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特表2024-525013リチウム二次電池用電極、およびこれを含むリチウム二次電池
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  • 特表-リチウム二次電池用電極、およびこれを含むリチウム二次電池 図1
  • 特表-リチウム二次電池用電極、およびこれを含むリチウム二次電池 図2
  • 特表-リチウム二次電池用電極、およびこれを含むリチウム二次電池 図3
  • 特表-リチウム二次電池用電極、およびこれを含むリチウム二次電池 図4
  • 特表-リチウム二次電池用電極、およびこれを含むリチウム二次電池 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用電極、およびこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/591 20210101AFI20240702BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240702BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20240702BHJP
   H01M 50/46 20210101ALI20240702BHJP
   H01M 50/491 20210101ALI20240702BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20240702BHJP
   H01M 50/443 20210101ALN20240702BHJP
   H01M 50/434 20210101ALN20240702BHJP
【FI】
H01M50/591 101
H01M4/13
H01M10/0585
H01M50/46
H01M50/491
H01M50/489
H01M50/443 M
H01M50/434
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579600
(86)(22)【出願日】2023-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 KR2023006834
(87)【国際公開番号】W WO2023229300
(87)【国際公開日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】10-2022-0063560
(32)【優先日】2022-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0062526
(32)【優先日】2023-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ス・ヒ・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ミ・ジン
(72)【発明者】
【氏名】テ・スン・ユ
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H021AA06
5H021EE22
5H021HH02
5H021HH03
5H029AJ12
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM00
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029AM12
5H029AM16
5H029BJ12
5H029BJ13
5H029BJ27
5H029DJ08
5H029EJ05
5H029HJ01
5H029HJ04
5H029HJ05
5H029HJ09
5H029HJ12
5H043AA04
5H043BA19
5H043BA20
5H043GA22
5H043GA24
5H043GA25
5H043JA19
5H043JA21
5H043KA14
5H043KA35
5H043LA00
5H043LA02
5H043LA03
5H043LA21
5H050AA12
5H050AA15
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA09
5H050EA10
5H050EA23
5H050EA24
5H050FA18
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA09
(57)【要約】
本発明は、集電体と、前記集電体上に形成された電極層と、前記電極層上に形成された絶縁層とを含む電極部を含み、前記電極部の側面に接する第1コーティング領域と、前記第1コーティング領域に連続し、前記絶縁層の一部分と接する第2コーティング領域とを含むコーティング部材を含む、リチウム二次電池用電極、およびこれを含むリチウム二次電池に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、
前記集電体上に形成された電極層と、
前記電極層上に形成された絶縁層とを含む電極部を含み、
前記電極部の側面に接する第1コーティング領域と、前記第1コーティング領域に連続し、前記絶縁層の一部分と接する第2コーティング領域とを含むコーティング部材を含む、リチウム二次電池用電極。
【請求項2】
前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域のそれぞれは、無機微細粒子およびバインダー樹脂を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項3】
前記電極部の側面から測定された第1コーティング領域の厚さが1μm以上100μm以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項4】
前記絶縁層との界面から測定された第2コーティング領域の厚さが1μm以上500μm以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項5】
前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線から測定した前記第2コーティング領域の長さが50μm以上2mm以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項6】
前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線から測定した前記第2コーティング領域の長さに対する前記絶縁層との界面から測定された第2コーティング領域の厚さの比率が0.001以上1.0以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項7】
前記コーティング部材は、空隙率が10%以上50%以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項8】
前記絶縁層は、空隙率が30%以上70%以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項9】
前記絶縁層は、厚さが10μm以上30μm以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項10】
前記無機微細粒子は、10nm以上1μm以下の粒径を有する無機微細粒子を含む、請求項2に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項11】
前記無機微細粒子は、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、シリカ、チタニア、ジルコニア、ジルコニウムチタネート、La、Y、SrTiO、BaTiO、マグネシア、水酸化マグネシウム、アルミノシリケート、ゼオライト、LLZO、LATP、PZTからなる群より選択された1種以上の無機微細粒子を含む、請求項2に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項12】
前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域はそれぞれ、前記バインダー樹脂100重量部に対して、前記無機微細粒子を1重量部以上100重量部以下で含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項13】
前記バインダー樹脂は、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン、ポリビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキシド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリエーテルイミド、ポリイミド、シリコーン、ポリビニルアルコールおよびスチレンブタジエンゴムからなる群より選択された1種以上のバインダー樹脂を含む、請求項2に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項14】
請求項1に記載のリチウム二次電池用電極;および
前記リチウム二次電池用電極上に形成された第2電極部を含む、リチウム二次電池。
【請求項15】
前記第2電極部は、第2電極層;および
前記第2電極層上に形成された第2集電体を含む、請求項14に記載のリチウム二次電池。
【請求項16】
前記電極部の延長方向の長さが前記第2電極部の延長方向の長さに対して0.2mm以上2mm以下長い、請求項14に記載のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2022年5月24日付の韓国特許出願第10-2022-0063560号および2023年5月15日付の韓国特許出願第10-2023-0062526号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電極周縁の絶縁性を確保してセル組立時の短絡による不良を防止できるリチウム二次電池用電極、およびこれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、モバイル機器に対する技術開発と需要の増加に伴ってエネルギー源としての充放電可能な二次電池の需要が急激に増加しており、それによって多様な要求に応えられる二次電池に関する多くの研究が行われている。また、二次電池は、化石燃料を使用する既存のガソリン車両、ディーゼル車両などの大気汚染などを解決するための方策として提示されている電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug-in HEV)などの動力源としても注目されている。
【0004】
リチウム二次電池は、正極および負極の接触によって短絡が発生すると、深刻な発熱とともに爆発が起こる。二次電池の多孔性分離膜は、材料的特性と延伸を含む製造工程上の特性により約100℃以上の温度で深刻な熱収縮挙動を示すことによって、正極と負極との間の短絡を起こす問題点がある。このような電池の安全性の問題を解決するために、多孔性基材上に絶縁性充填材(filler)粒子とバインダー高分子との混合物で形成された多孔性コーティング層を設けるにあたり、多孔性コーティング層にシャットダウン(shut-down)機能を有する物質を添加した分離膜が提示された。
【0005】
しかし、多孔性基材上に無機物粒子を有する多孔性コーティング層が形成された形態の従来の分離膜の場合、別の接着層がなくて対電極との界面接着力が弱くて電池の組立工程性が低下し、電極の膨張および収縮による接着力不足で界面剥離が起こり、電池の寿命特性が低下する問題点があった。
【0006】
また、高耐熱性素材ベースの絶縁層がコーティングされた電極部を打抜きする場合、周縁部分に脱離現象が起こり、短絡の可能性が高い問題点があった。
【0007】
そこで、優れた絶縁性を実現し、セル短絡の問題を防止できるリチウム二次電池に関する研究が必要なのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高い絶縁特性と低い抵抗特性を実現するリチウム二次電池用電極を提供する。
【0009】
また、本発明は、前記リチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。
【0010】
さらに、本発明は、前記リチウム二次電池用電極を含むリチウム二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、集電体と、前記集電体上に形成された電極層と、前記電極層上に形成された絶縁層とを含む電極部を含み、前記電極部の側面に接する第1コーティング領域と、前記第1コーティング領域に連続し、前記絶縁層の一部分と接する第2コーティング領域とを含むコーティング部材を含む、リチウム二次電池用電極を提供する。
【0012】
本発明はまた、前記リチウム二次電池用電極;および前記リチウム二次電池用電極上に形成された第2電極部を含む、リチウム二次電池を提供する。
【0013】
以下、発明の実施形態によるリチウム二次電池用電極、およびこれを含むリチウム二次電池などについて具体的に説明する。
【0014】
本明細書および特許請求の範囲で使用された用語や単語は通常または辞書の意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則り、発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
【0015】
本明細書において他に定義されない限り、すべての技術的用語および科学的用語は本発明の属する通常の技術者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本発明において説明に使用される用語は単に特定の具体例を効果的に記述するためのものであり、本発明を制限すると意図されない。
【0016】
本明細書で使用される単数形態は文言がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。
【0017】
本明細書で使用される「含む」の意味は特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるわけではない。
【0018】
本発明は多様な変更が加えられて様々な形態を有することができるが、特定の実施例を例示して下記に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、前記思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むことが理解されなければならない。
【0019】
本明細書において、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~側に」などと2つの部分の位置関係が説明される場合、「直に」または「直接」という表現が使用されない以上、2つの部分の間に1つ以上の他の部分が位置することができる。
【0020】
本明細書において、例えば、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」などと時間的な前後関係が説明される場合、「直に」または「直接」という表現が使用されない以上、連続的でない場合も含むことができる。
【0021】
本明細書において、「少なくとも1つ」の用語は、1つ以上の関連項目から提示可能なすべての組み合わせを含むことが理解されなければならない。
【0022】
発明の一実施形態によれば、集電体と、前記集電体上に形成された電極層と、前記電極層上に形成された絶縁層とを含む電極部を含み、前記電極部の側面に接する第1コーティング領域と、前記第1コーティング領域に連続し、前記絶縁層の一部分と接する第2コーティング領域とを含むコーティング部材を含む、リチウム二次電池用電極が提供される。
【0023】
従来のリチウム二次電池は、正極と負極との間に介在する分離膜が、多孔性基材と、多孔性基材上に形成されたコーティング層とを含むことによって、別の接着層がなくて対電極との界面接着力が弱くて電池の組立工程性が低下し、電極の膨張および収縮による接着力不足で界面剥離が起こり、電池の寿命特性が低下し、セル組立時の短絡によって不良が発生する問題点があった。
【0024】
そこで、本発明者らは、リチウム二次電池に使用される分離膜が多孔性基材なしに負極または正極上に直接形成されることによって、電極が膨張および収縮しても接着力が維持されて優れた電池の寿命特性を実現できることを、実験を通して確認して、発明を完成した。高耐熱性の無機微細粒子を電極に直接コーティングして分離膜の機能を有する絶縁層を形成することによって、高温でも変形と収縮なしに電極の短絡を防止できることを確認した。
【0025】
また、本発明者らは、本発明のリチウム二次電池用電極は、電極部の周縁に形成された保護層を含み、セル組立時の微細なずれがあってもセル短絡の問題が防止できることを、実験を通して確認して、発明を完成した。さらに、本発明者らは、本発明のリチウム二次電池用電極は、電極部の周縁に形成された保護層を含むことによって、側面部に不均一に露出した負極と電解質との間の副反応を最小化可能で優れたクーロン効率が実現され、これによって放電容量の損失を防止できることを、実験を通して確認して、発明を完成した。
【0026】
具体的には、前記一実施形態のリチウム二次電池用電極は、集電体101と、前記集電体上に形成された電極層102と、前記電極層上に形成された絶縁層103とを含む電極部100を含み、前記電極部の側面に接する第1コーティング領域10と、前記第1コーティング領域に連続し、前記絶縁層の一部分と接する第2コーティング領域20とを含むコーティング部材を含むことができる。
【0027】
前記リチウム二次電池用電極は、上述のように、電極部の周縁に形成されたコーティング部材を含むことによって、セル組立時の微細なずれがあってもセル短絡の問題が防止できる。
【0028】
具体的には、前記コーティング部材は、前記電極部の側面に接する第1コーティング領域と、前記第1コーティング領域に連続し、前記絶縁層の一部分と接する第2コーティング領域とを含むことができる。
【0029】
前記第1コーティング領域は、電極部の側面の一部分に接するか、全体面積に接することができる。
【0030】
前記コーティング部材の具体的な形状や構造が大きく限定されるものではなく、前記電極部の具体的な形状や構造などにより異なっていてもよい。
【0031】
例えば、前記コーティング部材は、前記電極部の側面に接する第1コーティング領域と、前記第1コーティング領域に連続し、前記絶縁層の一部分と接する第2コーティング領域とを含むことによって、前記集電体、電極層および絶縁層の一面を含む電極部の側面と前記絶縁層の上面の一部を囲む形状であってもよい。
【0032】
前記コーティング部材が前記集電体、電極層および絶縁層の一面を含む電極部の側面と前記絶縁層の上面の一部を囲む形状の場合、前記コーティング部材の断面において前記電極部の側面に接する第1コーティング領域の方向と前記絶縁層の一部分と接する第2コーティング領域の方向とは、60°以上120°以下、80°以上100°以下、好ましくは90°の角度を形成することができる。
【0033】
前記コーティング部材の断面において前記電極部の側面に接する第1コーティング領域の方向と前記絶縁層の一部分と接する第2コーティング領域の方向とが60°の角度を形成する場合、図3のように表示される。
【0034】
前記コーティング部材の断面において前記電極部の側面に接する第1コーティング領域の方向と前記絶縁層の一部分と接する第2コーティング領域の方向とが90°の角度を形成する場合、図4のように表示される。
【0035】
前記コーティング部材の断面において前記電極部の側面に接する第1コーティング領域の方向と前記絶縁層の一部分と接する第2コーティング領域の方向とが120°の角度を形成する場合、図5のように表示される。
【0036】
前記リチウム二次電池用電極において、前記電極部の側面から測定された第1コーティング領域の厚さが1μm以上100μm以下であってもよい。
【0037】
前記リチウム二次電池用電極において、前記電極部の側面から測定された第1コーティング領域の厚さは、図1の11を意味する。
【0038】
具体的には、前記リチウム二次電池用電極において、前記電極部の側面から測定された第1コーティング領域の厚さが1μm以上、5μm以上、10μm以上、14μm以上、または100μm以下、80μm以下、75μm以下、50μm以下、30μm以下、20μm以下、または1μm以上100μm以下、1μm以上80μm以下、1μm以上75μm以下、1μm以上50μm以下、1μm以上30μm以下、1μm以上20μm以下、5μm以上100μm以下、5μm以上80μm以下、5μm以上75μm以下、5μm以上50μm以下、5μm以上30μm以下、5μm以上20μm以下、10μm以上100μm以下、10μm以上80μm以下、10μm以上75μm以下、10μm以上50μm以下、10μm以上30μm以下、10μm以上20μm以下、14μm以上100μm以下、14μm以上80μm以下、14μm以上75μm以下、14μm以上50μm以下、14μm以上30μm以下、14μm以上20μm以下であってもよい。
【0039】
前記電極部の側面から測定された第1コーティング領域の厚さが1μm未満の場合、絶縁特性が減少して短絡の危険性が増加し、100μm超の場合、スタックセル製造時の体積増加によってエネルギー密度が減少する技術的問題が発生することがある。
【0040】
また、前記実施形態において、前記絶縁層との界面から測定された第2コーティング領域の厚さが1μm以上第2電極部の厚さ以下であってもよい。
【0041】
前記リチウム二次電池用電極において、前記絶縁層との界面から測定された第2コーティング領域の厚さは、図1の21を意味する。
【0042】
例えば、前記絶縁層との界面から測定された第2コーティング領域の厚さが1μm以上500μm以下であってもよい。
【0043】
具体的には、前記リチウム二次電池用電極において、前記絶縁層との界面から測定された第2コーティング領域の厚さが1μm以上、5μm以上、10μm以上、15μm以上、または500μm以下、100μm以下、80μm以下、75μm以下、50μm以下、30μm以下、20μm以下、または1μm以上500μm以下、1μm以上100μm以下、1μm以上80μm以下、1μm以上75μm以下、1μm以上50μm以下、1μm以上30μm以下、1μm以上20μm以下、5μm以上500μm以下、5μm以上100μm以下、5μm以上80μm以下、5μm以上75μm以下、5μm以上50μm以下、5μm以上30μm以下、5μm以上20μm以下、10μm以上500μm以下、10μm以上100μm以下、10μm以上80μm以下、10μm以上75μm以下、10μm以上50μm以下、10μm以上30μm以下、10μm以上20μm以下、15μm以上500μm以下、15μm以上100μm以下、15μm以上80μm以下、15μm以上75μm以下、15μm以上50μm以下、15μm以上30μm以下、15μm以上20μm以下であってもよい。
【0044】
前記絶縁層との界面から測定された第2コーティング領域の厚さが1μm未満の場合、絶縁特性が減少して短絡の危険性が増加し、第2電極部の厚さ超過、または500μm超の場合、スタックセルの製造時に他のセルに接する面が均一に維持されず、電池の充放電特性に劣る技術的問題が発生することがある。
【0045】
また、前記実施形態において、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線から測定した第2コーティング領域の長さが50μm以上2mm以下であってもよい。
【0046】
具体的には、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線から測定した第2コーティング領域の長さが50μm以上、100μm以上、200μm以上、300μm以上、2mm以下、1.5mm以下、1mm以下、900μm以下、800μm以下、750μm以下、500μm以下、400μm以下であってもよく、または50μm以上2mm以下、100μm以上2mm以下、200μm以上2mm以下、300μm以上2mm以下、50μm以上1.5mm以下、100μm以上1.5mm以下、200μm以上1.5mm以下、300μm以上1.5mm以下、50μm以上1mm以下、100μm以上1mm以下、200μm以上1mm以下、300μm以上1mm以下、50μm以上900μm以下、100μm以上900μm以下、200μm以上900μm以下、300μm以上900μm以下、50μm以上800μm以下、100μm以上800μm以下、200μm以上800μm以下、300μm以上800μm以下、50μm以上750μm以下、100μm以上750μm以下、200μm以上750μm以下、300μm以上750μm以下、50μm以上500μm以下、100μm以上500μm以下、200μm以上500μm以下、300μm以上500μm以下、50μm以上400μm以下、100μm以上400μm以下、200μm以上400μm以下、300μm以上400μm以下であってもよい。
【0047】
前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線から測定した前記第2コーティング領域の長さは、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線から電極部の延長方向に測定した第2コーティング領域の長さを意味することができる。
【0048】
前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線とは、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域が接する境界線を意味し、断面を基準とすれば前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域が接する最外角部の点がつながる線を意味し、図1にて40で表示された部分を意味することができる。具体的には、前記リチウム二次電池用電極において、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線から測定した前記第2コーティング領域の長さは、図1の20の長さを意味する。
【0049】
前記延長方向とは、前記電極部において、タブが延びた方向を意味することができる。
【0050】
前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線から測定した前記第2コーティング領域の長さが50μm未満の場合、絶縁特性が減少して短絡の危険性が増加し、2mm超の場合、前記電極部の面積が減少してセル容量が低下することがある。
【0051】
また、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線から測定した前記第2コーティング領域の長さに対する前記絶縁層との界面から測定された第2コーティング領域の厚さの比率が0.001以上1.0以下であってもよい。
【0052】
具体的には、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線から測定した前記第2コーティング領域の長さに対する前記絶縁層との界面から測定された第2コーティング領域の厚さの比率が0.001以上、0.01以上、0.025以上、0.03以上、0.05以上であってもよく、1.0以下、0.99以下、0.9以下、0.8以下、0.5以下、0.2以下、0.1以下であってもよく、0.001以上1.0以下、0.001以上0.99以下、0.001以上0.9以下、0.001以上0.8以下、0.001以上0.5以下、0.001以上0.2以下、0.001以上0.1以下、0.01以上1.0以下、0.01以上0.99以下、0.01以上0.9以下、0.01以上0.8以下、0.01以上0.5以下、0.01以上0.2以下、0.01以上0.1以下、0.025以上1.0以下、0.025以上0.99以下、0.025以上0.9以下、0.025以上0.8以下、0.025以上0.5以下、0.025以上0.2以下、0.025以上0.1以下、0.03以上1.0以下、0.03以上0.99以下、0.03以上0.9以下、0.03以上0.8以下、0.03以上0.5以下、0.03以上0.2以下、0.03以上0.1以下、0.05以上1.0以下、0.05以上0.99以下、0.05以上0.9以下、0.05以上0.8以下、0.05以上0.5以下、0.05以上0.2以下、0.05以上0.1以下であってもよい。
【0053】
前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線から測定した前記第2コーティング領域の長さに対する前記絶縁層との界面から測定された第2コーティング領域の厚さの比率が0.001未満の場合、前記電極部の面積が減少してセル容量が低下したり、絶縁特性が減少して短絡の危険性が増加することがある。
【0054】
また、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線から測定した前記第2コーティング領域の長さに対する前記絶縁層との界面から測定された第2コーティング領域の厚さの比率が1.0超の場合、絶縁特性が減少して短絡の危険性が増加することがある。
【0055】
前記リチウム二次電池用電極において、前記コーティング部材は、空隙率が10%以上50%以下であってもよい。
【0056】
具体的には、前記リチウム二次電池用電極において、前記コーティング部材は、空隙率が10%以上、15%以上、または50%以下、40%以下、25%以下であってもよく、10%以上50%以下、10%以上40%以下、10%以上25%以下、15%以上50%以下、15%以上40%以下、15%以上25%以下であってもよい。
【0057】
つまり、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域はそれぞれ、空隙率が10%以上、15%以上、または50%以下、40%以下、25%以下であってもよく、10%以上50%以下、10%以上40%以下、10%以上25%以下、15%以上50%以下、15%以上40%以下、15%以上25%以下であってもよい。
【0058】
前記コーティング部材の空隙率は、後述するコーティング層の組成により実現できる。前記コーティング部材の空隙率が10%以上50%以下であることによって、絶縁物性および機械的物性が安定的に維持されて、電極のずれによる短絡の危険を防止できる技術的効果が実現できる。
【0059】
前記コーティング部材の空隙率が50%超の場合、機械的物性が弱くなって外部圧力が加えられた時、損なわれやすいため、電池の短絡が引き起こされる技術的問題が発生することがある。
【0060】
前記空隙率は、コーティング体積と質量を測定して実測密度を求めた後、コーティング組成の固形分の理論密度を計算して、以下の式で求められる。
【0061】
空隙率(%)=(1-実測密度/理論密度)×100
【0062】
一方、前記実施形態のリチウム二次電池用電極において、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域のそれぞれは、無機微細粒子およびバインダー樹脂を含むことができる。
【0063】
前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域は、無機微細粒子の大きさ、無機微細粒子の含有量およびバインダー樹脂の含有量を調節することによって、マイクロまたはナノ単位の気孔を形成することができ、また、気孔サイズおよび気孔度を調節することができる。つまり、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域それぞれがバインダー樹脂および無機微細粒子を含むことによって、前記コーティング部材、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の空隙率が10%以上50%以下を満足することができる。
【0064】
また、上述のように、前記コーティング部材が集電体、電極層および絶縁層の一面を含む電極部の側面と前記絶縁層の上面の一部を囲む形状を有し、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域それぞれが無機微細粒子およびバインダー樹脂を含む場合、セル組立時の微細なずれがあってもセル短絡の問題が防止できると同時に、均一にコーティング層が形成されて優れた機械的物性を実現することができる。
【0065】
前記無機微細粒子は、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域を形成する主成分であって、無機微細粒子の間に空き空間が存在して微細気孔を形成する役割を果たし、コーティング層の物理的形態を維持できる一種のスペーサ(spacer)の役割を兼ねる。
【0066】
前記無機微細粒子は、10nm以上1μm以下の粒径を有する無機微細粒子を含むことができる。前記無機微細粒子の粒径は、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の断面に対して撮影した走査電子顕微鏡イメージ(SEM)または透過電子顕微鏡イメージ(TEM)を通して確認することができる。
【0067】
具体的には、前記無機微細粒子は、粒径が10nm以上、100nm以上、1μm以下、900nm以下、800nm以下、700nm以下、500nm以下であってもよく、10nm以上1μm以下、100nm以上1μm以下、100nm以上900nm以下、100nm以上800nm以下、100nm以上700nm以下、または100nm以上500nm以下の無機微細粒子を含むことができる。
【0068】
前記無機微細粒子の粒径が10nm未満の場合、分散性が低下してコーティング層の物性を調節することが容易でなく、1μmを超える場合、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の厚さが増加して機械的物性が低下することがあり、また、過度に大きな気孔サイズによって絶縁性が低下して、電池の充放電時に内部短絡が起こる確率が高くなる。
【0069】
また、前記無機微細粒子は、D50が10nm以上1μm以下であってもよい。前記D50とは、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒径のうち、小さい方から質量ベースで累積50%の粒径を意味することができる。
【0070】
具体的には、前記無機微細粒子は、D50が10nm以上、1μm以下、900nm以下、800nm以下、700nm以下、500nm以下であってもよく、10nm以上1μm以下、100nm以上1μm以下、100nm以上900nm以下、100nm以上800nm以下、100nm以上700nm以下、または100nm以上500nm以下であってもよい。
【0071】
前記無機微細粒子のD50が10nm未満の場合、分散性が低下して前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の物性を調節することが容易でなく、1μmを超える場合、第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の厚さ制御が均一でなく、また、過度に大きな気孔サイズによって、電池の充放電時に内部短絡が起こる確率が高くなる。
【0072】
前記一実施形態において、前記無機微細粒子は、電気化学的に安定しさえすれば特に制限されない。具体的には、前記無機微細粒子は、適用される電池の作動電圧範囲で酸化および/または還元反応が起こらないものであれば特に制限されない。特に、イオン伝達能力がある無機微細粒子を用いる場合、リチウム二次電池内のイオン伝導度を高めて性能向上を図ることができる。また、無機微細粒子として誘電率の高い無機物粒子を用いる場合、液体電解質内の電解質塩、例えば、リチウム塩の解離度増加に寄与して電解液のイオン伝導度を向上させることができる。
【0073】
例えば、前記無機微細粒子は、アルミナ(Al)、ベーマイト(AlOOH)、水酸化アルミニウム(Al(OH))、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、ジルコニウムチタネート(ZrTiO)、La、Y、SrTiO、BaTiO、マグネシア(MgO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、アルミノシリケート(AlSi)、ゼオライト(zeolite)、LLZO(LiLaZr12)、LATP(Li1+xAlTi2-x(PO、0<x<2)、PZT(Pb[ZrTi1-x]O、0≦x≦1)からなる群より選択された1種以上の無機微細粒子を含むことができる。
【0074】
また、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域はそれぞれ、前記バインダー樹脂100重量部に対して、前記無機微細粒子を1重量部以上100重量部以下で含むことができる。
【0075】
具体的には、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域はそれぞれ、前記バインダー樹脂100重量部に対して、前記無機微細粒子を1重量部以上100重量部以下、10重量部以上100重量部以下、20重量部以上100重量部以下、25重量部以上100重量部以下、30重量部以上100重量部以下、50重量部以上100重量部以下、80重量部以上100重量部以下で含むことができる。
【0076】
前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域はそれぞれ、無機微細粒子の大きさ、無機微細粒子の含有量およびバインダー樹脂の含有量を調節することによって、数十~数百ナノメートル単位の気孔を形成することができ、また、気孔サイズおよび気孔度を調節することができる。つまり、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域はそれぞれ、前記バインダー樹脂100重量部に対して、前記無機微細粒子を1重量部以上100重量部以下で含むことによって、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の空隙率が10%以上70%以下を満足することができる。
【0077】
前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域が前記バインダー樹脂100重量部に対して前記無機微細粒子を1重量部未満で含む場合、バインダー樹脂の含有量が過度に多くなってコーティングの耐熱性に劣り、最終電池の安定性が低下することがある。また、前記第1コーティング領域および前記第2コーティング領域が前記バインダー樹脂100重量部に対して前記無機微細粒子を100重量部超で含む場合、バインダー樹脂の含有量が過度に少なくなって無機微細粒子間の接着力弱化により耐剥離性が弱くなってコーティング層の機械的物性が低下することがある。
【0078】
前記一実施形態において、前記バインダー樹脂は、前記無機微細粒子の全部または一部に位置して前記無機微細粒子の間を連結および固定させる機能をする。
【0079】
一方、前記バインダー樹脂は、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン、ポリビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリエチレンオキシド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシルメチルセルロース、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリエーテルイミド、ポリイミド、シリコーン、ポリビニルアルコール、およびスチレンブタジエンゴムからなる群より選択された1種以上のバインダー樹脂を含むことができる。
【0080】
前記リチウム二次電池用電極において、前記絶縁層は、空隙率が30%以上、30%以上90%以下、40%以上90%以下、40%以上80%以下であってもよいし、または40%以上70%以下であってもよい。
【0081】
前記絶縁層の空隙率は、後述する絶縁層の組成により実現できる。前記絶縁層の空隙率が40%以上90%以下であることによって、正極と負極との直接接触を防止しながら電解質のリチウムイオンの移動を円滑にすることで、二次電池の充放電性能を実現できる技術的効果が実現可能である。
【0082】
前記絶縁層の空隙率が30%未満の場合、電解質に対する抵抗増加でイオン伝導度が減少して電池の充放電性能が弱くなる技術的問題が発生し、前記絶縁層の空隙率が90%超の場合、内部短絡の可能性が高まって電池の充放電不良および安全性に対する技術的問題が発生することがある。
【0083】
前記空隙率は、絶縁層が塗布された電極試料に対して前記第1コーティング層および第2コーティング層の空隙率を求める方法と同一の過程で測定することができる。
【0084】
一方、前記絶縁層は、バインダー樹脂および無機微細粒子を含むことができる。
【0085】
バインダー樹脂および無機微細粒子に関する内容は、上述した内容をすべて含む。
【0086】
前記絶縁層は、無機微細粒子の大きさ、無機微細粒子の含有量およびバインダー樹脂の含有量を調節することによって、数十~数百ナノメートル単位の気孔を形成することができ、また、気孔サイズおよび気孔度を調節することができる。つまり、前記絶縁層は、バインダー樹脂および無機微細粒子を含むことによって、前記コーティング層の空隙率が10%以上70%以下を満足することができる。
【0087】
前記一実施形態において、前記絶縁層の厚さは特別な制限がなく、電池の性能を考慮して、例えば、0.01~100μmに調節可能である。
【0088】
例えば、前記絶縁層は、厚さが10μm以上30μm以下であってもよい。
【0089】
前記絶縁層の厚さが10μm未満の場合、電極の保護の役割を果たさず絶縁特性が低下し、30μmを超える場合、イオン伝導性が低下し、全体的な大きさが大きくなって、出力特性、エネルギー密度などを低下させることがある。
【0090】
一方、本発明の他の実施形態によれば、前記リチウム二次電池用電極;および前記リチウム二次電池用電極上に形成された第2電極部を含む、リチウム二次電池が提供される。
【0091】
前記リチウム二次電池用電極については、上述した内容をすべて含む。
【0092】
具体的には、前記実施形態のリチウム二次電池は、正極と負極との間に分離膜を介在して巻取られた電極組立体と、前記電極組立体が内蔵されるケースとを含むことができる。そして、前記正極、前記負極および前記分離膜は、電解質に含浸されていてもよい。
【0093】
上述のように、前記実施形態のリチウム二次電池は、多孔性基材と、多孔性基材上に形成されたコーティング層とを含む多孔性高分子分離膜を代替して、前記実施形態の前記リチウム二次電池用電極に含まれる絶縁層を含むことによって、電極が膨張および収縮しても接着力が維持されて優れた電池の寿命特性を実現することができる。
【0094】
前記リチウム二次電池用電極は、リチウム二次電池用負極またはリチウム二次電池用正極であってもよい。前記リチウム二次電池用電極がリチウム二次電池用負極の場合、前記第2電極部は、正極であってもよいし、前記リチウム二次電池用電極がリチウム二次電池用正極の場合、前記第2電極部は、負極であってもよい。
【0095】
上述のように、前記電極部は、集電体;前記集電体上に形成された電極層;および前記電極層上に形成された絶縁層;を含むことができる。
【0096】
また、前記第2電極部は、第2電極層;および前記第2電極層上に形成された第2集電体を含むことができる。
【0097】
つまり、前記実施形態のリチウム二次電池は、集電体;前記集電体上に形成された電極層;および前記電極層上に形成された絶縁層;を含む第1電極部と、第2電極層;および前記第2電極層上に形成された第2集電体を含む第2電極部とが順に積層された構造を有することができる。
【0098】
前記電極部は、前記集電体から延びたタブを含むことができ、前記第2電極部は、前記第2集電体から延びたタブを含むことができる。
【0099】
前記実施形態のリチウム二次電池において、前記電極部は、第2電極部と比較して4つのすべての面でサイズが大きくて露出した部位を有することができる。つまり、前記実施形態のリチウム二次電池は、前記電極部と前記第2電極部とが対面せずに露出した部位を含むことができ、前記電極部と前記第2電極部とが対面せずに露出した部位に、上述したコーティング層が形成される。
【0100】
具体的には、前記実施形態のリチウム二次電池において、前記電極部と第2電極部の延長方向の長さが異なっていてもよいし、より具体的には、前記実施形態のリチウム二次電池は、前記電極部の延長方向の長さが前記第2電極部の延長方向の長さに対して0.2mm以上5mm以下さらに長い。
【0101】
具体的には、前記実施形態のリチウム二次電池は、前記電極部の延長方向の長さが前記第2電極部の延長方向の長さに対して0.2mm以上、0.5mm以上、5mm以下、2mm以下、0.2mm以上5mm以下、0.5mm以上5mm以下、0.2mm以上2mm以下、0.5mm以上2mm以下さらに長い。
【0102】
前記リチウム二次電池用電極において、前記電極部の延長方向の長さと前記第2電極部の延長方向の長さとの差は、図1の30に相当する長さの2倍であってもよい。
【0103】
前記延長方向の長さとは、前記電極部および第2電極部において、タブが延びた方向の長さを意味することができる。
【0104】
前記実施形態のリチウム二次電池は、前記電極部の延長方向の長さが前記第2電極部の延長方向の長さに対して0.2mm未満と長い場合、最初から重なって製造するものでなければ実現が難しく、前記電極部の延長方向の長さが前記第2電極部の延長方向の長さに対して5mm超と長い場合、材料費の上昇により好適でない。
【0105】
前記リチウム二次電池用電極は、リチウム二次電池用負極またはリチウム二次電池用正極であってもよい。前記リチウム二次電池用電極がリチウム二次電池用負極の場合、前記第2電極部は、正極であってもよいし、前記リチウム二次電池用電極がリチウム二次電池用正極の場合、前記第2電極部は、負極であってもよい。
【0106】
具体的には、前記リチウム二次電池用負極は、負極活物質、導電材およびバインダーを含む負極材;そして前記負極材を支持する電流集電体を含むことができる。
【0107】
前記負極材は、前記実施形態のリチウム二次電池用電極において電極層に相当することができる。
【0108】
前記負極活物質は、リチウムイオンを可逆的に挿入(intercalation)および脱離(deintercalation)可能な物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質、および遷移金属酸化物を含むことができる。
【0109】
前記リチウムイオンを可逆的に挿入および脱離可能な物質には、炭素質物質として、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらの混合物が例に挙げられる。具体的には、前記炭素質物質は、天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、メソフェーズピッチ(mesophase pitches)、メソフェーズピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、炭素微小球体(meso-carbon microbeads)、石油または石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)、軟化炭素(soft carbon)、および硬化炭素(hard carbon)などであってもよい。
【0110】
前記リチウム金属の合金は、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、Al、Sn、Bi、Ga、およびCdからなる群より選択された1種以上を含む金属と、リチウムとの合金であってもよい。
【0111】
前記リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質は、Si、Si-C複合体、SiO(0<x<2)、Si-Q合金(前記Qは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種以上を含む元素である;ただし、Siは除く)、Sn、SnO、Sn-R合金(前記Rは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種以上を含む元素である;ただし、Snは除く。)などであってもよい。そして、前記リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質としては、前記例の少なくとも1つと、SiOとを混合して使用することができる。前記QおよびRは、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Poなどであってもよい。
【0112】
そして、前記遷移金属酸化物は、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物、リチウムチタン酸化物などであってもよい。
【0113】
前記負極集電体は、一般に3~500μmの厚さに作られる。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば特に制限されるわけではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用できる。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で使用可能である。
【0114】
好ましくは、前記負極は、炭素質物質およびケイ素化合物からなる群より選択された1種以上を含む負極活物質を含むことができる。
【0115】
ここで、前記炭素質物質は、先に例示した、天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、熱分解炭素、メソフェーズピッチ、メソフェーズピッチ系炭素繊維、炭素微小球体、石油または石炭系コークス、軟化炭素、および硬化炭素からなる群より選択された1種以上を含む物質である。そして、前記ケイ素化合物は、先に例示したSiを含む化合物、つまり、Si、Si-C複合体、SiO(0<x<2)、前記Si-Q合金、これらの混合物、またはこれらの少なくとも1つと、SiOとの混合物であってもよい。
【0116】
また、前記負極は、マイクロシリコンを含むことができる。前記負極は、マイクロシリコンを含む場合、炭素質物質を負極活物質として用いる場合に比べて優れた容量を実現することができる。具体的には、前記ケイ素化合物において特定のマイクロシリコンを用いる場合、500回以上の充電と放電後にも80%以上の残存容量を維持することができ、従来のリチウム二次電池と比較して顕著に優れたエネルギー密度を実現することができる。また、前記負極がマイクロシリコンを含む場合、固体電解質を使用する固体バッテリの充放電寿命を大きく高めることができ、常温で充電速度も大きく向上させることができる。
【0117】
前記マイクロシリコンの大きさが大きく限定されるものではないが、例えば、前記マイクロシリコンは、100μm以下の直径、または1~100μmの直径、または1~20μmの直径を有することができる。
【0118】
一実施例によれば、前記負極活物質は、前記負極材の総重量に対して85重量%~98重量%含まれる。
【0119】
具体的には、前記負極活物質の含有量は、前記負極材の総重量に対して85重量%以上、あるいは87重量%以上、あるいは90重量%以上;そして、98重量%以下、あるいは97重量%以下、あるいは95重量%以下であってもよい。
【0120】
好ましくは、前記負極活物質の含有量は、前記負極材の総重量に対して85重量%~97重量%、あるいは87重量%~97重量%、あるいは87重量%~95重量%、あるいは90重量%~95重量%であってもよい。
【0121】
前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものである。
【0122】
前記導電材としては、電池の化学変化をもたらすことなく電子伝導性を有するものであれば特別な制限なく使用可能である。非制限的な例として、前記導電材は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維などの炭素系物質;天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;またはポリフェニレン誘導体などの導電性高分子などであってもよい。前記導電材としては、上述した例の1種あるいは2種以上の混合物が使用できる。
【0123】
前記導電材の含有量は、適切な水準の導電性を発現しながらもバッテリの容量減少を誘発しない範囲で調節可能である。好ましくは、前記導電材の含有量は、前記負極材の総重量に対して0.5重量%~10重量%、あるいは1重量%~10重量%、あるいは1重量%~5重量%であってもよい。
【0124】
前記バインダーは、前記負極材を前記電流集電体によく付着させるために使用されるものである。
【0125】
非制限的な例として、前記バインダーは、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVdF-co-HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化-EPDM、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴムなどであってもよい。前記バインダーとしては、上述した例の1種あるいは2種以上の混合物が使用できる。
【0126】
前記バインダーの含有量は、適切な水準の接着性を発現しながらもバッテリの容量減少を誘発しない範囲で調節可能である。好ましくは、前記バインダーの含有量は、前記負極材の総重量に対して0.5重量%~10重量%、あるいは1重量%~10重量%、あるいは1重量%~5重量%であってもよい。
【0127】
前記電流集電体としては、本発明の属する技術分野においてリチウム二次電池の負極に適用可能と知られた素材が特別な制限なく使用可能である。
【0128】
非制限的な例として、前記電流集電体としては、ステンレススチール;アルミニウム;ニッケル;チタン;焼成炭素;またはアルミニウムやステンレススチールの表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用できる。
【0129】
好ましくは、前記電流集電体は、3μm~500μmの厚さを有することができる。前記負極材の接着力を高めるために、前記電流集電体は、その表面に微細な凹凸が形成されたものであってもよい。前記電流集電体は、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態を有することができる。
【0130】
前記分離膜は、正極と負極とを分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するものであり、前記一実施形態において、絶縁層が分離膜として作用できる。前記一実施形態において、絶縁層が電極基材上に直接形成されることによって、前記一実施形態のリチウム二次電池は、多孔性高分子基材を含まない分離膜を含むことができる。
【0131】
前記実施形態のリチウム二次電池は、選択的に多孔性高分子基材を含むことができる。前記多孔性高分子基材の種類は大きく制限されないが、例えば、ポリエチレン(polyethylene)、ポリプロピレン(polypropylene)、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリアミド(polyamide)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリアリールエーテルケトン(polyaryletherketone)、ポリエーテルイミド(polyetherimide)、ポリアミドイミド(polyamideimide)、ポリベンズイミダゾール(polybenzimidazole)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキシド(polyphenyleneoxide)、サイクリックオレフィンコポリマー(cyclic olefin copolymer)、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylenesulfide)およびポリエチレンナフタレン(polyethylenenaphthalene)からなる群より選択された1つ以上の高分子またはこれらの2種以上の混合物で形成された高分子基材、またはこれらの多重膜、織布および不織布などを使用することができる。
【0132】
前記多孔性高分子基材は、溶融温度、製造の便宜性、気孔度、イオンの移動、絶縁性などを考慮して、基材の種類と厚さ、気孔のサイズと個数、特に不織布の場合、極細糸の太さなどを調整することができる。
【0133】
前記一実施形態において、前記多孔性高分子基材の厚さは特別な制限がなく、電池の性能を考慮して、例えば、0.01~100μmに調節可能である。
【0134】
そして、前記リチウム二次電池用正極は、正極活物質、バインダー、導電材、および正極添加剤を含む正極材;そして前記正極材を支持する電流集電体を含むことができる。
【0135】
前記正極材は、前記実施形態のリチウム二次電池用電極において電極層に相当することができる。
【0136】
前記リチウム二次電池用正極添加剤は、リチウム二次電池の充放電時に不可逆的にリチウムを出す特性を有する。そのため、前記リチウム二次電池用正極添加剤は、リチウム二次電池用正極に含まれて、予備リチウム化(prelithiation)のための犠牲正極材(sacrificial positive electrode materials)の役割を果たすことができる。
【0137】
具体的には、前記正極は、正極集電体上に正極合剤を塗布した後、乾燥して製造され、必要に応じては、前記混合物に充填剤をさらに添加することができる。
【0138】
好ましくは、前記リチウム二次電池用正極は、正極活物質、導電材、前記犠牲正極材、およびバインダーを含む正極材;そして、前記正極材を支持する電流集電体を含む。
【0139】
高容量電池へいくほど電池の容量を増やすために負極内の負極活物質の比率をより高めなければならず、これによってSEI層に要するリチウムの量も併せて増加する。よって、負極のSEI層に要するリチウムの量を計算した後、正極側に適用されなければならない犠牲正極材の量を逆算して電池の設計容量を定めることができる。
【0140】
一実施例によれば、前記犠牲正極材は、前記正極材の総重量に対して0重量%超15重量%以下で含まれる。
【0141】
前記SEI層の形成に要する不可逆リチウムを補償するために、前記犠牲正極材の含有量は、前記正極材の総重量に対して0重量%超であることが好ましい。
【0142】
ただし、前記犠牲正極材が過剰で含まれる場合、可逆的な充放電容量を示す前記正極活物質の含有量が減少してバッテリの容量が減少し、電池内に残留リチウムが負極にプレーティングされて電池のショートを誘発したり安全性を阻害することがある。そのため、前記犠牲正極材の含有量は、前記正極材の総重量に対して15重量%以下であることが好ましい。
【0143】
具体的には、前記犠牲正極材の含有量は、前記正極材の総重量に対して0重量%超、あるいは0.5重量%以上、あるいは1重量%以上、あるいは2重量%以上、あるいは3重量%以上;そして、15重量%以下、あるいは12重量%以下、あるいは10重量%以下であってもよい。
【0144】
好ましくは、前記犠牲正極材の含有量は、前記正極材の総重量に対して0.5重量%~15重量%、あるいは1重量%~15重量%、あるいは1重量%~12重量%、あるいは2重量%~12重量%、あるいは2重量%~10重量%、あるいは3重量%~10重量%であってもよい。
【0145】
前記正極活物質としては、本発明の属する技術分野においてリチウム二次電池に適用可能と知られた化合物が特別な制限なく使用可能である。
【0146】
非制限的な例として、前記正極活物質は、NCM(Li[Ni、Co、Mn]O)、NCMA(Li[Ni、Co、Mn、Al]O)、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、LiNi1-dCo、LiCo1-dMn、LiNi1-dMn(以上、0≦d<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2-eNi、LiMn2-eCo(以上、0<e<2)、LiCoPO、およびLiFePOなどであってもよい。前記正極活物質としては、上述した例の1種あるいは2種以上の混合物が使用できる。
【0147】
一実施例によれば、前記正極活物質は、前記正極材の総重量に対して80重量%~98重量%含まれる。
【0148】
具体的には、前記正極活物質の含有量は、前記正極材の総重量に対して80重量%以上、あるいは82重量%以上、あるいは85重量%以上;そして、98重量%以下、あるいは95重量%以下、あるいは93重量%以下、あるいは90重量%以下であってもよい。
【0149】
好ましくは、前記正極活物質の含有量は、前記正極材の総重量に対して82重量%~98重量%、あるいは82重量%~95重量%、あるいは82重量%~93重量%、あるいは85重量%~93重量%、あるいは85重量%~90重量%であってもよい。
【0150】
前記リチウム二次電池用正極は、前記正極活物質、前記導電材、前記犠牲正極材、およびバインダーを含む正極材を前記電流集電体上に積層して形成される。
【0151】
前記充填剤は、正極の膨張を抑制する成分として選択的に使用され、当該電池に化学的変化を誘発することなく繊維状材料であれば特に制限されるわけではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用される。
【0152】
前記正極材に含まれる前記導電材と前記バインダー、そして前記電流集電体については、上述した内容をすべて含む。
【0153】
一方、前記電解質としては、本発明の属する技術分野においてリチウム二次電池に適用可能と知られたものであれば特別な制限なく使用可能である。例えば、前記電解質は、有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル状高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質、水系電解質などであってもよい。
【0154】
前記水系電解質は、水やアルコールなどの水系溶媒に塩を溶解したものであり、このような水系電解質を用いるリチウム二次電池の場合、水系電解質の高いイオン伝導性と安全性の面で有利であり、工程と製造費用も安価である。また、非水系有機電解質より水系電解液を用いる電池が環境的な面でも有利であるというメリットがある。
【0155】
具体的には、前記水系電解質は、水系溶媒およびリチウム塩を含むことができる。
【0156】
前記水系溶媒は、水を含む溶媒で、特に限定しないが、電解質をなす水系溶媒の全体重量に対して1重量%以上の水を含むことができる。前記水系溶媒として水を単独で使用してもよいが、水と混和可能な溶媒を併用してもよい。
【0157】
前記水と混和可能な溶媒は、極性溶媒であってもよいし、例えば、C1~C5のアルコールおよびC1~C10のグリコールエーテルからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0158】
例えば、前記C1~C5のアルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、グリセロールおよび1,2,4-ブタントリオールからなる群より選択される1種以上であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0159】
また、前記C1~C10のグリコールエーテルは、エチレングリコールモノメチルエーテル(MG)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(MTG)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(MPG)、エチレングリコールモノエチルエーテル(EG)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(EDG)、エチレングリコールモノブチルエーテル(BG)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(BTG)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)およびジプロピレングリコールモノメチルエーテル(MFDG)からなる群より選択される1種以上であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0160】
前記電解質に含まれる前記リチウム塩は、前記水系溶媒に溶解して電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす。
【0161】
具体的には、前記リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiN(SOF)(LiFSI、lithium bis(fluorosulfonyl)imide)、LiCl、LiI、およびLiB(Cなどであってもよい。好ましくは、前記リチウム塩は、LiPF、LiFSI、およびこれらの混合物であってもよい。
【0162】
前記リチウム塩は、前記電解質に0.1M~2.0Mの濃度で含まれる。前記濃度範囲で含まれるリチウム塩は、前記電解質に適切な伝導度と粘度を付与することによって、優れた電解質性能を示すことができる。
【0163】
あるいは、前記電解質は、非水性有機溶媒およびリチウム塩を含むことができる。
【0164】
前記非水性有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動可能な媒質の役割を果たすものであれば特別な制限なく使用可能である。
【0165】
具体的には、前記非水性有機溶媒は、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone)、およびε-カプロラクトン(ε-caprolactone)などのエステル系溶媒;ジブチルエーテル(dibutyl ether)およびテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル系溶媒;シクロヘキサノン(cyclohexanone)などのケトン系溶媒;ベンゼン(benzene)、およびフルオロベンゼン(fluorobenzene)などの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate、DEC)、メチルエチルカーボネート(methyl ethyl carbonate、MEC)、エチルメチルカーボネート(ethyl methyl carbonate、EMC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate、EC)、およびプロピレンカーボネート(propylene carbonate、PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R-CN(Rは、C2~C20の直鎖状、分枝状または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類;およびスルホラン(sulfolane)などであってもよい。
【0166】
前記例の中でも、前記非水性有機溶媒としてカーボネート系溶媒が好ましく使用可能である。
【0167】
特に、電池の充放電性能および前記犠牲正極材との相溶性を考慮して、前記非水性有機溶媒としては、高いイオン伝導度および高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート)および低粘度の線状カーボネート(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート)の混合物が好ましく使用可能である。この場合、前記環状カーボネートと前記線状カーボネートとを1:1~1:9の体積比で混合して使用するのが、上述した性能の発現に有利であり得る。
【0168】
また、前記非水性有機溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを1:2~1:10の体積比で混合したもの;またはエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)を1~3:1~9:1の体積比で混合したものが好ましく使用可能である。
【0169】
前記電解質に含まれる前記リチウム塩は、前記非水性有機溶媒に溶解して電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす。
【0170】
具体的には、前記リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、LiCFSO、LiCSO、LiN(CSO、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiN(SOF)(LiFSI、lithium bis(fluorosulfonyl)imide)、LiCl、LiI、およびLiB(Cなどであってもよい。好ましくは、前記リチウム塩は、LiPF、LiFSI、およびこれらの混合物であってもよい。
【0171】
前記リチウム塩は、前記電解質に0.1M~2.0Mの濃度で含まれる。前記濃度範囲で含まれるリチウム塩は、前記電解質に適切な伝導度と粘度を付与することによって、優れた電解質性能を示すことができる。
【0172】
選択的に、前記電解質には、電池の寿命特性の向上、電池容量の減少抑制、電池の放電容量の向上などを目的とした添加剤が含まれる。
【0173】
例えば、前記添加剤は、ジフルオロエチレンカーボネートなどのハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グリム(n-glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどであってもよい。前記添加剤は、前記電解質の総重量に対して0.1重量%~5重量%含まれる。
【0174】
前記一実施形態のリチウム二次電池は、電解質の種類および/またはセパレータの種類によって、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、またはリチウムポリマー電池であってもよい。
【0175】
液体電解質は、リチウム塩含有非水電解質であってもよい。前記リチウム塩含有非水電解質は、非水電解質とリチウムとからなり、非水電解質としては、非水系有機溶媒、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用されるが、これらのみに限定されるものではない。
【0176】
有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテーションリジン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合剤などが使用できる。
【0177】
無機固体電解質としては、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN-LiI-LiOH、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiPO-LiS-SiSなどのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などが使用できる。
【0178】
また、前記リチウム塩含有非水電解質には、充放電特性、難燃性などの改善を目的として、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されてもよい。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませてもよく、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませてもよいし、FEC(Fluoro-Ethylene Carbonate)、PRS(Propene sultone)などをさらに含ませてもよい。
【0179】
一つの具体例において、LiPF、LiClO、LiBF、LiN(SOCFなどのリチウム塩を、高誘電性溶媒のECまたはPCの環状カーボネートと、低粘度溶媒のDEC、DMCまたはEMCの線状カーボネートとの混合溶媒に添加して、リチウム塩含有非水系電解質を製造することができる。
【0180】
前記リチウム二次電池は、携帯電話、ノートパソコン、タブレットコンピュータ、モバイルバッテリ、デジタルカメラなどの携帯用電子機器分野;および電気自動車、電動バイク、パーソナルモビリティーデバイスなどの移動手段分野で向上した性能と安全性を有するエネルギー供給源として利用可能である。
【0181】
前記リチウム二次電池は、角型、円筒形、パウチ型など多様な形態を有することができる。
【0182】
上述した他の実施形態のリチウム二次電池は、これを単位電池として含む電池モジュール、前記電池モジュールを含む電池パック、および前記電池パックを電源として含むデバイスで実現できる。
【0183】
この時、前記デバイスの具体例としては、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、または電力貯蔵用システムであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0184】
本発明によれば、電極周縁の絶縁性を確保してセル組立時の短絡による不良を防止できるリチウム二次電池用電極、およびこれを含むリチウム二次電池が提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0185】
図1】本発明の一つの実施例によるリチウム二次電池の断面図である。
図2】本発明の一つの実施例によるリチウム二次電池の電極部および第2電極部の分解斜視図である。
図3】本発明の一つの実施例によるリチウム二次電池において、電極部の側面に接する第1コーティング領域の方向と、絶縁層の一部分と接する第2コーティング領域の方向とが60°の角度を形成する場合の、リチウム二次電池の断面図である。
図4】本発明の一つの実施例によるリチウム二次電池において、電極部の側面に接する第1コーティング領域の方向と、絶縁層の一部分と接する第2コーティング領域の方向とが90°の角度を形成する場合の、リチウム二次電池の断面図である。
図5】本発明の一つの実施例によるリチウム二次電池において、電極部の側面に接する第1コーティング領域の方向と、絶縁層の一部分と接する第2コーティング領域の方向とが120°の角度を形成する場合の、リチウム二次電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0186】
以下、発明の具体的な実施例を通じて発明の作用、効果をより具体的に説明する。ただし、これは発明の例として提示されたものであり、これによって発明の権利範囲がいかなる意味でも限定されない。
【0187】
実施例1
(1)負極の製造
負極活物質として炭素粉末、結合剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)、導電材としてカーボンブラック(carbon black)をそれぞれ96重量%、3重量%、1重量%として、イオン交換水に添加して負極スラリーを製造した。前記負極スラリーを厚さ10μmの負極集電体である銅(Cu)薄膜にコンマコーターを用いて塗布および乾燥し、ロールプレス(roll press)を実施して負極を製造した。負極のローディング(Loading)量を制御して、最終製造された容量(Half-cell基準)が5.3mAh/cmとなるようにした。
【0188】
(2)正極の製造
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物92重量%、導電材としてカーボンブラック(carbon black)4重量%、結合剤としてPVDF4重量%を、溶剤のN-メチル-2ピロリドン(NMP)に添加して正極スラリーを製造した。前記正極スラリーを厚さ10μmの正極集電体であるアルミニウム(Al)薄膜に塗布および乾燥して正極を製造した後、ロールプレス(roll press)を実施して正極を製造した。正極のローディング(Loading)量を制御して、最終製造された容量(Half-cell基準)が4.8mAh/cmとなるようにした。
【0189】
(3)絶縁層の製造
ポリビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン共重合体(PVdF-CTFE)10gをN-メチル-2ピロリドン(NMP)10gに添加して、50℃で約12時間以上溶解してバインダー高分子溶液を製造した。製造された高分子溶液にアルミナ粉末10gを添加して、12時間以上ボールミル法(ball mill)を用いてアルミナ粉末を400nmに破砕および分散して絶縁層形成用組成物を製造した。
【0190】
(4)コーティング層形成用組成物の製造
ポリビニリデンフルオライド(PVdF)10gをN-メチル-2ピロリドン(NMP)10gに添加して、50℃で約12時間以上溶解してバインダー高分子溶液を製造した。製造された高分子溶液にベーマイト(Boehmite、AlO(OH))粉末10gを添加して、12時間以上ボールミル法(ball mill)を用いてベーマイト粉末を300nmに破砕および分散してコーティング層形成用組成物を製造した。
【0191】
(5)電池の製造
前記製造された負極上に、前記絶縁層形成用組成物を30%の湿度下でドクターブレードコーティング法でコーティングし、90℃で乾燥して、厚さ20μmの絶縁層(気孔サイズ:100nm、空隙率:63%)を形成した。
【0192】
以後、前記負極上に絶縁層が形成された積層体を32mm×44mmの大きさに打抜きした後、積層体の側面と絶縁層の上面の一部上に前記コーティング層形成用組成物を30%の湿度下でディップ(dip)コーティング法でコーティングし、90℃で乾燥して、積層体の側面と絶縁層の上面の一部を含む積層体の周縁上にコーティング層(気孔サイズ:100nm)を形成した。具体的なコーティング層の各コーティング領域の厚さおよび長さは、下記表1に記載された通りである。
【0193】
また、製造された正極を30×42mmの大きさに打抜きして前記コーティング層が形成された負極とラミネーション(lamination)方式を用いて組立て、組立てられたセルのタブに電極リードを溶接した後、アルミニウムパウチに入れて、一方の周縁を除いた残りの周縁をシーリングした。開かれている周縁に電解液(エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)=3/7(体積比)、リチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)0.7モル、LiFSI0.5M、ビニレンカーボネート(Vinylene carbonate)1.5%、1,3-プロパンスルトン(1,3-Propane sultone)0.5%、エチレンスルフェート(Ethylene sulfate)1%、LiBF 0.2%)を注入後、真空シーリングをした後、10時間常温でエージング(Aging)して、電解液がセルの内部に含浸されるようにした。以後、アルミニウムパウチモノセルをジグに装着して、29kgfで圧着したリチウム二次電池を製造した。
【0194】
実施例2
第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線から測定した第2コーティング領域の長さを200μmに調節したことを除き、前記実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0195】
実施例3
コーティング層形成用組成物の製造時、ベーマイト粉末を13gを添加したことを除き、前記実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0196】
実施例4
第1コーティング領域および前記第2コーティング領域の接線から測定した第2コーティング領域の長さを1.5mmに調節したことを除き、前記実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0197】
比較例1
前記実施例1で製造された正極および負極の間に負極の長さおよび幅よりそれぞれ2mmずつより長いサイズのポリオレフィン分離膜(厚さ16μm、両面接着性能具備)を介在して90℃でラミネーションして、正極/分離膜/負極を組立てたことを除き、実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0198】
比較例2
コーティング層を形成せず、絶縁層が形成された負極と前記正極とをラミネーション(lamination)方式を用いて組立てたことを除き、実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0199】
比較例3
積層体の側面および上面の一部上にコーティング層の代わりにポリイミドテープを付着させたことを除き、実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0200】
比較例4
コーティング層形成用組成物の製造時、ベーマイト粉末を添加しないことを除き、実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0201】
比較例5
コーティング層形成用組成物の製造時、ベーマイト粉末を3gを添加したことを除き、前記実施例1と同様の方法でリチウム二次電池を製造した。
【0202】
実験例1:コーティング層分析
前記実施例および比較例でそれぞれ製造されたリチウム二次電池のコーティング層の第1コーティング領域の厚さ、第2コーティング領域の厚さ、第1コーティング領域および第2コーティング領域の接線から測定した第2コーティング領域の長さ(L1)および空隙率を分析して、下記表1に示した。
【0203】
各コーティング層の空隙率は、塗布された層の体積および質量を測定して実測密度を求めた後、塗布された組成の固形分に対する理論密度を計算して、以下の式により求められる。
【0204】
空隙率(%)=(1-実測密度/理論密度)×100
【0205】
実験例2:電池の充放電フォーメーション(Formation)特性
実施例、比較例および参考例のリチウム二次電池に対して、室温で0.1C-rateで2.5~4.2Vでフォーメーション(Formation)させた。放電容量、および充電容量に対する放電容量の比率であるクーロン効率(Coulombic Efficiency)を測定し、下記表1に表示した。
【0206】
実験例3:高温安全性
実施例、比較例、参考例のリチウム二次電池をフォーメーション(Formation)させた後、SOC(State of Charge)を5%にした状態で、130℃のチャンバに30分間保管させた後、常温に再び冷却させた。電池が短絡したか否かを確認するためにOCV(開放回路電圧)を測定して、下記表1に表示した。
【0207】
【表1】
【0208】
前記表1に示されているように、実施例のリチウム二次電池は、放電容量が47mAh以上53mAh以下となり、クーロン効率(Coulombic Efficiency)値が78%以上となって、優れた電池特性を有するだけでなく、130℃保管後のOCVが3.29V以上となって、高温安定性に優れていることを確認することができた。
【0209】
これに対し、比較例1の場合、130℃保管後のOCVが0.002Vに過ぎず、ポリオレフィン分離膜が高温で収縮が起こり、電極の短絡が発生したことが分かる。比較例2も、130℃保管後のOCVが2.42Vに過ぎないことが明らかになって、電極部の周縁上にコーティング部材を含まないことによって、電極部の打抜き時に発生する脱離現象およびセルの組立時に発生する微細なずれによって高温安定性が十分でないことを確認することができた。
【0210】
また、比較例2の場合、放電容量が12mAhとなり、クーロン効率(Coulombic Efficiency)値が25%に過ぎないことが明らかになって、電極部の周縁上にコーティング部材を含まないことによって、電極部の打抜き時に発生する脱離現象によってセルの短絡が発生して電池特性が十分でないことを確認することができた。
【0211】
また、比較例3の場合、放電容量が50.1mAhとなり、クーロン効率(Coulombic Efficiency)値が78.3%に過ぎないことが明らかになって、絶縁層としてポリイミドテープを用いることによって、電池特性が十分でないことを確認することができた。
【0212】
また、比較例4の場合、放電容量が38.5mAhとなり、クーロン効率(Coulombic Efficiency)値が53.9%に過ぎないことが明らかになって、無機粒子なしにバインダーだけでコーティング層を形成する場合、電池特性が十分でないことを確認することができた。それだけでなく、モノセル5つのうち最終的に製造される良品は2つとなって、モノセルの短絡不良率が高くなることを確認することができた。
【0213】
比較例5の場合、第1および第2コーティング領域の空隙率が50%を超えて安定した絶縁性を実現できないことによって、放電容量およびクーロン効率(Coulombic Efficiency)値に劣ることを確認することができた。
【符号の説明】
【0214】
100:電極部
101:集電体
102:電極層
103:絶縁層
200:第2電極部
201:第2電極層
202:第2集電体
10:第1コーティング領域
11:第1コーティング領域の厚さ
20:第2コーティング領域
21:第2コーティング領域の厚さ
30:(電極部の延長方向の長さと第2電極部の延長方向の長さとの差)*1/2
40:第1コーティング領域および第2コーティング領域の接線
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】