(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】新規の酸化剤及び歪環前駆体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20240702BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240702BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20240702BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240702BHJP
C23C 16/40 20060101ALI20240702BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/316 X
H01L21/318 B
H01L21/31 B
H01L21/31 C
C23C16/40
C23C16/455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579351
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 US2022034513
(87)【国際公開番号】W WO2022271815
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】507335687
【氏名又は名称】ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バリク, チャンダン クル
(72)【発明者】
【氏名】ヨン, ドリーン ウェイ イン
(72)【発明者】
【氏名】スディジョノ, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】トリン, ツォン
(72)【発明者】
【氏名】ブイヤン, バスカー ジョティ
(72)【発明者】
【氏名】ハバティー, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】カリアパン, ムトゥクマール
(72)【発明者】
【氏名】チェン, インチエン
(72)【発明者】
【氏名】トゥンマナペッリ, アニル クマール
(72)【発明者】
【氏名】ウォン, リチャード ミン ワ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA09
4K030AA11
4K030AA13
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(57)【要約】
新規の環状ケイ素前駆体と酸化剤が記載される。基板上にケイ素含有膜を堆積させる方法が記載される。基板をケイ素前駆体及び反応物に曝露して、ケイ素含有膜(例えば、元素のケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素)を形成する。曝露は順次的に行うことも、同時に行うこともできる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を環状ケイ素前駆体及び反応物に曝露することを含み、前記環状ケイ素前駆体は、ケイ素を含む3員環又は4員環を含む、ケイ素含有材料を堆積させる方法。
【請求項2】
前記ケイ素含有材料が窒化ケイ素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記環状ケイ素前駆体が、次の一般式、
、
[式中、X及びYは、独立して、CH
2、SiH
2、NH、S、又はSeから選択され、R
1及びR
2は、独立して、H又はアルキルから選択される]を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
X又はYのうちの少なくとも1つがSである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記環状ケイ素前駆体が、次の一般式、
[式中、X及びYは、独立して、CH
2、SiH
2、NH、S、又はSeから選択され、R
1~R
4は、独立して、H又はアルキルである]を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記環状ケイ素前駆体が、
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
基板をケイ素前駆体及びオキサジリジンを含む酸化剤に曝露することを含む、酸化ケイ素を堆積させる方法。
【請求項8】
前記酸化ケイ素が、98原子%を超えるケイ素原子及び酸素原子を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記オキサジリジンが、次の一般式、
[式中、R
1、R
2及びR
3は、独立して、H、SO
2NO
2、CN、C1-C8アルキル、C1-C8パーフルオロアルキル、ピリジン、アリール、置換アリール、パーフルオロアリール、SO
2-NO
2置換アリールから選択されるか、又はR
2とR
3が組み合わされてカルボニルを形成する]を有する化合物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記オキサジリジンが、
のうちの1つ又は複数を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記オキサジリジンが二環式である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記オキサジリジンが、
のうちの1つ又は複数を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
基板をケイ素前駆体及びP/S/N酸化物を含む酸化剤に曝露することを含む、酸化ケイ素を堆積させる方法。
【請求項14】
前記P/S/N酸化物がP-酸化物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記P-オキシドが、H
3PO、(CH
3)
3PO、(CH
2H
5)
3PO、MPPO(3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン 1-オキシド)、3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン 1-オキシド、ネオペンチレンホスファイト(5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスフィナン 2-オキシド)、HASPO-1(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサホスホラン 2-オキシド)、2-メチル-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン、又はジフェニルホスフィンオキシドのうちの1つ又は複数を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記P/S/N酸化物がS酸化物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記S-酸化物が、H
2SO又はMPSO(メチルフェニルスルホキシド)のうちの1つ又は複数を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記P/S/N酸化物がN-酸化物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記N-酸化物が、H
3N→O、トリメチルアミン n-オキシド、ピリジン-n-オキシド、TEMPO((2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル)、N-ヒドロキシフタルイミド、又は4-メチルモルホリン n-オキシドのうちの1つ又は複数を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記P/S/N酸化物が、次の一般式、
[式中、R
4、R
5及びR
6は、独立して、H、アルキル、又はアリールから選択され、R
4とR
5は結合して、少なくとも1つのP、S又はNヘテロ原子を含む3~6員環を形成することができる]を有する化合物を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、ケイ素前駆体、酸化剤、及びケイ素含有膜を堆積する方法に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、歪環ケイ素前駆体、オキサジリジン酸化剤、P/S/N酸化物、及びそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]半導体処理産業は、より大きな表面積を有する基板上に堆積される層の均一性を高めながら、より大きな生産歩留まりを目指して努力し続けている。これらの同じ要素と新しい材料の組み合わせにより、基板の単位面積あたりの回路の集積度も向上する。回路の集積度が高まるにつれて、層の厚さに関する均一性とプロセス制御の必要性が高まる。その結果、層の特性の制御を維持しながら、コスト効率の高い方法で基板上に層を堆積するためのさまざまな技術が開発されてきた。
【0003】
[0003]化学気相堆積(CVD)は、基板上に層を堆積するために使用される最も一般的な堆積プロセスの1つである。CVDはフラックスに依存する堆積技術であり、均一な厚さの所望の層を生成するために、基板温度と処理チャンバに導入される前駆体の正確な制御が必要である。これらの要件は基板サイズが大きくなるにつれてより重要になり、適切な均一性を維持するためにチャンバ設計とガス流技術をより複雑にする必要性が生ずる。
【0004】
[0004]優れたステップカバレッジを示すCVDの一種は、周期的堆積又は原子層堆積(ALD)である。周期的堆積は原子層エピタキシー(ALE)に基づいており、化学吸着技術を使用して、順次サイクルで基板表面上に前駆体分子を供給する。該サイクルは、基板表面を、第1の前駆体、パージガス、第2の前駆体、及びパージガスに曝す。第1及び第2の前駆体は反応して、生成物化合物を基板表面上に膜として形成する。このサイクルを繰り返して、層を所望の厚さに形成する。
【0005】
[0005]先進的なマイクロ電子デバイスの複雑化により、現在使用されている堆積技術には厳しい要求が課されている。残念ながら、堅牢な熱安定性、高い反応性、膜成長の発生に適した蒸気圧などの必要な特性を備えた、利用可能な実行可能な化学前駆体の数は限られている。加えて、多くの場合、これらの要件を満たす前駆体は長期安定性に問題があり、対象となる膜用途に有害なことが多い、酸素、窒素、ハロゲン化物などの、高濃度の汚染物質を含む薄膜が形成される。
【0006】
[0006]ケイ素含有膜は、ハロゲン含有前駆体の使用によりハロゲンによって汚染されることが多々ある。これらのハロゲン汚染物質はデバイスのパフォーマンスに悪影響を与えることが多く、個別の除去手順が必要になり、これは、完全に効果的ではない可能性がある。
【0007】
[0007]さらに、多くの基板材料には既に温度に敏感な材料及び構造(例えば、ロジックデバイス)が含まれていることが多いため、より低温の成膜プロセスが必要である。また、プラズマ及び/又はオゾンを使用しない堆積手順により、ハードウェアの需要が減り、選択性が向上する可能性がある。
【0008】
[0008]したがって、当技術分野では、ハロゲンを含まない、活性化エネルギー要件が低い、及び/又はプラズマを使用せずにケイ素含有膜を堆積できる、新規のケイ素前駆体及び酸化剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
[0009]本開示の1つ又は複数の実施形態は、ケイ素含有材料を堆積する方法に関する。本方法は、基板を環状ケイ素前駆体及び反応物に曝露することを含み、該環状ケイ素前駆体はケイ素を含む3員環又は4員環を含む。
【0010】
[0010]本開示のさらなる実施形態は、酸化ケイ素を堆積させる方法に関する。本方法は、基板を、ケイ素前駆体及びオキサジリジンを含む酸化剤に曝露することを含む。
【0011】
[0011]本開示のさらなる実施形態は、酸化ケイ素を堆積させる方法に関する。本方法は、基板を、ケイ素前駆体及びP/S/N酸化物を含む酸化剤に曝露することを含む。
【0012】
[0012]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約した本開示のより詳細な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、そのいくつかを添付の図面に示す。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013]本開示の1つ又は複数の実施形態による方法の処理フロー図を示す。
【
図2】[0014]本開示の1つ又は複数の実施形態による例示的なケイ素前駆体を示す図である。
【
図3】[0015]本開示の1つ又は複数の実施形態による例示的なオキサジリジンを示す図である。
【
図4】[0016]
図4は、本開示の1つ又は複数の実施形態による例示的なP/S/N酸化物を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0017]本発明のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本発明は、以下の説明に記載される構成又はプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。
【0015】
[0018]本開示の実施形態は、ケイ素含有膜を堆積するための前駆体、反応物、及びプロセスを提供する。本開示のいくつかの実施形態は、環状ケイ素前駆体を提供する。いくつかの実施形態では、環状ケイ素前駆体は実質的にハロゲンを含まない。いくつかの実施形態では、環状ケイ素前駆体は、ケイ素を含む3員環又は4員環を含む。いくつかの実施形態では、環状ケイ素前駆体をALD及びCVD条件下で使用して、ケイ素含有膜を堆積させることができる。
【0016】
[0019]上で確認したように、1つ又は複数の実施形態の環状ケイ素前駆体は、ハロゲンを実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、環状ケイ素前駆体において、原子ベースで、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、及び約0.5%未満を含む、約5%未満のハロゲンが存在することを意味する。
【0017】
[0020]本開示のいくつかの実施形態は、酸化剤を提供する。いくつかの実施形態では、酸化剤はオキサジリジンを含む。いくつかの実施形態では、酸化剤はP/S/N酸化物を含む。いくつかの実施形態では、酸化剤をALD及びCVD条件下で使用して、ケイ素含有膜を堆積させることができる。
【0018】
[0021]様々な実施形態のプロセスは、原子層堆積(ALD)又は化学気相堆積(CVD)などの蒸気堆積技術を使用して、ケイ素含有膜を提供する。1つ又は複数の実施形態の環状ケイ素前駆体及び/又は酸化剤は、揮発性で熱的に安定であり、したがって、蒸気堆積に適している。いくつかの実施形態では、環状ケイ素前駆体及び/又は酸化剤は、ケイ素含有膜を形成するための、比較的低い活性化障壁を有する。いくつかの実施形態では、環状ケイ素前駆体及び/又は酸化剤を使用して、比較的低温でケイ素含有膜を形成することができる。いくつかの実施形態では、環状ケイ素前駆体及び/又は酸化剤を使用して、プラズマを使用せずにケイ素含有膜を形成することができる。
【0019】
[0022]ここで使用される「基板」は、製造処理中に膜処理が実行される基板上に形成された任意の基板又は材料表面を指す。例えば、その上で処理が実行可能である基板表面は、用途に応じて、ケイ素、酸化ケイ素、歪みシリコン、シリコン・オン・インシュレータ(silicon on insulator:SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアなどの材料、並びに金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電性材料といった他の任意の材料を含む。基板は、半導体ウエハを含むが、これらに限定されない。基板を、前処理プロセスに曝して、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニーリング及び/又はベークすることができる。基板自体の表面上で直接フィルム処理することに加えて、本発明では、開示されるフィルム処理ステップのいずれも、以下により詳細に開示されるように、基板上に形成された下層上で実行され得、また、「基板表面」という用語は、文脈が示すような下層を含むことを意図している。それゆえ、例えば、膜/層又は部分的な膜/層が基板表面上に堆積された場合、新たに堆積された膜/層の露出面が基板表面になる。
【0020】
[0023]本明細書で使用される場合、「基板表面」とは、その上に層が形成され得る任意の基板表面を指す。基板表面は、その中に形成された1つ又は複数のフィーチャ、その上に形成された1つ又は複数の層、及びそれらの組み合わせを有してもよい。基板(又は基板表面)は、モリブデン含有層の堆積前に、例えば、研磨、エッチング、還元、酸化、ハロゲン化、水酸化、アニーリング、ベーキング等により前処理されてもよい。
【0021】
[0024]基板は、その上に材料を堆積させることができる任意の基板、例えば、シリコン基板、III-V族化合物基板、シリコンゲルマニウム(SiGe)基板、エピ基板、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)ランプディスプレイなどのディスプレイ基板、太陽電池アレイ、ソーラーパネル、発光ダイオード(LED)基板、半導体ウエハ等であってよい。いくつかの実施形態では、モリブデン含有層がその上に少なくとも部分的に形成されるように、1つ又は複数の追加の層を基板上に配置することができる。例えば、いくつかの実施形態では、金属、窒化物、酸化物、又はそれらの組み合わせを含む層が基板上に配置されてもよく、このような層上にケイ素含有層を形成してもよい。
【0022】
[0025]1つ又は複数の実施形態によれば、この方法は原子層堆積(ALD)プロセスを使用する。このような実施形態では、基板表面は、順次的又は実質的に順次的に前駆体(反応物又は反応性ガスとも呼ばれる)に曝露される。本明細書全体にわたって使用される「実質的に順次的に」とは、多少の重複はあり得るが、前駆体曝露期間の大部分が共試薬への曝露と重複しないことを意味する。
【0023】
[0026]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」などの用語は、基板表面と反応できる任意のガス種を指すために互換的に使用される。
【0024】
[0027]本明細書で使用される「原子層堆積」又は「周期的堆積」は、基板表面上に材料の層を堆積するために、2つ以上の反応性化合物を順次的に曝露することを指す。この明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、
「反応性化合物」、「反応性ガス」、「反応性種」、「前駆体」、「プロセスガス」などの用語は、表面反応(例えば、化学吸着、酸化、還元)において基板表面又は基板表面上の材料と反応することができる種を有する物質を意味するために同じ意味で使用される。基板又は基板の一部は、処理チャンバの反応ゾーンに導入される2つ以上の反応性化合物に順次的に曝露される。タイムドメインALDプロセスでは、各反応性化合物への曝露は時間遅延によって分離され、各化合物が基板表面に付着及び/又は反応できるようにする。空間ALDプロセスでは、基板表面の異なる部分、又は基板表面の材料が、2つ以上の反応性化合物に同時に曝されるため、基板上の任意の点が同時に複数の反応性化合物に実質的に曝露されることはない。この明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、この点で使用される「実質的に」という用語は、当業者には理解されるように、基板のごく一部が拡散により複数の反応性ガスに同時に曝される可能性があり、同時に暴露されることが意図されていないことを意味する。
【0025】
[0028]時間領域ALDプロセスの一態様では、第1の反応性ガス(すなわち、第1の前駆体又は化合物A)が反応ゾーンにパルス的に送られ、その後、第1の時間遅延が続く。次に、第2の前駆体又は化合物Bが反応ゾーンにパルスされ、その後第2の遅延が続く。各遅延時間中に、アルゴンなどのパージガスが処理チャンバに導入されて、反応ゾーンをパージするか、あるいは残留反応性化合物又は副生成物を反応ゾーンから除去する。あるいはまた、パージガスは、反応性化合物のパルス間の時間遅延中にパージガスのみが流れるように、堆積処理全体を通じて順次的に流れてもよい。反応性化合物は、所望の膜又は膜厚が基板表面に形成されるまで交互にパルス化される。どちらのシナリオでも、化合物A、パージガス、化合物B、及びパージガスをパルスするALDプロセスが1サイクルになる。サイクルは化合物A又は化合物Bのいずれかで開始し、所望の厚さの膜が得られるまでサイクルのそれぞれの順序を継続する。
【0026】
[0029]空間ALDプロセスの一態様では、第1の反応性ガスと第2の反応性ガス(例えば、水素ラジカル)は同時に反応ゾーンに供給されるが、不活性ガスカーテン及び/又は真空カーテンによって分離される。基板上の任意の点が第1の反応性ガス及び第2の反応性ガスに曝されるように、基板はガス供給装置に対して移動される。
【0027】
[0030]理論に縛られる意図はないが、ハロゲン汚染はデバイスの性能に影響を与える可能性があるため、追加の除去手順が必要となる場合があるため、ケイ素前駆体の構造中にハロゲンが存在することが問題を引き起こす可能性があると考えられている。
【0028】
[0031]ケイ素含有膜は、多くの用途で原子層堆積又は化学気相堆積によって成長させることができる。本開示の1つ又は複数の実施形態は、ケイ素含有膜を形成するための原子層堆積又は化学気相堆のプロセスを有利に提供する。この明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「ケイ素含有膜」という用語は、ケイ素原子を含む膜を指し、約1原子%以上のケイ素、約2原子%以上のケイ素、約3原子%以上のケイ素、約4原子%以上のケイ素、約5原子%以上のケイ素、約10原子%以上のケイ素、約15原子%以上のケイ素、約20原子%以上のケイ素、約25原子%以上のケイ素、約30原子%以上のケイ素、約35原子%以上のケイ素、約40原子%以上のケイ素、約45原子%以上のケイ素、約50原子%以上のケイ素、又は約60原子%以上のケイ素を有する。いくつかの実施形態では、ケイ素含有膜は、元素のケイ素(例えば、アモルファスシリコン、多結晶、結晶)、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、炭化ケイ素(SiC)、又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数を含む。当業者であれば、SiOのような分子式の使用は、元素間の特定の化学量論的関係を意味するものではなく、単に膜の主成分の同一性を意味するものであることを認識するであろう。例えば、SiOとは、主成分がケイ素と酸素原子からなる膜を指す。いくつかの実施形態では、特定の膜の主組成(すなわち、特定の原子の原子百分率の合計)は、原子ベースで膜上の約95%、98%、99%又は99.5%以上である。
【0029】
[0032]
図1を参照すると、本開示の1つ又は複数の実施形態は、膜を堆積する方法100を対象とする。
図1に示す方法は、反応性ガスの気相反応を防止又は最小限に抑える方法で基板又は基板表面を反応性ガスに順次的に曝露する原子層堆積(ALD)処理を表す。いくつかの実施形態では、本方法は、反応性ガスが処理チャンバ内で混合されて、反応性ガスの気相反応と薄膜の堆積を可能とする化学気相堆積(CVD)プロセスを含む。
【0030】
[0033]いくつかの実施形態では、方法100は前処理操作105を含む。前処理は、当業者に知られている任意の適切な前処理であってよい。適切な前処理には、予熱、洗浄、浸漬、自然酸化物の除去、又は接着層(例えば、窒化チタン(TiN))の堆積が含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
[0034]堆積110では、基板(又は基板表面)上にケイ素含有膜を堆積するプロセスが実行される。堆積処理は、基板上に膜を形成するための1つ又は複数の操作を含むことができる。操作112では、基板(又は基板表面)をケイ素前駆体に曝露して、基板(又は基板表面)上に膜を堆積させる。ケイ素前駆体は、基板表面と反応(すなわち、吸着又は化学吸着)して基板表面上にケイ素含有種を残すことができる任意の適切なケイ素含有化合物であってよい。
【0032】
[0035]いくつかの実施形態では、ケイ素前駆体は、シラン、ポリシラン、又はシクロシランを含み、1つ又は複数のハロゲン原子を含み得る。いくつかの実施形態では、ケイ素前駆体は、シラン、ジシラン、トリシラン、テトラシラン、シクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、クロロシラン、ジクロロシラン、又はヘキサクロロジシランのうちの1つ又は複数を含む。
【0033】
[0036]特に断りのない限り、本明細書で単独で、又は別の基の一部として使用される用語「低級アルキル(lower alkyl)」、「アルキル(alkyl)」、又は「アルキ(alk)」は、通常の鎖に、1~20個の炭素、1~10個の炭素、1~8個の炭素、1~6個の炭素、1~4個の炭素、又は1~2個の炭素を含む、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t-ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4-ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4-トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、それらの様々な分岐状異性体などを含む、線状及び分枝状の炭化水素の両方を含む。このような基は、場合により、1~4個までの置換基を含んでいてもよい。アルキルは置換されていても置換されていなくてもよい。
【0034】
[0037]1つ又は複数の実施形態では、環状ケイ素前駆体は、ケイ素を含む3員環又は4員環を含む。いくつかの実施形態では、環状ケイ素前駆体は、次の一般式を有する。
[0038]
、
[0039]式中、X及びYは、独立して、CH
2、SiH
2、NH、S、又はSeから選択され、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、H又はアルキルである。いくつかの実施形態では、X又はYの少なくとも一方又は両方がSである。いくつかの実施形態では、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、C1~C8アルキル、C1~C6アルキル、C1~4アルキル、C1~C2アルキルであるか、又は一緒になってC3~C8シクロアルキルを形成する。
【0035】
[0040]いくつかの実施形態では、環状ケイ素前駆体は、次の一般式を有する。
[0041]
[0042]式中、X及びYは、独立して、CH
2、SiH
2、NH、S、又はSeから選択され、R
1~R
4は、それぞれ独立して、H又はアルキルである。いくつかの実施形態では、R
1~R
4は、それぞれ独立して、C1~C8アルキル、C1~C6アルキル、C1~4アルキル、又はC1~C2アルキルである。いくつかの実施形態では、環状ケイ素前駆体は以下を含む:
[0043]
。
【0036】
[0044]
図2は、例示的な環状ケイ素前駆体の非限定的な集合を示す。
【0037】
[0045]理論に束縛されるものではないが、本明細書に開示される環状ケイ素前駆体は、熱力学的に有利な開環機構によって反応すると考えられる。いくつかの実施形態では、環状ケイ素前駆体の開環反応は、ハロゲン化ケイ素結合よりも負の反応エネルギーを有する。
【0038】
[0046]操作114において、処理チャンバは、未反応のケイ素前駆体、反応生成物及び副生成物を除去するために任意にパージされる。このように使用される際、「処理チャンバ」という用語は、処理チャンバの内部容積全体を包含することなく、基板表面に隣接する処理チャンバの部分も含む。例えば、空間的に分離された処理チャンバのセクタにおいて、基板表面に隣接する処理チャンバの部分は、ケイ素前駆体を全く含まないか、又は実質的に含まない処理チャンバの一部又はセクタに基板をガスカーテンを通して移動させることを含むが、これに限定されない、任意の適切な技術によってモリブデン前駆体はパージされる。1つ又は複数の実施形態では、処理チャンバをパージすることは、真空を適用することを含む。いくつかの実施形態では、処理チャンバをパージすることは、基板上にパージガスを流すことを含む。いくつかの実施形態では、処理チャンバの一部は、処理チャンバ内の微小容積又は小容積の処理ステーションを指す。基板表面に言及する「隣接」という用語は、表面反応(前駆体の吸着など)が発生するのに十分な空間を提供する、基板表面に隣接する物理的空間を意味する。1つ又は複数の実施形態では、パージガスは、窒素(N2)、ヘリウム(He)、及びアルゴン(Ar)のうちの1つ又は複数から選択される。
【0039】
[0047]操作116では、基板(又は基板表面)を反応物に曝露して、基板上にケイ素含有膜を形成する。反応物は基板表面上のケイ素含有種と反応してケイ素含有膜を形成することができる。いくつかの実施形態では、反応物は還元剤を含む。1つ又は複数の実施形態において、還元剤は、当業者に知られている任意の還元剤を含むことができる。他の実施形態では、反応物は酸化剤を含む。1つ又は複数の実施形態において、酸化剤は、当業者に知られている任意の酸化剤を含むことができる。さらなる実施形態では、反応物は、1つ又は複数の酸化剤及び還元剤を含む。
【0040】
[0048]特定の実施形態では、反応物は、1,1-ジメチルヒドラジン(DMH)、アルキルアミン、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、アリルヒドラジン、水素(H2)、アンモニア(NH3)、アルコール、水(H2O)、酸素(O2)、オゾン(O3)、亜酸化窒素(N2O)、二酸化窒素(NO2)、過酸化物、及びそれらのプラズマのうちの1つ又は複数から選択される。いくつかの実施形態では、アルキルアミンは、tert-ブチルアミン(tBuNH2)、イソプロピルアミン(iPrNH2)、エチルアミン(CH3CH2NH2)、ジエチルアミン((CH3CH2)2NH)、又はブチルアミン(BuNH2)のうちの1つ又は複数から選択される。いくつかの実施形態では、反応物は、式R’NH2、R’2NH、R’3N、R’2SiNH2、(R’3Si)2NH、(R’3Si)3N「式中、各R’は、独立して、H又は1~12個の炭素原子を有するアルキル基である]を有する化合物の1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、アルキルアミンは、tert-ブチルアミン(tBuNH2)、イソプロピルアミン(iPrNH2)、エチルアミン(CH3CH2NH2)、ジエチルアミン((CH3CH2)2NH)、又はブチルアミン(BuNH2)のうちの1つ又は複数を本質的に含む。
【0041】
[0049]いくつかの実施形態では、酸化剤はオキサジリジンを含む。いくつかの実施形態では、オキサジリジンは、一般式:
[0050]
[0051]式中、R
1、R
2及びR
3は、独立して、H、SO
2NO
2、CN、C1-C8アルキル、C1-C8パーフルオロアルキル、ピリジン、アリール、置換アリール、パーフルオロアリール、SO
2-NO
2置換アリールから選択されるか、又はR
2とR
3が結合してカルボニルを形成する。いくつかの実施形態では、R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、C1~C6アルキル、C1~C6ペルフルオロアルキル、C1~C4アルキル、又はC1~C6ペルフルオロアルキルから選択される。
図3は、例示的なオキサジリジンの非限定的な集合を示す。
【0042】
[0052]いくつかの実施形態では、R2及びR3がHである場合、R1は電子吸引基である。いくつかの実施形態では、電子吸引基は、-CN又は-SO2NO2である。
【0043】
[0053]特定の実施形態では、オキサジリジンは以下の1つ又は複数を含む:
[0054]
。
【0044】
[0055]いくつかの実施形態では、オキサジリジンは二環式である。いくつかの実施形態では、オキサジリジンは、以下の1つ又は複数を含む:
[0056]
。
【0045】
[0057]いくつかの実施形態では、酸化剤はP/S/N酸化物を含む。この点に関して使用される場合、「P/S/N酸化物」は、P-酸化物、S-酸化物、及びN-酸化物を含む酸化物の種類を指す。いくつかの実施形態では、P/S/N酸化物は、一般式:
[0058]
[0059][式中、R
4、R
5及びR
6は、独立して、H、アルキル、又はアリールから選択され、R
4とR
5は結合して、少なくとも1つのP、S又はNヘテロ原子を含む3から6員環を形成することができる]を有する化合物を含む。いくつかの実施形態では、R
4、R
5、及びR
6は、独立して、C1~C6アルキル、又はC1~C4アルキルから選択される。
図4は、例示的なP/S/N酸化物の非限定的な集合を示す。
【0046】
[0060]いくつかの実施形態では、P/S/N酸化物はP酸化物を含む。いくつかの実施形態では、P-オキシドは、H3PO、(CH3)3PO、(C2H5)3PO、MPPO(3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン 1-オキシド)、3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン 1-オキシド、ネオペンチレンホスファイト(5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスフィナン 2-オキシド)、HASPO-1(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサホスホラン 2-オキシド)、2-メチル-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン、又はジフェニルホスフィンオキシドのうちの1つ又は複数を含む。
【0047】
[0061]いくつかの実施形態では、P/S/N酸化物はS酸化物を含む。いくつかの実施形態では、S-オキシドは、1つ又は複数のH2SO、又はMPSO(メチルフェニルスルホキシド)を含む。
【0048】
[0062]いくつかの実施形態では、P/S/N酸化物はN酸化物を含む。いくつかの実施形態では、N-オキシドは、H3N→O、トリメチルアミン n-オキシド、ピリジン-n-オキシド、TEMPO((2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル)、N-ヒドロキシフタルイミド、又は4-メチルモルホリン n-オキシドのうちの1つ又は複数を含む。
【0049】
[0063]操作118では、反応物への曝露後に処理チャンバを任意選択的にパージする。操作118における処理チャンバのパージは、操作114におけるパージと同じプロセスであってもよいし、異なるプロセスであってもよい。処理チャンバ、処理チャンバの一部、基板表面に隣接する領域などをパージして、基板表面に隣接する領域から未反応の反応物、反応生成物、副生成物を除去する。
【0050】
[0064]決定120で、堆積膜の厚さ、又はケイ素前駆体と反応物のサイクル数が考慮される。堆積膜が所定の厚さに達するか、又は所定の数のプロセスサイクルが実行されると、方法100は、任意選択の後処理操作130に進む。堆積膜厚又はプロセスサイクル数が所定の閾値に達していない場合、方法100は操作110に戻り、操作112で再び基板表面をモリブデン前駆体に曝露し、継続する。
【0051】
[0065]任意の後処理操作130は、例えば、膜特性を変更するプロセス(例えば、アニーリング)、又は追加の膜を成長させるためのさらなる膜堆積プロセス(例えば、追加のALD若しくはCVDプロセス)であってよい。いくつかの実施形態では、任意選択の後処理操作130は、堆積された膜の特性を変更するプロセスであってもよい。いくつかの実施形態では、任意の後処理操作130は、堆積されたままの膜をアニーリングすることを含む。いくつかの実施形態では、アニーリングは、約300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃、900℃、又は1000℃の範囲の温度で行われる。いくつかの実施形態のアニーリング環境は、不活性ガス又は還元ガス(例えば、分子状窒素(N2)、アルゴン(Ar))又は、例えば、これらに限定されないが、酸素(O2)、オゾン(O3)、若しくは過酸化物などの酸化剤のうちの1つ又は複数を含む。アニーリングは、任意の適切な時間にわたって実行することができる。いくつかの実施形態では、膜は、約15秒~約90分の範囲、又は約1分~約60分の範囲の所定の時間アニーリングされる。いくつかの実施形態では、堆積されたままの膜をアニールすると、膜の密度が増加し、抵抗率が減少し、及び/又は膜の純度が増加する。1つ又は複数の実施形態では、アニーリングは、プラズマ下のガスを用いて実行することもできる。1つ又は複数の実施形態では、アニーリング温度は、プラズマを使用するとより低くなり得る。
【0052】
[0066]1つ又は複数の実施形態では、プラズマは、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、水素(H2)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、及びアンモニア(NH3)のうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、プラズマは遠隔プラズマである。他の実施形態では、プラズマは直接プラズマである。
【0053】
[0067]1つ又は複数の実施形態では、プラズマは遠隔的に、又は処理チャンバ内で生成され得る。1つ又は複数の実施形態では、プラズマは、誘導結合プラズマ(ICP)又は導電結合プラズマ(CCP)である。例えば、反応物又は他のプロセス条件に応じて、任意の適切な電力を使用することができる。いくつかの実施形態では、プラズマは、約10W~約3000Wの範囲のプラズマ電力で生成される。いくつかの実施形態では、プラズマは、約3000W以下、約2000W以下、約1000W以下、約500W以下、又は約250W以下のプラズマ出力で生成される。
【0054】
[0068]方法100は、例えば、デバイスのケイ素前駆体、反応物、又は熱収支に応じて、任意の適切な温度で実行することができる。1つ又は複数の実施形態では、高温処理の使用は、ロジックデバイスなどの温度に敏感な基板にとっては望ましくない場合がある。いくつかの実施形態では、ケイ素前駆体への曝露(操作112)と反応物への曝露(操作116)は同じ温度で行われる。いくつかの実施形態では、基板は、約20℃~約400℃、又は約50℃~約500℃の範囲の温度に維持される。
【0055】
[0069]いくつかの実施形態では、ケイ素前駆体への曝露(操作112)は、反応物への曝露(操作116)とは異なる温度で行われる。いくつかの実施形態では、基板は、ケイ素前駆体への曝露のために、約20℃~約400℃、又は約50℃~約500℃の範囲の第1の温度に維持され、反応物を曝露するために、約20℃~約400℃、又は約50℃~約500℃の範囲の第2の温度で行われる。
【0056】
[0070]
図1に示す実施形態では、堆積操作110において、基板(若しくは基板表面)が、ケイ素前駆体及び反応物に順次曝露される。別の図示されていない実施形態では、基板(若しくは基板表面)は、CVD反応においてケイ素前駆体及び反応物質に同時に曝される。CVD反応では、基板(若しくは基板表面)をケイ素前駆体と反応物質のガス混合物に曝露して、所定の厚さを有するケイ素含有膜を堆積させることができる。CVD反応において、ケイ素含有膜は、混合反応性ガスへの1回の曝露で堆積させることができ、あるいは、間にパージを挟んで混合反応性ガスへの複数回の曝露を行うこともできる。
【0057】
[0071]いくつかの実施形態では、形成されたケイ素含有膜は元素のケイ素を含む。いくつかの実施形態では、膜は本質的にケイ素からなる。このように使用される場合、「本質的にケイ素からなる」という用語は、ケイ素含有膜が、原子ベースで約80%、85%、90%、95%、98%、99%又は99.5%以上のケイ素であることを意味する。ケイ素含有膜の組成の測定は、隣接する膜からの元素の拡散が起こる可能性がある界面領域を除いた、膜のバルク部分を指す。
【0058】
[0072]他の実施形態では、ケイ素含有膜は、原子ベースで約5%、7.5%、10%、12.5又は15%以上の酸素含有量を有する酸化ケイ素(SiOx)を含む。いくつかの実施形態では、ケイ素含有膜は、原子ベースで、約1%~約50%、又は約2%~約40%、又は約3%~約30%の範囲、又は約4%~約25%の範囲内、又は約5%~約20%の範囲内の素含有量を含む。
【0059】
[0073]他の実施形態では、ケイ素含有膜は、原子ベースで約5%、7.5%、10%、12.5又は15%以上の窒素含有量を有する窒化ケイ素(SiNx)を含む。いくつかの実施形態では、ケイ素含有膜は、原子ベースで、約1%~約40%の範囲、又は約2%~約30%の範囲、又は約3%~約25%の範囲、又は約4%~約20%の範囲の窒素含有量を含む。
【0060】
[0074]他の実施形態では、ケイ素含有膜は、原子ベースで約5%、7.5%、10%、12.5又は15%以上の炭化含有量を有する炭化ケイ素(SiCx)を含む。いくつかの実施形態では、ケイ素含有膜は、原子ベースで、約2%~約30%の範囲、又は約3%~約25%の範囲、又は約4%~約20%の範囲の炭素含有量を含む。
【0061】
[0075]堆積操作110を繰り返して、所定の厚さを有するケイ素膜、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、シリコンカーバイド膜、又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数を形成することができる。いくつかの実施形態では、堆積操作110を繰り返して、約0.3nm~約100nmの範囲、又は約30Å~約3000Åの範囲の厚さを有するケイ素膜、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、シリコンカーバイド膜、又はそれらの組み合わせのうちの1つ又は複数を提供する。
【0062】
[0076]1つ又は複数の実施形態によれば、基板は、層を形成する前及び/又は後に処理に供される。この処理は、同じチャンバ内で実行することも、1つ又は複数の別個の処理チャンバ内で実行することもできる。いくつかの実施形態では、基板は、さらなる処理のために第1のチャンバから別の第2のチャンバに移動される。基板は、第1のチャンバから別の処理チャンバに直接移動することができ、あるいは第1のチャンバから1つ又は複数の搬送チャンバに移動してから別の処理チャンバに移動することができる。したがって、処理装置は、移送ステーションと連通する複数のチャンバを備えることができる。この種の装置は、「クラスタツール」又は「クラスタシステム」などと呼ばれることがある。
【0063】
[0077]一般に、クラスタツールは、基板の中心検出及び配向、脱ガス、アニーリング、堆積及び/又はエッチングを含む様々な機能を実行する複数のチャンバを備えるモジュール式システムである。1つ又は複数の実施形態によれば、クラスタツールは、少なくとも第1のチャンバと中央搬送チャンバとを含む。中央搬送チャンバは、処理チャンバとロードロックチャンバの間で基板を往復させることができるロボットを収容することができる。搬送チャンバは通常、真空状態に維持され、あるチャンバから別のチャンバへ、及び/又はクラスタツールの前端に位置するロードロックチャンバへ基板を往復させるための中間ステージを提供する。本開示に適合させることができる2つのよく知られたクラスタツールは、Centura(登録商標)及びEndura(登録商標)であり、両方ともカリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から入手可能である。しかしながら、チャンバの正確な配置及び組み合わせは、本明細書に記載されるプロセスの特定のステップを実行する目的で変更されてもよい。使用できる他の処理チャンバには、周期的層堆積(CLD)、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)、エッチング、前洗浄、化学洗浄、RTPなどの熱処理、プラズマ窒化、脱ガス、配向、水酸化、その他の基板処理を含むが、これらに限定されない。クラスタツールのチャンバ内で処理を実行することにより、次の膜を堆積する前に酸化することなく、大気中の不純物による基板表面汚染を回避できる。
【0064】
[0078]1つ又は複数の実施形態によれば、基板は、継続的に減圧又は「ロードロック」条件下にあり、あるチャンバから次のチャンバに移動するときに周囲空気に曝露されない。したがって、搬送チャンバは減圧下にあり、減圧下で「ポンプダウン」される。不活性ガスが処理チャンバ又は搬送チャンバ内に存在する場合がある。いくつかの実施形態では、反応物質(例えば、反応物)の一部又はすべてを除去するために不活性ガスがパージガスとして使用される。1つ又は複数の実施形態によれば、反応物質(例えば、反応物)が堆積チャンバから移送チャンバ及び/又は追加の処理チャンバに移動するのを防ぐために、堆積チャンバの出口にパージガスが注入される。したがって、不活性ガスの流れはチャンバの出口でカーテンを形成する。
【0065】
[0079]基板は、単一基板堆積チャンバ内で処理することができ、単一基板がロードされ、処理され、別の基板が処理される前にアンロードされる。基板は、コンベヤシステムと同様に、複数の基板が個別にチャンバの第1の部分にロードされ、チャンバ内を移動し、チャンバの第2の部分からアンロードされる連続方式で処理することもできる。チャンバの形状及び関連するコンベアシステムは、直線経路又は曲線経路を形成することができる。さらに、処理チャンバは、複数の基板が中心軸の周りを移動し、カルーセル経路全体にわたって堆積、エッチング、アニーリング、洗浄などの処理に曝されるカルーセルであってもよい。
【0066】
[0080]処理中に、基板を加熱又は冷却することができる。このような加熱又は冷却は、基板支持体の温度を変更し、加熱又は冷却されたガスを基板表面に流すこと含むが、これらに限定されない任意の適切な手段によって達成することができる。いくつかの実施形態では、基板支持体は、基板温度を伝導電的に変化させるように制御できる加熱器/冷却器を含む。1つ又は複数の実施形態では、使用されるガス(反応性ガス又は不活性ガスのいずれか)は、基板温度を局所的に変化させるために加熱又は冷却される。いくつかの実施形態では、基板温度を対流的に変化させるために、加熱器/冷却器が基板表面に隣接してチャンバ内に位置付けされる。
【0067】
[0081]処理中に基板を静止又は回転させることもできる。回転基板は、順次的に又は個別のステップで(基板軸の周りで)回転させることができる。例えば、処理全体を通して基板を回転させてもよいし、異なる反応性ガス又はパージガスへの曝露の間に基板を少量だけ回転させてもよい。処理中に基板を(連続的又は段階的に)回転させることで、例えばガス流形状の局所的な変動の影響を最小限に抑え、より均一な堆積又はエッチングを生成するのに役立つ。
【0068】
「真下に(beneath)」、「下に(below)」、「下方(lower)」、「上に(above)」、「上方(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、図面に示されているある要素又は特徴と、別の要素又は特徴との関係を説明するために、ここで使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、使用中又は動作中のデバイスの異なる向きを包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図のデバイスが裏返されている場合、他の要素又は特徴の「下に」又は「真下に」として記述されている要素は、それ故、他の要素又は特徴の「上に」配向されることになる。したがって、「下に」という例示的な用語は、上と下の両方の向きを包含し得る。デバイスは、他の方法で配向され(90度又は他の方向に回転され)、ここで使用される空間的に相対的な記述子がそれに応じて解釈され得る。
【0069】
ここで論じられる材料及び方法を説明する文脈での(特に以下の特許請求の範囲の文脈で)「a」及び「an」及び「the」という用語並びに同様の指示対象の使用は、ここに別段の記載がない限り、又は文脈によって明確に矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方をカバーすると解釈されるべきである。ここでの値の範囲の列挙は、ここに別段の記載がない限り、範囲内にある各個別の値を個別に参照する略記法として役立つことを単に意図し、各個別の値は、ここに個別に記載されているかのように仕様に組み込まれる。ここに記載されているすべての方法は、ここに別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。ここで提供されるありとあらゆる例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に材料及び方法をより良好に明らかにすることを意図しており、別途、特許請求の範囲で規定しない限り、範囲に制限を課さない。本明細書のいかなる文言も、開示された材料及び方法の実施に必須であるとして特許請求されていない要素を示すとして解釈されるべきではない。
【0070】
[0084]この細書全体での「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ又は複数の実施形態」又は「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、この明細書全体の様々な場所での「1つ又は複数の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「一実施形態において」又は「実施形態において」などの句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指すとは限らない。1つ又は複数の実施形態では、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の適切な方法で組み合わされる。
【0071】
[0085]ここでの開示は、特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は、本開示の原理及び用途の単なる例示であることを理解されたい。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に様々な修正並びに変形を加えることができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内にある修正及び変形を含むことが意図される。
【国際調査報告】