(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】イオン電流補償の装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240702BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H05H1/46 R
H05H1/46 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577881
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 US2022031072
(87)【国際公開番号】W WO2022265838
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】クオ, ユエ
(72)【発明者】
【氏名】ラーマスワーミ, カーティク
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA04
2G084AA05
2G084AA08
2G084BB23
2G084CC12
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD24
2G084DD38
2G084FF06
2G084FF38
2G084HH02
2G084HH06
2G084HH15
2G084HH20
2G084HH22
2G084HH30
5F004BA09
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB29
5F004BD04
5F004CA03
5F004CA04
5F004CA06
(57)【要約】
本明細書で提供される実施形態は、概して、処理チャンバ内で基板をプラズマ処理するための波形を生成するための装置、プラズマ処理システム、及び方法を含む。本明細書の実施形態は、パルス電圧波形を生成するための装置及び方法を含み、該方法は、パルス電圧波形を生成するプロセスの第1のフェーズ中に主電圧源を、処理チャンバ内に配置されている電極に結合することと、パルス電圧波形を生成するプロセスの第2のフェーズ中に接地ノードを電極に結合することと、パルス電圧波形を生成するプロセスの第3のフェーズ中に、第1の補償電圧源を電極に結合することと、パルス電圧波形を生成するプロセスの第4のフェーズ中に第2の補償電圧源を電極に結合することとを含む。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理のためのパルス電圧波形を生成する波形発生器であって、
出力ノードに選択的に結合されている主電圧源であって、
前記出力ノードは、処理チャンバ内に配置されている電極に結合されるように構成されており、
前記出力ノードは選択的に接地ノードに結合されている、前記主電圧源と、
前記出力ノードに選択的に結合されている第1の補償電圧源と、
前記出力ノードに選択的に結合されている第2の補償電圧源と
を含む、波形発生器。
【請求項2】
パルス電圧波形の第1のフェーズ中に前記主電圧源を前記出力ノードに結合するように構成されている第1のスイッチ、
前記パルス電圧波形の第2のフェーズ中に前記接地ノードを前記出力ノードに結合するように構成されている第2のスイッチ、及び
前記パルス電圧波形の第3のフェーズ中に前記第1の補償電圧源を前記出力ノードに結合するように構成されている第3のスイッチ
をさらに含む、請求項1に記載の波形発生器。
【請求項3】
前記パルス電圧波形の第4のフェーズ中に前記第2の補償電圧源を前記出力ノードに結合するように構成されている第4のスイッチをさらに含む、請求項2に記載の波形発生器。
【請求項4】
前記パルス電圧波形の第3のフェーズ中に前記第1の補償電圧をグランドに選択的に結合し、前記パルス電圧波形の第4のフェーズ中に前記第2の補償電圧源を前記出力ノードに選択的に結合するように構成されている第4のスイッチをさらに含む、請求項2に記載の波形発生器。
【請求項5】
無線周波数(RF)信号発生器、及び
前記RF信号発生器と前記出力ノードとの間に結合されている第1のフィルタをさらに含む、請求項1に記載の波形発生器。
【請求項6】
前記接地ノードと前記出力ノードとの間に結合されている第2のフィルタ、
前記主電圧源と前記出力ノードとの間に結合されている第3のフィルタ、
前記第1の補償電圧源と前記出力ノードとの間に結合されている第4のフィルタ、及び
前記第2の補償電圧源と前記出力ノードとの間に結合されている第5のフィルタ、をさらに含む、請求項5に記載の波形発生器。
【請求項7】
前記主電圧源、前記第1の補償電圧源、及び前記第2の補償電圧源それぞれが直流(DC)電圧源を含む、請求項1に記載の波形発生器。
【請求項8】
パルス電圧波形を生成するための方法であって、
パルス電圧波形を生成する第1のフェーズ中に、処理チャンバ内に配置された電極に結合されている主電圧源を出力ノードに結合することと、
前記第1のフェーズに続き、前記生成されたパルス電圧波形の第2のフェーズ中に接地ノードを前記出力ノードに結合することと、
前記第2のフェーズに続き、前記生成されたパルス電圧波形の第3のフェーズ中に、第1の補償電圧源を前記出力ノードに結合することと、
前記第3のフェーズに続き、前記生成されたパルス電圧波形の第4のフェーズ中に、第2の補償電圧源を前記出力ノードに結合することと
を含む、方法。
【請求項9】
前記第3のフェーズ中に、前記第1の補償電圧源の第1のポートを、前記接地ノードに結合し、前記出力ノードの第2のポートを結合すること、及び
前記第4のフェーズ中に、前記第1の補償電圧源の前記第1のポートを前記第2の補償電圧源に結合すること
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記生成されたパルス電圧波形の前記第1のフェーズが、20nsと2000nsの間であり、
前記生成されたパルス電圧波形の前記第2のフェーズが、10nsと100nsの間であり、
前記生成されたパルス電圧波形の前記第3のフェーズが、100nsと2000nsの間であり、
前記生成されたパルス電圧波形の前記第4のフェーズが、100nsと2000nsの間である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記生成されたパルス電圧波形の、前記第1のフェーズ、前記第2のフェーズ、前記第3のフェーズ、及び第4のフェーズ中に、RF信号発生器が前記出力ノードに結合される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記RF信号発生器が、第1のフィルタを介して前記出力ノードに結合され、
前記接地ノードが第2のフィルタを介して前記出力ノードに結合され、
前記主電圧源が第3のフィルタを介して前記出力ノードに結合され、
前記第1の補償電圧源が第4のフィルタを介して前記出力ノードに結合され、及び
前記第2の補償電圧源が第5のフィルタを介して前記出力ノードに結合される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記主電圧源、前記第1の補償電圧源、及び前記第2の補償電圧源それぞれが直流(DC)電圧源を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
波形生成のための装置であって、
処理チャンバの電極と、
主電圧源と、
第1の補償電圧源と、
第2の補償電圧源と、
プロセッサによって実行されると、前記装置に、
パルス電圧波形を形成する処理の第1のフェーズ中に、前記主電圧源を前記電極に結合し、
前記第1のフェーズに続き、前記パルス電圧波形の第2のフェーズ中に、前記電極を接地し、
前記第2のフェーズに続き、前記パルス電圧波形の第3のフェーズ中に、前記第1の補償電圧源を前記電極に結合し、そして
前記第3のフェーズに続き、前記パルス電圧波形の第4のフェーズ中に、前記第2の補償電圧源を前記電極に結合する
ことを行わせるいくつかの命令を含むプログラム情報が記憶されている、不揮発性メモリと
を含む、装置。
【請求項15】
前記命令が、プロセッサによって実行されると、
前記第3のフェーズ中に、前記第1の補償電圧源を接地ノードに結合し、そして
前記第4のフェーズ中に、前記第1の補償電圧源を前記第2の補償電圧源に結合すること
を前記装置にさらに行わせる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記パルス電圧波形の前記第1のフェーズが、20nsと2000nsの間であり、
前記パルス電圧波形の前記第2のフェーズが、10nsと100nsの間であり、
前記パルス電圧波形の前記第3のフェーズが、100nsと2000nsの間であり、
前記パルス電圧波形の前記第4のフェーズが、100nsと2000nsの間である、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記パルス電圧波形の、前記第1のフェーズ、前記第2のフェーズ、前記第3のフェーズ、及び前記第4のフェーズ中に、前記電極に結合されるRF信号発生器をさらに含む、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記RF信号発生器が、第1のフィルタを介して前記電極に結合されており、
前記接地ノードが第2のフィルタを介して前記電極に結合されており、
前記主電圧源が第3のフィルタを介して前記電極に結合されており、
前記第1の補償電圧源が第4のフィルタを介して前記電極に結合されており、かつ
前記第2の補償電圧源が第5のフィルタを介して前記電極に結合されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記主電圧源、前記第1の補償電圧源、及び前記第2の補償電圧源それぞれが直流(DC)電圧源を含む、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
分野
[0001]本開示の実施形態は、概して、半導体デバイスの製造に使用されるシステムに関する。より詳細には、本開示の実施形態は、基板を処理するために使用されるプラズマ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
[0002]高アスペクト比のフィーチャを確実に製造することは、次世代の半導体デバイスにとって重要な技術課題の1つである。高アスペクト比のフィーチャを形成する方法の1つは、処理チャンバ内でプラズマを形成し、プラズマからのイオンが基板の表面に向かって加速して、基板の表面上に形成されたマスク層の下に配置された材料層に開口部を形成する、プラズマ支援エッチングプロセスを使用することである。
【0003】
[0003]典型的なプラズマ支援エッチングプロセスでは、基板は処理チャンバ内に配置された基板支持体上に配置され、プラズマが基板上に形成され、イオンは、プラズマと基板の表面との間に形成されるプラズマシース、すなわち電子が枯渇した領域を通ってプラズマから基板に向かって加速される。
【0004】
[0004]従来のRFプラズマ支援エッチングプロセスは、RF信号を含む正弦波形をプラズマ処理チャンバ内の1つ又は複数の電極に送信するだけであり、シースの特性及び生成されるイオンエネルギーを適切に、又は望ましく制御することができず、これは望ましくないプラズマ処理結果をもたらすことが判明した。望ましくない処理結果には、マスク層の過剰なスパッタリングと、高アスペクト比のフィーチャにおける側壁欠陥の生成とが含まれる可能性がある。
【0005】
[0005]したがって、当技術分野では、望ましいプラズマ支援エッチングプロセスの結果を提供できるプラズマ処理のための及びバイアスするための方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本明細書で提供される実施形態は、概して、処理チャンバ内で基板をプラズマ処理するための波形を生成するための装置、プラズマ処理システム、及び方法を含む。
【0007】
[0007]本開示の上記の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明は、その一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することによって得ることができる。しかしながら、添付図面は例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008]本明細書に記載の方法を実施するように構成された、1つ又は複数の実施形態による処理システムの概略断面図である。
【
図2A】[0009]1つ又は複数の実施形態に従って、処理チャンバの電極に印加され得る電圧波形を示す。
【
図2B】[0010]処理チャンバの電極に印加される電圧波形により基板上に確立される電圧波形を示す。
【
図3A】[0011]単一周波数励起波形を使用した場合の典型的なイオンエネルギー分布(IED)を示している。
【
図3B】[0012]本開示の特定の実施形態による、IED関数(IEDF)を示すグラフである。
【
図4A】[0013]本開示の特定の実施形態による、
図5Aの波形発生器を使用して生成されたパルス電圧(PV)波形を示す。
【
図4B】[0014]本開示の特定の実施形態による、
図5Cの波形発生器を使用して生成されたPV波形を示す。
【
図4C】[0015]本開示の特定の実施形態による、
図5Aの波形発生器を使用して生成された測定波形を示す。
【
図5A】[0016]本開示の特定の態様に従って、基板にバイアスをかけてIED制御を達成するための波形発生器の実装例を示す。
【
図5B】[0017]本開示の特定の態様に従って、基板にバイアスをかけてIED制御を達成するための波形発生器の実装例を示す。
【
図5C】[0018]本開示の特定の態様に従って、基板にバイアスをかけてIED制御を達成するための波形発生器の実装例を示す。
【
図6】[0019]本開示の特定の実施形態による、
図5Cの波形発生器とともに使用するための例示的なフィルタトポロジを示す。
【
図7】[0020]本開示の特定の態様による、
図5A、
図5B、又は
図5Cの波形発生器のスイッチの状態を示すタイミング図である。
【
図8】[0021]波形生成方法を示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0022]テクノロジーノードが2nmに向けて進歩する中、より大きなアスペクト比を備えたより小さなフィーチャの製造には、プラズマ処理の原子精度が必要となる。プラズマイオンが重要な役割を果たすエッチングプロセスでは、イオンエネルギーの制御が半導体装置業界の課題となっている。従来のRFバイアス技術では、正弦波を使用してプラズマを励起し、イオンを加速する。
【0010】
[0023]本開示のいくつかの実施形態は、概して、イオンエネルギー分布(IED)を制御するためのパルス電圧(PV)波形を生成する技術に関する。例えば、パルス電圧波形と高周波(RF)波形は、本明細書でさらに詳しく説明するように、IED機能に低エネルギーピークと高エネルギーピークを実装し、低エネルギーピークと高エネルギーピークの間の中間エネルギーがほとんどないか、又は全くないよう、プラズマチャンバ内の同じノードに印加される場合がある。高エネルギーのピークに関連するイオンは、エッチング中の高アスペクト比のフィーチャの底部に到達し、エッチング反応を可能にするエネルギーと方向性を有する。低エネルギーのイオンはエッチング中にフィーチャの底部に到達できないが、低エネルギーのイオンは依然としてエッチングプロセスにとって重要である。中間エネルギーのイオンは、所望の方向性を有さず、エッチング中のフィーチャの側壁に衝突し、多くの場合、エッチングされたフィーチャの側壁に望ましくない反りが生じるため、エッチングプロセスには有益ではない。いくつかの実施形態は、中間エネルギーイオンがほとんど又は全くない、高エネルギーピークと低エネルギーピークを有するPV波形を生成するための技術に関する。
【0011】
プラズマ処理システムの例
[0024]
図1は、本明細書に記載の1つ又は複数のプラズマ処理方法を実行するように構成された処理システム10の概略断面図である。いくつかの実施形態では、処理システム10は、反応性イオンエッチング(RIE)プラズマ処理などのプラズマ支援エッチング処理のために構成されている。しかしながら、本明細書で説明する実施形態は、例えば、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)処理、プラズマ強化物理的気相堆積(PEPVD)処理、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)処理などのプラズマ強化堆積プロセス、例えば、プラズマドーピング(PLAD)などのプラズマ処理プロセス又はプラズマベースのイオン注入プロセスなどの他のプラズマ支援処理で使用するように構成された処理システムでも使用できることに留意されたい。
【0012】
[0025]示されているように、処理システム10は、容量結合プラズマ(CCP)を形成するように構成されており、処理チャンバ100は、処理領域129内に配置された下部電極(例えば、基板支持アセンブリ136)に面している処理領域129に配置された上部電極(例えば、チャンバ蓋123)を含む。典型的な容量結合プラズマ(CCP)処理システムでは、高周波(RF)源は、上部電極又は下部電極の一方に電気的に結合され、上部電極と下部電極のそれぞれに容量結合され、それらの間の処理領域に配置されるプラズマ(例えば、プラズマ101)を点火及び維持するように構成されたRF信号を送る。通常、上部電極又は下部電極のうちの対向する電極は、接地又は追加のプラズマ励起のための第2のRF電源に結合される。図示のように、処理システム10は、処理チャンバ100、基板支持アセンブリ136、及びシステムコントローラ126を含む。
【0013】
[0026]処理チャンバ100は通常、チャンバ蓋123、1つ又は複数の側壁122、及びチャンバベース124を含むチャンバ本体113を含み、これらが集合的に処理領域129を画定する。1つ又は複数の側壁122及びチャンバベース124は、概して、処理チャンバ100の要素の構造的支持を形成するようなサイズ及び形状を有し、それらに加えられる圧力及び追加エネルギーに耐えるように構成される材料を含む一方で、プラズマ101は、処理中に処理チャンバ100の処理領域129内に維持される減圧環境内で発生させる。一例では、1つ又は複数の側壁122及びチャンバベース124は、アルミニウム、アルミニウム合金、又はステンレス鋼合金などの金属から形成される。
【0014】
[0027]チャンバ蓋123を通って配置されたガス入口128は、流体連通している処理ガス源119から処理領域129に1つ又は複数の処理ガスを供給するために使用される。基板103は、1つ又は複数の側壁122の1つの開口部(図示せず)を通って処理領域129中にロードされ、そして処理領域129から取り出され、開口部は、基板103のプラズマ処理中にスリットバルブ(図示せず)で密閉される。
【0015】
[0028]いくつかの実施形態では、基板支持アセンブリ136に形成された開口部を通して移動可能に配置された複数のリフトピン20は、基板支持面105Aへの、及び基板支持面105Aからの基板の移送を容易にするために使用される。いくつかの実施形態では、複数のリフトピン20は上方に配置され、処理領域129内に配置されたリフトピンフープ(図示せず)に結合され、及び/又は係合可能である。リフトピンフープは、チャンバベース124を通って密封して延びるシャフト(図示せず)に結合され得る。シャフトは、リフトピンフープを上げ下げするために使用されるアクチュエータ(図示せず)に結合され得る。リフトピンフープが上がった位置にあるとき、複数のリフトピン20と係合して、リフトピンの上面を基板支持面105Aよりも上に持ち上げ、基板103をそこから持ち上げて、ロボットハンドラー(図示せず)によって基板103の非アクティブ(裏面)表面にアクセスできるようにする。リフトピンフープが下がった位置にあるとき、複数のリフトピン20は基板支持面105Aと同一面、又は基板支持面105Aの下に凹み、基板103はその上に載置される。
【0016】
[0029]システムコントローラ126は、本明細書では処理チャンバコントローラとも呼ばれ、中央処理装置(CPU)133、メモリ134、及びサポート回路135を含む。システムコントローラ126は、本明細書で説明される基板バイアス方法を含む、基板103を処理するために使用されるプロセスシーケンスを制御するために使用される。CPU133は、処理チャンバ及びそれに関するサブプロセッサを制御するために産業環境で使用するために構成された汎用コンピュータプロセッサである。本明細書に記載のメモリ134は、一般に不揮発性メモリであり、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フロッピー若しくはハードディスクドライブ、又はローカル若しくはリモートの他の適切な形式のデジタル記憶装置を含むことができる。サポート回路135は、従来のようにCPU133に結合されており、キャッシュ、クロック回路、入出力サブシステム、電源など、及びそれらの組み合わせを含む。ソフトウェア命令(プログラム)及びデータは、CPU133内のプロセッサに命令するために、メモリ134内にコード化され記憶され得る。システムコントローラ126内のCPU133によって読み取り可能なソフトウェアプログラム(又はコンピュータ命令)は、処理システム10内の構成要素によってどのタスクが実行可能であるかを決定する。
【0017】
[0030]通常、システムコントローラ126のCPU133によって読み取り可能なプログラムにはコードを含み、これは、プロセッサ(CPU133)によって実行されると、本明細書で説明されるプラズマ処理スキームに関するタスクを実行する。プログラムは、本明細書で説明される方法を実行するために使用される様々なプロセスタスク及び様々なプロセスシーケンスを実行するための処理システム10内の様々なハードウェア及び電気構成要素を制御するために使用される命令を含むことができる。一実施形態では、プログラムには、
図8に関連して以下で説明する1つ又は複数の処理を実行するために使用される命令が含まれている。
【0018】
[0031]プラズマ制御システムには、概して、バイアス電極104において少なくとも第1のパルス電圧(PV)波形を確立するための第1のソースアセンブリ196と、エッジ制御電極115において少なくとも第2のPV波形を確立するための第2のソースアセンブリ197とを含む。第1のPV波形又は第2のPV波形は、波形発生器アセンブリ150内の1つ又は複数の構成要素を使用して生成することができ、これは、
図4A~
図5Cに関して本明細書でより詳細に説明される波形発生器に対応し得る。一実施形態では、波形発生器アセンブリ150は、バイアス電極104及びエッジ制御電極115において、
図4Aに示されるPV波形400と同様のPV波形を生成するように構成された、
図5Aに示される波形発生器500を含む。
【0019】
[0032]いくつかの実施形態では、波形発生器アセンブリ150は、バイアス電極104、エッジ制御電極115及び/又は支持ベース107(例えば、電力電極又はカソード)において、
図4Bに示されるPV波形450と同様のPV波形を生成するように構成された、
図5Cに図示された波形発生器550のようなPV波形発生源及びRF源を含む。第1のソースアセンブリ196の波形発生器アセンブリ150の波形発生器550は、PV波形及びRF信号を支持ベース107(例えば、電力電極又はカソード)又はバイアス電極104に送るように構成することができる。いくつかの実施形態では、
図1に示すように、第3のソースアセンブリ198内の別個の波形発生器アセンブリ150は、支持ベース107(例えば、電力電極又はカソード)にRF信号を送るように構成されたRFソースを少なくとも含む。
【0020】
[0033]第1のソースアセンブリ196、第2のソースアセンブリ197、又は第3のソースアセンブリ198から提供される印加RF信号は、基板支持アセンブリ136とチャンバ蓋123との間に配置された処理領域内にプラズマ101を生成(維持及び/又は点火)するように構成され得る。いくつかの実施形態では、RF信号は、処理空間129内に配置された処理ガスと、支持ベース107及び/又はバイアス電極104に送られるRF電力(RF信号)によって生成される電界とを使用して、プラズマ101を点火及び維持するために使用される。処理領域129は、減圧出口120を介して1つ又は複数の専用の減圧ポンプ(図示せず)に流体的に結合されており、これらは、処理領域129を大気圧未満の圧力条件に維持し、処理領域129から処理ガス及び/又は他のガスを排出させる。いくつかの実施形態では、処理領域129内に配置された基板支持アセンブリ136は、接地され、チャンバベース124を通って延びる支持シャフト138上に配置される。いくつかの実施形態では、第1のソースアセンブリ196、第2のソースアセンブリ197、又は第3のソースアセンブリ198内の波形発生器アセンブリ150から提供される印加RF信号は、RF信号源581及びRF整合ネットワーク582を使用して実装されるRF発生器506(
図5C)によって提供される。いくつかの実施形態では、以下でさらに説明するように、RF発生器506は、約40MHzと約200MHzとの間など、40MHzを超える周波数を有するRF信号を送るように構成されている。
【0021】
[0034]
図1に戻って参照すると、基板支持アセンブリ136は、概して、基板支持面105A及び支持ベース107を有する基板支持体105(例えば、ESC基板支持体)を含む。いくつかの実施形態では、基板支持アセンブリ136は、以下にさらに説明するように、絶縁板111及び接地板112をさらに含むことができる。支持体ベース107は、絶縁板111によってチャンバベース124から電気的に絶縁されており、接地板112は、絶縁板111とチャンバベース124との間に介在される。基板支持体105は、支持体ベース107に熱的に結合され、その上に配置される。いくつかの実施形態では、基板処理中、支持体ベース107は、基板支持体105及び基板支持体105上に配置された基板103の温度を調節するように構成される。幾つかの実施形態では、支持ベース107は、内部に1つ又は複数の冷却チャネル(図示せず)が配置されており、冷却チャネルは、冷却剤源(図示せず)(例えば、比較的高い電気抵抗を有する冷媒源又は水源)に流体的に連結され、流体連通する。幾つかの実施形態では、基板支持体105は、ヒータ(図示せず)、例えば、その誘電体材料に埋め込まれた抵抗加熱素子を含む。ここで、支持ベース107は、耐食性金属(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、又はステンレス鋼)のような耐食性熱伝導材料で形成され、接着剤又は機械的手段によって基板支持体に連結される。
【0022】
[0035]通常、基板支持体105は誘電体材料、例えば、バルク焼結セラミック材料など、例えば、耐食性のある金属酸化物又は金属窒化物材料など、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化チタン(TiO)、窒化チタン(TiN)、酸化イットリウム(Y2O3)、それらの混合物、又はそれらの組み合わせなどで形成される。本明細書の実施形態では、基板支持体105はさらに、その誘電体材料に埋め込まれたバイアス電極104を含む。
【0023】
[0036]一構成では、バイアス電極104は、本明細書に記載の1つ又は複数のパルス電圧バイアス方式を使用して、基板103を基板支持体105の基板支持面105Aに固定(すなわち、チャック)し、プラズマ101に対して基板103にバイアスをかけるチャッキングポールとして使用される。一般に、バイアス電極104は、1つ又は複数の金属メッシュ、箔、プレート、又はそれらの組み合わせなどの1つ又は複数の導電性部品から形成される。いくつかの実施形態では、基板表面とバイアス電極104は容量性素子(例えば、静電チャックコンデンサ(C
esc)と呼ばれる)を形成し、いくつかの実施形態では、これは、
図1に示すように、バイアス電極104と基板支持面105Aとの間に配置された基板支持体105の誘電体材料層を含む。
【0024】
[0037]いくつかの実施形態では、バイアス電極104はクランプネットワークに電気的に結合され、これは、同軸電力供給線106(例えば、同軸ケーブル)などの導電体を使用して、約-5000V~約5000Vの間の静的DC電圧などのチャッキング電圧を供給する。クランプネットワークは、DC電源155(例えば、高電圧DC電源)及びフィルタ151(例えば、ローパスフィルタ)を含む。
【0025】
[0038]基板支持アセンブリ136は、エッジリング114の下に位置し、バイアス電極104を取り囲む、及び/又はバイアス電極104の中心から距離を置いて配置されるエッジ制御電極115をさらに含む。一般に、円形基板を処理するように構成された処理チャンバ100の場合、エッジ制御電極115は、形状が環状であり、導電性材料から作られ、バイアス電極104の少なくとも一部を取り囲むように構成される。
図1に示されるようないくつかの実施形態では、エッジ制御電極115は基板支持体105の領域内に配置される。いくつかの実施形態では、
図1に示すように、エッジ制御電極115は、基板支持体105の基板支持面105Aからバイアス電極104と同様の距離(すなわち、Z方向)に配置される導電性メッシュ、箔、及び/又はプレートを含む。
【0026】
[0039]エッジ制御電極115は、バイアス電極104にバイアスをかけるために使用される波形発生器アセンブリ150とは異なる波形発生器アセンブリを使用することによってバイアスをかけることができる。いくつかの実施形態では、エッジ制御電極115は、電力の一部をエッジ制御電極115に分割することによってバイアス電極104にバイアスをかけるためにも使用される波形発生器アセンブリ150の使用によってバイアスをかけることができる。ある構成では、第1のソースアセンブリ196の波形発生器アセンブリ150は、バイアス電極104にバイアスをかけるように構成され、第2のソースアセンブリ197の波形発生器アセンブリ150は、エッジ制御電極115にバイアスをかけるように構成されている。
【0027】
[0040]電力供給ライン157は、第1の電源アセンブリ196の波形発生器アセンブリ150の出力をバイアス電極104に電気的に接続する。以下の説明では主に第1の電源アセンブリ196の電力供給ライン157について説明するが、これは、第1のソースアセンブリ196の波形発生器アセンブリ150をバイアス電極104に結合するために使用され、第2電源アセンブリ197の電力供給ライン158は、第2のソースアセンブリ197の波形発生器アセンブリ150をエッジ制御電極115に結合し、同じ又は類似の構成要素を含むことになる。電力フィードライン157の様々な部品内の導電体は、(a)1本の同軸ケーブル、又は硬質同軸ケーブルと直列に結合されたフレキシブル同軸ケーブルなどの組み合わせ、(b)絶縁された高電圧コロナ耐性フックアップワイヤ、(c)裸線、(d)金属ロッド、(e)電気コネクタ、又は(f)(a)~(e)の電気要素の任意の組み合わせ、を含み得る。
【0028】
[0041]いくつかの実施形態では、処理チャンバ100は、さらに石英パイプ110又はカラーを含み、それは、基板支持アセンブリ136の一部を少なくとも部分的に囲んで、基板支持体105及び/又は支持体ベース107が腐食性の処理ガス若しくはプラズマ、クリーニングガス若しくはプラズマ、あるいはそれらの副生成物と接触するのを防止する。典型的には、石英パイプ110、絶縁板111、及び接地板112は、カソードライナー108によって囲まれている。いくつかの実施形態では、プラズマスクリーン109は、ライナー108と1つ又は複数の側壁122との間のプラズマスクリーン109の下の領域内にプラズマが形成されるのを防ぐために、カソードライナー108と側壁122との間に配置される。
【0029】
[0042]
図2Aは、処理チャンバの電極で確立され得る電圧波形を示す。
図2Bは、異なる電圧波形により基板表面に確立される異なるタイプの電圧波形225及び230の例を示しており、
図2Aに示す電圧波形と同様、処理チャンバ内の電極に別途設置される。図に示すように、波形にはイオン電流ステージとシース崩壊ステージの2つのステージを含む。イオン電流ステージの開始時に、基板電圧の降下により基板上に高電圧シースが形成され、基板への陽イオンが加速される。イオン電流ステージ中に基板の表面に衝突する正イオンは、基板表面に正電荷を堆積させ、これは、補償されない場合、
図2Bの電圧波形225によって示されるように、イオン電流ステージ中に基板電圧を徐々に正に増加させる原因となる。しかしながら、基板表面に正電荷が制御されずに蓄積されると、シースコンデンサとチャックコンデンサが望ましくないことに徐々に放電し、電圧波形225で示すように、シース電圧降下をゆっくりと減少させ、基板電位をゼロに近づける。正電荷の蓄積により、基板表面で確立される電圧波形の電圧降下が生ずる(
図2B)。しかしながら、
図2Aに示すように、イオン電流ステージ中に負の傾きを有する電極で確立される電圧波形は、
図2Bの曲線230に示すように、確立された基板電圧波形に対して正方形の領域(例えば、ほぼゼロの傾き)を確立するように生成され得る。イオン電流ステージ中に電極で確立される波形の傾斜を実現することは、電流補償と呼ばれることもある。イオン電流フェーズの開始時と終了時の電圧差が、イオンエネルギー分布関数(IEDF)幅を決定する。電圧差が大きいほど、IEDF幅は広くなる。単一エネルギーイオンとより狭いIEDF幅を実現するには、電流補償を使用して、イオン電流フェーズの基板電圧波形を平坦化する操作が実行される。本開示のいくつかの実施形態では、
図2Aに示される電圧波形にRF信号がオーバーレイされる。
【0030】
波形生成の生成技法
[0043]本発明の特定の実施形態は、概して、プラズマ生成とイオンエネルギー分布(IED)制御を同時に使用して基板のプラズマ処理を容易にし、エッチングされた高アスペクト比フィーチャに形成される望ましくないIEDボーイングプロファイルを低減する波形生成のための技術に関する。例えば、パルス電圧(PV)波形は、PV波形にRF信号がオーバーレイされて生成できる。いくつかの実施形態では、生成された波形は、本明細書で説明するように、電流補償を容易にするためのランプ信号を含むこともできる。
【0031】
[0044]
図3Aは、単一RF周波数励起波形を使用した場合の典型的なIEDを示している。示されているように、IEDは、高エネルギーピーク306を有する二峰性形状、低エネルギーピーク302、及び中間エネルギーイオン(例えば、中間エネルギー領域304に関連する)を有する。プラズマエッチングプロセスの側面から見ると、高エネルギーのピーク又はその付近のイオンのみが、エッチング中の材料内で生成されるイオン生成帯電効果を克服するエネルギーと方向性を有し、フィーチャの底部に到達してエッチング反応を可能にする。中間エネルギーのイオンは方向性がなく、エッチングプロセスには有益ではなく、フィーチャの側壁に当たる傾向があり、多くの場合、望ましくないIEDの湾曲プロファイルが発生する。低エネルギーのイオンはマスク表面を洗浄し、マスク層の形状を維持して孔の詰まりを防ぐため、エッチングプロセスにとって重要である。本開示のいくつかの実施形態は、高エネルギーピークと低エネルギーピークを有する、高エネルギーピークと低エネルギーピークの間に中間エネルギーがほとんど、又はまったくないエネルギープロファイルを作成することを目的とする。
【0032】
[0045]
図3Bは、本開示の特定の実施形態による、IED関数(IEDF)を示すグラフである。示されているように、IEDFは、低エネルギーピーク301と高エネルギーピーク303を含む。低エネルギーピークに関連するエネルギーは、基板に形成されるフィーチャのアスペクト比に応じて、数百eV未満(例えば、1KeV未満)であり得、高エネルギーピークに関連するエネルギーは数百eV~数万eVになり得る。例えば、いくつかの場合では、高エネルギーピークに関連するエネルギーは、4keV~10keVの間になり得る。図示されるように、より低いエネルギーのピーク301と、より高いエネルギーのピーク303との間にはイオンが存在しない(又は少なくとも従来の実施形態よりも少ない)。いくつかの実施形態は、本明細書でさらに詳しく説明するように、PV波形調整技術を使用して、
図3Bに示されるイオンエネルギー分布を実現するための技術に関する。
【0033】
[0046]
図4Aは、本開示の特定の実施形態に従って、波形生成器を使用して生成されたPV波形400を示す。図示のように、PV波形400は、波形領域401及び405を含む。波形領域401は直流(DC)信号を含み、波形領域405はイオン電流補償に使用できる電圧階段を含む。
【0034】
[0047]パルス波形サイクル内の波形領域401の一部の間、プラズマバルク電子は、PV波形400の立ち上がりエッジ402により、基板(例えば、基板103)の表面に引き寄せられる。上で説明したように、基板表面と電極(例えばバイアス電極104)は容量性素子(例えば静電チャックコンデンサ(Cesc)と呼ばれる)を形成し、このステージでは、極上に同量の正電荷(例えば、基板上の負電荷と比較して)が発生して、バルクプラズマによって提供される電子の蓄積によって生成される電界を打ち消す。
【0035】
[0048]PV波形400の立ち下がりエッジ403において、電極へのPV波形400の印加により、イオンは電子によって中和される。したがって、負の電圧V
0が電極に確立され、負のDCシース電位V
dcが基板表面に確立される。これは、より高いエネルギーのピーク303の起源である。DCシース電位(V
dc)、又はより高いイオンエネルギーは、立下りエッジ403での電圧降下(ΔV)と、次の式に基づくC
escとシース静電容量(C
sheath)との比を使用して近似することができる。
したがって、波形領域401は、チャンバ内でプラズマを(例えば、より低いエネルギーのピーク301を生成しながら)維持し、より高いエネルギーのピーク303に対するDCシース電位V
dcを確立するように機能する。
【0036】
[0049]入ってくるイオンが基板表面の電子を中和し、基板表面に正電荷が蓄積されるため、イオン補償手段がない場合、DCシース電位V
dcは低下する。したがって、基板表面に入射するイオンは、DCシース電位の変化により単一エネルギーではなくなる。波形領域405内に見られるイオン電流ステージ中の基板上の正電荷の収集を補償するために、いくつかの実施形態では、シース電位V
dcの変化を補償するために電極に電圧階段が印加され、それによって一定のシース電位V
dc(単一エネルギーのピーク)が維持される。いくつかの実施形態では、波形領域405内のバイアス電極104に印加される電圧階段は2つ以上のサブステップに分割され、それぞれの継続時間Δtは一定であることも、サブステップ間で変化することもある。継続時間Δtを有する最初のサブステップ406では、正電荷の全量ΔQ=I
ion ×Δtが基板表面に蓄積され、ここで、イオン電流(I
ion)は、電極電圧(V)とシース静電容量(C
sheath)を
として時間導関数に基づいて次のように計算でき、それ故、DCシース電位V
dcは、ΔQ/C
sheathだけ減少する。DCシース電位V
dcのこの変化を補償するために、立ち下がりエッジ407での電圧降下ΔV
Cが適用され、ここで、電圧降下ΔV
Cは、
として選択される。電圧階段の1つ又は複数のサブステップ中に適用される電圧降下ΔV
Cの必要な量は、既知又は測定されたイオン電流I
ionから決定することができる。
【0037】
[0050]いくつかの実施形態では、電圧階段の1つ又は複数のサブステップの電圧降下ΔV
Cを決定するために使用されるイオン電流I
ionは、測定波形399(
図4C)を電極に印加することによって事前測定される。
図4Cに示すように、測定波形399は、波形領域401及び測定領域419を含む。測定波形399は、最初に、電圧パルスを印加して波形領域401を形成することによって、電極(例えば、バイアス電極104)に提供されるときに測定される。立ち下がりエッジ403が形成された後、測定領域419中に電極電圧の時間減衰が測定される。測定波形399は、測定領域419の期間の少なくとも一部の間に測定された電圧減衰(すなわち、レートdV/dt)に起因して、未補償のイオン電流を計算又は推定するために使用される1つ又は複数のサイクルを含むことができ、これを曲線418で示す。立ち下がりエッジ403の終わりの出力電圧は通常、このプロセス中に測定され、これにより、PV波形400又は450に見られる後続のイオン補償ステージの基準電圧として使用できる。
【0038】
[0051]したがって、イオン電流I
ionが決定されると、PV波形400又は450のイオン電流ステージ中にイオン電流によって生成された電圧減衰を補償するために各サブステップの持続時間Δtと電圧降下ΔV
Cが決定される。一般的に、形成されたサブステップは、プラズマ処理中に基板で確立される波形の部分が、
図2Bの曲線230で示される正方形の領域を含むように、PV波形400又は450のイオン電流ステージ中に、
図4Aの曲線411などの線形補償曲線に近似する。システムコントローラ126内の1つ又は複数のソフトウェアアルゴリズムを使用して、測定波形399に基づいてイオン電流を測定及び決定し、また、イオン電流を補償するためにPV波形400又は450内で使用される各サブステップの特性(例えば、持続時間Δt及び電圧降下ΔV
C)も決定することができる。
【0039】
[0052]第1のサブステップ406で望ましい電圧降下ΔVCが決定されると、電圧降下ΔVCは、第1のサブステップ406の終わりに(すなわち、波形領域405の立ち下がりエッジ407において)V1=V0-ΔVCの電圧を印加するように構成された第1の電圧源に電極を接続することによって実施することができる。いくつかの実施形態では、電圧降下ΔVCを生成するために使用される第1の電圧源の出力は固定電圧である。他の実施形態では、第1の電圧源の出力電圧は、決定された電圧降下ΔVCに基づいてシステムコントローラ126から提供されるコマンド信号によって所望の設定点に調整される。
【0040】
[0053]同様に、第2のサブステップ408で望ましい電圧降下ΔVCが決定されると、電圧降下ΔVCは、第2のサブステップ408の終わりに(すなわち、波形領域405の立ち下がりエッジ409において)V2=V1-ΔVCの電圧を印加するように構成された第2の電圧源に電極を接続することによって実施することができる。一実施形態では、立下りエッジ409で印加される電圧降下ΔVCは、立下りエッジ407で印加される電圧降下ΔVCと同じ大きさ、従って、電圧V2=V1-ΔVC=V0-2ΔVCを有する。しかしながら、いくつかの実施形態では、立ち下がりエッジ409で印加される電圧降下ΔVCの大きさが、立ち下がりエッジ407で印加される電圧降下ΔVCとは異なることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、第2の電圧源の出力は、電圧降下ΔVCを達成するために使用される固定電圧に設定される。他の実施形態では、第1の電圧源の出力電圧は、決定された電圧降下ΔVCに基づいてシステムコントローラ126から提供されるコマンド信号によって所望の設定点に調整される。
【0041】
[0054]
図4Aに示される例では、波形領域405内に等しい持続時間Δtを有する2つのサブステップ406及び408が含まれ、波形領域405内のサブステップの数nは2つのサブステップに限定されないことに留意されたい。いくつかの実施形態では、PV波形400が波形領域405内にnサブステップを有することで、電極は、i-番目のサブステップ(i=1, 2, ..., n)中にV
i=V
0-(i-1)ΔV
Cの電圧を印加できる電圧源に接続される。いくつかの実施形態では、波形領域405内のサブステップの数nは5以下である。持続時間Δt
iは各サブステップ(i=1, 2, ..., n) で異なる場合があり、その場合、i-番目のサブステップの終了時の電圧降下は、
によって決定される。
【0042】
[0055]電圧降下ΔVCを決定するために使用される上記の式は、寄生容量や浮遊容量、伝送線路のインダクタンスなどの影響は含まれておらず、それ故、異なるチャンバ設計及びプラズマ条件に基づいて係数を修正する場合、基板表面に蓄積された正電荷によるDCシース電位の変化を補償するための電圧降下ΔVCは異なる可能性があることにも留意すべきである。
【0043】
[0056]
図5Aは、本開示の特定の態様に従って、基板にバイアスをかけてIED制御を達成するための波形発生器500の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、波形発生器500は、バイアス電極104又は支持ベース107で確立することができるPV波形400(
図4A)を生成するように構成されている。しかしながら、波形発生器500は、
図1に関して上述した波形発生器アセンブリ150のうちの1つ又は複数を実装するために使用されてもよい。
【0044】
[0057]波形発生器500は、波形領域401中に正の電圧を実行するための主電圧源502(例えば、DC電圧源)と、第1の補償電圧源505A(例えば、第1の電圧源)と、波形領域405中に電圧階段を実現するために並列に接続される第2の補償電圧源505B(例えば、第2の電圧源)とを含む。波形発生器500は、出力ノード504でPV波形400を生成する。一例では、出力ノード504は、基板支持体105(例えば、セラミックパック)又はサポートベース107内のバイアス電極104に結合される。出力ノード504が支持ベース107に結合されている場合、出力ノード504と基板103との間の全静電容量C
total(例えば、
、ここで、C
SBは支持ベース107とバイアス電極104との間に配置された誘電体層の静電容量である)は、出力ノード504がバイアス電極104(例えば、C
esc)に結合されている場合よりも大きくなり、その結果、C
esc両端の電圧降下が小さくなり、シースの電圧降下が大きくなる可能性がある。
【0045】
[0058]
図5Aに示すように、スイッチ520(例えば、高電圧ソリッドステートリレー)が主電圧源502と出力ノード504との間に結合され、スイッチ522(例えば、高電圧ソリッドステートリレー)は、接地ノード508と出力ノード504との間に結合される。スイッチ523A及びスイッチ523Bは、それぞれ、第1の補償電圧源505Aと出力ノード504との間、及び第2の補償電圧源505Bと出力ノード504との間に結合される。
図5Aは、電圧階段を形成するために使用される2つの補償電圧源を含む構成を示しているが、波形発生器500は、電圧階段内に3つ以上のサブステップを形成するために並列に接続された3つ以上の波形発生器を含むことができるため、この構成は、本明細書で提供される開示の範囲を限定することを意図したものではない。以下でさらに説明するように、様々なスイッチの開閉のタイミングは、システムコントローラ126から送信されるコマンドによって制御することができる。
【0046】
[0059]
図5Bは、本開示の特定の態様に従って、基板にバイアスをかけてIED制御を達成するための波形発生器580の実装を示す。一実施形態では、波形発生器580は、バイアス電極104又は支持ベース107で確立することができるPV波形400(
図4A)を生成するように構成されている。波形発生器580はまた、
図1に関して上述した波形発生器アセンブリ150のうちの1つ又は複数を実装するために使用されてもよい。
【0047】
[0060]波形発生器580は、波形領域401中に正の電圧を実行するための主電圧源502(例えば、DC電圧源)と、第1の補償電圧源505A(例えば、第1の電圧源)と、波形領域405中の電圧階段の実現を可能にするために直列に接続された第2の補償電圧源505B(例えば、第2の電圧源)とを含む。波形発生器580は、出力ノード504でPV波形400を生成する。出力ノード504は、基板支持体105(例えば、セラミックパック)又はサポートベース107内のバイアス電極104に結合され得る。
図5Bに示すように、スイッチ520(例えば、高電圧ソリッドステートリレー)が主電圧源502と出力ノード504との間に結合され、スイッチ522(例えば、高電圧ソリッドステートリレー)は、接地ノード508と出力ノード504との間に結合される。スイッチ523Aは、第1の補償電圧源505Aの第1のポートと出力ノード504との間に結合される。第2の補償電圧源505Bは、接地とスイッチ523Bとの間に結合される。スイッチ523Bは、立ち下がりエッジ407の形成中に、第1の補償電圧源505Aの第2のポートを接地ノードに選択的に結合するように構成されており、その後、第2の補償電圧源505Bの第1のポートを第1の補償電圧源505Aの第2のポートに直列に接続するため、立ち下がりエッジ409の形成中、第2の補償電圧源505Bと第1の補償電圧源505Aを結合する。以下でさらに説明するように、様々なスイッチの開閉のタイミングは、システムコントローラ126から送信されるコマンドによって制御することができる。
図5Bは、電圧階段を形成する2つの直列に接続された電圧源を示しているが、波形発生器580は、電圧階段内に3つ以上のサブステップを形成するために並列に接続された3つ以上の波形発生器を含むことができるため、この構成は、本明細書で提供される開示の範囲を限定することを意図したものではない。3つ以上の波形発生器を含むシステム構成では、波形発生器の各隣接ペア間の接続に2ポジションスイッチを含むことになり、これは、
図5Bに示されるスイッチ523Bと同様であり、各波形発生器の直列接続が電圧階段の各サブステップを形成できるようにする。
【0048】
RFオーバーレイの構成例
[0061]
図4Bは、本開示の特定の実施形態に従って、波形生成器を使用して生成されたPV波形450を示す。図示のように、PV波形450は、波形領域451及び455を含む。波形領域451には、RF信号454が重畳された直流(DC)信号を含み、波形領域455は、RF信号454がオーバーレイされた電圧階段(例えば、電流補償のため)を含む。RF信号454は、波形領域455中に電圧階段信号にオーバーレイされて、チャンバ内のプラズマを維持し続け(例えば、より低いエネルギーピーク301を生成している間)、より高いエネルギーピーク303に対するDCシース電位を確立することもできる。
図4Bに示す例は、波形領域455内に等しい持続時間Δtを有する2つのサブステップ456及び458を含むが、波形領域455内のサブステップの数nは2つのサブステップに限定されないため、多かれ少なかれサブステップを含むことができることに留意すべきである。
【0049】
[0062]RF信号454は、一般に、チャンバ内のプラズマを維持するために使用され、
図3Bに関して説明したより低いエネルギーピーク301を生成する。いくつかの実施形態では、RF信号454は、40MHz~200MHzの間の周波数を有し得る。RF信号454の周波数は、周波数>40MHzなど、イオンシース遷移周波数よりも高くてもよい。この場合、シースの厚さを横切る平均イオン遷移時間は、RF信号454の周期よりも長く、その結果、イオンはRF信号454の複数のサイクルを経験し、複数のサイクルに関連する平均エネルギーを取得して、より低いエネルギーピーク301を生成する。したがって、イオンは、単一のイオンエネルギーピークが達成されるように、RF信号454によって引き起こされる平均シース電位によって加速される。高周波RF励起により、単一エネルギーピークを有するイオンが生成される。換言すれば、シースを横切って移動するイオンは、RF信号454によって駆動される平均シース電位を受け、連続的なエネルギー分布ではなく単一のイオンエネルギーピークを生成する。
【0050】
[0063]
図5Cは、本開示の特定の態様に従って、基板にバイアスをかけてIED制御を達成するための波形発生器550の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、波形発生器550は、バイアス電極104又は支持ベース107で確立することができるPV波形450(
図4B)を生成するように構成されている。波形発生器550は、
図1に関して上述した波形発生器アセンブリ150のうちの1つ又は複数を実装するために使用されてもよい。
【0051】
[0064]波形発生器550は、波形領域401中に正の電圧を実行するための主電圧源502(例えば、DC電圧源)と、波形領域405中に電圧階段を実現するための第1の補償電圧源505A(例えば、DC電圧源)及び第2の補償電圧源505B(例えば、DC電圧源)と、RF信号454を提供するためのRF発生器506(RF信号発生器とも呼ばれる)とを含む。波形発生器550は、出力ノード504でPV波形450を生成する。出力ノード504は、基板支持体105(例えば、セラミックパック)又はサポートベース107内のバイアス電極104に結合され得る。
【0052】
[0065]
図5Cに示される実施形態では、RFフィルタ540は、主電圧源502とスイッチ520との間の経路に実装され得、RFフィルタ542は、接地ノード508とスイッチ522との間の経路に実装され得、RFフィルタ544Aは、第1の補償電圧源505Aと出力ノード504との間に実装され得、RFフィルタ544Bは、第2の補償電圧源505Bと出力ノード504との間に実装され得る。RFフィルタ540、542、544A、544Bは、RF発生器506から提供されるRF信号をブロックするように構成されたローパスフィルタとして実装され得る。主電圧源502、第1の補償電圧源505A、及び第2の補償電圧源505Bは、RF発生器506の出力からのそれぞれのRFフィルタ540、544A、544Bによって保護される。換言すれば、RFフィルタ540、544A、544Bは、RF発生器506から提供される高周波RF信号をブロックするように構成されている。接地ノード508は、スイッチ522が閉じているとき、RFフィルタ542(例えば、ローパスフィルタ)によってRF発生器506から分離される。いくつかの実施形態では、RFフィルタ540、542、544A、544Bのそれぞれは、
図6に示されるように、並列LCトポロジとして実装され得る。
【0053】
[0066]
図6は、容量性素子602及び誘導性素子604を有する並列LCフィルタトポロジ600を示す。図示されるように、容量性素子602は、ノード610、612の間で誘導性素子604に並列に結合され得る。RFフィルタ540、542、544のそれぞれは、並列LCフィルタトポロジ600を使用して実装され得る。例えば、RFフィルタ542の場合、ノード610は接地ノード508に結合され得、ノード612はスイッチ522に結合され得る。一例として、40MHzのRF信号の場合、40MHzのRF信号を阻止するために、容量性素子602は100ピコファラッド(pF)であり、誘導性素子604は158ナノヘンリー(nH)であり得る。換言すれば、並列LCフィルタトポロジ600は、40MHz信号に対して開回路として効果的に作用し、主電圧源502、接地ノード508、第1の補償電圧源505A、又は第2の補償電圧源505Bを、40MHzのRF信号から絶縁する共振回路である。
【0054】
波形生成例
[0067]
図7は、本開示の特定の実施形態による、スイッチ520(「S1」とラベル付け)、スイッチ522(「S2」とラベル付け)、スイッチ523A(「S3」とラベル付け)、及びスイッチ523B(「S4」とラベル付け)の状態を示すタイミング
図700である。一般に、操作中、スイッチ520、523A、523Bは、主電圧源502、第1の補償電圧源505A、及び/又は第2の補償電圧源505Bが接地ノード508に電気的に短絡することを避けるために、スイッチ522(S2)と同時に閉じられない。以下の説明は主に、PV波形400を形成する波形発生器500を含むシステム上で実行されるスイッチタイミングプロセスを開示するが、スイッチタイミングプロセスは、PV波形450を形成する波形発生器550を含むシステム上で実装することもできるため、この構成は、本明細書で提供される開示の範囲を限定することを意図したものではない。
【0055】
[0068]
図4A、
図5A、及び
図7を参照すると、いくつかの実施形態では、波形サイクル(例えば、PV波形400のサイクル)のフェーズ1中に、スイッチ520(S1)を閉じて、
図4Aに示すように立ち上がりエッジ402を生成することができる。スイッチ520(S1)は、十分な数の電子が基板表面に収集されることを可能にするために、20nsから2000nsの範囲の期間閉じられてもよい。波形領域401に関連付けられた期間の後、スイッチ520(S1)を開き、スイッチ522(S2)を閉じて、出力ノード504をグランドに接続し、波形サイクルのフェーズ2中に立ち下がりエッジ403を生成することができる。スイッチ520(S1)を開いた後、スイッチ522(S2)は、10ns~100nsの範囲の期間閉じられてもよい。
【0056】
[0069]いくつかの実施形態では、スイッチ520(S1)が閉じているフェーズ1中に、
図1に示す基板103上に負の電荷が蓄積する。基板103上のバイアス電極104と基板103によって形成されるコンデンサの両端の電圧降下は、容量効果により瞬時に変化することができない。したがって、フェーズ2では、スイッチ520(S1)が開き、スイッチ522(S2)が閉じると、出力ノード504(例えば、
図1に示すバイアス電極104)の電圧は、スイッチ522がバイアス電極104を接地するにつれて、
図4Aに示すように、正の電圧からゼロ(接地電位)まで降下する。換言すれば、バイアス電極104上の正電荷はグランドから電子を引きつけ、スイッチS2が閉じると出力ノード504の基板表面で負の電圧V
0まで降下を引き起こす。
【0057】
[0070]波形領域405の最初のサブステップ406に関連付けられた期間(すなわち、持続時間Δt)に達した後、スイッチ522(S2)が開かれ、スイッチ523A(S3)が閉じられて、波形サイクルのフェーズ3の間に立ち下がりエッジ407を生成することができる。スイッチ522(S2)を開いた後、スイッチ523A(S3)は、100ns~1000nsの範囲の期間閉じられてもよい。波形サイクルのフェーズ3の間、両方のスイッチ520、522は開いたままであり、スイッチ523Aは閉じられて、第1の補償電圧源505Aが出力ノード504(例えば、チャンバ)に接続されることを可能にする。
【0058】
[0071]波形領域405のサブステップ408に関連付けられた期間(すなわち、持続時間Δt)に達した後、
図4に示すように、波形サイクルのフェーズ4中に、スイッチ523A(S3)を開き、スイッチ523B(S4)を閉じて、立ち下がりエッジ409を生成することができる。一実施形態では、第2の補償モジュール502Bの出力の大きさは、立下りエッジ407で印加される電圧に、立ち下がりエッジ409(すなわち、V
2=V
0-ΔV
C1-ΔV
C2)中に適用されることになる追加の電圧降下ΔV
Cに達するのに必要な追加の電圧を加えたものに等しい。スイッチ523A(S3)を開いた後、スイッチ523B(S4)は、100ns~2000nsの範囲の期間閉じられてもよい。波形サイクルのフェーズ4の間、スイッチ520、522は両方とも開いたままであり、スイッチ523Bは閉じている。
【0059】
[0072]波形発生器580が実装されるいくつかの実施形態では、
図7に示すタイミングシーケンスは、スイッチ523A(S3)が閉じたままになるように変更される一方、スイッチ523B(S4)は、波形サイクルのフェーズ4中に第1の補償電圧源505Aと第2の補償電圧源505Bを結合するために使用される。フェーズ4の終わりにスイッチ523Aが開いており、スイッチ523Bは、波形サイクルが繰り返されるように、又はその準備として、第1の補償電圧源505Aを接地する位置に切り替えられる。
【0060】
[0073]本開示の実施形態は、プラズマの励起と維持を同時に行い、プラズマ処理チャンバの基板表面にそのようなIEDを実現するために、プロセスに有利なデュアルピークIED及び方法を提供する。従来のイオンエネルギー制御技術と比較した本開示の実施形態の1つの利点は、プラズマ生成とIED制御を同時に行うことができることである。PV波形の1サイクルが完了すると、繰り返される第2の電圧波形サイクルの部分図によって
図4A~
図4Cに示されるように、複数の追加のPV波形サイクルが複数回連続して繰り返される。いくつかの実施形態では、電極で確立される電圧波形にはオン時間があり、これは、イオン電流の期間(例えば、波形領域405の長さ)と波形期間T
P(例えば、波形領域401の長さ+波形領域405の長さ)の比として定義され、50%超、又は70%超、例えば、80%と95%の間などである。いくつかの実施形態では、約2.5μsの周期T
Pを有する波形サイクルを有するPV波形は、約100マイクロ秒(μs)から約10ミリ秒(ms)の間のバースト周期を有するPV波形バースト内で連続的に繰り返される。PV波形のバーストは、約5%~100%、例えば、約50%~約95%のバーストデューティサイクルを有することができ、この際、デューティサイクルは、バースト期間をバースト期間とバースト期間を区切る非バースト期間(すなわち、PV波形が生成されない)を加えたもので割った比である。
【0061】
[0074]
図8は、波形生成の方法800を示すプロセスフロー図である。方法800は、波形発生器500などの波形発生器、及び/又はシステムコントローラ126などのシステムコントローラを含む波形発生システムによって実行され得る。
【0062】
[0075]操作802では、波形生成システムは、PV波形(例えば、PV波形400)の第1のフェーズ(例えば、
図7に示すフェーズ1)の間、約20ns~約2000nsの間、主電圧源(例えば、主電圧源502)を出力ノード(例えば、出力ノード504)に(例えば、スイッチ520を閉じることによって)結合する。出力ノードは、処理チャンバ(例えば、処理チャンバ100)内に配置された電極に結合され得る。例えば、出力ノードは、バイアス電極104又は支持ベース107に結合され得る。
【0063】
[0076]操作804では、波形生成システムは、波形の第2フェーズ(例えば、
図7に示すフェーズ2)中に、約10nsと約100nsの間、接地ノード(例えば、接地ノード508)を出力ノードに(例えば、スイッチ522を閉じることによって)結合する。上述したように、スイッチ522を閉じると、立ち下がりエッジ403が形成される。
【0064】
[0077]操作806では、波形生成システムは、波形の第3のフェーズ(例えば、
図7に示すフェーズ3)中に、約100nsと約2000nsの間、第1の補償電圧源(例えば、第1の補償電圧源505A)を出力ノードに(例えば、スイッチ523Aを閉じることによって)結合する。したがって、スイッチ523Aが閉じ、スイッチ522が開くと、立ち下がりエッジ407が形成される。
【0065】
[0078]操作808では、波形生成システムは、波形の第4のフェーズ(例えば、
図7に示すフェーズ4)中に、約100nsと約2000nsの間、第2の補償電圧源(例えば、第2の補償電圧源505B)を出力ノードに(例えば、スイッチ523Bを閉じることによって)結合する。
図5A又は
図5Cに示される波形発生器500又は波形発生器550の構成を使用する場合、したがって、スイッチ523Bが閉じ、スイッチ523Aが開くと、立ち下がりエッジ407が形成される。
【0066】
[0079]波形発生器550を含むいくつかの実施形態では、RF信号発生器(例えば、RF発生器506)は、第1ステージ中にフィルタ(例えば、ハイパスフィルタ546)を介して出力ノードに結合される。RF信号発生器は、波形の第1フェーズ、第2フェーズ、第3フェーズ、及び第4フェーズ中に出力ノードに結合され得る。主電圧源及び接地ノードは、第3フェーズ及び第4フェーズの間、出力ノードから(例えば、スイッチ520、522を開くことによって)切り離される。いくつかの実施形態では、主電圧源はフィルタ(例えば、RFフィルタ540)を介して出力ノードに結合され、接地ノードはフィルタ(例えば、RFフィルタ542)を介して出力ノードに結合される。
【0067】
[0080]いくつかの実施形態では、2つ以上の補償電圧源(例えば、第1の補償電圧源505A及び第2の補償電圧源505B)は、波形の第3フェーズ及び第4フェーズそれぞれ中に出力ノードに結合され、主電圧源と接地ノードは、第3フェーズ及び第4フェーズ中に出力ノードから切り離される。第1及び第2の補償電圧源はそれぞれ、フィルタ(例えば、RFフィルタ544)を介して出力ノードに結合され得る。
【0068】
[0081]「結合された」という用語は、本明細書では、2つの物体間の直接的又は間接的な結合を指すために使用される。例えば、物体Aが物体Bに物理的に接触し、物体Bが物体Cに物理的に接触した場合、物体AとCが物理的に互いに直接接触していない場合でも、物体AとCは依然として相互に結合していると見なすことができる。例えば、第1の物体が第2の物体に物理的に直接接触していない場合でも、第1の物体は第2の物体に結合される可能性がある。
【0069】
[0082]以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及び追加の実施形態を考案してもよい。本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
【国際調査報告】