(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】処理ドリフトを制御するための処理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240702BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240702BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H01L21/31 A
H01L21/302 101H
C23C16/44 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500080
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 US2022035354
(87)【国際公開番号】W WO2023278476
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チュア, ヴィヴィエン
(72)【発明者】
【氏名】クルシュレシャータ, パラシャント クマール
(72)【発明者】
【氏名】チアン, チーチュン
(72)【発明者】
【氏名】ルアン, ファン
(72)【発明者】
【氏名】ケドラヤ, ディワカー
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA09
4K030BA02
4K030BA35
4K030DA06
4K030FA01
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4K030KA30
5F004AA15
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5F045EK06
5F045EK07
(57)【要約】
半導体処理の例示的な方法は、フッ素含有前駆体のプラズマを形成することを含み得る。本方法は、半導体処理チャンバの処理領域内でチャンバ洗浄を実行することを含み得る。処理領域は、面板と基板支持体との間に少なくとも部分的に画定され得る。本方法は、チャンバの洗浄中にフッ化アルミニウムを生成することを含み得る。本方法は、処理領域内の表面を炭素含有前駆体と接触させることを含み得る。本方法は、処理領域の表面からフッ化アルミニウムを揮発させることを含み得る。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理方法であって、
フッ素含有前駆体のプラズマを形成することと、
半導体処理チャンバの処理領域内でチャンバ洗浄を実行することであって、前記処理領域が面板と基板支持体との間に少なくとも部分的に画定される、チャンバ洗浄を実行することと、
前記チャンバ洗浄中にフッ化アルミニウムを生成することと、
前記処理領域内の表面を炭素含有前駆体と接触させることと、
前記処理領域の前記表面からフッ化アルミニウムを揮発させることと、
を含む、半導体処理方法。
【請求項2】
前記表面が、前記半導体処理チャンバの前記面板を含む、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項3】
前記基板支持体が、前記方法中に約400℃以上の温度に維持される、請求項2に記載の半導体処理方法。
【請求項4】
前記処理領域内の前記表面を前記炭素含有前駆体と接触させている間、前記面板が約200℃以上の温度に維持される、請求項3に記載の半導体処理方法。
【請求項5】
前記接触させることが、前記半導体処理チャンバの前記処理領域に基板を供給した後に実行される、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項6】
前記処理領域内の表面を炭素含有前駆体と接触させることが、プラズマを使用しない工程として実行される、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項7】
前記揮発させることに続いて、前記処理領域を第1の圧力から約1Torr以下の第2の圧力までポンピングすることをさらに含む、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項8】
前記接触させることが、
前記フッ素含有前駆体のプラズマ形成を停止することと、
前記炭素含有前駆体を前記半導体処理チャンバの前記処理領域に流し込むことと、
を含む、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項9】
前記炭素含有前駆体が、炭化水素を含む、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項10】
半導体処理方法であって、
フッ素含有前駆体のプラズマを形成することと、
炭素含有材料の堆積残留物を除去するために半導体処理チャンバの処理領域内でチャンバ洗浄を実行することであって、前記処理領域が面板と基板支持体との間に少なくとも部分的に画定される、チャンバ洗浄を実行することと、
前記チャンバ洗浄中にフッ化アルミニウムを生成することと、
前記半導体処理チャンバの前記処理領域に基板を提供することと、
前記処理領域内の表面を炭素含有前駆体と接触させることと、
前記処理領域の前記表面からフッ化アルミニウムを揮発させることと、
を含む、半導体処理方法。
【請求項11】
前記表面が、前記半導体処理チャンバの前記面板を含む、請求項10に記載の半導体処理方法。
【請求項12】
前記基板支持体が、前記方法中に約400℃以上の温度に維持される、請求項11に記載の半導体処理方法。
【請求項13】
前記処理領域内の前記表面を前記炭素含有前駆体と接触させている間、前記面板が約200℃以上の温度に維持される、請求項12に記載の半導体処理方法。
【請求項14】
前記炭素含有前駆体が、前記堆積残留物の前駆体である、請求項10に記載の半導体処理方法。
【請求項15】
前記処理領域内の表面を炭素含有前駆体と接触させることが、プラズマを使用しない工程として実行される、請求項10に記載の半導体処理方法。
【請求項16】
前記接触させることに続いて、前記炭素含有前駆体のプラズマを生成することと、
前記基板上に炭素含有材料を堆積させることと、
をさらに含む、請求項15に記載の半導体処理方法。
【請求項17】
前記揮発させることに続いて、前記処理領域を第1の圧力から約1Torr以下の第2の圧力までポンピングすること
をさらに含む、請求項10に記載の半導体処理方法。
【請求項18】
前記炭素含有前駆体が炭化水素を含む、請求項10に記載の半導体処理方法。
【請求項19】
半導体処理方法であって、
フッ素含有前駆体のプラズマを形成することと、
堆積残留物を除去するために半導体処理チャンバの処理領域内でチャンバ洗浄を実行することであって、前記処理領域が面板と基板支持体との間に少なくとも部分的に画定される、チャンバ洗浄を実行することと、
前記チャンバ洗浄中にフッ化アルミニウムを生成することと、
前記半導体処理チャンバの前記処理領域に炭素含有前駆体を流し込むことと、
前記処理領域内の表面を前記炭素含有前駆体と接触させることと、
前記処理領域の前記表面からフッ化アルミニウムを揮発させることと、
を含む、半導体処理方法。
【請求項20】
前記処理領域内の表面を炭素含有前駆体と接触させることが、プラズマを使用しない工程として実行される、請求項19に記載の半導体処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年7月2日に出願された米国出願第17/367,089号に対する優先権を主張し、その開示はあらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、半導体製造用のシステムおよび方法に関する。より詳細には、本技術は、半導体処理および処理ドリフトの原因となる材料を除去するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路は、基板表面に複雑なパターンの材料層を作り出す処理によって可能になる。基板上にパターン付き材料を作り出すには、材料の形成および除去のための制御された方法が必要である。前駆体は多くの場合、処理領域に供給され、基板上に材料を均一に堆積させるか、または材料をエッチングするために分散される。処理チャンバの多くの態様は、チャンバ内のプロセス条件の均一性、構成要素を通過する流れの均一性、ならびにその他の処理および構成要素のパラメータなど、処理の均一性に影響を与える可能性がある。基板全体にわたるわずかな不一致であっても、形成または除去処理に影響を与える可能性がある。さらに、洗浄処理は、基板の歩留まりおよびスループットに作用する可能性がある落下粒子に影響を与える可能性がある。
【0004】
したがって、高品質のデバイスおよび構造を作り出すために使用できる改良されたシステムおよび方法が必要である。これらおよびその他のニーズが本技術によって対処される。
【発明の概要】
【0005】
半導体処理の例示的な方法は、フッ素含有前駆体のプラズマを形成することを含んでいてもよい。本方法は、半導体処理チャンバの処理領域内でチャンバ洗浄を実行することを含んでいてもよい。処理領域は、面板と基板支持体との間に少なくとも部分的に画定されてもよい。本方法は、チャンバ洗浄中にフッ化アルミニウムを生成することを含んでいてもよい。本方法は、処理領域内の表面を炭素含有前駆体と接触させることを含んでいてもよい。本方法は、処理領域の表面からフッ化アルミニウムを揮発させることを含んでいてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、表面が、半導体処理チャンバの面板を含んでもよい。基板支持体が、方法中に約400℃以上の温度に維持されてもよい。処理領域内の表面を炭素含有前駆体と接触させている間、面板が約200℃以上の温度に維持されてもよい。接触させることが、半導体処理チャンバの処理領域に基板を供給した後に実行されてもよい。処理領域内の表面を炭素含有前駆体と接触させることが、プラズマを使用しない工程として実行されてもよい。本方法は、揮発させることに続いて、処理領域を第1の圧力から約1Torr以下の第2の圧力までポンピングすることを含んでいてもよい。接触させることが、フッ素含有前駆体のプラズマ形成を停止することを含んでいてもよい。接触させることが、炭素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域に流し込むことを含んでいてもよい。炭素含有前駆体が、炭化水素であってもよいし、炭化水素を含んでいてもよい。
【0007】
本技術のいくつかの実施形態は、半導体処理方法を包含し得る。本方法は、フッ素含有前駆体のプラズマを形成することを含んでいてもよい。本方法は、炭素含有材料の堆積残留物を除去するために半導体処理チャンバの処理領域内でチャンバ洗浄を実行することを含んでいてもよい。処理領域が面板と基板支持体との間に少なくとも部分的に画定されていてもよい。本方法は、チャンバ洗浄中にフッ化アルミニウムを生成することを含んでいてもよい。本方法は、半導体処理チャンバの処理領域に基板を提供することを含んでいてもよい。本方法は、処理領域内の表面を炭素含有前駆体と接触させることを含んでいてもよい。本方法は、処理領域の表面からフッ化アルミニウムを揮発させることを含んでいてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、表面が、半導体処理チャンバの面板を含んでいてもよい。基板支持体が、方法中に約400℃以上の温度に維持されてもよい。処理領域内の表面を炭素含有前駆体と接触させている間、面板が約200℃以上の温度に維持されてもよい。炭素含有前駆体が、堆積残留物の前駆体であってもよい。処理領域内の表面と炭素含有前駆体とを接触させることが、プラズマを使用しない工程として実行されてもよい。本方法は、接触させることに続いて、炭素含有前駆体のプラズマを生成することを含んでいてもよい。本方法は、基板上に炭素含有材料を堆積することを含んでいてもよい。本方法は、揮発させることに続いて、処理領域を第1の圧力から約1Torr以下の第2の圧力までポンピングすることを含んでいてもよい。炭素含有前駆体が炭化水素であってもよいし、炭化水素を含んでいてもよい。
【0009】
本技術のいくつかの実施形態は、半導体処理方法を包含し得る。本方法は、フッ素含有前駆体のプラズマを形成することを含んでいてもよい。本方法は、堆積残留物を除去するために半導体処理チャンバの処理領域内でチャンバ洗浄を実行することを含んでいてもよい。処理領域が面板と基板支持体との間に少なくとも部分的に画定されていてもよい。本方法は、チャンバ洗浄中にフッ化アルミニウムを生成することを含んでいてもよい。本方法は、半導体処理チャンバの処理領域に炭素含有前駆体を流すことを含んでいてもよい。本方法は、処理領域内の表面を炭素含有前駆体と接触させることを含んでいてもよい。本方法は、処理領域の表面からフッ化アルミニウムを揮発させることを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、処理領域内の表面を炭素含有前駆体と接触させることが、プラズマを使用しない工程として実行されてもよい。
【0010】
このような技術は、従来のシステムおよび技術に比べて多くの利点を提供し得る。例えば、本技術の実施形態は、洗浄工程中に、生成されたフッ化アルミニウムの除去を改善し得る。さらに、本方法により、処理のスループットが向上し得る、強化された洗浄工程を得ることができる。これらおよび他の実施形態は、それらの利益および特徴の多くと共に、以下の説明および添付の図面と併せてより詳細に説明される。
【0011】
開示された技術の性質および利点は、本明細書の残りの部分および図面を参照することによってさらに理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システムの上面図である。
【
図2】本技術のいくつかの実施形態による例示的なプラズマシステムの概略断面図である。
【
図3】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理チャンバの概略部分断面図である。
【
図4】本技術のいくつかの実施形態による例示的な半導体処理方法の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
いくつかの図が概略図として含まれている。図は例示を目的としており、特に縮尺が示されていない限り、縮尺は考慮されるべきではないことを理解されたい。さらに、図は概略図として、理解を助けるために提供されており、現実的な表現と比較してすべての態様または情報が含まれていない場合があり、説明目的で誇張された内容が含まれている場合がある。
【0014】
添付の図では、同様の構成要素および/または機能に同じ参照ラベルが付いている場合がある。さらに、同じ種類のさまざまな構成要素は、参照ラベルの後の、類似の構成要素を区別する文字によって区別され得る。本明細書で最初の参照ラベルのみが使用されている場合、その説明は、文字に関係なく、同じ最初の参照ラベルを有する類似の構成要素のいずれか1つに適用され得る。
【0015】
プラズマ励起堆積処理は、1つまたは複数の構成前駆体にエネルギーを与えて、基板上での膜形成を促進し得る。導電性膜および誘電体膜、ならびに材料の転写および除去を容易にする膜を含む、半導体構造を開発するために任意の数の材料膜が作り出され得る。例えば、ハードマスク膜は、基板のパターニングを容易にするために形成される一方で、下にある材料を保護して他の方法で維持することができる。さらに、他の誘電体材料を堆積させて基板上のトランジスタを分離、または、そうでなければ半導体構造を形成してもよい。多くの処理チャンバでは、多数の前駆体がガスパネル内で混合され得、基板が配置され得るチャンバの処理領域に供給され得る。堆積処理では、処理されている基板だけでなく、後で洗浄される可能性のあるチャンバ部品にも材料を堆積させてもよい。
【0016】
洗浄工程は、チャンバから排出され得る副生成物を作り出す残留材料と相互作用し得る、ハロゲンガスおよび/または他の材料のプラズマ放出物を生成することを含んでいてもよい。ただし、洗浄される構成要素の多くはアルミニウムであるか、アルミニウムを含み得るため、例えばフッ素と接触すると、副生成物としてフッ化アルミニウムを作り出すことがある。多くのチャンバ部品は、処理されている基板よりも低いか、またははるかに低い温度に維持される可能性があるため、このフッ化アルミニウムは、面板またはチャンバ本体の壁に、より容易に凝縮または再堆積し得る。フッ化アルミニウムは多くの問題を引き起こす可能性がある。例えば、フッ化アルミニウムは面板への密着性を維持できない可能性があり、その後、続いて処理される基板上に落下し、損傷や歩留まり損失を引き起こす可能性がある。さらに、面板は、堆積中にプラズマを生成するための、電力供給された電極としてしばしば動作する場合がある。面板上に蓄積するフッ化アルミニウムの量が増加すると、プラズマ特性が影響を受け、処理中にドリフトが発生する可能性がある。
【0017】
この問題に対処するために、従来の技術ではフッ化アルミニウムの生成を削減することが一般的に試みられてきた。ただし、従来のオプションのほとんどでは依然としてフッ化アルミニウムを作り出す可能性がある。例えば、約400℃以下の温度で処理を実行すると、フッ化アルミニウムの生成は、排除されないものの、減少する可能性がある。堆積前にチャンバの周囲に乾材を堆積させてもよい。ただし、この乾材は通常、洗浄処理中に除去される可能性があり、除去された後でも、依然としてフッ化アルミニウムの生成を可能にし得る。いくつかの従来技術では、洗浄中に基板ペデスタル上に配置されるカバーウエハを利用する場合がある。ただし、カバーウエハはアルミニウムベースの材料で形成されている場合もあり、カバーウエハが洗浄ガスにさらされると、依然としてフッ化アルミニウムの生成を引き起こす可能性がある。
【0018】
本技術は、生成される可能性のあるフッ化アルミニウムに対処することで、これらの課題を克服する。上述の緩和オプションのいずれも本技術のいくつかの実施形態で採用され得るが、本技術はまた、洗浄中に生成されるフッ化アルミニウムも除去することができる。追加の前駆体相互作用を利用することで、チャンバ部品のフッ化アルミニウムの熱除去を実行することができる。これにより、フッ化アルミニウムの生成が増加する可能性があるにもかかわらず、処理温度を上昇させることができる可能性がある。面板およびチャンバ部品からフッ化アルミニウムを除去することで、処理のドリフトが減少する可能性があり、チャンバの稼働時間が増加する可能性がある。さらに、洗浄はそれほど控えめに実行されなくてもよいため、スループットがさらに増加する可能性がある。
【0019】
残りの開示は、開示された技術を利用した特定の堆積処理を日常的に特定するものであるが、システムおよび方法は、他の堆積チャンバおよび洗浄チャンバ、ならびに記載されたチャンバ内で発生し得る処理にも同様に適用可能であることが容易に理解されるであろう。したがって、本技術は、これらの特定の堆積処理またはチャンバのみでの使用に限定されるものと考えるべきではない。本開示は、本技術のいくつかの実施形態によるこのシステムに対する追加の変形および調整を説明する前に、本技術の実施形態による構成要素を含み得る1つの可能なシステムおよびチャンバについて説明する。
【0020】
図1は、実施形態による、堆積、エッチング、焼成、および硬化チャンバの処理システム100の一実施形態の上部平面図を示す。図では、1対の前方開口型統一ポッド102は、ロボットアーム104によって受け取られ、基板処理チャンバ108a~108fのうちの1つに配置される前に、タンデムセクション109a~109cに配置される低圧保持エリア106内に配置されるさまざまなサイズの基板を供給する。第2のロボットアーム110は、基板ウエハを保持エリア106から基板処理チャンバ108a~108fに搬送し、またその逆に搬送するために使用され得る。各基板処理チャンバ108a~108fは、プラズマ励起化学気相堆積、原子層堆積、物理気相堆積、エッチ、前洗浄、ガス抜き、配向、およびアニーリング、アッシングなどを含むその他の基板処理に加えて、本明細書で説明される半導体材料のスタックの形成を含む、多くの基板処理工程を実行するように装備することができる。
【0021】
基板処理チャンバ108a~108fは、基板上に誘電体または他の膜を堆積、アニーリング、硬化および/またはエッチングするための1つまたは複数のシステム構成要素を含んでいてもよい。1つの構成では、2対の処理チャンバ、例えば、108c~108dおよび108e~108fを使用して、基板上に誘電体材料を堆積することができ、第3の対の処理チャンバ、例えば108a~108bを使用して、堆積された誘電体をエッチングすることができる。別の構成では、3対のチャンバすべて、例えば108a~108fが、基板上に交互の誘電体膜のスタックを堆積するように構成されてもよい。説明される処理の任意の1つまたは複数は、異なる実施形態で示される製造システムから分離されたチャンバ内で実行されてもよい。誘電体膜のための堆積、エッチング、アニーリング、および硬化チャンバの追加の構成がシステム100によって企図されていることが理解されるであろう。
【0022】
図2は、本技術のいくつかの実施形態による例示的なプラズマシステム200の概略断面図を示す。プラズマシステム200は、上述のタンデムセクション109のうちの1つまたは複数に適合し得、本技術の実施形態による面板または他の構成要素もしくはアセンブリを含み得る1対の処理チャンバ108を示し得る。プラズマシステム200は一般に、側壁212、底壁216、ならびに1対の処理領域220Aおよび220Bを画定する内部側壁201を有するチャンバ本体202を含み得る。処理領域220A~220Bのそれぞれは、同様に構成されていてもよく、同一の構成要素を含んでいてもよい。
【0023】
例えば、処理領域220B(その構成要素は処理領域220Aに含まれてもよい)は、プラズマシステム200の底壁216に形成された通路222を通って処理領域内に配置されたペデスタル228を含み得る。ペデスタル228は、本体部分などのペデスタルの露出表面上で基板229を支持するように適合されたヒータを提供し得る。ペデスタル228は、加熱素子232、例えば、基板温度を所望の処理温度に加熱および制御し得る抵抗加熱素子を含んでいてもよい。ペデスタル228は、ランプアセンブリなどの遠隔加熱素子、または任意の他の加熱装置によって加熱されてもよい。
【0024】
ペデスタル228の本体は、フランジ233によってステム226に結合され得る。ステム226は、ペデスタル228を電源コンセントまたは電力ボックス203と電気的に結合し得る。電力ボックス203は、処理領域220B内のペデスタル228の上昇および移動を制御するドライバシステムを含んでいてもよい。ステム226はまた、ペデスタル228に電力を供給するための電力インターフェースを含んでいてもよい。電力ボックス203は、熱電対インターフェースなどの、電力および温度インジケータ用のインターフェースも含み得る。ステム226は、電力ボックス203と取り外し可能に結合するように適合された、ベースアセンブリ238を含んでいてもよい。電力ボックス203の上に円周リング235が示されている。いくつかの実施形態では、円周リング235は、ベースアセンブリ238と電力ボックス203の上面との間に機械的インターフェースを提供するように構成された機械的ストップまたはランドとして適合された肩部であってもよい。
【0025】
ロッド230は、処理領域220Bの底壁216に形成された通路224を通って含まれてもよく、ペデスタル228の本体を通って配置された基板リフトピン261を位置決めするために利用されてもよい。基板リフトピン261は、基板移送ポート260を通じて処理領域220Bに基板229を移送する、または処理領域220Bから基板229を移送するために利用されるロボットとの基板229の交換を容易にするために、ペデスタルから基板229を選択的に離間させることができる。
【0026】
チャンバリッド204は、チャンバ本体202の上部に結合され得る。リッド204は、それに結合された1つまたは複数の前駆体分配システム208を収容することができる。前駆体分配システム208は、反応物および洗浄前駆体をガス供給アセンブリ218を通して処理領域220Bに供給し得る前駆体入口通路240を含んでいてもよい。ガス供給アセンブリ218は、面板246の中間に配置された遮蔽板244を有するガスボックス248を含んでいてもよい。ガス供給アセンブリ218に高周波(「RF」)源265を結合してもよく、高周波(「RF」)源265は、ガス供給アセンブリ218に電力を供給して、ガス供給アセンブリ218の面板246とチャンバの処理領域であり得るペデスタル228との間にプラズマ領域の生成を促進することができる。いくつかの実施形態では、RF源は、プラズマの生成を容易にするために、ペデスタル228などのチャンバ本体202の他の部分と結合されてもよい。リッド204へのRF電力の伝導を防ぐために、リッド204とガス供給アセンブリ218との間に誘電体アイソレータ258を配置してもよい。ペデスタル228と係合する、ペデスタル228の周囲にシャドウリング206が配置されてもよい。
【0027】
工程中にガスボックス248を冷却するために、ガス分配システム208のガスボックス248内に任意選択の冷却チャネル247を形成してもよい。ガスボックス248を所定の温度に維持できるように、水、エチレングリコール、ガスなどの熱伝達流体を冷却チャネル247を通して循環させてもよい。処理領域220B内の処理環境への側壁201、212の露出を防ぐために、チャンバ本体202の側壁201、212に近接して処理領域220B内にライナアセンブリ227が配置されてもよい。ライナアセンブリ227は、処理領域220Bからガスおよび副生成物を排出し、処理領域220B内の圧力を制御するように構成されたポンピングシステム264に結合され得る円周ポンピングキャビティ225を含んでいてもよい。ライナアセンブリ227上に複数の排気口231が形成されていてもよい。排気口231は、システム200内での処理を促進する方法で、処理領域220Bから円周ポンピングキャビティ225へのガスの流れを可能にするように構成され得る。
【0028】
図3は、本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システム300の概略部分断面図を示す。
図3は、例えばシステム200内の構成要素に関するさらなる詳細を示している。システム300は、いくつかの実施形態において前述したシステム200の任意の特徴または態様を含むと理解される。システム300は、前述したようなハードマスクまたは任意の他の材料の堆積を含む半導体処理工程、ならびに他の堆積、除去、および洗浄工程を実行するために使用され得る。システム300は、議論されている、半導体処理システムに組み込まれ得るチャンバ構成要素の部分図を示し得る。当業者には容易に理解されるように、システム300の任意の態様は、他の処理チャンバまたはシステムと組み込むこともできる。
【0029】
システム300は、チャンバ本体310を含んでいてもよく、チャンバ本体310は、図示されるように、側壁およびベース、ならびにいくつかの実施形態ではリッドを含んでいてもよく、そのすべてが、基板が処理され得る処理領域を含み得る内部容積を少なくとも部分的に画定していてもよい。前述したように、チャンバのベースを通って処理領域内にペデスタルまたは基板支持体315が延在していてもよい。基板支持体は、半導体基板322を支持し得る支持プラテン320を含んでいてもよい。支持プラテン320は、チャンバのベースを通って延在し得るシャフト325に結合されていてもよい。システム300はまた、チャンバの内部容積内に配置されるか、またはチャンバの内部容積を部分的に画定するリッドスタックまたはガス分配構成要素を含んでもよく、これにより、チャンバを通した処理前駆体のより均一な供給が促進され得る。構成要素は、ガスボックス330を含んでいてもよく、ガスボックス330は、チャンバ本体のリッドを通してガス供給システムから前駆体を受け取ってもよい。
【0030】
遮蔽板335は、いくつかの実施形態ではチョークとして動作し、構成要素を通る前駆体の横方向または半径方向の分布を促進することができる。遮蔽板335は、面板340上に設置することができ、図示のように面板を通る複数の開孔を画定することができ、その開孔を通じて前駆体を供給して処理領域および基板にアクセスすることができる。面板は、チャンバの処理領域内に処理前駆体のプラズマを生成するための電源と結合されてもよい。リッドスタックの構成要素は、実行される工程を容易にするために温度制御されてもよい。例えば、ガスボックス330が冷却されてもよい一方で、いくつかの実施形態では、面板340が加熱されてもよい。以下で説明するように、面板340上に面板ヒータ342が設置されてもよく、フッ化アルミニウム材料が揮発し得るか、または炭素含有材料と化学反応し得る温度のような工程温度まで面板を加熱するように構成されてもよい。したがって、面板ヒータ342は、標準的な堆積システムよりも高い温度まで面板を加熱することができる。この追加の熱負荷により、遮蔽板335を介して、ガスボックス330などの冷却された構成要素への分配が増大する可能性がある。面板の温度を維持するようにヒータの電力要件を制限するために、いくつかの実施形態では、遮蔽板とガスボックスとの接触を減らしてもよく、これにより、構成要素間の熱伝達が低下し得る。
【0031】
例えば、遮蔽板335は、ガスボックスとの接触面よりも、面板に対して広い接触面を有していてもよい。さらに、ガスボックスに面する外面の遮蔽板の周りに、凹んだ棚を形成してもよい。これにより、ガスボックスとの接触面積が減少し、ならびに構成要素間の熱伝達が減少し得る。ガスボックスと接触する形成された突出部は、ガスケットを構成要素の間に設置できるのに十分な距離だけ半径方向に延在していてもよい。さらに、遮蔽板へのさらなる加熱を制限するために、いくつかの実施形態では、面板ヒータ342は遮蔽板335に接触しなくてもよく、構成要素間に間隙が維持されてもよい。システム300は、処理チャンバの外側に、チャンバ内に供給される前駆体または流体のためのアクセス位置を提供し得る、追加の構成要素を含んでいてもよい。
【0032】
例えば、出口マニホールド345が、ガスボックス330または他の何らかのチャンバ部品上に配置されていてもよく、図示されるように、ガスボックスの中央開孔部と軸方向に位置合わせされ得る中央開孔部を通ってチャンバ内への流体のアクセスを提供してもよい。図示されていないが、出口マニホールド345は、処理チャンバ内に分配するために出口マニホールドに前駆体を提供することができる溶接物または入口マニホールドと流体的に結合され得ることを理解されたい。さらに、出口マニホールド345には、アダプタ355上に設置され得る遠隔プラズマ源ユニット350が結合されていてもよい。出口マニホールドは、前駆体を供給するための処理チャンバまたは中央開孔部へのアクセスまたはバイパスチャネルを提供し得るが、出口マニホールドを通る中央開孔部は、アダプタ355を通る中央開孔部と軸方向に位置合わせされ、遠隔プラズマ源ユニット350の出口と結合され得る。以下でさらに説明するように、遠隔プラズマ源ユニットは、洗浄工程または任意の他の半導体処理工程中に、洗浄または他の処理工程のために処理チャンバ内に供給されるプラズマ放出物を生成してもよい。
【0033】
図4は、本技術のいくつかの実施形態による例示的な半導体処理方法400の工程を示す。本方法は、前述の任意の特徴または構成要素を含み得る、上述の処理システム200および300を含む様々な処理チャンバ内で実行することができる。方法400は、本技術による方法のいくつかの実施形態に特に関連付けられる場合も関連付けられない場合もある、多数の任意選択の工程を含んでいてもよい。例えば、工程の多くは、技術のより広い範囲を提供するために説明されているが、技術にとって重要ではなく、またはすぐに理解されるように代替の方法論によって実行されてもよい。
【0034】
方法400は、リストされた工程の開始前に追加の工程を含んでいてもよい。例えば、方法400を開始する前に半導体処理を実行してもよく、半導体処理にはチャンバの処理領域内で実行される堆積工程が含まれていてもよい。処理工程は、方法400が実行され得るチャンバまたはシステム内で実行されてもよい。例えば、基板が、上述のシステム300からの構成要素の一部または全部を含むような処理チャンバ内に受け取られると、基板上で堆積工程を実行することができる。堆積は、ハードマスク、誘電体材料、金属または他の導電性材料を含む任意の数の材料の堆積、および任意の他の堆積工程を含んでもよい。堆積が完了すると、処理された基板はチャンバから取り出され得る。堆積処理では、チャンバの複数の表面または構成要素に材料が堆積する可能性があるため、本技術の実施形態に従って洗浄工程を実行してもよい。
【0035】
方法400は、半導体処理チャンバの処理領域を洗浄するために、1つまたは複数の洗浄前駆体のプラズマを形成することを含み得る。洗浄前駆体は、キャリアガス、酸素または酸素含有前駆体、水素または水素含有前駆体、および1つまたは複数のハロゲン含有前駆体を含む、任意の数の材料を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、洗浄前駆体は、単独で、または前述の任意の他のガスに加えて、フッ素含有前駆体を含んでいてもよく、工程405でプラズマ放出物を生成するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では任意のフッ素含有前駆体が使用され得るが、フッ素含有前駆体は、三フッ化窒素であってもよいし、三フッ化窒素を含んでいてもよい。プラズマは、前述したように遠隔プラズマシステムユニット内で実行することができ、工程410でチャンバ洗浄を実行することなどにより、チャンバの処理領域に流入され、チャンバから堆積材料および他の副生成物を除去することができる。流路に沿った任意の表面が洗浄され得るが、流れは、面板の露出表面、ならびにペデスタルプラテン、チャンバ側壁、または基板処理領域を画定し得る、もしくは露出され得る他の任意の表面などの処理領域内の表面と接触するように構成されてもよい。
【0036】
上で説明したように、処理チャンバの多くの構成要素はアルミニウムであってもよいし、アルミニウムを含んでいてもよい。面板およびチャンバ壁は、アルミニウムまたはコーティングされたアルミニウム材料であってもよいし、アルミニウムまたはコーティングされたアルミニウム材料を含んでいてもよい。さらに、基板支持体はアルミニウムを含んでいてもよく、支持面として窒化アルミニウムまたはいくつかの他のアルミニウム含有材料を含んでいてもよい。堆積後に基板がチャンバから取り出されるとき、支持体表面が洗浄廃水にさらされる可能性がある。これらの露出表面のいずれか(乾材が除去された後の露出を含む)により、工程415でアルミニウムとフッ素ラジカルとの相互作用からフッ化アルミニウムが生み出され得る。温度はフッ化アルミニウムの生成に大きな影響を与える可能性があり、いくつかの実施形態では、本技術は、約400℃以上の基板または基板支持体の温度で堆積および/または洗浄工程を行ってもよく、約450℃以上、約500℃以上、約550℃以上、約600℃以上、約650℃以上、約700℃以上、またはそれより高い温度で工程を行ってもよい。これによりフッ化アルミニウムの発生がさらに促進され得る。いくつかの緩和オプションは上記のように実行され得るが、洗浄中にある程度の量のフッ化アルミニウムが生み出され得る。
【0037】
他のチャンバ表面はより低い温度に維持されてもよく、面板とチャンバ側壁により、フッ化アルミニウムがより低温の表面に凝縮し得る。洗浄によるさらなる相互作用は、これらのフッ素ベースの残留物に影響を及ぼさない可能性があり、材料は表面に残る可能性がある。これにより、落下粒子が基板に衝突することでその後の処理に影響を及ぼす可能性があり、また、堆積時の活性電極であり得る面板がフッ化アルミニウムの蓄積物でコーティングされ得るため、処理ドリフトが発生し得る。フッ化アルミニウムの蓄積を減らし、処理チャンバから排出するために、本技術は、フッ化アルミニウムをチャンバからパージできる揮発性種に変換するための1つまたは複数の追加工程を実行してもよい。
【0038】
洗浄が実行された後、方法400は、工程420において、処理領域内の表面を炭素含有前駆体と接触させることができる。炭素含有前駆体は、フッ化アルミニウムの蓄積を引き起こす低温になる可能性がある、面板やチャンバ壁の表面などの処理領域内の露出表面と確実に接触するように流されてもよい。炭素含有前駆体は、炭素を含む任意の数の前駆体であってもよい。例えば、炭素含有前駆体は、任意のアルカン、アルケン、アルキン、または非限定的な例として、エタン、エテン、プロパン、プロペン、もしくは任意の高次炭化水素を含み得る芳香族材料を含む炭化水素であってもよいし、または炭化水素を含んでいてもよく、あるいは、前駆体は、炭素、水素、酸素、または窒素のうちの1つまたは複数を含む材料であってもよい。いくつかの実施形態では、炭素含有前駆体は、少なくとも1つのメチル部分を含み得るが、いくつかの実施形態では、炭素含有前駆体は、水素含有材料と共に供給されてもよく、これにより、フッ化アルミニウムが付着する可能性のある構成要素の表面温度で揮発性であり得る追加の副生成物を生み出すために、フッ化アルミニウムと反応し得るメチル基の発生が可能になり得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、炭素含有前駆体は、一般式AlFx(CH3)yによって特徴付けられる材料の発生を可能にし得る。ここで、xおよびyは、任意の整数または小数であり得る。これらの材料はフッ化アルミニウムよりも揮発性が高く、チャンバ表面から蒸発させられ得る。この処理は熱的に実行されてもよく、いくつかの実施形態では、接触工程はプラズマを使用しない工程として実行されてもよく、熱活性化工程として実行されてもよい。ただし、チャンバの多くの構成要素が維持され得る温度では、メチル化フッ化アルミニウムを生み出す反応は起こらない可能性がある。例えば、堆積工程または処理中に面板が加熱され得るが、その温度は反応を起こすのに十分ではない可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、面板は、約200℃以上の温度に維持されてもよく、約220℃以上、約240℃以上、約260℃以上、約280℃以上、約300℃以上、またはそれより高い温度に維持されてもよい。面板は、他の工程の中でも特に接触工程中にこの温度まで上昇する場合があり、または、方法のすべての工程は、記載された温度のいずれかで面板を使用して実行することもできる。接触中により高い面板温度を利用することによって、揮発性副生成物の反応および生産が促進され得、それにより、工程425で処理チャンバ内の表面から材料を除去できるようになり得る。その後、材料をチャンバからパージすることができる。
【0040】
堆積および洗浄工程は、約1Torr以上、約3Torr以上、約10Torr以上またはそれより高いチャンバ圧力で実行され得るが、いくつかの実施形態では、揮発性副生成物がフッ化アルミニウムから生み出されると、排気工程が実行されてもよく、これにより、チャンバ内の圧力が堆積または洗浄処理圧力よりも低くなり得る。例えば、いくつかの実施形態では、圧力は、約1Torr以下に減じられてもよく、約750mTorr以下、約500mTorr以下、約250mTorr以下、約100mTorr以下、またはそれ未満に減じられてもよい。これにより、追加のフッ化アルミニウムをチャンバからパージできるようになり、追加のチャンバ表面に再堆積する可能性が低くなり得る。
【0041】
方法400の接触工程は、実行される処理全体に応じて、1つまたは複数のやり方で実行されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、炭素含有前駆体は、フッ素ラジカル種による処理に続いて供給されてもよい。したがって、十分な洗浄時間の後、フッ素含有前駆体のプラズマ生成を停止することができ、チャンバをパージしてもよい。次いで、チャンバにまだ基板がない状態で、炭素含有前駆体をチャンバに流し込んでもよい。揮発種は次いで、チャンバからポンプで汲み出され、乾材または基板の供給などの処理に続いて実行され得る。
【0042】
さらに、炭素含有前駆体を利用する可能性のある一部の処理は、堆積前のフッ化アルミニウムの除去を促進するための特定の工程を含んでいてもよい。例えば、堆積残留物または副生成物を除去するために洗浄工程が実行された後の、および炭素含有堆積が実行されたいくつかの実施形態では、後続の基板がチャンバの処理領域に供給されてもよい。後続の堆積はプラズマ励起堆積を含み得るが、プラズマを当てる前に、炭素含有前駆体が処理領域に流入して揮発性フッ化アルミニウム副生成物が生み出され得、その後チャンバからポンプで汲み上げられ得る。次いで、炭素含有材料の堆積を進めるためにプラズマが当てられている間、炭素含有前駆体の流れは継続するか、または1つまたは複数の追加の前駆体の供給と共に調整され得る。したがって、堆積残留物の前駆体であり得る炭素含有前駆体は、チャンバ部品からのフッ化アルミニウムの除去を容易にするために使用することもできる。同様に、チャンバに適用される乾材が適切な炭素含有前駆体で形成され得る場合、基板の供給または任意の乾材プラズマ発生の前に、炭素含有前駆体をチャンバに流し込んでフッ化アルミニウムの揮発性副生成物を生み出し、続いて乾材前駆体のパージとそれに続くプラズマ励起を行ってもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、フッ化アルミニウムの発生および除去を促進するために追加の工程を実行することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、フッ化アルミニウム残留物は、より低温の表面であり得るスリットバルブまたは処理チャンバへの入口にも堆積する可能性がある。堆積後の基板が除去された後、洗浄中に基板支持体が持ち上げられて動作位置に戻されてもよい。ただし、本技術のいくつかの実施形態では、方法400は、スリットバルブまたはチャンバへのアクセスと一致するレベルまたはそれより下のレベルまで基板支持体を下げることを含んでもよい。基板支持体の移動は、例えば、基板支持体が処理高さまたは洗浄高さに維持される初期期間の後など、洗浄工程中に発生し得る。炭素含有前駆体の流れは、基板支持体の移動中に連続的であってもよい。これにより、追加の表面からフッ化アルミニウムを洗浄できる可能性がある。
【0044】
フッ化アルミニウムの軽減が行われる多くの従来の処理では、フッ化アルミニウムの発生を制限しようとして、洗浄処理自体が調整され得る。処理温度を下げることに加えて、最小限の量のフッ素含有前駆体を使用して洗浄処理を実行することもできる。ただし、本技術では生成されたフッ化アルミニウムが除去されるため、製造上の問題は少なく、したがって、より強力な洗浄が実行され得る。例えば、いくつかの実施形態では、フッ素含有前駆体の流れを増加させることにより、洗浄時間を大幅に短縮することができる。本技術は、基板100枚あたり、90%を超える処理ドリフトを制限できるため、洗浄中のフッ化アルミニウムの発生をより良く制御できるようになる。したがって、従来の技術とは異なり、処理は、約500sccm以上のフッ素含有前駆体の流量で洗浄工程を実行することを含んでいてもよく、約600sccm以上、約700sccm以上、約800sccm以上、約900sccm以上、約1000sccm以上、約1100sccm以上、約1200sccm以上、またはそれを超える流量を利用することを含んでいてもよい。これにより、洗浄時間を、従来の技術では、フッ化アルミニウムの生産量を大幅に増加させたり、その後の堆積中に欠陥の生成や処理ドリフトを発生させたりすることなしでは実行できない可能性がある、約4分以下にすることができ、約3.5分以下、約3分以下、約2.5分以下、約2分以下、またはそれ未満とすることができる。本技術による方法を利用することにより、洗浄工程中に、生成されたフッ化アルミニウムの除去を実行することにより、処理ドリフトおよび落下粒子を制限することができる。
【0045】
前述の説明では、説明の目的で、本技術のさまざまな実施形態の理解を提供するために多くの詳細が述べられてきた。しかしながら、特定の実施形態は、これらの詳細のいくつかを省略して、または追加の詳細を加えて実施できることは、当業者には明らかであろう。
【0046】
いくつかの実施形態を開示したが、実施形態の精神から逸脱することなく、さまざまな変更、代替構造、および均等物を使用できることが当業者には理解されよう。さらに、本技術を不必要に曖昧にすることを避けるために、多くのよく知られた処理および要素については説明されていない。したがって、上記の説明は本技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0047】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、その範囲の上限と下限との間の介在する各値も、下限の単位の最小の端数まで具体的に開示されることが理解される。記載された値または記載された範囲内の記載されていない介在値と、記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在する値との間の任意の狭い範囲が含まれる。これらの小さい範囲の上限と下限は、独立して範囲に含めたり除外したりでき、より小さい範囲に、制限のいずれかが含まれる、いずれも含まれない、または両方が含まれる各範囲も、記載された範囲内で特に除外される任意の制限の影響を受けて、本技術内に包含される。記載された範囲に制限の一方または両方が含まれる場合、これらの含まれる制限の一方または両方を除いた範囲も含まれる。
【0048】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の言及が含まれる。したがって、例えば、「前駆体」への言及には複数のそのような前駆体が含まれ、「材料」への言及には、当業者に知られている1つまたは複数の材料およびその均等物への言及が含まれる、などである。
【0049】
また、本明細書および以下の特許請求の範囲で使用される「備える(comprise(s))」、「備えている(comprising)」、「包含する(contain(s))」、「包含している(containing)」、「含む(include(s))」、および「含んでいる(including)」という用語は、記載された機能、整数、構成要素または工程の存在を指定することを目的としているが、1つまたは複数の他の機能、整数、構成要素、工程、行為、またはグループの存在または追加を除外するものではない。
【国際調査報告】