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特表2024-525278処理システム内の圧力変化時における基板の汚染の防止
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】処理システム内の圧力変化時における基板の汚染の防止
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240705BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240705BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240705BHJP
   C23C 14/56 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/31 B
H01L21/302 101G
C23C14/56
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571271
(86)(22)【出願日】2022-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022040374
(87)【国際公開番号】W WO2023023001
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】63/260,301
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/886,748
(32)【優先日】2022-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】メデュア, ロバート エー.
(72)【発明者】
【氏名】タン, レイチェル チュー-ホイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, チャンコン
(72)【発明者】
【氏名】クオ, ユアンホン
(72)【発明者】
【氏名】パディー, サイ
(72)【発明者】
【氏名】オカダ, アシュレー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ル, ケネス
(72)【発明者】
【氏名】キリカルスラン, アッティラ
(72)【発明者】
【氏名】フルゼク, ディーン シー.
【テーマコード(参考)】
4K029
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K029DA09
4K029EA03
4K029KA09
5F004BC05
5F004BC06
5F004BD04
5F004BD05
5F004CA02
5F004DA23
5F004DA25
5F045AC15
5F045AC16
5F045BB15
5F045DQ17
5F045EB08
5F045EB09
5F045EE04
5F045EG02
5F045EG05
5F045EN04
5F045GB02
5F045GB06
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA39
5F131BB04
5F131CA09
5F131CA12
5F131CA32
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131DB52
5F131DB76
5F131GA14
5F131HA12
5F131HA24
5F131JA09
5F131JA12
5F131JA23
5F131JA24
5F131JA27
5F131JA34
(57)【要約】
基板処理システム内での圧力変化時における基板の汚染を最小限にするための実装形態が開示される。基板処理システムのチャンバ内での圧力変化(増加または減少)の持続時間にわたって、流量は、チャンバの環境内の汚染粒子の発生を低減させるために複数回調節される。一部の例では、流量は、チャンバの圧力力学に対する連続制御を可能にする少なくとも1つの動的バルブを用いて連続して変更される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システムのロードロックチャンバ(LLC)であって、前記LLCに流れ込むように誘導される、または前記LLCから流れ出すように誘導されるガスの流れを調整する1つまたは複数のバルブを有するロードロックチャンバ(LLC)と、
コントローラであって、
前記LLCが外部環境から密閉された状態で、前記1つまたは複数のバルブを通るガスの前記流れを開始し、
ガスの前記流れの割合を、複数の時間の各々において、複数の基準流量(RFR)のそれぞれのRFRに一致させ、前記複数のRFRは、少なくとも3つのRFRを含み、前記LLCの環境内の1つまたは複数の汚染物質の発生を最小限にするように決定される
ように構成されるコントローラとを備える、システム。
【請求項2】
前記複数のRFRは、初期圧力、最終圧力、および前記初期圧力から前記最終圧力への前記LLCの前記環境の移行のターゲット持続時間を考慮して決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つまたは複数の汚染物質は、初期圧力から最終圧力への前記LLCの前記環境の移行中に前記LLCの前記環境内に現れる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラに通信可能に接続された圧力センサをさらに備え、前記コントローラはさらに、
前記圧力センサから、現在の圧力読み取り値を受け取り、
前記受け取った現在の圧力読み取り値と、複数の基準圧力値のそれぞれの基準圧力値との差を取得し、前記それぞれの基準圧力値は、現在の時点に対応付けられており、
前記取得した差を緩和するために、前記1つまたは複数のバルブを通るガスの前記流れの前記割合を調節する
ように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つまたは複数のバルブは、ガスの前記流れを連続して調整するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
ガスの前記流れは、前記LLCの中に誘導され、前記複数のRFRは、前記LLCの前記環境内での前記LLCの内面からの粒子状物質の再懸濁を最小限にするように選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
ガスの前記流れは、前記LLCから流れ出すように誘導され、前記複数のRFRは、前記LLCの前記環境内でのエアロゾル形成を防止するように選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
第1のチャンバおよび第2のチャンバを含む基板処理システム(SPS)と、
前記SPSの前記第1のチャンバから前記SPSの前記第2のチャンバを選択式に密閉および開放するように構成された第1のゲートと、
前記SPSの前記第1のチャンバ内へのガスの流れを連続して調整するように構成された第1のバルブと、
前記第1のゲートおよび前記第1のバルブに通信可能に接続されたコントローラであって、
前記第1のゲートに、前記SPSの前記第1のチャンバを前記SPSの前記第2のチャンバから密閉させ、
前記第1のバルブに、第1の入力信号を受信させ、前記第1の入力信号は、前記第1のバルブに第1の時間周期にわたって前記SPSの前記第1のチャンバ内へのガスの前記流れを連続して調整させるように構成されている、コントローラとを備える、システム。
【請求項9】
前記第1の入力信号は、前記SPSの前記第1のチャンバの内部の圧力がターゲット圧力値の時間的シーケンスをたどるようにするように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ターゲット圧力値の前記時間的シーケンスは、前記第1の時間周期中、前記SPSの前記第1のチャンバ内での粒子の再懸濁の度合いを低減するように決定される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラはさらに、前記第1のバルブに第2の入力信号を受信させ、前記第2の入力信号は、前記第1のバルブに、第2の時間周期にわたって前記SPSの前記第1のチャンバから流れ出すガスの前記流れを連続して調整させるように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の入力信号は、前記SPSの前記第1のチャンバの内部の圧力がターゲット圧力値の時間的シーケンスをたどるようにするように構成され、
前記ターゲット圧力値の前記時間的シーケンスは、前記第2の時間周期中、前記SPSの前記第1のチャンバ内の凝縮を低減するように決定される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のバルブは、比例バルブである、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のバルブは、コイルを備え、前記第1の入力信号は、前記コイルに、前記第1の時間周期にわたって、連続して変動する磁界を生成させるように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のバルブの開口部を調整するように構成された第2のバルブをさらに備え、前記コントローラはさらに、前記第2のバルブに第2の入力信号を受信させるように構成され、前記第2の入力信号は、前記第2のバルブに前記第1のバルブの前記開口部を調整させるように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の時間周期にわたって前記SPSの前記第1のチャンバに流れ込むガスの前記流れは、前記SPSの前記第1のチャンバの内部の圧力がターゲット圧力を超えた後、ターゲット流量まで増加させられる、請求項8に記載のシステム。
【請求項17】
前記SPSの前記第1のチャンバの内部の圧力を連続して検出し、前記検出された圧力を前記コントローラに伝達する圧力センサをさらに備え、前記コントローラは、前記伝達された圧力を考慮して前記第1の入力信号を調節させるように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の入力信号は、前記SPSの前記第1のチャンバの内部の前記圧力を、前記SPSの前記第1のチャンバ内の1つまたは複数の汚染物質の発生を最小限にするように決定された時間曲線をたどるようにするように調節される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のバルブは、前記第1のバルブの状態を連続して検出し、前記第1のバルブの前記検出された状態を前記コントローラに伝達するゲージを備え、前記コントローラは、前記第1のバルブの前記伝達された状態を考慮して前記第1の入力信号を調節させるように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項20】
前記SPSは、
前記SPSの前記第1のチャンバを前記SPSの第3のチャンバから選択式に密閉および開放するように構成された第2のゲートと、
前記SPSの前記第1のチャンバから流れ出すガスの流れを連続して調整するように構成された第2のバルブとをさらに備え、
前記コントローラは、前記第2のゲートおよび前記第2のバルブと通信可能に接続され、さらに、
前記第2のゲートに前記SPSの前記第1のチャンバを前記SPSの前記第3のチャンバから密閉させ、
前記第2のバルブに、第1の入力信号を受信させ、前記第1の入力信号は、前記第2のバルブに、第2の時間周期にわたって前記SPSの前記第1のチャンバから流れ出すガスの前記流れを連続して調整させるように構成される、
ように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項21】
基板処理システム(SPS)の第1の区画から前記SPSの第2の区画に基板を移動させる方法であって、
前記SPSの前記第1の区画と前記第3の区画との間の第1のゲートを開放することと、
前記第1の区画から前記第3の区画に前記基板を移動させることと、
前記第1のゲートを閉鎖して、前記第3の区画を前記第1の区画から隔離することと、
前記第3の区画を前記第2の区画から隔離するように第2のゲートを制御することと、
ガスの流れを開始することであって、前記ガスの前記流れは、(i)前記第3の区画に流れ込む前記ガスの流れ、または(ii)前記第3の区画から流れ出す前記ガスの流れのうちの1つである、ガスの流れを開始することと、
前記ガスの前記流れの割合が、複数の時間の各々において、複数のターゲット基準流量(RFR)のそれぞれのRFRを有するようにさせることであって、前記複数のRFRは、前記ガスの前記流れによって生じる前記第3の区画内の汚染粒子の発生を最小限にするモデリングに基づいて決定される、複数のRFRのそれぞれのターゲット基準流量(RFR)を有するようにさせることと、
前記第3の区画内の圧力が初期圧力から最終圧力に変化するのに応答して、前記第2のゲートを開放し、前記第3の区画から前記第2の区画に前記基板を移動させることとを含む、方法。
【請求項22】
前記ガスの前記流れは、前記第3の区画へと流れ、前記モデリングは、前記第3の区画の表面に吸着した汚染粒子に作用する抵抗力を特徴付ける第1のモデルを使用し、前記第1のモデルへの入力は、
前記ガスの粘度と、
前記第3の区画の前記表面付近のガスの速度とを含み、前記ガスの前記速度は、前記第3の区画に流れ込む前記ガスの前記流れの前記割合に基づいて決定される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記モデリングは、前記第3の区画の前記表面に対する前記汚染粒子の親和性を特徴付ける第2のモデルを使用し、前記モデリングは、
前記第1のモデルおよび前記第2のモデルの出力を用いて、前記第3の区画の前記表面からの前記汚染粒子の再懸濁の瞬間確率を決定することと、
前記第3の区画内の前記圧力を前記初期圧力から前記最終圧力に変化させるターゲット持続時間の後、前記第3の区画の前記表面に吸着したままの前記汚染粒子の割合を決定することとを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記複数のRFRはさらに、(i)前記第3の区画内の前記圧力を前記初期圧力から前記最終圧力に変化させるターゲット持続時間、および(ii)前記第3の区画の前記表面に吸着したままの汚染粒子のターゲット割合に基づいて決定される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記ガスの前記流れは、前記第3の区画から出て行き、前記汚染物質は水粒子であり、前記モデリングは、
前記複数の時間の各々において、前記水粒子の凝縮に関連する複数の閾値圧力のそれぞれの閾値圧力を決定することを含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この当面の明細書は一般に、電子デバイス製造システムにおける基板(例えば、ウエハ)の品質の改善に関し、より具体的には、基板処理装置の環境における汚染物質の存在を最小限にする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代材料の製造は、プラズマエッチング技術、化学堆積技術および物理気相堆積(PVD)技術を含めた様々なエッチング技術および堆積技術を伴う場合が多く、そこでは、1つまたは複数の選択された種類の原子が、真空堆積チャンバによって提供された低真空または高真空環境に保持された特別に準備された基板上に堆積される。この技法を利用して製造される材料は、単結晶、半導体フィルム、微細コーティングなど、電子デバイス製造などの実用的用途で使用される多数の他の物質を含む。これらの用途の多くは、堆積チャンバ内で成長した材料の純度について一定の基準を必要とする。チャンバ間の環境の分離を維持し、周辺大気およびその中の汚染物質へのその暴露を最小限にする必要性は、基板の操作およびチャンバ制御の様々なロボット技術を生み出す。自動操作は、非常に異なる環境を有するチャンバ間で基板を移動させるロボットを伴う場合が多い。
【0003】
本開示の態様および実施形態は、以下に提供される詳細な記載および添付の図面からより十分に理解されるが、開示を特有の態様または実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、これらは単に説明および理解を目的としている。図面が、例示の目的のために以下に記載されるが、これは必ずしも縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本開示の一部の実施形態による、処理システム(例えば基板処理システム)の概略図である。
図2】本開示の一部の実施形態による、圧力変化時における基板汚染の有効な防止を可能にする基板処理システムの概略図である。
図3】本開示の一部の実施形態による、基板製造のポンプアップ段階における基板の汚染を最小限にするように決定された、ロードロックチャンバへの圧力(上のグラフ)およびロードロックチャンバ内へのガスの流量(下のグラフ)の変化の型の概略図である。
図4】本開示の一部の実施形態による、基板処理システムにおける汚染物質の存在を低減する、ポンプアッププロセスに関するターゲット圧力およびターゲット流量を決定するのに使用される一例のアルゴリズムの概略図である。
図5】本開示の一部の実施形態による、基板処理システムのポンプダウン段階における、液体の凝縮を最小限にするように決定された、ロードロックチャンバの圧力(上のグラフ)およびロードロックチャンバから流れ出すガスの流量(下のグラフ)の変化の型の概略図である。
図6】本開示の一部の実施形態による、基板処理システムにおける液体の凝縮を低減する、ポンプダウンプロセス中のターゲット圧力およびターゲット流量を決定するのに使用される一例のアルゴリズムの概略図である。
図7A】本開示の一部の実施形態による、圧力変化時における基板処理システムにおける製品の汚染を防止するのに使用することができる一例のバルブ制御システムの図である。
図7B】本開示の一部の実施形態による、圧力変化時における基板処理システムにおける製品の汚染を防止するための別の一例のバルブ制御システムの図である。
図8】本開示の一部の実施形態による、基板処理システムにおける汚染物質の発生を最小限にする圧力変化を規定する方法のフロー図である。
図9】本開示の一部の実施形態による、汚染物質に対する物質の暴露を最小限にしつつ、基板処理システムの第1の区画から基板処理システムの第2の区画に基板を移動させる方法のフロー図である。
図10】本開示の一部の実施形態による、基板処理システムにおける汚染物質の発生を最小限にする圧力および流量の変化の型をモデリングする方法のフロー図である。
図11】本開示の1つまたは複数の態様による、一例の処理デバイス動作のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
基板処理システムにおいて、基板(例えば、シリコンウエハ)は、いくつかの処理段階を経ることができる。例えば、未処理の基板を、例えば前方開口型統一ポッド(FOUP)などの基板キャリアの中で処理システムに送達することができる。FOUPは、ファクトリインターフェース(フロントエンドモジュール)にドッキングすることができる。ファクトリインターフェースロボットのロボットアームが、FOUPから基板を取り出し、基板をロードロック(ガス抜きチャンバ)に送達することができる。別のロボットアームを、その後、移送チャンバから伸張させ、基板をロードロックチャンバから取り出し、基板を処理するために、移送チャンバからアクセス可能な1つまたは複数の処理チャンバに送達することができる。多数の処理チャンバを設けることができる。基板は、例えば、マスク堆積、エッチング、マスク取り外し、基板堆積など、処理の様々な段階を実行することができる様々な処理チャンバ間で(例えば、移送チャンバロボットによって)移動させることができる。処理後、基板は、例えば移送チャンバ、ロードロックチャンバ、ファクトリインターフェースなどを通して(同じ、または異なる)FOUPに戻すことができる。各チャンバは、例えば、温度、圧力、ガスの種類など固有の環境を有することができる。例えば、移送チャンバ(および処理チャンバ)は、大気圧よりずっと低い圧力Pを有する低真空環境または高真空環境を有することができる。一方、ファクトリインターフェース(およびFOUP)は、大気圧に近い圧力Pを有することができる。したがって、ロードロックチャンバ(ガス抜きチャンバ、または任意の他のチャンバ)は、ファクトリインターフェースと移送チャンバとの間のエアロックとして機能することができる。具体的には、基板をファクトリインターフェースからロードロックチャンバに(およびその後移送チャンバに)移動すべきとき、ロードロックチャンバ内の圧力を、Pから移送チャンバ内の圧力Pまで徐々に下げることができる。そのようなポンプダウンプロセスは、急速に行われる場合、ロードロックチャンバ内の温度を下げ、基板上の様々な蒸気(例えば、水蒸気)の凝縮をもたらす場合がある。基板によって移送チャンバおよび処理チャンバへとその後運ばれる凝縮物は、(例えば、堆積した材料が適切に基板に付着するのを阻止することにより)製造プロセスおよび最終製品の品質に悪影響を与える可能性がある。一方、ポンプダウンプロセスは、ゆっくりと行われた場合、システムの製造出力(スループット)を低下させる。同様に、基板が、移送チャンバからロードロックチャンバに(およびその後ファクトリインターフェース)に移動される際、ロードロックチャンバ内の圧力は、Pからファクトリインターフェース内の圧力Pへと徐々に上昇する。そのようなポンプアッププロセスは、急速に行われた場合、ロードロックチャンバの壁に残っている(吸着された)様々な粒子をロードチャンバの環境内に放出する可能性がある。放出された粒子は、基板の上に乗り、汚染物質となる可能性がある。ポンプダウンプロセスの場合のように、ポンプアッププロセスの速度を落とすことは、分離した(再懸濁した)粒子の数を低減させるが、製造スループットを減少させることになる。既存の技法は、ポンプダウンプロセスを2つの局面、すなわち低速の第1の局面と、高速の第2の局面に分割することを伴う。第1の局面は、第1の(低)流量(ベント速度)およびロードロックチャンバの内部の圧力の対応するゆっくりとした増加によって特徴付けられる。第2の局面は、流量を第2の(増加した)流量値に切り替えることで始まる。その後、圧力はさらに速く増加する。そのような流量の二段階制御は、ポンプアッププロセスの最初の(およびより影響を受けやすい)局面において圧力が増加する速度を制限することによって、分離する可能性のある粒子の数を減少させる。ロードロックチャンバの環境内に放出される汚染物質の数をある程度まで減少させるが、既存の二段階技法は、第1のベント速度値および第2のベント速度値が経験により設定されるため、柔軟性および調整性に限界がある。
【0006】
本開示の態様および実施形態は、基板製造で使用される既存のポンプダウンおよびポンプアップ技法のこれらの、および他の欠点に対処する。本明細書には、とりわけ、ロードロックチャンバの環境への汚染物質の放出を最小限にするために、ポンプダウンプロセスおよびポンプアッププロセスの両方においてロードロックチャンバ内の圧力P(t)の最適な変化の型の決定を可能にする実装形態が記載される。一部の実施形態では、汚染物質の最小限化は、ポンプアップ段階中の環境への粒子の再懸濁を判定する実際の物理プロセスと、ポンプダウン段階中の蒸気凝縮を判定する実際の物理プロセスを考慮するシミュレーションに基づいている。加えて、それぞれのプロセスの複数の時点(時点)において、ロードロックチャンバに流れ込む、またはロードロックチャンバから流れ出すガス流の流量F(t)を設定し制御することを可能にする動的バルブ制御設定も記載される。一部の実施形態では、ポンプアップ段階およびポンプダウン段階の各々は、ロードロックチャンバ内での汚染物質の発生を最小限にするように計算された3つ、4つなどの異なる流量を設定することを伴う場合もある。一部の実施形態では、ポンプアップ段階およびポンプダウン段階の各々は、連続式に、または準連続式に流量F(t)を設定することを伴う場合があり、これは、それぞれの段階の持続時間にわたって大きな数N(例えば、N=10、20、50など)の時点で流量F(t)を設定する(または調節する)ことを伴う場合がある。
【0007】
図1は、本開示の一部の実施形態による、処理システム100(例えば、基板処理システム)の概略図を例示する。処理システム100は、ファクトリインターフェース(FI)101と、ロードポート128(例えば、ロードポート128A-D)とを含む。一部の実施形態では、ロードポート128A-Dは、FI101に直接設置される(例えばFI101に対して密閉される)。エンクロージャシステム130(例えば、カセット、FOUP、処理キットエンクロージャシステムなど)は、ロードポート128A-Dに取り外し可能に結合する(例えばドッキングする)ように構成される。図1を参照すると、エンクロージャシステム130Aは、ロードポート128Aに結合され、エンクロージャシステム130Bは、ロードポート128Bに結合され、エンクロージャシステム130Cは、ロードポート128Cに結合され、エンクロージャシステム130Dは、ロードポート128Dに結合される。一部の実施形態では、1つまたは複数のエンクロージャシステム130は、基板および/または他の製品を処理システム100内に移動させる、および処理システム100から外に移動させるためにロードポート128に結合される。エンクロージャシステム130の各々は、それぞれのロードポート128に対して密閉してよい。一部の実施形態では、第1のエンクロージャシステム130Aは、ロードポート128Aにドッキングされる。そのような1つの動作および複数の動作が行われると、第1のエンクロージャシステム130Aは、ロードポート128Aから切り離され、その後、第2のエンクロージャシステム130B(例えば、基板を中に含むFOUP)が、同じロードポート128Aにドッキングされる。一部の実施形態では、エンクロージャシステム130(例えば、エンクロージャシステム130A)は、較正動作および診断動作を実行するためのシステムである。一部の実施形態では、エンクロージャシステム130(例えば、エンクロージャシステム130B)は、プロセスキットリングなどの内容物110を処理システム100内に、および処理システム100から外に移動させるためのプロセスキットエンクロージャシステムである。
【0008】
一部の実施形態では、ロードポート128は、開口を形成するフロントインターフェースを含む。ロードポート128は追加で、エンクロージャシステム130を支持する水平面を含む。各エンクロージャシステム130は、垂直開口を形成するフロントインターフェースを有する。エンクロージャシステム130のフロントインターフェースは、ロードポート128のフロントインターフェースとインターフェース接続するようにサイズが決められる(例えば、エンクロージャシステム130の垂直開口は、ロードポート128の垂直開口とおおよそ同じサイズである)。エンクロージャシステム130は、ロードポート128の水平面上に配置され、エンクロージャシステム130の垂直開口は、ロードポート128の垂直開口と合致する。エンクロージャシステム130の前方インターフェースは、ロードポート128の前方インターフェースと相互接続する(例えば、圧締めする、固定される、または密閉される)。エンクロージャシステム130の底部プレート(例えば、ベースプレート)は、ロードポート128の水平面と係合する機構(ロードポートのキネマティックピン機構、ピンの隙間のためのロードポート機構および/またはエンクロージャシステムドッキングトレイラッチクランプ機構と係合する、凹部または受け口などのロード機構)を有する。同じロードポート128が、異なる種類のエンクロージャシステム130に使用される。
【0009】
一部の実施形態では、エンクロージャシステム130B(例えば、プロセスキットエンクロージャシステム)は、1点または複数点の内容物110(例えば、プロセスキットリング、空のプロセスキットリングキャリア、プロセスキットリングキャリア上に配置されたプロセスキットリング、配置確認ウエハなどのうちの1つまたは複数)を含む。一部の例では、エンクロージャシステム130Bは、使用済みプロセスキットリングの交換のために、プロセスキットリングキャリア上のプロセスキットリングを処理システム100内に自動で移動することを可能にするために、(例えば、ロードポート128を介して)FI101に結合される。
【0010】
一部の実施形態では、処理システム100はまた、FI101をそれぞれのロードロックチャンバ104a、104bに結合する第1の真空ポート103a、103bを含む。第2の真空ポート105a、105bがそれぞれのロードロックチャンバ104a、104bに結合され、ロードロックチャンバ104a、104bと移送チャンバ106との間に配置されて、基板および他の内容物110(例えば、プロセスキットリング)の移送チャンバ106への移動を促進する。一部の実施形態では、処理システム100は、1つまたは複数のロードロックチャンバ104および対応する数の真空ポート103、105を含む、および/または使用する(例えば、処理システム100は、単一のロードロックチャンバ104、単一の第1の真空ポート103および単一の第2の真空ポート105を含む)。移送チャンバ106は、その周りに配置され、そこに結合された複数の処理チャンバ107(例えば、4つの処理チャンバ107、6つの処理チャンバ107など)を含む。処理チャンバ107は、スリットバルブなどそれぞれのポート108を通して移送チャンバ106に結合される。一部の実施形態では、FI101は、より高い圧力(例えば、大気圧)であり、移送チャンバ106は、より低い圧力である(例えば、真空)。各ロードロックチャンバ104(例えば、ガス抜きチャンバ)は、ロードロックチャンバ104をFI101から密閉するために第1のドア(例えば、第1の真空ポート103)を有し、ロードロックチャンバ104を移送チャンバ106から密閉するために第2のドア(例えば、第2の真空ポート105)を有する。第1のドアが開放しており、第2のドアが閉鎖されている間に、内容物は、FI101からロードロックチャンバ104内に移動されるべきであり、第1のドアが閉鎖され、ロードロックチャンバ104内の圧力は、移送チャンバ106に適合するように低減され、第2のドアが開放され、内容物がロードロックチャンバ104から外に移動される。(例えば、処理チャンバ107に入る前、処理チャンバ107を出た後に)内容物を移送チャンバ106と整列させるために局所中心発見(LCF)デバイスが使用されるべきである。
【0011】
一部の実施形態では、処理チャンバ107は、エッチチャンバ、堆積チャンバ(原子層堆積、化学気相堆積、物理気相堆積またはそのプラズマ強化型を含む)、アニールチャンバなどのうちの1つまたは複数を含む。
【0012】
ファクトリインターフェース101は、ファクトリインターフェースロボット111を含む。ファクトリインターフェースロボット111は、選択的コンプライアンス組立体ロボットアーム(SCARA)ロボットなど、ロボットアームを含む。SCARAロボットの例は、2連結SCARAロボット、3連結SCARAロボット、4連結SCARAロボットなどを含む。ファクトリインターフェースロボット111は、ロボットアームの一端にエンドエフェクタを含む。エンドエフェクタは、特有の対象物、ウエハなどを持ち上げ、取り扱うように構成される。代替として、または追加として、エンドエフェクタは、較正基板およびプロセスキットリング(エッジリング)などの対象物を取り扱うように構成される。ロボットアームは、エンドエフェクタを異なる配向および異なる場所に移動させるように構成された1つまたは複数の連結部または部材(例えば、リスト部材、上腕部材、前腕部材)を有する。
【0013】
ファクトリインターフェースロボット111は、エンクロージャシステム130(例えば、カセット、FOUP)とロードロックチャンバ104a、104b(またはロードポート)との間で対象物を移動させるように構成される。ファクトリインターフェースロボット111には、実施形態におけるエンクロージャシステム130を用いて、ロードポート128に対する固定位置が教えられる。一実施形態における固定位置は、特定のロードポート128に配置されたエンクロージャシステム130Aの中心位置に対応しており、これは、実施形態では、特定のロードポート128に配置されたエンクロージャシステム130Bの中心位置にも対応する。あるいは、固定位置は、エンクロージャシステム130の前方または後方などエンクロージャシステム130内の他の固定位置に対応する場合もある。ファクトリインターフェースロボット111は、一部の実施形態では、エンクロージャシステム130を用いて較正される。ファクトリインターフェースロボット111は、一部の実施形態では、エンクロージャシステム130を用いて診断される。
【0014】
移送チャンバ106は、移送チャンバロボット112を含む。移送チャンバロボット112は、ロボットアームの一端にエンドエフェクタを備えたロボットアームを含む。エンドエフェクタは、ウエハなど特定の対象物を取り扱うように構成される。一部の実施形態では、移送チャンバロボット112は、SCARAロボットであるが、一部の実施形態では、ファクトリインターフェースロボット111より少ない連結および/または少ない自由度を有する場合がある。
【0015】
コントローラ109が、処理システム100の様々な態様を制御する。コントローラ109は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、マイクロコントローラなどのコンピューティングデバイスである、またはそのようなコンピューティングデバイスを含む。コントローラ109は、1つまたは複数の処理デバイスを含み、これは、一部の実施形態では、マイクロプロセッサ、中央処理装置などの汎用処理デバイスである。より詳細には、一部の実装形態では、処理デバイスは、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、あるいは他の命令セットを実施するプロセッサまたは命令セットの組合せを実施するプロセッサである。一部の実施形態では、処理デバイスは、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つまたは複数の特殊用途処理デバイスである。一部の実施形態では、コントローラ109は、データストレージデバイス(例えば、1つまたは複数のディスクドライブおよび/または固体ステートドライブ)、メインメモリ、スタティックメモリ、ネットワークインターフェースおよび/または他の構成要素を含む。一部の実施形態では、コントローラ109は、命令を実施して、本明細書に記載される方法またはプロセスのうちの1つまたは複数を行う。命令は、コンピュータ可読ストレージ媒体に記憶され、これは(命令の実施中に)、メインメモリ、スタティックメモリ、二次ストレージおよび/または処理デバイスを含む。コントローラ109は、一部の実施形態では、ファクトリインターフェースロボット111およびウエハ移送チャンバロボット112から信号を受信し、それらに対する制御を送信する。
【0016】
開示の一態様によると、内容物110(例えば、基板またはプロセスキットリング)を処理チャンバ107内に移動させるために、内容物110は、FI101内に配置されたファクトリインターフェースロボット111を介してプロセスキットエンクロージャシステム130Bから取り出される。ファクトリインターフェースロボット111は、第1の真空ポート103a、103bのうちの1つを通り、それぞれのロードロックチャンバ104a、104b内に内容物110を移動させる。移送チャンバ106内に配置された移送チャンバロボット112は、ロードロックチャンバ104a、104bのうちの1つから第2の真空ポート105a、または105bを通って内容物110を取り出す。移送チャンバロボット112は、内容物110を移送チャンバ106の中に移動させ、そこで、内容物110は、それぞれのポート108を通って処理チャンバ107に移される。処理後、処理済みの内容物110(例えば、使用後のプロセスキットリング)は、本明細書に記載されるやり方の逆に処理システム100から取り出される。
【0017】
処理システム100は、FI101(例えば、装置フロントエンドモジュール、EFEM)などのチャンバと、FI101に隣接する隣接チャンバと(例えば、ロードポート128、エンクロージャシステム130、SSP、ガス抜きチャンバなどのロードロックチャンバ104など)を含む。チャンバの一部または全ては密閉することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の不活性環境を実現するために、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、クリプトンまたはキセノンのうちの1つまたは複数)がチャンバのうちの1つまたは複数(例えば、FI101および/または隣接チャンバ)に提供される。一部の例では、FI101は、FI101内で不活性環境(例えば、不活性EFEMミニエンバイロメンタル)を維持する不活性EFEMであることで、ユーザは、FI101に進入する必要がなくなる(例えば、処理システム100は、FI101内に人手によるアクセスがないように構成される)。
【0018】
一部の実施形態では、ガス流(例えば、不活性ガス、窒素)が、処理システム100の1つまたは複数のチャンバ(例えば、FI101)内に提供される。一部の実施形態では、ガス流は、1つまたは複数のチャンバ内の正圧を維持するために、1つまたは複数のチャンバを経由する漏出より大きくなる。一部の実施形態では、FI101内の不活性ガスは、再循環される。一部の実施形態では、不活性ガスの一部は排気される。一部の実施形態では、FI101内の不活性ガスの正圧を維持するために、FI101内に再循環されないガスのガス流は、排気されるガス流およびガスの漏出より大きくなる。一部の実施形態では、FI101は、1つまたは複数のバルブおよび/またはポンプに結合されて、FI101内への、およびそこから外へのガス流を提供する。(例えば、コントローラ109の)処理デバイスは、FI101内への、およびそこから外へのガス流を制御する。一部の実施形態では、処理デバイスは、1つまたは複数のセンサ(例えば、酸素センサ、水分センサ、動作センサ、ドア作動センサ、温度センサ、圧力センサなと)からセンサデータを受信し、センサデータに基づいて、FI101内への、およびそこから外に流れる不活性ガスの流量を決定する。
【0019】
エンクロージャシステム130はまた、FI101および隣接するチャンバ内に密封された環境を開放することなく(例えばファクトリインターフェースロボットの)ロボットアームに教える、これを較正する、および/または診断することが可能である。エンクロージャシステム130は、ロードポート128上にドッキングすることに応答して、ロードポート128に対して密閉する。エンクロージャシステム130は、FI101内の不活性環境の乱れを最小限にするために、エンクロージャシステム130の内部がエンクロージャシステム130を開放する前にパージされ得るように、パージポートアクセスを提供する。
【0020】
図2は、本開示の一部の実施形態による、圧力変化時における基板汚染の有効な防止を可能にする、基板処理システム200の概略図を例示する。電子デバイス処理システム200は、FI101(または装置フロントエンドモジュール、EFEM)を含み、これは、1つまたは複数の基板キャリア、例えばFOUP(図示せず)とインターフェース接続する。加えて、FI101は、第1の真空ポート103を介してロードロックチャンバ104とインターフェース接続する。ロードロックチャンバ104は、第2の真空ポート105を介して移送チャンバ106とさらにインターフェース接続する。移送チャンバ106は、1つまたは複数の処理チャンバ(図2には描かれていない)へのアクセスを可能にする。FI101および移送チャンバ106は、FI101、ロードロックチャンバ104、移送チャンバ106、および処理チャンバの間で基板201、202を移動させるためにそれぞれのロボット111および112を含む
【0021】
ロードロックチャンバ104は、その中の環境をモニタおよび制御するために様々な設備を含む。より具体的には、ロードロックチャンバ104は、ロードロックチャンバ104内への(実線の矢印)またはそこから外への(点線の矢印)ガス流206をガス流量F(t)に設定するために、動的バルブ204を有する。動的バルブ204は、以下により詳細に記載するように、入力制御信号に応答して連続式に、または準連続式に流量F(t)を設定することが可能な高速応答バルブである。ガスは、その流量が動的バルブ204によって制御され、窒素、アルゴン、キセノン、クリプトンまたは任意の他の適切なガス、例えば、基板201および202と反応しない低反応性のガスであり得る。動的バルブ204の設定は、ロードロックチャンバ104内の圧力P(t)を間接的に制御する。ロードロックチャンバ104は、ロードロックチャンバ104内の圧力をモニタするために圧力センサ208を有する。簡潔にするために、1つの圧力センサ208のみがロードロックチャンバ104内に示されるが、多数の圧力センサが、ロードロックチャンバ104の様々な場所に配置される場合もある。様々な他のセンサが使用される場合もある。例えば、ロードロックチャンバ104内の環境のモニタリングは、ロードロックチャンバ104内の1つまたは複数の場所での温度を測定するための1つまたは複数の温度センサを用いて、ロードロックチャンバ104内の様々な場所での汚染物質の存在(および/または濃度)を検出するための1つまたは複数の化学センサを用いて、(例えば、汚染粒子の存在をモニタするための)1つまたは複数の光学感知デバイス用いて、などとして行うことができる。
【0022】
基板処理システム200は、本開示によるポンプアップおよびポンプダウンの変化の型を実現するためのコンピューティングデバイス210を含む。コンピューティングデバイス210は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ワークステーション、ウェアラブルデバイス(タブレット、スマートフォンなど)、クラウドベースコンピューティングサービスなどであり得る。一部の実施形態では、コンピューティングデバイス210は、独立して動作する、または別のコンピューティングデバイスを併用する専用マイクロコントローラである。一部の実施形態では、コンピューティングデバイス210は、基板製造の多数の段階を制御し、これには、FI101内で基板を受け取る、基板を移送チャンバ106および処理チャンバに送達する、その中で様々なプロセスを実行する(マスキング、エッチング、堆積、撮像、品質管理など)、処理後の基板を処理チャンバから回収するなどが含まれる。上記に列挙された動作に加えて、コンピューティングデバイス210は、ロードロックチャンバ104の内部の圧力のモニタリングおよび制御に関連するより多くの特有の機能を行う。
【0023】
詳細には、コンピューティングデバイス210は、圧力モニタリング構成要素220を有し、これは圧力データ(例えば、PLL(t))およびロードロックチャンバ104からの他のデータを集め、これには、温度データ、光学センサデータ、化学センサデータなどが含まれる。コンピューティングデバイス210は、動的バルブ204に信号(例えば、アナログまたはデジタル)を提供することによって、ロードロックチャンバ104内への(またはそこから外への)ガス流206の量F(t)を調節するためにバルブ制御モジュール222をさらに含む。圧力モニタリングモジュール220およびバルブ制御モジュール222は、ロードロックチャンバ104内で実施されるべきポンプダウンプロセスおよび/またはポンプアッププロセスの所望の(例えば、最適な、または最適に近い)変化の型を表すターゲット圧力P(t)およびターゲット流量F(t)を特定する圧力および流量モデリング224と併せて動作する。
【0024】
一実施形態では、コンピューティングデバイスのモジュールおよび構成要素は、以下のように動作する。一部の実施形態では、コンピューティングデバイス210は、基板処理システム200に関与する技術的プロセスを実行する。他の実施形態では、コンピューティングデバイス210は、何らかの他のコンピューティングデバイスが制御している技術的プロセスを認識しており、全プロセスの一部のみを行い、例えば、コンピューティングデバイス210は、ロードロックチャンバ104の環境を制御し、ポンプダウンプロセス/ポンプアッププロセスの前およびその完了後などに、ロードロックチャンバ104を密閉および開放するなどを行う。一部の実施形態では、コンピューティングデバイス210は、基板202が1つまたは複数の処理チャンバ内で処理を経て、移送チャンバ106から、FI101にドッキングされたFOUPのうちの1つに移動される準備が整ったと判定する。コンピューティングデバイス210はその後、現行の技術プロセスにおいて、所与のガスが、圧力Pに維持される移送チャンバ106内にあることを特定する。コンピューティングデバイス210は、最後に、ロードロックチャンバ104の開放が、第1の真空ポート103を開放し、したがってロードロックチャンバ104内の現在の圧力が、ファクトリインターフェース圧力Pである、またはそれに近く、これは、大気圧に匹敵し得ることをさらに判定する。したがって、第2の真空ポート105が、基板202の通路のために開放され得る前に、ロードロックチャンバ104の圧力は、PからPまで低下する必要がある。コンピューティングデバイス210は、ポンプダウンプロセスが、時間τの範囲内で完了するべきことをさらに特定する。ガスの種類、初期圧力(この例では、P)、最終圧力(この例では、P)および時間τはその後、以下に記載される方法および技術による、ターゲット圧力プロファイルP(t)の決定のために圧力および流量モデリング224に入力される。加えて、圧力および流量モデリング224は、ターゲット圧力プロファイルP(t)を維持するために動的バルブ204によって実施されるべきターゲットガス流F(t)を決定する。一部の実装形態では、圧力および流量モデリング224による決定は、ポンプダウンプロセス/ポンプアッププロセスの開始より前に実行され、ターゲットF(t)およびP(t)は、コンピューティングデバイス210のメモリに記憶される。
【0025】
ターゲット流量F(t)およびターゲット圧力P(t)を実行するための命令を、例えば、圧力および流量モデリング224から受信すると(またはターゲットプロファイルF(t)およびP(t)として予め記憶されたそのような命令をメモリから取り出すと)、バルブ制御モジュール222は、動的バルブ204に、ターゲット流量F(t)を設定し調節するために制御信号を出力する。一部の実行形態では、制御信号は連続して出力される。例えば、バルブ制御モジュール222は、電流I(t)(または電圧V(t))を出力することで、動的バルブ204を通る流量を連続して制御することができる。一部の実行形態では、バルブ制御モジュール222は、例えば、ポンプダウン(またはポンプアップ)プロセスの全持続時間τの部分Δτ毎に電流(または電圧)信号の強度を変えることによって信号を準連続式に出力する。一部の実行形態では、信号強度は、(Δτ≪τとなるように)全持続時間にわたって何度も変化する。圧力モニタリング構成要素220は、その間にも、リアルタイムのロードロックチャンバ104の内部の実際の圧力PLL(t)をモニタし、例えば差分ΔP(t)=PLL(t)-P(t)を計算することによって、実際の圧力をターゲット圧力プロファイルP(t)と比較する。差分ΔP(t)の符号およびその大きさに応じて、バルブ制御モジュール222は、動的バルブ204に対する信号出力を変化させて、ガス流206を修正し、実際の圧力PLL(t)をターゲット圧力P(t)に近づける。例えば、ポンプダウンプロセス中にΔP(t)>0が検出された場合、バルブ制御モジュール222は、動的バルブ204にロードロックチャンバ104からのガス流F(t)を増加させるようにする。反対に、ΔP(t)<0が検出された場合、バルブ制御モジュール222は、動的バルブ204にガス流F(t)を低下させるようにする。同様のプロセスが、ポンプアッププロセス中に続く。例えば、ポンプアッププロセス中にΔP(t)>0が検出された場合、バルブ制御モジュール222は、動的バルブ204にロードロックチャンバ104内へのガス流F(t)を低下させるようにする。反対に、ΔP(t)<0が検出された場合、バルブ制御モジュール222は、動的バルブ204にロードロックチャンバ104内へのガス流F(t)を増加させるようにする。
【0026】
上記の例および開示の残りの部分は、ロードロックチャンバと移送チャンバとの間(ポンプダウン段階)、またはロードロックチャンバとファクトリインターフェースとの間(ポンプアップ段階)での圧力を等しくするために行われるプロセスを参照しているが、開示される方法およびシステムは、粒子に感受性の高い環境での種々の製造システムの任意の2つ以上のチャンバ間の圧力の均一化に適用可能である。
【0027】
図3は、本開示の一部の実行形態による、基板製造のポンプアップ段階における、基板の汚染を最小限にするために決定された圧力(上の方のグラフ)と、ロードロックチャンバ内へのガスの流量(下の方のグラフ)の変化の型を概略的に描く。描かれる圧力曲線P(t)は、考察を容易にするために、3つのフェーズにさらに分割される。フェーズ1では、ロードロックチャンバ内の圧力は比較的低い(1トールほど、またはそれよりさらに低いP(t)で始まる)。チャンバ内の圧力が低い場合、表面からの粒子の分離の可能性(再懸濁)は、圧力が高い場合よりも高くなる。加えて、圧力が低い場合、ガスF(t)の大きな流量によって引き起こされる圧力P(t)の速い増加は、表面に吸着した粒子の近くにかなりの空気力学的な抵抗力を生じさせ、やはり粒子の分離をより引き起こしやすくなる。例えば、流量F(t)が、時間当たり体積の単位で(例えばcm/秒)で測定された場合、圧力の断熱的増加の場合、dP(t)/dt=γP(t)F(t)/Vであり、式中、Vは、チャンバの体積であり、γは、断熱指数であり(例えば、窒素分子の場合γ=7/5)であり、等温増加の場合、dP(t)/dt=P(t)F(t)/Vである。したがって、図3の底部のグラフによって見られるように、相1は、比較的低い(但し、継続的に増加している)流量F(t)および圧力P(t)によって特徴付けられる。相1(「低速ベント」相)は、図3にPとして描かれる、圧力P(2相)の一部のレベルが達成されるまで継続する。一部の実施形態では、圧力P(相2)は、20~25トールであるが、圧力P(フェーズ2)は、チャンバVの体積、使用されているガスの種類、チャンバの表面の種類および品質、チャンバの環境内に存在する可能性のある吸着した粒子の種類などに応じて変化する場合がある。圧力P(フェーズ2)に達した後、再懸濁の可能性は低下し、多くの追加の粒子を再懸濁させることなく、より高い流量を使用することができる。結果として、圧力P(フェーズ2)(「高速ベント」)が始まる。一部の実装形態では、フェーズ2において、流量は、比較的急速に最大量Fmaxまで増加し、その後、そのレベルに維持される。一部の実装形態では、フェーズ2での流量は、人間(例えばシステムエンジニア)によって指定される最大量である。一部の実施形態では、最大量Fmaxは、ポンプアッププロセスのターゲット持続時間τに基づいた圧力および流量モデリング224によって計算される。一部の実施形態では、ターゲット持続時間τは、ターゲットスループット(指定時間内に処理される基板の数)に基づいて決定される場合もある。一部の実施形態では、最大流量Fmaxは、動的バルブ204およびバルブ制御モジュール222によってサポートされる極限流量Fultに匹敵する流量であり、例えば、Fmax/Fult=0.8、0.85、0.9などである。極限流量Fultより幾分低い最大流量Fmaxは、実際の圧力PLL(t)がターゲット曲線P(t)に遅れをとり、現在の圧力力学をターゲット曲線に近づけるためにFmaxを超える流量の増加が使用される場合の例において使用することができる。一部の実装形態では、圧力P(t)がターゲット圧力に近づいたとき、例えばファクトリインターフェース内の圧力Pに近づいたとき、フェーズ3(Phase 3)(「テイル」)が始まる。フェーズ3において、流量F(t)は、滑らかではあるが、急速に、フェーズ2で使用される流量(例えば、最大圧力Fmax)からゼロまで低下する。例えば、フェーズ3の持続時間は、圧力が、Pを超えることなく、(ポンプアッププロセスの開始から数えた)時間τの意図される段階で意図される圧力Pに到達するような方法で選択される。例えば、Δtとなるように動的バルブを遮断するための時間を仮定し(この時間は、バルブの仕様から知ることができる、または経験上のテストを介して決定することもできる)、フェーズ3における平均流量をFmax/2になるように概算すると、フェーズ3における圧力の増加の平均量は(等温ポンプアップの場合)
として推定することができ、
式中、フェーズ3の開始時の圧力は、最終圧力Pとはさほど異ならないことがさらに推定される。したがって、フェーズ3は、ひとたびチャンバ内の圧力が値
に達すると、開始することができる。この例は、単なる例示として意図されており、多くの他の流量プロファイルF(t)が、ポンプアッププロセスの有効なテイリングのほぼ同様な目的である実装形態を達成することができる。フェーズ3を有することの利点は、2つある。一方で、P(t)がポンプアッププロセス中のいつ何時Pを超えたとしても、圧力をPから下げるのに時間が浪費されない。他方で、フェーズ3は、ロードロックチャンバ内の圧力とファクトリインターフェース内の圧力が正確に等しくなり、チャンバ間のゲートを開放するときに、いずれのチャンバの環境の乱れ(2つの圧力が異なる場合に、そうしなければ起こる可能性がある)も生じることがない。
【0028】
一部の実施形態では、流量F(t)は、流量Fの別個のセット(図3の下のグラフに黒の三角でおよび点線で描かれる)を指定することによって準連続式に設定され、例えば、チャンバ内の圧力が、ターゲット圧力値Pのセット(図3に上のグラフに黒の円で描かれる)をたどることを保証するために、時間tの事前決定された段階で動的バルブによって設定することができる。いくつかの(例えば、3つほどの少数から数十またはそれ以上の多数の)流量Fを指定することができる。例えば、図3における非制限的な例に描かれるように、13の異なる流量が、ポンプアッププロセスの持続時間にわたって指定されており、値FからFは、フェーズ1を実施し(ターゲット圧力値PからPに対応する)、値Fは、フェーズ2を実施し(ターゲット圧力値PおよびPに対応する)、値FからF12は、フェーズ3を実施する(意図される圧力Pに至る)。
【0029】
図4は、本開示の一部の実施形態による、基板処理システムにおける汚染物質の存在を低減する、ポンプアッププロセスに関してターゲット圧力およびターゲット流量を決定するのに使用される一例のアルゴリズム400の概略図である。一例のアルゴリズム400は、多数の物理モデルおよび統計モデルを使用することで、現実に即したモデリング条件の下での予測の正確さを保証することができる。一部の実施形態では、一例のアルゴリズム400は、空気力学の式に基づく抵抗力モデル410を含む。一例では、抵抗力モデル410は、ガスの粒子サイズ(例えば、直径)および粘度(例えば、動的または運動学的粘度)を使用する。抵抗力モデル410は、例えば、ガスの粘度に基づいて、チャンバの表面付近の空気力学的流量のプロファイル(例えば、表面からの距離と関係した流れの速度の変動)を決定し、表面に接着した粒子に対して作用する力をさらに決定する。
【0030】
一部の実施形態では、一例のアルゴリズム400は、表面から粒子を分離するために所与の粒子に加えられるべき力の大きさを決定する表面付着モデル420を含む。粒子は、そのサイズ、密度、形状(例えば、球形、楕円形、ロッド形状など)によって特徴付けられる。表面は、表面粗さによって特徴付けられ、これは、表面プロファイルの側面の縮尺の変動、表面プロファイルの垂直の(表面に直交する)縮尺などを含むことができる。表面と粒子の相互作用は、種々の機構を用いてモデル化することができる。例えば、1つの機構では、粒子の表面への付着は、ばねモデルを用いてモデル化される。
【0031】
一部の実施形態では、静的または動的モデルが使用される。動的モデルでは、抵抗力は、特定の平均値(ガスの流れの方向での)およびその平均値の前後の変動(これはガスの流れの平均速度にそれ自体依存する)を有する時間の、変動する、例えばランダムな、関数である。
【0032】
一部の実施形態では、抵抗力モデル410の出力(種々のサイズの粒子が経験する抵抗力を特徴付ける)および表面付着モデル420(粒子の分離のための条件を特徴付ける)を使用して、所与の粒子に関する再懸濁の確率を決定する(ブロック430)。例えば、所与のサイズであり、ガスの所与の流れの中に置かれた粒子(特定のチャンバ幾何学形状を考慮して指定された流量F(t)によって決定された)は、表面からの分離のための条件に達する特定の確率を有する運動を行う。例えば、抵抗力410を用いて計算され、表面接着モデル420への入力として加えられる抵抗力は、時間の関数としてばねの特有の伸張Δl(t)を生じさせることができる。Δl(t)が粒子の分離のための閾値伸張を超える確率に基づいて、単位時間当たりの再懸濁の確率430が決定される。一部の実施形態では、再懸濁(分離)の確率p(F/F)は、(i)表面から粒子を引っ張るのに必要とされる閾値の力Fと、(ii)粒子に作用する実際の抵抗力Fと、の比に依存する関数(例えば、モデル関数)である。関数p(F/F)は、指数関数、べき乗関数または何らかの他の関数であり得る。一部の実施形態では、p(F/F)は、F/Fが大きくなる(弱い抵抗の)ときにゼロに近づき、F/Fが小さくなる(強い抵抗の)とき増加する。
【0033】
再懸濁の確率430は、特定の粒子(サイズ、形状など)および表面の特定の条件(付着エネルギー、表面の弾性特性、表面粗さなど)について決定することができる。再懸濁の確率430は、統計的集合平均化440において使用されてもよい。統計的集合平均化440への入力はまた、粒子サイズ分布450、表面粗さ分布460、付着エネルギーの分布なども含む。再懸濁の確率に対して適用される統計的集合平均化は、チャンバの表面に接着した集合または粒子に関する再懸濁の平均の確率を決定する。統計的集合平均化440に基づいて、経時的な積分が行われ、残りの粒子の割合470が、時間の関数として決定される。
【0034】
一部の実施形態では、残りの粒子の割合470、例えばη(t)=η[F(t)、V、P、P]は、チャンバに関して選択された流量F(t)の変化の型を考慮して決定され、これは、初期圧力(例えば、移送チャンバ圧力)Pで始まり、最終圧力(例えば、ファクトリインターフェース圧力)Pで終わる、チャンバ内の圧力P(t)の力学を(チャンバの既知の体積Vに関して)決定する。アルゴリズム400の種々のモデルおよびブロックは、例えば、時間増分Δtの中で何回も繰り返すことができる。各時間増分に関して、再懸濁の更新後の条件を、現在の圧力P(t)および新たに更新された流量(F(t+Δt)に基づいて再計算することができる。新しい抵抗力および新しい再懸濁の確率はその後、アルゴリズム400のそれぞれのブロックによって決定され、残りの粒子の割合、-Δη(t)/Δtの導関数を取得するために統計学的集合平均化440が行われる。各時間増分における導関数の値に基づいて、ポンプアッププロセスの終わりにおける残りの粒子の最終の割合、η(τ)が決定される。その結果、ブロック410~470によって行われるシミュレーションを用いて、流量および圧力最適化480が、ターゲット持続時間τおよび吸着した(表面に接着した)ままの粒子のターゲット割合η(Target)を考慮してターゲット流量F(t)を特定する。粒子のターゲット割合は、(例えば、製造している製品のターゲット品質によって)実施されている特定の技術プロセスに依存しており、70%、80%、90%または任意の他の値であり得る。
【0035】
図5は、本開示の一部の実施形態による、基板製造のポンプダウン段階における液体の凝縮を最小限にするように決定された圧力(上のグラフ)およびロードロックチャンバからの流れ出るガスの流量(下のグラフ)の概略的な変化の型を描いている。図6と関連して以下に記載されるように決定することができるターゲット圧力曲線P(t)が描かれている。ターゲット圧力曲線P(t)は、初期圧力Pで始まり、これは、ファクトリインターフェース内の圧力であってよく、最終圧力Pに達するまで継続し、これは、移送チャンバ内の圧力であり得る。(ターゲット圧力P(t)を実施するのに使用される)ロードロックチャンバから流れ出るガスの流れのターゲット流量F(t)は、下のグラフに概略的に描かれており、流量のマイナス符号は、ガスの流れがチャンバから流れ出ることを強調している。
【0036】
一部の実施形態では、流量F(t)は、例えば、時間の事前決定された段階tでの動的(連続)バルブを介してコントローラによって設定されるような流量の離散的なセットF(黒の三角で点線で描かれる)を指定することによって、準連続的に設定される。流量Fは、チャンバ内の圧力がターゲット圧力値Pのセット(図5の頂部グラフでは黒の円で描かれる)をたどることを保証するように設定される。流量Fの数は、少なくとも3つ、多ければ数十またはそれ以上である場合もある。
【0037】
図6は、本開示の一部の実施形態による、基板処理システムにおける液体の凝縮を低減する、ポンプダウンプロセス中のターゲット圧力およびターゲット流量を決定するのに使用される一例のアルゴリズム600を概略的に例示する。一例のアルゴリズム600は、種々の物理モデルを使用することで、現実に即したモデリング条件の下での予測の正確さを保証することができる。一部の実施形態では、一例のアルゴリズム600は、ポンピング時間定数を決定し(ブロック610)、これは、チャンバの体積と(瞬間的な)流量F(t)の比であり得る。「定数」として参照されているが、ポンピング時間定数は、実際には流量の変化と共に変動する。一部の実施形態では、一例のアルゴリズム600はさらに、モデル化されている特有のチャンバに関してチャンバの体積と表面の比を決定する(ブロック620)。一部の実施形態では、一例のアルゴリズム600はまた、熱伝達率も決定する(ブロック630)。熱伝達率は、チャンバの様々な領域の間でいかにして熱が効率的に交換されるか(例えば、対流交換を介して)を示す。
【0038】
決定されたポンピング時間定数、チャンバ体積表面比、および熱伝達率は合体させて、無次元ポンピング速度Zにすることができる(ブロック640)。無次元ポンピング速度は、(Zの所与に値に対する)閾値湿度RH(Z)を特定するのに使用されてよい(ブロック650において)。ブロック660で、実際の入力相対湿度RH(ブロック670)が閾値湿度と比較される。ターゲット流量F(t)およびターゲット圧力P(t)がその後、実際の湿度が、ポンプダウンプロセスの様々な(例えば全ての)段階において、閾値湿度RH≦RH(Z)を下回ったままでいる条件から決定される(ブロック680)。一部の実施形態では、ターゲット流量F(t)およびターゲット圧力P(t)は、修正された条件RH=α・RH(Z)から取得され、この場合、安全性を高めるために、α=0.95、0.9、0.85などであるように、係数α<1が使用される。この追加の安全係数は、ターゲット圧力からのチャンバ内の圧力の予測しない逸脱(またはチャンバの環境の様々な他の変動)が起こった場合、凝縮物の形成を阻止するための安全クッションとして使用することができる。
【0039】
図7Aは、本開示の一部の実施形態による、圧力変化時における基板処理システム内の製品の汚染を防ぐために使用することができる一例のバルブ制御システム700である。バルブ制御システム700は、ポンプダウンプロセスおよびポンプアッププロセス中に同じガス流路を使用する。一部の実施形態では、バルブ制御システム700は、図4のアルゴリズム400および/または図6のアルゴリズム600によって特定の製造プロセスに関して決定されたターゲット流量/圧力の変化の型を達成する。ポンプアップ段階中に連続(動的)バルブ710を介してポンプ708からガス流706を受け取るロードロックチャンバ104が図7Aに描かれている(ポンプダウン段階では、ガス流706の方向は逆向きである)。コントローラ720は、連続バルブ710の動作を制御する。種々の実装形態では、連続バルブ710は、ソレノイドバルブ、バタフライバルブまたは連続する流量制御が可能な任意の他のバルブであってよい。コントローラ720は、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つまたは複数の処理デバイスを含む。処理デバイスは、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、スタティックメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAMA)などの1つまたは複数のメモリデバイスに通信可能に接続される。コントローラ720は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ワークステーション、ウェアラブルデバイス(例えば、タブレット、スマートフォンなど)、クラウドベースコンピューティングデバイスなどの一部であり得る。一部の実施形態では、コントローラ720は、基板処理システムにおいてポンプアッププロセスおよび/またはポンプダウンプロセスを行うように構成された専用マイクロコントローラである。一部の実施形態では、コントローラ720は、コンピューティングデバイスのより大きなネットワークの一部である。一部の実施形態では、コントローラ720と通信する外部コンピューティングデバイスは、コントローラ720を再構成する(例えば、設定を変更する、メモリを更新する、またはそれ以外で再プログラミングする)ことが可能である。
【0040】
1実施形態では、コントローラ720は、連続バルブ710に電圧または電流入力を提供するパワー素子722に制御信号(例えば、アナログ信号)を出力する。パワー素子722によって提供された入力は、連続バルブ710の内部の状態を変化させる。例えば、パワー素子722によって出力された電流は、ソレノイドの磁界を増加または減少させ、その結果、ガス流706を所望の程度まで変更するために、磁界作動式プランジャに開口部を部分的に塞ぐようにさせる。ガス流の連続制御をソレノイドバルブの代わりに使用することができる場合、種々の他の動的バルブ(例えば、ボールバルブ、バタフライバルブ、フラップバルブ)が可能である。パワー素子722は、バッテリ、発電機、コンデンサ、充電式バッテリまたは電流の任意の他の供給源を含むことができる。パワー素子722は、電流/電圧分割器、安定装置、ブリッジ、フィードバックループ、アンメータ、ボルトメータなど、出力電流(または電圧)の正確な制御を可能にするために1つまたは複数の回路要素をさらに含むことができる。一部の実施形態では、パワー素子722は、直流源を含む。一部の実施形態では、パワー素子722は、交流源を含み、これは、変圧器、整流器および他の要素と併せてさらに使用される。
【0041】
コントローラ720は、(点線の矢印によって示されるように)は、バルブゲージ724を用いて連続バルブ710に対する追加の制御を実施することができる。バルブゲージ724は、連続バルブ710の内部の状態に関するデータを収集するいかなるセンサであってもよい(またはそれを含むこともできる)。バルブゲージ724は、バルブの機構によってガス流706の妨害を示す内部バルブメトリクスをモニタする(例えば、リアルタイムで)ことができ、これは、プランジャの位置、フラップの角度、バルブの圧縮された領域の近くのガス流706の速度などを含むことができる。バルブゲージ724は、連続バルブ710の設定を検証するためのコントローラ720に対する追加のチェックとして、および設定されたガス流706の正確さを高めるためのフィードバックループの一部として機能する。一例では、コントローラ720は、パワー素子722に連続バルブ710に電流Iを出力するように指示することで、バルブは、ガス流F(I)がそこを通り抜けることを可能にする。一方で、バルブゲージ724は、意図されるものより小さい流量F(I)-ΔFがバルブゲージ724によって設定されていることを示す。コントローラ720は、このとき、不足ΔFを補償するために、パワー素子722に、電流をI+ΔIに増加させるように(またはバルブの設計に応じてI-ΔIに低下させるように)指示する。一部の例では、補償は、電流ΔI(または他の信号)を複数回増分する、または減分することによって反復して達成される。一部の実施形態では、パワー素子722によって出力された信号を調節する代わりに(またはそれに加えて)、コントローラ720は、ポンプ708の設定を調節して、連続バルブ710を通って送り込まれるガス流を増加させる。
【0042】
一部の実施形態では、二次バルブ726が、連続バルブ710の動作に対する追加の制御を可能にし、ロードロックチャンバ104内へのガスの流れの割合が設定される精度をさらに改善する。二次バルブ726は、連続バルブ710、ガス流706またはガス流706を送達するデリバリシステムの何らかの追加の状態を制御するのに利用することができる。一部の実施形態では、二次バルブ726は、例えば、連続バルブ710の内部機構の一部として、連続バルブ710と一緒にひとまとめにされる。例えば二次バルブ726は、開口部のサイズ、開口部の形状、開口部と連続バルブ710の可動部品との間の距離などを制御することができる。一部の実施形態では、二次バルブ726は、連続バルブ710の外側に配置される。例えば、二次バルブ726は、ポンプ708から連続バルブ710にガスを送達するデリバリラインの断面積、または連続バルブ710からロードロックチャンバ104にガスを送達するデリバリラインの断面積を制御するのに使用することができる。一部の実施形態では、二次バルブ726は、連続バルブ710に並列に接続され、例えば、二次バルブ726は、連続バルブ710の周りの迂回路を通してガス流を制御する。一部の実施形態では、二次バルブ726はまた、例えばその設定が、コントローラ720からの信号に比例して決定される比例バルブなどの連続バルブである。一部の実施形態では、二次バルブ726は、いくつかの別個の設定を有する。例えば、ガス流706が増加される(または低下される)とき、コントローラ720は、二次バルブ726に、非連続式に(例えば、ΔAの増分で)連続バルブ710の開口部のサイズ(例えば断面)を変更させる。同時に、連続バルブ710に提供される制御信号も同様に非連続式に変更されて(例えば、ソレノイドのプランジャから開口部までの距離が短縮されて)、開口部の変化を補償し、開口部が変化しても、ガスの流量が連続して増加することを保証する。その後、二次バルブ726の設定は、しばらくの間固定されたままであるため、連続バルブ710の設定は、二次バルブ726の別の設定における次の変更まで、連続して変化する。このプロセスは、その段階(ポンプダウンまたはポンプアップ)が完了するまで繰り返される。
【0043】
圧力センサ208が、図3および図5に関連して上記に記載されるポンプアッププロセスおよびポンプダウンプロセスにわたる全体的な制御を可能にする。コントローラ720によって受信される圧力センサ208からの圧力読み取り値は、コントローラ720が、ポンプアッププロセスまたはポンプダウンプロセスが、図4および図6に関連して記載されるように特定されたターゲットプロファイルP(t)に従って実施されるかどうかを判定することを可能にする。プロセスが、ターゲットスケジュールよりも進んでいるか遅れているかに応じて、コントローラ720は、連続バルブ710および任意選択で二次バルブ726の設定を調節することによって流量を増加または低下させる。
【0044】
図7Bは、本開示の一部の実施形態による、圧力変化時における基板処理システム内の製品の汚染を防ぐのに使用することができる別の例のバルブ制御システム701である。バルブ制御システム701は、ポンプダウンプロセスおよびポンプアッププロセス中において異なるガス流路を使用する。概略的に描かれるように、ポンプアップ段階中、ロードロックチャンバ104へのガス流716は、ガス供給源718によって提供することができ、これは、加圧ガスコンテナ、ポンプおよび/または他の好適な構成要素およびデバイスであり得る(またはそれらを含む場合もある)。ガス流716は、図7Aに描かれるバルブ制御システム700の連続バルブ710がガス流706を制御するやり方(例えば、コントローラ720から制御信号を受信するパワー素子722を用いる)と同様に、任意の連続バルブによって制御することができる。連続バルブは、ソレノイドバルブ730(描かれるような)、比例バルブ、バタフライバルブ、または流量の連続(または準連続)調節を可能にする任意の他のバルブであってよい。ソレノイドバルブ730の状態は、バルブゲージ724を用いてコントローラ720によってモニタすることができる。
【0045】
ポンプダウン段階中、コントローラ720は、ソレノイドバルブ730(または任意の他の連続バルブ)を閉鎖させ、ガス流716がロードロックチャンバ104に流れ込むのを停止させることができる。コントローラ720は、別の連続バルブ、例えばバタフライバルブ732にガス流736を制御させることによって、ガス流736がロードロックチャンバ104から流れ出るのを開始することができる。バタフライバルブ732は、図7Bに描かれているが、ガス流736は、例えばソレノイドバルブ、比例バルブ、または流量の連続(または準連続)調整が可能な任意の連続バルブによって制御される場合もある。ガス流736は、ポンプ709によって持続させることができ、ポンプ709はガス供給源718から隔てることができる。一部の実施形態では、ポンプ709は、その後のポンプアップ段階中に再利用されるべきガス供給源718にガスの流れを誘導することができる。一部の実施形態では、ガスの流れは、排気口(図示せず)に誘導され、ポンプアップ段階で再利用されない場合もある。バタフライバルブ732の状態は、コントローラ720によって制御されるパワー素子723によって設定することができる。パワー素子723は、パワー素子722から隔てることができ(描かれるように)、一部の実施形態では、パワー素子723およびパワー素子722は、組み合わせて単一の電源にすることもできる。バタフライバルブ732の状態は、バルブゲージ725を用いてコントローラ720によってモニタすることができる。一部の実施形態では、追加の(二次)バルブが、図7Aに関連して上記により詳細に記載されるように、並列に、または直列にソレノイドバルブ730および/またはバタフライバルブ732に接続される場合もある。
【0046】
図8図10は、基板処理システム内の圧力変化時における有効な汚染防止を実施する方法800、900および1000のそれぞれの流れ図である。一部の実施形態では、方法800、900および1000は、図1図2および図7あるいはそれらの任意の組合せに示されるシステムおよび構成要素を用いて行われる。一部の実施形態では、方法800、900および1000は、図2のコンピューティングデバイス210または図7Aおよび図7Bのコントローラ720によって行われる。方法800、900および1000は、1つまたは複数の処理ユニット(例えば、CPUおよび/またはGPU)によって行うことができ、これらの処理ユニットは、1つまたは複数のメモリデバイスを含む(またはそれらと通信する)。いくつかの実施形態において、方法800、900および1000は、多数の処理スレット(例えば、CPUスレッドおよび/またはGPUスレッド)によって行われ、各スレッドは、方法の1つまたは複数の個別機能、ルーチン、サブルーチンまたは動作を実施する。一部の実施形態では、方法800、900および1000を実施する処理スレッドは、(例えば、セマフォ、危険域および/または他のスレッド同期機構を用いて)同期される。あるいは、方法800、900および1000を実施する処理スレッドは、互いに対して非同期式に実施される。方法800、900および1000の種々の動作は、図8図10に示される順番と比較して異なる順番で行われる。方法の一部の動作は、他の動作と同時に行われる場合もある。一部の実施形態では、図8図10に示される1つまたは複数の動作は、常に行われるわけではない。
【0047】
図8は、本開示の一部の実施形態による、基板処理システム内の汚染の発生を最小限にする圧力変化を規定する方法800のフロー図である。一部の実施形態では、方法800は、基板処理システム(SPS)のロードロックチャンバ(LLC)内の圧力変化を規定するが、方法800(ならびに以下に記載される方法900および1000)はまた、SPSの任意の他の密閉可能チャンバまたは区画内での圧力変化に関連して使用することもできることを理解されたい。
【0048】
ブロック810において、方法800は、チャンバ(ここでは第1のチャンバと称される)を外部環境から密閉することであって、外部環境は、第1のチャンバに隣接する、またはそうでなければ第1のチャンバに結合されたSPSの任意の他のチャンバ(例えば、第2のチャンバ)または区画を含むことができる、密閉することを含む。例えば、第1のチャンバを第2のチャンバから選択式に密閉し開放するように、第1のチャンバを第2のチャンバから隔てるゲートを構成することができる。ゲートは、ゲートに第1のチャンバを選択式に密閉および開放させるコントローラに通信可能に接続されてよい。
【0049】
ブロック820において、方法800は、ターゲット時間周期にわたって第1のチャンバに流れ込むガスの流れを連続して調整する(例えば図7Aおよび図7Bに描かれるシステムおよび構成要素を用いて)処理デバイスを含むことができる。ターゲット時間周期は、SPSのユーザ/オペレータによって設定され得る、および/またはSPSを用いて実行されている技術プロセスによって指定される場合もある。ガスの流量の調整は、第1のチャンバへのガスの流れを連続して調整するように構成されたバルブ(本明細書では第1のバルブと称される)によって促進させることができる。第1のバルブはまた、コントローラに(例えば、直接、または中間電子回路を介して、中間電子回路は、パワー素子または他の電子回路を含むことができる)通信可能に接続することができる。一部の実装形態では、第1のバルブは、比例バルブ、または例えば、第1のバルブへの連続制御信号入力に応答して、その中を通るガスの流れを連続して調整する、任意の他のバルブである。非制限的な一例において、第1のバルブは、コイル(ソレノイド)を備える。入力信号(本明細書では第1の入力信号と称される)は、コイルに、ターゲット時間周期にわたって連続して変動する磁界を生成させるように構成される。
【0050】
一部の実施形態では、方法800を行うシステムは、例えば第1のバルブの開口部など、第1のバルブの内部状態を調整するように構成された第2のバルブをさらに含む。第2のバルブは、第1のバルブの追加の調節可能性のために使用することができる。より具体的には、コントローラは、第2のバルブに第1のバルブの開口部を調整させるように構成された第2の入力信号を第2のバルブに受信させる。一部の実施形態では、第1の入力信号および第2の入力信号は、それぞれのバルブによって同時に受信される。
【0051】
一部の実施形態では、例えば、ポンプアッププロセスの例において、第1のチャンバに流れ込むガスの流れは、第1のバルブによって調整されるとき、第1のチャンバの内部の圧力がターゲット圧力を超えた後、比較的小さい値からより高いターゲットの流れに増加するように設定される。ターゲット圧力、例えば、20~25トールは、第1のチャンバの体積および形状に依存することができる。ターゲット圧力は、実験によるテストまたはシミュレーションを用いて、またはその両方を用いて決定することができ、圧力が特定の値を上回って増加した後、吸着した粒子の再懸濁の割合が低下することの観察に基づくことができる。
【0052】
ブロック830において、方法800は、第1のチャンバ内の圧力が、SPSの第1のチャンバ内での1つまたは複数の汚染物質の発生を最小限にするように決定された時間的曲線(例えば、P(t))またはターゲット圧力値(例えばP)の時間的シーケンスをたどるようにすることを含む。一部の実施形態では、第1のチャンバ内の実際の圧力(例えばPLL(t))が時間的曲線(またはターゲット圧力値の時間的シーケンス)をどのように厳密にたどるかモニタするために、方法800を行うシステムは、第1のチャンバの内部の圧力を連続して検出し、検出された圧力をコントローラに伝達する圧力センサをさらに含む。検出された圧力を受け取ると、コントローラは、伝達された圧力を考慮して第1の入力信号を調節させる。追加で、方法800を行うシステムは、第1のバルブの状態を連続して検出し、第1のバルブの検出された状態をコントローラに伝達するゲージを含むことができる。検出された状態を受け取ると、コントローラは、第1のバルブの伝達された状態を考慮して第1の入力信号を調節させる。第1の入力信号の調節は、SPSの第1のチャンバの内部の圧力が、第1のチャンバ内の1つまたは複数の汚染物質の発生を最小限にするように決定された時間的曲線(またはターゲット圧力値の時間的シーケンス)をたどるようにする。
【0053】
一部の実施形態では、ターゲット圧力値の時間的シーケンスは、第1の時間周期中のSPSの第1のチャンバ内の粒子の再懸濁の度合いを低減するように決定される。例えば、第1の時間周期は、ポンプアッププロセスの持続時間であり得る。一部の実施形態では、ポンプアッププロセスに加えて、方法800は、ポンプダウンプロセス中にも使用される。例えば、第2の時間周期中、コントローラは、第1のバルブに、第2の入力信号を受信するようにさせる。第2の入力信号は、第1のバルブに、第2の時間周期にわたってSPSの第1のチャンバから流れ出すガスの流れを連続して調整させるように構成されてよい。より具体的には、第2の入力信号は、第1のチャンバの内部の圧力が、第2の時間周期中のSPSの第1のチャンバ内の凝縮(エアロゾル化)を低減するように決定された別の時間的曲線(または、ターゲット圧力値の別の時間的シーケンス)をたどるように構成されてもよい。
【0054】
図9は、本開示の一部の実施形態による、基板の汚染物質への暴露を最小限にしながら、SPSの第1の区画からSPSの第2の区画に基板を移動させる方法900のフロー図である。用語「区画」は、SPSの他の部品もしくは構成要素から隔離され得る、SPSの任意のチャンバ、またはSPSの任意の他の部品もしくは構成要素を指す。基板の移動は、中間の第3区画(例えば、ロードロックチャンバ、エアロックチャンバ、移送チャンバなど)を介して行うことができる。ブロック910において、方法900は、第1の区画と第3の区画との間、例えば移送チャンバとロードロックチャンバとの間の第1のゲートを開放することを含む。ブロック920において、方法900は、第1の区画から第3の区画に基板を移動させることで継続する。第3の区画内に基板がある状態で、ブロック930において、第1のゲートが閉鎖されて第3の区画を第1の区画から隔離し、ブロック940において、第2のゲートが第3の区画を第2の区画から隔離するように制御される。ブロック910~940の全てまたはその一部は、方法900を実施する処理デバイスからの命令に基づいて行うことができる。ブロック950において、方法900は、処理デバイスがガスの流れを開始することを含む。ポンプアッププロセスの場合、ガスの流れは、第3の区画の中へと流れ、その一方でポンプダウンプロセスの場合、ガスの流れは第3の区画から外に流れ出る。
【0055】
ブロック960において、方法900は、処理デバイスが、複数回の各々において、ガスの流れの割合が、複数のRFRのそれぞれのターゲット基準流量(RFR)を有するようにすることで継続する。複数のRFRは、ガスの流れによって生じる第3の区画内での汚染粒子の発生を最小限にするモデリングに基づいて決定することができる。ガスの流れが理由で、第3の区画内の圧力は、初期圧力から最終圧力に変化する。非制限的な一例では、ポンプアッププロセス中、初期圧力は10トール未満であり、最終圧力は700トールを超える。同様にポンプダウンプロセス中、初期圧力は700トールを超え、最終圧力は、10トール未満である。
【0056】
方法900は、その後、処理デバイスが、第3の区画内の圧力が初期圧力から最終圧力に変化するのに応答して、第2のゲートを開放し(ブロック970)、第3の区画から第2の区画に基板を移動させる(ブロック980)ことで継続してよい。
【0057】
図10は、本開示の一部の実施形態による、基板処理システムにおける汚染物質の発生を最小限にする圧力の変化の型および流量の変化の型をモデリングする方法1000のフロー図である。方法1000は、図3のコンピューティングデバイス210または任意の他のコンピューティングデバイスによって実施されてよい。方法1000は、図8の方法800および/または図9の方法900と併せて実施されてもよい。一部の実施形態では、方法1000は、方法800および/または方法900と同時にリアルタイムで行われてもよい。一部の実施形態では、方法1000は、方法800および/または方法900の実行中に、方法1000の出力(例えば、ターゲット圧力力学およびターゲット流量力学)が記憶され、その後に使用される状態で、方法800および/または方法900より前に行われてもよい。
【0058】
一部の実施形態では、方法1000は、基板処理システムのロードロックチャンバまたは任意の他の区画の動作のポンプアップ段階に関してターゲット圧力P(t)およびターゲット流量F(t)を決定する。ブロック1010において、方法1000は、第1のモデルを使用して、チャンバ(例えば、方法900の第3の区画)の表面に吸着した汚染粒子に作用する抵抗力を特徴付けることを含む。一部の実施形態では、第1のモデルへの入力は、ガスの粘度(例えば、動粘度)、区画の表面付近のガスの速度、およびチャンバの幾何学形状(例えば、体積、面積および形状)、ガスの密度、ガスの温度、ガスの種類(単原子、二原子など)などを特徴付けるパラメータなど種々の他のパラメータを含む。一部の実施形態では、チャンバの表面付近のガスの速度は、チャンバ内へのガスの流れの割合に基づいて決定される。
【0059】
ブロック1020において、方法1000は、第2のモデルを使用して、チャンバの表面への汚染粒子の親和性を特徴付けることで継続する。一部の実施形態では、第2のモデルは、チャンバの表面からの汚染粒子の分離のための閾値力を決定する。閾値力は、汚染粒子の半径に依存することができ、これは、第2のモデルへの入力として使用される。他の入力は、汚染粒子とチャンバの表面間の引力(例えば、ファン・デル・ワールス相互作用)の強さを含むことができる。例えば、引力の強さは、汚染粒子の材料の種類、汚染粒子の半径(または任意の他の寸法)、チャンバの表面の粗さなどに依存する接着エネルギーを用いてパラメータ化されてもよい。
【0060】
ブロック1030において、方法1000は、第1のモデルおよび第2のモデルの出力を使用して、第3の区画の表面からの汚染粒子の再懸濁の瞬間確率を決定することで継続する。再懸濁の瞬間確率は、ガスの圧力および温度ならびにチャンバ内へのガスの流量の特定の瞬時値を仮定して、表面からの汚染粒子(例えば、特定サイズの粒子)が再懸濁する確率を指す。瞬時値が変化するとき(例えば、ポンプアッププロセスの持続時間にわたって)、再懸濁の瞬間確率も同様に変化する。
【0061】
ブロック1040において、方法1000は、圧力を初期圧力から最終圧力に変化させるターゲット持続時間の後、チャンバの表面に吸着したままの汚染粒子の割合を決定することで継続する。ブロック1040の動作は、瞬間確率(ブロック1030の動作中に決定された)を入力として使用することができ、見込み流量F(t)(ならびにチャンバ内の圧力のすぐ後に起こる力学P(t))を追加の入力としてさらに使用することができる。種々の他の見込み流量F(t)、F(t)、…(ならびにそれぞれの圧力力学P(t)、P(t)、…)を他の入力として使用することができる。異なる入力流量は、ポンプアッププロセスの異なる持続時間に対応することができる。プロセスの一部は、比較的短くて(およびこれにより比較的高い最大流量を有して)よく、その一方で一部のプロセスは、より長い場合もある(対応してより低い最大流量を有する)。入力の各々に関して、方法1000を実施する処理デバイスは、表面上に残っている汚染粒子の割合を計算することができる。例えば、より短い、それ故より積極的なポンプアッププロセスは、より少ない割合の表面に吸着されたままの粒子を有する場合がある。
【0062】
ブロック1050において、方法1000は、処理デバイスが、多様な可能な入力の変化の型から流量F(t)(および圧力P(t))のターゲットの変化の型を選択することで継続する。一部の実施形態では、連続曲線F(t)(およびそれぞれの曲線P(t))を選択することができる。他の実施形態では、別個の複数のターゲット流量F(t)、F(t)、…(基準流量)を選択することができる。選択された(連続または別個の)流量F(t)(および圧力P(t)は、その後ポンプダウンプロセスにおいて使用するために記憶することができる(例えば、上記の方法800および900に関連して記載されるように)。(連続または別個の)ターゲット流量は、それ故、(i)チャンバ内の圧力を初期圧力から最終圧力に変化させるターゲット持続時間、および(ii)チャンバの表面に吸着したままである汚染粒子のターゲット割合に基づいて決定される。ターゲット割合は、実施されている特定の技術プロセスの詳細、および生み出される製品(例えば、ウエハ)の品質に対する対応する要望に依存する場合がある。
【0063】
図11は、本開示の1つまたは複数の態様によって動作する一例のコンピューティングデバイス1100のブロック図を描く。コンピューティングデバイス1100は、図2のコンピューティングデバイス210、または図7Aおよび図7Bのコントローラ720、あるいは、製造システムにおける汚染物質の発生を最小限にするための圧力変化を規定する方法800、SPSの第1の区画から第2の区画に基板を移動させる方法900、および/または基板処理システムにおける汚染物質の発生を最小限にする圧力および流量の変化の型をモデリングする方法1000を行う、任意の他の処理デバイス、または処理デバイスの組合せであってよい。
【0064】
一例のコンピューティングデバイス1100は、LAN、イントラネット、エクストラネットおよび/またはインターネットにおける他の処理デバイスに接続されてよい。コンピューティングデバイス1100は、パーソナルコンピュータ(PC)、セットトップボックス(STB)、サーバ、ネットワークルータ、スイッチまたはブリッジ、あるいはそのデバイスが取るべき行動を指定する一セットの命令(連続した、またはそうでない)を実行することが可能な任意のデバイスであってよい。さらに、単一例の処理デバイスのみが例示されているが、用語「処理デバイス」はまた、本明細書で考察される方法のいずれか1つまたは複数を行うための一セットの(または複数セットの)命令を個別に、または共同して実行する処理デバイス(例えば、コンピュータ)の任意の集合を含むように解釈すべきである。
【0065】
一例のコンピューティングデバイス1100は、処理デバイス1102(例えば、CPU)、メインメモリ(例えば、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAMA)など)、スタティックメモリ1106(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダダムアクセスメモリ(SRAM)など)、およびバス1130を介して互いに通信してよい二次メモリ(例えば、データストレージデバイス1108)を含んでよい。
【0066】
処理デバイス1102は、マイクロプロセッサ、中央処理ユニットなどの1つまたは複数の汎用処理デバイスを表す。より詳細には、処理デバイス1102は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実施するプロセッサまたは命令セットの組合せを実施するプロセッサであってよい。処理デバイス1102はまた、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどの1つまたは複数の特殊目的処理デバイスであってもよい。本開示の1つまたは複数の態様によると、処理デバイス1102は、製造システムにおける汚染物質の発生を最小限にするために圧力変化を規定する方法800、SPSの第1の区画から第2の区画に基板を移動させる方法900、および/または基板処理システムにおける汚染物質の発生を最小限にする圧力および流量の変化の型をモデリングする方法1000を実施する命令を実行するように構成されてよい処理ロジック1126を含んでよい。
【0067】
一例のコンピューティングデバイス1100は、ネットワークインターフェースデバイス1108をさらに備えてもよく、これは、ネットワーク1120に通信可能に接続されてよい。一例のコンピューティングデバイス1100は、ビデオディスプレイ1110(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、タッチスクリーンまたはブラウン管(CRT))、文字数字式入力デバイス1112(例えばキーボード)、入力制御デバイス1114(例えば、カーソル制御デバイス、タッチスクリーン制御デバイス、マウス)および信号生成デバイス1116(例えば音響スピーカー)をさらに備えてもよい。
【0068】
データストレージデバイス1118は、実行可能命令1122の1つまたは複数のセットが記憶されるコンピュータ可読ストレージ媒体(またはより具体的には、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体)1128を含んでもよい。本開示の1つまたは複数の態様によると、実行可能命令1122は、製造システムにおける汚染物質の発生を最小限にするために圧力変化を規定する方法800、SPSの第1の区画から第2の区画に基板を移動させる方法900、および/または基板処理システムにおける汚染物質の発生を最小限にする圧力および流量の変化の型をモデリングする方法1000を実施する実行可能命令を含んでよい。
【0069】
実行可能命令1122はまた、一例のコンピューティングデバイス1100、メインメモリ1104および処理デバイス1102によるその実行中、メインメモリ1104内および/または処理デバイス1102内に完全に、または少なくとも部分的に備わっていてもよい。実行可能命令1122は、ネットワークインターフェースデバイス1108を介してネットワークにわたって、さらに送信または受信されてもよい。
【0070】
コンピュータ可読ストレージ媒体1128は、図11に単一媒体として示されているが、用語「コンピュータ可読ストレージ媒体」は、動作命令の1つまたは複数のセットを記憶する単一媒体または複数媒体(例えば、中央に集中した、または分散されたデータベース、および/または対応付けられたキャッシュおよびサーバ)を含むように解釈すべきである。用語「コンピュータ可読ストレージ媒体」はまた、本明細書に記載される方法の任意の1つまたは複数をマシンに行うようにさせる、マシンによる実行のための命令のセットを記憶する、または符号化することが可能な任意の媒体を含むように解釈されるべきである。用語「コンピュータ可読ストレージ媒体」はしたがって、これに限定するものではないが固体状態メモリ、ならびに光学媒体および磁気媒体を含むように解釈されるべきである。
【0071】
以下の実施例は、現在の開示によるさらなる実装形態を例示する。
【0072】
実施例1では、システムは、基板処理システムのロードロックチャンバ(LLC)であって、LLCに流れ込むように誘導される、またはLLCから流れ出すように誘導されるガスの流れを調整する1つまたは複数のバルブを含む、ロードロックチャンバ(LLC)と、コントローラであって、LLCが外部環境から密閉された状態で、1つまたは複数のバルブを通るガスの流れを開始し、ガスの流れの割合を、複数の時間の各々において、複数の基準流量(RFR)のそれぞれのRFRに一致させ、複数のRFRは、少なくとも3つのRFRを含み、LLCの環境内の1つまたは複数の汚染物質の発生を最小限にするように決定される、ように構成されるコントローラとを含む。
【0073】
実施例2では、実施例1のシステムにおいて、複数のRFRは、初期圧力、最終圧力、および初期圧力から最終圧力へのLLCの環境の移行のターゲット持続時間を考慮して決定される。
【0074】
実施例3では、実施例1のシステムにおいて、1つまたは複数の汚染物質は、初期圧力から最終圧力へのLLCの環境の移行中にLLCの環境内に現れる。
【0075】
実施例4では、実施例3のシステムにおいて、コントローラに通信可能に接続された圧力センサをさらに含み、コントローラはさらに、圧力センサから、現在の圧力読み取り値を受け取り、受け取った現在の圧力読み取り値と、複数の基準圧力値のそれぞれの基準圧力値との差を取得し、それぞれの基準圧力値は、時間の現在の段階に対応付けられており、取得した差を緩和するために、1つまたは複数のバルブを通るガスの流れの割合を調節するように構成される。
【0076】
実施例5では、実施例1のシステムにおいて、1つまたは複数のバルブは、ガスの流れを連続して調整するように構成される。
【0077】
実施例6では、実施例1のシステムにおいて、ガスの流れは、LLCの中に誘導され、複数のRFRは、LLCの環境内でのLLCの内面からの粒状物質の再懸濁を最小限にするように選択される。
【0078】
実施例7では、実施例1のシステムにおいて、ガスの流れは、LLCから流れ出すように誘導され、複数のRFRは、LLCの環境内でのエアロゾル形成を防止するように選択される。
【0079】
実施例8では、システムは、第1のチャンバおよび第2のチャンバを含む基板処理システム(SPS)と、SPSの第2のチャンバからSPSの第1のチャンバを選択式に密閉および開放するように構成された第1のゲートと、SPSの第1のチャンバ内へのガスの流れを連続して調整するように構成された第1のバルブと、第1のゲートおよび第1のバルブに通信可能に接続されたコントローラであって、第1のゲートに、SPSの第1のチャンバをSPSの第2のチャンバから密閉させ、第1のバルブに、第1の入力信号を受信させ、第1の入力信号は、第1のバルブに第1の時間周期にわたってSPSの第1のチャンバ内へのガスの流れを連続して調整させるように構成されている、コントローラとを含む。
【0080】
実施例9では、実施例8のシステムにおいて、第1の入力信号は、SPSの第1のチャンバの内部の圧力がターゲット圧力値の時間的シーケンスをたどるようにするように構成される。
【0081】
実施例10では、実施例9のシステムにおいて、ターゲット圧力値の時間的シーケンスは、第1の時間周期中、SPSの第1のチャンバ内での粒子の再懸濁の度合いを低減するように決定される。
【0082】
実施例11では、実施例8のシステムにおいて、コントローラはさらに、第1のバルブに第2の入力信号を受信させ、第2の入力信号は、第1のバルブに、第2の時間周期にわたってSPSの第1のチャンバから流れ出すガスの流れを連続して調整させるように構成される。
【0083】
実施例12では、実施例11のシステムにおいて、第2の入力信号は、SPSの第1のチャンバの内部の圧力がターゲット圧力値の時間的シーケンスをたどるようにし、ターゲット圧力値の時間的シーケンスは、第2の時間周期中、SPSの第1のチャンバ内の凝縮を低減するように決定されるように構成される。
【0084】
実施例13では、実施例8のシステムにおいて、第1のバルブは、比例バルブである。
【0085】
実施例14では、実施例13のシステムにおいて、第1のバルブは、コイルを含み、第1の入力信号は、コイルに、第1の時間周期にわたって連続して変動する磁界を生成させるように構成される。
【0086】
実施例15では、実施例8のシステムにおいて、第1のバルブの開口部を調整するように構成された第2のバルブをさらに含み、コントローラはさらに、第2のバルブに第2の入力信号を受け取るようにさせるように構成され、第2の入力信号は、第2のバルブに第1のバルブの開口部を調整するように構成される。
【0087】
実施例16では、実施例8のシステムでは、第1の時間周期にわたってSPSの第1のチャンバに流れ込むガスの流れは、SPSの第1のチャンバの内部の圧力がターゲット圧力を超えた後、ターゲット流量まで増加させられる。
【0088】
実施例17では、実施例8のシステムにおいて、SPSの第1のチャンバの内部の圧力を連続して検出し、検出された圧力をコントローラに伝達する圧力センサをさらに含み、コントローラは、伝達された圧力を考慮して第1の入力信号を調節させるように構成される。
【0089】
実施例18では、実施例17のシステムにおいて、第1の入力信号は、SPSの第1のチャンバの内部の圧力が、SPSの第1のチャンバ内の1つまたは複数の汚染物質の発生を最小限にするように決定された時間曲線をたどるようにするように調節される。
【0090】
実施例19では、実施例8のシステムにおいて、第1のバルブは、第1のバルブの状態を連続して検出し、第1のバルブの検出された状態をコントローラに伝達するゲージを含み、コントローラは、第1のバルブの伝達された状態を考慮して第1の入力信号を調節させるように構成される。
【0091】
実施例20では、実施例8のシステムにおいて、SPSは、SPSの第1のチャンバをSPSの第3のチャンバから選択式に密閉および開放するように構成された第2のゲートと、SPSの第1のチャンバから流れ出すガスの流れを連続して調整するように構成された第2のバルブとをさらに含み、コントローラはさらに、第2のゲートおよび第2のバルブと通信可能に接続され、第2のゲートにSPSの第1のチャンバをSPSの第3のチャンバから密閉させ、第2のバルブに、第1の入力信号を受信させ、第1の入力信号は、第2のバルブに、第2の時間周期にわたってSPSの第1のチャンバから流れ出すガスの流れを連続して調整させるように構成される、ように構成される。
【0092】
実施例21では、方法は、基板処理システム(SPS)のチャンバを外部環境から密閉することと、ターゲット時間周期にわたってチャンバに流れ込む、またはチャンバから流れ出すガスの流れを連続して調整することと、SPSのチャンバ内の圧力が、SPSのチャンバ内の1つまたは複数の汚染物質の発生を最小限にするように決定された時間曲線をたどるようにすることとを含む。
【0093】
実施例22では、基板処理システム(SPS)の第1の区画からSPSの第2の区画に基板を移動させるための方法は、SPSの第1の区画と第3の区画との間の第1のゲートを開放することと、第1の区画から第3の区画に基板を移動させることと、第1のゲートを閉鎖して、第3の区画を第1の区画から隔離することと、第3の区画を第2の区画から隔離するように第2のゲートを制御することと、ガスの流れを開始することであって、ガスの流れは、(i)第3の区画に流れ込むガスの流れ、または(ii)第3の区画から流れ出すガスの流れのうちの1つである、開始することと、ガスの流れの割合が、複数の時間の各々において、複数のRFRのそれぞれのターゲット基準流量(RFR)を有するようにさせることであって、複数のRFRは、ガスの流れによって生じる、第3の区画内の汚染粒子の発生を最小限にするモデリングに基づいて決定される、複数のRFRのそれぞれのターゲット基準流量(RFR)を有するようにさせることと、第3の区画内の圧力が初期圧力から最終圧力に変化するのに応答して、第2のゲートを開放し、第3の区画から第2の区画に基板を移動させることとを含む。
【0094】
実施例23では、実施例22の方法において、ガスの流れは、第3の区画へと流れ、モデリングは、第3の区画の表面に吸着した汚染粒子に作用する抵抗力を特徴付ける第1のモデルを含む。
【0095】
実施例24では、実施例23の方法において、第1のモデルへの入力は、ガスの粘度と、第3の区画の表面付近のガスの速度とを含み、ガスの速度は、第3の区画に流れ込むガスの流れの割合に基づいて決定される。
【0096】
実施例25では、実施例23の方法において、モデリングは、第3の区画の表面に対する汚染粒子の親和性を特徴付ける第2のモデルを含む。
【0097】
実施例26では、実施例25の方法において、モデリングは、第1のモデルおよび第2のモデルの出力を用いて、第3の区画の表面からの汚染粒子の再懸濁の瞬間確率を決定することを含む。
【0098】
実施例27では、実施例23の方法において、モデリングは、第3の区画内の圧力を初期圧力から最終圧力に変化させるターゲット持続時間の後、第3の区画の表面に吸着したままの汚染粒子の割合を決定することを含む。
【0099】
実施例28では、実施例23の方法において、複数のRFRはさらに、(i)第3の区画内の圧力を初期圧力から最終圧力に変化させるターゲット持続時間、および(ii)第3の区画の表面に吸着したままの汚染粒子のターゲット割合に基づいて決定される。
【0100】
実施例29では、実施例22の方法において、初期圧力は、10トール未満の第1の圧力または700トールを超える第2の圧力のうちの1つであり、最終圧力は、10トール未満の第1の圧力または700トールを超える第2の圧力のうちの別の1つである。
【0101】
実施例30では、実施例22の方法において、ガスの流れは、第3の区画から出て行き、汚染物質は水粒子である。
【0102】
実施例31では、実施例30の方法において、モデリングは、複数の時間の各々において、水粒子の凝縮に関連する複数の閾値圧力のそれぞれの閾値圧力を決定することを含む。
【0103】
実施例32では、実施例31の方法において、それぞれのターゲットRFRの各々は、それぞれの閾値圧力である、またはそれを下回る。
【0104】
実施例33では、システムは、第1の区画、第2の区画および第3の区画を含む基板処理システムと、第3の区画を第1の区画から隔離する第1のゲートと、第3の区画を第2の区画から隔離する第2のゲートと、第3の区画へのガスの流量を調整するように構成されたバルブであって、ガスの流れは、(i)第3の区画に流れ込むガスの流れ、または(ii)第3の区画から流れ出すガスの流れのうちの一方である、バルブと、ガスの流れを開始し、ガスの流れは、(i)第3の区画に流れ込むガスの流れ、または(ii)第3の区画から流れ出すガスの流れのうちの一方であり、ガスの流れの割合が、複数の基準流量(RFR)のそれぞれのターゲットRFRを有するようにさせ、複数のRFRは、ガスの流れによって生じる、第3の区画内の汚染粒子の発生を最小限にするモデリングに基づいて決定され、第3の区画内の圧力が初期圧力から最終圧力に変化するのに応じて、第1のゲートおよび第2のゲートを開放させ、基板が、第3の区画を介して第1の区画から第2の区画に移動されるように構成されたコントローラとを含む。
【0105】
実施例34では、実施例33のシステムにおいて、ガスの流れは、第3の区画に流れ込み、モデリングは、第3の区画の表面に吸着した汚染粒子に作用する抵抗力を特徴付ける第1のモデルを含む。
【0106】
実施例35では、実施例34のシステムにおいて、モデリングは、第3の区画の表面に対する汚染粒子の親和性を特徴付ける第2のモデルを含む。
【0107】
実施例36では、実施例33のシステムにおいて、ガスの流れは、第3の区画から出て行き、汚染物質は水粒子であり、モデリングは、複数の時間の各々において、水粒子の凝縮に関連する複数の閾値圧力のそれぞれの閾値圧力を決定することを含む。
【0108】
実施例37では、実施例36のシステムにおいて、それぞれのターゲットRFRの各々は、それぞれの閾値圧力である、またはそれを下回る。
【0109】
実施例38では、命令を記憶する非一時的コンピュータ可読メモリは、処理デバイスによって実行されるとき、処理デバイスに、第1のゲートに基板処理システム(SPS)の第1の区画をSPSの第2の区画から隔離させ、第2のゲートにSPSの第3の区画をSPSの第2の区画から隔離させ、ガスの流れを開始し、ガスの流れは、(i)第2の区画に流れ込むガスの流れ、または(ii)第2の区画から流れ出すガスの流れのうちの一方であり、ガスの流れの割合が、複数の時間の各々において、複数のRFRのそれぞれのターゲット基準流量(RFR)を有するようにさせ、複数のRFRは、ガスの流れによって生じる第2の区画内の汚染粒子の発生を最小限にするモデリングに基づいて決定され、第3の区画内の圧力が初期圧力から最終圧力に変化するのに応答して、第1のゲートおよび第2のゲートを開放させ、基板を第2の区画を経由して第1の区画から第3の区画に移動させる。
【0110】
実施例39では、実施例38の非一時的コンピュータ可読メモリにおいて、ガスの流れは、第2の区画へと流れ込み、モデリングは、第2の区画の表面に吸着した汚染粒子に作用する抵抗力を特徴付ける第1のモデルと、第2の区画の表面に対する汚染粒子の親和性を特徴付ける第2のモデルとを含む。
【0111】
実施例40では、実施例38の非一時的コンピュータ可読メモリにおいて、ガスの流れは、第2の区画から出て行き、汚染粒子は水粒子であり、モデリングは、複数の時間の各々において、水粒子の凝縮に関連する複数の閾値圧力のそれぞれの閾値圧力を決定することを含む。
【0112】
上記の記載は、例示を意図しており、制限することは意図されていないことを理解されたい。上記の記載を読んで理解することで、多くの他の実装形態の例が当業者には明らかであろう。本開示は、特有の実施例を記載しているが、本開示のシステムおよび方法は、本明細書に記載される実施例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内の修正形態で実施される場合もあることを理解されたい。したがって、明細書および図面は、制限する意味ではなく、例示の意味で考慮に入れるべきである。本開示の範囲は故に、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と共に、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
【0113】
上記に記載される方法、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはコードの実装形態は、処理要素によって実行可能なマシンアクセス可能媒体、マシン可読媒体、コンピュータアクセス可能媒体、またはコンピュータ可読媒体に記憶された命令またはコードを介して実施されてよい。「メモリ」は、コンピュータまたは電子システムなどのマシンによって読み取ることが可能な形式で情報を提供する(すなわち、記憶する、および/または送信する)任意の機構を含む。例えば、「メモリ」は、スタティックRAM(SRAM)またはダイナミックRAM(DRAM)などのランダムアクセスメモリ(RAM)、ROM、磁気または光学ストレージ媒体、フラッシュメモリデバイス、電気ストレージデバイス、光学ストレージデバイス、音響ストレージデバイス、およびマシン(例えば、コンピュータ)によって読み取ることが可能な形式で電子命令または情報を記憶する、または送信するのに適した実在するマシン可読媒体の任意の種類を含む。
【0114】
この明細書を通して「1つの実施形態」または「一実施形態」に対する言及は、この実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造または特徴が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、「1つの実施形態では」または「一実施形態では」というフレーズがこの明細書を通して様々な場所で現れるが、これは全て同じ実施形態を必ずしも指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造または特徴は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適なやり方で組み合わされる場合もある。
【0115】
上述の明細書において、詳細な記載は、特有の一例の実施形態を参照して提供されている。しかしながら、種々の修正および変更が、添付の特許請求の範囲に記載されるような本開示のより広範な精神および範囲から逸脱することなく、それに対して行われる可能性があることは明白であろう。明細書および図面は、したがって、限定的な意味ではなく、例示の意味で考慮されるべきである。さらに、実施形態の上述の利用、実施形態および/または他の例示的な語句は、同じ実施形態または同じ実施例を必ずしも参照しているわけではないが、異なる別個の実施形態を参照する場合もあり、同様に場合によっては同じ実施形態を参照する場合もある。
【0116】
語句「一例」または「例示」は、実施例、例または例証として機能することを意味するように、本明細書では使用される。「一例」または「例示」として本明細書に記載されるいずれの態様または設計も、他の態様または設計に対して好ましい、または有利であると必ずしも解釈すべきではない。むしろ、語句「一例」または「例示」は、概念を実際のやり方で提示することが意図されている。本出願で使用されるとき、用語「または」は、排他的「または」ではなく、包括的「または」を意味することが意図されている。すなわち、そうでないことが指定されなければ、または文脈から明らかでないならば、「Xは、AまたはBを含む」は、自然な包括的順列のいずれかを意味することが意図されている。すなわち、XがAを含む、XはBを含む、またはXはAとBの両方を含む場合、このとき、「Xは、AまたはBを含む」は、上述の例のいずれかの下に満たされる。加えて、本出願において、および添付の特許請求の範囲において使用されるような冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、そうでないことが指定されなければ、または文脈から単数形態に定められることが明白でなければ、「1つまたは複数の」を意味するように広く解釈されるべきである。さらに、全体を通しての用語「ある実施形態」または「1つの実装形態」あるいは「ある実施形態」または「1つの実施形態」の使用は、そのように記載されない限り、同じ実施形態または実施形態を意味することは意図されていない。また、本明細書で使用されるような用語「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」などは、異なる要素を区別するための標識を意味しており、その数値的な指定による順序を表す意味を必ずしも有するわけではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】