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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】メトロロジ方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240705BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240705BHJP
   G02B 21/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G03F7/20 521
G02B21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574873
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2022065395
(87)【国際公開番号】W WO2022263231
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】21180329.1
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21188279.0
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】タラブリン,セルゲイ
【テーマコード(参考)】
2H052
2H197
4M106
【Fターム(参考)】
2H052AA04
2H052AC06
2H052AC14
2H052AC27
2H052AF14
2H052AF25
2H197HA03
2H197HA04
2H197HA05
2H197HA10
2H197JA17
2H197JA22
2H197JA23
4M106AA01
4M106BA04
4M106CA21
4M106CA39
4M106DB02
4M106DB14
(57)【要約】
暗視野干渉顕微鏡及び関連する顕微鏡方法が開示される。顕微鏡は、対物放射をサンプル上に伝播させ、サンプルから結果として生じる散乱放射を収集するように動作可能な対物ブランチと、参照放射を伝播させるように動作可能な参照ブランチとを備える。対物放射及び参照放射は相互に点別に空間的にコヒーレントである。フィルタ配置は、散乱放射から0次成分を除去して、フィルタ処理された散乱放射を提供し、検出配置は、フィルタ処理された散乱放射と参照放射との干渉に由来する干渉像を検出する。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物放射をサンプル上に伝播させ、前記サンプルから結果として生じる散乱放射を収集するように動作可能な対物ブランチと、
参照放射を伝播させるように動作可能な参照ブランチと、
前記散乱放射から0次成分を除去して、フィルタ処理された散乱放射を提供するように動作可能なフィルタ配置と、
前記フィルタ処理された散乱放射と前記参照放射との干渉に由来する干渉像を検出するように動作可能な検出配置と
を備える、暗視野干渉顕微鏡であって、
前記対物放射及び前記参照放射が、それぞれ空間的にインコヒーレントであり、相互に点別に空間的にコヒーレントである、暗視野干渉顕微鏡。
【請求項2】
インコヒーレントな放射を含む入力ビームを受け取り、インコヒーレントな放射の前記入力ビームを前記対物放射と前記参照放射とに分割して、互いの複製である対物放射及び参照放射を提供するように動作可能なビーム分割要素を瞳面又はその共役に備える、請求項1に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項3】
点別の空間コヒーレンスが、瞳点のペア間における相互空間コヒーレンスを表し、瞳点の各ペアが前記対物放射及び前記参照放射のそれぞれにおいて対応する瞳点をそれぞれ備えるが、前記対物放射及び前記参照放射のそれぞれの前記瞳点がインコヒーレントである、請求項1又は2に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項4】
前記干渉像が瞳点の前記ペアの干渉からそれぞれ生成された複数の干渉像のインコヒーレントな結合から形成されるように動作可能である、請求項3に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項5】
前記参照ブランチがフィールド共役に光反転要素を備え、前記光反転要素が、前記参照放射の点対称配置を反転させるように動作可能である、請求項1~4の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項6】
前記参照放射と前記フィルタ処理された散乱放射とが瞳面又はその共役においてオーバーラップするように前記参照放射と前記フィルタ処理された散乱放射とを結合するように動作可能なビーム結合要素を備える、請求項1~5の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項7】
前記参照放射が、前記フィルタで除去された0次成分に対応する検出開口数の一部に収容されるように動作可能である、請求項1~6の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項8】
前記フィルタ処理された散乱放射内に含まれる複数の物体放射成分と、前記参照放射のそれぞれの参照放射成分とを、前記物体放射成分のそれぞれがそれぞれの対応する参照放射成分と干渉するように誘導するように動作可能な光学的配置を備える、請求項1~7の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項9】
各物体放射成分が異なる回折次数を含む、請求項8に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項10】
前記対物ブランチの対物照明開口数と検出開口数とを有し、前記検出開口数が前記フィルタ処理された散乱照明で満たされるように前記対物照明開口数が前記検出開口数よりも大きい、請求項1~9の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項11】
前記参照ブランチが、前記対物照明開口数と同様の参照照明開口数を有する、請求項10に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項12】
前記フィルタ処理された散乱放射の所望の成分が前記検出開口数内に捕捉されるように、前記検出開口数と、前記サンプルのピッチと前記対物放射の波長との比とに基づいて測定のために構成可能である、構成可能な照明開口数プロファイル及び/又は基板配向を有する、請求項10又は11に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項13】
対物放射をサンプル上に伝播させ、前記サンプルから結果として生じる散乱放射を収集することと、
前記散乱放射から0次成分を除去して、フィルタ処理された散乱放射を提供することと、
参照放射を伝播させることと、
前記フィルタ処理された散乱放射と前記参照放射との干渉に由来する干渉像を検出することと
を含む、暗視野干渉顕微鏡法を行う方法であって、
前記対物放射及び前記参照放射が、それぞれ空間的にインコヒーレントであり、相互に点別に空間的にコヒーレントである、暗視野干渉顕微鏡法を行う方法。
【請求項14】
基板上の構造の関心特性を決定するためのメトロロジ装置であって、前記メトロロジ装置が、請求項1~12の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡を備える、メトロロジ装置。
【請求項15】
請求項1~12の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡又は請求項14に記載のメトロロジ装置を備える、リソグラフィセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、参照によって全体として本明細書に組み込まれる、2021年6月18日に出願された欧州特許出願第21180329.1号及び2021年7月28日に出願された欧州特許出願第21188279.0号の優先権を主張するものである。
【0002】
[0002] 本発明は、例えば、基板上の構造の特徴を決定するために使用され得る、メトロロジ方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に施すように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)にあるパターン(「デザインレイアウト」又は「デザイン」と呼ばれることも多い)を、基板(例えば、ウェーハ)上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層に投影し得る。
【0004】
[0004] リソグラフィ装置は、基板にパターンを投影するために電磁放射を使用し得る。この放射の波長により、基板上に形成できるフィーチャの最小サイズが決まる。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nm及び13.5nmである。波長が4~20nmの範囲、例えば6.7nm又は13.5nmである極端紫外線(EUV)の放射を使用するリソグラフィ装置であれば、例えば、波長が193nmである放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成することが可能である。
【0005】
[0005] リソグラフィ装置の古典的な解像限界より小さい寸法を有するフィーチャをプロセスするために、低kリソグラフィが用いられ得る。そのようなプロセスでは、解像度の式は、CD=k×λ/NAで表され得、ここで、λは、使用される放射線の波長であり、NAは、リソグラフィ装置の投影光学系の開口数であり、CDは、「クリティカルディメンジョン」であり(一般には印刷される最小フィーチャサイズであるが、この場合にはハーフピッチ)、kは、経験的な解像度ファクタである。一般に、kが小さいほど、特定の電気的な機能性及び性能を達成するために回路設計者が計画した形状及び寸法に似せたパターンを基板上に複写することが困難になる。このような困難を克服するために、高度な微調整ステップがリソグラフィ投影装置及び/又はデザインレイアウトに適用され得る。そのようなステップとして、例えば、NAの最適化、照明方式のカスタマイズ、位相シフトパターニング装置の使用、デザインレイアウトの様々な最適化、例えば、デザインレイアウトにおける光近接効果補正(OPC(「光学及びプロセス補正」と呼ばれることもある))又は他の一般的に「解像度向上技術」(RET)と定義される方法があるが、これらに限定されない。代わりに、低kでのパターン複写を改善するために、リソグラフィ装置の安定性を管理する厳格管理ループが用いられ得る。
【0006】
[0006] リソグラフィプロセスでは、作成された構造を(例えば、プロセスの管理及び検証のために)頻繁に測定することが望ましい。そのような測定を行う様々なツールが知られており、例えば走査電子顕微鏡又は様々な形式のメトロロジ装置(スキャトロメータなど)がある。そのようなツールを指す一般的な用語は、メトロロジ装置又は検査装置であり得る。
【0007】
[0007] ホログラフィック画像から位相情報を抽出することを可能にするホログラフィックメトロロジツールが知られている。参照によって本明細書に組み込まれる国際特許出願である国際公開第2019197117A1号は、基板上に製造された構造の特性(例えば、オーバーレイ)を決定するために暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡(df-DHM)に基づく方法及びメトロロジ装置を開示している。このようなホログラフィックメトロロジツールを改善することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 特許請求の範囲及び詳細な説明において、本発明の実施形態を開示する。
【0009】
[0009] 本発明の第1の態様では、対物放射をサンプル上に伝播させ、サンプルから結果として生じる散乱放射を収集するように動作可能な対物ブランチと、参照放射を伝播させるように動作可能な参照ブランチと、散乱放射から0次成分を除去して、フィルタ処理された散乱放射を提供するように動作可能なフィルタ配置と、フィルタ処理された散乱放射と参照放射との干渉に由来する干渉像を検出するように動作可能な検出配置とを備える、暗視野干渉顕微鏡であって、対物放射及び参照放射が、それぞれ空間的にインコヒーレントであり、相互に点別に空間的にコヒーレントである、暗視野干渉顕微鏡が提供される。
【0010】
[00010] 本発明の第2の態様では、対物放射をサンプル上に伝播させ、サンプルから結果として生じる散乱放射を収集することと、散乱放射から0次成分を除去して、フィルタ処理された散乱放射を提供することと、参照放射を伝播させることと、フィルタ処理された散乱放射と参照放射との干渉に由来する干渉像を検出することとを含む、暗視野干渉顕微鏡法を行う方法であって、対物放射及び参照放射が、それぞれ空間的にインコヒーレントであり、相互に点別に空間的にコヒーレントである、方法が提供される。
【0011】
[00011] 以下では、添付の概略図面を参照して、本発明の実施形態をあくまで例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】リソグラフィ装置の概略的概要を示す。
図2】リソグラフィセルの概略的概要を示す。
図3】ホリスティックリソグラフィの概略図を示し、半導体製造を最適化するための重要な3つの技術間の協調を表す。
図4】スキャトロメトリ装置の概略図である。
図5a】第1の照明アパーチャペアを使用する本発明の実施形態によるターゲットの測定に使用する暗視野スキャトロメータの概略図である。
図5b】所与の照明方向に対するターゲット格子の回折スペクトルの詳細を示す。
図5c】回折ベースのオーバーレイ測定にスキャトロメータを使用する際にさらなる照明モードを提供する第2の照明アパーチャペアを示す。
図5d】第1及び第2のアパーチャペアを組み合わせた第3の照明アパーチャペアを示す。
図6】本発明の実施形態によるインコヒーレント暗視野干渉顕微鏡の概略図である。
図7図6に示すものなどのデバイス内の異なる面における瞳空間図を示すフローダイヤグラムである。
図8a】一実施形態による、第1の物体波面構成及び参照波面構成がその上にある、図6に示すデバイスで使用可能なくさび構成要素の概略図である。
図8b】結果として得られた捕捉された画像である。
図9】一実施形態による、第2の物体波面構成及び参照波面構成がその上にある、図6に示すデバイスで使用可能なくさび構成要素の概略図である。
図10a図8及び図9に関連する方法の代替的な方法を示す、物体波面及び参照波面の瞳面図である。
図10b図10(a)の瞳面図に関連する画像を処理する方法を示すフローダイヤグラムである。
図11】本明細書に開示されるシステム及び/又は方法を制御するためのコンピュータシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0011] 本文書では、「放射」及び「ビーム」という用語は、あらゆるタイプの電磁放射を包含するように使用され、そのような電磁放射には、紫外線(例えば、365、248、193、157又は126nmの波長を有する)及びEUV(例えば、約5~100nmの範囲の波長を有する極端紫外線)が含まれる。
【0014】
[0012] 本明細書で使用される「レチクル」、「マスク」又は「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分に作成されるべきパターンに対応するパターン化された断面を、入射する放射ビームに提供するために使用可能な一般的なパターニングデバイスを意味するものとして広義に解釈され得る。これに関連して「ライトバルブ」という用語も使用される場合がある。古典的なマスク(透過型又は反射型のマスク、バイナリマスク、位相シフトマスク、ハイブリッドマスク等)に加えて、他のそのようなパターニングデバイスの例として、プログラマブルミラーアレイ及びプログラマブルLCDアレイがある。
【0015】
[0013] 図1は、リソグラフィ装置LAを概略的に示す。リソグラフィ装置LAは、放射ビームB(例えば、UV放射、DUV放射又はEUV放射)を調節するように構成された(イルミネータとも呼ばれる)照明システムILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築されて、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスMAを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたマスク支持部(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築されて、特定のパラメータに従って基板支持部を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板支持部(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば、1つ以上のダイを含む)ターゲット部分Cに投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを含む。
【0016】
[0014] 稼働中、照明システムILは、放射源SOから(例えば、ビーム送達システムBDを介して)放射ビームを受ける。照明システムILは、放射の誘導、整形及び/又は制御のために様々なタイプの光学コンポーネントを含み得、例えば屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型及び/又は他のタイプの光学コンポーネント又はこれらの任意の組合せを含み得る。イルミネータILは、放射ビームBがパターニングデバイスMAの面において所望の空間強度分布及び角度強度分布をその断面に有するように、放射ビームBを調節するために使用され得る。
【0017】
[0015] 本明細書で使用される「投影システム」PSという用語は、様々なタイプの投影システムを包含するものとして広義に解釈されたい。そのようなシステムには、使用されている露光放射の必要に応じて及び/又は他の要因(例えば、液浸液の使用又は真空の使用)の必要に応じて、屈折型、反射型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁型及び/又は静電光学型のシステム又はこれらの任意の組み合わせが含まれ得る。本明細書で「投影レンズ」という用語が使用されている場合、それらは、すべてより一般的な用語である「投影システム」PSと同義であると見なされ得る。
【0018】
[0016] リソグラフィ装置LAは、投影システムPSと基板Wとの間の空間を埋めるように、基板の少なくとも一部分が、屈折率が比較的高い液体(例えば、水)で覆われ得るタイプであり得、これは、液浸リソグラフィとも呼ばれる。液浸技術の詳細については、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6952253号に示されている。
【0019】
[0017] リソグラフィ装置LAは、基板支持部WTが2つ以上あるタイプ(「デュアルステージ」とも呼ばれる)であってもよい。そのような「複数ステージ」マシンでは、それらの基板支持部WTは並行して使用されてよく、及び/又は、それらの基板支持部WTの一方に載っている基板Wが、その基板Wにパターンを露光することに使用されている間に、他方の基板支持部WTに載っている別の基板Wに対して、その別の基板Wのその後の露光の準備の手順が実施されてよい。
【0020】
[0018] 基板支持部WTに加えて、リソグラフィ装置LAは測定ステージを含んでよい。測定ステージは、センサ及び/又はクリーニング装置を保持するように構成されている。センサは、投影システムPSの特性、又は放射ビームBの特性を測定するように構成されてよい。測定ステージは複数のセンサを保持してよい。クリーニング装置は、リソグラフィ装置の一部、例えば、投影システムPSの一部、又は液浸液を供給するシステムの一部をクリーニングするように構成されてよい。測定ステージは、基板支持部WTが投影システムPSから離れているときに、投影システムPSの下を動いてよい。
【0021】
[0019] 稼働中は、放射ビームBが、パターニングデバイス(例えば、マスク支持物MT上に保持されたマスクMA)に入射し、パターニングデバイスMA上にあるパターン(設計レイアウト)によってパターニングされる。放射ビームBは、マスクMAを横断した後、投影システムPSを通り抜け、投影システムPSは、ビームを基板Wのターゲット部分C上にフォーカスさせる。第2のポジショナPW及び位置測定システムIFの支援により、基板支持部WTは正確に動くことが可能であり、例えば、様々なターゲット部分Cが、放射ビームBの経路中のフォーカス及びアライメントされる位置に位置決めされるように正確に動くことが可能である。同様に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めするために、第1のポジショナPMと、場合によっては別の位置センサ(これは図1に明示されていない)とが使用されてよい。パターニングデバイスMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2、及び基板アライメントマークP1、P2を使用してアライメントされてよい。基板アライメントマークP1、P2は、図示されたように専用ターゲット部分を占有するが、ターゲット部分間の空間に配置されてよい。基板アライメントマークP1、P2は、ターゲット部分C間に配置される場合には、スクライブラインアライメントマークと呼ばれる。
【0022】
[0020] 図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、リソグラフィセルLC(リソセル又は(リソ)クラスタと呼ばれることもある)の一部をなし得、リソグラフィセルLCは、基板Wに対して露光前プロセス及び露光後プロセスを実施するための装置も含むことが多い。従来、そのような装置として、レジスト層を堆積させるスピンコータSC、露光したレジストを現像するデベロッパDE、冷却プレートCH及びベークプレートBK(これらは、例えば、基板Wの温度を調節するものであり、それは、例えば、レジスト層中の溶剤を調節するために行われる)がある。基板ハンドラ(即ちロボット)ROが基板Wを入出力ポートI/O1、I/O2からピックアップし、それらの基板Wを様々なプロセス装置間で動かし、それらの基板Wをリソグラフィ装置LAのローディングベイLBまで送達する。リソセル内のデバイスは、まとめてトラックと呼ばれることも多く、典型的にはトラック制御ユニットTCUの管理下にあり、トラック制御ユニットTCU自体は、監視制御システムSCSによって制御され得、監視制御システムSCSは、リソグラフィ装置LAも(例えば、リソグラフィ制御ユニットLACUを介して)制御し得る。
【0023】
[0021] リソグラフィ装置LAによって露光される基板Wが正確且つ確実に露光されるために、基板を検査して、パターン形成された構造の特性、例えば連続する層間のオーバーレイエラー、線の太さ、クリティカルディメンジョン(CD)等を測定することが望ましい。そのため、検査ツール(図示せず)がリソセルLCに含まれ得る。エラーが検出された場合、例えば、連続する基板の露光又は基板Wに対して実施されるべき他のプロセスステップに対する調節が行われ得、これは、特に同じバッチ又はロットの他の基板Wが引き続き露光又はプロセスされる前に検査が行われる場合に行われ得る。
【0024】
[0022] メトロロジ装置と呼ばれることもある検査装置は、基板Wの特性を測定するために使用され、特に異なる基板Wの特性がどのようにばらつくか、又は同じ基板Wの異なる層に関連付けられた特性が層ごとにどのようにばらつくかを測定するために使用される。検査装置は、代わりに、基板W上の欠陥を識別するように構築され得、例えばリソセルLCの一部分であり得るか、又はリソグラフィ装置LAに組み込まれ得るか、又はスタンドアロン装置であり得る。検査装置は、潜像(露光後のレジスト層内の像)に関する特性、又は半潜像(露光後ベーク工程PEB後のレジスト層内の像)に関する特性、又は現像されたレジスト像(レジストの露光部分又は非露光部分が除去されている)に関する特性、又はさらに(エッチング等のパターン転写工程後の)エッチングされた像に関する特性を測定し得る。
【0025】
[0023] 典型的には、リソグラフィ装置LAにおけるパターニングプロセスは、基板W上の構造の寸法決定及び配置に高い精度を必要とする、処理の中で最もクリティカルなステップの1つである。この高い精度を確保するために、図3に概略的に示されるように、3つのシステムをいわゆる「ホリスティック」管理環境として組み合わせ得る。これらのシステムの1つは、リソグラフィ装置LAであり、これは、メトロロジツールMET(第2のシステム)及びコンピュータシステムCL(第3のシステム)と(仮想的に)接続される。そのような「ホリスティック」環境の鍵は、これらの3つのシステム間の協調を最適化して、プロセスウィンドウ全体を強化し、厳格管理ループを実現することにより、リソグラフィ装置LAによって実施されるパターニングがプロセスウィンドウ内にとどまるようにすることである。プロセスウィンドウは、プロセスパラメータ(例えば、ドーズ、フォーカス、オーバーレイ)の範囲を規定し、この範囲内で特定の製造プロセスが規定の結果(例えば、機能する半導体デバイス)を産出し、典型的には、この範囲内でリソグラフィプロセス又はパターニングプロセスのプロセスパラメータが変動し得る。
【0026】
[0024] コンピュータシステムCLは、パターニングされるデザインレイアウト(の一部)を使用することにより、何れの解像度向上技術を使用すべきかを予測することが可能であり、且つ計算機リソグラフィのシミュレーション及び計算を実施して、パターニングプロセスのプロセスウィンドウ全体の最大化を達成するマスクレイアウト及びリソグラフィ装置設定を決定することが可能である(図3において第1のスケールSC1の両方向矢印で示されている)。典型的には、解像度向上技術は、リソグラフィ装置LAのパターニング可能性に適合するように用意される。コンピュータシステムCLは、プロセスウィンドウ内の何れの箇所でリソグラフィ装置LAが現在動作しているかを(例えば、メトロロジツールMETからの入力を使用して)検出することにより、(例えば、準最適な処理のために)欠陥が存在する可能性があるかどうかを予測することがさらに可能である(図3において第2のスケールSC2の「0」を指す矢印で示されている)。
【0027】
[0025] メトロロジツールMETは、正確なシミュレーション及び予測を可能にする入力をコンピュータシステムCLに与えることが可能であり、(例えば、リソグラフィ装置LAの較正ステータスにおいて)起こり得るドリフトを識別するフィードバックをリソグラフィ装置LAに与えることが可能である(図3において第3のスケールSC3の複数の矢印で示されている)。
【0028】
[0026] リソグラフィプロセスでは、作成された構造を(例えば、プロセスの管理及び検証のために)頻繁に測定することが望ましい。そのような測定を行う様々なツールが知られており、例えば走査電子顕微鏡又は様々な形式のメトロロジ装置(スキャトロメータなど)がある。公知のスキャトロメータの例は、アンダーフィルのターゲット(単純な格子又は異なる層にある重なり合う複数の格子の形態の、測定ビームが格子よりも小さいスポットを生成するのに十分な大きさのターゲット)、又はオーバーフィルのターゲット(これにより、照明スポットが部分的又は完全にターゲットを含む)などの専用メトロロジターゲットを設けることに依拠することが多い。さらに、メトロロジツール(例えば、格子などのアンダーフィルのターゲットを照明する角度分解スキャトロメータ)の使用は、散乱放射とターゲット構造の数学モデルとの相互作用をシミュレーションし、シミュレーション結果を測定結果と比較することによって、格子の特性を計算することができるいわゆる再構築方法の使用を可能にする。モデルのパラメータは、相互作用のシミュレーションにより、実際のターゲットから観察された回折パターンと同様の回折パターンが生成されるまで調節される。
【0029】
[0027] スキャトロメータは、リソグラフィプロセスのパラメータの測定を可能にする多目的計器であり、測定は、スキャトロメータの対物レンズの瞳若しくは瞳に対する共役面にセンサを有すること(通常、瞳ベースの測定と呼ばれる測定)により、又は像面若しくは像面に対する共役面にセンサを有すること(この場合、通常、像ベース若しくはフィールドベースの測定と呼ばれる測定)により行われる。そのようなスキャトロメータ及び関連する測定技術については、参照によって全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20100328655号、同第2011102753A1号、同第20120044470A号、同第20110249244号、同第20110026032号又は欧州特許出願公開第1,628,164A号に詳述されている。上述のスキャトロメータは、軟X線及び可視波~近赤外波の範囲の光を使用して複数の格子から複数のターゲットを1つの画像で測定することが可能である。
【0030】
[0028] スキャトロメータなどのメトロロジ装置が図4に示される。それは、放射5を基板W上に投影する広帯域(白色光)放射プロジェクタ2を含む。反射又は散乱放射10がスペクトロメータ検出器4に送られ、スペクトロメータ検出器4は、鏡面反射放射10のスペクトル6を測定する(すなわち、波長λの関数としての強度Iの測定)。このデータから、検出スペクトルを生じさせる構造又はプロファイル8が、処理ユニットPUによって、例えば厳密結合波分析及び非線形回帰によって、又はシミュレーションスペクトルのライブラリとの比較によって再構築され得る。一般に、再構築のために、構造の一般形態は分かっており、幾つかのパラメータは、構造が作られたプロセスの知識から想定され、それによって、スキャトロメトリデータから決定されるべき、構造の数個のパラメータのみが残される。そのようなスキャトロメータは、法線入射スキャトロメータ又は斜め入射スキャトロメータとして構成されてもよい。
【0031】
[0029] 第1の実施形態では、スキャトロメータMTは、角度分解スキャトロメータである。そのようなスキャトロメータでは、格子の特性を再構築又は計算する再構築方法が測定信号に適用され得る。そのような再構築は、例えば、散乱する放射線とターゲット構造の数学モデルとの相互作用をシミュレーションし、シミュレーション結果を測定結果と比較することの結果であり得る。数学モデルのパラメータは、相互作用のシミュレーションにより、実際のターゲットから観察された回折パターンと同様の回折パターンが生成されるまで調節される。
【0032】
[0030] 第2の実施形態では、スキャトロメータMTは、分光スキャトロメータMTである。そのような分光スキャトロメータMTでは、放射線源から放射された放射線がターゲットに向かい、ターゲットから反射又は散乱した放射線がスペクトロメータ検出器に向かい、スペクトロメータ検出器が、鏡面反射した放射線のスペクトルを測定する(即ち強度を波長の関数として測定する)。このデータから、検出されたスペクトルを引き起こしているターゲットの構造又はプロファイルを再構築することが可能であり、この再構築は、例えば、厳密結合波理論及び非線形回帰により、又はシミュレーションされたスペクトルのライブラリとの比較により可能である。
【0033】
[0031] 第3の実施形態では、スキャトロメータMTは、エリプソスキャトロメータである。エリプソスキャトロメータは、偏光状態のそれぞれについて、散乱した放射線を測定することによってリソグラフィプロセスのパラメータを決定することを可能にする。そのようなメトロロジ装置は、偏光光(例えば、直線偏光光、円形偏光光又は楕円偏光光)を、例えばメトロロジ装置の照明セクションにおいて適切な偏光フィルタを使用して放射する。メトロロジ装置に好適な源は、偏光放射線も同様に提供可能である。既存のエリプソスキャトロメータの様々な実施形態は、参照によって全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第11/451,599号、同第11/708,678号、同第12/256,780号、同第12/486,449号、同第12/920,968号、同第12/922,587号、同第13/000,229号、同第13/033,135号、同第13/533,110号及び同第13/891,410号に記載されている。
【0034】
[0032] スキャトロメータMTの一実施形態では、スキャトロメータMTは、反射スペクトル及び/又は検出構成の非対称性を測定することによって、2つのミスアライメントのある格子又は周期構造のオーバーレイを測定するように適応させており、非対称性は、オーバーレイの程度に関連する。2つの(典型的にはオーバーラップしている)格子構造は、2つの異なる層(必ずしも連続層というわけではない)において適用することができ、ウェーハ上の実質的に同じ位置に形成することができる。スキャトロメータは、いかなる非対称性も明確に区別できるように、例えば、共同所有する欧州特許出願公開第1628164A号において説明されるような、対称的な検出構成を有し得る。これにより、格子のミスアライメントを測定するための単刀直入な方法が提供される。ターゲットが周期構造の非対称性を通じて測定される際の、周期構造を含む2つの層の間のオーバーレイエラーを測定するためのさらなる例は、全体として参照により本明細書に援用される、PCT特許出願公開の国際公開第2011/012624号又は米国特許出願第20160161863号から入手することができる。
【0035】
[0033] 他の対象のパラメータは、フォーカス及びドーズであり得る。フォーカス及びドーズは、全体として参照により本明細書に援用される、米国特許出願第2011-0249244号において説明されるような、スキャトロメトリによって(又は代わりに走査電子顕微鏡によって)、同時に決定することができる。フォーカスエネルギーマトリックス(FEM、フォーカス露光マトリックスとも呼ばれる)の各ポイントに対するクリティカルディメンジョン及び側壁角度測定値の独特の組み合わせを有する単一の構造を使用することができる。クリティカルディメンジョン及び側壁角度のこれらの独特の組み合わせが利用可能である場合は、フォーカス及びドーズ値は、これらの測定値から独特に決定することができる。
【0036】
[0034] メトロロジターゲットは、複合格子の集合体であり得、大部分がレジストにおけるリソグラフィプロセスによって形成されるが、例えば、エッチングプロセスの後にも形成される。典型的には、格子の構造のピッチ及び線幅は、メトロロジターゲットから得られる回折次数を捕捉できるように、測定光学系(具体的には、光学系のNA)に強く依存する。以前に示した通り、回折信号は、2つの層の間のシフト(「オーバーレイ」とも呼ばれる)を決定するために使用することも、リソグラフィプロセスによって生成されるようなオリジナルの格子の少なくとも一部を再構築するために使用することもできる。この再構築は、リソグラフィプロセスの質のガイダンスを提供するために使用することができ、リソグラフィプロセスの少なくとも一部を制御するために使用することができる。ターゲットは、ターゲットにおけるデザインレイアウトの機能部分の寸法を模倣するように構成された、より小さなサブセグメンテーションを有し得る。このサブセグメンテーションにより、ターゲットは、全プロセスパラメータ測定値がデザインレイアウトの機能部分に酷似するように、デザインレイアウトの機能部分に一層類似するように挙動する。ターゲットは、アンダーフィルモード又はオーバーフィルモードで測定することができる。アンダーフィルモードでは、測定ビームは、ターゲット全体より小さいスポットを発生させる。オーバーフィルモードでは、測定ビームは、ターゲット全体より大きいスポットを発生させる。そのようなオーバーフィルモードでは、異なるターゲットを同時に測定することも可能であり得、したがって、それと同時に異なる処理パラメータを決定することも可能であり得る。
【0037】
[0035] 特定のターゲットを使用したリソグラフィパラメータの全体的な測定の質は、少なくとも部分的には、このリソグラフィパラメータの測定に使用される測定レシピによって決まる。「基板測定レシピ」という用語は、測定自体の1つ若しくは複数のパラメータ、測定された1つ若しくは複数のパターンの1つ若しくは複数のパラメータ又はその両方を含み得る。例えば、基板測定レシピで使用される測定が回折ベースの光学的測定である場合は、この測定のパラメータの1つ又は複数は、放射線の波長、放射線の偏光、基板に対する放射線の入射角、基板上のパターンに対する放射線の方位などを含み得る。測定レシピを選択する際の基準の1つは、例えば、プロセス変動に対する測定パラメータのうちの1つの感受性であり得る。さらなる例は、参照によって全体として本明細書に援用される、米国特許出願第2016-0161863号及び公開済みの米国特許出願第2016/0370717A1号に記載されている。
【0038】
[0036] 図5(a)は、メトロロジ装置、より具体的には暗視野スキャトロメータの一実施形態を示す。図5(b)には、ターゲットTと、ターゲットを照明するために使用される測定放射の回折光線がより詳細に示されている。図示されているメトロロジ装置は、暗視野メトロロジ装置として知られているタイプのものである。メトロロジ装置は、スタンドアロンデバイスであってもよいし、又は例えば測定ステーションにあるリソグラフィ装置LA、又はリソグラフィセルLCの何れかに組み込まれていてもよい。装置全体を通して幾つかの分岐を有する光軸は、点線Oで示されている。この装置では、放射源11(例えば、キセノンランプ)から放射された光は、レンズ12、14及び対物レンズ16を含む光学系によって、ビームスプリッタ15を介して基板W上に誘導される。これらのレンズは、4F配列のダブルシーケンスで配置される。依然として検出器上に基板像を提供すると同時に、空間周波数フィルタリングのための中間瞳面へのアクセスを可能にするのであれば、別のレンズ配置を使用することができる。したがって、放射が基板に入射する角度範囲は、基板平面の空間スペクトルを示す平面(ここでは(共役)瞳面と呼ぶ)内の空間強度分布を定義することによって選択することができる。特に、これは、対物レンズの瞳面の後方投影像である平面内で、レンズ12と14との間に適切な形態のアパーチャプレート13を挿入することによって行うことができる。図示された例では、アパーチャプレート13は、13N及び13Sとラベル付けされた、異なる照明モードが選択されることを可能にする異なる形態を有する。本例の照明システムは、オフアクシス照明モードを形成する。第1の照明モードでは、アパーチャプレート13Nは、説明のためだけに「北」と指定された方向からのオフアクシスを提供する。第2の照明モードでは、アパーチャプレート13Sが、同様の照明を提供するために使用されるが、「南」とラベル付けされた反対方向からである。異なるアパーチャを使用することにより、他の照明モードが可能である。所望の照明モード以外の不要な光は所望の測定信号と干渉するため、瞳面の残りの部分は暗いことが望ましい。
【0039】
[0037] 図5(b)に示すように、ターゲットTは、対物レンズ16の光軸Oに垂直な基板Wと共に配置される。基板Wは、サポート(図示せず)によって支持されてもよい。軸Oから外れた角度からターゲットTに衝突する測定放射光線Iは、0次光線(実線0)と2つの1次光線(点鎖線+1及び二点鎖線-1)とを生じさせる。オーバーフィルの小さなターゲットでは、これらの光線は、メトロロジターゲットT及び他のフィーチャを含む基板のエリアをカバーする多くの平行光線のうちの1つに過ぎないことを覚えておくべきである。プレート13のアパーチャは、(有用な光量を入射させるのに必要な有限幅を有するので、入射光線Iは、実際には角度の範囲を占め、回折光線0及び+1/-1は、多少広がる。小さなターゲットの点像分布関数によれば、各次数+1及び-1は、示されたような単一の理想的な光線ではなく、角度の範囲にわたってさらに広がる。ターゲットの格子ピッチ及び照明角度は、対物レンズに入る1次光線が中心光軸と密接にアライメントされるように設計又は調整できることに留意されたい。図5(a)及び図3(b)に示される光線は、単に図中でより簡単に区別できるようにするために、軸から多少外れて示されている。
【0040】
[0038] 基板W上のターゲットTによって回折された少なくとも0+1次光線は、対物レンズ16によって収集され、ビームスプリッタ15を通して戻される。図5(a)に戻ると、北(N)及び南(S)とラベル付けされた正反対のアパーチャを指定することによって、第1及び第2の照明モードの両方が図示されている。測定放射の入射光線Iが光軸の北側からであるとき、すなわち、アパーチャプレート13Nを用いて第1の照明モードが適用された場合は、+1(N)とラベル付けされた+1回折光線が対物レンズ16に入る。これに対して、アパーチャプレート13Sを用いて第2の照明モードが適用された場合には、-1回折光線(1(S)とラベル付けされる)が、レンズ16に入る光線である。
【0041】
[0039] 第2のビームスプリッタ17は、回折ビームを2つの測定ブランチに分割する。第1の測定ブランチでは、光学系18は、0次回折ビーム及び1次回折ビームを使用して、第1のセンサ19(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上にターゲットの回折スペクトル(瞳面像)を形成する。各回折次数は、画像処理が次数を比較対照できるように、センサ上の異なる点に当たる。センサ19によって捕捉された瞳面像は、メトロロジ装置の焦点合わせ及び/又は1次ビームの強度測定の規格化に使用することができる。瞳面像は、再構築などの多くの測定目的にも使用できる。
【0042】
[0040] 第2の測定ブランチにおいて、光学系20、22は、センサ23(例えば、CCD又はCMOSセンサ)上にターゲットTの像を形成する。第2の測定ブランチでは、開口絞り21が瞳面に共役な平面内に設けられる。開口絞り21は、センサ23上に形成されるターゲットの像が-1又は+1の1次ビームのみから形成されるように、0次回折ビームをブロックするように機能する。センサ19及び23によって捕捉された像は、画像を処理するプロセッサPUに出力され、これの機能は、行われている測定の特定のタイプに依存する。ここで「像」という用語は、広い意味で使用されていることに留意されたい。したがって、-1次及び+1次の一方のみが存在する場合は、格子線の像は形成されない。
【0043】
[0041] 図5に示すアパーチャプレート13及び視野絞り21の特定の形態は、単なる例である。本発明の別の実施形態では、ターゲットのオンアクシス照明が使用され、オフアクシスアパーチャを有する開口絞りが、実質的に1つの1次回折光のみをセンサに通過させるために使用される。さらに他の実施形態では、1次ビームの代わりに、又は1次ビームに加えて、2次、3次、及びより高次のビーム(図5には図示せず)を測定に使用することができる。
【0044】
[0042] 測定放射をこれらの異なるタイプの測定に適応可能にするために、アパーチャプレート13は、所望のパターンを適所に至らせるように回転するディスクの周りに形成された幾つかのアパーチャパターンを含み得る。アパーチャプレート13N又は13Sは、一方向(セットアップに応じてX又はY)に配向された格子の測定にのみ使用できることに留意されたい。直交格子の測定のためには、ターゲットの90°及び270°の回転が実施され得る。図5(c)及び図5(d)には、異なるアパーチャプレートが示されている。これらの使用、並びに本装置の他の多数のバリエーション及び用途は、上述の公開出願に記載されている。
【0045】
[0043] 上述のメトロロジツールは、低い収差(例えば、良い機械間マッチングのため)及び大きい波長範囲(例えば、広い適用範囲をサポートするため)を要求する。機械間マッチングは(顕微鏡の)対物レンズの収差変動が十分に小さいことに(少なくとも部分的に)依存し、このことは、難しく常に満たされるとは限らない要件である。このことはまた、光学収差を悪化させることなく波長範囲を大きくすることは本質的に不可能であるということも意味する。さらに、原価、ツールの体積及び/又は質量がかなりのものであり、同じウェーハを同時に測定するために複数のセンサを設けることによる並列化によってウェーハサンプリング密度を高める(1枚のウェーハ当たりのより多くの点、1ロット当たりより多くのウェーハ)可能性を制限している。
【0046】
[0044] これらの課題の少なくとも幾つかに対処するために、計算によるイメージング/位相取得手法を採用するメトロロジ装置が、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2019/0107781号において記載されている。このようなメトロロジデバイスは、普通又は比較的平凡な収差性能の比較的簡単なセンサ光学系を使用し得る。そのため、センサ光学系は収差を有し、したがって比較的収差の多い像を生成する余地があり得る。当然のことながら、センサ光学系内でより大きい収差を単に許容すると、これらの光学収差の影響を補償するために何かがなされない限り、画像の品質に許容できない影響が及ぶ。したがって、センサ光学系内の収差性能の弛みの悪影響を補償するために、計算によるイメージング技法が使用される。
【0047】
[0045] とりわけリソグラフィ制御及び監視の用途に使用され得る公知のタイプのメトロロジは、デジタルホログラフィック顕微鏡法、特に暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡法である。デジタルホログラフィック顕微鏡法は、ホログラフィと顕微鏡法とを組み合わせたイメージング技術である。物体の投影像を記録する他の顕微鏡法とは異なり、デジタルホログラフィック顕微鏡法は、3次元(3D)物体の照射によって取得される物体放射と、対物放射とコヒーレントな参照放射との間の干渉によって形成されるホログラムを記録する。画像は、例えば電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)を使用して捕捉され得る。物体放射は物体から散乱された放射であるため、物体放射の波面は物体によって変調又は成形されている。散乱放射は、反射放射、回折放射、又は透過放射を含み得る。したがって、物体放射の波面は、照射された物体の情報、例えば3D形状情報を運ぶ。捕捉されたホログラム画像に基づいて、コンピュータ再構成アルゴリズムを使用することにより、物体の画像を数値的に再構築することができる。強度ベースのメトロロジに勝るホログラムベースのメトロロジの重要な利点は、ホログラムベースのメトロロジが、上述の米国特許出願公開第2019/0107781号に記載された計算集約的位相取得技法を必要とすることなく、物体の強度情報及び位相情報の両方の取得を可能にすることである。追加の位相情報を使用することにより、物体の特性をより良好な精度で決定することができる。
【0048】
[0046] 参照によって本明細書に組み込まれる国際特許出願である国際公開第2019197117A1号は、基板上に製造された構造の特性(例えば、オーバーレイ)を決定するために暗視野デジタルホログラフィック顕微鏡(df-DHM)に基づく方法及びメトロロジ装置を開示している。同国際公開に記載されるdf-DHMは、2つの参照放射ビーム(参照放射)を提供するために使用される参照光学ユニットを備える。2つの参照放射ビームはそれぞれ、物体放射(例えば、ターゲットからの散乱放射ビーム)の2つの対応する部分(+1の回折次数及び-1の回折次数など)とペアにされ得る。2つの散乱-参照ビームペアは、2つの干渉パターン(すなわち、+1の回折次数に対応するもの、及び-1の回折次数に対応するもの)を形成するために順次使用される。
【0049】
[0047] このようなdf-DHMはコヒーレントな放射を必要とし、コヒーレンス制御は、各ビームペア内の2つの散乱-参照ビーム間の相対的な光路長差(OPD)を調整することによって提供される。
【0050】
[0048] コヒーレントな放射を使用することには欠点がある。コヒーレントな点像分布関数がインコヒーレントな(又は部分的にインコヒーレントな)点像分布関数よりかなり大きいという事実によって、光学的クロストーク性能が深刻に影響を受ける。このようなクロストークは、近接する構造(例えば、製品構造又は他のターゲット若しくはターゲットパッド)から測定されるターゲットまである。これは、プロセス変動性能を制限する。また、所与の同じ検出NAについて、インコヒーレント分解能(限界)はコヒーレント分解能(限界)の2倍ほど良く、(異なるが関連する観点から)光学的クロストークを低減するのに有益であることにも留意されたい。加えて、コヒーレントイメージングでは、使用される光学コンポーネントの欠陥及び/又はコンタミに起因して、スペックル(又は迷光)が常に存在する。
【0051】
[0049] これらの課題に対処するために、空間的にインコヒーレントな、又は精密に近似される(又は少なくとも多モード)照明を、干渉(ホログラフィック)顕微鏡法に使用することが提案される。以降の説明において、インコヒーレントな照明という用語は、空間的にインコヒーレントな照明又はその精密な近似を記述するために使用され、部分的にインコヒーレントな照明(すなわち、部分的にコヒーレントな放射)及び完全にインコヒーレントな照明を包含する。
【0052】
[0050] 顕微鏡技法としてのインコヒーレントホログラフィが知られている。このような配置としては、例えば、光学走査ホログラフィ及びフレネルインコヒーレント自己相関ホログラフィが挙げられる。しかしながら、これらのシステムには欠点がある。特に、これらのシステムは、図5(a)に示される、又は国際公開第2019197117A1号において説明されるメトロロジツールによって提供されるものなど、暗視野顕微鏡法の利点を提供しない。
【0053】
[0051] そのため、本明細書では、暗視野干渉(ホログラフィック)顕微鏡を開示する。このようなデバイスは、物体ビーム(物体、例えば基板/ウェーハ上にある構造又はターゲットから散乱されたもの)と、参照ビームとを含む少なくとも1ペアの放射ビームを提供し、各ビームが空間的にインコヒーレントであるが、ビームは相互に点別のコヒーレンスを有する。
【0054】
[0052] ここでの点別のコヒーレンスとは、物体ビーム-参照ビームのペア(以下、ビームペア)の各ビームにおける瞳点の対応するセット間で空間コヒーレンスが誘導される配置を言う。より具体的には、ビームペアの各ビームは、空間的にコヒーレンスを有する対応する瞳点を含むが、瞳点は単一のビーム内でインコヒーレントである。そのため、空間コヒーレンスの観点では、ビームペアの各ビームは、他方のビームの瞳内での平行移動である。
【0055】
[0053] 本開示に関連して、瞳点及び点別のコヒーレンスは、文字通りの無限に小さな点を指すものではなく、瞳面内の有限の小さな領域(すなわち、瞳面又はフーリエ面内の角度分解スペクトルの角度の小さいが有限の領域)を指すことを理解されたい。最も重要であるのは、ビームペアの各ビームが、各ビームの対応する点がコヒーレントであるように、瞳面内での他方のビームの平行移動である他方のビームに対する位相プロファイルを有することである。
【0056】
[0054] 暗視野干渉顕微鏡及び関連する顕微鏡方法が開示される。顕微鏡は、対物放射(例えば、インコヒーレントな対物放射)をサンプル上に伝播させ、サンプルから結果として生じる散乱放射を収集するように動作可能な対物ブランチと、参照放射(例えば、インコヒーレントな参照放射)を伝播させるように動作可能な参照ブランチとを備える。対物放射及び参照放射は相互に点別に空間的にコヒーレントである。フィルタ配置は、散乱放射から0次成分を除去して、フィルタ処理された散乱放射を提供し、検出配置は、フィルタ処理された散乱放射と参照放射との干渉に由来する干渉像を検出する。
【0057】
[0055] 一実施形態では、相互に点別にコヒーレントである、このようなインコヒーレントビームのペアを提供するための1つの方法が、瞳面において、インコヒーレントな放射の波面を2つのインコヒーレントな放射の波面(例えば、同一の複製である2つの波面)に分割することを含み得る。そのため、放射源からの波面は、共役瞳面において、参照ブランチと対物ブランチとに分割され得る。
【0058】
[0056] 図6は、一実施形態によるインコヒーレント又は部分的インコヒーレント暗視野干渉顕微鏡の概略図である。インコヒーレント照明光源IISが、インコヒーレント照明を提供する。レンズ又はレンズシステムL1が、ビーム分割要素又はビームスプリッタBSが照明波面を対物照明ブランチOIB(より一般的には対物ブランチ)と参照照明ブランチRIB(より一般的には参照ブランチ)とに分割する瞳面へのアクセスを提供する。対物照明ブランチOIBにおける対物照明アパーチャOIA(対物照明開口数NA)が対物照明瞳を構成し、参照照明ブランチRIBにおける対応する参照照明アパーチャRIA(参照照明開口数NA)(すなわち、対物照明アパーチャと一致する照明プロファイルを有するもの)が参照照明瞳を構成する。
【0059】
[0057] 2つの例示的な照明アパーチャプロファイルが示されており、第1の照明アパーチャプロファイルIAP1は、四分割(quartered or quad)プロファイル(暗色領域は照明をブロックし、白色領域は照明を通過させ、これらの領域は示されているものとは逆であってもよい)である。四分割プロファイルは、多くの現在の暗視野イメージング技法において知られており、使用されている(例えば2つの方向からの同時イメージングに備えるために使用される)。このようなアパーチャプロファイルは、部分的インコヒーレント暗視野干渉顕微鏡法に備えるものである。
【0060】
[0058] 第2の照明アパーチャプロファイルIAP2は、完全なインコヒーレント暗視野干渉顕微鏡法に備え得るタイプのものである(ここでも、通過領域は、例えばここでは白丸で表されているが、ここに示されているものとは反対の象限領域とすることもできる)。プロファイルそのものではなく、照明が検出アパーチャ(検出照明開口数NA)をオーバーフィルすることによって、完全にインコヒーレントなシステムとして配置が構成される。これを実現する仕方は幾つかあり、システムの検出アパーチャの対応する領域よりも大きい照明領域(例えば、図示のように照明方向ごとに1つ)を有するIAP2とラベル付けされたものなどの照明アパーチャプロファイルを使用することを含む。このような配置では、照明アパーチャ(及び/又は検出アパーチャ)は、特定のピッチ対波長比(ピッチはターゲットピッチであり、波長は照明波長である)のための構成を必要とし得る。これらのアパーチャプロファイル及び照明モードの詳細については後述する。参照ブランチアパーチャは、代替的に、全開アパーチャであってもよく、そうでなければ、他の実施形態、例えば、参照ブランチにおいてSLM又は回折格子がない場合など(下記参照)では、対物ブランチアパーチャとは異なるものであってもよい。
【0061】
[0059] 構成された照明は、例えば、非偏光ビームスプリッタNPBS、四分割ミラー、又は任意の他の適切な光学コンポーネント及びレンズ若しくはレンズシステムを介して、ウェーハW上のターゲット又は構造(又はより一般的には物体)に誘導される。構成された照明をターゲット上に集束させるために使用されるレンズは、対物レンズOB(例えば、ここで、図示のように、照明がウェーハ上に集束され、散乱放射が同じ対物レンズOBによって収集される)であってもよいし、別個の照明レンズ(例えば、ここで、散乱放射を収集するために使用される対物レンズとは異なるレンズを使用して、照明がウェーハ上に集束される)であってもよい。
【0062】
[0060] ウェーハWからの散乱放射は対物レンズOBによって収集される。0次散乱放射は、0次ブロックZBを使用して物体検出ブランチODBにおいてブロックされる(0次散乱放射が検出器DETに到達するのを防ぐ任意のフィルタ配置を使用することができる)。残りの散乱放射は、例えばビーム結合要素BC又は任意の他の適切な要素若しくは配置を使用して、参照検出ブランチRDB(又はより一般的には参照ブランチ)において参照放射と結合される。くさび配置WDG又は他の光学要素若しくは配置が、対物放射の各成分が参照放射のそれぞれの成分と検出器DET上で干渉することを確保するために使用されてもよい。このことについては後で詳述する。イメージングレンズIMLは、結果として得られるインターフェログラム(ホログラム又は干渉像)を検出器DET上にイメージングするために使用され得る。
【0063】
[0061] 一実施形態では、参照ブランチは、(例えば、レンズ又はレンズシステムL2によって提供されるような)フィールド共役に第2のビームスプリッタBS2と光反転要素OIEとを備え得る。光反転要素OIEは、例えば、ミラー/リフレクタ又はリレーデバイスであってよい。他の実施形態では、光反転要素は、追加的に、参照放射に変調を適用してもよく、例えば、空間光変調器(SLM)又は格子(例えば、位相変調器/格子及び/又は振幅変調器/格子)であってもよい。この図では、この配置により、参照ブランチは、参照照明ブランチRIBと参照検出器ブランチRDBと見なされ得るものに分割される。任意選択の光反転要素は、放射の点対称配置を反転させて、対物ブランチのウェーハによって課される反転を模倣する。
【0064】
[0062] このデバイスがSLM(又は格子)である場合、(例えば、測定される格子/ターゲットの挙動を模倣するために)検出器DET上の強度分布の干渉項における位相シフト分布(又はさらに任意選択で振幅分布)を制御するためにも使用され得る。具体的には、参照波面をターゲット回折角と同じ角度に誘導し直すように配置され得る。1次と-1次とを並行して取得するために、SLMは例えば回折効率の高い格子のように振る舞うように配置されてもよい。
【0065】
[0063] 図7は、図6に示すようなメトロロジツールの参照ブランチRB及び対物ブランチOBを通る、異なる平面における様々な瞳を示すフローダイヤグラムである。共通照明瞳CIPが、任意に選択された2つの瞳点が描かれ、第1の瞳点が灰色に網掛けされ、2つ目の瞳点が黒色で網掛けされた状態で示されている。共通照明瞳CIP内の照明はインコヒーレントであるため、これら2つの瞳点は位相関係が不明である。この共通瞳は、(例えば、第1のビームスプリッタBS1によって)参照ブランチRB(図の上部)と対物ブランチOB(図の下部)とに分割される。両方の分岐において、照明アパーチャが示されており、ここでは第2の照明アパーチャIAP2(一方向のみのアパーチャが示されている)が示されている。参照照明瞳RIPと対物照明瞳OIPとは、共通照明瞳CIPの複製であり、したがって、それぞれ空間的にインコヒーレントでもあるが、1つの波面に由来するため、点別に相互にコヒーレントである。そのため、対物照明瞳OIPの灰色に網掛けされた瞳点は、参照照明瞳RIPの灰色に網掛けされた瞳点と空間的にコヒーレントであり、同様に、対物照明瞳OIPの黒色に網掛けされた瞳点は、参照照明瞳RIPの黒色に網掛けされた瞳点と空間的にコヒーレントである。
【0066】
[0064] 対物ブランチOBにおいて、照明がターゲットT上に集束され、散乱放射が捕捉される。そのため、ターゲットからの散乱/反射された放射を含む反射された対物瞳ROPが示されており、これは、1次(+1次又は-1次の一方が示されており、実施形態は、これらの両方の次数を同時に捕捉してもよい)と0次とを含む。次いで、0次は(例えば、0次ブロックZBを使用して)ブロックされて、1次以上の高次(ここでは1次)のみを含むフィルタ処理された反射された対物瞳FROPを提供する。
【0067】
[0065] 参照ブランチRBにおいて、対物ブランチのターゲット/ウェーハの影響を模倣するために、参照放射は、(任意選択で)光反転要素OIEによって反射される(また任意選択で変調される)。反射された参照瞳RRP(プライムRRP’は単に参照ブランチを伝播する瞳を表し、ここでブロックすべき0次は存在しない)と、フィルタ処理された反射された対物瞳FROPとは、結合瞳CPに結合される。例示的な検出瞳DPが示されており、これは、照明瞳アパーチャIAP2よりも面積がわずかに小さく、一実施形態による完全にインコヒーレントなシステムを得る(各ビーム自体がインコヒーレントにイメージングされる限り、説明したように、物体ビームと参照ビームとの間に点別のコヒーレンスが存在する)。この結合瞳CPは、参照放射REFと物体放射の1次とが干渉して干渉像又はインターフェログラムを提供するように、検出器又はカメラ上に集束され得る。
【0068】
[0066] 最終的に追加的なレンズ(例えば、イメージングレンズIML)によってカメラ上にイメージングされると、対物放射と参照放射とは点単位で干渉する。そのため、図示された各瞳において、対物ブランチの灰色の瞳点は参照ブランチの灰色の瞳点と空間的にコヒーレントであり、対物ブランチの黒色の瞳点は参照ブランチの黒色の瞳点と空間的にコヒーレントである(各ブランチにおける対応するすべての点についても同様である)。この結果、イメージングされたインターフェログラムは、参照ブランチ及び対物ブランチにおける瞳点のペアにそれぞれ対応する多数のコヒーレント(点別にコヒーレント)なインターフェログラムのインコヒーレント結合(和)である。
【0069】
[0067] 本明細書で開示されるシステムは、任意のレベルの空間インコヒーレンス(部分的にインコヒーレントであり、且つ適切な瞳整形により完全にインコヒーレントであるもの)と、任意のレベルの時間コヒーレンス((準)単色光から超広帯域白色光まで)をサポートする。加えて、システムは完全にコヒーレントなイメージングもサポートする。例えば、システムは、部分的にインコヒーレントなシステム、又は完全に(又は略完全に)インコヒーレントなシステムとして実現されてもよい。これは、使用される照明アパーチャ及び検出アパーチャに依存し得る。第1の照明アパーチャプロファイルIAP1又は四分割プロファイルは、例えば、部分的にインコヒーレントなシステムを実現するために使用され得る。
【0070】
[0068] 照明アパーチャが検出ブランチにおけるアパーチャよりも十分に大きい場合、ターゲットの回折近接場は実質的にインコヒーレントである。第2の照明アパーチャプロファイルIAP2は、インコヒーレントなシステムを実現するために、より小さな面積を有する検出アパーチャプロファイルと組み合わせて使用され得る例示的な照明アパーチャである。例えば、照明瞳は、オーバーレイターゲットからの1次回折が検出瞳アパーチャをオーバーフィルするように、検出瞳アパーチャよりもわずかに大きいものを使用され得る。一実施形態では、例えば、+1次及び-1次のオーバーラップ/アライメントは、+1次及び-1次の全体が検出NAとオーバーラップするようにされ得る。他の実施形態では、検出NAとオーバーラップするのは、+1次及び-1次の少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも80%、又は少なくとも70%であり得る。
【0071】
[0069] このことを実現するために、瞳空間における照明瞳アパーチャ及び検出瞳アパーチャの中心は
【数1】
でなければならない。このことは、波長及び/又はターゲットピッチに基づいて構成され得る、プログラム可能又は構成可能なイルミネータを用いて、検出瞳アパーチャを固定したまま(又はその逆、若しくは両方のアパーチャを構成可能にして)実現され得る。例えば、少なくとも1ペアの相補的な回折次数(第1の回折次数と第2の回折次数とを含むもの)が検出開口数プロファイル内に捕捉されるように、検出開口数プロファイル及びピッチと波長との比に基づいて測定のために構成可能である、構成可能なイルミネータ又は構成可能な照明開口数プロファイルである。照明瞳プロファイルの構成可能性は、特定の空間フィルタを適宜選択することにより実現され得る。フィルタは、手動で挿入されてもよいし、例えばフィルタホイールに取り付けられてもよい。他のフィルタ処理オプションとしては、空間フィルタSFの代わりに空間光変調器SLMを提供すること、又はさらには照明プロファイルを直接構成することができる空間的に構成可能な光源を提供することが挙げられる。任意のこのような方法、又は所望の照明プロファイルを取得及び/又は構成するための任意の他の方法が使用されてよい。構成可能な照明プロファイルに代えて(又は加えて)、構成可能な基板配向が同じ効果を得るために提供されてもよい。
【0072】
[0070] 上述のように、対物照明の正しい部分が参照放射の対応する部分(すなわち、点別のコヒーレンスを有する対応する点を含む瞳空間における対応する領域)と干渉するように配置されるべきである。このことを実現するための幾つかの方法/配置が存在する。例えば、くさび、又は各対物放射成分/次数を、それぞれの参照放射成分と干渉するように誘導するための任意の光学的配置(例えば、任意の1つ又は複数の適切な放射誘導要素)が使用され得る。放射誘導要素を介さずに、物体-参照成分のペアを干渉するように瞳内に配置することも可能である。そのため、メトロロジデバイスは、正しい成分が干渉することを確保するために、複数の放射誘導要素を備え得る。放射誘導要素は、単一の複合又はモノリシックな対物/光学要素内に備えられてもよいし、2つ以上の別個の対物/光学要素(例えば、成分ごとに1つの別個の光学要素など)として備えられてもよい。
【0073】
[0071] 図8(a)は、所望の成分が検出器において干渉することを確保するための例示的なくさびの実施形態を示している。この図は、四分割アパーチャIAP1に関連して示されているが、一般的に適用可能である。本実施形態では、メトロロジツールは、2つのターゲット方向について(すなわち、基板面における周期性の2つの直交する方向、ここではX方向と及びY方向として設計されている)に対して2つの回折次数(例えば、+1次などの第1の回折次数と-1次などの第2の回折次数とを含む、1ペアの相補的な回折次数)を同時にイメージングするように構成される。このため、物体放射には4つの関心成分と、参照放射には対応する4つの関心成分とが存在する。これに対応するため、これら8つの成分のそれぞれについて誘導要素又は誘導部分を有する八分割くさびが提案されている。当然のことながら、物体放射に2つの関心成分がある(例えば、2つの次数を1つの方向で検出する、又は1つの次数を2つの方向で検出する)場合には、四分割くさび(又はより一般的には、4つの誘導部分/要素)が適切であり得る。
【0074】
[0072] 検出瞳における参照波面REFと検出瞳における物体波面OB(0次はブロックされる)とが、くさび要素WDG上でオーバーラップする。物体波面OBは、4つの関心成分、すなわち、Xターゲット+1Xからの+1の回折次数、Xターゲット-1Xからの-1の回折次数、Yターゲット+1Yからの+1の回折次数、及びYターゲット-1Yからの-1の回折次数を含み得る。参照波面放射REFは、ブロックされた0次が通常占める瞳空間を占める。
【0075】
[0073] くさび要素WDGは、a、a’、b、b’、c、c’、d、d’とラベル付けされた8つのセクション又は誘導領域を含む。このラベル付けは、誘導領域のペア(各ペアには同じ文字でラベル付けしてあり、一方にプライムを付けてある)を特定し、誘導領域の各ペアは、自身に入射するそれぞれの放射成分を互いに干渉するように誘導するように配向される。そのため、誘導領域aは、その放射成分を、誘導領域a’に対応する放射成分と干渉するように誘導し、その逆も同様である。プライムと共にラベル付けされた誘導領域のそれぞれが、参照放射の占める瞳空間に対応し、プライムなしでラベル付けされた誘導領域は、物体放射の占める瞳空間に対応する。
【0076】
[0074] 図8(b)は、図8(a)に示す配置の結果として検出器上で検出され得るターゲット(ここでは、純粋に一例として、4つのサブターゲット(X方向に2つ、Y方向に2つ)を含む)の画像又はインコヒーレントインターフェログラムを示している。画像又はインコヒーレントインターフェログラムは、誘導領域a、a’から結果として得られたものであり、参照放射の第1のそれぞれの部分と干渉したXターゲット+1Xからの+1の回折次数に対応する第1の画像a+a’と、誘導領域b、b’から結果として得られたものであり、参照放射の第2のそれぞれの部分と干渉したYターゲット+1Yからの+1の回折次数に対応する第2の画像b+b’と、誘導領域c、c’から結果として得られたものであり、参照放射の第3のそれぞれの部分と干渉したXターゲット-1Xからの-1の回折次数に対応する第3の画像c+c’と、誘導領域d、d’から結果として得られたものであり、参照放射の第4のそれぞれの部分と干渉したYターゲット-1Yからの-1の回折次数に対応する第4の画像d+d’とを含む。このようにしてXパッドとYパッドとを別々にイメージングすることにより、クロストークの量が低減される。
【0077】
[0075] 参照ブランチ瞳と対物ブランチ瞳とは、くさびが配置される共通瞳面で空間的にオーバーラップしているだけであり、この面においては干渉せず、検出器でのみ干渉することを理解されたい。
【0078】
[0076] 図9は、完全にインコヒーレントなイメージングモード(例えば、入力アパーチャIAP2に対応する)に対応する参照REF波面及び物体OB波面について、図8(a)と同じ配置を示している。検出瞳は、物体放射及び参照放射の成分ごとに1つずつ、円DP(1つのみにラベル付けしてある)で表されている。そうでなければ、配置は本来同じであり、図8(b)に示すような本質的に類似した画像が(視覚的に)検出器上に結果として得られる。
【0079】
[0077] 次に、上述のくさび要素に代わるものとして、X方向ターゲット及びY方向ターゲットの両方からの+1の回折次数と-1の回折次数とを並行して取得する代替的な配置について説明する。提案される方法は、デジタルホログラフィック顕微鏡法(DHM)で使用される手法であり、例えば、参照によって本明細書に組み込まれるMessinis et al, Diffraction-based overlay metrology using angular-multiplexed acquisition of dark-field digital holograms; Vol. 28, No. 25 / 7 December 2020 / Optics Express 37420において記述される干渉配置(本明細書で開示される暗視野干渉顕微鏡配置など)内で複製するものである。
【0080】
[0078] 本発明者らは、ホログラムフリンジが対応する格子の格子線と同じ方向を有さないことを確保するために、第1の方向ターゲット(ターゲット面は第1の方向及び第2の方向を有する)からの回折放射と参照放射とは、第2の方向に対応する瞳面寸法において間隔を空けなければならず、その逆も同様であることを認識した。これにより、像面において検出された干渉像において、+1の回折次数及び-1の回折次数のフリンジが平行ではないため、(例えば、高速)フーリエ変換で分離することができることが確保される。
【0081】
[0079] 例えば、Xターゲットからの回折放射と参照放射とは、k次元において間隔を空けなければならず(すなわち、非ゼロのΔk)、Yターゲットからの回折放射と参照放射とは、k次元において間隔を空けなければならず(すなわち、非ゼロのΔk)、(k,k)は、暗視野干渉顕微鏡の瞳面又はフーリエ面を記述する瞳面座標系を表す。
【0082】
[0080] 上述のMessinisによる文献におけるDHMの例では、このことは参照放射に異なる方位角度を与えることにより実現される。干渉配置においてこれを実現するためには、参照放射を傾斜させる、すなわち瞳面内の参照波面をk方向及びk方向の両方向にシフトさせるように作用する1つ又は複数の傾斜要素を参照ブランチに設けることが提案される。
【0083】
[0081] 結果として得られる波面を図10(a)に示す。図10(a)は、4つの関心成分、すなわち、Xターゲット+1Xからの+1の回折次数、Xターゲット-1Xからの-1の回折次数、Yターゲット+1Yからの+1の回折次数、及びYターゲット-1Yからの-1の回折次数を含む物体波面を示している。これは、図8(a)のくさびの実施形態のくさびの前における物体波面と本質的に同じである。しかしながら、その実施形態では、参照波面放射REFは、ブロックされた0次の通常占める瞳空間を占めるが、この実施形態では、参照波面放射REFは、提案される1つ又は複数の傾斜要素によって瞳空間のk方向及びk方向の両方の方向にシフトされる。このようにして、回折次数のためのくさび要素が不要になる。これにより、回折次数に関して対物系の検出NAが増える。このため、各回折次数と、その対応する参照放射の部分は、k方向とk方向とに分離される。対照的に、図8(a)では、例えば、+1Xの次数とその対応する参照部分(c’とラベル付けしたもの)とがk方向に分離されていないことが明らかである。
【0084】
[0082] (例えば、図10(a)に示されるような)検出された瞳全体を像面に結像させ、検出器によって検出することが提案される。各回折次数と参照放射との間の瞳における点別のコヒーレンスに起因して、それぞれのインコヒーレントインターフェログラムの+1次のフリンジと-1次のフリンジとは互いに角度をなしており、フーリエ変換によって区別することができる。
【0085】
[0083] 図10(b)は、一実施形態による、このようなインターフェログラムを処理するステップを示すフローダイヤグラムである。+1次のフリンジ(黒色)と-1次のフリンジ(灰色)とを含む干渉像IMが(例えばターゲット方向ごとに、例えば同時に)得られる。次に、第1の(例えば、高速)フーリエ変換FFT1が干渉像IMに適用されて、回折次数+1、-1のそれぞれについて分離された側波帯を含むフーリエ面FPにアクセスすることができる(すなわち、2つのオーバーラップするフリンジパターンの相互相関項が完全に分離される)。次に、相互相関項(例えば、+1の側波帯及び-1の側波帯)のそれぞれが、それぞれの再構成画像+1im、-1imに逆フーリエ変換FF2、FF3され、そこから物体振幅+1A、-1A及び物体位相-1φ、+1φが決定され得る。
【0086】
[0084] この手法の利点には、検出NAをより効率的に使用することにより、分解能を向上させ、クロストークを低減し、+1次、-1次を空間的に分離するための複雑なくさびアセンブリを不要にすることが含まれる。この後者の改善はまた、フィールド依存収差の影響も軽減し得る(瞳の分割は非アイソプラナティック収差を増加させ得る)。
【0087】
[0085] システム(少なくとも、完全にインコヒーレントな構成で動作される場合)の主な利点は、複素反射率(ひいては位相反射率)を画像から決定/再構築することができることである。これはインコヒーレントシステムであるため、どちらのブランチにも放射の位相の概念がないことを理解されたい。そのため、空間的にインコヒーレントな光には波面の位相が存在しないため波面の位相にアクセスすることができないが、ターゲットの複素反射率の位相にはアクセスすることができる。ターゲットの複素反射率の測定により、ターゲットに関する追加の情報チャネル、すなわち、ターゲットの複素反射率の位相が追加されることにより、オーバーレイの精度及びロバスト性が改善される可能性がある。
【0088】
[0086] 一実施形態では、検出ブランチのインコヒーレント点像分布関数(PSF)を用いて、検出器上で観測された強度分布(又は関連パラメータのパラメータ分布)の畳み込みを解いて、純粋な強度を得ることができる。この純粋な強度をさらに復調して、干渉交差項を分離し、潜在的にはターゲットの複素反射率を分離することができる。
【0089】
[0087] 1次(例えば、+1)の光と参照光(ターゲットホログラム)との干渉に由来する検出器上の強度分布I(x)は、共通瞳において単一点光源では次のように表される。
(x)=|E(x)|=|EM+EReiKx=I(|M|+|R|+RMiKx+RMe-iKx
上式で、Eは光源複素振幅であり、Mは参照ブランチの(既知の)振幅透過率であり、ReiKx(Rは未知、K=2π/pは既知)は1次のターゲットの振幅反射率であり、E(x)=EM+EReiKxはカメラの参照フィールドと検出フィールドとの和である。
【0090】
[0088] 強度分布I(X)のフーリエ変換によって、中心帯(バックグラウンド強度)と複素反射率に比例する2つの側波帯とが得られる。
【0091】
[0089] インコヒーレントイメージングでの検出器上の強度分布は、多くのインコヒーレント畳み込みの和を含む。点像分布関数は、照明及びイメージング光学系(例えば、収差、アパーチャなど)を考慮しており、既知であると仮定される。インコヒーレントイメージングの条件が満たされている(照明アパーチャが検出アパーチャを十分にオーバーフィルしている)と仮定すると、強度分布I(x,y)は次式のように表される。
【数2】
【0092】
[0090] この場合、強度分布のフーリエ変換(復調)によって、中心帯(バックグラウンド強度)と複素反射率
【数3】
に比例する2つの側波帯とが得られる。例えば、収差補正を行うために、及び/又はターゲットの複素反射率を再構築するために、これらの側波帯を分離し、既知のカーネルを用いて畳み込みを解いて、点像分布関数を外すことができる。例えば、複素反射率が再構築されると、この複素反射率の位相からオーバーレイを直接決定することができる。このことを行う方法は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2019/166190号に記載されている、位相から直接オーバーレイを決定する方法と本質的に同じである。
【0093】
[0091] 国際公開第2019/166190号は、散乱放射のオーバーレイ誘起位相変化寄与を決定することであって、オーバーレイ誘起位相変化寄与が、ターゲットによって散乱されたときの照明放射の位相に対するオーバーレイの影響を含む、ことと、決定されたオーバーレイ誘起位相変化寄与から直接的にオーバーレイの値を算出することとを含む、基板上のターゲットに関連するオーバーレイを測定する方法を説明している。オーバーレイ誘起相変化寄与は、ターゲットによって散乱された放射内に含まれる回折次数の対応する高次のペア(例えば、+1次及び-1次)の各回折次数に関連する反射率強度及び反射率位相から決定され得る。ターゲットは、少なくとも、第1の既知のオーバレイバイアスを有する第1のサブターゲットと、オーバレイバイアスを持たない、又は第1の既知のオーバレイバイアスとは異なる第2の既知のオーバレイバイアスを有する第2のサブターゲットとを、オーバーレイ誘起相変化寄与が第1のサブターゲット及び第2のサブターゲットのそれぞれから散乱放射に含まれる回折次数の比較から決定されるように、含み得る。例えば、オーバーレイ誘起相変化寄与は、第1のサブターゲットに関連する第1の正の高次回折場と第2のサブターゲットに関連する第2の正の高次回折場との第1の相対位相と、第1のサブターゲットに関連する第1の負の高次回折場と第2のサブターゲットに関連する第2の負の高次回折場との第2の相対位相とから決定され得る。オーバーレイ誘起相変化寄与は、第1の正の高次回折場と第2の負の高次回折場との第3の相対位相と、第1の負の高次回折場と第2の正の高次回折場との第4の相対位相とからさらに決定され得る。
【0094】
[0092] 部分的にインコヒーレントなイメージング構成の場合、強度分布は次式で表される。
【数4】
【0095】
[0093] この例では、畳み込みを解いてPSFを外すことは不可能である、又は少なくとも困難である。代わりに、標準的な技法を用いて強度からオーバーレイを決定することができる。位相情報は利用できないが、参照放射の適用による「ノイズレス」増幅の利点は依然として得られ、これは、技術的ノイズ(例えば、カメラノイズなど)に関しては信号対雑音比を増加させるが、ショットノイズに関しては増加させない(すなわち、利得はショットノイズに制限される)。
【0096】
[0094] 部分的にインコヒーレントなDHMの例では側波帯の復調は実現不可能であるが、例えば暗色層の場合など、ノイズレス信号増幅が依然として望まれる場合、本明細書で説明される干渉デバイスに、それぞれのカメラを有する2つのイメージングブランチを設けてもよい。これにより、2つのそれぞれのカメラで捕捉された画像から差分画像を生成することができ、つまり、バックグラウンド強度を除去して干渉交差項を分離できる。
【0097】
[0095] まとめると、本明細書で開示されるのは、計算による収差補正及びインコヒーレントクロストークの除去/低減を可能にし、機械対機械のマッチングを改善するインコヒーレント(又は部分的インコヒーレント)暗視野干渉顕微鏡である。測定された信号は「ノイズレス」に増幅されて、暗色層の検出能力を改善する。さらに、ターゲットの複素反射率を再構築することができ、オーバーレイの精度が向上する可能性がある。
【0098】
[0096] 上記の例は、オーバーレイを測定するメトロロジツールという観点から、より一般的には集積回路の製造におけるリソグラフィプロセスを監視するという観点から説明されているが、本明細書で開示される概念はそのように限定されるものではない。本明細書で開示されるメトロロジツールは、ターゲットなどの構造の任意の関心特性(フォーカス、ドーズ、クリティカルディメンジョン、及びオーバーレイのより複雑な形態(例えば、オーバーレイとクリティカルディメンジョンの均一性との組み合わせ)であるEPE(エッジ配置誤差)など)を測定するために使用され得る。本明細書で開示されるメトロロジツールは、リソグラフィ及びIC製造とは別の文脈で、他のサンプル又は物体の測定に同様に使用することができる。
【0099】
[0097] 図11は、本明細書で開示される方法及びフローの実施を支援し得るコンピュータシステム1100を示すブロック図である。コンピュータシステム1100は、情報を伝達するためのバス1102又は他の通信機構と、情報を処理するためにバス1102と結合されたプロセッサ1104(又は複数のプロセッサ1104及び1105)とを含む。コンピュータシステム1100は、情報及びプロセッサ1104によって実行される命令を格納するためにバス1102に結合されたメインメモリ1106(ランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的記憶装置など)も含む。メインメモリ1106は、プロセッサ1104によって実行される命令を実行する間、一時的な変数又は他の中間情報を格納するために使用することもできる。コンピュータシステム1100は、プロセッサ1104用の静的情報及び命令を格納するためにバス1102に結合された読み取り専用メモリ(ROM)1108又は他の静的記憶装置をさらに含む。記憶装置1110(磁気ディスク又は光ディスクなど)が、情報及び命令を格納するために設けられ、バス1102に結合される。
【0100】
[0098] コンピュータシステム1100は、バス1102を介して、コンピュータユーザに情報を表示するためのディスプレイ1112(ブラウン管(CRT)又はフラットパネル若しくはタッチパネルディスプレイなど)に結合されてもよい。入力デバイス1114(英数字及び他のキーを含む)は、プロセッサ1104に情報及びコマンド選択を伝達するためにバス1102に結合される。別の種類のユーザ入力デバイスは、プロセッサ1104に方向情報及びコマンド選択を伝達するため、並びにディスプレイ1112上のカーソルの動きを制御するためのカーソルコントロール1116(マウス、トラックボール、又はカーソル方向キーなど)である。この入力デバイスは、典型的には、2つの軸、すなわち、第1の軸(例えば、x)及び第2の軸(例えば、y)における2自由度を有し、それにより、デバイスは、平面内の位置を指定することができる。また、入力デバイスとして、タッチパネル(スクリーン)ディスプレイを使用することもできる。
【0101】
[0099] 本明細書に記載の方法の1つ又は複数は、メインメモリ1106に含まれる1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスをプロセッサ1104が実行することに応答して、コンピュータシステム1100によって行うことができる。そのような命令は、別のコンピュータ可読媒体(記憶装置1110など)からメインメモリ1106に読み込むことができる。メインメモリ1106に含まれる命令のシーケンスの実行により、プロセッサ1104は、本明細書に記載のプロセスステップを行う。また、メインメモリ1106に含まれる命令のシーケンスを実行するために、マルチプロセッシング配置の1つ又は複数のプロセッサを使用することもできる。代替の実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と組み合わせて、配線回路を使用することができる。したがって、本明細書の説明は、ハードウェア回路とソフトウェアの特定の組み合わせに限定されない。
【0102】
[00100] 「コンピュータ可読媒体」という用語は、本明細書で使用される場合、実行のための命令をプロセッサ1104に提供することに関与するいかなる媒体も指す。そのような媒体は、限定されないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含む、多くの形態を取り得る。不揮発性媒体は、例えば、記憶装置1110などの光ディスク又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ1106などの動的メモリを含む。伝送媒体は、バス1102を含むワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバを含む。また、伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に発生するものなど、音響波又は光波の形態も取り得る。コンピュータ可読媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の任意の磁気媒体、CD-ROM、DVD、他の任意の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する他の任意の物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、他の任意のメモリチップ若しくはカートリッジ、以下に記載する搬送波、又はコンピュータが読み取り可能な他の任意の媒体が含まれる。
【0103】
[00101] 様々な形態のコンピュータ可読媒体は、実行のための1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスをプロセッサ1104に搬送することに関与し得る。例えば、命令は、最初は、リモートコンピュータの磁気ディスク上にあり得る。リモートコンピュータは、その動的メモリに命令をロードし、モデムを使用して電話回線上で命令を送信することができる。コンピュータシステム1100にローカル接続されたモデムは、電話回線上でデータを受信し、赤外線送信機を使用してデータを赤外線信号に変換することができる。バス1102に結合された赤外線検出器は、赤外線信号で搬送されるデータを受信し、データをバス1102に載せることができる。バス1102は、メインメモリ1106にデータを搬送し、プロセッサ1104は、メインメモリ1106から命令を取り出して実行する。メインメモリ1106によって受信された命令は、任意選択的に、プロセッサ1104による実行の前又は後に、記憶装置1110に格納することができる。
【0104】
[00102] コンピュータシステム1100は、好ましくは、バス1102に結合された通信インタフェース1118も含む。通信インタフェース1118は、ローカルネットワーク1122に接続されたネットワークリンク1120に結合する双方向データ通信を提供する。例えば、通信インタフェース1118は、対応する種類の電話回線へのデータ通信接続を提供するための総合サービスデジタル網(ISDN)カード又はモデムであってもよい。別の例として、通信インタフェース1118は、互換性を有するLANへのデータ通信接続を提供するためのローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。ワイヤレスリンクも実装することができる。任意のそのような実装形態においては、通信インタフェース1118は、様々な種類の情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、又は光信号の送受信を行う。
【0105】
[00103] ネットワークリンク1120は、典型的には、1つ又は複数のネットワークを通じて、他のデータデバイスとのデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク1120は、ローカルネットワーク1122を通じて、ホストコンピュータ1124との接続又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)1126によって操作されるデータ機器との接続を提供することができる。これを受けて、ISP1126は、ワールドワイドパケットデータ通信ネットワーク(現在では、一般的に「インターネット」1128と呼ばれる)を通じて、データ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク1122及びインターネット1128は両方とも、デジタルデータストリームを搬送する電気信号、電磁信号、又は光信号を使用する。様々なネットワークを通る信号並びにネットワークリンク1120上の及び通信インタフェース1118を通る信号(これらは、コンピュータシステム1100へ、及びコンピュータシステム1100から、デジタルデータを搬送する)は、情報を運ぶ搬送波の例示的な形態である。
【0106】
[00104] コンピュータシステム1100は、1つ又は複数のネットワーク、ネットワークリンク1120、及び通信インタフェース1118を通じて、メッセージの送信及びプログラムコードを含むデータの受信を行うことができる。インターネットの例では、サーバ1130は、インターネット1128、ISP1126、ローカルネットワーク1122、及び通信インタフェース1118を通じて、アプリケーションプログラム用の要求コードを送信し得る。ダウンロードされるそのようなアプリケーションの1つは、例えば、本明細書に記載の技法の1つ又は複数に備えることができる。受信コードは、受信した際にプロセッサ1104によって実行されること、及び/又は後の実行のために記憶装置1110若しくは他の不揮発性ストレージに格納することができる。このように、コンピュータシステム1100は、搬送波の形態でアプリケーションコードを得ることができる。
【0107】
[00105] さらなる実施形態が、以下の番号が付された条項のリストにおいて開示される。
1. 対物放射をサンプル上に伝播させ、サンプルから結果として生じる散乱放射を収集するように動作可能な対物ブランチと、
参照放射を伝播させるように動作可能な参照ブランチと、
散乱放射から0次成分を除去して、フィルタ処理された散乱放射を提供するように動作可能なフィルタ配置と、
フィルタ処理された散乱放射と参照放射との干渉に由来する干渉像を検出するように動作可能な検出配置と
を備える、暗視野干渉顕微鏡であって、
対物放射及び参照放射が、それぞれ空間的にインコヒーレントであり、相互に点別に空間的にコヒーレントである、暗視野干渉顕微鏡。
2. インコヒーレントな放射を含む入力ビームを受け取り、インコヒーレントな放射の入力ビームを対物放射と参照放射とに分割して、互いの複製である対物放射及び参照放射を提供するように動作可能なビーム分割要素を瞳面又はその共役に備える、条項1に記載の暗視野干渉顕微鏡。
3. 点別の空間コヒーレンスが、瞳点のペア間における相互空間コヒーレンスを表し、瞳点の各ペアが対物放射及び参照放射のそれぞれにおいて対応する瞳点をそれぞれ備えるが、対物放射及び参照放射のそれぞれの瞳点がインコヒーレントである、条項1又は2に記載の暗視野干渉顕微鏡。
4. 干渉像が瞳点のペアの干渉からそれぞれ生成された複数の干渉像のインコヒーレントな結合から形成されるように動作可能である、条項3に記載の暗視野干渉顕微鏡。
5. 参照ブランチがフィールド共役に光反転要素を備え、光反転要素が、参照放射の点対称配置を反転させるように動作可能である、先行する条項の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
6. 光反転要素がレンズリレー又はミラーである、条項5に記載の暗視野干渉顕微鏡。
7. 光反転要素が格子又は空間光変調器である、条項5に記載の暗視野干渉顕微鏡。
8. 格子又は空間光変調器が少なくとも位相格子又は位相空間光変調器である、条項7に記載の暗視野干渉顕微鏡。
9. 参照放射とフィルタ処理された散乱放射とが瞳面又はその共役においてオーバーラップするように参照放射とフィルタ処理された散乱放射とを結合するように動作可能なビーム結合要素を備える、先行する条項の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
10. 参照放射が、フィルタで除去された0次成分に対応する検出開口数の一部に収容されるように動作可能である、先行する条項の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
11. フィルタ処理された散乱放射内に含まれる複数の物体放射成分と、参照放射のそれぞれの参照放射成分とを、物体放射成分のそれぞれがそれぞれの対応する参照放射成分と干渉するように誘導するように動作可能な光学的配置を備える、先行する条項の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
12. 各物体放射成分が異なる回折次数を含む、条項11に記載の暗視野干渉顕微鏡。
13. 複数の物体放射成分が少なくとも4つの物体放射成分を含む、条項11又は12に記載の暗視野干渉顕微鏡。
14. 干渉像が物体放射成分のそれぞれに対応する分離されたサブ画像を含むように動作可能である、条項11~13の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
15. 光学的配置が1つ又は複数の放射誘導要素を備える、条項11~14の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
16. 放射誘導要素が、物体放射成分のそれぞれ及び参照放射成分のそれぞれについてそれぞれの誘導要素を有する光学くさび配置として備わる、条項15に記載の暗視野干渉顕微鏡。
17. 暗視野干渉顕微鏡の瞳面の両方の方向に参照放射をシフトさせるように動作可能な少なくとも1つの光学要素を備える、条項1~10の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
18. 検出器上で瞳面をイメージングして、画像を取得し、
画像に対して第1のフーリエ変換を行って、相補的な回折次数のペアのうちの第1の回折次数に関連する物体放射の第1の物体放射成分に対する少なくとも1つの第1の側波帯と、相補的な回折次数のペアのうちの第2の回折次数に関連する物体放射の第2の物体放射成分に対する少なくとも1つの第2の側波帯とにアクセスし、
少なくとも1つの第1の側波帯及び少なくとも1つの第2の側波帯のそれぞれに対して逆フーリエ変換を行って、第1の回折次数及び第2の回折次数のそれぞれに関連するそれぞれの再構築画像を取得する
ように動作可能である、条項17に記載の暗視野干渉顕微鏡。
19. レンズ又はレンズ配置と、干渉像を検出するための少なくとも1つの検出器とを有する検出配置を備える、先行する条項の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
20. 対物ブランチの対物照明開口数と検出開口数とを有し、検出開口数がフィルタ処理された散乱照明で満たされるように対物照明開口数が検出開口数よりも大きい、先行する条項の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
21. 参照ブランチが、対物照明開口数と同様の参照照明開口数を有する、条項20に記載の暗視野干渉顕微鏡。
22. フィルタ処理された散乱放射の所望の成分が検出開口数内に捕捉されるように、検出開口数と、サンプルのピッチと対物放射の波長との比とに基づいて測定のために構成可能である、構成可能な照明開口数プロファイル及び/又は基板配向を有する、条項20又は21に記載の暗視野干渉顕微鏡。
23. 干渉像からサンプルの複素反射率を決定する
ように動作可能なプロセッサを備える、先行する条項の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
24. 干渉像がパラメータ分布を含み、プロセッサが、
パラメータ分布からインコヒーレント点像分布関数の畳み込みを解いて、サンプルの複素反射率を決定する
ように動作可能である、条項23に記載の暗視野干渉顕微鏡。
25. プロセッサが、サンプルの複素反射率の位相を決定し、少なくとも位相から関心パラメータを決定するようにさらに動作可能である、条項23又は24に記載の暗視野干渉顕微鏡。
26. プロセッサが、暗視野干渉顕微鏡内の1つ又は複数の要素の収差に関連する1つ又は複数のカーネルの畳み込みを解くことによって収差補正を実行するようにさらに動作可能である、条項23~25の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
27. リソグラフィプロセスによって形成された構造を備える基板を保持するための基板ステージを備える、先行する条項の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
28. 対物放射をサンプル上に伝播させ、サンプルから結果として生じる散乱放射を収集することと、
散乱放射から0次成分を除去して、フィルタ処理された散乱放射を提供することと、
参照放射を伝播させることと、
フィルタ処理された散乱放射と参照放射との干渉に由来する干渉像を検出することと
を含む、暗視野干渉顕微鏡法を行う方法であって、
対物放射及び参照放射が、それぞれ空間的にインコヒーレントであり、相互に点別に空間的にコヒーレントである、方法。
29. インコヒーレントな放射を含む入力ビームを受け取り、瞳面又はその共役において、インコヒーレントな放射の入力ビームを対物放射及び参照放射に分割して、互いの複製であるインコヒーレントな対物放射及びインコヒーレントな参照放射を提供することを含む、条項28に記載の方法。
30. 点別の空間コヒーレンスが、瞳点のペア間における相互空間コヒーレンスを表し、瞳点の各ペアが対物放射及び参照放射のそれぞれにおいて対応する瞳点をそれぞれ備えるが、対物放射及び参照放射のそれぞれの瞳点がインコヒーレントである、条項28又は29に記載の方法。
31. 干渉像が瞳点のペアの干渉からそれぞれ生成された複数の干渉像のインコヒーレントな結合から形成される、条項30に記載の方法。
32. 参照放射の点対称配置を反転させることを含む、条項28~32の何れか一項に記載の方法。
33. 参照放射を空間的に変調することを含む、条項28~32の何れか一項に記載の方法。
34. 空間的に変調することが、干渉像のパラメータ分布の干渉項における位相シフト分布及び/又は振幅分布を変調することを含む、条項33に記載の方法。
35. 参照放射とフィルタ処理された散乱放射とが瞳面又はその共役においてオーバーラップするように参照放射とフィルタ処理された散乱放射とを結合することを含む、条項28~34の何れか一項に記載の方法。
36. フィルタで除去された0次成分に対応する検出開口数の一部に参照放射を収容することを含む、条項28~35の何れか一項に記載の方法。
37. フィルタ処理された散乱放射内に含まれる複数の物体放射成分と、参照放射のそれぞれの参照放射成分とを、物体放射成分のそれぞれがそれぞれの対応する参照放射成分と干渉するように誘導することを含む、条項28~36の何れか一項に記載の方法。
38. 各物体放射成分が異なる回折次数を含む、条項37に記載の方法。
39. 複数の物体放射成分が少なくとも4つの物体放射成分を含む、条項37又は38に記載の方法。
40. 物体放射成分のそれぞれに対応する分離されたサブ画像として干渉像をイメージングすることを含む、条項37~39の何れか一項に記載の方法。
41. 暗視野干渉顕微鏡の瞳面の両方の方向に参照放射をシフトさせることを含む、条項28~36の何れか一項に記載の方法。
42. 瞳面をイメージングして、画像を取得することと、
画像に対して第1のフーリエ変換を行って、相補的な回折次数のペアのうちの第1の回折次数に関連する物体放射の第1の物体放射成分に対する少なくとも1つの第1の側波帯と、相補的な回折次数のペアのうちの第2の回折次数に関連する物体放射の第2の物体放射成分に対する少なくとも1つの第2の側波帯とにアクセスすることと、
少なくとも1つの第1の側波帯及び少なくとも1つの第2の側波帯のそれぞれに対して逆フーリエ変換を行って、第1の回折次数及び第2の回折次数のそれぞれに関連するそれぞれの再構築画像を取得することと
をさらに含む、条項41に記載の方法。
43. フィルタ処理された散乱照明で検出開口数を満たすことを含む、条項28~42の何れか一項に記載の方法。
44. フィルタ処理された散乱放射の所望の成分が検出開口数内に捕捉されるように、検出開口数と、サンプルのピッチと対物放射の波長との比とに基づいて測定のために照明開口数プロファイル及び/又は基板配向を構成することを含む、条項43に記載の方法。
45. 干渉像からサンプルの複素反射率を決定することを含む、条項28~44の何れか一項に記載の方法。
46. 干渉像のパラメータ分布からインコヒーレント点像分布関数の畳み込みを解いて、サンプルの複素反射率を決定することを含む、条項45に記載の方法。
47. サンプルの複素反射率の位相を決定し、少なくとも位相から関心パラメータを決定することを含む、条項45又は46に記載の方法。
48. 方法を実行するために使用される1つ又は複数の光学要素の収差に関連する1つ又は複数のカーネルの畳み込みを解くことによって収差補正を実行することを含む、条項28~47の何れか一項に記載の方法。
49. サンプルが、基板上にリソグラフィプロセスによって形成された構造を備える、条項28~48の何れか一項に記載の方法。
50. 基板上の構造の関心特性を決定するためのメトロロジ装置であって、メトロロジ装置が、条項1~27の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡を備える、メトロロジ装置。
51. 条項1~27の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡又は条項50に記載のメトロロジ装置を備える、リソグラフィセル。
52. 条項1~27の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡を備える、リソグラフィ装置。
【0108】
[00106] 本明細書では、リソグラフィ装置をICの製造で使用することが具体的に参照されているが、本明細書に記載のリソグラフィ装置は、他の用途を有し得ることが理解されるべきである。可能な他の用途として、一体型光学系、磁区メモリのガイダンスパターン及び検出パターン、平面パネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造がある。
【0109】
[00107] 本明細書では、本発明の実施形態を検査装置又はメトロロジ装置に関連して具体的に参照している場合があるが、本発明の実施形態は、他の装置で使用され得る。本発明の実施形態は、マスク検査装置、リソグラフィ装置或いはウェーハ(若しくは他の基板)又はマスク(若しくは他のパターニングデバイス)等の物体を測定又はプロセスする任意の装置の一部をなし得る。「メトロロジ装置」はまた、検査装置又は検査システムを指す場合がある。例えば、本発明の実施形態を含む検査装置は、基板の欠陥、又は基板上の構造の欠陥を検出するために使用することができる。このような実施形態では、基板上の構造の関心特性は、構造の欠陥、構造の特定の部分の欠如、又は基板上の不要な構造の存在に関連し得る。
【0110】
[00108] 「メトロロジ装置/ツール/システム」又は「検査装置/ツール/システム」について具体的に言及しているが、これらの用語は、同一又は類似のタイプのツール、装置、又はシステムを指す場合がある。例えば、本発明の実施形態を含む検査装置又はメトロロジ装置は、基板上又はウェーハ上の構造の特性を決定するために使用することができる。例えば、本発明の実施形態を含む検査装置又はメトロロジ装置は、基板の欠陥、又は基板上若しくはウェーハ上の構造の欠陥を検出するために使用することができる。このような実施形態では、基板上の構造の関心特性は、構造の欠陥、構造の特定の部分の欠如、又は基板上若しくはウェーハ上の不要な構造の存在に関連し得る。
【0111】
[00109] 本発明の実施形態を光リソグラフィに関連して使用することをここまで具体的に参照してきたが、本発明は、文脈が許す限り、光リソグラフィに限定されず、他の用途で使用され得、例えばインプリントリソグラフィで使用され得ることが理解される。
【0112】
[00110] 上述のターゲット又はターゲット構造(より一般的には基板上の構造)は、測定の目的のために特別に設計及び形成されたメトロロジターゲット構造であるが、他の実施形態では、関心特性は、基板上に形成されたデバイスの機能部分である1つ又は複数の構造上で測定することができる。多くのデバイスは、規則的な格子状構造を有する。本明細書で使用される構造、ターゲット格子、及びターゲット構造という用語は、構造が、行われる測定のために特別に提供されたものであることを必要としない。さらに、メトロロジターゲットのピッチPは、スキャトロメータの光学システムの解像限界に近いか、又は小さくてもよいが、ターゲット部分Cのリソグラフィプロセスによって作られた典型的な製品フィーチャの寸法よりもはるかに大きくてもよい。実際には、ターゲット構造内のオーバーレイ格子のライン及び/又はスペースは、製品フィーチャと同様の寸法のより小さい構造を含むように作られてもよい。
【0113】
[00111] ここまで本発明の特定の実施形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明は、説明された以外の方法で実施され得ることが理解される。上述の説明は、限定的ではなく、例示的であるものとする。したがって、当業者であれば明らかなように、以下に示される特許請求項の範囲から逸脱しない限り、記載された本発明に対する修正形態がなされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】
図5(c)】
図5(d)】
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9
図10(a)】
図10(b)】
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物放射をサンプル上に伝播させ、前記サンプルから結果として生じる散乱放射を収集するように動作可能な対物ブランチと、
参照放射を伝播させるように動作可能な参照ブランチと、
前記散乱放射から0次成分を除去して、フィルタ処理された散乱放射を提供するように動作可能なフィルタ配置と、
前記フィルタ処理された散乱放射と前記参照放射との干渉に由来する干渉像を検出するように動作可能な検出配置と
を備える、暗視野干渉顕微鏡であって、
前記対物放射及び前記参照放射が、それぞれ空間的にインコヒーレントであり、相互に点別に空間的にコヒーレントである、暗視野干渉顕微鏡。
【請求項2】
インコヒーレントな放射を含む入力ビームを受け取り、インコヒーレントな放射の前記入力ビームを前記対物放射と前記参照放射とに分割して、互いの複製である対物放射及び参照放射を提供するように動作可能なビーム分割要素を瞳面又はその共役に備える、請求項1に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項3】
点別の空間コヒーレンスが、瞳点のペア間における相互空間コヒーレンスを表し、瞳点の各ペアが前記対物放射及び前記参照放射のそれぞれにおいて対応する瞳点をそれぞれ備えるが、前記対物放射及び前記参照放射のそれぞれの前記瞳点がインコヒーレントである、請求項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項4】
前記干渉像が瞳点の前記ペアの干渉からそれぞれ生成された複数の干渉像のインコヒーレントな結合から形成されるように動作可能である、請求項3に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項5】
前記参照ブランチがフィールド共役に光反転要素を備え、前記光反転要素が、前記参照放射の点対称配置を反転させるように動作可能である、請求項1~の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項6】
前記参照放射と前記フィルタ処理された散乱放射とが瞳面又はその共役においてオーバーラップするように前記参照放射と前記フィルタ処理された散乱放射とを結合するように動作可能なビーム結合要素を備える、請求項1~の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項7】
前記参照放射が、前記フィルタで除去された0次成分に対応する検出開口数の一部に収容されるように動作可能である、請求項1~の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項8】
前記フィルタ処理された散乱放射内に含まれる複数の物体放射成分と、前記参照放射のそれぞれの参照放射成分とを、前記物体放射成分のそれぞれがそれぞれの対応する参照放射成分と干渉するように誘導するように動作可能な光学的配置を備える、請求項1~の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項9】
各物体放射成分が異なる回折次数を含む、請求項8に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項10】
前記対物ブランチの対物照明開口数と検出開口数とを有し、前記検出開口数が前記フィルタ処理された散乱照明で満たされるように前記対物照明開口数が前記検出開口数よりも大きい、請求項1~の何れか一項に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項11】
前記参照ブランチが、前記対物照明開口数と同様の参照照明開口数を有する、請求項10に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項12】
前記フィルタ処理された散乱放射の所望の成分が前記検出開口数内に捕捉されるように、前記検出開口数と、前記サンプルのピッチと前記対物放射の波長との比とに基づいて測定のために構成可能である、構成可能な照明開口数プロファイル及び/又は基板配向を有する、請求項10に記載の暗視野干渉顕微鏡。
【請求項13】
対物放射をサンプル上に伝播させ、前記サンプルから結果として生じる散乱放射を収集することと、
前記散乱放射から0次成分を除去して、フィルタ処理された散乱放射を提供することと、
参照放射を伝播させることと、
前記フィルタ処理された散乱放射と前記参照放射との干渉に由来する干渉像を検出することと
を含む、暗視野干渉顕微鏡法を行う方法であって、
前記対物放射及び前記参照放射が、それぞれ空間的にインコヒーレントであり、相互に点別に空間的にコヒーレントである、暗視野干渉顕微鏡法を行う方法。
【請求項14】
基板上の構造の関心特性を決定するためのメトロロジ装置であって、前記メトロロジ装置が、請求項に記載の暗視野干渉顕微鏡を備える、メトロロジ装置。
【請求項15】
請求項に記載の暗視野干渉顕微鏡又は請求項14に記載のメトロロジ装置を備える、リソグラフィセル。
【国際調査報告】