酸塩は有用な酸化剤である。
【0093】
2つ以上の酸化剤を組み合わせて、相乗的な性能利益を得ることもできる。
【0094】
本発明のほとんどの実施形態において、酸化剤は、過酸化水素、過酸化尿素、パーオキシギ酸、過酢酸、プロパンパーオキソ酸、置換又は非置換ブタンパーオキソ酸、ヒドロパーオキシアセトアルデヒド、過ヨウ素酸カリウム、パーオキシ一硫酸アンモニウムからなる群から選択されるパーオキシ化合物、及び亜硝酸第二鉄、KClO4、KBrO4、KMnO4からなる群から選択される非パーオキシ化合物からなる群から選択される。
【0095】
いくつかの実施形態において、好ましい酸化剤は、過酸化水素である。
【0096】
酸化剤濃度は、約0.01重量%~30重量%の範囲であり得るが、酸化剤の好ましい濃度は、約0.1重量%~20重量%であり、酸化剤のより好ましい濃度は、約0.5重量%~約10重量%である。重量%は、組成物に対するものである。
【0097】
活性化剤
活性化剤又は触媒は、酸化剤と相互作用する、流体中に存在する少なくとも1つのフリーラジカル生成化合物によるフリーラジカルの形成を促進する材料である。
【0098】
活性化剤は、金属含有化合物、特に、過酸化水素などの酸化剤の存在下でフェントン反応プロセスを活性化することが知られている金属からなる群から選択される金属であってもよい。
【0099】
活性化剤は、非金属含有化合物であってもよい。ヨウ素は、例えば過酸化水素とともにフリーラジカルを形成するのに有用である。
【0100】
活性化剤が金属イオン又は金属含有化合物である場合、活性化剤は、流体と接触する固体の表面に結合した薄層中に存在する。活性化剤が非金属含有物質である場合、活性化剤は、流体中に溶解することができる。活性化剤は、所望の反応を促進するのに十分な量で存在することが好ましい。
【0101】
活性化剤としては、(1)表面に遷移金属が被覆された無機酸化物粒子であって、遷移金属が、鉄、銅、マンガン、コバルト、セリウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、無機酸化物粒子、(2)硝酸鉄(III)、シュウ酸鉄(III)アンモニウム三水和物、三塩基性クエン酸鉄(III)一水和物、鉄(III)アセチルアセトネート及びエチレンジアミン四酢酸、鉄(III)ナトリウム塩水和物、Ag、Co、Cr、Cu、Fe、Mo、Mn、Nb、Ni、Os、Pd、Ru、Sn、Ti、Vからなる群から選択される複数の酸化状態を有する金属化合物並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない可溶性触媒、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
スラリー中の活性化剤の量は、約0.00001重量%~5重量%、好ましくは約0.0001重量%~2.0重量%、より好ましくは約0.0005重量%~1.0重量%、最も好ましくは0.001重量%~0.5重量%の範囲である。
【0103】
水
研磨組成物は、水系であり、したがって水を含む。組成物において、水は、例えば、組成物の1つ以上の固体成分を溶解するため、成分のキャリアとして、研磨残渣の除去における助剤として、及び希釈剤としてなど、様々な方法で機能する。好ましくは、洗浄組成物に用いられる水は、脱イオン(DI)水である。
【0104】
ほとんどの用途について、水は、例えば、約10~約90重量%又は90重量%の水を含むと考えられる。他の好ましい実施形態は、約30~約95重量%の水を含むことができる。更に他の好ましい実施形態は、約50~約90重量%の水を含むことができる。更に他の好ましい実施形態は、他の成分の所望の重量パーセントを達成する量で水を含むことができる。
【0105】
腐食防止剤(任意選択)
本明細書に開示されるCMP組成物に使用される腐食防止剤としては、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-4H-1,2,4-トリアゾール、5-アミノトリアゾール、ベンゾイミダゾールなどの窒素環状化合物、2,1,3-ベンゾチアジアゾール、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、及びトリアジントリチオールなどのベンゾチアゾール、ピラゾール、イミダゾール、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい抑制剤は、1,2,4-トリアゾール、5-アミノトリアゾール及び1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートである。
【0106】
スラリー中の腐食防止剤の量は、1.0重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、又はより好ましくは0.25重量%未満の範囲である。
【0107】
ディッシング低減剤(任意選択)
CMP組成物は、サルコシネート及び関連カルボン酸化合物、炭化水素置換サルコシネート、アミノ酸、ポリエチレンオキシド(PEO)などのエチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、エトキシ化界面活性剤、窒素-水素結合を含まない窒素含有複素環、スルフィド、オキサゾリジン又は1つの化合物中の官能基の混合物、アルキルアンモニウムイオンを形成する3個以上の炭素原子を有する窒素含有化合物、3個以上の炭素原子を有するアミノアルキル、少なくとも1つの窒素含有複素環又は第三級若しくは第四級窒素原子の繰り返し基を含むポリマー腐食防止剤、ポリカチオン性アミン化合物、シクロデキストリン化合物、ポリエチレンイミン化合物、グリコール酸、キトサン、糖アルコール、多糖類、アルギネート化合物、スルホン酸ポリマーからなる群から選択されるディッシング低減剤(dishing reducing agent)、又はディッシング低減剤(dishing reducer)を更に含むことができる。グリシンは、好ましいディッシング低減剤である。
【0108】
ディッシング低減剤が存在する場合、ディッシング低減剤の量は、CMP組成物全体の重量当たりの重量に基づいて、約0.001重量%~2.0重量%、好ましくは0.005重量%~1.5重量%、より好ましくは0.01重量%~1.5重量%の範囲である。
【0109】
安定剤(任意選択)
組成物はまた、1つ以上の様々な任意選択の添加剤を含んでもよい。好適な任意選択の添加剤としては、安定剤が挙げられる。これらの任意選択の添加剤は、概して、沈降、凝集(粒子の沈殿、強凝集又は弱凝集などを含む)、及び分解に対する組成物の安定化を容易にする又は促進するために使用される。安定剤は、活性化剤材料を単離することによって、フリーラジカルを消滅させることによって、又は別様にフリーラジカルを形成する化合物を安定化することによって、フリーラジカルを生成する化合物を含む酸化剤の可使時間を延長するために使用することができる。
【0110】
いくつかの材料は、過酸化水素を安定化するのに有用である。金属混入に対する1つの例外は、スズなどの選択された安定化金属の存在である。本発明のいくつかの実施形態において、スズは、少量、典型的には約25ppm未満、例えば約3~約20ppmで存在することができる。同様に、亜鉛は、安定剤として使用されることが多い。本発明のいくつかの実施形態において、亜鉛は、少量、典型的には約20ppm未満、例えば約1~約20ppmで存在することができる。別の好ましい実施形態において、基板と接触する流体組成物は、複数の酸化状態を有する、スズ及び亜鉛を除く溶解金属を500ppm未満、例えば100ppm未満有する。本発明の最も好ましい商業的実施形態において、基板に接触する流体組成物は、スズ及び亜鉛を除いて、複数の酸化状態を有する9ppm未満の溶解金属、例えば、複数の酸化状態を有する2ppm未満の溶解金属を有する。本発明のいくつかの好ましい実施形態において、基板に接触する流体組成物は、スズ及び亜鉛を除いて、50ppm未満、好ましくは20ppm未満、より好ましくは10ppm未満の溶解した総金属を有する。
【0111】
溶液中の金属は概して阻止されるので、塩形態、例えば過硫酸塩で典型的に存在する非金属含有酸化剤は、酸形態及び/又はアンモニウム塩形態、例えば過硫酸アンモニウムであることが好ましい。
【0112】
他の安定剤としては、フリーラジカルクエンチャーが挙げられる。上述したように、これらは生成されたフリーラジカルの有用性を損なう。したがって、安定剤が存在する場合、少量で存在することが好ましい。ほとんどの抗酸化剤、すなわちビタミンB、ビタミンC、クエン酸などは、フリーラジカルクエンチャーである。ほとんどの有機酸はフリーラジカルクエンチャーであるが、有効であり他の有益な安定化特性を有する3つは、ホスホン酸、結合剤シュウ酸、及び非ラジカル捕捉性金属イオン封鎖剤没食子酸である。
【0113】
加えて、炭酸塩及びリン酸塩は活性化剤に結合し、流体のアクセスを妨げると考えられる。炭酸塩は、スラリーを安定化させるために使用することができるので特に有用であるが、少量の酸は安定化イオンを迅速に除去することがある。吸収された活性化剤に有用な安定剤は、シリカ粒子上に膜を形成する膜形成剤であってもよい。
【0114】
好適な安定剤としては、アジピン酸、フタル酸、クエン酸、マロン酸、オルトフタル酸、及びリン酸、置換又は非置換ホスホン酸、すなわち、ホスホネート化合物、ニトリルなどの有機酸、並びに他のリガンド、例えば、活性化剤材料に結合し、それにより酸化剤を分解する反応を低減するもの、並びに前述の薬剤の任意の組み合わせが挙げられる。本明細書で使用される場合、酸安定剤(acid stabilizing agent)は、酸安定剤(acid stabilizer)及びその共役塩基の両方を指す。すなわち、様々な酸安定剤はまた、それらの共役形態で使用され得る。例として、本明細書において、上述の酸安定剤について、アジピン酸安定剤はアジピン酸及び/又はその共役塩基を包含し、カルボン酸安定剤はカルボン酸及び/又はその共役塩基、カルボキシレートなどを包含する。単独で又は1つ以上の他の安定剤と組み合わせて使用される好適な安定剤は、CMPスラリーに混合されたときに過酸化水素などの酸化剤が分解する速度を低下させる。
【0115】
一方、組成物中に安定剤が存在すると、活性化剤の有効性が損なわれる可能性がある。この量は、CMPシステムの有効性に対する悪影響が最も少ない状態で、必要な安定性に適合するように調整されるべきである。概して、これらの任意選択の添加剤はいずれも、組成物を実質的に安定化するのに十分な量で存在すべきである。必要な量は、選択される特定の添加剤及びCMP組成物の特定の構成、例えば研磨成分の表面の性質に依存して変化する。使用される添加剤が少なすぎる場合、添加剤は組成物の安定性にほとんど又は全く影響を及ぼさない。一方、使用される添加剤が多すぎる場合、添加剤は、組成物中の望ましくない泡及び/又は凝集剤の形成の一因となり得る。
【0116】
概ね、これらの安定剤の好適な量は、組成物に対して約0.0001~5重量%、好ましくは約0.00025~2重量%、より好ましくは約0.0005~約1重量%の範囲である。安定剤は、組成物に直接添加されてもよく、又は組成物の研磨成分の表面に適用されてもよい。
【0117】
pH調整剤(任意選択)
本明細書に開示される組成物は、pH調整剤を含む。pH調整剤は、典型的には、研磨組成物のpHを上昇又は低下させるために、本明細書に開示される組成物において使用される。pH調整剤は、必要に応じて、研磨組成物の安定性を改善するため、研磨組成物のイオン強度を調整するため、並びに取扱い及び使用における安全性を改善するために使用することができる。
【0118】
研磨組成物のpHを低下させるのに好適なpH調整剤としては、硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、様々な脂肪酸、様々なポリカルボン酸、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。研磨組成物のpHを上昇させるのに好適なpH調整剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、修飾ポリエチレンイミン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
使用される場合、pH調整剤の量は、好ましくは、研磨組成物の総重量に対して約0.01重量%~約5.0重量%の範囲である。好ましい範囲は、約0.01重量%~約1重量%又は約0.05重量%~約0.15重量%である。
【0120】
スラリーのpHは、1~14であり、好ましくは1~7であり、より好ましくは1~6であり、最も好ましくは1.5~4である。
【0121】
界面活性剤(任意選択)
本明細書に開示される組成物は、任意選択で界面活性剤を含み、界面活性剤は、部分的に、研磨中及び研磨後にウエハ表面を保護してウエハ表面の欠陥を低減するのを助ける。界面活性剤を使用して、low-K絶縁膜などの研磨に使用される膜のいくつかの除去速度を制御することもできる。好適な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0122】
非イオン性界面活性剤は、長鎖アルコール、エトキシ化アルコール、エトキシ化アセチレンジオール界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、グルコシドアルキルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル、グリセロールアルキルエステル、ポリオキシエチレングリコールソルビトンアルキルエステル、ソルビトンアルキルエステル、コカミドモノエタノールアミン、コカミドジエタノールアミンドデシルジメチルアミンオキシド、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ポリエトキシ化タローアミン、フルオロ界面活性剤を含むがこれらに限定されない化学タイプの範囲から選択することができる。
【0123】
界面活性剤の分子量は、数百から百万を超える範囲であってよい。これらの材料の粘度も非常に広い分布を有する。
【0124】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルカルボキシレート、アルキルポリアクリル酸塩、アルキルスルフェート、アルキルホスフェート、アルキルビカルボキシレート、アルキルビスルフェート、アルキルビホスフェート、例えばアルコキシカルボキシレート、アルコキシスルフェート、アルコキシホスフェート、アルコキシビカルボキシレート、アルコキシビスルフェート、アルコキシビホスフェート、例えば置換アリールカルボキシレート、置換アリールスルフェート、置換アリールホスフェート、置換アリールビカルボキシレート、置換アリールビスルフェート、及び置換アリールビホスフェートなどが挙げられるが、これらに限定されない。この種の界面活性剤の対イオンとしては、カリウムイオン、アンモニウムイオン、及び他の陽イオンが挙げられるが、これらに限定されない。これらのアニオン性表面湿潤剤の分子量は、数百から数十万の範囲である。
【0125】
カチオン性界面活性剤は、分子骨格の主要部分に正の正味電荷を有する。カチオン性界面活性剤は、典型的には、アミン、四級アンモニウム、ベンザルコニウム、及びアルキルピリジニウムイオンなどの、疎水性鎖及びカチオン性電荷中心を含む分子のハライドである。
【0126】
別の態様において、界面活性剤は、主分子鎖上に正(カチオン性)及び負(アニオン性)の両方の電荷を有し、それらの対応する対イオンを有する、両性界面活性剤であってもよい。カチオン性部分は、一級、二級若しくは三級アミン又は四級アンモニウムカチオンに基づく。アニオン性部分は、より可変であり得、スルタインCHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)及びコカミドプロピルヒドロキシスルタインにおけるように、スルホネートを含み得る。コカミドプロピルベタインなどのベタインは、アンモニウムと共にカルボキシレートを有する。両性界面活性剤のいくつかは、リン脂質ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンなどのアミン又はアンモニウムと共にホスフェートアニオンを有し得る。
【0127】
界面活性剤の例としては、ドデシル硫酸ナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸アンモニウム塩、二級アルカンスルホネート、アルコールエトキシレート、アセチレン系界面活性剤、及びこれらの任意の組み合わせも挙げられるが、これらに限定されない。好適な市販の界面活性剤の例としては、Dow Chemicalsによって製造されたTRITON(登録商標)、Tergitol(商標)、DOWFAX(商標)ファミリーの界面活性剤、並びにAir Products and Chemicalsによって製造されたSURFYNOL(商標)、DYNOL(商標)、Zetasperse(商標)、Nonidet(商標)、及びTomadol(商標)界面活性剤ファミリーの様々な界面活性剤が挙げられる。界面活性剤のうちの好適な界面活性剤としては、エチレンオキシド(EO)基及びプロピレンオキシド(PO)基を含むポリマーも挙げることができる。EO-POポリマーの例は、BASF Chemicals製のTetronic(商標)90R4である。
【0128】
使用される場合、界面活性剤の量は、典型的には、バリアCMP組成物の総重量に対して0.0001重量%~約1.0重量%の範囲である。使用される場合、好ましい範囲は、約0.010重量%~約0.1重量%である。
【0129】
キレート剤(任意選択)
キレート剤は、金属カチオンに対するキレートリガンドの親和性を増強するために、本明細書に開示される組成物において任意選択で使用されてもよい。キレート剤はまた、パッド汚れ及び除去速度の不安定性を引き起こすパッド上の金属イオンの蓄積を防止するために使用され得る。好適なキレート剤としては、例えば、エチレンジアミンなどのアミン化合物、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)などのアミノポリカルボン酸、ベンゼンスルホン酸、4-トリルスルホン酸、2,4-ジアミノ-ベンゾスルホン酸などの芳香族酸、イタコン酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、又はそれらの塩などの非芳香族有機酸、様々なアミノ酸及びそれらの誘導体、例えばグリシン、セリン、プロリン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、オルニチン、セレノシステイン、チロシン、サルコシン、ビシン、トリシン、アセグルタミド、N-アセチルアスパラギン酸、アセチルカルニチン、アセチルシステイン、N-アセチルグルタミン酸、アセチルロイシン、アシビシン、S-アデノシル-L-ホモシステイン、アガリチン、アラノシン、アミノ馬尿酸、L-アルギニンエチルエステル、アスパルターム、アスパルチルグルコサミン、ベンジルメルカプト尿酸、ビオサイチン、ブリバニブアラニン酸、カルボシステイン、N(6)-カルボキシメチルリジン、カルグルミン酸、シラスタチン、シチオロン、コプリン、ジブロモチロシン、ジヒドロキシフェニルグリシン、エフロルニチン、フェンクロニン、4-フルオロ-L-スレオニン、N-ホルミルメチオニン、γ-L-グルタミル-L-システイン、4-(γ-グルタミルアミノ)ブタン酸、グルタウリン、グリコシアミン、ハダシジン、ヘパプレシン、リシノプリル、リメサイクリン、N-メチル-D-アスパラギン酸、N-メチル-L-グルタミン酸、ミラセミド、ニトロソプロリンノカルジシンA、ノパリン、オクトピン、オンブラブリン、オピン、オルサニル酸、オキサセプロール、ポリリジン、レマセミド、サリチル酸、シルクアミノ酸、スタンパイジン、タブトキシン、テトラゾリルグリシン、チオルファン、チメクタシン、チオプロニン、トリプトファントリプトフィルキノン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ホスホン酸及びその誘導体、例えば、オクチルホスホン酸、アミノベンジルホスホン酸など、並びにこれらの組み合わせ及びこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
例えば、銅カチオン及びタンタルカチオンを化学的に結合させて、酸化銅及び酸化タンタルの溶解を促進し、銅線、ビア、又はトレンチ及びバリア層、又はバリア膜の望ましい除去速度を得る必要がある場合には、キレート剤を使用してもよい。
【0131】
使用される場合、キレート剤の量は、好ましくは、組成物の総重量に対して約0.01重量%~約3.0重量%、より好ましくは約0.4重量%~約1.5重量%の範囲である。
【0132】
殺生物剤(任意選択)
本明細書に開示されるCMP配合物はまた、殺生物剤などの生物学的増殖を制御するための添加剤を含んでもよい。生物学的増殖を制御するための添加剤のいくつかは、米国特許第5,230,833号及び米国特許出願公開第2002/0025762号に開示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。生物学的増殖阻害剤としては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド(アルキル鎖が1~約20個の炭素原子の範囲である)、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン及びベンズイソチアゾリノンなどのイソチアゾリノン化合物が挙げられるが、これらに限定されない。市販の防腐剤のいくつかとしては、Dow Chemicals製のKATHON(商標)及びNEOLENE(商標)製品ファミリー、並びにLanxess製のPreventol(商標)ファミリーが挙げられる。
【0133】
好ましい殺生物剤は、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン及びベンゾイソチアゾリノンなどのイソチオジオン化合物である。
【0134】
CMP研磨組成物は、任意選択で、貯蔵中の細菌及び真菌の増殖を防止するために、0.0001重量%~0.10重量%、好ましくは0.0001重量%~0.005重量%、より好ましくは0.0002重量%~0.0025重量%の範囲の殺生物剤を含有する。
【0135】
本明細書に開示される組成物は、濃縮形態で製造され、その後、使用時にDI水で希釈されてもよい。例えば、酸化剤などの他の成分は、濃縮物の形態で取り出されてもよく、濃縮物の形態における成分間の非相溶性を最小限にするために使用時に添加されてもよい。本明細書に開示される組成物は、使用前に混合することができる2つ以上の成分で製造されてもよい。
【実施例】
【0136】
全般的な実験手順
全ての百分率は、別段の指示がない限り、重量百分率である。
【0137】
パートI合成ホスホニウム系ポリマー
本発明は、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)などのいくつかの制御ラジカル重合技術を包含する。そのような制御されたプロセスを使用することによって、最適化された分子量及び多分散性を有する材料の特定の設計が可能であり、これは、CMP用途における他の記載されたポリマーとは明確に区別される特徴である。
【0138】
全ての試薬及び溶媒は、最も高い商用グレードのものをSigma-Aldrich(Merck)から購入し、特に明記しない限り、受領したままの状態で使用した。
【0139】
特定方法
【0140】
NMRスペクトルは、Sigma-Aldrich(Merck)製の重水素化溶媒を使用して、500MHz Bruker Avance II+スペクトル計で記録した。化学シフトはδ値(ppm)として報告され、内部標準Si(OMe)4(0.00ppm)に従って較正された。
【0141】
ポリマーを、10mM酢酸ナトリウムを含有するH2O/MeOH/EtOAc(54/23/23、v/v/v)中、40℃で実行するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分析した(流量:0.5mL/分)。PSS Novemaプレカラム及びPSS Novema MAX ultraheighカラムからなるカラムセットを備えたAgilent 1260 HPLCで測定を実施した。試料を、内部標準として0.1%エチレングリコールを含む溶離液に50℃で溶解した。ポリマーの平均モル質量は、ポリ(2-ビニルピリジン)較正曲線に基づく屈折率シグナルから導出した。
【0142】
実施例1
ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリドの合成:
【化11】
【0143】
【0144】
4-ビニルベンジルクロリド(CAS:1592-20-7、10g、123mmol)を233mLの乾燥アセトンに溶解した。トリブチルホスファン(CAS:998-40-3、25g、123mmol)を添加し、反応混合物を還流下で18時間撹拌した。メチルtert-ブチルエーテル(MTBE、1.2L)を冷却した溶液に添加することによって、生成物を沈殿させた。固体を濾過し、100mLのMTBEで2回洗浄し、真空乾燥させて、白色固体(35g、収率80%)を得た。
【0145】
1H NMR(500MHz,D2O):δ=7.55(d,J=8.0Hz,2H),7.31(dd,J=8.3,2.5Hz,2H),6.81(dd,J=17.7,11.0Hz,1H),5.89(dd,J=17.8,1.0Hz,1H),5.40-5.34(m,2H),3.67(d,J=14.6Hz,2H),2.18-2.08(m,6H),1.54(dq,J=10.1,7.3Hz,6H),1.45(hept,J=7.1Hz,6H),0.92(t,J=7.3Hz,9H)ppm。
【0146】
ポリマーは、以下に示すプロセスから選択して合成した。
【0147】
【0148】
トリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリド(15.7g、44.2mmol)及びAIBN(CAS:78-67-1、36.4mg、0.22mmol)を84mLのDMF/H2O(1:1、v/v)に溶解し、Arで30分間パージし、65℃で24時間加熱した。冷却した溶液を400mLのTHFで処理してポリマーを沈殿させ、次いでこれをTHFで2回洗浄し、真空下室温で乾燥させて、11.6gの白色固体(収率74%)を得た。
【0149】
1H NMR(500MHz,メタノール-d4)δ=7.30(ブロードs),6.54(ブロードs),4.05(ブロードs),2.32(ブロードs),1.49(ブロードs),0.96(ブロードs)ppm。
【0150】
SEC:Mn:90kDa、Mw:352kDa、PDI:3.9。
【0151】
【0152】
シュレンクフラスコに、トリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリド(10g、28mmol)、AIBN(CAS:78-67-1、9.9mg、0.06mmol)及び2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸(DDMAT、CAS:461642-78-4、0.073g、0.2mmol)を充填した。混合物をアセトニトリル(39mL)に溶解し、Arで30分間パージし、次いで65℃で16時間加熱した。溶液を室温に冷却し、アセトニトリルを除去し、残渣を5mLのジクロロメタンに溶解した。最後に、50mLのTHFを添加することによってポリマーを沈殿させ、THFで2回洗浄し、真空乾燥して、8.4gの黄色固体(収率84%)を得た。
【0153】
1H NMR(500MHz,CD2Cl2)δ:7.73(ブロードs),7.03(ブロードs),4.28(ブロードs),2.65(ブロードs),1.96(ブロードs),1.36(ブロードs)ppm。
【0154】
SEC:Mn:15.6kDa、Mw:23.0kDa、PDI:1.5。
【0155】
実施例1-3:
【0156】
13gのトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリド(36.6mmol)、AIBN(CAS:78-67-1、42mg、0.26mmol)及び2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸(DDMAT、CAS:461642-78-4、0.294g、0.8mmol)を用いて実施例1-2と同じ手順に従った。10.5g(80%)の淡黄色ポリマーを得た。
【0157】
SEC:Mn:5.1kDa、Mw:7.1kDa、PDI:1.4。
【0158】
実施例1-4:
【0159】
0.036g(0.1mmol)のDDMATを用いて実施例1-2と同じ手順に従った。7.9g(79%)の淡黄色ポリマーを得た。
【0160】
SEC:Mn:20.2kDa、Mw:36.1kDa、PDI:1.8。
【0161】
実施例2
ポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム-コ-アクリルアミドクロリドの合成
【化15】
ポリマーは、以下に示すプロセスから選択して合成した。
【0162】
【0163】
シュレンクフラスコに、トリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリド(13g、36.6mmol)、アクリルアミド(CAS:79-06-1、2.6g、36.6mmol)、AIBN(CAS:78-67-1、53mg、0.322mmol)及び2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸(DDMAT、CAS:461642-78-4、0.38g、1.04mmol)を充填した。混合物をアセトニトリル(51mL)に溶解し、Arで30分間パージし、次いで65℃で18時間加熱した。溶液を室温に冷却し、アセトニトリルを除去し、残渣を10mLのジクロロメタンに溶解した。最後に、100mLのTHFを添加することによってポリマーを沈殿させ、THFで2回洗浄し、真空乾燥して、10.4gの黄色固体(収率67%)を得た。
【0164】
1H NMR(500MHz,メタノール-d4)δ=7.25(ブロードs),6.82(ブロードs),3.91(ブロードs),2.26-2.14(m),1.60-1.49(m),1.02-0.96(m)ppm。
【0165】
SEC:Mn:5.0kDa、Mw:7.8kDa、PDI:1.6。
【0166】
実施例2-2:
【0167】
0.114g(0.31mmol)のDDMATを用いて実施例2-1と同じ手順に従った。12.6g(80%)の淡黄色ポリマーを得た。
【0168】
SEC:Mn:10.4kDa、Mw:21.3kDa、PDI:2.0。
【0169】
実施例2-3:
【0170】
0.057g(0.16mmol)のDDMATを用いて実施例2-1と同じ手順に従った。12.6g(80%)の淡黄色ポリマーを得た。
【0171】
SEC:Mn:24.2kDa、Mw:53.8kDa、PDI:2.3。
【0172】
実施例2-4:
【0173】
0.65gのアクリルアミド(CAS:79-06-1、9.2mmol)を用いて実施例2-1と同じ手順に従った。10.7g(78%)の淡黄色ポリマーを得た。
【0174】
SEC:Mn:5.3kDa、Mw:7.2kDa、PDI:1.3。
【0175】
実施例2-5:
【0176】
0.65gのアクリルアミド(CAS:79-06-1、9.2mmol)及び0.114g(0.31mmol)のDDMATを用いて実施例2-1と同じ手順に従った。11.5g(85%)の淡黄色ポリマーを得た。
【0177】
SEC:Mn:11.3kDa、Mw:22.6kDa、PDI:2.0。
【0178】
実施例2-6:
【0179】
0.65gのアクリルアミド(CAS:79-06-1、9.2mmol)及び0.057g(0.16mmol)のDDMATを用いて実施例2-1と同じ手順に従った。10.4g(76%)の淡黄色ポリマーを得た。
【0180】
SEC:Mn:14.9kDa、Mw:34.7kDa、PDI:2.4。
【0181】
実施例2-7:
【0182】
10.4gのアクリルアミド(CAS:79-06-1、146mmol)を用いて実施例2-1と同じ手順に従った。18g(78%)の淡黄色ポリマーを得た。
【0183】
SEC:Mn:11.4kDa、Mw:17.6kDa、PDI:1.5。
【0184】
実施例2-8:
【0185】
10.4gのアクリルアミド(CAS:79-06-1、146mmol)及び0.114g(0.31mmol)のDDMATを用いて実施例2-1と同じ手順に従った。16.3g(70%)の淡黄色ポリマーを得た。
【0186】
SEC:Mn:28.9kDa、Mw:46.8kDa、PDI:1.6。
【0187】
実施例2-9:
【0188】
10.4gのアクリルアミド(CAS:79-06-1、146mmol)及び0.057g(0.16mmol)のDDMATを用いて実施例2-1と同じ手順に従った。17.7g(75%)の淡黄色ポリマーを得た。
【0189】
SEC:Mn:44.8kDa、Mw:92.4kDa、PDI:2.1。
【0190】
実施例3
ポリトリブチル(4-ビニルベンジルホスホニウム-コ-N-メチルマレイミド)クロリドの合成
【化17】
実施例1で得られたモノマーを使用した。
【0191】
ポリマーは、以下に示すプロセスから選択して合成した。
【0192】
【0193】
トリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリド(4g、11.3mmol)、N-メチルマレイミド(CAS:930-88-1、1.25g、11.3mmol)及びAIBN(17.3mg、0.105mmol)を32mLのアセトニトリル/H2O(1:1、v/v)に溶解した。溶液をArで30分間パージし、65℃で24時間加熱し、続いて真空中で濃縮した。粗生成物をジクロロメタン(10mL)に溶解し、THF(100mL)を添加することによって沈殿させ、4.8g(94%)のポリマーを白色固体として得た。
【0194】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ:7.29(ブロードs),4.04(ブロードs),2.25(s),1.36(s),0.87(s)ppm。
【0195】
SEC:Mn:76、Mw:259kDa、PDI:3.4
【0196】
実施例4
ポリ(4-ビニルフェノール-コ-トリフェニル(4-(4-ビニルフェノキシ)ブチル)ホスホニウム)ブロミドの合成
【化19】
ポリマーは、以下に示すプロセスから選択して合成した。
【0197】
【0198】
ポリ(4-ビニルフェノール)(CAS:24979-70-2、MW:約11kDa、6g)を炭酸カリウム(6.9g、50mmol)と共にアセトニトリル(150mL)に溶解した。混合物をAr雰囲気下で90分間加熱還流し、次いで室温に冷却し、150mLのDMFに溶解した(4-ブロモブチル)トリフェニルホスホニウムブロミド(CAS:7333-63-3、23.7、60mmol)で処理した。反応混合物を還流下で48時間撹拌し、室温に冷却し、120mLの0.9M HBrで処理した。溶媒を約3分の1の体積に減少させ、濾過し、THF/ジクロロメタン(4:1、v/v)で処理してポリマーを沈殿させた。粗ポリマーを最後に凍結乾燥して、10.8gの白色固体を得た。
【0199】
SEC:Mn:20.5kDa、Mw:86.4kDa、PDI:4.2。
【0200】
実施例5
ポリ(4-(ブチルジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミドの合成
【化21】
ポリマーは、以下に示すプロセスから選択して合成した。
【0201】
【0202】
1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(CAS:7688-25-7、5.1g、12mmol)を、1,4-ジブロモブタン(CAS:110-52-1、2.6g、12mmol)と共にDMF(30mL)に溶解した。窒素でパージした後、得られた混合物を100℃で24時間加熱した。得られたポリマー溶液を真空下で濃縮し、MTBE(400mL)で処理してポリマーを沈殿させた。粗ポリマーをMTBEで数回洗浄し、真空下で乾燥させて、7.6gの淡褐色固体を得た。
【0203】
1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ:8.02-7.95(m),7.94-7.88(m),7.80-7.64(m),3.14-2.95(m),1.55-1.43(m)ppm。
【0204】
実施例6
ポリ(PEG5-ジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミドの合成
【化23】
ポリマーは、以下に示すプロセスから選択して合成した。
【0205】
【0206】
1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(CAS:7688-25-7、3.6g、8mmol)を、Pr-PEG-Br(BroadPharm、CAS:67705-77-5、3.4g、8mmol)と共にエタノール(25mL)に溶解/懸濁した。窒素でパージした後、得られた混合物を48時間加熱還流した。溶液を室温に冷却し、真空中で濃縮した。得られた白色固体を再び15mLのDCMに溶解し、MTBE(150mL)を添加することによって沈殿させた。沈殿物を水(45mL)で処理し、濾過し、凍結乾燥して、5.6g(80%)の白色固体を得た。
【0207】
1H NMR(500MHz,D2O)δ:7.87-7.67(m),3.82-3.81(m),3.72-3.66(m),3.63-3.62(m),3.52-3.49(m),3.36-3.22(m),3.19-2.95(m),1.62-1.59(m)ppm。
【0208】
SEC:Mn:3.6kDa、Mw:6.4kDa、PDI:1.8。
【0209】
パートII CMP実験
パートIの合成ホスホニウム系ポリマーの使用
本明細書に記載の研磨組成物及び関連する方法は、ほとんどの基板を含む多種多様な基板のCMPに有効であり、タングステン基板の研磨に特に有用である。
【0210】
以下に示す実施例では、以下に示す手順及び実験条件を用いて、CMP実験を行った。
パラメータ
Å:オングストローム-長さの単位
BP:背圧、psi単位
CMP:化学機械的平坦化=化学機械的研磨
CS:キャリア速度
DF:ダウンフォース:CMP中に加えられる圧力、単位:psi
min:分
mL:ミリリットル
mV:ミリボルト
psi:ポンド/平方インチ
PS:研磨ツールのプラテン回転速度、単位:rpm(毎分回転数)
SF:研磨組成物の流量、mL/分
TEOS:テトラエチルオルトシリケートを前駆体として用いた化学蒸着法
(CVD)による酸化ケイ素膜
重量%:(列挙された成分の)重量百分率
除去速度(RR)=(研磨前の膜厚-研磨後の膜厚)/研磨時間。
除去速度及び選択性
タングステン除去速度:CMPツールの2.5psiのダウン圧力で測定されたタングステン除去速度。
TEOS除去速度:所定のダウン圧力で測定されたTEOS除去速度。CMPツールのダウン圧力は、2.5psiであった。
SiN除去速度:所定のダウン圧力で測定されたSiN除去速度。CMPツールのダウン圧力は、2.5psiであった。
【0211】
実施例で使用したCMPツールは、Applied Materials,Inc.3050 Bowers Avenue,Santa Clara,California,95054によって製造されたAMAT 200mm Mirra(登録商標)である。Dow Chemicalsによって供給されるIC1010研磨パッドを、研磨試験のためにプラテン上で使用した。
【0212】
タングステン膜、TEOS膜、SiN膜又はタングステン含有SKWパターン化構造で被覆された直径200mmのシリコンウエハを、SKW Associate,Inc.2920 Scott Blvd,Santa Clara,CA 95054から入手した。ブランケット膜の研磨時間は、1分であった。シート抵抗測定技術を使用して、タングステン除去速度を測定した。TEOSを使用して、TEOSの除去を測定した。パターン化されたウエハを、Ebara研磨機で渦電流技術に基づいて所定時間研磨した。パターン化されたウエハの研磨時間は、渦電流終点技術によって特定された終点を過ぎてから15秒であった。パターン化されたウエハを、KLA Tencor P15 Profiler(大きいフィーチャサイズ)又はAFMツール(小さいフィーチャサイズ)で分析した。
【0213】
研磨は、111RPMのテーブル速度、113RPMのキャリア速度、200mL/分のスラリー流量、及び2.5psiのダウンフォースを使用して実施した。
【0214】
研磨プロセスでは、基板(例えば、ブランケットW又はパターン化されたWウエハ)は、CMP研磨機の回転可能なプラテンに固定して取り付けられた研磨パッド上に下向きに配置された。このようにして、研磨され平坦化される基板を研磨パッドと直接接触させて配置した。ウエハキャリアシステム又は研磨ヘッドを使用して、定位置に基板を保持し、CMP処理中に基板の裏側に対して下向きの圧力を加え、プラテン及び基板を回転させた。研磨組成物(スラリー)は、材料の効果的な除去及び基板の平坦化のために、CMP処理中にパッド上に(通常は連続的に)適用された。
【0215】
以下の作業実施例では、0.01重量%の硝酸第2鉄(硝酸鉄(III))、0.08重量%のマロン酸(安定剤)、2.0重量%の過酸化水素、0.1重量%のグリシン、及び硝酸でpHを2.3に調整した水中の0.25重量%のFuso PL-2Cシリカ粒子と共にベースCMPスラリーを作製した。
【0216】
W、TEOS及びSiNの除去速度(Å/分)、及びW:TEOS及びW:SiNの除去速度選択性を表Aに示した。
【表1】
【0217】
渦電流測定を使用することによってパターンウエハ研磨終点が検出された後に、ウエハが15秒間の追加の時間又は過剰研磨(OP)時間にわたって研磨されたとき、タングステンのディッシングが、50×50ミクロンアレイ(絶縁膜線幅/スペーサーによって分離されたタングステン線幅/トレンチ(ミクロン単位))(50/50μm)、1×1ミクロン(1/1μm)、0.5×0.5ミクロン(0.5/0.5μm)、0.25×0.25ミクロン(0.25/0.25μm)、及び0.18×0.18ミクロンアレイ(0.18/0.18μm)を含む異なるアレイ上で試験された。結果を表Bに示した。
【表2】
【0218】
7/3μm、1/1μm、0.5/0.5μm、0.25/0.25μm、0.18/0.18μmアレイについて、様々な配合で20%の過剰研磨にて、エロージョンを試験した。結果を表Cに示した。
【表3】
【0219】
以下の作業実施例では、異なる添加剤を異なる量でベーススラリーに添加して、作業実施例を作製した。
【0220】
作業用CMPスラリーは、パートIに記載したホスホニウム系ポリマーをベースCMPスラリーに添加することによって作製した。実施例1で作製したポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリド、実施例2で作製したポリトリブチル(4-ビニルベンジル)ホスホニウム-コ-アクリルアミドクロリド、実施例3で作製したポリトリブチル(4-ビニルベンジルホスホニウム-コ-N-メチルマレイミド)クロリド、実施例4で作製したポリ(4-ビニルフェノール-コ-トリフェニル(4-(4-ビニルフェノキシ)ブチル)ホスホニウム)ブロミド、実施例5で作製したポリ(4-(ブチルジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミド、及び実施例6で作製したポリ(PEG5-ジフェニルホスフィノ)ブチル)ジフェニルホスホニウム)ブロミドを、それぞれ作業用CMPスラリーに使用した。
【0221】
タングステン除去速度、エロージョン及びディッシングに対するホスホニウム系ポリマーの効果を試験した。
【0222】
タングステン除去速度の結果は、表1であった。
【0223】
最初に、様々な量のホスホニウム系ポリマー(10、50、100ppm)を使用して、ブランケットWウエハを研磨又は除去するための全体的な濃度枠(タングステン除去速度又はW RR)を特定し、次いで、これを試験に使用して、エロージョン及びディッシングに対する効果を特定した。
【表4】
【0224】
表1に示すように、合成されたホスホニウム系ポリマーを少量(約10ppm)有する作業用CMPスラリーは、高いタングステン除去速度を示し、濃度の増加によりタングステン除去に対する効果が阻害された。10ppm~50ppmの全体的な濃度枠を採用した。
【0225】
表2は、合成されたホスホニウム系ポリマーを含む作業用CMPスラリーでのタングステン、TEOS及びSiN除去速度をまとめたものである。
【表5】
【0226】
表2に示すように、作業用CMPスラリーは、高いW:TEOS RR及びW:SiN RR選択性を有する。TEOS及びSiNの除去速度は、タングステンの除去速度と比較して極めて低かった。
【0227】
様々な配合物の20%過剰研磨での、異なる配線フィーチャを有する異なるパターン化構造(ディッシング:50/50μm、1/1μm、0.5/0.5μm、0.25/0.25μm、0.18/0.18μm、エロージョン:7/3μm、1/1μm、0.5/0.5μm、0.25/0.25μm、0.18/0.18μm)についてのディッシング及びエロージョンデータをそれぞれ表3及び表4にまとめた。
【表6】
【表7】
【0228】
他のW CMP研磨組成物に関するWディッシング及びエロージョンデータが報告されており、これらは、典型的には、ワイド線フィーチャ上でW線ディッシング>1500Åを有し、高密度フィーチャ、例えば70%及び90%密度>1000Å上でエロージョンを有する。
【0229】
表3及び表4にそれぞれ示される結果から明らかなように、ホスホニウム系ポリマーの使用は、エロージョン及びディッシングを有意に低減する。
【0230】
本発明の原理を好ましい実施形態に関連させて上記で説明してきたが、この説明は例としてのみ行われており、本発明の範囲を限定するものではないことを明確に理解されたい。むしろ、好ましい例示的な実施形態の詳細な説明は、本発明の好ましい例示的な実施形態を実施することを可能にする説明を当業者に提供するものである。添付の特許請求の範囲で記載されているように、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、要素の機能及び構成に様々な変更を加えることができる。
【国際調査報告】